(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記組成物が、全身投与量の前記第1のアジュバントおよび/または第2のアジュバントを含み、ここで任意に前記全身投与量が、(a)TNF−α、IL−6および/またはIL−12、または(b)IFN−γ、IL−12および/またはIL−18の全身での放出につながる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
前記第1のアジュバントおよび/または第2のアジュバントが、鉱物塩、ゲルタイプのアジュバント、微生物アジュバント、オイルエマルションまたは乳化剤ベースのアジュバント、粒子状アジュバント、合成アジュバント、ホスフェートアジュバント、ポリマー、リポソーム、マイクロキャリア、免疫刺激性核酸、ミョウバン、サポニン、インターロイキン、インターフェロン、サイトカイン、toll様受容体(TLR)アゴニスト、イミダゾキノリン、サイトカイン受容体アゴニスト、CD40アゴニスト、Fc受容体アゴニスト、補体受容体アゴニスト、QS21(登録商標)、ビタミンE、スクアレン、トコフェロール、Quil A(登録商標)、ISCOMs(登録商標)、ISCOMATRIX(登録商標)、Ribi Detox(登録商標)、CRL−1005(登録商標)、L−121(登録商標)、テトラクロロデカオキシド、ミョウバン、MF59(登録商標)、AS02(登録商標)、AS15(登録商標)、コレラ毒素、モノホスホリルリピドA、フロイント不完全アジュバント、フロイント完全アジュバント、ムラミルジペプチドまたはmontanide(登録商標)を含み、ここで任意に、(a)前記免疫刺激性核酸がCpG含有核酸を含む場合、前記第2のアジュバントはイミダゾキノリンまたはミョウバンを含む、または(b)前記イミダゾキノリンがレシキモドまたはイミキモドを含む、または(c)前記第1のアジュバントおよび/または前記第2のアジュバントがミョウバンを含む場合、前記第2のアジュバントはイミダゾキノリンまたはCpG含有核酸を含む、または(d)前記第1のアジュバントがイミダゾキノリンを含む場合、前記第2のアジュバントはCpG含有核酸またはミョウバンを含む、または(e)前記TLRアゴニストが、TLR−1アゴニスト、TLR−2アゴニスト、TLR−3アゴニスト、TLR−4アゴニスト、TLR−5アゴニスト、TLR−6アゴニスト、TLR−7アゴニスト、TLR−8アゴニスト、TLR−9アゴニスト、TLR−10アゴニスト、TLR−11アゴニストまたはこれらの組み合わせを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
前記第1のアジュバントおよび/または第2のアジュバントが、(a)TLRアゴニスト、または(b)TLR−3アゴニスト、TLR−7アゴニスト、TLR−8アゴニストまたはTLR−9アゴニストを含まない、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
(a)被検体において炎症反応を誘発する、(b)被検体においてTh1免疫反応を誘発する、(c)被検体において体液性免疫反応を誘発する、(d)被検体において特異的な局所細胞傷害性Tリンパ球反応を誘発する、(e)がんを治療または予防する、(f)感染症または感染性の疾患を治療または予防する、または(g)アトピー症状、喘息、COPDまたは慢性感染症を治療または予防する方法に用いられる、請求項20に記載の組成物。
(e)において、T細胞抗原がヘルパーT細胞抗原である、および/または前記B細胞抗原がニコチンである、ならびに/または(f)において、B細胞抗原がニコチンである、請求項24に記載の組成物。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1A-B】ナノキャリア(NC)接種後のマウスの全身でサイトカインが産生されることを示す。
図1A、
図1Bおよび
図1Cはそれぞれ、実験群でのTNF−α、IL−6、IL−12の産生を示すものである。3匹のマウスの群から得た血清をプールし、ELISAで分析した。
【
図1C】ナノキャリア(NC)接種後のマウスの全身でサイトカインが産生されることを示す。
図1A、
図1Bおよび
図1Cはそれぞれ、実験群でのTNF−α、IL−6、IL−12の産生を示すものである。3匹のマウスの群から得た血清をプールし、ELISAで分析した。
【
図2】NC接種後のマウスの全身でIFN−γが産生されることを示す。3匹のマウスの群から得た血清をプールし、ELISAで分析した。
【
図3】NC内に捕捉されたR848を利用すると免疫反応が生じ、これがR848なしでNCによって誘発される免疫反応より優れていることを示す。
【
図4】アジュバントなしで表面ニコチンおよびTヘルパーオボアルブミン誘導ペプチドOP−II(NC−Nic)を含むNCあるいは、20μgの遊離R848と混合した同一NC−Nicで免疫した(5匹/群;皮下、注射1回あたりNCを100μg、4週間間隔で3回)マウスにおける抗ニコチン抗体価を示す。初回免疫後26日目と40日目の力価を示す(ポリリジン−ニコチンに対するELISA)(群1:NC[Nic,φ(すなわち、アジュバントなし),OP−II](2.2%のOP−II)で免疫;群2:20μgの遊離R848と混合したNC[Nic,φ,OP−II])で免疫。
【
図5】R848アジュバントを用いた表面ニコチンおよびTヘルパーオボアルブミン誘導ペプチドOP−II(NC−Nic)を含むNCあるいは、80μgの遊離ミョウバンまたは25μgの遊離CpG−1826と混合した同一NC−Nicで免疫した(5匹/群;皮下、注射1回あたりNCを100μg、4週間間隔で3回)マウスにおける抗ニコチン抗体価を示す。初回免疫後26日目と40日目の力価を示す(ポリリジン−ニコチンに対するELISA)(全群:NC[Nic,R848,OP−II]で免疫;群2:80μgの遊離ミョウバンと混合したNC;群3:25μgの遊離CpG−1826と混合)。
【
図6】表面ニコチン、R848、Tヘルパーオボアルブミン誘導ペプチドOP−II NC[Nic,R848,OP−II]を含むNCあるいは、80μgの遊離ミョウバンと混合した同一NC−Nicで免疫した(5匹/群;皮下、注射1回あたりNCを100μg、4週間間隔で3回)マウスにおける抗ニコチン抗体価を示す。初回免疫後40日目と70日目の力価を示す(ポリリジン−ニコチンに対するELISA)(群1:NC[Nic,R848,OP−II](3.1%のR848、1.5%のOP−II)で免疫;群2:80μgの遊離ミョウバンと混合したNC[Nic,R848,OP−II]で免疫)。
【
図7】オボアルブミンまたは遊離オボアルブミンを含有するNCで免疫したマウスにおける特異的な局所CTL反応を示す。マウスを1回免疫し(皮下、100μgのNC、2.8%のOVAを含有あるいは、2.5μgのOVAで;どちらの免疫原も10μgの遊離1826−CpGと混合)。
【
図8】20μgの遊離CpG(PS)または20μgの遊離CpG(PO)と混合した表面ニコチンおよびTヘルパーオボアルブミン誘導ペプチドOP−II(NC−Nic)(NC中にアジュバントなし)を含有するNCで免疫した(5匹/群;皮下、注射1回あたりNCを100μg、2週間間隔で3回)マウスの抗ニコチン抗体価を示す。対照マウスにはPBSを単独で与えた。26日目および40日目の力価を示す(ポリリジン−ニコチンに対するELISA)(群1:NC−Nic(アジュバントなし)+遊離CpG(PS)で免疫;群2:NC−Nic(アジュバントなし)+遊離CpG(PO)で免疫;群3:PBSのみで免疫)。
【
図9】20μgの遊離R848またはCpG(PS)と混合した表面OVA(NC−OVA)(NC中にアジュバントなし)を含有するNCで免疫した(5匹/群;皮下、注射1回あたりNCを100μg、2週間間隔で3回)マウスにおける抗オボアルブミン(OVA)抗体価を示す。対照マウスを20μgのCpG(PS)と混合した2.5μgの可溶性OVAで免疫した。26日目と44日目の力価を示す(OVAタンパク質に対するELISA)(群1:NC−OVA(アジュバントなし)+遊離R848で免疫;群2:NC−OVA(アジュバントなし)+遊離CpG(PS)で免疫;群3:可溶性OVA+CpG(PS)で免疫)。
【
図10】CpGを注射した(注射1回あたり20μg、2週間間隔で2回)後、35日目に、NC含有R848あり、あるいはなしで(5匹/群;皮下、注射1回あたりNCを100μg、2週間間隔で2回)表面ニコチンおよびTヘルパーオボアルブミン誘導ペプチドOP−II(NC−Nic)を含有するNCで免疫したマウスにおける抗ニコチン抗体価を示す。NCでの免疫後12日目、26日目、40日目の力価を示す(ポリリジン−ニコチンに対するELISA)(群1:CpGで免疫後NC−Nic(R848+OP−II)で免疫;群2:CpGで免疫後、NC−Nic(OP−IIのみ)で免疫)。
【0021】
本発明について詳細に説明する前に、本発明が、ここに特に例示した、それ自体が言うまでもなく変わり得る材料またはプロセスパラメータに限定されるものではないことを、理解されたい。また、本明細書で使用する技術用語は、本発明の特定の実施形態を説明するだけのためのものであり、本発明を説明するのに別の技術用語を使用するのを制限する意図はない旨も理解されたい。
【0022】
本明細書で引用する刊行物、特許および特許出願についてはいずれも、前述であるか後述するものであるかを問わず、あらゆる目的で、その全体を本明細書に援用する。
【0023】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用する場合、文脈から明らかにそうでないことがわかる場合を除いて、単数形「a」「an」「the」は、同じ名詞の複数形も含む。たとえば、「ポリマー」といえばそのような分子2つ以上の混合物を含み「溶媒」といえば2種類または3種類以上のそのような溶媒の混合物を含み、「接着剤」といえば2種類または3種類以上のそのような材料の混合物を含むといった具合である。
【0024】
緒言
本願発明者らは、想定外かつ驚くべきことに、本明細書に開示の本発明を実施することで、上述した課題および制約を回避できることを見出した。本願発明者らは、想定外かつ驚くべきことに、合成ナノキャリアの集合と、どの合成ナノキャリアにも結合していないアジュバントとを投与すると、そうでない場合よりも強く迅速な免疫反応が得られることを発見した。特に、本願発明者らは、(1)合成ナノキャリアの集合と、(2)どの合成ナノキャリアとも結合されていない第1のアジュバントと、(3)薬学的に許容可能な賦形剤を含む剤形を含む組成物と関連した組成物および方法を提供可能であることを想定外に発見した。
【0025】
複数の実施形態では、合成ナノキャリアとは別のアジュバントの投与によって、TNF−α、IL−6および/またはIL−12などの炎症誘発性サイトカインが迅速かつ強力に全身で誘発される。したがって、いくつかの実施形態では、組成物でのアジュバントの投与量が全身投与量である。複数の実施形態では、全身投与量が、TNF−γ、IL−6またはIL−12の放出につながる。他の複数の実施形態では、全身投与量が、TNF−γ、IL−6およびIL−12の全身での放出につながる。それ自体、サイトカインは炎症誘発性であり、炎症反応が望まれる場合に本明細書にて提供する組成物の投与が被検体にとって利点のあるものとなり得る。したがって、いくつかの実施形態では、提供される組成物をこのような被検体に投与する。複数の実施形態では、このような被検体がんに羅患しているまたは羅患するリスクがある。他の複数の実施形態では、このような被検体感染症または感染性の疾患に羅患しているまたは羅患するリスクがある。このような被検体に組成物を投与するための方法も得られる。
【0026】
他の複数の実施形態では、合成ナノキャリアとは別のアジュバントの投与によって、IFN−γ、IL−12および/またはIL−18など、Th1免疫反応に重要なサイトカインが迅速かつ強力に全身で誘発される。したがって、いくつかの実施形態での組成物でのアジュバントの投与量が、IFN−γ、IL−12および/またはIL−18の全身での放出につながる全身投与量である。それ自体、サイトカインはTh1免疫反応に重要であり、Th1免疫反応が望まれる場合、本明細書にて提供する組成物の投与が被検体にとって利点のあるものとなり得る。いくつかの実施形態では、提供される組成物をこのような被検体に投与する。複数の実施形態では、このような被検体アトピー症状、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)または慢性感染症羅患しているまたは羅患するリスクがある。このような被検体に組成物を投与するための方法も得られる。
【0027】
また、本願発明者らは、上述した組成物と一緒に第2のアジュバントを投与して、強い体液性反応を提供できることを、想定外に発見した。したがって、上述した組成物は、第2のアジュバントをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、第2のアジュバントが、合成ナノキャリアに結合される。他の複数の実施形態では、第2のアジュバントが、どの合成ナノキャリアにも結合されない。さらに他の実施形態では、第2のアジュバントが、もうひとつの集合の合成ナノキャリアに結合される。しかしながら、いくつかの実施形態では、合成ナノキャリアの集合と、どの合成ナノキャリアとも結合されていない第1のアジュバントとを含む組成物を投与する時点とは異なる時点で、第2のアジュバントを被検体投与する。いくつかの実施形態では、異なる時点ではあるが、第2のアジュバントを同時投与する。他の複数の実施形態では、第2のアジュバントを同時投与しない。さらに他の実施形態では、合成ナノキャリアの集合と、どの合成ナノキャリアとも結合されていない第1のアジュバントとを含む組成物の投与前または投与後に、第2のアジュバントを投与する。いくつかの実施形態では、第2のアジュバントも、どの合成ナノキャリアにも結合されない。他の複数の実施形態では、第2のアジュバントが、もうひとつの集合の合成ナノキャリアに結合される。したがって、本明細書にて提供する組成物は、体液性免疫反応が望まれる場合に、被検体にとって利点のあるものとなり得る。いくつかの実施形態では、提供される組成物をこのような被検体に投与する。複数の実施形態では、このような被検体が、がん、感染症または感染性の疾患に羅患しているまたは羅患するリスクがある。このような被検体に組成物を投与するための方法も得られる。
【0028】
さらに別の実施形態では、1種類以上の抗原を上記にて提供される組成物と一緒に投与すると、強い特異的局所細胞傷害性Tリンパ球(CTL)反応が得られる。複数の実施形態では、抗原を提供される組成物と同時投与する。いくつかの実施形態では、抗原が合成ナノキャリアに結合される。他の複数の実施形態では、抗原は合成ナノキャリアに結合されないが、別の集合の合成ナノキャリアに結合される。抗原は、B細胞またはT細胞抗原を含むものであっても構わない。いくつかの実施形態では、T細胞抗原がヘルパーT細胞抗原である。他の複数の実施形態では、抗原がB細胞またはT細胞抗原ならびにヘルパーT細胞抗原を含む。したがって、提供される組成物は、特異的局所CTL反応が望まれる場合に、被検体にとって利点のあるものとなり得る。いくつかの実施形態では、提供される組成物をこのような被検体に投与する。このような被検体に組成物を投与するための方法も得られる。
【0029】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0030】
定義
「アジュバント」とは、特定の抗原を構成しないが、同時に投与された抗原に対する免疫反応の強度と、もちとをブーストする因子を意味する。このようなアジュバントは、Toll様受容体、RIG−1およびNOD様受容体(NLR)などのパターン認識受容体の刺激物質、ミョウバンなどの鉱物塩、エシェリキア・コリ(Escherihia coli)、サルモネラ・ミネソタ(Salmonella minnesota)、サルモネラ・チフィリウム(Salmonella typhimurium)またはシゲラ・フレックスネリ(Shigella flexneri)などの腸内細菌のモノホスホリルリピド(MPL)Aと組み合わせたミョウバン、あるいは特にMPL(登録商標)(AS04)すなわち上述した細菌のMPL Aと別々に組み合わせたミョウバン、QS−21、Quil−A、ISCOMs、ISCOMATRIX(商標)などのサポニン、MF59(商標)、Montanide(登録商標) ISA 51およびISA 720などのエマルション、AS02(QS21+スクワレン+MPL(登録商標))、AS15、AS01などのリポソームおよびリポソーム製剤、ナイセリア・ゴノレー(N. gonorrheae)、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)といった細菌由来の外膜小胞(OMV)などの合成または特異的に調製した微粒子およびマイクロキャリア、あるいはキトサン粒子、Pluronic(登録商標)ブロックコポリマーなどのデポを形成する作用剤、ムラミルジペプチドなどの特異的に修飾または調製されたペプチド、RC529などのアミノアルキルグルコサミニド4−ホスフェート、あるいは細菌トキソイドまたは毒素フラグメントなどのタンパク質を含むものであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0031】
複数の実施形態では、アジュバントが、Toll様受容体(TLR)、特にTLR 2、3、4、5、7、8、9および/またはこれらの組み合わせを含むがこれに限定されるものではないパターン認識受容体(PRR)のアゴニストを含む。他の複数の実施形態では、アジュバントが、Toll様受容体3のアゴニスト、Toll様受容体7および8のアゴニスト、またはToll様受容体9のアゴニストを含み、好ましくは、標記のアジュバントが、R848などのイミダゾキノリン、米国特許第6,329,381号明細書(Sumitomo Pharmaceutical Company)、Biggadikeらの米国特許出願公開第2010/0075995号明細書またはCamposらの国際公開第2010/018132号パンフレットに開示されているものなどのアデニン誘導体、免疫刺激性DNAまたは免疫刺激性RNAを含む。特定の実施形態では、複数の合成ナノキャリアが、toll様受容体(TLR)7&8のアゴニスト(「TLR 7/8アゴニスト」)である化合物を、アジュバントとして取り込む。有用なのは、Tomaiらに付与された米国特許第6,696,076号明細書に開示されたTLR 7/8アゴニスト化合物であり、一例として、イミダゾキノリンアミン、イミダゾピリジンアミン、6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミン、1,2−架橋イミダゾキノリンアミンがあげられるが、これに限定されるものではない。好ましいアジュバントは、イミキモドおよびレシキモド(R848としても知られる)を含む。特定の実施形態では、アジュバントが、DC表面分子CD40のアゴニストであってもよい。特定の実施形態では、耐性ではなく免疫を刺激するために、合成ナノキャリアが、DCの成熟(T細胞を刺激するのに必要)および抗体の免疫反応を刺激する、I型インターフェロンなどのサイトカインの産生を促進するアジュバントを取り込む。複数の実施形態では、アジュバントが、dsRNA、poly I:Cまたはpoly I:poly C12U(Ampligen(登録商標)として入手可能、poly I:Cおよびpoly I:polyC12UはともにTLR3刺激剤として知られる)および/またはF. Heil et al., “Species−Specific Recognition of Single−Stranded RNA via Toll−like Receptor 7 and 8” Science 303(5663), 1526〜1529 (2004);J. Vollmer et al., “Immune modulation by chemically modified ribonucleosides and oligoribonucleotides” 国際公開第2008033432A2号パンフレット;A. Forsbach et al., “Immunostimulatory oligoribonucleotides containing specific sequence motif(s) and targeting the Toll−like receptor 8 pathway” 国際公開第2007062107A2号パンフレット;E. Uhlmann et al., “Modified oligoribonucleotide analogs with enhanced immunostimulatory activity” 米国特許出願公開第2006241076号明細書;G. Lipford et al., “Immunostimulatory viral RNA oligonucleotides and use for treating cancer and infections” 国際公開第2005097993A2号パンフレット;G. Lipford et al., “Immunostimulatory G,U−containing oligoribonucleotides, compositions, and screening methods” 国際公開第2003086280A2号パンフレットに開示されているものなどであるがこれに限定されるものではない、免疫刺激性RNA分子を含むものであってもよい。いくつかの実施形態では、アジュバントが、細菌のリポ多糖(LPS)、VSV−Gおよび/またはHMGB−1などのTLR−4アゴニストであってもよい。いくつかの実施形態では、アジュバントが、米国特許第6,130,082号明細書、同第6,585,980号明細書、同第7,192,725号明細書に開示されているものを含むがこれに限定されるものではない、フラジェリンまたはその一部または誘導体などのTLR−5アゴニストを含むものであってもよい。特定の実施形態では、合成ナノキャリアは、I型インターフェロンの分泌を誘導し、T細胞およびB細胞の活性化を刺激して抗体の産生量および細胞傷害性T細胞の応答を増す、CpGを含む免疫刺激DNA分子などのToll様受容体(TLR)−9のリガンドを取り込む(Krieg et al., CpG motifs in bacterial DNA trigger direct B cell activation. Nature. 1995. 374:546〜549;Chu et al. CpG oligodeoxynucleotides act as adjuvants that switch on T helper 1 (Th1) immunity. J. Exp. Med. 1997. 186:1623〜1631;Lipford et al. CpG−containing synthetic oligonucleotides promote B and cytotoxic T cell responses to protein antigen: a new class of vaccine adjuvants. Eur. J. Immunol. 1997. 27:2340〜2344;Roman et al. Immunostimulatory DNA sequences function as T helper−1−promoting adjuvants. Nat. Med. 1997. 3:849〜854;Davis et al. CpG DNA is a potent enhancer of specific immunity in mice immunized with recombinant hepatitis B surface antigen. J. Immunol. 1998. 160:870〜876;Lipford et al., Bacterial DNA as immune cell activator. Trends Microbiol. 1998. 6:496〜500;Kriegらに付与された米国特許第6,207,646号明細書;Tuckらに付与された米国特許第7,223,398号明細書;Van Nestらに付与された米国特許第7,250,403号明細書;またはKriegらに付与された米国特許第7,566,703号明細書)。
【0032】
いくつかの実施形態では、アジュバントが、ネクローシス細胞から放出される炎症誘発性刺激物質(尿酸結晶など)であってもよい。いくつかの実施形態では、アジュバントが、補体カスケードの活性成分(たとえば、CD21、CD35など)であってもよい。いくつかの実施形態では、アジュバントが、免疫複合体の活性成分であってもよい。アジュバントは、CD21またはCD35に結合する分子などの補体受容体アゴニストも含む。いくつかの実施形態では、補体受容体アゴニストが、合成ナノキャリアの内在性の補体オプソニン化を誘発する。いくつかの実施形態では、アジュバントがサイトカインであるが、これは細胞によって放出され、細胞間相互作用、他の細胞のコミュニケーションおよび挙動に対して特定の効果を持つ小さなタンパク質または生物学的因子(5kD〜20kDの範囲)である。いくつかの実施形態では、サイトカイン受容体アゴニストが、小分子、抗体、融合タンパク質またはアプタマーである。
【0033】
複数の実施形態では、投与量の少なくとも一部に相当するアジュバントが、どの合成ナノキャリアにも結合されず、好ましくは、投与量の全部に相当するアジュバントが、どの合成ナノキャリアにも結合されない。複数の実施形態では、一投与量のアジュバントが、2以上のタイプのアジュバントを含み、少なくとも1つのタイプのアジュバントの少なくとも一部が、どの合成ナノキャリアにも結合されない。たとえば、限定されることなく、異なるTLR受容体などの異なる受容体に作用する複数のアジュバントを組み合わせてもよい。一例として、一実施形態では、TLR 7/8アゴニストを、TLR 9アゴニストと組み合わせてもよい。もうひとつの実施形態では、TLR 7/8アゴニストを、TLR 4アゴニストと組み合わせてもよい。さらにもうひとつの実施形態では、TLR 9アゴニストを、TLR 3アゴニストと組み合わせてもよい。
【0034】
「投与する」または「投与」とは、薬理学的に有用な方法で被検体に物質(薬剤など)を与えることを意味する。
【0035】
本明細書では「アレルギー症状」とも呼ぶ「アレルギー」とは、アレルゲンに対して望ましくない免疫反応(すなわち、アレルギー反応)が生じる症状のことである。アレルギーまたはアレルギー症状としては、アレルギー喘息、枯草熱、じんま疹、湿疹、植物アレルギー、ハチ刺傷アレルギー、ペットアレルギー、ラテックスアレルギー、かびアレルギー、化粧品アレルギー、食物アレルギー、アレルギー性鼻炎またはコリーザ、局所アレルギー反応、アナフィラキシー、アトピー性皮膚炎、過敏症反応および他のアレルギー症状があげられるが、これに限定されるものではない。アレルギー反応は、アレルゲンに対する免疫反応の結果のこともある。
【0036】
「有効な量」とは、1種類以上の所望の免疫反応を生む本明細書で提供する組成物の量のことである。この量は、in vitro目的であってもin vivo目的であっても構わない。in vivo目的の場合、この量は、臨床医が、炎症、Th1、体液性または特異的局所CTL免疫反応の必要な被検体にとって臨床的に利益があると思うであろう量であればよい。このような被検体は、がん、感染症または感染性の疾患、アトピー症状、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)または慢性感染症に羅患しているまたは羅患するリスクのある被検体を含む。
【0037】
有効な量は、1種類以上のサイトカインの全身での放出を生じさせる量を含む。複数の実施形態では、有効な量が、全身でのサイトカイン放出プロファイルを生じさせる量を含む。いくつかの実施形態では、1種類以上のサイトカインまたはサイトカイン放出プロファイルが、TNF−α、IL−6および/またはIL−12の全身での放出を含む。他の複数の実施形態では、1種類以上のサイトカインまたはサイトカイン放出プロファイルが、IFN−γ、IL−12および/またはIL−18の全身での放出を含む。これは、常法で監視可能である。1種類以上の所望の免疫反応を生じさせるのに効果的な量については、所望の治療エンドポイントまたは所望の治療結果を生む本明細書にて提供する組成物の量であってもよい。
【0038】
もちろん、有効な量は、治療対象となる特定の被検体;症状、疾患または機能障害の重篤度;年齢、健康状態、体格、体重をはじめとする個々の患者のパラメータ;治療期間;同時に行う治療(ある場合)の性質;健康に関する専門医の知識および専門性の範囲内である特定の投与経路および同様の要因に左右されることになる。これらの要因は当業者間で周知であり、常法の実験だけで対処可能である。通常は、「最大投与量」すなわち、信頼できる医学的判断で安全だとされる最高投与量を使用するのが好ましい。しかしながら、医療上の理由、心理的な理由または事実上他の何らかの理由から、患者がそれよりも少ない投与量または許容可能な投与量を主張することもある旨は、当業者であれば理解できよう。
【0039】
通常、本発明の組成物の投与量は、約10μg/kg〜約100,000μg/kgの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、投与量が、約0.1mg/kg〜約100mg/kgの範囲であり得る。さらに他の実施形態では、投与量が、約0.1mg/kg〜約25mg/kg、約25mg/kg〜約50mg/kg、約50mg/kg〜約75mg/kgまたは約75mg/kg〜約100mg/kgの範囲であり得る。あるいは、投与量を、合成ナノキャリア数に基づいて投与してもよい。たとえば、有用な投与量として、投与量1回あたり10
6、10
7、10
8、10
9またはを10
10合成ナノキャリアを超えるものがあげられる。有用な投与量の他の例として、1回の投与量あたり合成ナノキャリアで約1×10
6〜約1×10
10、約1×10
7〜約1×10
9または約1×10
8〜約1×10
9があげられる。いくつかの実施形態では、提供される組成物の投与量が全身投与量である。
【0040】
「抗原」は、B細胞抗原またはT細胞抗原を意味する。複数の実施形態では、抗原が、合成ナノキャリアに結合される。他の複数の実施形態では、抗原が、合成ナノキャリアに結合されない。複数の実施形態で、抗原を合成ナノキャリアと同時投与する。他の実施形態では、抗原を合成ナノキャリアと同時投与しない。「抗原のタイプ」は、抗原的な特徴が同一または実質的に同一の分子を意味する。複数の実施形態では、提供される組成物の抗原が、治療対象となる疾患または症状と関連している。たとえば、抗原は、アレルゲン(アレルギーまたはアレルギー症状の治療用)であってもよいし、がん関連抗原(がんまたは腫瘍の治療用)、感染因子抗原(感染症、感染性の疾患または慢性感染症性の疾患の治療用)などであっても構わない。
【0041】
「投与量の少なくとも一部に相当する」は、最大で投与量全部を含む範囲での投与量の少なくとも一部を意味する。
【0042】
「リスクのある」被検体とは、健康に関する専門医が、本明細書にて提供する疾患または症状に羅患する可能性があると思う被検体のことである。
【0043】
「B細胞抗原」は、B細胞によって認識され、B細胞で免疫反応を惹起する抗原を意味する(たとえば、B細胞のB細胞受容体によって特異的に認識される抗原)。いくつかの実施形態では、T細胞抗原である抗原が、B細胞抗原でもある。他の複数の実施形態では、T細胞抗原が、B細胞抗原ではない。B細胞抗原としては、タンパク質、ペプチド、小分子、炭水化物があげられるが、これに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、B細胞抗原が非タンパク質抗原を含む(すなわち、タンパク質またはペプチド抗原ではない)。いくつかの実施形態では、B細胞抗原が、感染因子に関連する炭水化物を含む。いくつかの実施形態では、B細胞抗原が、感染因子に関連する糖タンパク質または糖ペプチドを含む。感染因子は、細菌、ウイルス、真菌、原虫、寄生虫またはプリオンであり得る。いくつかの実施形態では、B細胞抗原が、免疫原性の低い抗原を含む。いくつかの実施形態では、B細胞抗原が、乱用物質またはその一部を含む。いくつかの実施形態では、B細胞抗原が、嗜癖性物質またはその一部を含む。嗜癖性物質としては、ニコチン、麻薬、鎮咳剤、精神安定剤、鎮静剤があげられるが、これに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、B細胞抗原が、化学兵器または天然起源由来の毒素などの毒素あるいは汚染物質を含む。B細胞抗原は、危険な環境因子を含むこともある。他の複数の実施形態では、B細胞抗原同種抗原は、アレルゲン、接触感作性物質、変性疾患の抗原、ハプテン、感染性の疾患の抗原、がん抗原、アトピー性疾患の抗原、自己免疫疾患の抗原、嗜癖性物質、異種抗原または代謝疾患酵素またはその酵素産物を含む。
【0044】
「同時投与する」は、時間的に相関する形で、好ましくは、免疫反応を調節すべく時間的に十分に関連させて2種類以上の物質を被検体に投与することを意味する。複数の実施形態では、同時投与は、同一剤形での2種類以上の物質の投与によって起こるものであってもよい。他の複数の実施形態では、同時投与が、剤形は異なるが、指定時間内、好ましくは1か月以内、より好ましくは1週間以内、なお一層好ましくは1日以内、より一層好ましくは1時間での2種類以上の物質の投与を包含するものであってもよい。
【0045】
「結合」または「結合した」または「結合する」(など)は、1つの実体(部分など)が別の実体と化学的に関連することを意味する。いくつかの実施形態では、カップリングが共有結合であり、カップリングが、2つの実体間に共有結合が存在する文脈で起こることを意味する。非共有結合の実施形態では、非共有結合のカップリングが、電荷相互作用、親和性相互作用、金属配位、物理的吸着、ホストゲスト相互作用、疎水性相互作用、チミン同士のスタッキングによる相互作用、水素結合相互作用、ファンデルワールス相互作用、磁気相互作用、静電相互作用、双極子−双極子相互作用および/またはこれらの組み合わせを含むがこれに限定されるものではない、非共有結合の相互作用によってなされる。複数の実施形態では、カプセル化が、カップリングの一形態である。複数の実施形態では、投与量の少なくとも一部に相当するアジュバントがどの合成ナノキャリアにも結合されず、好ましくは投与量のアジュバント全量がどの合成ナノキャリアにも結合されない。
【0046】
「誘導される」とは、起源から取得され、実質的な修飾がなされることを意味する。たとえば、天然のペプチドまたは核酸、好ましくは天然のコンセンサスペプチドまたは核酸との配列の相同性がわずか50%であるペプチドまたは核酸は、天然のペプチドまたは核酸から誘導されると言われる。実質的な修飾とは、対象となる材料の化学的または免疫学的特性に有意に影響する修飾のことである。誘導されるペプチドおよび核酸は、前記誘導されるペプチドおよび核酸の化学的または免疫学的特性が、天然のペプチドまたは核酸と比較して変化している場合に、天然のペプチドまたは核酸配列との同一性が50%を超える配列を有するものを含み得る。これらの化学的または免疫学的特性は、親水性、安定性、親和性、合成ナノキャリアなどのキャリアと結合する機能を含む。
【0047】
「剤形」は、被検体への投与に適した媒質、キャリア、賦形剤またはデバイス内で、ワクチンなどの薬理学的および/または免疫学的に活性な材料を意味する。
【0048】
「カプセル化する」は、合成ナノキャリア内に封入すること、好ましくは合成ナノキャリア内に完全に封入することを意味する。カプセル化された物質の大半またはすべてが、合成ナノキャリア外の局地環境に曝露されることがない。カプセル化は、物質の大半またはすべてを合成ナノキャリアの表面上において、その物質を合成ナノキャリア外の局地環境に曝露したままにする吸収とは区別される。
【0049】
「体液性反応」は、B細胞の産生または刺激および/または抗体の産生につながる免疫反応を意味する。好ましくは、体液性免疫反応は、発明性のある組成物に含まれるまたは発明性のある方法の実施時に投与される抗原に特異的である。体液性反応が誘発されるか否かを評価するための方法は、当業者間で周知である。このような方法の例については、以下の実施例にあげておく。
【0050】
「感染症」または「感染性の疾患」とは、微生物、病原体あるいは、細菌、真菌、プリオンまたはウイルスなどの他の因子によって生じる症状または疾患である。感染性の疾患の例としては、AIDS、水疱瘡(水痘)、感冒、サイトメガロウイルス感染、コロラドダニ熱、デング熱、エボラ出血熱、手足口病、肝炎、単純ヘルペス、帯状疱疹、HPV、インフルエンザ(Flu)、ラッサ熱、麻疹、マールブルグ出血熱、感染性の単核球症、流行性耳下腺炎、ノロウイルス、ポリオ、進行性多病巣性白質脳症、狂犬病、風疹、重症急性呼吸器症候群、天然痘(痘瘡)、ウイルス性脳炎、ウイルス性胃腸炎、ウイルス性髄膜炎、ウイルス性肺炎、西ナイル熱、黄熱などのウイルス感染性の疾患;炭疽、細菌性髄膜炎、ボツリヌス中毒、ブルセラ症、カンピロバクター症、猫ひっかき病、コレラ、ジフテリア、発疹チフス、淋病、膿痂疹、レジオネラ症、らい病(ハンセン病)、レプトスピラ症、リステリア症、ライム病、類鼻疽、リウマチ熱、MRSA感染、ノカルジア症、百日咳(Pertussis)(百日咳)、ペスト、肺炎球菌肺炎、オウム病、Q熱、ロッキー山紅斑熱(RMSF)、サルモネラ症、猩紅熱、細菌性赤痢、梅毒、破傷風、トラコーマ、結核、野兎病、腸チフス、チフス、尿路感染症などの細菌感染性の疾患;アフリカトリパノソーマ症、アメーバ症、回虫症、バベシア症、シャガス病、肝吸虫症、クリプトスポリジウム症、嚢虫症、裂頭条虫症、メジナ虫症、エキノコックス症、蟯虫症、肝蛭症、肥大吸虫症、フィラリア症、自由生活性アメーバ感染、ジアルジア症、顎口虫症、膜様条虫症、イソスポーラ症、黒熱病、リーシュマニア症、マラリア、横川吸虫症、はえ幼虫症、オンコセルカ症、しらみ症、蟯虫感染、疥癬、住血吸虫症、条虫症、トキソカラ症、トキソプラスマ症、旋毛虫症(Trichinellosis)、旋毛虫症(Trichinosis)鞭虫症、トリコモナス症、トリパノソーマ症などの寄生虫感染性の疾患;アスペルギルス症、ブラストミセス症、カンジダ症、コクシジオイデス症、クリプトコッカス症、ヒストプラスマ症、足部白癬(足白癬)、股部白癬などの真菌感染性の疾患;アルパース病、致死性家族性不眠症、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー症候群、クールー病、異型クロイツフェルト・ヤコブ病などのプリオン感染性の疾患があげられるが、これに限定されるものではない。
【0051】
「炎症反応」とは、たとえば、感染因子への曝露、細胞損傷などに応答して機能する身体の自然免疫防御系に関与する免疫反応を意味する。複数の実施形態では、炎症反応が、TNF−α、IL−6および/またはIL−12などのサイトカインの全身での放出を含む。炎症誘発性サイトカインの産生の評価など、炎症反応が誘発されるか否かを評価するための方法は、当業者間で周知である。このような方法の例については、以下の実施例にあげておく。
【0052】
「単離された核酸」は、その自然な環境から分離され、それを同定または使用できるだけの十分な量で存在する核酸を意味する。単離された核酸は、(i)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などによってin vitroにて増幅されたもの;(ii)クローニングによって組換え的に作られたもの;(iii)切断およびゲル分離時に精製されたもの;または(iv)化学合成などによって合成されたものであってもよい。単離された核酸は、従来技術において周知の組換えDNA技術によって容易に操作されるものである。よって、5’および3’制限部位が既知であるか、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のプライマー配列が開示されているベクターに含まれる塩基配列は単離されているとみなされるが、その自然な状態で天然の宿主に存在する核酸配列は単離されたものではない。単離された核酸は、実質的に精製されたものであってもよいが、そうでなくても構わない。たとえば、クローニングまたは発現ベクター内で単離された核酸は、それが存在する細胞でわずかな割合の材料しか含み得ないという点で、純粋ではない。しかしながら、このような核酸は、当業者らに知られた標準的な技術で容易に操作可能であるため、その表現が本明細書で用いられる形で単離されている。本明細書にて提供するどの核酸を単離してもよい。いくつかの実施形態では、本明細書にて提供する組成物の抗原が、抗原ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質をコードする単離された核酸など、単離された核酸の形で存在する。
【0053】
「単離されたペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質」は、ポリペプチド(またはペプチドまたはタンパク質)が、その本来の環境から分離され、同定または使用できるだけの十分な量で存在することを意味する。これは、たとえば、ポリペプチド(またはペプチドまたはタンパク質)を、(i)発現クローニングによって選択的に作製または(ii)クロマトグラフィまたは電気泳動で精製してもよいことを意味する。単離されたペプチド、タンパク質またはポリペプチドは、実質的に純粋であってもよいが、そうでなくても構わない。単離されたペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を、製剤調製物中にて薬学的に許容可能なキャリアと混合してもよいため、ポリペプチド(またはペプチドまたはタンパク質)が、重量比で調製物をわずかな割合しか含まないものであってもよい。それにもかかわらず、このポリペプチド(またはペプチドまたはタンパク質)は、生物系でこれが関連することのある物質から分離されているという意味で単離されている、すなわち、他のタンパク質(またはペプチドまたはポリペプチド)から単離されている。本明細書にて提供するどのペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を単離してもよい。いくつかの実施形態では、本明細書にて提供する組成物の抗原が、単離されたペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の形態である。
【0054】
「合成ナノキャリアの最大寸法」は、合成ナノキャリアのいずれかの軸に沿って測定したナノキャリアの最も大きな寸法を意味する。「合成ナノキャリアの最小寸法」は、合成ナノキャリアのいずれかの軸に沿って測定した合成ナノキャリアの最も小さな寸法を意味する。たとえば、回転楕円形の合成ナノキャリアの場合、合成ナノキャリアの最大寸法および最小寸法は実質的に等しく、その直径の大きさであろう。同様に、直方体形の合成ナノキャリアの場合、合成ナノキャリアの最小寸法は、高さ、幅または長さが最小であろうが、かたや合成ナノキャリアの最大寸法は、その高さ、幅または長さが最大であろう。一実施形態では、試料中の合成ナノキャリアの総数に対して、試料中の合成ナノキャリアの少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の最小寸法が、100nmを上回る。一実施形態では、試料中の合成ナノキャリアの総数に対して試料中の合成ナノキャリアの少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の最大寸法が、5μm以下である。好ましくは、試料中の合成ナノキャリアの総数に対して試料中の合成ナノキャリアの少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の最小寸法が、110nmを上回り、より好ましくは120nmを上回り、より好ましくは130nmを上回り、なお一層好ましくは150nmを上回る。発明性のある合成ナノキャリアの最大寸法と最小寸法とのアスペクト比は、実施形態ごとに変わる場合がある。たとえば、合成ナノキャリアの最大寸法対最小寸法のアスペクト比は、1:1〜1,000,000:1、好ましくは1:1〜100,000:1、より好ましくは1:1〜1000:1、一層好ましくは1:1〜100:1、なお一層好ましくは1:1〜10:1で変わる場合がある。好ましくは、試料中の合成ナノキャリアの総数に対して試料中の合成ナノキャリアの少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の最大寸法が、3μm以下、より好ましくは2μm以下、より好ましくは1μm以下、より好ましくは800nm以下、より好ましくは600nm以下、なお一層好ましくは500nm以下である。好ましい実施形態では、試料中の合成ナノキャリアの総数に対して試料中の合成ナノキャリアの少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の最大寸法が、100nm以上、より好ましくは120nm以上、より好ましくは130nm以上、より好ましくは140nm以上、なお一層好ましくは150nm以上である。合成ナノキャリアの大きさの測定値は、合成ナノキャリアを液体(通常は水性)の媒質に分散させ、動的光散乱を用いる(Brookhaven ZetaPALS機器を使用するなど)ことで、得られる。
【0055】
「得られる」は、実質的な修飾なしで起源から取得されることを意味する。実質的な修飾とは、対象となる材料の化学的または免疫学的特性に有意に影響する修飾のことである。たとえば、非限定的な例として、天然のペプチドまたは塩基配列、好ましくは天然のコンセンサスペプチドまたは塩基配列との配列の同一性が90%を超える、好ましくは95%を超える、好ましくは97%を超える、好ましくは98%を超える、好ましくは99%を超える、好ましくは100%であって、天然のペプチドまたは核酸と比較して化学的および/または免疫学的特性が有意に異ならないペプチドまたは核酸が、天然のペプチドまたは塩基配列から得られると言える。これらの化学的または免疫学的特性は、親水性、安定性、親和性、合成ナノキャリアなどのキャリアと結合する機能を含む。
【0056】
「薬学的に許容可能なキャリアまたは賦形剤」は、標記の合成ナノキャリアと併用して発明性のある組成物を作り出す、薬理学的に不活性な材料を意味する。薬学的に許容可能なキャリアまたは賦形剤は、糖(グルコース、ラクトースなど)、抗菌剤などの保存剤、再構成助剤、着色剤、生理食塩水(リン酸緩衝生理食塩水など)、緩衝液などであるが、これに限定されるものではない、従来技術において知られている多岐にわたる材料を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能なキャリアまたは賦形剤が、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、さまざまな希釈剤、さまざまな糖類および各種のスターチ、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油、ポリエチレングリコールを含む。
【0057】
「特異的局所細胞傷害性Tリンパ球(CTL)反応」は、抗原に対して特異的な細胞傷害性T細胞、好ましくは細胞傷害性T細胞の刺激、誘発または増殖を意味する。複数の実施形態では、抗原が、本明細書にて提供するいずれかの疾患または症状と関連している。いくつかの実施形態では、抗原が、発明性のある組成物内に含まれるか、本明細書にて提供する発明性のある方法で投与される。CTL反応を評価するための方法は当業者間で周知である。このような方法の一例を実施例にあげておく。
【0058】
「被検体」は、ヒトおよび霊長類などの温血哺乳動物;鳥類;ネコ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、ブタなどの飼育動物または家畜;マウス、ラット、モルモットなどの実験動物;魚;爬虫類;動物園の動物および野生動物などを含む動物を意味する。
【0059】
「合成ナノキャリア」は、天然には見られず、大きさが5ミクロン以下の少なくとも1つの寸法を有する離散的な物体を意味する。通常、合成ナノキャリアとしてはアルブミンのナノ粒子が含まれるが、特定の実施形態では、合成ナノキャリアがアルブミンのナノ粒子を含まない。複数の実施形態では、発明性のある合成ナノキャリアが、キトサンを含まない。
【0060】
合成ナノキャリアは、脂質ベースのナノ粒子(たとえばリポソーム)(本明細書では脂質ナノ粒子、すなわち、その構造をなす材料の大部分が脂質であるナノ粒子とも呼ばれる)、ポリマーナノ粒子、金属ナノ粒子、界面活性剤ベースのエマルション、デンドリマー、バッキーボール、ナノワイヤ、ウイルス様粒子(すなわち、主にウイルスの構造タンパク質で構成されるが、感染性ではないか、感染力が低い粒子)、ペプチドまたはタンパク質ベースの粒子(本明細書ではタンパク質粒子、すなわち、その構造をなす材料の大部分がペプチドまたはタンパク質である粒子とも呼ばれる)(アルブミンナノ粒子など)および/または脂質−ポリマーナノ粒子などのナノ材料の組み合わせを用いて開発されるナノ粒子の1つまたは複数であればよいが、これに限定されるものではない。合成ナノキャリアは、回転楕円形、直方体形、錐形、長円形、円柱形、ドーナツ形などを含むがこれに限定されるものではない、多岐にわたる異なる形状であってもよい。本発明による合成ナノキャリアは、内面(一般に合成ナノキャリアの内側を向いている表面)および外面(一般に合成ナノキャリアの外部環境に向いている表面)をはじめとするこれに限定されるものではない、1種類以上の表面を含む。本発明を実施する上で使用できるよう適合させることが可能な合成ナノキャリアの例として、(1)Grefらに付与された米国特許第5,543,158号明細書に開示された生分解性ナノ粒子、(2)Saltzmanらの米国特許出願公開第20060002852号明細書のポリマーナノ粒子、(3)DeSimoneらの米国特許出願公開第20090028910号明細書のリソグラフィ的に構成したナノ粒子、(4)von Andrianらの国際公開第2009/051837号パンフレットの開示、(5)Penadesらの米国特許出願公開第2008/0145441号明細書に開示されたナノ粒子、(6)de los Riosらの米国特許出願公開第20090226525号明細書に開示されたタンパク質ナノ粒子、(7)Sebbelらの米国特許出願公開第20060222652号明細書に開示されたウイルス様粒子、(8)Bachmannらの米国特許出願公開第20060251677に開示された核酸結合ウイルス様粒子、(9)国際公開第2010047839A1号パンフレットまたは国際公開第2009106999A2号パンフレットに開示されたウイルス様粒子または(10)P. Paolicelli et al., “Surface−modified PLGA−based Nanoparticles that can Efficiently Associate and Deliver Virus−like Particles” Nanomedicine. 5(6):843〜853 (2010)に開示されたナノ沈殿させたナノ粒子があげられる。複数の実施形態では、合成ナノキャリアのアスペクト比が、1:1、1:1.2、1:1.5、1:2、1:3、1:5、1:7を超える、あるいは1:10を超えるものであってもよい。
【0061】
最小寸法が約100nm以下、好ましくは100nm以下の本発明による合成ナノキャリアは、補体を活性化するヒドロキシル基のある表面を含まないか、本質的に補体を活性化するヒドロキシル基ではない部分からなる表面を含む。好ましい実施形態では、最小寸法が約100nm以下、好ましくは100nm以下の本発明による合成ナノキャリアが、補体を実質的に活性化する表面を含まないか、本質的に補体を実質的に活性化する部分からなる表面を含む。一層好ましい実施形態では、最小寸法が約100nm以下、好ましくは100nm以下の本発明による合成ナノキャリアが、補体を活性化する表面を含まないか、本質的に補体を活性化しない部分からなる表面を含む。複数の実施形態では、合成ナノキャリアのアスペクト比が、1:1、1:1.2、1:1.5、1:2、1:3、1:5、1:7を超える、あるいは1:10を超えるものであってもよい。
【0062】
「全身投与量」は、特定のサイトカイン全身放出、好ましくは特定のサイトカイン全身放出プロファイルが得られるアジュバントの投与量を意味する。いくつかの実施形態では、特定のサイトカイン全身放出、好ましくは特定のサイトカイン全身放出プロファイルが、ヒトにおけるものである。複数の実施形態では、本明細書にて提供する組成物および方法(アジュバントの投与量の少なくとも一部がどのナノキャリアにも結合していない)によって、被検体で特定のサイトカイン全身放出プロファイルが得られる。「別々に」という表現は、どの合成ナノキャリアにも結合されないアジュバントを意味するのにも用いる。また、「全身サイトカイン放出プロファイル」は、全身サイトカイン放出のパターンを意味し、このパターンが、いくつかの異なる全身のサイトカインで測定されるサイトカインレベルを含む。いくつかの実施形態では、特定の全身サイトカイン放出プロファイルが、TNF−α、IL−6および/またはIL−12の全身での放出を含む。他の複数の実施形態では、特定の全身サイトカイン放出プロファイルが、IFN−γ、IL12および/またはIL−18の全身での放出を含む。
【0063】
「T細胞抗原」は、T細胞において認識され、免疫反応を惹起する抗原を意味する(たとえば、クラスIまたはクラスIIの主要組織適合性抗原遺伝子複合体分子(MHC)に結合した、あるいはCD1複合体に結合した、抗原またはその一部の提示によってNKT細胞またはT細胞上のT細胞受容体に特異的に認識される抗原)。いくつかの実施形態では、T細胞抗原である抗原が、B細胞抗原でもある。他の複数の実施形態では、T細胞抗原が、B細胞抗原ではない。T細胞抗原は通常、タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドである。T細胞抗原は、CD8+ T細胞応答、CD4+ T細胞応答またはその両方を刺激する抗原であってもよい。したがって、いくつかの実施形態では、ナノキャリアが両方のタイプの応答を効果的に刺激する。
【0064】
いくつかの実施形態では、T細胞抗原が「普遍的」T細胞抗原またはT細胞メモリー抗原である(すなわち、被検体がこれに対してあらかじめ存在するメモリーを有し、無関係のB細胞抗原などの無関係の抗原に対するT細胞のヘルプをブーストする)。普遍的T細胞抗原は、破傷風トキソイドならびに、破傷風トキソイド、エプスタイン・バーウイルスまたはインフルエンザウイルスから誘導される1種類以上のペプチドを含む。また、普遍的T細胞抗原は、ヘマグルチニン、ノイラミニダーゼまたは核タンパク質などのインフルエンザウイルスの成分またはそこから誘導される1種類以上のペプチドも含む。いくつかの実施形態では、普遍的T細胞抗原が、MHC分子との複合体で提示されるものではない。いくつかの実施形態では、普遍的T細胞抗原が、ヘルパーT細胞への提示用にMHC分子との間で複合体化されることがない。したがって、いくつかの実施形態では、普遍的T細胞抗原がヘルパーT細胞抗原ではない。しかしながら、他の実施形態では、普遍的T細胞抗原がヘルパーT細胞抗原である。
【0065】
複数の実施形態では、ヘルパーT細胞抗原が、破傷風トキソイド、エプスタイン・バーウイルス、インフルエンザウイルス、呼吸器多核体ウイルス、麻疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、風疹ウイルス、サイトメガロウイルス、アデノウイルス、ジフテリアトキソイドまたはPADREペプチド(Setteらの米国特許第7,202,351号明細書の研究から知られている)から得られるまたは誘導される1種類以上のペプチドを含むものであってもよい。他の複数の実施形態では、ヘルパーT細胞抗原が、オボアルブミンまたはそこから得られるまたは誘導されるペプチドを含むものであってもよい。好ましくは、オボアルブミンが、受託番号AAB59956、NP_990483.1、AAA48998またはCAA2371のアミノ酸配列を含む。他の複数の実施形態では、オボアルブミンから得られるまたは誘導されるペプチドが、以下のアミノ酸配列を含む: H−Ile−Ser−Gln−Ala−Val−His−Ala−Ala−His−Ala−Glu−Ile−Asn−Glu−Ala−Gly−Arg−OH(配列番号1)。他の複数の実施形態では、ヘルパーT細胞抗原が、α−ガラクトシルセラミド(α−GalCer)、α結合スフィンゴ糖脂質(スフィンゴモナス(Sphingomonas)spp.由来)、ガラクトシルジアシルグリセロール(ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)由来)、リポホスホグリカン(ドノバンリーシュマニア(Leishmania donovani)由来)、ホスファチジルイノシトールテトラマンノシド(PIM4)(マイコバクテリウム・レプレ(Mycobacterium leprae)由来)を含むがこれに限定されるものではない、1種類以上の脂質または糖脂質を含むものであってもよい。ヘルパーT細胞抗原として有用な別の脂質および/または糖脂質については、V. Cerundolo et al., “Harnessing invariant NKT cells in vaccination strategies.” Nature Rev Immun, 9:28〜38 (2009)を参照のこと。
【0066】
複数の実施形態では、CD4+ T細胞抗原が、天然の起源などの起源から得られるCD4+ T細胞抗原の誘導体であってもよい。このような実施形態では、その起源から得られる抗原に対して、MHC IIに結合するペプチドなどのCD4+ T細胞抗原の配列の同一性が、少なくとも70%、80%、90%または95%であってもよい。複数の実施形態では、T細胞抗原、好ましくは普遍的T細胞抗原またはヘルパーT細胞抗原が、合成ナノキャリアと結合してもよいし、合成ナノキャリアからの結合が解除されてもよい。いくつかの実施形態では、普遍的T細胞抗原またはヘルパーT細胞抗原が、発明性のある組成物の合成ナノキャリアにカプセル化される。
【0067】
「Th1免疫反応」は、Th1細胞およびTh1関連サイトカイン、IFN−γ、IL−12および/またはIL−18の産生につながる、あるいは、Th2細胞の分化およびTh2サイトカインの作用と対向する免疫反応を意味する。Th1免疫反応が誘発されるか否かを評価するための方法は、当業者間で周知である。このような方法の例については、以下の実施例にあげておく。
【0068】
「投与とは異なる時点」または「組成物を投与するときとは異なる時点」は、投与前または投与後約30秒間を超える、好ましくは投与前または投与後約1分を超える時点を意味し、より好ましくは投与前または投与後5分を超える時点、なお一層好ましくは投与前または投与後1日を超える時点、さらに一層好ましくは投与前または投与後2日を超え、なお一層好ましくは投与前または投与後1週間を超え、なお一層好ましくは投与前または投与後2週間を超え、なお一層好ましくは投与前または投与後3週間を超え、なお一層好ましくは投与前または投与後1か月を超え、なお一層好ましくは投与前または投与後に2か月を超える。
【0069】
「ワクチン」は、特定の病原体または疾患に対する免疫反応を改善する物質の組成物を意味する。ワクチンは一般に、被検体の免疫系を刺激して特定の抗原を異物として認識し、これを被検体の体内から排除する因子を含有する。また、ワクチンは、それを受ける人が抗原に再曝露された際に、これをすみやかに認識して応答するように免疫「メモリー」を構築する。ワクチンは、予防的(病原体による将来の感染を防止するためなど)であってもよいし、治療的(がん治療用の腫瘍特異的抗原に対するワクチンあるいは、感染症または感染性の疾患の治療用に感染因子から誘導される抗原に対するワクチンなど)であっても構わない。複数の実施形態では、ワクチンが、本発明による剤形を含むものであってもよい。好ましくは、いくつかの実施形態では、これらのワクチンが、どの合成ナノキャリアにも結合されないアジュバントを含む。
【0070】
特定の実施形態では、発明性のある組成物が、toll様受容体(TLR)7&8のアゴニスト(「TLR 7/8アゴニスト」)を含むアジュバントを取り込む。有用なのは、Tomaiらに付与された米国特許第6,696,076号明細書に開示されたTLR 7/8アゴニスト化合物であり、一例として、イミダゾキノリンアミン、イミダゾピリジンアミン、6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミン、1,2−架橋イミダゾキノリンアミンがあげられるが、これに限定されるものではない。好ましいアジュバントは、イミキモドおよびR848を含む。
【0071】
特定の実施形態では、発明性のある組成物が、I型インターフェロンの分泌を誘発し、抗体の産生および細胞傷害性T細胞応答を増すことにつながるT細胞およびB細胞の活性化を刺激する、CpGを含む免疫刺激性DNA分子などのToll様受容体(TLR)−9のリガンドを含むアジュバントを取り込む(Krieg et al., CpG motifs in bacterial DNA trigger direct B cell activation. Nature. 1995. 374:546〜549;Chu et al. CpG oligodeoxynucleotides act as adjuvants that switch on T helper 1 (Th1) immunity. J. Exp. Med. 1997. 186:1623〜1631;Lipford et al. CpG−containing synthetic oligonucleotides promote B and cytotoxic T cell responses to protein antigen: a new class of vaccine adjuvants. Eur. J. Immunol. 1997. 27:2340〜2344;Roman et al. Immunostimulatory DNA sequences function as T helper−1−promoting adjuvants. Nat. Med. 1997. 3:849〜854;Davis et al. CpG DNA is a potent enhancer of specific immunity in mice immunized with recombinant hepatitis B surface antigen. J. Immunol. 1998. 160:870〜876;Lipford et al., Bacterial DNA as immune cell activator. Trends Microbiol. 1998. 6:496〜500。複数の実施形態では、CpGが、ホスホロチオエートリンケージなどの安定性を高めるための修飾あるいは、修飾塩基などの他の修飾を含むものであってもよい。たとえば、米国特許第5,663,153号明細書、同第6,194,388号明細書、同第7,262,286号明細書または同第7,276,489号明細書を参照のこと。特定の実施形態では、耐性ではなく免疫を刺激するために、本明細書にて提供する組成物が、DCの成熟(T細胞を刺激するのに必要)および抗体の応答および抗ウイルス免疫を刺激する、I型インターフェロンなどのサイトカインの産生を促進するアジュバントを取り込む。いくつかの実施形態では、アジュバントが、細菌のリポ多糖(LPS)、VSV−Gおよび/またはHMGB−1などのTLR−4アゴニストを含む。いくつかの実施形態では、アジュバントが、細胞によって放出され、細胞間相互作用、他の細胞のコミュニケーションおよび挙動に特定の効果を有する小さなタンパク質または生物学的因子(5kD〜20kDの範囲)であるサイトカインを含む。いくつかの実施形態では、アジュバントが、ネクローシス細胞から放出される炎症誘発性刺激物質(尿酸結晶など)を含む。いくつかの実施形態では、アジュバントが、補体カスケード活性成分(CD21、CD35など)を含む。いくつかの実施形態では、アジュバントが、免疫複合体の活性成分を含む。アジュバントとしては、CD21またはCD35に結合する分子など、補体受容体アゴニストを含むものもあげられる。いくつかの実施形態では、補体受容体アゴニストが、ナノキャリアの内在性補体オプソニン化を誘発する。アジュバントとしては、サイトカインなど、サイトカイン受容体アゴニストを含むものもあげられる。
【0072】
いくつかの実施形態では、サイトカイン受容体アゴニストが、小分子、抗体、融合タンパク質またはアプタマーである。複数の実施形態では、アジュバントは、dsRNAまたはpoly I:C(TLR3刺激物質)および/またはF. Heil et al., “Species−Specific Recognition of Single−Stranded RNA via Toll−like Receptor 7 and 8” Science 303(5663), 1526〜1529 (2004);J. Vollmer et al., “Immune modulation by chemically modified ribonucleosides and oligoribonucleotides”国際公開第2008033432A2号パンフレット;A. Forsbachら、“Immunostimulatory oligoribonucleotides containing specific sequence motif(s) and targeting the Toll−like receptor 8 pathway”国際公開第2007062107A2号パンフレット;E. Uhlmannら、“Modified oligoribonucleotide analogs with enhanced immunostimulatory activity”米国特許出願公開第2006241076号明細書;G. Lipfordら、“Immunostimulatory viral RNA oligonucleotides and use for treating cancer and infections”国際公開第2005097993A2号パンフレット;G. Lipfordら、“Immunostimulatory G,U−containing oligoribonucleotides, compositions, and screening methods”国際公開第2003086280A2号パンフレットに開示されているものなどであるがこれに限定されるものではない、免疫刺激性RNA分子を含むものであってもよい。
【0073】
いくつかの実施形態では、アジュバントが、ゲルタイプのアジュバント(水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウムなど)、微生物アジュバント(CpGモチーフを含む免疫調節性DNA配列;免疫刺激性RNA分子;モノホスホリルリピドAなどの内毒素;コレラ毒素、エシェリキア・コリ(E.coli)熱不安定性毒素、百日咳毒素などの外毒素;ムラミルジペプチドなど);オイルエマルションおよび乳化剤ベースのアジュバント(フロイントアジュバント、MF59[Novartis]、SAFなど);粒子状アジュバント(リポソーム、生分解性ミクロスフェア、サポニンなど);合成アジュバント(非イオン性ブロックコポリマー、ムラミルペプチド類似物、ポリホスファゼン、合成ポリヌクレオチドなど)および/またはこれらの組み合わせを含む。
【0074】
合成ナノキャリア組成物
多岐にわたる合成ナノキャリアを、本発明に従って使用可能である。いくつかの実施形態では、合成ナノキャリアが、球形または回転楕円形である。いくつかの実施形態では、合成ナノキャリアが、平坦または板状である。いくつかの実施形態では、合成ナノキャリアが立方体形、直方体形または立方体である。いくつかの実施形態では、合成ナノキャリアが、卵形または長円形である。いくつかの実施形態では、合成ナノキャリアが、円柱形、錐形または角錐形である。
【0075】
いくつかの実施形態では、各合成ナノキャリアの特性が、合成ナノキャリアの総数に対して、たとえば合成ナノキャリアの少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%の範囲で類似し、最小寸法または最大寸法が、合成ナノキャリアの平均直径または平均寸法の5%、10%または20%に入り得るように、大きさ、形状および/または組成が比較的均一な合成ナノキャリアの集合を用いることが望ましい。いくつかの実施形態では、合成ナノキャリアの集合が、大きさ、形状および/または組成の点で、異種であってもよい。
【0076】
合成ナノキャリアは、中実であっても中空であっても構わない。また、1種類以上の層を含むことも可能である。いくつかの実施形態では、各層が、他の層と比較して、組成が一意で特性も一意である。ひとつではない例をあげると、合成ナノキャリアは、コア/シェル構造を持つものであってもよく、この場合、コアが一方の層(ポリマーコアなど)で、シェルが第2の層(脂質の二重膜または単分子膜など)である。合成ナノキャリアは、複数の異なる層を含むものであってもよい。
【0077】
いくつかの実施形態では、合成ナノキャリアは、任意に1種類以上の脂質を含むものであってもよい。いくつかの実施形態では、合成ナノキャリアが、リポソームを含むものであってもよい。いくつかの実施形態では、合成ナノキャリアが、脂質の二重膜を含むものであってもよい。いくつかの実施形態では、合成ナノキャリアが、脂質の単分子膜を含むものであってもよい。いくつかの実施形態では、合成ナノキャリアが、ミセルを含むものであってもよい。いくつかの実施形態では、合成ナノキャリアが、脂質層に囲まれたポリマーマトリクスを含むコアを含むものであってもよい(たとえば、脂質の二重膜、脂質の単分子膜、など)。いくつかの実施形態では、合成ナノキャリアが、脂質層(たとえば、脂質の二重膜、脂質の単分子膜など)に囲まれた非ポリマーコア(たとえば、金属粒子、量子ドット、セラミック粒子、骨粒子、ウイルス粒子、タンパク質、核酸、炭水化物など)を含むものであってもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、合成ナノキャリアが、1種類以上のポリマーまたはポリマーマトリクスを含むことも可能である。いくつかの実施形態では、このようなポリマーまたはポリマーマトリクスを、コーティング層(たとえば、リポソーム、脂質の単分子膜、ミセルなど)で囲むことが可能である。いくつかの実施形態では、合成ナノキャリアのさまざまな要素をポリマーまたはポリマーマトリクスと結合させることが可能である。
【0079】
いくつかの実施形態では、標的部分、オリゴヌクレオチド、抗原、アジュバントなどの要素を、共有結合的に、ポリマーマトリクスと関連させることが可能である。いくつかの実施形態では、共有結合での関連付けが、リンカーを介在してなされる。いくつかの実施形態では、要素を、非共有結合的に、ポリマーマトリクスと関連させることが可能である。たとえば、いくつかの実施形態では、要素を、ポリマーマトリクス内にカプセル化、ポリマーマトリクスで囲むおよび/またはポリマーマトリクス全体に分散させることが可能である。上記に代えてまたは上記に加えて、要素を、疎水性相互作用、電荷相互作用、ファンデルワールス力などによって、ポリマーマトリクスと関連させることが可能である。
【0080】
多岐にわたるポリマーならびに、そこからポリマーマトリクスを形成するための方法が、従来技術において知られている。通常、ポリマーマトリクスは、1種類以上のポリマーを含む。ポリマーは、天然ポリマーであっても非天然の(合成の)ポリマーであってもよい。ポリマーは、ホモポリマーであっても、2種類以上のモノマーを含むコポリマーであってもよい。配列に関しては、コポリマーは、ランダムであってもブロックであってもよく、ランダム配列とブロック配列の組み合わせを含むものであってもよい。通常、本発明によるポリマーは、有機ポリマーである。
【0081】
本発明で使用するのに適したポリマーの例として、ポリエチレン、ポリカーボネート(ポリ(1,3−ジオキサン−2オン)など)、ポリ酸無水物(ポリ(セバシン酸無水物)など)、ポリプロピルフマラート、ポリアミド(ポリカプロラクタムなど)、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリエステル(ポリラクチド、ポリグリコライド、ポリラクチド−co−グリコライド、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシ酸(ポリ(β−ヒドロキシアルカノアート)など)など、ポリ(オルトエステル)、ポリシアノアクリラート、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリホスファゼン、ポリアクリラート、ポリメタクリラート、ポリウレア、ポリスチレン、ポリアミン、ポリリジン、ポリリジン−PEGコポリマー、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(エチレンイミン)−PEGコポリマーがあげられるが、これに限定されるものではない。
【0082】
いくつかの実施形態では、本発明によるポリマーが、米国食品医薬品局(FDA)によって、連邦規則集第21巻177条2600項に準拠して人間での使用が承認されたポリマーを含み、一例として、ポリエステル(ポリ乳酸、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)、ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(1,3−ジオキサン−2オン)など);ポリ酸無水物(ポリ(セバシン酸無水物)など);ポリエーテル(ポリエチレングリコールなど);ポリウレタン;ポリメタクリラート;ポリアクリラート;ポリシアノアクリラートがあげられるが、これに限定されるものではない。
【0083】
いくつかの実施形態では、ポリマーが親水性であり得る。たとえば、ポリマーは、アニオン基(リン酸基、硫酸基、カルボン酸基など);カチオン基(四級アミン基など);または極性基(ヒドロキシル基、チオール基、アミン基など)を含むものであってもよい。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーマトリクスを含む合成ナノキャリアが、合成ナノキャリア内で親水性の環境を作り出す。いくつかの実施形態では、ポリマーが疎水性であっても構わない。いくつかの実施形態では、疎水性のポリマーマトリクスを含む合成ナノキャリアが、合成ナノキャリア内で疎水性の環境を作り出す。ポリマーに親水性を選択するか疎水性を選択するかで、合成ナノキャリア内に取り込まれる(たとえば結合される)材料の性質に影響することがある。
【0084】
いくつかの実施形態では、1種類以上の部分および/または官能基でポリマーを修飾してもよい。本発明に従って、多岐にわたる部分または官能基を用いることが可能である。いくつかの実施形態では、多糖から誘導される、ポリエチレングリコール(PEG)、炭水化物および/または非環式ポリアセタールでポリマーを修飾してもよい(Papisov, 2001, ACS Symposium Series, 786:301)。Grefらに付与された米国特許第5543158号明細書またはVon Andrianらの国際公開第2009/051837号パンフレットに記載された概略的な教示内容を使用して、特定の実施形態を形成してもよい。
【0085】
いくつかの実施形態では、脂質または脂肪酸基でポリマーを修飾してもよい。いくつかの実施形態では、脂肪酸基は、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸またはリグノセリン酸のうちの1種類以上であってもよい。いくつかの実施形態では、脂肪酸基が、パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、α−リノール酸、γ−リノール酸、アラキドン酸、ガドレイン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸またはエルカ酸のうちの1種類以上であってもよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、ポリマーが、本明細書では「PLGA」と総称するポリ(乳酸−co−グリコール酸)およびポリ(ラクチド−co−グリコライド)などの乳酸およびグリコール酸単位を含むコポリマー;本明細書では「PGA」と呼ぶグリコール酸単位ならびに、本明細書では「PLA」と総称するポリ−L−乳酸、ポリ−D−乳酸、ポリ−D,L−乳酸、ポリ−L−ラクチド、ポリ−D−ラクチド、ポリ−D,L−ラクチドなどの乳酸単位を含むホモポリマーをはじめとするポリエステルであってもよい。いくつかの実施形態では、例としてのポリエステルが、たとえば、ポリヒドロキシ酸;PEGコポリマーならびに、ラクチドおよびグリコライドのコポリマー(たとえば、PLA−PEGコポリマー、PGA−PEGコポリマー、PLGA−PEGコポリマー、これらの誘導体があげられる。いくつかの実施形態では、ポリエステルが、たとえば、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(カプロラクトン)−PEGコポリマー、ポリ(L−ラクチド−co−L−リジン)、ポリ(セリンエステル)、ポリ(4−ヒドロキシ−L−プロリンエステル)、ポリ[α−(4−アミノブチル)−L−グリコール酸]、これらの誘導体を含む。
【0087】
いくつかの実施形態では、ポリマーがPLGAであってもよい。PLGAは、乳酸とグリコール酸の生体適合性かつ生分解性のコポリマーであり、さまざまな形態のPLGAが、乳酸:グリコール酸の比で特徴付けられる。乳酸には、L−乳酸、D−乳酸またはD,L−乳酸が可能である。この乳酸:グリコール酸比を変えることで、PLGAの分解率を変化させることが可能である。いくつかの実施形態では、本発明に基づいて使用されるPLGAが、乳酸:グリコール酸比約85:15、約75:25、約60:40、約50:50、約40:60、約25:75または約15:85であることを特徴とする。
【0088】
いくつかの実施形態では、ポリマーが、1種類以上のアクリルポリマーであってもよい。特定の実施形態では、アクリルポリマーが、たとえば、アクリル酸およびメタクリル酸コポリマー、メタクリル酸メチルコポリマー、メタクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸シアノエチル、メタクリル酸アミノアルキルコポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミドコポリマー、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸無水物)、メタクリル酸メチル、ポリメタクリラート、ポリ(メタクリル酸メチル)コポリマー、ポリアクリルアミド、メタクリル酸アミノアルキルコポリマー、メタクリル酸グリシジルコポリマー、アクリル酸ポリシアノ、上記のポリマー1種類以上を含む組み合わせを含む。アクリルポリマーは、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルと低含有量の四級アンモニウム基との完全に重合化されたコポリマーを含むものであってもよい。
【0089】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、カチオンポリマーであっても構わない。通常、カチオンポリマーは、核酸の負に荷電した鎖(DNAまたはその誘導体など)を凝縮させるおよび/または保護する。ポリ(リジン)などのアミン含有ポリマー(Zauner et al., 1998, Adv. Drug Del. Rev., 30:97;およびKabanov et al., 1995, Bioconjugate Chem., 6:7)、ポリ(エチレンイミン)(PEI;Boussif et al., 1995, Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 1995, 92:7297)、およびポリ(アミドアミン)デンドリマー(Kukowska−Latallo et al., 1996, Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 93:4897;Tang et al., 1996, Bioconjugate Chem., 7:703;およびHaensler et al., 1993, Bioconjugate Chem., 4:372)は、生理学的pHで正に荷電し、核酸との間でイオン対を形成し、多岐にわたる細胞系でのトランスフェクションを媒介する。複数の実施形態では、発明性のある合成ナノキャリアが、カチオンポリマーを含まないものであってもよい(または除外するものであってもよい)。
【0090】
いくつかの実施形態では、ポリマーが、カチオン側鎖を持つ分解可能なポリエステルであっても構わない(Putnam et al., 1999, Macromolecules, 32:3658;Barrera et al., 1993, J. Am. Chem. Soc., 115:11010;Kwon et al., 1989, Macromolecules, 22:3250;Lim et al., 1999, J. Am. Chem. Soc., 121:5633;およびZhou et al., 1990, Macromolecules, 23:3399)。これらのポリエステルの例として、ポリ(L−ラクチド−co−L−リジン)(Barrera et al., 1993, J. Am. Chem. Soc., 115:11010)、ポリ(セリンエステル)(Zhou et al., 1990, Macromolecules, 23:3399)、ポリ(4−ヒドロキシ−L−プロリンエステル)(Putnam et al., 1999, Macromolecules, 32:3658;およびLim et al., 1999, J. Am. Chem. Soc., 121:5633)、ポリ(4−ヒドロキシ−L−プロリンエステル)(Putnam et al., 1999, Macromolecules, 32:3658;およびLim et al., 1999, J. Am. Chem. Soc., 121:5633)があげられる。
【0091】
これらのポリマーおよび他のポリマーの特性ならびに、その調製方法は、従来技術において周知である(米国特許第6,123,727号明細書;同第5,804,178号明細書;同第5,770,417号明細書;同第5,736,372号明細書;同第5,716,404号明細書;同第6,095,148号明細書;同第5,837,752号明細書;同第5,902,599号明細書;同第5,696,175号明細書;同第5,514,378号明細書;同第5,512,600号明細書;同第5,399,665号明細書;同第5,019,379号明細書;同第5,010,167号明細書;同第4,806,621号明細書;同第4,638,045号明細書;同第4,946,929号明細書;Wang et al., 2001, J. Am. Chem. Soc., 123:9480;Lim et al., 2001, J. Am. Chem. Soc., 123:2460;Langer, 2000, Acc. Chem. Res., 33:94; Langer, 1999, J. Control. Release, 62:7;およびUhrich et al., 1999, Chem. Rev., 99:3181などを参照のこと)。さらに一般的には、特定の好適なポリマーを合成するための多岐にわたる方法が、Concise Encyclopedia of Polymer Science and Polymeric Amines and Ammonium Salts, Ed. by Goethals, Pergamon Press, 1980; Principles of Polymerization by Odian, John Wiley & Sons, Fourth Edition, 2004;Contemporary Polymer Chemistry by Allcock et al., Prentice−Hall, 1981;Deming et al., 1997, Nature, 390:386;および米国特許第6,506,577号明細書、同第6,632,922号明細書、同第6,686,446号明細書、同第6,818,732号明細書に記載されている。
【0092】
いくつかの実施形態では、ポリマーが、直鎖状ポリマーであっても分枝状ポリマーであっても構わない。いくつかの実施形態では、ポリマーがデンドリマーであっても構わない。いくつかの実施形態では、ポリマーが、互いに実質的に架橋されていても構わない。いくつかの実施形態では、ポリマーが、実質的に架橋を含まないものであって構わない。いくつかの実施形態では、ポリマーを、架橋ステップを通すことなく本発明に基づいて使用可能である。また、発明性のある合成ナノキャリアが、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、上記のいずれかおよび他のポリマーのブレンド、混合物および/またはアダクトを含むものであってもよいことは、理解できよう。本明細書に列挙したポリマーが、一例であって包括的ではない、本発明に従って使用可能なポリマーのリストを示すものであることは、当業者であれば認識するであろう。
【0093】
いくつかの実施形態では、合成ナノキャリアが、1種類以上のポリマーを含む。したがって、ポリマー合成ナノキャリアは、1種類以上の親水性成分を有するものを含むがこれに限定されるものではない、Von Andrianらによる国際公開第2009/051837号パンフレットに記載されたものも含み得る。好ましくは、1種類以上のポリマーが、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)またはポリカプロラクトンなどのポリエステルを含む。より好ましくは、1種類以上のポリマーが、ポリエーテルなど、親水性ポリマーに結合したポリエステルを含むまたはさらに含む。複数の実施形態では、ポリエーテルが、ポリエチレングリコールを含む。なお一層好ましくは、1種類以上のポリマーが、ポリエステルならびに、ポリエーテルなどの親水性ポリマーに結合したポリエステルを含む。他の複数の実施形態では、1種類以上のポリマーが、1種類以上の抗原および/または1種類以上のアジュバントと結合されている。複数の実施形態では、少なくともいくつかのポリマーが抗原と結合されているおよび/または少なくともいくつかのポリマーがアジュバントと結合されている。好ましくは、2つ以上のタイプのポリマーがある場合、そのうち1つのタイプのポリマーが、抗原に結合される。複数の実施形態では、他のタイプのうちの1タイプのポリマーが、アジュバントに結合される。たとえば、複数の実施形態で、ナノキャリアが、ポリエステルと、ポリエーテルなどの親水性ポリマーに結合されたポリエステルを含む場合、ポリエステルがアジュバントに結合され、かたやポリエーテルなどの親水性ポリマーに結合されたポリエステルが、抗原に結合される。複数の実施形態では、ナノキャリアがヘルパーT細胞抗原を含む場合、Tヘルパー細胞抗原をナノキャリアにカプセル化することが可能である。
【0094】
いくつかの実施形態では、合成ナノキャリアが、ポリマー成分を含まないものであってもよい。いくつかの実施形態では、合成ナノキャリアが、金属粒子、量子ドット、セラミック粒子などを含むものであってもよい。いくつかの実施形態では、非ポリマーの合成ナノキャリアが、金属原子(金原子など)の凝集体など、非ポリマー成分の凝集体である。
【0095】
いくつかの実施形態では、合成ナノキャリアは、任意に、1種類以上の両親媒体を含むものであってもよい。いくつかの実施形態では、両親媒体が、安定性が増した合成ナノキャリア、均一性が増した合成ナノキャリアまたは粘度が増した合成ナノキャリアの生成を促進可能である。いくつかの実施形態では、両親媒体が、脂質膜の内面(脂質の二重膜、脂質の単分子膜など)と関連したものであっても構わない。従来技術において知られている多くの両親媒体が、本発明による合成ナノキャリアの作製に用いるのに適している。このような両親媒体としては、ホスホグリセリド;ホスファチジルコリン;ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC);ジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE);ジオレイルオキシプロピルトリエチルアンモニウム(DOTMA);ジオレオイルホスファチジルコリン;コレステロール;コレステロールエステル;ジアシルグリセロール;ジアシルグリセロールスクシナート;ジホスファチジルグリセロール(DPPG);ヘキサンデカノール;ポリエチレングリコール(PEG)などの脂肪アルコール;ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル;パルミチン酸またはオレイン酸などの表面活性脂肪酸;脂肪酸;脂肪酸モノグリセリド;脂肪酸ジグリセリド;脂肪酸アミド;トリオレイン酸ソルビタン(Span(登録商標)85)グリココーラート;モノラウリン酸ソルビタン(Span(登録商標)20);ポリソルベート20(Tween(登録商標)20);ポリソルベート60(Tween(登録商標)60);ポリソルベート65(Tween(登録商標)65);ポリソルベート80(Tween(登録商標)80);ポリソルベート85(Tween(登録商標)85);モノステアリン酸ポリオキシエチレン;サーファクチン;ポロキサマー;トリオレイン酸ソルビタンなどのソルビタン脂肪酸エステル;レシチン;リゾレシチン;ホスファチジルセリン;ホスファチジルイノシトール;スフィンゴミエリン;ホスファチジルエタノールアミン(セファリン);カルジオリピン;ホスファチジン酸;セレブロシド;ジセチルホスファート;ジパルミトイルホスファチジルグリセロール;ステアリルアミン;ドデシルアミン;ヘキサデシル−アミン;パルミチン酸アセチル;リシノール酸グリセロール;ステアリン酸ヘキサデシル;ミリスチン酸イソプロピル;チロキサポール;ポリ(エチレングリコール)5000−ホスファチジルエタノールアミン;ポリ(エチレングリコール)400−モノステアラート;リン脂質;界面活性剤特性の高い合成および/または天然の洗剤;デオキシコーラート;シクロデキストリン;カオトロピック塩;イオンペア試薬;これらの組み合わせがあげられるが、これに限定されるものではない。両親媒体成分は、異なる両親媒体の混合物であってもよい。これが界面活性剤活性を有する物質の一例であって包括的ではないリストであることは、当業者であれば認識するであろう。本発明に従って用いる合成ナノキャリアの製造時には、どのような両親媒体を用いてもよい。
【0096】
いくつかの実施形態では、合成ナノキャリアが、任意に、1種類以上の炭水化物を含むものであってもよい。炭水化物は、天然であっても合成であってもよい。炭水化物は、誘導体化した天然の炭水化物であってもよい。特定の実施形態では、炭水化物が、グルコース、フルクトース、ガラクトース、リボース、ラクトース、スクロース、マルトース、トレハロース、セロビオース、マンノース、キシロース、アラビノース、グルクロン酸、ガラクツロン酸、マンヌロン酸、グルコサミン、ガラクトサミン、ノイラミン酸などであるがこれに限定されるものではない、単糖または二糖を含む。特定の実施形態では、炭水化物が、プルラン、セルロース、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシセルロース(HC)、メチルセルロース(MC)、デキストラン、シクロデキストラン、グリコーゲン、スターチ、ヒドロキシエチルスターチ、カラギーナン、グリコン、アミロース、キトサン、N,O−カルボキシルメチルキトサン、アルギンおよびアルギン酸、スターチ、キチン、ヘパリン、イヌリン、コンニャク、グルコマンナン、プスツラン、ヘパリン、ヒアルロン酸、カードラン、キサンタンなどであるがこれに限定されるものではない、多糖である。複数の実施形態では、発明性のある合成ナノキャリアが、多糖などの炭水化物を含まない(または特異的に排除する)。特定の実施形態では、炭水化物が、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、ラクチトールを含むがこれに限定されるものではない、糖アルコールなどの炭水化物誘導体を含むものであってもよい。
【0097】
本発明による組成物は、発明性のある合成ナノキャリアを、保存剤、緩衝液、生理食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水などの薬学的に許容可能な賦形剤との組み合わせで含む。この組成物を、従来の製薬・配合技術で製造して、有用な剤形を得るようにしてもよい。一実施形態では、発明性のある合成ナノキャリアを、保存剤と一緒に注射用の滅菌生理食塩水溶液に懸濁させる。
【0098】
複数の実施形態では、合成ナノキャリアを、ワクチンで使用する因子(抗原またはアジュバントなど)用のキャリアとして調製する場合、因子を合成ナノキャリアにカップリングする方法が有用な場合がある。因子が小分子であれば、合成ナノキャリアを構築する前にこの因子をポリマーに結合させると有利な場合がある。複数の実施形態では、因子をポリマーに結合した上で、このポリマーコンジュゲートを合成ナノキャリアの作製に用いるのではなく、表面基を用いて因子を合成ナノキャリアに結合するのに用いられる表面基を有する合成ナノキャリアを調製すると有利な場合がある。因子を合成ナノキャリアに結合させる目的で、多岐にわたる反応を利用することが可能である。
【0099】
特定の実施形態では、カップリングを共有結合リンカーとすることが可能である。複数の実施形態では、本発明によるペプチドを、外面に、アルキン基を有する抗原またはアジュバントを有するナノキャリア表面のアジド基の1,3−双極子付加環化反応によって、あるいは、アジド基を含有する抗原またはアジュバントを有するナノキャリア表面のアルキンの1,3−双極子付加環化反応によって形成される1,2,3−トリアゾールリンカーを介して共有結合的に結合させることが可能である。このような環化付加反応は、好ましくは、好適なCu(I)−リガンドならびに、Cu(II)化合物を触媒活性Cu(I)化合物に還元するための還元剤とともに、Cu(I)触媒の存在下で実施される。このCu(I)触媒アジド−アルキン環化付加(CuAAC)も、クリック反応と呼ばれる。
【0100】
また、共有結合のカップリングは、アミドリンカー、ジスルフィドリンカー、チオエーテルリンカー、ヒドラゾンリンカー、ヒドラジドリンカー、イミンまたはオキシムリンカー、尿素またはチオ尿素リンカー、アミジンリンカー、アミンリンカー、スルホンアミドリンカーを含む共有結合リンカーを含むものであってもよい。
【0101】
アミドリンカーは、抗原またはアジュバントなどの一方の成分のアミンと、ナノキャリアなどの第2の成分のカルボン酸基とのアミド結合によって形成される。リンカーのアミド結合については、好適に保護したアミノ酸または抗原またはアジュバントとN−ヒドロキシスクシンイミド活性化エステルなどの活性化カルボン酸とを用いる、従来のアミド結合形成反応のいずれかを用いて形成可能である。
【0102】
ジスルフィドリンカーは、たとえばR
1−S−S−R
2形の2つの硫黄原子間にジスルフィド(S−S)結合が作られることによって形成される。ジスルフィド結合は、チオール/メルカプタン基(−SH)を含有する抗原またはアジュバントと、ポリマーまたはナノキャリア上の別の活性化チオール基とのチオール交換、あるいは、チオール/メルカプタン基を含有するナノキャリアと活性化チオール基を含有する抗原またはアジュバントとのチオール交換によって形成可能である。
【0103】
トリアゾールリンカー、特に
【化1】
(式中、R
1およびR
2は、どのような化学的実体であってもよい)形態の1,2,3−トリアゾールは、ナノキャリアなどの第1の成分に結合したアジドとペプチドなどの第2の成分に結合した末端アルキンとの1,3−双極子付加環化反応によって形成される。1,3−双極子付加環化反応は、触媒を用いてまたは用いずに、好ましくは、1,2,3−トリアゾール官能基によって2つの成分を結合するCu(I)触媒を用いて実施される。この化学については、Sharpless et al., Angew. Chem. Int. Ed. 41(14), 2596, (2002)およびMeldal, et al, Chem. Rev., 2008, 108(8), 2952〜3015に詳細に記載され、「クリック」反応またはCuAACと呼ばれることも多い。
【0104】
複数の実施形態では、ポリマー鎖の末端にアジドまたはアルキン基を含有するポリマーを調製する。その上で、このポリマーを用いて、複数のアルキンまたはアジド基が、ナノキャリアの表面に位置するように合成ナノキャリアを調製する。あるいは、別の経路で合成ナノキャリアを調製した後、アルキンまたはアジド基で官能化することも可能である。アルキン(ポリマーがアジドを含有する場合)またはアジド(ポリマーがアルキンを含有する場合)基の存在下で、抗原またはアジュバントを調製する。次に、抗原またはアジュバントを1,4−二置換1,2,3−トリアゾールリンカーによって粒子に共有結合的に結合する触媒を使用するか使用せずに、1,3−双極子付加環化反応によって抗原またはアジュバントをナノキャリアと反応させる。
【0105】
たとえばR
1−S−R
2の形態の硫黄−炭素(チオエーテル)結合を形成することで、チオエーテルリンカーが形成される。チオエーテルについては、抗原またはアジュバントなど一成分上のチオール/メルカプタン(−SH)基とナノキャリアなどの第2の成分上のエポキシドまたはハロゲン化物などのアルキル化基とのいずれかのアルキル化によって形成可能である。チオエーテルリンカーは、抗原またはアジュバントなどの一成分上のチオール/メルカプタン基を、マイケル付加反応のアクセプターとしてマレイミド基またはビニルスルホン基を含有するポリマーなどの第2の成分上の電子欠損アルケン基にマイケル付加することによっても形成可能なものである。もうひとつの方法では、チオエーテルリンカーを、抗原またはアジュバントなどの一成分上のチオール/メルカプタン基とポリマーまたはナノキャリアなどの第2の成分上のアルケン基とのラジカルチオール−エン反応によって調製することも可能である。
【0106】
ヒドラゾンリンカーは、抗原またはアジュバントなどの一成分上のヒドラジド基とナノキャリアなどの第2の成分上のアルデヒド/ケトン基との反応によって形成される。
【0107】
ヒドラジドリンカーは、抗原またはアジュバントなどの一成分上のヒドラジン基とナノキャリアなどの第2の成分上のカルボン酸基との反応によって形成される。このような反応は通常、活性化用試薬でカルボン酸を活性化させるアミド結合の形成に似た化学を用いてなされる。
【0108】
イミンまたはオキシムリンカーは、抗原またはアジュバントなどの一成分上のアミンまたはN−アルコキシアミン(またはアミノオキシ)基とナノキャリアなどの第2の成分上のアルデヒドまたはケトン基との反応によって形成される。
【0109】
尿素またはチオ尿素リンカーは、抗原またはアジュバントなどの一成分とナノキャリアなどの第2の成分上のイソシアナートまたはチオイソシアナート基との反応によって調製される。
【0110】
アミジンリンカーは、抗原またはアジュバントなどの一成分とナノキャリアなどの第2の成分上のイミドエステル基との反応によって調製される。
【0111】
アミンリンカーは、抗原またはアジュバントなどの一成分とナノキャリアなどの第2の成分上のハロゲン化物、エポキシドまたはスルホン酸エステル基などのアルキル化基とのアルキル化反応によって形成される。あるいは、アミンリンカーは、抗原またはアジュバントなどの一成分とナノキャリアなどの第2の成分上のアルデヒドまたはケトン基とを、シアノ水素化ホウ素ナトリウムまたはトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムなどの好適な還元試薬を用いて還元アミノ化することによっても形成可能である。
【0112】
スルホンアミドリンカーは、抗原またはアジュバントなどの一成分とナノキャリアなどの第2の成分上のハロゲン化スルホニル(塩化スルホニルなど)基との反応によって形成される。
【0113】
スルホンリンカーは、求核剤をビニルスルホンにマイケル付加することで形成される。ビニルスルホンまたは求核剤のいずれかが、ナノ粒子の表面にあるか、抗原またはアジュバントに結合されていてもよい。
【0114】
抗原またはアジュバントを、非共有結合コンジュゲーション法によってナノキャリアにコンジュゲートすることも可能である。たとえば、負に荷電した抗原またはアジュバントを、静電吸着によって正に荷電したナノキャリアにコンジュゲートすることが可能である。金属リガンドを含有する抗原またはアジュバントを、金属−リガンド複合体によって、金属複合体を含有するナノキャリアにコンジュゲートすることも可能である。
【0115】
複数の実施形態では、抗原またはアジュバントを、合成ナノキャリアの構築前にポリ乳酸−ブロック−ポリエチレングリコールなどのポリマーに結合することが可能であり、あるいは、その表面上の反応性基または活性化可能な基を用いて、合成ナノキャリアを形成することも可能である。後者の場合、合成ナノキャリアの表面によって提示される結合化学と適合する基を用いて、抗原またはアジュバントを調製する。他の複数の実施形態では、好適なリンカーを用いて、ペプチド抗原などの因子をVLPまたはリポソームに結合可能である。リンカーとは、2つの分子を結合することが可能な化合物または試薬である。一実施形態では、リンカーが、Hermanson 2008に記載されているようなホモ二官能性であってもヘテロ二官能性試薬であっても構わない。たとえば、表面にカルボキシル基を含有するVLPまたはリポソーム合成ナノキャリアを、EDCの存在下にてホモ二官能性リンカーであるアジピン酸ジヒドラジド(ADH)で処理し、ADHリンカーを有する対応する合成ナノキャリアを形成することが可能である。こうして得られたADH結合合成ナノキャリアを、NC上のADHリンカーの他端を介して酸基を含有する因子とコンジュゲートし、対応するVLPまたはリポソームペプチドコンジュゲートを形成する。
【0116】
利用可能なコンジュゲーション法の詳細な説明については、Hermanson G T “Bioconjugate Techniques”, 第2版、Academic Press, Inc.出版、2008を参照のこと。共有結合での結合に加えて、予め形成した合成ナノキャリアに吸着させることで抗原および/またはアジュバントを結合することが可能であり、あるいは、合成ナノキャリア形成時のカプセル化によってこれ(ら)を結合することも可能である。
【0117】
組成物を作成および使用する方法ならびに関連の方法
合成ナノキャリアについては、従来技術において知られている多岐にわたる方法で調製すればよい。たとえば、合成ナノキャリアは、ナノ沈殿、流体用の流路を用いるフローフォーカシング、噴霧乾燥、シングルおよびダブルエマルション溶媒蒸発、溶媒抽出、相分離、ミリング、マイクロエマルション法、マイクロファブリケーション、ナノファブリケーション、犠牲層、単純コアセルベーションおよび複合コアセルベーション、当業者間で周知の他の方法などの方法で形成可能なものである。上記に代えてまたは上記に加えて、単分散半導体、導電性ナノ材料、磁性ナノ材料、有機ナノ材料、その他のナノ材料用の水性溶媒および有機溶媒の合成について、記載されている(Pellegrino et al., 2005, Small, 1:48; Murray et al., 2000, Ann. Rev. Mat. Sci., 30:545; and Trindade et al., 2001, Chem. Mat., 13:3843)。別の方法が、文献に記載されている(たとえば、Doubrow, Ed., “Microcapsules and Nanoparticles in Medicine and Pharmacy,” CRC Press, Boca Raton, 1992;Mathiowitz et al., 1987, J. Control. Release, 5:13;Mathiowitz et al., 1987, Reactive Polymers, 6:275;およびMathiowitz et al., 1988, J. Appl. Polymer Sci., 35:755、米国特許第5578325号明細書および同第6007845号明細書;P. Paolicelli et al., “Surface−modified PLGA−based Nanoparticles that can Efficiently Associate and Deliver Virus−like Particles” Nanomedicine. 5(6):843〜853 (2010)を参照のこと)。
【0118】
C. Astete et al., “Synthesis and characterization of PLGA nanoparticles” J. Biomater. Sci. Polymer Edn, Vol. 17, No. 3, pp.247〜289 (2006);K. Avgoustakis “Pegylated Poly(Lactide) and Poly(Lactide−Co−Glycolide) Nanoparticles: Preparation, Properties and Possible Applications in Drug Delivery” Current Drug Delivery 1:321〜333 (2004);C. Reis et al., “Nanoencapsulation I. Methods for preparation of drug−loaded polymeric nanoparticles” Nanomedicine 2:8〜21 (2006);P. Paolicelli et al., “Surface−modified PLGA−based Nanoparticles that can Efficiently Associate and Deliver Virus−like Particles” Nanomedicine. 5(6):843〜853 (2010)を含むがこれに限定されるものではない多岐にわたる方法を使用して、さまざまな材料を、必要に応じて合成ナノキャリアにカプセル化すればよい。オリゴヌクレオチドなどの材料を合成ナノキャリアにカプセル化するのに適した他の方法を使用してもよく、限定することなく、Ungerに付与された米国特許第6,632,671号明細書(2003年10月14日)に開示された方法があげられる。
【0119】
特定の実施形態では、ナノ沈殿プロセスまたは噴霧乾燥によって、合成ナノキャリアを調製する。合成ナノキャリアの調製に用いる条件については、所望の大きさまたは特性(たとえば、疎水性、親水性、外側の形態、「貼り付き度」、形状など)の粒子が得られるように変えてもよい。合成ナノキャリアを調製する方法および使用する条件(たとえば、溶媒、温度、濃度、空気流量など)は、合成ナノキャリアに結合させる材料および/またはポリマーマトリクスの組成に左右されることがある。
【0120】
上記の方法のいずれかを使って調製する粒子の大きさの範囲が、所望の範囲から外れる場合、たとえば、ふるいを利用して、粒子をサイズ分けすることが可能である。
【0121】
(標的部分、ポリマーマトリクス、抗原、アジュバントなど)発明性のある合成ナノキャリアの要素を、たとえば1種類以上の共有結合によって合成ナノキャリアに結合してもよいし、1種類以上のリンカーによって結合してもよい。合成ナノキャリアを官能化するための別の方法を、Saltzmanらの米国特許出願公開第2006/0002852号明細書、DeSimoneらの米国特許出願公開第2009/0028910号明細書またはMurthyらの国際公開第2008/127532A1号パンフレットから採用してもよい。
【0122】
上記に代えてまたは上記に加えて、合成ナノキャリアを、標的部分、アジュバント、さまざまな抗原などの要素に対して、非共有結合の相互作用によって直接または間接的に結合させることが可能である。非共有結合の実施形態では、非共有結合のカップリングが、電荷相互作用、親和性相互作用、金属配位、物理的吸着、ホストゲスト相互作用、疎水性相互作用、チミン同士のスタッキングによる相互作用、水素結合相互作用、ファンデルワールス相互作用、磁気相互作用、静電相互作用、双極子−双極子相互作用および/またはこれらの組み合わせを含むがこれに限定されるものではない、非共有結合の相互作用によってなされる。このようなカップリングを、発明性のある合成ナノキャリアの外面または内面に配置してもよい。複数の実施形態では、カプセル化および/または吸収が、カップリングの一形態である。
【0123】
複数の実施形態では、同一の賦形剤または送達系を混合することで、発明性のある合成ナノキャリアを、他のアジュバントと組み合わせることが可能である。このようなアジュバントとしては、ミョウバンなどの鉱物塩、エシェリキア・コリ(Escherihia coli)、サルモネラ・ミネソタ(Salmonella minnesota)、サルモネラ・チフィリウム(Salmonella typhimurium)またはシゲラ・フレックスネリ(Shigella flexneri)などの腸内細菌のモノホスホリルリピド(MPL)A、特にMPL(登録商標)(AS04)、上述した細菌のMPL Aと別々に組み合わせたミョウバン、QS−21、Quil−A、ISCOMs、ISCOMATRIX(商標)などのサポニン、MF59(商標)、Montanide(登録商標) ISA 51およびISA 720などのエマルション、AS02(QS21+スクワレン+MPL(登録商標))、AS15、AS01などのリポソームおよびリポソーム配合物、ナイセリア・ゴノレー(N. gonorrheae)、クラミジアトラコマチス(Chlamydia trachomatis)および他の細菌の細菌由来の外膜小胞(OMV)などの合成または特異的に調製した微粒子およびマイクロキャリア、またはキトサン粒子、Pluronic(登録商標)ブロックコポリマーなどのデポを形成する作用剤、ムラミルジペプチドなどの特異的に修飾または調製されたペプチド、RC529などのアミノアルキルグルコサミニド4−ホスフェートまたは細菌トキソイドまたは毒素フラグメントなどのタンパク質があげられるが、これに限定されるものではない。別の有用なアジュバントを、国際公開第2002/032450号パンフレット;米国特許第7,357,936号明細書“Adjuvant Systems and Vaccines”;米国特許第7,147,862号明細書“Vaccine composition containing adjuvants”;米国特許第6,544,518号明細書“Vaccines”;米国特許第5,750,110号明細書“Vaccine composition containing adjuvants”に見出すことができる。このような他のアジュバントの投与量については、従来の投与量決定試験を用いて決定可能である。複数の実施形態では、標記の合成ナノキャリアに結合されないアジュバントがある場合、これは合成ナノキャリアに結合されるアジュバントと同一であっても異なっていてもよい。他の複数の実施形態では、このようなアジュバントの投与量が同一であっても異なっていてもよい。
【0124】
複数の実施形態では、発明性のある合成ナノキャリアに結合されるアジュバントは、どのナノキャリアにも結合されていないものと異なる、類似または同一のものであっても構わない。アジュバント(結合されているものとされていないもの)は、異なる時点および/または異なる身体位置および/または異なる免疫経路で別々に投与可能なものである。また別々のアジュバントおよびナノキャリアの集合を、異なる時点および/または異なる身体位置および/または異なる免疫経路で別々に投与することも可能である。
【0125】
複数集合の合成ナノキャリアを組み合わせて、従来の製剤混合法を用いて本発明による製剤の剤形を形成してもよい。これには、各々がナノキャリアの1以上のサブセットを含む2種類以上の懸濁液を直接的に組み合わせるか、希釈剤の入った1つ以上の容器で一緒にする、液体同士の混合を含む。合成ナノキャリアを粉末形態で製造または保管してもよい場合、共通媒質中の2種類以上の粉末の再懸濁液同様に乾燥粉末同士を混合してもよい。ナノキャリアの特性とその相互作用の可能性に応じて、一方または他方の混合経路に利点がある場合がある。
【0126】
一般的な発明性のある組成物は、無機または有機緩衝液(リン酸エステル、炭酸エステル、酢酸エステルまたはクエン酸エステルのナトリウム塩またはカリウム塩など)およびpH調整剤(塩酸、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム、クエン酸塩または酢酸塩、アミノ酸およびその塩など)酸化防止剤(アスコルビン酸、α−トコフェロールなど)、界面活性剤(ポリソルベート20、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン9−10ノニルフェノール、デゾキシコール酸ナトリウムなど)、溶液および/または凍結/凍結乾燥用安定化剤(スクロース、ラクトース、マンニトール、トレハロースなど)、浸透圧調整剤(塩または糖など)、抗菌剤(安息香酸、フェノール、ゲンタマイシンなど)、消泡剤(ポリジメチルシロゾン(polydimethylsilozone)など)、保存剤(チメロサール、2−フェノキシエタノール、EDTAなど)、ポリマー安定剤および粘度調整剤(ポリビニルピロリドン、ポロキサマー488、カルボキシメチルセルロースなど)、共溶媒(グリセロール、ポリエチレングリコール、エタノールなど)を含むものであってもよい。
【0127】
本発明による組成物は、薬学的に許容可能な賦形剤との組み合わせで、発明性のある合成ナノキャリアを含む。この組成物を、従来の製薬・配合技術で製造して、有用な剤形を得るようにしてもよい。本発明を実施するにあたって用いるのに適した技術を、Handbook of Industrial Mixing: Science and Practice、Edward L. Paul、Victor A. Atiemo−Obeng、Suzanne M. Kresta編l、2004 John Wiley & Sons, Inc.;およびPharmaceutics: The Science of Dosage Form Design、第2版、M. E. Auten, 2001、Churchill Livingstone編に見出すことができる。一実施形態では、発明性のある合成ナノキャリアを、保存剤と一緒に注射用の滅菌生理食塩水溶液に懸濁させる。
【0128】
本発明の組成物については、どのような好適な方法で形成しても構わず、本発明は本明細書に記載の方法で形成可能な組成物に何ら限定されるものではない旨を理解されたい。適切な方法を選択するには、関連させる特定の部分の特性に注意しなければならない場合がある。
【0129】
いくつかの実施形態では、発明性のある合成ナノキャリアを、滅菌条件下で製造するか、定期的に滅菌する。こうすることで、得られる組成物が滅菌されて非感染性となるため、非滅菌組成物よりも安全性の高いものとすることができる。これは、特に合成ナノキャリアを投与される被検体に免疫不全がある、感染しているおよび/または感染の疑いがある場合に、価値のある安全面での対策となる。いくつかの実施形態では、活性を失うことなく長期間にわたる配合戦略に応じて、発明性のある合成ナノキャリアを、凍結乾燥させて懸濁液に入れて保管するか、凍結乾燥粉末として保管してもよい。
【0130】
発明性のある組成物については、皮下、筋肉内、皮内、経口、鼻腔内、経粘膜的、舌下、直腸、点眼、経皮(transdermal)、経皮(transcutaneous)またはこれらの組み合わせによるものを含むが、これに限定されるものではない、多岐にわたる投与経路で投与することができる。
【0131】
剤形の投与量は、本発明による、さまざまな量の複数集合の合成ナノキャリアおよび/またはさまざまな量のアジュバントおよび/または抗原を含む。発明性のある剤形に存在する合成ナノキャリアおよび/またはアジュバントおよび/または抗原の量は、アジュバントおよび/または抗原の性質、達成される治療効果、他のそのようなパラメータに応じて可変である。いくつかの実施形態では、剤形の投与量が全身投与量である。複数の実施形態では、投与量決定試験を実施して、剤形中に存在させる合成ナノキャリアの集合の最適な治療量および/またはアジュバントおよび/または抗原の量を打ち出すことが可能である。複数の実施形態では、合成ナノキャリアおよび/またはアジュバントおよび/または抗原が、被検体への投与時に免疫反応を生じさせるのに有効な量で剤形中に存在する。被検体にて従来の投与量決定試験および技術を用いて、免疫反応を生じさせるのに効果的な、アジュバントおよび/または抗原の量を判断できる場合がある。発明性のある剤形を、さまざまな頻度で投与してもよい。好ましい実施形態では、薬理学的に関係する応答を生じさせるのに、剤形を少なくとも1回投与するだけで十分である。一層好ましい実施形態では、剤形を少なくとも2回投与、少なくとも3回投与または少なくとも4回投与して、薬理学的に関連する応答を確実に得るようにする。
【0132】
本明細書に記載の組成物および方法を使用して、免疫反応を誘発、増強、刺激、調整、指向(direct)または再指向(redirect)することが可能である。本明細書に記載の組成物および方法を、がんなどの症状、感染性の疾患、代謝疾患、変性疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患、免疫疾患または他の機能障害および/または症状の診断、予防および/または治療に使用することが可能である。また、本明細書に記載の組成物および方法を、ニコチンまたは麻薬に対する嗜癖などの嗜癖の予防または治療に用いることも可能である。さらに、本明細書に記載の組成物および方法を、毒素、危険物質、環境毒素または他の有害な作用剤への曝露に起因する症状の予防および/または治療に用いることも可能である。
【0133】
複数の実施形態では、提供される組成物を使用して、TNF−α、IL−6および/またはIL−12など、炎症誘発性サイトカインを迅速かつ強力に全身で誘発することが可能である。したがって、提供される組成物を、炎症反応、好ましくは全身での炎症反応を必要としている被検体に投与することが可能である。他の複数の実施形態では、提供される組成物を使用して、IFN−γ、IL−12および/またはIL−18など、Th1免疫反応に重要なサイトカインを迅速かつ強力に全身で誘発することが可能である。したがって、提供される組成物を、Th1反応、好ましくは全身でのTh1反応を必要としている被検体に投与することが可能である。さらに他の実施形態では、提供される組成物を使用して、強い体液性反応を誘発することが可能である。したがって、提供される組成物を、体液性反応を必要とする被検体に投与することが可能である。さらに別の実施形態では、提供される組成物を使用して、強い特異的局所CTL反応を誘発可能である。したがって、提供される組成物を、特異的局所CTL反応を必要とする被検体に投与することが可能である。このような反応は、本明細書にて提供するいずれかの抗原、好ましくは発明性のある組成物における1種類以上の抗原あるいは、本明細書にて提供する発明性のある方法に従って投与される抗原に特異的なものであっても構わない。
【0134】
本明細書にて提供する被検体は、がんに羅患し得るまたはがんに羅患するリスクのあり得る被検体であっても構わない。がんとしては、乳がん;胆道がん;膀胱がん;膠芽腫および髄芽腫を含む脳がん;子宮頸がん;絨毛がん;大腸がん;子宮内膜がん;食道がん;胃がん;急性リンパ性白血病および骨髄性白血病を含む血液腫瘍、たとえば、B細胞CLL;T細胞性急性リンパ性白血病/リンパ腫;ヘアリーセル白血病;慢性骨髄性白血病、多発性骨髄腫;エイズ関連白血病および成人T細胞性白血病/リンパ腫;ボーエン病およびパジェット病を含む上皮内腫瘍;肝臓がん;肺がん;ホジキン病およびリンパ球性リンパ腫を含むリンパ腫;神経芽腫;扁平上皮がんを含む口腔がん;上皮細胞、ストローマ細胞、生殖細胞および間葉系細胞から生じるものを含む卵巣がん;膵がん;前立腺がん;直腸がん;平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫、線維肉腫、骨肉腫を含む肉腫;黒色腫、メルケル細胞がん、カポジ肉腫、基底細胞がん、扁平上皮がんを含む皮膚がん;セミノーマ、非セミノーマ(奇形腫、絨毛がん)、間質腫瘍、胚細胞性腫瘍などの胚腫瘍を含む精巣がん;甲状腺腺がんおよび髄様がんを含む甲状腺がん;腺がんおよびウイルムス腫瘍を含む腎臓がんがあげられるが、これに限定されるものではない。
【0135】
本明細書にて提供する被検体は、感染症または感染性の疾患に羅患し得るまたは感染症または感染性の疾患に羅患するリスクのあり得る被検体であっても構わない。感染症または感染性の疾患としては、AIDS、水疱瘡(水痘)、感冒、サイトメガロウイルス感染、コロラドダニ熱、デング熱、エボラ出血熱、手足口病、肝炎、単純ヘルペス、帯状疱疹、HPV、インフルエンザ(Flu)、ラッサ熱、麻疹、マールブルグ出血熱、感染性の単核球症、流行性耳下腺炎、ノロウイルス、ポリオ、進行性多病巣性白質脳症、狂犬病、風疹、重症急性呼吸器症候群、天然痘(痘瘡)、ウイルス性脳炎、ウイルス性胃腸炎、ウイルス性髄膜炎、ウイルス性肺炎、西ナイル熱、黄熱などのウイルス感染性の疾患;炭疽、細菌性髄膜炎、ボツリヌス中毒、ブルセラ症、カンピロバクター症、猫ひっかき病、コレラ、ジフテリア、発疹チフス、淋病、膿痂疹、レジオネラ症、らい病(ハンセン病)、レプトスピラ症、リステリア症、ライム病、類鼻疽、リウマチ熱、MRSA感染、ノカルジア症、百日咳(Pertussis)(百日咳)、ペスト、肺炎球菌肺炎、オウム病、Q熱、ロッキー山紅斑熱(RMSF)、サルモネラ症、猩紅熱、細菌性赤痢、梅毒、破傷風、トラコーマ、結核、野兎病、腸チフス、チフス、尿路感染症などの細菌感染性の疾患;アフリカトリパノソーマ症、アメーバ症、回虫症、バベシア症、シャガス病、肝吸虫症、クリプトスポリジウム症、嚢虫症、裂頭条虫症、メジナ虫症、エキノコックス症、蟯虫症、肝蛭症、肥大吸虫症、フィラリア症、自由生活性アメーバ感染、ジアルジア症、顎口虫症、膜様条虫症、イソスポーラ症、黒熱病、リーシュマニア症、マラリア、横川吸虫症、はえ幼虫症、オンコセルカ症、しらみ症、蟯虫感染、疥癬、住血吸虫症、条虫症、トキソカラ症、トキソプラスマ症、旋毛虫症(Trichinellosis)、旋毛虫症(Trichinosis)、鞭虫症、トリコモナス症、トリパノソーマ症などの寄生虫感染性の疾患;アスペルギルス症、ブラストミセス症、カンジダ症、コクシジオイデス症、クリプトコッカス症、ヒストプラスマ症、足部白癬(足白癬)、股部白癬などの真菌感染性の疾患;アルパース病、致死性家族性不眠症、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー症候群、クールー病、異型クロイツフェルト・ヤコブ病などのプリオン感染性の疾患があげられるが、これに限定されるものではない。
【0136】
ここでいう被検体は、アレルギー、アレルギー喘息またはアトピー性皮膚炎;喘息;慢性閉塞性肺疾患(COPD、たとえば肺気腫または慢性気管支炎など);慢性リーシュマニア症、カンジダ症または住血吸虫症などの慢性感染症因子による慢性感染症、マラリア原虫、トキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)、マイコバクテリア、HIV、HBV、HCV EBVまたはCMVまたは上記のいずれかによって引き起こされる感染症またはその任意のサブセットなどであるがこれに限定されるものではない、アトピー症状に羅患しているあるいはこれに羅患するリスクのある被検体も含む。発明性のある組成物を用いて治療可能な他の徴候として、被検体のTh1反応が最適以下であるおよび/または効果的ではない徴候があげられるが、これに限定されるものではない。本発明を用いると、Th1免疫反応を刺激するアジュバントとともに被検体のTh1免疫反応が亢進される。したがって、被検体には、がんに羅患しているまたは羅患するリスクがある被検体、乳幼児、高齢者、がん患者、免疫抑制剤を投与されているまたは放射線を浴びている個人、血液透析濾過患者および遺伝的または特発性免疫機能不全など、妥協したまたは最適以下の免疫の被検体を含む。
【0137】
実施例
実施例1:ナノキャリアおよび混合R848アジュバントを投与すると、炎症誘発性サイトカインが全身で強く産生される
NC−R848−1ナノキャリア配合物の材料
オボアルブミンペプチド323−339アミド酢酸塩を、Bachem Americas Inc.から購入した(3132 Kashiwa Street,Torrance CA 90505. 商品コード4065609)。75/25ラクチド/グリコライドモノマー組成物と分子量約4100DaでR848含有量5.2%w/wのPLGA−R848コンジュゲートを合成した。約3,500Daのニコチン末端PEGブロックと、約15,000DaのDL−PLAブロックとを有するPLA−PEG−ニコチンを合成した。ポリビニルアルコール(Mw=11,000〜31,000、87〜89%加水分解)を購入した(パーツ番号U232−08)。
【0138】
NC−R848−1ナノキャリアの作製方法
溶液を以下のようにして調製した。
溶液1:オボアルブミンペプチド323−339@70mg/mLを0.13Nの塩酸で室温にて調製した。
溶液2:PLGA−R848を100mg/mLでジクロロメタンに溶解し、PLA−PEG−ニコチンを100mg/mLでジクロロメタンに溶解した後、PLGA−R848溶液3部とPLA−PEG−ニコチン溶液1部とを組み合わせる。PLGA−R848@75mg/mLおよびPLA−PEG−ニコチン@25mg/mLのジクロロメタン溶液を調製した。
溶液3:ポリビニルアルコール@50mg/mLを100mMで100mMのリン酸緩衝液(pH8)に入れた溶液。
溶液4:70mMのリン酸緩衝液(pH8)。
【0139】
まず、溶液1および溶液2を用いて、一次(W1/O)エマルションを形成した。溶液1(0.1mL)と溶液2(1.0mL)とを小さなガラス製圧力管で組み合わせ、Branson Digital Sonifier 250を用いて振幅50%で40秒間超音波処理した。次に、溶液3(2.0mL)を一次エマルションに加え、Branson Digital Sonifier 250を用いて振幅30%で40秒間超音波処理して、二次(W1/O/W2)エマルションを形成した。50mL容の口のあいたビーカーに70mMリン酸緩衝溶液(30mL)を入れた中に、上記の二次エマルションを加え、室温にて2時間攪拌して、ジクロロメタンを揮発させ、懸濁液中でナノキャリアを形成した。ナノキャリア懸濁液を遠心管に移し、13800rcfで60分間回転し、上清を除去し、ペレットをリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁することで、懸濁したナノキャリアの一部を洗浄した。この洗浄手順を繰り返した後、ペレットをリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁して、ポリマーベースで公称濃度10mg/mLのナノキャリア懸濁液を得た。この懸濁液を使用するまで−20℃で冷凍保存した。
【0140】
【表1】
【0141】
NC−R848−2配合物の材料
オボアルブミンペプチド323−339アミド酢酸塩をBachem Americas Inc.から購入した(3132 Kashiwa Street,Torrance CA 90505.パーツ番号4065609)。75/25ラクチド/グリコライドモノマー組成物と分子量約4100DaでR848含有量5.2%w/wのPLGA−R848コンジュゲートを合成した。約5,000Daのニコチン終端PEGブロックと約17,000DaのDL−PLAブロックとを有するPLA−PEG−ニコチンを合成した。ポリビニルアルコール(Mw=11,000〜31,000、87〜89%加水分解)をJ.T.Bakerから購入した(パーツ番号U232−08)。
【0142】
NC−R848−2ナノキャリアの作製方法
溶液を以下のようにして調製した。
溶液1:オボアルブミンペプチド323−339@70mg/mLを0.13Nの塩酸で室温にて調製した。
溶液2:PLGA−R848を100mg/mLでジクロロメタンに溶解し、PLA−PEG−ニコチンを100mg/mLでジクロロメタンに溶解した後、PLGA−R848溶液3部とPLA−PEG−ニコチン溶液1部とを組み合わせて、PLGA−R848@75mg/mLおよびPLA−PEG−ニコチン@25mg/mLのジクロロメタン溶液を調製した。
溶液3:ポリビニルアルコール@50mg/mLを100mMで100mMのリン酸緩衝液(pH8)に入れた溶液。
溶液4:70mMのリン酸緩衝液(pH8)。
【0143】
まず、溶液1および溶液2を用いて、一次(W1/O)エマルションを形成した。溶液1(0.1mL)と溶液2(1.0mL)とを小さなガラス製圧力管で組み合わせ、Branson Digital Sonifier 250を用いて振幅50%で40秒間超音波処理した。次に、溶液3(2.0mL)を一次エマルションに加え、Branson Digital Sonifier 250を用いて振幅30%で40秒間超音波処理して、二次(W1/O/W2)エマルションを形成した。50mL容の口のあいたビーカーに70mMリン酸緩衝溶液(30mL)を入れた中に、上記の二次エマルションを加え、室温にて2時間攪拌して、ジクロロメタンを揮発させ、懸濁液中でナノキャリアを形成した。ナノキャリア懸濁液を遠心管に移し、13800rcfで60分間回転し、上清を除去し、ペレットをリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁することで、懸濁したナノキャリアの一部を洗浄した。この洗浄手順を繰り返した後、ペレットをリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁して、ポリマーベースで公称濃度10mg/mLのナノキャリア懸濁液を得た。この懸濁液を使用するまで−20℃で冷凍保存した。
【0144】
【表2】
【0145】
NCのみの配合物の材料
オボアルブミンペプチド323−339アミド酢酸塩を、Bachem Americas Inc.から購入した(3132 Kashiwa Street,Torrance CA 90505. 製品コード4065609)。ラクチド含有量73%、グリコライド含有量27%で固有粘度が0.12dL/gのPLGAを、SurModics Pharmaceuticalsから購入した(756 Tom Martin Drive, Birmingham, AL 35211.製品コード7525 DLG 1A)。約3,500Daのニコチン終端PEGブロックと、約15,000DaのDL−PLAブロックとを有するPLA−PEG−ニコチンを合成した。ポリビニルアルコール(Mw=11,000〜31,000、87〜89%加水分解)をJ.T.Bakerから購入した(パーツ番号U232−08)。
【0146】
NCのみの作製方法
溶液を以下のようにして調製した。
溶液1:オボアルブミンペプチド323−339@70mg/mLを0.13Nの塩酸で室温にて調製した。
溶液2:PLGAを100mg/mLでジクロロメタンに溶解し、PLA−PEG−ニコチンを100mg/mLでジクロロメタンに溶解した後、PLGA溶液3部とPLA−PEG−ニコチン溶液1部とを組み合わせて、PLGA@75mg/mLおよびPLA−PEG−ニコチン@25mg/mLのジクロロメタン溶液を調製した。
溶液3:ポリビニルアルコール@50mg/mLを100mMで100mMのリン酸緩衝液(pH8)に入れた溶液。
溶液4:70mMのリン酸緩衝液(pH8)。
【0147】
まず、溶液1および溶液2を用いて、一次(W1/O)エマルションを形成した。溶液1(0.1mL)と溶液2(1.0mL)とを小さなガラス製圧力管で組み合わせ、Branson Digital Sonifier 250を用いて振幅50%で40秒間超音波処理した。次に、溶液3(2.0mL)を一次エマルションに加え、Branson Digital Sonifier 250を用いて振幅30%で40秒間超音波処理して、二次(W1/O/W2)エマルションを形成した。50mL容の口のあいたビーカーに70mMリン酸緩衝溶液(30mL)を入れた中に、上記の二次エマルションを加え、室温にて2時間攪拌して、ジクロロメタンを揮発させ、懸濁液中でナノキャリアを形成した。ナノキャリア懸濁液を遠心管に移し、13800rcfで60分間回転し、上清を除去し、ペレットをリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁することで、懸濁したナノキャリアの一部を洗浄した。この洗浄手順を繰り返した後、ペレットをリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁して、ポリマーベースで公称濃度10mg/mLのナノキャリア懸濁液を得た。この懸濁液を使用するまで−20℃で冷凍保存した。
【0148】
【表3】
【0149】
結果
マウスの群に対して、小分子ヌクレオチド類似物に結合した、結合していない、またはこれと混合した100μgのナノキャリア(NC)、既知のTLR7/8アゴニストおよびアジュバントR848を、後肢に皮下注射した。ナノキャリア中のR848量は2〜3%で、注射1回あたり結合されたR848の2〜3μgにつながった;使用する遊離R848の量は注射1回あたり20μgであった。全血採血からマウス血清を採取し、全身の血清サイトカイン産生量をELISAによって異なる時点で測定した(BD Biosciences)。
図1A〜
図1Cに示すように、混合R848(NC+R848)を用いた場合に、主要な炎症誘発性サイトカインTNF−α、IL−6およびIL−12の全身での強い産生が観察されたのに対し、R848(NC−R848−1およびNC−R848−2)と結合したNCの別々の調製物を用いる場合に、TNF−α、IL−6およびIL−12の発現は検出されなかった。ピークサイトカイン発現レベルの差は、TNF−αおよびIL−6で>100倍、IL−12で>50倍であった。R848に結合していないNC(NCのみと表示)は、混合R848なしで用いると全身のサイトカインを誘発しなかった。
【0150】
実施例2:R848アジュバントにナノキャリアをカップリングしても、免疫サイトカインIFN−γの全身での産生が阻害されない
NC−R848ナノキャリア配合物の材料
オボアルブミンペプチド323−339アミド酢酸塩をBachem Americas Inc.から購入した(3132 Kashiwa Street,Torrance CA 90505.パーツ番号4065609)。75/25ラクチド/グリコライドモノマー組成物と分子量約4100DaでR848含有量5.2%w/wのPLGA−R848コンジュゲートを合成した。約3,500Daのニコチン終端PEGブロックと、約15,000DaのDL−PLAブロックとを有するPLA−PEG−ニコチンを合成した。ポリビニルアルコール(Mw=11,000〜31,000、87〜89%加水分解)をJ.T.Bakerから購入した(パーツ番号U232−08)。
【0151】
NC−R848ナノキャリアの作製方法
溶液を以下のようにして調製した。
溶液1:オボアルブミンペプチド323−339@70mg/mLを0.13Nの塩酸で室温にて調製した。
溶液2:PLGA−R848を100mg/mLでジクロロメタンに溶解し、PLA−PEG−ニコチンを100mg/mLでジクロロメタンに溶解した後、PLGA−R848溶液3部とPLA−PEG−ニコチン溶液1部とを組み合わせて、PLGA−R848@75mg/mLおよびPLA−PEG−ニコチン@25mg/mLのジクロロメタン溶液を調製した。
溶液3:ポリビニルアルコール@50mg/mLを100mMで100mMのリン酸緩衝液(pH8)に入れた溶液。
溶液4:70mMのリン酸緩衝液(pH8)。
【0152】
まず、溶液1および溶液2を用いて、一次(W1/O)エマルションを形成した。溶液1(0.1mL)と溶液2(1.0mL)とを小さなガラス製圧力管で組み合わせ、Branson Digital Sonifier 250を用いて振幅50%で40秒間超音波処理した。次に、溶液3(2.0mL)を一次エマルションに加え、Branson Digital Sonifier 250を用いて振幅30%で40秒間超音波処理して、二次(W1/O/W2)エマルションを形成した。50mL容の口のあいたビーカーに70mMリン酸緩衝溶液(30mL)を入れた中に、上記の二次エマルションを加え、室温にて2時間攪拌して、ジクロロメタンを揮発させ、懸濁液中でナノキャリアを形成した。ナノキャリア懸濁液を遠心管に移し、13,800rcfで60分間回転させ、上清を除去し、ペレットをリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁することで、懸濁したナノキャリアの一部を洗浄した。この洗浄手順を繰り返した後、ペレットをリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁して、ポリマーベースで公称濃度10mg/mLのナノキャリア懸濁液を得た。この懸濁液を使用するまで−20℃で冷凍保存した。
【0153】
【表4】
【0154】
NCのみのナノキャリア配合物の材料
オボアルブミンペプチド323−339アミド酢酸塩をBachem Americas Inc.から購入した(3132 Kashiwa Street,Torrance CA 90505.パーツ番号4065609)。ラクチド含有量73%、グリコライド含有量27%で固有粘度が0.12dL/gのPLGAを、SurModics Pharmaceuticalsから購入した(756 Tom Martin Drive, Birmingham, AL 35211.製品コード7525 DLG 1A)。約3,500Daのニコチン終端PEGブロックと、約15,000DaのDL−PLAブロックとを有するPLA−PEG−ニコチンを合成した。ポリビニルアルコール(Mw=11,000〜31,000、87〜89%加水分解)をJ.T.Bakerから購入した(パーツ番号U232−08)。
【0155】
NCのみのナノキャリアの作製方法
溶液を以下のようにして調製した。
溶液1:オボアルブミンペプチド323−339@70mg/mLを0.13Nの塩酸で室温にて調製した。
溶液2:PLGAを100mg/mLでジクロロメタンに溶解し、PLA−PEG−ニコチンを100mg/mLでジクロロメタンに溶解した後、PLGA溶液3部とPLA−PEG−ニコチン溶液1部とを組み合わせて、PLGA@75mg/mLおよびPLA−PEG−ニコチン@25mg/mLのジクロロメタン溶液を調製した。
溶液3:ポリビニルアルコール@50mg/mLを100mMで100mMのリン酸緩衝液(pH8)に入れた溶液。
溶液4:70mMのリン酸緩衝液(pH8)。
【0156】
まず、溶液1および溶液2を用いて、一次(W1/O)エマルションを形成した。溶液1(0.1mL)と溶液2(1.0mL)とを小さなガラス製圧力管で組み合わせ、Branson Digital Sonifier 250を用いて振幅50%で40秒間超音波処理した。次に、溶液3(2.0mL)を一次エマルションに加え、Branson Digital Sonifier 250を用いて振幅30%で40秒間超音波処理して、二次(W1/O/W2)エマルションを形成した。50mL容の口のあいたビーカーに70mMリン酸緩衝溶液(30mL)を入れた中に、上記の二次エマルションを加え、室温にて2時間攪拌して、ジクロロメタンを揮発させ、懸濁液中でナノキャリアを形成した。ナノキャリア懸濁液を遠心管に移し、13800rcfで60分間回転し、上清を除去し、ペレットをリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁することで、懸濁したナノキャリアの一部を洗浄した。この洗浄手順を繰り返した後、ペレットをリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁して、ポリマーベースで公称濃度10mg/mLのナノキャリア懸濁液を得た。この懸濁液を使用するまで−20℃で冷凍保存した。
【0157】
【表5】
【0158】
結果
免疫IFN−γなどの初期の炎症誘発性サイトカインは、ほとんどが免疫誘導時の副作用と関連しているが、他のサイトカインの産生が、効果的な免疫反応の誘発に関与していることが知られている。したがって、NCの注射後の免疫サイトカインIFN−γの全身での産生を、接種0〜24時間後に測定した。簡単に説明すると、マウスの群に対して、小分子ヌクレオチド類似物に結合またはこれと混合した100μgのNC、TLR7/8アゴニストおよびアジュバントR848を、後肢に皮下注射した。ナノキャリア中のR848量は2%で、注射1回あたり結合されたR848の2μgにつながった;使用する遊離R848の量は注射1回あたり20μgであった。全血採血からマウス血清を採取し、全身の血清サイトカイン産生量をELISAによって異なる時点で測定した(BD Biosciences)。Th1免疫反応に重要なIFN−γが、NC−R848(R848を2μg含有)とR848(20μg)を混合したNCのどちらにも求められた(
図2)。さらに、混合したR848を含むNCによる高いレベルのIFN−γが早期に発生する。
【0159】
実施例3:遊離アジュバントを加えると、免疫反応が増大する
NC−Nic w/o R848ナノキャリア配合物用の材料
オボアルブミンペプチド323−339アミドTFA塩をBachem Americas Inc.から購入した(3132 Kashiwa Street,Torrance CA 90505.パーツ番号4064565)。固有粘度0.19dL/gのPLAを、Boehringer Ingelheimから購入した(Ingelheim Germany.製品コードR202H)。約3,500Daのニコチン終端PEGブロックと、約15,000DaのDL−PLAブロックとを有するPLA−PEG−ニコチンを合成した。ポリビニルアルコール(MW=11,000〜31,000、87〜89%加水分解)をJ.T.Bakerから購入した(パーツ番号U232−08)。
【0160】
NC−Nic w/o R848ナノキャリアの作製方法
溶液を以下のようにして調製した。
溶液1:オボアルブミンペプチド323−339@69mg/mLを0.13Nの塩酸で室温にて調製した。
溶液2:PLA@100mg/mLをジクロロメタンに溶解し、PLA−PEG−ニコチンを100mg/mLでジクロロメタンに溶解した後、PLA溶液3部とPLA−PEG−ニコチン溶液1部とを組み合わせ、PLA@75mg/mLおよびPLA−PEG−ニコチン@25mg/mLのジクロロメタン溶液を調製した。
溶液3:ポリビニルアルコール@50mg/mLを100mMの脱イオン水に入れた溶液。
溶液4:70mMのリン酸緩衝液(pH8)。
【0161】
まず、溶液1および溶液2を用いて、一次(W1/O)エマルションを形成した。溶液1(0.1mL)と溶液2(1.0mL)とを小さなガラス製圧力管で組み合わせ、Branson Digital Sonifier 250を用いて振幅50%で40秒間超音波処理した。次に、溶液3(2.0mL)を一次エマルションに加え、Branson Digital Sonifier 250を用いて振幅35%で40秒間超音波処理した。50mL容の口のあいたビーカーに70mMリン酸緩衝溶液(30mL)を入れた中に、上記の二次エマルションを加え、室温にて2時間攪拌して、ジクロロメタンを揮発させ、懸濁液中でナノキャリアを形成した。ナノキャリア懸濁液を遠心管に移し、5300rcfで60分間回転し上清を除去し、ペレットをリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁することで、懸濁したナノキャリアの一部を洗浄した。この洗浄手順を繰り返した後、ペレットをリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁して、ポリマーベースで公称濃度10mg/mLのナノキャリア懸濁液を得た。この懸濁液を使用するまで−20℃で冷凍保存した。
【0162】
【表6】
【0163】
NC−Nic w/捕捉R848ナノキャリア配合物の材料
オボアルブミンペプチド323−339アミドTFA塩を、Bachem Americas Inc.から購入した(3132 Kashiwa Street,Torrance CA 90505。パーツ番号4064565)。純度約98〜99%のR848(レシキモド)を合成し、精製した。固有粘度0.19dL/gのPLAを、Boehringer Ingelheimから購入した(Ingelheim Germany.製品コードR202H)。約3,500Daのニコチン終端PEGブロックと、約15,000DaのDL−PLAブロックとを有するPLA−PEG−ニコチンを合成した。ポリビニルアルコール(Mw=11,000〜31,000、87〜89%加水分解)をJ.T.Bakerから購入した(パーツ番号U232−08)。
【0164】
NC−Nic w/捕捉R848ナノキャリアの作製方法
溶液を以下のようにして調製した。
溶液1:オボアルブミンペプチド323−339@69mg/mLを0.13Nの塩酸で室温にて調製した。
溶液2:PLA@100mg/mLをジクロロメタンに溶解し、R848を10mg/mLで加え、PLA−PEG−ニコチンを100mg/mLでジクロロメタンに溶解した後、PLA/R848溶液3部とPLA−PEG−ニコチン1部とを組み合わせて、PLA@75mg/mL、R848@7.5mg/mL、PLA−PEG−ニコチン@25mg/mLのジクロロメタン溶液を調製した。
溶液3:ポリビニルアルコール@50mg/mLを100mMの脱イオン水に入れた溶液。
溶液4:70mMのリン酸緩衝液(pH8)。
【0165】
まず、溶液1および溶液2を用いて、一次(W1/O)エマルションを形成した。溶液1(0.1mL)と溶液2(1.0mL)とを小さなガラス製圧力管で組み合わせ、Branson Digital Sonifier 250を用いて振幅50%で40秒間超音波処理した。次に、溶液3(2.0mL)を一次エマルションに加え、Branson Digital Sonifier 250を用いて振幅35%で40秒間超音波処理することで、二次(W1/O/W2)エマルションを形成した。50mL容の口のあいたビーカーに70mMリン酸緩衝溶液(30mL)を入れた中に、上記の二次エマルションを加え、室温にて2時間攪拌して、ジクロロメタンを揮発させ、懸濁液中でナノキャリアを形成した。ナノキャリア懸濁液を遠心管に移し、5300rcfで60分間回転し上清を除去し、ペレットをリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁することで、懸濁したナノキャリアの一部を洗浄した。この洗浄手順を繰り返した後、ペレットをリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁して、ポリマーベースで公称濃度10mg/mLのナノキャリア懸濁液を得た。この懸濁液を使用するまで−20℃で冷凍保存した。
【0166】
【表7】
【0167】
結果
第2のアジュバントを使用するあるいは使用せずに、捕捉(非コンジュゲート)R848を有するNC−Nic(外面にニコチンを提示するナノキャリア)でマウスを免疫した。100μgのNC−Nicを使用して、マウス5匹の群を2週間間隔で(0日目、14日目、28日目)3回免疫した(皮下、後肢)。次に、26日目と40日目に血清抗ニコチン抗体を測定した。抗ニコチン抗体のEC
50は、標準的なポリリジン−ニコチン(
図3)に対するELISA(群1:NC−Nic w/o捕捉R848;群2:1.5%のNC−Nic w。捕捉R848;群3:NC−Nic w。捕捉R848が1.5%+80μgのミョウバン;群4:NC−Nic w。CpG−1826の1.5%の捕捉R84+25μg)。これは、ナノキャリア(NC)中に捕捉R848(Th1アジュバント、TLR7/8アゴニスト)を用いると、免疫反応が生じ、これはR848なしでNCによって誘発される免疫反応より優れている(群2>群1)。さらに、R848と一緒に遊離Th2アジュバント(ミョウバン)をNC−Nicに加えると、体液性免疫反応がさらに増大する(群3>群2)。同時に、もうひとつの遊離Th1アジュバント(CpG、TLR9アゴニスト;群4)を加えても免疫反応が増大するが、この組み合わせではミョウバンほど強力ではない(群4>群2vs.4<群3)。
【0168】
実施例4:遊離アジュバントを加えると、アジュバントなしでNCに対する免疫反応が増大する
NC−Nicナノキャリア配合物の材料
オボアルブミンペプチド323−339アミドTFA塩をBachem Americas Inc.から購入した(3132 Kashiwa Street,Torrance CA 90505.パーツ番号4064565)。固有粘度0.19dL/gのPLAを、Boehringer Ingelheimから購入した(Ingelheim Germany.製品コードR202H)。約3,500Daのニコチン終端PEGブロックと、約15,000DaのDL−PLAブロックとを有するPLA−PEG−ニコチンを合成した。ポリビニルアルコール(Mw=11,000〜31,000、87〜89%加水分解)をJ.T.Bakerから購入した(パーツ番号U232−08)。
【0169】
NC−Nicナノキャリアの作製方法
溶液を以下のようにして調製した。
溶液1:オボアルブミンペプチド323−339@69mg/mLを0.13Nの塩酸で室温にて調製した。
溶液2:PLA@100mg/mLをジクロロメタンに溶解し、PLA−PEG−ニコチンを100mg/mLでジクロロメタンに溶解した後、PLA溶液3部とPLA−PEG−ニコチン溶液1部とを組み合わせ、PLA@75mg/mLおよびPLA−PEG−ニコチン@25mg/mLのジクロロメタン溶液を調製した。
溶液3:ポリビニルアルコール@50mg/mLを100mMの脱イオン水に入れた溶液。
溶液4:70mMのリン酸緩衝液(pH8)。
【0170】
まず、溶液1および溶液2を用いて、一次(W1/O)エマルションを形成した。溶液1(0.1mL)と溶液2(1.0mL)とを小さなガラス製圧力管で組み合わせ、Branson Digital Sonifier 250を用いて振幅50%で40秒間超音波処理した。次に、溶液3(2.0mL)を一次エマルションに加え、Branson Digital Sonifier 250を用いて振幅35%で40秒間超音波処理することで、二次(W1/O/W2)エマルションを形成した。50mL容の口のあいたビーカーに70mMリン酸緩衝溶液(30mL)を入れた中に、上記の二次エマルションを加え、室温にて2時間攪拌して、ジクロロメタンを揮発させ、懸濁液中でナノキャリアを形成した。ナノキャリア懸濁液を遠心管に移し、5300rcfで60分間回転し上清を除去し、ペレットをリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁することで、懸濁したナノキャリアの一部を洗浄した。この洗浄手順を繰り返した後、ペレットをリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁して、ポリマーベースで公称濃度10mg/mLのナノキャリア懸濁液を得た。この懸濁液を使用するまで−20℃で冷凍保存した。
【0171】
【表8】
【0172】
NC−Nic−R848ナノキャリア配合物用の材料
オボアルブミンペプチド323−339アミドTFA塩をBachem Americas Inc.から購入した(3132 Kashiwa Street,Torrance CA 90505.パーツ番号4064565)。純度約98〜99%のR848(レシキモド)を合成し、精製した。固有粘度0.19dL/gのPLAを、Boehringer Ingelheimから購入した(Ingelheim Germany.製品コードR202H)。約3,500Daのニコチン終端PEGブロックと、約15,000DaのDL−PLAブロックとを有するPLA−PEG−ニコチンを合成した。ポリビニルアルコール(Mw=11,000〜31,000、87〜89%加水分解)をJ.T.Bakerから購入した(パーツ番号U232−08)。
【0173】
NC−Nic−R848ナノキャリアの作製方法
溶液を以下のようにして調製した。
溶液1:オボアルブミンペプチド323−339@69mg/mLを0.13Nの塩酸で室温にて調製した。
溶液2:PLA@100mg/mLをジクロロメタンに溶解し、R848を10mg/mLで加え、PLA−PEG−ニコチンを100mg/mLでジクロロメタンに溶解した後、PLA/R848溶液3部とPLA−PEG−ニコチン1部とを組み合わせ、PLA@75mg/mL、R848@7.5mg/mL、PLA−PEG−ニコチン@25mg/mLのジクロロメタン溶液を調製した。
溶液3:ポリビニルアルコール@50mg/mLを100mMの脱イオン水に入れた溶液。
溶液4:70mMのリン酸緩衝液(pH8)。
【0174】
まず、溶液1および溶液2を用いて、一次(W1/O)エマルションを形成した。溶液1(0.1mL)と溶液2(1.0mL)とを小さなガラス製圧力管で組み合わせ、Branson Digital Sonifier 250を用いて振幅50%で40秒間超音波処理した。次に、溶液3(2.0mL)を一次エマルションに加え、Branson Digital Sonifier 250を用いて振幅35%で40秒間超音波処理することで、二次(W1/O/W2)エマルションを形成した。50mL容の口のあいたビーカーに70mMリン酸緩衝溶液(30mL)を入れた中に、上記の二次エマルションを加え、室温にて2時間攪拌して、ジクロロメタンを揮発させ、懸濁液中でナノキャリアを形成した。
【0175】
ナノキャリア懸濁液を遠心管に移し、5300rcfで60分間回転し上清を除去し、ペレットをリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁することで、懸濁したナノキャリアの一部を洗浄した。この洗浄手順を繰り返した後、ペレットをリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁して、ポリマーベースで公称濃度10mg/mLのナノキャリア懸濁液を得た。この懸濁液を使用するまで−20℃で冷凍保存した。
【0176】
【表9】
【0177】
結果
混合R848を使用して、あるいは使用せずに、NC中にアジュバントを持たないNC−Nic(外面にニコチンを提示するナノキャリア)でマウスを免疫した。100μgのNC−Nicを使用して、マウス5匹の群を2週間間隔で(0日目、14日目、28日目)3回免疫した(皮下、後肢)。次に、26日目と40日目に血清抗ニコチン抗体を測定した。抗ニコチン抗体のEC
50を、ポリリジン−ニコチン(
図4)に対する標準的なELISAで測定した(群1:NC−Nic w/o捕捉R848;群2:NC−Nic w/o捕捉R848+20μgの遊離R848)。このことから、遊離R848(Th1アジュバント、TLR7/8アゴニスト)を抗原保持NCに混合すると、免疫反応が生じて、混合R848なしでNCによって誘発される免疫反応より優れている(群2>群1)ことがわかる。
【0178】
同様に、遊離Th1アジュバントCpG−1826(Enzo)またはTh2アジュバントミョウバン(Pierce)と混合した、カプセル化R848アジュバント(NC−Nic−R848)を有するNC−Nicで免疫したマウスにおけるNC被保持抗原に対する免疫反応が増大した。100μgのNC−Nicを使用して、マウス5匹の群を2週間間隔で(0日目、14日目、28日目)3回免疫し(皮下、後肢)−R848。次に、26日目と40日目に血清抗ニコチン抗体を測定した。抗ニコチン抗体のEC
50を、ポリリジン−ニコチン(
図5)に対する標準的なELISAで測定した(群1:NC−Nic−R848;群2:NC−NicR848+80μgの遊離ミョウバン;群3:NC−NicR848+25μgの遊離CpG−1826)。このことから、遊離アジュバントを抗原/アジュバント保持NCと混合すると免疫反応が生じるが、これは同一NCで混合アジュバントなしで誘発されるものより優れている(群2>群1;群3>群1)ことがわかる。
【0179】
実施例5:遊離アジュバントを加えると、カプセル化アジュバントを有するNCに対する免疫反応が増大する
ナノキャリア配合物用の材料
オボアルブミンペプチド323−339アミド酢酸塩を、Bachem Americas Inc.から購入した(3132 Kashiwa Street,Torrance CA 90505. 製品コード4065609)。純度約98〜99%のR848(レシキモド)を合成し、精製した。開環プロセスで分子量約1300Da、R848含有量が約9重量%のPLA−R848コンジュゲートを合成した。約3,500Daのニコチン終端PEGブロックと、約15,000DaのDL−PLAブロックとを有するPLA−PEG−ニコチンを合成した。ポリビニルアルコール(Mw=11,000〜31,000、87〜89%加水分解)をJ.T.Bakerから購入した(パーツ番号U232−08)。
【0180】
ナノキャリアの作製方法
溶液を以下のようにして調製した。
溶液1:オボアルブミンペプチド323−339@70mg/mLを0.13Nの塩酸で室温にて調製した。
溶液2:ポリマーを100mg/mLで溶解し、R848をPLA−PEG−ニコチン溶液に加えた後、PLA−R848溶液3部とPLA−PEG−ニコチン/R848溶液1部とを組み合わせ、PLA−R848@75mg/mL、PLA−PEG−ニコチン@25mg/mL、R848@1.9mg/mLのジクロロメタン溶液を調製した。
溶液3:ポリビニルアルコール@50mg/mLを100mMの脱イオン水に入れた溶液。
溶液4:70mMのリン酸緩衝液(pH8)。
【0181】
まず、溶液1および溶液2を用いて、一次(W1/O)エマルションを形成した。溶液1(0.1mL)と溶液2(1.0mL)とを小さなガラス製圧力管で組み合わせ、Branson Digital Sonifier 250を用いて振幅50%で40秒間超音波処理した。次に、溶液3(2.0mL)を一次エマルションに加え、Branson Digital Sonifier 250を用いて振幅35%で40秒間超音波処理することで、二次(W1/O/W2)エマルションを形成した。50mL容の口のあいたビーカーに70mMリン酸緩衝溶液(30mL)を入れた中に、上記の二次エマルションを加え、室温にて2時間攪拌して、ジクロロメタンを揮発させ、懸濁液中でナノキャリアを形成した。ナノキャリア懸濁液を遠心管に移し、13,800rcfで60分間回転させ、上清を除去し、ペレットをリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁することで、懸濁したナノキャリアの一部を洗浄した。この洗浄手順を繰り返した後、ペレットをリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁して、ポリマーベースで公称濃度10mg/mLのナノキャリア懸濁液を得た。この懸濁液を使用するまで−20℃で冷凍保存した。
【0182】
【表10】
【0183】
結果
混合ミョウバンを使用して、あるいは使用せずに、R848およびOP−IIヘルパーペプチドを有するナノキャリア、NC−Nic(外面にニコチンを提示するナノキャリア)でマウスを免疫した。100μgのNC[Nic,R848,OP−II]+/−80μgの混合ミョウバン(Pierce)を使用して、マウス5匹の群を2週間間隔で(0日目、14日目、28日目)3回免疫した(皮下、後肢)。次に、血清抗ニコチン抗体を40日目と70日目に測定した。抗ニコチン抗体のEC
50を、ポリリジン−ニコチンに対する標準的なELISAで測定した(
図6)(群1:NC[Nic,R848,OP−II];群2:NC[Nic,R848,OP−II]+80μgの混合ミョウバン)。このことから、遊離ミョウバン(Th2アジュバント)を抗原保持アジュバント含有NCと混合すると免疫反応が生じ、これは、混合ミョウバンなしで同一NCによって誘発される免疫反応より優れている(群2>群1)ことがわかる。
【0184】
実施例6:NCカプセル化抗原が、ナノキャリア配合物の遊離抗原(遊離アジュバント混合)材料よりも一層強い細胞免疫反応を生じさせる
オボアルブミンタンパク質をWorthington Biochemical Corporationから購入した(730 Vassar Avenue,Lakewood,NJ 08701.製品コード3048)。固有粘度0.21dL/gのPLAを、SurModics Pharmaceuticalsから購入した(756 Tom Martin Drive, Birmingham, AL 35211. 製品コード100 DL 2A)。約2,000Daのメチルエーテル終端PEGブロックと約19,000DaのPLAブロックとを有するPLA−PEG−OMeブロックコポリマーを合成した。ポリビニルアルコール(Mw=11,000〜31,000、87〜89%加水分解)をJ.T.Bakerから購入した(パーツ番号U232−08)。
【0185】
ナノキャリアの作製方法
溶液を以下のようにして調製した。
溶液1:オボアルブミンタンパク質@20mg/mLをリン酸緩衝生理食塩水中、室温にて調製した。
溶液2:PLAを100mg/mLでジクロロメタンに溶解し、PLA−PEG−OMeを100mg/mLでジクロロメタンに溶解した後、PLA溶液3部とPLA−PEG−OMe溶液1部とを組み合わせて、PLA@75mg/mLおよびPLA−PEG−OMe@25mg/mLのジクロロメタン溶液を調製した。
溶液3:ポリビニルアルコール@50mg/mLを100mMで100mMのリン酸緩衝液(pH8)に入れた溶液。
溶液4:70mMのリン酸緩衝液(pH8)。
【0186】
まず、溶液1および溶液2を用いて、一次(W1/O)エマルションを形成した。溶液1(0.2mL)と溶液2(1.0mL)とを小さなガラス製圧力管で組み合わせ、Branson Digital Sonifier 250を用いて振幅50%で40秒間超音波処理した。次に、溶液3(3.0mL)を一次エマルションに加え、ボルテックスして粗分散液を形成した後、Branson Digital Sonifier 250を用いて振幅30%で60秒間超音波処理して、二次(W1/O/W2)エマルションを形成した。50mL容の口のあいたビーカーに70mMリン酸緩衝溶液(30mL)を入れた中に、上記の二次エマルションを加え、室温にて2時間攪拌して、ジクロロメタンを揮発させ、懸濁液中でナノキャリアを形成した。ナノキャリア懸濁液を遠心管に移し、21,000rcfで45分間回転し、上清を除去し、ペレットをリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁することで、懸濁したナノキャリアの一部を洗浄した。この洗浄手順を繰り返した後、ペレットをリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁して、ポリマーベースで公称濃度10mg/mLのナノキャリア懸濁液を得た。この懸濁液を使用するまで−20℃で冷凍保存した。
【0187】
【表11】
【0188】
結果
遊離アジュバントを混合した状態で、ナノキャリア、NC−OVA(カプセル化したオボアルブミンタンパク質を有するナノキャリア)または遊離オボアルブミン(OVA)のいずれかで、マウスを免疫した。マウス3匹の群を、10μgの遊離1826−CpG(TLR9アゴニスト)を混合した2.5μgの遊離OVAまたは100μgのNC−OVA(2.8%OVA)で1回免疫(皮下、後肢)した。免疫後4日目に流入領域膝窩リンパ節を採取し、メッシュで漉し、10単位/mlのIL−2を加えた完全RPMI培地にてin vitroで4日間インキュベートし、異なるエフェクター/ターゲット(E:T)比(
図7)で特異的CTL(細胞傷害性T細胞)活性を求めた(オボアルブミン発現細胞系統EG.7−OVAの溶解%−親細胞系統EL−4の溶解%)。ここから、NC−カプセル化抗原を利用すると、遊離抗原で免役するよりも強い局所細胞免疫反応が生じることがわかる。
【0189】
実施例7:遊離アジュバントを加えると、アジュバントなしでNCに対する免疫反応が増大する
ナノキャリア配合物用の材料
オボアルブミンペプチド323−339アミド酢酸塩を、Bachem Americas Inc.から購入した(3132 Kashiwa Street,Torrance CA 90505. 製品コード4065609)。固有粘度0.19dL/gのPLAを、Boehringer Ingelheimから購入した(Ingelheim Germany.製品コードR202H)。約5,000Daのニコチン終端PEGブロックと約17,000DaのDL−PLAブロックとを有するPLA−PEG−ニコチンを合成した。ポリビニルアルコール(Mw=11,000〜31,000、87〜89%加水分解)をJ.T.Bakerから購入した(パーツ番号U232−08)。
【0190】
ナノキャリアの作製方法
溶液を以下のようにして調製した。
溶液1:オボアルブミンペプチド323−339@17.5mg/mLの希塩酸水溶液。オボアルブミンペプチドを0.13Nの塩酸溶液に入れて室温にて溶液を調製した。
溶液2:0.19−IV PLA@75mg/mLおよびPLA−PEG−ニコチン@25mg/mlのジクロロメタン溶液。別々に、PLA@100mg/mLをジクロロメタンに溶解し、PLA−PEG−ニコチン@100mg/mLをジクロロメタンに溶解した上で、PLA−PEG−ニコチン溶液の各部についてPLA溶液3部を加えてこれらの溶液を混合して、溶液を調製した。
溶液3:ポリビニルアルコール@50mg/mLを100mMのリン酸緩衝液(pH8)に入れた溶液。
【0191】
まず、溶液1および溶液2を用いて、一次(W1/O)エマルションを形成した。溶液1(0.1mL)と溶液2(1.0mL)とを小さなガラス製圧力管で組み合わせ、Branson Digital Sonifier 250を用いて振幅50%で40秒間超音波処理した。次に、溶液3(2.0mL)を一次エマルションに加えた後、Branson Digital Sonifier 250を用いて振幅30%で40秒間超音波処理することで、二次(W1/O/W2)エマルションを形成した。50mL容の口のあいたビーカーにpH8で70mMのリン酸緩衝溶液(30mL)を入れた中に、第2のエマルションを加えたを加え、室温にて2時間攪拌して、ジクロロメタンを揮発させ、懸濁液中でナノキャリアを形成した。懸濁液を遠心管に移し、13,800gで1時間回転し、上清を除去し、ペレットをリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁することで、ナノキャリアの一部を洗浄した。この洗浄手順を繰り返した後、ペレットをリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁して、約10mg/mLの最終ナノキャリア分散液を得た。ナノキャリア中のオリゴヌクレオチドおよびペプチドの量をHPLC分析で求めた。重量測定法で懸濁液1mLあたりの最終乾燥ナノキャリア質量を求め、5mg/mLに調節した。
【0192】
【表12】
【0193】
結果
リン酸ジエステル(PO)またはホスホロチオエート(PS)形態のいずれかでCpGと混合したNC−Nic(外面にニコチンを提示し、NCにOP−IIヘルパーペプチドを含有し、アジュバントを含有しないナノキャリア)でマウスを免疫した。PO形態は、ヌクレアーゼで分解されるため、マウスに注射すると安定しない。PS形態は、ヌクレアーゼ耐性であり、したがって、マウスに注射しても安定する。陰性対照として、マウスをPBSだけで免疫した。100μgのNC−Nic+20μgのCpG(PSまたはPO)またはPBSを使用して、マウス5匹の群を2週間間隔で(0日目、14日目、28日目)3回免疫した(皮下、後肢)。26日目と40日目に血清抗ニコチン抗体価を測定した。ポリリジン−ニコチン(
図8)(群1:NC−Nic(アジュバントなし)+遊離CpG(PS);群2:NC−Nic(アジュバントなし)+遊離CpG(PO);群3:PBSのみ)に対するELISAで、抗ニコチン抗体価(EC
50)を測定した。このことから、抗原保持NCに遊離CpG(PS)(Th1アジュバント、TLR9アゴニスト)を混合すると、混合CpG(PO)またはPBSを含むNCによって誘発されるものより優れた免疫反応が生じることがわかる(群1>群2>群3)。
【0194】
実施例8:遊離アジュバントを加えると、アジュバントなしでNCに対する免疫反応が増大する
ナノキャリア配合物用の材料
オボアルブミンタンパク質をWorthington Biochemical Corporationから購入した(730 Vassar Avenue,Lakewood,NJ 08701.製品コード3048)。固有粘度0.21dL/gのPLAを、SurModics Pharmaceuticalsから購入した(756 Tom Martin Drive, Birmingham, AL 35211. 製品コード100 DL 2A)。約2,000Daのメチルエーテル終端PEGブロックと約19,000DaのPLAブロックとを有するPLA−PEG−OMeブロックコポリマーを合成した。ポリビニルアルコール(Mw=11,000〜31,000、87〜89%加水分解)をJ.T.Bakerから購入した(パーツ番号U232−08)。
【0195】
ナノキャリアの作製方法
溶液を以下のようにして調製した。
溶液1:オボアルブミンタンパク質@20mg/mLをリン酸緩衝生理食塩水中、室温にて調製した。
溶液2:PLAを100mg/mLでジクロロメタンに溶解し、PLA−PEG−OMeを100mg/mLでジクロロメタンに溶解した後、PLA溶液3部とPLA−PEG−OMe溶液1部とを組み合わせて、PLA@75mg/mLおよびPLA−PEG−OMe@25mg/mLのジクロロメタン溶液を調製した。
溶液3:ポリビニルアルコール@50mg/mLを100mMで100mMのリン酸緩衝液(pH8)に入れた溶液。
溶液4:70mMのリン酸緩衝液(pH8)。
【0196】
まず、溶液1および溶液2を用いて、一次(W1/O)エマルションを形成した。溶液1(0.2mL)と溶液2(1.0mL)とを小さなガラス製圧力管で組み合わせ、Branson Digital Sonifier 250を用いて振幅50%で40秒間超音波処理した。次に、溶液3(3.0mL)を一次エマルションに加え、ボルテックスして粗分散液を形成した後、Branson Digital Sonifier 250を用いて振幅30%で60秒間超音波処理して、二次(W1/O/W2)エマルションを形成した。50mL容の口のあいたビーカーに70mMリン酸緩衝溶液(30mL)を入れた中に、上記の二次エマルションを加え、室温にて2時間攪拌して、ジクロロメタンを揮発させ、懸濁液中でナノキャリアを形成した。ナノキャリア懸濁液を遠心管に移し、21,000rcfで45分間回転し、上清を除去し、ペレットをリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁することで、懸濁したナノキャリアの一部を洗浄した。この洗浄手順を繰り返した後、ペレットをリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁して、ポリマーベースで公称濃度10mg/mLのナノキャリア懸濁液を得た。この懸濁液を使用するまで−20℃で冷凍保存した。
【0197】
【表13】
【0198】
結果
20μgのR848またはCpG(PS;ヌクレアーゼ耐性)と混合したNC−OVA(外面にオボアルブミン(OVA)提示しているナノキャリア、NCにアジュバントなし)でマウスを免疫した。対照マウスには、20μgのCpG(PS)と混合した2.5μgの可溶性抗原(OVA)を与えた。100μgのNC−OVA+20μgのR848またはCpG(PS)または2.5μgの可溶性OVA+20μgのCpG(PS)を使用して、マウス5匹の群を2週間間隔で(0日目、14日目、28日目)3回免疫した(皮下、後肢)。26日目と44日目に血清抗OVA抗体価を測定した。OVAタンパク質(
図9)(群1:NC−OVA(アジュバントなし)+遊離R848;群2:NC−OVA(アジュバントなし)+遊離CpG(PS);群3:可溶性OVA+CpG(PS))に対するELISAで抗OVA抗体価(EC
50)を測定した。このことから、遊離R848(Th1アジュバント、TLR7/8アゴニスト)またはCpG(PS)(Th1アジュバント、TLR9アゴニスト)を抗原保持NCと混合すると、免疫反応が生じ、これはアジュバント(CpG(PS))と混合した可溶性抗原によって誘発されるものより優れていることがわかる(群1および2>群3)。
【0199】
実施例9:遊離アジュバントを加えると、アジュバントを含むNCに対する免疫反応が増大する
群1のナノキャリア配合物用の材料
オボアルブミンペプチド323−339アミド酢酸塩をBachem Americas Inc.から購入した(3132 Kashiwa Street,Torrance CA 90505.パーツ番号4065609)。75/25ラクチド/グリコライドモノマー組成物と分子量約4100DaでR848含有量5.2%w/wのPLGA−R848コンジュゲートを合成した。約3,500Daのニコチン終端PEGブロックと、約15,000DaのDL−PLAブロックとを有するPLA−PEG−ニコチンを合成した。ポリビニルアルコール(Mw=11,000〜31,000、87〜89%加水分解)をJ.T.Bakerから購入した(パーツ番号U232−08)。
【0200】
群1のナノキャリアの作製方法
溶液を以下のようにして調製した。
溶液1:オボアルブミンペプチド323−339@70mg/mLを0.13Nの塩酸で室温にて調製した。
溶液2:PLGA−R848を100mg/mLでジクロロメタンに溶解し、PLA−PEG−ニコチンを100mg/mLでジクロロメタンに溶解した後、PLGA−R848溶液3部とPLA−PEG−ニコチン溶液1部とを組み合わせて、PLGA−R848@75mg/mLおよびPLA−PEG−ニコチン@25mg/mLのジクロロメタン溶液を調製した。
溶液3:ポリビニルアルコール@50mg/mLを100mMで100mMのリン酸緩衝液(pH8)に入れた溶液。
溶液4:70mMのリン酸緩衝液(pH8)。
【0201】
まず、溶液1および溶液2を用いて、一次(W1/O)エマルションを形成した。溶液1(0.1mL)と溶液2(1.0mL)とを小さなガラス製圧力管で組み合わせ、Branson Digital Sonifier 250を用いて振幅50%で40秒間超音波処理した。次に、溶液3(2.0mL)を一次エマルションに加え、Branson Digital Sonifier 250を用いて振幅30%で40秒間超音波処理して、二次(W1/O/W2)エマルションを形成した。50mL容の口のあいたビーカーに70mMリン酸緩衝溶液(30mL)を入れた中に、上記の二次エマルションを加え、室温にて2時間攪拌して、ジクロロメタンを揮発させ、懸濁液中でナノキャリアを形成した。ナノキャリア懸濁液を遠心管に移し、13800rcfで60分間回転し、上清を除去し、ペレットをリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁することで、懸濁したナノキャリアの一部を洗浄した。この洗浄手順を繰り返した後、ペレットをリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁して、ポリマーベースで公称濃度10mg/mLのナノキャリア懸濁液を得た。この懸濁液を使用するまで−20℃で冷凍保存した。
【0202】
【表14】
【0203】
群2のナノキャリア配合物用の材料
オボアルブミンペプチド323−339アミド酢酸塩をBachem Americas Inc.から購入した(3132 Kashiwa Street,Torrance CA 90505.パーツ番号4065609)。ラクチド含有量73%、グリコライド含有量27%で固有粘度が0.12dL/gのPLGAを、SurModics Pharmaceuticalsから購入した(756 Tom Martin Drive, Birmingham, AL 35211.製品コード7525 DLG 1A)。約3,500Daのニコチン終端PEGブロックと、約15,000DaのDL−PLAブロックとを有するPLA−PEG−ニコチンを合成した。ポリビニルアルコール(Mw=11,000〜31,000、87〜89%加水分解)をJ.T.Bakerから購入した(パーツ番号U232−08)。
【0204】
群2のナノキャリアの作製方法
溶液を以下のようにして調製した。
溶液1:オボアルブミンペプチド323−339@70mg/mLを0.13Nの塩酸で室温にて調製した。
溶液2:PLGAを100mg/mLでジクロロメタンに溶解し、PLA−PEG−ニコチンを100mg/mLでジクロロメタンに溶解した後、PLGA溶液3部とPLA−PEG−ニコチン溶液1部とを組み合わせて、PLGA@75mg/mLおよびPLA−PEG−ニコチン@25mg/mLのジクロロメタン溶液を調製した。
溶液3:ポリビニルアルコール@50mg/mLを100mMで100mMのリン酸緩衝液(pH8)に入れた溶液。
溶液4:70mMのリン酸緩衝液(pH8)。
【0205】
まず、溶液1および溶液2を用いて、一次(W1/O)エマルションを形成した。溶液1(0.1mL)と溶液2(1.0mL)とを小さなガラス製圧力管で組み合わせ、Branson Digital Sonifier 250を用いて振幅50%で40秒間超音波処理した。次に、溶液3(2.0mL)を一次エマルションに加え、Branson Digital Sonifier 250を用いて振幅30%で40秒間超音波処理して、二次(W1/O/W2)エマルションを形成した。50mL容の口のあいたビーカーに70mMリン酸緩衝溶液(30mL)を入れた中に、上記の二次エマルションを加え、室温にて2時間攪拌して、ジクロロメタンを揮発させ、懸濁液中でナノキャリアを形成した。ナノキャリア懸濁液を遠心管に移し、13800rcfで60分間回転し、上清を除去し、ペレットをリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁することで、懸濁したナノキャリアの一部を洗浄した。この洗浄手順を繰り返した後、ペレットをリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁して、ポリマーベースで公称濃度10mg/mLのナノキャリア懸濁液を得た。この懸濁液を使用するまで−20℃で冷凍保存した。
【0206】
【表15】
【0207】
2週間間隔で(0日目と14日目)20μgのCpGを2回(皮下、後肢)マウスに注射した。35日目および49日目、マウスを100μgのNC−Nic(2.6%R848および0.9%OP−IIペプチド含有)または100μgのNC−Nic(1.1%OP−IIペプチドのみを含有)で免疫した。NCでの免疫後12日目、26日目、40日目に血清抗ニコチン抗体価を測定した。ポリリジン−ニコチン(
図10(群1:NC−Nic(R848+OP−II);群2:NC−Nic(OP−IIのみ))に対するELISAで抗ニコチン抗体価(EC
50)を測定した。このことから、CpGで免疫した後、後日、R848を含有するNC−Nicという組み合わせで免疫したマウスでは、CpGで免疫した後、後日、R848を含有しないNC−Nicで免疫したマウスよりもニコチンに対して高い抗体価が生じることがわかる(群1>群2)。
【0208】
実施例10:2種類の遊離アジュバントを加えると、NC−Nicに対する免疫反応が増大する(机上)
NC−Nicナノキャリア配合物用の材料
オボアルブミンペプチド323−339アミド酢酸塩をBachem Americas Inc.(3132 Kashiwa Street,Torrance CA 90505から購入する。パーツ番号4064565)。固有粘度0.19dL/gのPLAをSurModics Pharmaceuticalsから購入する(756 Tom Martin Drive, Birmingham, AL 35211(製品コード100 DL 2A)。約5,000Daのニコチン終端PEGブロックと、約20,000DaのDL−PLAブロックを有するPLA−PEG−ニコチンを、合成する。ポリビニルアルコール(Mw=11,000〜31,000、87〜89%加水分解)をJ.T.Bakerから購入する(パーツ番号U232−08)。
【0209】
NC−Nicナノキャリアの作製方法
溶液を以下のようにして調製する。
溶液1:オボアルブミンペプチド323−339@20mg/mLを0.13Nの塩酸で室温にて調製する。
溶液2:PLA@100mg/mLをジクロロメタンに溶解し、PLA−PEG−ニコチンを100mg/mLでジクロロメタンに溶解した後、PLA溶液3部とPLA−PEG−ニコチン溶液1部とを組み合わせて、PLA@75mg/mLおよびPLA−PEG−ニコチン@25mg/mLのジクロロメタン溶液を調製する。
溶液3:ポリビニルアルコール@50mg/mLを100mMの脱イオン水に入れた溶液。
溶液4:70mMのリン酸緩衝液(pH8)。
【0210】
まず、溶液1&溶液2を用いて、一次(W1/O)エマルションを形成する。溶液1(0.2mL)と溶液2(1.0mL)とを小さなガラス製圧力管で組み合わせ、Branson Digital Sonifier 250を用いて振幅50%で40秒間超音波処理する。次に、溶液3(2.0mL)を一次エマルションに加え、Branson Digital Sonifier 250を用いて振幅30%で40秒間超音波処理して、二次(W1/O/W2)エマルションを形成する。50mL容の口のあいたビーカーに70mMリン酸緩衝溶液(30mL)を入れた中に、上記の二次エマルションを加え、室温にて2時間攪拌して、ジクロロメタンを揮発させ、懸濁液中でナノキャリアを形成する。ナノキャリア懸濁液を遠心管に移し、21,000rcfで45分間回転し、上清を除去し、ペレットをリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁することで、懸濁したナノキャリアの一部を洗浄する。この洗浄手順を繰り返した後、ペレットをリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁して、ポリマーベースで公称濃度10mg/mLのナノキャリア懸濁液を得る。このナノキャリア懸濁液をさらに使用するまで−20℃で冷凍保存する。
【0211】
【表16】
【0212】
結果
第1(R848)および第2のアジュバント(ミョウバン)と混合したNC−Nic(外面にニコチンを提示するナノキャリア)でマウスを免疫する。100μgのNC−Nicを用いてマウス5匹の群を2週間間隔で(0日目、14日目、28日目)3回免疫する(皮下、後肢)。その後、26日目と40日目に血清抗ニコチン抗体を測定する。ポリリジン−ニコチンに対する標準的なELISAで、抗ニコチン抗体のEC
50を測定する。