(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6369931
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】抗肥満剤
(51)【国際特許分類】
A61K 36/254 20060101AFI20180730BHJP
A61K 36/734 20060101ALI20180730BHJP
A61K 36/605 20060101ALI20180730BHJP
A61K 36/288 20060101ALI20180730BHJP
A61K 36/27 20060101ALI20180730BHJP
A61K 36/68 20060101ALI20180730BHJP
A61K 36/484 20060101ALI20180730BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20180730BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20180730BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20180730BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20180730BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20180730BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20180730BHJP
【FI】
A61K36/254
A61K36/734
A61K36/605
A61K36/288
A61K36/27
A61K36/68
A61K36/484
A61P3/04
A61K9/14
A61K9/16
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/08
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-61522(P2014-61522)
(22)【出願日】2014年3月25日
(65)【公開番号】特開2014-208620(P2014-208620A)
(43)【公開日】2014年11月6日
【審査請求日】2017年3月22日
(31)【優先権主張番号】特願2013-61855(P2013-61855)
(32)【優先日】2013年3月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】300065822
【氏名又は名称】株式会社漢方医科学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100158366
【弁理士】
【氏名又は名称】井戸 篤史
(72)【発明者】
【氏名】大城 日出男
(72)【発明者】
【氏名】孫 樹建
【審査官】
佐々木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−252785(JP,A)
【文献】
特開2003−250497(JP,A)
【文献】
和漢ホソナール−商品情報, ダイエット商品詳細一覧, 健康と美容の総合商社 セフティライフ株式会社ホームページ, 2012, [retrieved on 2017.11.16], retrieved from the internet: <URL: http://safety-life.info/diet_item03.html>,URL,http://safety-life.info/diet_item03.html
【文献】
肥満・栄養障害研究会講演集, 2004, Vol.21st, pp.13-15
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00−36/9068
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
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(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
北米人参、山査子、桑葉、蒲公英根、武靴藤、車前子、及び甘草の混合物を、極性溶媒により抽出して抽出物を得る、該抽出物を含有する抗肥満剤を製造する方法
【請求項2】
前記極性溶媒が水である、請求項1に記載の抗肥満剤を製造する方法
【請求項3】
前記抗肥満剤が、耳介の胃点への刺激を受けた者に対して投与されるように用いられる、請求項1又は2に記載の抗肥満剤を製造する方法
【請求項4】
1日につき約15mg/kg体重〜約50mg/kg体重の前記混合物が、4週間以上投与されるように用いられる請求項1〜3いずれか一項に記載の抗肥満剤を製造する方法
【請求項5】
極性溶媒が、水又はエタノール、酢酸あるいはそれらの混合物である、請求項1〜4いずれか一項に記載の抗肥満剤を製造する方法
【請求項6】
前記抽出における抽出温度が、常温から常圧又は加圧下で溶媒の沸点までの範囲である、請求項1〜5いずれか一項に記載の抗肥満剤を製造する方法
【請求項7】
前記抗肥満剤が、粉末製剤、顆粒剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、又は液状製剤の形態である、請求項1〜6いずれか一項に記載の抗肥満剤を製造する方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、北米人参、山査子、桑葉、蒲公英根、武靴藤、車前子、及び甘草の混合物を、極性溶媒により抽出して得られる抽出物を含有する抗肥満剤に関する。
【背景技術】
【0002】
肥満は、生活習慣病等のさまざまな疾患の原因となり、健康な生活を送るためには、肥満を防止・改善することが必要である。近年はメタボリックシンドロームという概念の導入により、生活習慣病のリスクを低減する試みがなされている。また、肥満状態になくても、健康や美貌を維持するために痩せることを望む者は非常に多い。
【0003】
従来から、肥満を抑制、解消又は改善する抗肥満剤として、漢方薬の原料となる生薬が利用されてきた。例えば、キノコクロレラ抽出物と、高麗人参等を発酵させて得られた植物発酵物を含むダイエット食品(先行文献1参照)、桑葉エキス、ギムネマエキス、ガルニシアエキス、及び大豆サポニンを含むメタボリックシンドローム予防・治療剤(先行文献2参照)、杜仲茶加工物、及び桑葉加工物を含むメタボリックシンドローム改善剤(先行文献3参照)、カプシノイド類、ギムネマ、桑葉、グァバ葉等を含む食品組成物(先行文献4参照)、カワラタケ、カノコソウ、ギムネマシルベスタ等を含む前駆脂肪細胞の分化抑制剤(先行文献5参照)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−085591号公報
【特許文献2】特開2010−030950号公報
【特許文献3】特開2007―230969号公報
【特許文献4】特開2006−212020号公報
【特許文献5】特開2004−075640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、生薬の混合物の組み合わせ、及び有効成分の抽出方法に基づき、顕著な抗肥満効果を有し肥満を予防・改善する抗肥満剤提供する。さらに、体重増加抑制剤、ダイエット効果を有する機能性食品、中性脂肪降下剤、メタボリックシンドローム予防・改善剤等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、北米人参、山査子、桑葉、蒲公英根、武靴藤、車前子、及び甘草の混合物を、極性溶媒により抽出して得られる抽出物を含有する抗肥満剤である。
【0007】
また、別の本発明は、極性溶媒が水である。
【0008】
さらに、別の本発明は、耳介の胃点への刺激を受けた者に対して投与されるように用いられる抗肥満剤である。
【0009】
さらに、別の本発明は、1日につき約15mg/kg体重〜約50mg/kg体重の混合物が、4週間以上投与されるように用いられる抗肥満剤である。
【0010】
さらに、別の本発明は、極性溶媒が、水又はエタノール、酢酸あるいはそれらの混合物である。
【0011】
さらに、別の本発明は、抽出における抽出温度が、常温から常圧又は加圧下で溶媒の沸点までの範囲である。
【0012】
さらに、別の本発明は、粉末製剤、顆粒剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、又は液状製剤の形態である。
【0013】
また、本発明は、抗肥満剤が投与されることを特徴とする、非治療的なダイエット方法、及び耳介の胃点への刺激を受けた者に対して抗肥満剤が投与されることを特徴とする、非治療的なダイエット方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の抗肥満剤により、肥満の抑制、解消又は改善効果が得られる。また、耳介の胃点への刺激を受けた者に対して投与されるように用いられる本発明の抗肥満剤では、さらに顕著な効果を得ることができる。また、体重増加抑制や、ダイエット、中性脂肪降下、メタボリックシンドローム予防・改善等の効果も得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の抗肥満剤による抗肥満効果を示した図である。
【
図2】本発明の抗肥満剤による抗肥満効果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、北米人参、山査子、桑葉、蒲公英根、武靴藤、車前子、及び甘草の混合物を、極性溶媒により抽出して得られる抽出物を含有する抗肥満剤である。以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
【0017】
本発明に用いられる北米人参、山査子、桑葉、蒲公英根、武靴藤、車前子、及び甘草は、生薬と呼ばれ、それぞれに独自の薬効が認められている。
【0018】
北米人参(ホクベイニンジン、学名:Panax quinquefolium)は、アメリカ人参、花旗参、西洋人参、広東人参とも呼ばれ、葉又は根を、そのまま又は乾燥した状態で、縦切り、横切り、裁断、破砕、粉砕、又は粉末化したものが好ましく用いられる。本発明者らにより、血液中の脂質を低下させる効果や、血糖値・血圧を降下させる効果などが認められた。
【0019】
山査子(サンザシ)とは、バラ科サンザシ科の落葉低木の偽花をいい、サンザシ、又はその近縁種等を用いることができる。具体的には、サンザシ(学名:Crataegus cuneata)、オオミサンザシ(学名:Crataegus pinnatifida Bge)、セイヨウサンザシ(学名:Crataegus oxyacantha)等が挙げられ、それらの偽花を、そのまま又は乾燥した状態で、縦切り、横切り、裁断、破砕、粉砕、又は粉末化したものが好ましく用いられる。
【0020】
桑葉(ソウヨウ)は、落葉高木であるクワ(学名:Mourus)の葉をいい、葉をそのまま又は乾燥した状態で、縦切り、横切り、裁断、破砕、粉砕、又は粉末化したものが好ましく用いられる。クワとしては、具体的にはログワ(ロソウ)(学名:Mourus lhou)、ヤマグワ(学名:Mourus bombycis)、ナガミグワ(学名:Mourus laevigata)、ケグワ(学名:Mourus tiliaefolia)、オガサワラグワ(学名:Mourus boninensis)、テンジクグワ(学名:Mourus serrata)、レッドマルベリー(学名:Morus rubra)、カラヤマグワ(学名:Mourus alba)、ホワイトマルベリー(学名:Morus alba)、クロミグワ(学名:Mourus nigra)、ブラックマルベリー(学名:Morus mesozygia)等が挙げられる。
【0021】
蒲公英根(ボコウエイコン)とは、キク科タンポポ属(学名:Taraxacum)の根をいい、根をそのまま又は乾燥した状態で、縦切り、横切り、裁断、破砕、粉砕、又は粉末化したものが好ましく用いられる。タンポポとしては、モウコタンポポ(学名:Taraxacum mongolicum)、シナタンポポ(学名:Taraxacum. Hondoense)、オダサムタンポポ(学名:Taraxacum platypecidum)、ケイリンタンポポ(学名:Taraxacum coreanum)、カントウタンポポ(学名:Taraxacum platycarpum)、シナノタンポポ (学名:Taraxacum platycarpum subsp. Hondoense)、カンサイタンポポ(学名:Taraxacum japonicum)、セイヨウタンポポ(学名:Taraxacum officinale)等が挙げられる。
【0022】
武靴藤(ブカトウ、学名:Gymnema sylvestre R.)は、ギムネマとも呼ばれ、ガガイモ科に属するつる性植物である。武靴藤は、葉をそのまま、又は乾燥した状態で、縦切り、横切り、裁断、破砕、粉砕、又は粉末化したものが好ましく用いられる。
【0023】
車前子(シャゼンシ)とは、オオバコ科オオバコ属の多年草をいい、セイヨウオオバコ(学名:Plantago major)、オオバコ(学名:Plantago asiatica)、ヘラオオバコ(学名:Plantago lanceolata)等の葉又は種子をそのまま、又は乾燥した状態で、縦切り、横切り、裁断、破砕、粉砕、又は粉末化したものが好ましく用いられる。
【0024】
甘草(カンゾウ)は、マメ科のウラルカンゾウ(Glycyrrhiza uralensis Fisch)又はナンキンカンゾウ(Glycyrrhiza glabra Linne (Leguminosae))の根及びストロン、又はそれらの周皮を除いたもの(皮去リカンゾウ)をそのままあるいは乾燥したものを好ましく用いることができる。
【0025】
さらに、本発明には、生薬として、苦瓜葉、金銀花(スイカズラ)、芦薈(アロエ)も含みうる。すなわち、別の本発明は、本発明は、北米人参、山査子、桑葉、蒲公英根、武靴藤、車前子、及び甘草に加え、苦瓜葉、金銀花、及び芦薈からなる群から選択される1又は複数を含む混合物を、極性溶媒により抽出して得られる抽出物を含有する抗肥満剤である。
【0026】
本発明で用いられる抽出物は、上述した生薬(好ましくは、乾燥生薬)をそのまま又は裁断、細切、破砕(好ましくは、数mm〜1cm前後に裁断、細切、破砕)、もしくは粉砕したもの、あるいは粉末にしたものを混合した混合物から、抽出溶媒にて抽出することによって得ることができる。
【0027】
本発明における混合物における各生薬の配合は、乾燥重量として、北米人参30mg〜9g重量部、山査子30mg〜9g重量部、桑葉30mg〜9g重量部、蒲公英根30mg〜9g重量部、武靴藤30mg〜9g重量部、車前子30mg〜9g重量部、甘草30mg〜9g重量部の割合で混合されることが好ましく、北米人参1g〜9g重量部(1,2,3,4,5,6,7,8,9g重量部)、山査子1g〜9g重量部(1,2,3,4,5,6,7,8,9g重量部、桑葉1g〜9g重量部(1,2,3,4,5,6,7,8,9g重量部、蒲公英根1g〜9g重量部(1,2,3,4,5,6,7,8,9g重量部)、武靴藤1g〜9g重量部(1,2,3,4,5,6,7,8,9g重量部、車前子1g〜9g重量部(1,2,3,4,5,6,7,8,9g重量部、甘草1g〜9g重量部(1,2,3,4,5,6,7,8,9g重量部)の割合で混合されることがさらに好ましい。
【0028】
本発明において、抽出に用いられる溶媒は、製薬上又は食品衛生上許容される極性溶媒が好ましい。極性溶媒としては、例えば、水(例えば、精製水、蒸留水、水道水など)、エタノール、水とエタノールの混合溶媒(含水エタノール)、酢酸もしくは酢酸と水の混合溶媒、水とエタノールと酢酸との混合溶媒等が挙げられる。好ましくは水、又は含水エタノールである。含水エタノールにおける含水率は1〜99容量%である。水又は含水エタノールには、酸を添加してもよい。酸としては、例えば、塩酸等の無機酸、リンゴ酸またはクエン酸などの有機酸などが好ましく挙げられる。
【0029】
抽出方法は特に限定されず、浸漬法や向流抽出法を採用することができる。また、常温抽出又は常圧下で溶媒の沸点までの範囲で加熱抽出でき、必要により、減圧又は加圧下で抽出してもよい。加圧は、1気圧を超える圧力であればよく、約2〜3気圧が好ましい。例えば、北米人参、山査子、桑葉、蒲公英根、武靴藤、車前子、及び甘草の混合物に、抽出溶媒(極性溶媒)を生薬の混合物に対し10〜100倍量、好ましくは10〜40倍量を加え、通常、常温から常圧下又は加圧下で溶媒の沸点までの範囲で30分〜5時間、好ましくは1〜3時間(1、2、3時間)浸漬し、公知の方法でろ過することにより抽出液を得ることができる。抽出液は、そのまま抽出物として使用することができる。また、前記抽出液を濃縮したもの又は、濃縮乾燥若しくは凍結乾燥したものを抽出物として使用することもできる。
【0030】
本発明の抗肥満剤は、上述の抽出物と所望により配合される医薬上又は食品衛生上許容される担体とを、公知の方法により混合などして製剤化することにより、経口的に服用できる製剤又は食品として調製することができる。食品とは、健康食品、機能性食品及びサプリメントを含む。
【0031】
本発明における抽出物の製剤化は、例えば固形製剤又は液状製剤とすることができる。固形製剤としては、例えば粉末製剤、顆粒剤、錠剤、丸剤もしくはカプセル剤などが挙げられる。顆粒剤及び錠剤は、糖衣やフィルムコーティング剤などでコーティングされていてもよい。液状製剤は、液体状の内服剤であれば限定されず、例えば、乳剤、シロップ剤、懸濁剤、振とう合剤、リモナーゼ剤、エリキシル剤などが含まれる。
【0032】
本発明における医薬上又は食品衛生上許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機又は無機担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤(乳化剤、増粘剤)などが挙げられる。また必要に応じて、保存剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤、香料などの製剤添加物を用いることもできる。
【0033】
賦形剤の好適な例としては、例えば、乳糖、コーンスターチ、マルトース、マンニトールなどの糖又は糖アルコール;トウモロコシデンプン、デキストリン、α化デンプンなどのデンプン又はデンプン誘導体;結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロースやセルロース誘導体;軽質無水ケイ酸などが挙げられる。滑沢剤の好適な例としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカなどが挙げられる。
【0034】
結合剤例としては、例えば結晶セルロース、白糖、マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。崩壊剤の例としては、例えばデンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウムなどが挙げられる。
【0035】
溶剤の例としては、例えば水(水道水、精製水、蒸留水など)、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油などが挙げられる。溶解補助剤の例としては、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0036】
懸濁化剤の例としては、例えばステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン、ショ糖脂肪酸エステルなどの界面活性剤;例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性高分子;キサンタンガム、大豆サポニン、デキストラン、ペクチンなどが挙げられる。
【0037】
保存剤の例としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル類(例えば、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピルなど)、亜硫酸〔水素〕ナトリウム、デヒドロ酢酸、ソルビン酸、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0038】
抗酸化剤の例としては、例えば亜硫酸塩(例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムなど)、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム塩、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、クエン酸、酵素処理ルチン、次亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0039】
着色剤の例としては、例えば青色1号、赤色2号、赤色40号、赤色102号、赤キャベツ、アントシアニン、カラメル色素、クチナシ色素などが挙げられる。甘味剤の例としては、例えばショ糖、甘草エキス、キシリトール、サッカリン、ステビアなどが挙げられる。香料の例としては、例えばケイ皮酸、サルチル酸メチル、メントールなどが挙げられる。
【0040】
さらに、本発明の抗肥満剤を食品として調製する場合、上述した製剤と同様の形態に、同様の方法で、調製することができる。
【0041】
本発明の抗肥満剤における抽出物の含有量は、例えば固形製剤であれば、抽出乾燥物として、製剤の約1重量%〜約99重量%であり、好ましくは約5重量%〜約90重量%であり、より好ましくは、約約10重量%〜約80重量%である。液状製剤であれば、抽出乾燥物として製剤の約0.0001重量%〜約80重量%であり、好ましくは、約0.001重量%〜約50重量%であり、より好ましくは約0.1重量%〜約20重量%である。また液状製剤は、生薬の抽出液をそのまま又は濃縮した濃縮物をそのまま使用することもできる。好ましくは、生薬の混合物に対し、10〜1000倍の極性溶媒(好ましくは、水)を用い、加熱して1〜3時間(1、2、3時間)抽出した抽出液をそのまま液状製剤とすることができる。
【0042】
本発明の抗肥満剤は、経口的に投与されることが好ましい。また、食後、食前又は食間に服用することがより好ましい。本発明の抗肥満剤の投与量及び投与回数は、年齢、体重、投与形態などにより異なる。例えば、本発明の抗肥満剤は、複数の生薬の混合物から抽出して得られる抽出物の乾燥重量が、通常成人一日当り、体重1kgあたり約1mg〜500mg、好ましくは約5mg〜300mg、より好ましくは約15mg〜50mgとなるように服用される。また、この量を、通常1〜数回、好ましくは1〜3回に分けて服用することが好ましい。液状製剤の場合、例えば、北米人参、山査子、桑葉、蒲公英根、武靴藤、車前子、及び甘草の混合物を極性溶媒(好ましくは、水)で抽出して得られる抽出液を含む液状製剤を服用することが好ましく、1日あたりの抽出液の服用量を含む液状製剤を、通常1〜数回、好ましくは1〜3回に分けて服用することが好ましい。また、投与期間は、通常4週間以上であり、8週間以上であることが好ましく、12週間以上であることがさらに好ましい。
【0043】
本発明の抗肥満剤の投与(又は摂取)対象としては、ヒトが好ましいが、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、サル、ブタなどの哺乳類や、ニワトリ等の鳥類、マダイ、ブリ(ハマチ)、カンパチ、フグ、ヒラメ、ウナギ、クロマグロ等の魚類に投与(又は摂取)させてもよい。
【0044】
さらに、別の本発明の抗肥満剤は、耳介の胃点への刺激を受けた者に対して用いられるように調整されたものである。胃点とは、ツボの反応点とも呼ばれ、迷走神経耳介枝の分布領域に当たる。胃点を刺激することで迷走神経に抑制的な刺激が与えられるため、食欲をコントロールすることができる。本発明の抗肥満剤の抗肥満効果は、耳介の胃点への刺激を受けた者が服用した場合に顕著に認められた。耳介の胃点への刺激は継続して与えることが好ましく、クリップ等を着用することで就寝時と入浴時以外は常時刺激を与えていることが、さらに好ましい。
【0045】
さらに、上述の抗肥満剤を投与することを特徴とする非治療的なダイエット方法が提供される。より好ましくは、非治療的なダイエット方法を受ける者の耳介の胃点が刺激を受けている、非治療的なダイエット方法である。
【0046】
本発明における北米人参、山査子、桑葉、蒲公英根、武靴藤、車前子、及び甘草の混合物は、抗肥満剤の他、体重増加抑制剤、ダイエット効果を有する機能性食品、中性脂肪低減剤、メタボリックシンドローム予防・改善剤等に用いることができる。
【実施例】
【0047】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明する。しかし、本発明の範囲がこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0048】
〔抗肥満剤の調製〕
北米人参、山査子、桑葉、蒲公英根、武靴藤、車前子、及び甘草の混合物に水を加え、加圧抽出機にて、2〜3気圧で2時間煮沸抽出後ろ過した。得られたろ液を1日の摂取量毎にアルミパックに分包した。各生薬は、乾燥生薬を数ミリ〜1cm前後に裁断加工されたものを使用した。生薬の混合物6gから、乾燥重量1000mg相当の抽出物を含むろ液200mLが得られた。
【実施例2】
【0049】
〔抗肥満作用の検証1〕
1.被験物質
実施例1で得られたアルミパックに分包された抗肥満剤を、被験物質として用いた。
2.被験者
健康な成人女性でダイエットを希望する者23名(平均年齢:32.3±2.4歳、平均体重:56.1±1.4kg)を被験者とした。
3.方法
被験者は、被験物質を1日2回、12週間連続して摂取した。1日の被験物質の摂取量は、体重が53kg未満の被験者は200mL、53kg以上60kg未満の被験者は240mL、60kg以上の被験者は280mLとした。
【0050】
4.結果
摂取前と摂取後の体重変化を
図1に示す。摂取前は平均56.1kgであった体重が、経時的に減少した。摂取後12週間の被験物質摂取後は平均50.1kgとなり、被験物質の顕著な抗肥満効果が認められた。
【実施例3】
【0051】
〔抗肥満作用の検証2〕
1.被験物質
実施例1で得られたアルミパックに分包された抗肥満剤を、被験物質として用いた。
2.被験者
健康な成人女性でダイエットを希望する者7名(平均年齢:34.4±4.4歳、平均体重:62.2±1.9kg)を被験者とした。
3.方法
被験者は、被験物質を1日2回、12週間連続して摂取した。1日の被験物質の摂取量は、体重が53kg未満の被験者は200mL、53kg以上60kg未満の被験者は240mL、60kg以上の被験者は280mLとした。
また、耳介の胃点に樹脂製クリップを用いて鍼様の圧刺激を加えた。樹脂製クリップは、就寝時と入浴時以外は常に装着することとし、また、追加的に毎食事前にクリップを10回程度つまむこととした。
【0052】
4.結果
摂取前と摂取後の体重変化を
図1に示す。摂取前は平均62.2kgであった体重が、12週間の被験物質摂取後は平均53.9kgとなり、被験物質の抗肥満効果が認められた。特に、被験物質は、耳介の胃点への刺激を受けた者が摂取した場合に、顕著な抗肥満効果を有することが示された。また、被験者の中に、血中の中性脂肪濃度が大きく減少した者もいることが報告されており、中性脂肪低減効果も認められる可能性が示唆された。