特許第6371009号(P6371009)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6371009
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】自己調整型静圧フラットレール
(51)【国際特許分類】
   F16C 29/02 20060101AFI20180730BHJP
【FI】
   F16C29/02
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-535048(P2017-535048)
(86)(22)【出願日】2015年3月23日
(65)【公表番号】特表2018-502260(P2018-502260A)
(43)【公表日】2018年1月25日
(86)【国際出願番号】CN2015074865
(87)【国際公開番号】WO2016106980
(87)【国際公開日】20160707
【審査請求日】2017年6月29日
(31)【優先権主張番号】201410849951.6
(32)【優先日】2014年12月29日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517222937
【氏名又は名称】蘇州蘇試試験儀器股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鄭 建洲
(72)【発明者】
【氏名】鍾 瓊華
【審査官】 星名 真幸
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許出願公告第01054899(GB,A)
【文献】 特開平05−060129(JP,A)
【文献】 特開昭56−049416(JP,A)
【文献】 実開平01−118225(JP,U)
【文献】 国際公開第2012/119320(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0016927(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 29/02
B23Q 1/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース(1)と、当該ベース(1)上に設けられたスライダー(2)と、当該スライダー(2)の両側の肩部に対応して配置された上部プラテン(3)とを含み、
各前記上部プラテン(3)の外延が前記ベース(1)に当接することで支点(31)が形成され、前記上部プラテン(3)の内延を付勢部(32)とし、当該付勢部(32)と前記スライダー(2)の肩部との間に上ブロック(5)が設けられ、当該上ブロック(5)の頂面と前記上部プラテン(3)の前記付勢部(32)の底面との間に、前記スライダー(2)のスライド方向に沿って配置されたワイヤ(6)が埋設され、
前記上部プラテン(3)にプラーボルト(7)が貫通して設けられて前記ベース(1)に固接され、当該プラーボルト(7)は、前記上部プラテン(3)の前記支点(31)と前記付勢部(32)との間に位置し、
前記上ブロック(5)の底面と前記スライダー(2)の肩部の頂面との間には、圧油が注入されて剛性油膜層(4)が形成され、前記スライダー(2)の底面と前記ベース(1)との間には、圧油が注入されて剛性油膜層(4)が形成されることを特徴とする自己調整型静圧フラットレール。
【請求項2】
前記上部プラテン(3)の前記付勢部(32)の底面には、前記ワイヤ(6)に対応して第1の位置決め長溝(33)が開設され、前記上ブロック(5)の頂面には、前記ワイヤ(6)に対応して第2の位置決め長溝(51)が開設され、前記第1の位置決め長溝(33)と前記第2の位置決め長溝(51)の層深さとの和が前記ワイヤ(6)の径方向寸法より小さく、前記ワイヤ(6)は、上部が前記第1の位置決め長溝(33)に嵌合され、下部が前記第2の位置決め長溝(51)に嵌合されることを特徴とする請求項1に記載の自己調整型静圧フラットレール。
【請求項3】
前記ワイヤ(6)の断面が円形であることを特徴とする請求項1に記載の自己調整型静圧フラットレール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、力学的環境試験設備に用いる静圧フラットレールに関し、特に、平面隙間を自己調整することが可能な水平振動試験の載置案内用静圧フラットレールに関する。
【背景技術】
【0002】
振動試験の目的は、実験室内で製品が輸送、保存、使用過程において受ける振動荷重およびそれによって試料への影響をシミュレーションし、その適応性を評価する。振動試験のうち、多くの試験は、水平スライドテーブルに合わせて振動台を用いて行われる必要がある。早期の水平振動試験では、水平スライドテーブルの載置表面として大理石または花崗岩を用い、圧油を水平スライドテーブルと大理石との間の潤滑媒体とすることがほとんどである。このような構造形式は、載置能力が小さく、耐転覆性が悪いため、比較的軽い負荷や軽量級の試験に適用される。しかし、重い負荷や重量級の振動試験が多くなるに伴い、早期の技術手法が新しい試験の技術的要求を満たすまでには至っていない。
【0003】
現在、力学的環境試験の要求が高まり、および試験条件や手段が絶えず更新されることに伴い、技術者は、静圧フラットレールを用いて水平スライドテーブルを支持し、静圧フラットレールの大きな載置力および高い耐転覆性のトルク能力により、大きい負荷および重量級の水平振動試験の載置案内作用を実現する。
【0004】
従来技術では、静圧フラットレールの構造は、図1のように、ベース1と、ベース1に設けられるスライダー2と、スライダー2の両側の肩部に対応して加締めされる上部プラテン3とを含み、スライダー2の肩部の上表面と上部プラテン3との間に剛性油膜層4が形成され、スライダー2の下表面とベース1との間にも剛性油膜層4が形成され、上部プラテン3がベース1に固着され、上部プラテン3とベース1との距離が一定であり、この距離とスライダー2の肩部の厚さとの差が油膜の嵌め合い隙間である。この油膜の嵌め合い隙間の大きさは、加工する際に予め形成されたものであり、一定となる。
【0005】
上述した従来の静圧フラットレールの欠点は以下の通りである。
1.剛性油膜層の隙間が一定であるため、振動の過程において、油膜も振動し、振動周波数の向上に伴い、油膜の剛性が徐々に低下する。言い換えれば、このような構造では、振動周波数が徐々に高くなることに伴い、ベアリングの載置能力が低くなり、ある周波数を超えると、油膜層が完全に剛性を失ってしまい、静圧フラットレールにドライ摩擦が生じ、設備が損傷してしまう。
2.従来の静圧フラットレールは、嵌め合い隙間によって油膜層の確保が行われる。つまり、この隙間の寸法が一致しなければならない。そのため、静圧フラットレールの部材への加工精度は強く要求される。隙間の寸法に高度差があれば、静圧フラットレールの剛性油膜層の圧力が迅速に失われ、油膜層の剛性が要求を満たすことができず、設備全体の機能に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、静圧フラットレールの上記問題を如何に解決するかは、当業者の課題となっている。
【0007】
本発明は、従来の静圧フラットレールの振動過程において振動周波数の向上に伴い油膜の剛性が徐々に低下するといった問題を解決し、静圧フラットレールの動作周波数範囲内の載置案内能力を最大限に確保することが可能な自己調整型静圧フラットレールを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る自己調整型静圧フラットレールは、ベースと、ベース上に設けられたスライダーと、スライダーの両側の肩部に対応して配置された上部プラテンとを含み、上部プラテンの外延のそれぞれがベースに当接することで支点が形成され、上部プラテンの内延を付勢部とし、付勢部とスライダーの肩部との間に上ブロックが設けられ、上ブロックの頂面と上部プラテンの付勢部の底面との間に、スライダーのスライド方向に沿って配置されたワイヤが埋設され、上部プラテンにプラーボルトが貫通して設けられてベースに固接され、プラーボルトは、上部プラテンの支点と付勢部との間に位置し、上ブロックの底面とスライダーの肩部の頂面との間には、圧油が注入されてスライダーの底面とベースとの間には、圧油が注入されて剛性油膜層が形成される。
【0009】
上記発明では、上部プラテンの付勢部の底面には、ワイヤに対応して第1の位置決め長溝が開設され、上ブロックの頂面には、ワイヤに対応して第2の位置決め長溝が開設され、第1の位置決め長溝と第2の位置決め長溝の層深さとの和がワイヤの径方向寸法より小さく、ワイヤは、上部が第1の位置決め長溝に嵌合され、下部が第2の位置決め長溝に嵌合される。
【0010】
上記発明では、ワイヤの断面が円形であることが好ましい。実際に、ワイヤは、矩形、五角形、六角形などの規則的な形状であってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の設計原理および効果は以下の通りである。
本発明によれば、上部プラテンは、集中負荷作用が加えられる両端支持ビーム構造に等価的になる。ここで、集中負荷は、プラーボルトのトルクに等しく、上部プラテンの外延がベースに支持され、内延の付勢部がワイヤに支持される。ワイヤはスプリングモデルと等価的であり、プラーボルトもスプリングモデルと等価的である。非動作状態のときに、スライダーとベースとの接触面およびスライダーと上ブロックとの接触面は、隙間なく直接接触される一方、動作のときに、スライダーとベースとの接触面の間およびスライダーと上ブロックとの接触面の間には、圧油が注入されて剛性油膜層が形成される。この剛性油膜層は、スプリングモデルと等価的であってもよく、支持力を生じるとともに、油膜隙間を生成する。プラーボルトのばね作用により、プラーボルトは、剛性油膜層から生じた力に引っ張られて微量の弾性変形を生じる。振動周波数が変化する時に、プラーボルトの弾性とワイヤの弾性との共同作用により、油膜隙間も変化することで、油膜層の剛性作用を常に維持することができる。即ち、静圧フラットレールの動作周波数範囲内の載置案内能力を確保することができる。また、本発明に係る静圧フラットレールの部材加工精度への要求が高くなく、容易に製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】従来の技術構造を示すスライダーのスライド方向に対して垂直な横方向断面模式図である。
図2】本発明の実施形態を示すスライダーのスライド方向に対して垂直な横方向断面模式図である。
図3】本発明の実施形態を示す斜視模式図であって、上部プラテンが図示されていない。
図4】本発明の実施形態を示すスライダーのスライド方向に対して垂直な横方向断面の構造を簡略化した等価的な原理図である。
図5】本発明の実施形態を示すスライダーのスライド方向に沿う縦方向断面の構造を簡略化した等価的な原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
(実施例)
図2図5に示すように、自己調整型静圧フラットレールは、ベース1と、ベース1上に設けられたスライダー2と、スライダー2の両側の肩部に対応して配置された上部プラテン3とを含む。
【0014】
具体的に、図2および図3に示すように、各前記上部プラテン3の外延がベース1に当接することで支点31が形成され、上部プラテン3の内延を付勢部32とする。当該付勢部32とスライダー2の肩部との間に上ブロック5が設けられ、当該上ブロック5の頂面と上部プラテン3の付勢部32の底面との間に、スライダー2のスライド方向に沿って配置されたワイヤ6が埋設される。
【0015】
具体的に、図2および図3に示すように、前記上部プラテン3に複数のプラーボルト7が貫通して設けられ(同図には、各上部プラテン3に3つのプラーボルト7が設けられるが、実際の数は限定されない)、ベース1に固接され、プラーボルト7は、上部プラテン3の前記支点31と付勢部32との間に位置している。動作のときに、上ブロック5の底面とスライダー2の肩部の頂面との間には、圧油が注入されて剛性油膜層4が形成され、スライダー2の底面とベース1との間には、圧油が注入されて剛性油膜層4が形成される。
【0016】
本実施形態は、構造を簡略化して図4および図5に示す構造に等価的になることができる。上部プラテン3は、集中負荷作用が加えられる両端支持ビーム構造に等価的になる。ここで、集中負荷は、プラーボルト7のトルクに等しく、上部プラテン3の外延がベース1に支持され、内延の付勢部がワイヤ6に支持される。ワイヤ6は、スプリングモデルと等価的である。プラーボルト7も、スプリングモデルと等価的である。非動作状態のときに、スライダー2とベース1との接触面およびスライダー2と上ブロック5との接触面は、隙間なく直接接触される一方、動作のときに、スライダー2とベース1との接触面の間およびスライダー2と上ブロック5との接触面の間には、圧油が注入されて剛性油膜層4が形成される。この剛性油膜層4も、スプリングモデルと等価的であり、支持力を生じるとともに、油膜隙間を生成する。プラーボルト7のばね作用により、プラーボルト7は、剛性油膜層から生じた力に引っ張られて微量の弾性変形を生じる。振動周波数が変化する時に、プラーボルト7の弾性とワイヤ6の弾性との共同作用により、油膜隙間も変化することで、油膜層の剛性作用を常に維持することができる。即ち、静圧フラットレールの動作周波数範囲内の載置案内能力を確保することができる。
【0017】
ワイヤ6の本発明における作用は、剛性油膜層4の隙間の均一性を確保することである。ワイヤ6自身は、スプリング構造と類似したものであるため、上部プラテン3と上ブロック5との間に無数なスプリングモデルと等価的である。図5に示すように、油膜隙間が製造、組立または使用過程において不均一になる場合には、プラーボルト7の弾性作用との相互作用により、油膜隙間の均一性を常に維持することができる。
【0018】
組立する際に、プラーボルト7の付与する必要なトルクは、必要な油膜隙間、油膜剛度、油膜から生じた力、および関連部材の材質の力学性能に基づいて算出することができる。
【0019】
ワイヤ6の位置決めとしては、上部プラテン3の付勢部32の底面にワイヤ6に対応して第1の位置決め長溝33が開設され、前記上ブロック5の頂面にワイヤ6に対応して第2の位置決め長溝51が開設され、第1の位置決め長溝33と第2の位置決め長溝51との層深さの和がワイヤ6の径方向寸法より小さく、前記ワイヤ6は、上部が第1の位置決め長溝33に嵌合され、下部が第2の位置決め長溝51に嵌合される。実際的には、第1の位置決め長溝33および第2の位置決め長溝51のうち1つを設けてもよい。
【0020】
ワイヤ6は、円形断面の鋼線であることが好ましい。実際的には、その他の規則的な断面を有するワイヤを用いても一定の効果を得ることができる。
【0021】
上述した本発明の好適な実施形態は、当業者にとって本発明の技術内容を説明するためのものであり、決して本発明を限定するものではない。本発明の内容に基づく如何なる変更や均等的な置換、潤色は、本発明の保護を求める範囲内に属するものである。
【符号の説明】
【0022】
1 ベース
2 スライダー
3 上部プラテン
31 支点
32 付勢部
33 第1の位置決め長溝
4 剛性油膜層
5 上ブロック
51 第2の位置決め長溝
6 ワイヤ
7 プラーボルト
図1
図2
図3
図4
図5