特許第6370650号(P6370650)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6370650路面標示ブロック及び路面標示ブロックを覆うカバー部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6370650
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】路面標示ブロック及び路面標示ブロックを覆うカバー部材
(51)【国際特許分類】
   E01F 9/00 20160101AFI20180730BHJP
   E01F 9/582 20160101ALI20180730BHJP
   E01F 9/559 20160101ALI20180730BHJP
【FI】
   E01F9/00
   E01F9/582
   E01F9/559
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-186515(P2014-186515)
(22)【出願日】2014年9月12日
(65)【公開番号】特開2016-56666(P2016-56666A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2017年8月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】東洋ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 秀樹
【審査官】 神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−207276(JP,A)
【文献】 実開平07−020308(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3019876(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0133750(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/00
E01F 9/559
E01F 9/582
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車道路に敷設される路面標示ブロックであって、
四角錐台状の本体ブロックの傾斜側面に発光部が埋設され、
前記傾斜側面の表面であって前記発光部の上方及び下方には、衝撃緩衝用凸部がそれぞれ設けられていることを特徴とする路面標示ブロック。
【請求項2】
前記衝撃緩衝用凸部は、水平方向に延びる突条体であることを特徴とする請求項1に記載の路面標示ブロック。
【請求項3】
前記傾斜側面は、一対の前記衝撃緩衝用凸部の間に、内側へ向かって凸となる円弧面を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の路面標示ブロック。
【請求項4】
前記衝撃緩衝用凸部は、突出高さが5mm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の路面標示ブロック。
【請求項5】
自動車道路に敷設される四角錐台状の路面標示ブロックの少なくとも一部を覆うカバー部材であって、
前記路面標示ブロックの傾斜側面を覆う傾斜部に発光部が埋設され、
前記傾斜部の表面であって前記発光部の上方及び下方には、衝撃緩衝用凸部がそれぞれ設けられていることを特徴とするカバー部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡幅、車線数の変更などが予定されている道路などに暫定的に設けられた車線中央分離帯あるいは走行車線を区分する線上に敷設されて、車線分離帯であることを自動車運転者に立体的に標示するとともに、ハンドル操作を誤った自動車が隣車線に進入するのを防止する路面標示ブロック、及び路面標示ブロックを覆うカバー部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
かかる路面標示ブロックとして、下記特許文献1には、底面が細長い長方形である略截頭四角錐形の本体ブロックの上方または側面に発光ダイオードと反射板を、長手方向を指向して設け、上面にソーラー電池、内部に蓄電装置を備えたことを特徴とする暫定車線分離帯ブロックが記載されている。発光ダイオードを自動車の進行方向に指向して設け、夜間に点滅発光させることで夜間及び薄暗い場所での視認性を向上させることができる。
【0003】
しかしながら、このような路面標示ブロックは、自動車のタイヤによって発光ダイオード等の発光部が踏まれて衝撃を受けると、発光部が点灯しなくなったり、発光部が破損して飛散したりする問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−230218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、自動車による衝撃から発光部を保護可能な路面標示ブロック及び路面標示ブロックを覆うカバー部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明に係る路面標示ブロックは、自動車道路に敷設される路面標示ブロックであって、四角錐台状の本体ブロックの傾斜側面に発光部が埋設され、前記傾斜側面の表面であって前記発光部の上方及び下方には、衝撃緩衝用凸部がそれぞれ設けられていることを特徴とするものである。
【0007】
この構成による路面標示ブロックの作用効果を説明する。本発明の路面標示ブロックは、四角錐台状の本体ブロックの傾斜側面に発光部が設けられているため、発光部を発光させることで夜間や薄暗い場所での視認性を向上させることができる。また、本発明の路面標示ブロックは、傾斜側面の表面であって発光部の上方及び下方に衝撃緩衝用凸部がそれぞれ設けられていることで、自動車のタイヤによって踏まれた際にも、発光部への衝撃が緩和されるため、自動車による衝撃から発光部を保護することができる。
【0008】
本発明に係る路面標示ブロックにおいて、前記衝撃緩衝用凸部は、水平方向に延びる突条体であることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、衝撃緩衝用凸部がタイヤからの衝撃を広範囲に受け止めるため、自動車による衝撃から発光部を適切に保護することができる。
【0010】
本発明に係る路面標示ブロックにおいて、前記傾斜側面は、一対の前記衝撃緩衝用凸部の間に、内側へ向かって凸となる円弧面を有することが好ましい。
【0011】
この構成によれば、発光部が内側へ向かって凸となる円弧面に埋設されることとなり、発光部がタイヤにより一層接触しにくくなるため、自動車による衝撃から発光部を適切に保護することができる。
【0012】
本発明に係る路面標示ブロックにおいて、前記衝撃緩衝用凸部は、突出高さが5mm以上であることが好ましい。
【0013】
衝撃緩衝用凸部の突出高さが5mm以上とすることで、発光部がタイヤに確実に接触しにくくなるため、自動車による衝撃から発光部を適切に保護することができる。
【0014】
また、上記課題を解決するため本発明に係る路面標示ブロックを覆うカバー部材は、自動車道路に敷設される四角錐台状の路面標示ブロックの少なくとも一部を覆うカバー部材であって、前記路面標示ブロックの傾斜側面を覆う傾斜部に発光部が埋設され、前記傾斜部の表面であって前記発光部の上方及び下方には、衝撃緩衝用凸部がそれぞれ設けられていることを特徴とするものである。
【0015】
この構成によるカバー部材の作用効果を説明する。本発明のカバー部材は、四角錐台状の路面標示ブロックの傾斜側面を覆う傾斜部に発光部が設けられているため、発光部を発光させることで夜間や薄暗い場所での視認性を向上させることができる。また、本発明のカバー部材は、傾斜部の表面であって発光部の上方及び下方に衝撃緩衝用凸部がそれぞれ設けられていることで、自動車のタイヤによって踏まれた際にも、発光部への衝撃が緩和されるため、自動車による衝撃から発光部を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】路面標示ブロックの一例を示す斜視図
図2A】路面標示ブロックの平面図
図2B】路面標示ブロックの側面図
図3】発光部付近を拡大して示す側面図
図4】別実施形態に係る路面標示ブロックの発光部付近を拡大して示す側面図
図5】路面標示ブロックを覆うカバー部材の一例を示す斜視図
図6図5に示すカバー部材のA−A断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る路面標示ブロックの好適な実施形態を図面を用いて説明する。図1は、路面標示ブロック1の一例を示した斜視図である。図2Aは路面標示ブロック1の平面図、図2Bは路面標示ブロック1の側面図である。図3は、発光部3付近を拡大して示している。
【0018】
路面標示ブロック1は、四角錐台状の本体ブロック2を備える。本体ブロック2は、底面が細長い長方形、例えば長さ1000mm、幅200mmの略四角錐台の外観形状を有している。本体ブロック2は、例えば合成樹脂等で形成される。
【0019】
路面標示ブロック1は、長手方向が道路の進行方向に沿うように設置される。本体ブロック2の上面20には、ボルト穴25が形成されており、不図示のボルトにより路面上に固定される。
【0020】
本体ブロック2の長手方向を向く傾斜側面21,22には、発光部3が埋設されている。本実施形態では、傾斜側面21,22にそれぞれ3個ずつ発光部3が設けられている。発光部3を発光させることで、夜間や薄暗い場所でも自動車運転者が路面標示ブロック1を視認しやすくなる。
【0021】
発光部3としては、LEDが例示される。ただし、発光部3は、LEDに限定されず、ELランプ、HIDランプ、ハロゲンランプ等を使用することができる。LEDは、傾斜側面21,22に形成された凹部に挿入され、点灯部の表面が傾斜側面21,22の外表面を超えないように埋め込まれた状態で取り付けられる。また、反応硬化性樹脂、例えばエポキシ樹脂を用いてLEDの封止をすることが好ましい。
【0022】
本体ブロック2の傾斜側面21,22の表面であって、発光部3の鉛直方向の上方及び下方には、衝撃緩衝用凸部4がそれぞれ設けられている。これにより、自動車のタイヤTによって路面標示ブロック1が踏まれた際にも、一対の衝撃緩衝用凸部4がタイヤTを2点で支持することができるため、発光部3への衝撃が緩和され、自動車による衝撃から発光部3を保護することができる。
【0023】
衝撃緩衝用凸部4は、水平方向に延びる突条体となっている。衝撃緩衝用凸部4の形状は、突条体に限定されないが、水平方向に長い形状の衝撃緩衝用凸部4であれば、タイヤTからの衝撃を広範囲に受け止めるため、自動車による衝撃から発光部3を適切に保護することができる。
【0024】
衝撃緩衝用凸部4の断面は、特に限定されず、矩形、台形、半円形、これらの組み合わせ等の任意の形状を採用し得る。本実施形態の衝撃緩衝用凸部4の断面は、矩形と半円形を組み合わせた形状となっている。ただし、衝撃緩衝用凸部4は、断面円弧状の先端部を有することが好ましい。衝撃緩衝用凸部4の先端部が尖っていると、タイヤTを傷付けるおそれがある。
【0025】
衝撃緩衝用凸部4は、突出高さhが5mm以上であることが好ましい。衝撃緩衝用凸部4の突出高さhが5mmよりも低いと、タイヤTが発光部3に接触しやすくなり、自動車による衝撃から発光部3を適切に保護することができない。
【0026】
また、衝撃緩衝用凸部4同士の間隔dは、50mm以下であることが好ましい。衝撃緩衝用凸部4同士の間隔dが50mmよりも広くなると、タイヤTが発光部3に接触しやすくなり、自動車による衝撃から発光部3を適切に保護することができない。なお、間隔dは、衝撃緩衝用凸部4の中心間の距離とする。
【0027】
本体ブロック2の上面20には、太陽電池5が配設されている。また、本体ブロック2の内部には、太陽電池5から得られた電気を蓄えるためのコンデンサー、制御のための回路基板などの蓄電部材(不図示)が収容される。蓄電部材と発光部3および太陽電池5とは、リード線で接続される。これにより、昼間に太陽電池5が発電した電気を蓄電部材に蓄電し、夜間に蓄電部材に蓄電した電気で発光部3を発光させることができる。
【0028】
<別実施形態>
(1)図4は、別実施形態に係る路面標示ブロック1の発光部3付近の拡大図である。図4のように、路面標示ブロック1の傾斜側面21,22は、一対の衝撃緩衝用凸部4の間に、内側へ向かって凸となる円弧面26を有することが好ましい。円弧面26の鉛直方向の断面形状は、衝撃緩衝用凸部4の根元部同士を繋ぐ円弧となっている。この円弧の曲率半径は、10mm以下が好ましい。発光部3は、円弧面26の最深部に埋設される。これにより、発光部3がタイヤTにより一層接触しにくくなるため、自動車による衝撃から発光部3を適切に保護することができる。
【0029】
(2)また、図1図2A等に示すように、本体ブロック2の短手方向を向く傾斜側面23,24にさらに発光部3を埋設するようにしてもよい。これにより、自動車運転者からの視認性をさらに向上することができる。
【0030】
(3)図5は、本発明のカバー部材6の一例を示した斜視図である。図6は、図5に示すカバー部材6のA−A断面図である。カバー部材6は、自動車道路に敷設される四角錐台状の路面標示ブロック1の少なくとも一部を覆うものである。この実施形態のカバー部材6は、路面標示ブロック1の長手方向の一方側を覆っており、略四角錐台状の外観形状を有している。
【0031】
路面標示ブロック1の長手方向を向く傾斜側面を覆う傾斜部61には、発光部3が埋設されている。傾斜部61の表面であって発光部3の上方及び下方には、衝撃緩衝用凸部4がそれぞれ設けられている。傾斜部61の表面は、一対の衝撃緩衝用凸部4の間に、内側へ向かって凸となる円弧面を有してもいてよい。また、カバー部材6の上面60には、太陽電池5が配設されており、カバー部材6の内面には、蓄電部材を収容するための凹部62が形成されている。
【符号の説明】
【0032】
1 路面標示ブロック
2 本体ブロック
3 発光部
4 衝撃緩衝用凸部
6 カバー部材
21 傾斜側面
22 傾斜側面
26 円弧面
61 傾斜部
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6