特許第6369984号(P6369984)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クノールブレムゼ商用車システムジャパン株式会社の特許一覧

特許6369984クラッチ制御方法及び自動クラッチ制御装置
<>
  • 特許6369984-クラッチ制御方法及び自動クラッチ制御装置 図000002
  • 特許6369984-クラッチ制御方法及び自動クラッチ制御装置 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6369984
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】クラッチ制御方法及び自動クラッチ制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/02 20120101AFI20180730BHJP
   F16D 25/12 20060101ALI20180730BHJP
   B60W 10/02 20060101ALI20180730BHJP
   B60W 10/04 20060101ALI20180730BHJP
   F02D 29/00 20060101ALI20180730BHJP
【FI】
   B60W50/02
   F16D25/12 D
   F16D25/12 E
   B60W10/00 102
   B60W10/02
   F02D29/00 G
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-172516(P2014-172516)
(22)【出願日】2014年8月27日
(65)【公開番号】特開2016-47663(P2016-47663A)
(43)【公開日】2016年4月7日
【審査請求日】2017年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】596148478
【氏名又は名称】クノールブレムゼ商用車システムジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(72)【発明者】
【氏名】細川 雅司
【審査官】 大山 健
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−188250(JP,U)
【文献】 特開2006−274920(JP,A)
【文献】 特開平10−115329(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00−50/16
F16D 25/00−48/12
F16H 59/00−63/50
F02D 29/00−29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の動作状態に基づいてクラッチの断接が自動制御可能に構成されると共に、前記クラッチが空気圧式クラッチアクチュエータを用いてなり、前記空気圧式クラッチアクチュエータへ空気を供給するエアー圧源の内圧が所定値を下回った際に警報を発生するエア圧診断が実行されるよう構成されてなる自動クラッチ制御装置におけるクラッチ制御方法であって、
正常動作状態で車両が停止状態とされた後、前記車両の始動が最初に行われる際に、前記エア圧診断により警報が発生され、かつ、クラッチ制御が必要な場合、クラッチ故障診断を強制的に停止し、しかる後、クラッチ制御を一度だけ実行し、次いで、クラッチ故障診断を復帰させることで、前記エアー圧源の内圧低下時においてクラッチ制御の試行的実行によりエンジンの始動を試行可能とし、
前記クラッチ故障診断の強制停止の後に実行されるクラッチ制御は、クラッチを断とすべくクラッチアクチュエータへのエアーの給排気を行う電磁弁を、デューティ100%のPWM信号に基づいて駆動する
ことを特徴とするクラッチ制御方法。
【請求項2】
ギアがインギア状態、又は、チェンジレバーが車両の駆動を行う位置に設定されている場合に、クラッチ制御が必要とされることを特徴とする請求項1記載のクラッチ制御方法。
【請求項3】
車両の動作状態に基づいてクラッチの断接を自動制御可能に構成された電子制御ユニットを具備すると共に、前記クラッチが空気圧式クラッチアクチュエータを用いてなり、前記電子制御ユニットにより前記空気圧式クラッチアクチュエータへ空気を供給するエアー圧源の内圧が所定値を下回った際に警報を発生するエア圧診断が実行可能に構成されてなる自動クラッチ制御装置において、
前記電子制御ユニットは、
正常動作状態で車両が停止状態とされた後、前記車両の始動が最初に行われた際に、前記エア圧診断により警報を発生し、かつ、クラッチ制御が必要と判定された場合、クラッチ故障診断を強制的に停止し、しかる後、クラッチ制御を一度だけ実行し、次いで、クラッチ故障診断を復帰させることで、前記エアー圧源の内圧低下時においてクラッチ制御の試行的実行によりエンジンの始動を試行可能とするよう構成されてなり、
前記クラッチ故障診断の強制停止の後のクラッチ制御を、クラッチを断とすべくクラッチアクチュエータへのエアーの給排気を行う電磁弁を、デューティ100%のPWM信号に基づいて駆動するよう構成されてなる
ことを特徴とする自動クラッチ制御装置。
【請求項4】
前記電子制御ユニットは、ギアがインギア状態、又は、チェンジレバーが車両の駆動を
行う位置に設定されていると判定された場合に、クラッチ制御が必要と判定することを特
徴する請求項3記載の自動クラッチ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式クラッチの断続を自動的に実行できるよう構成された自動クラッチ制御装置におけるクラッチ制御方法に係り、特に、空気圧式クラッチアクチュエータへ供給される空気の圧力低下時におけるクラッチの制御性の向上等を図ったものに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来装置としては、例えば、アクセル開度、エンジン回転数、チェンジレバーのシフト位置等に基づいてクラッチの断接を制御するよう構成された自動クラッチ制御装置が種々提案、実用化されていることは良く知られている通りである。
かかる自動クラッチ制御装置は、クラッチを断続するクラッチアクチュエータとして、例えば、空気圧式のものが用いられており、エアー源からのエアーが供給されて、クラッチアクチュエータをクラッチスプリングやクラッチダイアフラム等の付勢手段に抗して作動させることで、クラッチの切断を可能としたもので、クラッチアクチュエータへのエアー供給を行う電磁弁の動作制御が、アクセル開度、エンジン回転数、クラッチストローク等に基づいて電子制御ユニットにより制御されるよう構成されたものである(例えば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−280559号公報(第5−13頁、図1図8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のようないわゆる空気圧式クラッチアクチュエータを用いた構成において、例えば、長時間に渡って車両を放置したような場合、空気圧式アクチュエータへ空気を供給する空気が蓄積されたエアタンクなどの内圧が低下し、クラッチアクチュエータに供給される圧力が所要値を下回ってしまうことがある。
【0005】
一般的に、多くの車両においては、エアタンクなどの内圧を監視し、必要に応じて警報を出力する監視処理が実行されるようになっている。
すなわち、例えば、一定圧以下においてオン、又は、オフとなる圧力スイッチがエアタンク内部に取り付けられ、圧力スイッチの出力信号によりエアタンクの圧力低下が判定された場合、エア低圧警報が発せられ、エアコンプレッサによりエアタンクの内圧が所定値以上となるまで、クラッチの断続が禁止されるものとなってる。
したがって、クラッチの断続が可能となるまでには、ある程度の時間を要するため、即座に車両を走行させたい場合などに支障を来すことがある。
【0006】
さらに、例えば、ギアがニュートラル以外に設定された、いわゆるインギアの状態で車両が放置されてしまったような場合に、エンジンを始動するためには、ギア抜きを行う必要があるが、そのためには、クラッチの切断が必要である。ところが、クラッチ切断の際にエアタンクの内圧が低下していると、エンジンの始動ができないだけでなく、エアコンプレッサを作動させることもできなくなってしまうという事態を招くこととなる。
【0007】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので空気圧式クラッチアクチュエータへ空気を供給するエアタンクの内圧力低下時におけるクラッチの制御性の向上、クラッチ制御の信頼性、安定性の向上を図ることのできるクラッチ制御方法及び自動クラッチ制御装置
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記本発明の目的を達成するため、本発明に係るクラッチ制御方法は、
車両の動作状態に基づいてクラッチの断接が自動制御可能に構成されると共に、前記クラッチが空気圧式クラッチアクチュエータを用いてなり、前記空気圧式クラッチアクチュエータへ空気を供給するエアー圧源の内圧が所定値を下回った際に警報を発生するエア圧診断が実行されるよう構成されてなる自動クラッチ制御装置におけるクラッチ制御方法であって、
正常動作状態で車両が停止状態とされた後、前記車両の始動が最初に行われる際に、前記エア圧診断により警報が発生され、かつ、クラッチ制御が必要な場合、クラッチ故障診断を強制的に停止し、しかる後、クラッチ制御を一度だけ実行し、次いで、クラッチ故障診断を復帰させることで、前記エアー圧源の内圧低下時においてクラッチ制御の試行的実行によりエンジンの始動を試行可能とし、
前記クラッチ故障診断の強制停止の後に実行されるクラッチ制御は、クラッチを断とすべくクラッチアクチュエータへのエアーの給排気を行う電磁弁を、デューティ100%のPWM信号に基づいて駆動する。
また、上記本発明の目的を達成するため、本発明に係る自動クラッチ制御装置は、
車両の動作状態に基づいてクラッチの断接を自動制御可能に構成された電子制御ユニットを具備すると共に、前記クラッチが空気圧式クラッチアクチュエータを用いてなり、前記電子制御ユニットにより前記空気圧式クラッチアクチュエータへ空気を供給するエアー圧源の内圧が所定値を下回った際に警報を発生するエア圧診断が実行可能に構成されてなる自動クラッチ制御装置において、
前記電子制御ユニットは、
正常動作状態で車両が停止状態とされた後、前記車両の始動が最初に行われた際に、前記エア圧診断により警報を発生し、かつ、クラッチ制御が必要と判定された場合、クラッチ故障診断を強制的に停止し、しかる後、クラッチ制御を一度だけ実行し、次いで、クラッチ故障診断を復帰させることで、前記エアー圧源の内圧低下時においてクラッチ制御の試行的実行によりエンジンの始動を試行可能とするよう構成されてなり、
前記クラッチ故障診断の強制停止の後のクラッチ制御を、クラッチを断とすべくクラッチアクチュエータへのエアーの給排気を行う電磁弁を、デューティ100%のPWM信号に基づいて駆動するよう構成されてなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、空気圧式クラッチアクチュエータへ供給される空気圧が低下して警報が発生された場合であっても、クラッチ制御を一度だけ試行的に実行できるようにしたので、例えば、車両がインギア状態で放置された後に、始動される際に、エア圧診断による警報が発生された場合にあっても、エンジンの始動可能性を確保することができ、エンジンの始動に成功した場合には、通常の運転状態を始めることができるので、空気圧が正常に戻るまでの時間の浪費を回避できるだけでなく、クラッチの制御性の向上、クラッチ制御の信頼性、安定性の向上を図ることができるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態における自動クラッチ制御装置の一構成例を示す構成図である。
図2図1に示された自動クラッチ制御装置により実行されるクラッチ制御処理の手順を示すサブルーチンフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図1及び図2を参照しつつ説明する。
なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
最初に、本発明の実施の形態における自動クラッチ制御装置の構成について、図1を参照しつつ説明する。
本発明の実施の形態における自動クラッチ制御装置Sは、クラッチの断接を行うクラッチアクチュエータ1、クラッチアクチュエータ1の作動に必要なエアー圧(圧縮空気圧)を発生するエアー圧源2、クラッチアクチュエータ1へのエアーの供給を制御する給気用電磁弁3、クラッチアクチュエータ1からの排気を制御する排気用電磁弁4、クラッチアクチュエータ1のクラッチストローク位置を検出するストロークセンサ5、エアー圧源2の内圧低下を検出する圧力スイッチ6と、車両の自動変速制御、クラッチ制御等を実行する電子制御ユニット(図1においては「ECU」と表記)101を主たる構成要素として構成されたものとなっている。
【0012】
クラッチアクチュエータ1は、従来から良く知られている、いわゆる空気圧式クラッチアクチュエータの構成を有してなり、後述するように空気の供給、排気によりクラッチ(図示せず)の断接を可能としたものである。
なお、クラッチ(図示せず)は、図示しないクラッチスプリングやダイアフラムの付勢力により接続される一方、クラッチアクチュエータ1へのエアー供給によって切断されるよう構成されているものである。
【0013】
クラッチアクチュエータ1には、エアー圧源2からの空気が給気用電磁弁3を介して供給される一方、クラッチアクチュエータ1からの排気の際には、排気用電磁弁4を介して排気されるようになっている。
給気用電磁弁3及び排気用電磁弁4は、電子制御ユニット101により動作制御されるものとなっており、例えば、PWM(Pulse Width Modulation)制御により駆動されるものとなっている。
【0014】
かかる給気用電磁弁3及び排気用電磁弁4は、例えば、車両のキースイッチ(図示せず)がオフされた状態においては、給気用電磁弁3は閉弁状態とされる一方、排気用電磁弁4は開弁状態とされるものとなっている。
したがって、この状態においては、クラッチアクチュエータ1からエアーが排出されて、クラッチアクチュエータ1は被動作状態となり、クラッチ(図示せず)は、クラッチスプリング(図示せず)により接続された状態となる(通常のクラッチ接続状態)。
【0015】
一方、車両のエンジン(図示せず)を始動するため、例えば、ブレーキペダル(図示せず)が踏み込まれた状態で、キースイッチ(図示せず)がオンされると、電子制御ユニット101による制御によって、排気用電磁弁4が閉弁状態とされる一方、給気用電磁弁3は開弁状態とされることとなる。
【0016】
その結果、エアーが給気用電磁弁3を介してクラッチアクチュエータ1に供給され、エアー圧によるピストン押圧力がクラッチアクチュエータ1の図示されないピストンに対するクラッチスプリング(図示せず)の付勢力に打ち勝ちようになると、ピストン(図示せず)がストロークし、クラッチアクチュエータ1が作動を開始することとなる。
そして、ピストン(図示せず)が所定量ストロークするとクラッチ(図示せず)が軽く接続されて半クラッチ状態となり、ピストン(図示せず)がさらに所定量ストロークするとクラッチ(図示せず)が切断されることとなる。
【0017】
電子制御ユニット101は、例えば、公知・周知の構成を有してなるマイクロコンピュータを中心に、RAMやROM等の記憶素子(図示せず)を有すると共に、給気用電磁弁3及び排気用電磁弁4を通電駆動するための駆動回路(図示せず)等を主たる構成要素として構成されたものとなっている。
この電子制御ユニット101は、従来同様、自動クラッチ制御処理や変速機制御処理等を実行すると共に、後述する本発明の実施の形態におけるクラッチ制御処理を実行するものとなっている。
【0018】
かかる電子制御ユニット101には、図示されないセンサによって検出されたエンジン回転数やアクセル開度等が入力される他、クラッチストロークを検出するクラッチストロークセンサ8やエアー圧源2の内圧が所定値以下となった際にオン(又はオフ)となる圧力スイッチ6等の出力信号が入力され、自動クラッチ制御処理や変速機制御処理等に供されるようになっている。
【0019】
次に、電子制御ユニット101によって実行される本発明の実施の形態におけるクラッチ制御処理の手順について、図2に示されたサブルーチンフローチャートを参照しつつ説明する。
まず、前提条件として、本発明の実施の形態における自動クラッチ制御装置Sにおいては、従来同様、圧力スイッチ6の出力信号に基づいて、エアー圧源2における内圧が所定値以下に低下しているか否かが判定され、内圧が所定値以下の場合には、発光素子(図示せず)や表示素子(図示せず)、さらには、鳴動素子(図示せず)等により、内圧が所定値以下であるとする警報(エア低圧警報)が出力されるようになっているものとする。
なお、圧力スイッチ6は、所定の圧力以下でオン(又はオフ)となるよう構成されてなるもので、電子制御ユニット101において、そのオン・オフに基づいて圧力が低下しているか否かが判定されるようになっている。
【0020】
また、本発明の実施の形態における自動クラッチ制御装置Sは、従来同様、クラッチ故障診断処理が実行されるようになっていることを前提とする。
クラッチ故障診断処理は、例えば、クラッチ(図示せず)の固着や、クラッチ回転数の異常等を判定するためのもので、診断の具体的な内容は、特定のものに限定される必要はなく、個々の車両の仕様等に基づいて定められるべきものである。
【0021】
かかる前提の下、電子制御ユニット101による処理が開始されると、まず、初回フラグがオンとされているか否かが判定される(図2のステップS102参照)。
初回フラグは、車両の図示されないキースイッチがオンとされた後に、この一連の処理が初めて実行されるか否かを判定するためのフラグで、直近の車両の運転が正常に終了した際に、オンとされるもので、具体的には、例えば、論理値Highに対応する”1”に設定されるものとなっている
【0022】
しかして、ステップS102において、初回フラグはオンであると判定された場合(YESの場合)には、ステップS104の処理へ進むこととなる。
一方、初回フラグはオンではないと判定された場合(NOの場合)には、キースイッチオンの後に、図2に示された一連の処理が既に実行されているとして、初回フラグは改めてオフ(零)とされて(図2のステップS114参照)、一連の処理が終了され、図示されないメインルーチンへ戻ることなる。
【0023】
ステップS104においては、エア低圧警報が発生しているか否かが判定され、エア低圧警報が発生していると判定された場合(YESの場合)には、ステップS106の処理へ進む一方、エア低圧警報は発生してないと判定された場合(NOの場合)には、先に説明したステップS114の処理へ進むこととなる。
【0024】
ステップS106においては、クラッチ制御が必要な状態にあるか否かが判定される。
本発明の実施の形態においては、ギア(図示せず)がニュートラルを除いていずれかの段に設定されている状態、いわゆるインギア状態にある場合、又は、チェンジレバー(図示せず)が車両の駆動を行う位置、換言すれば、いわゆるドライブレンジの位置に設定されている場合のいずれかの状態にある場合、クラッチ制御が必要と判定されるようになっている。
なお、インギア状態にあるか否かや、チェンジレバーがドライブレンジに設定されているか否かは、メインルーチンにおいて、従来同様に別途実行される変速機制御処理等において判定、認識されるものとなっているものであるので、このステップS106においては、その判定結果を流用すれば足り、改めて判定を実行する必要はない。
【0025】
しかして、ステップS106において、クラッチ制御が必要であると判定された場合(YESの場合)には、次述するステップS108の処理へ進む一方、クラッチ制御は必要ではないと判定された場合(NOの場合)には、以後の処理を実行する必要はないとして一連の処理は終了されて、図示されないメインルーチンへ一旦戻ることとなる。
【0026】
ステップS108においては、メインルーチンで別途実行されるクラッチ故障診断処理に対して強制停止が行われ、次いで、エア低圧警報が発生している状態にも関わらず、敢えて、クラッチ制御が実行されることとなる(図2のステップS110参照)。
すなわち、従来、エア低圧警報が発生している状態にあっては、クラッチ制御が禁止されるようになっていたため、キースイッチ(図示せず)がオンされた状態にあって、インギア状態やチェンジレバーがドライブレンジ位置にある状態から車両を始動させることはできなかった。
【0027】
これに対して、本発明の実施の形態においては、そのような状態において、ステップS110において、敢えて一度だけクラッチ制御の実行が試みられることとなる。
ここでのクラッチ制御の実行は、必ずしも車両のエンジン(図示せず)の始動を保証するものではなく、あくまでも偶然のエンジン始動を期待して行われるものである。
【0028】
また、このステップS110におけるクラッチ制御は、インギア状態等から正常状態へ復帰を主眼とするものであることから、正常動作時の制御とは異なり、クラッチ(図示せず)を一気に断状態とすべく、通常、車両の動作状態に応じて設定される給気用電磁弁3駆動のためのPWM信号のデューティを100%、すなわち、給気用電磁弁3を、PWM信号が出力されている間、継続的に通電状態とする制御とするのが好適である。
【0029】
この場合、クラッチアクチュエータ1を必ずしもクラッチ(図示せず)を完全に断とする完断位置まで駆動する必要はない。ストロークセンサ5の検出信号に基づいてクラッチ(図示せず)が断とされたと最初に判定できる位置まで駆動できれば、その後、ギア抜きなどの他の方策を講ずることが可能となるためである。
かかるステップS110におけるクラッチ制御の実行の後は、エンジン始動の有無に関わらず、初回フラグがオフとされると共に、クラッチ故障診断処理が復帰され、一連の処理が終了されて、図示されないメインルーチンへ戻ることとなる。
【0030】
したがって、ステップS110のクラッチ制御の実行により、幸いにしてエンジン始動がなされた場合には、以後、通常の運転状態が継続されることとなる一方、エンジン始動がなされなかった場合には、エアー圧源2の内圧が正常に復帰するまで待機状態となる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
エアタンク内の圧力が警報発生域にあっても、一度は、クラッチ制御の試行的実行が所望される車両に適する。
【符号の説明】
【0032】
1…クラッチアクチュエータ
2…エアー圧源
3…給気用電磁弁
4…排気用電磁弁
101…電子制御ユニット
図1
図2