特許第6370558号(P6370558)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 矢崎総業株式会社の特許一覧

特許6370558コイルユニット及びそれを有する給電システム
<>
  • 特許6370558-コイルユニット及びそれを有する給電システム 図000002
  • 特許6370558-コイルユニット及びそれを有する給電システム 図000003
  • 特許6370558-コイルユニット及びそれを有する給電システム 図000004
  • 特許6370558-コイルユニット及びそれを有する給電システム 図000005
  • 特許6370558-コイルユニット及びそれを有する給電システム 図000006
  • 特許6370558-コイルユニット及びそれを有する給電システム 図000007
  • 特許6370558-コイルユニット及びそれを有する給電システム 図000008
  • 特許6370558-コイルユニット及びそれを有する給電システム 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6370558
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】コイルユニット及びそれを有する給電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/10 20160101AFI20180730BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20180730BHJP
   H01F 38/14 20060101ALI20180730BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20180730BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20180730BHJP
【FI】
   H02J50/10
   H02J7/00 P
   H02J7/00 301D
   H01F38/14
   B60L5/00 B
   B60L11/18 C
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-26290(P2014-26290)
(22)【出願日】2014年2月14日
(65)【公開番号】特開2015-153898(P2015-153898A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2017年1月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】中原 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】西崎 良平
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼田 曜
【審査官】 宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/183105(WO,A1)
【文献】 特開2004−228444(JP,A)
【文献】 特開2013−165576(JP,A)
【文献】 特開2013−172503(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L1/00−13/00、
15/00−15/42
H01F38/14、
38/18
H02J7/00−7/12、
7/34−7/36、
50/00−50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触で電力を給電又は受電するソレノイド形状のコイルと、電極としての金属面が設けられたコンデンサと、前記コイル及び前記コンデンサを収容するケースと、を備えたコイルユニットであって、
前記コンデンサが搭載された基板を備え、
前記コンデンサは、当該金属面が前記基板と垂直になるように配置されると共に、当該金属面が前記コイルの中心軸方向に対して非垂直になるように配置され
前記コンデンサが、前記コイルの中心軸方向に沿って複数並べて配置されると共に、その電極が前記コイルの中心軸方向の中央に近づくに従って前記コイルの中心軸から離れるように傾けて配置され、
前記複数のコンデンサは、前記コイルの中心軸方向の中央に近いものほど、前記中心軸方向に対する傾きが小さくなるように配置されていることを特徴とするコイルユニット。
【請求項2】
地面に設けられた給電部と車両に設けられた受電部とを有し、前記受電部が前記給電部から伝送された電力を非接触で受電する給電システムであって、
前記給電部又は前記受電部の少なくとも一方が、請求項に記載のコイルユニットを有していることを特徴とする給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触で電力を受電又は給電するコイルユニット及びこのコイルユニットを有する給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)や電気自動車(EV)等が備える二次電池(以下、単に「動力用バッテリ」という)の充電などにおいて、充電作業を容易にするために、プラグ接続等の物理的接続を必要としないワイヤレス(非接触)での電力伝送技術が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されている給電システムでは、互いに電磁共鳴する一対のコイルの一方を給電設備の地面に設置し、他方を車両に搭載して、給電設備の地面に設置されたコイルから車両に搭載されたコイルに非接触で電力を供給している。
【0004】
一般的に、上記コイルは、小型化を図るため、共振周波数を調整するためのコンデンサなどの各種部品と共にケース内に収容されている。しかしながら、従来の給電システムにおいては、ケース内の温度が上昇し、コイルの抵抗値増加による電力の伝送効率の低下や、コンデンサの使用温度の上限値を越える、という問題があった。
【0005】
そこで、この問題を解決するために、コイルからコンデンサを離したり、放熱部材を追加したり、電力出力を下げるといった対策が考えられるが、大型化、重量増加、送電電力低下による充電時間の延長といった課題が新たに生じてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−186909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、ケース内での温度上昇を抑制することができるコイルユニット及びそれを備える給電システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、温度上昇の原因について鋭意探究した結果、コイルから発生する磁界により、ケース内に収容された、例えばコンデンサの電極などの金属面に渦電流が発生し、これによって温度が上昇していることを見出し、本発明に至った。
【0009】
即ち、請求項1記載の発明は、非接触で電力を給電又は受電するソレノイド形状のコイルと、電極としての金属面が設けられたコンデンサと、前記コイル及び前記コンデンサを収容するケースと、を備えたコイルユニットであって、前記コンデンサが搭載された基板を備え、前記コンデンサは、当該金属面が前記基板と垂直になるように配置されると共に、当該金属面が前記コイルの中心軸方向に対して非垂直になるように配置され、前記コンデンサが、前記コイルの中心軸方向に沿って複数並べて配置されると共に、その電極が前記コイルの中心軸方向の中央に近づくに従って前記コイルの中心軸から離れるように傾けて配置され、前記複数のコンデンサは、前記コイルの中心軸方向の中央に近いものほど、前記中心軸方向に対する傾きが小さくなるように配置されていることを特徴とするコイルユニットに存する。
【0012】
請求項記載の発明は、地面に設けられた給電部と車両に設けられた受電部とを有し、前記受電部が前記給電部から伝送された電力を非接触で受電する給電システムであって、前記給電部又は前記受電部の少なくとも一方が、請求項に記載のコイルユニットを有していることを特徴とする給電システムに存する。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように請求項1、記載の発明によれば、コイルの中心軸に対して部材の金属面が非垂直になるように配置されているので、金属面に対して磁束が垂直になることが少なくなり、金属面での渦電流の発生が抑制され、温度上昇を抑えることができる。
【0014】
請求項記載の発明によれば、コンデンサの電極での渦電流の発生が抑制され、コンデンサの温度上昇を抑えることができる。
【0015】
請求項記載の発明によれば、より確実にコンデンサの電極での渦電流の発生を抑制し、コンデンサの温度上昇を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態の給電システムの概略構成を示す図である。
図2図1の給電システムが備える給電ユニット及び受電ユニットの配置を説明する図である。
図3図2の給電ユニット及び受電ユニットの概略分解斜視図である。
図4図2に示すコンデンサ体及びコイルの上面図である。
図5図2に示すコンデンサの斜視図である。
図6】比較例におけるコンデンサ体及びコイルの上面図である。
図7】コンデンサの電極に生じる渦電流を説明するための図である。
図8】コンデンサの電極と磁束との関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態の給電システムについて、図1図5を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態の給電システムの概略構成を示す図である。図2は、図1の給電システムが備える給電ユニット及び受電ユニットの配置を説明する図である。図3は、図2の給電ユニット及び受電ユニットの分解斜視図である。なお、図3において、受電ユニットを構成する部分の引用符号は括弧内に記載している。図4は、図2に示すコンデンサ体及びコイルの上面図である。図5は、図2に示すコンデンサの斜視図である。
【0019】
本実施形態の給電システムは、磁界共鳴方式を用いて非接触で地面側から車両に電力を供給する。なお、給電側と受電側とを電磁的に結合させることにより電力を伝送するものであれば、磁界共鳴方式以外の方式を用いてもよい。
【0020】
まず、給電システム1の一般的な構成について説明する。図1に示すように、給電システム1は、地面G(図2に示す)に配置される給電部としての給電装置20と、車両V(図2に示す)に配置される受電部としての受電装置30と、を備えている。この車両Vは、図2に示すように、エンジン及びモータを有するドライブユニットDRVと、モータに電力を供給する動力用バッテリBATTと、を備えている。
【0021】
給電装置20は、図1に示すように、高周波電源21と、コイルユニットとしての給電ユニット22と、整合器27と、制御部28と、を備えている。
【0022】
高周波電源21は、例えば、商用電源から高周波電力を生成して、後述する給電ユニット22に供給している。この高周波電源21により生成される高周波電力は、給電ユニット22の共振周波数及び後述する受電ユニット32の共振周波数と等しい周波数に設定されている。
【0023】
給電ユニット22は、図2図3に示すように、コイルとしての給電側コイル23と、給電側コンデンサ体24と、これらを収容する箱型のケースとしての給電側ケース25と、を有している。給電ユニット22は、図2に示すように、地面G上に設置されている。給電ユニット22は、地面Gに埋設されていてもよい。
【0024】
給電側コイル23と給電側コンデンサ体24とは、互いに直列接続されて所定の共振周波数で共振する共振回路を形成している。本実施形態では、給電側コイル23と給電側コンデンサ体24とは、直列接続されているが、並列接続されていてもよい。
【0025】
整合器27は、高周波電源21と給電側コイル23及び給電側コンデンサ体24からなる共振回路との間のインピーダンスを整合させるための回路である。
【0026】
制御部28は、ROM、RAM、CPUを有する周知のマイクロコンピュータなどで構成され、給電装置20全体の制御を司る。制御部28は、例えば、電力伝送の要求に応じて、高周波電源21のオンオフ制御を行う。
【0027】
受電装置30は、コイルユニットとしての受電ユニット32と、整流器38と、を備えている。
【0028】
受電ユニット32は、図2図3に示すように、コイルとしての受電側コイル33と、受電側コンデンサ体34と、これらを収容する箱型のケースとしての受電側ケース35と、を有している。受電ユニット32は、図2に示すように、車両Vの下面に取り付けられている。
【0029】
受電側コイル33と、受電側コンデンサ体34とは、互いに直列接続されて給電ユニット22と同一の共振周波数で共振する共振回路を形成している。本実施形態では、受電側コイル33と受電側コンデンサ体34とは、直列接続されているが、並列接続されていてもよい。
【0030】
整流器38は、受電ユニット32が受電した高周波電力を直流電力に変換する。この整流器38には、例えば、車両Vに搭載された動力用バッテリBATTの充電に用いられる充電ユニットなどの負荷Lが接続される。
【0031】
上述した給電システム1は、給電施設において、駐車した車両Vの動力用バッテリBATTの充電操作が入力されて車両Vへの電力伝送の要求が発生すると、制御部28が、高周波電源21をオンして高周波電力を生成する。そして、この高周波電力が給電ユニット22に供給されると、給電ユニット22と受電ユニット32とが磁界共鳴して、給電ユニット22から高周波電力が伝送されて、当該高周波電力が受電ユニット32で受電される。受電ユニット32で受電された高周波電力は、整流器38で直流電力に変換されて、車両Vの充電ユニットに供給され、この充電ユニットにより動力用バッテリBATTが充電される。
【0032】
次に、上記概略で説明した給電ユニット22及び受電ユニット32の詳細な構成について、図3などを参照して説明する。給電、受電ユニット22、32は、上述したようにそれぞれ給電側、受電側コイル23、33と、給電側、受電側コンデンサ体24、34と、給電側、受電側ケース25、35と、を備えている。
【0033】
給電側、受電側コイル23、33はそれぞれ、図3に示すように、矩形平板状の例えばフェライト製のコア3Aと、コア3Aにコイル状に巻き付けられたリッツ線を編み込んだコイル線3Bと、を有している。
【0034】
給電側、受電側コイル23、33のコア3Aは、後述する給電側、受電側ケース25、35内に水平に配置されている。コイル線3Bは、給電ユニット22と受電ユニット32との離隔方向(本実施形態では上下方向Y1)に対して直交する方向を中心軸としてコア3Aに巻き付けられている。これら給電側、受電側コイル23、33は、図2に示すように、車両Vが所定の給電位置に駐車したときに、コア3A同士が上下方向Y1に対向し、かつ、コイル線3の中心軸方向Y2が互いに平行になるように配置される。
【0035】
給電側、受電側コンデンサ体24、34はそれぞれ、図4に示すように、ガラスエポキシ基板の表面に配線パターンを形成した矩形平板状の回路基板4Aと、回路基板4Aに実装された部品、コンデンサとしての複数のセラミックコンデンサ4Bと、を有している。上記回路基板4Aには、図3に示すように、上記コイル線3Bの一端に取り付けた端子金具がボルトBにより締結されている。これにより、コイル線3Bとセラミックコンデンサ4Bとが電気的に接続される。また、回路基板4Aには、リッツ線からなる引き出し線7の一端に取り付けた端子金具がボルトBにより締結されている。上述したコイル線3Bの他端及び引き出し線7の他端は、後述する給電側、受電側ケース25、35の内側から外側に引き出されて配索された一対のリード線8の端末とボルトBにより締結されている。
【0036】
また、上記回路基板4A及びコア3Aは、コア3Aの幅方向Y3(即ち、上下方向Y1及び中心軸方向Y2の双方に直交する方向)に沿って並べて、水平に配置されている。また、回路基板4Aは、コイル線3Bの中心軸方向Y2の中央に配置されている。
【0037】
給電側、受電側ケース25、35は、開口が設けられた本体部5Aと、該本体部5Aの開口を覆う蓋部5Bと、に分割可能に構成されている。本体部5Aは、例えば、繊維強化プラスチック(FRP)などの給電装置20からの磁気を通すことが可能な材料で構成されている。蓋部5Bは、例えば、アルミニウム又は合金などの磁気を通さない(磁気シールドとなる)材料で構成されている。給電側、受電側ケース25、35は、本体部5Aと蓋部5Bとを組み合わせて図示しないねじ等の固定手段により固定することで、内側に給電側、受電側コイル23、33及び給電側、受電側コンデンサ体24、34を収容する空間を形成する。また、給電側ケース25は、蓋部5Bが地面G側、本体部5Aが車両V側となるように地面Gに配置される。受電側ケース35は、蓋部5Bが車両Vの下面側、本体部5Aが地面G側となるように車両Vの下面に取付けられる。
【0038】
次に、回路基板4A上でのセラミックコンデンサ4Bの配列について説明する。セラミックコンデンサ4Bは、図5に示すように、立方体状のコンデンサ本体部4B−1と、コンデンサ本体部4B−1の互いに対向する一対の側面にそれぞれ設けられた金属面としての電極4B−2と、から構成されている。上記電極4B−2は、コンデンサ本体部4B−1の側面全体に設けられ、ある程度の面積をもっている。
【0039】
これらセラミックコンデンサ4Bは、図4に示すように、回路基板4A上に複数並べて配置されている。このように回路基板4Aに複数のセラミックコンデンサ4Bを配置する場合、一般的には、セラミックコンデンサ4B間を隙間なく配置して、回路基板4Aの面積を小さくするために、図6に示すように、電極4B−2が中心軸方向Y2に直交するようにまっすぐに並べるのが普通である。
【0040】
しかしながら、図6に示すような配置では、セラミックコンデンサ4Bの温度が上昇し、使用温度の上限値を越えてしまう恐れがあった。本発明者らは、この温度が上昇する原因について鋭意探究したところ、コイル23、33には、図6の点線で示すように、中心軸方向Y1の一端から他端に向かう磁束φが発生する。このため、図6に示すように、電極4B−2が中心軸方向Y2に直交するようにセラミックコンデンサ4Bを配置すると、図7に示すように、セラミックコンデンサ4Bの電極4B−2に対して垂直になる磁束φが多くなり、電極4B−2に発生する渦電流Iが大きくなり、これにより温度が上昇していることが分かった。
【0041】
そこで、本実施形態では、図4に示すように、セラミックコンデンサ4Bを、その電極4B−2が中心軸方向Y2に対して非垂直になるように、即ち、電極4B−2が中心軸方向Y2に対して斜めになるか、平行になるように配置した。詳しく説明すると、セラミックコンデンサ4Bは、コイル23、33の中心軸方向Y2に沿って複数並んで配置されている。本実施形態では、セラミックコンデンサ4Bが、中心軸方向Y2に沿って3列並べて配置されている。各列には、6個のセラミックコンデンサ4Bが並べられている。
【0042】
コイル23、33の中心軸方向Y2の中央付近に配置されているセラミックコンデンサ4Bは、その電極4B−2が中心軸方向Y2と平行に配置されている。その他のセラミックコンデンサ4Bはそれぞれ、電極4B−2がコイル23、33の中心軸方向Y2の中央に近づくに従ってコイル23、33から離れるように傾けて配置されている。
【0043】
また、その他の複数のセラミックコンデンサ4Bは、コイル23、33の中心軸方向Y2の中央に近いものほど、中心軸方向Y2に対する傾きが小さくなるように配置されている。また、その他の複数のセラミックコンデンサ4Bは、コイル23、33から離れているものほど、中心軸方向Y2に対する傾きが小さくなるように配置されている。
【0044】
このように配置することにより、各セラミックコンデンサ4Bの電極4B−2に対して磁束φが斜め又は平行になる。このため、電極4B−2に対して磁束φが垂直になることが少なくなり、電極4B−2での渦電流Iの発生を抑制することができる。渦電流Iの発生を抑制するには、図8に示すように、電極4B−2と直交する軸Zに対して、磁束φが±20°以内にならないようにすることが望ましい。
【0045】
上述した実施形態によれば、セラミックコンデンサ4Bやコイル23、33の温度特性の変化が少なくなり、温度特性を補正するための回路などが不要になり、小型化が可能となる。また、熱により壊れにくい給電、受電ユニット22、32が提供でき、設置後のメンテナンス頻度を減らせるため、ユーザの負担を軽くできる。また、コンデンサ体24、34とコイル23、33を離したり、放熱材料を追加しなくても、温度上昇を低減することができ、小型薄型化できるため、車両に搭載する場合、重量の軽量化が図れる。
【0046】
また、本実施形態においては、回路基板4Aの小型化を図るために、回路基板4A上面にも下面にもセラミックコンデンサ4Bを並べて配置し、スルーホールにより上面と下面とにそれぞれ配置されたセラミックコンデンサ4Bを電気的に接続している。このため、このスルーホール内に充填される金属材にコイル23、33からの磁束φによる渦電流が生じる恐れがある。そこで、本実施形態では、このスルーホール数もなるべく少なくし、放熱性の高い形状に形成している。
【0047】
なお、上述した実施形態によれば、セラミックコンデンサ4Bを部品としていたが、これに限ったものではない。そのほか、例えば導電パターン(金属面)が形成された回路基板などが考えられ、この導電パターンが中心軸方向Y2に対して非垂直になるように回路基板を配置することが考えられる。
【0048】
また、上述した実施形態によれば、回路基板4A上に配置された複数のセラミックコンデンサ4Bの配置は図4に示すものに限ったものではない。コイル23、33に対するコンデンサ体24、34の位置から磁束φの方向を予測し、電極4B−2が磁束φに対してなるべく平行になるように傾けるのが望ましい。
【0049】
また、上述した実施形態によれば、受電、給電ユニット22、32において、セラミックコンデンサ4Bの電極4B−2を中心軸方向Y2に対して非垂直に配置していたが、これに限ったものではない。受電、給電ユニット22、32の何れか一方だけでもよい。
【0050】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 給電システム
4B セラミックコンデンサ(部品、コンデンサ)
4B−2 電極(金属面)
20 給電装置(給電部)
22 給電ユニット(コイルユニット)
23 給電側コイル(コイル)
25 給電側ケース(ケース)
30 受電装置(受電部)
32 受電ユニット(コイルユニット)
33 受電側コイル(コイル)
35 受電側ケース(ケース)
G 地面
V 車両
Y2 中心軸方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8