特許第6371029号(P6371029)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6371029
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】パター、およびグリップ
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/14 20150101AFI20180730BHJP
   A63B 53/04 20150101ALI20180730BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20180730BHJP
【FI】
   A63B53/14 E
   A63B53/04 H
   A63B102:32
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-522157(P2018-522157)
(86)(22)【出願日】2018年4月20日
(86)【国際出願番号】JP2018016300
【審査請求日】2018年4月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591200715
【氏名又は名称】加賀産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(72)【発明者】
【氏名】溝口 治
【審査官】 藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】 特表平11−509449(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0176234(US,A1)
【文献】 特開2003−275348(JP,A)
【文献】 実開平01−080166(JP,U)
【文献】 実開平03−031466(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3209720(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/00−53/14
A63B 60/06−60/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、
前記シャフトの一方端に設けられるヘッドと、
前記シャフトの他方端に設けられるグリップとを具備し、
前記グリップの側面は、1以上の平面を有し、
前記1以上の平面のうちの一の平面のみが、前記ヘッドのフェース面に対して予め決められた角度をなし、
前記グリップの底面には、前記他方端が挿入されるシャフト挿入孔が形成され、
前記一の平面が前記ヘッドのフェース面に対して予め決められた角度をなす状態で前記他方端が前記シャフト挿入孔に挿入されるように、前記シャフトと前記グリップとの間の軸周りの位置関係を規定するガイド機構をさらに具備し、
前記ガイド機構は、
前記シャフトの側面の前記他方端の近傍に表出された第一ガイド目印と、
前記他方端が前記シャフト挿入孔に挿入される際に前記第一ガイド目印と位置合わせされる第二ガイド目印であって、前記グリップの底面の、前記シャフト挿入孔の近傍もしくは当該シャフト挿入孔と当該グリップの側面との中間、または、前記グリップの側面の前記底面の近傍、に表出された第二ガイド目印とを有する、パター。
【請求項2】
前記グリップの側面は、一の平面のみを有し、
前記一の平面が、前記ヘッドのフェース面に対して予め決められた角度をなす請求項1記載のパター。
【請求項3】
前記一の平面は、硬質の素材である硬材で構成され、
前記一の平面を除いた部分は、軟質の素材である軟材で構成される請求項記載のパター。
【請求項4】
前記予め決められた角度は180度である請求項1から請求項いずれか一項に記載のパター。
【請求項5】
前記予め決められた角度は、135度、90度、45度、または0度のうちのいずれか1つである請求項1から請求項いずれか一項に記載のパター。
【請求項6】
前記ヘッドのフェース面は、前記シャフトの中心線を含む鉛直面に対して、当該鉛直面と直交する直線を前後方向としたときに、当該フェース面の右側の縁と左側の縁の前後方向の位置が相違し、上側の縁と下側の縁の前後方向の位置は一致するように、傾斜しており、
前記一の平面の法線ベクトルの、前記シャフトの中心線に垂直な方向の成分が、前記ヘッドのフェース面の法線ベクトルの、前記シャフトの中心線に垂直な方向の成分に対して予め決められた角度をなす請求項記載のパター。
【請求項7】
前記一の平面は、前記鉛直面に対して、前記ヘッドのフェース面の前記鉛直面に対する傾斜角と等しい角度だけ傾斜している請求項記載のパター。
【請求項8】
シャフトと、前記シャフトの一方端に設けられるヘッドとを具備するパターにおいて、前記シャフトの他方端に設けられるグリップであって、
前記グリップの側面は、1以上の平面を有し、
前記1以上の平面のうち一の平面のみが、前記ヘッドのフェース面に対して予め決められた角度をなし、
前記グリップの底面には、前記他方端が挿入されるシャフト挿入孔が形成され、
前記パターは、
前記一の平面が前記ヘッドのフェース面に対して予め決められた角度をなす状態で前記他方端が前記シャフト挿入孔に挿入されるように、前記シャフトと前記グリップとの間の軸周りの位置関係を規定するガイド機構を具備し、
前記ガイド機構は、
前記シャフトの側面の前記他方端の近傍に表出された第一ガイド目印と、
前記他方端が前記シャフト挿入孔に挿入される際に前記第一ガイド目印と位置合わせされる第二ガイド目印であって、前記グリップの底面の、前記シャフト挿入孔の近傍もしくは当該シャフト挿入孔と当該グリップの側面との中間、または、前記グリップの側面の前記底面の近傍、に表出された第二ガイド目印とを有するグリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフ用のパター等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、フェース面の向きの安定性が高く、状況の変化に対応させやすいパターが存在した(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−117333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、プレーヤーが把持しているグリップの感触でフェース面の向きを的確に知覚できるパターは存在しなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本第一の発明のパターは、シャフトと、シャフトの一方端に設けられるヘッドと、シャフトの他方端に設けられるグリップとを具備し、グリップの側面は、1以上の平面を有し、1以上の平面のうちの一の平面のみが、ヘッドのフェース面に対して予め決められた角度をなすパターである。
【0006】
かかる構成により、プレーヤーが把持しているグリップの感触でフェース面の向きを的確に知覚できるパターが実現される。その結果、例えば、プレーヤーは、フェース面を的確にカップに向けることができ、パッティングの精度が向上する。
【0007】
本第二の発明のパターは、第一の発明に対して、ヘッドのフェース面は、シャフトの中心線を含む鉛直面に対して傾斜しており、一の平面の法線ベクトルの、シャフトの中心線に垂直な方向の成分が、ヘッドのフェース面の法線ベクトルの、シャフトの中心線に垂直な方向の成分に対して予め決められた角度をなすパターである。
【0008】
なお、一の平面の法線ベクトルの、シャフトの中心線に垂直な方向の成分とは、当該法線ベクトルの、シャフトの中心線に垂直な平面への正射影ベクトルである、といってもよい。同様に、ヘッドのフェース面の法線ベクトルの、シャフトの中心線に垂直な方向の成分とは、当該法線ベクトルの、シャフトの中心線に垂直な平面に対する正射影ベクトルである、といってもよい。
【0009】
かかる構成により、ヘッドのフェース面がシャフトの中心線を含む鉛直面に対して傾斜しているパターであり、プレーヤーが把持しているグリップの感触で、フェース面の法線ベクトルの水平成分の向きを的確に知覚できるパターが実現される。
【0010】
本第三の発明のパターは、第二の発明に対して、一の平面は、鉛直面に対して、ヘッドのフェース面の鉛直面に対する傾斜角と等しい角度だけ傾斜しているパターである。
【0011】
かかる構成により、フェース面の法線ベクトルの鉛直成分に関するコントロール(例えば、グリーン周囲の長い芝に埋もれているボールを斜め上方にパッティングしたり、グリーン上のボールを水平にパッティングしたり、あるいは、プレーヤーの好みによる両者の使い分け等)が容易となり、パッティングの精度がさらに向上する。
【0012】
本第四の発明のパターは、第一から第三いずれか1つの発明に対して、一の平面がヘッドのフェース面に対して予め決められた角度をなすように、シャフトとグリップとの間の軸周りの位置関係を規定するガイド機構をさらに具備するパターである。
【0013】
かかる構成により、一の平面がフェース面に対して容易に予め決められた角度をなすようにすることができる。
【0014】
また、本第五の発明のパターは、第四の発明に対して、ガイド機構は、位置関係をシャフトとグリップの形状により規定する機構であるパターである。
【0015】
かかる構成により、位置関係を合わせやすいパターが実現される。
【0016】
また、本第六の発明のパターは、第四の発明に対して、ガイド機構は、位置関係をシャフトとグリップに表出された目印により規定する機構であるパターである。
【0017】
かかる構成により、製造が容易なパターが実現される。
【0018】
また、本第七の発明のパターは、第一から第六いずれか1つの発明に対して、グリップの側面は、一の平面のみを有し、一の平面が、ヘッドのフェース面に対して予め決められた角度をなすパターである。
【0019】
かかる構成により、プレーヤーが把持しているグリップの一の平面の向きからフェース面の向きを的確に知覚できるパターが実現される。
【0020】
なお、本第七の発明において、グリップの側面のうち、一の平面を除いた部分は、全て曲面であってもよい。
【0021】
かかる構成により、プレーヤーが、把持しているグリップの感触でフェース面の向きを的確に知覚でき、かつ、把持しやすいパターが実現される。
【0022】
また、本第八の発明のパターは、第七の発明に対して、一の平面は、硬質の素材である硬材で構成され、一の平面を除いた部分は、軟質の素材である軟材で構成されるパターである。
【0023】
かかる構成により、フェース面の向きをより的確に知覚でき、かつ、より把持しやすいパターが実現される。
【0024】
また、本第九の発明のパターは、第一から第八いずれか1つの発明に対して、予め決められた角度は180度であるパターである。
【0025】
かかる構成により、一の平面がフェース面と平行なので、プレーヤーが把持しているグリップの一の平面の向きからフェース面の向きを的確に知覚できるパターが実現される。
【0026】
また、本第十の発明のパターは、第一から第八いずれか1つの発明に対して、予め決められた角度は、135度、90度、45度、または0度のうちのいずれか1つであるパターである。
【0027】
かかる構成により、一の平面がフェース面に対して、135度、90度、45度、または0度のうちのいずれか1つの角度をなすので、プレーヤーが把持しているグリップの一の平面の向きからフェース面の向きを、プレーヤーごとの把持の仕方によらず的確に知覚できるパターが実現される。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、プレーヤーが把持しているグリップの感触でフェース面の向きを的確に知覚できるパターが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】実施の形態におけるパターの外観図
図2】同ガイド機構の一例を示す図
図3】同ガイド機構の他の例を示す図
図4】同ガイド機構のその他の例を示す図
図5】同パターをグリップエンドの上方から見下ろした図
図6】同フェース面と一の平面との関係の一例を示す図
図7】同フェース面と一の平面との関係の他の例を示す図
図8】同フェース面と一の平面との関係のその他の例を示す図
図9】同フェース面と一の平面との関係のさらにその他の例を示す図
図10】同フェース面と一の平面との関係の他の例を示す図
図11】変形例1におけるフェース面と一の平面および第二の平面との関係の一例を示す図
図12】変形例2におけるパターをグリップエンドの上方から見下ろした図
図13】変形例2におけるフェース面と、一の平面、第二の平面、および第三の平面との関係の一例を示す図
図14】シャフトの中心線を含む鉛直面に対する、フェース面の傾斜角と、一の平面の傾斜角との関係を示す図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、パター等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
【0031】
図1は、本実施の形態におけるパター1の外観図である。パター1は、シャフト11、シャフト11の一方端に設けられるヘッド12、およびシャフト11の他方端に設けられるグリップ13を備える。
【0032】
シャフト11は、例えば、鉄などの金属、炭素繊維等で構成されるが、その素材は問わない。ヘッド12は、例えば、鉄やチタンなどの金属で構成されるが、その素材は問わない。
【0033】
グリップ13は、例えば、ABS樹脂やメラミン樹脂等の樹脂、金属など、その側面等に高い精度の平面を形成し得る素材であり、擦り減り難い硬質の素材(以下、硬材と記す場合がある)で構成されることは好適である。ただし、グリップ13は、ゴムやエストラマ等の、硬材よりも柔らかく、手で把持し易い軟質の素材(軟材)で構成されてもよく、その素材は問わない。なお、手で把持し易いことは、例えば、グリップ13が、手の形状や握力に応じて変形することにより、手に馴染むことであるが、汗や雨等で滑り難いことでもよい。
【0034】
なお、グリップ13は、例えば、硬材または軟材で形成された既存のグリップを削り加工することにより製造される。削り加工する際、グリップ13の側面132に、後述するヘッド12のフェース面121に対して予め決められた角度をなすような一の平面1321を形成する。これによって、プレーヤーが把持している手の感触でフェース面121の向きを的確に知覚できるグリップ13が実現される。
【0035】
または、グリップ13は、硬材と軟材とを組み合わせて構成されてもよい。例えば、後述する一の平面1321を硬材で構成し、それ以外の部分を軟材で構成することは好適である。この種のグリップ13は、例えば、軟材で形成された既存のグリップに対し、硬材で形成されたプレートなどの材料を接着剤やねじ等で取り付け、当該材料を平面加工することにより製造される。または、既存のグリップの表面を部分的に掘り込み加工して、その窪みに材料を埋め込み、当該材料を平面加工してもよく、この種のグリップ13の製造方法は問わない。取り付けた又は埋め込んだ材料を平面加工する際にも、フェース面121に対して予め決められた角度をなすような一の平面1321を形成することは好適である。それによって、高精度で耐摩耗性に優れた一の平面1321を有し、かつ手で把持し易いグリップ13が実現される。
【0036】
ヘッド12は、例えば、ネック122を介して、シャフト11の一方端に固着される。ただし、ヘッド12とシャフト11の一方端との結合方法は問わない。
【0037】
グリップ13の底面131は、例えば、円形である。グリップ13の底面131には、シャフト挿入孔1311が形成されている。なお、本実施の形態では、図1等に示されるように、パター1のヘッド12側を下、グリップ13側を上としているが、上下関係は逆でもよい。従って、例えば、底面131は、上面131と考えてもよい。
【0038】
グリップ13とシャフト11とを結合する際に、例えば、グリップ13は加熱されてもよい。シャフト11の他方端が、この加熱されたグリップ13のシャフト挿入孔1311に挿入される。時間が経過すると、グリップ13は、その素材が有する熱的な性質(例えば、樹脂が有する熱可塑性または熱硬化性、金属が有する熱膨張性等)により、シャフト11の他方端と着脱困難に結合される。
【0039】
なお、着脱可能なグリップ13を実現する場合は、例えば、ABS樹脂やポリカーボネート等の、硬度が高く、耐摩耗性にも優れた熱可塑性樹脂を用いることは好適である。熱可塑性樹脂で構成されたグリップ13は、加熱されることで軟化し、シャフト11に対する装着が容易に行える。また、軟化した状態でシャフト11に装着されたグリップ13は、温度が下がると再び硬化し、シャフト11に対して強固に結合される。ただし、グリップ13とシャフト11の他方端とは、例えば、接着剤で接着されてもよく、その結合方法は問わない。
【0040】
ヘッド12は、フェース面121を有する。フェース面121は、ゴルフボールと接触する面であり、通常、平面である。
【0041】
グリップ13の底面131は、例えば、卵形である。または、底面131は、卵形から、曲率が小さい方の端部(つまり、後端側の一部分:以下、後端部と記す場合がある)を切り取ったような形状でもよい。ただし、底面131は、楕円形や円形などでもよいし、楕円形等の一部分を切り取ったような形状でもよく、左右対称(線対称ともいう)であれば、その形状は問わない。
【0042】
グリップ13の側面132は、プレーヤーの両手によって把持される面である。グリップ13の側面132は、本実施の形態では、通常、一の平面1321のみを有する。なお、一の平面1321のみを有することは、グリップ13の側面132のうち、当該一の平面1321を除いた部分は、全て曲面であり、グリップ13の側面132は、当該一の平面1321以外の平面を有さないことを意味する。また、全て曲面であることは、例えば、総じて曲面であり、局所的に平面が存在する場合も含む。グリップ13の側面132のうち、当該一の平面1321を除いた部分は、例えば、円柱の側面の一部または円錐台の側面の一部の形状を有する。ただし、ここでいう円柱や円錐台は、完全な回転体でなくてもよく、例えば、一の方向に傾いたり反りを有したりしていても構わない。
【0043】
言い換えると、グリップ13の横断面は、卵形から後端部を直線で切り取った形状(例えば、図6等に参照番号13で示されている網掛け部分のような形状)である。ただし、グリップ13の横断面は、円形または楕円形から一部を直線で切り取った形状でもよく、一部が直線であり、かつ左右対称であれば、どのような形状でもよい。
【0044】
具体的には、グリップ13は、例えば、上面133が卵形であり、底底面131が円形であり、その間の横断面は、卵形から後端部を直線で切り取った形状である。ただし、上面133、底面131、およびその間の横断面の全てが、例えば、卵形から後端部を直線で切り取った形状でもよいし、円形または楕円形から後端部を直線で切り取った形状でも構わない。
【0045】
グリップ13の側面が有する一の平面1321の、シャフト11の方向(軸方向ともいう)の長さは、例えば、グリップ13の長さよりも短い(従って、グリップ13の先端近傍または後端近傍のうち1以上は、平面の部分がなく、全て曲面である)。ただし、一の平面1321は、グリップ13の先端から後端にまで達していても構わない。
【0046】
ただし、グリップ13の側面132は、一の平面1321に加えて、1または2以上の他の平面(第二の平面1322、第三の平面1323等)を、さらに有していてもよい。かかる変形例については後述する。
【0047】
なお、パター1を構成するシャフト11、ヘッド12、およびグリップ13の各々は、公益財団法人日本ゴルフ協会等が定めるゴルフ規則に準拠するものであれば、どのような形態を有していてもよい。
【0048】
本実施の形態のパター1の主要な特徴は、グリップ13の側面132が有する一の平面1321が、ヘッド12のフェース面121に対して、予め決められた角度をなしている点である。なお、かかる事項は、後述する変形例にも共通する。また、以下で説明する各事項も、基本的には、変形例にも当てはまる。
【0049】
本実施形態でいう角度とは、通常、グリップ13の側面132が有する1以上の各平面(例えば、一の平面1321等)の法線ベクトルが、同じく平面であるフェース面121の法線ベクトルに対してなす角度である。以下では、かかる角度を「2平面の法線ベクトル間の角度」と呼ぶ場合がある。
【0050】
なお、パター1において、ヘッド12のフェース面121は、例えば、後述する図14に示すように、シャフト11の中心線を含む鉛直面に対して傾斜していてもよい。このような、フェース面121の鉛直面に対する傾斜角(ロフト角ともいう。例えば、2度〜4度)は、例えば、グリーン周囲の長い芝に埋もれているボールを、斜め上方にパッティングするのに役立つ。また、こうしてボールに鉛直上向きの速度成分を与えることで、ボールと芝との間の摩擦が軽減される結果、ボールの軌道が安定する。
【0051】
この種のパター1においては、一の平面1321の法線ベクトルn1の、シャフト11の中心線に垂直な方向の成分が、ヘッド12のフェース面121の、シャフト11の中心線に垂直な方向の成分に対して、予め決められた角度をなす。
【0052】
または、角度は、例えば、グリップ13の側面132が有する1以上の各平面(例えば、一の平面1321等)の法線ベクトルの、シャフト11の中心線に対して垂直な方向の成分(例えば、シャフト11の中心線が鉛直方向である場合における水平方向の成分:以下、水平成分と記す場合がある)が、同じく平面であるフェース面121の法線ベクトルの、シャフト11の中心線に対して垂直な方向の成分(水平成分)に対してなす角度である、といってもよい。 ただし、例えば、一の平面1321およびフェース面121の各々がシャフト11の中心線を含む鉛直面に対して平行である場合には、角度は、一の平面1321とフェース面121とがなす角度でもよく、その表現形式は問わない。以下では、かかる角度を「2平面間の角度」と呼ぶ場合がある。
【0053】
パター1は、例えば、ガイド機構を有する。ガイド機構とは、一の平面1321がフェース面121に対して「予め決められた角度」をなすように、シャフト11とグリップ13との間の軸周りの位置関係を規定する機構である。なお、予め決められた角度の具体的な値については後述する。
【0054】
ガイド機構は、例えば、シャフト11とグリップ13の形状によって、上記のような位置関係を規定する機構(以下、形状によるガイド機構)である。形状によるガイド機構は、例えば、シャフト11とグリップ13の、互いに係合する2つの部位で構成される。なお、係合することは、2つの部位の形状が合うことであるといってもよい。2つの部位は、例えば、一対のガイド面でもよいし、凹部および凸部の組でもよい。
【0055】
形状によるガイド機構の一種であり、一対のガイド面で構成されたガイド機構の一例を図2に示す。このガイド機構は、シャフト11側のガイド面111と、これに係合する、グリップ13側のガイド面1311aとで構成される。
【0056】
詳しくは、シャフト11の側面は、その他方端から軸方向に伸びる第一ガイド面111を有する。第一ガイド面111は、例えば、平面であるが、シャフト11の側面に対して軸周りの曲率が異なる曲面でもよい。また、第一ガイド面111には、軸方向に伸びる1または2以上の線条(第一線条群:図示しない)が形成されていてもよい。
【0057】
ヘッド12は、例えば、そのフェース面121が、シャフト11の第一ガイド面111に対して上記予め決められた角度をなすように、シャフト11の一方端に固着される。ただし、フェース面121が第一ガイド面111に対してなす角度は、必ずしも上記の予め決められた角度でなくてもよい。
【0058】
他方、グリップ13の底面131側に形成されたシャフト挿入孔1311の内側面は、一の平面1321に対して上記予め決められた角度をなす第二ガイド面1311aを有する。ただし、第二ガイド面1311aが一の平面1321に対してなす角度は、上記予め決められた角度でなくてもよく、フェース面121が第一ガイド面111に対してなす角度と同じ角度であればよい。
【0059】
第二ガイド面1311aもまた、例えば、平面であるが、第一ガイド面111と軸周りの曲率が同じ曲面でもよい。また、第二ガイド面1311aには、第一ガイド面111側の上記第一線条群と係合する1または2以上の線条(第二線条群:図示しない)が形成されていてもよい。なお、ここでいう係合は、第一ガイド面111に形成された第一線条群の凹凸と、第二ガイド面1311aに形成された第二線条群の凹凸とが嵌り合うこと(嵌合)である。こうして第一線条群と第二線条群とが嵌合することで、第一ガイド面111と第二ガイド面1311aとは、着脱困難に係合(接合)する。つまり、係合は、凹部および凸部の嵌合や、面同士の接合などを含み、広く解する。
【0060】
なお、第一ガイド面111の幅は、例えば、シャフトの直径の半分であるが、3分の1でも、3分の2でもよく、その大小は問わない。また、第一ガイド面111の長さは、例えば、グリップ13の長さと同じであるが、半分でも、1.5倍でもよく、その長短も問わない。
【0061】
また、第二ガイド面1311aの幅および長さは、例えば、第一ガイド面111の幅および長さと同じである又はこれより僅かに大きい。ただし、第一ガイド面111の長さは、第二ガイド面1311aの長さよりも長くてもよい。さらに、かかる一対のガイド面の形状も、互いに係合し得る形状であれば、どのような形状でもよい。
【0062】
さらに、通常、第二ガイド面1311aは、その全部が、第一ガイド面111と係合する一方、第一ガイド面111には、第二ガイド面1311aと係合しない部分があってもよい。
【0063】
そして、第一ガイド面111を有するシャフト11の他方端が、第二ガイド面1311aを有するシャフト挿入孔1311に、当該第一ガイド面111と当該第二ガイド面1311aとが係合するように挿入されると、一の平面1321は、フェース面121に対して、上記予め決められた角度をなす結果となる。
【0064】
形状によるガイド機構の他の一種であり、凹部および凸部で構成されたガイド機構の一例を図3に示す。このガイド機構は、シャフト11の他方端に形成されたガイド凹部112と、グリップ13のシャフト挿入孔1311の内側面に形成され、当該ガイド凹部112と嵌合するガイド凸部1311bとで構成される。なお、シャフト11側に凸部が形成され、グリップ13側に凹部が形成されても構わない。また、凹部および凸部は、図3では三角形であるが、例えば、矩形や半円形等でもよく、その形状は問わない。さらに、凹部および凸部の位置は、図2に示した一対のガイド面の位置と同じでよい。
【0065】
または、ガイド機構は、前述したような位置関係を、シャフト11とグリップ13に表出された目印により規定する機構であってもよい。なお、表出は、例えば、レーザによる刻印、インクによる印刷等であるが、その手法は問わない。また、目印は、例えば、三角形、丸印、線分等の図形であるが、角度を示す文字や記号を含んでもよく、その態様は問わない。
【0066】
目印によるガイド機構の一例を図4に示す。このガイド機構は、シャフト11の側面の、他方端の近傍に表出された第一ガイド目印113と、グリップ13の底面131の、シャフト挿入孔1311の近傍に表出された第二ガイド目印1311cとの、一対の目印で構成される。
【0067】
なお、第二ガイド目印1311cは、例えば、グリップ13の底面131の、側面132の近傍に表出されてもよいし、シャフト挿入孔1311と側面132との中間に表出されてもよく、その径方向の位置は問わない。または、第二ガイド目印1311cは、例えば、グリップ13の側面132の、底面131の近傍に表出されてもよく、その軸方向の位置も問わない。
【0068】
また、一対の目印の軸周りの位置は、図2に示した一対のガイド面の軸周りの位置、または図3に示した凹部および凸部の軸周りの位置と同じでよい。
【0069】
パター1では、図2図4に示したようなガイド機構によって、一の平面1321がフェース面121に対して容易に予め決められた角度をなすので、プレーヤーは、シャフト11とグリップ13と間の軸周りの位置関係を特に意識しなくても、一の平面1321がフェース面121に対して予め決められた角度をなすように、グリップ13をシャフトに装着することできる。従って、グリップ13を容易に交換できるパター1が実現される。
【0070】
ただし、上記のようなガイド機構は必須ではなく、例えば、パター1を製造する製造者が、専用の装着器具を用いて、シャフト11とグリップ13と間の軸周りの位置関係を、一の平面1321がフェース面121に対して予め決められた角度をなすように予め調節した状態で、シャフト11の他方端をグリップ13のシャフト挿入孔1311に着脱困難に結合または固着してもよい。
【0071】
または、パター1は、上記のようなガイド機構を、2以上、有していてもよい。このように、一の平面1321がフェース面121に対して予め決められた角度をなすようにするための手法は問わない。
【0072】
図5は、パター1を、グリップ13の上面133(つまり、グリップエンド)の上方から見下ろした図である。なお、図示されている上面133は、前述したような横断面でもよい。プレーヤーが、グリップ13を両手で把持し、ヘッド12のフェース面121がゴルフボールの右側と接するように構えたとき、パター1は、図5に示すような姿勢となる。
【0073】
なお、かかる姿勢で、一の平面1321には、例えば、プレーヤーの右手人差し指が当接してもよい。
【0074】
図5の姿勢において、ヘッド12のフェース面121の法線ベクトルn0と、グリップ13の側面132が有する一の平面1321の法線ベクトルn1とは、例えば、図6に示すような関係となる。図6において、フェース面121の法線ベクトルn0は、左を向いており、一の平面1321の法線ベクトルn1は、右を向いていることから、一の平面1321のフェース面121に対する角度は、180度である。なお、角度が180度であることは、一の平面1321の法線ベクトルn1が、ヘッド12のフェース面121の法線ベクトルn0に対して、180度の角度をなしていることを意味する。
【0075】
ただし、180度は、2平面間の角度としては、0度または平行と同等である。すなわち、一の平面1321は、ヘッド12のフェース面121に対して0度である、といってもよい。または、一の平面1321は、ヘッド12のフェース面121に対して平行である、ということもできる。
【0076】
なお、予め決められた角度が180度である場合において、一の平面1321は、通常、フェース面121の裏側に存在する。裏側とは、フェース面121の、ゴルフボールが接触する側とは反対側である。裏側に存在することは、例えば、図6に示すように、一の平面1321とフェース面121とが、同一平面内に存在する場合も含むと考えてもよい。ただし、一の平面1321は、フェース面121の側に存在してもよく、一の平面1321とフェース面121との位置関係は問わない。
【0077】
または、予め決められた角度は、図7に示すように、135度でもよい。すなわち、一の平面1321は、ヘッド12のフェース面121に対して、135度であってもよい。なお、135度とは、一の平面1321の法線ベクトルn1がフェース面121の法線ベクトルn0に対して135度であることを意味する。ただし、135度は、2平面間の角度としては、45度と同等である。すなわち、一の平面1321は、フェース面121に対して45度である、といってもよい。
【0078】
または、予め決められた角度は、図8に示すように、90度でもよい。すなわち、一の平面1321は、ヘッド12のフェース面121に対して、90度であってもよい。なお、90度とは、一の平面1321の法線ベクトルn1がフェース面121の法線ベクトルn0に対して90度であることを意味する。ただし、90度は、2平面間の角度としては、垂直と同等である。すなわち、一の平面1321は、フェース面121に対して垂直である、といってもよい。
【0079】
または、予め決められた角度は、図9に示すように、45度でもよい。すなわち、一の平面1321は、ヘッド12のフェース面121に対して、45度であってもよい。なお、45度とは、一の平面1321の法線ベクトルn1がフェース面121の法線ベクトルn0に対して45度であることを意味する。ただし、45度は、2平面間の角度としては、135度と同等である。すなわち、一の平面1321は、フェース面121に対して135度である、といってもよい。
【0080】
または、予め決められた角度は、図10に示すように、0度でもよい。すなわち、一の平面1321は、ヘッド12のフェース面121に対して、0度であってもよい。なお、0度とは、一の平面1321の法線ベクトルn1がフェース面121の法線ベクトルn0に対して0度であることを意味する。ただし、0度は、2平面間の角度としては、平行と同等である。すなわち、一の平面1321は、フェース面121に対して平行である、といってもよい。
【0081】
なお、予め決められた角度が0度の場合において、一の平面1321は、通常、フェース面121の側に存在する。ただし、一の平面1321は、フェース面121の裏側に存在してもよく、一の平面1321とフェース面121との位置関係は問わない。
【0082】
なお、以上では、グリップ13の側面132が一の平面1321のみを有する場合について説明したが、グリップ13の側面132は、2以上の平面(例えば、一の平面1321、第二の平面1322、第三の平面1323等)を有していてもよい。
【0083】
かかる場合、グリップ13の側面132の2以上の平面(1321〜1323等)のうち一の平面1321のみが、ヘッド12のフェース面121に対して、前述したような予め決められた角度(例えば、180度、135度、90度、45度、または0度のうちいずれか)をなしていればよく、他の1以上の各平面(1322,1323等)は、通常、ヘッド12のフェース面121に対して、当該予め決められた角度と異なる角度(例えば、予め決められた角度が180度の場合は、45度、60度、30度等)をなす。
【0084】
ただし、例えば、グリップ13の側面132が2つの平面(一の平面1321および第二の平面1322)のみを有する場合は、ゴルフ規則に定められている「パターのグリップは、その横断面が左右対称でなければならない」という旨の条件を満たすために、一の平面1321の法線ベクトルn1と、第二の平面1322の法線ベクトルn2とは、反対方向を向いている必要がある。
【0085】
(変形例1a)
具体的には、例えば、図11に示すように、一の平面1321の法線ベクトルn1がフェース面121の法線ベクトルn0に対してなす角度(これをθ1とする)が180度であり、かつ、第二の平面1322の法線ベクトルn2がフェース面121の法線ベクトルn0に対してなす角度(これをθ2とする)0度であってもよい。
【0086】
(変形例1b)
または、角度θ1が135度であり、かつ角度θ2が45度でもよい。
【0087】
(変形例1c)
または、角度θ1が90度であり、かつ角度θ2が−90度でもよい。
【0088】
なお、以上では特に言及しなかったが、フェース面121の法線ベクトルn0に対する一の平面1321等の角度は、反時計回りを正(通常、符号なしであるが、符号“+”付きでもよい)で表現し、時計回りを負(符号“−”付き)で表現している。
【0089】
(変形例1d)
または、角度θ1が45度であり、かつ角度θ2が−135度でもよい。
【0090】
(変形例1e)
または、角度θ1が0度であり、かつ角度θ2が−180度でもよい。
【0091】
なお、上記変形例1a〜1eは、例えば、「シャフト11と、シャフト11の一方端に設けられるヘッド12と、シャフト11の他方端に設けられるグリップ13とを具備し、グリップ13の側面132は、一の平面1321、およびこれと平行な第二の平面1322を有し、一の平面1321および第二の平面1322が、ヘッド12のフェース面121に対して予め決められた角度(例えば、180度、135度、90度、45度、0度)をなすパター1A」と定義してもよい。
【0092】
ただし、上記変形例1a〜1eのうち1または2以上は、本実施の形態から排除されてもよい。
【0093】
以下には、図5および図6に示したパター1を基本とする別の変形例2として、グリップ13の側面132が、上記一の平面1321と、他の2つの平面(第二の平面1322および第三の平面1323)との、3平面を有するパター1Bについて説明する。
【0094】
(変形例2)
図12は、変形例2におけるパター1Bを、図5の場合と同様に、グリップエンドの上方から見下ろした図である。なお、図示されたグリップエンドは、グリップ13の上面133とは限らず、その横断面でもよい。パター1Bは、シャフト11、シャフト11の一方端に設けられるヘッド12、およびシャフト11の他方端に設けられるグリップ13を備える。グリップ13の側面132は、一の平面1321、第二の平面1322、および第三の平面1323を有する。
【0095】
図12の姿勢において、一の平面1321の法線ベクトルn1と、フェース面121の法線ベクトルn0との間の角度(これをθ0とする)は、例えば、図13に示すように、180度である。また、第二の平面1322の法線ベクトルn2と、フェース面121の法線ベクトルn0との間の角度(これをθ1とする)は、例えば、−45度であり、さらに、第三の平面1323の法線ベクトルn3と、フェース面121の法線ベクトルn0との間の角度(これをθ2とする)は、例えば、45度である。
【0096】
なお、かかる姿勢で、例えば、一の平面1321には、プレーヤーの右手人差し指が当接し、第二の平面1322には、プレーヤーの左手親指が当接し、第三の平面1323には、プレーヤーの左手人差し指が当接してもよい。
【0097】
なお、上記3つの角度の組(θ1,θ2,θ3)は、(180度,−45度,45度)に限らず、例えば、(180度,−60度,60度)でもよし、(180度,−30度,30度)でもよい。
【0098】
または、3つの角度の組(θ1,θ2,θ3)は、(135度,−90度,0度)でもよいし、(135度,−105度,15度)でもよいし、(135度,−75度,−15度)でも構わない。
【0099】
または、3つの角度の組(θ1,θ2,θ3)は、(135度,−90度,0度)でもよいし、(135度,−105度,15度)でもよいし、(135度,−75度,−15度)でも構わない。
【0100】
なお、変形例2では、グリップ13の側面132が、一の平面1321、第二の平面1322、および第三の平面1323の3平面を有するパター1Bについて説明したが、グリップ13の側面132は、例えば、「グリップの横断面は左右対称であること」等のゴルフ規則に準拠するものであれば、4平面以上を有していてもよく、その平面の数は問わない。
【0101】
ただし、変形例2の全部または一部は、本実施の形態から排除されてもよい。
【0102】
なお、本実施の形態では、右利き用のパターについて説明したが、左手等の「左」を「右」と読み替え、右手等の「右」を「左」と読み替え、図面の左右を反転することで、左利き用のパターにも適用できる。
【0103】
以上、本実施の形態によれば、シャフト11と、シャフト11の一方端に設けられるヘッド12と、シャフト11の他方端に設けられるグリップ13とを具備し、グリップ13の側面132は、1以上の平面(1321,1322,1323等)を有し、1以上の平面のうちの一の平面1321のみが、ヘッド12のフェース面121に対して予め決められた角度をなすパター(1,1A,1B)により、プレーヤーは、把持しているグリップ13の感触でフェース面121の向きを的確に知覚できる。その結果、プレーヤーは、例えば、フェース面121を的確にカップに向けることが可能となり、パッティングの精度が向上する。
【0104】
また、上記パター1において、ヘッド12のフェース面121は、シャフト11の中心線を含む鉛直面に対して傾斜しており、一の平面1321の法線ベクトルの、シャフト11の中心線に垂直な方向の成分(つまり、当該法線ベクトルの、シャフトの中心線に垂直な平面への正射影ベクトル)が、ヘッド12のフェース面121の法線ベクトルの、シャフト11の中心線に垂直な方向の成分(同様に、当該法線ベクトルの、シャフトの中心線に垂直な平面への正射影ベクトル)に対して、予め決められた角度をなすことにより、プレーヤーは、把持しているグリップ13の感触で、フェース面121の法線ベクトルの水平成分の向きを的確に知覚できる。この種のパター1の一例を、図14に示す。
【0105】
図14には、フェース面121の法線ベクトルn0と、一の平面1321の法線ベクトルn1とが、図6に示したような関係を有するパター1に関し、シャフト11の中心線を含む鉛直面に対する、フェース面121の傾斜角φ1と、一の平面1321の傾斜角φ2との関係の一例として、傾斜角φ1と傾斜角φ2とが等しい場合が示されている。なお、傾斜角φ1と傾斜角φ2とが等しい場合とは、等しいと見なし得るほど近い角度である場合も含んでもよく、広く解し得る。また、傾斜角φ1および傾斜角φ2は、例えば、2度〜4度であるが、これに限らない。さらに、かかる事項は、図7図13に示したパター1に関しても当てはまる。
【0106】
このようなパター1により、フェース面121の法線ベクトルの鉛直成分に関するコントロール(例えば、グリーン周囲の長い芝に埋もれているボールを斜め上方にパッティングしたり、グリーン上のボールを水平にパッティングしたり、あるいは、プレーヤーの好みによる両者の使い分け等)が容易となり、パッティングの精度がさらに向上する。
【0107】
また、パター1等は、一の平面1321がヘッド12のフェース面121に対して予め決められた角度をなすように、シャフト11とグリップ13との間の軸周りの位置関係を規定するガイド機構(111および1311a、112および1311b、113および1311c)をさらに具備することにより、一の平面1321がフェース面121に対して容易に予め決められた角度をなすようにすることができる。
【0108】
また、ガイド機構(111および1311a、112および1311b)は、上記のような位置関係を、シャフト11とグリップ13の形状により規定する機構であることにより、位置関係を合わせやすいパター1が実現される。
【0109】
または、ガイド機構(113および1311c)は、上記のような位置関係を、シャフト11とグリップ13に表出された目印により規定する機構であることにより、製造が容易なパター1が実現される。
【0110】
また、上記のようなパターであって、グリップ13の側面132は、一の平面1321のみを有し、一の平面1321が、ヘッド12のフェース面121に対して予め決められた角度をなすパター1により、プレーヤーは、把持しているグリップ13の一の平面の向きからフェース面121の向きを的確に知覚できる。
【0111】
また、上記のようなパターであって、一の平面1321の、シャフト11の方向の長さは、グリップ13の長さよりも短いパター(1,1A,1B)により、プレーヤーが、把持しているグリップの感触でフェース面の向きを的確に知覚でき、かつ、把持しやすいパターが実現される。
【0112】
また、上記のようなパターであって、グリップ13の側面132のうち、一の平面1321を除いた部分は、全て曲面であるパター1により、プレーヤーが、把持しているグリップの感触でフェース面の向きを的確に知覚でき、かつ、把持しやすいパターが実現される。
【0113】
また、一の平面1321は硬材で構成され、一の平面1321を除いた部分は軟材で構成されることにより、フェース面121の向きをより的確に知覚でき、かつ、より把持しやすいパター1が実現される。
【0114】
また、上記のようなパターであって、予め決められた角度が180度であるパター(1,1A,1B)により、一の平面1321がフェース面121と平行なので、プレーヤーは、グリップ13の一の平面1321の向きからフェース面121の向きを的確に知覚できる。
【0115】
また、上記のようなパターであって、予め決められた角度が、135度、90度、45度、または0度のうちのいずれか1つの角度であるパター(1,1A,1B)により、プレーヤーは、把持しているグリップ13の一の平面1321の向きから、フェース面121の向きを、プレーヤーごとの把持の仕方によらず的確に知覚できるパターが実現される。
【0116】
さらに、シャフト11と、シャフト11の一方端に設けられるヘッド12とを具備するパター(1,1A,1B)において、シャフト11の他方端に設けられるグリップ13であって、その側面132は、1以上の平面(1321,1322,1323等)を有し、1以上の平面のうち一の平面1321のみが、ヘッド12のフェース面121に対して予め決められた角度をなすグリップ13により、プレーヤーは、その把持している感触でフェース面121の向きを的確に知覚できる、パター用のグリップが実現される。
【0117】
以上の実施の形態では、シャフト11とは別部品のグリップ13を具備しているパター1について記載しているが、グリップ13が必ずしも別部品で形成されている必然性は無く、そのようなパターにおいては、シャフト11の内、プレーヤーが把持している周辺をグリップ13として解釈すべきである。
【0118】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0119】
以上のように、本発明にかかるパターは、プレーヤーが把持しているグリップの感触でフェース面の向きを的確に知覚できるという効果を有し、パター等として有用である。
【要約】
【課題】従来、グリップの感触でフェース面の向きを的確に知覚できるパターは存在しなかった。
【解決手段】シャフトと、シャフトの一方端に設けられるヘッドと、シャフトの他方端に設けられるグリップとを具備し、グリップの側面は、1以上の平面を有し、1以上の平面のうちの一の平面のみが、ヘッドのフェース面に対して予め決められた角度をなすパターにより、プレーヤーが把持しているグリップの感触でフェース面の向きを的確に知覚できるパターが実現される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14