(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6369962
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】スピーカ装置
(51)【国際特許分類】
H04R 1/02 20060101AFI20180730BHJP
H04R 1/00 20060101ALI20180730BHJP
H04R 17/00 20060101ALI20180730BHJP
H04R 7/04 20060101ALI20180730BHJP
H04R 7/20 20060101ALI20180730BHJP
H04R 1/28 20060101ALI20180730BHJP
H04M 1/02 20060101ALI20180730BHJP
【FI】
H04R1/02 102Z
H04R1/00 310G
H04R17/00
H04R7/04
H04R7/20
H04R1/28 310C
H04M1/02 E
【請求項の数】13
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2017-104037(P2017-104037)
(22)【出願日】2017年5月26日
(62)【分割の表示】特願2015-551211(P2015-551211)の分割
【原出願日】2014年1月7日
(65)【公開番号】特開2017-195613(P2017-195613A)
(43)【公開日】2017年10月26日
【審査請求日】2017年6月5日
(31)【優先権主張番号】1300229.0
(32)【優先日】2013年1月7日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】315002955
【氏名又は名称】ノキア テクノロジーズ オーユー
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】ベーレス トルステン
(72)【発明者】
【氏名】ケンッピネン パシ
(72)【発明者】
【氏名】ユルキネン ミッコ
【審査官】
三森 雄介
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2012/129247(WO,A1)
【文献】
国際公開第2012/114750(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0225600(US,A1)
【文献】
特開2010−166515(JP,A)
【文献】
特開平11−205881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03− 3/047
G10L 15/00−17/26
H04M 1/02− 1/23
H04R 1/00− 1/08
H04R 7/00− 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカであって、
単一体のケース(101)と、
画像を表示するように構成されたディスプレイアセンブリ(12)と、
前記ディスプレイアセンブリ及びディスプレイ支持部と、前記ケースとの間の空間を封止すると共に、前記ディスプレイアセンブリ及び前記ディスプレイ支持部が前記ケースに対して動くことを可能にする可撓性ガスケット(103)と、
前記可撓性ガスケットを介して、前記ディスプレイ支持部に繋げられると共に、前記ディスプレイ支持部との間に空隙(1311)が形成されるように配されるシャシと、
前記ディスプレイアセンブリを駆動して前記ケースに対して動かし、音波を生成する、少なくとも1つの振動要素(1401)と、
前記スピーカの内部空間に配置されたトランシーバと、
前記スピーカの内部の圧力と外部の圧力とが等しくなることを可能にする少なくとも一つの孔と、
を備えたスピーカ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの振動要素は、前記振動要素と前記ディスプレイアセンブリとの直接結合か、前記振動要素と前記ディスプレイアセンブリとの間接結合かの少なくともいずれかによって前記ディスプレイアセンブリを駆動するように構成される少なくとも1つの圧電アクチュエータを備える、請求項1に記載のスピーカ。
【請求項3】
前記可撓性ガスケットは、一端で前記ケースに結合され、別の端で前記ディスプレイアセンブリに結合された懸架部を備え、前記懸架部は、前記懸架部の撓み力によって、前記ディスプレイアセンブリを前記ケースに対して懸架するように構成される、請求項1または2に記載のスピーカ。
【請求項4】
前記懸架部は、弾性屈曲面の撓み力によって前記ディスプレイアセンブリを前記ケースに対して懸架するように構成された弾性屈曲面である、請求項3に記載のスピーカ。
【請求項5】
前記可撓性ガスケットは、
・ 前記ディスプレイの動きの方向に固定された懸架をもたらすように、前記可撓性ガスケットの位置を前記スピーカの内部に係止するように構成された第1の支持部(203)と、
・ ディスプレイアセンブリに組み合わされるフレームを形成するように構成され、前記ディスプレイアセンブリが前記可撓性ガスケットの懸架部に繋げられるようにする第2の支持部(201)と、
の少なくともいずれかを備える、請求項3または4に記載のスピーカ。
【請求項6】
前記ディスプレイアセンブリを駆動することは、
・ ディスプレイ部品と、
・ ディスプレイウインドウと、
の少なくともいずれかが動く結果を生む、請求項1から5の何れかに記載のスピーカ。
【請求項7】
前記ディスプレイ支持部は、前記ディスプレイアセンブリの少なくとも1つの方向への動きを許容するように、前記ディスプレイアセンブリの動きを前記少なくとも1つの方向に機械的に限定するように構成される、請求項1から6の何れかに記載のスピーカ。
【請求項8】
更なる内部構成要素を少なくとも1つ備え、前記少なくとも1つの更なる内部構成要素は、
少なくとも1つのカメラと、
少なくとも1つのマイクロホンと、
少なくとも1つのデータソケットと、
少なくとも1つの電源ソケットと、
印刷配線板と、
印刷回路板と、
SIM組立体と、
入力キーまたはボタンと、
カメラフラッシュと、
電池と、
電池フレームと、
を更に含む、請求項1から7の何れかに記載のスピーカ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの孔は、
通気孔と、
AVジャック孔と、
USB孔と、
電源プラグを収容するように構成された電源ポートと、
データプラグを収容するように構成されたデータポートと、
のいずれかである、請求項8に記載のスピーカ。
【請求項10】
前記スピーカの内部空間は、
・ 前記スピーカのために調整された周波数応答をもたらすために、少なくとも1つの内部構成要素によって分割されるか、または、
・ 前記ケース、前記ディスプレイ、及び前記可撓性ガスケットの内面によって形成されるか、
の少なくともいずれかである、請求項1から9の何れかに記載のスピーカ。
【請求項11】
前記少なくとも1つの振動要素は、触覚フィードバックを生じさせるために、前記ディスプレイを前記ケースに対して動かすべく構成される、請求項1から10の何れかに記載のスピーカ。
【請求項12】
前記トランシーバは、
無線周波送信機と、
無線周波受信機と、
セルラーエンジンと、
のうちの少なくとも1つである、請求項1から11の何れかに記載のスピーカ。
【請求項13】
前記可撓性ガスケットは、
・ 従来のスピーカの周囲に設けられている部材と同様の緩衝機能を提供するものであること、
・ 前記ディスプレイアセンブリの周囲を囲むように配されるものであること、
・ チューニングされた性能を提供するものであること、
の少なくともいずれかであり、該性能は、音響出力および触覚フィードバックの少なくとも一方に関するものであり、前記可撓性ガスケットの形状と、前記可撓性ガスケットの材料と、前記可撓性ガスケットの寸法との少なくとも1つに基づくものである、請求項1から12の何れかに記載のスピーカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピーカ装置に関する。本発明は、更に、モバイル機器用のスピーカ装置に関するが、これだけに限定されるものではない。
【0002】
多くの携帯機器、例えば携帯電話、は情報をユーザに提供するためのガラス製またはプラスチック製のディスプレイウインドウなどのディスプレイを備えている。更に、このようなディスプレイウインドウは、今日、タッチ感知式入力部として一般に使用されている。いくつかのケースにおいて、このような装置は、タッチ入力の記録時に、可視フィードバックおよび可聴フィードバックを提供できる。いくつかの更なる機器は、機器が入力を受け付けたことをユーザに知らせるために、可聴フィードバックに加え、触覚フィードバックを提供するための振動モータを具備している。
【0003】
更に、このような機器は、一般に、イヤホン用および統合ハンズフリー(IHF:integrated hands free)操作用の、ならびにアラート音用の、可聴音を発生させるために電気音響変換器を更に使用している。使用されている可動コイル式ダイナミックスピーカ構成は、一般に、機器内の容積に比して相対的に大きいので、許容可能な音響周波数応答を実現するために特定の信号処理を考慮する必要がある。更に、可動コイル式変換器は、鉄粉などの汚染物質を機器の内部空間から、更にはスピーカから外部環境への音波の伝達を可能にするために設けられたポートを通して、引き寄せ得る。これら汚染物質は、歪みおよび障害をスピーカの内部に引き起こし、機器の寿命を著しく短縮し得る。
【0004】
一態様によると、ケースと、画像を表示するように構成されたディスプレイと、ディスプレイをケースに対して動かして音波を発生させるためにディスプレイを駆動するように構成された少なくとも1つの振動要素と、ケースとディスプレイとに界接するガスケットと、スピーカの内部空間に配置されたトランシーバとを備えたスピーカが提供される。
【0005】
ケースは、単一体ケースでもよい。あるいは、ケースは、複数の部品、例えば側面と電池カバー、を備え得る。
【0006】
少なくとも1つの振動要素は、少なくとも1つの圧電変換器を備え得る。
【0007】
ガスケットは、一端がケースに結合され、別の端がディスプレイに結合された懸架部を備え得る。この懸架部は、ディスプレイ組立体をケースに対して動かすべく構成されるように、懸架部の撓み力によってディスプレイをケースに対して懸架するように構成される。
【0008】
懸架部は、その撓み力によってディスプレイをケースに対して懸架するように構成された弾性屈曲面でもよい。
【0009】
ガスケットは、ディスプレイが動く方向に固定された懸架をもたらすように、ガスケット位置をスピーカ内に固定するように構成された第1の支持部を備え得る。
【0010】
ガスケットは、ディスプレイをガスケットの懸架部に結合するようにディスプレイに結合されたフレームを形成するように構成された第2の支持部を備え得る。
【0011】
ディスプレイは、ディスプレイを支持するように構成されてガスケットに結合された支持リングを備え得る。
【0012】
ディスプレイは、ディスプレイをほぼ取り囲んで少なくとも1つの振動要素に結合されたディスプレイフレームを備え得る。
【0013】
ディスプレイフレームは、ディスプレイの動きを少なくとも1つの軸線方向に機械的に限定するように構成されてディスプレイの動きをその少なくとも1つの軸線方向に可能にする止め具を少なくとも1つ備え得る。
【0014】
スピーカは、更なる内部構成要素を少なくとも1つ更に備え得る。この少なくとも1つの更なる構成要素は、内部シャシと、少なくとも1つのカメラと、少なくとも1つのマイクロホンと、少なくとも1つのデータソケットと、少なくとも1つの電源ソケットと、印刷配線板と、印刷回路板と、SIM組立体と、入力キーまたはボタンと、カメラフラッシュと、電池と、電池フレームとを含む。
【0015】
スピーカは、更に、スピーカの内部空間をスピーカの外側に開口するポートを少なくとも1つ備え得る。
【0016】
この少なくとも1つのポートは、通気孔と、AVジャック孔と、USB孔と、電源プラグを収容するように構成された電源ポートと、データプラグを収容するように構成されたデータポートとを含み得る。
【0017】
スピーカ用に調整された応答をもたらすように、スピーカの内部空間は、少なくとも1つの内部構成要素によって、複数の室に分割され得る。
【0018】
この調整された応答は、調整された周波数応答でもよい。
【0019】
局所的な触知効果をディスプレイ表面に生じさせるために、少なくとも1つの振動要素は、ディスプレイを駆動してディスプレイをケースに対して動かすべく構成され得る。
【0020】
局所的な触知効果は、触覚フィードバックを含み得る。
【0021】
トランシーバは、無線周波送信機、無線周波受信機、およびセルラーエンジンのうちの少なくとも1つでもよい。
【0022】
スピーカの内部空間は、少なくともケース、ディスプレイ、およびガスケットの内面によって形成され得る。
【0023】
ディスプレイは、ディスプレイ構成要素およびディスプレイウインドウの少なくとも一方を備え得る。
【0024】
少なくとも1つの振動要素は、振動要素とディスプレイとの間の直接結合および振動要素とディスプレイとの間の間接結合の少なくとも一方によってディスプレイを駆動するように構成され得る。
【0025】
スピーカの内部空間は、ケース、ディスプレイ、およびガスケットの内部寸法に基づかせ得る。
【0026】
ガスケットは、音響出力および触覚フィードバックの少なくとも一方のためにチューニングされた性能をもたらすべく構成され得る。
【0027】
このチューニングされた性能は、ガスケットの形状、ガスケットの材料、およびガスケットの寸法のうちの少なくとも1つに基づかせ得る。
【0028】
ガスケットは、ディスプレイの周囲をほぼ取り囲む。
【0029】
第2の態様によると、ケーシング手段と、画像表示手段と、音波を発生させるために画像表示手段をケーシング手段に対して駆動する手段と、ケーシング手段と画像表示手段とに界接する手段と、スピーカの内部空間に配置された無線周波信号の送信または受信手段とを備えたスピーカが提供される。
【0030】
ケーシング手段は、単一体ケースでもよい。
【0031】
駆動手段は、少なくとも1つの圧電変換器を備え得る。
【0032】
界接手段は、一端がケーシング手段に結合され、別の端が画像表示手段に結合された懸架手段を備え得る。この懸架手段は、画像表示手段がケーシング手段に対して動くべく構成されるように、懸架手段の撓み力によって画像表示手段をケーシング手段に対して懸架するように構成される。
【0033】
懸架手段は、その撓み力によって画像表示手段をケーシング手段に対して懸架するように構成された弾性屈曲面でもよい。
【0034】
局所的な触知効果を画像表示手段の表面に生じさせるために、駆動手段は画像表示手段をケーシング手段に対して動かすべく構成され得る。
【0035】
電子機器は、本願明細書に記載のようにスピーカを備え得る。
【0036】
次に、本発明のより深い理解をもたらすために、例として添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】一実施形態による例示的スピーカ装置の三次元図を模式的に示す。
【
図2】別の実施形態による例示的スピーカ装置の三次元図を模式的に示す。
【
図3】別の実施形態による例示的スピーカ装置の三次元図を模式的に示す。
【
図4】別の実施形態による例示的スピーカ装置の三次元図を模式的に示す。
【
図5】いくつかの実施形態による例示的スピーカ装置の一断面図を模式的に示す。
【
図6】いくつかの実施形態による例示的スピーカ装置の別の断面図を模式的に示す。
【
図7】いくつかの実施形態による例示的スピーカ装置の別の断面図を模式的に示す。
【
図8】いくつかの実施形態による例示的スピーカ装置の別の断面図を模式的に示す。
【
図9】いくつかの実施形態による例示的スピーカ組立体の分解図を示す。
【
図10】いくつかの実施形態による例示的スピーカ組立体のための例示的ディスプレイフレームの三次元図を模式的に示す。
【
図11】いくつかの実施形態による例示的スピーカ組立体のための例示的ディスプレイフレームの詳細断面図を模式的に示す。
【
図12】いくつかの実施形態による例示的スピーカ組立体のための例示的ディスプレイフレームの別の詳細断面図を模式的に示す。
【
図13】いくつかの実施形態による例示的スピーカ組立体のためのスナップ嵌合用の特徴を模式的に示す。
【
図14】いくつかの実施形態による例示的スピーカ組立体のためのスナップ嵌合用の特徴を模式的に示す。
【
図15】いくつかの実施形態による例示的スピーカ組立体のための例示的ディスプレイフレームの細部を模式的に示す。
【
図16】いくつかの実施形態による例示的スピーカ組立体のための例示的ディスプレイフレームの細部を模式的に示す。
【
図17】一実施形態による例示的スピーカの詳細断面図を模式的に示す。
【
図18】別の実施形態による例示的スピーカの詳細断面図を模式的に示す。
【
図19】別の実施形態による例示的スピーカの詳細断面図を模式的に示す。
【
図20】別の実施形態による例示的スピーカの詳細断面図を模式的に示す。
【
図21】いくつかの実施形態による例示的スピーカの性能測定値をグラフで示す。
【
図22】いくつかの実施形態による例示的スピーカの性能測定値をグラフで示す。
【
図23】別の実施形態による例示的スピーカ装置の斜視図を模式的に示す。
【
図26】いくつかの実施形態によるさまざまなディスプレイ種別を示す。
【
図27】いくつかの実施形態による特定の構成要素を接続するためのばねクリップ構成を示す。
【
図28】いくつかの実施形態による特定の構成要素を接続するためのばねクリップ構成を示す。
【
図29】いくつかの実施形態による特定の構成要素を接続するためのばねクリップ構成を示す。
【
図30】いくつかの実施形態による例示的ユーザ機器のいくつかのハードウェアの特徴を模式的に示す。
【0038】
本願は、単一体、またはほぼ単一体、の形態のケーシングと、ディスプレイと、単一体ケーシングとディスプレイとを接続または結合する、あるいは単一体ケーシングとディスプレイとに界接する、可撓性ガスケットと、単一体と、ディスプレイと、ガスケットとによって画成された内部空間に配置された、ディスプレイを駆動してディスプレイを単一体に対して動かす振動要素と、同じく内部空間に配置されたトランシーバまたは受信機(例えば、セルラーエンジン)とを備えたスピーカ装置またはモジュールの構築方法および装置について説明する。ある実施形態において、振動要素がディスプレイを駆動する、すなわち動かすことが可能であることを理解されるであろう。このとき、当該振動要素が、ディスプレイを直接動かす実施形態もあれば、ディスプレイに接続または結合された構成要素を動かす実施形態もある。つまり、ディスプレイを動かす方式として、直接駆動または間接駆動を用いることができる。
【0039】
本願明細書に記載のように一部の実施形態において、振動要素は、ディスプレイをケーシングに対して動かす/駆動するように構成された圧電変換器を少なくとも1つ備え得ることを理解されるであろう。
【0040】
したがって、この駆動構成は、音波を発生させるべく構成可能であり、および/または、一部の実施形態においては、触知または触覚効果を生じさせるべく構成可能である。
【0041】
本願明細書に記載のように、単一体ケースの内面または寸法と、ディスプレイの内面または寸法と、ケースとディスプレイとの間のガスケットの内面または寸法と、更には振動要素、トランシーバ(セルラーエンジン、受信機、その他)などの内部構成要素とによって更に内部空洞が画成される。
【0042】
本願明細書に記載のように一部の実施形態においては、(1つ又は複数の)振動要素によってディスプレイが動かされたときに内部空気のスチフネスを弱めるために、ケーシングは音響ポートを備えることができる。この音響ポートは、一部の実施形態において、異なる操作のための出口(例えば、オーディオソケット、USBソケット、または他のポート)であるか、あるいは内部空洞を音響的に開口するように構成された特定の音響ポートまたは出口である。
【0043】
本願明細書に記載のように、一部の実施形態においては、内部空洞を複数の区間に分割または細分可能である。例えば、振動要素「の下」(および/またはPWB(printed wiring board:印刷配線板)の上方)にある空洞は、音響的に設計される。このような空洞を開口することも、ほぼ密閉することもできる。
【0044】
一部の実施形態において、スピーカは、その内部空洞内に、他の構成要素/部品、例えばカメラ、(1つ又は複数の)マイクロホン、ならびに印刷回路板(PCB:printed circuit board)、印刷配線板(PWB)、内部支持シャシ、を備えることができることを理解されるであろう。
【0045】
ガスケットと、単一体ケーシングと、ディスプレイとはユーザに見える。本願明細書に記載のように一部の実施形態において、単一体は、AVジャックまたはソケットポート、マイクロUSBポート、マイクロホンポートなど、スピーカ内部の構成要素のための他のインタフェース用の他のポートまたは出口を備えることができる。
【0046】
ガスケットの色(および/または形状)は、外観のために調整可能である。更に一部の実施形態においては、ガスケットを調節することによって、音響性能を、または触覚フィードバックの性能さえも、調整可能である。したがって、ガスケットの(寸法および材料仕様を含む)特性は、スピーカの音響性能のために重要な役割を果たす。更なる例示的実施形態において、より可撓性の(より軟質の)ガスケット材料は、より硬質の(より可撓性が低い)懸架体に比べ、より高い音圧レベル(すなわち、向上された音響出力)をもたらし得る。複数の例示的実施形態において、ガスケットはエラストマー(またはゴムまたは可撓性材料)製であり、最適な音響性能のために材料仕様が選択されることを理解されるであろう。
【0047】
したがって、単一体と、ガスケットと、ディスプレイと、振動要素との組み合わせ(または相互接続または相互作用)はスピーカの機能性を規定または形成することが分かる。
【0048】
図1には、本願の複数の実施形態を実現するために適した例示的スピーカ装置の直交三次元斜視図が示されている。
【0049】
このスピーカ装置は、一部の実施形態において、無線通信システムにおける操作のための携帯端末、携帯電話、タブレット、またはユーザ機器としても使用可能である。他の複数の実施形態において、スピーカ装置は、音響出力をもたらすべく構成された何れか適した(場合によっては携帯)電子機器、例えばデジタルカメラ、携帯オーディオプレーヤ(mp3プレーヤ)、携帯ビデオプレーヤ(mp4プレーヤ)、テレビ受像機など、を備え得る。スピーカ装置は、携帯型か否かに拘らず、セルラーまたは非セルラー回路を備え得る。非セルラー機器は、例えば、Wi−Fi(登録商標)またはBluetooth(登録商標)接続性を備え得る。
【0050】
他の複数の実施形態において、スピーカ装置は、タッチされたときにフィードバックをもたらすべく構成されたタッチスクリーンまたはタッチパッドなどのタッチインタフェースを有する適切な電子機器であれば(情報を表示し得るか否かを問わず)何れの電子機器でもよい。例えば一部の実施形態において、タッチパッドはタッチ感知キーパッドにできる。このキーパッドは、一部の実施形態においてはその表面にマーキングがなく、他の複数の実施形態においてはフロントウィンドウの表面に物理的マーキングまたは標示を有し得る。このような実施形態においては、導光体によって照明可能な印刷層または隆起形状などの物理的識別子によってタッチすべき場所をユーザに知らせることができる。
【0051】
装置は、カバーまたは本体101(または被覆手段)を備える。この例において、カバー101は単一体型のカバー、すなわち、所望の形態に成形または機械加工されたほぼ単一の材料片から形成されたカバーである。カバー101は、
図2に示されているように、丸みを帯びた細長い立方形の形態であり、その長さ(y寸法)は高さ(x寸法)より大きく、高さは深さ(z寸法)より大きい。カバーの各頂点は丸みを帯びているものとして図示されている。
図2およびその他に示されているようなケーシングの形状または形態は単なる例であり、カバーは適した形状であれば如何なる形状にもできる。一部の実施形態において、単一体状の構造は、レーザ接着または熱かしめによって作成可能であるが、あるいはケーシングが単一部品に見えるように、ケーシングの少なくとも2つの部品を他の手法で適切に結合することによって作成することも可能である。
【0052】
図1に示されているカバー101は、ディスプレイ組立体とガスケットまたは懸架体とを収容するために適した単一の穴をカバー101の前面に有する。したがって、一部の実施形態において、ガスケットは、従来のスピーカの周囲に設けられている部材と同様の緩衝機能を提供する。
図2に示されている穴は、角が丸みを帯びた矩形であるが、この穴の形状は、ディスプレイ組立体と懸架体とを収容するために適した形状であれば何れの形状にもできる。
【0053】
カバー101は、何れか適した材料で構築可能であり、更には、例えばポートまたはボタンなどの入力部および出力部の追加を可能にするために、更なるポートまたは孔を他の面に有し得る。例えば、
図2には、例示的スピーカ装置が示されている。このスピーカ装置の単一体ケース101またはカバーは、スピーカ装置のスピーカ内部空間に配置されたマイクロホン(図示せず)への音波の伝達を可能にするように構成されたマイクロホン孔105またはポートを更に備える。更に、
図2に示されているように、この例示的スピーカ装置は、内部に配置されたUSBソケットへのUSBプラグの挿入、またはこの逆、を可能にするUSB(または派生的なミニUSB、マイクロUSB、その他)開口部またはポート107を備えた単一体ケース101を有する。
【0054】
更に、
図3には、例示的スピーカ装置が
図2とは反対の側から示されている。このスピーカ装置の単一体ケース101またはカバーは、図示の長辺に沿って、(カメラ操作用のキーの通過または操作を可能にするための)カメラキーポート109と、(電源のオン/オフおよび他の操作モード切り換え操作用の入力を可能にするための)電源キーポート111と、(音量操作キーの通過および操作を可能にするための)音量キーポート113とを更に備える。更には短辺に沿って、本願明細書に記載のように、音響空洞の通気を可能にし、ひいてはディスプレイの動きの過度の抑制を防止するように構成された通気孔またはポート115と、装置の内部に配置されたAVソケット(図示せず)への適したAVプラグの挿入をユーザが行えるように構成されたAVジャック孔またはポート117と、装置へのSIMモジュールの挿入および装置との界接を可能にするためのSIMドアまたはポート119とが示されている。
【0055】
更に、
図4には、例示的スピーカ装置が、
図3に比べ、装置の裏面から示されている。そのため、ディスプレイおよびガスケットは見えない。ただし、
図4に示されているように、単一体ケース101またはカバーは、
図3に示されている通気孔またはポート115と、AVジャック孔またはポート117と、SIMドアまたはポート119とを短辺に沿って更に備える。更に、裏面には、装置内部に配置されたカメラモジュールのレンズまたはカバーをその内部に配置可能な主カメラポート121と、フラッシュレンズをその内部に配置可能なフラッシュレンズポート123と、スピーカ装置のスピーカの内部空間に配置された第2のマイクロホン(図示せず)への音波の伝達を可能にするように構成された第2のマイクロホン孔またはポート125とが示されている。
【0056】
単一体構造は、カバーの穴および漏れ口の数を減らすことができるので埃または異物が侵入する確率がより低く、高品質の装置を構築するために特に有用である。更に、単一体カバーまたはケースの音響特性の調整は、通常、より容易である。更に、単一体構造は、複雑度が低いので、製品の組み立ておよび製造がより容易である。
【0057】
図1〜3に示されているような装置は、ディスプレイ組立体12(または表示手段またはディスプレイスタック)を更に備えることができる。本願明細書に記載のようなディスプレイ組立体12は、適したディスプレイ技術であれば何れの技術でもよい。一部の実施形態において、ディスプレイ組立体はディスプレイとカバーウインドウとを備えることができ、一部の実施形態においては、静止ディスプレイ構成要素の上方で動作するカバーウインドウのみを備えることができる。
【0058】
ディスプレイ12は、何れか適したディスプレイ技術を備え得る。例えば、ディスプレイ要素をタッチ入力モジュールの下方に配置し、タッチ入力モジュールを通して画像を投影することによって、ユーザに見せることができる。ディスプレイ12は、液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)、発光ダイオード(LED:light emitting diode)、有機発光ダイオード(OLED:organic light emitting diode)、可撓性OLED(FOLED:flexible OLED)プラズマディスプレイセル、電界放出ディスプレイ(FED:field emission display)、表面伝導型電子放出素子ディスプレイ(SED:surface‐conduction electron‐emitter display)、および電気泳動ディスプレイ(電子ペーパー、eペーパー、または電子インクディスプレイとしても公知)など、何れか適したディスプレイ技術を採用できる。一部の実施形態において、ディスプレイ12は、導光体を用いてディスプレイウインドウに投影させるディスプレイ技術の1つを採用する。一部の実施形態において、ディスプレイは、2Dディスプレイである。他の複数の実施形態において、ディスプレイは、(
図26を参照して以下に詳細に説明する)2.25D、2.5D、または3Dディスプレイでもよい。
【0059】
一部の実施形態において、ディスプレイ組立体12は、タッチ入力を受け付ける、または判定する、タッチ入力モジュールまたは手段を備える。本願明細書に記載のような一部の実施形態において、タッチ入力モジュールおよびディスプレイ12は同じ構成要素の部分であり、ディスプレイ部またはタッチディスプレイ部とも称され得る。
【0060】
タッチ入力モジュールは、一部の実施形態において、何れか適したタッチスクリーンインタフェース技術を実現可能である。例えば一部の実施形態において、タッチスクリーンインタフェースは、タッチスクリーンインタフェースの表面またはその上方にある指の存在に感応するように構成された静電容量センサを備えることができる。静電容量センサは、透明導体(例えば酸化インジウムスズ−ITO(indium tin oxide))で被膜された絶縁体(例えばガラスまたはプラスチック)を備えることができる。人体も導体であるので、スクリーンの表面に接触すると、静電容量の変化として測定可能な局所的静電界の歪みをもたらす。タッチ位置を判定するために、何れか適した技術を使用し得る。この位置は、ユーザのタッチが機器とどのように関連しているかを計算し得るプロセッサに送られる。絶縁体は、導電層を指からの残留物、埃、または泥から保護する。
【0061】
他のいくつかの実施形態において、タッチ入力モジュールは、いくつかの層を備えた抵抗センサとすることができる。これらの層のうちの2層は肉薄の導電性金属層であり、狭い間隙で隔てられている。指などの物体がパネルの外面の一箇所を押下すると、その箇所でこの2つの金属層が接続される。このとき、パネルは、出力が接続された一対の分圧器として振る舞う。したがって、この物理的変化は、電流の変化を引き起こす。この電流の変化は、タッチイベントとして登録され、処理のためにプロセッサに送られる。
【0062】
他のいくつかの実施形態において、タッチ入力モジュールは、更に、目視検出、例えば表面の下方または上方に配置されて指または接触物体の位置を検出するカメラ、投影静電容量検出、赤外線検出、表面音響波検出、分散信号技術、および音響パルス認識などの技術を用いてタッチを判定できる。一部の実施形態において、「タッチ」は、物理的な接触および「ホバータッチ」の両方によって規定可能である。ホバータッチの場合、センサとの物理的接触はないが、センサの近傍にある物体がセンサに影響を及ぼす。
【0063】
更に、装置は、ガスケット103、すなわち懸架用構成要素、を備える。一部の実施形態において、ガスケット103は、ケースに対してディスプレイを可動にする可撓性材料である。この動きは、ディスプレイモジュール自体の動き、および/またはディスプレイウインドウの動き、でもよい。本願明細書に記載の各実施形態において、懸架用構成要素は、カバーまたはケーシング101に対してディスプレイ12を懸架するように構成される。ただし、カバーまたはケーシング101は、一部の実施形態において、ディスプレイおよび/またはディスプレイウインドウが懸架される装置「本体」の一部であると見なされ得ることを理解されるであろう。一部の実施形態において、懸架用構成要素は、蛇腹状または折りひだ付き材料の懸架体とすることができる。ディスプレイ組立体12の周囲を取り囲む蛇腹状懸架体103が
図1に示されている。一部の実施形態において、単一体状構造は、側帯と裏カバーとを備えることができる。この場合、側帯と裏カバーとの組み合わせは、単一の単一体と同様に機能できることを理解されるであろう。
【0064】
「浮動式」ディスプレイ用ガスケットまたは懸架体の提案では、可撓膜がディスプレイ組立体の周辺部の周囲の少なくとも一部に、およびカバーまたはケーシング端縁の周囲(一般にはその下方)の少なくとも一部に、配置される。この膜の弾性により、膜の伸張(および弛緩)時、ディスプレイ組立体とカバーとの間に可撓性界面が形成される。
【0065】
本願明細書に記載のようなガスケット103(蛇腹状または何れか他の種類の懸架用ガスケットでもよい)は、単一体型カバー(さまざまなカバー部分組立体から形成されるのではなく、ほぼ単一材料片から成るカバー)の内部であっても、ディスプレイ組立体がその内部に固定される装置が容易に製作されるように構成可能である。更に、装置のカバー(本体またはケーシング)とフロントウィンドウ(またはガラス)との間に良好に密閉された構造を形成するためにもガスケットは役立つ。したがって、ガスケットは、振動要素が駆動されたときに、ディスプレイの動きを制御すると考えることができる。換言すると、ガスケットは、制御された動きをディスプレイにもたらす。
【0066】
本願明細書に記載のようなガスケット構成の更なる利点は、ディスプレイの不感帯(画像を表示不能なディスプレイの周囲領域)を狭めることができる点である。これにより、表示面積が最大表面面積に近付く、換言すると表示が装置端縁に近付く、スピーカ設計が可能になる。
【0067】
図5には、いくつかの実施形態による装置の詳細断面図が示されている。更に、
図6には、
図5のケース101と、ガスケット103と、ディスプレイ界面とに関する詳細が示されている。この断面図は、下側すなわち裏面の角がより大きな曲率半径で丸みを帯び、上側すなわち前部の角がより鋭角の、すなわちより小さい曲率半径で丸みを帯びた単一体ケースまたはカバー101を示す。この場合、単一体ケースまたはカバー101の前面の丸みを帯びた角は、上側すなわちまたは前面のリップ領域を画成する。上側すなわち前面のリップ領域は、単一体の穴を画成する材料と見ることができる。一部の実施形態において、可撓性蛇腹の材料は、熱可塑性エラストマー(TPE:thermoplastic elastomer)でもよいが、何れか他の適した材料も使用され得ることを理解されるであろう。この可撓性蛇腹は、ショアA60領域の硬度を有し得る。一部の実施形態においては、蛇腹の可撓性が高いほど、性能が良い。蛇腹用に選択される材料は、実施形態間で違えてもよく、音響性能に基づき適切に選択される。選択される材料は、装置のディスプレイ、シャシ、ケース、および/または内部空間など、周囲の、または界接する、他の構成要素に基づかせることもできる。複数の代替実施形態において、材料は外観に基づき選択することもできる。可撓性材料に被膜を施してもよい。すなわち、可撓性材料は更なる外層を備え得る。
【0068】
装置は、単一体ケースまたはカバー101、ディスプレイ組立体12、およびガスケット103のそれぞれの内縁によって実質的に画成される内部空間に配置可能な内部構成要素を備え得ることを理解されるであろう。これらは各例に示されており、簡単に説明されている。
【0069】
カバー101、ディスプレイ組立体12、およびガスケット103の内部に設けられる内部構成要素は、例えば、電池215、印刷配線板213(または一部の実施形態においては、印刷回路板)などの構成要素に加え、この印刷配線板の少なくとも1つの側に配置された複数の構成要素を含むことができる。
【0070】
印刷配線板213および電池215は、更に、内部シャシ211によってカバーの内側に位置決めされるべく構成可能である。内部シャシ211は、一部の実施形態においてはアルミニウムなどの金属で構築され、装置の内部構成要素の位置決めと、ケーシングまたはカバー101の著しい屈曲の防止とを可能にする剛体構造を形成できる。一部の実施形態において、カバー101は、シャシ211として機能するように構成可能な構造または成形品を複数備える。換言すると、単一体ケーシングまたはカバー101は、装置の内部空間を分割または細分する複数の構造または成形品を用いて構成可能である。
【0071】
一部の実施形態において、カバー101および内部シャシ211は、懸架部として機能するガスケットの少なくとも第1の支持部(またはショット)を位置決めするべく設計可能である。
【0072】
したがって、一部の実施形態において、ガスケット103は、シャシ部材211の外側と単一体カバー101の内側との間に配置される第1の支持体を備えることができる。このような実施形態においては、懸架体が単一体の穴に挿入されると、懸架体が鉛直方向に固定されて上下(z次元)方向に自由に動けなくなるように、カバーのリップ区間の輪郭に嵌合または適合するリップまたはタブを有するように第1の支持部203を造形可能である。シャシとカバーとは、懸架体を水平方向に固定し、第1の支持部203の左右方向(xおよびy次元)への動きを防止する。
【0073】
ガスケット103は、可撓性の屈曲面部分を更に備えることができる。可撓性の屈曲面部分は、一端で第1の支持部203に結合し、他端で第2の支持部201に結合し、その撓み力によって可撓性の屈曲面の内側にディスプレイを懸架できるように構成される。
【0074】
図5および
図6に示されているようなガスケット懸架体は、一端が第1の支持部203に位置付けられ、ひいては屈曲面部分の一端がカバー/シャシに対して位置付けられる。換言すると、ガスケットの第1のアームが装置の静的構成要素に対して位置付けられる。
【0075】
可撓性の屈曲面部分(蛇腹状区間)は、少なくとも1つの折り目またはひだを備える。
図5および
図6に示されている例において、屈曲面部分は、n字状の屈曲部(逆u字状の屈曲部)を形成する約180度曲がった第1の屈曲部と、鉛直面を水平面に変換する90度の第2の屈曲部とを備える。
【0076】
屈曲面領域内の屈曲部の数、方向、および角度は実施形態ごとに違えることができることを理解されるであろう。
【0077】
ガスケットは、可撓性の面部分とディスプレイ組立体とに結合されるべく構成された第2の支持部201(換言すると、懸架体の動的または可動部分)を更に備える。第2の支持部201は、一部の実施形態においてはプラスチック製であり、一部の実施形態においては第1の支持部203と同じ種類の材料から成る。
【0078】
換言すると、第2の支持部201は、一部の実施形態においては、ディスプレイ組立体に結合されるフレームを形成する。例えば
図5および
図6に示されているように、第2の支持部201は、ディスプレイスタックがその上に配置されるフレームを形成する。
【0079】
図5および
図6に示されているような第2の支持部は、第2の支持部201をディスプレイフレーム1301およびシート状ディスプレイ支持体1303の一部として更に示す。更に、一部の実施形態においては、シート状ディスプレイ支持体1303の使用により、装置カバーからのディスプレイの完全な分離が防止される。
【0080】
図5および
図6に示されている例において、ディスプレイは、ディスプレイ組立体がその内部に配置されるディスプレイフレーム1301の一部としての第2の支持部201によって支持され、懸架体に結合される。例えば
図5および
図6に示されているように、ディスプレイフレームまたは第2の支持部はインサート成形されたプラスチックであり、上面に沿ってディスプレイ12のフロントウィンドウに接着可能であり、外面に沿って蛇腹状ガスケット部分103に接着可能であり、下面に沿ってシートまたは支持シートに接着可能である。このような実施形態において、シートまたは支持シート1303は、ディスプレイおよびタッチスタックの下の造形シート(例えば打ち抜きまたは曲げ加工された金属シート)である。換言すると、一部の実施形態においては、支持シート1303によってディスプレイ組立体を下から保護(または下から支持)できる。
【0081】
一部の実施形態において、ガスケットは、単一部品としても設計可能である。したがってこのような実施形態において、単一部品としてのガスケットは、ディスプレイをケーシングに対して位置決めおよび懸架してケーシングに対してディスプレイの動きを制御するべく適切に造形および設計される。
【0082】
図5および
図6に示されている例において、ガスケット103は、造形または曲げ加工されたウレタンまたはシリコーンなどの軟質形材を備える。一部の実施形態において、および本願明細書に記載のように、ガスケット103は可変形状で形成可能である。例えば、懸架体のディスプレイ側部分と本体側部分とを結合する屈曲部分、すなわち懸架部は、屈曲時に期待される柔軟度および弾性度をもたらすほぼ一定の形状または厚みを有するように構成可能である。更に、懸架体の本体側部分は、ガスケットが懸架体をカバー101の下に、特にカバーリップの下に、位置決めして固定できるよう構成された可変の形状または厚みで構成可能である。更に、一部の実施形態において、ガスケットの本体側部分は、シャシ211と印刷配線板213との間に嵌入して懸架体をシャシ211に係止するように構成された形状のリップを用いて構成可能である。
【0083】
図5および
図6に示されている実施形態においてアルミニウム製のシャシ211であるシャシ211は、一部の実施形態において、ガスケットをシャシと印刷配線板213との間に係止する形状の連係リップを用いて構成可能である。
【0084】
更に、
図5および
図6に示されているように、ディスプレイの下の金属薄板1303の裏面とシャシ211との間に空隙1311を設けて、ディスプレイの動きを規定領域内で可能にする形状をシャシに持たせることができる。可動ディスプレイとシャシ211との間に空隙を存在させることによって、がたつき音、および/または他の望ましくない雑音、を防止し得る。
【0085】
図5および
図6に示されているように、更に、電池215を位置決めする電池フレーム1107とシャシ211とによって印刷配線板213をカバー101に対して位置決め可能である。
【0086】
図5および
図6において、装置は、圧電構成要素1401(圧電アクチュエータでもよい)などの振動手段を備える。圧電構成要素1401は、圧電構成要素1401の両端でシャシ211に結合され、圧電構成要素1401の中央領域で伝達部1403に結合される。伝達部1403は、圧電構成要素の撓み力をディスプレイ(および/またはディスプレイウインドウ)に伝達するように構成される。
図5および
図6に示されている例においては、ユーザ構成要素が伝達部1403と金属薄板1303とを介して力をディスプレイに伝達するように、伝達部1403はディスプレイの背後の金属薄板1303の「カップ形状」区間に結合される。
【0087】
更に、一部の実施形態において、シャシ211は、連係するガスケット部に係止するように構成された規定の形状を有する係止部(図示せず)を備える。一部の実施形態において、ガスケットは、一方の側を印刷配線板とシャシ211との間に位置決め可能であり、もう一方の側をシャシ係止部およびガスケット係止部の連係する形状部または係止部によって位置決め可能である。
【0088】
図5および
図6には、電気接続用のFPC(flexible printed circuit:可撓性印刷回路)またはFR4層1353と、機械的接続用の金属製の間隙調整板1351とを介してシャシに位置決めされた圧電変換器またはアクチュエータ1401が更に示されている。更に、圧電変換器1401は、一部の実施形態においては調整可能な、少なくとも1つの圧電固定用ネジ500によってPWBおよび電池から持ち上げられている。
【0089】
圧電アクチュエータ1401は単一の信号によって駆動可能である。一代替実施形態においては、2つ以上の信号、例えばステレオ信号、によって2つ以上のアクチュエータを駆動できる。
【0090】
一部の実施形態においては、ディスプレイの機械的停止をもたらす動的係止が実現される。一部の実施形態において、金属薄板またはシート1303は、ディスプレイ止め具を形成する打ち抜きおよび曲げ加工された部品を設けて構成される。シャシ211がシートとディスプレイ止め具との間の穴を通過するようにディスプレイ止め具を造形できるので、ディスプレイの動きは、ディスプレイ止め具によって、更には上方向にはシャシ止め具によって、下方向には印刷配線板によって、制限される。
【0091】
一部の実施形態において、ディスプレイ組立体12はウインドウ(またはディスプレイウインドウまたはガラス)を備える。このウインドウは、ディスプレイ207の物理的保護に適したガラス製または他の強化層とすることができる。一部の実施形態において、ディスプレイ組立体は更にディスプレイ207を備えることができる。ガスケットの屈曲面部分103によるウインドウおよびディスプレイ207の懸架は、静止時(換言すると、追加の力が印加されていないとき)、シャシ211によって示されているような装置の静的部分とウインドウ組立体との間に空隙が存在するようになっている。
【0092】
図7および
図8には、動作中のガスケットの一例が示されている。
図7に示されている例において、ディスプレイは、ディスプレイ組立体がその内側に配置されているディスプレイフレーム1301によって支持され、懸架体に結合されている。例えば
図15に示されているように、ディスプレイフレームはインサート成形されたプラスチック製であり、上面に沿ってフロントウィンドウに接着可能であり、外面に沿ってガスケット1305に接着可能であり、下面に沿ってシートまたは支持シートに接着可能である。このような実施形態において、シートまたは支持シート1303は、ディスプレイおよびタッチスタック207の下の造形シート(例えば、打ち抜きまたは曲げ加工された金属シート)である。換言すると、一部の実施形態においては、支持シート1303によってディスプレイ組立体を下から保護(または下から支持)できる。
【0093】
図7に示されている例において、ガスケット1305または蛇腹状懸架体は、造形または曲げ加工されたウレタンまたはシリコーンなどの軟質形材を備える。一部の実施形態において、および本願明細書に記載のように、ガスケット1305は可変形状で形成可能である。例えば、懸架体のディスプレイ側部分と本体側部分とを結合する屈曲部分、すなわち懸架部は、屈曲時に期待される柔軟度と弾性度とをもたらすほぼ一定の形状または厚みを有するように構成可能である。更に、懸架体の本体側部分は、蛇腹状懸架体をカバー101の下に、特にカバーリップの下に、位置決めして固定できるように構成された可変の形状または厚みで構成可能である。更に、一部の実施形態において、懸架体の本体側部分は、シャシ211と印刷配線板213との間に嵌入して懸架体をシャシ211に係止するように構成された形状のリップ1307を用いて構成可能である。
【0094】
図7に示されている実施形態においてはアルミニウム製のシャシ211であるシャシ211は、一部の実施形態において、蛇腹状懸架リップ1307をシャシと印刷配線板213との間に係止する形状の連係リップを用いて構成可能である。
【0095】
更に、
図7に示されているように、ディスプレイの下の金属薄板1303の裏面とシャシ211との間に空隙1311を設けて、ディスプレイの動きを規定領域内で可能にする形状をシャシに持たせることができる。
【0096】
一部の実施形態において、ディスプレイの下に音響空洞を配置できる。この音響空洞は、制御された音響空洞にすることができる。このような音響空洞はほぼ密閉され、この音響空洞の内部には、電子機器/装置の動作に関連付けられる他の部品または電子構成要素が配置される。一部の実施形態において、スチフネスまたは他の音響構成を(バスレフポートと同様に)破るための開口を密閉空洞に設けることができる。
【0097】
図7に示されているように、更に、電池215を位置決めする電池フレーム1107とシャシ211とによって印刷配線板213をカバー101に対して位置決め可能である。
【0098】
図8には、
図7に示されているようなガスケット構成の別の図が示されている。
図8に示されている例において、断面図は、圧電構成要素1401の両端でシャシ211に結合され、圧電構成要素1401の中央領域で伝達部1403に結合されている圧電構成要素1401の位置を示す。伝達部1403は、圧電構成要素の撓み力をディスプレイに伝達するように構成される。
図8に示されている例においては、ユーザ構成要素が力を伝達部1403と金属薄板1303とを介してディスプレイに伝達するように、伝達部1403はディスプレイの背後の金属薄板1303の「カップ形状」区間に結合される。
【0099】
更に、一部の実施形態においては、
図8に示されているように、シャシ211は係止部211aを備える。係止部211aは、蛇腹状懸架体1305の連係する蛇腹状係止部1305aに係止するように構成された規定の形状を有する。一部の実施形態において、蛇腹状懸架体は、その一方の側を印刷配線板とシャシ211との間に位置決め可能であり、もう一方の側をシャシ係止部211aおよび蛇腹係止部1305aの連係する形状部または係止部によって位置決め可能である。
【0100】
図9には、ディスプレイ組立体12またはモジュール12と、ガスケット103付きのディスプレイフレームと、シャシ211と、圧電組立体1401と、ディスプレイフレームに接着されるべく構成された前面カメラ803と、エンジンPWB213と、電池フレーム1107と、セルラーアンテナ801と、WLAN、GPS、およびBTアンテナ805と、単一体組立体101とを備える装置の一例の分解図が示されている。
【0101】
図10には、
図9に示されているようなガスケット付きのディスプレイフレームの斜視図が示されている。
図10に示されているようなガスケット付きディスプレイフレームは、硬質プラスチック製のガスケット部201によって取り囲まれたディスプレイフレーム金属薄板1303を備える。
図10に示されている例において、ディスプレイ金属薄板1303は、下方に曲げられた複数のフック901によって示されているディスプレイ止め具を備える。本願明細書に記載のように、複数のフック901の形態のディスプレイ止め具は、シャシ211がシートとディスプレイ止め具との間の穴を通過するように造形可能であるので、ディスプレイの動きは、ディスプレイ止め具によって、更には上方向にはシャシ止め具によって、下方向には印刷配線板によって、制限される。これは、例えば、
図11および
図12から分かる。これらの図において、ディスプレイフレームの金属薄板1303の各ディスプレイ用フック901は、上方への動きを制限するシャシ止め具211と下方向への動きを制限する印刷配線板213と共に、ディスプレイフレーム金属薄板1303の動きを制限することが分かる。更に、
図15および
図16には、シャシ211の下面が示されている。これらの図には、シャシ止め具の上方にフック901が示されている。ディスプレイ用フック901は、機器が床に落下した場合など、衝撃が大きい場合に、例えば、機器からのディスプレイの落下を防止し得る。
【0102】
硬質プラスチック製のガスケット部分201自体は、軟質の蛇腹状ガスケット103によって取り囲まれる。一部の実施形態において、ガスケット103はショアAスコア60のTPEを備える。一部の実施形態においては、相互係止用の特徴903の使用によって、軟質の蛇腹状ガスケット103部分を内側の硬質プラスチック製ガスケット部分201に位置決めする。ただし、一部の実施形態においては、本願明細書に記載のように、接着剤など、何れか適した固定方法を使用可能である。
【0103】
図13〜
図14には、シャシとケースとに対するディスプレイフレームの金属薄板およびガスケット103の位置に関して、例示的装置の複数の実施形態が更に示されている。
【0104】
図13には、ディスプレイおよびガスケットがスナップ嵌合1201構成と共に示されている。スナップ嵌合1201構成は、ガスケットとフレームとをシャシに対して位置決めする。この場合、シャシは、複数のタブの実現によって、単一体ケースに対して位置決めされる。
【0105】
図13に示されているように、シャシはエンジンPWB213に対して更に位置決めされる。この場合、PWB213は、電池フレーム1107によって、単一体ケーシング101の内側に位置決め可能である。この図において、電池フレーム1107は、単一体101の内側に接着されている。更に、一部の実施形態においては、電池の膨張またはがたつきを打ち消すために電池用発泡樹脂製ガスケット1203を使用して電池を単一体101の内側に位置決めする。
【0106】
図14には、単一体のスナップ嵌合要素が示されている。ここで、単一体は、シャシおよびガスケットのスナップ嵌合要素が接する一連の案内用傾斜面1201を設けて構成されている。シャシが単一体ケース101に押し込まれると、シャシが所定位置に係止されるまで、シャシの輪郭または各タブは案内用傾斜面に接して移動する。
【0107】
図17〜20には、例示的装置の一連の断面図が示されている。
【0108】
図17には、例示的装置の一例示的断面図が示されている。この断面は、AVジャック孔117またはポートおよび通気孔115またはポートを通る。本願明細書に示されている例において、装置は、単一体、ディスプレイ、ガスケットによって、更にはその内部が装置の内部構成要素によって、実質的に画成された内部空間への空気の流出入を可能にするために、通気孔またはポートを用いるべく構成されている。したがって、通気孔は、ディスプレイの動きおよび装置の内部空間の変化に伴う圧力の上昇または部分的真空の形成を防止する。換言すると、通気孔は、ケースに対するディスプレイの動きによって引き起こされる容積の変化に拘らず、容積内の空気圧を比較的一定に維持しようとする。したがって、通気孔115は、低周波数においてより良好な周波数応答を可能にする。通気孔は、ヘルムホルツ共鳴効果をもたらし得る。通気孔115は、低周波数において周波数応答を向上させ得る。一部の実施形態においては、他のポートも通気孔として機能するように構成可能である。例えば、本願明細書に示されているように、AVジャック孔117の使用も可能である。
【0109】
図18には、例示的装置の一例示的断面図が示されている。この断面はY軸の中心を通っている。この図では、発泡樹脂製ガスケットがディスプレイフレームに結合されており、圧電アクチュエータ1401は、ディスプレイをケース101に対して駆動するために、力をフレームに加えるべく構成されている。
【0110】
図18には、装置のUSB用開口部107とUSBコネクタ2003とが更に示されている。一部の実施形態において、USB用開口部は、装置の「通気」を可能にするべく更に構成可能である。
図18は、装置の主カメラ用開口部121と主カメラ組立体2001とを更に示す。
【0111】
通気孔の直径および/またはサイズ、および/または通気孔の長さは、スピーカの周波数応答を調整または変更するために使用され得る。通気孔の位置も、ヘルムホルツ共鳴効果に応じてパネルスピーカの周波数応答曲線に影響を及ぼし得る。いくつかのケースにおいて、ディスプレイの下の空気はスピーカのデザインと組み合わされてパネルスピーカの動きを抑えるようになっており、および/または或る周波数において機器に流出入する空気の共鳴を生じさせるべく通気孔を設計可能である。任意の数の通気孔を設け得ることは勿論理解されるであろう。
【0112】
一部の実施形態においては、膜または他の種類のバリアを通気孔の流路に追加できる。この膜またはバリアは、埃および湿気の侵入から機器を保護し得る。例えば、この膜は、ゴアテックス(登録商標)膜または何れか他の種類の音響メッシュでもよい。
【0113】
図19には、例示的装置の一例示的断面図が示されている。この断面はスナップ嵌合用の特徴を通っている。この図には、スナップ嵌合用の特徴1201と、可動ディスプレイに接着された前面カメラ803と、前面カメラ(前面カメラ用FPC2101)への電気接続部とが見られる。
【0114】
更なる複数の実施形態においては、更に周囲光センサ(ALS:ambient light sensor)および/または近接センサを可動ディスプレイに取り付け得る。前面カメラを接続するFPCは、更にALSと近接センサとをPWBに接続し得る。
【0115】
図20には、例示的装置の一例示的断面図が示されている。この断面はSIM組立体を通っており、固定用ネジを示す。この図には、単一体に接着されたセルラーアンテナ放熱体が見られる。装置の反対端に、SIMドア2201付きのSIM組立体がある。
【0116】
図20に示されている例において、ガスケットと、ディスプレイと、変換器と、装置シャシと、電池とを含む内部構成要素は、装置エンジンとしてのこれら内部構成要素がカバーの一端に向けて押しやられるように、本体または単一体に挿入される。図示のように、カバーの当該端部はアンテナを収容できる。力を加えると、屈曲面が圧縮または押し潰されてそれ自体が十分に狭まるので、上端を単一体カバーの上端のリップの下に挿入できる。
【0117】
このような実施形態において、次に、懸架体の第1の支持部がカバーの下にクリップ留めされるように装置エンジンを傾けることによって、ディスプレイ組立体を単一体の穴に挿入できる。次に、カバー穴に装置エンジンを挿入すると、新たに挿入された端部懸架体を圧縮していた力が解放されるので、最初に挿入された端部懸架体が弛緩して懸架体の「静止時」寸法に戻る。
【0118】
更に、一部の実施形態において、装置エンジンモジュールの「新たに、すなわち2番目に、挿入される端部」は、装置エンジンモジュールを中央位置に引き込んで浮動ディスプレイ効果の実現を可能にするために、ネジを収容するように構成可能である。固定用ネジ2203は、一部の実施形態においては、SIMドア2201に隠れている。
【0119】
図示のように、エンジンモジュールまたはディスプレイ組立体は、懸架体の孔と連係するネジなどの固定用部材に対して位置決め可能であるが、一部の実施形態においては、装置本体と連係するように構成可能な何れか適した位置決め手段、例えばフランジまたはクリップ、を用いて、ディスプレイを位置決めできることを理解されるであろう。
【0120】
本願明細書に記載の各例において、結合用または結合対象部品は接続、取り付け、または固定されることを理解できるであろう。
【0121】
図21および
図22には、ガスケット用のさまざまなショアA材料の伸張グラフに対する振幅応答および荷重を示すグラフが示されている。図示の各例において、ショアA値が40から50の間のガスケット(「緑色」)は、ショアA値が60のガスケット(「黒色」)に比べ、出力がより大きく、1000Hzから5000Hzの間の周波数応答がより平坦である。更に、触覚応答がより良好である。
【0122】
これは、
図22に示されている。この図において、測定された応答の傾斜は、それぞれ異なるショア定格に関連付けられる曲線ごとに求められている。したがって、より大きな出力およびより平坦な応答は、より軟質の蛇腹/ガスケットによって実現され得ることを理解されるであろう。より剛性の蛇腹は、性能の低下をもたらし得る。相対的に剛性の蛇腹/ガスケットは、例えば成形不良のために、材料の厚みが要求仕様外であることの結果であり得る。
【0123】
次に、いくつかの代替実施形態について説明する。
図23は、ディスプレイ2312を備えた機器2310を示す。このディスプレイは、3Dディスプレイである。機器2310は、機器本体2302と、ディスプレイ2312を機器本体2302に界接させる蛇腹/ガスケット2303とを備える。
【0124】
図24は、
図23のy方向(
図1について説明したのと同じ座標系を使用)における断面を示す。この図は、3Dディスプレイ2312を示す。ディスプレイ2312は、可撓性OLED要素2390を備える。ディスプレイキャリア2394を圧電アクチュエータ2301から分離するディスプレイアダプタまたはダンパが2392で示されている。可撓性の蛇腹が2303で示されている。この図からは、蛇腹2303がディスプレイ2312および機器本体2302にどのように界接するかが分かる。シャシが2311で示され、電池が2315で示され、PWBが2313で示されている。シャシ固定用ロッドが2396で示されている。
【0125】
図25は、
図24の実施形態からの僅かな変形を示す。
図25の実施形態では、
図24のディスプレイキャリア2394が省かれている。例えば、可撓性OLEDがディスプレイの裏面に加わる力に或る程度耐えられる場合は、ディスプレイキャリアを省くことができる。この結果、構造がより軽量化され得る。圧電アクチュエータ2301が動かすべき質量をも減らし得る。したがって、機器をより薄くでき、スピーカの感度がより高くなり得る。
図25のディスプレイアダプタ2392'は、
図24のディスプレイアダプタ2392より大きい。
【0126】
図26は、さまざまな種類のディスプレイに使用され得るさまざまな種類のガラス(または何れか他の種類の適した材料)を示す。平坦な2D材料が2650で示されている。2.25D材料種別が2652で示されている。この材料の上面は各縁部に何らかの形状または断面を有するが、材料の中心部は平坦であることを理解されるであろう。この実施形態において、下面は全体が平坦である。2.5D材料種別が2654で示されている。この下面は平坦であるが、上面全体が湾曲している。3D画像を表示可能な3D材料種別が2656で示されている。この下面も上面も全体が平坦でない。湾曲をy方向にのみ、またはx方向にのみにすることも、あるいはxおよびyの両方向に湾曲させることもできる。
【0127】
図27〜29は、圧電FPC2701をPWB2713に接続するためのばねクリップ2780を示す。この特定の実施形態には2つのばねクリップ2780が用いられているが、任意の数のばねクリップを使用可能であることを理解されるであろう。圧電FPC2701は、圧電アクチュエータを収容し、PWBへの電気接続ももたらし得る。圧電FPCによるこの種の電気接続は、組み立てが単純であり、かつ堅牢である。公差の観点からも好都合であり得る。複数の例示的実施形態において、各ばねクリップの接点は、FPCの非可動区域に設けられ得る。すなわち、圧電アクチュエータの性能を損なわない。
【0128】
図30に模式的に示されているように、一部の実施形態において、装置はプロセッサ15を備える。プロセッサ15は、ディスプレイ12に接続可能である。一部の実施形態において、装置は、トランシーバ(あるいは受信機または送信機)、例えば、セルラー、Wi−Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、または他の適した無線周波数のトランシーバなど、を備える。このような実施形態において、プロセッサはトランシーバ(Tx/Rx)13およびメモリ16に更に接続される。
【0129】
一部の実施形態において、プロセッサ15は、さまざまなプログラムコードを実行するように構成可能である。一部の実施形態において、実現されるプログラムコードは、各種ルーチンを含むことができる。これらのルーチンとして、タッチ入力モジュールへの入力を検出して処理するタッチ処理、入力シミュレーション、または触知効果シミュレーションコード、電気信号を生成する効果フィードバック信号生成、すなわちこの電気信号が変換器に送られると装置のユーザへの触知または触覚フィードバックを生じさせることができる効果フィードバック信号生成、あるいはアクチュエータを駆動するためのアクチュエータ信号を生成するように構成されたアクチュエータ処理などが挙げられる。一部の実施形態において、実現されたプログラムコードは、例えばメモリ16に格納可能であり、特に、必要時に何時でもプロセッサ15が取り出せるように、メモリ16のプログラムコードセクション17に格納可能である。一部の実施形態において、メモリ16は、データ、例えば用途に応じて処理されたデータ、例えば疑似音声信号データ、を格納するためのセクション18を更に設けることができる。
【0130】
一部の実施形態において、装置10は、処理手法の少なくとも一部をハードウェアで実現可能である。換言すると、プロセッサ15によって実行される処理の少なくとも一部をハードウェアで実現し得る。このハードウェアを操作するためにソフトウェアまたはファームウェアを必要としない。
【0131】
一部の実施形態において、トランシーバ13は、他の電子機器との通信を、例えば一部の実施形態においては無線通信網を介して、可能にする。
【0132】
ユーザ機器という用語は、携帯電話、携帯データ処理機器、または携帯ウェブブラウザなど、何れか適した種類の無線ユーザ機器をカバーすることを理解されたい。更に、可聴音チャネルという用語は、音声出口、チャネル、および空洞をカバーすること、更にはこのような音声チャネルは、変換器と一体に形成され得る、または変換器と機器との機械的統合の一部として形成され得る、ことを理解されるであろう。
【0133】
通常、本発明のさまざまな実施形態の設計は、ハードウェア、または専用回路、ソフトウェア、論理、またはこれらの如何なる組み合わせでも実現され得る。例えば、一部の側面はハードウェアで実現され、他の側面は制御装置、マイクロプロセッサ、または他の計算機器によって実行され得るファームウェアまたはソフトウェアで実現され得るが、本発明はこれだけに限定されない。本発明のさまざまな側面がブロック図、フローチャート、または他の絵図として例示および説明されているが、本願明細書に記載されているこれらブロック、装置、システム、手法、または方法は、非限定的な例として、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、専用回路、または論理、汎用ハードウェアまたは制御装置、または他の計算機器、またはこれらの何らかの組み合わせで実現されうることを十分に理解されるであろう。
【0134】
本発明の複数の実施形態の設計は、プロセッサエンティティなどにおいてモバイル機器のデータプロセッサによって実行可能なコンピュータソフトウェアによって、またはハードウェアによって、またはソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって、実現され得る。更に、この点に関して、各図に示されているような論理フローの何れのブロックもプログラムのステップ、または相互接続された論理回路、ブロック、および機能、あるいはプログラムのステップと、論理回路と、ブロックと、機能との組み合わせを表し得ることに注目されたい。ソフトウェアは、プロセッサ内に実装されたメモリブロックまたはメモリチップなどの物理媒体と、ハードディスクまたはフロッピー(登録商標)ディスクなどの磁気媒体と、例えばDVDおよびそのデータ変形例であるCDなどの光学媒体とに格納され得る。
【0135】
本願の複数の実施形態の設計に用いられるメモリは、ローカル技術環境に適した種類であれば何れの種類でもよく、半導体を用いたメモリ機器、磁気メモリ機器およびシステム、光学メモリ機器およびシステム、固定メモリおよび取り外し可能メモリなど、何れか適したデータ格納技術を用いて実現され得る。データプロセッサは、ローカル技術環境に適した種類であれば何れの種類でもよく、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:digital signal processor)、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、ゲートレベル回路、およびマルチコアプロセッサアーキテクチャに基づくプロセッサのうちの1つ以上を非限定例として含み得る。
【0136】
本発明の複数の実施形態は、複数の集積回路モジュールなどさまざまな構成要素を用いて設計され得る。
【0137】
本願において使用される用語「回路」は、以下の全てを指す。
(a)ハードウェアのみによる回路実装(アナログおよび/またはデジタル回路のみによる実装など)、および
(b)回路とソフトウェア(および/またはファームウェア)との組み合わせ。例えば、(i)(1つ又は複数の)プロセッサの組み合わせ、または(ii)携帯電話またはサーバなどの装置にさまざまな機能を行わせるために連係する(1つ又は複数の)プロセッサ/ソフトウェア((1つ又は複数の)デジタル信号プロセッサを含む)、ソフトウェア、および(1つ又は複数の)メモリのそれぞれの部分、および
(c)ソフトウェアまたはファームウェアが物理的に存在しない場合でも、操作のためにソフトウェアまたはファームウェアを必要とする、(1つ又は複数の)マイクロプロセッサまたは(1つ又は複数の)マイクロプロセッサの一部分などの回路。
【0138】
「回路」の上記定義は、何れの請求項も含め、本願におけるこの用語のあらゆる用途に適用される。別の例として、本願において使用される用語「回路」は、プロセッサ(または複数のプロセッサ)またはプロセッサの一部とそれに(またはそれぞれに)付随するソフトウェアおよび/またはファームウェアのみの実装もカバーすることになろう。例えば、用語「回路」は、特定の請求要素に適用可能な場合、携帯電話用のベースバンド集積回路またはアプリケーションプロセッサ集積回路、サーバ内の同様の集積回路、セルラーネットワーク機器、または他のネットワーク機器もカバーすることになろう。
【0139】
以上の説明は、本発明の例示的実施形態の完全かつ有益な説明を例示的かつ非限定的な例として提供した。ただし、添付の図面および添付の特許請求の範囲と併せて読まれると、以上の説明に鑑み、当業者にはさまざまな変形例および改変例が明らかになるであろう。ただし、本発明の教示のこのような、および同様の、変形例は、添付の特許請求の範囲に規定されている本発明の範囲に依然として含まれるものとする。