【実施例】
【0084】
次の実施例は、該反応性粉体の成分として、ポルトランドセメントおよび硫酸カルシウム二水和物の混合物を含む本発明のセメント組成物のスラリー温度上昇挙動、凝結特性および立方体圧縮強度(CCS)に対するアルカリ金属クエン酸塩およびリン酸塩の影響を例示する。使用された混和材料は、クエン酸三カリウムおよびリン酸塩、例えば、トリメタリン酸ナトリウム、水溶液として添加された両方であった。
【0085】
加えて、いくつかの実施形態では、スルホン化ナフタレン流動化剤を添加して、該混合物の流動性を制御した。これらの混和材料を、全セメント反応性粉体の重量パーセントとして添加した。
【0086】
実施例に含まれる該組成物を、0.375/1のセメント(反応性粉体)に対する水の重量比および0.60/1のセメント(セメント反応性粉体)に対する膨張粘土骨材の重量比を用いて混合した。
【0087】
該液体の温度を、セメントと混合する前に調節して、特定の混合温度を得た。ホバートミキサーで混合後、該混合物(約280グラム)を、6オンススタイロフォームコップに入れて、絶縁されたスタイロフォームボックス中に入れた。該温度応答を、コンピューター化データ収集プログラムを用いて、連続的に測定した。最大温度および最大温度までの時間だけでなく、最大温度上昇速度を該実験混合物の反応性の指標として使用した。
【0088】
始発および終結時間を、ASTM C266に従って、ギルモアニードルを用いて決定した。目標は、混合後、10分未満、好ましくは、5〜7分以内で、終結に到達することであった。圧縮強度のため、テスト立方体(2インチx2インチx2インチ(5.1cmx5.1cmx5.1cm))を、該テスト時間まで、68℃(154°F)の温度において、湿らしたタオルを含む密封プラスチック袋内に入れておいた。各混合物から3個の立方体の圧縮強度を、該混合液体の添加後3時間で決定した。該立方体を破砕するのに必要な最大負荷を、ASTM C109の方法により規定された負荷速度を満足するようにプログラムされたSATEC UTC 120HVL圧縮機を用いて測定した。化学収縮率を、ASTM C1608−12に記載と同様な方法に従って、測定した。
【0089】
これらの特定の実施例で使用した原料および成分は、次のものであった:
3つの供給源からのIII型ポルトランドセメント
石膏
膨張粘土骨材
クエン酸カリウム
スルホン化ナフタレン縮合物流動化剤
トリメタリン酸ナトリウム(STMP)、トリポリリン酸カリウム(KTPP)、トリポリリン酸ナトリウム(STPP)、リン酸一カリウムおよびリン酸二カルシウムおよびその混合物から成る群から選択されるリン酸塩
【0090】
下記実施例では、使用された乾燥反応性粉体成分およびいずれかの骨材を、周囲以上の初期スラリー温度を供給する条件下で混合した。通常、90°F〜135°F(32℃〜57℃)の範囲以内の初期温度を有するスラリーを生じる温度を有する熱水を使用した。
【0091】
該実施例は、ポルトランドセメント系組成物中のクエン酸カリウム、リン酸塩およびスラリー温度の相乗的役割を示す。該実施例は、ASTM C109に従った高初期圧縮強度だけでなく、ASTM C266試験方法で規定された上記ギルモアニードルを用いて測定した始発および終結時間により特徴付けられる、該組成物の凝結を報告する。
【0092】
【表1】
【0093】
【表2】
【0094】
実験
3つの異なるポルトランドセメントを、本試験で使用した。表1は、これらのセメントの化学分析を含む。この試験は、急結セメント組成物の開発に焦点を当てた。従って、これらのセメントのC
3A(アルミン酸三カルシウム)、およびC
4AF(四カルシウムアルミニウムフェライトまたはフェライト相)に、特に注目した。表1から、セントメアリーセメントが、より多くのアルミン酸三カルシウムおよび高アルカリ値を含む一方、ホルシムおよびリーハイセメントは、比較的大量のフェライトを有する。全ての3つのセメントは、ブレーン法により測定したとき、同様な表面積を有する。加えて、この試験に使用したクエン酸三カリウムは、K
3C
3H
5O(CO
2)
3の化学式を有し、促進混和剤として、トリメタリン酸ナトリウム(NaPO
3)
3を使用した。
【0095】
各ポルトランドセメント供給源を含む組成物を、0.60/1のセメント+石膏(反応性粉体)に対する膨張粘土骨材の重量比および0.375/1の反応性粉体に対する固定水を用いて混合した。加えて、全混合物は、0.10〜0.20重量%(該反応性粉体の)の比で添加したナフタレン系流動化剤を含有した。詳細な処方を、各セットの実験の次のセクションに記載した。次のパラメーターを測定した。
1.温度上昇および凝結
2.相対湿度90%および90°Fの空調室での着色
3.3時間後CCSおよび14日後CCSの立方体圧縮強度(CCS)
4.化学収縮率
【0096】
温度上昇および急結方法
ホバートミキサーを、室内実験の準備のため使用した。液体の温度を、特定の混合温度を得るために、セメントと混合する前に調節した。約280gのセメントモルタルを、絶縁スタイロフォームボックス内の6オンススタイロフォームコップ中に入れた。
【0097】
全混合物に対する温度応答を、ふたの穴を通して試料の中央部に熱電対を入れて、コンピューター化データ収集プログラムを用いて、連続的に測定した。最大温度および最大温度までの時間だけでなく、最大温度上昇速度を該実験混合物の反応性の指標として使用した。始発および終結時間を、ASTM C266に従って、ギルモアニードルを用いて決定した。目標は、混合後、5〜7分以内で、終結に到達することである。
【0098】
立方体圧縮強度方法
立方体検体を、同時に打設し、試験時間まで、68℃(154°F)の温度で、湿ったタオルを含む密封プラスチック袋内に入れた。各混合物から少なくとも3つの立方体の立方体圧縮強度(CCS)を測定した。該立方体を破砕するのに必要な最大負荷を、ASTM C109により規定された負荷速度を満足するようにプログラムされたSATEC UTC 120HVL圧縮機を用いて測定した。
【0099】
化学収縮方法
気圧および室温におけるセメントおよびフライアッシュの体積化学収縮率を、次の方法により測定した:該セメントまたはフライアッシュペーストを、スパチュラを用いて手動で混合する。該試料を、試験終了の前後で重量測定して、該試料を入れているゴム製膜中のあり得る欠陥を検出する。該セメントまたはフライアッシュペースト(骨材なし)を、水密ゴム風船中に入れ、これを、水で完全に満たした密閉容器中に入れた。該混合室を、73°Fの一定温度および相対湿度50%を維持した。該容器を、挿入された目盛付きピペットを有するゴム製ストッパーで閉じた。小さなプラスチック袋を、該ピペットの開口部からの蒸発を最小限にするため、該ピペットの上に被せた。該手順を、いずれの試料も存在なしで、該方法の安定性または精度および最初の水の高さを維持できるかを確認するため、いずれのセメントもフライアッシュ試料もなしで繰り返した。該ピペットの上端に近い水のレベルを、初期水高さとして記録した。該水高さを、初期に10分毎、それから30分毎または最初の12〜14時間については、2時間毎に記録し、最終データは、20〜24時間後の翌朝に収集した。この試料のため、混合物を、室温の水を用いて打設した。記録する収縮率は、1時間齢において0から始めて、最初の1時間の収縮は含めない。各組成物のため、少なくとも2回試験を実施して、再現性を確認した。記録データは平均収縮率である。
【0100】
ホルシムセメントを用いた実施例1〜6
【0101】
実施例1
表3の混合物比率を、本実施例の試験で使用した。混合物1−3.0%のクエン酸カリウム、0%のSTMP、混合物2−3.0%のクエン酸カリウム、0.15%のSTMP、混合物3−3.0%のクエン酸カリウム、0.60%のSTMP、混合物4−3.0%のクエン酸カリウム、0.90%のSTMP。
【0102】
【表3】
【0103】
様々なレベルのSTMPにおける3%のクエン酸カリウムを含むホルシムセメントを含む混合物についての温度上昇データを表4に記載する。なお、このデータから、STMPが0のとき、温度が上昇し始めるのに約45分かかり、70分以上かかる。
【0104】
【表4】
【0105】
対照的に、STMPが添加されるとき、該混合物温度は、混合後直ぐに上昇し始め、3〜4時間、上昇し続ける。STMPの存在での急速な反応性は、混合物がSTMPなしで終結に達する約2時間と比較して、7〜10分の範囲の凝結時間をもたらす。
【0106】
実施例2
表5の混合物比率を、本実施例の試験で使用した。混合物は、様々なクエン酸カリウム値における、0.60%のSTMPを含むホルシムセメントを含む。混合物5−0.750%のクエン酸カリウム、0.60%のSTMP、混合物6−1.75%のクエン酸カリウム、0.60%のSTMP、混合物3−3.0%のクエン酸カリウム、0.60%のSTMP、混合物7−4.5%のクエン酸カリウム、0.60%のSTMP。
【0107】
【表5】
【0108】
クエン酸カリウム(3.0および4.5%)の量の増加と共に、ホルシムセメントを含む混合物についての温度プロットは、
図3のグラフに示された低クエン酸塩(0.75および1.5%)を含む混合物と比較して、相対的に高い温度上昇を達成した。加えて、12分以内の単一ピークを示す低クエン酸量含有混合物と異なり、1つより多い反応を示す2つまたは3つの異なるピークは、該クエン酸塩量が増加したとき現れた。表6の結果に示すように、温度上昇は、0.75%および1.5%のクエン酸塩含有混合物の159°Fおよび154°Fと比較して、3.0および4.5%のクエン酸カリウムを含む混合物で、最大約183°Fおよび217°Fであった。
【0109】
【表6】
【0110】
実施例3
様々なレベルの石膏を含み、ホルシムセメントを含む混合物比率を、次の組成物で、表7に記載する:混合物7−4.50%のクエン酸カリウム、0.60%のSTMP;0石膏、混合物8−4.5%のクエン酸カリウム、0.60%のSTMP;2部の石膏、混合物9−4.5%のクエン酸カリウム、0.60%のSTMP;4部の石膏。
【0111】
【表7】
【0112】
図3に記載の最大温度プロットは、最大温度が、石膏なしの混合物と比較して、混合物石膏で減少する。最大温度の低下は、表8のデータに示されたように、終結時間に対して有意に影響しなかった。なお、2つの屈曲点も有意に変化せず、硬化に寄与する反応は同じままであることを示唆した。これらの結果は、比較的大量のクエン酸カリウム(4.5%)およびSTMP(0.6%)に起因する。
【0113】
【表8】
【0114】
実施例4
実施例4の混合物比率を、表9に記載する。これらの混合物は、様々なレベルのSTMPにおいて、4部の石膏を含むホルシムセメントを含む。混合物9−0.60%のSTMP、4.5%のクエン酸カリウム、4部の石膏、混合物10−4.50%のクエン酸カリウム、0.0%のSTMP;混合物11−4.5%のクエン酸カリウム、0.15%のSTMP、4部の石膏;混合物12−4.5%のクエン酸カリウム、0.30%のSTMP、4部の石膏。
【0115】
【表9】
【0116】
【表10】
【0117】
表9のデータから、100部のホルシム、4部の石膏を含む混合物は、急な温度上昇および10分の終結時間を達成する前に、たとえ、クエン酸カリウムが高い(4.5%)場合でさえ、少なくとも0.30%のSTMPを必要とする。加えて、STMPを含まない混合物(混合物10)は、ほぼ3時間の終結に達し、温度上昇は、ほぼ3時間の終結に達しながらも見られなかった。
【0118】
実施例5
0.15%のSTMPおよび様々なレベルのクエン酸カリウムを含む100部のホルシムセメントおよび0部の石膏を、表11に記載する。
【0119】
【表11】
【0120】
【表12】
【0121】
実施例4の混合物と異なり、石膏を使用しなかった本実施例の混合物は、比較的低レベルのSTMP(0.15%)でさえ、比較的低レベルのクエン酸カリウムを必要とし、該様々な混合物は、10分以内の終結時間を達成する。最高反応速度を、4.5%の最大量のクエン酸カリウムにおいて達成し、4.5分以内の終結時間を達成する。
【0122】
実施例6
該フライアッシュ混合物を、100部のホルシムセメント、0.30%のSTMP、石膏なしおよび様々な量のクエン酸カリウムを用いて、表13の比率で調合した。混合物17−0.75%のクエン酸カリウム、0.30%のSTMP、0石膏;混合物18−1.5%のクエン酸カリウム、0.30%のSTMP;混合物19−3.0%のクエン酸カリウム、0.30%のSTMP;混合物20−4.5%のクエン酸カリウム、0.30%のSTMP。表14は、表13の混合物のTRSデータを記載している。本実施例の混合物は、実施例5の混合物の温度上昇の挙動と同等であった。0.30%のSTMPを含み、石膏なしの本混合物は、同様なレベルのクエン酸塩を含む実施例5の混合物の6〜10分の凝結時間より速い、5分以内に終結時間に達するのに、比較的低レベルのクエン酸カリウム(0.75%および1.5%)を必要とする。
【0123】
【表13】
【0124】
【表14】
【0125】
ホルシムセメントでのCCS
石膏のあるなしで、および様々な量のSTMPおよびクエン酸カリウムを含むホルシムセメントを含む、実施例1〜6の混合物の24時間および7日の養生後に測定された立方体圧縮強度(CCS)を、表15にまとめる。石膏なしの混合物のデータを、
図7のグラフにプロットする。
図7のプロットおよび終結時間から、最適な混合物は、STMP値が、0.15%から0.30%との間である。0.60%のSTMPを含む混合物は、あまりに急速に硬化し、圧縮強度の著しい低下を示す。
【0126】
【表15】
【0127】
リーハイセメント(実施例7〜10)
【0128】
実施例7
本実施例で使用されたフライアッシュ非含有混合物比率を、リーハイ(ユニオンブリッジ)セメント、石膏なし、3.0%のクエン酸カリウムおよび様々なレベルのSTMPについて、表16に記載する。混合物1−3.0%のクエン酸カリウム、0%のSTMP;混合物2−3.0%のクエン酸カリウム、0.15%のSTMP;混合物3−3.0%のクエン酸カリウム、0.30%のSTMP;混合物4−3.0%のクエン酸カリウム、0.60%のSTMP。
【0129】
【表16】
【0130】
【表17】
【0131】
0%のSTMPを含む混合物が、わずかに異なる挙動をすることに注目する実施例1に対する本実施例の混合物リーハイセメントの比較。なお、
図8から、リーハイセメントを含み、0%のSTMPを含む混合物、該温度は、決して、初期温度以下に下がらず、30分以内で145°Fに達する。対照的に、0%のSTMPを含み、ホルシムセメントを含む混合物、該温度は、初期に約10°F下がり、約40分後に上昇し始めるのみで、約50分で、145°Fに達する。従って、リーハイセメントを含む混合物は、比較的、より反応性があり、ホルシムセメントを含む同様な混合物と比較して、約半分の時間より速い終結時間に達する。
【0132】
実施例8
本実施例で使用された混合物比率を、混合物5−0.60%のSTMP、0.75%のクエン酸カリウム;混合物6−0.60%のSTMP、1.5%のクエン酸カリウム;混合物4−0.60%のSTMP、3.0%のクエン酸カリウム;混合物7−0.60%のSTMP、4.5%のクエン酸カリウムについて、表18に記載する。表19に記載のデータは、リーハイセメントを含む本実施例の混合物が、該混合物温度が、最初の3時間に比較的高いままであるホルシムセメントを含む実施例2の同様な混合物と比較したとき、有意に速い7〜20分以内の最大温度に達する。なお、表19から、終結時間が比較的速い。しかしながら、これらの混合物の流動性は、比較的低い。
【0133】
【表18】
【0134】
【表19】
【0135】
実施例9
表20の混合物比率を、混合物7−0.60%のSTMP、4.5%のクエン酸カリウム、0部の石膏;混合物8−0.60%のSTMP、4.5%のクエン酸カリウム、2部の石膏;混合物9−0.60%のSTMP、4.5%のクエン酸カリウム、4部の石膏について、本実施例で使用した。
図10および表21中のデータから、2および4部の石膏の添加が、流動性の改良および圧縮強度の増加の利点を有して、凝結時間の増加なしで、反応中の放熱を減少させる助けとなることを示している。
【0136】
【表20】
【0137】
【表21】
【0138】
実施例10
100部のリーハイ、4部の石膏、4.5%のクエン酸カリウムおよび様々なレベルのSTMPを含む混合物を、混合物10−0.0%のSTMP、4.5%のクエン酸カリウム、4部の石膏;混合物11−0.15%のSTMP、4.5%のクエン酸カリウム、4部の石膏;混合物12−0.30%のSTMP、4.5%のクエン酸カリウム、4部の石膏;混合物9−0.60%のSTMP、4.5%のクエン酸カリウム、4部の石膏について、表22に記載する。なお、実施例4で観察されたのと同様に、STMPの添加の効果は、温度が上昇し始める時間を短縮する。最終温度は、様々なSTMP投与量を含む混合物について、同様である。なお、表23から、STMP投与量と最大温度までのより短い時間およびより短い凝結時間との間に直接的相関関係がある。
【0139】
【表22】
【0140】
【表23】
【0141】
セントメアリーセメント(実施例11〜16)
【0142】
実施例11
4部の石膏、3.0%のクエン酸カリウム投与量および様々なSTMP投与量を含むセントメアリーセメントを含む混合物。表24の混合物比率を、本実施例で、次にように使用した:混合物1−0.0%のSTMP、3.0%のクエン酸カリウム、混合物2−0.15%のSTMP、3.0%のクエン酸カリウム、混合物3−0.30%のSTMP、3.0%のクエン酸カリウム、および混合物4−0.60%のSTMP、3.0%のクエン酸カリウム。
【0143】
次の実施例で示したセントメアリーセメント含有混合物の温度上昇挙動および終結時間から、一般に、セントメアリーセメントを含む混合物は、ホルシムセメントおよびリーハイセメントを含む前の実施例の混合物と比較して、少なくとも反応性があったことが分かる。なお、
図12から、0%、0.15%、および0.30%のSTMPを含み、4部の石膏および3.0%のクエン酸カリウムを含む混合物の最初の3時間での比較的浅い温度上昇または平坦もしくは低下する温度でさえ注目する。なお、表25から、最初の20分間に測定した有意な温度上昇を有する唯一の混合物は、0.60%のSTMPを含む混合物であった。
【0144】
【表24】
【0145】
【表25】
【0146】
実施例12
本実施例の混合物は、4部の石膏、0.30%のSTMPおよび様々なレベルのクエン酸カリウムを含むセントメアリーセメントを含む。表26の混合物比率を、混合物5−0.30%のSTMP、2.0%のクエン酸カリウム;混合物6−0.30%のSTMP、2.5%のクエン酸カリウム;混合物3−0.30%のSTMP、3.0%のクエン酸カリウム;混合物7−0.30%のSTMP、3.5%のクエン酸カリウム;混合物8−0.30%のSTMP、4.5%のクエン酸カリウムで、本実施例で使用した。なお、
図13に示すプロットおよび表27に記載のデータから、4部の石膏を含むセントメアリーセメントを含む混合物では、もし、STMP投与量を0.30%で維持するならば、クエン酸カリウム投与量は、最初の20分間の有意な温度上昇に影響を及ぼすために、4.5%まで増加しなければならない。このことおよび前の実施例11から、セントメアリーセメントを含む混合物への石膏の添加は、望ましくないと結論できる。
【0147】
【表26】
【0148】
【表27】
【0149】
実施例13
石膏なしのセントメアリーセメントを含み、STMPなしで、様々なクエン酸カリウム投与量における混合物を、本実施例で使用した。表28は、混合物9−0.0%STMP、4.5%のクエン酸カリウム;混合物10−0.0%STMP、3.0%のクエン酸カリウム;混合物11−0.0%STMP、1.5%のクエン酸カリウムについて記載している。
図14および表29のデータから、クエン酸カリウムを、終結時間を短縮およびより短時間で最大反応温度に達するために使用できることが分かる。しかしながら、0%のSTMPを含むセントメアリーセメントを含むこれらの混合物の凝結時間は、前の実施例と比較して、比較的長い凝結時間を有し、得られた最良の凝結時間は、ホルシムおよびリーハイセメントを用いた同様な混合物の5〜10分と比較して、4.5%のクエン酸カリウムを含む混合物の25分以上であった。
【0150】
【表28】
【0151】
【表29】
【0152】
実施例14
表30の混合物比率を、次のように変化させたクエン酸カリウム投量において、0部の石膏、0.15%のSTMPを含むセントメアリーセメントを含む本実施例で使用した:混合物12−0.15%のSTMP、0.75%のクエン酸カリウム;混合物13−0.15%のSTMP、1.5%のクエン酸カリウム;混合物14−0.15%のSTMP、3.0%のクエン酸カリウム、および混合物15−0.15%のSTMP、4.5%のクエン酸カリウム。
図15に記載の比較的急な温度上昇プロットから、0.15%の比較的小さいレベルでさえ、STMP添加の重要性を示す。しかしながら、ホルシムおよびリーハイセメントを含む前の混合物と比較して、クエン酸カリウムとの異なる相互作用が存在すると思われる。なお、本実施例では、最も短い凝結時間は、最低量(0.75%)および最大量(4.5%)のクエン酸カリウムにおける混合物で得られ、1.5%および3.0%の中間のクエン酸塩投与量を含む混合物は、実際、より長い凝結時間を有する。
【0153】
【表30】
【0154】
【表31】
【0155】
実施例15
様々なクエン酸カリウム投与量における、0部の石膏、0.30%のSTMPを含むセントメアリーセメントを含む混合物。表32の混合物比率を、混合物16−0.30%のSTMP、0.75%のクエン酸カリウム;混合物17−0.30%のSTMP、1.5%のクエン酸カリウム;混合物18−0.30%のSTMP、3.0%のクエン酸カリウム;混合物19−0.30%のSTMP、4.5%のクエン酸カリウムでの本実施例で使用した。なお、
図16に記載の温度上昇プロットから、0.30%のSTMPの添加は、0.15%のSTMPを含む前の実施例と比較して、温度上昇の初期速度をさらに増加させる。表33は、凝結時間は、増加したクエン酸塩を含む混合物と比較して、0.75%を含む混合物に対して、最も短いことを示している。従って、また、ホルシムおよびリーハイセメントを含む混合物と比較して、異なる挙動に注目する。
【0156】
【表32】
【0157】
【表33】
【0158】
実施例16
様々なクエン酸カリウム投与量において、0部の石膏、0.60%のSTMPを含むセントメアリーセメントを含む混合物。表34の混合物比率を、混合物20−0.60%のSTMP、0.75%のクエン酸カリウム;混合物21−0.60%のSTMP、1.5%のクエン酸カリウム;混合物22−0.60%のSTMP、3.0%のクエン酸カリウム、および混合物23−0.60%のSTMP、4.5%のクエン酸カリウムでの本実施例で使用した。なお、
図17に記載の温度上昇プロットおよび表35に記載の終結データおよび温度上昇パラメーターから、0.75%、1.5%、3.0%、および4.5%のクエン酸カリウムを含む0.60%STMP含有セントメアリーセメントを含むこれらの混合物は、基本的に反応をして、9〜14分の間で最大温度および4.5〜6.5分以内で終結に達する。
【0159】
【表34】
【0160】
【表35】
【0161】
セントメアリーセメントでのCCS
石膏のあるなし両方で、様々なSTMPおよびクエン酸カリウム量を含むセントメアリーセメントで製造された実施例11〜16の混合物について、24時間および7日の養生後測定された立方体圧縮強度を、表36にまとめる。これらのプロットが、最適な強度が、0.60%のSTMPを含む混合物で、0.15%から0.30%の間のSTMP値を含む混合物で得られる一方、該圧縮強度は、ホルシムセメントの場合と劇的というほど低下しない。
【0162】
【表36】
【0163】
実施例17
本実施例のため、混合物を、特に、フライアッシュの非存在下、比較的高温において、過度に急速にドライアウトする傾向にあるアルカノールアミン含有混合物の瞬結を防止するため、50°Fの水温を用いて打設した。全混合物を、5時間のみで、室温で硬化させた。0.15%のSTMPおよび4.5%のクエン酸カリウムを含む4部石膏含有リーハイセメントを含む本発明の混合物(混合物#16)を、前の発明のクラスCフライアッシュを含む混合物(混合物#17および#18)だけでなく、前の発明のアルカノールアミンおよびSTMPを含む混合物(混合物#13、#14および#15)とも比較した。
【0164】
表37に記載の立方体圧縮強度から、本発明の混合物は、比較的低レベルのクエン酸カリウム(0.20%)を含むトリエタノールアミン(TEA)含有混合物およびSTMP、クエン酸カリウム、およびクラスCフライアッシュを含む混合物と比較して、早期、すなわち5時間において優れた圧縮強度を有する。
【0165】
【表37】
【0166】
実施例18
本実施例のため、混合物も、アルカノールアミン含有する混合物の瞬結を防止するため、50°Fの水温を用いて打設したが、この場合、全混合物が、該立方体圧縮強度が得られた後5時間、65°Fで硬化可能であった。3.0および4.0%のクエン酸カリウムを含み、4部の石膏および0.15%のSTMPを含むリーハイセメントを含む本発明の混合物(混合物#21、#22および#23)を、4部の石膏を含み、4%のクエン酸カリウムを含む前の発明からのクラスCフライアッシュ含有混合物(混合物#24および#25)だけでなく、前の処理からアルカノールアミンおよびSTMP含有混合物(混合物#19および#20)とも比較した。0.20%(セメント粉体の固体重量%)ナフタレン系分散剤および使用したTEAを含む全混合物は、85%固体分および15%水を含む低凍結グレード(LFG)であった。
【0167】
なお、表38に記載の立方体圧縮強度から、本発明の混合物は、比較的低レベルのクエン酸カリウム(0.20%)を含むトリエタノールアミン(TEA)含有混合物および0.35のセメントに対する水の比を有するフライアッシュ含有混合物組成物と比較して、5時間の早期において優れた圧縮強度を有する。石膏を含むクラスCフライアッシュを含む混合物は、セメントに対する水の比が0.25まで減少するとき(前の組成物に記載のように)、圧縮強度を改良したが、フライアッシュ混合物の強度は、4部の石膏の存在下、セメントに対する水の比が、0.35まで増加するとき、劇的に低下した。
【0168】
【表38】
【0169】
実施例19(化学収縮)
0.35のセメントに対する水の比を有し、様々なSTMP投与量において、4部(2重量%)の石膏および3重量%のクエン酸カリウムを含むリーハイセメントを含む本発明の混合物を、0.25のw/cを有し、3%のクエン酸カリウムを含むクラスCフライアッシュを含む混合物と比較した。表39は、セメントペースト組成物および本実施例で使用されたペーストの化学収縮について記載しており、
図18は、水和反応の最初の24時間の異なるペーストの化学収縮挙動を示している。
【0170】
ポルトランドセメント対フライアッシュペースト。なお、一般に、クラスCフライアッシュを含むペーストの化学収縮率は、0%のSTMPを含むセメントペーストと比較して、約40%高い。該クラスCフライアッシュペーストが、該セメントペーストの0.35と比較して、0.25のより低いセメントに対する水の比を有するので、これは有意である。一般に、より高含水率のペーストは、より高化学収縮率を有することが期待されるはずである。
【0171】
様々なリン酸塩を含むペースト。該セメントペーストへのSTMPの添加は、約20〜40%収縮をさらに減少させる。0.15%および0.30%のSTMP(セメントおよび石膏の重量基準)を含むセメントペーストは、STMPなしのペーストの1.26%と比較して、0.96%および0.70%の24時間収縮を有した。
【0172】
このデータは、アルカリクエン酸塩/STMPの併用で活性化したポルトランドセメント(5〜15重量%の比較的高フェライト含有率)の使用が、フライアッシュおよびクエン酸塩混合物と比較して、水硬セメントペーストの早期水和反応間の収縮の減少をもたらすという利点を示している。
【0173】
他のリン酸塩を含むセメントペーストを評価した。本実施例のため、ピロリン酸四カリウム(TKPP)およびトリポリリン酸ナトリウム(STPP)を、STMPを含むペーストと比較した。
図18は、3.0%のクエン酸カリウムおよび0.30%のSTMP、TKPP、およびSTPPの各々を含むセメントペーストの化学収縮率を示している。
図19および表39から、STMPおよびSTPPを含むペーストは、収縮率測定値が1.26%であるリン酸塩を含まないペーストと比較して、0.70%および0.98%の化学収縮率測定値を有した。対照的に、TKPPを含むペーストを測定して、1.46%の増加した化学収縮率であった。様々なリン酸塩のあるなしでセメントペーストは、2.0%の収縮率であるフライアッシュペーストと比較して、比較的低い収縮率を有した。
【0174】
【表39】
【0175】
表40および
図20は、3%のクエン酸カリウムおよび添加された様々なリン酸ナトリウムを含むセメントペーストの温度上昇データを含む。該混合物のいくつかを、S4、S5、およびS6と名付けたペーストの比率とともに、表39に記載した。加えて、化学式NaH
2PO
4・2H
2O(本明細書で、SMPHと略す)を有する一リン酸ナトリウム水和物を含むペースト。S7およびS8と名付けたペースト混合物は、それぞれ、0.85%および0.425%のSMPHを含有した。なお、このデータから、様々なリン酸塩を含むペースト混合物は、28〜47分以内に、最大温度に達する。対照的に、いずれのリン酸塩も含まないペースト混合物(S9)は、最大温度に達するのに約90分かかる。同様に、様々なリン酸塩を含むペーストの終結は、リン酸塩を含まないペーストでほとんど2時間であることと比較して、53〜76分の範囲にある。
【0176】
【表40】
【0177】
表41および
図21のグラフは、3%のクエン酸カリウムおよび添加された様々なリン酸カルシウムを含むセメントペーストの温度上昇データを含む。リン酸二カルシウムを含む混合物は、終結時間の減少に比較的影響が小さい。リン酸三カルシウムを含む混合物の場合、凝結時間は、実際、3時間以上まで増加している。
【0178】
表41および
図22のグラフは、0.15%のSTMPを含む混合物および0%のリン酸塩を含む混合物と比較して、0.15%のリン酸一カリウム(MKP)を含むセメントの温度上昇データを含む。なお、驚くべきことに、MKPは、リン酸塩を含まない混合物と比較して、リーハイセメントの凝結時間の促進で、STMPと同様な有効性を有する。
【0179】
【表41】
【0180】
我々の発明を実行するための実施形態を記載したが、本開示は、その趣旨と範囲を逸脱せず、我々の発明に変更および追加が成され得ることは、本開示が対象とする当業者により理解されるだろう。