特許第6370894号(P6370894)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6370894
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】周囲流体を収集する受動的冷却システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/08 20060101AFI20180730BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20180730BHJP
   F24F 13/02 20060101ALI20180730BHJP
   G06F 1/20 20060101ALI20180730BHJP
   F24F 3/044 20060101ALN20180730BHJP
【FI】
   F24F13/08 A
   F24F7/06 B
   F24F13/02 C
   F24F13/02 D
   G06F1/20 B
   G06F1/20 D
   !F24F3/044
【請求項の数】10
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2016-519819(P2016-519819)
(86)(22)【出願日】2014年10月1日
(65)【公表番号】特表2016-536552(P2016-536552A)
(43)【公表日】2016年11月24日
(86)【国際出願番号】US2014058651
(87)【国際公開番号】WO2015051009
(87)【国際公開日】20150409
【審査請求日】2016年5月2日
(31)【優先権主張番号】14/043,660
(32)【優先日】2013年10月1日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507303550
【氏名又は名称】アマゾン・テクノロジーズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】タウナー,リチャード・チャドウィク
(72)【発明者】
【氏名】ネスター,ジョシュア・エーレン
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス,マシュー・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】マヒパト,イシュワル・ライアン
【審査官】 庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭52−055875(JP,Y1)
【文献】 特公昭55−021935(JP,B2)
【文献】 特開平05−044314(JP,A)
【文献】 実開平02−116630(JP,U)
【文献】 独国特許出願公開第102004027101(DE,A1)
【文献】 国際公開第2012/113895(WO,A2)
【文献】 中国特許出願公開第102394479(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 3/044
F24F 7/02,7/06
F24F 13/02,13/08
G06F 1/20
H02B 1/28,1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間に少なくとも部分的に隣接するように構成される複数のサイドパネルであって、2対の対向するサイドパネルを備える、前記複数のサイドパネルと、
前記複数のサイドパネルの間の前記内部空間内に配置される複数のベーンであって、これらの複数のベーンの少なくとも1つはベーン傾斜部とベーン溝とを有し、前記複数のベーンの少なくとも1つは、前記内部空間内に受け入れた流体の少なくとも一部を、前記ベーン傾斜部の少なくとも一部に基づいて前記ベーン溝内に送るように構成され、更に、
前記複数のベーンは、垂直に配置され、水平方向にオフセットする複数の列内に配置され、前記列の少なくとも1つは、前記複数のベーンの少なくとも1つを、前記複数のベーンが前記内部空間を通る間接経路を形成するように包含し、前記複数のベーンは、前記内部空間内に受け入れた流体を、前記複数のベーンの少なくとも1のベーン溝に導くように、少なくとも一部が構成される、前記複数のベーンと、
複数のパネル溝であって、前記複数のサイドパネルの各サイドパネルは、前記複数のパネル溝の少なくとも1のそれぞれのパネル溝に連結され、前記複数のパネル溝の少なくとも1のパネル溝は、前記内部空間内に受け入れられて前記ベーン溝に導かれる流体の少なくとも一部が、前記ベーン溝を介して、更に、前記少なくとも1のパネル溝に導かれるように、前記ベーン溝から流体を受け入れるように構成される、前記複数のパネル溝と、
を備える装置であって、
前記複数の垂直方向に配置され、水平方向にオフセットするベーンの列は、
水平方向に配置された穴あきベーンの上側の列を備え、前記穴あきベーンの少なくとも1つは、受け入れた流体の一部を前記少なくとも1の穴あきベーンの穴あき面に、穴あきベーンの少なくとも1つを通して伝達し、前記流体の他の部分を前記少なくとも1つの穴あきベーンの少なくとも1のベーン溝に導くように構成され、更に、
水平方向に配置された非穴あきベーンの下側の列を備え、前記非穴あきベーンの少なくとも1は、前記穴あきベーンの少なくとも1を通して伝達された流体の一部を、前記少なくとも1の非穴あきベーンの少なくとも1のベーン溝に導くように構成される、
装置
【請求項2】
前記内部空間を通る前記間接経路は、更に、少なくとも一部が前記内部空間内の煙突効果に基づいて、この間接経路に沿って周囲環境に、前記内部空間を通る空気流が受動的に引き起こされるように構成される、請求項1の装置。
【請求項3】
前記煙突効果は、
筐体の少なくとも一部と周囲環境との間の圧力差、または、
前記筐体の少なくとも一部と周囲環境との間の温度差、の少なくとも一方により、前記内部空間内に引き起こされる、請求項2の装置。
【請求項4】
前記複数のベーンの前記少なくとも1つは、前記内部空間を通る空気流を少なくとも部分的に規制するように、前記内部空間内に調節可能に位置するように構成される、請求項1の装置。
【請求項5】
前記内部空間を通る空気流を少なくとも部分的に規制するように構成可能な少なくとも1つの調節可能なダンパを備える、請求項1の装置。
【請求項6】
前記複数の垂直方向に配置され、水平方向にオフセットしたベーン列は、
水平方向に配置されたベーンの上側の列を備え、このベーンは、前記上側の列の少なくとも1のベーン溝が受け入れた流体を、測定のサイドパネルに連結された特定のパネル溝に向けて導くように、特定の角度に配置され、更に、
水平方向に配置されたベーンの下側の列を備え、このベーンは、前記下側の列の少なくとも1のベーンの少なくとも1のベーン溝が受け入れた流体を、他のサイドパネルに連結された他のパネル溝に向けて導くように他の角度で配置される、請求項1の装置。
【請求項7】
前記特定の角度及び他の角度の少なくとも1つは、前記複数のベーンの少なくとも1のベーン溝に排水勾配を形成し、前記複数のベーンの少なくとも1つのベーン溝が受け入れた流体を、前記排水勾配に沿って前記複数のベーンの少なくとも1のベーン溝の特定の端部に向けて導く、請求項の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1のパネル溝は、前記少なくとも1のベーン溝から受け入れた流体を機械的冷却システムの再生システム内に導くように構成される、請求項1の装置。
【請求項9】
前記複数のベーンの前記少なくとも1つは、
それぞれが前記複数のベーンの前記少なくとも1つの長手方向軸に沿って延び、それぞれの側縁部を一緒に連結され、それぞれが前記複数のベーンの少なくとも1の短手方向軸に沿って下方に角度を付けられる2つのベーン傾斜部、及び、
それぞれが前記複数のベーンの前記少なくとも1つの長手方向軸に沿って延び、個々に前記2つのベーン傾斜部の別個の1つに連結される2つのベーン溝を備え、前記複数のベーンの前記少なくとも1つは、前記2つのベーン傾斜部の1つの面が受け入れた流体を、前記2つのベーン傾斜部の1つに連結される前記2つのベーン溝のそれぞれの1つに導くように構成される、請求項1の装置。
【請求項10】
前記複数のベーンの前記少なくとも1つは、少なくとも1つの非直線状湾曲部を有する少なくとも1の面を備える、請求項1の装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
電子部品は、使用中に廃熱エネルギを生成する。この熱エネルギは、部品を過熱し、それに続いて故障する可能性を軽減するために除去すべきである。コンピュータシステムは、制限するものではないが、通常は、印刷基板、大記憶装置、電源およびプロセッサを含むこのような部品または廃熱源を有している。例えば、1台のパーソナルコンピュータシステムは100〜150ワットの廃熱を発生することがあり、多くのプロセッサを有する大型コンピュータは250ワットの廃熱を発生することがある。従来のコンピュータシステムには、ラックマウント方式の構成部材で構成され、続いてラックコンピューティングシステム内に配置されるような複数の大型のマルチプロセッサコンピュータが含まれる。従来のラックコンピューティングシステムには、40台のこのようなラックマウント方式の部材を包含するものがあり、したがって、このようなラックコンピューティングシステムは、例えば10キロワットの廃熱を発生する。更に、従来のデータセンタは、複数のこのようなラックコンピューティングシステムを包含するものがある。
【0002】
廃熱源を有する種々の構造体には、構造体のいくつかの部分から廃熱の除去を容易とするように構成される方法および装置を有するものがある。廃熱源が配置される筐体を有する構造体では、方法及び装置は、廃熱源、筐体またはこれらの双方から廃熱除去を容易とするように構成することができる。例えば、データセンタは、複数のラックコンピューティングシステムからの廃熱除去を容易とするように構成することができる方法及び装置を有することがある。
【0003】
廃熱除去システムには、空気流(排気)に廃熱を伝達することにより、データセンタから廃熱を除去し、そして、この空気流をデータセンタの外部の周囲に廃熱を搬送するために使用するものがある。このような環境は周囲環境を含めることが可能である。
【0004】
廃熱除去システムは、データセンタからの廃熱の除去を容易とするために、運動部材を使用する機械的システムを用いることがある。例えば、いくつかのデータセンタにおける廃熱除去システムには、ブロワー、ファン等を利用して、排気を含む1または複数の空気流を生じさせ、データセンタの外部に廃熱を搬送することができるものがある。このようなシステムは、通常、電力を消費し、自身で廃熱を生成し、更に、データセンタから除去すべき排熱量を増大し、より大きな廃熱負荷を取り扱うために機械的システムの増大を必要とすることになる。更に、運動部材を有することにより、このようなシステムは、摩耗を生じ、熱の除去能力を維持するために定期的な保守および構成部材の交換を必要とすることがある。
【0005】
周囲環境の環境条件は均一ではなく、与えられた位置においても、最小の注意を伴う変動を生じることがある。季節の変化で生じ得る温度及び湿度の著しい変化とは別に、周囲環境の環境品質は無数の外的ファクタで変化することがある。環境条件のこのような変化は、廃熱源を有する筐体から外部環境への廃熱の除去に課題を生じることがある。例えば、雨、雪、氷、霰等を含む降水(precipitation)、工業及び/または農業活動によるばい煙、スモッグ、粒状物質、及び、気中副産物は、全て廃熱を搬送する空気のリザーバとしての外気の有用性に悪影響を与える可能性があり、更に、通常は周囲環境に廃熱を放出するために使用される経路を介してデータセンタ内に入る可能性があり、データセンタ内の種々のシステムを汚染しまたは損なうことがある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、1の実施形態による受動的冷却システムを有するデータセンタを示す概略図である。
図2図2は、1の実施形態による構造体の屋根上の受動的冷却システムの配置を示す概略図である。
図3図3は、1の実施形態による受動的冷却システムの一部の概略的斜視図である。
図4A図4Aは、1の実施形態による受動的冷却システムのベーンの概略的斜視図である。
図4B図4Bは、1の実施形態による長手軸に沿う受動的冷却システムのベーンの概略的な断面図である。
図4C図4Cは、1の実施形態による短手軸に沿う受動的冷却システムのベーンの概略的な直交図である。
図5A図5Aは、1の実施形態によるベーンサポートを有する受動的冷却システムの概略的な直角視図(orthogonal schematic view)である。
図5B図5Bは、1の実施形態による受動的冷却システムのベーンサポートの概略的な斜視図である。
図6A図6Aは、1の実施形態による尖頂を有する受動的冷却システムの概略的な直角視図である。
図6B図6Bは、1の実施形態による傾斜ベーンを有する受動的冷却システムの概略的な直角視図である。
図7図7は、1の実施形態によるベーン溝を有する受動的冷却システムの概略的な断面図である。
図8図8は、1の実施形態による空気経路傾斜部(air routing ramp)を有する受動的冷却システムの概略的な断面図である。
図9図9は、1の実施形態による受動的冷却システムの概略的な断面図である。
図10図10は、1の実施形態による受動的冷却システムの概略的な断面図である。
図11図11は、1の実施形態による受動的冷却システムの概略的な断面図である。
図12図12は、1の実施形態による受動的冷却システムの概略的な断面図である。
図13図13は、1の実施形態による穴あきベーンを有する受動的冷却システムの斜視図である。
図14図14は、1の実施形態による同一面上にダンパ(flush damper)を設けた受動的冷却システムの概略的な斜視図である。
図15図15は、1の実施形態による傾斜ダンパを設けた受動的冷却システムの概略的な斜視図である。
図16図16は、1の実施形態による受動的冷却システムを有する発熱システムの概略図である。
図17図17は、1の実施形態による1または複数の受動的冷却システムに設けられたダンパの管理構造を示す。
図18図18は、いくつかの実施形態に使用することができる例示的なコンピュータシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書に記載の種々の実施形態は、種々の変形および変更形態を受け入れることができる。特定の実施形態は実施例として図面に示し、本明細書に詳細に説明するものである。しかしながら、図面及びこれについての詳細な説明は、記載した特定の形態の開示に制限することを意図するものではなく、むしろ、その目的は、添付の請求の範囲の精神及びその及ぶ範囲に入る全ての変更、同等および代替を包含するものである。本明細書に使用した表題は、まとめを目的としただけのものであり、説明または請求の範囲の及び範囲を制限するために使用することを意味するものではない。本願を通じて使用される用語「may」は、義務的意味(すなわち、しなければならないの意味)ではなく、許容的意味(すなわち、可能性を有する意味)で使用されている。同様に、用語「include」、「including」及び「includes」は、含むことを意味し、制限するものではない。
【0008】
周囲流体の収集による受動的冷却システムの種々の実施形態について開示する。1の実施形態によると、データセンタは、排気を排出するコンピューティングシステムを包含するコンピュータ室と、煙突効果によりコンピュータ室からコンピュータ室の外部の周囲環境に排気を送り(route)、周囲環境から受動的冷却システム内に受け入れた液体がコンピュータ室に入るのを阻止する受動的冷却システムとを包含する。受動的冷却システムは、内部空間、ベーンおよびパネル溝を含む。内部空間は、少なくとも部分的にサイドパネルに隣接し、底部部分を介して少なくとも部分的にコンピュータ室に開口し、頂部部分を介して少なくとも部分的に周囲環境に開口する。ベーンは、内部空間内に配置され、それぞれ、液体を収集するベーン溝、及び、周囲環境から受動的冷却システム内に受け入れた液体をベーン溝内に送るベーン傾斜部を含む。ベーンは、それぞれが水平方向に平行に複数のベーンを配置したベーン列を垂直方向に配置した列内内に、個々のベーン列のそれぞれのベーンが、垂直方向軸内で、他のベーン列のベーンから水平方向にオフセットし、ベーンが共同して排気をコンピュータ室の一部から周囲環境に、煙突効果により、非直線状経路に沿って送るように、配置されている。パネル溝は、サイドパネルの1つの内面に沿って延び、液体を内部空間から送り出し、ここで、ベーンのそれぞれは、少なくとも1のベーン溝から少なくとも1のパネル溝内に液体を送り、したがって、受動的冷却システム内に周囲環境から受け入れられた液体が内部空間の外部に送られる。
【0009】
1の実施形態によると、装置は、内部空間の少なくとも一部に隣接するサイドパネル、内部空間内に配置されるベーン、および、パネル溝を含む。1または複数のベーンがベーン傾斜部およびベーン溝を含み、内部空間内に受け入れた流体の少なくとも一部を、少なくともベーン傾斜部の一部に基づいてベーン溝内に送る。ベーンは、垂直に配置されて水平方向にオフセットした複数の列に配置され、その複数のベーンの少なくとも1つを有する1つのが、内部空間を通る間接経路を形成する。間接経路は、内部空間内に受け入れた流体をベーンのベーン溝内に導く。パネル溝は、サイドパネルの1つに連結され、少なくとも1のベーン溝から流体を受け入れ、これにより、内部空間内に受け入れられかつベーン溝に導かれる流体の一部が、更に、ベーン溝を介してこのパネル溝に導かれる。
【0010】
1の実施形態によると、装置は部分的筐体と、部分的筐体内に配置された少なくとも1のベーンとを含む。部分的筐体は、下方端部で少なくとも部分的に内部環境に開口し、上方端部で少なくとも部分的に周囲環境に開口する。ベーンは、部分的筐体の下方端部から部分的筐体の上方端部に少なくとも1つの垂直方向に向く間接経路を形成する。ベーンは、少なくとも部分的に煙突効果に基づいて、内部環境から周囲環境に、部分的筐体を通る少なくとも1の垂直方向に向く間接経路に沿って受動的に空気を流す。ベーンは、降水を部分的筐体から排除するように、部分的筐体の上方端を介して周囲環境から部分的筐体内に入る降水の向きを変更する。
【0011】
本明細書で使用する「データセンタ」は、コンピュータ操作が行われる任意の設備または設備の一部を含む。データセンタは、サーバ及び他のシステム、及び、特定の機能(例えば、電子商取引処理、データベース管理)または多数の機能に役立つ専用部材を包含することができる。コンピュータ操作の例には、情報処理、通信、シミュレーション及び動作制御が含まれる。
【0012】
本明細書で使用する「機械的冷却」は、蒸気圧縮冷凍システム等で行われる少なくとも1の流体に機械的な仕事を行うことを包含する工程による空気の冷却を意味する。
【0013】
本明細書で使用する「蒸発冷却」は、液体の蒸発による空気の冷却を意味する。
【0014】
本明細書で使用する「直接蒸発冷却」は、冷却すべき空気流内で直接液体を蒸発させることにより冷却するシステムを意味する。
【0015】
本明細書で使用する「断熱系」は、液体の蒸発により冷却するシステムを意味する。
【0016】
本明細書で使用する「周囲」は、システム、構造体、データセンタ等の場所の外側の状態を指す。周囲温度は、例えば空気取扱システムの吸気フードの位置または近部で取得することができる。
【0017】
本明細書で使用する「煙突効果」または「スタック効果」は、経路の両端間の空気密度の差で引き起こされる経路を通る空気の流れを指す。このような差は、経路の両端間の温度差、周囲の圧力差、湿度の差等を含む1または複数の種々のファクタによって引き起こすことができる。例えば、暖かな筐体を有する建物が、より冷たい周囲環境で囲まれている場合には、煙突効果は、経路を通って環境に流れる筐体の低密度の温かい空気と、一方、環境から移動する高密度の冷たい空気との空気密度の差で生じる、筐体と環境との間の経路(例えば煙突)を介して引き起こされる空気流を指すことができる。
【0018】
本明細書で使用する「自由冷却モード」は、空気を取り扱うサブシステムが外部ソース(設備の外の空気等)から少なくとも部分的に空気を引き込み、空気を取り扱うサブシステムで積極的に冷却することなく(例えば、空気を取り扱うサブシステム内の冷却コイルを通る流体流を、流れ制御弁を閉じることで遮断する)、電子設備に空気を送る操作モードを含む。
【0019】
本明細書で使用する「室」は、構造体内の部屋または空間を意味する。「コンピュータ室」は、ラックマウント式サーバ等のコンピュータシステムが作動する室を意味する。
【0020】
本明細書で使用する「コンピュータシステム」は、任意の種々のコンピュータシステムまたはその構成部材を含む。コンピュータシステムの一例がラックマウント式サーバである。本明細書で使用する用語コンピュータは、当該分野でコンピュータと称されている集積回路だけに限るものではなく、広く、プロセッサ、サーバ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラマブル論理制御装置(PLC)、特定用途向け集積回路、及び、他のプログラマブル回路を指すものであり、これらの用語は本明細書では区別なく使用される。種々の実施形態では、メモリは、制限するものではないが、ランダムアクセスメモリ(RAM)等のコンピュータ可読媒体を含むことができる。代りに、コンパクトディスク−読取り専用記憶装置(CD−ROM)、光磁気ディスク(MOD)、及び/または、デジタル多目的ディスク(DVD)も使用することができる。更に、追加の入力チャンネルが、マウス及びキーボード等のオペレータインターフェースに関連するコンピュータ周辺機器を含むことができる。代りに、他のコンピュータ周辺機器も使用することができ、これには例えばスキャナを含むことができる。更に、いくつかの実施形態では、追加の出力チャンネルがオペレータインターフェースのモニタ及び/またはプリンタを含むことができる。
【0021】
本明細書で使用する「ダンパ」は、ダクト、管路または他の経路を介する流体の流れを制御(例えば、増加または減少)するように移動可能な装置または構成部材を包含する。ダンパの例には、プレート、ブレード、パネルまたはディスク、または、これらの任意の組合せを含む。ダンパは、多数の部材を有することができる。例えば、ダンパは、互いに平行で同時に回転してダクトを閉じる一連のプレートを有することができる。本明細書で使用するダンパを「調節」は、ダンパの1または複数の部材を配置または残して(place or leave)、開き、閉じ、または、部分的に開く等、ダンパを通る所要の流れ特性を達成することを意味する。例えば、18の受動的冷却システムを有するシステムでは、排気ダンパの調節は、受動的冷却システムの8つ選択した少なくとも一部の排気ダンパを開き、他の10の受動的冷却システムの少なくとも一部の排気ダンパを閉じたままとすることを含むことができる。
【0022】
種々の実施形態では、構造体用の受動的冷却システムは、環境部材が周囲環境から筐体内に入るのを阻止する間接経路を介して、筐体から周囲環境に排気を導くことにより、少なくとも1つの廃熱源を有する1または複数の筐体の受動的冷却を促進する。受動的冷却は、1または複数の廃熱源に関して、自由冷却作動モードで作用する1または複数の冷却システムを包含することができる。受動的冷却システムが、排気を導くことにより、廃熱エネルギを筐体の外に導いて筐体を冷却するように、排気は、筐体内の1または複数の廃熱源から出された廃熱エネルギを搬送することができる。いくつかの実施形態では、構造体は、データセンタを包含し、筐体は、廃熱源として1または複数のコンピュータシステムを有するコンピュータ室を包含する。
【0023】
図1は、1の実施形態による受動的冷却システムを有するデータセンタを示す概略図である。いくつかの実施形態では、データセンタは、コンピューティングシステムと、コンピューティングシステムからの廃熱エネルギを除去する1または複数の冷却システムとを有する1または複数のコンピュータ室を備える。例えば、図示の実施形態では、データセンタ100はコンピュータ室110と、コンピュータ室110に冷却空気を供給する上げ床の冷却システム120と、排気をコンピュータ室110から受動的に導く1または複数の受動的冷却システム130とを有する。コンピュータ室110は、それぞれ1または複数のコンピューティングシステムを有することができる1または複数のラックコンピューティングシステム112を備える。コンピューティングシステムは、作動中に廃熱エネルギを生成する1または複数の廃熱源を有することがあり、この廃熱はラックコンピューティングシステム112から取り除かなければ蓄積して内部のコンピューティングシステムを損傷させることがある。
【0024】
いくつかの実施形態では、冷却システムは、冷却空気をデータセンタ内の1または複数のラックコンピューティングシステムに供給し、内部のコンピューティングシステムから廃熱エネルギを除去することができる。例えば、図示の実施形態では、データセンタ100は、上げ床の冷却システム120を有し、この上げ床冷却システムは冷却空気106をコンピュータ室110の一部の下側の上げ床プレナム124からラックコンピューティングシステム112に供給する。いくつかの実施形態では、冷却空気は、1または複数の空気取り入れ口を介する吸気として上げ床プレナムに準備することができる。例えば、図示の実施形態では、空気取扱ユニット122は吸気102を上げ床プレナム124に供給し、ここに準備された吸気102は、次いで、1または複数のタイル114を介して冷却空気106として準備される。吸気102は周囲空気、再循環空気、または、これらのいくつかの組合せから引くことができる。いくつかの実施形態では、吸気の少なくとも一部が冷却システムで冷却され、この冷却システムは1または複数の熱交換器に空気を通過させることにより、吸気から熱エネルギを冷却流体に移送することができる。いくつかの実施形態では、空気取扱ユニット122は、上げ床プレナム内に空気流を生じさせる1または複数の積極的空気取扱装置を有し、1または複数のファンまたはブロア等を有する1または複数の空気移動装置を包含する。
【0025】
冷却空気106がタイルを通過可能なように穿孔、開口等を有する1または複数の床タイル114を通して上げ床プレナム124から、冷却空気106を提供することができる。例えば、図示の実施形態では、ラックコンピューティングシステム105間の所定の通路が「冷気通路」105であり、この中を冷却空気106が1または複数のタイル114を介して提供されるように、ラックコンピューティングシステム112がコンピュータ室110内で、ラックコンピューティングシステムの1または複数の列に配置される。冷却空気106は、冷気通路105からラックコンピューティングシステム112内の1または複数のコンピューティングシステムを通って流れ、内部の1または複数の廃熱源から1または複数の種々の熱搬送形態を介して廃熱を除去することができる。当然であるが、廃熱エネルギを1または複数の廃熱源から搬送するための種々の熱搬送形態は、当該分野の通常の技術を有する者に既知の熱搬送形態を包含することを理解すべきである。
【0026】
いくつかの実施形態では、ラックコンピューティングシステム112内の1または複数の構成部材から廃熱エネルギを除去する冷却空気106は、排気としてラックコンピューティングシステム112から排出される。冷却空気106がラックコンピューティングシステム112の一部または全てを通過する図示の実施形態を含むいくつかの実施形態では、空気が排気107としてラックコンピューティングシステムから「暖気通路」109内に排出される。
【0027】
1または複数の廃熱源から排出された排気は、筐体から除去され、筐体内に廃熱が過度に蓄積されるのを防止することができる。いくつかの実施形態では、1または複数の受動的冷却システム130が使用されて、煙突効果により筐体から排気を導き、ここでは、筐体と他の環境との間の空気密度の差で誘起される少なくとも一部の空気流により、空気が筐体から他の環境に移動される。例えば、図示の実施形態では、ラックコンピューティングシステム112から廃熱を吸収した排気107は、冷却空気106及びデータセンタ100を囲む周囲環境140の空気よりも低い密度を有することができる。このような密度の差は、コンピュータ室110と周囲環境140との間に経路が形成される場所で、高密度の周囲環境140内への低密度の排気107の流れを引き起こすことができる。このように煙突効果で引き起こされる流れは、受動的に引き起こすことができ、ブロワー、ファン等を含む空気流を引き起こすための積極的な空気移動装置は必要でない。煙突効果によりこのように受動的に引き起こされる空気流は、筐体の1または複数の冷却システムの自由冷却作動モードを包含することができ、ここでは冷却空気は積極的に冷却されない。例えば、図示の実施形態では、構造体100に関する自由冷却作動モードは、周囲環境140から吸気102を吸引し、このような吸気102を冷却空気106としてラックコンピューティングシステム112に提供することを包含し、このようなラックコンピューティングシステムに提供される冷却空気106は、1または複数の熱交換装置により積極的に冷却されるものではない。
【0028】
いくつかの実施形態では、受動的冷却システムは、周囲環境に対する、煙突効果で引き起こされる排気の流れを可能とする。例えば、図示の実施形態では、受動的冷却システム130は、コンピュータ室の上に配置され、コンピュータ室110と周囲環境140との間に、1または複数のラックコンピューティングシステム112から排出される排気107が煙突効果により、受動的冷却システム130内に含まれる1または複数の経路を介して、周囲環境140への排気流108として上昇するように引き起こされる、1または複数の経路を設けている。このような誘起された排気の流れ108は、廃熱エネルギをコンピュータ室110から除去することを可能とし、積極的な空気移動装置の使用を低減または無しとすることができる。いくつかの実施形態では、受動的冷却システム130がコンピュータ室110の上方位置に配置されて、煙突効果で誘起される空気流がコンピュータ室110から周囲環境140に1または複数の垂直に向く経路を介して流れるように、受動的冷却システム130はデータセンタ108の屋根118の上に配置される。例えば、図示の実施形態では、排気107がラックコンピューティングシステム112から「暖気通路」109内に排出され、排気は煙突効果により、暖気通路109よりも上に位置する受動的冷却システム130Aを通って上方に流れることができる。更に、図示の実施形態に示す他の実施形態では、排気はラックコンピューティングシステム112から、ラックコンピューティングシステム112の上側の排気ベント116内に排出されており、排気ベント116内を通過する排気が受動的冷却システム130Bを通過し、煙突効果により周囲環境140内に流れを通過させるように、受動的冷却システム130Bを排気ベント116の上側に配置することができる。
【0029】
図2は、1の実施形態による構造体の屋根の上の受動的冷却システムの配置を示す概略図である。いくつかの実施形態では、空気流が構造体の筐体から、筐体と周囲環境との間の空気密度の差に起因する誘起された空気流により、受動的冷却システム内の経路を通って周りの周囲環境に流れるように、1または複数の受動的冷却システム230が構造体200の上方部に配置される。例えば、図示の実施形態に示すように、周りの周囲環境240内の空気よりも低密度である筐体内の空気が、受動的冷却システム230の1または複数の経路を通って周囲環境240まで上方に流れるように誘起することができるように、構造体200は、筐体210の上側で構造体200の屋根212上に配置される受動的冷却システム230を有することができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、受動的冷却システムの位置決めに起因する構造的完全性の喪失を最小とするパターンで、受動的冷却システムが配置される。例えば、図示の実施形態では、筐体210から周囲環境240への1または複数の経路を有する受動的冷却システム230は、屋根212に間隙を形成することができる。受動的冷却システムは、構造体の屋根に所定のパターンで配置した場合に、構造体の種々の部分の構造的完全性を損なうことがあり、屋根を包含する。受動的冷却システムの特定の位置決めパターンは、構造的完全性に対するこのような虞(compromise)を最小とすることができる。例えば、図示の実施形態では、受動的冷却システム230は構造体200の屋根212上に列220をなして配置される。受動的冷却システム230を列220に位置決めすることは、受動的冷却システム230内の経路から形成される間隙で生じる構造的一体性の喪失を最小にすることができる。更に、いくつかの実施形態では、構造体202がデータセンタで、筐体210がラックコンピューティングシステムの列を有するコンピュータ室を有する場合は、ラックコンピューティングシステムから暖気通路に排出された排気が、暖気通路から、上方の1または複数の受動的冷却システム230を介して周囲環境240に垂直に上昇するのを誘起されるように、受動的冷却システム230の列220を、ラックコンピューティングシステムの側部に沿って延びる暖気通路の上に配置することができる。いくつかの実施形態では、ラックコンピューティングシステムが排気を排気ベントに排出する場合は、受動的冷却システム230の列220を排気ベントの上方に配置することができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、構造体は、所定の表面部材パターンを有する。例えば、図示の実施形態では、構造体200の屋根212は、格子線パターン214に配置された多数の表面部材を有することができる。格子214内の各セル216は、屋根材、構造部材等を有する1または複数の部材を包含することができる。いくつかの実施形態では、受動的冷却システム230が少なくとも部分的に、格子214の所定のセル216内に配置される。図示の実施形態に示すように、例えば各受動的冷却システム230は格子214の個々のセル216を満たす。いくつかの実施形態では、格子は、各セル216が特定の寸法を有するように構成することができる。例えば、各セル216は、2フィート幅及び4フィートの長さを含む標準化されたサイズを有することができ、受動的冷却システム230がセル216をほぼ、または、完全に満たすように、受動的冷却システム230は、同様な寸法を有することができる。いくつかの実施形態では、受動的冷却システムは、受動的冷却システム230が所定のセル216から除去しまたは挿入できるように、セル216内に取外し可能に配置されるように構成することができる。
【0032】
図3は、1の実施形態による受動的冷却システムの一部の概略的に斜視図である。受動的冷却システム300は、少なくともいくつかの側部をサイドパネル302に隣接させた内部空間301と、内部空間301内に少なくとも部分的に設置(配置)された多数のベーン304とを有する。内部空間301は頂端部303と底端部305とを有する。いくつかの実施形態では、頂端部303は、受動的冷却システム300の少なくとも一部の上部で周囲環境に開口するように構成された受動的冷却システム300の開口面である。いくつかの実施形態では、底端部305は、受動的冷却システム300の少なくとも一部で下側に存在する構造体の筐体に開口するように構成された受動的冷却システム300の開口面である。いくつかの実施形態では、構造体の筐体は、1または複数の廃熱源を有する他の筐体の上側の上方筐体である。例えば、底端部305は、データセンタのコンピュータ室の上に設置された天井プレナムに対して開口するように構成された受動的冷却システム300の開口面とすることができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、内部空間301は部分的筐体を有する。例えば、内部空間が頂部側303及び底部側305等の1または複数の側部が隣接しないように、パネル302に部分的に隣接する場合、内部空間301は部分的筐体を有する。
【0034】
いくつかの実施形態では、内部空間301は、少なくとも部分的に内部空間301内に配置される1または複数のベーン304を有する。いくつかの実施形態では、受動的冷却システム300内のベーン304は、構造体の筐体と周囲環境との間に1または複数の間接経路390を形成するように配置される。間接経路は、直線路に沿わない2つのポイント間に、非直線経路を含む経路を有することが可能である。例えば、図示の実施形態では、内部空間301の底端部305と頂端部303との間の間接経路390は、内部空間301内の水平方向にオフセットして垂直方向に配置したベーン304の列310,320,330で形成される。図示の実施形態を含むいくつかの実施形態では、底端部305と頂端部303との間の全ての経路が間接的でこれらの間に直接経路が存在しないように、ベーン304が内部空間301内に配置される。
【0035】
例えば図示の実施形態に示すように、ベーン304は多数の水平方向に延びるベーン304の列310,320,330に配列することができ、各列は他の列に対して垂直に配列される。これらの列は更に、各列のベーン304が、他の垂直方向に隣接する列内のベーンから垂直軸上で水平方向にオフセットするように、配列することができる。列は、いくつかの垂直方向に隣接する列から水平方向にオフセットし、他の列とは水平方向に整合することができる。例えば、図示の実施形態では、列310内のベーン304は、垂直方向に隣接する列320内のベーン304から垂直軸380上で水平方向にオフセット382し、一方、列330内のベーン304と垂直軸380上で整合する。
【0036】
いくつかの実施形態では、受動的冷却システムの下側の筐体と受動的冷却システムの上側の周囲環境との間に間接経路を形成する受動的冷却システム内のベーンの配置は、筐体から周囲環境に、煙突効果で引き起こされる流れにより、1または複数の間接経路に沿って空気を送ることを可能とし、一方、種々の環境部材が周囲環境から内部空間を介して筐体内に入るのを阻止する。いくつかの実施形態では、煙突効果による空気のこのようなルーティングは、冷却システムの自由冷却作動モードを含み、ここでは、周囲環境から少なくとも部分的にひかれた冷却空気は、積極的に冷却されることなく筐体に提供され、排気は筐体から1または複数の周囲環境に送られる。間接経路は、種々の降水、液体、粒状物質またはこれらのいくつかの組合せを含むことができる環境部材を、底端部305または内部空間301のいくつかの他の部分を通って筐体に入るのを逸らすように転送させる。例えば、断面333を参照して後の図で更に検討するように、ベーン304は、降水等の頂端部303を介して受入れた流体を含む環境部材を転送して、底端部305に通過するのを逸らす1または複数のベーン傾斜部312及びベーン溝314を有することができる。ベーン傾斜部312は、頂端部303を介して内部空間301に入る降水を、降水を集めて少なくとも一部を受動的冷却システムの外に送るベーン溝314に、転送することができる。いくつかの実施形態では、間接経路390は、1または複数のベーンを迂回する降水を他のベーンに転送することを可能とする。例えば、図示の実施形態に示すように、頂端部303を介して内部空間301に入る流体が列310のベーン304間を通過する場合は、流体は1または複数の他の列320,330のベーン304で転送することができる。このように、間接経路390の存在で、内部空間301に入る降水が頂端部303を通して底端部305に達するのを阻止することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、受動的冷却システムは、周部部材を集め、受動的冷却システムの外側に送る1または複数のパネル溝を有する。パネル溝は、1または複数のサイドパネルの内面に連結され、かつ、少なくとも部分的に沿って延びることができる。例えば図示の実施形態では、受動的冷却システム300はパネル溝340,350を有し、ここでは、パネル溝350はサイドパネル302の内側面に連結され、パネル溝340は、図には示してないサイドパネルの内側面に連結される。いくつかの実施形態では、パネル溝340,350は、降水を含み、更に1または複数の種々の液体を包含することができる環境部材を、受動的冷却システム300からパネル溝340,350内に受け入れる。例えば、図示の実施形態に示すように、パネル溝340,350は、降水が受動的冷却システム300を出る362ように、開口360を通して降水を導くことができる。図示の実施形態に示すように、パネル溝340,350は、降水がパネル溝340,350間に導かれるように、接続することができる。パネル溝は、降水を開口に向けて導くように構成することができる。例えば、パネル溝340,350は、開口360に向けた排水傾斜が形成され、パネル溝340,350内に受け入れられた降水が開口360に向けて流れるように、角度をつける(「傾斜」)ことができる。いくつかの実施形態では、開口360は1または複数のパネル溝の底面上に、図示の実施形態に示すように、位置決めされる。いくつかの実施形態では、1または複数の開口360を、1または複数のパネル302を含む受動的冷却システム300の他の表面に位置決めすることができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、パネル溝340,350及びベーン304は、環境部材がベーン304の一部によって1または複数のパネル溝340,350内に向きを変えるように構成されている。例えば、図示の実施形態に示すように、ベーン304は少なくとも部分的にパネル溝340のリップ342の上に延びることができ、ベーン304の長さに沿って向きを変えられた降水は1または複数のベーン傾斜部312及びベーン溝314からパネル溝340内に送られる。図示の実施形態に更に示すように、他の実施例では、サイドパネル302に最も近いベーン304は、ベーン溝314からの降水のオーバーフローがパネル溝350内に落下するように、パネル溝350の上に配置することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも部分的にパネル溝350の上に配置されるベーン304は、ベーン傾斜部312がパネル溝350内に降水を導くように構成することができる。
【0039】
図4A,4B及び4Cは、1の実施形態による受動的冷却システムのベーン400の種々の概略図である。ベーン400は、受動的冷却システムを通過する空気を筐体から周囲環境に間接経路を介して送り、一方、周囲環境から受取った降水を含む環境部材は筐体から逸らして送るように、構成される。受動的冷却システムのベーンは、1または複数のベーン傾斜部、ベーン溝またはこれらの組合せを包含することができる。例えば、図4Bに示すように、ベーン400は2つのベーン傾斜部402と2つのベーン溝404を有する。ベーン傾斜部402は、流体を自由落下路から逸らせて導き、ベーン溝は1または複数のトラフ構造、ダクト構造、または、降水を集めてその長さ406に沿って送る同様な構造を有することができる。例えば、図示の実施形態では、各ベーン傾斜部402は周囲環境から受け入れた自由落下降水を1または複数のベーン溝404内に導き、このベーン溝は降水を集め、それぞれの長さ406の少なくとも一部に沿って送ることができる。少なくとも図4Cに示すように、ベーン溝404は1または複数の出口408をそれぞれの長さ406の端部に有することができ、ここで降水はベーン溝404に沿って送られ、出口408からベーン溝404の外に導くことができる。いくつかの実施形態では、ベーン400は、集めた降水を出口408の外に送り、流体を更に受動的冷却システムの外に送るパネル溝内に送るように構成される。いくつかの実施形態では、ベーン400は、1または複数の出口408が受動的冷却システムの外部に配置され、降水が出口408を通過することにより受動的冷却システムから除去されるように、少なくとも部分的に受動的冷却システムの外部に延びるように構成される。
【0040】
図5Aは、1の実施形態によるベーンサポートを有する受動的冷却システムの概略的な直角視図である。図5Bは、1の実施形態による受動的冷却システムのベーンサポートの概略的な斜視図である。いくつかの実施形態では、受動的冷却システムは、1または複数のベーンの構造的な位置決め及びサポートを提供する1または複数のベーンサポートを有する。例えば、図示の実施形態では、受動的冷却システム500は、図4A〜Cを参照して更に図示及び検討するベーン400を有し、このベーンは受動的冷却システム500の2つのサイドパネル502間に2つのベーンサポート504で支えられている。いくつかの実施形態では、ベーンは1または複数のベーンサポートの上に載置され、ベーンサポートを介してその重さを伝達する。いくつかの実施形態では、ベーンは、溶接、リベット留め、接着等によりベーンサポートに連結される。1または複数のベーンサポートは、ベーンとは別部材とし、または、ベーンの一部とすることができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、ベーンサポートは1または複数のベーンを、ベーンに導かれた降水がパネル溝内に溝とサイドパネルとの間の間隙を介して導かれるように、受動的冷却システム内に位置決めする。間隙は、ベーンサポートで架橋することができる。例えば、図示の実施形態では、ベーン400は2つのベーンサポート504上に載置され、ここでは、ベーン400の端部とサイドパネル502との間に間隙520が設けられるように、ベーン400が2つのパネル502間の距離よりも短く、ベーンサポート504がこの長さの差を架橋する。1または複数のベーン傾斜部及びベーン400のベーン溝により、ベーン溝の出口から送られた降水は、図4A〜Cを参照して上述したように、間隙520を介してパネル溝530内に導くことができ、パネル溝自体は降水を受動的冷却システム500の外側に1または複数の開口540を介して送ることができる。いくつかの実施形態では、ベーン400とパネル502との間の間隙520の長さは、ベーン400の一部がパネル溝の上に張り出すようにパネル溝530の幅524よりも短く、これは降水がベーン溝の出口を通過し、パネル溝530から外れてしまう可能性を低減することができる。いくつかの実施形態では、間隙は、部分的または完全にベーンの一部内に配置される。例えば、ベーンがサイドパネルに直接連結される場合は、間隙がサイドパネル及び凹設形状の出口またはこれらの組合せに隣接する(bounded)ように、間隙をベーン内の孔、ベーン溝の出口の凹設形状で形成することができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、ベーンサポートは、ベーンが最小の動きでベーンサポート上に載置されるように、1または複数のベーンの一部の外形にしたがうように構成される。例えば、図5Bに示すように、ベーンサポート504は、図4A〜Cに示すベーン400の下面の全体的形状に適合するように構成される。ベーンサポート504は、ベーン400の下面の少なくとも一部の外形に適合する上面505を有し、ベーン400の下側の端部の少なくとも一部が面505上に載置される。いくつかの実施形態では、ベーン400のベーン傾斜部の下側が面505に載置される。いくつかの実施形態では、ベーン400の一部が面505の一部に連結される。
【0043】
いくつかの実施形態では、ベーンサポートは1または複数のベーンを受動的冷却システム内で調整する。例えば、図5A〜Bの図示の実施形態では、ベーンサポート504は、サイドパネル502上で1または複数のトラック508,510に沿ってベーンサポート504を操作して移動する1または複数のモータ506を有する。いくつかの実施形態では、種々のベーンサポートは独立して移動し、1または複数のベーンの形態を調整することが可能である。例えば、図5Aの図示の実施形態を参照すると、ベーン400の一端の1つのベーンサポート504がモータ506を使用してトラック510に沿って上方に移動でき、一方、ベーン400の対向端の他のベーンサポート504は、モータ506を使用してトラック510に沿って下方に移動することができ、これにより、ベーン400は角度を付けられる。他の実施例では、双方のベーンサポート504は、サイドパネル502に対して、ベーン400が所定方向に並進するように、トラック510に沿ってモータ506で共通の方向に移動することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、1または複数のベーンサポート504は、回転可能となるように調整することが可能である。例えば、面505上に載置されるベーン400がその長手軸の回りを回転するように、モータ506が作動してベーンサポート504を回転することができる。他の実施形態では、ベーン505上に載置されるベーン400がその短手軸の回りを回転するように、モータ506が作動してベーンサポート504を回転することができる。いくつかの実施形態では、ベーンサポート504は、1または複数のモータで調整可能であり、これは種々の位置に配置することができる。例えば、図5A〜Bの図示の実施形態に示すように、モータ506を少なくとも部分的にベーンサポート504内に配置することができる。他の実施形態では、1または複数のモータ506を、ベーンサポート504に対して外部に配置することができる。いくつかの実施形態では、モータ506は、サイドパネル502を基準として、回転調整及び並進調整を含む多数のベーンサポート504に対する調整を制御するために操作することができる。
【0045】
図6Aは、1の実施形態による尖頂付きベーンを有する受動的冷却システムの概略的な直角視図である。
【0046】
いくつかの実施形態では、受動的冷却システムの1または複数のベーンが、降水を含む環境部材をベーン溝に沿って特定方向に送るように構成される。例えば、受動的冷却システム600Aの図示の実施形態に示すように、ベーン601Aの少なくとも一部に、ベーンの長さの少なくとも一部に沿って排出傾斜が設けられるように、角度610,611を付けることができる。いくつかの実施形態では、図5A〜Bを参照して検討したように、ベーンが載置されるベーンサポートの位置決めを通して角度をつけることができる。いくつかの実施形態では、ベーン自体はその長さの一部または全てに沿って角度をつけることができる。例えば、図示の実施形態では、ベーン601Aは「尖頂付き」ベーンであり、その長さに沿って異なる角度を付けられるように構成されている。図示のように、ベーン601Aはその長さの一部606に沿って所定の角度610に角度を付けられ、その長さの他の部分608で他の角度611で角度を付けられている。他の実施例では、ベーンはその短軸に沿って異なる角度に構成された尖頂付きとすることができる。いくつかの実施形態では、角度610,611が等しく、いくつかの実施形態では、角度610,611が相違する。更に、特定のベーン601Aの部分606,608の長さを等しくするかまたは相違させることができる。いくつかの実施形態では、ベーン601Aのその長さに沿う角度付け(angling)610,611は、ベーン601Aの長さに沿う「尖頂」位置602で変化する。このようなベーン601Aの角度付けの分離は、ベーン601Aのベーン溝内に受け入れた降水を、受動的冷却システム601のパネル溝530のそれぞれの1つに、ベーン601Aの端部におけるそれぞれの間隙520を介して送ることを可能とする。例えば、図示の実施形態に示すように、部分606に沿ってベーン601Aのベーン溝内に受け入れた降水は部分606の角度付け610によって、ベーン601Aの出口605を介してパネル溝530内に導くことができ、部分608に沿ってベーン601Aのベーン溝内に受け入れた降水は、部分606の角度付け611により、ベーンの出口607を介してパネル溝530内に導くことができる。いくつかの実施形態では、受動的冷却システムは1または複数の出口開口を有し、これを介して降水が受動的冷却システムから出る。例えば、図示の実施形態では、受動的冷却システム600Aは、各パネル溝530内の降水を受動的冷却システム600Aから外に導く開口540を有する。
【0047】
いくつかの実施形態では、ベーンの一部の角度付けは、1または複数の特定の方向に降水の流れ方向に影響する部分に沿って傾斜を形成する。このよう傾斜は、降水をベーンの特定の出口に向けて流れるように導く排水傾斜とすることができる。例えば、図示の実施形態では、部分606に沿う排水傾斜は、ベーン601Aの部分606内に受け入れた降水が出口605に向く流れを導くように、部分606の角度付け610で形成することができる。
【0048】
図6Bは、1の実施形態による角度付き(傾斜した)ベーンを有する受動的冷却システムの概略的な直角視図である。いくつかの実施形態では、受動的冷却システムのベーンは、別個のベーン内に受けた降水が別個に導かれるように、別個に角度を付けることができる。別個のベーンは別個に角度を付けられ、降水を別個のパネル溝に導くことができる。例えば、図示の実施形態では、ベーン601B,601Cは受動的冷却システム600B内で互いに垂直に配置され、ベーン601Bは角度612を付けられ、ベーン601Bのベーン溝650が受けた降水を、間隙520を介してパネル溝642内に傾斜により導くように、傾斜を形成する。対照的に、ベーン601Cは角度614を付けられ、ベーン601Cのベーン溝660が受けた降水を、間隙520を通してパネル溝644内に導くように、傾斜を形成する。受動的冷却システム600Bは、各パネル溝642,644内の降水を受動的冷却システム600Bの外に導く開口652,654を有する。いくつかの実施形態では、ベーンはその長さの一部に沿って先細状であり、その長さの少なくとも一部に沿って排水勾配を形成することができる。
【0049】
図7は、1の実施形態によるベーン溝を有する受動的冷却システムの概略的な断面図700である。いくつかの実施形態では、断面700は、図3の断面333を参照して上述したように、受動的冷却システムの一部の断面である。断面700は、サイドパネル707で側部を囲まれ、少なくとも部分的に空間702,704に開口する内部空間710の断面を示す。例えば、内部空間710は、内部空間の頂部側が空間702に開口するように、頂部側は何らの部材によっても囲まれていない。他の実施例では、内部空間710は、内部空間710が部分的に空間704に開口するように、サイドパネル707に連結されたパネル溝760で底部側を部分的に囲むことができる。いくつかの実施形態では、空間702は、周囲環境であり、空間704は構造体に包含される筐体である。
【0050】
いくつかの実施形態では、1または複数のベーンが受動的冷却システムの内部空間内に配置される。1または複数のベーンは、これらの1または複数のベーンが1または複数の個々のベーン、種々のベーンの配置、または、これらの組合せで形成された特定の経路に沿って特定の部材を導くように、特定の形態に配置することができる。例えば、図示の実施形態では、ベーン714は多数の垂直方向に配置された列762,764,766に配置される。ベーンの各列は、垂直軸上で1または複数の他のベーンの列に対して水平方向にオフセットすることができる。例えば、図示の実施形態に示すように、列764は、列762,766の列から水平方向にオフセットしたベーンを有する。いくつかの実施形態では、ベーンの配置は、内部空間を通る1または複数の間接経路を形成することができる。例えば、列762,766から列764を水平方向にオフセットさせることで、空間702,704から内部空間710を通る1または複数の間接経路722,724を形成することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、1または複数のベーンは少なくとも部分的に内部空間内の特定位置に1または複数のベーンサポートで支えられる。例えば、図示の実施例に示すように、列762内の少なくとも一部のベーン714が少なくとも部分的にベーンサポート716で支えられる。ベーンは、ベーンサポートに載置することができ、ベーンサポートに連結することができ、または、これらの組合せとすることができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、煙突効果が内部空間710を通って空間704,702の間に形成される。このような煙突効果は、少なくとも空間702,704の間の空気密度の差に起因し、空間704から空間702まで内部空間を介する空気流を生じさせることができる。煙突効果は、低密度の空気が垂直に配置された経路を通って高密度の空気の空間内に上昇するように、垂直に向く空気流を生じさせることができる。いくつかの実施形態では、内部空間を介して煙突効果で引き起こされる空気流は、内部空間710を介する間接経路をたどり、これは非直線状経路を含む。例えば、図示の実施形態に示すように、空間704から空間702への内部空間710を介する空気流720は、内部空間710を介して1または複数の垂直方向に向いた間接経路722,724をたどり、ここでは、内部空間内で垂直方向に配置された水平方向にオフセットする列762〜766のベーン714の配列によって、間接経路が形成される。いくつかの実施形態では、経路に沿う垂直方向のオフセットが、経路に沿う水平方向のオフセットよりも少なくとも大きい場合は、経路が垂直方向に向く。いくつかの実施形態では、垂直方向のオフセットが所定のマージンにより水平方向のオフセットよりも大きい場合には、経路は垂直方向に向く。
【0053】
いくつかの実施形態では、1または複数のベーン714が、1または複数のベーン傾斜部、ベーン溝等で形成されたポケット772内に、少なくともいくらかの空気を同伴する。同伴空気のポケット772は少なくとも部分的に、内部空間710を介する1または複数の間接経路722,724に沿う空気流の経路を定める。
【0054】
いくつかの実施形態では、内部空間内のベーンの配置は、1または複数のベーンを使用して降水の向きを変えることにより、空間702から空間704に降水が通過するのを妨げる。例えば、図示の実施形態に示すように、1または複数の種々の液体を包含することのある降水740が、周囲環境を含むことのある空間702から内部空間710内に入り、列762内のベーンのベーン傾斜部で1または複数の経路744,742に沿って向きを変えることができる。図示のように、経路744はサイドパネル707に近接するベーン溝内に降水を導くことができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、図示の実施形態に示すように、1または複数のベーンを、1または複数のベーン溝が少なくとも部分的にパネル溝上に配置され、ベーン溝からの降水がパネル溝内に落下するように、内部空間内に配置することができる。したがって、図示の実施形態に示すように、経路744に沿って導かれ、パネル溝760上に位置するベーン溝から溢れる降水は、パネル溝760内に導くことができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、内部空間内のベーンの配置は、特定のベーンをバイパスする降水を他のベーン内に導く。間接経路を形成するベーンの配置は、内部空間を介する煙突効果で引き起こされる空気流の経路を定めると同時に、内部空間内に受け入れた降水を、1の特定の外部空間から内部空間を通して完全に通過するのを妨げるように、1または複数のベーンを使用して向きを変える。例えば、断面700で示す受動的冷却システムが周囲環境(空間702)と構造体の内側筐体(空間704)との間に内部空間710を形成する場合、図示のベーン714の配置は、筐体704から煙突効果で引き起こされた空気流720を周囲環境702に向けて送り、一方、周囲環境702から内部空間710内に受け入れた降水740を、降水740が筐体704内に入るのを妨げるように、向きを変える間接経路を形成することができる。
【0057】
他の実施例では、図示の実施形態に示すように、降水740が列762内のベーンで経路742に沿って導かれる場合、降水740をベーン溝752に導くことができ、ここでは降水はベーン溝752で集められ、内部空間に対する外部ポイント、パネル溝760に降水を導く出口、または、これらの組合せに向けて送られる。降水がパネル溝752から溢れる場所では、降水は、列764内のベーンで他のベーン溝754に向きを変えられ、これは降水を集め、内部空間に対する外部の他のポイント、パネル溝760に降水を導く他の出口、または、これらの組合せに送る。降水がパネル溝754から溢れる場所では、降水は列766内のベーンで他のベーン溝756に向きを変えられ、これは降水を集め、内部空間に対する他の外部ポイント、降水をパネル溝760に導く他の出口、または、これらの組合せに送る。いくつかの実施形態では、異なる列のベーンは、降水を内部空間に対して外部の共通ポイント、降水を共通のパネル溝760に導く共通の出口、または、これらのいくつかの組合せに、導く。
【0058】
いくつかの実施形態では、内部空間内の1または複数のベーンが、1または複数の物理的形態を有する。例えば、図示の実施形態では、内部空間710内のベーン714は、ベーンのそれぞれが2つのベーン傾斜部とベーン傾斜部のそれぞれと連結されるベーン溝とを有するように、図4A〜Cを参照して上記図示及び検討したベーンと少なくとも同様である。更に後述するように、種々のベーン形態が本開示により包含されることが認められる。
【0059】
図8は、1の実施形態による空気ルーティング傾斜部を有する受動的冷却システムの概略的な断面図800である。いくつかの実施形態では、断面図800は、図3の断面333を参照して上で説明したと同様な、受動的冷却システムの一部の断面図である。
【0060】
いくつかの実施形態では、受動的冷却システムの内部空間810内に配置される種々のベーンが種々の形態を備える。このような種々の形態は、空気、降水等を他の形態とは相違する形態で導くことができる。例えば、図示の実施形態に示すように、列866は、図7及び図4A〜Cを参照して図示及び検討したものと同様な形態を有するベーンを備える一方、列862,864は異なる形態のベーンを備える。このようなベーン814は、空気がポケットに閉じ込まれるのを阻止するように、空気を1または複数の経路822,824に沿って導く空気ルーティング傾斜部818を有することができる。いくつかの実施形態では、空気ルーティング傾斜部は、内部空間810を通過する空気がベーンの少なくとも一部で形成されるポケット内に閉じ込まれるのを妨げる筐体が形成されるように、ベーンの1または複数のベーン傾斜部及びベーン溝に連結される。例えば、図示の実施形態では、空気ルーティング傾斜部818は、ベーン溝834に連結され、ベーン傾斜部832、ベーン溝834、及び、空気ルーティング傾斜部818で閉じられて経路822,824に沿って通過する空気820がベーン814の任意の部分で形成されるポケット内に閉じ込められるのを阻止する筐体840が形成される。対照的に、図示の実施形態に示すように、空気ルーティング傾斜部のないベーン838は、1または複数のベーン傾斜部、ベーン溝等に隣接し、内部空間810を通過する空気が閉じ込められるポケット836が形成されるように部分的筐体を有することができる。いくつかの実施形態では、ベーン形態は、空気流が間接経路に沿ってポケットで導かれるように、ポケット内にいくらかの空気を閉じ込める。
【0061】
図9は、実施形態による受動的冷却システムの概略的な断面図である。いくつかの実施形態では、断面900は、図3の断面333を参照する上述の説明のように受動的冷却システムの一部の断面である。
【0062】
いくつかの実施形態では、内部空間内に配置された1または複数のベーンは1または複数のベーン溝を有し、ベーン傾斜部がない。例えば、図示の実施形態では、ベーン912は、内部空間910内で垂直で、水平方向にオフセットした列962,964に配置され、各ベーン912はベーン溝914を有し、ベーン傾斜部はない。いくつかの実施形態では、1または複数のベーン溝を有しかつベーン傾斜部のないベーンは、ベーンの下側に沿って空気を導くことができ、更に、降水をベーンの上側に沿って導くことができる。例えば、図示の実施形態に示すように、空間904から空間902に内部空間910を介して上昇する空気920は、煙突効果で引き起こされる流れであり、1または複数の間接経路942,944に沿ってベーン912の下側で導くことができ、一方、空間902から内部空間910内に受け入れた降水922,924は種々の列962,964内に配置されたベーン912で集めることができ、空間902から受け入れた降水は1または複数のベーン912により、内部空間910の外側の1または複数のポイント、1または複数のパネル溝960、または、これらの組合せに向けて送られる。
【0063】
いくつかの実施形態では、1または複数のベーンサポートが、ベーンの一部または全ての形状に適合するように成形される。例えば、図示の実施形態では、ベーンサポート952が、ベーン912に少なくとも類似する形状を有するベーンの下側の部分に対応するように成形される。1または複数のベーンの1または複数の面の少なくとも一部の形状に部分的または完全に対応する形状を含む種々の形状を有するベーンサポートが、本開示に包含されることを理解すべきである。
【0064】
図10は、1の実施形態による受動的冷却システムの概略的な断面図1000である。いくつかの実施形態では、断面図1000は、図3の断面図333を参照する上述の説明のような受動的冷却システムの一部の断面である。
【0065】
いくつかの実施形態では、受動的冷却システムは、種々の形態を有するベーンが配置される内部空間を有する。種々の形態は1または複数のベーン傾斜部、ベーン溝またはこれらの組合せを有することができる。ベーンが種々の列に配列される場合は、各列は1または複数の種々の形態を有することができる。特定の列は、他の列に関する列の配置に少なくとも部分的に基づいて1または複数の特定の形態を有するベーンを備えることができる。例えば、図示の実施形態に示すように、図10は、垂直方向に配置されて、水平方向にオフセットした2つのベーンの列1062,1064を有する受動的冷却システムの断面1000を示し、ここに、ベーンは別個の列内で1または複数の別個の形態を有する。図示の実施形態に示すように、列1062内のベーンはベーン傾斜部を有しかつベーン溝がなく、したがって、列1062内のベーンは内部空間1010内に受け入れた降水1032,1034,1036を、ベーン溝内には何らの降水を収集することなく、向きを変えることができる。ベーンが1または複数のベーン傾斜部をベーン溝とは別個に有する場合、ベーンは降水を他のベーン、溝などに向きを変えることができる。例えば、内部空間1010内に受け入れた降水1032は、ベーン1012のベーン傾斜部で1または複数のパネル溝1060内に向きを変えることができ、内部空間1010内に受け入れた降水1034,1036をベーン1012,1014の各ベーン傾斜部で他のベーン1028に向きを変えることができる。
【0066】
列1062内のベーンとは対照的に、列1064内のベーンは少なくとも1のベーン溝を有することができる。例えば、列1064内のベーン1028は、ベーン1012からベーン傾斜部に導かれた降水1034をベーン溝で収集することなく1または複数のパネル溝内に向きを変えるように、ベーン溝とは独立したベーン傾斜部1026を有し、更に、ベーン1014からベーン傾斜部1024に向きを変えられた降水1036が、ベーン溝1025に沿って内部空間1010の外側のポイント、1または複数のパネル溝1060、または、これらの組合せに向けて送られるように、ベーン溝1025に連結されるベーン傾斜部1024を有する。
【0067】
いくつかの実施形態では、特定のベーン列内の種々のベーンが1または複数の種々の異なる形態を有する。例えば、図示の実施形態に示すように、列1064はベーン1028,1052,1054を有し、ここでは、ベーン1028,1054は、2つのベーン傾斜部及び1のベーン溝を有するミラー形態を有し、一方、ベーン1052は図4A〜Cを参照して図示及び検討したベーンと同様な形態を有する。
【0068】
図11は、1の実施形態による凹状湾曲部を有するベーンを設けた受動的冷却システムの概略的な断面図1100である。いくつかの実施形態では、断面1100は、図3の断面333参照する上述の説明のような受動的冷却システムの一部の断面である。
【0069】
いくつかの実施形態では、受動的冷却システムは、1または複数の湾曲部材を有することのある1または複数のベーンを備えることができる。湾曲部材は、凸状湾曲、凹状湾曲等を含む非直線状湾曲を有する1または複数の面を包含することができる。例えば、図示の実施形態に示すように、内部空間1110は、上方に向く凹状湾曲部1114を有するベーン1112の1または複数の列1162,1164を備えることができる。このような湾曲部は、単一材料部材(single piece of material)で形成することができる。このような単一材料部材は、少なくとも部分的に、湾曲部への材料の鋳造、湾曲部への材料の曲げまたはこれらのある程度の組合せに基づいて湾曲部を設けることができる。例えば、図示の実施形態では、各ベーン1112は、各ベーン1112が湾曲部1114により形成されるベーン溝を包含するように、上方に向く凹状湾曲部に形成される単一材料部材で形成することができる。いくつかの実施形態では、1または複数のベーンが、1または複数の平坦な平面状面を含む1または複数の直線状部材を有する。
【0070】
図12は、1の実施形態による受動的冷却システムの概略的な断面図1200である。いくつかの実施形態では、断面1200は、図3の断面333を参照する上記説明のような受動的冷却システムの一部の断面である。
【0071】
図10を参照して上記検討したように、いくつかの実施形態では、受動的冷却システムは、種々の形態のベーンが配置される内部空間を有する。図示の実施形態に更に示すように、内部空間1210内の1または複数のベーンは、種々の非直線状湾曲部を有する種々の形態を有することができる。例えば、列1262は、それぞれ下方に向く凹状湾曲部を有するベーン1212を有することができる。このような湾曲部は、単一材料部材で形成することができる。例えば、図示の実施形態では、各ベーン1212は、各ベーン1212が湾曲部で形成された1または複数のベーン傾斜部を有するように、下方に向く凹状湾曲部に単一材料部材で形成することができる。
【0072】
列1062に含まれるベーンとは対照的に、列1264内のベーンは、少なくとも1のベーン溝を有することができる。ベーンに様々な数のベーン傾斜部及びベーン溝を含むことは、1または複数のベーン傾斜部及びベーン溝が材料の異なる湾曲部で形成されるように、材料部材の変化する湾曲部で具体化することができる。例えば、図示の実施形態では、列1264内のベーン1224は、1または複数のベーン傾斜部を形成する下方に向く凹状湾曲面1227、及び、1または複数のベーン溝を形成する上方に向く凹状湾曲部1225を有する単一の材料部材を備えることができる。単一材料部材は、図11を参照して上記で検討したように、1または複数の種々の工程に少なくとも部分的に基づいて変化する湾曲部を有することができる。いくつかの実施形態では、ベーン1224は、異なる湾曲部を有する部材を含む種々の材料部材から形成することができる。
【0073】
上記で検討したように、いくつかの実施形態では、1または複数のベーンの列が、種々の形態を有するベーンを包含することができる。例えば、図示の実施形態に示すように、列1264は、少なくとも2つの別個の湾曲部を包含する上記検討した形態を有するベーン1224、ベーン1224にミラー形態を有するベーン1226、及び、少なくとも2つのベーン傾斜部と2つのベーン溝とを有するベーン1228のように、1または複数の下方に向く凹状湾曲部と2以上の上方に向く凹状湾曲部とを含む形態を有する1または複数のベーン1228を包含することができる。
【0074】
図13は、1の実施形態による穴あき(perforated)ベーンを包含する受動的冷却システムの一部の概略的な斜視図である。
【0075】
いくつかの実施形態では、受動的冷却システム内の1または複数のベーンが、1または複数の面に1または複数の穿孔(perforation)を有する。ベーンの面の穿孔は、ベーンの特定の面上に受け入れた降水の一部または全てをこのベーンを通しで伝達することを含む、ベーンの種々の面間で種々の降水を伝達することができる。受動的冷却システムの種々のベーンは、ベーンの総量及び配置を相違させることができる。1または複数のベーンの穿孔は、ベーンを介して受け入れた降水の一部を他のベーンの面が受け入れるように伝達しつつ、ベーンがこのベーンの面で受け入れた降水の一部を、ベーンの1または複数のベーン溝に導くのを可能とする。このようなベーンは、所定の閾値内で任意のベーンが取り扱う降水の量を減少することができる。例えば、オーバーフローさせることなく、所定量に過ぎない流体閾値量を導くことのできるベーン溝を有する場合は、ベーンは、1または複数のベーン傾斜部の面を含む1または複数の面に1または複数の穿孔の配置を有し、他のベーンが伝達された降水の少なくとも一部を導くように、ベーンを介してこの面で受け入れた降水の一部を、他のベーンの面が受け入れるように伝達することができる。
【0076】
例えば、図示の実施形態に示すように、受動的冷却システムシステム1300は、ベーンの種々の列1310,1320,1330を有することができ、ここで、1または複数のベーンの列は種々の配置の穿孔を設けたベーンを有する。図示のように、ベーンの頂部の列1310は、ベーンの面上に受け入れた降水の一部をこのベーンを通して下側の列1320,1330の1または複数のベーンに伝達する特定の穿孔1312の配置を有することができる。図示の実施形態に更に示すように、穿孔は1または複数のベーン傾斜部の一部に設けることができる。いくつかの実施形態では、穿孔は1または複数のベーン溝の一部に設けることができる。
【0077】
いくつかの実施形態では、種々のベーンの列は、受動的冷却システムの一端に近接する列のベーンが受動的冷却システムの他端に近接する列内のベーンよりも多くの穿孔を有するように、種々の穿孔の配置を有することができる。例えば、図示の実施形態に示すように、受動的冷却システム1300の頂端に近接する列1310はベーンの1または複数の面に穿孔1312の配置を有することができるが、列1320は、列1310のベーンの穿孔1312の配置に対して穿孔の総計を低減した他の配置の穿孔1314を設けたベーンを有することができる。更に、列1330は、穿孔のないベーンを有することができる。いくつかの実施形態では、種々のベーン列を横断する穿孔の一部または全ての量、サイズ等の変化が、幾何学的関係、動力関係等を含む1または複数の関係に追従することができる。例えば、列1310のベーンの穿孔1312は、列1320のベーンの穿孔1314の2倍の量の流体を伝達することができる。このような伝達の相違は、少なくとも部分的に、種々のベーンの穿孔の量、サイズ、形状、配置等の相違に基づいていることがある。
【0078】
いくつかの実施形態では、穿孔の配置は、ベーンの列を横断して変化し、1または複数の列の所定のベーンのベーン溝に導かれる降水の閾値レベルを維持する。例えば、図示の実施形態では、列1310に近接する頂端部から受動的冷却システム内に降水を受け入れる場合、列1310のベーンは、受け入れた降水の一部を、列1310のベーンのベーン溝に導かれた降水の量が所定の閾値レベルを維持するように、1または複数の後続の列のベーン1320,1330に伝達する穿孔1312の配置を有することができる。このような閾値レベルは、列1310の1または複数のベーンの1または複数のベーン溝の最大流体容量等を、予め定めることができる。
【0079】
図示の実施形態では、ベーンの列1310の一方をバイパスする降水は、穿孔1312等によりこれを通して伝達され、少なくとも一部が、列1320のベーンの1または複数の面で受け入れ、このようなベーンは、受け入れた降水の一部をベーンを通して列1330のベーンに伝達する穿孔1314の他の配置を含むことができる。したがって、ベーンの列1320内のベーン溝に導かれる降水の量は、所定の閾値レベル内に維持される。穿孔1314の配置は、穿孔1312の配置に対して、減少した量の降水を伝達することができ、したがって、列1320のベーンの表面が受け入れた降水の大部分がベーン溝に向けられる。
【0080】
図示の実施例では、ベーンのいずれかの列1310,1320をバイパスする降水は、穿孔1312,1314等によりベーンを通って伝達され、少なくとも一部を列1330のベーンの1または複数の面が受け入れ、このようなベーンは穿孔がなく、受け入れた降水の全てが列1330のベーン内のベーン溝に導かれる。列1310,1320のベーンは、列1330のベーンの面が受け入れる降水の最大量が、ある程度の所定レベルの確信で予測され、閾値レベル内に維持されるように、十分な量の降水をそれぞれの列1310,1320のベーン溝に導くことができる。
【0081】
図14は、1の実施形態による同一高さのダンパを設けられた受動的冷却システムの概略的な斜視図である。
【0082】
いくつかの実施形態では、ダンパは少なくとも部分的に、1または複数の受動的冷却システムの内部空間を通る1または複数の経路を少なくとも部分的に規制するために使用することができる。経路規制は、種々の理由で具体化することができる。いくつかの実施形態では、受動的冷却システムの内部空間を通る経路は、1または複数のダンパにより規制することができ、内部空間介して排気が流れるのを少なくとも部分的に規制する。1または複数のダンパのセットは、受動的冷却システムの内部空間の1または複数の種々の端部に近接させ、少なくとも一部を内部空間内に、または、これらの組合せで位置させ、1または複数のダンパのセットを受動的冷却システムに設けることができる。
【0083】
実施例として、図示の実施形態に示すように、システム1400は、少なくとも上述の図3を参照して詳細に説明した関連する受動的冷却システム1402の頂端の上に位置する排気ダンパ1406のセット1404を有することができる。いくつかの実施形態では、ダンパシステムは、受動的冷却システムの1または複数の側部に同じ高さに配置することができる。例えば、図示の実施形態では、ダンパ1406のダンパシステム1404は、ダンパシステム1404と受動的冷却システム1402との間に間隙が介在しないように、受動的冷却システム1402の側部に同じ高さに配置することができる。排気ダンパは、少なくとも部分的に受動的冷却システム1402を通る1または複数の種々の経路を規制する形態に、個々にまたは少なくとも集合的に調整可能とすることができ、受動的冷却システムを通る排気を少なくとも部分的に規制する。以下に詳述するように、ダンパ1406は、構造体の少なくとも一部を介して排気の少なくとも一部が再循環し、筐体内の空気の1または複数のパラメータ等を調整するように、調整することができる。例えば、1または複数のダンパ1406を、調整、すなわち受動的冷却システム1402を通る1または複数の経路を規制して、筐体内の空気圧を増大することができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、周囲環境から受動的冷却システムの内部空間内に受け入れた環境部材が、受動的冷却システムの下方に筐体から環境部材を外に送る受動的冷却システムの閾値容量を超える場合、1または複数のダンパを調整してこのような環境部材が内部空間内に入るのを規制することができる。このような調整は、環境部材が所定の閾値を超え、所定期間内における予測等を超える速度で受動的冷却システムに入ってきていることの判断に応答することができる。例えば、図示の実施形態では、ダンパ1406は、受動的冷却システム1402の内部空間内に受け入れる降水量を含む環境部材の規模を調整して少なくとも部分的に規制し、そのように受け入れる環境部材の量が、所定期間にわたって受動的冷却システム1402内の種々の溝で送ることが可能な降水の所定の最大量を含む所定の閾値を超えないように計画することができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、1または複数のダンパが調整されて、環境部材が受動的冷却システムの内部空間内に受け入れられるのを阻止し、環境部材で損傷するのを防止することができる。例えば、環境部材が雪、あられ、砂、灰、粒状物質等を含む場合、1または複数のダンパ1406は、このような環境部材が受動的冷却システム1402の少なくとも一部に入るのを防止するように調整することができる。
【0086】
図15は、1の実施形態による関連する傾斜ダンパを有する受動的冷却システムの概略的な斜視図である。
【0087】
いくつかの実施形態では、受動的冷却システムに設けられたダンパシステムの少なくとも一部が、受動的冷却システムに対して角度を付ける(傾斜した)ことができる。例えば、図示の実施形態では、システム1500は、関連する受動的冷却システム1502の頂端の上に角度1509で配置することができるダンパ1506のダンパシステム1504を有することができ、中間スペース1508がダンパシステム1504と受動的冷却システム1502との間に位置する。ダンパシステムの角度付けは、少なくとも環境部材が受動的冷却システムの少なくとも一部に入り込むこと、1または複数の面に堆積すること、または、これらの組合せを、少なくとも防ぐことができる。例えば、環境部材が雪、あられ、砂、灰、粒状物質、1または複数の降水、液体等を含む場合は、角度付けダンパシステムは、ダンパの1または複数の形態に少なくとも基づいて、環境部材がダンパ1506上に堆積しないように、環境部材をダンパ1506のダンパシステム1504の下側に流し、沈降させ、泥沼状(slough)となるように導く。このように、角度付きダンパシステムで環境部材を導くことは、重さ、構造部材の浸食等によりストレスを与えることのある環境部材の集積による受動的冷却システムの一部または全体の損傷を防止することができる。
【0088】
いくつかの実施形態では、1または複数のダンパを、1または複数の制御システムで制御することができ、これは、1または複数のダンパシステム内の1または複数のダンパを調整するように1または複数のモータに命令することができる。
【0089】
図16は、1の実施形態による受動的冷却システムを有する発熱システムの概略図である。システム1600は、受動的冷却システム1616を含む筐体1602内の廃熱源1604から熱を除去する1または複数の部材を包含することができ、これは、煙突効果で引き起こされる筐体1602からの排気流を、受動的冷却システム1616内の1または複数の経路を介して周囲環境1601に送ることができる。
【0090】
システム1600内の受動的冷却システム1616の数は変更することができる。いくつかの実施形態では、横断ダクトをシステム1600内に設け(例えば、供給側、戻り側または双方に)、空気を1または複数の筐体内で分散し及び/または向きを変えることができる。空気を取り扱うサブシステムは、1または複数の制御システムにより、共通して制御し、個別に制御し、または、その組合せで制御することができる。例えば、図示の実施形態では、システム1600内の種々のサブシステムが、筐体1602の近部に、離隔した部位に、または、この組合せで配置された制御システム1670で少なくとも一部を制御することができる。制御システムは、1または複数のコンピュータシステムの一部または全体で少なくとも部分的に具体化することができる。
【0091】
いくつかの実施形態では、1または複数の廃熱源1604からの排気1636の一部または全てが、1または複数の受動的冷却システム1616を介して排気流1638として周囲環境1601に導かれる。
【0092】
いくつかの実施形態では、排気を周囲環境1601に送ることが望ましくないことがある。例えば、周囲環境1601が、受動的冷却システム1616を介する開放経路が筐体1602に追加の熱を導入することがあるような、排気1638よりも高温のことがある。他の実施例では、荒れ模様の天気により、環境部材が筐体1602内に入り、種々のシステムを損傷させるのを防止するために、筐体1602と周囲環境1601との間の経路の規制を必要とすることがある。1または複数のダンパシステムが、周囲環境1601に対する排気の流れ1638を制御し、排気の少なくとも一部を筐体1602内で再循環させることができる。例えば、1または複数の排気ダンパ1618及び再循環ダンパ1614を、制御システム1670による命令に少なくとも部分的に基づいて、調整し、空気流1638を調整することができる。排気1636の一部は、周囲環境1601に送られず、筐体1602内で再循環1642することができる。いくつかの実施形態では、再循環1642される排気は、再循環空気1642を冷却空気1644に冷却する冷却システム1606に送られる。
【0093】
いくつかの実施形態では、廃熱源1604の少なくとも一部が、1または複数の吸気ダンパ1610を介して周囲環境1603から吸気1632として受け入れた冷却空気1634を提供される。冷却空気は、少なくとも一部が再循環空気1644を含み、空気混合ダンパ1612を介して吸気1632と混合することができる。いくつかの実施形態では、1または複数の空気混合ダンパ1612、吸気ダンパ1610が制御システム1670で調整することができ、冷却された再循環空気1644と混合する吸気1632の量を調整することができる。
【0094】
冷却システム1606は、冷却材ループ1640及び再生システム1620に連結することができる。冷却システム1606は、熱を再循環された空気から冷却材ループ1640を通過する冷却材に移送する1または複数の熱交換器を有することができ、これにより、再循環された空気1642が再循環された冷却空気1644に冷却される。
【0095】
冷却材ループ1640は、冷却システム1606に入る再循環された空気1642と、熱伝達連絡して連結される。冷却材ループ1640を通る冷却材の流れは、制御システム1670からの信号に少なくとも部分的に基づいて制御することができる。冷却材の流れは、冷却空気1642内の冷却材の使用を調整するために調整することができる。いくつかの実施形態では、冷却材は水を包含する。
【0096】
冷却システム1606は、空調サブシステムを有することができる。他の実施形態では、冷却システム1606は、冷却塔サブシステムを有することができる。更に他の実施形態では、冷却システム1606は、水供給(service water)サブシステムを有することができる。特定の実施形態では、空調冷却システム等の機械的な冷却システムが、冷却システム1606内で再循環された空気1642の空気に直接熱伝達連絡することができる。
【0097】
制御システム1670は、1または複数の廃熱源1604からの廃熱の除去を容易とするために、システム1600内の1または複数の装置を制御するようにプログラムすることができる。例えば、図示の実施形態では、制御システム1670は、吸気ダンパ1610、空気混合ダンパ1612、廃熱源1604、再循環ダンパ1614、排気ダンパ1618、冷却システム1606、冷却材ループ1640、再循環システム1620に連結される。制御システム1670は、温度センサ、湿度センサ、圧力センサ、または、これらのいくつかの組合せとデータ通信することができる。いくつかの実施形態では、システム1600内の装置は、自動で、手動で、または、これらのいくつかの組合せで制御することができる。
【0098】
特定の実施形態では、制御システム1670は、特に、オペレータからの命令信号に基づいてシステム1600の1または複数のダンパを開閉し、現行の作動状態の必要に応じて筐体1602を通る空気流を通す。これに代え、制御システム1670は、1または複数のダンパの一部または全てを、完全開位置と完全閉位置との間で調整し、種々の部材を介する空気流を調整することができる。
【0099】
種々の実施形態では、システム1600の1または複数の部材の操作は、1または複数の状態に応じて制御することができる。例えば、制御システム1670は、周囲環境1603の周囲温度及び湿度等の1つまたは複数が所定の状態にあるときに、冷却空気1634用の空気源を循環された冷却空気1644の空気から吸気1632に切り換えるように、プログラムすることができる。
【0100】
種々の実施形態では、システム1600は2つまたはそれ以上の異なる冷却モードで作動することができる。どのようなときでも、作動モードは、周囲空気の特性、システム1600内の種々の位置における空気の特性、及び、筐体または近部に支配的な他の特徴に基づいて選択することができる。種々の実施形態では、システム1600は、種々のときに種々の冷却作動モードで作動することができ、筐体1602の冷却に必要なエネルギ量を最小にすることができる。種々の冷却作動モードでの作動は、部材のより効果的な使用を可能とし、冷却システム1606の1または複数の部材のサイズ/容量の低減を可能とし、システム1600の作動コストを低減し、及び/または、冷却効率を向上する(廃熱源1604のより低い作動温度を通して等)ことができる。
【0101】
いくつかの実施形態では、冷却システム1606は、断熱システム及び機械的冷却部を有する。断熱システムは、例えば、湿った媒体を有する冷却システム1606内の直接蒸発冷却器とすることができる。機械的冷却システムは、例えば冷却システム1606内の空調冷却システムとすることができる。断熱システム及び機械的システムは、確立した制御状態に基づいて選択的に採用及び調整することができる。機械的冷却システムは、再循環された空気1642を直接的、間接的(例えば、冷却材ループ1640を介して循環される冷水により)、または、これらの組合せにより、冷却することができる。特定の実施形態では、冷却システム1606は蒸発冷却システム(直接または間接)を、機械的システムの下流側の蒸発冷却システム(直接または間接)に代えてまたは追加して、機械的冷却システムの上流側に有することができる。
【0102】
いくつかの実施形態では、冷却材ループ1640に使用される冷却材は、受動的冷却システム1616から再生システム1620に送られる1または複数の流体である。上記で詳細に検討したように、受動的冷却システムは、受動的冷却システムの内部空間内に受け入れた降水を含む環境部材を、受動的冷却システムから出口に送ることができる。いくつかの実施形態では、受動的冷却システムの内部空間内に少なくとも部分的に受け入れられた水を含む降水は、1または複数の経路1619を介して再生システム1620に送られ、降水は、少なくとも一部が再循環された空気1642を冷やすために使用される。例えば、冷却材ループ1640が冷水を冷却システム1606に通過させ、再循環された空気1642から1または複数の種々の形態の熱伝達を介して熱を除去する場合、このような冷水は、再生システム1620から冷却材ループ1640に供給することができ、ここで、水は、少なくとも一部を受動的冷却システム1616内に受け入れられた降水1617で周囲環境1601から再生システム1620に供給され、受動的冷却システム1616から再生システム1620に、1または複数の経路1619を介して送られる。いくつかの実施形態では、再生システム1620に経路1619を介して受け入れられた降水を含む流体は、冷却材ループ1640に供給される前に冷やすことができる。
【0103】
図17は、1の実施形態による1または複数の受動的冷却システムに設けられたダンパの管理構成を示す。このように管理されるダンパは、1または複数の受動的冷却システムに設けることができる1または複数のダンパシステム内に含まれる1または複数の排気ダンパを有することができる。
【0104】
ダンパ形態の管理は、自動で、手動で、または、これらのいくらかの組合せにより達成することができる。いくつかの実施形態では、ダンパ形態の管理は、1または複数のコンピュータシステムで少なくとも部分的に具体化することができる制御システムに少なくとも部分的に基づいて達成することができる。1700において、制御状態に対するセットポイントが確立される。セットポイントは、1または複数のダンパの初期形態を含むことができる。例えば、ダンパは、自由冷却モードを含む特定の初期作動モードに一致した初期形態に調整することができる。1702において、入力データが分析される。入力データは、受動的冷却システムを含むシステム内の種々のポイントの空気の特性を包含することができる。乾球温度、湿球温度、湿度及び圧力等の測定は、周囲空気、吸気、再循環される空気、または、任意の他の位置等に対して行うことができる。
【0105】
1704において、冷却システムの作動モードが変更されるように命令されているかどうか判断する。命令は、自動命令、手動命令またはこれらのいくつの組合せに基づいて1または複数の制御システムから送信することができる。冷却システムの作動モードが変更されると、1718において、変更された作動モードを少なくとも部分的に容易とするために、新しいダンパ形態が決定される。例えば、ダンパに関連する冷却システムが、吸気を使用する1または複数の廃熱源の冷却から、再循環された空気での廃熱源の冷却に変更されると、受動的冷却システムに連結された排気ダンパを、受動的冷却システムを通る空気流を規制し、冷却システムを介して排気を再循環する新たな形態に決定することができる。1720において、このように決定されたダンパ形態は、1または複数のコンピュータシステムで命令され、それに基づいてダンパが調整される。例えば、少なくとも一部が1または複数のコンピュータシステムで具体化される制御システムは、1または複数のダンパに設けられた1または複数のモータを命令し、決定されたダンパ形態にしたがって1または複数のダンパを調整する。
【0106】
1708において、作動モードは変更されない場合は、周囲状態が吸気、排気、または、これらのいくつかの組合せの1または複数に対して変更されているかどうか判断する。周囲状態が変更され、1または複数の閾値パラメータ値を超え、または、これらのいくらかの組合せが存在すると判断すると、1718で新しいダンパ形態を決定し、1720で命令することができる。1718におけるこのような判断は、作動モードを選択することを含む。例えば、周囲温度が最大閾値よりも高い場合は、制御システムは、受動的冷却システムを通って周囲環境に送るルーティングから、排気の再循環に切り換え、更に、このような排気の再循環を容易とする排気ダンパの新たなを決定することができる。
【0107】
1712において、周囲状態が変化せず、1または複数の閾値パラメータ値を超えず、または、これらのいくつかの組合せの場合は、筐体、受動的冷却システムの内部空間等の1または複数の内部状態が変化したかどうか判断する。内部状態が変化し、1または複数の閾値パラメータ値を超え、または、これらのいくつかの組合せの状態が検出されると、1718で新しいダンパ形態が決定され、1720で命令される。1718におけるこのような決定は、作動モードを選択することを含む。例えば、1または複数の廃熱源を有する筐体の内部温度が最大閾値よりも大きい場合、制御システムは、筐体からの排気の流れを増大する排気ダンパの新しい形態を決定することができる。他の実施例では、筐体の内部空気圧が閾値よりも低い場合、制御システムは、受動的冷却システムを通る空気流を規制することにより、筐体の内部空気圧を増大する排気ダンパの新しい形態を決定することができる。
【0108】
1716において、内部状態が変化しない場合は、現在のダンパ形態、作動モード等を維持することができ、入力データは継続して分析することができる。
【0109】
図18は、いくつかの実施形態で使用することができる例示的なコンピュータシステムを説明するブロック図である。
【0110】
いくつかの実施形態では、制限するものではないが、受動的冷却システムの一部または全体、1または複数のダンパシステム、空気取扱システムの1または複数の構成部材、筐体冷却制御システム、冷却制御システムに含まれる1または複数のモジュール、及び、空気分散管理方法、システム、装置、及び、本明細書に記載の装置を含む1または複数の技術の一部または全てを具体化するシステムは、図18に示すコンピュータシステム1800等の、1または複数のコンピュータアクセス可能な媒体を含み、または、アクセスするように構成される多目的コンピュータシステムを包含することができる。図示の実施形態では、コンピュータシステム1800は、入出力(I/O)インターフェース1830を介してシステムメモリ1820に連結される1または複数のプロセッサ1810を包含する。コンピュータシステム1800は、更に、I/Oインターフェース1830に連結されるネットワークインターフェース1840を包含する。
【0111】
種々の実施形態では、コンピュータシステム1800は、1のプロセッサ1810を包含する単一プロセッサシステム、または、複数のプロセッサ1810(例えば2つ、4つ、8つ、または、他の適宜数)を包含するマルチプロセッサシステムとすることができる。プロセッサ1810は、命令を実行することが可能な任意の好適なプロセッサとすることができる。例えば、種々の実施形態では、プロセッサ1810は、x86、PowerPC、SPARCまたはMIPS ISA、または、任意の他の適当なISA等の種々の命令セット構造(ISA)を具体化する多目的または埋込みプロセッサとすることができる。マルチプロセッサシステムでは、プロセッサ1810のそれぞれは一般的なものとすることができるが、しかしながら、同じISAを具体化することは必ずしも必要でない。
【0112】
システムメモリ1820は、プロセッサ(複数を含む)1810がアクセス可能な命令及びデータを格納するように構成することができる。種々の実施形態では、システムメモリ1820は、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、同期性ダイナミックRAM(SDRAM)、非揮発性/フラッシュメモリ、または、任意の他のタイプのメモリ等任意の適切なメモリ技術を使用して具体化することができる。図示の実施形態では、受動的冷却システムの一部または全て、1または複数のダンパシステム、冷却制御システムに包含される1または複数のモジュール、及び、本明細書に記載の空気分配管理方法、システム、装置及び機器等の1または複数の所要の機能を具体化するプログラム命令及びデータは、コード1825及びデータ1826としてシステムメモリ1820に格納して示してある。
【0113】
1の実施形態では、入出力インターフェース1830は、プロセッサ1810、システムメモリ1820、及び、ネットワークインターフェース1840または他の周辺インターフェースを含む装置内の任意の周辺装置の間で、入出力トラフィックを調整するように構成することができる。いくつかの実施形態では、入出力インターフェース1830は、任意の必要なプロトコル、タイミング、または、1の素子(例えばシステムメモリ720)から他の素子(例えばプロセッサ1810)が使用するのに適したフォーマットにデータ信号を変換する他のデータ媒体変換を実行することができる。いくつかの実施形態では、入出力インターフェース1830は、例えば、PCI(Peripheral Component Interconnect (PCI))バス基準またはUSB(Universal Serial Bus (USB))基準の変形例等の種々のタイプの周辺バスを通して取付けられる装置のためのサポートを有することができる。いくつかの実施形態では、入出力インターフェース1830の機能は、例えばノースブリッジとサウスブリッジ等の2つまたはそれ以上の別箇の部材に分割することができる。更に、いくつかの実施形態では、システムメモリ1820に対するインターフェース等、入出力インターフェース1830の一部または全てを直接プロセッサ1810に組込むことができる。
【0114】
ネットワークインターフェース1840は、コンピュータシステム1800と、1または複数のネットワーク1850に取付けられた、例えば図1〜17に示すような他のコンピュータシステムまたは装置等の他の装置1860との間でデータを交換することができるように構成することができる。例えば、ネットワークインターフェース1840は、コンピュータシステム1800と、受動的冷却システムの一部または全て、1または複数のダンパシステム、空気取扱いシステムの1または複数の構成部材、筐体冷却制御システム、冷却制御システムに含まれる1または複数のモジュール、及び、本明細書に記載の空気分散管理、装置及び機器等の1または複数との間でデータを交換できるように構成することができる。種々の実施形態では、ネットワークインターフェース1840は、例えばイーサネット(登録商標)タイプのネットワーク等、任意の適宜のワイヤードまたはワイヤレスの一般的データネットワークを介して、通信をサポートすることができる。更に、ネットワークインターフェース1840は、アナログ音声ネットワークまたはデジタルファイバ通信ネットワーク等の電気通信/電話通信ネットワークを介し、ファイバチャンネルSAN等のストレージエリアネットワークを介し、または、他の任意の好適なタイプのネットワーク及び/またはプロトコルを介する通信をサポートすることができる。
【0115】
いくつかの実施形態では、システムメモリ1820は、図1〜17に関して上述したように、空気分散管理方法の実施形態を具体化するためのプログラム命令及びデータを格納するように構成されたコンピュータアクセス可能な媒体の1の実施形態とすることができる。他の実施形態では、プログラム命令及び/またはデータは、異なるタイプのコンピュータアクセス可能な媒体に受信し、送信しまたは格納することができる。一般的に、コンピュータアクセス可能な媒体は、例えば入出力インターフェース1830を介してコンピュータシステム1800に連結されたディスクまたはDVD/CD等の磁気または光学式媒体等の非一時的(non-transitory)格納媒体または記憶媒体を含むことができる。非一次的コンピュータアクセス可能な格納媒体は、更に、任意の揮発性またはRAM(例えばSDRAM、DDR SDRAM、RDRAM、SRAM等)、ROM等、非揮発性媒体を含むことができ、これらは、システムメモリ1820または他のタイプのメモリとしてコンピュータシステム1800のいくつかの実施形態に包含することができる。更に、コンピュータアクセス可能な媒体は、伝送媒体、または、ネットワーク及び/または例えばネットワークインターフェース1840を介して具体化することができるワイヤレスリンク等、通信媒体を介して搬送される電気、電磁またはデジタル信号等の信号を含むことができる。
【0116】
種々の実施形態は、更に、コンピュータアクセス可能媒体に関する上記説明にしたがって具体化される命令及び/またはデータの受信、送信、または、格納することを包含する。一般的に、コンピュータアクセス可能媒体は、例えばディスク、または、DVD/CD−ROMである磁気または光学式媒体等の格納媒体または記憶媒体、揮発性またはRAM(例えばSDRAM、DDR、RDRAM、SRAM等)、ROM等の非揮発性媒体、及び、伝送媒体、または、ネットワーク及び/またはワイヤレスリンク等の通信媒体を介して搬送される電気、電磁またはデジタル信号等の信号が包含される。
【0117】
本開示の実施形態は、以下の条項を考慮して説明することが可能である。
項1.データセンタであって、
排気を出す少なくとも1のコンピューティングシステムを有するコンピュータ室、及び、
前記排気を、煙突効果により前記コンピュータ室からコンピュータ室の外の周囲環境に送るように構成され、更に、周囲環境から受動的冷却システム内に受け入れた液体がコンピュータ室に入るのを妨げるように構成される受動的冷却システムを備え、この受動的冷却システムは、
側部が複数のサイドパネルに少なくとも部分的に隣接し、底部を通して前記コンピュータ室の少なくとも一部に開口し、頂部を通して周囲環境に開口する内部空間と、
前記内部空間内に配置される複数のベーンとを有し、前記複数のベーンのそれぞれが、
液体を収集するように構成された少なくとも1のベーン溝と
前記受動的冷却システム内に周囲環境から受け入れた液体を前記少なくとも1のベーン溝内に送るように構成された少なくともベーン傾斜部とを有し、
前記複数のベーンは、複数の垂直配置のベーン列に、各ベーン列のそれぞれが垂直軸内で、ベーン列の残りの少なくとも1つのベーンから水平方向にオフセットし、複数のベーンが共同して排気を、コンピュータ室から周囲環境に向けて煙突効果により非直線状の経路に沿って送るように、配置され、更に、
前記複数のサイドパネルの少なくとも1つの少なくとも1つの内面に沿って延び、液体を内部空間の外部に送るように構成される少なくとも1のパネル溝を有し、
前記複数のベーンのそれぞれは、前記受動的冷却システム内に周囲環境から受け入れた液体が前記内部空間の外部に送られるように、前記少なくとも1のベーン溝から少なくとも1のパネル溝に液体を送るように構成される。
項2.前記受動的冷却システムは、
前記複数のサイドパネルの少なくとも1つに連結された複数のベーンサポートを備え、前記ベーンサポートのそれぞれは、前記複数のサイドパネルの少なくとも1つから離隔した前記内部空間内の特定位置に前記複数のベーンの少なくとも1つを、
前記少なくとも1のベーンと前記複数のサイドパネルの少なくとも1つの間に間隙が形成され、
前記少なくとも1のベーンが、液体を前記少なくとも1のベーンの少なくとも1のベーン溝から前記間隙を介して前記少なくとも1のパネル溝に送るように、位置する、項1のデータセンタ。
項3.前記受動的冷却システムの少なくとも頂部の上に位置され、前記内部空間から周囲環境への排気の流れを少なくとも部分的に規制するように構成される調整可能ダンパのセットを備える、項1または2のデータセンタ。
項4.前記コンピュータ室の少なくとも一部内で前記排気の少なくとも一部の再循環を実行するように構成される制御システムを備え、この制御システムは、前記排気の流れを少なくとも部分的に規制するように、前記調節可能ダンパの少なくとも一部の形態変更を命令するように構成される、項3のデータセンタ。
項5.内部空間に少なくとも部分的に隣接するように構成される複数のサイドパネル、及び、
前記内部空間内に配置される複数のベーンを備え、これらの複数のベーンの少なくとも1つはベーン傾斜部とベーン溝とを有し、前記複数のベーンの少なくとも1つは、前記内部空間内に受け入れた流体の少なくとも一部を、前記ベーン傾斜部の少なくとも一部に基づいて前記ベーン溝内に送るように構成され、更に、
前記複数のベーンは、垂直に配置され、水平方向にオフセットする複数の列内に配置され、前記列の少なくとも1つは、前記複数のベーンの少なくとも1つを、前記複数のベーンが前記内部空間を通る間接経路を形成するように包含し、前記複数のベーンは、前記内部空間内に受け入れた流体を、前記複数のベーンの少なくとも1のベーン溝に導くように、少なくとも一部が構成され、更に、
前記複数のサイドパネルの少なくとも1つに連結される少なくとも1のパネル溝を備え、前記少なくとも1のパネル溝は、前記ベーン溝の少なくとも1つから流体を受け入れるように構成され、前記内部空間内に受け入れられて前記少なくとも1のベーン溝に導かれる流体の少なくとも一部が、前記少なくとも1のベーン溝を介して、更に、前記少なくとも1のパネル溝に導かれる、装置。
項6.前記内部空間を通る前記間接経路は、更に、少なくとも一部が前記内部空間内の煙突効果に基づいて、この間接経路に沿って周囲環境に、前記内部空間を通る空気流が受動的に引き起こされるように構成される、項5の装置。
項7.前記煙突効果は、
筐体の少なくとも一部と周囲環境との間の圧力差、または、
前記筐体の少なくとも一部と周囲環境との間の温度差、の少なくとも一方により、前記内部空間内に引き起こされる、項6の装置。
項8.前記複数のベーンの少なくとも1つは、前記内部空間を通る空気流を少なくとも部分的に規制するように、前記内部空間内に調節可能に位置するように構成される、項5から7のいずれかの装置。
項9.前記内部空間内の空気流を少なくとも部分的に規制するように構成可能な少なくとも1つの調節可能なダンパを備える、項5から8のいずれかの装置。
項10.前記複数の垂直方向に配置され、水平方向にオフセットするベーンの列は、
水平方向に配置された穴あきベーン上側の列を備え、この穴あきベーンの少なくとも1つは、受け入れた流体の一部を少なくとも1の穴あきベーンの穴あき面に、穴あきベーンの少なくとも1つを通して伝達し、流体の他の部分を少なくとも1つの穴あきベーンの少なくとも1のベーン溝に導くように構成され、更に、
水平方向に配置された非穴あきベーンの下側の列を備え、この非穴あきベーンの少なくとも1は、穴あきベーンの少なくとも1を通して伝達された流体の一部を、少なくとも1の非穴あきベーンの少なくとも1のベーン溝に導くように構成される、項5から9のいずれかの装置。
項11.前記複数の垂直方向に配置され、水平方向にオフセットしたベーン列は、
水平方向に配置されたベーンの上側の列を備え、このベーンは、上側の列の少なくとも1のベーン溝が受け入れた流体を、特定のサイドパネルに連結された特定のパネル溝に向けて導くように、特定の角度に配置され、更に、
水平方向に配置されたベーンの下側の列を備え、このベーンは、下側の列の少なくとも1のベーンの少なくとも1のベーン溝が受け入れた流体を、他のサイドパネルに連結された他のパネル溝に向けて導くように他の角度で配置される、項5から10のいずれかの装置。
項12.前記特定の角度及び他の角度の少なくとも1つは、前記複数のベーンの少なくとも1のベーン溝に排水勾配を形成し、前記複数のベーンの少なくとも1つのベーン溝が受け入れた流体を、前記排水勾配に沿って前記複数のベーンの少なくとも1のベーン溝の特定の端部に向けて導く、項11の装置。
項13.前記少なくとも1のパネル溝は、前記少なくとも1のベーン溝から受け入れた流体を機械的冷却システムの再生システム内に導くように構成される、項5から12のいずれかの装置。
項14.前記複数のベーンの前記少なくとも1つは、
それぞれが前記複数のベーンの前記少なくとも1つの長手方向軸に沿って延び、それぞれの側縁部を一緒に連結され、それぞれが前記複数のベーンの前記少なくとも1の短手方向軸に沿って下方に角度を付けられる2つのベーン傾斜部、及び、
それぞれが前記複数のベーンの前記少なくとも1つの長手方向軸に沿って延び、個々に前記2つのベーン傾斜部の別個の1つに連結される2つのベーン溝を備え、前記複数のベーンの前記少なくとも1つは、前記2つのベーン傾斜部の1つの面が受け入れた流体を、前記2つのベーン傾斜部の1つに連結された前記2つのベーン溝のそれぞれの1つに導くように構成される、項5から13のいずれかの装置。
項15.前記複数のベーンの少なくとも1つは、少なくとも1の非直線状湾曲部を有する少なくとも1つの面を備える、項5から14のいずれかの装置。
項16.下端部で内部空間に少なくとも部分的に開口し、上端部で周囲環境に少なくとも部分的に開口する部分的筐体、及び、
前記部分的筐体内に配置され、前記部分的筐体の下端部から前記部分的筐体の上端部に、少なくとも1の垂直方向に配置された間接経路を形成する少なくとも1のベーンを備え、
前記少なくとも1のベーンは、少なくとも一部が煙突効果に基づいて、内部環境から周囲環境に、少なくとも1の垂直方向に配置された間接経路に沿って、前記部分的筐体を通って空気を受動的に導くように構成され、
前記少なくとも1のベーンは、周囲環境から前記部分的筐体の上端部を介して前記部分的筐体内に入る降水の向きを変え、降水が部分的筐体から除去されるように構成される、装置。
項17.前記少なくとも1のベーンは、前記部分的筐体内に配置され、前記部分的筐体内の複数の垂直方向に配置される水平方向にオフセットした複数の列に配置される複数のベーンの1つであり、各列は、少なくとも1の他の列のベーンから水平方向にオフセットしたベーンを有し、前記複数のベーンは、前記部分的筐体の下端部から部分的筐体の上端部に、少なくとも1の垂直方向に向く間接経路を形成する、項16の装置。
項18.前記部分的筐体の内縁部の少なくとも一部に沿って延び、前記部分的筐体からの降水を捕捉しかつ除去するように構成される少なくとも1のパネル溝を備え、
前記少なくとも1のベーンは、周囲環境から上端部を介して前記部分的筐体内に入った降水の向きを変え、降水を部分的筐体から除去するように構成される、項16または17の装置。
項19.前記少なくとも1のベーンは、周囲環境から前記上端部を介して前記部分的筐体に入る降水を集めるように構成されたベーン溝を備え、
周囲環境から上端部を介して部分的筐体に入る降水を前記少なくとも1のパネル溝内に向きを変えるため、前記少なくとも1のベーンは、前記ベーン溝の少なくとも一部を介して集めた降水を前記部分的筐体の外部の位置に導くように構成される、項16または18の装置。
項20.前記部分的筐体の少なくとも1の内縁部に連結され、前記少なくとも1のベーンを前記部分的筐体の側部から離隔させて位置させるように構成され、前記少なくとも1のベーンの一端と前記部分的筐体の少なくとも1の内縁部との間に間隙を形成する少なくとも1のベーンサポートを備える、項16から19のいずれかの装置。
【0118】
図に示し、本明細書に検討する種々の方法は、方法の例示的な実施形態を表す。この方法は、ソフトウェア、ハードウェアまたはその組合せにより実行することができる。方法の順番は変更することができ、種々の要素を追加し、並び換え、組合せ、省略し、変更する等を行うことができる。
【0119】
上述の実施形態はかなり詳細に検討してきたが、上記開示が一度完全に理解されるならば、当業者にとって自明な種々の変形および変更が明らかとなる。以下の請求の範囲は、このような変形及び変更の全てを包含すると解釈されることを意味するものである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18