特許第6370145号(P6370145)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6370145
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】蓄電モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01G 11/18 20130101AFI20180730BHJP
   H01G 11/10 20130101ALI20180730BHJP
   H01G 9/00 20060101ALI20180730BHJP
   H01G 2/14 20060101ALI20180730BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20180730BHJP
【FI】
   H01G11/18
   H01G11/10
   H01G9/00 030
   H01G2/14 106
   H01M2/10 S
   H01M2/10 E
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-152280(P2014-152280)
(22)【出願日】2014年7月25日
(65)【公開番号】特開2016-31946(P2016-31946A)
(43)【公開日】2016年3月7日
【審査請求日】2017年1月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】307037543
【氏名又は名称】JMエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】山邊 敬太
(72)【発明者】
【氏名】大橋 和寛
【審査官】 中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/186020(WO,A1)
【文献】 特開2012−013564(JP,A)
【文献】 特開2012−038468(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/089232(WO,A1)
【文献】 特開平08−316659(JP,A)
【文献】 実公昭53−043507(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 11/18
H01G 2/14
H01G 9/00
H01G 11/10
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蓄電セルが積層された蓄電モジュールであって、
隣り合う前記蓄電セルの間に設けられている温度センサと、
隣り合う前記蓄電セルの間に設けられ、互いに離間している第1部材および第2部材と、
を含み、
前記温度センサは、隣り合う前記蓄電セルの一方の前記蓄電セルと接しており、隣り合う前記蓄電セルの他方の前記蓄電セルと離間しており、
前記温度センサは、前記第1部材と前記第2部材との間に挿通され、
前記温度センサは、
前記第1部材の、第1方向に位置する第1部分と、
前記第2部材の、前記第1方向とは反対の第2方向に位置する第2部分と、
を有し、
前記第2部材は、前記第1部材よりも、前記第1方向および前記第2方向と直交する第3方向に位置し、
前記第3方向からみて、
前記第1部分と前記第2部材とは、重なっており、
前記第2部分と前記第1部材とは、重なっている、蓄電モジュール。
【請求項2】
請求項1において、
前記温度センサは、シート状の形状を有する、蓄電モジュール。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記温度センサを、隣り合う前記蓄電セルの一方の前記蓄電セルに付勢する付勢部を含む、蓄電モジュール。
【請求項4】
請求項において、
前記付勢部は、板バネである、蓄電モジュール。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、
隣り合う前記蓄電セルの間に設けられた絶縁性のセパレータを含み、
前記第1部材、前記第2部材、および前記セパレータは、一体的に形成されている、蓄電モジュール。
【請求項6】
請求項において、
前記セパレータは、前記蓄電セルと接する面に開口部を有している、蓄電モジュール。
【請求項7】
請求項1ないしのいずれか1項において、
前記蓄電セルは、角型またはラミネート型である、蓄電モジュール。
【請求項8】
請求項1ないしのいずれか1項において、
前記蓄電セルは、リチウムイオンキャパシタである、蓄電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば自動車、搬送用大型自動車、無人搬送車(AGV)、船舶、航空機等の移動体や、風力発電装置、瞬停装置などの種々の分野において、高エネルギー密度および高出力特性を有する蓄電セルとして、リチウムイオン二次電池、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタなどが注目されている。複数の蓄電セルは、バスバーによって直列や並列に接続され、蓄電モジュールとして用いられる。
【0003】
上記のような蓄電セルは、温度による影響で、蓄電セルの特性劣化が生じることがある。そのため、例えば、蓄電セルの温度を測定して、測定温度が高温となった場合に、温度異常であることを検知して蓄電モジュールの特性劣化を抑制している。
【0004】
特許文献1には、サーミスタ(温度センサ)のセンサ部品をバスバーモジュールの絶縁性のケースに装着する構成が開示されている。具体的には、特許文献1には、ケースに挿し込み孔を形成し、該挿し込み孔にサーミスタを嵌めこみ、蓄電セルの端子(電極)が設けられる面にサーミスタが接する構成が開示されている。そして、センサ部品の配線がバスバーモジュールの絶縁性のケースに沿うように設けられた構成とすることで、配線が外部と干渉することを抑制することが開示されている。
【0005】
特許文献2には、隣り合う一対の単電池の対向間に両単電池に接して配設された温度センサを設けることで、温度センサの数とそれに配線するリード線の数を削減し、部品点数および組立工数を減少してコストダウンを図ることが開示されている。特許文献2に記載された蓄電モジュールでは、温度センサは、ケースのセンサ取付柱に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5345913号公報
【特許文献2】特開2004−362957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された蓄電モジュールは、蓄電セルの端子が設けられる面に温度センサが接する構成であるため、蓄電セルと蓄電セルとの間の温度を測定することが困難である。蓄電モジュールは、蓄電セル間の温度が高温となりやすい。そのため、特許文献1に記載された蓄電モジュールでは、温度異常を検知するタイミングが遅く、温度による蓄電セルの特性劣化が進行する場合がある。
【0008】
また、特許文献2に記載された蓄電モジュールでは、温度センサは、温度センサの両側の蓄電セルの温度を一度に検出するため、温度センサによって検出された情報(データ)が混乱し(温度センサで検知した温度が、どちらの蓄電セルに起因するものなのか切り分けることができず)、1つの蓄電セルの温度を正確に測定することができない場合がある。そのため、劣化した蓄電セルだけを取り除くことが困難で、劣化が進行していない蓄電セルに対しても劣化の判断をしてしまう場合がある。
【0009】
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、温度異常を早く検知することができ、蓄電セルの温度を正確に測定することができる蓄電モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
【0011】
[適用例1]
本発明に係る蓄電モジュールの一態様は、
複数の蓄電セルが積層された蓄電モジュールであって、
隣り合う前記蓄電セルの間に設けられている温度センサと、
を含み、
前記温度センサは、隣り合う前記蓄電セルの一方の前記蓄電セルと接しており、隣り合う前記蓄電セルの他方の前記蓄電セルと離間している。
【0012】
このような蓄電モジュールでは、温度センサは、隣り合う蓄電セルの間に設けられているため、温度異常を早く検知することができる。さらに、このような蓄電モジュールでは、隣り合う蓄電セルの一方の蓄電セルと接し、隣り合う蓄電セルの他方の蓄電セルと離間しているため、隣り合う蓄電セルの一方の蓄電セル(第1蓄電セル)の温度を正確に測定することができる。以上のように、このような蓄電モジュールでは、温度異常を早く検知することができ、蓄電セルの温度を正確に測定することができる。
【0013】
[適用例2]
適用例1において、
前記温度センサは、シート状の形状を有していてもよい。
【0014】
このような蓄電モジュールでは、複数の蓄電セルの積層方向のコンパクト化を図ることができる。
【0015】
[適用例3]
適用例1または2において、
隣り合う前記蓄電セルの間に設けられ、互いに離間している第1部材および第2部材を含み、
前記温度センサは、前記第1部材と前記第2部材との間に挿通され、
前記温度センサは、
前記第1部材の、第1方向に位置する第1部分と、
前記第2部材の、前記第1方向とは反対の第2方向に位置する第2部分と、
を有し、
前記第2部材は、前記第1部材よりも、前記第1方向および前記第2方向と直交する第3方向に位置し、
前記第3方向からみて、
前記第1部分と前記第2部材とは、重なっており、
前記第2部分と前記第1部材とは、重なっていてもよい。
【0016】
このような蓄電モジュールでは、例えば外部からの衝撃により温度センサに挿通方向の力が加わったとしても、第1部材および第2部材の少なくとも一方がストッパーとなって、温度センサが外れることを抑制することができる。したがって、このような蓄電モジュールでは、蓄電セルの温度を正確に測定することができる。
【0017】
[適用例4]
適用例1ないし3のいずれか1例において、
前記温度センサを、隣り合う前記蓄電セルの一方の前記蓄電セルに付勢する付勢部を含んでもよい。
【0018】
このような蓄電モジュールでは、温度センサは、より確実に、第1蓄電セルと接することができ、温度センサの、第1蓄電セルとの接触部分の位置がずれることを抑制することができる。
【0019】
[適用例5]
適用例4において、
前記付勢部は、板バネであってもよい。
【0020】
このような蓄電モジュールでは、温度センサは、より確実に、第1蓄電セルと接することができ、温度センサの、第1蓄電セルとの接触部分の位置がずれることを抑制することができる。
【0021】
[適用例6]
適用例3において、
隣り合う前記蓄電セルの間に設けられた絶縁性のセパレータを含み、
前記第1部材、前記第2部材、および前記セパレータは、一体的に形成されていてもよい。
【0022】
このような蓄電モジュールでは、第1部材および第2部材を設けることによって部品数が増加することを抑制することができ、コストが高くなることを防ぐことができる。
【0023】
[適用例7]
適用例6において、
前記セパレータは、前記蓄電セルと接する面に開口部を有していてもよい。
【0024】
このような蓄電モジュールでは、開口部を通気孔とすることができ、蓄電セルの放熱性を向上させることができる。
【0025】
[適用例8]
適用例1ないし7のいずれか1例において、
前記蓄電セルは、角型またはラミネート型であってもよい。
【0026】
このような蓄電モジュールでは、複数の蓄電セルの積層方向のコンパクト化を図ることができる。
【0027】
[適用例9]
適用例1ないし8のいずれか1例において、
前記蓄電セルは、リチウムイオンキャパシタであってもよい。
【0028】
このような蓄電モジュールでは、蓄電セルは、電気二重層キャパシタと比べて、大きなエネルギー密度や静電容量を有することができる。さらに、蓄電セルは、リチウムイオン二次電池と比べて、熱暴走を起こしにくく高い安全性を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本実施形態に係る蓄電モジュールを模式的に示す斜視図。
図2】本実施形態に係る蓄電モジュールを模式的に示す正面図。
図3】本実施形態に係る蓄電モジュールを模式的に示す側面図。
図4】本実施形態に係る蓄電モジュールを模式的に示す断面図。
図5】本実施形態に係る蓄電モジュールを模式的に示す断面図。
図6】本実施形態に係る蓄電モジュールを模式的に示す断面図。
図7】本実施形態に係る蓄電モジュールを模式的に示す斜視図。
図8】本実施形態に係る蓄電モジュールを模式的に示す正面図。
図9】本実施形態に係る蓄電モジュールを模式的に示す側面図。
図10】本実施形態に係る蓄電モジュールを模式的に示す断面図。
図11】本実施形態に係る蓄電モジュールの温度センサ、第1部材、第2部材を模式的に示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、下記に記載された実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変型例も含むものとして理解されるべきである。
【0031】
本実施形態に係る蓄電モジュールについて、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る蓄電モジュール100を模式的に示す斜視図である。図2は、本実施形態に係る蓄電モジュール100を模式的に示す正面図である。図3は、本実施形態に係る蓄電モジュール100を模式的に示す側面図である。図4図6は、本実施形態に係る蓄電モジュール100を模式的に示す断面図である。図7は、本実施形態に係る蓄電モジュール100を模式的に示す斜視図である。図8は、本実施形態に係る蓄電モジュール100を模式的に示す正面図である。図9は、本実施形態に係る蓄電モジュール100を模式的に示す側面図である。図10は、本実施形態に係る蓄電モジュール100を模式的に示す断面図である。
【0032】
なお、図4は、図2のIV−IV線断面図である。図5は、図4の領域Vの拡大図である。図6は、図4の領域VIの拡大図である。図10は、図8のX−X線断面図である。また、便宜上、図7図10では、蓄電セル10を省略して図示している。また、図1図10では、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸、およびZ軸を図示している。また、以下では、−Y軸方向を第1方向とし、+Y軸方向を第2方向とし、−Z軸方向を第3方向としている。
【0033】
蓄電モジュール100は、図1図10に示すように、蓄電セル10と、セパレータ20と、第1部材30と、第2部材32と、第3部材34と、第4部材36と、付勢部40と、温度センサ50と、を含む。
【0034】
蓄電セル10は、複数設けられている。蓄電セル10の数は、特に限定されないが、図示の例では、蓄電セル10は、2つ設けられている(第1蓄電セル10aおよび第2蓄電セル10b)。複数の蓄電セル10は、積層されている。図示の例では、複数の蓄電セル10は、Y軸方向に積層されている。第1蓄電セル10aは、第2蓄電セル10bよりも−Y軸方向に位置している。
【0035】
蓄電セル10は、例えば、リチウムイオンキャパシタ、二次電池、電気二重層キャパシタである。以下では、蓄電セル10を、リチウムイオンキャパシタとして説明する。なお、リチウムイオンキャパシタとは、電気二重層キャパシタの原理を使いながら負極材料としてリチウムイオン吸蔵可能な炭素系材料を用い、負極材料にリチウムイオンをインターカレートすることでエネルギー密度を向上させたキャパシタである。
【0036】
蓄電セル10は、外装体12と、封口板14と、正極端子16と、負極端子18と、を
有している。
【0037】
外装体12は、図示はしないが電極体および電解液を収容している。電極体の形態は、シート状の、正極、負極、リチウム極、およびセパレータを重ねて積層シートを形成し、該積層シートを捲回させた捲回型でもあってもよいし、該積層シートを複数積層させた積層型であってもよい。正極の正極活物質層として、例えば、活性炭、芳香族系縮合ポリマーの熱処理物であるポリアセン系物質(PAS)を用いる。負極の負極活物質層として、例えば、黒鉛(グラファイト)、難黒鉛化炭素(ハードカーボン)を用いる。リチウム極は、電解液に溶解してリチウムイオンとなることができ、リチウムイオンは、電気化学的に電解液を介して負極の負極活物質層にドープ(「プレドープ」ともいえる)されることができる。その結果、負極の電位を下げることができ、高容量、高エネルギー密度化を図ることができる。
【0038】
外装体12の形状は、電極体および電解液を収容することができれば、特に限定されないが、図示の例では、外装体12は、その厚さ(Y軸方向の大きさ)を、幅(X軸方向の大きさ)および高さ(Z軸方向の大きさ)より小さくした略箱型の形状を有している。すなわち、蓄電セル10は、角型である。外装体12は、上方に(+Z軸方向に)開口を有している。外装体12の材質は、例えば、アルミニウム、ステンレス、鉄である。
【0039】
封口板14は、外装体12の開口に設けられている。封口板14は、溶接によって、外装体12に接合されていてもよい。封口板14の形状は、外装体12の開口を封止できれば、特に限定されない。封口板14としては、例えば、アルミニウム、ステンレス、鉄などからなる金属板上に(+Z軸方向に)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などからなるガスケットを設けたものを用いる。
【0040】
なお、例えば、封口板14の負極端子18が設けられている部分は、封口板14の金属板に対してガスケットがインサート樹脂成型された構成となっていることから、封口板14の金属板と負極端子18とは、電気的に絶縁された構成となる。そのため、正極端子16と負極端子18とは、絶縁を保つことができる。
【0041】
封口板14には、図1に示すように、安全弁15が設けられている。安全弁15は、外装体12および封口板14によって規定される空間(密閉空間)の圧力が所定値以上に上昇した場合に開弁し、密閉空間のガスを、外部に放出することができる。これにより、密閉空間の圧力が上昇することを抑制することができる。
【0042】
正極端子16および負極端子18は、封口板14から突出して設けられている。正極端子16は、外装体12に収容された電極体の正極と電気的に接続されている。負極端子18は、外装体12に収容された電極体の負極と電気的に接続されている。正極端子16の材質は、例えば、アルミニウムである。負極端子18の材質は、例えば、銅、ニッケルである。図2に示す例では、負極端子18は、正極端子16よりも+Z軸方向に位置している。例えば、封口板14のガスケットに段差を設けることにより(Z軸方向の大きさを変えることにより)、負極端子18を、正極端子16よりも+Z軸方向に配置することができる。これにより、明確に正極端子16と負極端子18とを見分けることができ、作業者が正極端子16と負極端子18とを見誤ることを抑制し、誤連結を防ぐことができる。
【0043】
複数の蓄電セル10は、直列に接続されていてもよい。隣り合う蓄電セル10の一方の蓄電セル10の正極端子16と、他方の蓄電セル10の負極端子18と、をバスバー(図示せず)によって連結することにより、複数の蓄電セル10を、直列に接続させることができる。この場合、蓄電モジュール100の電圧を高くすることができる。
【0044】
複数の蓄電セル10は、並列に接続されていてもよい。隣り合う蓄電セル10の一方の蓄電セル10の正極端子16と、他方の蓄電セル10の正極端子16と、をバスバーによって連結し、一方の蓄電セル10の負極端子18と、他方の蓄電セル10の負極端子18と、をバスバーによって連結することにより、複数の蓄電セル10を、並列に接続させることができる。この場合、蓄電モジュール100の電流を高くすることができる。
【0045】
複数の蓄電セル10を直列または並列に接続するバスバーの形状は、特に限定されないが、抵抗が高くならない形状が望ましく、板状や、部分的に曲部を有した形状である。図示の例では、負極端子18は、正極端子16よりも+Z軸方向に位置しているので、このような端子16,18に応じたバスバーを用いる。バスバーの材質は、例えば、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス、これらの合金(アルミニウムと銅等とを接合させたクラッド材を含む)である。
【0046】
セパレータ20は、隣り合う蓄電セル10の間に設けられている。セパレータ20は、隣り合う蓄電セル10を、一定間隔で隔離して配置することができる。隣り合う蓄電セル10の間隔は、例えば、1mm以上20mm以下であり、蓄電セル10の容量や大きさによって適宜決定される。セパレータ20は、蓄電セル10を固定することができる。
【0047】
セパレータ20は、絶縁性である。具体的には、セパレータ20の材質は、エポキシ樹脂、ABS(acrylonitrile butadiene styrene)樹脂、シリコーン樹脂、セラミックスである。
【0048】
セパレータ20は、図7に示すように、隣り合う蓄電セル10の間に設けられた絶縁部22と、絶縁部22の両側(図示の例では+X軸方向および−X軸方向-)に設けられた側部24と、を有している。
【0049】
セパレータ20の絶縁部22は、蓄電セル10と接する面22aを有している。セパレータ20は、面22aに開口部23を有している。図示の例では、開口部23の形状は、四角形であるが、その形状は特に限定されない。開口部23によって、隣り合う蓄電セル10のうちの一方の蓄電セル10と他方の蓄電セル10とを大気によって絶縁することができる。図示の例では、絶縁部22は、X軸方向に延在している。開口部23によって、空冷が可能となり、蓄電セル10の放熱性を向上させながら、隣り合う蓄電セル10を絶縁することができる。
【0050】
なお、図示はしないが、セパレータ20は開口部23を有しておらず、絶縁部22は、凹凸形状を有する面を備え、蓄電セル10は該凹凸形状を有する面と接していてもよい。これにより、蓄電セル10と絶縁部22との間に空間を形成することができるので、蓄電セル10の放熱性を向上させながら、隣り合う蓄電セル10を絶縁することができる。
【0051】
セパレータ20は、側部24に開口部25を有している。図示の例では、開口部25の形状は、四角形であるが、その形状は特に限定されない。開口部25は、開口部23と連通している。
【0052】
第1部材30、第2部材32、第3部材34、および第4部材36は、図4および図5に示すように、隣り合う蓄電セル10の間(図示の例では、第1蓄電セル10aと第2蓄電セル10bとの間)に設けられている。部材30,32,34,36は、互いに離間して交互に配置されている。部材30,32,34,36の材質は、例えば、セパレータ20と同じである。部材30,32,34,36およびセパレータ20は、一体的に形成されていてもよい。部材30,32,34,36およびセパレータ20を一体的に形成することで、製造コストを下げることができる。
【0053】
第1部材30および第3部材34は、例えば、Z軸方向からみて、重なっている。第2部材32および第4部材36は、例えば、Z軸方向からみて、重なっている。部材30,34は、図5に示すように、部材32,36よりも第2蓄電セル10b側に(図示の例では+Y軸方向側に)位置している。部材32,36は、部材30,34よりも第1蓄電セル30a側に(図示の例では−Y軸方向側に)位置している。部材30,34は、例えば、温度センサ50と接している。部材32,36は、例えば、第1蓄電セル10aと接している。図5に示す例では、部材30,32,34,36の形状は、Z軸と平行な長辺を有する長方形である。部材30,32,34,36の形状および大きさは、互いに同じであってもよい。第1部材30と第3部材34との間隔、および第2部材32と第4部材36との間隔は、同じであってもよい。
【0054】
第1部材30、第2部材32、第3部材34、および第4部材36は、温度センサ50の根元50a側から先端50b側に向けて(図4参照)、第1部材30、第2部材32、第3部材34、および第4部材36の順番で並んでいる。図示の例では、第2部材32は、第1部材30よりも−Z軸方向に位置している。第3部材34は、第2部材32よりも−Z軸方向に位置している。第4部材36は、第3部材34よりも−Z軸方向に位置している。Z軸方向からみて、第1部材30の一部、第2部材32の一部、第3部材34の一部、第4部材36の一部は、例えば、互いに重なっている。
【0055】
付勢部40は、図4および図6に示すように、温度センサ50を、第1蓄電セル10aに付勢している。付勢部40は、例えば、板バネである。付勢部40の形状は、特に限定されないが、例えば、曲部を有したS字状やC字状である。付勢部40の材質は、例えば、セパレータ20と同じである。付勢部40およびセパレータ20は、一体的に形成されていてもよい。
【0056】
温度センサ50は、隣り合う蓄電セル10の間に設けられている。温度センサ50は、第1部材30と第2部材32との間に挿通されている。図示の例では、温度センサ50は、第1部材30と第2部材32との間、第2部材32と第3部材34との間、および第3部材と第4部材36との間に挿通されている。温度センサ50は、図5に示すように、第1部分51と、第2部分52と、第3部分53と、第4部分54と、第5部分55と、を有している。
【0057】
温度センサ50の第1部分51は、第1部材30の−Y軸方向に位置する部分である。第2部分52は、第2部材32の+Y軸方向側に位置する部分である。第3部分53は、第3部材34の−Y軸方向に位置する部分である。第4部分54は、第4部材36の+Y軸方向に位置する部分である。すなわち、Y軸方向からみて、第1部分51は第1部材30と重なり、第2部分52は第2部材32と重なり、第3部分53は第3部材34と重なり、第4部分54は第4部材36と重なっている。図示の例では、第1部分51および第2部分52は、Z軸方向に延在している。
【0058】
温度センサ50の第5部分55は、第1部分51と第2部分52とを接続する部分であり、第2部分52と第3部分53とを接続する部分であり、第3部分53と第4部分54とを接続する部分である。第5部分55は、屈曲もしくは湾曲した形状を有している。
【0059】
ここで、図11は、蓄電モジュール100を−Z軸方向からみた模式図(平面図)であって、部材30,32および温度センサ50の部分51,52以外の部材を省略した図である。図11に示すように、−Z軸方向からみて、温度センサ50の第1部分51と第2部材32とは、重なっており、温度センサ50の第2部分52と第1部材30とは、重なっている。−Z軸方向からみて、さらに、第1部材30は、温度センサ50の第4部分5
4と重なっており、第2部材32は、温度センサ50の第3部分53と重なっている。同様に、−Z軸方向からみて、第3部材34は、温度センサ50の部分52,54と重なっており、第4部材36は、温度センサ50の部分51,53と重なっている。
【0060】
温度センサ50は、図5に示すように、蛇行している。温度センサ50は、シート状の形状を有している。すなわち、温度センサ50は、円形や楕円形ではなく、複数の蓄電セル10の積層方向(図示の例ではY軸方向)に、薄い形状である。
【0061】
温度センサ50は、図6に示すように、第6部分56を有している。図示の例では、第6部分56は、第4部分54よりも−Z軸方向に位置している。第6部分56は、付勢部40と接している部分である。温度センサ50は、第6部分56において、第1蓄電セル10aと接している。温度センサ50は、第2蓄電セル10bと離間している。温度センサ50は、第6部分56において、第1蓄電セル10aの温度を測定(検知)してもよい。具体的には、温度センサ50は、第1蓄電セル10aの、第2蓄電セル10bと対向する面11と接している。温度センサ50は、第1蓄電セル10aの面11と面接触している。面11は、第1蓄電セル10aを構成する面のうち最も面積の大きい面であり、複数の蓄電セル10は、面11の垂線方向に積層されている。温度センサ50は、第2蓄電セル10bと離間している。
【0062】
なお、温度センサ50の第6部分56は、図示しない耐熱性テープによって、第1蓄電セル10aに固定されていてもよい。該耐熱性テープの材質は、例えば、ポリイミドである。
【0063】
温度センサ50は、例えば、−Z軸方向から、部材30,32間、部材32,34間、および部材34,36間に挿通される。したがって、−Z軸方向は、温度センサ50の挿通方向である。
【0064】
温度センサ50は、例えば、サーミスタである。温度センサ50の根元(図示の例では+Z軸方向側の端部)には、配線57(図7参照)が接続されている。配線57の材質は、導電性であれば特に限定されない。配線57は、例えば、セパレータ20と一体的に形成された配線固定部58に挿通されている。配線固定部58は、隣り合う蓄電セル10の間に位置していない。配線57を配線固定部58に挿通させることにより、配線57が他の部材と干渉して断線したり、正極端子16や負極端子18に接触して短絡したりすることを抑制することができる。配線57は、図示しない外部装置に接続されている。外部装置は、例えば、温度センサ50で測定された温度に基づいて、蓄電セル10の劣化の度合いを判断することができる。
【0065】
なお、図示はしないが、第2蓄電セル10bの+Y軸方向側には、部材30,32,34,36および付勢部40等が一体的に形成されたセパレータ20が設けられ、該部材30,32等の間に設けられた温度センサ50と、第2蓄電セル10bとは、接触している。
【0066】
また、上記の例では、蓄電セル10は、角型であったが、本発明に係る蓄電セルは、円筒型、ラミネート型等、適宜採用することができる。しかし、複数の蓄電セルの積層方向のコンパクト化を図ることと、高エネルギー密度化を考慮すると、角型またはラミネート型が好ましい。円筒型に比べ、角型やラミネート型は、積層した際のデッドスペースが生じ難い。そのため、高エネルギー密度化を測ることができる。これに対し、円筒型は、形状が円形のため、隣接する蓄電セル間にデッドスペースを有することとなり、高エネルギー密度化およびコンパクト化を図ることが困難である。ここで、ラミネート型とは、電極体および電解液を、2枚のラミネートフィルムによって収容した形態である。すなわち、
外装体としてラミネートフィルムを用いた形態である。ラミネートフィルムとしては、例えば、アルミニウム箔や銅箔などの金属箔を、ポリプロピレンやナイロンなどの合成樹脂で挟んだものを用いる。
【0067】
また、上記の例では、蓄電モジュール100は、部材30,32,34,36を有していたが、本発明に係る蓄電モジュールは、部材30,32を有していれば、部材34,36は、有していなくてもよい。また、本発明に係る蓄電モジュールは、第3部材34の−Z軸方向に第3部材34と同じ形状の第5部材を有していてもよく、第4部材36の−Z軸方向に第4部材36と同じ形状の第6部材を有していてもよい。この場合、第6部材は、第5部材よりも−Z軸方向に位置している。このように、部材30,32を有していれば、本発明に係る蓄電モジュールが有する部材(例えば部材30,32と同じ形状の部材)の数は、特に限定されない。
【0068】
蓄電モジュール100は、例えば、以下の特徴を有する。
【0069】
蓄電モジュール100では、隣り合う蓄電セルの間に設けられている温度センサ50を含み、温度センサ50は、隣り合う蓄電セル10の一方の第1蓄電セル10aと接しており、隣り合う蓄電セル10の他方の蓄電セル10bと離間している。蓄電モジュールは、例えば、蓄電セル間の温度が高温となりやすい。そのため、蓄電モジュール100では、温度センサ50は隣り合う蓄電セル10の間に設けられているので、温度異常を早く検知することができる。さらに、温度センサ50は、隣り合う蓄電セル10の一方の第1蓄電セル10aと接し、他方の第2蓄電セル10bと離間している。例えば温度センサが第1蓄電セルおよび第2蓄電セルと接している場合は、温度センサで検知した温度が、第1蓄電セルに起因するものなのか、第2蓄電セルに起因するものなのか、切り分けることができず、劣化していない蓄電セルに対しても劣化していると判断してしまう場合があり、例えば劣化している蓄電セルのみを取り除くことが困難な場合がある。蓄電モジュール100では、このような問題を回避することができ、第1蓄電セル10aの温度を正確に測定することができるので、第1蓄電セル10aの劣化の度合いを、正確に知ることができる。以上のように、このような蓄電モジュールでは、温度異常を早く検知することができ、蓄電セルの温度を正確に測定することができる。
【0070】
蓄電モジュール100では、温度センサ50は、シート状の形状を有している。具体的には、温度センサ50は、複数の蓄電セル10の積層方向に、薄いシート形状である。そのため、蓄電モジュール100では、複数の蓄電セル10の積層方向のコンパクト化を図り、高エネルギー密度化を図ることができる。
【0071】
蓄電モジュール100では、隣り合う蓄電セル10の間に設けられ、互いに離間している第1部材30および第2部材32を含み、温度センサ50は、第1部材30と第2部材32との間に挿通され、温度センサ50は、第1部材30の、第1方向(−Y軸方向)に位置する第1部分51と、第2部材32の、第1方向とは反対の第2方向(+Y軸方向)に位置する第2部分52と、を有し、第2部材32は、第1部材30よりも、第1方向および第2方向と直交する第3方向(−Z軸方向)に位置し、第3方向からみて、第1部分51と第2部材32とは、重なっており、第2部分52と第1部材30とは、重なっている。そのため、蓄電モジュール100では、例えば外部からの衝撃により温度センサ50にZ軸方向の力が加わったとしても、第1部材30および第2部材32の少なくとも一方がストッパーとなって、温度センサ50が外れることを抑制することができる。したがって、蓄電モジュール100では、蓄電セル10の温度を正確に測定することができる。例えば蓄電モジュールを移動体等に搭載した場合に、移動体の振動によって温度センサが外れると、蓄電セルの温度を正確に測定できない場合がある。
【0072】
図示の例では、例えば外部からの衝撃により温度センサ50にZ軸方向の力が加わったとしても、部材30,32,34,36がストッパーとなって、温度センサ50が外れることを抑制することができる。
【0073】
蓄電モジュール100では、温度センサ50を、隣り合う蓄電セル10の一方の第1蓄電セル10aに付勢する付勢部40を含む。そのため、蓄電モジュール100では、温度センサ50は、より確実に、第1蓄電セル10aと接することができ、外部から温度センサ50に力が加わったとしても、温度センサ50の、第1蓄電セル10aとの接触部分(第6部分)56の位置がずれることを抑制することができる。すなわち、蓄電モジュール100の耐震性を向上させることができる。したがって、蓄電モジュール100では、第1蓄電セル10aの温度をより正確に測定することができる。例えば、蓄電モジュール100では、蓄電セル10の正確な温度を測定することができるため、蓄電セル10の劣化時期を正確に知ることができ、蓄電セル10の寿命を見誤ることなく使用することができる。
【0074】
蓄電モジュール100では、隣り合う蓄電セル10の間に設けられた絶縁性のセパレータ20を含み、第1部材30、第2部材32、およびセパレータ20は、一体的に形成されている。そのため、蓄電モジュール100では、第1部材30および第2部材32を設けることによって部品数が増加することを抑制することができ、コストが高くなることを防ぐことができる。
【0075】
蓄電モジュール100では、セパレータ20は、蓄電セル10と接する面22aに開口部23を有している。そのため、蓄電モジュール100では、開口部23を通気孔とすることができ、蓄電セル10の放熱性を向上させることができる。さらに、蓄電モジュール100では、セパレータ20は、側部24に開口部25を有し、開口部25は、開口部23と連通している。そのため、蓄電セル10の放熱性を、より向上させることができる。
【0076】
蓄電モジュール100では、蓄電セル10は、角型である。そのため、蓄電セル10の、最も面積の大きい面11の垂線方向に、複数の蓄電セル10を積層させることにより、蓄電セル10の積層方向(Y軸方向)のコンパクト化および高密度エネルギー化を図ることができる。
【0077】
蓄電モジュール100では、蓄電セル10は、リチウムイオンキャパシタである。そのため、蓄電セル10は、電気二重層キャパシタと比べて、大きなエネルギー密度や静電容量を有することができる。さらに、蓄電セル10は、リチウムイオン二次電池と比べて、熱暴走を起こしにくく高い安全性を有することができる。
【0078】
蓄電モジュール100では、付勢部40およびセパレータ20は、一体的に形成されている。そのため、蓄電モジュール100では、付勢部40を設けることによって部品数が増加することを抑制することができ、コストが高くなることを防ぐことができる。
【0079】
蓄電モジュール100では、配線固定部58およびセパレータ20は、一体的に形成されている。そのため、蓄電モジュール100では、配線固定部58を設けることによって部品数が増加することを抑制することができ、コストが高くなることを防ぐことができる。
【0080】
本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を包含する。また本発明は、上記の実施形態で説明した構成の本質的でない部分を他の構成に置き換えた構成を包含する。さらに本発明は、上記の実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成また
は同一の目的を達成することができる構成をも包含する。さらに本発明は、上記の実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成をも包含する。
【符号の説明】
【0081】
10…蓄電セル、10a…第1蓄電セル、10b…第2蓄電セル、11…面、12…外装体、14…封口板、15…安全弁、16…正極端子、18…負極端子、20…セパレータ、22…絶縁部、22a…面、23…開口部、24…側部、25…開口部、30…第1部材、32…第2部材、34…第3部材、36…第4部材、40…付勢部、50…温度センサ、51…第1部分、52…第2部分、53…第3部分、54…第4部分、55…第5部分、56…第6部分、57…配線、58…配線固定部、100…蓄電モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10
図11