(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1実施例>
以下、本発明の第1実施例について図を参照して説明する。
図1は、本発明の実施例の電子デバイス製造装置10の平面図を示している。電子デバイス製造装置10は、紫外線硬化樹脂と導電性材料とを用いて電子デバイスを製造するための装置である。電子デバイス製造装置10は、搬送装置21と、ヘッド部23と、紫外線照射装置25とを備えている。電子デバイス製造装置10は、これらの各種装置がベース11の上部に設けられている。ベース11は、平面視における形状が略長方形状をなし、搬送装置21を取り囲む枠部13を有する。なお、以下の説明では、
図1に示すように、ベース11の長手方向(
図1の上下方向)をX軸方向、ベース11の短手方向(
図1の左右方向)をY軸方向、X軸方向及びY軸方向の両方に直交する方向をZ軸方向(
図3参照)と称して説明する。
【0018】
搬送装置21は、X軸方向に延びる一対のX軸スライド機構31と、Y軸方向に延びるY軸スライド機構33とを有している。X軸スライド機構31の各々は、ベース11及び枠部13に保持されており、X軸方向に移動可能に設けられたX軸スライダ35をそれぞれ有している。X軸スライド機構31の各々は、電磁モータ61(
図2参照)の駆動により、一対のX軸スライダ35が、Y軸方向において互いに対向する位置を保ちながら、X軸方向における任意の位置に移動する。また、Y軸スライド機構33は、Y軸方向の端部の各々がX軸スライダ35に保持されており、Y軸方向に移動可能なプレート保持部37を有している。Y軸スライド機構33は、電磁モータ63(
図2参照)の駆動により、プレート保持部37がY軸方向における任意の位置に移動する。従って、プレート保持部37は、X軸スライド機構31及びY軸スライド機構33を駆動させることによって、ベース11上の任意の位置に移動可能となっている。
【0019】
プレート保持部37は、基台38と、保持装置39とを有している。基台38は、平板状に形成され、上面に造形プレートP(
図3参照)が載置される。保持装置39は、基台38におけるY軸方向の両側に設けられている。プレート保持部37は、基台38上に載置された造形プレートPのY軸方向の端部を、基台38と保持装置39との間に挟み込んでクランプし、造形プレートPを所定の位置で固定的に保持する。
【0020】
また、電子デバイス製造装置10は、プレート保持部37及び造形プレートPをZ軸方向に昇降するための昇降装置45を有している。昇降装置45は、駆動部47(
図2参照)を駆動して基台38を上昇、あるいは下降させ、造形プレートPのZ軸方向における位置を変更する。昇降装置45は、プレート保持部37とともに一体となって、ベース11上の任意の位置に移動する。
【0021】
また、
図1に示すヘッド部23は、プレート保持部37及び造形プレートPとZ軸方向において対向するように、電子デバイス製造装置10の上部に取り付けられている。ヘッド部23は、インクジェットヘッド51と、レーザ照射装置53とを有している。インクジェットヘッド51には、異なる種類の液体を吐出する複数のノズル55が設けられている。インクジェットヘッド51は、絶縁層を形成するための紫外線硬化樹脂を吐出するノズル55を有する。また、インクジェットヘッド51は、配線やピラーを形成するための導電性材料を吐出するノズル55を有する。また、インクジェットヘッド51は、撥液剤を吐出するノズル55を有する。インクジェットヘッド51は、例えば、吐出する液体の種類に応じてノズル55を交換する構成でもよく、あるいはノズル55に充填する液体を交換する構成でもよい。
【0022】
インクジェットヘッド51は、例えば、圧電素子65(
図2参照)を用いたピエゾ方式によって、複数のノズル55のノズル口から各種の液体を吐出する。なお、インクジェットヘッド51が各種の液体を吐出する構成は、ピエゾ方式に限定されず、他の構成、例えばノズル55内の液体を加熱して気泡を発生させ、液体をノズル口から吐出するサーマル方式を用いた構成でもよい。
【0023】
レーザ照射装置53は、移動装置57を介してヘッド部23に保持されている。レーザ照射装置53は、移動装置57が駆動されることによって、Z軸方向に昇降する。レーザ照射装置53は、造形プレートP上に吐出された導電性材料にレーザ光を照射し焼成する。例えば、ピラーの製造工程では、ヘッド部23は、プレート保持部37の移動にともなって、当該ヘッド部23の下方の位置に造形プレートPが移動してくると、インクジェットヘッド51によって造形プレートP上に導電性材料を吐出しつつ、吐出された導電性材料をレーザ照射装置53によって焼成する。
【0024】
また、紫外線照射装置25は、プレート保持部37及び造形プレートPとZ軸方向において対向するように、電子デバイス製造装置10の上部に取り付けられている。紫外線照射装置25は、紫外線を照射するためのLED67を有しており、当該LED67の照射方向が下方となるように固定されている。例えば、絶縁層の製造工程では、ヘッド部23は、造形プレートPが下方の位置に移動してくると、インクジェットヘッド51によって造形プレートP上に絶縁性を有する紫外線硬化樹脂を吐出する。また、紫外線照射装置25は、造形プレートPが下方の位置に移動してくると、LED67を駆動して造形プレートP上の紫外線硬化樹脂に向かって紫外線を照射し硬化させる。
【0025】
図2に示すように、電子デバイス製造装置10は、制御装置71を備えている。制御装置71は、コントローラ73と、複数の駆動回路75と、制御回路77とを備えている。コントローラ73は、CPU、ROM、RAM等を備え、コンピュータを主体とするものであり、複数の駆動回路75及び制御回路77に接続されている。複数の駆動回路75の各々は、上記した保持装置39、電磁モータ61,63、圧電素子65、駆動部47に接続されている。また、複数の制御回路77の各々は、LED67及びレーザ照射装置53に接続されている。コントローラ73は、駆動回路75及び制御回路77を介して、保持装置39やヘッド部23などの動作を制御する。
【0026】
<電子デバイスの製造工程>
次に、電子デバイスの製造工程について説明する。電子デバイス製造装置10は、上述した構成によって、電子デバイスを複数の層に分け、紫外線硬化樹脂や導電性材料で1又は複数の層を形成し、形成した層を順次積み重ねて電子デバイスを製造する。例えば、電子デバイス製造装置10は、電子デバイスとして
図3に示す回路基板81を製造する。
【0027】
図3に示す回路基板81は、造形プレートPの上に形成された配線83と、配線83の上に積層された絶縁層85と、絶縁層85の上端面85Aに形成された配線87とを有する。絶縁層85の下面に形成された配線83と、上端面85Aに形成された配線87とは、絶縁層85をZ軸方向(上下方向)に貫通する複数のピラー89によって電気的に接続されている。以下の説明では、このピラー89の周縁に絶縁層85を製造する工程を中心に説明する。
【0028】
電子デバイス製造装置10は、回路基板81の設計データに基づいて、プレート保持部37(
図1参照)に保持された造形プレートPの上に所定のパターンの配線83を形成する。造形プレートPは、例えば、製造工程での熱に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板を用いることができる。配線83は、例えば、後述するピラー89の製造方法と同様に、インクジェット法を用いて形成される。なお、配線83は、インクジェット法とは異なる方法、例えば、スパッタリング法、蒸着法及びCVD法などを用いて形成することも可能である。
【0029】
次に、制御装置71は、X軸スライド機構31及びY軸スライド機構33を制御し、配線83が形成された造形プレートPを保持するプレート保持部37を、作業位置となるヘッド部23の下部まで移動させる。制御装置71は、ヘッド部23を制御して、
図4に示すようにインクジェットヘッド51のノズル55から配線83の上の所定位置に導電性材料91を吐出してピラー89を形成する。導電性材料91は、例えば、導電体を溶媒に分散させたものである。導電体は、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ITO、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)等やそれらの化合物などの金属である。溶媒は、例えば、テトラデカン、シクロヘキシルベンゼン、酢酸ブチル、イソプロピルアルコール、水である。
【0030】
制御装置71は、インクジェットヘッド51から導電性材料91を吐出させた後に、吐出した導電性材料91をレーザ照射装置53によって焼成する。制御装置71は、インクジェットヘッド51から1又は複数の導電性材料91の液滴を造形プレートP上に吐出した後に、プレート保持部37をX軸方向の一方(
図4における左向き)に向かって移動させる。レーザ照射装置53は、造形プレートP上に吐出された導電性材料91にレーザ光の焦点を合わせて照射し焼成する。レーザ照射装置53は、例えば気体レーザである。制御装置71は、インクジェットヘッド51による吐出処理と、レーザ照射装置53による焼成処理とを繰り返し実行しピラー89を形成する。なお、この焼成処理は、導電性材料91をピラー89として充分な高さだけ積層した後にピラー89全体をまとめて焼成する方法でもよく、あるいはピラー89の周縁に絶縁層85を形成した後に焼成する方法でもよい。また、ピラー89の焼成は、減圧処理などによって吐出された導電性材料91の溶剤が揮発する場合には、省略することが可能となる。また、導電性材料91を凝固させる方法は、焼成する方法に限らず、乾燥する方法などの他の方法を用いてもよい。
【0031】
次に、
図5に示すように、制御装置71は、配線83の上に形成したピラー89の上端部89Aに向かって、インクジェットヘッド51のノズル55から撥液剤95を吐出する。ピラー89は、上端部89Aから下方に向かって撥液剤95が塗布される。ここで、本実施例の電子デバイス製造装置10のように、予めピラー89を形成した後に絶縁層85を形成する製造方法では、絶縁層85を形成するための絶縁性を有する紫外線硬化樹脂を、ピラー89の周縁の配線83上に吐出すると、紫外線硬化樹脂が濡れ広がってピラー89の上端面の一部や全部を覆ってしまう場合ある。その結果、ピラー89は、上端面に接続される上層の配線87(
図3参照)に対する電気的な接続性が悪化することとなる。特に、ピラー89は、数μm(マイクロメートル)オーダで形成される場合もあり、紫外線硬化樹脂の液滴の外径などによっては、1滴又は数滴の紫外線硬化樹脂であってもピラー89の上端面まで濡れ広がる可能性が非常に高くなる。また、このような絶縁層85を形成するための絶縁性樹脂の濡れ広がりは、インクジェット法に限らず、スピンコート法などの他の方法においても同様に生じる。
【0032】
これに対し、本実施例の電子デバイス製造装置10では、予め形成したピラー89の上端部89Aを中心に撥液剤95を塗布しておくことによって、絶縁層85を形成するための樹脂がピラー89の上端面まで濡れ広がるのを防止する。制御装置71は、
図6に示すように、ヘッド部23を制御して造形プレートP上にインクジェットヘッド51のノズル55から紫外線硬化樹脂97を吐出する。プレート保持部37は、制御装置71によって、X軸方向の一方(
図6における左向き)に向かって搬送される。インクジェットヘッド51は、プレート保持部37及び造形プレートPがX軸方向に向かって搬送される動作に同期しながら、紫外線硬化樹脂97を造形プレートPに向かって吐出する。造形プレートP上には、複数の紫外線硬化樹脂97の液滴で形成された1層分の樹脂膜99が形成される。この際に、ピラー89は、予め撥液剤95が塗布されることによって、周縁に吐出された紫外線硬化樹脂97が、当該ピラー89の上端面の上まで濡れ上がるのが防止される。
【0033】
次に、制御装置71は、紫外線照射装置25(
図1及び
図2参照)を駆動して、造形プレートP上に形成された樹脂膜99に紫外線を照射し硬化させる。詳述すると、制御装置71は、造形プレートP上に紫外線硬化樹脂97を吐出し1層分の樹脂膜99を形成すると、紫外線照射装置25の下方の位置に向かってプレート保持部37を移動させる。紫外線照射装置25は、制御装置71の制御に基づいて、LED67を駆動し紫外線を樹脂膜99に照射する。これにより、造形プレートP上には、硬化した1層分の樹脂膜99が形成される。
【0034】
また、制御装置71は、インクジェットヘッド51を制御して、硬化した樹脂膜99の上に、さらに紫外線硬化樹脂97を吐出し樹脂膜99を積層する(
図6参照)。また、紫外線照射装置25は、吐出された2層目の樹脂膜99に対して紫外線を照射する。電子デバイス製造装置10は、この吐出処理と、紫外線の照射処理とを繰り返し実施することで、硬化した樹脂膜99を積層し絶縁層85を形成する。
【0035】
本実施例では、
図6に示す紫外線硬化樹脂97として、撥液性を有する樹脂が用いられている。ここで、上記したように、絶縁層85は、樹脂膜99を硬化した複数の層によって構成される。この場合、硬化した樹脂膜99の上にさらに吐出された紫外線硬化樹脂97は、硬化した樹脂膜99の上に濡れ広がる虞がある。このため、撥液性を有する樹脂を用いることで、硬化した樹脂膜99の上に、さらに紫外線硬化樹脂97を吐出した場合に、紫外線硬化樹脂97が樹脂膜99上に濡れ広がるのを防止することが可能となる。また、各層ごとに樹脂膜99を硬化させることによって、紫外線硬化樹脂97が濡れ広がるのをより確実に防止することが可能となる。このように、本実施例の電子デバイス製造装置10では、撥液性を有する紫外線硬化樹脂97を用いて、吐出処理と硬化処理とを繰り返し実施することで、紫外線硬化樹脂97がピラー89の上端面まで濡れ広がるのをより確実に防止する。なお、絶縁層85は、液体状の樹脂膜99を複数層積層した後にまとめて硬化して形成してもよい。また、絶縁層85の形成方法は、インクジェット法に限らず、プラズマCVD法、スパッタリング法やスピンコート法を用いてもよい。
【0036】
上記した製造方法で製造された回路基板81は、
図7に示すように、ピラー89の上端部89Aの周縁に紫外線硬化樹脂97が濡れ広がるのが防止された状態で、配線83の上に絶縁層85が形成されることとなる。そして、絶縁層85から露出したピラー89の上端部89Aに接続されるように、公知の方法により、所望のパターンの配線87(
図3参照)を形成する。このようにして、電子デバイス製造装置10は、ピラー89を介して配線83と配線87とが電気的に良好に接続された回路基板81を製造することが可能となる。
【0037】
以上、上記した本実施例によれば以下の効果を奏する。
<効果1>本実施例の製造方法では、配線83上に導電性材料91を吐出して形成したピラー89には、上端部89Aに撥液剤95が吐出される(
図5参照)。次いで、撥液剤95が塗布されたピラー89の周縁に絶縁層85を形成する。この製造方法では、ピラー89の上端部89Aに撥液剤95を塗布しておくことによって、絶縁層85を形成する紫外線硬化樹脂97がピラー89の上端面まで濡れ広がるのを防止することが可能となる。このため、積層造形法の一つであるインクジェット法によって予め形成したピラー89を、絶縁層85に一度も埋設させることなく、絶縁層85の各層の配線83,87に良好に接続することが可能となる。従って、当該製造方法では、絶縁層85のピラー89を覆う部分を除去するエッチングなどの処理が不要となるため、製造工程の簡略化を図ることが可能となる。
【0038】
<効果2>絶縁層85は、撥液性を有する紫外線硬化樹脂97をノズル55から吐出し樹脂膜99を形成するステップ(
図6参照)と、紫外線照射装置25(
図1参照)によって樹脂膜99を硬化させるステップとを繰り返し実施することによって形成される。撥液性を有する紫外線硬化樹脂97は、硬化した樹脂膜99の上に吐出された場合に濡れ広がるのが防止される。これにより、当該製造方法によれば、撥液性を有する紫外線硬化樹脂97を用いて、吐出処理と硬化処理とを繰り返し実施することで、製造工程の簡略化を図りつつ、紫外線硬化樹脂97がピラー89の上端面まで濡れ広がるのをより確実に防止することが可能となる。
【0039】
ちなみに、電子デバイス製造装置10は、製造装置の一例である。回路基板81は、電子デバイスの一例である。
【0040】
<第2実施例>
次に、本発明の第2実施例について、
図8〜
図10を参照して説明する。上記した第1実施例との相違点は、インクジェット法で形成したピラー89を一度、絶縁層に埋設させる点が異なる。なお、以下の説明では、第1実施例と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0041】
まず、
図8に示すように、配線83の上に形成したピラー89が埋設されるように絶縁層101を形成する。絶縁層101は、例えばインクジェット法やスピンコート法を用いて形成することができる。次に、
図9に示すように、絶縁層101は、ピラー89の上端面を覆う部分に貫通孔101Aが形成される。制御装置71は、ヘッド部23を制御してレーザ照射装置53からレーザ光を照射し、絶縁層101の一部を除去(レーザーアブレーションによる蒸発など)して貫通孔101Aを形成する。これにより、ピラー89は、貫通孔101Aから上端面が露出することとなる。レーザ照射による貫通孔101Aの形成では、例えば、絶縁層101とピラー89とのレーザ光に対する反射率や吸収率の違いを利用してレーザ照射装置53の出力を制御する方法を用いることができる。
【0042】
次に、制御装置71は、インクジェットヘッド51を制御し、ノズル55から貫通孔101A内に向かって導電性材料91を吐出する。ピラー89は、貫通孔101Aから露出した上端面に導電性材料91が吐出されることとなる。また、制御装置71は、インクジェットヘッド51から導電性材料91を吐出させた後、レーザ照射装置53によって導電性材料91を焼成する。制御装置71は、例えば吐出と焼成とを繰り返し実行して、ピラー89の上端部89Aを絶縁層101の上端面101Bまで延設する。第2実施例の電子デバイス製造装置10は、このようにしてピラー89を形成する。
【0043】
以上、上記した本実施例によれば以下の効果を奏する。
<効果>本実施例の製造方法では、配線83上に形成したピラー89は、絶縁層101によって埋設される。次いで、制御装置71は、レーザ照射装置53からレーザ光を照射し、絶縁層101における上端面を覆う部分を除去して貫通孔101Aを形成する。そして、制御装置71は、インクジェットヘッド51から貫通孔101A内に導電性材料91を吐出させた後、レーザ照射装置53によって導電性材料91を焼成する。ピラー89は、上端部89Aが絶縁層101の上端面101Bまで延設される。ここで、従来の製造方法では、一度埋設させたピラー89の上端面を露出させるために、絶縁層101のエッチングを実施しており、製造工程の工数が増大し、ひいては歩留まりの低下に繋がる虞がある。これに対し、本実施例の製造方法では、例えば、ピラー89の上端面を露出させるためのエッチングが不要となり、製造工程の簡略化を図り、歩留まりを向上させることが可能となる。また、紫外線硬化樹脂97及び導電性材料91を吐出するインクジェットヘッド51と、レーザ光を照射するレーザ照射装置53とを1つのヘッド部23に一体化させることで、電子デバイス製造装置10は、絶縁層101の形成、貫通孔101Aの形成及びピラー89の延設とを一台の装置の中で一連の作業として実施することが可能となっており、このことによっても製造工程の簡略化が図られている。
【0044】
<第3実施例>
次に、本発明の第3実施例について、
図11及び
図12を参照して説明する。上記した第2実施例との相違点は、インクジェット法で形成したピラー89の上端面をサポート材で覆い、絶縁層を形成した後にサポート材を除去して貫通孔を形成する点が異なる。なお、以下の説明では、第2実施例と同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0045】
まず、
図11に示すように、配線83上に形成したピラー89の上端面を覆うようにサポート材121を形成する。サポート材121は、例えば、紫外線による硬化性を有する溶液を、インクジェットヘッド51から上端面に向かって吐出し、紫外線照射装置25(
図1参照)によって紫外線を照射し硬化することで形成される。
【0046】
次に、
図12に示すように、ピラー89及びサポート材121の周縁における配線83上に絶縁層123を形成する。絶縁層123は、サポート材121が除去されることによって、貫通孔123Aが形成される。サポート材121の除去は、熱によって溶融させる方法や、水や薬品等の特定の液体を用いて溶融させる方法を用いることができる。なお、サポート材121は、絶縁層123を形成した後に除去可能な材料であれば、適宜用いることができる。貫通孔123Aを形成した後に、ピラー89の上端部89Aを絶縁層123の上端面123Bまで延設する処理は、上記した第2実施例と同様であるため、ここでの説明は、省略する。
【0047】
以上、上記した本実施例によれば以下の効果を奏する。
<効果>本実施例の製造方法では、配線83上に形成したピラー89は、上端面を覆うようにサポート材121が形成される。次いで、ピラー89及びサポート材121の周縁に絶縁層123が形成される。絶縁層123は、サポート材121が除去されることによって、貫通孔123Aが形成される。ピラー89は、上端部89Aが絶縁層123の上端面123Bまで延設される。当該製造方法よれば、ピラー89の上端面を露出させるためのエッチングが不要となり、製造工程の簡略化を図ることが可能となる。
【0048】
なお、本発明は、上記各実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。
例えば、上記第1実施例では、ピラー89に撥液剤を塗布する方法と、絶縁層85を形成する絶縁性樹脂として撥液性を有する紫外線硬化樹脂97を用いる方法との両方を併用したが、どちらか一方の方法のみで回路基板81を製造してもよい。
また、上記各実施例の電子デバイス製造装置10は、インクジェットヘッド51を固定状態として造形プレートPを移動させて造形処理を実施する構成としたが、これに限定されない。例えば、電子デバイス製造装置10は、造形プレートPを載置する基台38を固定状態としてインクジェットヘッド51を移動させて造形処理を実施してもよい。あるいは、電子デバイス製造装置10は、インクジェットヘッド51と造形プレートPとの両方を相対的に移動させながら造形処理を実施してもよい。
また、上記各実施例では、特に言及していないが、ピラー89及び絶縁層85を形成した後、あるいはピラー89の上端面に接続される配線87を形成した後の工程において、絶縁層85と、ピラー89や配線83,87との密着を高めるための焼成する工程を実施してもよい。この焼成工程は、レーザ照射や赤外線ランプの照射などによって実施してもよい。
また、紫外線照射装置25は、LED方式に限らず、水銀ランプ等の光源を用いてもよい。
また、硬化性樹脂を吐出する装置は、インクジェットヘッド51に限られず、ディスペンサヘッド等を採用することが可能である。
(付記)
また、本願に係る電子デバイスの製造方法を具体化した実施例について上記に説明したが、電子デバイスの製造方法は以下の構成を有することも可能であり、その場合には以下の効果を奏する。
例えば、第1の構成は以下のとおりである。
付記1の電子デバイスの製造方法は、積層造形法による電子デバイスの製造方法であって、配線の上に導電性材料を吐出してピラーを形成するステップと、ピラーが埋設されるように絶縁層を形成するステップと、絶縁層におけるピラーの上端部を覆う部分にレーザ光を照射し、上端部を覆う絶縁層を除去して貫通孔を形成するステップと、貫通孔から露出したピラーの上端面に向けて導電性材料を吐出し、ピラーの上端部を絶縁層の上端面まで延設するステップと、を含むことを特徴とする。
この電子デバイスの製造方法では、配線上に導電性材料を吐出して形成したピラーを、絶縁層を形成して埋設させる。次いで、絶縁層は、ピラーの上端部を覆う部分にレーザ光が照射され貫通孔が形成される。そして、貫通孔には、導電性材料が吐出され、ピラーの上端部が絶縁層の上端面まで延設される。ここで、従来の製造方法では、一度埋設させたピラーの上端面を露出させるために、絶縁層のエッチング(エッチバックやCMP法(化学的機械研磨)など)を実施しており、製造工程の工数が増大する虞がある。これに対し、当該製造方法よれば、ピラーの上端面を露出させるためのエッチングが不要となり、製造工程の簡略化を図ることが可能となる。
付記2の電子デバイスの製造方法は、積層造形法による電子デバイスの製造方法であって、配線の上に導電性材料を吐出してピラーを形成するステップと、ピラーの上端面を覆うようにサポート材を形成するステップと、ピラー及びサポート材の周縁における配線上に絶縁層を形成するステップと、サポート材を除去し、絶縁層に貫通孔を形成するステップと、貫通孔から露出したピラーの上端面に向けて導電性材料を吐出し、ピラーの上端部を絶縁層の上端面まで延設するステップと、を含むことを特徴とする。
この電子デバイスの製造方法では、配線上に導電性材料を吐出して形成したピラーの上端面を覆うようにサポート材を形成する。次いで、ピラー及びサポート材の周縁における配線上に絶縁層を形成する。絶縁層は、サポート材が除去されることによって、貫通孔が形成される。そして、貫通孔には、導電性材料が吐出され、ピラーの上端部が絶縁層の上端面まで延設される。当該製造方法よれば、ピラーの上端面を露出させるためのエッチングが不要となり、製造工程の簡略化を図ることが可能となる。