特許第6370107号(P6370107)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6370107ISFETダイのピエゾ抵抗を維持するように構成された基板又は接合層を有するpHセンサ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6370107
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】ISFETダイのピエゾ抵抗を維持するように構成された基板又は接合層を有するpHセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/414 20060101AFI20180730BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20180730BHJP
【FI】
   G01N27/414 301U
   G01N27/414 301W
   G01N27/414 301V
   G01N27/416 353Z
【請求項の数】3
【外国語出願】
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-107760(P2014-107760)
(22)【出願日】2014年5月26日
(65)【公開番号】特開2015-25802(P2015-25802A)
(43)【公開日】2015年2月5日
【審査請求日】2017年4月20日
(31)【優先権主張番号】13/952,888
(32)【優先日】2013年7月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(72)【発明者】
【氏名】ドナルド・ホークハイマー
(72)【発明者】
【氏名】ポール・エス・フェチュナー
(72)【発明者】
【氏名】デーヴィッド・エス・ウィリッツ
【審査官】 黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−227759(JP,A)
【文献】 特開2012−233876(JP,A)
【文献】 特開2003−161721(JP,A)
【文献】 特開2015−021964(JP,A)
【文献】 特表2003−505664(JP,A)
【文献】 特表2011−526362(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0140089(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0215985(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0035420(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/26−27/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海洋における種々の圧力及び温度下での使用のために構成されるpHセンサ(2)であって、
基板(70)と、
pHに応答するイオン検知部(12)を含むイオン感応型電界効果トランジスタ(ISFET)ダイ(10)であって、前記ISFETダイは前記基板に接合され、前記ISFETダイの前記イオン検知部は媒体に露出されるように構成され、前記イオン検知部は前記媒体のpHレベルに関連する信号を出力する、ISFETダイと、
前記基板と前記ISFETダイとの間に配置される接合層(20)であって、前記基板及び前記ISFETダイに接合され、接合剤物質の第1合成物を含む接合層と、を有し、
前記種々の圧力及び温度下における圧力及び温度変化はpHセンサにおいて環境応力を発生させ、
前記接合層又は前記基板の少なくとも一つは前記種々の圧力及び温度下において体積を変化させ、前記接合層又は前記基板の少なくとも一つは前記体積変化が前記環境応力の少なくとも一部に対向する対抗応力を引き起こすように構成され、前記対抗応力は前記種々の圧力及び温度下においてドレインからソースへの前記ISFETダイのピエゾ抵抗の変化を0.5%未満に維持するように構成される、pHセンサ。
【請求項2】
請求項1に記載されたpHセンサにおいて、
前記種々の圧力及び温度下において異なる方向での熱膨張係数(CTE)の違い、弾性係数の違い、又はポアソン比の違いが前記対抗応力を引き起こすように、前記接合層又は前記基板の前記少なくとも一つが第2方向におけるCTEとは異なる第1方向におけるCTEを有し、前記接合層又は前記基板の前記少なくとも一つが第2方向における弾性係数とは異なる1方向における弾性係数を有し、或いは前記接合層又は前記基板の前記少なくとも一つが第2方向におけるポアソン比とは異なる1方向におけるポアソン比を有する、pHセンサ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたpHセンサにおいて、
前記接合層は前記基板と前記ISFETダイとの間に第1パターンで配置された接合剤物質の第1合成物の一以上のストリップ(206,208)をさらに有し、
前記接合層は前記基板と前記ISFETダイとの間に配置された第2物質(208,206,209,402)をさらに有し、
前記基板と前記ISFETダイとの間に第1パターンで配置された接合剤物質の前記第1合成物の一以上のストリップによってISFETダイに発生する第1対抗応力は前記第2物質によってISFETダイに発生する第2対抗応力とは異なる方向であり、前記第1対抗応力と前記第2対抗応力がISFETダイ上に対抗応力を引き起こす、pHセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦支援研究または開発に関する供述
[0001]本発明は、海軍研究事務所により授与された契約番号N00014−10−1−0206の下に、米国政府の支援によってなされたものである。米国政府は、本発明に一定の権利を有する。
【0002】
本発明は、パターン状に配置される接合剤を有するpHセンサに関する。
【背景技術】
【0003】
[0002]研究者は、海洋のpH(水素イオン指数)レベルを測定するためにセンサ装置を使用する。海洋のpHレベルは、海洋に溶解されているCO2(二酸化炭素)の量に関連する。様々な深さにおいて海洋のpHレベルを測定することにより、研究者は地球温暖化の危険性及び海洋の健全性を監視することができる可能性がある。いくつかのpHセンサは、イオン感応型電界効果トランジスタ(ISFETs)を海洋に浸すことによりこれらのレベルを測定することができる。海洋においては、水温と圧力との間に逆の関係がある。水面の近くでは、温度は高く圧力は低い。深海では、温度は低いが圧力は高い。深海に関連する大きな機械的応力により引き起こされる測定誤差のせいで、そのような広い圧力変動は従来のpHセンサの正確性を制限する可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
[0003]ここで記載される実施形態は、圧力及び温度範囲に亘る使用のために構成されるpHセンサを提供する。pHセンサは基板とイオン感応型電界効果トランジスタ(ISFET)とを有する。ISFETダイは、媒体に曝されるように構成されてその媒体のpHレベルに関連する信号を出力するイオン検知部を含む。ISFETダイは、基板とISFETダイとの間に配置された接合層で基板と接合される。接合層は、ISFETダイと基板との間に配置された接合剤物質の少なくとも一つの合成物を含む。圧力及び温度範囲に亘る圧力及び温度変化はpHセンサにおいて環境応力を発生させる。さらに、基板、接合層、又はその両方は、圧力及び温度範囲に亘り体積を変化させ、接合層、基板、又はその両方は、体積変化が環境応力の少なくとも一部に対向する対抗応力を引き起こすように構成される。対抗応力は圧力及び温度範囲に亘ってドレインからソースへのISFETダイのピエゾ抵抗の変化を0.5%未満に維持するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】[0004]図1は、ISFETダイを基板に取り付ける接合層を有するpHセンサの実施形態の断面図である。
図2】[0005]図2は、図1の接合層の実施形態の上面図である。
図3A】[0006]図3Aは、図1の接合層の他の実施形態の上面図である。
図3B図3Bは、図1の接合層の他の実施形態の上面図である。
図3C図3Cは、図1の接合層の他の実施形態の上面図である。
図3D図3Dは、図1の接合層の他の実施形態の上面図である。
図4A】[0007]図4Aは、図1の接合層のさらに他の実施形態の上面図であり、図4Aにおいて、接合層が単一の接合剤物質を用いて基板をISFETダイに取り付けている。
図4B図4Bは、図1の接合層のさらに他の実施形態の上面図であり、図4Bにおいて、接合層が単一の接合剤物質を用いて基板をISFETダイに取り付けている。
図5A】[0008]図5Aは、図1の接合層のさらに他の実施形態の上面図である。
図5B図5Bは、図1の接合層のさらに他の実施形態の上面図である。
図5C図5Cは、図1の接合層のさらに他の実施形態の上面図である。
図5D図5Dは、図1の接合層のさらに他の実施形態の上面図である。
図5E図5Eは、図1の接合層のさらに他の実施形態の上面図である。
図6】[0009]図6は、図1の接合層の他の一実施形態の上面図であり、図6において、接合層は互いに直交していないストリップ材を含んでいる。
図7A】[0010]図7Aは、図1の接合層に配置される接合剤物質のストリップの異なる実施形態を示す。
図7B図7Bは、図1の接合層に配置される接合剤物質のストリップの異なる実施形態を示す。
図7C図7Cは、図1の接合層に配置される接合剤物質のストリップの異なる実施形態を示す。
図7D図7Dは、図1の接合層に配置される接合剤物質のストリップの異なる実施形態を示す。
図7E図7Eは、図1の接合層に配置される接合剤物質のストリップの異なる実施形態を示す。
図7F図7Fは、図1の接合層に配置される接合剤物質のストリップの異なる実施形態を示す。
図8】[0011]図8は、図1のpHセンサを形成する方法の一実施形態のフロー図である。
図9A】[0012]図9Aは、個体の異方性単結晶形から基板層を形成する実施形態を示す。
図9B】[0013]図9Bは、配向繊維複合材料から基板層を形成する実施形態を示す。
図10】[0014]図10は、図1のpHセンサを形成する方法の他の一実施形態のフロー図である。
図11】[0015]図11は、図1のpHセンサにより達成される効果の数学モデルの例である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[0016]慣行に従い、描写される様々な特徴は原寸に比例して描かれておらず、本説明に関連した特徴を強調して描かれる。参照符号は、図及び本文を通じて同様の要素を示す。
[0017]図1は、pHセンサ2の一例の断面図である。pHセンサ2は、ISFETダイ10を有し、ISFETダイ10は、接触する媒体のpHを検知するためのISFETダイ10内部に組み込まれたイオン検知部12を有する。pHセンサ2は、イオン検知部12の少なくとも一部を媒体(例えば、海水又は大洋水)に曝すように構成され、それにより媒体のpHを測定する。ISFETダイ10は、第1(主)面と、第1面と反対の第2(主)面と、第1面と第2面との間の辺の周囲の一以上の縁を画定する概して平面の構造を有する。ISFETダイ10の第1面は、それに組み込まれたイオン検知部12を有する。
【0007】
[0018]ISFETダイ10は、ISFETダイ10に機械的な支持を与える基板70に取り付けられる。基板70は、第3(主)面と、第3面と反対の第4(主)面と、第3面と第4面との間の辺の周囲の一以上の縁を画定する概して平面の構造を有する。ISFETダイ10の第2面は、基板70の第3面に接合される。いくつかの例では、基板70は実質的に等方性の機械的性質を有し、平坦な構造により画定される平面と平行な全ての方向における基板70の熱膨張係数(CTE)は実質的に同一である。そのような例において、基板70は酸化アルミニウム又は窒化アルミニウムからなるセラミックであってよい。他の例において、基板70は、平坦な構造により画定される平面と平行な方向において異方性の(例えば直交異方性の)機械的性質を有する(図9A−9B参照)。基板70はヘッダ40に取り付けられてもよい。いくつかの例では、基板70は、基板70とヘッダ40との間に配置されるレイヤ80でヘッダに取り付けられる。一例では、レイヤ80はエポキシ樹脂から形成されてもよい。他の例では、基板70は、基板70とヘッダ40との間に配置されるレイヤ80なしでヘッダ40に直接取り付けられる。
【0008】
[0019]基板70は、一以上の電気ピン42のためのスルーホールを同様に確定する。一以上のワイヤ14が、ISFETダイ10とダイ10の外部の電気回路との間の電気的な接続を提供する。ワイヤ14は、少なくとも一つの電気ピン42に同様に接合されていてもよい。一例では、(以下で詳述する)接合層20の接合剤物質内の埋め込みワイヤ14は、温度変化及び圧力変化からの一以上のワイヤ14の保護を増加させ得る。加えて、さらなる例では、ワイヤ14は一以上の電気ピン42と接合されてもよい。部分的な真空空間を有し得る保護容積43は、ワイヤ14と少なくとも一つの電気ピン42との間のワイヤボンドの周囲に形成され得る。
【0009】
[0020]一例では、pHセンサ2は同様にISFETダイ10の周囲に配置されるキャップ72を有する。一例では、キャップ72は基板70と同一の組成を有する。他の例では、キャップ72は基板70と異なる物質を有してもよい。いくつかの例では、基板70及びキャップ72は、圧力変化及び温度変化により引き起こされる繰り返し変形を減らすために、ISFETダイ10に堅固な支持を提供する。いくつかの例では、保護層44がキャップ72とISFETダイ10の一部分に形成され得る。一例では、保護層44は、塩水への曝露に起因する長期の劣化から接合層20の接合剤物質を保護することにより、pHセンサを保護する。一例では、保護層44は、塩水に浸されたときにおよそ化学的に不活性であってもよい。
【0010】
[0021]図1に示される例では、pHセンサ2は、基板70とキャップ72との間の一以上の領域に配置されたフリット材22を有し、基板70をキャップ72に接合する。pHセンサ2は、ISFETダイ10と基板70との間に配置された接合層20をさらに有する。接合層20は、基板70をISFETダイ10に接合する。いくつかの例では、接合層20は、接合剤物質の一以上の合成物の一以上のストリップを有してもよい。いくつかの例では、接合層20は、基板70をISFETダイに接合するために接合剤物質の均質の合成物を含んでもよい。他の例では、接合層20は、異方性物質の単一の合成物を含んでもよい。一例では、基板70は、陽極接合、共晶接合、又は接着剤接合の技術を用いて、ISFET70に接合され得る。
【0011】
[0022]従来のpHセンサの正確性は、深海のような環境での使用に関連する機械的応力により引き起こされる測定誤差、及び広範囲の圧力変化で動作するためにセンサを十分強くすることに関連するパッケージ応力により引き起こされる測定誤差によって制限され得る。これらの誤差は、ISFETダイ10の異方性のピエゾ抵抗特性により引き起こされ得る。特に、ISFETダイ10の機械的応力は、ISFETダイ10を通る電気的なキャリア輸送を変える可能性がある。
【0012】
[0023]ここに記載される本発明の主題は、ISFETダイ10に加わる機械的応力により引き起こされる圧力及び温度を減少させることにより、ピエゾ抵抗pHセンサ誤差を減少させるpHセンサ2を提供する。特に、ここに記載されるpHセンサは、圧力及び温度に依存する応力であって、且つISFETダイ10に加わる機械的応力により引き起こされる他の圧力及び温度の少なくとも一部に対抗する応力を、ISFETダイ10に引き起こすことにより、ドレインからソースへのISFETダイのピエゾ抵抗を維持する。この圧力及び温度に依存する対抗的な力は、ISFETダイ10と接合層20又は基板70との、或いはISFETダイ10とその両方との間の少なくとも一方向における熱膨張係数(CTE)の差、弾性係数の差、又はポアソン比の差によって引き起こされ、ここでは同様に「CTE不整合効果」といわれる。
【0013】
[0024]次に図11を参照すると、圧力及び温度範囲に亘るCTE不整合効果の数学モデルの例が示される。図11に示される例では、状態1及び状態2はそれぞれ温度T及びTでのISFETダイのピエゾ抵抗を示している。図11に示されるように、CTE不整合効果は、圧力及び温度範囲に亘るドレインからソースへのピエゾ抵抗の変化を低減するのに用いられる。理想的には、圧力及び温度範囲内の2つの温度及び圧力の間のピエゾ抵抗の変化は図11に示されるようにゼロである(状態1−状態2);しかしながら、実際はいくらかのピエゾ抵抗の変化が存在するであろう。状態1では、ISFETダイ10は、初期のピエゾ抵抗係数行列πと、初期温度Tを有する。状態1において、初期の応力ベクトルσは、状態1の圧力及び温度でISFETダイに発生する応力である。応力σは、ISFETダイ10の弾性係数E、ポアソン比PR、及び歪みεに依存する。歪みεは、熱膨張係数CTEに依存する。図11に示される例では、ISFETダイ10のピエゾ抵抗係数πは、圧力及び温度変化とともに変化する。
【0014】
[0025]図11に示されるように、Tにおいて、ISFETダイのピエゾ抵抗は、ピエゾ抵抗係数行列π及び応力ベクトルσに依存する。応力ベクトルσは、環境応力σ2aと対抗応力σ2bがもたらす正味応力である。環境応力σ2aは、周囲環境における圧力及び温度変化に起因して、ISFETダイ10に発生する。ピエゾ抵抗係数π及び環境応力σ2aは、状態1でのピエゾ抵抗と異なる状態2におけるISFETダイ10のピエゾ抵抗をもたらす。2つの異なる温度においてドレインからソースへのISFETダイ10のピエゾ抵抗を維持するために、環境応力σ2aの少なくとも一部に対向する対抗応力σ2bが、ISFETダイ10に発生し得る。生じた正味応力ベクトルσは、初期応力行列σと値がより近くなる。
【0015】
[0026]この対抗応力σ2bは、接合層20、基板70、又はそれら両方を調整することにより生じ得る。特に、温度が変化するにつれて生じる接合層20、基板70、又はそれら両方の体積変化は、ISFETダイ10に対抗応力σ2bを引き起こすのに用いられ、対抗応力σ2bはドレインからソースへのピエゾ抵抗を維持する。対抗応力σ2bは、ISFETダイ10における弾性係数(E)の効果的な大きさ及び方向依存、ポアソン比(PR)の効果的な大きさ及び方向依存、又は熱膨張係数(CTE)の効果的な大きさ及び方向依存により生じ得る。いくつかの例では、CTE不整合効果後のISFETダイ10のピエゾ抵抗感度は、初期のピエゾ抵抗感度の10分の1に減少し得る。例えば、1−2%のピエゾ抵抗を有するISFETダイにおいて、ドレインからソースへのピエゾ抵抗ΔR/Rに起因する抵抗の相対パーセント変化は、温度及び圧力範囲に亘って0.1−0.2%内に維持され得る。一例では、ドレインからソースへのピエゾ抵抗の変化は、0.5%未満に維持され得る。
【0016】
[0027]CTE不整合効果を達成する一つの方法は、異なる方向で異なる大きさの応力を引き起こすことにより圧力及び温度変化に応答する異方性の材料の合成物を選択することである(図9及び図10参照)。そのような効果は、ISFETダイ10に対する基板70、接合層20、又はその両方の熱膨張/熱収縮に起因する体積変化により達成される。いくつかの例では、異方性材料は基板70を構成するのに用いられる。熱膨張/熱収縮の間に基板70により引き起こされる応力が、異なる圧力及び温度において、ISFETダイ10に加わる他の機械的応力に対抗する方向で発生するように、基板70が方向づけられる。図9−10に関して記載される実施形態のいくつかの実装では、接合層20は、均質の接合剤物質の合成物を有する。一例として、基板70は直交異方性である。他の例では、ISFETダイ10に加わる他の機械的応力に対抗するために異なる方向で異なる大きさの応力を引き起こすことによって圧力及び温度変化に反応するように、接合層20は異方性の接合剤物質から構成される。さらに他の例では、接合剤物質は、直交異方性の機械的性質を有する。
【0017】
[0028]異方性構造のさらなる実施例では、異なる圧力及び温度において基板70又は接合層20により引き起こされる応力がISFETダイ10に加わる他の機械的応力に対抗するように基板70又は接合層20が第2の方向のCTEとは異なる第1の方向のCTEを有するときに、CTE不整合効果が達成される。基板70又は接合層20の体積はそのCTEに応じて変化する。いくつかの例では、基板70又は接合層20の弾性係数は、変化する圧力及び温度において全方向で一定である。いくつかの例では、基板70又は接合層20のポアソン比は、変化する圧力及び温度において全方向で一定である。
【0018】
[0029]異方性構造のさらに他の実施例では、異なる圧力及び温度において基板70又は接合層20により引き起こされる応力がISFETダイ10に加わる他の機械的応力に対抗するように基板70又は接合層20が第2の方向の弾性係数とは異なる第1の方向の弾性係数を有するときに、CTE不整合効果が達成される。基板70又は接合層20の体積はその弾性係数に応じて変化する。いくつかの例では、基板70又は接合層20のCTEは、変化する圧力及び温度において全方向で一定である。いくつかの例では、基板70又は接合層20のポアソン比は、変化する圧力及び温度において全方向で一定である。
【0019】
[0030]異方性構造のさらに他の実施例では、異なる圧力及び温度において基板70又は接合層20により引き起こされる応力がISFETダイ10に加わる他の機械的応力に対抗するように基板70又は接合層20が第2の方向のポアソン比とは異なる第1の方向のポアソン比を有するときに、CTE不整合効果が達成される。基板70又は接合層20の体積はそのポアソン比に応じて変化する。いくつかの例では、基板70又は接合層20の弾性係数は、変化する圧力及び温度において全方向で一定である。いくつかの例では、基板70又は接合層20のCTEは、変化する圧力及び温度において全方向で一定である。
【0020】
[0031]CTE不整合効果を達成する他の一つの方法は、接合層20のための材料をそのCTEに基づいて選択し、あるパターンで基板70とISFETダイ10との間にその材料の一以上のストリップを配置することである(図2−8参照)。一以上のストリップの向きは、温度変化の間にその材料により引き起こされる応力が、ISFETダイ10に加わる他の機械的応力に対抗する方向で発生するように、選択され得る。図2−8に関連して記載される実施形態のいくつかの実装では、基板70は等方性の機械的性質を有する。基板70は酸化アルミニウム又は窒化アルミニウム等のセラミックから構成されてもよい。
【0021】
[0032]一例では、一以上のストリップの向きはISFETダイ10の2軸負荷を達成するように選択される。特に、CTE不整合効果は、接合層20とISFETダイとの材料のCTE不整合に起因して生じる直交の歪みを引き起こし得る。有益な2軸の応力は、センサダイとその搭載基板との間に配置されるガラスフリット又は接合剤の2つの異なる合成物を用いることにより引き起こされ得る。これらの合成物は、2軸負荷状態を生成するために異なる温度において2つの材料がダイに異なる熱歪みを引き起こすように、それらの熱膨張係数(CTE)に基づいて選択され得る。
【0022】
[0033]図2は、(図1に示される)ISFETダイ10の第2面に配置される接合層20のレイアウトの例を示す実施形態の上面図である。接合層20は、ISFETダイ10の第2面と基板70の第3面との間にあるパターンで配置される接合剤物質の一以上のストリップを有する。この例では、第2面(したがって、ISFET10全体として)は概して長方形形状を有し、接合剤物質の第1合成物である第1ストリップ206はISFETダイ10の長縁207aに平行な方向に配置される。図2に示されるように、接合剤物質の第2合成物である複数の第2ストリップ208は、ストリップ206に直角であり且つISFETダイ10の短縁207bに平行に配置される。この例では、第1ストリップ206は第2ストリップ208よりも長く、第2ストリップ208は比較的短く、第1ストリップ206の両側に配置される。第1接合剤物質及び第2接合剤物質のいずれか一つ又は両方は、ガラスフリットから構成され得る。他の接合剤物質が同様に第1ストリップ又は第2ストリップに用いられてもよい。第2ストリップ208に用いられる接合剤物質の第2合成物は、第1ストリップ206に用いられる接合剤物質の第1合成物のCTEとは異なる熱膨張係数(CTE)を有する。したがって、異なる温度において2つの接合剤物質はISFETダイ10上に異なる熱機械応力を引き起こす。第1ストリップ206は第2ストリップ208と異なる方向に(例えば、直角に)方向づけられるので、ストリップ206,208により引き起こされる合成力は、それらの方向の一つよりも大きくなり、これはCTE不整合効果を達成する。
【0023】
[0034]図2に示されるように、一実施形態は、ISFETダイ10の外周207に沿って配置される接合剤物質の外周部分209をさらに含んでもよい。この例では、外周部分209は、縁の支持と封止を提供するために配置される。しかしながら、他の一例では、ISFETダイに引き起こされる熱機械応力がそれらの方向の一つにおいてより大きくなり、CTE不整合効果を達成するように、異なるCTEを有する2つの異なる接合剤物質のストリップが外周に沿って配置されてもよい(図5D参照)。さらに、図2に示される例では、外周部分209に配置される接合剤物質は、第1ストリップ206又は第2ストリップ208に用いられる接合剤物質とは異なるCTEを有する。しかしながら、図3A−3Dにおける以下の例に示されるように、外周部分の接合剤物質は、第1ストリップ206又は第2ストリップ208の接合剤物質の一つと同じ合成物であってもよい。
【0024】
[0035]図3A−3Dは、ISFETダイ10の外周に沿って接合剤物質の異なる合成物を使用した接合層20の様々な例を示す。図3Aは、外周部分の無いパターンの接合層20の例を示す。図3Bでは、第1ストリップ316に用いられる接合剤物質の合成物は、第2ストリップ319に用いられる接合剤物質の合成物とは異なるCTEを有する。外周部分319に使用される接合剤物質の合成物は、ストリップ316又はストリップ318に用いられる接合剤物質の合成物とは異なるCTEを有する。図3Cでは、ISFETダイ10の外周に沿った外周部分329に用いられる接合剤物質の合成物は、第1ストリップ326に用いられる接合剤物質の合成物と同一のCTEを有するが、第2ストリップ328に用いられる接合剤物質の合成物とは異なるCTEを有する。図3Dでは、外周部分339に用いられる接合剤物質の合成物は、第2ストリップ338に用いられる接合剤物質の合成物と同一のCTEを有するが、第1ストリップ336に用いられる接合剤物質の合成物とは異なるCTEを有する。他の一例では、接合剤物質の第3合成物がCTE不整合効果を達成するための追加のストリップに用いられる場合、接合剤物質の第3合成物を使用して外周部分が配置され得ることが理解される。
【0025】
[0036]図4A−4Bは、(図1に示される)基板70とISFETダイ10の間に配置される接合層20の実施形態であり、接合層20は、接合剤物質の一のみの合成物からなる一以上のストリップを有する。図4Aに示される例では、接合剤物質の合成物のストリップ406は、(図1に示される)ISFETダイ10の縁407aと平行に配置される。第2接合剤は使用されない。ISFETダイ10を支持するために、不活性物質402が接合層20の残留部分に配置される。不活性物質402は、ISFETダイ10にCTE応力を与えないが、摩擦を通じて制限されたせん断応力をダイに発生させ得る。図4Bに示されるように、一実施形態は、ISFETダイ10の縁417aに垂直に配置される接合剤物質の合成物の複数のストリップ416と、接合層20の残留部分に配置される不活性物質412とを含み得る。この例では、ISFETダイ10は不活性物質412により支持されるが、摩擦を通じてISFETダイ10に制限されたせん断応力を発生させ得る。図4A及び4Bに示される実施形態では、CTE不整合効果は、接合剤物質により引き起こされる応力がISFETダイ10に加わる他の機械応力に対抗するように接合剤物質の合成物のストリップを方向づけることにより達成される。他の例において接合剤物質及び不活性物質はCTE不整合効果を達成するために図4A及び4Bに示されるパターン以外のパターンに構成され得ることが理解される。
【0026】
[0037]図5A−5Eは、異なる温度においてCTE不整合効果を達成するために接合剤物質がISFETダイ10に異なる熱機械応力を引き起こすように、異なるCTEを有する接合剤物質の合成物を使用して形成される様々なパターンを示す接合層20の異なる実施形態である。例えば、図5Aにおいて、ガラスフリットを含み得るが、これに限定されない接合剤物質の合成物を使用して第1ストリップ506が配置される。複数の第2ストリップ508は第1ストリップ506と直交する方向に配置される。複数の第2ストリップ508を設けるのに使用される接合剤物質の合成物のCTEは、第1ストリップ506を配置するのに用いられる接合剤物質の合成物のCTEとは異なる。異なる温度において、ストリップ508,506により引き起こされる合成力は一方向よりも大きくなり、CTE不整合効果を達成する。
【0027】
[0038]図5Bでは、複数の第1ストリップ516がISFETダイ10の縁517a,518bに対して傾く方向に配置される。複数の第2のストリップ518は、複数の第1のストリップ516に対して直交する方向に配置される(同様に縁517a,517bに対して傾くが、逆方向である)。複数の第2ストリップ518に使用される接合剤物質の第2合成物は、複数の第1ストリップ516を形成するのに用いられる接合剤物質の第1合成物とは異なるCTEを有し、これは、CTE不整合効果を達成するために異なる温度においてISFET10に異なる熱機械応力を引き起こす。図5Cに示される他の一例では、単一のストリップ526がISFETダイ10の縁527a,527bに対して傾く方向に配置される。単一のストリップ526を設けるのに用いられる接合剤物質の第1合成物とは異なるCTEを有する接合剤物質の第2合成物の2つのストリップ528−1,528−2は、ストリップ526に対して直交して配置される。
【0028】
[0039]接合層20の他の一実施形態が図5Dに示される。この例では、CTE不整合効果は、外周に沿って2つの異なる接合剤物質のストリップが配置されることにより達成され得る。図5Dに示されるように、ストリップ536−1,536−2は接合剤物質の第1合成物を用いて配置される。ストリップ538−1,538−2は接合剤物質の第2合成物を用いて配置される。ストリップ538−1,538−2に用いられる接合剤物質の第1合成物は、ストリップ536−1,536−2に用いられる接合剤物質の第2合成物とは異なる。ストリップ536−1,536−2は、ストリップ538−1,538−2に対して直角である。異なる温度において、ストリップ536−1,536−2は、ISFETダイ10に対してストリップ538−1,538−2とは異なる熱機械応力を引き起こし、2軸負荷状態を生じさせ、CTE不整合効果を達成する。
【0029】
[0040]図5Eは、接合層20の一実施形態を示す。この例では、第1ストリップ546がジグザグ状に配置される。第2ストリップ548は、逆方向のジグザグ状に配置される。一例では、第1ストリップ546の角部が直角をなす。一例では、第2ストリップ548の角部が、同様に直角をなす。さらなる例では、第1ストリップ546と第2ストリップ548は互いに直交してもよい。第1ストリップ546に用いられる接合剤物質の第1合成物は、第2ストリップ548に用いられる接合剤物質の第2合成物とは異なるCTEを有し、CTE不整合効果を達成するために2軸負荷状態が生じる。
【0030】
[0041]いくつかの例では、ストリップが互いに直角に配置されるのとは対照的に、放射状パターン又は軸方向パターンで配置されるときでも、CTE不整合効果は達成され得る(図6参照)。図6は、接合剤物質の異なる合成物のストリップが互いに直交していない実施形態を示す。複数の第1ストリップ606が、複数の第2ストリップ608に用いられる第2接合剤物質とは異なるCTEを有する第1接合剤物質で配置される。第1ストリップ606及び第2ストリップ608の両方は、CTE不整合効果を達成するために2軸負荷状態を生じさせるように、ISFETダイ10に2つの異なる熱機械応力を引き起こす。放射状パターンで配置される第3接合剤物質の追加のストリップがあってもよく、これはダイに第3応力を引き起こし、接合剤物質の異なる合成物のCTEの違いに起因してCTE不整合効果を生じさせ得る。
【0031】
[0042]図7A−7Fは、接合層20に配置される接合剤物質のストリップの異なる実施形態を示す。本開示では、接合剤物質のストリップは、幅が狭く且つ長い形状を有する接合剤物質を参照する。いくつかの例では、ストリップは、(図7Aに示される)長い線形の長方形又は(図7Bに示される)短い長方形のような、線状のストリップであり得る。いくつかの例では、ストリップは非線形であり得る。例えば、ストリップは、(図7Cに示される)一様の幅の円弧状、(図7Dに示される)渦巻状、又は(図7Eに示される)ジグザグ状であってもよい。いくつかの例では、ストリップは、波型(図7Fでは四角い波型)であってもよい。ストリップの定義は図7A−7Fに示される例によって限定されないことが理解される。
【0032】
[0043]図8は、pHセンサを製造するための方法800の一実施形態のフロー図である。ここで説明されるように、方法800は、図1−7に示されるpHセンサの例に関連して記載される。しかしながら、方法800は、pHセンサの他のセンサの例にも適用し得る。図8に示される例では、方法800は、基板に第1パターンで第1接合剤物質の一以上のストリップを形成することを有する(802)。ブロック802で形成されるパターンは、図2−6の接合層の実施形態に記載されるものであり得る。ブロック802は、上記実施形態に記載されていないがCTE不整合効果を達成するパターンで第1接合剤物質の一以上のストリップを形成することを含んでもよい。ブロック802での第1接合剤物質はガラスフリットであってもよい。
【0033】
[0044]方法800は、基板に第2パターンで第2物質を形成することをさらに含む(804)。ブロック804で第2物質を形成することは、不活性物質を配置すること、又はブロック802で一以上のストリップを形成するのに用いられる第1接合剤物質とは異なるCTEを有する第2接合剤物質の一以上のストリップを形成することを含む。いくつかの例では、ブロック804での第2接合剤物質はガラスフリットであってもよい。さらなる例では、ブロック804は、ブロック802の第1接合剤物質の一以上のストリップに直交して第2接合剤物質の一以上のストリップが形成されることを含み得る。
【0034】
[0045]方法800は、第1接合剤物質及び第2物質が基板とISFETダイとの間に配置されるように基板上にISFETダイを設置することをさらに含む(806)。方法800は、接合剤物質を加熱することにより基板をISFETダイに接合することを同様に含む(808)。ブロック808での接合剤物質は、ガラスフリットであってもよい。一例では、ブロック808で接合剤物質を加熱することは、レーザを使用したガラスフリット硬化技術を用いてガラスフリットを溶かすことを含み得る。
【0035】
[0046]いくつかの例では、接合剤物質の第1及び第2合成物は、2つの異なるエポキシ樹脂の化学合成品であってもよい。他の例では、接合剤物質の2つの異なる合成物は、同一のエポキシ樹脂の化学合成品から始めてもよいが、第2合成物を異種としてCTE不整合効果を達成できるように第2合成物のエポキシ樹脂の熱機械応力が変化するように接合剤物質の第2合成物を形成するために、エポキシ樹脂にフィラー材が添加される。エポキシ樹脂の合成物を変化させるのに用いられるフィラー材は、ビーズ、球体、繊維、または他の小さい粒子であり得る。いくつかの例では、フィラー材はガラスでできていてもよい。他の例では、異なる物質がフィラー材に使用されてもよい。
【0036】
[0047]異なる構成では、CTE不整合効果は、異方性の機械的性質を有する基板又は接合層を使用することにより達成され得る。基板又は接合層は、異なる方向において、異なるCTE、異なる弾性係数、又は異なるポアソン比を有し、異なる方向において異なる大きさの力を引き起こすことにより温度変化に反応する。いくつかの例では、基板は直交異方性であってもよい。この構成のいくつかの例では、基板とISFETダイとの間に配置された接合層材料は均質であってもよい。いくつかの例では、接合層は、直交異方性の機械的性質を有し得る。CTE不整合効果を達成するために2軸負荷状態を生成する均質の接合剤物質を通じて、ISFETダイに差動応力が伝達される。
【0037】
[0048]いくつかの例では、図1に示される基板70は、個体材料が単結晶形において異方性の機械的特性を有するように個体材料の単結晶のシートを成長させることにより構成され得る。いくつかの例では、基板70は、直交異方性であってもよい。いくつかの例では、基板70は単結晶シリコン、単結晶アルミニウム、又は単結晶銅から構成されてもよい。他の例では、他の物質の単結晶形が基板を構成するのに用いられてもよい。図9Aは応力が発生する方向及びその大きさを示す基板70の上面図である。図9Aに示されるように、基板70は、個体材料の異方性単結晶のシートを成長させることにより形成される。異なる温度において基板は異なる2つの大きさの応力を発生させる。この例では、応力904はy軸方向で発生し、他の応力908がy軸と直交するx軸方向で発生する。応力904は応力908とは異なる大きさである。その理由は、図9Aに示される個体材料の異方性単結晶のCTEがy方向と対立するx方向において異なるからである。生じる差動応力はCTE不整合効果を達成する。
【0038】
[0049]他の例では、基板70又は接合層20は配向繊維複合材料から構成されてもよい。繊維は異方性の機械的性質を有する複合材料を形成するように意図的に配向される。いくつかの例では基板70は直交異方性であってよい。いくつかの例では、接合層20は直交異方性の機械的性質を有するように形成されてもよい。例えば、基板70又は接合層20は、炭素繊維がエポキシ樹脂内に配向された、炭素繊維とエポキシ樹脂の複合材料から形成されてもよい。いくつかの例では、配向繊維複合材料は、エポキシ樹脂、レジン、熱可塑性母材、又は熱硬化性母材に配向された炭素繊維、ホウ素繊維、ガラス繊維、又はグラファイト繊維から形成されてもよい。他の例では、配向繊維複合材料は、アルミニウム金属に配向された酸化アルミニウム繊維又は炭化ケイ素繊維を含み得る金属母材複合材料であってもよい。図9Bは、直交異方性複合材料を生成する繊維の配向の例を示す。図示の例では、複合材料の好ましい方向は、繊維が配向される方向である。応力918は、好ましい方向で発生する。CTE不整合効果を達成するために、その好ましい方向に直角な応力914が2軸負荷状態をもたらすために生成される。
【0039】
[0050]図10は、本記載に従ってpHセンサを製造するための方法1000の一実施形態のフロー図である。ここで説明するように、方法1000は、図1及び9A−9Bに示されるpHセンサの例に関連して記載される。しかしながら、方法1000は、本発明の他のセンサの例にも適用し得る。図10に示される例では、方法1000は、ヘッダに基板を取り付けることを有する(1002)。さらに、いくつかの例では、ブロック1002でヘッダに基板を取り付けることは、個体材料が単結晶形において異方性の機械的特性を有するように個体材料の単結晶のシートを成長させることにより基板を構成することを含み得る。この個体材料は、単結晶シリコン、単結晶アルミニウム、又は単結晶銅を含み得る。他の例では、ヘッダ上に基板を取り付けることは、異方性の機械的性質を有する配向繊維複合材料の基板を構成することを含み得る。
【0040】
[0051]方法1000は、ISFETダイに基板を接合するために基板に接合層を形成することをさらに含む(1004)。一例では、接合層は、ガラスフリットである接合剤物質の合成物を含み得る。方法1000は、接合層が基板とISFETダイとの間に配置されるように基板にISFETダイを配置することをさらに含む(1006)。方法1000は、接合層を加熱することによりISFETダイに基板を接合することをさらに含む(1008)。
【0041】
[0052]方法1000は、圧力及び温度範囲に亘る圧力及び温度変化に起因するISFETダイに生じる環境応力の少なくとも一部分に対向するISFETダイに加わる対抗応力を引き起こすために、接合層、基板、又はその両方を構成することをさらに含む(1010)。最後に、方法1000は、圧力及び温度範囲に亘ってドレインからソースへのISFETダイのピエゾ抵抗の変化を0.5%未満に維持するために、ISFETダイに対抗応力を構成することを含む(1012)。
【実施例】
【0042】
[0053]実施例1は、圧力及び温度範囲に亘る使用のために構成されるpHセンサであって、基板と、pHに応答するイオン検知部を含むイオン感応型電界効果トランジスタ(ISFET)ダイであって、前記ISFETダイは前記基板に接合され、前記ISFETダイの前記イオン検知部は媒体に曝されるように構成され、前記イオン検知部は前記媒体のpHレベルに関連する信号を出力する、ISFETダイと、前記基板と前記ISFETダイとの間に配置される接合層であって、前記基板及び前記ISFETダイに接合され、接合剤物質の第1合成物を含む接合層と、を有し、前記圧力及び温度範囲に亘る圧力及び温度変化はpHセンサにおいて環境応力を発生させ、前記接合層又は前記基板の少なくとも一つは前記圧力及び温度範囲に亘り体積を変化させ、前記接合層又は前記基板の少なくとも一つは前記体積変化が前記環境応力の少なくとも一部に対向する対抗応力を引き起こすように構成され、前記対抗応力は前記圧力及び温度範囲に亘ってドレインからソースへの前記ISFETダイのピエゾ抵抗の変化を0.5%未満に維持するように構成される。
【0043】
[0054]実施例2は、実施例1のpHセンサにおいて、前記接合層又は前記基板の前記少なくとも一つが異方性の機械的性質を有する、pHセンサを含む。
[0055]実施例3は、実施例1又は2のpHセンサにおいて、前記接合層又は前記基板の前記少なくとも一つが直交異方性の機械的性質を有する、pHセンサを含む。
【0044】
[0056]実施例4は、実施例1ないし3のいずれかのpHセンサにおいて、接合剤物質の前記第1合成物がさらにガラスフリットを有する、pHセンサを含む。
[0057]実施例5は、実施例1ないし4のいずれかのpHセンサにおいて、前記接合層は均質であり、前記基板は前記圧力及び温度範囲に亘って対抗応力を引き起こすように構成される、pHセンサを含む。
【0045】
[0058]実施例6は、実施例1ないし4のいずれかのpHセンサにおいて、前記基板は等方性であり、前記接合層は前記圧力及び温度範囲に亘って対抗応力を引き起こすように構成される、pHセンサを含む。
【0046】
[0059]実施例7は、実施例1ないし6のいずれかのpHセンサにおいて、前記圧力及び温度範囲に亘って異なる方向での熱膨張係数(CTE)の違いが前記対抗応力を引き起こすように、前記接合層又は前記基板の前記少なくとも一つが第2方向におけるCTEとは異なる第1方向におけるCTEを有する、pHセンサを含む。
【0047】
[0060]実施例8は、実施例1ないし7のいずれかのpHセンサにおいて、前記圧力及び温度範囲に亘って異なる方向での弾性係数の違いが前記対抗応力を引き起こすように、前記接合層又は前記基板の前記少なくとも一つが第2方向における弾性係数とは異なる1方向における弾性係数を有する、pHセンサを含む。
【0048】
[0061]実施例9は、実施例1ないし8のいずれかのpHセンサにおいて、前記圧力及び温度範囲において異なる方向でのポアソン比の違いが前記ISFETダイでの前記対抗応力を引き起こすように、前記接合層又は前記基板の前記少なくとも一つが第2方向におけるポアソン比とは異なる1方向におけるポアソン比を有する、pHセンサを含む。
【0049】
[0062]実施例10は、実施例1ないし9のいずれかのpHセンサにおいて、前記基板はさらに異方性の機械的性質を有する個体材料の単結晶形のシートを有する、pHセンサを含む。
【0050】
[0063]実施例11は、実施例10のpHセンサにおいて、個体材料の前記単結晶形がさらに単結晶アルミニウム、単結晶銅、又は単結晶シリコンを有する、pHセンサを含む。
[0064]実施例12は、実施例1ないし9のいずれかのpHセンサにおいて、前記接合層又は前記基板の前記少なくとも一つが、さらに異方性の機械的性質を有する配向繊維複合材料を有する、pHセンサを含む。
【0051】
[0065]実施例13は、実施例12のpHセンサにおいて、前記配向繊維複合材料が、さらにエポキシ樹脂、レジン、熱可塑性母材、又は熱硬化性母材内の炭素繊維、ホウ素繊維、ガラス繊維、又はグラファイト繊維を有する、pHセンサを含む。
【0052】
[0066]実施例14は、実施例12のpHセンサにおいて、前記配向繊維複合材料が、さらに金属母材複合材料を有し、前記金属母材複合材料はアルミニウム金属に配向された酸化アルミニウム繊維又は炭化ケイ素繊維を含む、pHセンサを含む。
【0053】
[0067]実施例15は、実施例1ないし12のいずれかのpHセンサにおいて、前記ISFETダイが、陽極接合、共晶接合、又は接着剤接合により前記基板に接合される、pHセンサを含む。
【0054】
[0068]実施例16は、実施例1のpHセンサにおいて、前記接合層は前記基板と前記ISFETダイとの間に第1パターンで配置された接合剤物質の第1合成物の一以上のストリップをさらに有し、前記接合層は前記基板と前記ISFETダイとの間に配置された第2物質をさらに有し、前記基板と前記ISFETダイとの間に第1パターンで配置された接合剤物質の前記第1合成物の一以上のストリップによってISFETダイに発生する第1対抗応力は前記第2物質によってISFETダイに発生する第2対抗応力とは異なる方向であり、前記第1対抗応力と前記第2対抗応力がISFETダイ上に対抗応力を引き起こす、pHセンサを含む。
【0055】
[0069]実施例17は、実施例16のpHセンサにおいて、前記第2物質は、前記基板と前記ISFETダイとの間に第2パターンで配置された接合剤物質の第2合成物の一以上のストリップをさらに有し、前記第2合成物の熱膨張係数(CTE)は接合剤物質の第1合成物のCTEとは異なる、pHセンサを含む。
【0056】
[0070]実施例18は、実施例1ないし18のいずれかのpHセンサにおいて、前記基板はベース基板と前記ベース基板上に形成されるキャップとを有し、前記pHセンサはさらに、前記ISFETダイの外側表面の少なくとも一部上及び前記キャップ基板の少なくとも一部上に形成される保護層と、前記保護層に機械的に結合されるカバー部材であって前記ISFETダイと前記基板を収容し、前記イオン検知部に近接した開口を画定するカバー部材と、ヘッダであって前記基板が取り付けられるヘッダと、参照電圧を供給する参照電極と、ワイヤを介して前記ISFETダイに結合される少なくとも一つの電気ピンと、を有する、pHセンサを含む。
【0057】
[0071]実施例19は、圧力及び温度範囲に亘る使用のためのpHセンサの製造方法であって、ヘッダに基板を取り付けることと、ISFETダイに前記基板を接合するために前記基板に接合層を形成することと、前記接合層が前記基板と前記ISFETダイとの間に配置されるように前記基板上に前記ISFETダイを配置することと、前記接合層を加熱することで前記ISFETダイに前記基板を接合することと、前記圧力及び温度範囲に亘る圧力及び温度変化に起因して前記ISFETダイに発生する環境応力の少なくとも一部に対向する対抗応力を引き起こすために前記接合層又は前記基板の少なくとも一つを構成することと、前記圧力及び温度範囲に亘ってドレインからソースへの前記ISFETダイのピエゾ抵抗の変化を0.5%未満に維持するように前記対抗応力を構成することと、を有する方法を含む。
【0058】
[0072]実施例20は、pHセンサであって、基板と、媒体に曝されるように構成されたイオン検知部を含むイオン感応型電界効果トランジスタ(ISFET)ダイであって、前記イオン検知部は前記媒体のpHレベルに関連する信号を出力し、前記ISFETダイは前記基板に接合される、ISFETダイと、均質のガラスフリットであって、前記基板と前記ISFETダイとの間に配置されて前記基板を前記ISFETダイに接合する、ガラスフリットと、を有し、前記基板は、前記基板が温度範囲に亘って前記ダイに2軸負荷応力を引き起こすように、直交異方性の機械的性質を有する、pHセンサを含む。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図8
図9A
図9B
図10
図11