特許第6369972号(P6369972)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6369972
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】風量制御装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/39 20180101AFI20180730BHJP
   F24F 11/46 20180101ALI20180730BHJP
   F24F 11/52 20180101ALI20180730BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20180730BHJP
   F24F 11/74 20180101ALI20180730BHJP
   F24F 11/88 20180101ALI20180730BHJP
   F24F 11/89 20180101ALI20180730BHJP
【FI】
   F24F11/39
   F24F11/46
   F24F11/52
   F24F11/64
   F24F11/74
   F24F11/88
   F24F11/89
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-47419(P2014-47419)
(22)【出願日】2014年3月11日
(65)【公開番号】特開2015-172442(P2015-172442A)
(43)【公開日】2015年10月1日
【審査請求日】2017年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】西 健志
(72)【発明者】
【氏名】吉田 豊
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−207880(JP,A)
【文献】 特開2013−061147(JP,A)
【文献】 特開2003−074954(JP,A)
【文献】 特開平10−132364(JP,A)
【文献】 特開2003−005842(JP,A)
【文献】 特開平10−082547(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0033119(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/39
F24F 11/46
F24F 11/52
F24F 11/64
F24F 11/74
F24F 11/88
F24F 11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気用のファンを駆動するファンモータへの電気的入力値を制御する制御手段と、前記ファンモータの回転速度と前記電気的入力値との設定関係が、設定風量に応じて予め記憶される記憶手段とを備え、前記制御手段が、設定風量に応じて、前記ファンモータの回転速度と前記電気的入力値との関係が、前記設定関係に一致するように、前記電気的入力値を制御する風量制御装置であって、
当該風量制御装置の運転初期における前記ファンモータへの前記電気的入力値に基づいて、前記設定関係を満足する電気的入力値の適正値を、前記設定風量に応じて推定する適性値推定手段と、
推定された電気的入力値の前記適正値が、前記設定風量に応じて記憶される適正値記憶手段と、
報知手段とを備え、
当該風量制御装置の運転時に、前記制御手段は、前記設定風量に応じた前記ファンモータへの前記電気的入力値が、前記適正値記憶手段に記憶された前記適正値に応じて規定される上限値を超えないように、前記電気的入力値を制限する制限制御を実行すると共に、制限制御の実行時間を累積し、累積した累積実行時間が、予め定めた時間以上となったときに、前記報知手段を制御して報知するものであり、
前記適正値推定手段は、前記運転初期における複数の異なる時点の前記ファンモータへの前記電気的入力値に基づいて、電気的入力値の前記適正値を推定するものであり、
前記前記複数の異なる時点が、運転開始から運転累積時間が所定時間に達する毎である、
ことを特徴とする風量制御装置。
【請求項2】
前記上限値は、前記適正値に所定値を加えた値である、
請求項1に記載の風量制御装置。
【請求項3】
前記ファンモータへの前記電気的入力値が、前記ファンモータへの印加電力である、
請求項1または2に記載の風量制御装置。
【請求項4】
前記ファンモータへの電気的入力値が、前記ファンモータへの印加電圧である、
請求項1または2に記載の風量制御装置。
【請求項5】
前記累積実行時間を、初期値にリセットするリセット手段を備える、
請求項1ないし4のいずれかに記載の風量制御装置。
【請求項6】
前記報知手段による報知を中断させる中断手段を備える、
請求項1ないし5のいずれかに記載の風量制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、換気風量などの通風量を制御する風量制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の風量制御装置として、例えば、特許文献1には、浴室や脱衣室等の換気を行う換気ファンを駆動するファンモータへの印加電圧を、予め求めた設定風量に対応した前記ファンモータの目標回転速度と前記ファンモータへの印加電圧との設定関係に基づいて制御することによって、風量を、設定風量に制御する浴室暖房換気装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−181683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、換気ファンによって通風を行う風量制御装置の場合、換気ファンに埃などが付着したときに、通風性能が劣化することがあり、風量制御装置の運転累積時間が長くなると、所望の換気ファンの通風性能が得られない状況に至ることが考えられる。
【0005】
つまり、特許文献1の風量制御装置のように、風量を所望の設定風量に制御するために、ファンモータの目標回転速度と前記ファンモータへの印加電圧との関係が、予め求めた前記ファンモータの目標回転速度と前記ファンモータへの印加電圧との設定関係に一致するように制御を行うような、いわば、風量設定方式の風量制御装置の場合には、換気ファンへの埃などの付着に起因して、換気ファンの風量を所望の設定風量に制御するためのファンモータの目標回転速度と前記ファンモータへの印加電圧との関係が、埃などが付着する前に予め求めた設定関係からずれてしまうことになる。
【0006】
そして、換気ファンへの埃などの付着量が多くなったときには、この風量制御装置による通量が、前記設定風量から大きくずれてしまうことが考えられる。このため、換気ファンに埃などが付着したときには、それを検出して報知できるようにし、換気ファンの清掃等のメンテナンスを行えるようして、風量が設定風量から大きくずれてしまうことがないようにすることが望まれる。
【0007】
因みに、上記のような風量設定方式ではなく、ファンモータの回転数を単に設定目標回転数に維持する回転数制御によって換気ファンを駆動する方式を用いる風量制御装置の場合には、換気ファンに埃などが付着すると、ファンモータの回転数を設定目標回転数に維持したときの換気ファンの仕事量(風量)が減少するために、換気ファンを駆動するファンモータへの印加電圧が低下することになる。したがって、前記ファンモータへの印加電圧の低下量を監視することによって、換気ファンに埃などが付着したことを検出することが可能となる。
【0008】
また、風量制御装置において、換気ファンに所定電圧を印加して換気ファンを単にオープンループ制御によって駆動する方式を用いる場合には、換気ファンに埃などが付着すると、ファンモータへの印加電圧を所定電圧に維持したときの換気ファンの仕事量(風量)が減少するために、換気ファンを駆動するファンモータの回転数が上昇することになる。したがって、前記ファンモータの回転数の上昇量を監視することによって、換気ファンに埃などが付着したことを検出することが可能となる。
【0009】
しかし、特許文献1の風量制御装置のように、風量を所望の設定風量に制御するために、ファンモータの目標回転速度と前記ファンモータへの印加電圧との関係が、予め求めた前記ファンモータの目標回転速度と前記ファンモータへの印加電圧との設定関係に一致するように制御を行う場合には、換気ファンへの埃などの付着に起因して、換気ファンの風量を所望の設定風量に制御するためのファンモータの目標回転速度と前記ファンモータへの印加電圧との関係が、埃などが付着する前に予め求めた設定関係からずれてしまっているにもかかわらず、埃が付着する前の設定関係に基づいて制御され、ファンモータの回転速度及びファンモータへの印加電圧の両者が変化するために、換気ファンへの埃などの付着を検出するのが困難であった。
【0010】
本発明は、上記のような点に鑑みて為されたものであって、その目的は、風量設定方式の風量制御装置において、通気用のファンへの埃などの付着を検出して報知できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明の風量制御装置は、通気用のファンを駆動するファンモータへの電気的入力値を制御する制御手段と、前記ファンモータの回転速度と前記電気的入力値との設定関係が、設定風量に応じて予め記憶される記憶手段とを備え、前記制御手段が、設定風量に応じて、前記ファンモータの回転速度と前記電気的入力値との関係が、前記設定関係に一致するように、前記電気的入力値を制御する風量制御装置であって、
当該風量制御装置の運転初期における前記ファンモータへの前記電気的入力値に基づいて、前記設定関係を満足する電気的入力値の適正値を、前記設定風量に応じて推定する適性値推定手段と、
推定された電気的入力値の前記適正値が、前記設定風量に応じて記憶される適正値記憶手段と、
報知手段とを備え、
当該風量制御装置の運転時に、前記制御手段は、前記設定風量に応じた前記ファンモータへの前記電気的入力値が、前記適正値記憶手段に記憶された前記適正値に応じて規定される上限値を超えないように、前記電気的入力値を制限する制限制御を実行すると共に、制限制御の実行時間を累積し、累積した累積実行時間が、予め定めた時間以上となったときに、前記報知手段を制御して報知するものであり、
前記適正値推定手段は、前記運転初期における複数の異なる時点の前記ファンモータへの前記電気的入力値に基づいて、電気的入力値の前記適正値を推定するものであり、
前記前記複数の異なる時点が、運転開始から運転累積時間が所定時間に達する毎である
【0012】
ここで、当該風量制御装置の運転初期とは、当該風量制御装置が設置されてその運転を開始してから間もない期間をいう。
【0013】
本発明によると、ファンモータの回転速度と、ファンモータへの印加電圧や印加電力といった電気的入力値との関係が、予め記憶された設定関係に一致するように、前記電気的入力値を制御する風量制御装置において、通気用のファンに埃などが付着していない運転初期に、設定風量に応じたファンモータへの電気的入力値に基づいて、前記設定関係を満足する電気的入力値の適正値を推定して記憶しておき、当該風量制御装置が長期間使用されて、通気用のファンに埃などが付着し、運転時に、ファンモータへの電気的入力値が、記憶された前記適正値に応じて規定される上限値を超えようとするときには、上限値を超えないように制限制御を実行する共に、その制限制御の実行時間を累積し、累積した累積実行時間が、予め定めた時間以上になると、通気用のファンへ埃などが付着したとしてユーザに報知することができる。
【0014】
これによって、ユーザは、例えば、メンテナンスを依頼し、メンテナンス技術者が、通気用のファンの清掃等のメンテナンスを行うことによって、通風量が設定風量から大きくずれてしまうといった事態を回避することができる。
【0015】
また、ファンモータへの電気的入力値が、上限値を超えないように制限制御を実行するので、通気用のファンに埃などが付着しても、ファンの回転速度が制限されることで大きな騒音が発生するのを抑制することができる。
更に、運転初期における複数の異なる時点の前記ファンモータへの前記電気的入力値に基づいて、電気的入力値の適正値を推定するので、より正確に適正値を推定することができる。
【0016】
(2)本発明の好ましい実施態様では、前記上限値は、前記適正値に所定値を加えた値である。
【0017】
この実施態様によると、通気用のファンへ埃などが付着していない運転初期におけるファンモータへの電気的入力値の適正値に、通気用のファンへの埃などの付着に対応する所定値を加えた値を、電気的入力値の上限値として制限制御を実行できると共に、その制限制御の累積実行時間に基づいて、通気用のファンへの埃などの付着を検出して報知することが可能となる。
【0018】
(3)本発明の他の実施態様では、前記ファンモータへの前記電気的入力値が、前記ファンモータへの印加電力である。
【0019】
この実施態様によると、風量と密接な相関性を有するファンモータへの印加電力をファンモータへの電気的入力値とすることで、ファンモータのモータ特性のバラツキに起因して、風量が所望の風量からずれてしまうことが抑制される。
【0020】
(4)本発明の更に他の実施態様では、前記ファンモータへの電気的入力値が、前記ファンモータへの印加電圧である。
【0021】
この実施態様によると、ファンモータへの電気的入力値がファンモータへの印加電圧であるので、電気的入力値を印加電力とする場合に比べて、ファンモータを制御する制御手段の構成が簡単になる。
【0022】
(5)本発明の別の実施態様では、前記累積実行時間を、初期値にリセットするリセット手段を備える。
【0023】
この実施態様によると、報知手段による報知が行われ、通気用のファンに付着した埃の除去等のメンテナンスを行った後に、リセット手段を操作して累積実行時間を初期値にリセットすることによって、通気用のファンに埃などが付着したか否かを検出するための処理を、改めて開始することができる。
【0024】
(6)本発明の他の実施態様では、前記報知手段による報知を中断させる中断手段を備える。
【0025】
この実施態様によると、報知がされてからメンテナンスが実際に行われるまでの間、報知手段による報知を中断させることで、報知が継続されることによって、ユーザが感じる煩わしさを低減することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、通気用のファンに埃などが付着していない運転初期における電気的入力値の適正値を推定して記憶しておき、運転時に、通気用のファンへの埃などの付着によって、ファンモータへの電気的入力値が、前記適正値に基づく上限値を超えようにとするときには、上限値を超えないように制限制御を実行する共に、その制限制御の実行時間を累積した累積実行時間が、所定時間以上になると、通気用のファンへ埃などが付着したとしてユーザに報知するので、通気用のファンの清掃等のメンテナンスを行うことができ、通風量が設定風量から大きくずれてしまうといった事態を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態の風量制御装置としての浴室暖房換気装置の概略平面図である。
図2図1の浴室暖房換気装置の概略側面図である。
図3】リモコンの正面図である。
図4】ファンモータのPQ特性と通風路の負荷特性との関係を示す図である。
図5】ファンモータの回転速度と印加電力との設定関係を示す図である。
図6】本発明の実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。
図7】実施形態の制御を行わなかった場合の不具合を説明するためのファンモータの回転速度と印加電力との設定関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この実施形態では、風量制御装置として浴室暖房換気装置に適用して説明する。
【0031】
図1は、本発明の一実施形態に係る風量制御装置としての浴室暖房換気装置の概略平面図であり、図2は、浴室暖房換気装置の概略側面図である。
【0032】
この浴室暖房換気装置は、浴室Aの天井部に設置されて浴室Aの乾燥や換気を行う浴室ユニットBと、浴室A、トイレC、および、脱衣室Dを換気するための換気ファン12を備えた換気ユニットE、浴室ユニットB内に設けられ、浴室ユニットBおよび換気ユニットEの運転を制御する制御手段に相当する制御部H、その制御部Hに対して運転指令などを指令するリモコンRなどから構成されている。
【0033】
浴室ユニットBは、下方側が開口し、一側面に換気空気排出用の排気用接続口2を備えたケーシング1と、吸込み部3および吹出し部4を備えてケーシング1の下方側を閉じるように配置されるグリル板5などを備えて構成されている。
【0034】
そして、ケーシング1の内部には、吸込み部3と吹出し部4とを接続する循環路6が区画形成され、吸込み部3から吹出し部4に至る循環路6の経路の途中で、循環路6に連通するように、排気用接続口2が形成され、その排気用接続口2を開閉する開閉体20が設けられている。
【0035】
なお、開閉体20は、電磁石20bに対して通電状態と非通電状態に切り換えることによって、シャッタ体20aを開閉させて、開閉作動されるように構成されている。
【0036】
また、循環路6内に、吸込み部3に吸気作用するとともに、吸込み空気を吹出し部4および排気用接続口2に送るように通風作用する循環ファン7、循環路6を通流する空気を加熱する熱交換器8が設けられている。
【0037】
前記熱交換器8には、外部熱源機(図示せず)から温水を循環供給する温水循環路9が接続され、その温水循環路9に、熱交換器8への温水の供給を断続する熱動弁10が設けられている。
【0038】
前記換気ユニットEは、換気ファン用ケーシング11内に通風用のファンである換気ファン12を収納して構成され、この例では、換気ファン用ケーシング11の一側面が、2個の他室用の吸気口13とされ、他側面が、排気口14とされている。なお、他側面にも吸気口として使用可能な接続口を有しているが、この例では使用しないため、閉塞板27によって閉塞されている。
【0039】
そして、換気ファン12が、ファンモータ12aの駆動により、換気用ファンケーシング11内に吸気作用させるとともに、吸引空気を排気口14から排出するように、換気ファン12の吐出口を排気口14に接続するようにしている。
【0040】
他室用の吸気口13の夫々には、他室用の吸気口13の開口量を調整するダンパ15が、上下移動操作自在に設けられ、ダクト接続部である筒状の吸気継ぎ手16を介して、トイレCおよび脱衣室Dの夫々に連通する通風路を形成する吸気ダクト17を接続するように構成されており、吸気口13は、吸気ダクト17を接続する接続口となっている。
【0041】
排気口14には、ダクト接続部である筒状の排気継ぎ手18を介して、屋外に延設される通風路を形成する排気ダクト19を接続するように構成されており、排気口14は、排気ダクト19を接続する接続口となっている。
【0042】
このようにして、ファンモータ12aを駆動させて、換気ファン12を通風作動させて、浴室ユニットBを介して浴室A内の空気を換気ファン用ケーシング11内に吸引して、排気ダクト19を通して換気するとともに、吸気ダクト17を通してトイレCおよび脱衣室D内の空気を換気ファン用ケーシング11内に吸引して、排気ダクト19を通して換気するように構成されている。
【0043】
制御部Hは、リモコンRからの指令に基づいて、開閉体20を開閉制御するとともに、循環ファン7および換気ファン12の通風作動を制御するなどして、浴室A内を乾燥する乾燥運転、浴室A内の空気を循環させる涼風運転、浴室A内を暖房する暖房運転、浴室A内やトイレCおよび脱衣室D内を通常設定換気量にて換気する通常換気運転、浴室A内やトイレCおよび脱衣室D内を24時間設定換気量にて換気する24時間換気運転などの各種の運転を実行するように構成されている。
【0044】
図3に示すように、リモコンRには、乾燥運転を指令する乾燥運転スイッチ21、涼風運転を指令する涼風運転スイッチ22、暖房運転を指令する暖房運転スイッチ23、通常換気運転を指令する通常換気運転スイッチ24、24時間換気運転を指令する24時間換気運転スイッチ25、報知手段としての表示部26などが設けられている。
【0045】
乾燥運転は、循環ファン7を作動させ、かつ、浴室A内の温度が乾燥用の設定温度範囲に維持されるように、熱動弁10の開閉を制御して熱交換器8に温水を循環供給するとともに、開閉体20を開作動させた状態で、設定風量となるように換気ファン12を作動させて、浴室A内から吸引した空気の一部を、排気用接続口2を通して換気ファン用ケーシング11内に吸引して、排気ダクト19を通して屋外に排出させながら、熱交換器8により加熱された循環空気を吹出し部4から浴室A内に吹出すようにしている。
【0046】
涼風運転は、循環ファン7を作動させるとともに、開閉体20を開作動させた状態で、設定風量となるように換気ファン12を作動させて、浴室A内から吸引した空気の一部を、排気用接続口2を通して換気ファン用ケーシング11内に吸引して、排気ダクト19を通して屋外に排出させながら、吸込み部3から吸引された循環空気を吹出し部4から浴室A内に吹出すようにしている。
【0047】
暖房運転は、循環ファン7を作動させ、かつ、浴室A内の温度が暖房用の設定温度範囲に維持されるように、熱動弁10の開閉を制御して熱交換器8に温水を循環供給させるとともに、開閉体20を閉作動させて、浴室A内から吸引した空気の全量を熱交換器8により加熱し、その加熱された循環空気を吹出し部4から浴室A内に吹出すようにしている。
【0048】
通常換気運転は、開閉体20を開作動させた状態で、通常設定換気量となるように換気ファン12を作動させて、浴室A内から吸引した空気および吸気ダクト17を通してトイレCおよび脱衣室D内から吸引した空気を換気ファン用ケーシング11内に吸引して、排気ダクト19を通して換気するようにして、浴室A、トイレC、および、脱衣室Dを同時に換気するようにしている。
【0049】
因みに、上述の暖房運転中など、浴室Aの換気を行いたくないときには、リモコンRにて指令して、開閉体20を閉作動させた状態で、換気ファン12を作動させて、トイレCおよび脱衣室Dのみ換気するようにしている。
【0050】
24時間換気運転は、24時間設定換気量となるように換気ファン12を作動させて、浴室A内から吸引した空気および吸気ダクト17を通してトイレCおよび脱衣室D内から吸引した空気を換気ファン用ケーシング11内に吸引して、排気ダクト19を通して換気するようにして、24時間継続して、浴室A、トイレC、および、脱衣室Dを同時に換気するようにしている。
【0051】
因みに、上述の暖房運転中など、浴室Aの換気を行いたくないときには、リモコンRにて指令して、開閉体20を閉作動させた状態で、換気ファン12を作動させて、トイレCおよび脱衣室Dのみ換気するようにしている。
【0052】
この実施形態の浴室暖房換気装置は、上記のように、浴室A、トイレC、および、脱衣室Dの3室の換気を行うことが可能である。
【0053】
次に、この浴室暖房換気装置における、制御部Hによる通気用のファンである換気ファン12の制御について説明する。
【0054】
換気ファン12に装着されるファンモータ12aと制御部Hとは、コネクタ(不図示)および電線(不図示)を介して接続され、制御部Hは、電線を通して、ファンモータ12aの回転速度の情報を得るとともに、ファンモータ12aに、電気的入力値として電力を印加するように構成されている。
【0055】
そして、制御部Hは、該制御部Hの記憶部に予め記憶されている、ファンモータ12aの目標回転速度とファンモータ12aへの電気的入力値である印加電力との設定関係の情報に基づいて、通常設定換気量、および、24時間設定換気量などの設定風量に対応するファンモータ12aの目標回転速度になるように、ファンモータ12aへの印加電力を制御するように構成されている。
【0056】
ここで、制御部Hがファンモータ12aへの印加電力を制御するための、ファンモータ12aの目標回転速度とファンモータ12aへの印加電力との設定関係について説明する。
【0057】
例えば、設定風量がQ1(例えば100m3/h)であるとする。
【0058】
図4は、換気ファン12を駆動するファンモータ12aに印加する電力が、EP1、EP2、EP3、EP4、EP5(EP1<EP2<EP3<EP4<EP5)であるときの浴室暖房換気装置の、換気ファン12によって通風する通風量Qに対する、排気部における静圧と吸気部における静圧との差圧Pの特性を示すPQ特性(EP1〜EP5で指示される曲線)、および、換気ファン12によって通風する通風路の通風抵抗が、L1、L2、L3、L4、L5(通風抵抗L1<L2<L3<L4<L5)であるときの通風路における圧力損失Pと通風量Qとの関係を示すPQ特性(L1〜L5で示される右上がりの曲線)を示している。
【0059】
図4において、破線は、風量がQ1(例えば100m3 /h)で一定である線を表しており、通風路の通風抵抗が種々異なる場合であっても、通風路の通風抵抗に応じてファンモータ12aへの印加電力を調節することで下記に示すように、換気ファン12によって通風する通風量をQ1に合致させることができる。
【0060】
(1)通風路の通風抵抗がL1のときには、通風路の通風抵抗がL1のときの通風路のPQ特性の曲線と破線との交点、つまり、数字1の丸で囲んだ点において、通風路の通風抵抗がL1のときの通風路のPQ特性の曲線と、換気ファン12のPQ特性の曲線とが交差すれば、通風抵抗がL1の通風路にQ1の通風量で通風されることになるから、ファンモータ12aへの印加電力をEP1に調節することで通風量はQ1となる。
【0061】
(2)同様に、風路の通風抵抗がL2のときにはファンモータ12aへの印加電力をEP2に調節することで、また、風路の通風抵抗がL3のときにはファンモータ12aへの印加電力をEP3に調節することで、また、風路の通風抵抗がL4のときにはファンモータ12aへの印加電力をEP4に調節することで、また、風路の通風抵抗がL5のときにはファンモータ12aへの印加電力をEP5に調節することで、通風量はQ1となる。
【0062】
一方、ファンモータ12aへの印加電力がEP1のときに、Q1の通風量で通風されている場合のファンモータ12aの回転速度N1は、換気ファン12固有の値であり、同様に、ファンモータ12aへの印加電力がEP2のときに、Q1の通風量で通風されている場合のファンモータ12aの回転速度N2、および、ファンモータ12aへの印加電力がEP3のときに、Q1の通風量で通風されている場合のファンモータ12aの回転速度N3、および、ファンモータ12aへの印加電力がEP4のときに、Q1の通風量で通風されている場合のファンモータ12aの回転速度N4、および、ファンモータ12aへの印加電力がEP5のときに、Q1の通風量で通風されている場合のファンモータ12aの回転速度N5も、夫々換気ファン12固有の値である。
【0063】
したがって、Q1の通風量で通風されている場合には、ファンモータ12aの回転速度Nとファンモータ12aへの印加電力EPとの関係は、N=N1のときにはEP=EP1、N=N2のときにはEP=EP2、N=N3のときにはEP=EP3、N=N4のときにはEP=EP4、N=N5のときにはEP=EP5となる関係が成立する。
【0064】
換言すれば、N=N1のときにはEP=EP1、N=N2のときにはEP=EP2、N=N3のときにはEP=EP3、N=N4のときにはEP=EP4、N=N5のときにはEP=EP5となる関係を満たすように、ファンモータ12aへの印加電力EPを調節することで、通風路の通風抵抗が未知であってもQ1の通風量で通風できることになる。
【0065】
ここで、一般に、浴室暖房換気装置などの換気装置によって通風換気される通風路の通風抵抗は、上記L1〜L5のように離散的な値をとるのではなく、種々の値をとり得るものであるが、通常設定換気量、および、24時間設定換気量などの設定風量毎に、ファンモータ12aの回転速度Nとファンモータ12aへの印加電力EPとの設定関係を予め求めておき、ファンモータ12aの回転速度Nとファンモータ12aへの印加電力EPとの関係が、この設定関係に一致するように、ファンモータ12aへの印加電力EPを制御すれば、浴室暖房換気装置によって通風換気される通風量が、通常設定換気量、および、24時間設定換気量などの設定風量に調節されることになる。
【0066】
これを換言すると、上述の制御部Hは、ファンモータ12aの目標回転速度とファンモータ12aへの印加電力との設定関係に基づいて、通常設定換気量、および、24時間設定換気量などの設定風量に対応するファンモータ12aの目標回転速度になるように、ファンモータ12aへの印加電力を制御するように構成すればよい、ということになる。
【0067】
本実施形態における浴室暖房換気装置においては、図5に示すように、制御部Hの記憶部には、通風量に応じて、ファンモータ12aの目標回転速度Nとファンモータ12aへの印加電力EPとの設定関係S1を示す情報が、予め求められて記憶されている。なお、この図5の設定関係S1は、通風量Q1に対応するものである。
【0068】
本実施形態では、通風量が設定風量からずれるような換気ファン12への埃などの付着を検出して報知できるようにするために、次のように構成している。
【0069】
すなわち、この実施形態では、換気ファン12への埃などの付着のない運転初期において、適正値推定手段及び適正値記憶手段としての機能を有する制御部Hが、換気ファン12の電気的入力値である印加電力EPの適正値を後述のように推定し、推定した印加電力の適正値を記憶する。
【0070】
運転初期とは、浴室暖房換気装置を現場に設置して運転を開始してから間もない期間をいい、例えば、浴室暖房換気装置を設置して初回の運転を開始した時点からの運転累積時間が、所定時間に達するまでの期間としてもよい。この所定時間は、例えば、7日(7×24=168時間)、10日(10×24=240時間)などとしてもよい。
【0071】
この運転初期は、換気ファン12への埃などの付着が殆どなく、換気ファン12が正常に作動する期間とするのが好ましい。
【0072】
上記のように印加電力の適正値を予め記憶した後、浴室暖房換気装置の運転時において、制御部Hは、設定関係に基づくファンモータ12aへの印加電力EPが、推定した適正値に所定値を加えた上限値を超えようとするときには、ファンモータ12aへの印加電力EPを、前記上限値に制限する制限制御を実行する。
【0073】
そして、制御部Hは、制限制御を実行した時間を累積し、累積実行時間として記憶する。この累積実行時間が、予め定めた時間に達したときに、通風量が設定風量からずれるような換気ファン12への埃などの付着が生じたとしてメンテナンスを促す報知を行う。具体的には、リモコンRの表示部26に、例えば“E10”と表示する。なお、報知は、表示に限らず、ブザーなどの音であってもよい。
【0074】
このようにして、ファンモータ12aの回転速度と電気的入力値である印加電力EPとの関係が、設定関係となるように制御されるような浴室暖房換気装置において、通風量が設定風量からずれるような換気ファン12への埃などの付着が生じたときには、それを検出してメンテナンスを行うように促すことができる。
【0075】
なお、本実施形態では、印加電力の適正値に加算する上記の所定値は、設定風量に応じて予め定められており、設定風量がQ1(例えば100m3/h)のときに、所定値は、例えば、5Wに定められている。
【0076】
因みに、本実施形態では、設定風量がQ1(例えば100m3/h)の場合に、浴室暖房換気装置に接続される排気ダクトの圧力損失が、例えば、50Paであるとき、ファンモータ12aへの印加電力EPは、例えば、8Wであり、前記所定値は、この圧力損失が、例えば、40Pa上昇して90Paに上昇したときのファンモータ12aの印加電力EPの上昇値である上記5Wに設定されている。したがって、適正値を上記8Wとすると、上限値は、13W(=8+5)となる。
【0077】
なお、設定風量は、Q1(例えば100m3/h)以外にも、設定可能に構成され、前記所定値は、Q2〜Qnなど複数設定される設定風量に応じて予め定められている。
【0078】
このように構成することで、Q2〜Qnなど複数の設定風量に応じて換気ファン12への埃などの付着を適切に検出することが可能となる。
【0079】
次に、上記の換気ファン12への埃などの付着の検出及び報知動作を、図6のフローチャートに基づいて説明する。
【0080】
先ず、同図(a)に示すように、運転初期における第1の時点である運転開始後X時間、例えば、24時間が経過したか否かを判断する(ステップS01)。ここで、運転開始とは、浴室暖房換気装置を設置した後の最初の運転開始をいう。したがって、最初の運転開始時点を起点にして、運転の累積時間が、X時間(24時間)になったか否かを判断する。
【0081】
運転開始後X時間、例えば、24時間が経過したときには、ファンモータ12aへの電気的入力値である印加電力の適正値を推定するために収集する印加電力のデータの順番を示すi=1とし、そのときのファンモータ12aへの印加電力EPを、EPi(EP1)として制御部Hに記憶する(ステップS02)。
【0082】
次に、印加電力EPiの記憶後、更に上記X時間が経過したか否かを判断し(ステップS03)、印加電力EPiの記憶後X時間が経過したときには、i=i+1とし、そのときのファンモータ12aへの印加電力EPをEPi(EP2)として記憶する(ステップS04)。
【0083】
次に、i=t(本実施形態ではt=8)になったか否かを判断し(ステップS05)、i=tになっていないときには、ファンモータ12aへの印加電力の適正値を推定するための印加電力のデータの収集が終了していないとしてステップS03に戻り、i=tになったときには、印加電力の適正値を推定するための印加電力のデータの収集が終了したとしてステップS06に移る。
【0084】
ステップS06では、記憶したt個の印加電力のデータEP1…EPi…EPt(本実施形態では、EP1〜EP8)を、その値の大きさで昇順に整列させたときに、最小値及び下からy番目(本実施形態ではy=2)までの印加電力を除くと共に、最大値及び上からz番目(本実施形態ではz=2)までの印加電力を除く。そして、残りの印加電力の平均値EPmを、ファンモータ12aの目標回転速度とファンモータ12aへの印加電力EPとの設定関係を満足する印加電力の適正値であると推定して算出し、この適正値を、制御部Hに記憶する。
【0085】
つまり、本実施形態では、8個の印加電力のデータEP1〜EP8の内、変則なデータの影響を受けないように、上下2番目までのデータをそれぞれ除いて、残った4個のデータの平均値EPmを適正値と推定し記憶する。
【0086】
この実施形態では、印加電力の適正値を算出するために、8個の印加電力のデータを収集しているが、これらは、上記の運転開始からの運転累積時間が、8・X時間(=192時間)までの運転初期における印加電力のデータである。その間には、運転の開始、停止が繰り返されるが、収集された印加電力のデータは、適正値を算出する迄、不揮発性メモリ等に記憶される。
【0087】
浴室暖房換気装置は、設置される現場に応じて排気ダクトの長さ等が異なる、すなわち、通風抵抗が異なるので、印加電力の適正値も異なることになるが、このように、浴室暖房換気装置が現場に設置された後の、換気ファン12への埃などの付着のない運転初期における印加電力のデータを複数の時点で収集して平均することによって、設置される現場に応じた印加電力の適正値を精度よく推定することができる。
【0088】
なお、印加電力の適正値の推定は、上記に限らず、例えば、運転開始からの経過時間X、収集する印加電力のデータの数t、あるいは、推定値の算出方法は、適宜変更してもよい。
【0089】
次に、制御部Hは、推定した適性値としての平均値EPmに、所定値EPpを加算した値を上限値EPu(=EPm+EPp)として記憶する(ステップS07)。
【0090】
そして、制御部Hは、前記設定関係に基づくファンモータ12aへの印加電力EPが、上限値EPuを超えないように、印加電力EPの最大値を、上限値EPuに制限する(ステップS08)。
【0091】
次に、同図(b)に示すように、ファンモータ12aへの印加電力EPが、上限値EPuに制限されている制限制御を実行中であるか否かを判断し(ステップS09)、制限制御の実行中でないときには、ステップS11に移り、制限制御の実行中であるときには、ステップS10に移り、制御部Hに内蔵されているタイマTによって、制限制御の実行時間を累積し、ステップS11に移る。なお、図示されていないが、上記の運転開始直後は、タイマTは、初期値「0」に設定されている。
【0092】
ステップS11では、制限制御の実行時間の累積時間Tが、予め定めた所定時間Tp、例えば、12時間以上であるか否かを判断し、所定時間Tp(=12時間)以上でないときには、ステップS13に移り、所定時間Tp以上であるときには、ステップS12に移る。なお、所定時間Tpは、12時間以外であってもよい。
【0093】
ステップS12では、制限制御の累積実行時間が、所定時間Tpに達したので、通風量が設定風量からずれるような換気ファン12への埃などの付着が生じているとして、換気ファン12の清掃、すなわち、メンテナンスが必要である旨を報知する、具体的には、上記のようにリモコンRの表示部26に“E10”を表示し、ステップS13に移る。
【0094】
ステップS13では、リセット手段としてのリモコンRによってリセット操作がされたか否かを判断し、リセット操作されないときには、ステップS09に戻る。また、換気ファン12の清掃等のメンテナンスが行われて、リモコンRによってリセット操作がされたときには、ステップS14に移り、ステップS14では、タイマTで計測された制限制御の累積実行時間を初期値「0」にリセットしてステップS09に戻る。
【0095】
このように換気ファン12の清掃等のメンテナンスが行われた後には、リセット操作によって、制限制御の累積実行時間が、初期値にリセットされるので、改めて換気ファン12への埃などの付着を検出するための処理が開始されることになる。
【0096】
なお、図6には、累積実行時間をリセットすることなく、報知を所定時間中断させる中断処理について記述されていないが、本実施形態では、図6に示されるフローチャートと特に連動せず、例えば、ユーザが、中断手段としての機能を有するリモコンRの24時間換気運転スイッチ25を3秒以上長押しすることによって、報知が所定時間(例えば48時間)中断される、すなわち、リモコンRの表示部26の“E10”の表示が消えるようにしている。
【0097】
報知が開始されてから、ユーザが、メンテナンスを依頼し、実際にメンテナンスが行なわれるまでには時間を要するものであり、報知を所定時間中断することで、リモコンRの表示部26に、“E10”の表示が継続されて使用者が煩わしさを感じることがない。
【0098】
本実施形態では、浴室暖房換気装置の風量と密接な相関性を有するファンモータ12aへの印加電力をファンモータ12aへの電気的入力値としているので、電気的入力値を印加電圧とする場合に比べて、ファンモータ12aのバラツキに起因して、浴室暖房換気装置の風量が所望の風量からずれてしまうことが抑制される。
【0099】
ここで、従来の課題を一層明確にするために、本実施形態の制御を行わなかった場合の動作について説明する。
【0100】
制御部Hの記憶部に予め記憶されている、ファンモータ12aの目標回転速度とファンモータ12aへの印加電力との設定関係S1に基づいて、通常設定換気量、および、24時間設定換気量などの設定風量に対応するファンモータ12aの目標回転速度になるように、ファンモータ12aへの印加電力を制御するように構成されている浴室暖房換気装置において、換気ファン12に埃などが付着したときに、ファンモータ12aの回転速度は、適正回転速度から大きくずれてしまうおそれがある。
【0101】
例えば、図7に示すように、設定関係S1に基づいて、ファンモータ12aが目標回転速度になるように、ファンモータ12aへの印加電力を制御するように構成されている浴室暖房換気装置において、換気ファン12に埃などが付着していないときに、例えば、点C1で安定して制御されるとする。
【0102】
換気ファン12に埃などが付着したときには、換気ファン12の仕事率が低下するので、点C1に対応するファンモータ12aの回転速度を維持するときのファンモータ12aへの印加電力は、点C2に対応する値に減少して設定関係S1からずれることになる。
【0103】
その場合、制御部Hによって、ファンモータ12aの回転速度と印加電力EPとの関係が、設定関係S1となるように制御されるので、制御部Hは、ファンモータ12aの印加電力EPを増加させることになる。
【0104】
このとき、ファンモータ12aの印加電力EPの増分に対するファンモータ12aの回転速度Nの増分の比(=ΔN/ΔEP)が、設定関係S1の傾きより小さいときには、例えば点C5において、ファンモータ12aの印加電力EPとファンモータ12aの回転速度Nの関係が、設定関係S1と一致して、点C5において安定して制御されることになる。
【0105】
これに対し、ファンモータ12aの印加電力EPの増分に対するファンモータ12aの回転速度Nの増分の比(=ΔN/ΔEP)が、設定関係S1の傾き以上であるときには、制御部Hによってファンモータ12aの印加電力EPを増加しても、ファンモータ12aの回転速度Nの関係が、設定関係S1と一致することなく、ファンモータ12aの回転速度Nの関係が、設定関係S1と平行して推移し、例えば点C3から点C4に推移することが考えられる。
【0106】
そのような場合、ファンモータ12aの印加電力EPとファンモータ12aの回転速度Nの関係が、設定関係S1と一致せず、ファンモータ12aの回転速度Nが極端に大きくなってしまう、すなわち、換気ファン12の通風量が、設定風量から大きくずれてしまうことが考えられる。
【0107】
これに対して、本実施形態では、上記のように換気ファン12への埃などの付着を検出して報知できるので、換気ファン12の清掃等を行うことができ、換気ファン12の通風量が設定風量から大きくずれるといったことがない。
【0108】
上記実施形態では、ファンモータ12aへの電気的入力値を印加電力として構成しているが、ファンモータ12aへの電気的入力値を印加電圧として構成し、制御部Hが、ファンモータ12aの目標回転速度とファンモータ12aへの印加電圧との設定関係に基づいて、通常設定換気量、および、24時間設定換気量などの設定風量に対応するファンモータ12aの目標回転速度になるように、ファンモータ12aへの印加電圧を制御するようにしてもよい。
【0109】
上記実施形態のように印加電力を制御する場合には、ファンモータ12aへの印加電力を知るためには、ファンモータ12aへの印加電圧に加えて、ファンモータ12aへの通電電流を知る必要があるが、印加電圧を制御する場合には、ファンモータ12aへの通電電流を知る必要がなく、制御部Hの構成が簡単になる。
【符号の説明】
【0110】
1 ケーシング
12 換気ファン
12a ファンモータ
13 吸気口
14 排気口
26 表示部
A 浴室
B 浴室ユニット
C トイレ
D 脱衣室
E 換気ユニット
H 制御部
R リモコン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7