【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面によると、ハンドルと、前記ハンドルに囲まれ、ワイヤを挿通させる挿通部材と、を備え、前記ハンドルは、作業者が把持するための把持部位と、前記挿通部材が延び出る先端部位と、を含み、前記先端部位は、前記把持部位よりも、前記ワイヤの送給経路に沿った方向のうち送給方向前方側に位置し、前記挿通部材は、非発熱部と、少なくとも1つの発熱部と、を有し、前記挿通部材のうち前記把持部位に囲まれた部分は全て、前記非発熱部から構成される、アーク処理用トーチが提供される。
【0007】
好ましくは、前記挿通部材は、各々がワイヤを挿通させる導電筒状体およびケーブルを含み、前記ケーブルは、前記導電筒状体に接触する導体層を有し、前記少なくとも1つの発熱部は、第1発熱部を有し、前記導電筒状体と前記導体層との接触領域は、前記第1発熱部を構成している。
【0008】
好ましくは、前記第1発熱部は、前記先端部位の内部に位置している。
【0009】
好ましくは、前記導体層は、前記ワイヤの送給経路に沿って延びる筒状を呈している。
【0010】
好ましくは、前記ケーブルは、前記導体層を包囲する絶縁性の外皮を含み、前記導体層は、前記送給方向前方に、前記外皮から延び出ている導体延出部を有し、前記導体延出部は、前記導電筒状体と接触しており、前記導電筒状体と前記導体延出部との接触領域は、前記第1発熱部を構成している。
【0011】
好ましくは、前記導体層は、前記外皮に包囲された導体筒部を有し、前記導体延出部は、前記導体筒部の内径よりも大きい内径の筒状を呈している。
【0012】
好ましくは、前記ワイヤの送給経路に沿った方向における、前記導電筒状体と前記導体層との接触領域の寸法は、10〜18mmである。
【0013】
好ましくは、前記挿通部材は、前記送給経路に沿った方向において、前記導電筒状体と前記導体層との接触領域に重なる位置に配置された第1固定部材を含み、前記導体層は、前記導電筒状体および前記第1固定部材の間に介在しており、前記第1固定部材は、前記導体層を前記導電筒状体に押し付けている。
【0014】
好ましくは、前記導電筒状体は、基部および後方部を有し、前記基部は、前記導体層と接触しており、前記後方部は、前記基部よりも、前記送給方向前方とは反対の送給方向後方側に位置しており、前記後方部は、前記ケーブルに挿入されている。
【0015】
好ましくは、前記挿通部材は、前記ハンドルから延び出るトーチボディを含み、前記トーチボディは、前記導電筒状体に接触するボディ導電部を有し、前記少なくとも1つの発熱部は、第2発熱部を有し、前記導電筒状体と前記ボディ導電部との接触領域は、前記第2発熱部を構成している。
【0016】
好ましくは、前記第2発熱部は、前記先端部位の内部に位置している。
【0017】
好ましくは、前記ボディ導電部は、前記ワイヤの送給経路に沿って延びる筒状を呈している。
【0018】
好ましくは、前記ボディ導電部は、ボディ主部およびボディ突出部を有し、前記ボディ突出部は、前記ボディ主部から、前記送給方向前方とは反対の送給方向後方側に突出しており、且つ、前記導電筒状体に挿入されており、前記ボディ突出部は、前記導電筒状体と接触しており、前記導電筒状体と前記ボディ突出部との接触領域は、前記第2発熱部を構成している。
【0019】
好ましくは、前記導電筒状体は、基部および前方部を有し、前記基部は、前記導体層と接触しており、前記前方部は、前記基部よりも、前記送給方向前方側に位置しており、前記前方部には、前記ボディ突出部が挿入されており、且つ、前記前方部は、前記ボディ突出部に接触している。
【0020】
好ましくは、前記基部には、前記ボディ突出部が挿入されている。
【0021】
好ましくは、前記前方部は、前記基部から前記送給方向前方に延び出る複数の延出片を有し、前記複数の延出片は、前記送給経路に沿った方向に延びるスリットを介して、前記送給経路の周方向に互いに離間している。
【0022】
好ましくは、前記挿通部材は、前記送給経路に沿った方向において、前記導電筒状体と前記ボディ導電部との接触領域に重なる位置に配置された第2固定部材を含み、前記導電筒状体は、前記ボディ導電部および前記第2固定部材の間に介在しており、前記第2固定部材は、前記導電筒状体を前記ボディ導電部に押し付けている。
【0023】
好ましくは、前記トーチボディは、前記ボディ導電部を包囲するボディ絶縁部を含む。
【0024】
本発明の第2の側面によると、ハンドルと、前記ハンドルに囲まれ、ワイヤを挿通させる挿通部材と、を備え、前記ハンドルは、作業者が把持するための把持部位と、前記挿通部材が延び出る先端部位と、前記挿通部材を支持する支持部と、を含み、前記先端部位は、前記把持部位よりも、前記ワイヤの送給経路に沿った方向のうち送給方向前方側に位置し、前記把持部位は、前記挿通部材の位置する側を向く内面を有し、前記支持部は、前記内面から前記挿通部材に向かって起立している、アーク処理用トーチが提供される。
【0025】
好ましくは、前記把持部位は、作業者の中指と薬指で把持するための第1把持部分を有し、前記支持部は、前記挿通部材を支持する第1支持片を有し、前記第1支持片は、前記第1把持部分よりも、前記送給方向前方とは反対の送給方向後方側に位置している。
【0026】
好ましくは、前記支持部は、前記送給経路に沿った方向において、前記第1把持部分と重なる位置に位置する第2支持片を有する。
【0027】
好ましくは、前記支持部は、前記送給経路に沿った方向において、前記第1支持片と前記第2支持片との間に位置する第3支持片を有する。
【0028】
好ましくは、前記第1支持片、前記第2支持片、および前記第3支持片は、前記挿通部材を押圧しており、前記第1支持片および前記第2支持片が前記挿通部材に対して与える力の方向は、前記第3支持片が前記挿通部材に対して与える力の方向と逆方向である。
【0029】
好ましくは、前記把持部位の内部にて、前記送給経路は、第1方向に湾曲しており、前記第1方向は、前記送給経路に沿った方向に直交する方向である。
【0030】
好ましくは、前記第1支持片および前記第2支持片は、前記挿通部材のうち、前記第1方向側に位置する部位に当接しており、前記第3支持片は、前記挿通部材のうち、前記第1方向とは反対の第2方向側に位置する部位に当接している。
【0031】
好ましくは、前記第1支持片、前記第2支持片、および前記第3支持片は、前記内面から直立している。
【0032】
好ましくは、前記支持部には、前記ハンドルの外部の空間と前記ハンドルの内部の空間とをつなぐ通気孔が形成されている。
【0033】
好ましくは、前記挿通部材は、各々がワイヤを挿通させる導電筒状体およびケーブルを含み、前記ケーブルは、前記導電筒状体に接触する導体層を有し、前記支持部は、前記ケーブルに当接している。
【0034】
好ましくは、前記ケーブルは、前記導体層を包囲する絶縁性の外皮を含み、前記支持部は、前記外皮に当接している。
【0035】
本発明の第3の側面によると、ハンドルと、前記ハンドルに囲まれ、ワイヤを挿通させる挿通部材と、を備え、前記ハンドルは、作業者が把持するための把持部位と、前記挿通部材が延び出る先端部位と、を含み、前記先端部位は、前記把持部位よりも、前記ワイヤの送給経路に沿った方向のうち送給方向前方側に位置し、前記先端部位には、前方開口が形成され、前記前方開口からは、前記挿通部材が延び出ており、前記前方開口に位置する前記ワイヤの進行方向である第1進行方向は、仮想直線に対し傾斜しており、前記把持部位は、作業者の中指と薬指で把持するための第1把持部分を有し、前記仮想直線は、前記ワイヤの送給経路に沿った方向において前記第1把持部分に重なるいずれかの位置における、前記ワイヤの送給経路の接線である、アーク処理用トーチが提供される。
【0036】
好ましくは、前記仮想直線に対する前記第1進行方向の傾斜角は、1〜20度である。
【0037】
好ましくは、前記把持部位には、後方開口が形成され、前記後方開口からは、前記挿通部材が延び出ており、前記後方開口に位置する前記ワイヤの進行方向である第2進行方向は、仮想直線に対し傾斜している。
【0038】
好ましくは、前記仮想直線に対する前記第2進行方向の傾斜角は、25〜45度である。
【0039】
好ましくは、前記第1進行方向は、前記第2進行方向に対し傾斜しており、前記ハンドルの内部にて、前記送給経路は湾曲した部位を有する。
【0040】
好ましくは、前記第1進行方向に対する前記第2進行方向の傾斜角は、37〜52度である。
【0041】
好ましくは、前記把持部位の内部にて、前記送給経路は、第1方向に湾曲しており、前記第1方向は、前記送給経路に沿った方向に直交する方向である。
【0042】
好ましくは、前記先端部位は、作業者の人指し指あるいは親指を当接させる指当接面を有し、前記指当接面は、前記ワイヤの送給経路に向かって凹む凹部形状である。
【0043】
好ましくは、前記指当接面は、正面視において、前記ワイヤの送給経路に対して交差して延びる凹部形状である。
【0044】
好ましくは、前記先端部位には、作業者の人指し指が当接するスイッチレバーが設けられており、前記指当接面は、前記先端部位にて、前記スイッチレバーが設けられた箇所から、前記送給経路を挟んで前記スイッチレバーが設けられた箇所とは反対側の箇所にわたって、形成されている。
【0045】
好ましくは、前記把持部位は、前記ハンドルの外方を向く外面を有し、前記外面は、前記外面において第1方向側に位置する頂部を有し、前記第1方向は、前記送給経路に沿った方向に直交する方向であり、前記頂部は、前記第1方向側に湾曲する曲面状である。
【0046】
好ましくは、前記頂部の輪郭は、正面視において、曲率半径が140〜190mmである。
【0047】
好ましくは、前記外面は、前記外面において、前記第1方向とは反対の第2方向側に位置する底部を有し、前記底部の輪郭の一部は、正面視において、曲率半径が280〜310mmである。
【0048】
好ましくは、前記外面は、複数の帯状部位を有し、前記複数の帯状部位はいずれも、前記送給経路に沿った方向に延びており、前記複数の帯状部位は、前記送給経路の周方向に沿って配置されており、前記複数の帯状部位のうち前記周方向において互いに隣接する2つの帯状部位の間には、稜線が形成されている。
【0049】
好ましくは、前記把持部位は、作業者の小指で把持するための第2把持部分を有し、前記第2把持部分は、前記第1把持部分よりも縮径した形状の部分である。
【0050】
本発明の第4の側面によると、ハンドルと、前記ハンドルに囲まれ、ワイヤを挿通させる挿通部材と、を備え、前記ハンドルは、作業者が把持するための把持部位と、前記挿通部材が延び出る先端部位と、を含み、前記先端部位は、前記把持部位よりも、前記ワイヤの送給経路に沿った方向のうち送給方向前方側に位置し、前記先端部位には、前方開口が形成され、前記把持部位には、後方開口が形成され、前記前方開口および前記後方開口からはそれぞれ、前記挿通部材が延び出ており、前記前方開口に位置する前記ワイヤの進行方向である第1進行方向は、前記後方開口に位置する前記ワイヤの進行方向である第2進行方向に対し傾斜しており、前記ハンドルの内部にて、前記送給経路は湾曲した部位を有する、アーク処理用トーチが提供される。
【0051】
好ましくは、前記第1進行方向に対する前記第2進行方向の傾斜角は、37〜52度である。
【0052】
好ましくは、前記把持部位の内部にて、前記送給経路は、第1方向に湾曲しており、前記第1方向は、前記送給経路に沿った方向に直交する方向である。
【0053】
好ましくは、前記ハンドルの内部における前記ワイヤの送給経路の経路長に対する、前記ハンドルの内部において湾曲している前記ワイヤの送給経路の経路長の割合は、30〜60%である。
【0054】
好ましくは、前記ハンドルの内部において湾曲している前記ワイヤの送給経路の経路長は、70〜110mmである。
【0055】
好ましくは、前記ハンドルの内部において湾曲している前記ワイヤの送給経路の最小曲率半径は、100〜130mmである。
【0056】
好ましくは、前記第1進行方向は、仮想直線に対し傾斜しており、前記把持部位は、作業者の中指と薬指で把持するための第1把持部分を有し、前記仮想直線は、前記ワイヤの送給経路に沿った方向において前記第1把持部分に重なるいずれかの位置における、前記ワイヤの送給経路の接線である。
【0057】
好ましくは、前記後方開口に位置する前記ワイヤの進行方向である第2進行方向は、前記仮想直線に対し傾斜している。
【0058】
好ましくは、前記挿通部材は、前記先端部位から延び出るトーチボディを有し、前記トーチボディにおいて湾曲している前記ワイヤの送給経路の曲率半径は、湾曲している前記送給経路の全体にわたって、50〜140mmの範囲内にある。
【0059】
好ましくは、前記先端部位は、作業者の人指し指あるいは親指を当接させる指当接面を有し、前記指当接面は、前記ワイヤの送給経路に向かって凹む凹部形状である。
【0060】
好ましくは、前記指当接面は、正面視において、前記ワイヤの送給経路に対して交差して延びる凹部形状である。
【0061】
好ましくは、前記先端部位には、作業者の人指し指が当接するスイッチレバーが設けられており、前記指当接面は、前記先端部位にて、前記スイッチレバーが設けられた箇所から、前記送給経路を挟んで前記スイッチレバーが設けられた箇所とは反対側の箇所にわたって、形成されている。
【0062】
好ましくは、前記把持部位は、前記ハンドルの外方を向く外面を有し、前記外面は、前記外面において第1方向側に位置する頂部を有し、前記第1方向は、前記送給経路に沿った方向に直交する方向であり、前記頂部は、前記第1方向側に湾曲する曲面状である。
【0063】
好ましくは、前記頂部の輪郭は、正面視において、曲率半径が140〜190mmである。
【0064】
好ましくは、前記外面は、前記外面において、前記第1方向とは反対の第2方向側に位置する底部を有し、前記底部の輪郭の一部は、正面視において、曲率半径が280〜310mmである。
【0065】
好ましくは、前記外面は、複数の帯状部位を有し、前記複数の帯状部位はいずれも、前記送給経路に沿った方向に延びており、前記複数の帯状部位は、前記送給経路の周方向に沿って配置されており、前記複数の帯状部位のうち前記周方向において互いに隣接する2つの帯状部位の間には、稜線が形成されている。
【0066】
好ましくは、前記把持部位は、作業者の小指で把持するための第2把持部分を有し、前記第2把持部分は、前記第1把持部分よりも縮径した形状の部分である。
【0067】
本発明の第5の側面によると、本発明の第1の側面ないし第4の側面のいずれかによって提供されるアーク処理用トーチと、前記挿通部材に挿通されたワイヤに電流を流す電源と、を備える、アーク処理システムが提供される。
【0068】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。