(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6370935
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】充電式切断工具
(51)【国際特許分類】
B23D 45/16 20060101AFI20180730BHJP
B23D 47/00 20060101ALI20180730BHJP
B23D 47/12 20060101ALI20180730BHJP
B27B 9/00 20060101ALI20180730BHJP
【FI】
B23D45/16
B23D47/00 Z
B23D47/12
B27B9/00 A
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-7300(P2017-7300)
(22)【出願日】2017年1月19日
(62)【分割の表示】特願2013-18862(P2013-18862)の分割
【原出願日】2013年2月1日
(65)【公開番号】特開2017-65267(P2017-65267A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2017年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安部 健司
(72)【発明者】
【氏名】加納 厚志
【審査官】
山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−148015(JP,A)
【文献】
特開2010−201516(JP,A)
【文献】
特開2012−023911(JP,A)
【文献】
特開昭57−207001(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/010852(WO,A1)
【文献】
特開2000−308268(JP,A)
【文献】
特開2012−178945(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 45/00−65/04,
B27B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源としての電動モータと、該電動モータにより回転する円形の切断刃と、使用者が把持するハンドル部を備えた切断機本体を有し、前記切断刃を切断材に切り込ませて切断加工を行う切断工具であって、
前記切断機本体に、電源としての2個の充電式のバッテリと、該2個のバッテリを着脱可能かつ外部から目視可能な露出状態で取り付けるための2箇所のバッテリ取り付け部と、該2個のバッテリの電力を前記電動モータへ中継する主として電源回路を含むコントローラを備えており、
前記電動モータのモータ軸線は、前記切断刃と直交する左右方向に延びており、
前記2箇所のバッテリ取り付け部は、前記2個のバッテリを前記ハンドル部の後部に設けたバッテリ取り付け基台部に対して長手方向を左右方向に沿わせた横向きで前記切断刃の面方向に沿って前後に並んだ横並び状態で取り付け可能に並設され、
各バッテリ取り付け部は前記バッテリが切断刃に向けかつ切断刃と直交する方向に取り付け可能なレール部を有し、
前記2個のバッテリは、電気的に直列に接続された切断工具。
【請求項2】
請求項1記載の切断工具であって、前記バッテリ取り付け部は、直方体形のバッテリの最短辺を上下方向にして取り付け可能な構成とした切断工具。
【請求項3】
請求項1又は2記載の切断工具であって、前記電動モータの冷却風を前記コントローラを冷却するための冷却風として利用する構成とした切断工具。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載した切断工具であって、前記バッテリ取り付け部の取付方向を前記切断刃の面直方向に一致させた切断工具。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載した切断工具であって、前記バッテリとして、長さL>幅W>高さHの大小関係にある概ね直方体形状のリチウムイオンバッテリを利用可能な構成とした切断工具
【請求項6】
請求項5記載の切断工具であって、前記バッテリをその長手方向に移動させて前記バッテリ取り付け部に対して取り付け、取り外し可能な構成とした切断工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば木材の切断加工に用いられる充電式の切断工具であって、主として手持ち式の切断工具に関する。
【背景技術】
【0002】
充電式のバッテリを電源として用いる手持ち式の切断工具に関する技術が下記の特許文献に開示されている。携帯マルノコと称されるこの種の切断工具は、切断材の上面に当接させるベースと、ベースの上面側に支持された切断機本体を備えている。切断機本体は、駆動源としての電動モータと、回転する円形の切断刃と、切断刃の主として上側半周を覆う本体ケースと、切断刃の主として下側半周を覆う開閉式の可動カバーと、使用者が把持するハンドル部を備えている。ハンドル部を把持した使用者により当該切断工具を切断進行方向へ移動させて、ベースの下面側に突き出された切断刃を切断材に切り込ませていくことにより切断加工が行われる。
【0003】
この種の切断工具に限らず、電動工具のバッテリには、出力電圧が例えば18Vや36Vのものが提供されている。主として手持ち工具で比較的小形で小出力の機種であれば18V出力のバッテリ(18Vバッテリ)が用いられ、より高出力を要する比較的大形(高出力)の切断工具等の場合にはより大形の36V出力のバッテリ(36Vバッテリ)が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−201598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来36Vバッテリを専用電源とする高出力の切断工具について、18Vバッテリを流用することができないため、使用者は高出力の切断工具専用の36Vバッテリを別途用意せざるを得ず、この点でコスト高になる問題があり、また高出力の切断工具の取り扱い性をより高める余地があった。
【0006】
そこで、本発明は、比較的高出力の切断工具の電源として低出力用のバッテリを利用できるようにすることで、当該切断工具の利便性及び取り扱い性を一層高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、切断材に当接させるベースと、ベースの上面側に支持された切断機本体を備え、切断機本体は駆動源としての電動モータと、電動モータにより回転する円形の切断刃と使用者が把持するハンドル部を備え、切断刃のベースの下面側に突き出した部分を切断材に切り込ませて切断加工を行う切断工具であって、切断機本体に、電源としての充電式のバッテリを着脱可能かつ外部から目視可能な露出状態で取り付けるためのバッテリ取り付け部を複数箇所備えた切断工具である。
【0008】
第1の発明によれば、低出力用のバッテリを2個取り付けて高出力の切断工具を利用することができ、これにより低出力用のバッテリを有効利用できるとともに、高出力の切断工具の利便性及び取り扱い性を一層高めることができる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、2箇所のバッテリ取り付け部は、2個のバッテリを切断進行方向に横並び状態で取り付け可能な構成とした切断工具である。
【0010】
第2の発明によれば、2個のバッテリをその長手方向を切断進行方向に交差させてその短手方向を切断進行方向に沿わせた横並び状態で取り付けられるので、当該2個のバッテリを切断進行方向にコンパクトに取り付けることができ、ひいてはバッテリ取り付け状態の当該切断工具の切断進行方向についてのコンパクト化を図ることができる。
【0011】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、バッテリ取り付け部は、直方体形のバッテリの最短辺を上下方向にして取り付け可能な構成とした切断工具である。
【0012】
第3の発明によれば、2個のバッテリを上下方向にコンパクトに取り付けることができ、これによりバッテリ取り付け状態の当該切断工具の上下方向についてのコンパクト化を図ることができる。
【0013】
第4の発明は、第1〜第3の何れか1つの発明において、ハンドル部よりも下方領域にバッテリを取り付け可能な切断工具である。
【0014】
第4の発明によれば、使用者がハンドル部を把持する際に2個のバッテリが邪魔になることがなく、ハンドル部の良好な把持性を確保することができる。
【0015】
第5の発明は、第1〜第4の何れか1つの発明において、バッテリ取り付け部の取り付け方向を切断刃の面直方向に一致させた切断工具である。
【0016】
第5の発明によれば、切断刃の側方からバッテリを取り付けることができ、逆に切断刃の側方へバッテリを移動させて取り外すことができるので、ブレードケースの反モータ側を下にした姿勢で切断工具を床に置いた場合、バッテリのバッテリ取り付け部に対する取り付け、取り外しを楽に行うことができる。
【0017】
第6の発明は、第1〜第5の何れか1つの発明において、バッテリ取り付け部の取り付け方向を前記ハンドル部に対して少なくとも45°の角度を持たせた切断工具である。
【0018】
第6の発明によれば、一方の手でハンドル部を把持し、他方の手でバッテリを把持した場合、バッテリのバッテリ取り付け部に対する取り付け、取り外しを楽に行うことができる。
【0019】
第7の発明は、第1〜第6の発明の何れか一つの発明において、切断機本体は、ベースに対して上下に位置変更可能に支持されて切断刃のベース下面側への突き出し量を変更して切断材に対する切断刃の切り込み深さを調整可能とする切り込み深さ調整機構を備えており、この切り込み深さ調整機構を、切断刃とハンドル部との間に備えた切断工具である。
【0020】
第7の発明によれば、バッテリを複数箇所備えたことでハンドル部下方が大形化し、デプスガイドの最適配置が困難になってしまったことを克服できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係る切断工具の全体正面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る切断工具を
図1中矢印(II)方向から見た平面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る切断工具を
図2中矢印(III)方向から見た背面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る切断工具を
図3中矢印(IV)方向から見た下面図である。本図は、2つのバッテリを取り外した状態を示している。本図では、ベースが省略されている。
【
図5】本発明の実施形態に係る切断工具の縦断面図であって、
図1中(V)-(V)線断面矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の実施形態を
図1〜
図6に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る充電式の切断工具1を示している。この切断工具1は、携帯マルノコとも称される手持ち式の切断工具で、切断材Mの上面に当接させる矩形平板形状のベース2と、ベース2の上面側に支持した切断機本体10を備えている。
【0023】
切断機本体10は、駆動源としての電動モータ11と、電動モータ11により回転する円形の切断刃12を備えている。切断刃12の上側半周の範囲はブレードケース13で覆われている。切断刃12の下側半周の範囲は可動カバー14で覆われている。この可動カバー14は切断刃12の周囲に沿って開閉可能に設けられている。この可動カバー14は、切断加工の進行により切断材Mの端面に当接して
図1中時計回り方向に回転して開かれる他、その上端部に設けた開放レバー14aを把持して手動操作により開閉させることができる。
【0024】
図2及び
図5に示すようにブレードケース13の左側面(背面)には、減速ギヤ部15を経て電動モータ11が取り付けられている。電動モータ11のモータ軸線Jは、切断進行方向に対して直行している。減速ギヤ部15の出力軸(スピンドル16)はブレードケース13内に突き出されており、この突き出し部分に切断刃12が取り付けられている。
【0025】
電動モータ11の上部には、使用者が把持するループ形のハンドル部20が設けられている。
図1において切断工具1の左側(
図3において右側)であって切断進行方向後側に使用者が位置してハンドル部20を把持する。
【0026】
図3に示すようにこのハンドル部20は、前側の縦部21と、縦部21の上部から後方へ下る方向に傾斜した把持部22と、縦部21の下部と把持部22の後部を結合する基台部23からなる概ね山形を有している。縦部21には、フロントグリップ部24が前方へ突き出す状態に設けられている。把持部22の前端下面に、トリガ形式のスイッチレバー22aが設けられている。把持部22を把持した手の指先でこのスイッチレバー22aを上方へ引き操作すると電動モータ11が起動して切断刃12が回転する。スイッチレバー22aの上方には、当該スイッチレバー22aの非操作状態をロックするためのロックオフレバー22bが設けられている。このロックオフレバー22bの左右両端部は、把持部22の左右両側部に突き出されて、左右何れからでも操作できるようになっている。このロックオフレバー22bを下方に押し下げ操作することでロック状態が解除されてスイッチレバー22aを引き操作できるようになる。このようなロックオフ機能により不用意な誤操作を防止することができる。
【0027】
切断機本体10は、上下傾動支軸17を介してベース2に対して上下に傾動可能に支持されている。ベース2に対して切断機本体10の上下傾動位置を変更することにより、切断刃12のベース2の下面側への突き出し量を変更することができ、これにより切断刃12の切断材Mに対する切り込み深さを調整することができる。
【0028】
図2に示すようにハンドル部20とブレードケース13との間のスペースであって減速ギヤ部15の後方スペースには、切断刃12の切断材Mに対する切り込み深さを調整するための切り込み深さ調整機構18が設けられている。この切り込み深さ調整機構18は、ベース2の上面に上方へ長く延びる状態に設けられたデプスガイド18aと、このデプスガイド18aにブレードケース13を固定するための固定ねじ18bを備えている。
図5において符号18aaを付して示したがデプスガイド18aには、上記した上下傾動支軸17を中心とする円弧に沿ったガイド溝孔18aaが形成されている。このガイド溝孔18aaに、固定ねじ18bが挿通されている。この固定ねじ18bはブレードケース13の背面に締め込まれている。固定ねじ18bには回転操作用の固定レバー18cが取り付けられている。この固定レバー18cを把持して固定ねじ18bを一定角度回転させることにより、当該固定ねじ18bをブレードケース13の背面に締め付け、逆に緩めることができる。固定ねじ18bを締め付けることにより、切断機本体10のベース2に対する上下傾動位置が固定され、従ってベース2の下面側への切断刃12の突き出し量(切断材Mに対する切り込み深さ)が固定される。
図1及び
図3に示す状態は、ベース2に対して切断機本体10が最も下方の傾動位置に固定されて切断刃12の切り込み深さが最大に調整された状態を示している。
図1及び
図3に示す状態よりも切断機本体10をベース2に対して上方の傾動位置に移動させることにより、切断刃12の切り込み深さを小さくすることができる。
【0029】
ハンドル部20の後部(使用者側)であって把持部22の後部かつ基台部23の後部には、バッテリ取り付け基台部30が設けられている。
図4に示すようにこのバッテリ取り付け基台部30は、電動モータ11の後方に張り出す状態に設けられている。
図3に示すようにこのバッテリ取り付け基台部30は、概ね平板形を有し、ハンドル部20の基台部23の後部から後方へ向けて上側へ変位する方向に傾斜した向きに設けられている。このように後方に向かって斜め上方に傾けて設けられたバッテリ取り付け基台部30により、
図3に示すように切断刃12の切り込み深さを最大にした状態では、前側のバッテリB1に対して後側のバッテリB2がより上側へ変位した位置に取り付けられた状態となる。これにより、上下傾動支軸17を中心にして切断機本体10をベース2に対してより上側へ傾動させることにより切り込み深さを小さくした状態であっても、特に後側のバッテリB2がベース2に干渉しないようになっており、ひいては当該切断工具1の切り込み深さ調整機構18が確実に機能されるようになっている。
【0030】
図4に示すようにバッテリ取り付け基台部30の下面には、2つのバッテリ取り付け部31,32が設けられている。2つのバッテリ取り付け部31,32には、それぞれスライド取り付け形式のバッテリB1,B2が取り付けられる。
【0031】
図6に示すように2つのバッテリB1,B2は、それぞれバッテリケース内に複数本のバッテリセルを収容した18V出力のリチウムイオンバッテリで、当該切断工具1から取り外して、別途用意した充電器により充電することにより繰り返し電源として使用することができる。両バッテリB1,B2は、その上面に左右一対のレール部B1b,B1c,B2b,B2cを備えている。左右のレール部B1b,B1c間、B2b,B2c間には、それぞれ正負の接続端子B1d,B1e,B2d,B2eを備えている。正負の接続端子B1d,B1e間、及び正負の接続端子B2d,B2e間には、充電器との間で制御信号を送受信するためのコネクタB1f,B2fを備えている。
【0032】
また、バッテリB1,B2の上面の取り外し方向手前側の端部には、当該バッテリB1,B2のバッテリ取り付け部31,32に対する取り付け状態をロックするためのロック爪B1g,B2gが上下に進退可能に設けられている。
【0033】
本実施形態では、2つの18VバッテリB1,B2が直列に接続されて36Vバッテリとして利用される。従って電動モータ11は、直列接続された2つの18VバッテリB1,B2により出力される36V電源により動作する。
【0034】
図4に示すように両バッテリ取り付け部31,32には、それぞれ前後方向に一対のレール部31a,31a,32a,32aと、正負の接続端子31b,31c,32b,32cが設けられている。前後一対のレール部31a,31a,32a,32aに、バッテリB1,B2のレール部B1b,B1c,B2b,B2cをそれぞれ係合させて、当該バッテリB1,B2をスライドさせて機械的に取り付け可能、逆に取り外し可能となっている。また、正負の接続端子31b,31c,32b,32cに、バッテリB1,B2の正負の接続端子B1d,B1e,B2d,B2eがそれぞれ接続されることにより当該バッテリB1,B2が電気的に接続される。
【0035】
また、両バッテリ取り付け部31,32の左側部には、バッテリB1,B2に設けたロック爪B1g,B2gを係合させてその取り付け状態をロックするための爪係合部31d,32dが設けられている。
【0036】
図4,6において白抜きの矢印で示すように、両バッテリ取り付け部31,32に対してバッテリB1,B2を
図4において下向き(取り付け方向)に移動させることにより、当該両バッテリB1,B2をそれぞれバッテリ取り付け部31,32に取り付けることができる。逆に、両バッテリ取り付け部31,32に対してバッテリB1,B2を
図4において上向き(取り外し方向)に移動させることにより、当該両バッテリB1,B2をバッテリ取り付け部31,32から取り外すことができる。
【0037】
図3に示すように、両バッテリB1,B2の取り外し方向前面には、バッテリ取り付け部31,32の爪係合部31d,32dに対するロック爪B1g,B2gの係合状態を解除するためのロック解除ボタンB1a,B2aが設けられている。
【0038】
図6に示すようにバッテリB1,B2の外形寸法について、長手方向の長さL、幅W、高さHとすると、当該両バッテリB1,B2は長さL>幅W>高さHの大小関係にある概ね直方体形状を有している。両バッテリB1,B2は、バッテリ取り付け基台部30に対して長手方向を左右方向に沿わせた横向きで切断進行方向前後に並んだ横並び状態に取り付けられる。また、
図3に示すようにバッテリ取り付け基台部30に対する取り付け状態で、両バッテリB1,B2はその最も短い辺(高さH)である高さ方向を上下にした向きで取り付けられる。
【0039】
2つのバッテリB1,B2のバッテリ取り付け部31,32に対する取り付け、取り外し方向は、切断刃12の面方向に対して直行する方向(面直方向)に一致しており、従ってモータ軸線J及びスピンドル16の軸線方向に対して平行な方向となっている。
【0040】
バッテリ取り付け部31,32に取り付けたバッテリB1,B2の電力は、主として電源回路を含むコントローラCを経て電動モータ11に供給される。
図5に示すようにコントローラCは、ハンドル部20の基台部23内に収容されている。基台部23の内部は、電動モータ11の内部と連通されている。このため、
図5中白抜きの矢印で示すように電動モータ11の冷却ファン11bの回転により、モータハウジング後面に設けた吸気口11a〜11a(
図3参照)を経て吸入されたモータ冷却風は、そのまま当該基台部23内に導入されて、コントローラCを冷却するための冷却風として利用される。
図3に示すように使用者から見て基台部23の左側部には、排気口23a〜23aが設けられている。基台部23内に導入されたモータ冷却風は、この排気口23a〜23aを経て外部に排気される。
【0041】
以上のように構成した本実施形態に係る充電式の切断工具1によれば、低出力用の18VバッテリB1,B2を2個取り付けて定格電圧36Vの電動モータ11を駆動源とする高出力の切断工具1を利用することができ、これにより低出力用の18VバッテリB1,B2を有効利用できるとともに、高出力の切断工具1の利便性及び取り扱い性を一層高めることができる。特に、予備バッテリ等を含めて現在広く普及している18Vバッテリを流用することができ、これにより高価な36Vバッテリを別途購入することなく36V仕様で高出力の切断工具1を利用でき、これにより切断作業の低コスト化及び作業性の向上を図ることができる点で顕著な作用効果を得ることができる。
【0042】
また、2箇所のバッテリ取り付け部31,32には、2個のバッテリB1,B2を、その長手方向(長さL方向)を切断進行方向に交差させてその短手方向(幅W方向)を切断進行方向に沿わせた横並び状態で取り付ける構成となっている。このことから、2個のバッテリB1,B2を切断進行方向にコンパクトに取り付けることができ、ひいてはバッテリ取り付け状態の当該切断工具1の切断進行方向についてのコンパクト化を図ることができる。さらに、2つのバッテリB1,B2は、その最短辺である高さH方向を上下方向にした向きで取り付けられる構成であるので、当該2個のバッテリB1,B2を上下方向にコンパクトに取り付けることができ、これによりバッテリ取り付け状態の当該切断工具1の上下方向についてのコンパクト化を図ることができる。
【0043】
また、例示した切断工具1によればハンドル部20よりも下方領域にバッテリB1,B2を取り付ける構成であるので、使用者がハンドル部20を把持する際に2個のバッテリB1,B2が邪魔になることがなく、ハンドル部20の良好な把持性ひいては当該切断工具1の良好な取り扱い性を確保することができるとともに、使用者がグリップ部22を把持した際に、比較的重量物である電動モータ11とバッテリB1,B2が把持した手の前側と後側に位置することになるため、把持した際の重量バランスが取られて当該ハンドル部20の把持性、ひいては当該切断工具1の使い勝手、作業性及び取り扱い性を高めることができる。
【0044】
さらに、2つのバッテリB1,B2のバッテリ取り付け部31,32に対する取り付け、取り外し方向は、切断刃12の面方向に対して直行する方向(面直方向)に一致しており、従ってモータ軸線J及びスピンドル16の軸線方向に対して平行な方向となっている。このため、バッテリB1,B2を切断刃12の側方から移動させてバッテリ取り付け部31,32に取り付けることができ、逆に切断刃12の側方へバッテリB1,B2を移動させて取り外すことができるので、当該バッテリB1,B2のバッテリ取り付け部31,32に対する取り付け、取り外し操作を迅速かつ楽に行うことができる。
【0045】
また、例示した切断工具1によれば、切断機本体10がベース2に対して上下に位置変更可能に支持されて切断刃12のベース2の下面側への突き出し量を変更して切断材Mに対する切断刃12の切り込み深さを調整可能とする切り込み深さ調整機構18を備えている。この切り込み深さ調整機構18を構成する主としてデプスガイド18aと固定レバー18cが、切断刃12を覆うブレードケース13とハンドル部20との間に配置されている。このため、仮にこの種の調整機構(主としてデプスガイド)をブレードケース内に配置した構成に比して空きスペースを有効活用しつつ、切断粉の付着等による作動不良を未然に防ぐことができ、この点で切断工具1の耐久性及びメンテナンス性を高めることができる。
【0046】
以上説明した実施形態には種々変更を加えることができる。例えば、バッテリB1,B2の取り付け、取り外し方向を切断刃12の面直方向に直行する方向に一致させた構成を例したが、切断刃12の面方向に対して傾斜する方向であって取り付け方向に向けて下る方向に移動させて取り付ける構成としてもよい。係る構成によれば、バッテリ取り付け部に対してバッテリB1,B2を斜め下方に向けてスライドさせて取り付けることができ、逆にバッテリ取り付け部からバッテリB1,B2を斜め上方へスライドさせて取り外すことができるので、バッテリB1,B2のバッテリ取り付け部に対する取り付け、取り外しを迅速かつ楽に行うことができる。
【0047】
バッテリB1,B2の取り付け、取り外し時の取り扱い性を考慮すれば、その取り付け、取り外し方向を例示した面直方向(傾斜角度ゼロ°)とする構成の他、面直方向に対して45°以内の角度で傾斜する方向に沿って取り付け、取り外しする構成とすることができる。
【0048】
また、2つのバッテリB1,B2を切断進行方向前後に横並び状態で取り付ける構成を例示したが、その長手方向を切断進行方向に沿わせた縦並び状態で取り付ける構成としてもよい。また、取り付ける部位についてはハンドル部20の後部とする構成を例示したが、ハンドル部20の前部、左右側部等のその他の部位に変更することもできる。
【0049】
さらに、18V仕様のバッテリB1,B2を2つ取り付けて、36V出力の切断工具1を動作させる構成を例示したが、例えば14.4V仕様等その他の出力電圧のバッテリを複数個取り付けて合計電圧を定格電圧とする電動モータの電源とすることができる。要は、より広く普及しているバッテリを複数個取り付けてその合計電圧を定格電圧とする電動モータの電源とすることにより、使用者が予備バッテリ等として所有する複数個のバッテリを有効に活用してより高出力の切断工具1を利用することができ、これによりバッテリコストを抑制しつつ高出力の切断工具の普及を図ることができる。
【符号の説明】
【0050】
M…切断材
1…切断工具
2…ベース
10…切断機本体
11…電動モータ、11a〜11a…吸気口
12…切断刃
13…ブレードケース
14…可動カバー、14a…開放レバー
15…減速ギヤ部
16…スピンドル
17…上下傾動支軸
18…切り込み深さ調整機構
18a…デプスガイド、18b…固定ねじ、18aa…ガイド溝孔、18c…固定レバー
20…ハンドル部
21…縦部
22…把持部、22a…スイッチレバー、22b…ロックオフレバー
23…基台部、23a〜23a…排気口
24…フロントグリップ部
30…バッテリ取り付け基台部
31,32…バッテリ取り付け部
31a,32a…レール部、31b,31c,32b,32c…正負の接続端子
31d,32d…爪係合部
B1,B2…バッテリ(18Vリチウムイオンバッテリ)
B1a,B2a…ロック解除ボタン、B1b,B1c,B2b,B2c…レール部
B1d,B1e,B2d,B2e…正負の接続端子
B1f,B2f…コネクタ(充電器用)、B1g,B2g…ロック爪
L…バッテリの長さ寸法、W…バッテリの幅寸法、H…バッテリの高さ寸法
C…コントローラ