(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の使い捨て衣類を、図面等を参照して詳細に説明する。
なお、本発明の使い捨て衣類は、1回の使用で廃棄するものに限らず、短期間の使用や数回の洗濯に耐えうるものも含む。
本明細書の使い捨て衣類の装着対象年齢は限定されず、大人でも、子供でもよい。また性別も限定されず、男女のいずれでもよい。さらには人間に限らず、犬や猫等のペット用であってもよい。
本明細書の使い捨て衣類は、尿を吸収する目的だけでなく、他のあらゆる排泄物、女性用の経血吸収目的のものであってもよい。
なお、本明細書において「吸収」とは、尿等の吸収に限らず、女性用の経血、汗等のあらゆる液体の吸収や、他の排泄物の吸収を含む。
【0010】
図1は、本発明の第1の実施形態の使い捨て衣類1が、着用者Pに装着された状態を示す外観図である。
図2は使い捨て衣類1の縦断面図である。
なお、本明細書においては、着用者Pが使い捨て衣類1を装着したときの上下となる方向を、使い捨て衣類1の説明において上下方向とし、左右となる方向を使い捨て衣類1の横方向とし、また着用者の前後方向を、使い捨て衣類1の説明において前後方向として説明する。
【0011】
図1及び
図2に示すように、使い捨て衣類1は、着用者Pの腰回りに装着される胴回り部21と、胴部装着部20とからなる。胴部装着部20は、前部20a、後部20bと、前部20aと後部20bとの間の股下部20cとを有し、左右の足回り開口部20fが形成されている。胴部装着部20の股下部20cの内側に位置して、前部20aと後部20bとの間に架け渡された弾性シート17が設けられ、弾性シート17のさらに内側(着用者側)には、吸収体10が配置されている。胴部装着部20の足回り開口部20fには、従来のおむつのようなギャザーを有しておらず、非ギャザー部として構成されている。
【0012】
(股下部)
股下部20cは、
図2に示すように着脱可能な接続部20dを有することができる。接続部20dは、面ファスナー、ホック、ボタン、粘着シート、粘着剤等により構成される。例えば、面ファスナーで接続部20dを構成した場合、着用者は、面ファスナーの接続面同士を互いに重ね合わせることにより、
図2に示すように、股下部20cを接続することができるとともに、面ファスナーの接続面同士を剥がすことにより、股下部20cを開放することができる。なお、接続部20dは、開放のみ可能に構成されていてもよい。例えば、ホットメルト、縫合、ヒートシール、超音波による接合等で股下部20cを接合しておき、必要に応じて接合箇所を分断することにより、股下部20cを開放することができる。その他、股下部20cの部分に切り取り予定線(ミシン目)を入れておき、必要に応じて切り取り予定線を分断することによっても、股下部20cを開放することができるように構成することもできる。股下部20cを開放することにより、胴部装着部20の形状を、腹巻き型(
図46参照)にすることができる。なお、股下部20cは、着脱又は開放可能な接続部20dを備えていない構成としてもよい。また股下部20cは、前部20a、後部20bと着脱自在に取り付けられた構成としても良い。
【0013】
(胴部装着部)
胴部装着部20は、
図1に示すように、一般的な下着であるパンツ、衣類であるトランクスとほぼ同じ形状であり、かつ同等の丈を有する。胴部装着部20には、両サイドにスリット29が設けられている。スリット29を設けることにより、着用者Pは、脚部を動かしやすくなる。なお、胴部装着部20は、本実施形態の例に限定されず、着用者Pの腰回りよりも上部を覆うような形状であっても良い。また、胴部装着部20は、腰骨より下で覆うものであっても良い。また、女性用として、両サイドが
図1よりもさらに短くカットされた形状(すなわち、正面視において略V字形となる形状)とすることにより、脚部より動かしやすくなる。
胴部装着部20において、前部20aと後部20bとは大きさが同じであっても、異なっていてもよい。胴部装着部20の後部20bを、前部20aよりも大きくすることにより、臀部の大きな着用者が装着しやすい使い捨て衣類1を提供することができる。また、前部20aと後部20bとの大きさが異なる場合、立体縫製が可能となるため、様々な体型の着用者に、よりフィットした使い捨て衣類1を提供することができる。
【0014】
(伸縮性複合シート)
使い捨て衣類1は、少なくとも胴部装着部20が、
図4に示すように第1の通気性シート203と第2の通気性シート205との間に、液拡散性繊維シート201と線状弾性体202が配置積層された伸縮性複合シートよりなり、着用者の股部、特に股下部20cから上側の周辺の股上領域20e及び足回りに押圧力を付与する伸縮性を有している。伸縮性複合シートは、線状弾性体202が配置されている部分が、線状弾性体202の伸縮方向に、1.2〜5.0倍の伸長性を有することが好ましい。
【0015】
(胴回り部)
胴回り部21は、着用者Pの腰回りに装着される部分であり、胴部装着部20の上部に配置され、上端側に胴回り開口部21aが形成されている。胴回り部21は伸縮性を有する素材により構成することが好ましく、胴部装着部20と一体に伸縮性複合シートによって構成することができるが、胴部装着部20とは別素材によって別体に形成してもよい。胴回り部21は胴回り方向に伸縮性を有することが、使い捨て衣類1の着用者へのフィット性が向上するため好ましい。胴回り部21は、胴回り開口部21a側を内側に折り返した折り返し部21c(
図1、
図26H参照)を有していても良い。
【0016】
(通気性シート)
伸縮性複合シートを構成する通気性シート203、205としては、不織布や多孔質シート、これらの積層体等が挙げられる。不織布としては、スパンボンド不織布、サーマルボンド不織布、スパンレース不織布、乾式不織布、湿式不織布、メルトブロー不織布、ケミカルボンド不織布、ニードルパンチ不織布、ステッチボンド不織布、スチームジェット不織布等が好適に用いられるが、スパンボンド不織布、サーマルボンド不織布、スパンレース不織布がより好ましい。不織布を構成する繊維としては、動物繊維等の天然繊維、ナイロン、アクリル、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等の合成繊維、レーヨン等の再生繊維等が挙げられるが、合成繊維、再生繊維が好ましい。一方、多孔質シートとしては、ポリエチレン等の合成樹脂フィルムに多数の微細な孔を設けたシート等が挙げられる。通気性シート203、205は、単位面積あたりの重量(目付量)が5〜40g/m
2のシートが好ましい。通気性シート203、205は、素材、目付量等が同一のシートを用いても、異なるシートを用いても良い。通気性シート203、205の材質は、配置される位置に応じて適宜に選択することができる。例えば、衣類1の外側に位置して設けられる通気性シートは、耐透水性の高いものが好ましく、撥水処理等を施した不織布や多孔質シート等が好ましい。また肌側に位置して設けられる通気性シートは外面側に位置して設けられる通気性シートと同様、耐透水性の高いものであっても良いが、透湿性、透水性の良いシートも用いることができる。通気性シートとしては、通気性、透湿性に優れ、撥水処理することによって耐透水性を高めることができるため、特に不織布が好ましい。
【0017】
(液拡散性繊維シート)
液拡散性繊維シート201としてはパルプ等の天然繊維を含む抄造シートが挙げられる。液拡散性繊維シート201はパルプの配合が30%以上であることが好ましく、またパルプの配合が50%以上であることがより好ましい。さらに、パルプの配合は80%以上であることがより好ましい。パルプの配合を上記した割合とすることにより、伸縮性複合シート全体としての柔軟性を向上させたり、製造時の生産効率を向上させたりすることができる。また、パルプの配合を高くすることにより、廃棄後に、その廃棄物が、例えば土中等において分解されやすくすることができる。したがって、環境負荷をより低減し、環境面に対する配慮をより向上させることができる。液拡散性繊維シート201としては、パルプ等の繊維を含むスラリーを抄造した抄造シートが好ましく、紙シートがより好ましい。液拡散性繊維シート201として紙シートを用いる場合、疎水加工、撥水加工、防水加工、耐水加工の少なくとも1つの処理が施されていても良い。なお、液拡散性繊維シート201は、単層からなるのが好ましいが、複数層で構成したものでもよい。液拡散性紙シート201を複数枚の繊維シートで構成した場合には、互いの繊維シートの厚さ、材料等は同じものを用いてもよく、2種以上異なる材質のものを併用してもよい。液拡散性繊維シート201は、単位面積あたりの重量が5〜40g/m
2のものが好ましい。
【0018】
液拡散性繊維シート201は、厚さ、材質等に応じて、所望の硬さにすることができる。そのため、液拡散性繊維シート201の厚みを部分的に変える等の手法を用いることにより、立体的なデザインの使い捨て衣類1を作製することができる。この手法により、例えば、使い捨て衣類1を補正下着のようにデザインすることもできる。この場合、体のラインが目立ちにくい、又は体のラインをより美しく見せることができる使い捨て衣類1を提供することができる。また、胴部装着部20の端部において、液拡散性繊維シート201を部分的に硬くすることにより、使い捨て衣類1を通常の衣服等と同じ質感にすることができる。また、液拡散性繊維シート201を部分的に厚くして、その部分を硬くすることにより、液拡散性繊維シート201を部分的に弛みにくくすることができる。これによれば、硬くした部分においては、液拡散性繊維シート201と身体との間により多くの隙間が形成されるため、通気性を向上させることができる。一方、液拡散性繊維シート201の厚みを薄くすることにより、液拡散性繊維シート201が弛みやすくなるため、使い捨て衣類1を全体的又は部分的に柔らかくすることができる。
【0019】
(パルプ)
液拡散性繊維シート201に用いられるパルプとしては、例えば、木材パルプ、合成パルプ、古紙パルプ等を挙げることができる。また、パルプ等の天然繊維のみからなるものに限られず、レーヨン等の再生繊維等を含んでいても良い。さらに、原料パルプとして、トイレットペーパー材料を用いることもできる。この場合には、例えば、赤松、エゾ松、トド松、ダグラスファー、ヘムロック、スプルース等の針葉樹から得られる針葉樹晒クラフトパルプとブナ、ナラ、カバ、ユーカリ、オーク、ポプラ、アルダー等の広葉樹から得られる広葉樹晒クラフトパルプを所定の割合で配合してなる原料パルプを用いることもできる。液拡散性繊維シート201は、天然繊維のみからなるものが好ましく、パルプ以外の天然繊維としては、例えば、ケナフ、竹繊維、藁、綿、繭糸、サトウキビ等を用いることができる。液拡散性繊維シート201として紙シートを用いる場合、紙シートは、水解性を有するものであっても、水解性を有しないものであってもよいが、水解性を有するものが好ましい。液拡散性繊維シート201に用いられる繊維は、短繊維、長繊維、それらを組み合わせたものであってもよい。
【0020】
(柔軟剤)
また、液拡散性繊維シート201に柔軟剤を含ませることで、伸縮性を向上することができる。たとえば不織布等の通気性シート間に液拡散性繊維シートを含まず、弾性体を配置した積層構造の場合、伸縮性は有しているが、通気性、透湿性、柔軟性、蒸散性に乏しい。これに対して通気性シートの間に液拡散性繊維シートと弾性体とを配置積層した伸縮性複合シートの場合、吸湿性、通気性、透湿性、柔軟性、蒸散性が向上する。さらに、液拡散性繊維シート201が柔軟剤を含む場合、さらに柔軟性が向上することはもとより、吸収性、透湿性が向上し、しかも伸縮性を向上することができる。
【0021】
(線状弾性体)
線状弾性体202は、胴部装着部20が着用者Pに対して押圧力を付与する伸縮性を有するように設けられ、線状弾性体202は伸縮性複合シート全体に配置されていることが好ましく、股下部20cに線状弾性体202が配置されていると、着用者が着用した際に、足回り開口部20fが幅方向に伸びて、股下部が幅方向に伸びる結果、股下部が持ち上がり、着用者の股下、足回りに押圧力を付与できる。線状弾性体202は、エラストマー、ゴム等の弾性素材を糸状に構成した部材である。エラストマーとしては、例えばスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ブタジエン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、シリコーン系エラストマー等が挙げられる。またゴムとしては、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。股下部20cにおける線状弾性体202は、股下部20cの一方の足回り開口部20fから、他方の足回り開口部20fに向けて複数本配置されているか、胴部装着部20の前部20aと後部20bとを結ぶ方向に配置されていることが好ましい。線状弾性体202は、2.00mm〜7.00mm間隔で複数本配置されていることが好ましいが、より好ましくは、3.00mm〜6.25mmである。線状弾性体202が3.00mm〜6.25mm間隔で配置されていると、
図62Aに示すように整然とした肌理の細かい皺が形成され厚みも一定で、外観が良好になるとともに、肌触りが良くなり、更に表面積が大きくなるので汗などの吸収、蒸散性が向上する。一方、線状弾性体202の間隔が6.25mmを超える場合、
図62Bに示すように、蛇行した皺が形成されたり、厚みにバラツキが生じるようになる。線状弾性体202は、
図4に示すように液拡散性繊維シート201と接する位置に配置されていることが好ましい。線状弾性体202の強度、素材は、配置される位置に応じて適宜に選択することができる。例えば、胴部装着部20の前部20aと後部20bとでそれぞれ異なる強度、素材の押圧部材202を配置してもよい。胴部装着部20の前部20aと後部20bとにおいて、線状弾性体202の強度、素材が同じであると、胴部装着部20の形状に制約を受けやすくなる。しかし、胴部装着部20の前部20aと後部20bとでそれぞれ異なる強度、素材の線状弾性体202を配置することによって、形状の自由度を高めることができる。そのため、例えば、胴部装着部20を立体的な形状にすることができる。
【0022】
(伸縮性複合シートの接合方法)
伸縮性複合シートにおける通気性シート203、205、液拡散性繊維シート201、線状弾性体202は、接着、熱融着、超音波接合等によって積層一体化することができるが、接着により積層一体化されていることが好ましい。接着剤としては、エマルジョン接着剤、感圧接着剤、ホットメルト接着剤等が挙げられるが、ホットメルト接着剤が好ましい。通気性シート203、205、液拡散性繊維シート201、線状弾性体202を積層一体化するに際し、接着剤等を通気性シート203、205、液拡散性繊維シート201等の全面に隙間なく塗布して接着してもよいし、接着剤が部分的に塗布されない非接合部を設けて接着してもよい。
図4に示すように、線状弾性体202の表面に接着剤218を塗布し、線状弾性体202を介して通気性シート203と液拡散性繊維シート201とを接着剤により縞状、格子状、網点状等に接着することで、通気性シート203と液拡散性繊維シート201とが接着剤218により接着された接合部と、接着されていない非接合部219とが形成される。また通気性シート205と液拡散性繊維シート201とを接着するに際し、接着剤を縞状、格子状、網点状等に塗布して接着することにより、通気性シート205と液拡散性繊維シート201との間に、接合部と非接合部とが形成される。通気性繊維シート205と液拡散性繊維シート201との間や、通気性シート203と液拡散性繊維シート201との間に、非接合部が形成されていると、伸縮性複合シートの通気性、透湿性をより向上させることができるとともに、柔軟性や肌触り感も向上する。ホットメルト接着剤は撥水性が高いため、ホットメルト接着剤を通気性シート203、205、液拡散性繊維シート201等の全面に隙間なく塗布して接着すると、通気性、透湿性、柔軟性が低下する虞があるが、ホットメルト接着剤を間欠的に塗布して非接合部を設けることで、優れた通気性、透湿性、柔軟性を保つことができる。また、接着剤使用量を削減することができるため、コスト削減を図ることができるとともに、使用後の使い捨て衣類1が廃棄された場合に、環境に対する影響を低減することができる。
【0023】
(接着剤)
接着に用いる接着剤としては、特に制限はなく、公知の接着剤、例えば、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)系、PO(ポリオレフィン)系、PA(ポリアミド)系、SR(合成ゴム)系、ACR(アクリル)系、PUR(ポリウレタン・湿気硬化型)系等、がいずれも好適に用いられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上が併用されてもよい。さらには、上記以外に他の物を併用してもよい。ホットメルト接着剤は、液拡散性繊維シート201への浸透性が高いため、接着剤が液拡散性繊維シート201の内部に浸透し易く、
図4に示すように接着剤218の一部は液拡散性繊維シート201の繊維の隙間に浸透して接着剤が繊維と一体化したアンカー部201aを形成している。
図4は、表面に接着剤218を塗布した押圧部材202を介して、通気性シート203と液拡散性繊維シート201とを接着した場合を示している。通気性シート203は不織布や多孔質シートであり、紙シート等の液拡散性繊維シート201に比べて液拡散性が低いため、通気性シート203に浸透したアンカー部218bは、液拡散性繊維シート201に浸透した接着剤により形成されるアンカー部218aに比べて小さいものとなる。アンカー部218a、218bが形成されていると、接着力が向上され、伸縮性複合シート全体の強度が向上される。通気性シート203には必ずしもアンカー部218bが形成されていなくても良い。線状弾性体202表面に塗布した接着剤218を介して通気性シート203、線状弾性体202、液拡散性繊維シート201を接着一体化する場合、液拡散性繊維シート201にはアンカー部218aが形成されていることが好ましく、液拡散性繊維シート201中に、線状弾性体202表面に塗布した接着剤218が浸透したアンカー部218aが形成されることにより、線状弾性体202が通気性シート203と液拡散性繊維シート201との間を確実かつ強固に挟持接着し保持する。また液拡散性繊維シート201の強度も向上することができる。液拡散性繊維シート201を用いずに通気性シート203と205の間に線状弾性体202を配置した場合、適切な接着力を得るために、接着剤218を大量に塗布する必要があるが、大量の接着剤を塗布すると、線状弾性体202の弾性力が失われるだけでなく、胴部装着部20の柔軟性も低下するため、肌触りが低下する。また、接着剤が身体側に配置された通気性シートから浸み出し、外観が悪くなるという不具合を生じる虞がある。これに対して通気性シート203と205の間にさらに液拡散性繊維シート201を配し、線状弾性体202を液拡散性繊維シート201と接するように配置した場合、接着剤218の液拡散性シート201に対する親和性が、通気性シート203、205に対する親和性よりも高く、液拡散性繊維シート201による線状弾性体202の保持力が、通気性シート203、205による線状弾性体202の保持力よりも高いため、線状弾性体202が複合シート中に確実に保持され、特に線状弾性体202表面に塗布した接着剤218が液拡散性繊維シート201中に浸透して繊維と一体化したアンカー部218aが形成されていることにより、より少ない量のホットメルト接着剤で強力な接着力を得ることができる。これによれば、大量のホットメルト接着剤を使用することがないため、押圧部材202の弾性力を失うことがなく、線状弾性体202の伸縮性複合シート中における保持力はさらに向上する。また、胴部装着部20の柔軟性が増すと共に、ホットメルト接着剤が身体側に配置された不織布203から浸み出すことがないため、肌触りを良くすることができ、さらには外観性も向上させることができる。また伸縮性複合シートが裁断された場合に裁断端部においても線状弾性体202が確実に保持されている。このため、裁断端部において線状弾性体202の接着が外れて線状弾性体202の端部がシート内に引っ込んでしまうことによる線状弾性体202の非存在部が生じる虞がない。また、液拡散性繊維シート201にアンカー部218aが形成されることにより、紙シート等からなる液拡散性繊維シート201が水に晒された場合でも、液拡散性繊維シート201を破れにくくすることができる。また、ホットメルト接着剤の使用量を削減できるため、コストの低減を図ることができる。また、ホットメルト接着剤の使用量を削減できるため、使用後の使い捨て衣類1が廃棄された場合に、環境に対する影響を低減することができる。また、ホットメルト接着剤の使用量を削減できるため、胴部装着部20の通気性、汗等の蒸散性も向上させることができる。
【0024】
(エンボス処理)
液拡散性繊維シート201には、エンボス処理が施されていることが好ましい。
図5は、エンボス処理により凹部211と凸部212からなる凹凸部213が形成された液拡散性繊維シート201の一例を示す。凹部211及び凸部212は、例えばエンボスロールによりエンボス加工を行うことにより液拡散性繊維シート201の全面に形成することができる。エンボス加工は、例えば周面に複数の突起が設けられた一対のエンボスロールにより液拡散性繊維シートを押圧することにより施すことができる。また、エンボス加工による凹凸部213の断面形状も、
図5に示す波形に限らず、例えば、三角形、四角形、半円形等であってもよい。液拡散性繊維シート201の表面に凹凸部213を形成することにより、液拡散性繊維シート201を嵩高な状態とすることができる。ただし、液拡散性繊維シート201の表面に凹凸部213を形成する手法は、エンボスロールによるエンボス加工に限らず、他の手法で形成してもよい。
【0025】
エンボス処理による凹凸部213は、
図5に示すような凹凸形状に限らず、凹形状のみ、凸形状のみであってもよい。すなわち、非平坦部は、一例である凹凸部213に限らず、同等に機能する各種の形状が適用可能である。さらに、一部に平坦部を含んでいても、全体として非平坦部であればよい。液拡散性繊維シート201は、エンボス処理が施されることにより、エンボス処理を施されていない場合に比べて強度が低下して脆弱部が生じる。さらにエンボス処理は、液拡散性繊維シート201の表面に凹凸部213を形成する場合に限らず、周面に突起を有さない平ロールにより液拡散性繊維シート201を押圧することにより施しても良く、周面に複数の突起が設けられた一対のエンボスロールと、周面に突起を有さない平ロールとを組み合わせて行っても良い。また1回の処理に限らず、複数回の処理を行っても良い。
【0026】
図6は、エンボス加工を施した液拡散性繊維シート201に、通気性シート203、205を貼り合せて積層体とした例である。
図6に空気の流れを示すように、空気A1は、通気性シート205の内側を通過する。第2パターンにおいて、空気A2は、通気性シート203、液拡散性繊維シート201と通気性シート205との間を交互に通過する。なお、液拡散性繊維シート201と通気性シート205との間を接着する糊材214は、液拡散性繊維シート201と通気性シート205との間において部分的に塗布されてもよい。そのため、空気A2は、液拡散性繊維シート201と通気性シート205との間において、糊材214の塗布されていない空間を通過することができる。第3パターンにおいて、空気A3は、通気性シート203、液拡散性繊維シート201、通気性シート205の順に通過する。なお、第3パターンにおいて、空気A3は、図中に破線で示すように、通気性シート205、液拡散性繊維シート201、通気性シート203の順に通過することもできる。なお、空気の通過する形態は、上述した3パターンに限らず、種々の形態が考えられる。例えば空気は、凹凸部213を横切るように通過することもできる。
【0027】
エンボス処理は、液拡散性繊維シート201のみにエンボス加工を行って施す場合に限らず、液拡散性繊維シート201に通気性シート203、205、繊維状弾性体202の一部を積層した後、あるいは全てを積層した後にエンボス加工することによって施すこともできる。
図7、
図8は伸縮性複合シートを製造する方法の一例を示し、
図7は通気性シート203、液拡散性繊維シート201、通気性シート205及び図示しない線状弾性体202を伸長状態で積層した後、一対のエンボスロール301、302間を通過させてエンボス処理を施して複合シートを得る方法を示し、エンボスロール301、302通過後に線状弾性体202の張力が解放されることにより、凹凸部213からなる皺213aが形成された伸縮性複合シート200が得られる。
図8は、液拡散性繊維シート201を、周面に突起を有する一対のエンボスロール301、302間を通過させてエンボス処理を施した後、通気性シート203、205及び接着剤を塗布した線状弾性体202(図示せず)を伸長状態で重ね合わせ、更に一対の平ロール303、304間を通過させて積層一体化して複合シートを得る方法を示し、平ロール303、304通過後に線状弾性体202の張力が開放されることにより、凹凸部213からなる皺213aが形成された伸縮性複合シート200が得られる。複合シート200における皺213aは、エンボス処理により液拡散性繊維シート201に脆弱部が形成されることにより容易に形成され、線状弾性体202の張力が解放され線状弾性体202が元の状態への復元力により形成されると考えられる。また、液拡散性繊維シート201に脆弱部が形成されていると、線状弾性体202の弾性力が損なわれにくくなるため、脆弱部を起点として皺213aが容易に形成される。皺213aは、線状弾性体202の伸縮方向に沿って複数形成される。皺213aは、複合シートに部分的に形成されていてもよいが、全体に形成されていることがより好ましい。このような細かい皺213aを有する伸縮性複合シート200よりなる胴部装着部20は、表面の接触面積が少なくなるため、肌触りが良くなる。また、細かい皺213aが発生することにより、光の吸収性が高まると共に、透けにくくなるため、着用者の体のラインを目立ちにくくすることができる。このような皺213aが複数形成されると伸縮性複合シートの内部には多くの隙間が形成され、このような複数の皺213aを有する伸縮性複合シート200により胴部装着部20を構成することにより、胴部装着部20の通気性をより向上させることができる。液拡散性繊維シート201に形成される連続する凹凸部213の本数は、例えば、1cm当たり15〜50本程度が好ましい。
【0028】
伸縮性複合シート200は、通気性シート203、205の間に液拡散性繊維シート201が介在した構成を有しているため本来通気性に優れているが、各シート及び線状弾性体202を積層一体化するために用いる接着剤の部分的塗布による非接合部219が形成されていると、非接合部219において空気が流通しやすくなるため、より通気性が向上する。更に液拡散性繊維シート201の凹凸部213や、伸縮性複合シート200表面の微細な皺213aの存在により、凹凸部213や皺213aの空隙部を通って空気が流通し易くなるため、更に通気性を向上させることができる。伸縮性複合シート200が表面に微細な皺213aが形成されていると、肌との接触面積が少なくなるため肌触り感が向上し、また伸縮性複合シート200の表面積が増加する結果、尿等の吸収性が向上し、蒸散性も向上する。また伸縮性複合シート200表面に微細な皺213aを有することで、透けにくくなる等の効果がある。
【0029】
液拡散性繊維シート201に、エンボスロール等を用いて、抜き孔、パンチング等の孔形成加工を施すことにより、液各線性繊維シート201の表面に適度な大きさの孔、裂け目、切り込み等を形成することができる。この処理は、液拡散性繊維シート201単独で施してもよいし、伸縮性複合シート全体に施しても良い。液拡散性繊維シート201に孔形成加工や前記エンボス処理が施されていると、胴部装着部20を更に柔軟性、ふっくら感に優れた感触とすることができる。
【0030】
使い捨て衣類1は、
図1に一例として示すように、胴回り部21や胴部装着部20に印刷が施されていても良い。紙シート等からなる液拡散性繊維シート201は、不織布等からなる通気性シート203、205と比べて鮮明な絵柄を印刷することができるため、印刷を施す場合、
図3に示すように液拡散性繊維シート201の表面に印刷層201aを形成することが好ましく、使い捨て衣類1の表面に、美麗な色彩、模様、写真等(以下、「写真等」ともいう)を印刷することができ、着用者Pの使い捨て衣類1の装着に対する抵抗感をより低減することができる。
【0031】
印刷層201aは、例えば、インクジェット印刷等により形成することができる。印刷層201aの表面は、例えば、ニス引き加工を行ったり、バインダーを加えたりすることにより、色落ち防止処理がなされていることが好ましい。バインダーとしては、PVA,CMC,EVA,アクリル,ラッカー等公知の材料があげられる。また、色落ち防止処理がなされているインクを使用することもできる。
【0032】
なお、液拡散性繊維シート201の厚みが薄い場合には、印刷層201aをフレキソ印刷により形成することが望ましい。フレキソ印刷は、版と液拡散性繊維シート201との間の接触面がフレキソ印刷が押版の為、接触面が少ない、印圧が低い等の特徴を備えている。そのため、版から液拡散性繊維シート201を剥がし易く、薄い液拡散性繊維シート201に印刷層201aを形成するのに適している。
また、フレキソ印刷では、使用できるインクの種類が多いため、例えば、ノズル等を通してインクを吐出させるインクジェット印刷のように、インクの粘度等に制約を受けることが少ない。そのため、印刷層201aをフレキソ印刷により形成した場合は、印刷できる絵柄の自由度を高めることができる。なお、印刷層201aに絵柄を印刷する場合に、版によって印刷される絵柄を、線状弾性体202の伸縮方向に伸ばしておくことにより、着用者が使い捨て衣類1を装着したときに、表面に所望の形状の絵柄が表れるようにすることができる。具体的には、線状弾性体202を伸ばさない状態において、完成時の絵柄の大きさを100%とした場合、印刷版の絵柄の比率を、線状弾性体202の伸縮方向に110〜350%となるように形成することが好ましい。これによれば、着用者が使い捨て衣類1を装着したときに、絵柄が不自然に拡大されることがないため、より美観に優れた製品となる。
尚、液拡散性繊維シート201に印刷層201aを形成する場合、印刷層201aはエンボス処理を施す前の液拡散性繊維シート201に形成してもよいし、エンボス処理を施した後に形成してもよい。エンボス加工により、液拡散性繊維シート201の表面に複数の凹部、凸部等の形状を形成することにより、通常の印刷では表現できない立体的なデザイン、見る角度によりニュアンスの異なるデザイン等の表現が可能となる。
【0033】
図3Aから
図3Dは、胴部装着部20のバリエーションを示した図である。
図3Aは、液拡散性繊維シート201の外側に通気性シート205が配置され、液拡散性繊維シート201と通気性シート205の間に印刷層201aが設けられている。
図3Bは、液拡散性繊維201と線状弾性体202との間に、更に通気性シート206が配置されている。
図3Cは、液拡散性繊維シート201と通気性シート206との間に、更に通気性シート207が配置されている。
上述した
図3Aから
図3Cの構成では、液拡散性繊維シート201において、印刷層201aの更に外側に通気性シート205が配置されるため、摩擦により印刷層201aの写真等が剥げたり、色落ちしたりする不具合を軽減することができる。
【0034】
図3Dは、通気性シート205の表面に印刷層201aが形成されている。この構成によれば、印刷層201aに形成された写真等が浮き上がって見えるため、着用者等は、液拡散性繊維シート201がない場合に比べて、より鮮明な写真等を見ることができる。
ホットメルトは光透過性を有するため、印刷層201aの表面に塗布することにより、水に濡れても印刷層201aの写真等がぼやけたり、滲んだりすることがない。そのため、印刷層201aとなるインクは、水性、油性のいずれでもよく、様々な種類のインクを使うことができる。また、摩擦により印刷層201aの写真等が剥げたり、色落ちしたりする不具合を軽減することができる。
【0035】
伸縮性複合シートには、特に図示しないが、吸収性ポリマー層を配置することもできる。また最も外側に配置される通気性シート205の表面に、撥水剤をコーティングしてもよい。撥水剤としては、油性、シリコン系、テフロン(登録商標)系等を用いることができる。このように、最も外側の通気性シート205の表面に撥水剤をコーティングすることにより、外側からの水分の侵入をより効果的に抑制することができる。
【0036】
吸収性ポリマーとしては、ポリアクリル酸ナトリウム等の高吸収性高分子材料が用いられる。吸収性ポリマーは、例えば液拡散性繊維シート201と通気性シート203との間に顆粒又は粉末の状態で吸水性ポリマー層として保持することができ、この場合、尿等を吸収性ポリマー層により速やかに吸収させることができる。また、吸収性ポリマー層の外側に液拡散性繊維シート201、通気性シート205が配置されているため、尿等の外側への浸み出しをより効果的に抑制することができる。また、最も身体側には、通気性シート203が配置されているため、肌触りと通気性に優れている。一方、吸水性ポリマー層を液拡散性繊維シート201の、通気性シート205側に設けた場合、尿等の多くを液拡散性繊維シート201により吸収させることができるため、吸水性ポリマーの使用量を少なくすることができる。
【0037】
最も外側に配置される通気性シート205の表面には、微細な孔を複数形成してもよい。このような孔を設けることにより、通気性をより向上させることができる。この孔は、例えば、ドット状に規則的に形成されていてもよいし、ランダムに形成されていてもよい。また、この孔は、通気性シート205の全面に形成されていてもよいし、部分的に形成されていてもよい。
【0038】
(非親水性シート)
伸縮性複合シート200は、
図9A,
図9Bに示すように更に非親水性シート209が配置されていても良い。
図9Aに示す伸縮性複合シート200は、第2の通気性シート205と液拡散性繊維シート201との間に、非親水性シートとしての疎水性シート209が配置されている。疎水性シート209としては、空気は通過させるが、水分は通過させない特性を有する透湿性フィルムが好ましい。液拡散性繊維シート201の第2の通気性シート205側の表面に印刷層201aが形成されている場合、疎水性シート209は、印刷層201aの視認性を良くするために、透明度の高い透湿性フィルムを用いることが好ましい。その場合、印刷層201aに形成された精細な写真等をより鮮明に見せることができる。なお、疎水性シート209は、透明度の高いものに限定されず、例えば半透明であってもよい。
【0039】
図9Bに示す伸縮性複合シート200は、第2の通気性シート205と液拡散性繊維シート201との間に疎水性シート209が配置され、疎水性シート209の通気性シート205側の表面に印刷層201aが形成されている。
図9Bに示す例では、線状弾性体202が液拡散性繊維シート201と第1の通気性シート203との間に配置されているが、線状弾性体202は、液拡散性繊維シート201と疎水性シート209との間に配置されてもよい。
なお、液拡散性繊維シート201又は疎水性シート209に印刷層201aを形成した場合、印刷層201aの視認性を良くするため、線状弾性体202は、印刷層201aよりも通気性シート205側に配置しないことが好ましい。また、疎水性シートは、非親水性のものに限らず、防水性のもの等であってもよい。
尚、上記例では、疎水性シート209を設けた場合を示したが、疎水性シートの代わりに親水性シートを設けてもよく、親水性シートを設けることがより好ましい。
【0040】
図10は線状弾性体の配置のバリエーションを示し、線状弾性体202は、
図10A〜
図10Cに示すように、直線状に配置されていてもよいし、
図10Dに示すように、曲線状に配置されていてもよい。また、曲線の形状として、
図10Eに示すように、波形であってもよい。さらに、線状弾性体202は、
図10Fに示すように、一部に直線又は曲線が含まれる線として配置されていてもよい。さらに、
図10Gに示すように、幅方向も平行に配置された線状弾性体202のみならず、それと垂直方向に配置された線状弾性体202を備え、線状弾性体202が格子状になっていてもよい。また、
図10Hに示すように、格子状の線状弾性体202が斜めに配置されていてもよい。線状弾性体202は、伸縮性複合シート200の全体に亘り連続したもの(例えば
図10A等)であっても、非連続なもの(例えば
図10B等)であっても良い。
【0041】
本発明の使い捨て衣類1は、部分的に線状弾性体202が配置された伸縮性複合シート200を用いることにより、着用者の身体に対して押圧力を付与する部位や押圧力の大きさを変えることができる。
図11Aは使い捨て衣類1の前部及び/又は後部の両側部に線状弾性体202が位置するように配置した例、
図11Bは前部及び/又は後部の中央部に線状弾性体202が位置するように配置した例、
図11Cは前部及び/又は後部の両側部と中央部との中間に線状弾性体202が位置するように配置した例、
図11Dは前部及び/又は後部の上方の両側部と中央部との間に線状弾性体202が位置するように配置するとともに、前部及び/又は後部の股下部に線状弾性体202が位置するように配置した例、
図11Eは前部及び/又は後部の上方の両側部及び前部及び/又は後部の股下部20cの両側に線状弾性体202が位置するように配置した例を示す。また
図11Fは、前部及び/又は後部の下方両側部に位置するように線状弾性体202を配置した例、
図11Gは前部及び又は/後部の股下部を中心とした左右に位置するように線状弾性体202を斜めに配置した例、
図11Hは前部及び/又は後部の中央部上方の左右に位置するように線状弾性体202を斜めに配置した例、
図11Iは前部及び又は/後部の股下部を中心とした左右と、中央部上方の左右に位置するように線状弾性体202を斜めに配置した例を示す。線状弾性体202を左右に斜めに配置する場合、各部において同じ向きであっても、異なる向きであってもよい。また
図11A〜
図11Iに示すパターンを、例えば使い捨て衣類1の表面側と裏面側とで異なるように組み合わせて配置してもよい。
【0042】
本発明の使い捨て衣類1において、胴部装着部20は線状弾性体202が全体に配置されていることが好ましい。中でも
図10Aに示すように、連続した線状弾性体202を所定間隔で複数配置した伸縮性複合シート200を用い、線状弾性体202の伸縮方向が胴回り方向となるようにすると、使い捨て衣類1の身体に対するフィット性が良く、また伸縮性複合シートの製造も容易であるため好ましい。尿吸収体を設けておむつ等として使用する場合、吸収体が尿を吸収して重量が増した場合でもずり落ちないようにするため、胴回り部21の幅を大きくして着用者のウェスト部を強めに締め付けるようにすることが必要であったが、本発明の使い捨て衣類1では、胴回り部21の弾性力のみで身体にフィットさせるものではなく、胴部装着部20の全体に線状弾性体202が配置されていると、使い捨て衣類1の身体に対するフィット性が高まるため、丈を通常の下着類と同様にして着用者の腰骨位置や腰骨より下側で装着するようにデザインできる。使い捨て衣類1は、胴部装着部20が伸縮性を有するため、胴回り部21を必要以上に幅広にする必要がないため、装着時に胴回り部21の上端部がズボン、スカート等からはみ出る虞がなく、着用時の見栄えが良く、着用者が抵抗感や違和感なく装着できる。
【0043】
図12Aは、使い捨て衣類1の前部及び/又は後部の中央部には上下方向に線状弾性体202を配置し、その両サイドには左右方向に線状弾性体202を配置した例を示す。
図12Bは、使い捨て衣類1の前部及び/又は後部の中央部のみに上下方向に線状弾性体202を配置した例を示す。使い捨て衣類1は、表側と裏側とに
図12Aに示すパターンと
図12Bに示すパターンを組み合わせて構成しても良い。また使い捨て衣類1の表側あるいは裏側を
図12A、12Bのいずれかのパターンとし、反対側の面は線状弾性体を配置しない組み合わせとしたり、
図11A〜
図11I等に示すパターンと組み合わせたりしても良い。そのようにすることで、線状弾性体202が身体や弾性シート17を介して吸収体を身体へ押圧することができる。
【0044】
本発明の使い捨て衣類1は、
図13Bに示すように、胴回り部21と胴部装着部20が伸縮性複合シートによって一体に形成されていても良く、
図13A、
図13Cに示すように、別体の部材で構成されていても良い。胴回り部21と胴部装着部20とを別体の部材で構成する場合、
図13Aに示すように胴回り部21下端の内側(身体側)と、胴部装着部20上端の外側との間で接合部21aを形成し、一体化されていると、より身体を押圧することができる。
【0045】
また
図13Cに示すように、胴回り部21下端の外側と、胴部装着部20上端の内側(身体側)との間で接合部21aを形成して一体化されていていると、身体が過度に締め付けられるのを防止できる。胴回り部21と胴部装着部20とを接合にはホットメルト接着剤等による接着、縫合、ヒートシール、超音波接合等の方法が挙げられる。胴回り部21と胴部装着部20を伸縮性複合シートにより一体に形成すると、使い捨て衣類1の製造が容易となる。一方、胴回り部21と胴部装着部20を別体の部材で構成すると、胴回り部21と胴部装着部20とで、弾性を異ならせたり、部材の厚み、材質等を変えることで保温性、通気性、肌触り等を容易に異ならせることができる。また異なる製造場所で製造した胴回り部21と胴部装着部20とを合わせて製造したり、汚れが生じた場合、胴回り部21と胴部装着部20とを分断し、汚れた部分を取り換えることも可能となる。
【0046】
使い捨て衣類を、上記した如き不織布等の通気性シートの間に、紙シート等の液拡散性繊維シートと線状弾性体とを介在させた伸縮性複合シートで構成した場合、不織布の間に弾性体を介在させた従来のものに比べ、製造が容易となり製造コストの低減を図れるとともに、使用後の使い捨て衣類の破棄も容易となる。即ち、不織布はホットメルト等の接着剤との親和性が低いため、衣類としての必要な強度をシートに持たせるためには、不織布及び弾性体相互を接合するためにはホットメルトの使用量が多く必要となり、接合に時間も長くかっていた。これに対して紙シート等の液拡散性繊維シートとはホットメルト等との親和性が不織布より高いため、少ないホットメルト使用量でも十分な接合強度を得ることができるため、ホットメルト使用量の低減化、接合時間の短縮を図ることができ、接合のために複雑な装置を用いる必要がなく、製造が容易となる。また伸縮性複合シートに必要な強度を得るために、従来はホットメルトの使用量を多くしたり、不織布を2層以上に重ねて接合する等の方法が採用されており、このため強度は高まるものの破棄する際に破断することが容易ではなかった。これに対し、不織布等の通気性シートの間に紙シート等の液拡散性繊維シートを介在させた伸縮性複合シートの場合、液拡散性繊維シートとホットメルトとの親和性が良いことでホットメルト等の使用量を低減できるとともに、液拡散性繊維シートの存在によってシート全体の強度が向上されるため、不織布等の通気性シートを重ねて使用しなくても必要な強度を得ることができる。このため十分な強度の使い捨て衣類を容易に得ることができるとともに、使用後には容易に破断して破棄することができる。
【0047】
(弾性シート)
本発明の使い捨て衣類1をおむつとして使用する場合、胴部装着部20内側の前部20aから後部20bへ、着用者Pの股下を通って伸びる弾性シート17を設けても良い。弾性シート17は、例えば、不織布、透湿性のフィルム、紙等のシート部材に紐状のゴムを接合したものであってもよく、それ自体が弾性を有するゴム、ウレタン、シリコンシート、ストッキングのような素材、ニット等であってもよい。弾性シート17を設けると、吸収体の身体への押圧性が更に高まるとともに、装着時において、生殖器、泌尿器の形状を隠すことができ、サポーターの代わりとして用いることも可能である。弾性シート17は長手方向(胴部装着部20の前部20aから後部20bへ向かう方向)へ伸縮性を有するように設けることが好ましい。弾性シート17の内側には、吸収体10を設けることができる。弾性シート17に吸収体10を設けた場合、装着時に伸ばされた弾性シート17の収縮力と、伸縮性を有する胴部装着部20の収縮力とにより、吸収体10が身体側に押圧され、装着時における吸収体10の凸状の膨みが抑制され、身体と吸収体10との間の隙間が少なくなるため、身体への密着性が向上する。このため単に伸縮性を有する弾性シートを設け、この弾性シート上に吸収体を設けただけの従来のものに比べて股下部20cにおける膨らみが抑制されるため、見栄え、装着感が向上する。胴部装着部20の伸縮方向に対して弾性シート17の伸縮方向が交差する方向となるように弾性シート17が取り付けられていると、使い捨て衣類の装着時に胴部装着部20が伸張した際に、弾性シート17と胴部装着部20との前部側接合部と後部側接合部は、相互の間隔が広がる方向に引かれ弾性シート17が伸張し、かつ弾性シート全体が上方に持ち上げられる。このため弾性シート17に取り付けられた吸収体10は身体方向に押され、吸収体10の身体への密着性が高められる。特に弾性部材202が配置された伸縮性を有している股下部に対し、伸縮方向が股下部の伸縮方向と交差する方向となるように弾性シート17が設けられていると、着用者が着用する際に胴部装着部20が幅方向に伸張すると、特に足回り開口部20fが幅方向に伸張することにより、股下部が上方向に押し上げられ、股下部による押圧力と、弾性シートによる押圧力とが相俟って、吸収体10を確実に身体に密着させることができる。また、着用者の動きにより胴部装着部20が変動したとしても、胴部装着部20と弾性シート17とが別部材により構成されているがゆえに、弾性シート17の変動に対する影響が少ない。それにより、弾性シート17に後述する吸収体10が接合された場合、吸収体10は、身体を押圧し続けることができ、吸収体10により汗や尿等の漏れを防止することができる。
【0048】
弾性シート17は胴部装着部20と同様の伸縮性複合シートにより構成することができ、伸縮性複合シートとしては、例えば
図14に示すように2枚の不織布221、221の間に液拡散性繊維シート223と、糸ゴム等の弾性部材222を挟持した構成のものが挙げられる。液拡散性繊維シート223は弾性部材222より身体側に配置されていてもいなくてもよい。弾性シート17が液拡散性繊維シート223を備えていると、着用者が寝返りを打った際等に吸収体から尿漏れが生じた場合でも、弾性シート17における液拡散性繊維シート223によって漏れた尿を吸収することができる。弾性部材222としては、伸縮性複合シートにおける線状弾性体と同様のものを用いることができる。
【0049】
(弾性シートのバリエーション)
図15及び
図16は、弾性シート17の異なる態様を示す。
図15、
図16に示すように、弾性シート17は、シート全体に弾性部材222が配置されているものに限らず、弾性シート17の一部分に弾性部材が配置されているものでもよい。また弾性力の異なる弾性部材を併用することもできる。
【0050】
図15Aに示す弾性シート17は、弾性部材222が弾性シート17の長手方向に均等に配置されている。
図15Bに示す弾性シート17は、中央部には弾性部材が設けられておらず、長手方向の前後の端部に弾性部材222が設けられている。
図15Cに示す弾性シート17は、弾性部材222として、弾性の強い弾性部材222aと、それより弾性の弱い弾性部材222bとを用い、弾性部材222aが側部に配置され、それ以外の部分には弾性部材222bが配置されている。この場合、側部の弾性部材222aの弾性が強いので、身体側への密着性が高くなり、尿等の横漏れの抑制効果が高くなる。一方、側部以外は身体側への密着性が側部に比べて低いので圧迫感がない。
図15Dに示す弾性シート17は、弾性の強い弾性部材222aが中央部に配置され、それ例外の部分には弾性の弱い弾性部材222bが配置されている。この場合、中央部の弾性部材222aの弾性が強いので、臀部のくぼみにフィットし、装着性がよい。
図15Eに示す弾性シート17は、弾性の強い弾性部材222aが側部に配置され、それ以外の中央部を除く部分には弾性が弱い弾性部材222bが配置され、中央部は弾性の強い弾性部材222aと弾性の弱い弾性部材222bがそれぞれ部分的に配置されている。この場合、側部は弾性部材222aの弾性が強いので、身体側への密着性が高くなり、尿等の横漏れの抑制効果が高くなる。側部以外は、身体側への密着性が側部に比べて低いので圧迫感が少ない。また中央部の弾性の強い弾性部材222aが配置された側が臀部側となるように用いると、着用者の臀部のくぼみにフィットし、装着性がよい。
図15Fに示す弾性シート17は、弾性部材222が両側部に湾曲して配置されている。
図15Gに示す弾性シート17は、側部において、隣接する弾性部材222間の間隔が狭く、弾性部材222が密集して配置され、内側の弾性部材222は、隣接する弾性部材222間の間隔が広い。この場合、身体側への密着性が高くなり、尿等の横漏れの抑制効果が高くなる。一方、側部以外は身体側への密着性が側部に比べて低いので圧迫感がない。
図15Hに示す弾性シート17は、弾性部材222が長さ方向に連続しておらず、断続的に設けられている。
図15Iに示す弾性シート17は、弾性部材222として、弾性の強い弾性部材222aと弾性の弱い弾性部材222bとが交互に連結したものを用いている。
図15Jに示す弾性シート17は、弾性部材222が前後に、湾曲して配置されている。
【0051】
図16Aに示す弾性シート17は、弾性シート17の前後の端部において弾性を有さず、弾性シート17の中央部に弾性部材222が接合されている。
図16Bに示す弾性シート17は、弾性シート17の前後の端部に弾性の強い弾性部材222aが配置され、中央部に弾性が弱い弾性部材222bが配置されている。この場合、弾性シート17の前後部は、弾性部材222aの弾性が強いので、身体側への密着性が高くなり、尿等の横漏れの抑制効果が高くなり、また臀部のくぼみにフィットし、装着性がよい。一方中央部は、身体側への密着性が側部に比べて低いので圧迫感が少ない。
図16Cに示す弾性シート17は、弾性部材222が直線状ではなく、波打つように配置されている。
図16Dに示す弾性シート17は、弾性部材222が長手方向と短手方向に配置されており、互いに交差している。
図16Eに示す弾性シート17は、弾性部材222が格子状に斜めに交差して配置されている。
図16Fに示す弾性シート17は、
図15Fと
図16Cとを組み合わせたものである。この弾性シート17の中央部は、波状の弾性部材222が長手方向に配置され、側部に湾曲した弾性部材222が配置されている。
弾性シート17は、これらの形態に限定されず、上記
図15A〜
図15J、
図16A〜
図16Fの組み合わせでもよい。また、弾性部材222の強弱は、弾性部材222の太さ、張りの強弱、ピッチの狭い広い、連続して接合するか断続的に接合するか、等によって調整可能である。
【0052】
上記
図15A〜
図15J、
図16A〜
図16Fに示す弾性シート17は、矩形であるが、これに限定されない。例えば、
図16Gに示すような両端が広い形状でもよい。このような形状とすることで、着用者の脚部に弾性シート17の側部が接触することがなく、使用感を向上できる。この形の弾性シート17を胴部装着部20に取り付けると、
図16Hに示すようなおむつ型になる。
【0053】
上述したように、弾性シート17には、胴部装着部20の前部から後部へ延びる方向に弾性部材222が各種の形態で配置されている。そのため、弾性部材222の収縮力により、弾性シート17の表面に皺が発生し、弾性シート17と身体との間に多くの隙間が形成される。したがって、弾性シート17の通気性を向上させることができる。
弾性シート17は、
図17に示すように、弾性シートの両端部は幅方向に弾性部材222bが配置されて幅方向への伸縮性を有し、中央部は長手方向に弾性部材222aが配置されて長手方向への伸縮性を有するように構成されていても良い。この場合、弾性シート17の両端部において弾性シート17を胴部装着部20に接合した場合、胴部装着部20の胴回り方向への伸縮性を阻害する虞がない。
【0054】
また、
図15Aに一例を示すように、弾性シート17の内部に紙シート等の液拡散性繊維シート223を配置してもよい。弾性シート17の内部に液拡散性繊維シート223を配置するバリエーションは、上記
図15A〜
図15J、
図16A〜
図16Gに示す弾性シート17に共通である。弾性シート17の内部に液拡散性繊維シート223を配置することにより、仮に吸収体10から尿等が漏れた場合でも液拡散性繊維シート223に尿等を吸収させることができるため、尿等の横漏れの抑制効果をより高めることができる。また、液拡散性繊維シート223は、表面に皺が発生しやすいため、弾性シート17の内部に多くの隙間が形成される。そのため、弾性シート17の通気性を向上させることができる。弾性シート17にはエンボスが施されていても良い。エンボス処理は、弾性シート17に挟み込む前に液拡散性繊維シート223に施しても良いが、液拡散性繊維シート223を弾性シート17に内在させた後、弾性シート17に施しても良い。弾性シート17ないし液拡散性繊維シート223にエンボス処理が施されていると、弾性シート17の柔軟性を向上することができ、肌触り感がより向上されることで、吸収体10の着用者の身体への密着性をより向上することができる。
【0055】
(弾性シートと吸収体との接合)
図18、
図19は、弾性シート17と吸収体10との接合を説明する図である。
図18Aは、吸収体10が接合された弾性シート17の平面図である。
図18Bは、吸収体10が接合された弾性シート17の長手方向に沿った縦断面図で、
図18AのX−X´線に沿った縦断面図である。
図18Cは、弾性シート17の幅方向に沿った縦断面図で、
図18AのY−Y´線に沿った縦断面図である。
図18、
図19に示すように、弾性シート17と吸収体10との間を接着剤16により接合されている。
図18に示す例では、接着剤16は、弾性シート17の長手方向に沿って2箇所に塗布されている。接着剤16を、
図18Aに示すように吸収体10の長手方向の両端部10a、10bよりも内側の部分に2か所塗布することにより、接着剤16で囲まれる領域の外側に非接合部30が形成される。この非接合部30において、吸収体10は、吸収体10の両端部10a、10b付近で弾性シート17に接合する場合に比べ、弾性シート17に束縛されることなく、上方又は下方にそれぞれ自由に動くことができる。また、吸収体10をその両端部10a、10b付近で弾性シート17に接合した場合、吸収体10の端部10a、10bよりも内側部分において接着剤16によって吸収体10を弾性シート17に接合すると、接着剤16と接着剤16とにより挟まれた部分より外側部分では、弾性シート17により吸収体10を確実に身体に押圧することができる。
【0056】
そのため、着用者が使い捨て衣類1を装着すると、弾性シート17の長手方向においては、
図18Bに示すように、弾性シート17の伸縮性を阻害しないとともに、弾性シート17及び吸収体10の端部が上方に持ち上がる。同様に、弾性シート17の幅方向においては、
図18Cに示すように、弾性シート17及び吸収体10の端部が上方に持ち上がる。これによれば、弾性シート17及び吸収体10と着用者との密着性が高められ、着用者の身体に対する吸収体10の密着性を向上することができるため、尿等の漏れを抑制することができる。また、弾性シート17及び吸収体10の端部が上方に持ち上がると、吸収体10の外周部(幅方向の側縁部)に形成された折り部が起立して、立体のサイドギャザーが形成され、このギャザーによって尿等の流出が防止される。またサイドギャザーが形成されることにより、吸収体10の幅方向において、身体との間に隙間が生じるため、通気性が確保される。
【0057】
図19は、弾性シート17と吸収体10との異なる接合例を示す。
図19Aに示すように、弾性シート17と吸収体10との間は、弾性シート17の長手方向において、中央の1箇所に塗布された接着剤16により接合されている。接着剤16を、
図19Aに示すように中央部の1箇所に塗布することにより、非接合部30の面積を、
図18Aに示す非接合部30の面積よりも広くすることができ、弾性シート17の伸縮性が阻害されない領域をより広くすることができる。
【0058】
そのため、着用者が使い捨て衣類1を装着すると、弾性シート17の長手方向においては、
図19Bに示すように、弾性シート17及び吸収体10の長手方向の両端部が、
図18Bよりも、さらに上方に持ち上がるとともに、着用者の股下を真下から押圧することができる。これによれば、吸収体10の長手方向の両端部を吊るすように構成された従来の使い捨ておむつに比べて、弾性シート17及び吸収体10と着用者との密着性をより高めることができるため、尿等の漏れをさらに効果的に抑制することができる。
また、吸収体10の長手方向の両端部を吊るすように吸収体10が取り付けられた従来の使い捨ておむつでは、吸収体10の柔軟性が低い(弛みが少ない)と、吸収体10と着用者との密着性が悪くなる。しかし、本実施形態の使い捨て衣類1では、吸収体10の柔軟性が低い場合でも、弾性シート17により、吸収体10の長手方向の両端部を強制的に上方に持ち上げることができるため、吸収体10と着用者との密着性をより高めることができる。弾性シート17を伸ばした状態で吸収体10を接合すると、弾性シート17の伸びた状態を維持することが難しく、また位置決めにも時間がかかるため、接合に手間と時間がかかるため、弾性シート17を伸ばさない状態で吸収体10を接合することが好ましい。
【0059】
さらに、弾性シート17の別の実施形態を
図20に示す。
図20に示すように、弾性シート17の幅を、吸収体10の幅とほぼ同一にするとともに、弾性シート17の幅方向の両側に切欠き部17cを設けてもよい。切欠き部17cは、着用者が使い捨て衣類1を装着したときに、着用者の大腿部と接する部位に設けられている。また弾性シート17には、幅方向にミシン目17d等の切断部を設け、必要に応じてミシン目17dにおいて弾性シート17を切断することにより、弾性シート17による押圧力を除くことができるようにしても良い。ミシン目17dは、弾性シート17の形状の如何に関わらず、弾性シート17に設けることができる。弾性シート17の幅が吸収体10の幅とほぼ同じ場合、着用者が使い捨て衣類1を装着すると、着用者の大腿部に、弾性シート17及び吸収体10の幅方向の両側が突っ張るように当たるため、特に弾性シート17、吸収体10に不織布を用いた場合には穿き心地が低下する。これに対して、本実施形態のように、弾性シート17の着用者の大腿部と接する部位に切欠き部17cを設けることにより、着用者の大腿部に弾性シート17が当たりにくくなるため、穿き心地を改善することができる。
【0060】
弾性シート17と吸収体10との間の接合方法は、ホットメルト等の接着剤16に限らず、例えば、縫合、ヒートシールのほか、超音波、両面テープ等による接着、その他公知の方法のいずれの方法であってもよく、又はそれらの組み合わせであってもよい。さらに、弾性シート17と吸収体10との間の接合に面ファスナー、ホック、ボタン等を用いてもよい。
【0061】
(弾性シートの胴部装着部への接合)
図2に示すように、弾性シート17は、長手方向の一端領域が胴部装着部20の前部20aに接合され、長手方向の他端領域は、胴部装着部20の後部20bに接合されて、弾性シート17は、胴部装着部20の前部20aから後部20bに亘って股下部20cの上面側に架け渡されている。なお、ここで弾性シート17の一端領域及び他端領域とは、必ずしも端部を含まなくてもよく、端部から離間した領域であってもよい。尚、弾性シート17は、面ファスナー、粘着テープ等により胴部装着部20に対して着脱可能に取り付けられるように構成されていても良い。
【0062】
弾性シート17の長手方向の端部のみを胴部装着部20に接合した場合、弾性シート17全面を胴部装着部20に接合した場合のように弾性シート17や、弾性シート17と重なる部分の胴部装着部20の伸縮性を阻害することがなく、胴部装着部20における弾性シート17との接合部以外の領域の伸縮性が保たれる。このため着用者は使い捨て衣類1を容易に着用することができる。弾性シート17と弾性シート17と重なる部分の胴部装着部の伸縮性が阻害されないため、弾性シート17に吸収体10を取り付けた場合、胴部装着部20による押圧力と、弾性シート17の押圧力がともに吸収体10に作用し、吸収体10が着用者に確実に押圧される。
【0063】
図21は、弾性シート17の両端部を、
図2に示した場合よりも胴部装着部20の上方位置において接合部C1で接合した例を示す。この場合も、着用者Pが使い捨て衣類1を装着すると、弾性シート17の弾性力と胴部装着部20の弾性力の両方が着用者Pに対して作用し、吸収体10を取り付けた場合、吸収体10は着用者側に確実に押圧される。弾性シート17は胴部装着部20の中央部より上側に接合しても、下側に接合しても良い。弾性シート17を、
図2のように、胴部装着部20の前部と後部の中央部よりも下部の間に架け渡すように接合すると、弾性シート17の押圧力は、中央や中央部より上部に接合した場合よりも弱くすることができる。しかし、吸収体10が身体側へ強く押圧されることを好まない着用者に適した製品となる。また弾性シート17を胴部装着部20の中央よりも下側に接合した場合、吸収体10を身体側に強く押圧することができるとともに、弾性シート17の長さが短くなるため、弾性シート17の製造コストを安価にすることができる。
【0064】
図22は弾性シート17と胴部装着部20との接合状態を示し、
図22Aは弾性シート17の端縁部を胴部装着部20との接合部C1としたものであり、
図22Bは弾性シート17の端縁部から間隔d1を隔てた位置を接合部C2(又はC3)としたものである。このようにすることで適切な弾性力を得るように設定することができる。
図23A〜
図23Fは、弾性シート17の胴部装着部20への取り付けのバリエーションを示した図である。
図23Aは、弾性シート17の両端部において、接合部C1で胴部装着部20に接合した場合を示す。
【0065】
図23Bは、弾性シート17の端部から長手方向に間隔d1だけ離れた位置において、接合部C2で胴部装着部20に接合した場合を示す。間隔d1は、弾性シート17の長手方向において、前端の接合部C2と後端の接合部C2との間で適切な弾性力が得られるように設定することが望ましい。
図23Cは、弾性シート17の両端部から間隔d1を隔てた位置においてスポット状の接合部C3で接合した場合を示す。スポット状接合部C3の数は、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
図23Dは、弾性シート17の両端部から間隔d1を隔てた位置においてスポット状の接合部C3で接合し、更に接合部C3から長手方向に間隔d2だけ離れた位置において、スポット状接合部C4で接合した場合を示す。この場合、弾性シート17を長手方向に引き延ばした状態を維持しながら、接合部C3及びC4で弾性シートを接合し、弾性シート17の引き延ばしを解除すると、弾性シート17の長手方向において、前端の接合部C4と後端の接合部C4との間で弾性力を得ることができる。
弾性シート17に必要な弾性力を確保できるように弾性シート17を取り付けることができれば、弾性シート17の胴部装着部20への取り付け位置は任意であるが、上記した弾性シート17の胴部装着部20への取り付け方法のうち、
図23Aに示す位置で取り付けることが望ましい。
【0066】
胴部装着部20に別部材で構成される弾性シート17を取り付け、この弾性シート17に吸収体を取り付けるようにすると、吸収体10を胴部装着部20から独立した状態で保持することができる。このため、吸収体10を胴部装着部20に一体に接合する場合に比べ、着用者が歩行した場合等に、着用者の体の動きに伴って胴部装着部20が動いても、吸収体10が身体の所定位置からずれたり、吸収体10と身体との間に隙間が生じたりする虞れがなく、吸収体10をより確実に身体に密着させることができ、汗や尿等の漏れを効果的に防止することができる。
なお、弾性シート17は、
図23Eに示すように、幅方向の中央部において、長手方向に沿うように設けられたライン状の接合部C5で胴部装着部20に接合されていても良い。
【0067】
図23Fに示す弾性シート17は、幅方向の中央部において、長手方向に沿うように設けられた複数の円形の接合部C6で胴部装着部20に接合されている。この場合、複数の接合部C6が断続的に設けられているため、隣接する接合部C6と接合部C6との間では弾性シート17の長手方向への伸縮性を維持することができる。
【0068】
図24は、弾性シート17の胴部装着部20への取り付け方の他のバリエーションを示した図である。また、弾性シート17は、胴部装着部20の身体側に配置された通気性シート203に接合されるものとする。線状弾性体202d〜202fは、通気性シート203の身体側と反対面である裏面側に配置されている。
図24Aに示す例では、弾性シート17は、胴部装着部20に配置された線状弾性体202d〜202fに対して隣接する線状弾性体間を斜めにジグザグに塗布されたホットメルト19により接合されている。ホットメルト19による、弾性シート17との接合は、線状弾性体202dは領域A、線状弾性体202eは領域C、線状弾性体202fは領域Eとそれぞれ一領域であるため、胴部装着部20のにおける線状弾性体の伸縮性が保たれる。
【0069】
図24Bに示す例では、弾性シート17は、弾性シートの端部が胴部装着部20に配置された線状弾性体と重なる位置において一点で接合され、隣接する線状弾性体と弾性シートの端部との接合位置が、弾性シート両端部において交互に接合されている。弾性シート17は、胴部装着部20における各線状弾性体の位置において点接合となるため、各線状弾性体の弾性力を失わせることなしに胴部装着部20の伸縮性が保たれる。
図24Bに示す例では、各押圧部材において、ホットメルト19により弾性シート17と接合された領域から、ホットメルト19が塗布されていない領域の方向への伸縮性がそれぞれ保たれる。また、隣接する2つの押圧部材の間がホットメルト19により接合されていないため、胴部装着部20において、隣接する2つの押圧部材の間に存在する紙シート、不織布等の横方向及び上下方向の柔軟性が保たれる。
【0070】
弾性シート17は胴部装着部20に取り付ける場合に限らず、
図25に示すように胴回り部21に取り付けることもできる。この場合、着用者Pが使い捨て衣類1を装着すると、弾性シート17と胴回り部21とが重なる部分が、着用者Pに対し胴回り部21によって押さえられるので、弾性シート17がよじれることなく着用者を押圧し、安定性が向上する。
【0071】
(弾性シートの他の接合形態)
図26、
図27は、弾性シート17の取り付け方の他のバリエーションを示した図である。
図26、
図27の各分図において、弾性シート17の位置する方が身体側となる。また、
図28は、
図27の構成における弾性シート17の取り付け位置を説明する図である。以下の説明は、通気性シートが不織布である場合を例に示す。
【0072】
図26Aに示す態様は、胴回り部21と胴部装着部20とが接合部C1で接合され、胴回り部21の延出部21bに弾性シート17の一端が接合部C2で接合されている。弾性シート17の端部が接合される延出部21bには、線状弾性体202が存在していても、存在していなくても良く、
図27Aに示すように線状弾性体202が存在しない延出部21bに弾性シート17を接合しても良い。
【0073】
ここで、延出部21bから線状弾性体202を抜いた場合における弾性シート17の取り付け位置について説明する。
【0074】
図28は、胴回り部21と胴回り部21の延出部21bとを身体側から見たときの模式図である。胴回り部21に弾性シート17を接合する場合(例えば、
図25参照)、胴回り部21を横方向に最も伸ばした状態で弾性シート17が接合される。これは、胴回り部21が伸びていない状態(以下、「復帰状態」ともいう)で弾性シート17を接合すると、胴回り部21を横方向に伸ばしたときに、弾性シート17の幅の分だけ胴回り部21の伸び代が少なくなるからである。したがって、胴回り部21に弾性シート17を接合する場合には、胴回り部21を横方向に最も伸ばした状態で弾性シート17を接合することにより、胴回り部21の伸縮作用を有効に活用することができる。
【0075】
一方、
図27Aに示すように、線状弾性体が存在しない延出部21bに弾性シート17を接合する場合には、胴回り部21を横方向に伸ばした状態で弾性シート17を接合することは好ましくない。例えば、
図28Aに示すように、胴回り部21を横方向に最も伸ばした状態において、胴回り部21上に任意の点A−Aを設定し、延出部21bの同じ位置に点B−Bを設定する。この状態で胴回り部21を復帰状態にすると、
図28Bに示すように、胴回り部21上に設定した点A´−A´の間隔と、延出部21b上に設定した点B´−B´の間隔は、Δx分のズレ量が生じる。延出部21bにおいて、線状弾性体202がない為、延出部21bの伸縮作用が、胴回り部21よりも小さいからである。このようなズレ量の発生は、弾性シート17の両端部に皺が形成される原因となり、弾性シート17に皺が形成されると弾性シート17の着用者への密着性が低下する。線状弾性体が存在しない延出部21bに胴回り部21を伸ばさない状態で弾性シート17を接合すると、胴回り部21が伸縮しても弾性シート17の端部は収縮することがなく、弾性シート17に皺が生じることがない。その結果、弾性シート17と着用者との間に隙間が発生することがなく、確実に弾性シートを着用者に密着させることができる。
【0076】
使い捨て衣類1がワンサイズ(フリーサイズ)である場合、胴回り部21は、最も伸びた状態から最も伸びていない状態までの間で装着される。そのため、着用者の腰回りが大きい場合にはズレ量が小さく、着用者の腰回りが小さくなるにつれて、ズレ量は大きくなる。このように、胴回り部21を横方向に伸ばした状態で弾性シート17を接合すると着用者の体型により装着感が異なることになる。とくに、腰回りの小さな着用者の場合、ズレ量が大きくなるため、脚を動かしたときの弾性シート17の幅方向に隙間が生じやすくなり、密着性が悪くなる。しかし、
図27A〜
図27Dに示すように、胴回り部21の延出部21bから線状弾性体を抜いて、弾性シート17を接合した場合は、着用者の腰回りの大きさによるズレ量の変動を最小限に抑えることができる。これによれば、着用者の腰回りが小さい場合であっても、ズレ量が大きくならないため、脚を動かしたときの弾性シート17の横方向に隙間が生じにくくなり、密着性が向上する。したがって、ワンサイズの使い捨て衣類1を装着する様々な体型の着用者に対して、より優れた装着感を提供することができる。なお、
図27B〜
図27Dについては、対応する
図26の構成と対比しながら説明する。
【0077】
図26A及び
図26Bから
図26D及び
図26Hに示す実施形態において、胴回り部21と胴部装着部20との接合部C1から、弾性シート17と胴回り部21又は胴部装着部20との接合部C2までの間隔d1は、3mm以上とすることが望ましい。間隔d1を3mm以上とすることにより、ヒートシールで接合部C2を形成した場合に、接合部C2の近傍に位置する胴回り部21又は胴部装着部20に配置された線状弾性体の熱による影響を抑制することができる。
【0078】
図26Aに示す形態は、胴回り部21と胴部装着部20との接合部C1の身体側に胴回り部21の延出部21bを形成し、この延出部21bに弾性シート17の端部が接合部C2で接合されている。
【0079】
図26Bに示す態様は、胴回り部21の身体側に位置する不織布215が、胴回り部21と胴部装着部20との接合部C1から延出した延出部21bを形成し、この延出部21bに弾性シート17の端部が接合部C2で接合されている。
【0080】
図26Cに示す態様は、胴回り部21と胴部装着部20との接合部C1より胴部装着部20の上端が身体側に延出した延出部22aを形成し、この延出部22aに弾性シート17端部が接合部C2で接合されている。延出部22aは、
図26Bに示すように線状弾性体202が存在していなくても良い。
【0081】
図26Dに示す態様は、胴部装着部20の外側に位置する不織布225が、胴回り部21と胴部装着部20との接合部C1より身体側に延出した延出部22aを形成し、弾性シート17の端部は、延出部22aにおいて、接合部C2で接合されている。
図26Eに示す態様は、胴回り部21の端部と胴部装着部20の端部との重なり部に弾性シート17の端部を挟み込んで接合部C3で接合している。胴回り部21端部と胴部装着部20の端部の重なり部は、胴部装着部20の端部が身体側となるように構成しても良い。また
図27Cに示すように、重なり部において胴回り部21端部、胴部装着部20端部は線状弾性体202が存在しなくても良い。
【0082】
図26Fに示す態様は、胴回り部21と胴部装着部20の接合部C1において、弾性シート17の端部が、胴部装着部20の身体側に接合部C3で接合されている。この場合、
図27Dに示すように、接合部C1における胴回り部21端部と胴部装着部20端部は線状弾性体202が存在していなくても良い。
【0083】
図26Gに示す態様は、外側の不織布225と身体側の不織布226を接合部C1で接合して胴回り部21と胴部装着部20を一体に形成し、接合部C1の位置において、弾性シート17の端部を身体側の不織布226と接合部C3で接合している。
図26Hに示す態様は、胴回り部21と胴部装着部20を一体に形成し、胴回り部21の上端において外側の不織布225の端部を身体側の不織布226よりも延出して身体側に折り返して身体側の不織布226と接合部C1で接合し、接合部Cより延出した延出部21bに弾性シート17の端部を接合部C2で接合している。折り返した不織布225を身体側の不織布226と接合する接合部Cの位置は、接合部C2との間に間隔d1が確保できる位置であればよい。例えば、身体側の不織布206を折り返した部分の直下であってもよい。
【0084】
図26A〜
図26D、
図26Hに示すように、弾性シート17を延出部21b、22aに接合すると、身体の動きによって胴回り部21や胴部装着部20が引っ張られても、弾性シート17がその動きに追従して動きにくいため、弾性シート17による身体への押圧力が変動することが少なく、また弾性シート17を胴回り部21や胴部装着部20に直接接合した場合のように、胴回り部21や胴部装着部20の伸縮性を阻害する虞もない。このため体の動きによって弾性シート17がよじれたりする虞がなく、弾性シート17に対する吸収体10の接合を良好にすることができ、吸収体10の身体に対する密着性を確実にすることができ、尿等の逆流防止性に優れる。また、弾性シート17を延出部21bや延出部22aに接合すると、弾性シート17を胴回り部21や胴部装着部20に直接接合した場合に比べ、接合部が外側表面でないため、接合部が目立たず美観に優れたものとなる。弾性シート17を延出部21b、22aに接合する場合、図示したように弾性シート17の端部は延出部21b、22aの外側(身体よりの面)に接続されていても、特に図示しないが、延出部21b、22aの内側に接合されてもよいが、内側に接続されていることが好ましい。弾性シート17を延出部の内側に接合する場合、接合部が延出部の開放端部を含むように接合しても良いが、弾性シート17の接合部を、延出部の基端部側(開放端部の反対側)よりに設け、延出部の開放端部と弾性シート17の間に隙間が形成されるように接合することが好ましい。弾性シート17を延出部内側に、延出部と弾性シート17との間に隙間が形成されるように接合すると、吸収体から尿漏れが生じた場合でも、延出部と弾性シート17との隙間が所謂尿トラップ部として機能し、尿が外に漏れ出ることを低減できる。また弾性シート17を延出部の外側に接合する場合も、内側に接合する場合も、弾性シート17が接合される延出部には線状弾性体が存在していないことが好ましい。線状弾性体が存在していない延出部に弾性シート17を接合した場合、線状弾性体の伸縮により弾性シート17に皺がよったり、弾性シート17がよじれたりすることが低減できる。この結果、弾性シート17上に支持される吸収体10に皺やよじれ等が生じる虞がなく、吸収体10を身体に確実に密着させることができる。
【0085】
弾性シート17は、接合される一端と他端がともに同じ接合形態で接合されていても、異なる接合形態で接合されていても良い。弾性シート17をヒートシール等によって接合すると、その部分に配置された線状弾性体202が劣化する虞があるが、
図26A〜
図26D、
図27A〜
図27Dに示す実施形態では、線状弾性体202が存在しないか、線状弾性体202が劣化しても全体の伸縮性に影響を及ぼさないような位置に弾性シート17が接合されるため、使い捨て衣類1の身体に対する押圧力に影響を及ぼすことがない。また
図26、
図27に示すように胴回り部21の延出部21bに弾性シート17を接合すると、弾性シート17の接合部が外観に現れないため、美観に優れた製品となるだけでなく、弾性シート17の接合部において伸縮性複合シートの伸縮性が阻害されることがなく、吸収体10を取り付けた場合でも、通常の下着類と比べて違和感のない製品とすることができる。
なお、
図26、
図27は弾性シート17を取り付ける場合について説明したが、弾性シート17に代えて吸収体10を直接取り付ける場合にも適用することができる。
【0086】
図29A〜
図29Fは、弾性シート17の取り付け方の更に異なる態様を示し、弾性シート17の端部側の幅方向の略中央部で胴部装着部20へ取り付ける場合を示している。
図29Aは、弾性シート17の両前端の略中央部において、直線形状の接合部C1で胴部装着部20に弾性シート17を接合した場合を示す。
図29Bは、弾性シート17の両前端の略中央部において、円形状の接合部C2で胴部装着部20に弾性シート17を接合した場合を示す。
図29Cは、弾性シート17の両前端の略中央部において、三角形状の接合部C3で胴部装着部20に弾性シート17を接合した場合を示す。
図29Dは、弾性シート17の両前端の略中央部において、波形状の接合部C4で胴部装着部20に弾性シート17を接合した場合を示す。
図29Eは、弾性シート17の両前端の略中央部において、略L字形状の接合部C5で胴部装着部20に弾性シート17を接合した場合を示す。
図29Fは、弾性シート17の両前端の略中央部において、X形状の接合部C6で胴部装着部20に弾性シート17を接合した場合を示す。
【0087】
図29A〜
図29Fに示す各実施形態では、弾性シート17の端部側の幅方向の略中央部で取り付けられているため、伸縮性が制限されることがなく、使い捨て衣類1の身体への密着性をより高めることができる。
図29A〜
図29Fに示す各実施形態では、胴部装着部20に、弾性シート17の略中央部が接合されているため、不定形な横皺が発生しにくく、胴部装着部20に部分的な弛みが生じることもない。したがって、通常の下着類と比べて違和感のない外観となり、美観に優れた製品となる。
なお、
図29A〜
図29Fの各図において、接合部C1〜C6は、弾性シート17の端部側の幅方向の略中央部で取り付けられていればよく、その数は1つに限定されない。また、
図29A〜
図29Fの各図に示した形状に限定されることなく、他の形状であってもよいし、複数の同じ又は異なる形状を適宜に組み合わせてもよい。さらに、
図29A〜
図29Fの各図に示した接合部C1〜C6は、弾性シート17の前端又は後端のいずれか一方のみであってもよく、他方は他の実施形態の接合部(例えば、
図23A等)で接合してもよい。
【0088】
図36は、弾性シート17を胴回り部21の延出部21bに接合した使い捨て衣類1の断面図である。図示するように、弾性シート17の前端及び後端の端部は、
図26Aに示す形態により、胴回り部21の延出部21bに接合されている。このように、弾性シート17がその接合箇所が胴部装着部20に接合されることなく延出部21bに接合されることで、その接合箇所が外観に現れることなく優れた美観を形成することができる。
【0089】
弾性シート17の取り付けに際し、
図30に示すように弾性シート17に切れ込みDを設け、この切れ込みDを挟むように接合部Eを設けて弾性シート17を接合することができる。特に弾性シート17を胴部装着部20や胴回り部21、延出部21b、22aに直接取り付ける場合、このような切れ込みDを弾性シートに設け、切れ込みDを挟むように接合部Eを設けて取り付けると、胴部装着部20や胴回り部21が引き延ばされた際に、切れ込みDが開くため胴部装着部20や胴回り部21の伸張を妨げることがない。またこのように弾性シート17を取り付けると、胴部装着部20や胴回り部21が引き延ばされた際に、弾性シート17が胴部装着部20や胴回り部21、延出部21b、22aに引っ張られ、
図31に示すように弾性シート17の縁部17bが上方(身体側)に引き上げられて所謂立体ギャザーが形成されるため尿漏れ等の防止効果が更に向上する。このような立体ギャザー効果は、弾性シート17中央部の弾性力を縁部17bの弾性力より弱くすることでより効果的に発現される。弾性シート17中央部の弾性力を縁部17bに比べて弱くするには、例えば中央部における弾性部材の数を減らしたり、中央部に用いる弾性部材の強さや質を変えることで、縁部17bより中央部の弾性力を弱くする等の方法が挙げられる。
【0090】
弾性シート17は、
図32Aに示すように、端部の内側に切れ込みDを設け、弾性シート17の端部の略中央部と切れ込みDを挟む位置に接合部Eを設けて接合しても良い。この場合、胴部装着部20や胴回り部21が引き延ばされた際に、
図32Bに示すように切れ込みDが開くため胴部装着部20や胴回り部21の伸張を妨げることを低減することができる。
【0091】
また
図33Aに示すように、弾性シート17の長手方向両端縁部に折り曲げ部を形成し、当該折り曲げ部に接合部Eを設けて弾性シート17を取り付けると、胴部装着部20や胴回り部21が引き延ばされた際に、
図33Bに示すように折り曲げ部が幅方向に開くため胴部装着部20や胴回り部21の伸張を妨げることを低減することができる。
図34Aは、端部に切れ込み部Dを有する弾性シート17を、切れ込み部Dを挟むように接合部Eにて胴部装着部20に取り付けた状態を示す。この場合、使い捨て衣類1を着用する際に胴部装着部20が伸張されると、
図34Bに示すように弾性シート17の切れ込みDが広がって胴部装着部20の伸張を妨げないとともに、弾性シート17には上方に引き上げられる力が加わり、その結果、弾性シート17によって真下から着用者への押圧力が加わり、密着性が高められる。
【0092】
図35A〜
図35Hは、胴部装着部20へ取り付ける弾性シート17のさらに他のバリエーションを示した図である。
図35A〜
図35Hの各図は、着用者の股下を通る伸縮可能な方向を基準として、弾性シート17の両端部の領域のうち少なくとも一方端部に、切り込み部D1〜D8を設けたことにより、幅方向への胴部装着部20の伸縮に応じて幅方向に自在に伸縮可能な弾性シート17のバリエーションを示している。このような切り込み部D1〜D8を設けたことにより、弾性シート17は幅方向への伸縮が可能となり、着用者が着用した際に胴部装着部20は弾力性を失うことなく伸縮することができる。
図35A〜
図35Hでは、胴部装着部20及び吸収体10の図示を省略し、平面的に展開した弾性シート17、切り込み部D1〜D8及び接合部E1〜E8を図示する。
【0093】
図35Aに示す弾性シート17には、両端部の領域において直線形状の複数の切り込み部D1が各々形成されている。弾性シート17は、胴部装着部20、胴回り部21、延出部21b、22aにおいて、接合部E1で接合することができる。弾性シート17は、このようにして切り込み部D1が形成されていることにより、切り込み部D1が幅方向に開くことによって胴部装着部20に接合部E1で接合されているにも関わらず、幅方向への胴部装着部20の伸縮に追随して自在に幅方向に伸縮することができる。従ってかかる切り込みを有する弾性シート17を接合部E1にて胴部装着部20に接合することにより胴部装着部20の伸縮性が制限され難く、着用者が着用の際にも、弾性シートのひきつり等も抑制される。これにより、着用時、特に弾性シート17と胴部装着部20との接合部周辺において、外観上違和感が生じるようなこともなく、着用時にも審美性の高い使い捨て衣類として提供される。
【0094】
また切り込み部D1は、弾性シート17の伸縮方向に沿って縦長な形状として形成されている。このように、切り込み形状を伸縮方向に沿って縦長形状で形成したことにより、胴部装着部20が幅方向に伸縮した際にこの伸縮に応じてD1が開口することで自在に幅方向に延びることが可能となる。更には、隣り合う各切り込み部D1同士は、互いに伸縮方向に所定長さ(P1)ずれて形成されている。このように所定長さ(P1)ずれて切り込みD1同士が形成されていることによって、胴部装着部20の幅方向の伸縮に、より適応した伸縮延びが可能な構成となっている。
【0095】
図35Bに示す弾性シート17は、
図35Aの弾性シート17の構成において、複数の切り込み部D1よりピッチ幅の広い切り込み部D2が各々形成されている。同様に、接合部E2において、胴部装着部20、胴回り部21、延出部21b、22aに弾性シート17を接合することができる。
図35Bに示す弾性シート17も、
図35Aに示す弾性シート17と同様に、切り込み部D2が形成されていることにより、胴部装着部20に接合部E2で接合されていても、幅方向への胴部装着部20の伸縮に追随して自在に幅方向に伸縮することができる。従ってかかる切り込み部D2を有する弾性シート17が、接合部E2にて胴部装着部20に接合されていても、胴部装着部20の伸縮性が制限され難く、着用者が着用の際にも、弾性シートのひきつり等も抑制される。これにより、着用時、特に弾性シート17と胴部装着部20との接合部周辺において、胴部装着部の伸縮性が阻害されないことから、外観上違和感が生じるようなこともなく、着用時にも審美性の高い使い捨て衣類として提供される。
【0096】
図35Cに示す弾性シート17には、その略全面領域において直線形状の複数の切り込み部D3が形成されている。また接合部E3において、胴部装着部20、胴回り部21、延出部21b、22aに弾性シート17を接合することができる。かかる構成では、弾性シート17に、切り込み部D3が、弾性シート17のほぼ全面領域に亘って形成されているため、上記と同様に弾性シート17が胴部装着部20に接合されていても、胴部装着部20の伸縮性が制限され難く、上記同様に、着用時、特に弾性シート17と胴部装着部20との接合部周辺において、胴部装着部の伸縮性が阻害されないことから、外観上違和感が生じるようなこともなく、着用時にも審美性の高い使い捨て衣類として提供される。これに加え、略全面領域に形成された切り込み部D3により、着用時に吸収体等を弾性シート上に配置したとしても、湿気等を逃がし蒸れ等を抑制し、より良好な通気性や透湿性を有する。
【0097】
図35Dに示す弾性シート17には、その略全面領域において、
図35Cの弾性シート17の構成において複数の切り込み部D3よりピッチ幅の広い切り込み部D4が各々形成されている。また接合部E4において、胴部装着部20、胴回り部21、延出部21b、22aに弾性シート17を接合することができる。かかる構成では、弾性シート17に、切り込み部D4が、弾性シート17のほぼ全面領域に亘って形成されているため、上記と同様に弾性シート17が胴部装着部20に接合されていても、胴部装着部20の伸縮性が制限され難く、上記同様に、着用時、特に弾性シート17と胴部装着部20との接合部周辺において、胴部装着部の伸縮性が阻害されないことから、外観上違和感が生じるようなこともなく、着用時にも審美性の高い使い捨て衣類として提供される。これに加え、略全面領域に形成された切り込み部D4により、着用時に吸収体等を弾性シート上に配置したとしても、湿気等を逃がし蒸れ等を抑制し、より良好な通気性や透湿性を有する。
【0098】
図35Eに示す弾性シート17においては、直線の切り込み部D5が、両端の略中央部に設けられている。また接合部E5において、胴部装着部20、胴回り部21、延出部21b、22aに弾性シート17を接合することができる。かかる構成では、上記と同様に、弾性シート17が胴部装着部20に接合されていても、胴部装着部20の伸縮性が制限され難く、着用者が着用の際、弾性シートの取り付け部分等の引きつり等が抑制される。これにより、着用時、特に弾性シート17と胴部装着部20との接合部周辺において、胴部装着部の伸縮性が阻害されないことから、外観上違和感が生じるようなこともなく、着用時にも審美性の高い使い捨て衣類として提供される。
【0099】
図35Fに示す弾性シート17においては、切り込み部D6が、両端の略中央部に設けられている。接合部E6においては、胴部装着部20、胴回り部21、延出部21b、22aに弾性シート17を接合することができる。かかる構成では、上記と同様に、弾性シート17が胴部装着部20に接合されていても、胴部装着部20の伸縮性が制限され難く、着用者が着用の際、弾性シートの取り付け部分等の引きつり等が抑制される。これにより、着用時、特に弾性シート17と胴部装着部20との接合部周辺において、胴部装着部の伸縮性が阻害されないことから、外観上違和感が生じるようなこともなく、着用時にも審美性の高い使い捨て衣類として提供される。
尚ここでは、切り込み部D6の形状はV字形状の切欠き形状として形成されている。このように、本発明において「切り込み部」には、単なる直線状や曲線状の切り込み形状のみならず、切り込み部D6のような、所謂切り落とし部分を有するような形状のほか、後述する、孔形状などが含まれてよい。このように、「切り込み部」として、切欠き形状や孔形状を構成することにより、着用時の蒸れを抑制し、通気性や透湿性等をより一層向上させることができる。
【0100】
図35Gに示す弾性シート17においては、切り込み部D7が楕円形状の孔の態様である。この場合、上述の効果のように、通気性や透湿性等に優れる。
図35Gに示す弾性シート17も、接合部E7において、胴部装着部20、胴回り部21、延出部21b、22aに接合することができる。
【0101】
図35Hに示す弾性シート17においては、切り込み部D8が円形状の孔の態様である。この場合も、上述の効果のように、通気性や透湿性等に優れる。
図35Hに示す弾性シート17も、接合部E8において、胴部装着部20、胴回り部21、延出部21b、22aに接合することができる。
【0102】
以上説明した、
図35A〜
図35Hの各分図に示した弾性シート17のバリエーションにおいては、少なくとも複数の切り込み部が形成された領域において、接合部で接合されている胴部装着部20の伸縮に追従してその横幅方向に弾性シート17が良好に伸縮する。これらの実施形態では、接合部を
図35A〜
図35Hに示すように、弾性シート17の、前記横幅方向の伸縮が想定される領域のシート端などに設けることが好ましい。接合部をこのように設けることにより、切り込み部が設けられた弾性シート17が、胴部装着部の伸縮に効果的に追従し、自在に幅方向に伸縮する弾性シート17を有する使い捨て衣類となる。
以上、
図35A〜
図35Hの各分図に示した各バリエーションによれば、胴部装着部20の伸縮性が制限されることが抑制され、着用者が着用時に、弾性シートによる(特に胴部装着部20との接合部での)胴部装着部20における部分的な弛みやひきつりや等も抑制される。これにより、着用時、特に弾性シート17と胴部装着部20との接合部周辺において、外観上違和感が生じるようなこともなく、着用時にも審美性の高い使い捨て衣類として提供される。
【0103】
(胴部装着部の股下部と弾性シートの幅寸法)
弾性シート17を設ける場合、
図37に示すように、胴部装着部20における股下部20cの幅寸法L1は、胴部装着部20に接合される弾性シート17の幅寸法L2未満が好ましい。L1をL2未満とした場合、使い捨て衣類を着用した際に胴部装着部の股下部が持ち上がることにより、吸収体10の底面を身体方向に確実に押圧することができるとともに、身体の動きによって胴部装着部20が動いても、吸収体10の底面部が動きにくく、身体に対する押圧点がずれにくい等の効果がある。尚、弾性シート17を設けずに直接吸収体10を取り付ける場合、股下部20cの幅L1が、吸収体10の幅未満となるようにすることが好ましい。
【0104】
図38は、胴部装着部20の股下部20cと弾性シート17との間に隙間部Sが形成された使い捨て衣類1の断面図である。股下部20cと弾性シート17との間に隙間部Sが形成されるように弾性シート17が取り付けられていると、弾性シート17がより身体側に密着し、弾性シート17による押圧力がより発揮される。
【0105】
(使い捨て衣類の製造方法)
次に、
図38に示すパンツ型の使い捨て衣類1の製造方法について説明する。
図39Aに示すように、パンツ型に成形される前の胴部装着部20は、丈方向において対向する側縁部23a、23b、24a、24bが互いに分かれた状態となっている。この胴部装着部20に対して、弾性シート17を長手方向に伸ばした状態で接合する。なお、本実施形態では、弾性シート17の前端を前部23に接合し、後端を後部24に接合する例を示す。弾性シート17を長手方向に伸ばした状態で胴部装着部20に接合すると、弾性シート17は、その伸縮力により元の長さ(図中、左側に示す弾性シート17の長さ)に戻る。そして、弾性シート17を長手方向に伸ばした状態で弾性シート17の前端及び後端と接合した胴部装着部20と比べ、伸縮力により元の長さに戻った弾性シート17の方が短いため、股下部20cに弛み部が形成される。
【0106】
この状態で、胴部装着部20を股下部20cにおいて半折し、前部23の一方の側縁部23aと後部24の対応する一方の側縁部24aとを重ね合わせると共に、前部23の他方の側縁部23bと後部24の対応する他方の側縁部24bとを重ね合わせる。
次に、
図39Bに示すように、重ね合わせた前部23の一方の側縁部23aと、後部24の対応する一方の側縁部24aとを接合すると共に、同じく重ね合わせた前部23の他方の側縁部23bと後部24の対応する他方の側縁部24bとを接合する。シート材同士の接合には、例えば、ホットメルト、縫合、ヒートシール、超音波による接合、糊材、その他公知の方法のいずれの方法であってもよく、又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0107】
このように各側縁部同士を接合すると、
図39Cに示すように、胴部装着部20は、パンツ型に成形される。成形された胴部装着部20は、弾性シート17が外側に露出した状態となる。また、胴部装着部20の横方向(左右方向)の側縁には、接合による接合部C1が外側に露出した状態となる。
【0108】
次に、
図39Cに示すように、弾性シート17が外側に露出した胴部装着部20の裏表を入れ替える。胴部装着部20の裏表を入れ替えることにより、弾性シート17が内側に配置されたパンツ型の使い捨て衣類1が完成する。また、胴部装着部20の裏表を入れ替えることにより、接合部C1も内側に配置された状態となる。なお、胴部装着部20の裏表を入れ替える作業は、専用の装置(図示せず)を用いて自動又は半自動で行ってもよいし、手作業で行ってもよい。
【0109】
図40は、
図39に示す使い捨て衣類1の他の製造工程を示す模式図である。
図40Aに示すように、本実施形態では、予め胴部装着部20を丈方向に縮めることにより、股下部20cと弾性シート17との間に間隙部Sを形成する。すなわち、胴部装着部20を丈方向に縮めることにより、股下部20cに弛み部260を形成する。そして、股下部20cに弛み部260を形成した胴部装着部20に対して、弾性シート17を伸ばさない状態で接合する。
【0110】
この状態で、胴部装着部20を股下部20cにおいて半折し、前部23の一方の側縁部23aと後部24の対応する一方の側縁部24aとを重ね合わせると共に、前部23の他方の側縁部23bと後部24の対応する他方の側縁部24bとを重ね合わせる。
次に、
図40Bに示すように、重ね合わせた前部23と後部24の対応する側縁部を接合することで、パンツ型の胴部装着部20が形成される。
【0111】
次に、
図40Cに示すように、弾性シート17が外側に露出した胴部装着部20の裏表を入れ替えることにより、弾性シート17が内側に配置されたパンツ型の使い捨て衣類1が完成する。また、胴部装着部20の裏表を入れ替えることにより、接合部C1も内側に配置された状態となる。
なお、
図39及び
図40に示す実施形態では、弾性シート17の前端を胴部装着部20の前部23に接合し、後端を後部24に接合する例について説明したが、これに限定されない。胴部装着部20において、弾性シート17の前端及び後端を接合する位置は、本明細書において説明する種々の形態を適用することができる。
【0112】
(胴部装着部の異なる態様)
図41Aは、胴部装着部20の下端の両サイドに開放端部26を形成した場合を示す。解放端部26は、胴部装着部20を平面的に配置した状態で、下端の両サイドを裁断機等により直線状や曲線状に斜めに切断することにより形成される。胴部装着部20に開放端部26を形成することにより、通気性シート203、205との間に開口部27が形成されるため、通気性を向上させることができる。また着用者は、脚部をより動かしやすくなる。胴部装着部20の下端両サイドを切断すると、開放端部26の断面には、
図41Bに示すように、線状弾性体202の端部202bが露出する。このとき、線状弾性体202が液拡散性繊維シート201(
図41において図示しない)と接しており、線状弾性体202に塗布した接着剤により線状弾性体202を液拡散性繊維シート201に接合した場合、特にアンカー部218aが形成されていると、線状弾性体202が通気性シート205と液拡散性繊維シート201との間で強固に接合されるため、解放端部26における線状弾性体202の端部202bが内側に引っ込む虞が少なく、解放端部26における伸縮性が維持され、身体に対する密着性も維持される。
【0113】
一方、線状弾性体202に塗布する接着剤量をより少なくすると、
図41Cに示すように、解放端部26切断面において、線状弾性体202の端部202bが内側に入り込み、切断面には線状弾性体202が存在せず、通気性シート203、205と、液拡散性繊維シート201とからなる波状のフリル部300となる。フリル部300は、着用者が使い捨て衣類1を装着したときに、線状弾性体202の端部202bの接着が外れて弾性体端部202bが内側に入り込むことにより形成される。解放端部26における線状弾性体202の端部202bが内側に入り込む量は、着用時等に線状弾性体202が伸長される度合いによって異なり、着用者の脚部の太さが太いほど、線状弾性体202が伸長される度合いが大きく、フリル部300の周辺において、脚部の大きさに見合った適切な押圧力を得ることができる。なお、使い捨て衣類1の製造時に、胴部装着部20の幅方向に張力を掛けて、押圧部材202の端部202bを内側に入り込ませることにより、フリル部300を形成することもできる。
【0114】
線状弾性体202に塗布する接着剤量をより少なくすると、開放端部26にフリル部300が形成されやすくなり、フリル部300が形成されると着用者が脚部をより動かしやすくなるとともに、波状の外観により装飾性を高めることができる。また、フリル部300においても、通気性シート203と205との間に開口部27が形成されるため、通気性を向上させることができる。なお、フリル部300は、開放端部26付近に線状弾性体202が存在しないように線状弾性体202の長さをあらかじめ調整しておくことで形成することもできる。
ちなみに、従来の使い捨て衣類では、例えば、足回りの密着性を得るため、足の周囲に接する部分、特に脚部開口部の最外周部分に弾性部材を配置する等により足回りギャザーを形成していた。足回り部分を裁断した際の押圧部材抜けによる密着性の低下を防ぐためである。そのため、足回りギャザーを作製するために複雑な工程が必要となり、多数の加工機が必要となっていた。しかし、本実施形態の構成によれば、胴部装着部20の足回り部分を裁断した場合でも、裁断した部分での押圧部材抜けを抑制することができるため、足回りギャザー等を形成する必要がない。これによれば、足回りギャザーを作製するための複雑な工程、多数の加工機を不要となるため、コストの低減を図ることができる。
【0115】
(吸収体)
図42Aは、吸収体10の平面図であり、
図42Bは
図42AのX−X線に沿った断面図である。
図示するように、吸収体10は細長の略矩形部材で、トップシート11と、バックシート12と、トップシート11とバックシート12との間に配置される吸収性コア13と、折り部14と、を備える。着用者が使い捨て衣類1を着用すると、吸収体10の外周部(幅方向の側縁部)に形成された折り部14が起立して、立体のサイドギャザーとなる。なお、吸収体10の形状は矩形に限らず、くびれ形状、楕円形状、その他の公知の吸収体のいずれの形状であってもよい。また、吸収体10の構成も、上記に限らず、公知のいずれの構成であってもよい。
【0116】
(作用効果)
(1)
図43は、第1実施形態の使い捨て衣類1の作用及び効果を説明する図である。図示するように、弾性シート17上に吸収体10を配置した状態で、着用者Pが使い捨て衣類1を装着する。すると、弾性シート17が伸長されるため、弾性シート17が収縮しようとする力によって、吸収体10は身体に向かう方向に押圧される。この身体に向かう方向の押圧力によって、吸収体10は身体に密着する。また、着用者Pが使い捨て衣類1を装着すると、胴部装着部20が伸長されるため、胴部装着部20が収縮しようとする力によって、胴部装着部20の前部20a、後部20bは、身体に向かう方向に押圧される。この身体に向かう方向の強い押圧力によって、胴部装着部20が身体に密着する。
特に、弾性シート17上に吸収体10が配置されていると股下の真下方向から吸収体10を押圧することが可能となる。これにより従来と比べ吸収体10をより身体に密着することができる。
これにより、弾性シート17が身体側に押圧された状態をより確実に維持することができる。また、本実施形態の使い捨て衣類1において、弾性シート17は、胴部装着部20の股下部20c及びその周辺部において、身体に向かう方向に押圧される。そのため、弾性シート17の身体に向かう方向の押圧力をより大きくすることができる。このように、本実施形態の使い捨て衣類1は、弾性シート17が収縮する力と胴部装着部20が収縮する力との相乗作用により、弾性シート17含む胴部装着部20の全体を身体により強い押圧力で密着させることができる。
【0117】
(2)
図44Aに示すように、着用者が使い捨て衣類1を装着する前の胴部装着部20は、着用者の臀部により変形していないため、後部20bにおける押圧部材202のテンションは全面でほぼ均一となる。一方、
図44Bに示すように、着用者が使い捨て衣類1を装着すると、胴部装着部20の後部20bは、着用者の臀部の形状に応じて変形する。この変形により、線状弾性体202は、着用者の臀部において最もテンションが高くなり、腰回り方向及び股下方向に向かうに従い、テンションは低くなる。このうち、着用者の臀部に対応する後部20bに配置された線状弾性体202は、図中に矢印で示すように、着用者の臀部の左右両側から中央に向けて斜め上方に引っ張られる。また、胴部装着部20の後部20bにおいて、着用者の腰回りの外側に伸ばされた線状弾性体202は、元の状態に復元しようとする。この復元作用は、線状弾性体202のテンションが高くなるほど強く働くようになる。この結果、着用者の臀部を腰回りの中心(内側)方向に押圧する力が作用して、着用者の臀部が上に持ち上げられるため、臀部の垂れ下がりが矯正される。このように、本実施形態の使い捨て衣類1は、着用者の臀部を左右両側から中央に向けて斜め上方に引き上げる力と、着用者の臀部を腰回りの中心方向に押圧する力との相乗作用が働くことになる。これによれば、本実施形態の使い捨て衣類1は、補正下着のようなヒップアップ効果が得られるため、使い捨ての衣類でありながら、着用者の体のラインをより美しく見せることができる。ちなみに、本実施形態の胴部装着部20において、後部20bに配置される線状弾性体202の強度を、前部20aに配置される押圧部材202の強度よりも強くすることによって、ヒップアップ効果をより高めることができる。
【0118】
(3)
図45Aは、従来の一般的な使い捨ておむつを、着用者の前側から見たときの実画像である。
図45Bは、第1実施形態の使い捨て衣類1を、着用者の前側から見たときの実画像である。
図45Aに示すように、従来の一般的な使い捨ておむつは、中央部に設けられた吸収体を覆うように押圧部材が配置されていないため、着用者が装着すると、吸収体の周囲に配置された押圧部材が収縮し、吸収体と着用者の脚回りとの間(例えば、図中に白矢印で示す部分)に押圧部材が食い込むことになる。そのため、吸収体が身体よりも外側に膨らんでしまい、使い捨ておむつを装着していることを他人に気づかれてしまう。
一方、第1実施形態の使い捨て衣類1では、胴部装着部20の全体に線状弾性体が配置されているため、弾性シート17に吸収体を取り付けた場合であっても、その吸収体と着用者の脚回りとの間に押圧部材が食い込むことがない。実例として、第1実施形態の使い捨て衣類1は、
図45Bに白矢印で示す部分に線状弾性体の食い込みが少ないことが分かる。これによれば、吸収体が身体よりも外側に膨らまないため、吸収体を備えた使い捨て衣類1を装着していることを他人に気づかれにくくなる。また、通常の下着類と比べて違和感のない外観となるため、美観にも優れた製品となる。
【0119】
(4)本実施形態の使い捨て衣類1は、胴部装着部20全体を身体に密着させることができるので、ズボン、スカート等を穿いたり、脱いだりした際に、胴部装着部20がめくれることがなく、着用者の肌が露出する等の不具合を抑制することができる。このため、ウエスト部分のみで身体を締め付ける従来の使い捨ておむつのように、着用者の身体を局部的に圧迫しないため、より快適で安定感のある装着感を得ることができる。また胴部装着部20の伸縮性が高いため、脚を楽に動かすことができるうえ、ワンサイズでありながら、幅広い体型の着用者に対応させることができる。そのため、ワンサイズの使い捨て衣類1を装着する様々な体型の着用者に対して、より優れた装着感を提供することができる。
【0120】
(5)使い捨て衣類1に用いられる液拡散性繊維シート201は、紙シート等の安価な材料であり、蒸散性、通気性、吸湿性に優れ、白度が高い。液拡散性繊維シート201は、冬場は適度な保温性があり、夏場は清涼感が得られる。また、廃棄が容易であり、自然分解するため、環境に与える影響も化学繊維に比べて小さくできる。また、液拡散性繊維シート201は、孔あけ、裁断等の加工性に優れている。さらに、液拡散性繊維シート201は、表面加工により防水性を高めたり、表面強度を高めたりすることができる。
【0121】
(6)また、液拡散性繊維シート201の調湿効果によって、胴部装着部20の内部は適度な湿度に保たれるため、使い捨て衣類1に適度ななじみ感を生じさせることができる。また、このなじみ感が生じることで、布擦れ音を低減できるため、使い捨て衣類1を装着していることを他人に気づかれにくくすることができる。なお、布擦れ音とは、使い捨て衣類1の各部材と身体とが擦れたときに生じる"がさつき音"、使い捨て衣類1の各部材同士が擦れたときに生じる"がさつき音"及び使い捨て衣類1とズボン、スカート等とが擦れたときに生じる"がさつき音"等である。
【0122】
(7)本実施形態の使い捨て衣類1は、液拡散性繊維シート201に凹凸部213が形成され、空気の通過する領域が多くなるため、通気性をより向上させることができる。また、液拡散性繊維シート201に凹凸部213を形成すると、身体との接触面積が少なくなるため、液拡散性繊維シート201に尿等が吸収された場合等において、着用者の不快感を抑制できる。また、液拡散性繊維シート201に凹凸部213を形成すると、同じ大きさであっても実質的な表面積が増えるため、蒸散性、通気性、透湿性、尿等の吸収性を向上させることができる。
【0123】
(8)また、液拡散性繊維シート201に凹凸部213を形成すると、接着剤をノズルから噴霧して塗布した場合に、接着剤は液拡散性繊維シート201の全面に塗布されることなく、部分的に塗布される。そのため、液拡散性繊維シート201に対して通気性シートを接着剤により接着した場合、液拡散性繊維シート201と通気性シート等との間が部分的に接着されるため、接着により得られた複合シートの柔軟性を高めることができる。また、空気の通過する領域をより多く確保できるため、保温性及び清涼感をより向上させることができる。すなわち、液拡散性繊維シート201に凹凸部213を形成することにより、冬場は暖かく、夏場は涼しくすることができる。また、空気の通過する領域がより多く確保できるため、湿度を適切に調節することができる。
【0124】
(9)また、液拡散性繊維シート201に凹凸部213を形成することにより、液拡散性繊維シート201に立体感を与えることができる。そのため、使い捨て衣類1をより立体的な形状とすることができる。また、液拡散性繊維シート201に印刷層201aを形成した場合には、印刷された写真等をよりリアルに見せることができる。
また、液拡散性繊維シート201にエンボス加工により凹凸部213を形成した場合、液拡散性繊維シート201の紙質をより柔軟にすることができるため、着用時の肌触りをより向上させることができる。
【0125】
(10)従来の紙おむつ等の場合、吸収体を身体に押圧する力がないため、ウエストの部分のみで身体に押圧していた。その結果、吸収体を身体に密着させるには、その構造上丈を長くしなければならなかった。そのため、装着した状態でズボン、スカート等を穿いた場合、紙おむつ等の上端部がズボン、スカート等からはみ出てしまい、紙おむつ等を装着していることを他人に気づかれてしまう場合がある。一方、本実施形態の使い捨て衣類1は、胴部装着部20の身体への密着性に優れるため、胴部装着部20の丈を、従来の紙おむつ等に比べて短くすることができ、使い捨て衣類1を美観や装着感を向上できるとともに、通常の下着類に比べて違和感のない外観とすることができる。
【0126】
(11)従来の紙おむつ等は、吸収体を身体に密着させる力が弱いため、スカートを装着する女性の場合、紙おむつの上から、締め付け用の下着を重ねて着用することがあった。しかし、本実施形態の使い捨て衣類1では、締め付け用の下着を重ねて着用しなくても、吸収体を身体に強い押圧力で密着させることができる。そのため、本実施形態の使い捨て衣類1は、スカートを着用する女性に特に好適である。
【0127】
(12)本実施形態の使い捨て衣類1は、
図38に示すように弾性シート17と胴部装着部20とが接合された部分の下部に隙間部Sを形成することができ、使い捨て衣類1を身体へ密着させる力を保持しつつ、着用者Pの脚をより動かしやすくすることができる。また、隙間部Sが形成されることにより、弾性シート17を横方向にずらしやすくなるため、着用者が男性の場合、排尿がしやすくなる。また弾性シート17と胴部装着部20とが一体に接合されている場合に比べて、胴部装着部20Aの身体に向かう方向の押圧力をより大きくすることができ、胴部装着部20は、弾性シート17を身体に向かう方向により強く押圧することができる。
【0128】
(13)弾性シート17が吸収体10の全体を押さえるようにすることで、吸収体10に吸収された尿等は、直接尿等がかかった部分だけでなくその周りにも広がりやすく、吸収体10内で尿等は従来よりも広い面積で吸収できる。ゆえに、吸収体10の一部分だけが尿を吸収して膨らむ現象が従来のものより緩和され、外観性が向上する。
さらに、尿等によって吸収体10の一部が膨れると、吸収体10が重力により下に垂れ下がるが、弾性シート17で吸収体10を下から押し上げているので、吸収体10が垂れ下がる程度が緩和され、尿等を吸収した吸収体10の垂れ下がりによる外観低下を抑制できる。
【0129】
(14)
図43に示すように、使い捨て衣類1を装着した際に伸縮性を有する胴部装着部20が、弾性シート17の上から着用者Pの腰部から臀部に至る部分を覆うので、安定感やフィット感に優れる。
【0130】
(15)液拡散性繊維シート201に写真等の印刷層201aを設けると、従来の紙おむつ等に比べて、美観に優れた衣類を提供することができ、着用者Pの使い捨て衣類1の装着に対する抵抗感をより低減することができる。
【0131】
(16)弾性シート17に皺が形成されていると、弾性シート17と吸収体10とが全面で接触しないため、弾性シート17と吸収体10の接合が、複数回可能となる。なお、複数回の接合が可能となる理由は、弾性シート17に皺があることで、吸収体10の生地が傷つかないからである。また、弾性シート17に皺があると吸収体10が剥がれやすいからである。
【0132】
(17)従来のおむつは吸収体10を身体に押圧する力が不十分であるため、
図64Aに示すように尿等の漏れを防止するためには吸収体10の幅:L3を十分に広くとる必要があった。その結果、足回り開口部20fを十分な大きさとするためには、
図64Aに示すようにブリーフタイプにせざるを得なかった。一方、本発明の使い捨て衣類をおむつとして使用する場合、吸収体10を身体に押圧して密着させることが可能であり、吸収パッド10から尿等が漏れる虞がないから、吸収体10の幅:L4を狭くすることが可能であり、
図64Bに示すようなトランクスタイプとしても、ブリーフタイプと同じ大きさの足回り開口部20fを形成することができる。ブリーフタイプの足回り開口部20fの幅:m
1に比べ、トランクスタイプの足回り開口部20fの幅:m
2が大きいため、着用者が着用に際して胴回り開口部21a側から足回り開口部20fを見た際に、
図64Bに示すトランクスタイプの足回り開口部20fは、
図64Aに示すブリーフタイプの足回り開口部20fよりも大きく認識され、着用に際して足の挿入が容易となる。
【0133】
(第2実施形態)
図46は、第2実施形態における使い捨て衣類1Aの外観図である。第2の実施形態の使い捨て衣類1も、胴部装着部20の前部20aと後部20bとの間に架け渡された弾性シート17を備えている。
図46及び
図47に示すように、本実施形態の使い捨て衣類1Aは、胴部装着部20と、胴部装着部20の前部と後部との間に架け渡された弾性シート17とを備える。弾性シート17の内側(上側、着用者側、肌当接側)には吸収体10が配置される。
胴部装着部20は、
図47に示すように、胴回り部21と、胴部装着部20と、を備える。胴回り部21は、着用者Pの腰回りに装着される部分であり、胴部装着部20の上部に配置される。胴部装着部20は、着用者の下腹部周辺を押圧する部分であり、円環状に形成されている。すなわち、本実施形態の胴部装着部20は、股下部を備えていない点が第1実施形態と異なる。
【0134】
胴部装着部20は、
図46に示すように、一般的な腹巻きとほぼ同じ形状であり、かつ同等の丈を有する。なお、胴部装着部20は、本実施形態の例に限定されず、さらに長い七分丈であってもよいし、着用者Pの腰回りよりも上部を覆うような形状であってもよい。また、女性用として、
図46に想像線Lで示すように、ショートスカートと同等の丈としてもよい。その場合に、両サイドが
図46に示す使い捨て衣類1Aよりもさらに短くカットされた形状(すなわち、正面視において略V字形となる形状)とすることにより、脚部より動かしやすくなる。
【0135】
(弾性シートの胴部装着部への接合)
(1)弾性シート17の胴部装着部20への接合
図48に示すように、本実施形態の弾性シート17は、長手方向の一端領域が胴部装着部20の前部中央に接合されている。また、長手方向の他端領域は、胴部装着部20の後部中央に接合されている。なお、ここで一端領域及び他端領域とは、必ずしも端部を含まなくてもよく、端部から離間した領域であってもよい。
本実施形態では、胴部装着部20に弾性シート17を取り付ける際、胴部装着部20を伸長させない状態で弾性シート17を接合してもよく、また、胴部装着部20を伸長させた状態で弾性シート17を接合してもよい。
このように、胴部装着部20に対して弾性シート17の長手方向の一端領域と長手方向の他端領域が固定されることにより、弾性シート17は、
図24及び
図25に示すように胴部装着部20の内側に湾曲して保持される。
【0136】
弾性シート17の略中央部の湾曲した下端は、使い捨て衣類1が着用者Pに装着されたときに、着用者の股部によって下方に延ばされる。すなわち、非装着状態では、弾性シート17の湾曲した下端は、装着時よりも上に位置している。
本実施形態では、
図46及び
図47に示すように、弾性シート17上に吸収体10が配置される。したがって、着用者に装着されたときに、弾性シート17が伸び、その収縮力によって、吸収体10は身体側に押圧される。
弾性シート17の胴部装着部20への取り付け方は、
図47の例に限定されない。
【0137】
図48は、弾性シート17の胴部装着部への取り付け方のバリエーションを示した図である。
図48Aに示す弾性シート17は、長手方向の一端が、胴部装着部の内側(身体側)であって、中央より上部の接合部C1で接合されている。弾性シート17の長手方向の他端も同様に接続されている。
この場合、着用者Pが使い捨て衣類1Aを装着すると、弾性シート17と胴部装着部とが重なる部分が、着用者Pに対し胴部装着部によって押さえられるので、弾性シート17の安定性が向上する。
また、弾性シート17を、長手方向の一端が胴部装着部20の内側であって、中央より下部の接合部で接合してもよい(弾性シート17の長手方向の他端も同様)。
この場合、
図47及び
図48Aに比べて弾性シート17の長さがさらに短くてよいため、製造コストを安価にすることができる。
なお、胴部装着部20の前部と後部とにおいて、弾性シート17を異なる位置に接合してもよい。例えば、前端が中央より上部で後端が中央より下部で接合される等、前端と後端とを異なる位置で接合してもよい。
【0138】
また、
図48Aでは、弾性シート17を胴部装着部20の内側で接合する例について説明したが、
図48Bに示すように、弾性シート17を胴部装着部20の外側で接合してもよい。
図48Bに示す弾性シート17は、長手方向の一端が胴部装着部20の外側(身体側と反対側)であって、中央より上部の接合部C1で接合されている。弾性シート17の長手方向の他端も同様に接続されている。
図48Bの例では、弾性シート17が胴部装着部20の外側に位置するため、胴部装着部20の丈は、
図48Aに比べて短くすることが好ましい。
なお、
図48Aに示す形態と、
図48Bに示す形態とを適宜に組み合わせてもよい。例えば、前端が
図48Aに示す形態で、後端が
図48Bに示す形態等の組み合わせが可能である。このように、胴部装着部20に対する弾性シート17の接合形態を適宜に組み合わせることにより、着用者の身体的特徴に応じた特性を得ることが可能となる。
【0139】
図48では、弾性シート17を胴部装着部20に取り付ける例について示したが、これに限定されない。弾性シート17を胴回り部21に取り付けてもよい。
図49は、弾性シート17の胴回り部21への取り付け方のバリエーションを示した図である。
【0140】
図49Aに示す弾性シート17は、長手方向の一端が胴回り部21の内側(身体側)において、接合部C1で接合されている。弾性シート17の長手方向の他端も同様に接続されている。
この場合も、着用者Pが使い捨て衣類1Aを装着すると、弾性シート17と胴回り部21及び胴部装着部20とが重なる部分が、着用者Pに対し押さえられるので、弾性シート17の安定性が向上する。
【0141】
図49Bに示す弾性シート17は、長手方向の一端が胴回り部21の外側(身体側と反対側)において、接合部C2で接合されている。弾性シート17の長手方向の他端も同様に接続されている。この場合も、
図22Aにおいて、弾性シート17と胴回り部21との配置を逆にした構成により接合が可能である。
【0142】
なお、
図48に示す形態と、
図49に示す形態とを適宜に組み合わせてもよい。例えば、前端が
図48Aに示す形態で、後端が
図49Aに示す形態等の組み合わせが可能である。このように、胴回り部21及び胴部装着部20に対する弾性シート17の接合形態を適宜に組み合わせることにより、着用者の身体的特徴に応じた特性を付与することが可能となる。
弾性シート17は、
図63に示すように胴部装着部20側を股下側より幅広に形成することができる。このような弾性シート17の胴部装着部20側を幅広に構成すると、身体を確実に押圧するとともに、尿漏れ等の防止効果が更に向上する。
【0143】
(効果)
図50は、第2実施形態の使い捨て衣類1Aの作用を説明する図である。図示するように、弾性シート17上に吸収体10を配置した状態で、着用者Pが使い捨て衣類1Aを装着する。すると、弾性シート17が伸長されるため、弾性シート17が収縮しようとする力によって、吸収体10は身体に向かう方向に押圧される。この身体に向かう方向の押圧力によって、吸収体10は身体に密着する。また、着用者Pが使い捨て衣類1Aを装着すると、胴部装着部20が伸長されるため、胴部装着部20が収縮しようとする力によって、胴部装着部20は身体に向かう方向に押圧される。この身体に向かう方向の押圧力によって、胴部装着部20が身体に密着する。
弾性シート17は、胴部装着部20と接合された部分の下部において胴部装着部20と非接触状態となり、隙間部Sが形成される。これによれば、弾性シート17と胴部装着部20とが一体に接合されている場合に比べて、胴部装着部20の身体に向かう方向の押圧力をより大きくすることができる。そのため、胴部装着部20は、弾性シート17を身体に向かう方向により強く押圧することができる。
このように、本実施形態の使い捨て衣類1Aにおいても、弾性シート17が収縮する力と胴部装着部20が収縮する力との相乗作用により、弾性シート17含む胴部装着部20の全体を身体により強い押圧力で密着させることができる。
その他、第2実施形態の使い捨て衣類1は、上述した第1実施形態の使い捨て衣類1と同等の効果を得ることができる。
【0144】
図51は、第2実施形態の使い捨て衣類1Aにおける吸収体10の取り付け方のバリエーションを説明する図である。
図51Aは吸収体10が取り付けられていない状態を示す。
図51Bは、吸収体10が取り付けられた状態を示す。
図51Cは、変形形態を示す。
図51Aに示すように、本実施形態は、弾性シート17が、第1シート部材171と第2シート部材172との2つの部分で構成されている。
第1シート部材171の一端F1は、胴部装着部20の前部に接合され、他端は、吸収体10が取り付けられていない状態では自由端F2となっている。
第2シート部材172の一端G1は、胴部装着部20の後部に接合され、他端は、第1シート部材171と同様に吸収体10が取り付けられていない状態では自由端G2となっている。
【0145】
第1シート部材171と第2シート部材172の少なくとも一方の材料は、上述の弾性シート17と同様に、長さ方向に伸縮可能なシート部材である。長さ方向とは、胴部装着部20の前部から後部へ、着用者の股下を通って延びる方向である。
伸縮可能なシート部材は、例えば、不織布、透湿性のフィルム、紙等のシート部材に紐状の弾性部材17aを接合したものであってもよく、それ自体が弾性を有するゴム、ウレタン、シリコンシート、ストッキングのような素材、ニット等であってもよい。
さらに、伸縮可能なシート部材は、シート部材の全体に弾性が付与されているものに限らず、シート部材の一部分に弾性が付与されているものも含む。
また、弾性の付与の形態も第1実施形態の弾性シート17と同様に、
図15及び
図16に示すような形態が可能である。
【0146】
第1シート部材171と第2シート部材172の胴部装着部20への接合方法は、縫合、ホットメルト、ヒートシール、超音波による接合、糊付、その他公知の方法のいずれの方法であってもよく、又はそれらの組み合わせであってもよい。
さらに、第1シート部材171と第2シート部材172の胴部装着部20への取り付け方も限定されず、第1実施形態の
図23等に示すバリエーションが可能である。また、第1シート部材171と第2シート部材172は、胴部装着部20に固定されていなくても良く、着脱可能でもよい。
【0147】
第1シート部材171と第2シート部材172の自由端F2,G2は、互いに着脱可能で、
図51Bに示すように重ね合わせて接着された状態で、吸収体10を身体側に配置可能で、この状態で弾性力により吸収体10を身体側に押圧可能となる。
本実施形態によると、第2実施形態の効果に加えてさらに以下の効果を有する。
第1シート部材171と第2シート部材172の自由端F2,G2の重なり長さを調節することにより、弾性シート17の長さを調節することができる。これにより、痩せた着用者から太った着用者まで、体形に合わせて弾性シート17の長さを調節することができる。
図51Cに示す変形形態において、第1シート部材171の一端F1は、胴部装着部20の前部(又は後部)に接合され、他端は、吸収体10が取り付けられていない状態では自由端F2となっている。
この形態においても、第2実施形態の効果に加えてさらに以下の効果を有する。
弾性シート17の自由端F2と胴部装着部20との重なり長さを調節することにより、弾性シート17の長さを調節することができる。これにより、痩せた着用者から太った着用者まで、体形に合わせて弾性シート17の長さを調節することができる。
【0148】
(第3、第4実施形態)
図52は、第3実施形態及び第4実施形態を説明する図である。
図52Aは、比較のために第2実施形態(
図46参照)を示す。
図52Bは、第3実施形態を示す。
図52Cは、第4実施形態を示す。なお、
図52A〜
図52Cの各図では、胴部装着部20のみを示し、丈を短くした状態で図示している。
図52Aに示す第2実施形態では、吸収体10は、弾性シート17の肌側の面の中央部に取り付けられている。
この場合、上述したように、吸収体10の弾性シート17への取り付けは、全面でなくても良い。例えば、図示するように、吸収体10の一端Aと他端Bとの2か所でもよく、またA又はBのいずれか一方でもよい。さらに、吸収体10の端部でなくとも、AやBのような端部から所定距離だけ離れた部分でもよい。また、取り付け部分の形状は点形状でもよく、吸収体10の短手方向のライン状であってもよく、それ以外であってもよい。なお、弾性シート17の胴部装着部20への取り付け個所は図中符号FとGで示す。
【0149】
図52Bに示す第3実施形態では、吸収体10の一方の端部(他端B)が、胴部装着部20まで延びて、胴部装着部20に直接接合される。
なお、吸収体10の端部の胴部装着部20への接合方法も、縫合、ホットメルト、ヒートシール、超音波による接合、糊付、その他公知の方法のいずれの方法であってもよく、又はそれらの組み合わせであってもよい。また、固定されていなくてもよく、着脱可能でもよい。また、弾性シート17の胴部装着部20への取り付け個所は図中符号FとGで示す。
この場合も、吸収体10の弾性シート17への取り付けは、全面でなくても良い。例えば、吸収体10の他端Bは胴部装着部20に接合されているので、吸収体10のそれ以外の箇所は弾性シート17に取り付けられていなくてもよく、また、図示する吸収体10の一端Aが弾性シート17に取り付けられていてもよい。また、取り付けられている場合、一端Aでなくとも吸収体10のその他の部分でもよい。また、取り付け形状は点形状でもよく、吸収体10の短手方向のライン状であってもよく、それ以外であってもよい。
【0150】
図52Cに示す第4実施形態では、吸収体10の両端が、胴部装着部20まで延びて、胴部装着部20に直接接合される。
この場合も、吸収体10と弾性シート17とは接合されていない。
【0151】
(第5、第6、第7実施形態)
図53は、第5実施形態、第6実施形態及び第7実施形態を説明する図である。
図53Aは、本発明の第5実施形態を示す。
図53Bは、本発明の第6実施形態を示す。
図53Cは、本発明の第7実施形態を示す。なお、
図53A〜
図53Cの各図では、胴部装着部20のみを示し、丈を短くした状態で図示している。
第5実施形態、第6実施形態及び第7実施形態において、第1実施形態と異なる点は、弾性シート17よりも上方(身体側)に、内側シート18を備える点である。内側シート18とは、紙、不織布、フィルムからなるシート部材である。この内側シート18としては、非伸縮性又は弾性シート17と比べて伸縮性の弱いシートが好ましく用いられるが、これに限らず、弾性シート17と同等又はそれ以上に伸縮可能なシートであってもよい。
【0152】
図53Aに示す第5実施形態において、内側シート18の両端は、胴部装着部20に接合されている。
接合方法は、縫合、ホットメルト、ヒートシール、超音波による接合、糊付、その他公知の方法のいずれの方法であってもよく、又はそれらの組み合わせであってもよい。また、固定されていなくてもよく、着脱可能でもよい。
【0153】
図53Bに示す第6実施形態において、内側シート18は、一端のみ胴部装着部20に接合されている。
図53Cに示す第7実施形態において、内側シート18は、
図53Bと同様に一端のみ胴部装着部20に接合され、さらに吸収体10の一端も胴部装着部20に接合されている。
第5、第6、第7実施形態において、吸収体10は、内側シート18に取り付けられる。
【0154】
上記実施形態によると、内側シート18が、非伸縮性の場合、或いは伸縮性が弾性シート17に比べて弱い場合、弾性シート17に比べて皺がよらない。このため、着用者自身が吸収体10を内側シート18に取り付ける場合であっても、また、製造工程において吸収体10が内側シート18に取り付ける場合であっても、吸収体10を弾性シート17に取り付けることができるので、取り付けが容易である。
【0155】
これに対して、内側シート18の弾性が上述の場合よりも強い場合、吸収体10を弾性シート17に取り付ける場合、内側シート18を広げること等が必要になる。
さらに、弾性シート17に吸収体10が直接取り付けられていないため、吸収体10の存在が弾性シート17の弾性力に影響を与えることがない。その結果、着用者が着用した際に、弾性シート17の弾性力により吸収体10は内側シート18を介して真下から着用者の身体方向へ押圧され、吸収体10と着用者の密着性が向上され、尿等の漏れを防止することができる。また、内側シート18にも必要に応じてミシン目(図示せず)を設けても良い。弾性シート17や内側シート18にミシン目を設けておくと、着用者が着用時に押圧力を緩和したい場合、ミシン目から弾性シート17や内側シート18を切断することにより身体に対する押圧力を調整することができる。
なお、内側シート18が伸縮可能なシートである場合は、弾性シート17の伸縮と相まって、身体に対する押圧力を増すことを可能とする。
【0156】
また、第5、第6、第7実施形態において、内側シート18は、
図51に示す弾性シート17と同様に、第1内側シートと第2内側シートとの2つの部分で構成されていてもよい。
この場合、
図51の例と同様に、第1内側シートと第2内側シートの少なくとも一方の材料が、上述の弾性シート17と同様に、長さ方向に伸縮可能シート部材であってもよい。長さ方向とは、胴部装着部20の前部から後部へ、着用者の股下を通って延びる方向である。
伸縮可能なシート部材は、例えば、不織布、透湿性のフィルム、紙等のシート部材に紐状の弾性部材17aを接合したものであってもよく、それ自体が弾性を有するゴム、ウレタン製弾性部材、シリコン製弾性部材、シリコンシート、ストッキングのような素材、ニット等であってもよい。
さらに、伸縮可能なシート部材は、シート部材の全体に弾性が付与されているものに限らず、シート部材の一部分に弾性が付与されているものも含む。
また、弾性の付与の形態も第1実施形態の弾性シート17と同様に、
図11及び
図12に示すような形態が可能である。
【0157】
また、
図53A及び
図53Bに示すように、第5、第6実施形態での吸収体10の内側シート18への接合点は、吸収体10の一端A及び他端Bである。
【0158】
図53Cに示すように、第7実施形態の吸収体10の内側シート18への接合点は吸収体10の一端Aである。また、吸収体10の胴部装着部20への接合点は吸収体10の他端Bである。
吸収体10の内側シート18への取り付けは、全面でないほうが好ましい。
図53A及び
図53Bの場合、吸収体10の一端Aと他端Bとの2か所でもよく、またA又はBのいずれか一方でもよい。さらに、吸収体10の端部でなくとも、端部から所定距離だけ離れた部分でもよい。
図53Cの場合、吸収体10の他端Bは胴部装着部20Aに接合されているので、吸収体10のそれ以外の箇所は内側シート18に取り付けられていなくてもよく、また、図示する吸収体10の一端Aが内側シート18に取り付けられていてもよい。また、取り付けられている場合、一端Aでなくとも吸収体10のその他の部分でもよい。また、取り付け形状は点形状でもよく、吸収体10の短手方向のライン状であってもよく、それ以外であってもよい。
内側シート18の胴部装着部20への接合点を、
図53AにおいてH,Iで示し、
図53B及び
図53CにおいてIで示す。また、弾性シート17の胴部装着部20への接合点を
図53A〜
図53CにおいてF、Gで示す。
【0159】
(第8実施形態)
図54は、本発明の第8実施形態を説明する図である。
図54Aは、吸収体10が取り付けられていない状態を示す。
図54Bは、吸収体10が取り付けられた状態を示す。
図示するように、第8実施形態は、
図51の例と同様に、弾性シート17が、第1シート部材171と第2シート部材172との2つの部分で構成されている。ただし、
図51の第1シート部材171と第2シート部材172と比べて、本実施形態の第1シート部材171と第2シート部材172は短い。
【0160】
第1シート部材171の一端F1は、胴部装着部20の前部に接合され、他端は、吸収体10が取り付けられていない状態では自由端F2となっている。
第2シート部材172の一端G1は、胴部装着部20の後部に接合され、他端は、第1シート部材171と同様に吸収体10が取り付けられていない状態では自由端G2となっている。
【0161】
第1シート部材171と第2シート部材172の少なくとも一方の材料は、上述の弾性シート17と同様に、長さ方向に伸縮可能なシート部材である。長さ方向とは、胴部装着部20の前部から後部へ、着用者の股下を通って延びる方向である。
伸縮可能なシート部材は、例えば、不織布、透湿性のフィルム、紙等のシート部材に紐状の弾性部材17aを接合したものであってもよく、それ自体が弾性を有するゴム、ウレタン製弾性部材、シリコン製弾性部材、シリコンシート、ストッキングのような素材、ニット等であってもよい。
【0162】
さらに、伸縮可能なシート部材は、シート部材の全体に弾性が付与されているものに限らず、シート部材の一部分に弾性が付与されているものも含む。
また、弾性の付与の形態も第1実施形態の弾性シート17と同様に、
図15及び
図16に示すような形態が可能である。
【0163】
第1シート部材171と第2シート部材172の胴部装着部20への接合方法は、縫合、ホットメルト、ヒートシール、超音波による接合、糊付、その他公知の方法のいずれの方法であってもよく、又はそれらの組み合わせであってもよい。
さらに、第1シート部材171と第2シート部材172の胴部装着部20への取り付け方も限定されず、第1実施形態の
図23、
図24に示すバリエーションが可能である。
【0164】
第1シート部材171と第2シート部材172の自由端F2、G2は、
図54Bに示すように、吸収体10の端部A,Bに着脱可能である。そして、吸収体10が第1シート部材171と第2シート部材172とによって保持された状態で、第1シート部材171及び第2シート部材172の少なくとも一方の弾性力により吸収体10は身体側に押圧可能となる。
【0165】
(第9実施形態)
図54Cは、本発明の第9実施形態を説明する図である。
図示するように、第9実施形態は、第8実施形態と異なり、吸収体10の一端Aに第1シート部材171の一端F4が接合されている。吸収体10の他端Bに第2シート部材172の一端G4が接合されている。そして、図示しないが、第1シート部材171と第2シート部材172の他端F3,G3側が、胴部装着部20の前端と後端とにそれぞれ着脱可能となっている。
【0166】
つまり、第8実施形態と第9実施形態とが異なる点は、第8実施形態では、第1シート部材171、第2シート部材172の自由端F2,G2が吸収体10の端部A,Bに着脱可能であるのに対して、第9実施形態では、第1シート部材171、第2シート部材172の端部F3,G3が胴部装着部20に対して接合又は着脱が可能である点である。
なお、第8実施形態と第9実施形態は組み合わせることが可能で、第1シート部材171と第2シート部材172の一方が吸収体10に固定され、他方が胴部装着部20に固定されているものであってもよい。
上述した
図51から
図54に示す実施形態は、第1実施形態における吸収体10の取り付け方にも適用可能である。
【0167】
(第10実施形態)
図55は、本発明の第10実施形態の使い捨て衣類を説明する図である。
第10実施形態の使い捨て衣類1Bは、図示するように、弾性シート17を備えない点が第1及び第2実施形態と異なる。また、吸収体10は、直接、胴部装着部20Aに取り付けられており、吸収体10自体が、長さ方向に伸縮可能である。
図55Bは、後述する吸収体10の外観図である。本実施形態において、吸収体10を胴部装着部20に取り付ける位置及び接合形態は、第2実施形態において、弾性シート17を胴部装着部20に取り付けるバリエーションの一部を適用することができる(
図49、
図50参照)。
【0168】
図56は、吸収体10の断面図である。
図56Aは、本実施形態の吸収体10の断面図である。
図56B、
図56C及び
図56Dは、変形形態である。図示するように、
図56Aの吸収体10は、バックシート12と吸収性コア13との間(吸収性コア13に対して身体と反対側)に紐状の弾性部材17aが配置されている。弾性部材17aは伸長した状態で例えばバックシート12に接合される。
【0169】
この接合方法も、縫合、ホットメルト、ヒートシール、超音波による接合、糊付、その他公知の方法のいずれの方法であってもよく、又はそれらの組み合わせであってもよい。なお、吸収体10のその他の構造は第1実施形態と同様である。
また、吸収体10における弾性部材17a(弾性部材)の配置は、
図15A〜
図15J、
図16A〜
図16Fに示した第1実施形態の弾性シート17の場合と同様である。また、吸収体10の全体に弾性が付与されているものに限らず、吸収体10の一部分に弾性が付与されているものも含む。また、弾性の付与の形態も第1実施形態の弾性シート17と同様に
図15及び
図16に示すような形態が可能である。
【0170】
図16Gの弾性シート17の形状と同様な形状を、本実施形態の吸収体10においても取ることができる。すなわち、本実施形態の吸収体10は矩形であるが、これに限らず、
図16Gのように両端が広い形状でもよい。この形の吸収体10を胴部装着部20Aに取り付けると、
図16Hに示すようなおむつ型になる。また。吸収体10は、その他、瓢箪型や楕円形状でもよい。
【0171】
図56Bは、第1変形形態における吸収体10の断面図である。
図示するように、吸収体10は、バックシート12の裏側(身体側と反対側)に紐状の弾性部材17aが配置されている。弾性部材17aは伸長した状態で例えばバックシート12に接合される。
【0172】
図56C、は第2変形形態における吸収体10の断面図である。
図示するように、吸収体10は、バックシート12の裏側(身体側と反対側)に紐状の弾性部材17aが配置され、さらにその裏側に不織布17fが配置されている。
【0173】
図56Dは、第3変形形態における吸収体10の断面図である。
図示するように、吸収体10は、バックシート12の裏側(身体側と反対側)に不織布17gが配置され、さらにその裏側に紐状の弾性部材17aが配置され、そして、その裏側に不織布17fが配置されている。
【0174】
本実施形態によれば、弾性部材17aの収縮によって、吸収体10全体が収縮し、
図55Bに示すように吸収体10の身体接面に凹凸10aが形成される。
この吸収体10に形成された凹凸10aの凸部は、身体に密着する。この密着により第1実施形態と同様に尿等漏れが抑制される。
さらに、本実施形態は、吸収体10に形成された凹部によって、通気性が確保されるので、蒸れが生じにくい。
【0175】
(第11の実施形態)
図57に示すように胴回り部21は、内部に紐25(紐状部材)を備えていても良い。紐25は、胴回り部21の全周に亘って配置されている。紐25は、胴回り部21の前部から外部に引き出されている。着用者は、紐25の引き出し量を調整し、紐25の末端を結び止めすることにより、胴回り部21を所望の締り具合で装着することができる。紐25は、木綿、麻等の繊維を束ねたものでもよいし、合成繊維を束ねたものでもよい。また、ビニール紐、ゴム紐であってもよい。また、紐25は、胴部装着部20に設けられていても良い。
【0176】
(第12実施形態)
図58は、第12実施形態を説明する図である。
図58Aに示す使い捨て衣類1Cは、弾性シート17の内側に吸収体10を備えていない点が第1実施形態の使い捨て衣類1と異なる。また、
図58Bに示す使い捨て衣類1Dは、弾性シート17の内側に吸収体10を備えていない点が第2実施形態の使い捨て衣類1Aと異なる。このように、弾性シート17の内側に吸収体10を備えていない各実施形態においても、
図15及び
図16で説明したように、弾性シート17の身体への密着性が高いため、より快適な着用感を得ることができる。なお、本実施形態の構成において、弾性シート17の内側に紙シート201を配置してもよい(
図15A参照)。
【0177】
(第13実施形態)
本実施形態では、第2実施形態に示す使い捨て衣類1Aの製造工程について説明する。
図59は、第14実施形態を説明する図である。
本実施形態の使い捨て衣類1Aにおいて、胴部装着部20Aは、腹巻き型に形成されている。弾性シート17は、
図59Aに示すように、胴部装着部20Aの中央部分に弛み部260が形成された状態で胴部装着部20Aに接合される。
胴部装着部20Aは、丈方向において対向する側縁部220が互いに重ね合わされ、ヒートシール等により接合される。胴部装着部20Aの中央部分に形成された弛み部260は、側縁部220の接合前又は接合後に切断される。
これにより、
図59Bに示すように、円環状の胴部装着部20と、前部230と後部240との間に架け渡された弾性シート17とを備えた使い捨て衣類1Aが完成する。
なお、
図59には示していないが、胴部装着部20における両側縁部220の形状を調整することにより、胴部装着部20の両サイドにスリット29(
図47参照)を形成することができる。
【0178】
(第14の実施形態)
図60は、使い捨て衣類1を、使い捨て水遊びパンツ2に適用した例について説明する。尚、「使い捨て水遊びパンツ」とは、布帛等の複雑な縫製を施した縫製品以外の、不織布等の素材等を用いて簡易に製造した衣類であり、1回の使用で廃棄するものに限らず、短期間の使用や数回の洗濯に耐えうるものも含む。
図60は、着用者Pにより装着された状態の使い捨て水遊びパンツ2の外観図である。
図61は、使い捨て水遊びパンツ2の断面図である。
【0179】
図60及び
図61に示すように、胴部装着部20は、前部20aと後部20bとの間に股下部20cを備え、股下部20c内側には、前部20aと後部20bとの間に弾性シート17が架け渡されている。股下部20cは面ファスナー、ホック、ボタン等により構成された着脱可能な接続部20dを有する。接続部20dは、開放のみ可能に構成されていても良く、接続部20dを例えば、ホットメルト、縫合、ヒートシール、超音波による接合等により接合しておき、必要に応じて接合箇所を分断することにより、股下部20cを開放することができるようにしても良い。また股下部20cにミシン目等の切り取り予定線を入れておき、必要に応じて切り取り予定線を分断することによって股下部20cを開放することができるようにしても良い。股下部20cは解放可能な接続部20dを有していない構成としても良い。胴部装着部20は、一般的な下着であるパンツ、衣類であるトランクスとほぼ同じ形状を有し、かつ同等の丈を有する。胴部装着部20には、両サイドにスリット29を設けることができ、スリット29を設けることにより、着用者Pは、脚部を動かしやすくなる。
【0180】
使い捨て水遊びパンツ2における弾性シート17には、疎水性シート209が配置されていることが好ましい。疎水性シート209としては、例えば、透湿性フィルム、防水フィルム等を用いることができる。透湿性フィルムは、空気は通過させるが、水分は通過させない特性を有するシート材である。
【0181】
弾性シート17は、幅方向の側縁部に立体のサイドギャザーとなる折り部を形成してもよい。また、弾性シート17の上に、高分子化合物を含まないシート状のパッドを配置してもよい。このシート状のパッドとしては、粉砕パルプを不織布の間に挟み込んだ構造でもよいし、綿、フェルト、積層させた紙をシート状に加工したものでもよい。また、このシート状のパッドの幅方向の側縁部に立体のサイドギャザーを形成してもよい。
以上、説明した実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできる。また本発明は以上説明した実施形態のみによって限定されるものではない。
【実施例】
【0182】
以下に本発明に用いる伸縮性複合シートの具体的な実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
(実施例1)
通気性シートとして、スパンボンド不織布(目付量10g/m
2)を用い、液拡散性繊維シートとして、パルプ100%の紙(トイレットペーパー用の紙シート:目付量18g/m
2)をそのまま印刷せずに用い、線状弾性体として、径620デシテックスのウレタンゴムを用いた。2枚の不織布の間に、紙と、2.6倍に伸張した状態のウレタンゴムとを挟み、ホットメルト接着剤(ホットメルト接着剤の塗布量1.2g/m
2)により接着した後、エンボス処理を施して得た総目付量149.3g/m
2シート素材を実施例1とした。尚、シート素材の総目付量は、伸張したウレタンゴムの復元力によりシート素材が収縮した後の値である。
【0183】
(比較例1)
実施例1と同様の不織布、ウレタンゴムを用い、ホットメルト接着剤により、不織布間に2.6倍に伸張した状態のウレタンゴムを挟み込んで接着(ホットメルト接着剤の塗布量1.2g/m
2)した後、エンボス処理を施して得たシート素材を比較例1とした。このシート素材の総目付量は92.3g/m
2であった。
【0184】
(比較例2)
表面及び裏面の不織布がスパンボンド不織布であり、不織布間にゴム径620デシテックスのウレタンゴムが介在している従来品のシート素材を比較例2とした。このシート素材の総目付量は123.2g/m
2であった。
【0185】
(比較例3)
表面及び裏面の不織布がサーマルボンド不織布であり、不織布間にゴム径620デシテックスのウレタンゴムが介在している従来品のシート素材を比較例3とした。このシート素材の総目付量は144.9g/m
2であった。
【0186】
(比較例4)
表面及び裏面の不織布がサーマルボンド不織布であり、不織布間にゴム径620デシテックスのウレタンゴムが介在している従来品のシート素材を比較例4とした。このシート素材の総目付量は147.8g/m
2であった。
【0187】
(比較例5)
表面及び裏面の不織布がサーマルボンド不織布であり、不織布間にゴム径620デシテックスのウレタンゴムが介在している従来品のシート素材を比較例5とした。このシート素材の総目付量は143g/m
2であった。
【0188】
まず、このような実施例1及び比較例1〜5のシート素材の蒸散性及び透湿性を評価した。
【0189】
まず、蒸散性は、蒸散性(II)試験(ボーケン規格BQEA028)を行い、吸水性と速乾性との両方を総合的に評価した。
実施例1及び比較例1〜5のシート素材に付いてそれぞれ直径約9cmの試験片を作製し、各試験片とシャーレの質量(W)を測定した。次にシャーレ上に水0.1mLを滴下し、その上に試験片を載せ、質量(W0)を測定した。これを標準状態(20℃、湿度65%RH)下に放置して、所定時間(5分、10分、以下10毎に60分迄)経過毎の質量(Wt)を測定した。測定された質量W、W0、Wtから、下記式(1)を用いて、所定時間経過毎の蒸散率(%)を算出した。
(数1)
蒸散率(%)={(W0−Wt)/(W0−W)}×100・・・・(1)
結果を表1に示す。
【0190】
【表1】
【0191】
表1に示す蒸散率の結果から明らかなように、比較例3〜5では、いずれも、60分経過しても蒸散率が20%以下であり、比較例1及び2では、20分経過して蒸散率が20%未満であり、60分経過しても蒸散率が40%以下であるのに対して、実施例1では、10分経過後に蒸散率が20%を超え、20分経過後に蒸散率が40%を超え、その後、30分経過後に蒸散率が60%を超え、40分経過後に蒸散率が75%を超え、50分経過後には蒸散率が85%を超え、60分経過後には蒸散率が90%を超えたことが分かる。
【0192】
なお、ボーケン規格BQEA028においては、評価の目安として、試験開始後20分の蒸散率が、スポーツ用途の場合、織物で50%以上、ニットで40%以上であることが好ましく、一般用途の場合、織物で40%以上、ニットで30%以上であることが好ましいと言われている。
したがって、実施例1のシート素材は、40%以上の蒸散率を得ることができているので、スポーツ用途にしても、一般の用途としても、快適に着用することができると言える。
以上から、実施例1のシート素材を用いた本発明の使い捨て衣類は、極めて高い蒸散性を持つことが分かる。
【0193】
次に、透湿性は、JIS−L1099(2012)のA−1法(塩化カルシウム法)を行い、透湿度(g/m
2・h)を求めて評価した。
なお、透湿度は、規定の温度及び湿度において、繊維製品を透過する水蒸気の質量(g)を、その繊維製品の1m
2×1時間当たりに換算した値として定義される。
JISL0105の6.3(布状の試料及びその試験片)に準じ、実施例1及び比較例1〜5のシート素材から試験片を採取した。
【0194】
この塩化カルシウム法に規定された透湿カップ、恒温・恒湿装置、円形板、及び吸湿剤の等の装置及び材料を準備し、実験を行った。
まず、予め約40℃に温めた透湿カップに吸湿剤を約33g入れ、透湿カップに振動を与えて均一にした後、薬さじで表面を平らにならし、円形板を用いて、吸湿剤と試験片の下面との距離が3mmになるように調節した。
次に、実施例1及び比較例1〜5のシート素材について、JISL0105の6.3(布状の試料及びその試験片)に従って、それぞれ直径約70mmの試験片を3枚採取した。
各試験片の表面を吸湿剤側に向けて透湿カップに対して同心円になるように載せ、パッキン及びリングを順次装着し,蝶ナットで固定した後,装着側面をビニル粘着テープでシールして試験体とした。この試験体を温度40℃±2℃、湿度(90±5)%RHの恒温・恒湿装置内の試験片上約10mm上部の風速が0.8m/sを超えない位置に置いた。1時間後に試験体を取り出し、直ちに質量(a1)を1mgまで測定した。測定後,再び試験体を恒温・恒湿装置の同位置に置き、1時間後に試験体を取り出し、直ちに質量(a2)を1mgまで測定した。測定された質量a1、a2から、下記式(2)を用いて、透湿度PA1(g/m
2・h)を算出した。
透湿度PA1(g/m
2・h)=(a2−a1)/SA1・・・・(2)
式(2)において、a2−a1は、試験体の1時間当たりの質量の変化量(g/h)であり、SA1は、透湿面積(m
2)である。
試験結果は、3回の平均値JISZ8401の規則(四捨五入法)によって小数点第1位を四捨五入した値で示した。得られた結果を表2に示す。
【0195】
【表2】
【0196】
表2に示す透湿度の結果から明らかなように、比較例2、3、及び5では、いずれも、透湿度が500g/m
2・h以下であるが、比較例1では、563g/m
2・hであり、比較例4では透湿度が526g/m
2・hである。一方、実施例1では、564g/m
2・hであり、比較例より高いことが分かる。
以上から、本発明の機能性生地素材は、高安定して良好な透湿性を持つことが分かる。
【0197】
次に、実施例1及び比較例1〜5について、透湿性評価結果、並びに20分後及び60分後の蒸散性評価結果を表3に示す。
表3に示す蒸散性、透湿性評価結果から明らかなように、実施例1の本発明の機能性生地素材は、比較例1〜5の機能性生地素材に比べ、蒸散性、透湿性の両方において優れており、高い蒸散率及び透湿度を有することが分かる。
以上から、本発明に係る使い捨て製品用の機能性生地素材、及び使い捨てファブリック製品の効果は明らかである。
【0198】
【表3】
【0199】
なお、当然のことながら、本発明は以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成し得るすべての実施形態を含むものである。
次に、不織布間に紙を介在させたシート素材と、不織布間に紙が介在していないシート素材の接触冷感(ひんやり感)及び湿潤接触冷温感(発汗時のべたつき感)を試験した。
【0200】
(実施例2〜5)
実施例1と同様の不織布、紙、ホットメルト接着剤、ウレタンゴムを用いてシート素材を調整した。実施例2、3で用いた紙は、一対の平ロールを用いて表4に示す回数のエンボス処理を施した。使用した紙の目付量、ホットメルト接着剤の総目付量、シート素材の総目付量を表4にあわせて示す。これらのシート素材について以下の方法で接触冷感、湿潤接触温熱感を測定した。接触冷感、湿潤接触冷温感の値を結果を5に示す。
【0201】
接触冷感(W/m
2・K):接触冷感は着用したときの、ひんやり爽やかな感覚の大きさ、着用したときの熱の移動量を示している。そのため接触冷感は、熱の移動量が大きい方が、ひんやり爽やかだと言える。つまり、試料としては、接触冷感値が大きい方が優れていると言える。接触冷感は、精密迅速熱物性測定装置(カトーテック株式会社製のKES−F7サーモラボII)を用い、以下の方法で測定した。シート素材から切り出した試験片(6cm×6cm)を20℃のベースプレート上に載置する。精密熱センサー付き熱板を40℃に加熱し、20℃の試験片の上に熱板を乗せ、熱板の熱センサーで測定した放熱挙動から接触冷感値(qmax)を算出した。
【0202】
湿潤接触冷温感(W/m
2・K):湿潤接触冷温感は、汗をかいた時、つまり湿潤時のべたべた感の大きさを熱の移動量で示している。そのため試料としては、湿潤接触冷温感値が小さい方がべたべた感がなく優れていると言える。湿潤時接触冷温感は、精密迅速熱物性測定装置(カトーテック株式会社製のKES−F7サーモラボII)を用い以下の方法で測定した。
シート素材から切り出した試験片(6cm×6cm)に、80g/m
2の水を吸収させ給水させた試験片を20℃のベースプレート上に載置する。精密熱センサー付き熱板を40℃に加熱し、20℃の試験片の上に熱板を乗せ、熱板の熱センサーで測定した放熱挙動から、湿潤接触冷温感値(wet−qmax)を算出した。
【0203】
(比較例6)
比較例2と同様のシート素材を用い、実施例2〜5と同様に接触冷感、湿潤接触冷温感を試験した。結果を5に示す。
【0204】
(比較例7)
比較例4と同様のシート素材を用い、実施例2〜5と同様に接触冷感、湿潤接触冷温感を試験した。結果を5に示す。
【0205】
(比較例8)
比較例3と同様のシート素材を用い、実施例2〜5と同様に接触冷感、湿潤接触冷温感を試験した。結果を5に示す。
【0206】
(比較例9)
比較例5と同様のシート素材を用い、実施例2〜5と同様に接触冷感、湿潤接触冷温感を試験した。結果を5に示す。
【0207】
【表4】
【0208】
【表5】
【0209】
表5に示す結果から明らかなように、実施例2〜5では比較例6〜9に比べて同等以上の値であることから接触冷感が優れていることを示している。また湿潤時接触冷温感は実施例2〜5ではいずれも100以下の値であるのに対し、比較例6〜9は100以上の値であることから、実施例2〜5のシート素材は比較例6〜9のシート素材に比べ、発汗時のべたつき感が少ないと言える。その結果、接触冷感、湿潤時接触冷温感ともに優れていることが分かる。