特許第6370984号(P6370984)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6370984可変ノズル機構及び可変容量型排気ターボ過給機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6370984
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】可変ノズル機構及び可変容量型排気ターボ過給機
(51)【国際特許分類】
   F02B 37/24 20060101AFI20180730BHJP
   F01D 17/16 20060101ALI20180730BHJP
   F02C 3/05 20060101ALI20180730BHJP
【FI】
   F02B37/24
   F01D17/16 C
   F01D17/16 A
   F02C3/05
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-501594(P2017-501594)
(86)(22)【出願日】2015年2月24日
(86)【国際出願番号】JP2015055196
(87)【国際公開番号】WO2016135846
(87)【国際公開日】20160901
【審査請求日】2017年4月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】316015888
【氏名又は名称】三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】永代 行日出
(72)【発明者】
【氏名】石井 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 高記
(72)【発明者】
【氏名】段本 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】秋山 洋二
【審査官】 家喜 健太
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4741709(JP,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0016968(US,A1)
【文献】 特許第4875602(JP,B2)
【文献】 特開2015−094266(JP,A)
【文献】 特表2009−531587(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/047154(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0260597(US,A1)
【文献】 特開2010−156279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 37/24
F01D 17/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円環状のノズルマウントと、
前記ノズルマウントの周方向に沿って複数箇所において夫々回動可能に支持された複数のノズルベーンと、
前記ノズルマウントに対して回動可能に設けられ、かつ前記ノズルベーンの翼角が可変となるように前記ノズルベーンに駆動力を伝えて前記ノズルベーンを回動させるように構成されたドライブリングと、を備え、
前記ドライブリングは、
複数の低剛性領域と、
前記ドライブリングの厚さ方向に凹凸を有し、前記ドライブリングの半径方向に沿った断面における断面二次モーメントが前記低剛性領域よりも大きい複数の高剛性領域と、
を含み、
各々の前記低剛性領域は、前記ドライブリングによる前記駆動力を前記ノズルベーンに伝えるためのレバープレートが係合する複数の凹部とは別に設けられたヌスミを含み、
複数の前記低剛性領域と複数の前記高剛性領域とが前記周方向に交互に配列され、
前記低剛性領域及び前記高剛性領域が奇数であるか、又は、前記低剛性領域及び前記高剛性領域が前記周方向において不等ピッチで設けられていることを特徴とする可変ノズル機構。
【請求項2】
前記ドライブリングの少なくとも前記高剛性領域には、前記ドライブリングの内周側又は外周側において前記周方向に沿って延在するリブが設けられ、該リブによって前記凹凸が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の可変ノズル機構。
【請求項3】
円環状のノズルマウントと、
前記ノズルマウントの周方向に沿って複数箇所において夫々回動可能に支持された複数のノズルベーンと、
前記ノズルマウントに対して回動可能に設けられ、かつ前記ノズルベーンの翼角が可変となるように前記ノズルベーンに駆動力を伝えて前記ノズルベーンを回動させるように構成されたドライブリングと、を備え、
前記ドライブリングは、
低剛性領域と、
前記ドライブリングの厚さ方向に凹凸を有し、前記ドライブリングの半径方向に沿った断面における断面二次モーメントが前記低剛性領域よりも大きい高剛性領域と、
を含み、
前記低剛性領域と前記高剛性領域とが前記周方向に交互に配列され、
前記低剛性領域及び前記高剛性領域が奇数であるか、又は低剛性領域及び前記高剛性領域が前記周方向において不等ピッチで設けられ、
前記ノズルマウントに固定され、前記ドライブリングを回動自在に前記ノズルマウントに支持する支持ピンをさらに備え、
前記支持ピンは、
前記ノズルマウントから前記ドライブリングに向かって前記ドライブリングの中心軸
に沿って延びる支柱部と、
前記支柱部の先端側に設けられたフランジ部と、
を含み、
前記ドライブリングは、前記フランジ部と前記ノズルマウントとの間に前記凹凸が挟まれるように配置されたことを特徴とする可変ノズル機構。
【請求項4】
前記ドライブリングには、前記高剛性領域に対して選択的に前記凹凸が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の可変ノズル機構。
【請求項5】
前記ドライブリングの全周に亘って前記凹凸が設けられ、
前記ドライブリングの前記低剛性領域は、前記高剛性領域に比べて前記半径方向における幅が狭いことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の可変ノズル機構。
【請求項6】
前記ドライブリングの前記低剛性領域にはヌスミが形成されていることを特徴とする請求項5に記載の可変ノズル機構。
【請求項7】
円環状のノズルマウントと、
前記ノズルマウントの周方向に沿って複数箇所において夫々回動可能に支持された複数のノズルベーンと、
前記ノズルマウントに対して回動可能に設けられ、かつ前記ノズルベーンの翼角が可変となるように前記ノズルベーンに駆動力を伝えて前記ノズルベーンを回動させるように構成されたドライブリングと、を備え、
前記ドライブリングは、
前記周方向において互いに離れて設けられた底部と、
前記周方向において隣接する前記底部の間に設けられ、前記ドライブリングの中心軸に沿った方向における前記ノズルマウントからの距離が前記底部よりも大きい複数の頂部と、
を含み、
前記底部と前記頂部とが前記周方向に交互に配列されており、
前記ノズルマウントに固定され、前記ドライブリングを回動自在に前記ノズルマウントに支持する支持ピンをさらに備え、
前記支持ピンは、
前記ノズルマウントから前記ドライブリングに向かって前記ドライブリングの中心軸に沿って延びる支柱部と、
前記支柱部の先端側に設けられたフランジ部と、
を含み、
前記ドライブリングは、前記フランジ部と前記ノズルマウントとの間に前記頂部が前記フランジ部に近接するように配置され、
前記底部と前記頂部との間に段差部が形成され、
前記周方向において各々の前記頂部の両側に位置する前記段差部のペアが前記周方向において奇数形成されるか、又は前記段差部が前記周方向において不等ピッチで設けられた
ことを特徴とする可変ノズル機構。
【請求項8】
前記底部及び前記頂部が前記周方向に波形を形成するように交互に配列されていることを特徴とする請求項7に記載の可変ノズル機構。
【請求項9】
内燃機関から導入された排気ガスによって駆動されるタービン部と、
前記タービン部と連動して前記内燃機関に外気を圧送するコンプレッサ部と、
前記タービン部において排気ガスが導入されるタービンハウジングに設けられた請求項1乃至8の何れか1項に記載の可変ノズル機構と、を備えていることを特徴とする可変容量型排気ターボ過給機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、振動の発生を抑制可能にした可変ノズル機構及び可変容量型排気ターボ過給機に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のノズルベーンの翼角を変化させる可変ノズル機構を備え、過給圧を制御可能な可変容量型排気ターボ過給機が知られている。
この可変容量型排気ターボ過給機は、タービンケーシングに固定されたノズルマウントに回動可能に設けられた複数のノズルベーンと、該ノズルマウントに回動可能に設けられたドライブリングとを備えている。そして、複数のノズルベーンをドライブリングで回動させてノズルベーンの翼角を変化させるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記ドライブリングは、回動するためノズルマウントに固定されておらず、ノズルマウントとの間にクリアランスが形成されている。ドライブリングは前記クリアランスの範囲で自由に動くことができ、そのため、内燃機関の振動が可変ノズル機構に伝達されると、ドライブリングに衝突振動が発生する場合がある。この衝突振動でドライブリングに過大な応力が発生した場合、ドライブリングが破損するおそれがある。
【0004】
特許文献2には、ドライブリングに過大な応力が発生するのを抑制する手段が開示されている。この手段は、ノズルマウントに固定され、ノズルマウントと共にドライブリングを両側から挟んでドライブリングの動きを規制する支持ピンを、ドライブリングの周方向で後述する1次振動モードによる固有振動の節に配置することで、ドライブリングに生じる固有振動の励起を抑制するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−056791号公報
【特許文献2】特開2010−156279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、前記衝突振動に起因した応力の発生を抑制する手段は開示されていない。
特許文献2に開示された振動抑制手段は、前記ドライブリングの周方向での前記支持ピンを一次振動モードによる固有振動の節に配置する必要があることから、前記支持ピンと前記節との位置がずれると、振動抑制効果が低減するおそれがある。そのため、前記節が形成される位置の正確な把握が必要となる。
【0007】
かかる従来技術の課題に鑑み、本発明の少なくとも一実施形態は、前記支持ピンと一次振動モードにより形成される節の位置関係を考慮することなく、ドライブリングの振動を抑制可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る可変ノズル機構は、
円環状のノズルマウントと、
前記ノズルマウントの周方向に沿って複数箇所において夫々回動可能に支持された複数のノズルベーンと、
前記ノズルマウントに対して回動可能に設けられ、かつ前記ノズルベーンの翼角が可変となるように前記ノズルベーンに駆動力を伝えて前記ノズルベーンを回動させるように構成されたドライブリングと、を備え、
前記ドライブリングは、
低剛性領域と、
前記ドライブリングの厚さ方向に凹凸を有し、前記ドライブリングの半径方向に沿っ
た断面における断面二次モーメントが前記低剛性領域よりも大きい高剛性領域と、
を含み、
前記低剛性領域と前記高剛性領域とが前記周方向に交互に配列され、
前記低剛性領域及び前記高剛性領域が奇数であるか、又は前記低剛性領域及び前記高剛性領域が前記周方向において不等ピッチで設けられている。
【0009】
ドライブリングは、円環状で概ね対称な構造を有し、内燃機関から伝達する振動によって一次振動モードによる固有振動が励起しやすい。一次振動モードとは、最小の固有振動数によって発生する振動モードである。即ち、図14に示すように、円板又は円環状の構造部材において、半径方向X−X及びX−Xに直交する方向Y−Yに節をもつモードであって、これらX−X及びY−Yに挟まれている部分が振幅の大きい腹になり、網掛け部分と白地部分とでは振動の位相が逆になるモードである。
図15は、ドライブリング100に一次振動モードによる固有振動を模式的に示している。図中、節100aとなる4か所の領域の間に、振幅が大きい腹100bが4か所形成され、隣り合う腹100bは振動の位相が逆になっている。
【0010】
前記構成(1)では、前記凹凸を有する前記高剛性領域及び前記低剛性領域がドライブリングの周方向に奇数であるか、又は不等ピッチで設けられるため、等間隔で偶数の節及び腹を形成する一次振動モードによる固有振動の励起を抑制できる。これによって、応力の発生を抑制でき、ドライブリングの損傷を防止できる。また、断面二次モーメントが大きい高剛性領域を形成し、全体としてドライブリングの剛性を高めたことで、固有振動の発生をさらに抑制できる。
また、前記支持ピンと一次振動モードにより形成される節の位置関係を考慮することなく、応力の発生を抑制できる。さらに、応力の発生を抑制できるため、ドライブリングの板厚を低減でき低コスト化できる。
【0011】
(2)幾つかの実施形態では、前記構成(1)において、
前記ドライブリングの少なくとも前記高剛性領域には、前記ドライブリングの内周側又は外周側において前記周方向に沿って延在するリブが設けられ、該リブによって前記凹凸が形成されている。
前記構成(2)によれば、前記高剛性領域を前記リブによって構成するので、簡易かつ低コストな加工で前記高剛性領域を形成できる。
【0012】
(3)幾つかの実施形態では、前記構成(1)又は(2)において、
前記ノズルマウントに固定され、前記ドライブリングを回動自在に前記ノズルマウントに支持する支持ピンをさらに備え、
前記支持ピンは、
前記ノズルマウントから前記ドライブリングに向かって前記ドライブリングの中心軸
に沿って延びる支柱部と、
前記支柱部の先端側に設けられたフランジ部と、
を含み、
前記ドライブリングは、前記フランジ部と前記ノズルマウントとの間に前記凹凸が挟まれるように配置されている。
【0013】
前記構成(3)によれば、前記凹凸を前記支持ピンのフランジ部と前記ノズルマウントとの間に配置するので、前記凹凸と前記フランジ部又は前記ノズルマウントとの間のクリアランスを低減できる。これによって、前記凹凸に生じる衝突振動を低減でき、前記凹凸における応力の発生を抑制できる。
【0014】
(4)幾つかの実施形態では、前記構成(1)〜(3)の何れかにおいて、
前記ドライブリングに、前記高剛性領域に対して選択的に前記凹凸が設けられている。
前記構成(4)によれば、前記高剛性領域に前記凹凸を設けることで、高剛性領域の断面二次モーメントを効果的に増加できる。
【0015】
(5)幾つかの実施形態では、前記構成(1)〜(3)の何れかにおいて、
前記ドライブリングの全周に亘って前記凹凸が設けられ、
前記ドライブリングの前記低剛性領域は、前記高剛性領域に比べて前記半径方向における幅が狭い。
前記構成(5)によれば、前記低剛性領域を簡易かつ低コストな加工で容易に形成できる。
【0016】
(6)幾つかの実施形態では、前記構成(5)において、
前記ドライブリングの前記低剛性領域にはヌスミが形成されている。
前記構成(6)によれば、前記低剛性領域を簡易かつ低コストな加工で容易に形成できる。また、前記ヌスミを形成することで、前記凹凸(例えば、前記リブ)の形成が容易になる。
【0017】
(7)本発明の少なくとも一実施形態に係る可変ノズル機構は、
円環状のノズルマウントと、
前記ノズルマウントの周方向に沿って複数箇所において夫々回動可能に支持された複数のノズルベーンと、
前記ノズルマウントに対して回動可能に設けられ、かつ前記ノズルベーンの翼角が可変となるように前記ノズルベーンに駆動力を伝えて前記ノズルベーンを回動させるように構成されたドライブリングと、を備え、
前記ドライブリングは、
前記周方向において互いに離れて設けられた底部と、
前記周方向において隣接する前記底部の間に設けられ、前記ドライブリングの中心軸
に沿った方向における前記ノズルマウントからの距離が前記底部よりも大きい複数の頂部と、
を含み、
前記底部と前記頂部とが前記周方向に交互に配列されている。
【0018】
前記構成(7)によれば、前記底部と前記頂部とが前記周方向に交互に配置されているので、ドライブリングを周方向で全体として高剛性とすることができる。これによって、一次振動モードによる固有振動の励起を抑制でき、応力の発生を抑制できるので、ドライブリングの損傷を防止できる。
また、前記支持ピンと一次振動モードにより形成される節の位置関係を考慮することなく、応力の発生を抑制できる。さらに、応力の発生を抑制できるため、ドライブリングの板厚を低減でき低コスト化できる。
【0019】
(8)幾つかの実施形態では、前記構成(7)において、
前記底部と前記頂部との間に段差部が形成され、
前記段差部が前記周方向において奇数形成されるか、又は前記段差部が前記周方向において不等ピッチで設けられている。
前記構成(8)によれば、前記段差部がドライブリングの周方向に奇数形成されるか、又は前記段差部が前記周方向において不等ピッチで設けられるので、等間隔で偶数の節及び腹を形成する一次振動モードによる固有振動の励起を抑制でき、これによって、応力の発生を抑制できる。
【0020】
(9)幾つかの実施形態では、前記構成(7)又は(8)において、
前記ノズルマウントに固定され、前記ドライブリングを回動自在に前記ノズルマウントに支持する支持ピンをさらに備え、
前記支持ピンは、
前記ノズルマウントから前記ドライブリングに向かって前記ドライブリングの中心軸
に沿って延びる支柱部と、
前記支柱部の先端側に設けられたフランジ部と、
を含み、
前記ドライブリングは、前記フランジ部と前記ノズルマウントとの間に前記頂部が前記フランジ部に近接するように配置されている。
【0021】
前記構成(9)によれば、前記フランジ部と前記ノズルマウントとの間に前記頂部が前記フランジ部に近接して配置されるので、前記頂部と前記支持ピンとの間のクリアランスを小さくでき、これによって、前記頂部と前記支持ピンとの間の衝突振動によって前記頂部に発生する応力を抑制できる。
【0022】
(10)幾つかの実施形態では、前記構成(7)において、
前記底部及び前記頂部が前記周方向に波形を形成するように交互に配列されている。
前記構成(10)によれば、簡易かつ低コストな加工で高剛性領域を形成できる。
【0023】
(11)本発明の少なくとも一実施形態に係る可変容量型排気ターボ過給機は、
内燃機関から導入された排気ガスによって駆動されるタービン部と、
前記タービン部と連動して前記内燃機関に外気を圧送するコンプレッサ部と、
前記タービン部において排気ガスが導入されるタービンハウジングに設けられた前記構成(1)〜(10)の何れかの可変ノズル機構と、を備えている。
前記構成(11)によれば、可変ノズル機構を構成するドライブリングの振動を抑制でき、これによって、応力の発生を抑制できるので、ドライブリングの損傷を防止できる。
また、前記支持ピンと一次振動モードにより形成される節の位置関係を考慮することなく、応力の発生を抑制できる。さらに、応力の発生を抑制できるため、ドライブリングの板厚を低減でき低コスト化できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、可変ノズル機構を構成するドライブリングの振動を抑制でき、これによって、応力の発生を抑制できるので、ドライブリングの損傷を防止できる。また、前記支持ピンと一次振動モードにより形成される節の位置関係を考慮することなく、応力の発生を抑制できる。さらに、応力の発生を抑制できるため、ドライブリングの板厚を低減でき低コスト化できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】一実施形態に係る可変容量型排気ターボ過給機の正面視断面図である。
図2】一実施形態に係る可変ノズル機構の正面図である。
図3】一実施形態に係るドライブリングの斜視図である。
図4】一実施形態に係るドライブリングの斜視図である。
図5】一実施形態に係るドライブリングの斜視図である。
図6】断面二次モーメントを求める角材の模式図である。
図7】(A)〜(G)は幾つかの実施形態に係るドライブリングの半径方向の断面図である。
図8】一実施形態に係る可変ノズル機構の断面図である。
図9図5に示すドライブリングの発生応力を示す線図である。
図10】一実施形態に係るドライブリングの斜視図である。
図11図10に示すドライブリングの側面図である。
図12】一実施形態に係るドライブリングの斜視図である。
図13】(A)は一実施形態に係るドライブリングの正面図であり、(B)は(A)中のB方向から視た矢視図である。
図14】一次振動モードの説明図である。
図15】ドライブリングの一次振動モードの解析図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載され又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一つの構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0027】
図1に示すように、本発明の少なくとも一実施形態に係る可変容量型排気ターボ過給機10は、内燃機関(不図示)から導入された排気ガスによって駆動されるタービン部12と、タービン部12と連動して前記内燃機関に外気を圧送するコンプレッサ部14と、タービン部12において排気ガスが導入されるタービンハウジング16に設けられた可変ノズル機構20とを備えている。
【0028】
タービンハウジング16は、外周部に渦巻き状に形成されたスクロール22が形成されている。スクロール22は前記内燃機関の排気口(不図示)に連通されている。スクロール22の中心部にはタービンロータ24が配置されている。タービンロータ24は、タービンシャフト26の一端に固定され、タービンシャフト26と共にタービンシャフト26の軸心Cを中心として回転可能になっている。タービンハウジング16の中央には、軸心Cに沿う方向に開口し、排気管(不図示)が接続される排気ガス出口28が設けられている。
【0029】
コンプレッサ部14はコンプレッサハウジング18を備え、コンプレッサハウジング18は、外周部に渦巻き状の給気通路30が形成されている。この給気通路30は前記内燃機関の給気口(不図示)に連通している。給気通路30の中心部にコンプレッサ32が設けられ、コンプレッサ32はタービンシャフト26の他端に固定され、タービンシャフト26と共に軸心C回りに回転可能になっている。コンプレッサハウジング18の中央に、軸心Cに沿う方向に開口し、給気管(不図示)に接続される給気入口34が設けられている。
タービン部12とコンプレッサ部14との間に軸受ハウジング36が設けられ、タービンシャフト26は軸受ハウジング36の内部に設けられた軸受38によって回動自在に支持されている。
【0030】
幾つかの実施形態に係る可変ノズル機構20は、図1及び図2に示すように、円環状のノズルマウント42と、ノズルマウント42の周方向に沿って複数箇所において夫々回動可能に支持された複数のノズルベーン44と、複数のノズルベーン44を回動させるように構成されたドライブリング46とを備えている。ドライブリング46は、ノズルマウント42に対して回動可能に設けられ、ノズルベーン44に駆動力を与えて回動させ、その翼角を可変とすることができる。
【0031】
ノズルマウント42は、タービンハウジング16の内部で、軸受ハウジング36によって円環状の中心を軸心Cと一致するように、タービンハウジング16に固定されている。
ノズルベーン44は、ノズルマウント42のタービン部12側であって、スクロール22内に配置されている。ノズルベーン44は、ノズル軸44aが一体に形成されており、ノズル軸44aがノズルマウント42に形成された貫通孔に挿通され、ノズル軸44aを中心に回動可能に支持されている。
ドライブリング46は、円環状に形成され、ノズルマウント42の軸受ハウジング36側であって、円環状の中心を軸心Cと一致するようにノズルマウント42に支持されている。
【0032】
図1に示す例示的な実施形態において、ドライブリング46は、コンプレッサハウジング18に固定されたアクチュエータ48の作動部に対し、リンク50を介して接続されている。
また、レバープレート52がドライブリング46の軸受ハウジング36側に設けられている。ドライブリング46の外周縁に周方向に複数の凹部46aが形成され、レバープレート52の一端側に設けられた連結ピン52aが凹部46aに係合され、レバープレート52の他端側はノズルベーン44のノズル軸44aに連結されている。レバープレート52は、ドライブリング46の円周方向に沿ってノズルベーン44と同数配置されている。
【0033】
かかる構成において、内燃機関から排出される排気ガスは、タービン部12のスクロール22に導入され、スクロール22の渦巻きに沿って周回しながら可変ノズル機構20のノズルベーン44の位置に至る。さらに、排気ガスは各ノズルベーン44の翼間を通過しながらタービンロータ24を回転させ、排気ガス出口28から機外へ送出される。
他方、コンプレッサ部14では、タービンロータ24の回転と共に、タービンシャフト26を介してコンプレッサ32が回転する。コンプレッサ32の回転と共に、給気入口34からコンプレッサハウジング18に給気が導入される。導入された給気は、給気通路30で圧縮されながら内燃機関の給気口(不図示)に過給される。
【0034】
可変ノズル機構20では、アクチュエータ48を駆動してドライブリング46を回転させ、各レバープレート52を搖動させ、各ノズルベーン44の翼角を調整する。これによって、各ノズルベーン44間の排気ガス流路の面積を調整し、タービンロータ24に至る排気ガスの容量を制御する。
例示的な実施形態では、ドライブリング46の外周縁には、アクチュエータ48の作動部に接続されたリンク50に係合する凹部46bが形成されている。また、ドライブリング46の外周縁には、後述する支持ピン54のフランジ部54bを通すための切欠き46cが形成されている。
【0035】
例示的な実施形態では、図2に示すように、ノズルマウント42のドライブリング46側に支持ピン54が固定されている。支持ピン54は、ノズルマウント42からドライブリング46に向かってドライブリング46の中心軸に沿って延びる支柱部54aと、支柱部54aの先端側に設けられたフランジ部54bとを有している。
ドライブリング46は切欠き46cで支持ピン54を通ることができる。ドライブリング46が支持ピン54を通った後、ドライブリング46を周方向に回動することで、ドライブリング46の内周端が支持ピン54に係合し、ドライブリング46の軸心C方向の一が規制される。
【0036】
ドライブリング46は、例えば図3図5等に示すように、低剛性領域Lrと、ドライブリング46の厚さ方向に凹凸を有し、ドライブリング46の半径方向に沿った断面における断面二次モーメントが低剛性領域Lrよりも大きい高剛性領域Hrとを含んでいる。低剛性領域Lrと高剛性領域Hrとは、ドライブリング46の周方向に交互に配列され、低剛性領域Lr及び高剛性領域Hrは奇数であるか、又は低剛性領域Lr及び高剛性領域Hrが周方向において不等ピッチで設けられている。
【0037】
例示的な実施形態では、例えば図3図5等に示すドライブリング46A及び46Cのように、高剛性領域Hrには、ドライブリング46の内周側領域(例えば、内周縁)に周方向に沿って延在するリブ46dが設けられ、リブ46dによってドライブリング46の厚さ方向に凹凸が形成される。リブ46dはドライブリング46の外周側領域(例えば、外周縁)に周方向に沿って延在させるようにしてもよい。
図6に模式的に示す角材Aのx軸に関する断面二次モーメントは、次の算式(a)から求めることができる。
【数1】
算式(a)から、角材Aの断面二次モーメントの増加率は、厚さ方向寸法hの増加による増加率のほうが幅方向寸法bの増加による増加率よりかなり高くなることがわかる。
従って、ドライブリング46の厚さ方向へリブ46dを形成することで、断面二次モーメントの増加率を高くすることができる。
【0038】
図7の(A)〜(G)は、ドライブリング46の半径方向の断面形状を示し、ドライブリングを折曲げ加工して形成した幾つかの実施形態に係る凹凸の形状を示している。
図7(A)は、ドライブリング46の内周縁に半径方向に沿って凸部を形成したものである。
図7(B)は、ドライブリングの外周縁に半径方向に沿って凸部を形成している。
図7(C)は、ドライブリングの半径方向内周側領域を傾斜面としたものである。
図7(D)は、ドライブリングの半径方向中央領域に逆台形断面の凹部を形成したものである。
図7(E)は、ドライブリングの半径方向断面を円弧状に形成し、中央部を窪ませたものである。
図7(F)は、ドライブリングの内周縁及び外周縁に半径方向に沿って凸部を形成したものである。
図7(G)は、ドライブリングの半径方向断面を波状に形成したものである。
これらの凹凸形状はドライブリングの厚さ方向寸法を増加可能なものであり、ドライブリング46にこれらの凹凸を形成することで、高剛性領域Hrを構成できる。
【0039】
図8に示すように、幾つかの実施形態では、ドライブリング46は、フランジ部54bとノズルマウント42との間に凹凸(例えばリブ46d)が挟まれるように配置される。これによって、前記凹凸とフランジ部54b又はノズルマウント42との間のクリアランスを低減し、該凹凸がフランジ部54b又はノズルマウント42に当たる際に発生する衝突振動を抑制できる。
【0040】
例示的な構成では、ドライブリングの高剛性領域Hrに選択的に前記凹凸が設けられている。図8は、かかる構成の一実施形態を示している。ドライブリング46Bの内周側領域(例えば内周縁)に、ドライブリング46の周方向に沿って厚さ方向にリブ46dが形成されている。高剛性領域Hrに選択的に厚さ方向の凹凸を形成することで、高剛性領域Hrの形成が容易になる。
【0041】
さらに、例示的な実施形態では、図3に示すように、ドライブリング46Aの全周に亘って凹凸(例えば、リブ46d)が設けられている。他方、低剛性領域Lrは、高剛性領域Hrに比べて半径方向における幅を狭くした幅狭領域46eが奇数(図では3個)形成されている。
これによって、高剛性領域Hr及び低剛性領域Lrがドライブリング46Aの周方向に夫々奇数形成される。
【0042】
なお、図4に示すように、幅狭領域46eをドライブリング46Bの周方向に不等ピッチで形成するようにしてもよい。これによって、高剛性領域Hr及び低剛性領域Lrが周方向に不等ピッチで形成される。このように、幅狭領域46eが不等ピッチで形成される場合、幅狭領域46eは偶数個でもよい。
また、リブ46dを曲げ加工して形成する際に、ヌスミとして幅狭領域46eを形成するようにしてもよい。幅狭領域46eをヌスミとして形成することで、リブ46dの曲げ加工が容易になる。
【0043】
図5に示す一実施形態に係るドライブリング46Cは、ドライブリング46の内周側領域で周方向にリブ46dが形成されているが、半径方向における幅を狭くした幅狭領域46eにはリブ46dが形成されていない。即ち、幅狭領域46eはヌスミとして形成されている。該ヌスミの形成によってリブ46dの曲げ加工を容易にする。
【0044】
幾つかの実施形態によれば、高剛性領域Hr及び低剛性領域Lrがドライブリング46の周方向に奇数設けられるか、又は不等ピッチで設けられるため、等間隔にかつ偶数の節及び腹を形成する一次振動モードによる固有振動の励起を抑制できる。これによって、これによって、応力の発生を抑制でき、ドライブリングの損傷を防止できる。また、断面二次モーメントが大きい高剛性領域Hrを形成し、全体としてドライブリングの剛性を高めたことで、固有振動の発生をさらに抑制できる。
また、特許文献2のように、前記支持ピンと一次振動モードにより形成される節の位置関係を考慮することなく、応力の発生を抑制できる。さらに、応力の発生を抑制できるため、ドライブリングの板厚を低減でき低コスト化できる。
【0045】
また、幾つかの実施形態では、例えば、図3図5に示すように、高剛性領域Hrは、ドライブリング46A又は46Cに周方向に沿って延在するリブ46dで構成され、リブ46dによってドライブリングの厚さ方向に凹凸が形成されるので、簡易かつ低コストな加工で高剛性領域Hrを形成できる。また、該凹凸によって厚さ方向寸法を増加でき、半径方向寸法の増加と比べて断面二次モーメントを大幅に増加できるため、高剛性領域Hrの剛性を効果的に上昇できる。
【0046】
また、幾つかの実施形態では、図8に示すドライブリング46のように、フランジ部54bとノズルマウント42との間に凹凸(例えばリブ46b)が挟まれるように配置されているので、該凹凸とフランジ部54bとの間のクリアランスcを低減できる。これによって、該凹凸に生じる衝突振動を低減でき、該凹凸における応力の発生を抑制できる。
また、高剛性領域Hrに選択的に凹凸が設けられるため、高剛性領域Hrの断面二次モーメントを効果的に増加できる。
【0047】
また、幾つかの実施形態によれば、図3及び図4に示すように、高剛性領域Hrとしてドライブリング46Aの全周に亘ってリブ46bが形成され、かつ低剛性領域Lrとして幅狭領域46eが周方向に奇数形成されるか、又は不等ピッチで形成されるので、高剛性領域Hr及び低剛性領域Lrを簡易かつ低コストな加工で容易に形成できる。
【0048】
また、少なくとも一実施形態によれば、図5に示すドライブリング46Cのように、低剛性領域Lrとしてヌスミを形成するので、リブ46dを曲げ加工で形成する際に、リブ46dの加工が容易になる。
図9は、ドライブリング46の周方向3か所の内周縁にヌスミを形成したドライブリング46C、及び従来のドライブリングに発生する応力の算出結果を示したものである。図9から、ドライブリング46Cのほうが従来のドライブリングより板厚を小さくしても、発生応力の増加をほぼ同等に抑えることができることがわかる。
【0049】
また、幾つかの実施形態によれば、図1に示すように、可変容量型排気ターボ過給機10は、可変ノズル機構20を備えているので、ドライブリング46の振動を抑制でき、これによって、応力の発生を抑制できるので、ドライブリング46の損傷を防止できる。
また、支持ピン54と一次振動モードにより形成される節の位置関係を考慮することなく、応力の発生を抑制できる。さらに、応力の発生を抑制できるため、ドライブリング46の板厚を低減でき低コスト化できる。
【0050】
なお、前記実施形態において、図3に示すドライブリング46Aでは、幅狭領域46eを形成せず、リブ46dを無くすだけの構成で低剛性領域Lrを形成することもできる。
【0051】
図10及び図11に示すように、少なくとも一実施形態に係るドライブリング56Aは、周方向において互いに離れて設けられた底部56aと、周方向において隣接する底部56aの間に設けられ、前記ドライブリングの中心軸に沿った方向におけるノズルマウント42からの距離が底部56aよりも大きい複数の頂部56bとを含み、底部56aと頂部56b底部とが周方向に交互に配列されている。
【0052】
例示的な構成では、底部56aと頂部56bとの間に段差部56cが形成され、この段差部56cがドライブリング56Aの周方向において奇数(例えば、図10に示すように、5個)形成されている。
なお、図12に示すドライブリング56Bのように、段差部56cはドライブリング56Aの周方向において不等ピッチで設けられていてもよい。このように、段差部56cが不等ピッチで設けられる場合、段差部56cは偶数(ドライブリング56Bでは4個)でもよい。
【0053】
また、図11に示すように、ノズルマウント42に固定され、ドライブリング56を回動自在にノズルマウント42に支持する支持ピン54をさらに備えている。支持ピン54は、支柱部54aとフランジ部54bとを有している。
ドライブリング56は、フランジ部54bとノズルマウント42との間に頂部56bがフランジ部54bに近接するように配置され、頂部56bとフランジ部54bとの間に微小なクリアランスcが形成されている。
【0054】
少なくとも一実施形態に係るドライブリング60は、図13に示すように、底部60a及び頂部60bが波形を形成するように交互に配列されている。底部60a及び頂部60bで構成された波形は、ドライブリング60の実質的に全周に亘り設けられている。
【0055】
図10及び図11に示す実施形態によれば、底部56aと頂部56bとがドライブリング56の周方向に交互に配置されているので、ドライブリング56を周方向で全体として高剛性とすることができる。そのため、ドライブリング56の一次振動モードによる固有振動の励起を抑制でき、応力の発生を抑制できるので、ドライブリング56の損傷を防止できる。
また、支柱部54aと一次振動モードにより形成される節の位置関係を考慮することなく、応力の発生を抑制できる。さらに、応力の発生を抑制できることで、ドライブリングの板厚を低減でき低コスト化できる。
【0056】
また、段差部56cがドライブリング56Aの周方向に奇数形成されるか、又は段差部56cがドライブリング56Bの周方向において不等ピッチで設けられるので、一次振動モードで等間隔にかつ4個形成される腹とは異なる位置に腹を形成できる。これによって、一次振動モードによる固有振動の励起を抑制でき、応力の発生を抑制できる。
また、頂部56bがフランジ部54bとノズルマウント42との間にフランジ部54bに近接して配置されるので、頂部56bと支持ピン54との間のクリアランスcを小さくできる。そのため、頂部56bと支持ピン54との間の衝突振動によって頂部56bに発生する応力を抑制できる。
【0057】
また、図13に示す実施形態によれば、底部60a及び頂部60bがドライブリング60の周方向に波形を形成するように交互に配列され、かつ該波形はドライブリング60の実質的に全周に亘り設けられているので、簡易かつ低コストな加工で高剛性領域Hrを形成できる。
こうして、ドライブリング60を周方向で全体として高剛性とすることができるので、ドライブリング60の一次振動モードによる固有振動の励起を抑制できる。そのため、応力の発生を抑制できるので、ドライブリング60の損傷を防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、前記支持ピンと一次振動モードにより形成される節の位置関係を考慮することなく、ドライブリングの振動を抑制できる。これによって、応力の発生を抑制できるので、ドライブリングの損傷を防止できる。
【符号の説明】
【0059】
10 可変容量型排気ターボ過給機
12 タービン部
14 コンプレッサ部
16 タービンハウジング
18 コンプレッサハウジング
20 可変ノズル機構
22 スクロール
24 タービンロータ
26 タービンシャフト
28 排気ガス出口
30 給気通路
32 コンプレッサ
34 給気入口
36 軸受ハウジング
38 軸受
42 ノズルマウント
44 ノズルベーン
44a ノズル軸
46、46A、46B,46C,56A、56B、60,100 ドライブリング
46a、46b 凹部
46c 切欠き
46d リブ
46e 幅狭領域(ヌスミ)
56a、60a 底部
56b、60b 頂部
56c 段差部
100a 節
100b 腹
48 アクチュエータ
50 リンク
52 レバープレート
52a 連結ピン
54 支持ピン
54a 支柱部
54b フランジ部
A 角材
C 軸心
Hr 高剛性領域
Lr 低剛性領域
c クリアランス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15