(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0011】
図1は、本発明の一実施例によるチップ抵抗器を示した図である。
【0012】
図1を参照すると、本発明の一実施例によるチップ抵抗器は、基板110、第1の電極121、第2の電極122、第1の抵抗体131及び第2の抵抗体132を含むことができる。
【0013】
基板110は、電極と抵抗体の実装のための空間を提供することができる。例えば、上記基板110は、セラミック材料からなる絶縁性基板であり得る。上記セラミック材料はアルミナ(Al
2O
3)であり得るが、絶縁性、放熱性、抵抗体との密着性に優れた材料であれば特に制限されない。
【0014】
第1の電極121は、基板110の一面上に配置されることができる。
【0015】
第2の電極122は、基板110の一面上で第1の電極121に対して離隔して配置されることができる。
【0016】
例えば、上記第1及び第2の電極121、122は、銅、銅合金を利用して低い抵抗値に具現されることができる。
【0017】
第1の抵抗体131と第2の抵抗体132はそれぞれ基板110の一面上で第1の電極121と第2の電極122の間を電気的に連結させることができる。即ち、上記第1の抵抗体131と第2の抵抗体132は、第1及び第2の電極121、122に対して並列に連結されることができる。
【0018】
例えば、上記第1の抵抗体131と基板110の間及び上記第2の抵抗体132と基板110の間には、上記第1及び第2の抵抗体131、132の焼成時に接着力を高くするための接着剤が付着されることができる。例えば、上記接着剤は、エポキシ(epoxy)などの樹脂材料でもよく、銅(Cu)、ニッケル(Ni)又は銅−ニッケル(Cu−Ni)を含み熱放出性に優れた材料でもよい。
【0019】
ここで、上記第1及び第2の抵抗体131、132は、焼成時、イオン性(ionic)拡散接合によって合金化して基板110に結合されることができる。
【0020】
また、上記第1の抵抗体131の熱特性と上記第2の抵抗体132の熱特性は異なり得る。
【0021】
即ち、上記第1の抵抗体131に所定の温度条件で発生する熱起電力(thermo electromotive force)は、上記第2の抵抗体132に所定の温度条件で発生する熱起電力より小さければよい。ここで、熱起電力は、材料の両接続点の温度が異なる値のときに発生する起電力を意味する。したがって、所定の温度条件は、抵抗体における特定の地点間の温度差を含むことができる。ここで、上記特定の地点はそれぞれ上記第1の抵抗体131の第1又は第2の電極121、122に対する接点であり得るが、特に制限されない。
【0022】
上記第1及び第2の抵抗体131、132の総抵抗値は、上記第1の抵抗体131に対するトリミング(trimming)作業によって微細調整されることができる。ここで、トリミング作業は、抵抗体に対して溝(groove)を形成しながら抵抗体の抵抗値を同時に測定する間に上記抵抗値が目標抵抗値に近づく場合に溝の形成を中断させることにより、抵抗体の抵抗値を調整する作業を意味する。これにより、本発明の一実施例によるチップ抵抗器の精度は高くなることができる。
【0023】
ここで、トリミング作業の遂行対象抵抗体は、所定の熱条件で発生する熱起電力の低い材料である必要がある。上記トリミング作業では、通常、溝を形成しながら熱を発散し得る。抵抗体に発散される熱は、抵抗体に熱起電力をもたらす可能性がある。上記熱起電力は、抵抗体の抵抗値測定過程で歪みをもたらす可能性がある。
【0024】
したがって、上記第1の抵抗体131の所定の熱条件で発生する熱起電力が低いほど、本発明の一実施例によるチップ抵抗器の精度は高くなることができる。
【0025】
例えば、上記第1の抵抗体131は、熱起電力特性のために銅−マンガン−スズ(Cu−Mn−Sn)を含むことができる。
【0026】
しかしながら、通常、所定の熱条件で発生する熱起電力が低い抵抗体は、温度変化による抵抗値の変化率を示す抵抗温度係数(Temperature Coefficient of Resistivity、TCR)が高い。即ち、上記第1の抵抗体131の抵抗温度係数は高い。
【0027】
もし、上記第1及び第2の抵抗体131、132の総抵抗温度係数が高ければ、上記第1及び第2の抵抗体131、132の精度は低くなる可能性がある。また、抵抗温度係数の上記精度に対する影響は、上記第1及び第2の抵抗体131、132の抵抗値が小さいほどより大きくなる。したがって、上記第1及び第2の抵抗体131、132の抵抗値が100mΩ以下の場合、上記第1及び第2の抵抗体131、132の総抵抗温度係数は低くなる必要がある。
【0028】
上記第2の抵抗体132はトリミング作業の遂行対象抵抗体でなくてもよい。また、上記第2の抵抗体132に対してトリミング作業が行われるとしても、その後、上記第1の抵抗体131に対するトリミング作業を通じて最終総抵抗値が調整されることができる。したがって、上記第2の抵抗体132は、所定の熱条件で発生する熱起電力が低い特性を有しなくてもよい。抵抗体において熱起電力特性と抵抗温度係数特性は相反関係(trade−off)にあり得る。
【0029】
したがって、上記第2の抵抗体132の抵抗温度係数は上記第1の抵抗体131の抵抗温度係数より低ければよい。これにより、上記第1及び第2の抵抗体131、132の総抵抗温度係数は上記第1の抵抗体131の抵抗温度係数より低くなることができる。
【0030】
例えば、上記第2の抵抗体132は銅−ニッケル(Cu−Ni)を含むことができる。即ち、上記第2の抵抗体132は、コンスタンタン(constantan)、マンガニン(manganin)、ニクロム(nichrome)などの温度係数の低い材料を含み、抵抗温度係数を低くすることができる。したがって、上記第2の抵抗体132は、銅−ニッケル−マンガン(Cu−Ni−Mn)やニッケル−クロム(Ni−Cr)のような材料を含むこともできる。
【0031】
これにより、本発明の一実施例によるチップ抵抗器は、低い抵抗値を有しながらも高い精度に具現されることができる。
【0032】
図2は、本発明の一実施例によるチップ抵抗器の抵抗体に形成された溝を例示した図である。
【0033】
図2を参照すると、本発明の一実施例によるチップ抵抗器は、基板210、第1の電極221、第2の電極222、第1の抵抗体231及び第2の抵抗体232を含むことができる。
【0034】
上記第1の抵抗体231は溝(groove)を有することができる。例えば、上記溝はレーザによって形成されることができる。上記レーザは上記第1の抵抗体231の端に到達して上記端から溝を形成することができる。このとき、上記レーザは上記第1の抵抗体231の中心に徐々に移動しながら溝の長さを延ばすことができる。
【0035】
上記溝の長さが長くなるにつれて、上記第1の抵抗体231の抵抗値は大きくなり得る。上記第1の抵抗体231を3個の直列連結された抵抗体とみなす場合、中央の抵抗体の断面積は小さくなり得る。ここで、中央の抵抗体の断面積が小さくなるほど中央の抵抗体の抵抗値は大きくなり得る。これにより、全ての抵抗体の抵抗値は大きくなり得る。
【0036】
上記第1の抵抗体231の抵抗値が目標抵抗値に近づく場合、上記レーザは移動方向を変更することができる。上記レーザの移動方向が変更された後の上記溝の長さが長くなることによる上記第1の抵抗体231の抵抗値の上昇率は、上記レーザの移動方向が変更される前の上記溝の長さが長くなることによる上記第1の抵抗体231の抵抗値の上昇率より低くなることができる。したがって、上記レーザの移動方向が変更された後、上記第1の抵抗体231の抵抗値はより精密に調整されることができる。
【0037】
ここで、上記溝はL形状を有することができる。また、上記溝の形成過程で第2の抵抗体232が受ける影響を減らすために、上記溝は、上記第1の抵抗体から上記第2の抵抗体に向かう方向の逆方向の端に形成されることができる。
【0038】
図3は、本発明の一実施例によるチップ抵抗器の抵抗体の配置を示した図である。
【0039】
図3を参照すると、本発明の一実施例によるチップ抵抗器は、基板310、第1の電極321、第2の電極322、第1の抵抗体331及び第2の抵抗体332a、332bを含むことができる。
【0040】
通常、抵抗体は、抵抗温度係数が低いほど熱放出性に優れた特性を有することができる。したがって、上記第2の抵抗体332a、332bの熱放出性は、第1の抵抗体331の熱放出性より優れる。
【0041】
したがって、第1の抵抗体331は第2の抵抗体332a、332bの間に配置されることができる。これにより、第1の抵抗体331に電流が流れることにより発生する熱は、第2の抵抗体332a、332bを通じて効率的に分散されることができる。
【0042】
図4aは、本発明の一実施例によるチップ抵抗器の抵抗体の配置を示した背面図である。
【0043】
図4bは、
図4aに示されたチップ抵抗器の斜視図である。
【0044】
図4a及び
図4bを参照すると、本発明の一実施例によるチップ抵抗器は、基板410、第1の電極421、第2の電極422、第1の抵抗体431及び第2の抵抗体432a、432bを含むことができる。
【0045】
第1の抵抗体431と第2の抵抗体432a、432bは薄膜(thin film)に具現されることができる。したがって、上記第1の抵抗体431と第2の抵抗体432a、432bの幅(x方向の長さ)が長かったり長さ(y方向の長さ)が短いほど、上記第1の抵抗体431と第2の抵抗体432a、432bの抵抗値は小さくなることができる。
【0046】
上記第1の抵抗体431と第2の抵抗体432a、432bの幅(x方向の長さ)が長くなるために、上記第1の抵抗体431と上記第2の抵抗体432a、432bは接することができる。これにより、本発明の一実施例によるチップ抵抗器は、100mΩ以下の抵抗値に容易に具現されることができる。
【0047】
ここで、上記第1の抵抗体431と第2の抵抗体432a、432bを流れる電流によって発生する熱の効率的な分散のために、第1の抵抗体431と第2の抵抗体432a、432bが交互に繰り返し配列されることができる。
【0048】
一方、第1及び第2の電極421、422は、基板410の側面を覆うように形成されることができる。これについては、
図5を参照して下面電極を説明するときに共に説明する。
【0049】
図5は、本発明の一実施例によるチップ抵抗器の側面を示した図である。
【0050】
図5を参照すると、本発明の一実施例によるチップ抵抗器は、基板510、第1の電極521、第2の電極522、抵抗体530、第1の上面電極541、第2の上面電極542、保護層550、第1の下面電極561、第2の下面電極562、第1の金属カバー571及び第2の金属カバー572を含むことができる。
【0051】
第1及び第2の上面電極541、542は、第1の電極521、第2の電極522、抵抗体530のうち少なくとも一つの上面に配置されることができる。もし、上記第1及び第2の上面電極541、542がそれぞれ第1及び第2の電極521、522上に配置される場合、上記第1及び第2の上面電極541、542は、第1及び第2の電極521、522が外部から電流を受けたり外部に電流を与えるための配線の役割を行うことができる。もし、第1及び第2の上面電極541、542が抵抗体530上に配置される場合、上記第1及び第2の上面電極541、542は、金属の特性である高い熱伝導度を利用して抵抗体530で発生した熱を効率的に発散させることができる。
【0052】
保護層550は、第1の電極521、第2の電極522、抵抗体530、第1の上面電極541及び第2の上面電極542のうち少なくとも一つの上面をカバーすることができる。例えば、上記保護層550は、エポキシ(epoxy)、フェノール樹脂、ガラス(glass)材質などに具現され、チップ抵抗器を外部の物理的衝撃から保護することができる。
【0053】
第1及び第2の下面電極561、562はそれぞれ第1及び第2の電極521、522の配置を補助することができる。例えば、基板510の両側面にU形状の第1及び第2の金属カバー571、572が嵌ることができる。上記第1及び第2の金属カバー571、572は、第1及び第2の電極521、522を押して固定させることができる。このとき、上記第1及び第2の下面電極561、562は、基板510の他面に予め形成され、上記第1及び第2の金属カバー571、572によって押されることができる。これにより、第1及び第2の電極521、522は安定的に固定されることができる。また、上記第1及び第2の下面電極561、562と第1及び第2の電極521、522の総面積が広くなるにつれて、第1及び第2の電極521、522の抵抗値はより低くなることができる。これにより、本発明の一実施例によるチップ抵抗器の総抵抗値はより低くなることができる。
【0054】
図6は、本発明の一実施例による、両面に抵抗体が配置されたチップ抵抗器の側面を示した図である。
【0055】
図6を参照すると、本発明の一実施例によるチップ抵抗器は、基板510、第1の電極521、第2の電極522、第1の抵抗体531、第2の抵抗体532、第1の上面電極541、第2の上面電極542、第1の保護層551、第2の保護層552、第1の下面電極561及び第2の下面電極562、第1の金属カバー571及び第2の金属カバー572を含むことができる。
【0056】
第1の抵抗体531は、基板510の一面上に配置されて第1及び第2の電極521、522に直接的に連結されることができる。上記第1の抵抗体531の一面には第1の保護層551が形成されることができる。
【0057】
第2の抵抗体532は、基板510の他面上に配置されて第1及び第2の下面電極561、562に直接的に連結されることができる。上記第2の抵抗体532の一面には第2の保護層552が形成されることができる。
【0058】
第1の電極521と第1の下面電極561が第1の金属カバー571を介して電気的に連結され、第2の電極522と第2の下面電極562が第2の金属カバー572を介して電気的に連結されることができる。これにより、基板510の一面上に配置された第1の抵抗体531と基板510の他面上に配置された第2の抵抗体532は並列関係にあり得る。
【0059】
第1の抵抗体531と第2の抵抗体532が基板510の互いに異なる面に配置されることにより、基板510の幅は短くなることができる。また、互いに異なる成分を含む第1及び第2の抵抗体531、532が形成されるとき、相互間に与える影響は減少することができる。
【0060】
図7は、本発明の一実施例によるチップ抵抗器の3端子の形態を示した図である。
【0061】
図7を参照すると、本発明の一実施例によるチップ抵抗器は、基板610、第1の電極621、第2の電極622、第3の電極623、第1の抵抗体631、第2の抵抗体632及び第3の抵抗体633を含むことができる。
【0062】
第3の電極623は、基板610の一面上で第1及び第2の電極621、622に対して離隔して配置されることができる。例えば、上記第3の電極623は、第1及び第2の電極621、622と同一の材料、形態及び方法で具現されることができる。
【0063】
第3の抵抗体633は、第3の電極623と第2の電極622の間を電気的に連結させることができる。
【0064】
第3の電極623は、外部で第1の電極621に電気的に連結され、第1の電極621に対する予備電極の役割を行うことができる。もし、第1の電極621が製造過程で発生した不良や使用過程で発生した衝撃によって外部から断絶された場合、上記第3の電極623は第1の電極621の役割を代わりに行うことができる。
【0065】
したがって、第3の抵抗体633は、第1及び第2の抵抗体631、632と同一の特性を有するために、熱特性が互いに異なる複数の抵抗体に具現されることもできる。
【0066】
図8は、第2の抵抗体のニッケル(Ni)の比率によるTCR及び抵抗を示したグラフである。
【0067】
図8を参照すると、横軸のCNの後の数字は、銅−ニッケル(Cu−Ni)のうちニッケル(Ni)の比率に100をかけた数字を示す。また、縦軸のTCRは、抵抗温度係数をppm/温度で示す。
【0068】
TCRが数千ppm/温度の抵抗体は、温度が1度上がるとき、抵抗値が数mΩ大きくなるという特性を有し得る。ここで、上記抵抗体の抵抗値が数十mΩの場合、上記抵抗体の抵抗値は、温度が1度のみ変わっても約10%の抵抗値が変わるという特性を有し得る。したがって、100mΩ以下の抵抗値を有するチップ抵抗器が精密な抵抗値を有するために、チップ抵抗器の全体のTCRの絶対値は小さくなる必要がある。
【0069】
本発明の一実施例によるチップ抵抗器は、トリミング作業が可能な抵抗体と、銅−ニッケル(Cu−Ni)を含む抵抗体が並列に連結された構造を有することができる。ここで、トリミング作業が可能な抵抗体のTCRは調節されるのが困難であり得る。したがって、上記銅−ニッケル(Cu−Ni)を含む抵抗体のTCRの調節によって、チップ抵抗体の全体のTCRは小さくなることができる。
【0070】
図8のグラフから、上記銅−ニッケル(Cu−Ni)を含む抵抗体は、銅−ニッケル(Cu−Ni)のうちニッケル(Ni)の比率が40%以上50%以下のときに最も低いTCRを有するということが確認できる。したがって、本発明の一実施例によるチップ抵抗器は、銅−ニッケル(Cu−Ni)を含み且つニッケル(Ni)の比率が40%以上50%以下の抵抗体を含むことにより、全体のTCRを最大限に低くすることができる。
【0071】
一方、マイナス値のTCRは、温度が上昇するとき、抵抗値が低くなるという特性を意味する。即ち、上記銅−ニッケル(Cu−Ni)を含む抵抗体は、銅−ニッケル(Cu−Ni)のうちニッケル(Ni)の比率が40%以上50%以下であり且つ温度が上昇するとき、抵抗値が低くなるという特性を有することができる。これにより、プラス値のTCR特性を有する抵抗体とマイナス値のTCR特性を有する抵抗体はTCR特性を相殺させることができる。
【0072】
本発明の一実施例によるチップ抵抗器は、熱起電力特性が良いが、TCR特性が悪い第1の抵抗体と、ニッケル(Ni)の比率が45%の銅−ニッケル(Cu−Ni)を含みTCR特性が良い第2の抵抗体が並列に配置された構造を有することができる。上記第1の抵抗体の抵抗値と上記第2の抵抗体の抵抗値によるチップ抵抗器の総抵抗値と総TCRを下記の表1にまとめた。
【0074】
ここで、Rは単位mΩの抵抗値、TCRは単位ppm/温度の抵抗温度係数を示す。
【0075】
図9は、第1及び第2の抵抗体のTCRを例示したグラフである。
【0076】
図9は、上記表1をグラフ形式にそのまま変換したものである。
図9を参照すると、case3のチップ抵抗器のTCR特性が最も良いことが分かる。
【0077】
ここで、第2の抵抗体の抵抗値が第1の抵抗体の抵抗値より低いとき、チップ抵抗器のTCR特性がより良い。
【0078】
チップ抵抗器の総抵抗値の逆数は、第1の抵抗体の抵抗値の逆数と第2の抵抗体の抵抗値の逆数の和で計算されることができる。これにより、第2の抵抗体の抵抗値が第1の抵抗体の抵抗値より低いほど、第2の抵抗体の抵抗値の変化が全体の抵抗値に与える影響は、第1の抵抗体の抵抗値の変化が全体の抵抗値に与える影響より大きくなり得る。したがって、第2の抵抗体の抵抗値が第1の抵抗体の抵抗値より低いほど、チップ抵抗器の総TCRは、第1の抵抗体のTCRよりも第2の抵抗体のTCRにさらに近づき得る。
【0079】
例えば、case1のチップ抵抗器において第1の抵抗体の抵抗値は第2の抵抗体の抵抗値の約1倍である。ここで、第2の抵抗体のTCRが全体のTCRの中で占める比重は約50%であり得る。
【0080】
Case2のチップ抵抗器において第1の抵抗体の抵抗値は第2の抵抗体の抵抗値の約2倍である。ここで、第2の抵抗体のTCRが全体のTCRの中で占める比重は約67%であり得る。
【0081】
例えば、case3のチップ抵抗器において第1の抵抗体の抵抗値は第2の抵抗体の抵抗値の約3倍である。ここで、第2の抵抗体のTCRが全体のTCRの中で占める比重は約75%であり得る。
【0082】
このような第2の抵抗体の相対的な抵抗値による第2の抵抗体のTCRが全体のTCRの中で占める比重の変化の推移を参照すると、第2の抵抗体の抵抗値が第1の抵抗体の抵抗値の約5倍の場合、チップ抵抗器の全体のTCRは0に近づくことが類推できる。
【0083】
したがって、本発明の一実施例によるチップ抵抗器において第2の抵抗体の抵抗値を第1の抵抗体の抵抗値の3倍以上7倍以下に設計することができる。これにより、上記チップ抵抗器の温度変化による抵抗値の変化は非常に小さくなることができる。
【0084】
図10は、本発明の一実施例によるチップ抵抗器の製造方法を示したフローチャートである。
【0085】
図10を参照すると、本発明の一実施例によるチップ抵抗器は、電極形成段階S10、第1の抵抗体形成段階S20、第2の抵抗体形成段階S30及び第1の抵抗体トリミング段階S40によって製造されることができる。
【0086】
電極形成段階S10は、基板上にインク状のペーストなどを塗ったり吹き付けたり印刷したりする段階を意味する。上記印刷はスクリーン法により行われることができる。これにより、電極の厚さが精密に制御されることができる。
【0087】
第1の抵抗体形成段階S20は、基板上に熱起電力特性の良い抵抗体を印刷する段階を意味する。
【0088】
第2の抵抗体形成段階S30は、基板上にTCR特性の良い抵抗体を印刷する段階を意味する。上記電極形成段階S10から第2の抵抗体形成段階S30までの過程は厚膜工程により行われることができる。これにより、800度から1400度の間の温度及び還元雰囲気で電極と抵抗体の焼成が行われることができる。このとき、抵抗体と電極の再結晶(recrystallization)が進み、粒成長(grain growth)が起こることができる。このとき、抵抗体と電極間の電気伝導度は向上することができる。これにより、本発明の一実施例によるチップ抵抗器は、100mΩ以下の低い抵抗値を有するように具現されることができる。
【0089】
また、上記ペースト印刷と焼成は繰り返されることができる。これにより、電極と抵抗体の初期抵抗値は最適化されることができる。
【0090】
また、電極形成後、Laser Dicing、Laser−Scriber、Sand Burstなどの方法を通じてチップ抵抗器の抵抗値は調節されることができる。
【0091】
第1の抵抗体トリミング段階S40は、レーザを利用して第1の抵抗体の端から溝を形成させることができる。このとき、チップ抵抗器の総抵抗値に対する測定が共に行われることができる。上記溝の長さは、チップ抵抗器の総抵抗値が目標抵抗値に近づくまで延びることができる。
【0092】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。