特許第6370566号(P6370566)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6370566カテーテルの力フィードバック装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6370566
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】カテーテルの力フィードバック装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20180730BHJP
   A61B 90/00 20160101ALI20180730BHJP
【FI】
   A61B18/12
   A61B90/00
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-47337(P2014-47337)
(22)【出願日】2014年3月11日
(65)【公開番号】特開2014-171900(P2014-171900A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2017年1月30日
(31)【優先権主張番号】13/795,047
(32)【優先日】2013年3月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】エフゲニー・ボニャック
(72)【発明者】
【氏名】ドローア・シュロモ・レヴィ
(72)【発明者】
【氏名】メイル・バル−タル
(72)【発明者】
【氏名】ローネン・クルプニク
(72)【発明者】
【氏名】ナタン・シャロン・カッツ
【審査官】 大屋 静男
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−514025(JP,A)
【文献】 特開平07−266263(JP,A)
【文献】 特開平06−206191(JP,A)
【文献】 特開2009−113184(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0168620(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第01524586(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12
A61B 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アブレーション装置であって、
生存被験者の心臓内への挿入のために適応され、かつ前記心臓内の標的組織と接触させるように遠位に配置されたアブレーション電極を有する可とう性プローブであって、前記プローブと前記標的組織との間の接触力を測定するように動作可能である、可とう性プローブと、
施術者によって制御され、かつ前記標的組織を焼灼するために前記標的組織に対して前記アブレーション電極を介してある量のエネルギーを付加するように動作可能である、電源と、
前記接触力の前記測定の指示を送信するように動作可能な送信機と、
前記送信機からの信号を受信するための受信機、及び前記信号に応答するように前記施術者を触覚的に刺激するように動作可能なアクチュエータを有する着用可能なデバイスと、を備え
前記着用可能なデバイスが、
ブレスレットと、
プロセッサであって、前記接触力が前記プロセッサの制御下で所定値に達したときに前記アクチュエータが前記ブレスレットを変形させる、プロセッサと、を備え、
前記ブレスレットが、前記施術者の生理学的事象を検出するように動作可能なセンサーと、前記事象の指示を伝達するための送信モジュールと、を更に備える、アブレーション装置。
【請求項2】
前記アクチュエータが、前記プロセッサに接続されていて、前記接触力が所定値に達したときに前記ブレスレットを振動するように動作可能な電気機械的アクチュエータと、を備える、請求項1に記載のアブレーション装置。
【請求項3】
振動することが、前記ブレスレットのサブディビジョンで独立して実行され、前記サブディビジョンが、前記施術者の身体部分上のそれぞれ対応の場所に近置するように適応され、かつ前記サブディビジョンが、膨張可能なセルを含み、かつ振動が空気圧又は油圧によって前記セルを独立に膨張及び収縮させることを含む、請求項2に記載のアブレーション装置。
【請求項4】
振動することが、前記ブレスレットのサブディビジョンで独立して実行され、前記サブディビジョンが、前記施術者の身体部分上のそれぞれ対応の場所に近置するように適応され、前記サブディビジョンが、電気活性ポリマーを含有する膨張可能なセルを備え、前記セルのうちの選択されたセルを膨張及び収縮させるために前記ポリマーを電気的に刺激することによって変形される、請求項2に記載のアブレーション装置。
【請求項5】
前記ブレスレットが、前記施術者の手首の周囲に装着されるように適応されたストラップを備え、前記アクチュエータが、前記ストラップの張力を電気機械的に変化させることによって前記ブレスレットを変形させるように動作可能である、請求項に記載のアブレーション装置。
【請求項6】
前記ブレスレットが、電気活性ポリマーを含み、前記アクチュエータが、前記ポリマーを電気的に刺激することによって前記ブレスレットを変形させるように動作可能である、請求項に記載のアブレーション装置。
【請求項7】
前記ブレスレットが、膨張可能なセルを備え、前記アクチュエータが、空気圧又は油圧によって前記セルを膨張及び収縮させることによって前記ブレスレットを変形させるように動作可能である、請求項に記載のアブレーション装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は組織アブレーションシステムに関する。より詳細には、本発明は、侵襲的プローブと体内組織との間の接触のモニタリングに関する。
【背景技術】
【0002】
心房細動などの心不整脈は、心臓組織の諸区域が、隣接組織に、電気信号を異常に伝導することによって、正常な心周期を阻害し、非同期的な律動を引き起こす場合に発生する。
【0003】
不整脈治療の手順としては、不整脈の原因となっている信号源を外科的に遮断することと、並びにそのような信号の伝達経路を遮断することと、が挙げられる。カテーテルを介してエネルギーを印加して心臓組織を選択的にアブレーションすることによって、心臓の一部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝播を停止する又は変更することが可能である。このアブレーション処理は、非導電性の損傷部位を形成することによって望ましくない電気経路を破壊するものである。
【0004】
標的組織との物理的な電極の接触を実証することは、アブレーションエネルギーの送達を制御するために重要である。当該技術分野において、組織と電極との接触を実証する試みはこれまで広範に行われ、様々な技法が提案されてきた。例えば、米国特許第6,695,808号は、選択された患者の組織又は器官領域を処置するための装置を記載している。プローブは、その領域に押しつけられ得る接触面を有し、それにより接触圧を生じさせる。圧力変換器が接触圧を測定する。この構成は、接触力の存在及び規模の指標となる情報を機器のユーザーに提供することにより、医療機器を、解剖学的表面と過剰には接触しないが、しっかりと定置しなければならないという、処置の必要性を満たすと言われている。
【0005】
別の例として、米国特許第6,241,724号は、分割された電極アセンブリを使用して、体内組織中に損傷部をつくるための方法を開示している。一実施形態では、カテーテルの電極アセンブリは圧力変換器を有し、これは組織との接触を感知して、圧力接触モジュールに信号を伝達する。モジュールは、圧力変換器信号と関連する電極要素を特定し、エネルギー発生器がこれらの要素に高周波エネルギーを伝達し、血液のみと接触する他の要素には伝達しないように指示する。
【0006】
米国特許第6,915,149にも、更なる例が記載されている。この特許は、局所的な電気的活性を測定するための先端電極を有するカテーテルを使用して、心臓をマッピングするための方法を記載する。先端部と組織との接触不良から生じ得るアーチファクトを回避するために、先端部と組織との間の接触圧力が圧力センサーを使用して測定され、安定的な接触を確保する。
【0007】
米国特許出願公開第2007/0100332号は、組織アブレーションのための、電極−組織間接触を評価するためのシステムと方法を開示している。カテーテルのシャフト内の電子機械的センサーは、カテーテルシャフトの遠位部分内の電極の運動量に対応する電気信号を発生する。出力機器は、電極と組織間の接触のレベルを評価するために、この電気信号を受け取る。
【0008】
米国特許第7,306,593号(Keidarらに発行)は、体内でアブレーションされるべき組織にプローブを接触させ、組織をアブレーションする前にプローブを使用してその位置の1つ以上の局所パラメーターを測定することにより、器官内の組織をアブレーションするための方法を記載する。器官のマップが表示され、1つ以上の局所パラメーターに基づき、その位置においてプローブを用いて適用される所定用量のエネルギーに関し、達成される組織のアブレーションの予測される範囲を示す。プローブを使用して組織をアブレーションするために所定用量のエネルギーが適用され、組織のアブレーションに続いて、プローブを使用してその位置におけるアブレーションの実際の範囲が測定される。測定されたアブレーションの実際の範囲が、予測された範囲との比較のためにマップ上に表示される。
【0009】
参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2008/0288038号及び同第2008/0275465号(いずれもSauaravらによる)は、電気エネルギーを印加するように適応された電極を含み得る電極カテーテルシステムを記載している。インピーダンスを測定するために適応された測定回路を、電極が標的組織に接近する際に電極と地面との間に実装することができる。プロセッサ又は処理装置を実装して、測定回路によって測定されたインピーダンスのリアクタンスに少なくとも部分的に基づいて標的組織に関しての接触状態を判定することができる。別の実施形態では、接触状態はインピーダンスの位相角に基づく場合がある。
【0010】
文献「Determinants of Lesion Size During Radiofrequency Catheter Ablation:The Role of Electrode−Tissue Contact Pressure and Duration of Energy Delivery」(David E.Haines,J.Cardiovasc Electrophysiol,Vol.2,pp.509〜515,Dec.1991)は、電極組織の接触圧及びRFエネルギーの送達の持続時間の変化がイヌ心筋のインビトロモデルで得られた病変の大きさに与える影響について記述している。大きな接触圧は、一定した電極−組織境界面の温度を維持するのに必要とされる電力を著しく減少させ、損傷部位の大きさを時間と共に単一指数関数的に増加させた。
【0011】
米国特許出願公開第2010/0298826号は、カテーテルをベースとしたアブレーションシステムにおける損傷部位の大きさの実時間予測に対する力の時間積分に関して説明している。この装置は、接触アブレーションプローブによって標的組織にかけられた力を測定し、接触アブレーションプローブの通電時間にわたる力を積分する。力の時間積分を計算し利用して、予測された損傷部位の大きさ(深さ、容量、及び/又は面積)をリアルタイムで提供することができる損傷部位の大きさのより改善した予測をもたらすために、おそらく、力の時間積分は標的組織に送達される電力における変化を説明すると言われている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の実施形態は、アブレーションシステムの施術者の身体に装着された触覚デバイスを提供する。このデバイスは、アブレーションカテーテルと、例えば心臓の心内膜表面のような標的組織との間の接触力を反映する1つ以上のアクチュエータを使用して体に直接力を印加する。このデバイスは、手首ブレスレットとして具現化することができ、施術者の快適さ及び便利のために標準的な腕時計の規格寸法にすることができる。このデバイスによって触覚的に施術者に与えられる接触データは、視覚的表示を参考にする必要を減らし、接触情報を提供し得る音声警報によって引き起こされる注意散漫を回避する。この触覚デバイスが提供する感覚は、施術者が医療手技を実行している間に、あたかも実際のアシスタントが施術者の手を握っているかのように施術者によって知覚される。
【0013】
本発明の実施形態により、生存被験者の心臓に挿入されるように適応された可とう性プローブを含むアブレーション装置が提供される。心臓の標的組織と接触させるために遠位に配置されたアブレーション電極を有するこのプローブは、プローブと標的組織との間の接触力の測定をするように操作可能である。この装置は、アブレーション電極を介して所定のエネルギー量を標的組織に適用して標的組織をアブレーションするように動作可能な、施術者により制御される電源と、接触力の測定の指示を伝達するように動作可能な送信機と、送信機からの信号を受信するための受信機を有する着用式デバイスと、施術者が信号に応答するように施術者を触覚的に刺激するように動作可能なアクチュエータとを含む。
【0014】
このアブレーション装置の一態様によると、着用式デバイスはブレスレットであり、このブレスレットはプロセッサと、プロセッサに接続された電気機械的アクチュエータとを含み、このアクチュエータは接触力が所定の値に達したときにブレスレットを振動するように動作可能である。
【0015】
このアブレーション装置の別の態様によると、振動することは、ブレスレットのサブディビジョンで独立して実行され、これらのサブディビジョンは、施術者の身体部分上のそれぞれ対応の場所に近置するように適応され、サブディビジョンは、膨張可能なセルを含み、かつ振動が空気圧又は油圧のいずれかによってセルを独立に膨張及び収縮させることによって実行される。
【0016】
このアブレーション装置の更なる態様によると、振動することは、ブレスレットのサブディビジョンで独立して実行され、これらのサブディビジョンは、施術者の身体部分上のそれぞれ対応の場所に近置するように適応され、サブディビジョンは、電気活性ポリマーを含有する膨張可能なセルを備え、セルのうち選択されたセルを膨張及び収縮させるためにこのポリマーを電気的に刺激することによって変形される。
【0017】
このアブレーション装置の追加の態様によると、着用式デバイスはブレスレットであり、このブレスレットはプロセッサを含み、接触力がプロセッサの制御下で所定の値に達すると、アクチュエータがブレスレットを変形する。
【0018】
このアブレーション装置の更なる態様によると、ブレスレットは、施術者の手首の周囲に装着されるように適応されたストラップを備え、アクチュエータは、ストラップの張力を電気機械的に変化させることによってブレスレットを変形させるように動作可能である。
【0019】
このアブレーション装置のまた別の態様によると、ブレスレットは、電気活性化ポリマーを含み、アクチュエータは、ポリマーを電気的に刺激することによってブレスレットを変形させるように動作可能である。
【0020】
このアブレーション装置の更に別の態様によると、ブレスレットは、膨張可能なセルを備え、アクチュエータは、空気圧又は油圧によってセルを膨張及び収縮させることによってブレスレットを変形させるように動作可能である。
【0021】
このアブレーション装置の更なる態様によると、ブレスレットは、施術者の生理学的事象を検出するように動作可能なセンサーとそれらの事象の指示を伝達するための送信モジュールと、を更に備える。
【0022】
本発明の実施形態に従ってアブレーションの方法が提供され、この方法は、生存被験者の体内にアブレーション電極を有するプローブを挿入することと、アブレーション電極を標的組織と接触関係にするよう働きかけることと、アブレーション電極と標的組織との間の接触力を測定することと、その測定を施術者に触覚的に伝達することと、その伝達された測定に応答して、アブレーション電極を用いて標的組織を焼灼しつつ接触力の所望値を達成するためにプローブを調整することによって実行される。
【0023】
この方法の一態様によると、触覚的に伝達することは、カフを提供すること、及び接触力が所定の値に達したときにカフを振動させることによって行われる。
【0024】
この方法の追加の態様によると、振動することは、施術者の身体部分の周囲に配置されたストラップの張力を変化させることを含む。
【0025】
本方法のまた別の態様によると、振動することは、カフのサブディビジョンで独立して行われ、これらのサブディビジョンは、施術者の身体部分のそれぞれ対応の場所に近置させる。
【0026】
この方法の更に別の態様によると、カフのサブディビジョンは膨張可能なセルを備え、振動することは、空気式又は油圧式にセルを独立して膨張及び収縮させることを含む。
【0027】
この方法の更なる態様では、カフのサブディビジョンは、電気活性化ポリマーを含有する膨張可能なセルを含み、そのポリマーを電気的に刺激することによってセルを膨張及び収縮させることを含む。
【0028】
この方法の一態様は、施術者の生理学的事象を感知することによって標的組織を焼灼し、それらの事象の指示を受信機に送信しながら実行される。
【0029】
本発明の実施形態に従ってアブレーションの方法が提供され、この方法は、アブレーション電極及び感知電極を有するプローブを生存被験者の体内に挿入することと、アブレーション電極を標的組織と接触関係にするように働きかけることと、その後に、感知電極を用いて標的組織で少なくとも1つの電気解剖学的パラメーターを測定することと、その測定を施術者に触覚的に伝達することと、その伝達された測定に応答して、アブレーション電極を使用して標的組織を焼灼することと、によって実行される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明をより深く理解するため、発明の詳細な説明を実例として参照するが、発明の詳細な説明は、同様の要素に同様の参照番号を付した以下の図面と併せ読むべきものである。
図1】本発明の一実施形態に基づいて構成され、動作する、患者の心臓にアブレーション手術を行うためのシステムの絵図である。
図2】本発明の実施形態による触覚デバイスのブロック図である。
図3】本発明の実施形態による、わずかな斜視図で示された触覚デバイスの正面図である。
図4】本発明の実施形態による、ハウジングが取り除かれ、わずかな斜視図で示されている、図3に示した触覚デバイスの正面図である。
図5】本発明の実施形態による、ハウジングが取り除かれ、わずかな斜視図で示されている、図3に示した触覚デバイスの側面図である。
図6】施術者の手首の周囲に装着される本発明の代替実施形態による触覚デバイスの部分の概略図である。
図7】施術者の手首の周囲に装着される本発明の代替実施形態による触覚デバイスの部分の概略図である。
図8】施術者の手首の周囲に装着される本発明の代替実施形態による触覚デバイスの部分の概略図である。
図9】施術者の手首の周囲に装着される本発明の代替実施形態による触覚デバイスの部分の概略図である。
図10】施術者の手首の周囲に装着される本発明の代替実施形態による強化された触覚デバイスの部分の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下の説明では、本発明の様々な原理の深い理解を与えるため、多くの具体的な詳細について記載する。しかしながら、これらの詳細は、必ずしも、本発明の実施のために常にすべてが必要とされるものではない点は当業者には明らかであろう。この場合、一般的な概念を不要に曖昧にすることのないよう、周知の回路、制御論理、並びに従来のアルゴリズム及び処理に対するコンピュータプログラム命令の詳細については詳しく示していない。
【0032】
本発明の態様は、典型的には、コンピューター可読媒体などの永久記憶装置内に維持される、ソフトウェアプログラミングコードの形態で具体化することができる。クライアント/サーバー環境において、このようなソフトウェアプログラミングコードは、クライアント又はサーバーに記憶される。ソフトウェアプログラミングコードは、ディスケット、ハードドライブ、電子媒体、又はCD−ROMなどの、データ処理システムと共に使用するための様々な既知の非一時的媒体のうちの、いずれかの上に具体化することができる。コードはこのような媒体上で配布でき、又は1つのコンピューターシステムのメモリー又は記憶装置からある種のネットワークを介して、別のコンピューターシステムのユーザーが使用するために、該別のシステム上の記憶装置に配布され得る。
【0033】
用語「結合する」又は「結合された」とは、間接の又は直接の接続のいずれかを意味するよう意図される。したがって、第1の装置が第2の装置に結合される場合、この接続は直接の接続を経てもよく、若しくは他の装置及び接続を介して、又は誘導結合又は静電結合を介して間接の接続を経てもよい。
【0034】
本明細書で使用される用語「アクチュエータ」は、電気機械的アクチュエータを含むが、これに限定されない。むしろ、それは、カフ及びブレスレットを変形させることによって施術者を触覚的に刺激する、下記に開示されるいくつかの実施形態の作用要素を含む。
【0035】
ここで図面を参照し、図1を最初に参照すると、この図1は、開示される本発明の実施形態に従って構築され、動作する、生存被験者の心臓12に対して診断的又は治療的処置を実行するためのシステム10の模式図である。このシステムは、患者の血管系を通じて、心臓12の室又は血管構造内に操作者16によって経皮的に挿入されるカテーテル14を備えている。一般的には医師である操作者16は、カテーテルの遠位先端部18を心臓壁のアブレーション標的部位と接触させる。必要に応じて、それらの開示内容を本明細書に援用するところの米国特許第6,226,542号及び同第6,301,496号、並びに本願と同一譲受人に譲渡された米国特許第6,892,091号に開示される方法に基づいて、電気的活性マップを作製することができる。システム10の要素を具体化する1つの市販の製品は、Biosense Webster,Inc.(3333 Diamond Canyon Road,Diamond Bar,CA 91765)より入手可能な、CARTO(登録商標)3システムとして、入手可能である。このシステムは、本明細書に記載される本発明の原理を具現化するように、当業者によって変更されることができる。
【0036】
例えば電気的活性マップの評価によって異常と判定された領域は、例えば心筋に高周波エネルギーを加える遠位先端部18の1以上の電極に、カテーテル内のワイヤーを通じて高周波電流を流すことなどにより熱エネルギーを加えることによってアブレーションすることができる。エネルギーは組織に吸収され、それを電気的興奮性が恒久的に失われる点(典型的には約50℃)に加熱する。支障なく行われた場合、この手術によって心臓組織に非伝導性の損傷部位が形成され、この損傷部位が不整脈を引き起こす異常な電気経路を遮断する。本発明の原理を異なる心臓の室に適用することによって多くの異なる心不整脈を治療することができる。
【0037】
カテーテル14は通常、アブレーションを行うために操作者16が必要に応じてカテーテルの遠位端を方向転換、位置決め、及び方向づけることを可能とする適当な制御部を有するハンドル20を備えている。操作者16を補助するため、カテーテル14の遠位部分には、コンソール24内に配置された位置決めプロセッサ22に信号を供給する位置センサ(図示せず)が収容されている。
【0038】
アブレーションエネルギー及び電気信号を、遠位先端部18に又は遠位先端部18に又はその付近に位置付けられた、1つ又は2つ以上のアブレーション電極32を通じて、コンソール24に至るケーブル34を介し、心臓12へ及び心臓12から、搬送することができる。ペーシング信号及び他の制御信号は、コンソール24から、ケーブル34及び電極32を通して、心臓12へと搬送することができる。感知電極33は、同様にコンソール24にも接続され、アブレーション電極32の間に配設されて、ケーブル34への結線を有する。
【0039】
コンソール24は、ワイヤー接続35によって身体表面電極30、及び位置決定サブシステムの他の構成要素と接続されている。電極32及び身体表面の電極30は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,536,218号(Govariら)に教示されるように、アブレーション部位での組織のインピーダンスを測定するために使用することができる。熱電対31などの温度センサーは、アブレーション電極32上又はその近辺、必要に応じて感知電極33の近辺に実装され得る。熱電対31は、以下に更に詳細に記載されるような電極回路に接続されている。
【0040】
コンソール24には通常、1以上のアブレーション電力発生装置25が収容されている。カテーテル14は、例えば、高周波エネルギー、超音波エネルギー、及びレーザー生成光エネルギーなどの任意の周知のアブレーション技術を使用して心臓にアブレーションエネルギーを伝導するように適合させることができる。このような方法は、本明細書に援用するところの本願と同一譲受人に譲渡された米国特許第6,814,733号、同第6,997,924号、及び同第7,156,816号に開示されている。
【0041】
位置決めプロセッサ22は、カテーテル14の位置及び方向座標を測定する、システム10における位置決めサブシステムの要素である。
【0042】
一実施形態では、この位置決めサブシステムは、磁場生成コイル28を使用して、既定の作業体積内に磁場を生成し、カテーテルでのこれらの磁場を感知することによって、カテーテル14の位置及び向きを判定する、磁気位置追跡装置を含む。位置決定サブシステムは、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,756,576号、及び上記の米国特許第7,536,218号に教示されているインピーダンス測定を使用することができる。
【0043】
上述のように、カテーテル14はコンソール24に接続され、これにより施術者16が、例えば接触力のようなカテーテル14の機能を観察及び調節できるようになっている。コンソール24は、プロセッサ、好ましくは適当な信号処理回路を有するコンピューターを含む。プロセッサは、モニタ29を駆動するように連結されている。信号処理回路は一般的に、カテーテル14の遠位側に配置された上述のセンサー及び複数の位置感知電極(図示せず)によって生成される信号を含むカテーテル14からの信号を、受信、増幅、フィルタリング、及びデジタル化する。デジタル化された信号はコンソール24及び位置決めシステムによって受信され、カテーテル14の位置及び向きを計算し、電極からの電気信号を分析するために使用される。
【0044】
例えば、システム10は、心電図(ECG)モニタ−を含み得、このECGモニタ−は、ECG同期信号をコンソール24に提供するために、1つ以上の身体表面電極から信号を受信するように結合される。上述のように、システム10は通常、被験者の身体の外部に装着された、外部貼付け式の基準パッチの上に、あるいは内部に置かれたカテーテルの上に、基準位置センサーを更に有し、その基準位置センサーは、心臓12の中に挿入され、心臓12に対して定位置に維持される。カテーテル14にアブレーション部位を冷却するための液体を通して循環させるための従来のポンプ及びラインが設けられている。
【0045】
更に、参照により本明細書に援用される同一出願人による米国特許出願第13/648,449号(Govari)の教示のように、カテーテル14は、コンソール24と共動作して、インピーダンスの位相角を測定することによって取得され得る接触力情報を施術者16に提供する。あるいは、接触力測定に関する上述の手法のいずれかによって接触力データを得てもよい。これに関して、カテーテル14としては、Biosense Websterから入手可能なTHERMOCOOL(登録商標)SMARTTouch(商標)Contact Force Catheterが適している。
【0046】
図1の例に示す振動触覚デバイスが手首ブレスレット41として施術者16に提供され、これは、例えば無線通信リンクによって、コンソール24内の送信機からの通信を受信する。あるいは、通信リンクは有線リンクであってもよい。コンソール24からのメッセージに応答して、手首ブレスレット41は、カテーテル14と、心臓12の心内膜表面上のアブレーション部位などの標的組織との間の接触力についての、施術者16への触覚通知を生成する。手首ブレスレット41は限定的ではない。例えば、触覚デバイスは、身体の他の部分に適用されたパッド、足首ブレスレット、靴、リング、又は襟のような、他の形態で実現され得る。
【0047】
触覚デバイス
ここで、触覚デバイス43のブロック図である図2を参照すると、触覚デバイス43は、手首ブレスレット41(図1)として実現され得、本発明の実施形態に従って構築され、動作可能である。
【0048】
触覚デバイス43は、別の通信モジュール47からの信号を受信する無線通信モジュール45を有する。通信モジュール47は、一般的には信号プロセッサ50を介して、カテーテル14(図1)に接続される。信号プロセッサ50によって生成された遠隔測定信号は、カテーテル14と標的組織との間の接触力を反映可能である。それらは、任意の適した通信プロトコルを使用して通信モジュール47によって通信モジュール45に送信される。
【0049】
信号プロセッサ49は、アクチュエータ53を駆動する電気モーター51に接続された制御回路を有する。アクチュエータ53は、矢印55によって示されるオシレーション振動、バイブレーション振動、又は往復運動を有する。施術者が経験し、アクチュエータ53によって生成される触感は、通信モジュール45を介して伝達される際のカテーテルの接触力を表す。動作中、アクチュエータ53は触感を生成し、これを施術者は、カテーテル14が標的組織に現在印加されている接触力の測定結果として解釈することができる。追加の又は別の方法として、信号プロセッサ49は、アクチュエータ53の振動を引き起こすようにモーター51を制御するように構成されてもよく、施術者は、それらの振動を、接触力と相関する強さ又は期間として周期的に感じる。更に別の方法として、振動の強度、周期数、及び間隔の組み合わせが、カテーテル14の接触力を施術者16に伝達してもよい。異なるレベルの接触力を伝達するためには、約40ヘルツ〜250ヘルツで変動する振動周波数が適している。
【0050】
例えば、アクチュエータ53は、接触力レベルに応じて急速に又はゆっくりと振動してもよく、又は、振動と、知覚可能な長い時間にかけて触感を与えない無振動とを交互に行い、そのパターンが接触力のレベルをエンコードするようにしてもよい。更なる例では、アクチュエータ53は、例えば0.25〜2秒間の比較的長い知覚可能な間隔にかけて動作し、次いで、同様の間隔にかけて動作を停止することができる。あるいは、特定の範囲が、例えば接触力の「ステップ関数」のような異なる感覚を生成することができる。当業者は、他の様々な方法によるアクチュエータ53の活動パターンのエンコーディングを思いつくであろう。いずれにせよ、施術者によって触覚的に知覚されたとき、そのようなパターンはカテーテルの接触力(又は他のパラメーター)の大きさを示す。加えて又は代わりに、それらのパターンは、例えば、カテーテルが安定な場所にあるかどうかを指示する2値信号で構成されてもよい。この信号は施術者によって構成可能であってよく、施術者は、施術者が触感により受け取るのに好ましいフィードバックの種類を選択することができる。
【0051】
次に図3を参照すると、この図は、本発明の実施形態による触覚デバイス57をわずかな斜視点で示す正面図である。触覚デバイス57は、下記に説明される構成要素を囲むハウジング59を有する。側面の突出部63を貫通して形成されたスロット61は、例えば手首のような施術者の身体の一部の周囲に触覚デバイス57を固定するためのストラップ65を受容する。
【0052】
次に図4を参照すると、本発明の実施形態による、わずかな斜視図で示されている触覚デバイス57の正面図であるが、この図ではハウジングは削除されている。矢印73が示すように、リニアアクチュエータ67は、パッド69をパッド71から離れる方向に移動し、それをパッド71に向かって再び返す。アクチュエータ67が与えるこの運動はストラップ65を操作し、パッド69がパッド71から離れる方向又は向かう方向のどちらに移動するかに従ってストラップ65(図3)の有効長を短縮及び伸長する。ストラップ65の張力又は有効長の変化は、手首又は他の身体部分に適用された力に比例する。
【0053】
適したリニアアクチュエータは、Pololu Corporation(920 Pilot Rd.,Las Vegas,NV 89119)から入手可能である。このタイプのアクチュエータは、リミットスイッチ(図示せず)を含む場合がある。それらはまた、閉ループ位置制御を可能にする帰還電位差計もまた含み得る。
【0054】
次に図5を参照すると、本発明の実施形態による、わずかな斜視図で示されている触覚デバイス57の別の正面図であり、ハウジングは削除されている。この図は、アクチュエータ67を駆動するモーター75を示す。図2を参照して説明した通信及び信号処理モジュールは、囲い77に収容されている。
【0055】
この実施形態は、関心のあるパラメーター(例えば接触力)を施術者16(図1)に伝達するための単一の触感チャネルを提供する。このチャネルを時間多重化することによって、他の関心のあるパラメーターもまた伝達し得る。そのような他のパラメーターの例は、第1の代替実施形態の説明において提供される。
【0056】
第1の代替実施形態
次に図6を参照すると、本発明の代替実施形態による、施術者の手首81の周囲に装着される触覚デバイス79の部分の概略図である。この実施形態は、図2図5を参照して説明した実施形態と同様の仕方で動作する。しかし、単一のアクチュエータ67の代わりに、手首81の周囲に巻かれたストラップ97の長さ範囲に沿ってアクチュエータ83、85、87、89、91、93、95のアレイが分布されている。これらのアクチュエータは、上述のように、例えば通信モジュール45、47(図2)の間の通信チャネルの多重化によって又は複数の通信チャネルの提供によって、独立して制御される。したがって、アクチュエータ83、85、87、89、91、93、95は、手首81又は他の身体部分の周辺の点に、個別に及び独立に圧力を付加する能力を有する。例えば、図6において、アクチュエータ89は起動中であり、ストラップ97のセグメント99を圧して、それにより、強化された触感を概ね点101で手首に生成しているが、一方、アクチュエータ83は起動されておらず、ストラップ97の対応するセグメント103は弛緩していて、施術者によって強く知覚されない。したがって、施術者は、アクチュエータ83に対向する点105の付近には有意な触感を感じない。
【0057】
この実施形態の利点は、関心のある複数の電気解剖学的パラメーターを順次に又は同時に施術者に伝達する能力である。アクチュエータ83、85、87、89、91、93、95は、それぞれ対応する異なるパラメーターに割り当てることができる。例えば、アクチュエータの1つは、カテーテル14と心臓12の心内膜との接触点での、関心のある心筋活性時間の警告を施術者に与えることができる。別のアクチュエータは、接触点における心筋の電気的伝播のマイクロリエントリーパターンの存在を信号として送信することができる。他の非限定的な例では、アブレーション部位の温度の触感指示によって、施術者が、カテーテル14を通る灌漑液の流れを変化させることができる。触感警報により、例えばアブレーターに電圧が印加された時間など、関心のある時間間隔の接近又は終了を示す。
【0058】
第2の代替実施形態
次に図7を参照すると、本発明の代替実施形態による、手首81の周囲に装着される触覚デバイス107の部分の概略図である。この実施形態は、図43の触覚デバイス43(図2)と共通の構成要素を有するが、手首81に触感作用をもたらすために油圧式又は空気圧式方法を用いて動作する。(図7の網掛け部分が示す)膨張可能なカフ109は、手首81(又は他の身体部分)の周囲に適合するように適応され、点線111が示す収縮した形態から、実線113が示す膨張した形態に拡張する。
【0059】
膨張及び収縮は、図7に示すように二方向性、又は一方向性であり得る、容量油圧モーター115の作用によって生成される。モーターは、図2を参照して上述したように、信号プロセッサ49の制御下で動作する。
【0060】
油圧式モーター115が油圧ライン117を通じてカフ109を膨張すると、施術者はカフの下に圧力感を知覚し、この圧力感は、油圧モーター115が二方向性のときは能動的に、又は油圧モーター115が一方向性のときは受動的に、カフ109が収縮すると消失する。矢印119は、カフ109に出入りする流体の流れを示す。
【0061】
この実施形態では、カフ109は中空のゴム又はプラスチックで構築され得る。通信モジュール45を含むモジュール、信号プロセッサ49、及び油圧モーター115は、施術者の腰の周囲のベルトに装着することができ、油圧ライン117は小さい直径の可とう性の管であり得る。カフ109は使い捨てであり得る。
【0062】
第3の代替実施形態
次に図8を参照すると、本発明の代替実施形態による、手首81の周囲に装着される触覚デバイス121の部分の概略図である。この実施形態は、触覚デバイス107(図7)と共通の構成要素を有する。しかし、カフ123は、それぞれが別個の油圧ライン127によって供給される複数のセル125に区画される。油圧モーター129は、図8に示すように、個別に作動されるポートを有し得る。あるいは、個別の油圧モーターは、それぞれ対応する油圧ライン127を介してセル125に供給してもよい。いずれにせよ、1つ又は複数の油圧モーター129は信号プロセッサ49によって制御される。
【0063】
この実施形態は触覚デバイス79(図6)と同じ改善された能力を有しており、これらについては、簡潔さのために説明を繰り返さない。
【0064】
第4の代替実施形態
次に図9を参照すると、本発明の代替実施形態による、手首81の周囲に装着される触覚デバイス131の部分の概略図である。この実施形態では、変形可能なブレスレット又はカフ133は、形状が変化する電気活性ポリマーを含有する1つ以上のセル135を有し、このポリマーが電気ケーブル137を介して信号プロセッサ49からの信号によって適切に刺激されると、セル135が個別にかつ独立して変形する。変形のタイミング及びパターンは、上述のように施術者によって感知される。
【0065】
第5の代替実施形態
次に図10を参照すると、これは、本発明の代替実施形態による、手首81の周囲に装着される改善された触覚デバイス139の部分の概略図である。
【0066】
この実施形態では、上述の通信モジュールの代わりに送受信機141が使用され、触覚デバイス43は、通信モジュール47(図2)から送信された情報の受信を確認し、データ及びコマンド信号を通信モジュール47に送信することができる。送受信機141は信号処理ユニット143に接続される。
【0067】
触覚デバイス139は、信号処理ユニット143に接続されたカフ145を含む。カフ145は、上述の実施形態のいずれかに従って構築され得る。カフ145は、信号処理ユニット143に接続された1つ以上のセンサー147によって改善されている。信号処理ユニット143は、センサー147からの信号を処理し、送受信機141にそれらを中継するように構成されており、次いで、送受信機はコンソール24(図1)にそれらを通信する。
【0068】
センサー147は、例えば、汗、血液化学、心拍数、又は更には心電図など、施術者の様々な生理学的及び化学的データを検出するように構成され得る。追加的又は代替的に、センサー147の一部は、手技中に、例えば、施術者の手の位置を検出できる位置センサーであってもよい。
【0069】
この実施形態は、施術者から得られたデータとアブレーションカテーテルから得られたデータとの相関によって、施術者のスキル及び手技の有効性の評価を可能にする。追加的又は代替的に、センサーデータは、所定の基準が満たされたときに施術者が手技を変更する又は終了することを引き起こすことができる。
【0070】
当業者であれば、本発明は、上記に具体的に示し、説明したものに限定されない点は認識されるところであろう。むしろ、本発明の範囲は、上記に述べた異なる特性の組み合わせ及び一部の組み合わせ、並びに上記の説明文を読むことで当業者には想到されるであろう、従来技術ではない変形及び改変をも含むものである。
【0071】
〔実施の態様〕
(1) アブレーション装置であって、
生存被験者の心臓内への挿入のために適応され、かつ前記心臓内の標的組織と接触させるように遠位に配置されたアブレーション電極を有する可とう性プローブであって、前記プローブと前記標的組織との間の接触力を測定するように動作可能である、可とう性プローブと、
施術者によって制御され、かつ前記標的組織を焼灼するために前記標的組織に対して前記アブレーション電極を介してある量のエネルギーを付加するように動作可能である、電源と、
前記接触力の前記測定の指示を送信するように動作可能な送信機と、
前記送信機からの信号を受信するための受信機、及び前記信号に応答するように前記施術者を触覚的に刺激するように動作可能なアクチュエータを有する着用可能なデバイスと、を備える、アブレーション装置。
(2) 前記着用可能なデバイスが、
ブレスレットと、
プロセッサと、
前記プロセッサに接続されていて、前記接触力が所定値に達したときに前記ブレスレットを振動するように動作可能な電気機械的アクチュエータと、を備える、実施態様1に記載のアブレーション装置。
(3) 振動することが、前記ブレスレットのサブディビジョンで独立して実行され、前記サブディビジョンが、前記施術者の身体部分上のそれぞれ対応の場所に近置するように適応され、かつ前記サブディビジョンが、膨張可能なセルを含み、かつ振動が空気圧又は油圧によって前記セルを独立に膨張及び収縮させることを含む、実施態様2に記載のアブレーション装置。
(4) 振動することが、前記ブレスレットのサブディビジョンで独立して実行され、前記サブディビジョンが、前記施術者の身体部分上のそれぞれ対応の場所に近置するように適応され、前記サブディビジョンが、電気活性ポリマーを含有する膨張可能なセルを備え、前記セルのうちの選択されたセルを膨張及び収縮させるために前記ポリマーを電気的に刺激することによって変形される、実施態様2に記載のアブレーション装置。
(5) 前記着用可能なデバイスが、
ブレスレットと、
プロセッサであって、前記接触力が前記プロセッサの制御下で所定値に達したときに前記アクチュエータが前記ブレスレットを変形させる、プロセッサと、を備える、実施態様1に記載のアブレーション装置。
【0072】
(6) 前記ブレスレットが、前記施術者の手首の周囲に装着されるように適応されたストラップを備え、前記アクチュエータが、前記ストラップの張力を電気機械的に変化させることによって前記ブレスレットを変形させるように動作可能である、実施態様5に記載のアブレーション装置。
(7) 前記ブレスレットが、電気活性ポリマーを含み、前記アクチュエータが、前記ポリマーを電気的に刺激することによって前記ブレスレットを変形させるように動作可能である、実施態様5に記載のアブレーション装置。
(8) 前記ブレスレットが、膨張可能なセルを備え、前記アクチュエータが、空気圧又は油圧によって前記セルを膨張及び収縮させることによって前記ブレスレットを変形させるように動作可能である、実施態様5に記載のアブレーション装置。
(9) 前記ブレスレットが、前記施術者の生理学的事象を検出するように動作可能なセンサーと、前記事象の指示を伝達するための送信モジュールと、を更に備える、実施態様5に記載のアブレーション装置。
(10) アブレーションの方法であって、
生存被験者の体内にプローブを挿入する工程であって、前記プローブがアブレーション電極を有する、工程と、
前記アブレーション電極を標的組織と接触関係にするよう働きかける工程と、
前記アブレーション電極と前記標的組織との間の接触力を測定する工程と、
前記測定を施術者に触覚的に伝達する工程と、
前記伝達された測定に応答して、前記アブレーション電極を用いて前記標的組織を焼灼しつつ前記接触力の所望値を達成するために前記プローブを調整する工程と、を含む、方法。
【0073】
(11) 触覚的に伝達する工程が、
カフを提供すること、及び
前記接触力が所定値に達したときに前記カフを振動することによって実行される、実施態様10に記載の方法。
(12) 振動することが、前記施術者の身体部分の周囲に配置されたストラップの張力を変化させることを含む、実施態様11に記載の方法。
(13) 振動することが、前記カフのサブディビジョンで独立して行われ、前記サブディビジョンが、前記施術者の身体部分のそれぞれ対応の場所に近置される、実施態様11に記載の方法。
(14) 前記カフの前記サブディビジョンが、膨張可能なセルを備え、振動することが、空気圧式又は油圧式に前記セルを独立して膨張及び収縮させることを含む、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記カフの前記サブディビジョンが、電気活性ポリマーを含有する膨張可能なセルを含み、前記ポリマーを電気的に刺激することによって前記セルを膨張及び収縮させることを更に含む、実施態様13に記載の方法。
【0074】
(16) 前記標的組織を焼灼しつつ、前記施術者の生理学的事象を感知する工程と、前記事象の指示を受信機に送信する工程とを更に含む、実施態様10に記載の方法。
(17) アブレーションの方法であって、
生存被験者の身体にプローブを挿入する工程であって、前記プローブがアブレーション電極及び感知電極を有する、工程と、
前記アブレーション電極を標的組織と接触関係にするよう働きかける工程と、
その後に、前記感知電極を用いて前記標的組織で少なくとも1つの電気解剖学的パラメータを測定する工程と、
前記測定を施術者に触覚的に伝達する工程と、
前記伝達された測定に応答して、前記アブレーション電極を使用して前記標的組織を焼灼する工程と、を含む、方法。
(18) 触覚的に伝達する工程が、
カフを提供すること、及び
前記電気解剖学的パラメータが所定値に達したときに前記カフを振動することによって実行される、実施態様17に記載の方法。
(19) 振動することが、前記施術者の身体部分の周囲に配置されたストラップの張力を変化させることを含む、実施態様18に記載の方法。
(20) 振動することが、前記カフのサブディビジョンで独立して行われ、前記サブディビジョンが、前記施術者の身体部分のそれぞれ対応の場所に近置するように適応される、実施態様18に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10