特許第6371098号(P6371098)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6371098アーク処理用トーチ、アーク処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6371098
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】アーク処理用トーチ、アーク処理システム
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/29 20060101AFI20180730BHJP
【FI】
   B23K9/29 E
【請求項の数】10
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-85393(P2014-85393)
(22)【出願日】2014年4月17日
(65)【公開番号】特開2015-205283(P2015-205283A)
(43)【公開日】2015年11月19日
【審査請求日】2017年3月17日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ウェブサイトの掲載日: 平成26年3月13日 〈掲載ページアドレス〉 (1)その1:http://www.ergonomics.jp/gpdb/gpdb−list.html (2)その2:http://www.ergonomics.jp/gpdb/gpdb−list.html?gddb_id=76 (3)その3:http://www.ergonomics.jp/official/wp−content/uploads/gddb/76−evaluation_result.pdf
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100161274
【弁理士】
【氏名又は名称】土居 史明
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(72)【発明者】
【氏名】鶴丸 尚孝
(72)【発明者】
【氏名】清水 文夫
【審査官】 柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06979799(US,B2)
【文献】 特開2011−161448(JP,A)
【文献】 米国特許第04727238(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/29
B23K 9/173
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルと、
前記ハンドルに囲まれ、ワイヤを挿通させる挿通部材と、を備え、
前記ハンドルは、作業者が把持するための把持部位と、前記挿通部材が延び出る先端部位と、前記挿通部材を支持する支持部と、を含み、
前記先端部位は、前記把持部位よりも、前記ワイヤの送給経路に沿った方向のうち送給方向前方側に位置し、
前記把持部位は、前記挿通部材の位置する側を向く内面を有し、
前記支持部は、前記内面から前記挿通部材に向かって起立しており、
前記把持部位は、作業者の中指と薬指で把持するための第1把持部分を有し、
前記支持部は、前記挿通部材を支持する第2支持片を有し、前記第2支持片は、前記送給経路に沿った方向において、前記第1把持部分と重なる位置に位置する、アーク処理用トーチ。
【請求項2】
記支持部は、前記挿通部材を支持する第1支持片を有し、
前記第1支持片は、前記第1把持部分よりも、前記送給方向前方とは反対の送給方向後方側に位置している、請求項1に記載のアーク処理用トーチ。
【請求項3】
ハンドルと、
前記ハンドルに囲まれ、ワイヤを挿通させる挿通部材と、を備え、
前記ハンドルは、作業者が把持するための把持部位と、前記挿通部材が延び出る先端部位と、前記挿通部材を支持する支持部と、を含み、
前記先端部位は、前記把持部位よりも、前記ワイヤの送給経路に沿った方向のうち送給方向前方側に位置し、
前記把持部位は、前記挿通部材の位置する側を向く内面を有し、
前記支持部は、前記内面から前記挿通部材に向かって起立しており、
前記把持部位は、作業者の中指と薬指で把持するための第1把持部分を有し、
前記支持部は、前記挿通部材を支持する第1支持片を有し、
前記第1支持片は、前記第1把持部分よりも、前記送給方向前方とは反対の送給方向後方側に位置し、
前記支持部は、前記送給経路に沿った方向において、前記第1把持部分と重なる位置に位置する第2支持片を有する、ーク処理用トーチ。
【請求項4】
前記支持部は、前記送給経路に沿った方向において、前記第1支持片と前記第2支持片との間に位置する第3支持片を有する、請求項2または請求項3記載のアーク処理用トーチ。
【請求項5】
前記第1支持片、前記第2支持片、および前記第3支持片は、前記挿通部材を押圧しており、
前記第1支持片および前記第2支持片が前記挿通部材に対して与える力の方向は、前記第3支持片が前記挿通部材に対して与える力の方向と逆方向である、請求項4に記載のアーク処理用トーチ。
【請求項6】
前記把持部位の内部にて、前記送給経路は、第1方向に湾曲しており、
前記第1方向は、前記送給経路に沿った方向に直交する方向である、請求項4または請求項5に記載のアーク処理用トーチ。
【請求項7】
前記第1支持片および前記第2支持片は、前記挿通部材のうち、前記第1方向側に位置する部位に当接しており、
前記第3支持片は、前記挿通部材のうち、前記第1方向とは反対の第2方向側に位置する部位に当接している、請求項6に記載のアーク処理用トーチ。
【請求項8】
前記第1支持片、前記第2支持片、および前記第3支持片は、前記内面から直立している、請求項4ないし請求項7のいずれかに記載のアーク処理用トーチ。
【請求項9】
前記支持部には、前記ハンドルの外部の空間と前記ハンドルの内部の空間とをつなぐ通気孔が形成されている、請求項1に記載のアーク処理用トーチ。
【請求項10】
請求項1ないし請求項のいずれかに記載のアーク処理用トーチと、
前記挿通部材に挿通されたワイヤに電流を流す電源と、を備える、アーク処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アーク処理用トーチと、アーク処理システムと、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、アークを用いて被処理部材の処理を行うアーク処理が知られている。アーク処理の一つとしてアーク溶接方法が挙げられる。アーク溶接方法に用いる溶接トーチは、たとえば、ハンドルと、トーチボディと、ケーブルと、を備える。トーチボディおよびケーブルには消耗電極としてのワイヤが挿通される。そして、ハンドルはトーチボディおよびケーブルを収容している。作業者はハンドルを把持しつつ、所望の箇所の溶接を行う。
【0003】
従来の溶接中には、ハンドル内部のどこかの部位で発熱し、ハンドル自体が高温となることがある。たとえばハンドルの表面温度が80度以上まで上昇した場合には、作業者は、高温となったハンドルを把持することができず、ハンドルの温度が降下するまで溶接を中断することがある。このことは、非常に非効率である。また、作業者の疲労を軽減するべく、従来から溶接トーチの操作性の向上が要望されていたが、十分にこの要望に応えることができていなかった。なお、溶接トーチに関しては、たとえば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭59−120076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、より効率よくアーク処理を行うことができるアーク処理用トーチ、作業者の疲労を軽減することが可能となるアーク処理用トーチ、あるいは、アーク処理の品質の向上を実現できるアーク処理用トーチを提供することをその主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面によると、ハンドルと、前記ハンドルに囲まれ、ワイヤを挿通させる挿通部材と、を備え、前記ハンドルは、作業者が把持するための把持部位と、前記挿通部材が延び出る先端部位と、を含み、前記先端部位は、前記把持部位よりも、前記ワイヤの送給経路に沿った方向のうち送給方向前方側に位置し、前記挿通部材は、非発熱部と、少なくとも1つの発熱部と、を有し、前記挿通部材のうち前記把持部位に囲まれた部分は全て、前記非発熱部から構成される、アーク処理用トーチが提供される。
【0007】
好ましくは、前記挿通部材は、各々がワイヤを挿通させる導電筒状体およびケーブルを含み、前記ケーブルは、前記導電筒状体に接触する導体層を有し、前記少なくとも1つの発熱部は、第1発熱部を有し、前記導電筒状体と前記導体層との接触領域は、前記第1発熱部を構成している。
【0008】
好ましくは、前記第1発熱部は、前記先端部位の内部に位置している。
【0009】
好ましくは、前記導体層は、前記ワイヤの送給経路に沿って延びる筒状を呈している。
【0010】
好ましくは、前記ケーブルは、前記導体層を包囲する絶縁性の外皮を含み、前記導体層は、前記送給方向前方に、前記外皮から延び出ている導体延出部を有し、前記導体延出部は、前記導電筒状体と接触しており、前記導電筒状体と前記導体延出部との接触領域は、前記第1発熱部を構成している。
【0011】
好ましくは、前記導体層は、前記外皮に包囲された導体筒部を有し、前記導体延出部は、前記導体筒部の内径よりも大きい内径の筒状を呈している。
【0012】
好ましくは、前記ワイヤの送給経路に沿った方向における、前記導電筒状体と前記導体層との接触領域の寸法は、10〜18mmである。
【0013】
好ましくは、前記挿通部材は、前記送給経路に沿った方向において、前記導電筒状体と前記導体層との接触領域に重なる位置に配置された第1固定部材を含み、前記導体層は、前記導電筒状体および前記第1固定部材の間に介在しており、前記第1固定部材は、前記導体層を前記導電筒状体に押し付けている。
【0014】
好ましくは、前記導電筒状体は、基部および後方部を有し、前記基部は、前記導体層と接触しており、前記後方部は、前記基部よりも、前記送給方向前方とは反対の送給方向後方側に位置しており、前記後方部は、前記ケーブルに挿入されている。
【0015】
好ましくは、前記挿通部材は、前記ハンドルから延び出るトーチボディを含み、前記トーチボディは、前記導電筒状体に接触するボディ導電部を有し、前記少なくとも1つの発熱部は、第2発熱部を有し、前記導電筒状体と前記ボディ導電部との接触領域は、前記第2発熱部を構成している。
【0016】
好ましくは、前記第2発熱部は、前記先端部位の内部に位置している。
【0017】
好ましくは、前記ボディ導電部は、前記ワイヤの送給経路に沿って延びる筒状を呈している。
【0018】
好ましくは、前記ボディ導電部は、ボディ主部およびボディ突出部を有し、前記ボディ突出部は、前記ボディ主部から、前記送給方向前方とは反対の送給方向後方側に突出しており、且つ、前記導電筒状体に挿入されており、前記ボディ突出部は、前記導電筒状体と接触しており、前記導電筒状体と前記ボディ突出部との接触領域は、前記第2発熱部を構成している。
【0019】
好ましくは、前記導電筒状体は、基部および前方部を有し、前記基部は、前記導体層と接触しており、前記前方部は、前記基部よりも、前記送給方向前方側に位置しており、前記前方部には、前記ボディ突出部が挿入されており、且つ、前記前方部は、前記ボディ突出部に接触している。
【0020】
好ましくは、前記基部には、前記ボディ突出部が挿入されている。
【0021】
好ましくは、前記前方部は、前記基部から前記送給方向前方に延び出る複数の延出片を有し、前記複数の延出片は、前記送給経路に沿った方向に延びるスリットを介して、前記送給経路の周方向に互いに離間している。
【0022】
好ましくは、前記挿通部材は、前記送給経路に沿った方向において、前記導電筒状体と前記ボディ導電部との接触領域に重なる位置に配置された第2固定部材を含み、前記導電筒状体は、前記ボディ導電部および前記第2固定部材の間に介在しており、前記第2固定部材は、前記導電筒状体を前記ボディ導電部に押し付けている。
【0023】
好ましくは、前記トーチボディは、前記ボディ導電部を包囲するボディ絶縁部を含む。
【0024】
本発明の第2の側面によると、ハンドルと、前記ハンドルに囲まれ、ワイヤを挿通させる挿通部材と、を備え、前記ハンドルは、作業者が把持するための把持部位と、前記挿通部材が延び出る先端部位と、前記挿通部材を支持する支持部と、を含み、前記先端部位は、前記把持部位よりも、前記ワイヤの送給経路に沿った方向のうち送給方向前方側に位置し、前記把持部位は、前記挿通部材の位置する側を向く内面を有し、前記支持部は、前記内面から前記挿通部材に向かって起立している、アーク処理用トーチが提供される。
【0025】
好ましくは、前記把持部位は、作業者の中指と薬指で把持するための第1把持部分を有し、前記支持部は、前記挿通部材を支持する第1支持片を有し、前記第1支持片は、前記第1把持部分よりも、前記送給方向前方とは反対の送給方向後方側に位置している。
【0026】
好ましくは、前記支持部は、前記送給経路に沿った方向において、前記第1把持部分と重なる位置に位置する第2支持片を有する。
【0027】
好ましくは、前記支持部は、前記送給経路に沿った方向において、前記第1支持片と前記第2支持片との間に位置する第3支持片を有する。
【0028】
好ましくは、前記第1支持片、前記第2支持片、および前記第3支持片は、前記挿通部材を押圧しており、前記第1支持片および前記第2支持片が前記挿通部材に対して与える力の方向は、前記第3支持片が前記挿通部材に対して与える力の方向と逆方向である。
【0029】
好ましくは、前記把持部位の内部にて、前記送給経路は、第1方向に湾曲しており、前記第1方向は、前記送給経路に沿った方向に直交する方向である。
【0030】
好ましくは、前記第1支持片および前記第2支持片は、前記挿通部材のうち、前記第1方向側に位置する部位に当接しており、前記第3支持片は、前記挿通部材のうち、前記第1方向とは反対の第2方向側に位置する部位に当接している。
【0031】
好ましくは、前記第1支持片、前記第2支持片、および前記第3支持片は、前記内面から直立している。
【0032】
好ましくは、前記支持部には、前記ハンドルの外部の空間と前記ハンドルの内部の空間とをつなぐ通気孔が形成されている。
【0033】
好ましくは、前記挿通部材は、各々がワイヤを挿通させる導電筒状体およびケーブルを含み、前記ケーブルは、前記導電筒状体に接触する導体層を有し、前記支持部は、前記ケーブルに当接している。
【0034】
好ましくは、前記ケーブルは、前記導体層を包囲する絶縁性の外皮を含み、前記支持部は、前記外皮に当接している。
【0035】
本発明の第3の側面によると、ハンドルと、前記ハンドルに囲まれ、ワイヤを挿通させる挿通部材と、を備え、前記ハンドルは、作業者が把持するための把持部位と、前記挿通部材が延び出る先端部位と、を含み、前記先端部位は、前記把持部位よりも、前記ワイヤの送給経路に沿った方向のうち送給方向前方側に位置し、前記先端部位には、前方開口が形成され、前記前方開口からは、前記挿通部材が延び出ており、前記前方開口に位置する前記ワイヤの進行方向である第1進行方向は、仮想直線に対し傾斜しており、前記把持部位は、作業者の中指と薬指で把持するための第1把持部分を有し、前記仮想直線は、前記ワイヤの送給経路に沿った方向において前記第1把持部分に重なるいずれかの位置における、前記ワイヤの送給経路の接線である、アーク処理用トーチが提供される。
【0036】
好ましくは、前記仮想直線に対する前記第1進行方向の傾斜角は、1〜20度である。
【0037】
好ましくは、前記把持部位には、後方開口が形成され、前記後方開口からは、前記挿通部材が延び出ており、前記後方開口に位置する前記ワイヤの進行方向である第2進行方向は、仮想直線に対し傾斜している。
【0038】
好ましくは、前記仮想直線に対する前記第2進行方向の傾斜角は、25〜45度である。
【0039】
好ましくは、前記第1進行方向は、前記第2進行方向に対し傾斜しており、前記ハンドルの内部にて、前記送給経路は湾曲した部位を有する。
【0040】
好ましくは、前記第1進行方向に対する前記第2進行方向の傾斜角は、37〜52度である。
【0041】
好ましくは、前記把持部位の内部にて、前記送給経路は、第1方向に湾曲しており、前記第1方向は、前記送給経路に沿った方向に直交する方向である。
【0042】
好ましくは、前記先端部位は、作業者の人指し指あるいは親指を当接させる指当接面を有し、前記指当接面は、前記ワイヤの送給経路に向かって凹む凹部形状である。
【0043】
好ましくは、前記指当接面は、正面視において、前記ワイヤの送給経路に対して交差して延びる凹部形状である。
【0044】
好ましくは、前記先端部位には、作業者の人指し指が当接するスイッチレバーが設けられており、前記指当接面は、前記先端部位にて、前記スイッチレバーが設けられた箇所から、前記送給経路を挟んで前記スイッチレバーが設けられた箇所とは反対側の箇所にわたって、形成されている。
【0045】
好ましくは、前記把持部位は、前記ハンドルの外方を向く外面を有し、前記外面は、前記外面において第1方向側に位置する頂部を有し、前記第1方向は、前記送給経路に沿った方向に直交する方向であり、前記頂部は、前記第1方向側に湾曲する曲面状である。
【0046】
好ましくは、前記頂部の輪郭は、正面視において、曲率半径が140〜190mmである。
【0047】
好ましくは、前記外面は、前記外面において、前記第1方向とは反対の第2方向側に位置する底部を有し、前記底部の輪郭の一部は、正面視において、曲率半径が280〜310mmである。
【0048】
好ましくは、前記外面は、複数の帯状部位を有し、前記複数の帯状部位はいずれも、前記送給経路に沿った方向に延びており、前記複数の帯状部位は、前記送給経路の周方向に沿って配置されており、前記複数の帯状部位のうち前記周方向において互いに隣接する2つの帯状部位の間には、稜線が形成されている。
【0049】
好ましくは、前記把持部位は、作業者の小指で把持するための第2把持部分を有し、前記第2把持部分は、前記第1把持部分よりも縮径した形状の部分である。
【0050】
本発明の第4の側面によると、ハンドルと、前記ハンドルに囲まれ、ワイヤを挿通させる挿通部材と、を備え、前記ハンドルは、作業者が把持するための把持部位と、前記挿通部材が延び出る先端部位と、を含み、前記先端部位は、前記把持部位よりも、前記ワイヤの送給経路に沿った方向のうち送給方向前方側に位置し、前記先端部位には、前方開口が形成され、前記把持部位には、後方開口が形成され、前記前方開口および前記後方開口からはそれぞれ、前記挿通部材が延び出ており、前記前方開口に位置する前記ワイヤの進行方向である第1進行方向は、前記後方開口に位置する前記ワイヤの進行方向である第2進行方向に対し傾斜しており、前記ハンドルの内部にて、前記送給経路は湾曲した部位を有する、アーク処理用トーチが提供される。
【0051】
好ましくは、前記第1進行方向に対する前記第2進行方向の傾斜角は、37〜52度である。
【0052】
好ましくは、前記把持部位の内部にて、前記送給経路は、第1方向に湾曲しており、前記第1方向は、前記送給経路に沿った方向に直交する方向である。
【0053】
好ましくは、前記ハンドルの内部における前記ワイヤの送給経路の経路長に対する、前記ハンドルの内部において湾曲している前記ワイヤの送給経路の経路長の割合は、30〜60%である。
【0054】
好ましくは、前記ハンドルの内部において湾曲している前記ワイヤの送給経路の経路長は、70〜110mmである。
【0055】
好ましくは、前記ハンドルの内部において湾曲している前記ワイヤの送給経路の最小曲率半径は、100〜130mmである。
【0056】
好ましくは、前記第1進行方向は、仮想直線に対し傾斜しており、前記把持部位は、作業者の中指と薬指で把持するための第1把持部分を有し、前記仮想直線は、前記ワイヤの送給経路に沿った方向において前記第1把持部分に重なるいずれかの位置における、前記ワイヤの送給経路の接線である。
【0057】
好ましくは、前記後方開口に位置する前記ワイヤの進行方向である第2進行方向は、前記仮想直線に対し傾斜している。
【0058】
好ましくは、前記挿通部材は、前記先端部位から延び出るトーチボディを有し、前記トーチボディにおいて湾曲している前記ワイヤの送給経路の曲率半径は、湾曲している前記送給経路の全体にわたって、50〜140mmの範囲内にある。
【0059】
好ましくは、前記先端部位は、作業者の人指し指あるいは親指を当接させる指当接面を有し、前記指当接面は、前記ワイヤの送給経路に向かって凹む凹部形状である。
【0060】
好ましくは、前記指当接面は、正面視において、前記ワイヤの送給経路に対して交差して延びる凹部形状である。
【0061】
好ましくは、前記先端部位には、作業者の人指し指が当接するスイッチレバーが設けられており、前記指当接面は、前記先端部位にて、前記スイッチレバーが設けられた箇所から、前記送給経路を挟んで前記スイッチレバーが設けられた箇所とは反対側の箇所にわたって、形成されている。
【0062】
好ましくは、前記把持部位は、前記ハンドルの外方を向く外面を有し、前記外面は、前記外面において第1方向側に位置する頂部を有し、前記第1方向は、前記送給経路に沿った方向に直交する方向であり、前記頂部は、前記第1方向側に湾曲する曲面状である。
【0063】
好ましくは、前記頂部の輪郭は、正面視において、曲率半径が140〜190mmである。
【0064】
好ましくは、前記外面は、前記外面において、前記第1方向とは反対の第2方向側に位置する底部を有し、前記底部の輪郭の一部は、正面視において、曲率半径が280〜310mmである。
【0065】
好ましくは、前記外面は、複数の帯状部位を有し、前記複数の帯状部位はいずれも、前記送給経路に沿った方向に延びており、前記複数の帯状部位は、前記送給経路の周方向に沿って配置されており、前記複数の帯状部位のうち前記周方向において互いに隣接する2つの帯状部位の間には、稜線が形成されている。
【0066】
好ましくは、前記把持部位は、作業者の小指で把持するための第2把持部分を有し、前記第2把持部分は、前記第1把持部分よりも縮径した形状の部分である。
【0067】
本発明の第5の側面によると、本発明の第1の側面ないし第4の側面のいずれかによって提供されるアーク処理用トーチと、前記挿通部材に挿通されたワイヤに電流を流す電源と、を備える、アーク処理システムが提供される。
【0068】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1】本発明の第1実施形態のアーク処理システムを示す図である。
図2図1に示したアーク処理用トーチを示す断面図である。
図3図2から挿通部材を省略して示す図である。
図4図2の部分拡大図である。
図5図2のV−V線に沿う挿通部材の断面図である。
図6図2のVI−VI線に沿う挿通部材の断面図である。
図7図2のVII−VII線に沿う断面図である。
図8図1に示したアーク処理用トーチにおけるハンドルを示す正面図である。
図9図1に示したアーク処理用トーチにおけるハンドルを示す背面図である。
図10図1に示したアーク処理用トーチにおけるハンドルを示す平面図である。
図11図1に示したアーク処理用トーチにおけるハンドルを示す底面図である。
図12】(a)は、従来のアーク処理用トーチを用いた場合の作業者の姿勢を示す写真であり、(b)は、本発明の第1実施形態のアーク処理用トーチを用いた場合の作業者の姿勢を示す写真である。
図13】本発明の第2実施形態のアーク処理用トーチを示す断面図である。
図14】(a)は、本発明の第1実施形態のアーク処理用トーチにおけるハンドルの正面図であり、(b)は、本発明の第1実施形態のアーク処理用トーチにおけるハンドルの背面図であり、(c)は、本発明の第1実施形態のアーク処理用トーチにおけるハンドルの平面図であり、(d)は、本発明の第1実施形態のアーク処理用トーチにおけるハンドルの底面図である。
図15】(a)は、本発明の第1実施形態のアーク処理用トーチにおけるハンドルの左側面図であり、(b)は、本発明の第1実施形態のアーク処理用トーチにおけるハンドルの右側面図である。
図16】(a)は、左斜め上から見た、本発明の第1実施形態のアーク処理用トーチにおけるハンドルの斜視図であり、(b)は、右斜め上から見た、本発明の第1実施形態のアーク処理用トーチにおけるハンドルの斜視図であり、(c)は、左斜め下から見た、本発明の第1実施形態のアーク処理用トーチにおけるハンドルの斜視図であり、(d)は、右斜め下から見た、本発明の第1実施形態のアーク処理用トーチにおけるハンドルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0070】
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0071】
<第1実施形態>
図1図12を用いて、本発明の第1実施形態について説明する。
【0072】
図1は、本発明の第1実施形態のアーク処理システムを示す図である。
【0073】
[アーク処理システムA1について]
同図に示すアーク処理システムA1は、アーク処理用トーチT1および電源5を備える。アーク処理システムA1は、アーク処理を行うためのものであり、本実施形態では、被処理部材W1に対してアーク溶接を行うためのものである。アーク処理システムA1はワイヤ81を用いて、被処理部材W1に対しアーク溶接を行う。アーク処理用トーチT1は、送給装置(図示略)から送給されたワイヤ81を、被処理部材W1に案内する。
【0074】
[アーク処理用トーチT1について]
図1に示すアーク処理用トーチT1は、挿通部材1と、ハンドル3と、トーチスイッチ4と、を含む。
【0075】
[挿通部材1について]
挿通部材1は、被処理部材W1のアーク処理に際し、ワイヤ81を所望の箇所へと案内する。挿通部材1はワイヤ81を挿通させる。
【0076】
図2は、図1に示したアーク処理用トーチを示す断面図である。
【0077】
図1図2に示すように、挿通部材1は、ノズル11と、トーチボディ12と、ケーブル14と、導電筒状体15と、ライナ16と、第1固定部材181と、第2固定部材182と、を含む。
【0078】
図1に示すノズル11は、アーク処理用トーチT1の先端に位置する筒状の部材である。本実施形態では、溶接対象である被処理部材W1に対して、ガス供給装置(図示略)から供給されたシールドガスを噴出する。ノズル11は、上述のように筒状に形成されているため、ノズル11から噴出したシールドガスは、被処理部材W1における、溶接すべき箇所を外気から遮断する。このことにより、大気中の窒素が被処理部材W1に溶け込むことによる溶接欠陥(ブローホール)が防止される。ノズル11の内部には、給電チップ(図示略)が設けられている。当該給電チップは、アーク処理用トーチT1の使用時において、送給されているワイヤ81に給電する。そして、被処理部材W1に向かって、給電されたワイヤ81が送給される。
【0079】
図1図2に示すトーチボディ12は筒状の部材である。トーチボディ12はワイヤ81を挿通させる。トーチボディ12はハンドル3から延び出ており、トーチボディ12の先端はノズル11に接続されている。トーチボディ12は、作業者が被処理部材W1に対してノズル11を向けやすいように、湾曲部分を有している。
【0080】
図4は、図2の部分拡大図である。図5は、図2のV−V線に沿う挿通部材の断面図である。図6は、図2のVI−VI線に沿う挿通部材の断面図である。図7は、図2のVII−VII線に沿う断面図である。
【0081】
図1図2図4に示すトーチボディ12は、ボディ導電部121と、ボディ絶縁部123と、を有する。
【0082】
ボディ導電部121は、導電性の材料よりなり、ワイヤ81の送給経路P1に沿って延びる筒状を呈している。ボディ導電部121は、ボディ主部121Aおよびボディ突出部121Bを有する。ボディ主部121Aおよびボディ突出部121Bは、ワイヤ81の送給経路P1に沿って延びる筒状を呈している。ボディ主部121Aは、ハンドル3の外部に位置している。ボディ突出部121Bは、ボディ主部121Aから、送給方向前方F11とは反対の送給方向後方F12側に突出している。ボディ突出部121Bは、ハンドル3の内部に位置している。ボディ突出部121Bの外径は、ボディ主部121Aの外径よりも小さい。
【0083】
ボディ絶縁部123は、絶縁性の材料よりなり、ボディ導電部121を包囲している。ボディ絶縁部123は、ワイヤ81の送給経路P1に沿って延びる筒状を呈している。ボディ絶縁部123の大部分は、ハンドル3の外部に位置している。
【0084】
図1図2図4に示すケーブル14は筒状の部材である。ケーブル14はワイヤ81を挿通させる。ケーブル14は、送給装置(図示略)から送給されるワイヤ81をガイドする。
【0085】
図2図7に示すように、ケーブル14は、内膜141と、導体層142と、外皮143と、を有する。
【0086】
内膜141および外皮143は絶縁性の材料よりなり、ワイヤ81の送給経路P1に沿って延びる筒状を呈している。内膜141および外皮143を構成する絶縁性の材料としては、たとえば、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、および、ポリエチレンゴムが挙げられる。
【0087】
導体層142は、内膜141および外皮143の間に介在している。すなわち、導体層142は外皮143に包囲されており、内膜141は導体層142に包囲されている。導体層142は導電性の材料よりなり、ワイヤ81の送給経路P1に沿って延びる筒状を呈している。導体層142は、たとえば、細い導線よりなる束が編まれた状態のものである。
【0088】
図2図4に示すように、導体層142は、導体筒部142Aと、導体延出部142Bと、を有する。
【0089】
導体筒部142Aは、導体層142のうち外皮143に包囲された部位である。導体延出部142Bは、ワイヤ81の送給経路P1に沿った方向F1のうち送給方向前方F11に、外皮143から延び出ている。導体延出部142Bは、導体筒部142Aの内径(具体的には、把持部位31の内部に存在する導体筒部142Aの内径)よりも大きい内径の筒状を呈している。
【0090】
図2図4図6に示す導電筒状体15は、導電性の材料よりなり、ケーブル14における導体層142からの電力を、トーチボディ12におけるボディ導電部121に伝えるためのものである。導電筒状体15は、導体層142(具体的には導体延出部142B)と、ボディ導電部121(具体的にはボディ突出部121B)とに接触している。そのため、アーク処理システムA1の使用時には電流が、導体層142(具体的には導体延出部142B)から、導電筒状体15を介して、ボディ導電部121(具体的にはボディ突出部121B)に流れる。
【0091】
図4によく表れているように、導電筒状体15は、基部150と、前方部151と、後方部152と、を有する。
【0092】
基部150は筒状を呈しており、導体層142と接触している。具体的には、基部150は導体延出部142Bと接触している。ワイヤ81の送給経路P1に沿った方向F1における、導電筒状体15と導体層142との接触領域の寸法L31(図4参照)は、たとえば、10〜18mmであり、より好ましくは、12〜16mmである。基部150には、ボディ突出部121Bが挿入されている。
【0093】
前方部151は、基部150よりも、送給方向前方F11側に位置している。前方部151には、ボディ突出部121Bが挿入されている。前方部151は、ボディ突出部121Bに接触している。図4図6に示すように、前方部151は、複数の延出片151Aを有する。複数の延出片151Aは基部150から送給方向前方F11に延び出ている。複数の延出片151Aは、送給経路P1に沿った方向F1に延びるスリット151Sを介して、送給経路P1の周方向に互いに離間している。
【0094】
図4に示す後方部152は、筒状を呈しており、基部150よりも送給方向前方F11とは反対の送給方向後方F12側に位置している。後方部152は、ケーブル14に挿入されている。後方部152は、内膜141に固定されている。
【0095】
図2図4図7に示すライナ16は、ワイヤ81の送給経路P1に沿って延びる筒状を呈している。ライナ16は、たとえばFe等の導電性の材料よりなる。ライナ16は、ケーブル14内部から、導電筒状体15内部を経て、トーチボディ12内にわたって、設けられている。ライナ16は、ワイヤ81の送給を円滑に行うためのものである。ライナ16は、ボディ導電部121等を構成する材料よりも抵抗率の大きい材料よりなることが多いため、アーク処理システムA1の使用時において、ライナ16には電流はほとんど流れない。
【0096】
図2図4図5に示す第1固定部材181は、送給経路P1に沿った方向F1において、導電筒状体15と導体層142との接触領域に重なる位置に配置されている。導体層142は、導電筒状体15および第1固定部材181の間に介在している。第1固定部材181は、導体層142を導電筒状体15に押し付けている。これにより、導体層142が導電筒状体15に対し、固定されている。
【0097】
図2図4図6に示す第2固定部材182は、送給経路P1に沿った方向F1において、導電筒状体15とボディ導電部121との接触領域に重なる位置に配置されている。導電筒状体15は、ボディ導電部121および第2固定部材182の間に介在している。第2固定部材182は、導電筒状体15をボディ導電部121に押し付けている。本実施形態では、前方部151における複数の延出片151Aが外側から締め付けられることにより、延出片151Aがボディ導電部121(具体的にはボディ突出部121B)に押し付けられている。これにより、導電筒状体15がボディ導電部121に固定されている。
【0098】
挿通部材1は、第1発熱部191と、第2発熱部192と、非発熱部195と、を有する。第1発熱部191および第2発熱部192は、アーク処理システムA1の使用の際に、発熱する部位である。
【0099】
図2図4図5に示すように、第1発熱部191は、導電筒状体15と導体層142との接触領域により、構成されている。より具体的には、第1発熱部191は、基部150と導体延出部142Bとの接触領域により、構成されている。基部150と導体延出部142Bとの接触領域が発熱する理由の一つとしては、アーク処理システムA1の使用の際に、互いに異なる2つの物体である基部150と導体延出部142Bとの間に非常に大きな電流が流れることにより、電流の電気エネルギーの一部がジュール熱として発生することが考えられる。
【0100】
図2図4図6に示すように、第2発熱部192は、導電筒状体15とボディ導電部121との接触領域により、構成されている。より具体的には、第2発熱部192は、前方部151とボディ突出部121Bとの接触領域により、構成されている。前方部151とボディ突出部121Bとの接触領域が発熱する理由の一つとしては、アーク処理システムA1の使用の際に、互いに異なる2つの物体である前方部151とボディ突出部121Bとの間に非常に大きな電流が流れることにより、電流の電気エネルギーの一部がジュール熱として発生することが考えられる。
【0101】
そして、非発熱部195は、アーク処理システムA1の使用時に、第1発熱部191や第2発熱部192よりも低温である部位である。本実施形態では、ハンドル3の内部においては、非発熱部195は、挿通部材1のうち、第1発熱部191と第2発熱部192以外の部位である。なお、挿通部材1が2つの発熱部を含む必要は必ずしもない。たとえば、挿通部材1が発熱部を1つのみ有していてもよい。
【0102】
[ハンドル3について]
ハンドル3は、筒状を呈している。ハンドル3は、作業者がアーク処理を行う際の持ち手部分として機能するものである。本実施形態では、ハンドル3は、アーク処理の作業効率を向上させるために、たとえば、人間の握りやすい形状となっている。ハンドル3内にはワイヤ81が挿通される。ハンドル3は、樹脂等の絶縁性の材料よりなる。
【0103】
図8は、図1に示したアーク処理用トーチにおけるハンドルを示す正面図である。図9は、図1に示したアーク処理用トーチにおけるハンドルを示す背面図である。図10は、図1に示したアーク処理用トーチにおけるハンドルを示す平面図である。図11は、図1に示したアーク処理用トーチにおけるハンドルを示す底面図である。図14図16には、本実施形態のアーク処理用トーチのハンドルの六面図および斜視図を示している。
【0104】
図2図8図11に示すように、ハンドル3は、把持部位31と、先端部位32と、を含む。
【0105】
先端部位32は、筒状を呈しており、把持部位31よりも、ワイヤ81の送給経路P1に沿った方向F1のうち送給方向前方F11側に位置する。先端部位32からは、挿通部材1が延び出ている。図4に示すように、先端部位32の内部には、導電筒状体15の全部が配置されている。先端部位32の内部には、第1発熱部191および第2発熱部192が位置している。先端部位32と第1発熱部191および第2発熱部192との間には、比較的大きな空間が形成されている。これは、第1発熱部191にて発生する熱や第2発熱部192にて発生する熱が、先端部位32に伝達することを防止するためである。
【0106】
なお、本実施形態とは異なり、第1発熱部191および第2発熱部192のいずれもが先端部位32の内部に位置している必要はない。たとえば、第1発熱部191が先端部位32よりも送給方向後方F12側に位置していてもよい。更には、第1発熱部191がハンドル3よりも、送給方向後方F12側に位置していてもよい。
【0107】
先端部位32には、前方開口321およびスイッチ用穴323が形成されている。
【0108】
前方開口321からは、挿通部材1が延び出ている。具体的には、前方開口321からは、トーチボディ12が延び出ている。
【0109】
図8図11に示すように、先端部位32は、作業者の人指し指あるいは親指を当接させる指当接面325を有する。指当接面325は、ワイヤ81の送給経路P1に向かって凹む凹部形状である。指当接面325は、正面視において、ワイヤ81の送給経路P1に対して交差して延びる凹部形状である。指当接面325は、先端部位32にて、スイッチレバー41(後述)が設けられた箇所から、送給経路P1を挟んでスイッチレバー41(後述)が設けられた箇所とは反対側の箇所にわたって、形成されている。また、指当接面325は、図10の下側および上側に形成されている。
【0110】
スイッチ用穴323は、先端部位32における第2方向X2側の位置に形成されている。スイッチ用穴323は、スイッチレバー41を配置するためのものである。
【0111】
把持部位31は、作業者が把持するための部分であり、筒状を呈している。挿通部材1のうち把持部位31に囲まれた部分は全て、非発熱部195から構成されている。
【0112】
把持部位31には、後方開口311が形成されている。後方開口311からは、挿通部材1が延び出ている。具体的には、後方開口311からは、ケーブル14が延び出ている。
【0113】
図2図8図11に示すように、把持部位31は、第1把持部分316および第2把持部分317を有する。
【0114】
第1把持部分316は、作業者の中指と薬指で把持するための部分であり、第2把持部分317は、作業者の小指で把持するための部分である。第2把持部分317は、第1把持部分316よりも、送給方向後方F12側に位置している。第2把持部分317は、第1把持部分316よりも縮径した形状である。
【0115】
図2図7に示すように、把持部位31は、外面313および内面314を有する。外面313はハンドル3の外方を向いており、内面314は挿通部材1の位置する側を向いている。
【0116】
外面313は、頂部313Aおよび底部313Bを有する。頂部313Aは、外面313において第1方向X1側に位置する。第1方向X1は、送給経路P1に沿った方向F1に直交する方向である。頂部313Aは、第1方向X1側に湾曲する曲面状である。本実施形態においては、頂部313Aの輪郭は、正面視において、たとえば、曲率半径が140〜190mmである。底部313Bは、外面313において、第1方向X1とは反対の第2方向X2側に位置する。本実施形態では、底部313Bの輪郭の一部は、正面視において、曲率半径が、たとえば、280〜310mmである。具体的には、底部313Bのうち、第1把持部分316によって構成される部分の輪郭の曲率半径は、たとえば、280〜310mmである。底部313Bのうち、第2把持部分317によって構成される部分の輪郭の曲率半径は、たとえば、20〜40mmである。頂部313Aおよび底部313Bの形状は、作業者が握りやすいような曲面となっていることが好ましい。
【0117】
図8図9図11に示すように、外面313は、複数の帯状部位313Eを有する。複数の帯状部位313Eはいずれも、送給経路P1に沿った方向F1に延びている。複数の帯状部位313Eは、送給経路P1の周方向に沿って配置されている。複数の帯状部位313Eのうち周方向において互いに隣接する2つの帯状部位313Eの間には、稜線313Fが形成されている。帯状部位313Eは平坦であってもよいし、曲面であってもよい。帯状部位313Eは、第1把持部分316によって構成されていることが好ましい。
【0118】
図2に示すように、支持部35は、内面314から挿通部材1に向かって起立しており、挿通部材1を支持している。支持部35は、ハンドル3の内部における挿通部材1(具体的には、ケーブル14)の形状を規定している。
【0119】
支持部35は、第1支持片351と、第2支持片352と、第3支持片353と、を有する。本実施形態では、第1支持片351と、第2支持片352と、第3支持片353とは、それぞれ複数形成されているが、第1支持片351、第2支持片352、および第3支持片353は、複数形成されている必要は必ずしもない。
【0120】
第1支持片351は、第1把持部分316よりも、送給方向前方F11とは反対の送給方向後方F12側に位置している。本実施形態では、第1支持片351は、後方開口311の略中央に挿通部材1を配置するためのものである。第1支持片351の一部は、挿通部材1のうち、第1方向X1側に位置する部位に当接している。具体的には、第1支持片351の一部は、外皮143のうち、第1方向X1側に位置する部位に当接している。なお、本実施形態では、第1支持片351の他の一部は、挿通部材1のうち、第2方向X2側に位置する部位に当接している。
【0121】
第2支持片352は、送給経路P1に沿った方向F1において、第1把持部分316と重なる位置に位置している。第2支持片352は、挿通部材1のうち、第1方向X1側に位置する部位に当接している。具体的には、第2支持片352は、外皮143のうち、第1方向X1側に位置する部位に当接している。
【0122】
第3支持片353は、送給経路P1に沿った方向F1において、第1支持片351と第2支持片352との間に位置している。第3支持片353は、挿通部材1のうち、第1方向X1とは反対の第2方向X2側に位置する部位に当接している。具体的には、第3支持片353は、外皮143のうち、第2方向X2側に位置する部位に当接している。
【0123】
第1支持片351、第2支持片352、および第3支持片353は、内面314から起立している。第1支持片351、第2支持片352、および第3支持片353は、挿通部材1を押圧している。第1支持片351および第2支持片352が挿通部材1に対して与える力の方向は、第3支持片353が挿通部材1に対して与える力の方向と逆方向である。本実施形態では、上述のように、第1支持片351および第2支持片352は、挿通部材1のうち、第1方向X1側に位置する部位に当接しているから、挿通部材1に対し、第2方向X2側に向かう力を与えている。一方、上述のように、第3支持片353は、挿通部材1のうち、第2方向X2側に位置する部位に当接しているから、挿通部材1に対し、第1方向X1側に向かう力を与えている。
【0124】
[ワイヤ81の送給経路P1について]
ワイヤ81の送給経路P1は、挿通部材1により規定される。本実施形態の送給経路P1の具体的構成は以下のとおりである。
【0125】
図3は、図2から挿通部材を省略して示す図である。
【0126】
図3に示すように、前方開口321に位置するワイヤ81の進行方向である第1進行方向Y1は、仮想直線L11に対し傾斜している。仮想直線L11は、ワイヤ81の送給経路P1に沿った方向F1において第1把持部分316に重なるいずれかの位置における、ワイヤ81の送給経路P1の接線である。仮想直線L11に対する第1進行方向Y1の傾斜角θ1は、たとえば、1〜20度であり、好ましくは、7〜14度である。一方、後方開口311に位置するワイヤ81の進行方向である第2進行方向Y2は、仮想直線L11に対し傾斜している。仮想直線L11に対する第2進行方向Y2の傾斜角θ2は、たとえば、25〜45度であり、好ましくは、30〜38度である。そして、前方開口321に位置するワイヤ81の進行方向である第1進行方向Y1は、後方開口311に位置するワイヤ81の進行方向である第2進行方向Y2に対し傾斜している。第1進行方向Y1に対する第2進行方向Y2の傾斜角θ3は、たとえば、37〜52度である。本実施形態では、傾斜角θ3は、傾斜角θ1と傾斜角θ2との和である。
【0127】
ワイヤ81の送給経路P1は、ハンドル3の内部にて、湾曲した部位を有する。本実施形態では、把持部位31の内部にて、送給経路P1は、第1方向X1に湾曲している。当該湾曲した送給経路P1は、ケーブル14によって規定されている。ハンドル3の内部において湾曲しているワイヤ81の送給経路P1の最小曲率半径は、たとえば、100〜130mmである。すなわち、本実施形態では、ワイヤ81の送給経路P1のうち、ハンドル3の内部において湾曲している部分は、折れ曲がることにより形成されているのではない。一方、トーチボディ12において湾曲しているワイヤ81の送給経路P1の曲率半径は、湾曲している送給経路P1の全体にわたって、たとえば、50〜140mmの範囲内にある。
【0128】
ハンドル3の内部におけるワイヤ81の送給経路P1の経路長L21(図2参照)は、たとえば、150〜250mmである。ハンドル3の内部において湾曲しているワイヤ81の送給経路P1の経路長L22(図2参照)は、たとえば、70〜110mmである。そして、ハンドル3の内部におけるワイヤ81の送給経路P1の経路長L21に対する、ハンドル3の内部において湾曲しているワイヤ81の送給経路P1の経路長L22の割合は、たとえば、30〜60%であり、好ましくは、40〜50%である。
【0129】
[トーチスイッチ4について]
図2図4図8等に示すトーチスイッチ4は、ハンドル3に収容されており、ハンドル3に対し相対的に固定されている。本実施形態では、トーチスイッチ4はレバースイッチである。トーチスイッチ4はスイッチレバー41およびタクトスイッチ42を有する。スイッチレバー41は、スイッチ用穴323に配置されており、先端部位32に対し回動可能に支持されている。タクトスイッチ42は、先端部位32の内部に配置されている。作業者の人指し指に押されることによりスイッチレバー41が回動し、スイッチレバー41がタクトスイッチ42を押圧する。これにより、タクトスイッチ42(すなわちトーチスイッチ4)がオン状態となる。本実施形態とは異なり、トーチスイッチ4はレバースイッチに限定されず、たとえば、押しボタン式のプッシュスイッチであってもよい。
【0130】
[電源5について]
図1に示す電源5は、挿通部材1に挿通されたワイヤ81に電流を流す。本実施形態では、アーク処理システムA1の使用時には、ワイヤ81と被処理部材W1との間にアークが発生する。ワイヤ81からアークを経由して被処理部材W1へと電流が流れる。電源5は、トーチスイッチ4がオン状態である場合にのみ、ワイヤ81に電流を流す。そして、本実施形態では、トーチスイッチ4がオン状態である場合にのみ、送給装置(図示略)によってワイヤ81が送給される。
【0131】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0132】
本実施形態においては、挿通部材1のうち把持部位31に囲まれた部分は全て、非発熱部195から構成される。このような構成によると、把持部位31の内部には第1発熱部191や第2発熱部192が配置されていない。そのため、第1発熱部191や第2発熱部192にて発生した熱が、把持部位31に伝達することを抑制できる。これにより、アーク処理システムA1の使用時に、把持部位31の外面313が過度に高温となることを抑制できる。その結果、作業者が長時間、把持部位31を把持しつつ、アーク処理(本実施形態ではアーク溶接)を行うことが可能となる。したがって、より効率よく、アーク処理を行うことが可能となる。
【0133】
本実施形態においては、導体層142は、外皮143に包囲された導体筒部142Aを有する。導体延出部142Bは、導体筒部142Aの内径よりも大きい内径の筒状を呈している。このような構成によると、導体延出部142Bと導電筒状体15との接触領域の面積を大きくすることができる。これにより、導体延出部142Bと導電筒状体15との接触領域(第1発熱部191)にて発生する熱を低減させることができる。このことにより、アーク処理システムA1の使用時に、把持部位31の外面313が過度に高温となることを更に抑制できる。したがって、上述したのと同様の理由により、更に効率よく、アーク処理を行うことが可能となる。
【0134】
本実施形態においては、基部150には、ボディ突出部121Bが挿入されている。このような構成によると、導体延出部142Bと導電筒状体15との接触領域(第1発熱部191)から、トーチボディ12がハンドル3から延び出る箇所(前方開口321)までの距離を短くすることが可能となる。これにより、ハンドル3から、被処理部材W1におけるアーク処理箇所(本実施形態では溶接箇所)までの平面視における距離を、小さくすることができる。このことにより、作業者が、ノズル11の先端を被処理部材W1におけるアーク処理箇所に位置させやすくなる。すなわち、作業者が被処理部材W1におけるアーク処理箇所を狙いやすい。その結果、作業者のアーク処理用トーチT1の操作性の向上を図ることが可能となる。アーク処理用トーチT1の操作性の向上は、長時間のあいだアーク処理を行う作業者の疲労を低減させるのに適する。
【0135】
本実施形態においては、ハンドル3は、挿通部材1を支持する支持部35を含む。支持部35は、内面314から挿通部材1に向かって起立している。このような構成によると、挿通部材1とハンドル3との接触面積を大きくすることなく、把持部位31内において、挿通部材1を、把持部位31の内面314から離間した状態に保持することが可能となる。これにより、第1発熱部191や第2発熱部192にて発生した熱が、把持部位31に伝達することを抑制できる。このことにより、アーク処理システムA1の使用時に、把持部位31の外面313が過度に高温となることを更に抑制できる。したがって、上述したのと同様の理由により、更に効率よく、アーク処理を行うことが可能となる。
【0136】
本実施形態においては、第1支持片351、第2支持片352、および第3支持片353は、挿通部材1を押圧している。第1支持片351および第2支持片352が挿通部材1に対して与える力の方向は、第3支持片353が挿通部材1に対して与える力の方向と逆方向である。このような構成によると、挿通部材1(本実施形態ではケーブル14)がハンドル3から抜けることを防止できる。
【0137】
本実施形態においては、図3に示したように、前方開口321に位置するワイヤ81の進行方向である第1進行方向Y1は、仮想直線L11に対し傾斜している。このような構成によると、第1進行方向Y1が仮想直線L11に対し傾斜していない場合と比較して、ノズル11の先端を、同一の被処理部材W1におけるアーク処理箇所に位置させる場合、被処理部材W1からの作業者の肘の高さを低くできる。図12(a)は従来のアーク処理用トーチを用いた場合を示しており、同図(b)は本実施形態のアーク処理用トーチT1を用いた場合を示している。同図(b)に示す肘の高さH2は、同図(a)に示す肘の高さH1よりも低い。作業者の肘の高さを低くできると、作業者の脇の開き角度を小さくできるため、作業者の疲労を軽減することが可能となる。
【0138】
また、本実施形態の構成によると、仮想直線L11が水平方向に一致するように作業者がハンドル3を把持したとき、水平方向に対し第1進行方向Y1を重力方向下方側に傾斜させることが可能となる。水平方向に対し第1進行方向Y1を重力方向下方側に傾斜させることができると、従来と同様のトーチボディ12を用いた場合であっても、ハンドル3から、被処理部材W1におけるアーク処理箇所(本実施形態では溶接箇所)までの平面視における距離を、小さくすることができる。そうすると、上述したのと同様の理由により、作業者のアーク処理用トーチT1の操作性の向上を図ることが可能となる。アーク処理用トーチT1の操作性の向上は、長時間のあいだアーク処理を行う作業者の疲労を低減させるのに適する。あるいは、水平方向に対し第1進行方向Y1を重力方向下方側に傾斜させることができると、被処理部材W1におけるアーク処理箇所までの平面視における距離を、従来と同等とする場合には、トーチボディ12内のワイヤ81の送給経路P1の曲率半径を大きくすることができる。このことは、ワイヤ81の送給抵抗の低減に資する。よって、アーク処理(本実施形態では溶接)の品質の向上が実現される。
【0139】
本実施形態においては、後方開口311に位置するワイヤ81の進行方向である第2進行方向Y2は、仮想直線L11に対し傾斜している。このような構成によると、仮想直線L11が水平方向に一致するように作業者がハンドル3を把持したとき、水平方向に対し第2進行方向Y2を重力方向上方側に傾斜させることが可能となる。よって、後方開口311から延び出る挿通部材1(本実施形態ではケーブル14)を、重力方向下方側に垂らすことが可能となる。これにより、作業者の手にかかる負担、すなわち作業重量を軽減でき、作業者の疲労を軽減することが可能となる。
【0140】
また、本実施形態の構成によると、ハンドル3の重心位置を把持部位31に位置させることができる。そのため、バランス性を高め、作業重量を軽減でき、操作性を向上できる。
【0141】
ワイヤ81は、ワイヤリール(図示略)から挿通部材1に挿通され、被処理部材W1へ送給される。ワイヤリールにてワイヤ81は複数巻に巻かれているため、挿通部材1に挿通されているワイヤ81にも、曲がりぐせが形成されている。本実施形態においては、ハンドル3の内部にて、送給経路P1は湾曲した部位を有する。このような構成によると、ハンドル3内の送給経路P1が全体にわたって直線状である場合に比べて、送給経路P1をワイヤ81の曲がりぐせに応じた形状とすることが可能となる。よって、ハンドル3内においてワイヤ81が受けうる送給抵抗を、より小さくすることが可能となる。これにより、アーク処理(本実施形態では溶接)の品質の向上が実現される。
【0142】
本実施形態においては、第1支持片351および第2支持片352は、挿通部材1のうち、第1方向X1側に位置する部位に当接している。第3支持片353は、挿通部材1のうち、第1方向X1とは反対の第2方向X2側に位置する部位に当接している。このような構成によると、把持部位31内のワイヤ81の送給経路P1が湾曲している状態に維持するのに、非常に好適である。
【0143】
本実施形態においては、先端部位32は、作業者の人指し指あるいは親指を当接させる指当接面325を有する。指当接面325は、ワイヤ81の送給経路P1に向かって凹む凹部形状である。このような構成によると、作業者の人指し指や親指と先端部位32との接触面積を向上させることができる。その結果、作業者の人指し指や親指を、ハンドル3によりフィットさせることが可能となる。これにより、ハンドル3の把持安定性が向上する。
【0144】
本実施形態においては、指当接面325は、正面視において、ワイヤ81の送給経路P1に対して交差して延びる凹部形状である。このような構成によると、作業者の人指し指と先端部位32との接触面積を更に向上させることができる。その結果、作業者の人指し指を、ハンドル3に更にフィットさせることが可能となる。これにより、ハンドル3の把持安定性が向上する。
【0145】
本実施形態においては、把持部位31は、ハンドル3の外方を向く外面313を有する。外面313は、外面313において第1方向X1側に位置する頂部313Aを有する。頂部313Aは、第1方向X1側に湾曲する曲面状である。このような構成によると、作業者の掌と把持部位31との接触面積を向上させることができる。その結果、作業者の掌を、ハンドル3によりフィットさせることが可能となる。これにより、ハンドル3の把持安定性が向上する。
【0146】
本実施形態においては、外面313は、外面313において、第1方向X1とは反対の第2方向X2側に位置する底部313Bを有する。底部313Bの輪郭の一部は、正面視において、曲率半径が280〜310mmである。このような構成によると、作業者の中指や薬指等を保持するための凹部が形成されていない。そのため、作業者の手のサイズが異なったとしても、中指や薬指等を把持部位31にフィットさせることが可能である。これにより、ハンドル3の把持安定性が向上する。
【0147】
本実施形態においては、把持部位31は、作業者の小指で把持するための第2把持部分317を有する。第2把持部分317は、第1把持部分316よりも縮径した形状の部分である。このような構成によると、作業者の小指にて、把持部位31をより強く握ることが可能となる。これにより、ハンドル3の把持安定性が向上する。
【0148】
本実施形態においては、外面313は、複数の帯状部位313Eを有する。複数の帯状部位313Eはいずれも、送給経路P1に沿った方向F1に延びている。複数の帯状部位313Eは、送給経路P1の周方向に沿って配置されている。複数の帯状部位313Eのうち周方向において互いに隣接する2つの帯状部位313Eの間には、稜線313Fが形成されている。このような構成によると、長時間のあいだ作業者がハンドル3を握っていた場合に作業者の握力が小さくなったとしても、しっかりとハンドル3を握ることが可能となる。
【0149】
従来では、作業者の手とハンドルとの接触面積は、4100mm2程度であった。これに対し、本実施形態においては、作業者の手とハンドル3との接触面積は、たとえば、8000mm2〜9000mm2程度である。
【0150】
<第2実施形態>
図13を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。
【0151】
なお、以下の説明では、上記と同一または類似の構成については上記と同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
【0152】
図13は、本発明の第2実施形態のアーク処理用トーチを示す断面図である。
【0153】
同図に示すアーク処理用トーチT2は、支持部35に通気孔358が形成されている点を除き、上述の実施形態におけるものと同様である。通気孔358は、ハンドル3の外部の空間とハンドル3の内部の空間とをつないでいる。本実施形態によると、第1実施形態にて述べた作用効果に加え、以下の作用効果を奏する。
【0154】
本実施形態によると、通気孔358を介して、ハンドル3の内部の空間からハンドル3の外部の空間へと空気を流通させることができる。これにより、挿通部材1やハンドル3の熱を、より効率的に、ハンドル3の外部へと放出することができる。したがって、本実施形態の構成は、挿通部材1やハンドル3の冷却効果を向上させるのに適する。
【0155】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0156】
上述の例では、ハンドル3内にて送給経路P1が湾曲している部位を有する例を示したが、ハンドル3内にて送給経路P1が湾曲している部位を全く有していなくてもよい。
【0157】
ワイヤ81の送給性の向上を図るべく、曲率半径と曲げ角度とを複数組み合わせて緩和曲線を描くように、トーチボディ12の形状を決定してもよい。
【0158】
ハンドル3のいずれかの位置に、ハンドル3の内部の空間に通じる微細孔を形成してもよい。これにより、当該微細孔からハンドル3の内部の空間に向かう空気の流れを生成でき、ハンドル3や挿通部材1を冷却することができる。
【0159】
電流が流れる部品(たとえば導電筒状体15)を支持部35にて支持してもよい。これにより、電流が流れる部品と、ハンドル3との接触面積を小さくでき、ハンドル3への熱の伝達を抑制できる。
【符号の説明】
【0160】
1 挿通部材
11 ノズル
12 トーチボディ
121 ボディ導電部
121A ボディ主部
121B ボディ突出部
123 ボディ絶縁部
14 ケーブル
141 内膜
142 導体層
142A 導体筒部
142B 導体延出部
143 外皮
15 導電筒状体
150 基部
151 前方部
151A 延出片
151S スリット
152 後方部
16 ライナ
181 第1固定部材
182 第2固定部材
191 第1発熱部
192 第2発熱部
195 非発熱部
3 ハンドル
31 把持部位
311 後方開口
313 外面
313A 頂部
313B 底部
313E 帯状部位
313F 稜線
314 内面
316 第1把持部分
317 第2把持部分
32 先端部位
321 前方開口
323 スイッチ用穴
325 指当接面
35 支持部
351 第1支持片
352 第2支持片
353 第3支持片
358 通気孔
4 トーチスイッチ
41 スイッチレバー
42 タクトスイッチ
5 電源
81 ワイヤ
A1 アーク処理システム
F1 送給経路に沿った方向
F11 送給方向前方
F12 送給方向後方
H1,H2 高さ
L11 仮想直線
L21,L22 経路長
L31 寸法
P1 送給経路
T1,T2 アーク処理用トーチ
W1 被処理部材
X1 第1方向
X2 第2方向
Y1 第1進行方向
Y2 第2進行方向
θ1,θ2,θ3 傾斜角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16