特許第6370892号(P6370892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6370892蛍光体シートとラミネートされた発光ダイオード及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6370892
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】蛍光体シートとラミネートされた発光ダイオード及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/50 20100101AFI20180730BHJP
   H01L 33/54 20100101ALI20180730BHJP
【FI】
   H01L33/50
   H01L33/54
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-517706(P2016-517706)
(86)(22)【出願日】2014年5月22日
(65)【公表番号】特表2016-521013(P2016-521013A)
(43)【公表日】2016年7月14日
(86)【国際出願番号】IB2014061622
(87)【国際公開番号】WO2014195819
(87)【国際公開日】20141211
【審査請求日】2017年5月16日
(31)【優先権主張番号】61/831,750
(32)【優先日】2013年6月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】マホヴァルト,ペーター
【審査官】 吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/023119(WO,A1)
【文献】 特開2007−123915(JP,A)
【文献】 特開2010−093059(JP,A)
【文献】 特開2011−138831(JP,A)
【文献】 特開2013−140848(JP,A)
【文献】 特開2006−302965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マウント上に置かれた複数の発光ダイオード(LED)を覆って膜を、該膜が、前記LEDを覆い且つ隣接し合うLED間の領域で前記マウントに接着して、ラミネート構造を形成するように、前記複数のLEDを覆って該膜を取り付け且つ圧力下で第1の温度の熱を印加することによってラミネートすることと、
前記ラミネート構造を冷却することと、
真空にて前記ラミネート構造に、前記第1の温度よりも高い第2の温度の熱を印加することと、
前記真空にて前記ラミネート構造に前記第2の温度の熱を印加することの後に、前記第1の温度と同じ又は異なる第3の温度の熱を印加しながら、前記複数のLEDの頂面に平坦化素子を押し付けることによって、前記複数のLEDの前記頂面の上に置かれた前記膜の部分の厚さを減少させることと、
を有する方法。
【請求項2】
前記複数のLEDの上に置かれた前記膜の部分の厚さを前記減少させることは、前記複数のLEDの前記頂面の上に置かれた前記膜の前記部分の厚さを、前記減少させることの前の前記膜の厚さの80%未満まで減少させることを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記膜は、シリコーンと混合された波長変換材料を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記平坦化素子は、鋼板を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のLEDは、少なくとも200μmの高さであり、前記膜は、30μmと200μmとの間の厚さである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の温度は、40℃と120℃との間である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第3の温度は、40℃と120℃との間である、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の温度は、70℃と120℃との間である、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記隣接し合うLED間の前記領域で前記マウントに接着した前記膜は、前記LED間に窪みを形成している、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記真空にて前記ラミネート構造に前記第2の温度の熱を前記印加することは、前記LEDの側面を覆う前記膜を引き延ばし、それにより、前記LEDの前記頂面の上に置かれた前記膜の前記部分が、前記LEDの前記側面に隣接して置かれた前記膜の部分よりも厚くなる、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば発光デバイスなどの半導体デバイスを覆って、例えば波長変換層などの層をラミネートすることに関する。
【背景技術】
【0002】
現在利用可能な最も効率的な光源の中に、発光ダイオード(LED)、共振器型(resonant cavity)発光ダイオード(RCLED)、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)及び端面発光レーザを含む半導体発光デバイスがある。可視スペクトルで動作可能な高輝度発光デバイスの製造において現在関心ある材料系は、III−V族半導体、特に、III族窒化物材料とも呼ばれる、ガリウム、アルミニウム、インジウム、及び窒素の二元、三元、及び四元合金を含む。典型的に、III族窒化物発光デバイスは、有機金属化学気相成長法(MOCVD)、分子線エピタキシー(MBE)又はその他のエピタキシャル技術により、サファイア、炭化シリコン(シリコンカーバイド)、III族窒化物若しくは複合材の基板、又はその他の好適な基板の上に、異なる組成及びドーパント濃度の複数の半導体層のスタック(積層体)をエピタキシャル成長することによって製造される。スタックは、しばしば、基板上に形成された、例えばSiでドープされた1つ以上のn型層と、該1つ以上のn型層上に形成された活性領域内の1つ以上の発光層と、活性領域上に形成された、例えばMgでドープされた1つ以上のp型層とを含んでいる。これらn型領域及びp型領域の上に、電気コンタクトが形成される。
【0003】
図1は、特許文献1(国際公開第2012/023119号)に更に詳細に記載されているラミネートされた蛍光体層を有するLEDを示している。その要約は、「サブマウントウェハ(12)上のLEDダイ(10)のアレイ上に層(28)をラミネートする方法が記載される。層(28)は、シリコーンバインダ内に蛍光体粒子を有し得る。この層は、支持フィルム上に形成され、次いで乾燥される。そして、この層がLEDダイ(10)上に取り付けられ、この構造体が真空中で加熱される。この層がLEDの頂部に接着してウェハの外縁周りに気密シールを形成するよう、下向きの圧力が支持フィルム上に置かれる。そして、この構造体が周囲空気に晒され、支持フィルムが除去される。上記シールが、層(28)とウェハ(12)との間に周囲空気が入ることを防止する。第2のラミネーション工程において、層とウェハとの間の残留空気を除去するために、構造体が真空中でいっそう高い温度まで加熱される。そして、構造体が周囲空気圧に晒され、それにより、加熱された層をLEDダイの形状に従わせる。」と述べている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2012/023119号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の1つの目的は、構造体から発せられる光がカラーフィールド(色の場)において低減された変化を有するような、発光デバイスを覆ってラミネートされた波長変換層を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に従った方法は、発光ダイオード(LED)を覆って膜をラミネートすることを含む。LEDの頂面に平坦化素子を押し付けることによって、LEDの頂面の上に置かれた膜の部分の厚さが減少される。
【0007】
本発明の実施形態は、マウントに取り付けられた発光ダイオード(LED)を含む。LEDの頂面及び側壁を覆って波長変換膜が配設される。側壁の第1の部分にある波長変換膜の厚さが、側壁の第2の部分にある波長変換膜の厚さよりも大きい。第1の部分は、第2の部分よりも、LEDの頂面に近いところにある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ラミネートされた蛍光体層を有するLEDを例示する図である。
図2】III族窒化物LEDの一例を示す図である。
図3】第1のラミネーションプロセス後の、マウントに取り付けられて波長変換膜で覆われたLEDを例示する図である。
図4】第2のラミネーションプロセス後の、波長変換膜で覆われたLEDを例示する図である。
図5】第3のラミネーションプロセス中の、マウントに取り付けられて波長変換膜で覆われたLEDを例示する図である。
図6図5に例示した第3のラミネーションプロセス後の、波長変換膜で覆われたLEDを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に示したラミネーションプロセスにおいては、蛍光体層がLEDの辺及びエッジで引き延ばされて蛍光体層の厚さに不均一性を生み出し、それにより、近視野における色点(カラーポイント)が変化され得る。本発明の実施形態においては、LEDの頂部を覆う波長変換膜の厚さを減少させることができ、それにより、波長変換膜の厚さの均一性を向上させることができ、それにより、デバイスの性能を向上させ得る。
【0010】
以下の例では、半導体発光デバイスは、青色光又はUV光を発するIII族窒化物LEDであるが、例えばレーザダイオードなどの、LED以外の半導体発光デバイスや、例えばその他のIII−V族材料、III族リン化物、III族ヒ化物、II−VI族材料、ZnO、又はSi系材料などの、その他の材料系からなる半導体発光デバイスが使用されてもよい。
【0011】
図2は、本発明の実施形態で使用され得るIII族窒化物LED15を例示している。如何なる好適な半導体発光デバイスが使用されてもよく、本発明の実施形態は、図2に例示されるデバイスに限定されない。
【0012】
図2のデバイスは、技術的に知られているように、成長基板の上にIII族窒化物半導体構造を成長させることによって形成される。成長基板11は、例えばサファイア、SiC、Si、GaN又は複合基板など、如何なる好適基板であってもよい。半導体構造は、n型領域とp型領域との間に挟まれた発光領域又は活性領域を含む。先ずn型領域13が成長され得る。n型領域13は、異なる組成及びドーパント濃度の複数の層を含み得る。該複数の層は、例えば、n型あるいは意図的にはドープされないものとし得るバッファ層若しくは核生成層などのプリパレーション層及び/又は成長基板の除去を容易にするように設計される層と、発光領域が効率的に発光するのに望ましい特定の光学特性、材料特性若しくは電気特性に合わせて設計されるn型、若しくはp型であってもよい、デバイス層とを含み得る。n型領域上に、発光領域又は活性領域14が成長される。好適な発光領域の例は、単一の厚い若しくは薄い発光層、又はバリア層によって分離された複数の薄い若しくは厚い発光層を含んだマルチ量子井戸発光領域を含む。次いで、発光領域上に、p型領域16が成長され得る。n型領域と同様に、p型領域は、異なる組成、厚さ及びドーパント濃度の複数の層を含むことができ、該複数の層は、意図的にはドープされていない層又はn型層を含んでいてもよい。
【0013】
成長後、p型領域の表面上にpコンタクト18が形成される。pコンタクト18は、しばしば、例えば反射メタル及びガードメタルなどの複数の導電層を含む。ガードメタルは、反射メタルのエレクトロマイグレーションを防止あるいは抑制し得る。反射メタルは銀であることが多いが、如何なる好適な材料が使用されてもよい。pコンタクト18を形成した後、nコンタクト20が上に形成されるn型領域13の部分を露出させるよう、pコンタクト18、p型領域16及び活性領域14の一部が除去される。nコンタクト20とpコンタクト18は、例えばシリコンの酸化物又はその他の好適材料などの誘電体で充填され得る間隙22によって、互いに電気的に分離(アイソレート)される。複数のnコンタクトビアが形成されてもよく、nコンタクト20及びpコンタクト18は、図2に例示される構成に限定されない。n及びpコンタクトは、技術的に知られているように、誘電体/金属スタックを有するボンドパッドを形成するように再分配されてもよい。フリップチップ構成において、光は典型的に、コンタクト18及び20で反射し、基板11を通してLEDから取り出される。
【0014】
以降の図では、図2に例示したLED15がマウント30に取り付けられている。LED15をマウント30に取り付けるため、1つ以上のインターコネクトが、nコンタクト20及びpコンタクト18の上に形成され、あるいはそれらに電気的に接続される。インターコネクトは、電気的且つ物理的にLED15をマウント30に接続する。インターコネクトは、例えば、はんだ、金スタッドバンプ、金層、又はその他の好適構造とし得る。デバイスのウェハから、例えば各LED上にインターコネクトを形成した後に、個々のLEDがダイシングされる。更なるインターコネクトがマウント30上に形成されてもよい。以降の図では、明瞭さのため、LED15上及び/又はマウント30上に形成されるインターコネクトを省略する。
【0015】
マウント30は、例えばメタル、セラミック、又はシリコンを含め、如何なる好適材料ともし得る。LED15が上に搭載されるマウントの頂面側を、例えばプリント回路基板などの別の構造にユーザ取付けされ得るマウントの底面側に電気的に接続するため、マウント30の中にビアが形成され、あるいはマウント30の表面に配線が形成され得る。
【0016】
個々のLED15は、半導体構造の成長方向に対して裏返されてマウント30に取り付けられる。LEDはマウントに、例えば、超音波ボンディング、サーモソニックボンディング、はんだ取付け、又はその他の好適な接合技術によって取り付けられ得る。
【0017】
一部の実施形態において、LED15とマウント30との間にアンダーフィル材が配設され得る。アンダーフィルは、後の処理において半導体構造を支持し得る。アンダーフィルは、例えば、シリコーン、エポキシ、又はその他の好適材料とし得る。成長基板は、何らかの好適技術によって除去されてもよいし、何らかの好適技術によって薄化されてもよいし、デバイスの一部として残存してもよい。
【0018】
n型領域13とは反対側の基板11の表面上に、1つ以上の追加構造24が形成され得る。例えば、追加構造24は、フィルタ、波長変換層、レンズ、光学系、又はその他の好適構造を含み得る。
【0019】
LED15及びマウント30とは別個に、波長変換膜が形成される。波長変換膜は、LEDによって発せられた光を吸収して、1つ以上の異なる波長の光を発する。必ずしもそうである必要はないが、LEDによって発せられた未変換の光が、この構造から取り出される光の最終的なスペクトルの一部をなすことが多い。一般的な組み合わせの例は、黄色発光の波長変換材料と組み合わされた青色発光のLED、緑色発光及び赤色発光の波長変換材料と組み合わされた青色発光のLED、青色発光及び黄色発光の波長変換材料と組み合わされたUV発光のLED、並びに青色発光、緑色発光及び赤色発光の波長変換材料と組み合わされたUV発光のLEDを含む。構造から発せられる光のスペクトルを調整するために、他の色の光を発する波長変換材料が追加されてもよい。
【0020】
波長変換膜は、例えばシリコーン又は樹脂などの好適な透明材料に、例えば従来からの蛍光体、有機蛍光体、量子ドット、有機半導体、II−VI若しくはIII−V族半導体、II−VI若しくはIII−V族半導体量子ドット若しくはナノ結晶、染料、ポリマー、又は発光するその他の材料などの1つ以上の波長変換材料を詰められたものである。以下の説明ではシリコーン内の蛍光体を参照するが、如何なる好適な波長変換材料と如何なる好適な透明材料が使用されてもよい。例えば散乱を生じさせたりフィルムの屈折率を変化させたりするための非波長変換材料が、波長変換膜に付加されてもよい。
【0021】
波長変換膜は、ロール状の支持フィルム上に形成され得る。支持フィルムは、例えば、好適寸法の例えばエチルテトラフルオロエチレン(ETFE)フォイルなどの商業的に入手可能なポリマーとし得る。
【0022】
波長変換膜を形成するため、蛍光体粉末がシリコーン又はその他の好適バインダと混合されてスラリーが形成され、このスラリーが、(ロールが連続的にディスペンスされると仮定して)連続処理にて、支持フィルム上に所定の厚さまでスプレー塗布され、あるいはその他の方法で堆積される。一実施形態において、YAG蛍光体(黄緑色)が使用される。他の一実施形態において、蛍光体は、混合された赤色及び緑色の蛍光体である。何らかの組み合わせの蛍光体をLED光とともに用いることで、任意の色の光を作り出し得る。蛍光体の密度、層の厚さ、及び蛍光体の種類若しくは複数の蛍光体の組み合わせが、LEDダイとそれら1つ以上の蛍光体との組み合わせによって発せられる光が狙いの白色点又はその他の所望の色を有するように選定される。一実施形態において、蛍光体/シリコーン層は、約30−200ミクロン厚となる。例えば光散乱材料(例えば、シリカ、TiO)など、その他の不活性な無機粒子もスラリーに含められ得る。波長変換膜は、一部の実施形態において複数の波長変換層を含んでいてもよく、また、一部の実施形態において非波長変換層を含んでいてもよい。
【0023】
その後、支持フィルムが広げられる(アンロールされる)とき、例えば赤外光又はその他の熱源などによって、スラリーが乾燥される。得られた乾燥済みの蛍光体/シリコーン層は、波長変換膜として使用されるまで保管され得る。例えばETFEフォイルを含む何らかの好適材料の保護フィルムが、例えば連続処理にて、波長変換膜を覆って置かれ得る。保護フィルムは、当初はロールとして供給されることができ、約25μmの厚さと、支持フィルムと同じその他寸法とを有し得る。支持フィルムが小さいシートとして形成される場合、及び/又は、潜在的に損傷を与え得る接触を波長変換膜の頂面が受けない場合、保護フィルムは必要とされないこともある。さらに、保護フィルムなしでも波長変換膜が損傷されることがない場合にも、保護フィルムは必要とされないことがある。支持フィルム又は保護フィルムの何れも、波長変換膜に強くは貼り付けられない。
【0024】
波長変換膜は、その色変換に関して試験されて、特定の範囲のピーク波長を生成する特定のLEDダイにマッチングされてもよい。異なる特性を有するLEDダイをラミネートするために、異なる特性を有する波長変換膜の異なるロール又はシートが製造され得る。
【0025】
マウントに取り付けられたLED上にラミネートされるべく或る波長変換膜が選択されると、その波長変換膜のロールが、特定の速さでロールをディスペンスするラミネーションシステムに搭載され得る。存在する場合には保護フィルムが除去される。波長変換膜と支持フィルムが、マウント30と略同じサイズに切断され得る。
【0026】
図3において、マウント30上のLED15を覆って、波長変換膜26が裏返して取り付けられている。波長変換膜26は、それを軟化させて、領域34でLED15の頂部に、そしてLED15間の領域36でマウント30の頂部に、それを接着させるために、例えば40−120℃まで加熱され得る。領域34と36との間の領域で、波長変換膜26とマウント30との間に、空気ポケット32が形成する。領域34及び36でLED15及びマウント30に波長変換膜26を押し付けるため、空気圧又は例えば柔らかいゴム状クッション若しくは弾性パッドなどの構造物(図3に示さず)が使用され得る。そのような構造物は、従来からの商業的に入手可能なラミネーションシステムの一部であり得る。マウント30の外縁周りに気密シール(封止)が形成され得る。支持フィルムは、機械的圧力の印加中に波長変換膜26を保護する助けとなり得る。
【0027】
図3に示した構造は、その後、室温まで冷却され得る。存在する場合には支持フィルムが波長変換膜26から取り外され得る。次いで、この構造体が約70−130℃の高められた温度まで加熱され得るとともに、真空が作り出されて、波長変換膜26とマウント30との間の残留空気が除去される。間隙32内の空気は、波長変換膜26の小さい孔を通って抜け出ることができる。一般に、この第2のラミネーションプロセス中の温度は、図3に示したように波長変換膜26をLED15の横で下方に引き延ばしてLED15及びマウント30に接着させる第1のラミネーションプロセス中に使用される温度よりも高い。真空の程度及びプロセス時間は、使用される具体的な材料に依存する。一般に、より薄い波長変換膜26は、より厚い波長変換膜26よりも、間隙32内の残留空気を除去するのに短い時間を要する。その後、空気がチャンバに入ってチャンバに圧力をかけることが可能にされ、それにより、LED15の周りで波長変換膜26が引き延ばされ、図4に例示するように波長変換膜26がLED15を包み込むようにされる。
【0028】
図4に示したLED15は、例えば、少なくとも200μm高さであり得る。第2のラミネーションプロセスは、LED15の側面を覆うように波長変換膜26を引き延ばすので、図4のデバイスにおいて、波長変換膜26は、LED15の側方42及び角(コーナー)39で薄めであり、LED15の頂部上の領域38及びLED15間のマウント30上の領域40で厚めである。側面42及び角39とLED15の頂部38との間での厚さの相違は、デバイスから発せられる光の色に、望ましくない変化を生じさせ得る。特に、図4に示したデバイスからの光は、上から見るとき、デバイスの中央でいっそう黄色又は白色に見るとともにデバイスの側方及び角でいっそう青く見えることになり得る。LEDの近傍に例えばリフレクタ(反射器)又はリフラクタ(屈折器)などの補助的な光学系を備える構造において、この色の変化は、望ましくない不均一なカラーフィールドを生み出し得る。
【0029】
本発明の実施形態において、第3のラミネーションプロセスが実行される。第3のラミネーションプロセスは、図5に例示するように、LED15の頂部を覆う波長変換膜26の厚さを減少させる。第3のラミネーションプロセスにおいて、平坦化素子44が、LED15の頂部の上に置かれた波長変換膜26上に押し当てられ、LED15の頂部の上の領域38の波長変換膜26を薄化する。平坦化素子44は、単一のLED15に相当する領域46(例えば、約1mmの面積)で撓まないのに十分な硬さであり、且つ隣接し合うLED15間の領域48(例えば、隣接し合うLED15は少なくとも3mmの間隔を空けられ得る)では撓むことができるのに十分な軟らかさであるような、如何なる材料ともし得る。平坦化素子44は、第3のラミネーションプロセス後の各LED15上の波長変換膜26の厚さが、各LEDの高さにかかわらず均一になるように、LED15の頂面の高さのバラつきを補償するよう、隣接し合うLED15間の領域48で撓むように設計され得る。好適な平坦化素子44の一例は、ばね鋼板である。平坦化素子は、従来からのラミネーション機で使用され得る。
【0030】
一部の実施形態において、第3のラミネーションプロセスは、第1のラミネーションプロセスで使用される柔らかいゴム状クッションの代わりに平坦化素子44が使用されることを除いて、図3に示した第1のラミネーションプロセスと同様である。波長変換膜26は、それを軟化させるために、例えば40−120℃まで加熱され得る。平坦化素子44を用いて波長変換膜26をLED15に押し付けることで、当初はLED15の上に置かれていた波長変換膜26の材料の一部が、LED15の側面を覆うように平坦化素子44によって押し出されて、LED15の頂部を覆う波長変換膜26を薄化するとともに側壁材料の一部を厚化するようにし得る。
【0031】
図6は、図5に記載した第3のラミネーションプロセス後のLEDを例示している。波長変換膜26は実質的に、LED15に対してコンフォーマル(共形)であり、すなわち、波長変換膜26の外面がLED15の外面と同じ形状である。第3のラミネーションプロセス後のLED15の頂部上の波長変換膜26の厚さ50は、一部の実施形態において、第3のラミネーションプロセス前のLED15の頂部上の波長変換膜26の厚さの90%未満、一部の実施形態において80%未満、そして一部の実施形態において70%未満とし得る。LED15の頂部を覆う波長変換膜26の部分38は平坦化されており、それにより、波長変換膜26は、LED15のエッジの位置58で厚くなるようにされている。頂部部分38は、波長変換膜が最も薄いところのLED15の側面にある波長変換膜26の厚さ52が、一部の実施形態において、LED15の頂部を覆う波長変換膜26の厚さ50の少なくとも70%、一部の実施形態において少なくとも80%、そして一部の実施形態において少なくとも90%であるように平坦化され得る。波長変換膜26の厚さは、LED15の側面に沿って異なり得る。例えば、図6において厚さ54及び52によって指し示されるように、平坦化素子44によってLED15の頂部から余分な材料が押し進められたところであるLED15の頂部近くで、LED15の側面に沿った波長変換膜26は、LED15の底部近くよりも厚くなり得る。例えば、底部近くのLED15の側面に沿った波長変換膜26の厚さ52は、一部の実施形態において、頂部近くのLED15の側面に沿った波長変換膜26の厚さ54の少なくとも70%、一部の実施形態において少なくとも80%、そして一部の実施形態において少なくとも90%とし得る。
【0032】
LEDの頂部を覆う波長変換膜の平坦化量は、第3のラミネーションプロセスの部分として調節され得る。例えば、第3のラミネーションプロセスにおける、より大きい圧力及びより高い温度は、LEDの頂部を覆う波長変換膜のますますの薄化を生じさせ、それにより、いっそう多くの波長変換材料がLEDの側方に押し進められることがもたらされ得る。そのようなデバイスは、もっと厚い波長変換膜をLEDの頂部上に有するデバイスよりも、デバイスの頂面からのより青い発光と、デバイスの側面からのより青くない発光とを有することになる。従って、第3のラミネーションプロセスを調節することによって、デバイスによって発せられる光のカラーフィールドを調節し得る。
【0033】
第3のラミネーションプロセスは、図3に記載した第1のラミネーションプロセスと同様であるので、一部の実施形態において、別個の第3のラミネーションプロセスに代えて、第1のラミネーションプロセス中にLEDの頂部上の波長変換膜の薄化が実行される。例えば、図3に記載した第1のラミネーションプロセスにおいて、柔らかいゴム状クッションの代わりに、図5を参照して説明した平坦化素子44を用いて、図3を参照して上述したように波長変換膜26がLEDの頂面に接着されるのと同時に、LEDの頂部上の波長変換膜を薄化してもよい。
【0034】
本発明を詳細に説明したが、当業者が認識するように、本開示を所与として、ここに記載の発明概念の精神を逸脱することなく、本発明に変更が為され得る。故に、本発明の範囲は、図示して説明した特定の実施形態に限定されるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6