(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
軸状の脚部を有し、免震対象を支持する受容体と、前記脚部を移動可能に受入れる上部ユニットと、前記上部ユニットの下方に設けられた下部ユニットと、で構成され、前記上部ユニット及び前記下部ユニットによって前記受容体に掛かる震動を減衰する免震装置において、
前記上部ユニットと前記受容体との間に設けられた第1スプリング及び第1室と、前記第1室に封入されている第1流体と、を有し、前記第1スプリングの弾性力及び前記第1流体の圧縮に基づいて、少なくとも前記受容体に加わる垂直方向の力を減衰する第1免震機構と、
前記上部ユニットと前記下部ユニットとの間に設けられた第2スプリング及び第2室と、前記第2室に封入されている第2流体と、を有し、前記第2スプリングの弾性力及び前記第2流体の圧縮に基づいて、少なくとも前記受容体を介して前記上部ユニットに加わる水平方向の力を減衰する第2免震機構と、
前記上部ユニットと前記下部ユニットとの間に設けられた第3スプリング及び第3室と、前記第3室に封入されている第3流体と、を有し、前記第3スプリングの弾性力及び前記第3流体の圧縮に基づいて、少なくとも前記受容体を介して前記上部ユニットに加わる前記脚部を中心とする円周方向の力を減衰する第3免震機構と、
前記上部ユニットから突設されている枝部と、前記枝部に前記第2スプリングを介して移動可能に嵌合されている筒状のスリーブと、前記スリーブの先端に配置されると共に、前記第2スプリングによって前記下部ユニットの内面に付勢されて、前記内面を滑動する第1ボールと、を有する第1プランジャと、
前記下部ユニットの内面から突出する突起部と前記第1プランジャとの間に配置され、筒体と、前記筒体の内部に配置されると共に、前記筒体に前記第3スプリングを介して移動可能に取り付けられる中子筒体と、を有する第2プランジャと、
を備え、
前記上部ユニットは、前記第1プランジャ及び前記第2プランジャによって、前記下部ユニットに対して水平方向に摺動可能に配置される免震装置。
前記受容体は、球面状の凹部を備えた頭部と、前記頭部から垂設され、かつ前記上部ユニットに形成されている孔に摺動可能に嵌挿される前記脚部と、でなる略ボルト型に構成されている請求項1に記載の免震装置。
前記第2プランジャは、前記筒体と前記第1プランジャとに挟まれて配置されている第2ボールと、前記中子筒体と前記下部ユニットの内面から突出する前記突起部とに挟まれて配置されている第3ボールと、を有する請求項1から5のいずれか一項に記載の免震装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記文献1は、転倒防止が主体であり、免震効果は期待できない。従って、直接的な関係はないが、インシュレータという言葉の使用に、類似点がある。また、文献2は、上下方向と面方向において、防震ゴムとボール、並びにスプリングを配置する構造であって、免震効果を達成できる。しかし、装置全体が振動する構造であるので、例えば、重量物に対しの衝撃緩和は期待できないので、問題がある。さらに、文献3は、浮上り防止と免震を図るが、一面的な免震効果と考えられる。
【0005】
上記に鑑み、本発明は、例えば、音響機器においては、震動後において、保守管理等の作業を必要としない、免震効果が期待できる免震装置、或いは通常の免震装置の外観を保ちながら、目的とする、上下、左右を始めとして
四軸構造の免震効果が期待できる構造を提供する。また、例えば、半導体装置等の精密機器においても、衝撃が少なく、かつ故障の原因回避等が図れる、所謂、免震効果が期待できる免震装置を提供する。さらに、重量物、例えば、建物に関しての
四軸構造が図れる免震装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る免震装置は、
軸状の脚部を有し、免震対象を支持する受容体と、前記脚部を移動可能に受入れる上部ユニットと、前記上部ユニットの下方に設けられた下部ユニットと、で構成され、前記上部ユニット及び前記下部ユニットによって前記受容体に掛かる震動を減衰する免震装置において、
前記上部ユニットと前記受容体との間に設けられた第1スプリング及び第1室と、前記第1室に封入されている第1流体と、を有し、前記第1スプリングの弾性力及び前記第1流体の
圧縮に基づいて、少なくとも前記受容体に加わる垂直方向の力を減衰する第1免震機構と、
前記上部ユニットと前記下部ユニットとの間に設けられた第2スプリング及び第2室と、前記第2室に封入されている第2流体と、を有し、前記第2スプリングの弾性力及び前記第2流体の
圧縮に基づいて、少なくとも前記受容体を介して前記上部ユニットに加わる水平方向の力を減衰する第2免震機構と、
前記上部ユニットと前記下部ユニットとの間に設けられた第3スプリング及び第3室と、前記第3室に封入されている第3流体と、を有し、前記第3スプリングの弾性力及び前記第3流体の
圧縮に基づいて、少なくとも前記受容体を介して前記上部ユニットに加わる前記脚部を中心とする円周方向の力を減衰する第3免震機構と、
前記上部ユニットから突設されている枝部と、前記枝部に前記第2スプリングを介して移動可能に嵌合されている筒状のスリーブと、前記スリーブの先端に配置されると共に、前記第2スプリングによって前記下部ユニットの内面に付勢されて、前記内面を滑動する第1ボールと、を有する第1プランジャと、
前記下部ユニットの内面から突出する突起部と前記第1プランジャとの間に配置され、筒体と、前記筒体の内部に配置されると共に、前記筒体に前記第3スプリングを介して移動可能に取り付けられる中子筒体と、を有する第2プランジャと、
を備え、
前記上部ユニットは、前記第1プランジャ及び前記第2プランジャによって、前記下部ユニットに対して水平方向に摺動可能に配置される。
【0007】
前記受容体は
、球面状の凹部を備えた頭部と、
前記頭部
から垂設
され、かつ前記上部ユニットに
形成されている孔に摺動
可能に嵌挿される
前記脚部と、でなる略ボルト型
に構成
されていてもよい。
【0008】
前記第1スプリングは、前記受容体の前記脚部に捲装され、前記受容体を垂直方向に移動可能に支持してもよい。
【0009】
前記下部ユニットは内底を有し、
前記内底には、一個又は複数の前記第1プランジャが放射方向に配備されていてもよい。
【0010】
前記上部ユニットには、前記第1プランジャを支持する円筒状の支持部が放射方向に突出して形成されていてもよい。
【0011】
前記第2プランジャは、前記筒体と前記第1プランジャとに挟まれて配置されている第2ボールと、前記中子筒体と前記下部ユニットの内面から突出する前記突起部とに挟まれて配置されている第3ボールと、を有していてもよい。
【0012】
前記第2室は、前記枝部と前記スリーブとによって形成される密閉空間であり、
前記第3室は、前記筒体と前記中子筒体とによって形成される密閉空間であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の免震装置は、音響機器では、震動後において、調音等の保守管理等の作業を必要としない、免震効果が期待できる免震装置、或いは通常の免震装置の外観を保ちながら、目的とする、上下、左右を始めとして
四軸構造の免震効果が期待できる構造を提供できる。また、精密機器では、故障発生が少ない、免震効果が期待できる免震装置を提供できる。さらに、重量物、建物、橋梁等に関して
四軸構造が図れる免震装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1-1】本発明の免震装置をピアノに設置した斜視図
【
図1-2】本発明の免震装置を建屋に設置した斜視図
【
図1-3】本発明の免震装置を橋梁に設置した斜視図
【
図1-4】本発明の免震装置を大仏に設置した斜視図
【
図1-5】本発明の免震装置を成形機に設置した斜視図
【
図2-1】本発明の免震装置の第1の実施態様を示した正面図
【
図2-2】本発明の免震装置の第1の実施態様で、抜け防止を備えた他の例を示した正面図
【
図2-3】
図2−1の免震装置において、上部ユニットがY方向に移動した状態を示した正面図
【
図2-4】
図2−1の免震装置の要部(受容体と車輪、並びに抜け防止)の模式図
【
図3-1】本発明の免震装置の第1の実施態様を示した俯瞰図
【
図4-1】
図3−2(Oリングを受容体の脚部に設けた構造)の断面図
【
図4-2】第1の実施態様の変形例1(Oリングを上部ユニットのスリーブ部に設けた構造)を示した断面図
【
図4-3】第1の実施態様の変形例2(第2スプリングを下部ユニットのプランジャの中間軸部に捲装した構造)を示した断面図
【
図5-1】第1の実施態様において、受容体の頭部の受部にピアノの車輪を設置した状態を示している断面図
【
図5-2】第1の実施態様において、受容体の頭部の受部にピアノの車輪を設置した状態を示している断面図
【
図6-1】下部ユニットに対の第3スプリングを配備した、第2の実施態様を示している横断面図
【
図6-2】[イ]〜[ニ]は、
図6−1の第2の実施態様において、[イ]は下部ユニットが上方(+Z)に移動した状態を、[ロ]は下部ユニットが下方(−Z)に移動した状態を、[ハ]は下部ユニットが左方(−Y)に移動した状態を、[ニ]は下部ユニットが右方(+Y)に移動した状態を、それぞれ示した縮尺横断面図
【
図6-3】
図6−1において、第2スプリングを二重に設けた第2の実施態様の変形例1を示している横断面図
【
図6-4】
図6−1において、第2プランジャを設けた第2の実施態様の変形例2を示している横断面図
【
図6-5】
図6−1において、第1プランジャに、複合(複数条のスプリング)を設けた第2の実施態様の変形例3を示している横断面図
【
図6-6】
図6−4において、第1プランジャのスプリングの別の例を示した第2の実施態様の変形例4を示している横断面図
【
図6-7】
図6−1において、第2プランジャのみで形成した第2の実施態様の変形例5を示している横断面図
【
図7-1】本発明の第1の実施態様を分解して示した斜視図
【
図7-2】本発明の第1の実施態様において、第1スプリングの他の例であり、トーションスプリングを採用した分解して示した斜視図
【
図8-1】本発明の第3の実施態様であり、第1プランジャのみで構成した横断面図
【
図8-2】[イ]〜[ニ]は、
図8−1の第1の実施態様において、[イ]は下部ユニットが上方(+Yと+Z)に移動した状態を、[ロ]は下部ユニットが下方(−Yと+Z)に移動した状態を、[ハ]は下部ユニットが左方(+Z)に移動した状態を、[ニ]は下部ユニットが右方(−Z)に移動した状態を、それぞれ示した縮尺横断面図
【
図8-3】本発明の第3の実施態様の変形例2であり、多数基の第1プランジャのみで構成した横断面図
【
図9-1】本発明の第3の実施態様の変形例3であり、第2プランジャの配置を、第1プランジャと併設するように構成した横断面図
【
図9-2】本発明の第3の実施態様の変形例4であり、第1プランジャを着脱可能にする構成とした横断面図
【
図9-3】本発明の第3の実施態様の変形例5であり、第2プランジャを、第1プランジャ間に設ける構成とした横断面図
【
図10-1】本発明の第4の実施態様であり、第1プランジャを第4スプリングで作動するように構成した一部欠截の正面図
【
図10-3】本発明の第5の実施態様であり、第1プランジャと第2プランジャとを連動して作動するように構成した一部欠截の正面図
【
図10-5】本発明の第6の実施態様であり、第1スプリングに、衝撃吸収用のスプリングを備えるように構成した一部欠截の正面図
【
図10-7】本発明の第7の実施態様であり、第1スプリングに、衝撃吸収用のトーションスプリングを備えるように構成した一部欠截の正面図
【
図11-1】第1の実施態様において、その受容体が沈んだ状態の断面図
【
図11-2】
図11−1の沈んだ状態で、下部ユニットが+Z方向に移動した状態の断面図
【
図11-3】
図11−1の沈んだ状態で、下部ユニットが−Z方向に移動した状態の断面図
【
図11-4】
図11−1のさらに沈んだ(例えば、最低位置に沈んだ)状態の断面図
【
図11-5】
図11−1の最低位置に沈んだ状態で、下部ユニットが+Z方向に移動した状態の断面図
【
図11-6】
図11−1の最低位置に沈んだ状態で、下部ユニットが−Z方向に移動した状態の断面図
【
図12】本発明の第8の実施態様であり、受容体が、下部ユニットに、Z方向の全方向に搖動自在に設けた一例を示した断面図
【
図13】第1の実施態様〜第8の実施態様の組合せと、この組合せでは図示できない、その他の好ましい実施態様を説明する図表
【発明を実施するための形態】
【0016】
(免震装置の構成)
以下、本発明の実施態様に係る免震装置1について説明する。図中のXY平面は、各建屋の床面、地面、その他の面の水平面な面であり、図中のZ軸の方向は鉛直方向である。また、鉛直軸の回りに回転する向きを「回転方向」と称する。+Z側から−Z側を見て、+X側から−Y側に向かう回転方向を「時計回り」と称する。+Z側から−Z側を見て、+X側から+Y側に向かう回転方向を「反時計回り」と称する。
【0017】
各実施態様に係る免震装置1は、
図1−1〜
図1−5に示すように、例えば、円柱状の装置である点で共通する。免震装置1は、各種の重量物(重さ、大きさは問わない)、例えば、ピアノ2等の音響機器等の免震すべき対象の下部に取り付けられ、免震すべき対象に外部からの振動が伝わることを防ぐ。免震装置1は、
図3−1に示されるように、水平面に設置される。免震装置1のサイズは、好ましくは、縦(Y軸方向)24cm×横(X軸方向)24cm×高さ(Z軸方向)12.9cmとする構造である。この一例では、免震装置1は、全体構造は、例えば、
図4−1〜
図5−2に示す、第1の実施態様の如く、外郭部を、組付け関係となる上部ユニット30及び下部ユニット80と、上部ユニット30に挿設され、一部が下部ユニット80に望む受容体20と、この受容体20を、上部ユニット30及び下部ユニット80に収容する、上部ユニット30にネジ11等の止め具で取付ける蓋体10と、で構成する。そして、受容体20と上部ユニット
30の支持部(後述する。支持部30cは、下部ユニット80内にセットされる)に挿設された第1スプリング41と、この上部ユニット
30の支持部(後述する)と、下部ユニット80の内面との間に設けられる第1プランジャ50(50a〜58n)と、第1プランジャ50と下部ユニット80の内面との間に設けられる第2プランジャ55(55a〜55n)と、支持部30cと下部ユニット80の内底面に設けた転動用のボール70と、を備える。
【0018】
以下、前記の主要構造を、順に説明する。
【0019】
上部ユニット30は、円盤状の本体部30aと、この本体部30aより垂下したスリーブ50cと、このスリーブ50cの放射方向に迫出した環状、又はターミナル形状の複数枝でなる支持部30cとで構成する。そして、スリーブ50cと支持部30cとが、下部ユニット80内にセットされる。図中30dは本体部30aに開設した開口凹部である。本体部30aの鍔部が、下部ユニット80の環状の壁面80aに隙間Aを設けて載架されている。支持部30cには、第1プランジャ50が設けられており、この第1プランジャ50は、転動用のボール51(51a〜51n)を介して、下部ユニット80の壁面80aの内面80a1に接触する。また、
図6−1に示すように、第1プランジャ50と下部ユニット80の内面80a1との間には、第2プランジャ55が設けられ、この第2プランジャ55の両端部には、ボール52(52a〜52n)、53(53a〜53n)が設けられている。このボール51〜53は、上部ユニット30及び下部ユニット80とか、第1プランジャ50及び第2プランジャ55の全方向(
4軸方向、例えば、上下、左右、前後
、ヨーイング等=
四軸機構」)動き、又はこれらに対する衝撃緩和、故障回避、並びに本発明の免震効果等を図る。
【0020】
第1プランジャ50は、
図4−1の断面図、
図6−1の横断面図等に示すように、平面視して、4方向(4基)に配置されている。この例では、スリーブ50cより、枝分かれした支持部30cと、本体部30a(ソケット)との間に設けた複数の筒体30eと、この各筒体30e間に、それぞれ突出した軸部50bと、この各軸部50bを中心に備え、かつ各筒体30eに嵌合、かつ移動可能に設けられる各スリーブ50cと、各筒体30eより放射方向に突設した各枝部30fと、この各筒体30eと各枝部30fの間に設けた第2スプリング50dと、で構成されている。また、第1プランジャ50には第2アクチュエータ5000(空気、液体、気体の吸排気用の孔を開設する。他の例も同じ)を設ける。この第2アクチュエータ5000用の部屋を確保するために、支持部30cとか、本体部30a、又は軸部50b、スリーブ50c等の各適所に、図示した、一条、又は数条の封止部材(Oリング「符号付さず」)を設ける。そして、第2スプリング50dは、
図6−3では、二重構造とし、第2スプリング50dを、スリーブ50cと支持部30c、又は筒体30eとの間に係止する。尚、第1プランジャ50は、
図8−3の例では、6基である。基数は、原則として自由である(ユーザーの要望と、重さ、大きさ等に対応可能とする。以下、同じ)。
【0021】
第2プランジャ55は、
図6−1の横断面図等に示すように、図において、平面視して、2方向(2基)に配置されている。また
図6−4では、4基に配置されている。さらに、
図9−3では、1基である。また、取付け状態は、ストレートとか、傾斜等があり、原則として自由である。この例では、第1プランジャ50の支持部30c(ソケット)に設けた筒体55aと、この筒体55a内に設け、かつ内面80a1の後述する突起部に転動自在に設けたボール53を介して連繋する中子筒体55bと、この筒体55aと中子筒体55bとの間に設けた第3スプリング55cと、で構成されている。また、第2プランジャ
55には第3アクチュエータ5500を設ける。この第3アクチュエータ5500用の部屋を確保するために、筒体30eと、
中子筒体55b等の各適所に、一条、又は数条の封止部材(Oリング「符号付さず」)を設ける。Oリングの条数は、原則として自由である。また、
図6−3の如く、中子筒体55b内にも、第3スプリング55cを設けることで、第1プランジャ50と同様の二重構造もあり得る。
【0022】
下部ユニット80は、上面に開口80bが形成されている円柱状の筐体で、80aは壁面を示す。80cは底面で、その外底面80c1には、防滑部材が設けられる。尚、壁面80aの内面80a1には突起部80d、80e(
図7−1、
図7−2、
図9−1、並びに
図9−2に示した、内面80a1の貫通孔に、着脱自在に設けるキャップを含む)が設けられており、ボール52、53の一端を抱持する。また、第1プランジャ50の筒体30eにも突起部を形成し、ボール52、53の他端を抱持する。内底面80c2には、突起部80fを形成し、ボール70を抱持する。尚、
図2−2において、下部ユニット80の盲動防止として、底面延設部80c3という拡大鍔片を形成し、止め具を利用して、床面等に固止する構造もあり得る。
【0023】
この下部ユニット80の壁面80aには、上部ユニット30の鍔形状を備えた本体部30aが載架されるとともに、第1プランジャ50及び第2プランジャ55(第2スプリング50d及び第3スプリング55c、及び
/又は、第2アクチュエータ5000及び第3アクチュエータ5500)の働きで、上部ユニット30が、
4軸方向に移動し、免震を図る構造である。
【0024】
図6−1〜
図6−7に示した第2の実施態様は、第1プランジャ50及び第2プランジャ55と、第2スプリング50d及び第3スプリング55cとの組合せであって、多様な構造の第2実施態様を示している。例えば、
図6−1は、下部ユニット80に、第1プランジャ50を十文字形で、第2プランジャ55を、対に配備した、第2の実施態様を示している。
図6−3は、下部ユニット80に、第1プランジャ50を十文字形で、かつ第2スプリング50dをダブルにし、第2プランジャ55を、対に配備し、かつ第3スプリング55cをダブルに配備した、第2の実施態様を示している。
図6−4は、下部ユニット80に、第1プランジャ50を十文字形で、第2プランジャ55を、十文字形に配備した、第2の実施態様を示している。さらに、
図6−5は、下部ユニット80に、第1プランジャ50を十文字形で、かつ第2スプリング50dをダブルにし、第2プランジャ55を、十文字形に配備した、第2の実施態様を示している。尚、
図6−6は、下部ユニット80に、第1プランジャ50を十文字形で、かつスリーブ50cの外周面(外周面には、
上部ユニット30の本体部30aと、スリーブ50cとの間に形成した隙間Cを必要とする。「図示しない」)に第2スプリング50dを捲装し、第2プランジャ55を、十文字形に配備した、第2の実施態様を示している。また、
図6−7は、下部ユニット80に、第1プランジャ50はボール51を備えた支持部材とし、第2プランジャ55を、十文字形に配備した、第2の実施態様を示している。いずれにしても、それぞれの態様の組合せと、実施態様がある。
【0025】
また、
図8−1〜
図9−3に示した第3の実施態様は、第2の実施態様の変形例の配置構造であり、この第3の実施態様では、
図8−1〜
図8−3は、第1プランジャ50と第2スプリング50dとの組合せによるシンプルな構造と、
図9−1〜
図9−3は、第1・第2プランジャ50、55と、第2・第3スプリング50d、55cとの組合せ等に高精度の構造を示している。その他の構造は、前述の第1・第2の実施態様に準ずる。
【0026】
尚、
図10−1〜
図10−8に示した第4の実施態様は、第1プランジャ50を簡略化し、この第1プランジャ50と上部ユニット30の筒体30eとの間に、第4スプリング30gを設けた各実施態様を示している。その他は、前述の第1・第2の実施態様に準ずる。また、
図10−5、
図10−6の例では、第1スプリング41の座面と、頭部20aの底面の凹み部との間に、戻りスプリング41bを設けた構造である。
図10−7、
図10−8の例では、第1スプリング41の座面と、頭部20aの底面の凹み部との間に、トーションスプリング41cを設けた構造である。第1スプリング41の小径化とか、補強と迅速化、又は疲労軽減化等を図る。
【0027】
図中20は受容体であり、曲面形状の凹部21を備えた頭部20aと、この頭部20aより垂下した脚部20bとで構成される。この受容体20は、頭部20aが、上部ユニット30の開口凹部30dに移動可能(頭部20aと、開口凹部30dの内面側で形成されるスペースBの寸法内で移動する)に装着され、かつOリングで密封されている。従って、開口凹部30dは、頭部20aの底部と、スリーブ30bとの関係で、第1アクチュエータ40を形成する。また、頭部20aの底部と、スリーブ50cとの間には、第1スプリング41を装置する。尚、脚部20bと下部ユニット80の内底面80c2との間には、受容体20の上下動を担保する空間Hが形成されている。尚、第1スプリング41は、
図7−2で示すように、トーションスプリング41aとすることもあり得る(他のスプリングも、トーションスプリングを採用することもあり得る)。このトーションスプリング41aを採用する実施態様では、安定性とか、免震効果拡充、又は疲労軽減化等を図る。
【0028】
尚、受容体20は、
図1−1のピアノ2の脚部、
図1−2の建屋の脚部、
図1−3の橋梁の脚部、
図1−4の大仏の脚部、
図1−5の成形機の脚部等を設置する。また、
図2−2と
図2−3の例では、脚部20bが、受容体20より離間しないように、車輪100の軸部100aを、受容体20のブラケット20cに嵌着することもあり得る。受容体20の抜け防止構造として、脚部20bの端部には、リング20d、突起等を設け、スリーブ50cからの脱外防止を図る。リング20dは空間Hに位置する。
【0029】
図中10はドーナツ形状の蓋体であり、上部ユニット30の本体部30aに止め具で支持されるとともに、受容体20の頭部20aの段付部を挾持し抜け防止を図る。
【0030】
図12の例では、開口凹部30dの内側と、頭部20aの外側、及び
/又は、スリーブ30bの内側筒部30b1と、脚部20bの外側との間に、隙間Cを形成する構造である。これにより、図示の如く、全方向の揺動角度θ、θ1等を確保でき、免震効果の拡充が図れる。
【0031】
次に、免震装置1の動作を詳細に説明する。
【0032】
図1−1〜
図1−5に示した、使用態様では、受容体20の凹部21に、ピアノ2の脚部20bが設置される。従って、鉛直方向の振動、又は衝撃に関しては、
図11−1、
図11−4に示されるように、第1スプリング41の伸縮とともに、第1アクチュエータ40の圧
縮により(第1免震機構の働きで)、受容体20が、開口凹部30dとスリーブ50cの中を、上下動し、吸収かつ減衰する。ピアノ2に対する鉛直方向の振動、又は衝撃を緩和する。一方、水平方向(床面方向)の振動、又は衝撃に関しては、各図に示されるように、第1プランジャ50、及び
/又は、第2プランジャ55の伸縮(第2スプリング50d及び
/又は第3スプリング55cの伸縮と、第2アクチュエータ5000及び
/又は第3アクチュエータ5500の圧
縮)を介して(第2免震機構の働きで)、上部ユニット30が左右方向に移動し、吸収かつ減衰する。ピアノ2に対する水平方向の振動、又は衝撃を緩和する。そして、第1プランジャ50及び第2プランジャ55と、第2スプリング50d及び第3スプリング55cとを備えた、例えば、
図6−4、
図6−5と、
図9−1、
図9−2等においては、第1免震機構の働きと、第2免震機構の働きとが、合体する免震機構であるが、それぞれ単独の例、即ち、第1免震機構の働きと、第2免震機構の働きとが、別の例である。何れも免震効果は期待できる。尚、ボール70と、ボール51、52の働きで、水平方向の上部ユニット30の動きを保証し、水平方向の振動、又は衝撃を緩和する。何れにしても、地震は、複合的であり、前述の各動作と、振動、又は衝撃を緩和することで、達成できる。
【0033】
図6−2[イ]〜[ニ]において、免震と、本発明の動作とを、説明する。
【0034】
[イ]は、下部ユニット30が左方(−Y)に移動し、向かって、+Y側の第1プランジャ50を圧縮する(縮む)ことで、震動、及び/又は、衝撃を吸収する(免震する)。逆に、−Y側の第1プランジャ50を伸張する(伸びる)。また、向かって、+Z側の第2プランジャ55を圧縮することで、震動、及び/又は、衝撃を吸収する。逆に、−Z側の第2プランジャ55を伸張する。
【0035】
次に、[ロ]は、下部ユニット30が右方(+Y)に移動し、[イ]の状態より、第1プランジャ50が逆の動きをする。第2プランジャ55は、[イ]の第2プランジャ55と同じ動きをする。
【0036】
続いて、[ハ]は下部ユニット30が下方(−Z)に移動し、向かって、+Z側の第1プランジャ50を圧縮することで、震動、及び/又は、衝撃を吸収する(免震する)。逆に、−Z側の第1プランジャ50を伸張する。また、向かって、+Z側の第2プランジャ55を圧縮することで、震動、及び/又は、衝撃を吸収する。逆に、−Z側の第2プランジャ55を伸張する。
【0037】
そして、[ニ]は、下部ユニット30が上方(+Z)に移動し、[ハ]の状態より、第1プランジャ50が逆の動きをする。第2プランジャ55は、[ハ]の第2プランジャ55と同じ動きをする。
【0038】
以上の[イ]〜[ニ]の動きで、少なくとも、地震で、下部ユニット80が移動しても、
上部ユニット30は、略、静止した状態であり、水平方向の免震が図れる。
【0039】
そして、前述した各図における鉛直方向、及び水平方向、並びに前述した
図12による揺動方向の免震が図れる。即ち、前記鉛直方向・水平方向の免震に、揺動方向の免震が図れることで、総合的な免震が達成できると考えられる。
【0040】
尚、
図8−2における動きも、
図6−2の例に準ずる。
【0041】
また、
図11−1〜
図11−6の動きを説明すると、
図11−1は、第1の実施態様において、その受容体20が沈んだ状態の断面図を、
図11−2は、
図11−1の沈んだ状態で、下部ユニット80が+Z方向に移動した状態の断面図を、
図11−3は、
図11−1の沈んだ状態で、下部ユニット80が−Z方向に移動した状態の断面図を、また、
図11−4は、
図11−1の受容体20がさらに沈んだ(例えば、最低位置に沈んだ)状態の断面図を、
図11−5は、
図11−1の最低位置に沈んだ状態で、下部ユニット80が+Z方向に移動した状態の断面図を、
図11−6は、
図11−1の最低位置に沈んだ状態で、下部ユニット80が−Z方向に移動した状態の断面図を、それぞれ示しており、免震態様の基本的な動きである。
【0042】
図13は、
図6−1を基準として、Oリングによるダンパー効果と、第1プランジャ50の第2スプリング50d・第2アクチュエータ5000と、第2プランジャ55の第3スプリング55c・第3アクチュエータ5500等の組合せ(組付けの有無)と、機能優劣(免震の有効性)、並びに第2スプリング50dと第3スプリング55cの二重構造等に関する図表である。
【0043】
以上、本実施態様について説明したが、本発明は、上記実施態様によって限定されるものではなく、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施態様及び変形が可能とされるものである。上述した実施態様は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。