特許第6370756号(P6370756)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6370756
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】電池配索用電線及びワイヤーハーネス
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/02 20060101AFI20180730BHJP
   H01B 7/282 20060101ALI20180730BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20180730BHJP
   H01M 2/20 20060101ALI20180730BHJP
   H01B 3/44 20060101ALN20180730BHJP
   H01B 13/32 20060101ALN20180730BHJP
【FI】
   H01B7/02 Z
   H01B7/282
   H01B7/00 301
   H01M2/20 Z
   !H01B3/44 B
   !H01B13/32
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-187728(P2015-187728)
(22)【出願日】2015年9月25日
(65)【公開番号】特開2017-62951(P2017-62951A)
(43)【公開日】2017年3月30日
【審査請求日】2016年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】土佐谷 雄紀
(72)【発明者】
【氏名】近藤 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】安田 奈美子
【審査官】 神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−164961(JP,A)
【文献】 特開2010−257686(JP,A)
【文献】 特開2012−059600(JP,A)
【文献】 特開2008−262733(JP,A)
【文献】 特開2010−073486(JP,A)
【文献】 実開昭54−101380(JP,U)
【文献】 特開2012−252869(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/02
H01B 7/00
H01B 7/282
H01M 2/20
H01B 3/44
H01B 13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ性の電解液を有する電池と機器との間に配索される電池配索用電線であって、
単線にて構成される導体部と、
前記導体部を被覆すると共にポリ塩化ビニルからなる被覆部と、を備え、
一方の端面を10mmだけ前記アルカリ性の電解液に浸漬させ、全体を略半円となるように配置して、72時間経過したときに前記導体部及び前記被覆部間において液体の進行長さが200mm以下となる
ことを特徴とする電池配索用電線。
【請求項2】
前記ポリ塩化ビニルの重合度は1000以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の電池配索用電線。
【請求項3】
請求項1又は請求項2のいずれかに記載の電池配索用電線を含む
ことを特徴とするワイヤーハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池配索用電線及びワイヤーハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、HEV車等には複数の単位セルを直列に接続してなるバッテリが搭載されることが知られている。このようなバッテリとしては、例えばニッケル水素電池が使用されることが知られている。ニッケル水素電池内には電解液が封入されており、充放電のときに内部でいくらかのガスが発生する。発生したガスは、通常の充放電時には外部に排出されることが殆どない。しかし、過放電状態での強制放電時、継続した過充電時、更には急激な温度上昇となる大電流放電時やショート時には、ガスが異常発生して電池内部で吸収しきれなくなる。このような場合において電池内部が異常圧力となり破裂してしまうことを防止すべく電池には安全弁(ガス排出弁)が設けられる。
【0003】
しかし、上記のような安全弁が動作した場合、ガスの放出と同時に内部の電解液が漏れ出ることがあった。また、安全弁動作時以外にもバッテリ温度上昇によるクリープ変形などの種々の理由から電解液が液漏れすることがある。そして、電解液が液漏れすると、電池と機器(例えば電子基盤)とを接続する電線に対して電解液が毛細管現象により伝ってしまい、機器を破壊(ショート)させてしまう可能性があった。
【0004】
この対策として、電線に取り付けられる端子の圧着面側(圧着バレルが延びる側)がバッテリの電極と反対側に向くようにしたり、吸水性ポリマーシート等のシール材を電線内部に設けて電解液を吸収及び吸着するようにしたりすることが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−257686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の対策では、端子の向きが限定されたり、シール材による加工工数の増加を招いたりすることとなっていた。
【0007】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、電解液による機器の破壊を防止するにあたり、端子の向きが限定されず、加工工数の増加を抑えることが可能な電池配索用電線及びワイヤーハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電池配索用電線は、アルカリ性の電解液を有する電池と機器との間に配索される電池配索用電線であって、単線にて構成される導体部と、前記導体部を被覆すると共にポリ塩化ビニルからなる被覆部と、を備え、一方の端面を10mm前記アルカリ性の電解液に浸漬させ、全体を略半円となるように配置して、72時間経過したときに前記導体部及び前記被覆部間において液体の進行長さが200mm以下となることを特徴とする。
【0009】
本発明の電池配索用電線によれば、導体部が単線であるため、撚線の場合と比較して毛細管現象により電解液が吸い上げられ難くなる。また、被覆部がポリ塩化ビニルであるため、アルカリ性の電解液が化学反応により水に変化することとなり、毛細管現象による吸い上げを抑えることとなる。以上により、機器にまで液体が及んでしまう可能性を低減できることとなる。しかも、電線に取り付ける端子の向きを所定方向としたり電線端末に半田等の止水処理を行ったりする必要もない。従って、電解液による機器の破壊を防止するにあたり、端子の向きが限定されず、加工工数の増加を抑えることができる。さらに、一方の端面を10mmアルカリ性の電解液に浸漬させ、全体を略半円となるように配置して、72時間経過したときに導体部及び被覆部間において液体の進行長さが200mm以下となるため、200mmを超える電線にて、電池と機器とを接続すれば電解液の液漏れ時においても液体が機器まで到達する可能性を減じることができる。
【0012】
また、電池配索用電線において、前記ポリ塩化ビニルの重合度は1000以上であることが好ましい。
【0013】
この電池配索用電線によれば、ポリ塩化ビニルの重合度は1000以上であるため、機器にまで液体が及んでしまう可能性をより低減でき、機器を破壊させてしまう可能性を一層低減することができる。
【0014】
また、本発明のワイヤーハーネスは、上記のいずれかに記載の電池配索用電線を含むことを特徴とする。
【0015】
このワイヤーハーネスによれば、機器を破壊させてしまう可能性を低減すると共に、加工工数の増加を抑えることが可能なワイヤーハーネスを提供することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、機器を破壊させてしまう可能性を低減すると共に、加工工数の増加を抑えることが可能な電池配索用電線及びこれを用いたワイヤーハーネスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態に係る電池配索用電線を含むワイヤーハーネスである。
図2図1に示した電池配索用電線を示す断面図である。
図3】電解液の吸い上げの様子を示す概念図であり、(a)は本実施形態に係る例を示し、(b)は導体部が撚線であるときの例を示している。
図4】毛細管現象での液体吸い上げによる液面高さを示す図である。
図5】各種電線サンプルに対する液面上昇を測定するときの電線サンプルの様子を示す図である。
図6】各種電線サンプルに対する液面上昇の測定結果を示す第1の表である。
図7】各種電線サンプルに対する液面上昇の測定結果を示す第2の表である。
図8】各種電線サンプルに対する液面上昇の測定結果を示す第3の表である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明は以下に示すものに限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能なものである。
【0019】
図1は、本実施形態に係る電池配索用電線を含むワイヤーハーネスである。図1に示すように、ワイヤーハーネスWHは、少なくとも1本の電池配索用電線1と、他の構成部品(同種又は他種の電線、端子、コネクタ、テープ、コルゲートチューブの少なくとも1つ)とから構成されるものであって、本実施形態では複数本(2本)の電池配索用電線1を備えて構成されている。複数本の電池配索用電線1は、これらが一括してテープ巻きされている。
【0020】
このようなワイヤーハーネスWHは、例えば電池配索用電線1の少なくとも一方の端部にLA端子Tを備え、LA端子Tがバッテリ(電池)側に接続され、電線1の端末位置がバッテリから所定距離以内に位置している。例えばLA端子Tは、バッテリポストやバッテリポストに取り付けられたバスバ等に接続される。接続対象となるバッテリは、アルカリ性の電解液を有するものであり、水酸化物イオンをイオン伝導体とし、アルカリ電解液を電極間のセパレータに含侵させてなるセルを複数個接続した例えば高電圧のバッテリである。なお、図示を省略するが、他端側は、各種機器(電子基盤等)に接続され、一端側と同様にLA端子Tが接続されていてもよいし、コネクタ等の他の部品が接続されていてもよい。
【0021】
このようなワイヤーハーネスWHでは、電池配策用電線1の端末がバッテリから所定距離以内に位置している関係上、バッテリの安全弁が動作して電解液が液漏れすると電解液が電線1の端末にかかる可能性があり、この場合には毛細管現象によって電池配索用電線1を通じて反対側の端末側の機器まで至り機器を破壊させてしまう可能性があった。また、安全弁動作時以外にもバッテリ温度上昇によるクリープ変形などの種々の理由から電解液が液漏れすることがある。この対策として、電線に取り付けられる端子の圧着面側(圧着バレルが延びる側)がバッテリの電極と反対側に向くようにしたり、吸水性ポリマーシート等のシール材を電線内部に設けて電解液を吸収及び吸着するようにしたりしていた。しかし、この場合には、端子の向きが限定されたり、シール材による加工工数の増加を招いたりすることとなっていた。
【0022】
そこで、本実施形態において電池配索用電線1は以下の構成が採用されている。
【0023】
図2は、図1に示した電池配索用電線1を示す断面図である。図2に示すように電池配索用電線1は、導体部10と、導体部10を被覆する被覆部20とを備えている。なお、電池配索用電線1は、これら構成10,20の外周側に他の構成を備えていてもよい。
【0024】
導体部10は、バッテリからの電力を機器に供給するための導電性の金属部材であり、本実施形態では純銅や銅合金などの銅材によって構成されている。さらに、本実施形態において導体部10は、単線にて構成されている。すなわち、本実施形態に係る導体部10は撚線にて構成されるものではない。被覆部20は、導体部10を覆う絶縁体であって、本実施形態ではポリ塩化ビニル(PVC(Polyvinyl Chloride))によって構成されている。
【0025】
図3は、電解液の吸い上げの様子を示す概念図であり、(a)は本実施形態に係る例を示し、(b)は導体部が撚線であるときの例を示している。図3(a)に示すように、本実施形態に係る電池配索用電線1では、毛細管現象による電解液の吸い上げ箇所は導体部10と被覆部20との間のみとなり、電解液が吸い上げられ難くなっている。これに対して、図3(b)に示すように、導体部110が撚線にて構成される場合には、導体部110及び被覆部120間のみならず、撚線を構成する素線111間においても毛細管現象が発生してしまうため、電解液が吸い上げられ易くなってしまう。そこで、本実施形態に係る電池配索用電線1は、導体部10を単線としている。
【0026】
図4は、毛細管現象での液体吸い上げによる液面高さを示す図である。図4に示すように、毛細管現象により上昇する液面の高さhは、h=2Tcosθ/ρgrなる式で求めることができる。ここで、Tは、表面張力(N/m)であり、θは、管内壁に対する液体固有の接触角であり、ρは液体密度(kg/m)である。また、gは、重力加速度(m/s)であり、rは管の内半径(m)である。上記式からも明らかなように、液面の高さhは、液体固有の密度ρと接触角θとによって大きく変化する。
【0027】
ここで、アルカリ電解液が水酸化カリウム(KOH)溶液であるとすると、被覆部20であるPVCとは、以下の化学反応が起こる。
【数1】

これにより、アルカリ電解液が水に変化する。水は、アルカリ溶液である水酸化カリウム溶液に比べて密度が小さく且つ接触角が大きくなるため、液面の高さhが小さくなる。よって、電解液の液漏れが発生した場合であっても、液体が電池配索用電線1を通じて機器に到達してしまう可能性を低減することとなる。
【0028】
なお、本実施形態に係る電池配索用電線1は、導体部10が銅材であるため、以下の化学反応も起こる。
【数2】

このように、導体部10によってもアルカリ電解液が水に変化する。この場合において銅材は酸化して変色することとなる。
【0029】
次に、本実施形態に係る電池配索用電線1の実施例及び比較例に対する実験結果を説明する。図5は、各種電線サンプルに対する液面上昇を測定するときの電線サンプルの様子を示す図である。図5に示すように、2つの容器C1,C2を用意し、一方の容器C1に水酸化カリウム溶液を20ml入れ、他方の容器C2を空とした。そして、実施例に係る電池配索用電線(以下実施例に係る電池配索用電線を単に電線という)及び比較例に係る電線のうち、一端を第1容器C1の水酸化カリウム溶液に浸漬させ、他端を第2容器C2に位置させ、電線全体が略半円となるように配置する。その後、この状態で72時間放置したときに、どの程度初期液面位置に対して液体が電線他端側に液体が進行したかを測定した。なお、電線長は、30+1cmであり、電線は一端側が10mm分だけ水酸化カリウム溶液に浸漬され、電線のうち初期液面位置よりも他端側の長さを30cmとした。また、容器C1は、底面積を15.2cmとする円筒形容器である。
【0030】
図6は、各種電線サンプルに対する液面上昇の測定結果を示す第1の表である。
【0031】
実施例1に係る電線は、導体部が例えば純銅で構成されており、導体部断面積0.3sqを単線にて実現した。また、被覆部に用いる絶縁体をPVCにて構成した。比較例1に係る電線は、導体部が例えば純銅で構成されており、導体部断面積0.3sqを7本撚りにて実現した。また、被覆部に用いる絶縁体をPVCにて構成した。比較例2に係る電線は、導体部が例えば純銅で構成されており、導体部断面積0.3sqを19本撚りにて実現した。また、被覆部に用いる絶縁体をPVCにて構成した。
【0032】
実施例1に係る電線では、初期液面位置に対して、液体が3mmだけ電線他端側に進行した。これに対して、比較例1,2に係る電線では、初期液面位置に対して、液体が300mm電線他端側に進行した。よって、複数本の素線を撚った導体部よりも単線にて構成した導体部の方が、液体が電線内を進行し難いことがわかった。
【0033】
図7は、各種電線サンプルに対する液面上昇の測定結果を示す第2の表である。
【0034】
実施例1に係る電線は上記と同じである。比較例3に係る電線は、導体部が例えば純銅で構成されており、導体部断面積0.3sqを単線にて実現した。また、被覆部に用いる絶縁体をPE(polyethylene)にて構成した。比較例4に係る電線は、導体部が例えば純銅で構成されており、導体部断面積0.3sqを単線にて実現した。また、被覆部に用いる絶縁体をPP(polypropylene)にて構成した。
【0035】
実施例1に係る電線では、初期液面位置に対して、液体が3mmだけ電線他端側に進行した。これに対して、比較例3,4に係る電線では、初期液面位置に対して、液体が300mm電線他端側に進行した。よって、被覆部に用いる絶縁体をPVCとすれば、液体が電線内を進行し難いことがわかった。
【0036】
図8は、各種電線サンプルに対する液面上昇の測定結果を示す第3の表である。
【0037】
実施例2〜4に係る電線は、導体部が例えば純銅で構成されており、導体部断面積0.3sqを単線にて実現した。また、被覆部に用いる絶縁体をPVCにて構成した。さらに、実施例2に係る電線において、絶縁体であるPVCの重合度を2000とし、実施例3に係る電線において、絶縁体であるPVCの重合度を1000とし、実施例4に係る電線において、絶縁体であるPVCの重合度を500とした。
【0038】
実施例2,3に係る電線では、初期液面位置に対して、液体が3mmだけ電線他端側に進行した。また、実施例4に係る電線では、初期液面位置に対して、液体が200mm電線他端側に進行した。よって、絶縁体であるPVCの重合度が500以上とすれば、導体部と被覆部との間における液体の進行長さを200mm以下とできることがわかった。さらに、絶縁体であるPVCの重合度が1000以上であれば、液体が電線内をより一層進行し難いことがわかった。
【0039】
なお、上記の進行長さについては、導体部10と被覆部20との密着度や、導体部10の径などの他の要因によっても変化し得るものである。
【0040】
このようにして、本実施形態に係る電池配索用電線1及びワイヤーハーネスWHによれば、導体部10が単線であるため、撚線の場合と比較して毛細管現象により電解液が吸い上げられ難くなる。また、被覆部20がポリ塩化ビニルであるため、アルカリ性の電解液が化学反応により水に変化することとなり、毛細管現象による吸い上げを抑えることとなる。以上により、機器にまで液体が及んでしまう可能性を低減できることとなる。しかも、電線に取り付ける端子の向きを所定方向としたり電線端末に半田等の止水処理を行ったりする必要もない。従って、電解液による機器の破壊を防止するにあたり、端子の向きが限定されず、加工工数の増加を抑えることができる。
【0041】
また、一方の端面を10mmアルカリ性の電解液に浸漬させ、全体を略半円となるように配置して、72時間経過したときに導体部10及び被覆部20間において液体の進行長さが200mm以下とできるため、200mmを超える電線1にて、電池と機器とを接続すれば電解液の液漏れ時においても液体が機器まで到達する可能性を減じることができる。
【0042】
また、ポリ塩化ビニルの重合度を1000以上とすれば、機器にまで液体が及んでしまう可能性をより低減でき、機器を破壊させてしまう可能性を一層低減することができる。
【0043】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。
【0044】
例えば、本実施形態に係る電池配索用電線1は、導体部10が銅材であることが好ましいが、特にこれに限らず、アルミニウム又はアルミニウム合金など、他の導体部であってもよい。
【0045】
また、本実施形態に係る電池配索用電線1は、バッテリに直接接続されるものに限らず、バッテリに取り付けられる他の部材を介してバッテリ側に接続されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 :電池配索用電線
10 :導体部
20 :被覆部
T :LA端子
WH :ワイヤーハーネス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8