(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1には薄肉部をどのように打ち抜くかについて具体的な記載はないが、打ち抜くとすればスクリュードライバを用いたりポンチを用いたりすると推測される。しかしながら、スクリュードライバを用いたりポンチを用いたりすると次のような問題がある。
【0008】
例えば
図15に示すように特許文献1に記載のヒンジピン2000の薄肉部2001にスクリュードライバ80の先端を当ててハンマーなどで叩いたとすると、スクリュードライバ80の先端が当たっている部分が薄肉であることにより、スクリュードライバ80が貫通してしまう虞がある。つまり、この場合は薄肉部2001にスクリュードライバ80の外径相当の小さな孔が空くだけであり、薄肉部2001全体を打ち抜くことは困難である。すなわち、大きな孔を空けることは困難である。
【0009】
これに対し、
図16に示すように、外径が筒部2002の内径より小さく、且つ、内径が薄肉部2001の径より大きい筒状のポンチ台82を厚肉部2003の下にあてがい、外径が薄肉部2001の径と同じかそれより少し小さいポンチ81によって上から薄肉部2001を打ち抜く方法も考えられる。この方法であれば大きな孔を空けることは可能であると考えられる。しかしながら、この方法ではそのような条件を満たすポンチ台82やポンチ81を用いなければならない。すなわちこの方法では薄肉部2001を打ち抜くための専用の工具を用いなければならない。
【0010】
本明細書では、スクリュードライバなどの汎用の工具を用いて閉塞壁に大きな孔を空ける技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書によって開示される開閉扉の支持装置は、収納庫の庫本体の開口を開閉する開閉扉を支持する支持装置であって、前記庫本体に取り付けられるヒンジピンと、前記開閉扉に取り付けられるピンホルダであって、前記ヒンジピンが挿入される筒部を有するピンホルダと、を備え、前記筒部は内孔を閉塞する閉塞壁を有し、前記閉塞壁は、所定形状の第1の閉塞部と、前記第1の閉塞部を全周に亘って囲む第2の閉塞部であって前記第1の閉塞部よりも薄肉の第2の閉塞部とを有する。
【0012】
上記の支持装置によると、第1の閉塞部が第2の閉塞部よりも厚肉であるので、例えばスクリュードライバの先端を第1の閉塞部に当ててハンマーなどで叩いたとき、ハンマーから受けた力は薄肉である第2の閉塞部に集中し、それにより第1の閉塞部全体が打ち抜かれる。このように上記の支持装置によると、スクリュードライバなどの汎用の工具を用いて大きな孔を空けることができる。ここでいう大きな孔とは第1の閉塞部に相当する孔のことをいう。
【0013】
また、本明細書によって開示される開閉扉の組付け方法は、収納庫の庫本体の開口を開閉する開閉扉の組付け方法であって、筒部を有するピンホルダを前記開閉扉に取り付ける取付工程と、前記庫本体に設けられているヒンジピンを前記筒部に挿入する挿入工程と、を含み、前記筒部は内孔を閉塞する閉塞壁を有し、前記閉塞壁は、所定形状の第1の閉塞部と、前記第1の閉塞部を全周に亘って囲む第2の閉塞部であって前記第1の閉塞部よりも薄肉の第2の閉塞部とを有し、前記挿入工程より前に、前記第1の閉塞部を打ち抜く打ち抜き工程を含む。
【0014】
上記の組付け方法によると、スクリュードライバなどの汎用の工具を用いて大きな孔を空けることができる。
【0015】
また、本明細書によって開示されるピンホルダは、収納庫の庫本体の開口を開閉する開閉扉に取り付けられるピンホルダであって、筒部と、前記筒部の内孔を閉塞する閉塞壁と、を備え、前記閉塞壁は、所定形状の第1の閉塞部と、前記第1の閉塞部を全周に亘って囲む第2の閉塞部であって前記第1の閉塞部よりも薄肉の第2の閉塞部とを有する。
【0016】
上記のピンホルダによると、スクリュードライバなどの汎用の工具を用いて大きな孔を空けることができる。
【0017】
また、本明細書によって開示される開閉扉の支持装置は、収納庫の庫本体の開口を開閉する開閉扉を支持する支持装置であって、前記庫本体に取り付けられるヒンジピンと、前記開閉扉に取り付けられるピンホルダであって、前記ヒンジピンが挿入される筒部を有するピンホルダと、を備え、前記筒部は内孔を閉塞する閉塞壁を有し、前記閉塞壁は、前記ヒンジピン側を向く面に形成されている第1の凹部と、前記面とは逆側の面に形成されている環状の第2の凹部であって前記第1の凹部の周囲を囲む第2の凹部とを有する。
【0018】
上記の支持装置によると、スクリュードライバなどの汎用の工具を用いて大きな孔を空けることができる。
【0019】
また、本明細書によって開示される開閉扉の組付け方法は、収納庫の庫本体の開口を開閉する開閉扉の組付け方法であって、筒部を有するピンホルダを前記開閉扉に取り付ける取付工程と、前記庫本体に設けられているヒンジピンを前記筒部に挿入する挿入工程と、を含み、前記筒部は内孔を閉塞する閉塞壁を有し、前記閉塞壁は、前記ヒンジピン側を向く面に形成されている第1の凹部と、前記面とは逆側の面に形成されている環状の第2の凹部であって前記第1の凹部の周囲を囲む第2の凹部とを有し、前記挿入工程より前に、前記閉塞壁において前記第2の凹部によって囲まれている部分を、前記第1の凹部が形成されている面側から打ち抜く打ち抜き工程を含む。
【0020】
上記の組付け方法によると、スクリュードライバなどの汎用の工具を用いて大きな孔を空けることができる。
【0021】
また、本明細書によって開示されるピンホルダは、収納庫の庫本体の開口を開閉する開閉扉に取り付けられるピンホルダであって、筒部と、前記筒部の内孔を閉塞する閉塞壁と、を備え、前記閉塞壁は、第1の凹部と、前記第1の凹部が形成されている面とは逆側の面に形成されている環状の第2の凹部であって前記第1の凹部の周囲を囲む第2の凹部とを有する。
【0022】
上記のピンホルダによると、スクリュードライバなどの汎用の工具を用いて大きな孔を空けることができる。
【発明の効果】
【0023】
上記の開閉扉の支持装置によると、スクリュードライバなどの汎用の工具を用いて閉塞壁に大きな孔を空けることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<実施形態1>
実施形態1を
図1ないし
図7によって説明する。
(1)冷蔵庫の構成
図1を参照して、実施形態1に係る収納庫としての冷蔵庫1について説明する。冷蔵庫1は開閉扉が観音開き式に開閉されるものであり、開口を有する庫本体20、及び、その開口を開閉する4枚の開閉扉30A〜30Dを備えている。庫本体20は収納室が上下2段に区分されており、これに対応して庫本体20の開口も上下2段に区分されている。
【0026】
ただし、庫本体20にはセンターピラーは設けられていないものとする。センターピラーとは、開口の左右方向の中央において上下に延びる柱状の部材のことをいう。つまり、本実施形態に係る冷蔵庫1はセンターピラーレスである。
【0027】
各開閉扉30のうち上側の左右の開閉扉30A、30Bは庫本体20の上側の開口を開閉し、下側の左右の開閉扉30C、30Dは庫本体20の下側の開口を開閉する。左側の各開閉扉30A、30Cはそれらの左側の上下各端部が後述する支持装置40(
図3参照)によって庫本体20の左側に回動可能に支持されている。同様に、右側の各開閉扉30B、30Dはそれらの右側の上下各端部が後述する支持装置40によって庫本体20の右側に回動可能に支持されている。
【0028】
各開閉扉30はアウターパネル、インナーパネル、上壁部、底壁部、左側側壁部、及び、右側側壁部を有する箱状に形成されており、内部に断熱材60(
図2参照)が充填されている。
【0029】
また、左側の各開閉扉30A、30Cには、回動端部側である右側に上下方向に延びるシールパッキン31A、31Cが設けられている。同様に、右側の各開閉扉30B、30Dには回動端部側である左側端部に上下方向に延びるシールパッキン31B、31Dが設けられている。各開閉扉30を閉じると左右の両開閉扉30A、30Bおよび両開閉扉30C、30Dのシールパッキン31が互いに弾撥的に当接することにより、開閉扉30A、30B間、および開閉扉30C、30D間が気密にシールされる。
【0030】
各シールパッキン31の内側には上下方向に延びる図示しない電気ヒータが配設されている。電気ヒータはシールパッキン31を加温することによってシールパッキン31同士の凍結や結露の発生を防止するものである。
【0031】
次に、
図2を参照して、開閉扉30の内部構造について説明する。ここでは開閉扉30Bを例に説明する。開閉扉30Bの上壁部32Bには後述する支持装置40の一部であるピンホルダ43が取り付けられている。なお、ピンホルダ43は開閉扉30Bの下側にも取り付けられるが、
図2では下側に取り付けられているピンホルダ43は省略している。また、開閉扉30Bの左側側壁部33Bにはバーリング加工によって短い筒状のパイプ接続部34Bが形成されている。
【0032】
ピンホルダ43とパイプ接続部34Bとは保護パイプ50によって接続されている。保護パイプ50は前述した電気ヒータを発熱させるためのリード線70(
図3参照)を通すためのものである。保護パイプ50は硬質樹脂を熱曲げすることによって形成されている。
【0033】
また、前述したように開閉扉30Bの内部には断熱材60が充填されている。断熱材60は開閉扉30Bの内側に保護パイプ50が組み付けられた後に開閉扉30Bの内部に注入された発泡剤が発砲することによって充填されたものである。
【0034】
(2)支持装置
次に、
図3、
図4及び
図5を参照して、開閉扉30の支持装置40について説明する。各開閉扉30A〜30Dを支持している支持装置40は同一構成であるので、ここでは開閉扉30Bを支持している支持装置40を例に説明する。
図3に示すように、支持装置40はヒンジブラケット41、ヒンジピン42、及び、ピンホルダ43を備えている。
【0035】
図4に示すように、ヒンジブラケット41は水平板部411と垂直板部412とを有する断面L字状に形成されている。垂直板部412は庫本体20の上側の開口の右側上縁部にネジによって固定されている。
【0036】
ヒンジピン42は金属性の筒状の部材であり、外周にフランジ421が形成されている。ヒンジピン42はヒンジブラケット41の水平板部411に形成されている嵌合孔に下から嵌合され、頭部がカシメられることによって水平板部411に固定されている。
【0037】
図3に戻る。ピンホルダ43はヒンジピン42を軸受けするものであり、ヒンジピン42が嵌合挿入される筒部431が一体に形成されている。筒部431の内周形状はヒンジピン42の外周形状と略一致している。
図5に示すようにピンホルダ43は上面視で一端側を山形とした5角形に形成されており、その山形の部分に筒部431が形成されている。
【0038】
図3に戻る。開閉扉30Bの上壁部32Bの右側には筒部431が嵌合挿入される嵌合孔が形成されている。ピンホルダ43は筒部431が嵌合孔に嵌合挿入された状態でリベット44によって上壁部32Bに固定されている。
リード線70はヒンジピン42の内孔、及び、ピンホルダ43の筒部431の内孔に挿通されており、保護パイプ50を通って電気ヒータに接続されている。
【0039】
(3)開閉扉に取り付けられる前のピンホルダ
次に、
図6を参照して、開閉扉30に取り付けられる前のピンホルダ43の筒部431の構造について説明する。
図6に示すように、開閉扉30に取り付けられる前のピンホルダ43の筒部431には内孔を閉塞する閉塞壁432が一体に形成されている。閉塞壁432は、円板状の第1の閉塞部433、第1の閉塞部433を囲む円環状の第2の閉塞部434、及び、第2の閉塞部434を囲む円環状の第3の閉塞部435が一体に形成されている。
【0040】
第2の閉塞部434は第1の閉塞部433を全周に亘って囲んでいる。同様に第3の閉塞部435は第2の閉塞部434を全周に亘って囲んでいる。また、第2の閉塞部434は第1の閉塞部433よりも薄肉に形成されている。第3の閉塞部435は第2の閉塞部434よりも厚肉に形成されている。
【0041】
作業者は、開閉扉30へのピンホルダ43の取り付けに先だって、
図6に示すようにスクリュードライバ80の先端を第1の閉塞部433に当ててハンマーなどで叩くことにより、第1の閉塞部433を打ち抜く(打ち抜き工程)。これにより
図3に示すように閉塞壁432に孔436が開き、リード線70を挿通することが可能になる。
【0042】
次に、作業者はピンホルダ43を開閉扉30に取り付け(取り付け工程)、その後に、庫本体に取り付けられているヒンジピン42を筒部431に挿入する(挿入工程)。
【0043】
(4)電気ヒータを備えない開閉扉への適用
図7は電気ヒータを備えない開閉扉90にピンホルダ43を適用した場合を示している。一般に片開き式の冷蔵庫は開閉扉に電気ヒータが設けられないのでリード線70を通す必要はない。また、一般に観音開き式の冷蔵庫であってもセンターピラーを備えている場合は開閉扉に電気ヒータが設けられないのでリード線70を通す必要はない。リード線70を通す必要がない場合は筒部431に保護パイプ50を接続する必要はない。筒部431に保護パイプ50が接続されない場合は、第1の閉塞部433を打ち抜いてしまうと発泡剤が発泡したときに筒部431から発泡剤が外に出てきてしまう。そのため、電気ヒータを備えない開閉扉90にピンホルダ43を適用する場合は
図7に示すように第1の閉塞部433を打ち抜かずに用いられる。
【0044】
(5)実施形態の効果
以上説明した実施形態1に係る支持装置40によると、
図6に示すように第1の閉塞部433が第2の閉塞部434よりも厚肉であるので、スクリュードライバ80の先端を第1の閉塞部433に当ててハンマーなどで叩いたとき、ハンマーから受けた力は薄肉である第2の閉塞部434に集中し、それにより第1の閉塞部433全体が打ち抜かれる。
【0045】
このように実施形態1に係る支持装置40によると、スクリュードライバ80などの汎用の工具を用いて大きな孔を空けることができる。ここでいう大きな孔とは第1の閉塞部433に相当する孔のことをいう。これにより、閉塞壁432に大きな孔を空ける作業の作業性を向上させることができる。
【0046】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を
図8によって説明する。
図8に示すように、実施形態2に係るピンホルダ100の閉塞壁102には、ヒンジピン42側(
図8において上側)を向く面に形成されている第1の凹部103と、当該面とは逆側の面に形成されている環状の第2の凹部104とを有している。
【0047】
具体的には、第1の凹部103は筒部101の内孔の中心軸を中心とする円形の凹部として形成されている。第2の凹部104は第1の凹部103の周囲を全周に亘って囲む円環状の凹部として形成されている。ここで第1の凹部103の周囲とは、第1の凹部103と第2の凹部104との間の領域Tのことをいう。言い換えると、内孔の軸方向から見て第1の凹部103と第2の凹部104との間には間隔(領域Tに相当)が設けられている。
【0048】
図8に示すように本実施形態では筒部101の内周壁105が第2の凹部104の側壁も兼ねている。また、
図8に示すように第2の凹部104の底面106は第1の凹部103の底面107よりも上に位置している。
【0049】
実施形態2に係るピンホルダ43を、電気ヒータを備える開閉扉に用いる場合は、第2の凹部104によって囲まれている部分が作業者によって上から打ち抜かれる。以降の説明では第2の凹部104によって囲まれている部分のことを底壁108という。
【0050】
次に、実施形態2の効果について説明する。ここでは先ず比較例として実施形態1に係る閉塞壁432について説明する。発泡剤の発泡圧によって実施形態1の閉塞壁432の第1の閉塞部433(
図6参照)に係る荷重及び第2の閉塞部434(
図6参照)に係る荷重を合計した荷重を荷重F1とすると、実施形態1に係る閉塞壁432では発泡圧によって第2の閉塞部434が破壊されてしまわないようにするために第2の閉塞部434が荷重F1に耐えられるようにする必要がある。
【0051】
しかしながら、第2の閉塞部434が荷重F1に耐えられるようにすると、第1の閉塞部433を打ち抜くときにも荷重F1より大きな荷重をかけなければならなくなる。つまり、実施形態1に係る閉塞壁432では第1の閉塞部433を打ち抜くための荷重を、発泡剤の発泡圧によって第1の閉塞部433に係る荷重及び第2の閉塞部434に係る荷重を合計した荷重F1より小さくすることはできない。
【0052】
これに対し、
図8に示すように、実施形態2に係る閉塞壁102では第1の凹部103と第2の凹部104との間に領域Tが確保されていることにより、底壁108に下から力がかかった場合は底壁108が第1の凹部103の周囲の壁109によって上から支えられる。このため底壁108を下から破壊しようとすると大きな力が必要になる。一方、
図8において上から底壁108に力がかかった場合は底壁108を下から支えるものがないので、相対的に小さな力で底壁108を打ち抜くことができる。
【0053】
本実施形態では、発泡圧によって底壁108にかかる荷重をF2とすると、荷重F2では底壁108を破壊できないように底壁108の肉厚、及び、周囲の壁109の肉厚が設定されており、且つ、スクリュードライバ80で底壁108を打ち抜くときには荷重F2より小さい力で打ち抜けるように領域Tの幅が設定されている。
【0054】
以上説明した実施形態2に係る支持装置によると、底壁108を肉厚にしておくことにより、スクリュードライバ80などの汎用の工具を用いて閉塞壁に大きな孔を空けることができる。
【0055】
更に、支持装置40によると、開閉扉30の内部に発泡剤を注入して発泡させたときに底壁108が発泡圧から受ける荷重F2によって破壊されないようにしつつ、ヒンジピン42側から底壁108を打ち抜くときは荷重F2より小さい力で打ち抜くことができる。これにより、ピンホルダ100の閉塞壁102に大きな孔を空ける作業の作業性をより向上させることができる。
【0056】
<関連技術1>
次に、関連技術1を
図9によって説明する。
関連技術1は実施形態1と保護パイプが異なっている。前述したように実施形態1の保護パイプ50(
図2参照)は硬質樹脂を熱曲げしたものである。このような保護パイプ50は形状が固定されているため発泡の圧力によってピンホルダ43の筒部431や電気ヒータ側のパイプ接続部34から抜けてしまったり、保護パイプ50と筒部431との間、あるいは保護パイプ50とパイプ接続部34との間から発泡剤が漏れてしまったりする虞がある。
【0057】
このため、このような保護パイプ50を用いる場合は保護パイプ50を筒部431やパイプ接続部34に接着したり、テープ止めしたり、あるいは、パテを充填したりするなどの作業が行われている。
【0058】
これに対し、関連技術1の保護パイプ110は樹脂で形成された弾性を有するストレートな形状であり、
図9に示すように曲げた状態で組み付けられている。また、関連技術1に係るピンホルダ120は筒部121の外径が下に行くほど小さくなるテーパ状に形成されている。そして、保護パイプ110は内側に筒部121が挿入されることによってピンホルダ120と接続されている。
【0059】
パイプ接続部34は実施形態1と同じものであり、バーリング加工によって形成されたものである。保護パイプ110は内側にパイプ接続部34が挿入されることによってパイプ接続部34と接続されている。
【0060】
弾性を有する保護パイプ110を曲げた状態で接続すると、保護パイプ110がストレートな形状に復帰しようとすることにより、筒部121及びパイプ接続部34に大きさが同じで向きが逆の力Fが作用する。この力Fを水平方向、上下方向に分解し、それぞれFx、Fyとして考えると、保護パイプ110の端部のうち筒部121側の端部はFy+μaFx(μaは保護パイプ110と筒部121との摩擦係数)以上の力が作用しない限り抜けることはない。パイプ接続部34側の端部も同様であり、Fx+μbFy(μbは保護パイプ110とパイプ接続部34との摩擦係数)以上の力が作用しない限り抜けることはない。
【0061】
また、力Fx、Fyによって保護パイプ110が筒部121のテーパ状の部分に押し付けられることで保護パイプ110の開口縁が筒部121に全周に亘って密着し、それにより発泡漏れを防止することもできる。
【0062】
以上説明した関連技術1に係る支持装置によると、前述した力Fx、Fyが実用に適した大きさになるように保護パイプ110の硬さや肉厚を決定することにより、接着、テープ止め、パテの充填などの作業を省くことができる。
【0063】
<関連技術2>
次に、本発明の関連技術2を
図10ないし
図12によって説明する。
関連技術2は関連技術1の変形例である。
図10に示すように、関連技術2に係るピンホルダ130は筒部131の内側に弾性を有する保護パイプ110が挿入される。筒部131の内周面は
図10において下にいくほど内径が大きくなるテーパ状に形成されている。
【0064】
また、
図11に示すように、関連技術2では左側側壁部33Bのパイプ接続部34の周囲にパイプホルダ140が取り付けられている。パイプホルダ140は樹脂によって形成されており、図示しないリベットによって左側側壁部33Bに取り付けられている。
【0065】
パイプホルダ140は保護パイプ110が挿入される筒部141を有している。筒部141の内周面はパイプ接続部34に近づくにつれて内径が小さくなるテーパ状に形成されている。
【0066】
また、パイプホルダ140はテーパ状の部分141Aと左側側壁部33Bに形成されている開口331B側の部分141Bとからなり、開口331B側の部分141Bの内径はテーパ状の部分141Aの内径より大きく形成されている。
図11に示すようにパイプ接続部34はパイプ接続部34側の部分141Bに収容されている。
【0067】
なお、開口331B側の部分141Bは
図12に示すような形状であってもよい。
図12に示す左側側壁部33Bには開口332Bが形成されている。開口332Bの形状は円形である。
図12に示すパイプホルダ140は開口332B側の部分141Bの内径が、テーパ状の部分141Aの最も小さい内径と同じである。
【0068】
以上説明した関連技術2に係る支持装置によると、前述した力Fx、Fyが実用に適した大きさになるように保護パイプ110の硬さや肉厚を決定することにより、接着、テープ止め、パテの充填などの作業を省くことができる。
【0069】
<関連技術3>
次に、本発明の関連技術3を
図13ないし
図14によって説明する。
図13に示すように、関連技術3は電気ヒータ側のパイプホルダ150の形状が異なる。パイプホルダ150はゴムなどの軟質樹脂で形成された筒状の部材である。
図13に示すように関連技術3に係る左側側壁部33Bには開口333Bが形成されており、その開口333Bにパイプホルダ150が取り付けられている。開口333Bの形状は円形であるとする。
【0070】
パイプホルダ150の外径は開口333Bの内径より小さく形成されている。また、パイプホルダ150の内径は保護パイプ50の外径より小さく形成されている。
【0071】
また、パイプホルダ150の一端側(
図13において左側)の外周にはフランジ部151が形成されている。一方、パイプホルダ150の他端側(
図13において右側)は開閉扉30Bの内側に向かって開くように傾斜するテーパ状に形成されている。
【0072】
図14に示すように、関連技術3に係るパイプホルダ150によると、内径が保護パイプ50の外径より小さいことにより、保護パイプ50の端部をパイプホルダ150に圧入すると、保護パイプ50とパイプホルダ150とが密着して保護パイプ50とパイプホルダ150との間の発泡漏れを抑制することができる。また、保護パイプ50の端部をパイプホルダ150に圧入するとパイプホルダ150が押し広げられることによって開口333Bが塞がれ、パイプホルダ150と左側側壁部33Bとの間の発泡漏れを抑制することもできる。これにより接着、テープ止め、パテの充填などの作業を省くことができる。
【0073】
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0074】
(1)上記実施形態1では収納庫として冷蔵庫1を例に説明したが、収納庫は冷蔵庫1に限定されるものではない。例えば冷蔵庫1と、加熱庫を備える加熱装置とでピンホルダ43を共通化することも可能である。より具体的には、冷蔵庫1の場合は実施形態1の第1の閉塞部(あるいは実施形態2の底壁)を打ち抜いて用い、加熱装置に用いる場合はそれらを打ち抜かずに用いてもよい。
【0075】
(2)上記実施形態2では
図8に示すように第2の凹部104の底面106が第1の凹部103の底面107より上にある場合を例に説明した。これに対し、第2の凹部104の底面106は第1の凹部103の底面107と同じ高さであってもよいし、第1の凹部103の底面107より下であってもよい。
【0076】
(3)上記実施形態2では筒部101の内周壁105が第2の凹部104の側壁も兼ねている場合を例に説明した。これに対し、筒部101の内周壁105が第2の凹部104の側壁を兼ねていない構成であってもよい。