特許第6369903号(P6369903)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6369903
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】ホースの巻き取り装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 75/38 20060101AFI20180730BHJP
   B65H 75/40 20060101ALI20180730BHJP
【FI】
   B65H75/38 M
   B65H75/40 C
   B65H75/38 R
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-238366(P2014-238366)
(22)【出願日】2014年11月26日
(65)【公開番号】特開2016-98105(P2016-98105A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2017年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000117135
【氏名又は名称】芦森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082027
【弁理士】
【氏名又は名称】竹安 英雄
(72)【発明者】
【氏名】▲柄▼崎 和孝
(72)【発明者】
【氏名】谷口 泉
(72)【発明者】
【氏名】根立 敏
【審査官】 五閑 統一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平9−84893(JP,A)
【文献】 特開平8−257522(JP,A)
【文献】 特開平8−318004(JP,A)
【文献】 米国特許第4148445(US,A)
【文献】 特開2009−113945(JP,A)
【文献】 実開昭63−119574(JP,U)
【文献】 特開平1−288577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 75/38
A62C 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラック(2)に積み下ろし可能に搭載されるコンテナ(3)内に設けられた、水平方向に回転する巻き取りリール(5)を複数段に積み重ね、それらの巻き取りリール(5)がそれぞれ独立して又は一体として回転駆動される巻き取り機(4)と、前記コンテナ(3)の側面に設けられた、地上近傍から前記巻き取りリール(5)の高さにまで斜め上方に向かって配置され、地上に水平に敷設された扁平状態のホース(17)を略前記巻き取りリール(5)の高さにまで引き上げるローラーコンベア(15)と、当該ホース(17)を垂直方向に捩じり、前記巻き取りリール(5)にまで案内する案内ローラー群(19)とよりなり、当該コンテナ(3)をトラック(2)に搭載した状態で当該トラック(2)を地上に敷設されたホース(17)に沿って操縦し、当該ホース(17)を順次拾い上げてリール(5)に巻き取るようにしたことを特徴とする、ホースの巻き取り装置
【請求項2】
前記巻き取りリール(5)の外周の全周にチェーン(7)を巻回し、当該チェーン(7)に噛合するスプロケット(8)をモーター(9)により駆動せしめ、当該スプロケット(8)を前記チェーン(7)に対して噛合離脱可能にしたことを特徴とする、請求項1に記載のホースの巻き取り装置
【請求項3】
前記コンテナ(3)の側面に係止部材(13)を設けると共に、当該係止部材(13)における略前記複数段の巻き取りリール(5)の高さの位置に係止部(14)を形成し、前記ローラーコンベア(15)の上端を係止部(14)に係止し、下端部を前記コンテナ3の側方において地上近傍に設置されたレール(16)に前後に摺動可能に載置したことを特徴とする、請求項1に記載のホースの巻き取り装置
【請求項4】
前記案内ローラー群(19)中にテンションローラー(20)を設け、当該テンションローラー(20)の回転にブレーキを掛けることにより前記巻き取りリール(5)に巻き取られるホース(17)にテンションを掛けることを特徴とする、請求項1に記載のホースの巻き取り装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は消防用ホースや、自然災害時における給水、排水用の柔軟なホースの巻き取り装置に関するものであって、特に地上に敷設されたホースをトラックで拾い上げながら回収する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来消防用ホースなどの柔軟なホースを地上に敷設した状態から、トラックで拾い上げながら回収する装置としては、特開平8−299490号公報(特許文献1)や、特開平9−173493号公報(特許文献2)に記載されたものが知られている。
【0003】
これらの装置は、トラックに引き込み機構を取り付けたホース収納ボックスを搭載し、トラックの前方から前記引き込み機構で引き上げたホースをホース収納ボックスに折り畳んで収納するものであった。
【0004】
しかしながらこれらの装置においては、トラックの前方でホースが引き摺られることがあり、さらにホースをホース収納ボックス内に垂らし込んで収納するものであるため、ホースが縺れたり一箇所に山積みになったりし易く、ホース収納ボックス内でホースを整理する作業が必要であった。
【0005】
また前述の自然災害時における給水、排水用のホースの場合には、自然災害に備えてホースを用意しておく必要があるが、そのホースを何時使用することになるのか全く分からない状態で保管することになる。然るに前記特許文献に記載された装置においては、ホースをトラックに搭載したままで保管することとなり、前述のような使用方法のホースについては適用が困難である。さらに折り畳まれたホースの上にホースが積み重なっているため、長時間に亙って重量がかかって折り癖がつくなど、ホースに負担がかかって好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−299490号公報
【特許文献2】特開平9−173493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みなされたものであって、ホースをコンテナ内に設置されたリールに自動的に巻回して収納することができ、ホースを傷つけることがなく、さらに折り癖などの負担を掛けることがなく、且つ当該ホースの不使用時にはコンテナをトラックから下ろして、ホースを収納したコンテナのみを保管することができる、ホースの巻き取り装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
而して本発明のホースの巻き取り装置は、トラックに積み下ろし可能に搭載されるコンテナ内に設けられた、複数段に積み重ねられた巻き取りリールをそれぞれ独立して又は一体として回転駆動される巻き取り機と、前記コンテナの側面に設けられた、地上近傍から前記巻き取りリールの高さにまで斜め上方に向かって配置され、地上に水平に敷設された扁平状態のホースを略前記巻き取りリールの高さにまで引き上げるローラーコンベアと、当該ホースを垂直方向に捩じり、前記巻き取りリールにまで案内する案内ローラー群とよりなり、当該コンテナをトラックに搭載した状態で当該トラックを地上に敷設されたホースに沿って操縦し、当該ホースを順次拾い上げてリールに巻き取るようにしたことを特徴とするものである。
【0009】
本発明においては、前記巻き取りリールの外周の全周にチェーンを巻回し、当該チェーンに噛合するスプロケットをモーターにより駆動せしめ、当該スプロケットを前記チェーンに対して噛合離脱可能にすることが好ましい。
【0010】
また本発明においては、前記コンテナの側面に係止部材を設けると共に、当該係止部材における略前記複数段の巻き取りリールの高さの位置に係止部を形成し、前記ローラーコンベアの上端を係止部に係止し、下端部を地上近傍に設置されたレールに前後に摺動可能に載置することが好ましい。
【0011】
さらに、前記案内ローラー群中にテンションローラーを設け、当該テンションローラーの回転にブレーキを掛けることにより前記巻き取りリールに巻き取られるホースにテンションを掛けることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、コンテナ内で回転駆動される巻き取りリールにホースを巻き取るので、巻き取りリールにホースを巻き取った状態において既に整理されており、前記特許文献に記載された装置のようにホース収納ボックス内に人が入って、垂らし込まれたホースを整理するなどの手間を要することがない。
【0013】
また前記特許文献に記載された装置では、ホース収納ボックスの上部に取り付けられた引き込み機構でホースを引っ張り上げながらトラックを前進させるため、トラックの前方においてホースが引きずられることがあったが、本発明によれば地上近傍においてホースを拾い上げてローラーコンベアによりリールの高さまで引き上げるので、ホースが過度に引き摺られることがなく、傷付くことが少ない。
【0014】
さらに本発明によれば、ホースを巻回した巻き取りリールを収納したコンテナを、トラックに積み下ろし可能に搭載しているので、ホースの不使用時にはトラックから下ろして保管することができ、トラックは他の用途に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の装置のコンテナの一部を切り欠いて示した側面図
図2】本発明の装置のコンテナを切り欠いて示した平面図
図3】本発明におけるリールの駆動機構を示す拡大平面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下本発明を図面に基づいて説明する。図1及び図2は本発明のホースの巻き取り装置1をトラック2に搭載した状態を示すものであって、トラック2にコンテナ3が搭載されており、当該コンテナ3内に巻き取り機4が収納されている。
【0017】
当該巻き取り機4は、水平方向に回転する複数の巻き取りリール5を、複数段(図面においては3段)に積み重ねられており、それらの巻き取りリール5がそれぞれ独立して、又は一体として、駆動機構6により回転駆動されるようになっている。そしてそれらの巻き取りリール5を独立して駆動するか一体として駆動するかは、適宜のクラッチ機構によって巻き取りリール5の回転を連結するか分離するかにより、任意に選択し得るようになっている。
【0018】
而して図3は本発明における前記駆動機構6を示すものであって、前記巻き取りリール5の外周にチェーン7が巻回されており、当該チェーン7に噛合するスプロケット8が、モーター9により駆動せしめられるようになっている。
【0019】
そしてこのスプロケット8及びモーター9を取り付けた台板10の後端がコンテナ3のフレームに対してピン11により回動自在に軸支されており、且つその先端部がエアシリンダー12に取り付けられ、当該エアシリンダー12によりスプロケット8が前記チェーン7に噛合離脱し得るようになっている。またこの駆動機構6は、各巻き取りリール5ごとに設けることもできるが、駆動する巻き取りリール5に移動して駆動するようにすることも可能である。
【0020】
また前記コンテナ3の側面には上下に長い係止部材13が設けられており、当該係止部材13における前記複数段の巻き取りリール5の高さに略一致する位置に係止部14が形成されている。そしてコンテナ3の側部に斜めに設けられたローラーコンベア15の上端を、前記係止部材13の係止部14に係止している。
【0021】
そして前記コンテナ3の側縁にレール16を地表面の近傍にまで垂下し、当該レール16が地表面の近傍において前後に延びており、前記ローラーコンベア15の下端部の水平部分が前記レール16上に前後に摺動可能に載置されている。
【0022】
そして図1に鎖線で示すように、ローラーコンベア15を前記巻き取りリール5に対応した係止部14に係止することにより、ローラーコンベア15の下端の水平部分が地上近傍においてレール16上を前後に摺動し、常に略一定の高さにおいてホース17を拾い上げるようになっている。
【0023】
而して地上に扁平状態で水平に敷設されたホース17に沿ってトラック2を操縦し、地上のホース17をローラーコンベア15で拾い上げる。そして当該ローラーコンベア15に沿って後方に送られたホース17は、前記巻き取りリール5と略同じ高さにまで引き上げられて、そこからコンテナ3の側部後端に設けられた案内ローラー18までの間で、扁平状態のままで90度捩じって垂直にする。
【0024】
そして案内ローラー18でホース17の進行方向を反転してコンテナ3内に引き込み、案内ローラー群19に案内されて、前記ローラーコンベア15が係止された係止部14に対応する巻き取りリール5に巻き付ける。
【0025】
このとき案内ローラー群19中にテンションローラー20が設けられ、当該テンションローラー20の回転にブレーキを掛けることにより、前記巻き取りリール5に巻き取られるホース17にテンションを掛けることができるようになっている。
【0026】
而して本発明の巻き取り装置1を使用するには、地上に敷設されたホース17をローラーコンベア15の先端で拾い上げて後上方に送り、当該ホース17を捩じって垂直にし、案内ローラー18で反転してコンテナ3内に引き込み、案内ローラー群19及びテンションローラー20に掛け回し、当該ホース17の先端をコンテナ3内において巻き取りリール5に巻回する。
【0027】
この状態でテンションローラー20の回転にブレーキを掛けつつ、エアシリンダー12でスプロケット8を巻き取りリール5の外周に巻回されたチェーン7に噛合せしめ、モーター9を駆動することにより、駆動機構6により巻き取りリール5を回転駆動し、巻き取りリール5にホース17を巻回すると共に、地上からローラーコンベア15に引き上げられるホース17の速度に合わせて、地上のホース17に沿ってトラック2を操縦してホース17を引き上げ、巻き取りリール5に巻き取っていく。
【0028】
このときテンションローラー20によってブレーキを掛けつつ、巻き取りリール5にホース17を巻回することにより、巻き取りリール5に巻回されるホース17にテンションを掛けることができ、ホース17が弛むことなく巻き取りリール5にしっかりと巻き付けることができる。
【0029】
図1においては最下段の巻き取りリール5にホース17を巻回しているが、当該最下段の巻き取りリール5が一杯になったならば、ローラーコンベア15の上端を中段の巻き取りリール5に対応した係止部14に移し、このときローラーコンベア15の下端部はレール16に沿って後方に摺動する。
【0030】
さらに案内ローラー18も中段の巻き取りリール5に対応した位置に移し、さらに駆動機構6におけるエアシリンダー12でスプロケット8のチェーン7に対する噛合を解除し、駆動機構6を中段の巻き取りリール5に移してスプロケット8をチェーン7に噛合せしめ、ホース17を中段の巻き取りリール5に移して、先と同様に当該中段の巻き取りリール5に巻回する。
【0031】
なおこのとき、最下段の巻き取りリール5に巻回したホース17と中段の巻き取りリール5に巻回したホース17とを切り離すことができるならば、中段の巻き取りリール5のみを駆動機構6で駆動しても良く、またホース17を最下段の巻き取りリール5から中段の巻き取りリール5に連続して巻回するのであれば、前記クラッチ機構により両巻き取りリール5を連結して駆動することも可能である。
【0032】
さらに中段の巻き取りリール5がホースで一杯になったならば、先と同様にローラーコンベア15の上端を最上段の巻き取りリール5に対応した係止部14に移し、案内ローラー18及び駆動機構6も最上段の巻き取りリール5に対応せしめる。このときも前述の最下段から中段に移すときと同様に、最上段の巻き取りリール5のみを回転駆動するか中段の巻き取りリール5と連結するかは自由である。
【0033】
このようにして、地上のホース17に沿ってトラック2を操縦し、すべてのホース17をローラーコンベア15で拾い上げて、自動的に巻き取り機4の巻き取りリール5に巻回することができる。
【0034】
而してすべてのホース17を巻き取り機4に巻回し終わったならば、ローラーコンベア15及びレール16を取り外してコンテナ3内に収納し、案内ローラー18を回転軸21を軸として時計方向に回動して、鎖線で示すようにコンテナ3内に収納し、コンテナ3の後ろの扉を閉めて、所要の倉庫などの箇所に運搬してコンテナ3をトラック2から下ろすことができる。
【0035】
また巻き取り機4に巻回したホース17を展張する場合には、コンテナ3をトラック2に搭載して所要の使用箇所に運搬し、そこでエアシリンダー12でスプロケット8のチェーン7への噛合を解除して巻き取りリール5をフリーに回転可能としておき、巻き取り機4からホース17を引き出し、その先端を地上において保持してトラック2を前方に移動させることにより、巻き取りリール5からホース17を繰り出し、地上に敷設する。このときもし必要であれば、トラック2の後部にローラーコンベア15を設置し、その上にホース17を滑らせて繰り出すことも可能である。
【0036】
またこのとき、ホース17の繰り出しにより巻き取りリール5が空転して、ホース17に緩みが生じてホース17が蛇行するようであれば、巻き取りリール5の回転に適宜ブレーキを掛け、ホース17にテンションを掛けつつ繰り出すこともできる。
【符号の説明】
【0037】
1 巻き取り装置
2 トラック
3 コンテナ
4 巻き取り機
5 巻き取りリール
6 駆動機構
7 チェーン
8 スプロケット
9 モーター
12 エアシリンダー
13 係止部材
14 係止部
15 ローラーコンベア
16 レール
17 ホース
18 案内ローラー
19 案内ローラー群
20 テンションローラー
図1
図2
図3