(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
互いに隣接する3枚以上の前記ユニットパネルによって囲まれ、且つ、該3枚以上の前記ユニットパネルのうち少なくとも2以上の前記ユニットパネルの前記コーナーによって境界が規定される前記隙間が、前記詰め物によって塞がれたことを特徴とする請求項7に記載の風力発電装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、ナセル内空間に配置された油使用機器からの漏出油の外部漏洩の防止を目的とし、さらには、風力発電装置が風雨に晒される環境に立設されることから、雨水等のナセル内部への侵入を防止する目的からもナセルには高いシール性が要求される。
しかしながら、ナセルが分割パネル構造を有する場合、組み立て時に各パネル間にそれぞれシールを施工する作業には手間と時間を要するという問題がある。そのため、高いシール性を有しながらも組立性に優れた風力発電装置が望まれている。この点、特許文献1及び2に記載されるように従来のナセルの分割パネル構造においては、ナセルのシール性及び組立性を改善するための具体的な対策はなされていなかった。
【0007】
本発明の幾つかの実施形態の目的は、高いシール性を有するとともに組立性に優れたナセルを備える風力発電装置及び風力発電装置用のナセルの組立方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の幾つかの実施形態にかかる風力発電装置は、
ナセルを備えた風力発電装置であって、
前記ナセルは、
複数のユニットパネルと、
前記複数のユニットパネルを互いに連結するための締結用ボルトと、を含み、
前記複数のユニットパネルは、それぞれ、
前記ナセルの外表面の少なくとも一部を形成するパネル部と、
前記パネル部の外周縁の全周にわたって設けられ、隣接する他の前記ユニットパネルとの連結用の前記締結用ボルトが挿通されるボルト穴が形成されたフランジ部と、
前記フランジ部の外周面上に全周にわたって配置されるシール部と、を有することを特徴とする。
【0009】
上記風力発電装置によれば、ナセルが、締結用ボルトにより互いに締結される複数のユニットパネルを含んでいるため、輸送性、製造性又はメンテナンス性の観点から優れた分割パネル構造を有するナセルを提供できる。また、ユニットパネルのパネル部は、外周面上に全周にわたってシール部が配置された構成となっている。これにより、隣接する2枚のユニットパネルのフランジ部同士をボルト締結する圧力によって、2つのフランジ部間でシール部が潰されて、シール部がフランジ部間に隙間なく延在するので、ナセルの高いシール性を実現できる。この際、ユニットパネルに予めシール部を取り付けておけば、組立て時には、フランジ部間をボルト締結するのみでシール性も確保できることから、ナセルの組立性を向上できる。
【0010】
幾つかの実施形態において、前記ボルト穴は、前記フランジ部のうち前記シール部を貫通しない領域に形成されており、
前記フランジ部の高さ方向において、前記パネル部と前記ボルト穴との間に前記シール部が配置される。
フランジ部の高さ方向において、パネル部とボルト穴との間にシール部が配置されているので、ボルト穴と締結用ボルトとの間の隙間、及び、フランジ部間の隙間を通って、ナセル内部空間から外部空間へ又はナセル外部空間から内部空間へ流体が漏れることを防止できる。
【0011】
幾つかの実施形態において、前記複数のユニットパネルのうち隣接するユニットパネルの前記シール部同士は、前記フランジ部の高さ方向における位置が互いに異なる。
これにより、フランジ部の高さ方向において二重にシール部が配置され、ナセルのシール性をより一層向上させることができる。
【0012】
幾つかの実施形態において、前記パネル部は、繊維強化複合材料またはアルミニウム等の金属材料で形成されている。
これにより、ユニットパネルの軽量化が図れる。
【0013】
幾つかの実施形態において、前記フランジ部には、前記シール部を位置決めするための溝が形成されている。
これにより、シール部を溝に合わせて簡単に位置決めすることができる。また、誤った位置にシール部が配置されることを防ぎ、シール部を適切に位置決めすることができる。
【0014】
幾つかの実施形態において、前記シール部は、エラストマーで形成されている。
これにより、フランジ部の外周面に合わせて形状変化させたシール部を容易に配置できるとともに、エラストマーの弾力性によって高いシール性を確保することができる。
【0015】
幾つかの実施形態において、前記複数のユニットパネルのそれぞれは、少なくとも一つの湾曲形状のコーナーを有し、
前記ナセルは、前記コーナーの周囲に形成される隙間を塞ぐための詰め物をさらに含む。
これにより、湾曲形状のコーナーを有するユニットパネルを用いる場合であっても、湾曲形状のコーナーからの流体の漏れを確実に防ぐことができる。
【0016】
一実施形態において、互いに隣接する3枚以上の前記ユニットパネルによって囲まれ、且つ、該3枚以上の前記ユニットパネルのうち少なくとも2以上の前記ユニットパネルの前記コーナーによって境界が規定される前記隙間が、前記詰め物によって塞がれている。
これにより、3枚以上のユニットパネルによって形成される湾曲形状のコーナーからの流体の漏れを確実に防ぐことができる。
【0017】
幾つかの実施形態において、前記詰め物は、該詰め物の中央部を形成する本体部と、該本体部に接合されて前記詰め物の角を形成する凸部と、を含み、
前記本体部は、前記シール部よりも硬質な材料で形成され、
前記凸部は、エラストマーで形成されている。
このように、詰め物の本体部がシール部よりも硬質な材料で形成されることにより、詰め物がシール部に当接する部位において本体部からシール部に高い押圧力が付与され、シール部によるシール性を高く維持できる。また、ユニットパネルが湾曲形状のコーナーを有する場合、コーナーの周囲に形成される隙間は、フランジ部同士の突き合わせ面からコーナーにかけて徐々に大きくなる。そこで、詰め物の凸部をエラストマーで形成することによって、フランジ部同士の突き合わせ面の端部において凸部が2つのフランジ部に挟み込まれた状態となり、これによりコーナーの周囲に形成される隙間からの流体の漏れを確実に防止できる。
【0018】
幾つかの実施形態において、前記凸部は、前記フランジ部の高さ方向に延びる棒状シール部材である。
これにより、フランジ部の高さ方向に凸部としての棒状シール部材を延在させることができ、コーナーの周囲に形成される隙間のシール性を向上できる。
【0019】
幾つかの実施形態において、前記詰め物は、全体がエラストマーで形成されている。
これにより、詰め物を安価に且つ簡単に製作可能となる。
【0020】
幾つかの実施形態において、前記詰め物と前記隙間との間に液状ガスケットが充填されている。
これにより、詰め物と隙間との間をさらに密閉することができ、シール性をより一層向上できる。
【0021】
幾つかの実施形態において、前記複数のユニットパネルが、第1ユニットパネルと、第2ユニットパネルと、前記第1ユニットパネル及び前記第2ユニットパネルのそれぞれと連結される第3ユニットパネルと、を含み、
前記フランジ部の高さ方向において、第1ユニットパネルの前記シール部のうち前記第3ユニットパネルに当接する第1高さと、第2ユニットパネルの前記シール部のうち前記第3ユニットパネルに当接する第2高さとが異なり、
前記第3ユニットパネルの前記シール部は、前記第1ユニットパネルとの当接領域においては前記第2高さに位置し、前記第2ユニットパネルとの当接領域においては前記第1高さに位置し、前記第1高さと前記第2高さとの間で前記第3ユニットパネルの前記シール部の高さが変化している。
このように、フランジ部の高さ方向において、第1高さと第2高さの異なる2つの高さにシール部を配置することによって、2枚のユニットパネル間を二重にシールすることができ、シール性の更なる向上が図れる。また、第1ユニットパネル及び第2ユニットパネルのそれぞれに連結される第3ユニットパネルのシール部は、第1ユニットパネルとの当接領域においては第2高さに位置し、第2ユニットパネルとの当接領域においては第1高さに位置し、第1高さと第2高さとの間で第3ユニットパネルのシール部の高さが変化している。これにより、3枚のユニットパネルにおいて、シール部の高さ位置は第1高さと第2高さの2通りであればよく、それぞれのユニットパネルの高さ位置を全て異ならせて3通りにする場合に比べて、シール部を配置するための高さ方向範囲を小さくできる。
【0022】
幾つかの実施形態において、前記複数のユニットパネルが、それぞれのコーナーを突き合わせた状態で連結される4枚の前記ユニットパネルを含み、
前記フランジ部の高さ方向において、斜め向かいの2枚の前記ユニットパネルの前記シール部の高さが同一であり、隣接する2枚の前記ユニットパネルの前記シール部の高さが異なっている。
このように、フランジ部の高さ方向において、斜め向かいの2枚のユニットパネルのシール部の高さが同一であり、隣接する2枚のユニットパネルのシール部の高さが異なっている。これにより、2枚のユニットパネル間を二重にシールすることができ、シール性の更なる向上が図れるとともに、4枚のユニットパネルにおいて、シール部の高さ位置は2通りであればよく、シール部を配置するための高さ方向範囲を小さくできる。
【0023】
本発明の幾つかの実施形態にかかる風力発電装置の組立方法は、
複数のユニットパネルを連結してナセルを組み立てる風力発電装置用のナセルの組立方法であって、
前記ユニットパネルは、
前記ナセルの外表面の少なくとも一部を形成するパネル部と、
前記パネル部の外周縁の全周にわたって設けられ、ボルト穴が形成されたフランジ部と、
前記フランジ部の外周面上に全周にわたって配置されるシール部と、を有しており、
少なくとも2枚の前記ユニットパネルの前記シール部同士が重ならないように、前記少なくとも2枚の前記ユニットパネルの前記フランジ部同士を突き合わせるステップと、
前記少なくとも2枚の前記ユニットパネルの前記フランジ部同士を突き合わせた状態で、締結用ボルトを前記ボルト穴に挿通して前記少なくとも2枚の前記ユニットパネル同士を連結するステップと、を備えることを特徴とする。
【0024】
上記風力発電装置の組立方法によれば、ナセルが、締結用ボルトにより互いに締結される複数のユニットパネルを含んでいるため、輸送性、製造性又はメンテナンス性の観点から優れた分割パネル構造を有するナセルを提供できる。また、ユニットパネルのパネル部は、外周面上に全周にわたってシール部が配置された構成となっており、フランジ部同士を突き合わせた後、フランジ部同士をボルト締結することによって、フランジ部間でシール部が潰されて、シール部がフランジ部間に隙間なく延在する。また、隣接する2枚のユニットパネルのシール部同士が重ならないようにフランジ部同士が突き合わされているため、フランジ部の高さ方向に二重にシール部を配置することができる。これにより、ナセルの高いシール性を実現できる。さらに、ユニットパネルに予めシール部を取り付けておけば、組立て時には、フランジ部間をボルト締結するのみでシール性も確保できることから、ナセルの組立性を向上できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の幾つかの実施形態によれば、ナセルが、締結用ボルトにより互いに締結される複数のユニットパネルを含んでいるため、輸送性、製造性又はメンテナンス性の観点から優れた分割パネル構造を有するナセルを提供できる。また、ユニットパネルのパネル部は、外周面上に全周にわたってシール部が配置された構成となっている。これにより、隣接する2枚のユニットパネルのフランジ部同士をボルト締結する圧力によって、2つのフランジ部間でシール部が潰されて、シール部がフランジ部間に隙間なく延在するので、ナセルの高いシール性を実現できる。この際、ユニットパネルに予めシール部を取り付けておけば、組立て時には、フランジ部間をボルト締結するのみでシール性も確保できることから、ナセルの組立性を向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面に従って本発明の実施形態について説明する。ただし、実施形態として以下に記載され、あるいは、実施形態として図面で示された構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0028】
図1は、幾つかの実施形態に係る風力発電装置1の概略を示す構成図である。
図1に示すように、幾つかの実施形態に係る風力発電装置1は、タワー9の上端に取り付けられるナセル2を備えている。タワー9は、洋上又は陸上に設けられた基礎9a上に立設される。一実施形態に係る風力発電装置1は、少なくとも一本のブレード3と、該ブレード3が取り付けられるハブ4と、ハブ4を覆うように配置されたハブカバー4aと、を備える。この風力発電装置1では、ブレード3及びハブ4によってロータ5が構成される。ブレード3は、ピッチベアリングを介してハブ4に対してピッチ方向に回転自在に取り付けられている。ロータ5は、回転可能にナセル2に支持されている。
【0029】
また、一実施形態に係る風力発電装置1は、ハブ4に連結されるメインシャフト6と、該メインシャフト6を介してロータ5の回転が入力され、その回転エネルギーを利用して発電を行うように構成された発電機8と、メインシャフト6の回転を発電機8に伝達するドライブトレイン7と、をさらに備えている。ドライブトレイン7として、油圧ポンプと油圧モータとが高圧油ライン及び低圧油ラインで接続された油圧トランスミッションが用いられてもよいし、ギヤ式増速機やダイレクトドライブが用いられてもよい。ナセル2の内部には、油使用機器を含む各種の機器が配置されている。一実施形態では、メインシャフト6、ドライブトレイン7及び発電機8はナセル2の内部空間に配置される。他の実施形態では、ドライブトレイン7の少なくともいずれかの機器又は発電機8が、例えばタワー9の内部空間などのナセル2の外部に配置されてもよい。
【0030】
次に、
図2及び
図3を参照して、ナセル2の具体的な構成について説明する。なお、
図2は、幾つかの実施形態におけるナセル2を底部12側から視た斜視図である。
図3は、幾つかの実施形態におけるナセル2の底部12の内側を示す斜視図である。
以下に説明するナセル2は、製造性、輸送性又はメンテナンス性の観点から分割パネル構造を有するとともに、ナセル2の内部空間に配置された油使用機器からの漏出油の外部漏洩の防止、あるいは、雨水等のナセル2の内部空間への侵入防止などの目的から、少なくとも一部がシール構造を有する。なお、ナセル2は、旋回輪軸受(図示せず)を介してタワー9の上部に取り付けられるナセル台板と、ナセル台板に支持されるフレームと、フレームを介してナセル台板に支持されるナセルカバーとを含む構成であってもよい。この場合、以下に説明するナセル2とは、主としてナセルカバーのことを指す。
【0031】
幾つかの実施形態に係るナセル2は、側面10、上部11及び底部12を有している。前方の側面10には、メインシャフト6(
図1参照)が貫通する開口13が形成され、底部12には、タワー9が貫通する開口14が形成されていてもよい。
また、ナセル2は、複数のユニットパネル20と、複数のユニットパネル20を互いに連結するための締結用ボルト30(
図5A及び
図5B参照)と、を含んでいる。
図2に示すように、側面10、上部11及び底部12の全てが複数のユニットパネル20によって形成されていてもよいし、図示はしていないが、例えばメンテナンス用の開口のように、ナセル2の一部が複数のユニットパネル20によって形成されていてもよい。
【0032】
図4A及び
図4Bにユニットパネル20の構成例を示し、
図5A及び
図5Bにユニットパネルの連結部の構成例を示す。なお、
図4Aは第1ユニットパネル20aの構成例を示す斜視図であり、
図4Bは第2ユニットパネル20bの構成例を示す斜視図である。また、
図5Aはユニットパネルの連結部の構成例を示す断面図であり、
図5Bは他のユニットパネルの連結部の構成例を示す断面図である。
【0033】
図4A〜
図5Bに示すように、一実施形態において、第1ユニットパネル20aと第2ユニットパネル20bとは、ナセル2の外表面の同一平面上において隣接して配置される。ユニットパネル20a,20bは、パネル部21a,21bと、フランジ部22a,22bと、シール部25a,25bと、を有している。パネル部21a,21bは、ナセル2の外表面の少なくとも一部を形成する板状の部材である。
【0034】
具体的に、パネル部21a,21bは、平面状に形成されていてもよいし、少なくとも一部が曲面で形成されていてもよい。また、パネル部21a,21bは、正方形又は長方形などの方形であってもよいし、例えば開口13,14(
図2参照)に配置されるパネル部21a,21bのように少なくとも一部の縁部が湾曲又は屈曲した形状であってもよい。また、軽量化を目的として、パネル部21a,21bは、例えばガラス繊維強化複合材料や炭素繊維強化複合材料などの繊維強化複合材料で形成されていてもよいし、アルミニウム等の軽量な金属材料で形成されていてもよい。
【0035】
フランジ部22a,22bは、パネル部21a,21bの外周縁の全周にわたって設けられ、締結用ボルト30が挿通されるボルト穴23a,23bが形成されている。フランジ部22a,22bは、パネル部21に対して直交する方向に沿って設けられてもよい。また、フランジ部22a,22bは、図示されるように、パネル部21a,21bの外周縁から高さ方向hにおいて一方の側にのみ延出していてもよいし、図示はしていないが、パネル部21の外周縁から高さ方向hにおいて両方の側(断面T字型)に延出していてもよい。なお、以下では一例として、フランジ部22が、パネル部21a,21bの外周縁からナセル2の内部空間へ向けて一方の側にのみ延出している場合について説明する。
【0036】
一構成例では、
図4A、
図4B及び
図5Aに示すように、パネル部21a,21b及びフランジ部22a,22bは、それぞれ、一体に形成されていてもよい。すなわち、第1ユニットパネル20aにおいて、パネル部21aとフランジ部22aとが一体に形成され、第2ユニットパネル20bにおいて、パネル部21bとフランジ部22bとが一体に形成される。この場合、パネル部21a,21bとフランジ部22a,22bとは、例えばアルミ合金や鋼材などの金属材料、あるいは炭素繊維強化複合部材やガラス繊維強化複合部材などの繊維強化複合部材等によって一体成形されている。また、パネル部21a,21b及びフランジ部22a,22bは、別体で形成されて、互いに接続されてもよい。例えば、パネル部21a,21bが繊維強化複合部材によって形成され、フランジ部22a,22bが金属材料によって形成され、これらがボルト締結や接着結合等の接続手段によって接続される。
【0037】
他の構成例では、
図5Bに示すように、ユニットパネル20a,20bは、それぞれ、フランジ部22a,22bと一体的に設けられて該フランジ部22a,22bに垂直(すなわちパネル部21a,21bに平行)な面を有する支持部26a,26bを含んでいてもよい。フランジ部22a,22b及び支持部26a,26bは、断面L形状の鋼材である山形鋼(アングルを含む)で構成されてもよい。そして、フランジ部22a,22bと支持部26a,26bとで囲まれた空間にはパネル部21a,21bが配置され、パネル部21a,21bは、支持部26a,26bによって支持される。このとき、良好なシール性を維持するために、パネル部21a,21bの下面と、支持部26a,26bの上面との間に、第2シール部27a,27bを設けてもよい。第2シール部27a,27bは、パネル部21a,21bの外周に沿って環状に設けられてもよい。この第2シール部27a,27bは、パネル部21a,21bの下面又は支持部26a,26bの上面の少なくとも一方に設けられた溝に配置されてもよい。
【0038】
図4A〜
図5Bに示すように、シール部25a,25bは、フランジ部22a,22bの外周面上に全周にわたって配置される。シール部25a,25bは、エストラマーで形成されていてもよく、その場合、シール部25a,25bはOリングで形成されてフランジ部22a,22bに対して着脱自在に取り付けられてもよいし、シール部25a,25bがフランジ部22a,22bに接着(加硫接着など含む)されていてもよい。これにより、フランジ部22a,22bの外周面に合わせて形状変化させたシール部25a,25bを容易に配置できるとともに、エラストマーの弾力性によって高いシール性を確保することができる。例えば、シール部25a,25bは、エストラマーで形成されたOリングにより構成される。また、シール部25a,25bは、隣接するユニットパネル20a,20bにおいて、フランジ部22a,22bの高さ方向hにおける位置が互いに異なるように構成されてもよい。ここで、フランジ部22a,22bの高さ方向における位置とは、パネル部21a,21bに垂直な方向における位置である。
図4Aに示す第1ユニットパネル20aのフランジ部22aには、パネル部21aから高さh
1の位置にシール部25aが配置されている。フランジ部22bでは、パネル部21bから高さh
2の位置にシール部25aが配置される。高さh
1と高さh
2とは異なる高さであり、例えば高さh
1の方が高さh
2よりも高い。なお、
図4A及び
図4Bでは、各シール部25a,25bの高さh
1,h
2が、パネル部21a,21bの周方向に同一であるユニットパネル20a,20bを例示しているが、後述するように、一つのユニットパネル20(例えば
図6Aの第3ユニットパネル20c)において、シール部25の高さがパネル部21の周方向に異なっていてもよい。
【0039】
図5A及び
図5Bに示すように、隣接する第1ユニットパネル20a及び第2ユニットパネル20bは、フランジ部22a,22bの外周面同士がシール部25a,25bを挟んで突き合わされ、締結用ボルト30によって互いに連結される。この際、締結用ボルト30による締結力によってシール部25a,25bに押圧力が付与され、2つのフランジ部22a,22b間でシール部25a,25bが潰されて、シール部25a,25bがフランジ部22a,22b間に隙間なく延在するので、ナセル2の高いシール性を実現できる。また、ユニットパネル20a,20bに予めシール部25a,25bを取り付けておけば、ナセル2の組立て時には、フランジ22a,22b間をボルト締結するのみでシール性も確保できることから、ナセル2の組立性を向上できる。例えば、ユニットパネル20aの製作時に、シール部25a,25bを予め取り付けておき、風力発電装置の施工現場においてユニットパネル20を組み立てるようにしてもよい。
【0040】
複数のユニットパネル20のうち隣接するユニットパネル20a,20bのシール部25a,25b同士は、フランジ部22a,22bの高さ方向hにおける位置が互いに異なっていてもよい。例えば
図4A及び
図4Bに示すように、隣接するユニットパネル20a,20bのシール部25a,25bは、それぞれ異なる高さh
1,h
2を有する。これにより、フランジ部22a,22bの高さ方向hにおいて二重にシール部25a,25bが配置され、ナセル2のシール性をより一層向上させることができる。
【0041】
一実施形態において、互いに隣接して配置される第1ユニットパネル20aと第2ユニットパネル20bとは、ナセル2の外表面のうち同一平面(例えば、
図3に示す側面10、上部11又は底部12)を形成するように構成されてもよい。すなわち、第1ユニットパネル20aと第2ユニットパネル20bは、パネル部21a,21bが同一平面を形成するように配置された状態で、それぞれのフランジ部22a,22b同士が突き合わされ、シール部25a,25bを挟んでボルト締結される。具体的には、ナセル2の内部空間に配置された油使用機器からの風力発電装置1の外部への油の流出防止を目的として、ナセル2の底部12の少なくとも一部が、上記したように互いに連結される複数のユニットパネル20によって構成されてもよい。これにより、ナセル2の底部にオイルパンの機能を担わせることができる。また、風力発電装置1の外部からの雨水等の流入防止を目的として、ナセル2の側面10又は上部11の少なくとも一部が、上記したように互いに連結される複数のユニットパネル20によって構成されてもよい。
【0042】
また、一実施形態において、ボルト穴23a,23bは、フランジ部22a,22bのうちシール部25a,25bを貫通しない領域に形成されている。また、フランジ部22a,22bの高さ方向hにおいて、パネル部21a,21bとボルト穴23a,23bとの間にシール部25a,25bが配置される。このように、フランジ部22a,22bのうちシール部25a,25bを貫通しない領域にボルト穴23a,23bが形成されることにより、シール部25a,25bの強度低下を防ぐことができる。また、フランジ部22の高さ方向hにおいて、パネル部21とボルト穴23a,23bとの間にシール部25a,25bが配置されているので、ボルト穴23a,23bと締結用ボルト30との間の隙間、及び、フランジ部フランジ22a,22b間の隙間を通って、ナセル2の内部空間から外部空間へ又はナセル2の外部空間から内部空間へ流体が漏れることを防止できる。すなわち、シール部25a,25bが、フランジ部22の高さ方向hにおいて、ボルト穴23a,23bよりもパネル部21から遠い側に配置される場合、例えばナセル2の内部空間の流体は、
図5Aの矢印で示すように、ボルト穴23a,23bと締結用ボルト30との間の隙間を通ってフランジ22a,22b間の隙間に漏れ、フランジ22a,22b間の隙間からナセル2の外部空間へ漏れ出る可能性がある。そこで、上記したように、フランジ部22の高さ方向hにおいて、パネル部21a,21bとボルト穴23a,23bとの間にシール部25a,25bを配置することによって、ボルト穴25a,25bと締結用ボルト30との間の隙間、及び、フランジ22a,22b間の隙間によってナセル2の内部空間と外部空間とが連通することを阻止し、流体の漏れを防止できる。
【0043】
図6Aは、3枚のユニットパネルの連結部の構成例を示す斜視図である。
図6Bは、第3ユニットパネルの構成例を示す
図6AのX−X方向矢視図である。
図6Cは、第3ユニットパネルの他の構成例を示す
図6AのX−X方向矢視図である。
図6Aは、
図3に示したナセル2の部位Aで示すように、3枚のユニットパネル20a,20b,20cの連結部の構成例を示している。具体的には、第1ユニットパネル20aと、第2ユニットパネル20bと、第3ユニットパネル20cとが互いに連結された構成となっている。第1ユニットパネル20aは、一つの外周面(例えば外周側の平面)に第2ユニットパネル20bが連結され、前記一つの外周面に対して垂直に位置して該一つの外周面に隣り合う他の外周面に、第3ユニットパネル20cが連結されている。すなわち、第1ユニットパネル20aの異なる外周面に、第2ユニットパネル20bと第3ユニットパネル20cとがそれぞれ連結される。同様に、第2ユニットパネル20bは、一つの外周面(例えば外周側の平面)に第1ユニットパネル20aが連結され、前記一つの外周面に対して垂直に位置して該一つの外周面に隣り合う他の外周面に、第3ユニットパネル20cが連結される。すなわち、第2ユニットパネル20bの異なる外周面に、第1ユニットパネル20aと第3ユニットパネル20cとがそれぞれ連結される。一方、第3ユニットパネル20cは、同一の外周面(例えば外周側の平面)に第1ユニットパネル20aと第2ユニットパネル20bとが連結される。すなわち、互いに隣り合う第1ユニットパネル20a及び第2ユニットパネル20bが、同一平面において第3ユニットパネル20cに連結される。
【0044】
上記構成を有する連結部において、フランジ部22の高さ方向hにおいて、第1ユニットパネル20aのシール部25aのうち第3ユニットパネル20cに当接する第1高さh
1(
図4B参照)と、第2ユニットパネル20bのシール部25bのうち第3ユニットパネル20cに当接する第2高さh
2(
図4A参照)とが異なっている。
図6B及び
図6Cに示すように、第3ユニットパネル20cのシール部25cは、第1ユニットパネル20aとの当接領域Eにおいては第2高さh
2に位置し、第2ユニットパネル20bとの当接領域Fにおいては第1高さh
1に位置している。このように、フランジ部22の高さ方向hにおいて、第1高さh
1と第2高さh
2の異なる2つの高さにシール部25a〜25cを配置することによって、互いに突き合わされた2枚のユニットパネル20a〜20c間を二重にシールすることができ、シール性の更なる向上が図れる。
また、第1高さh
1と第2高さh
2との間の交差部28,29において、第3ユニットパネル20のシール部の高さは変化している。これにより、3枚のユニットパネル20a〜20cおいて、シール部25a〜25cの高さ位置は第1高さh
1と第2高さh
2の2通りであればよく、それぞれのユニットパネル20a〜20cの高さ位置を全て異ならせて3通りにする場合に比べて、シール部25a〜25cを配置するための高さ方向範囲を小さくできる。
図6Bに示す例では、シール部25cは第3ユニットパネル20cの周方向に同一の径で形成され、交差部28において、第1高さh
1と第2高さh
2との間で高さ位置のみが変化するようになっている。すなわち、交差部28においてシール部25cは、第1高さh
1から第2高さh
2に変化するために湾曲あるいは屈曲している。
図6Cに示す例では、シール部25cは、交差部29において、第1高さh
1と第2高さh
2との間を埋めるような形状に構成されて高さ方向の厚みが大きくなっている。
【0045】
図7Aは、4枚のユニットパネルの連結部の構成例を示す平面図であり、
図7Bは、
図7AのY−Y方向(Z−Z方向)矢視図である。なお、
図7AのY−Y方向矢視図とZ−Z方向矢視図はいずれも同様の構成となるため、Z−Z方向の図は省略している。ただし、
図7Bにおける括弧内の符号はZ−Z方向から視た各部品を示している。
図7Aは、
図3に示したナセル2の部位Bで示すように、4枚のユニットパネル20d〜20gの連結部の構成例を示している。4枚のユニットパネル20d〜20gは、それぞれのコーナー24d〜24gを突き合わせた状態で互いに連結される。このとき、フランジ部22の高さ方向hにおいて、斜め向かいの2枚のユニットパネル20のシール部25の高さが同一であり、隣接する2枚のユニットパネル20のシール部25の高さが異なっている。同図では、時計回りにユニットパネル20d,ユニットパネル20e,ユニットパネル20f,ユニットパネル20gが順に配置された構成を示している。この場合、ユニットパネル20dのシール部25dの高さh
1と、該ユニットパネル20dの斜め向かいに位置するユニットパネル20fのシール部25fの高さh
1とが同一である。同様に、ユニットパネル20eのシール部25eの高さh
2と、該ユニットパネル20eの斜め向かいに位置するユニットパネル20gのシール部25gの高さh
2とが同一である。一方、ユニットパネル20dのシール部25dの高さh
1と、該ユニットパネル20dに隣接するユニットパネル20e,20gのシール部25e,20gの高さh
2とが異なる。同様に、ユニットパネル20fのシール部25fの高さh
1と、該ユニットパネル20fに隣接するユニットパネル20e,20gのシール部25e,20gの高さh
2とが異なる。
上記構成によれば、2枚のユニットパネル20d〜20g間を二重にシールすることができ、シール性の更なる向上が図れるとともに、4枚のユニットパネル20d〜20gにおいて、シール部25d〜25gの高さ位置は2通りであればよく、シール部25d〜25gを配置するための高さ方向範囲を小さくできる。
【0046】
図8は、ユニットパネル20a〜20cの溝35a〜35cの構成例を示す斜視図である。なお、同図では、一例として
図6Aに示した3枚のユニットパネル20a〜20cの連結部の構成を用いて説明する。
一実施形態において、フランジ部22a〜22cには、シール部25a〜25cを位置決めするための溝35a〜35cが形成されている。具体的には、第1ユニットパネル20aのフランジ部22aの外周面には溝35aが形成されており、第2ユニットパネル20bのフランジ部22bの外周面には溝35bが形成されており、第3ユニットパネル20cのフランジ部22cの外周面には溝35cが形成されている。また、溝35a〜35cは、予め定められたシール部25a〜25cの高さに対応して形成されていてもよい。これにより、シール部25a〜25cを溝35a〜35cに合わせて簡単に位置決めすることができる。また、誤った位置にシール部25a〜25cが配置されることを防ぎ、シール部25a〜25cを適切に位置決めすることができる。特に、第3ユニットパネル20cのように、高さ位置が変化する交差部においては位置決めが難しい場合もあるので、上記したように予め溝35cを形成しておき、この溝35cに沿ってOリング等のシール部25cを取り付けることによって、シール部25cを適正な位置に簡単に位置決めすることができる。
【0047】
図9は一実施形態におけるユニットパネル20a〜20cのコーナー周囲の隙間40及び詰め物42を示す斜視図である。
図10は、一実施形態におけるユニットパネル20a〜20cのコーナー周囲の隙間40及び詰め物42を示す平面図である。
幾つかの実施形態において、複数のユニットパネル20のそれぞれは、少なくとも一つの湾曲形状のコーナー24を有している場合、ナセル2は、コーナー24の周囲に形成される隙間40を塞ぐための詰め物42をさらに含んでいてもよい。一実施形態では、互いに隣接する3枚以上のユニットパネル20によって囲まれ、且つ、該3枚以上のユニットパネル20のうち少なくとも2以上のユニットパネル20のコーナー24によって境界が規定される隙間40が、詰め物42によって塞がれている。例えば、
図9及び
図10に示すように、互いに隣接する3枚のユニットパネル20a〜20cによって囲まれた隙間40は、2つのコーナー24a,24bの周囲に形成されている。この隙間40に対して、詰め物42が嵌入される。これにより、湾曲形状のコーナー24a,24bを有するユニットパネル20a,20bを用いた場合であっても、湾曲形状のコーナー24a,24bからの流体の漏れを確実に防ぐことができる。
【0048】
一実施形態において、詰め物42は、該詰め物42の中央部を形成する本体部43と、該本体部43に接合されて詰め物42の角を形成する凸部44と、を含んでいる。本体部43は、シール部25よりも硬質な材料で形成されている。凸部44は、エラストマーで形成されている。凸部44と本体部43とは、接着により接合されてもよいし、本体部43が金属製である場合には加硫接着により接合されてもよい。
このように、詰め物42の本体部43がシール部25よりも硬質な材料で形成されることにより、詰め物42がシール部25に当接する部位において本体部43からシール部25に高い押圧力が付与され、シール部25によるシール性を高く維持できる。また、ユニットパネル20が湾曲形状のコーナー24を有する場合、コーナー24の周囲に形成される隙間40は、フランジ部22同士の突き合わせ面からコーナー24にかけて徐々に大きくなる。そこで、詰め物42の凸部44をエラストマーで形成することによって、フランジ部22同士の突き合わせ面の端部において凸部44が2つのフランジ22部に挟み込まれた状態となり、これによりコーナー24の周囲に形成される隙間40からの流体の漏れを確実に防止できる。
他の構成例において、詰め物は、全体がエラストマーで一体的に形成されていてもよい。これにより、詰め物を安価に且つ簡単に製作可能となる。
【0049】
図11は、詰め物42の一構成例を示す斜視図である。
同図に示すように、凸部44は、フランジ部22の高さ方向に延びる棒状シール部材45であってもよい。棒状シール部材45は、上述したようにエラストマーで形成されてもよい。これにより、フランジ部22の高さ方向hに凸部44としての棒状シール部材45を延在させることができ、コーナー24の周囲に形成される隙間40のシール性を向上できる。
【0050】
図12は、詰め物42の他の構成例を示す斜視図である。
同図に示すように、詰め物42は、本体部43と、該本体部43の高さ方向Hにおける上端に設けられた蓋部46と、を含んでいる。蓋部46は、隙間40よりも大径に形成され、隙間40内に入り込まないように構成されている。すなわち、詰め物42の本体部43を隙間40に挿入したとき、蓋部46がフランジ部22の端部に引っ掛かかった状態で留まるため、詰め物42が隙間40よりも下方へ落下してしまうことを防げる。
【0051】
また、詰め物42と隙間40との間に液状ガスケットが充填されていてもよい。これにより、詰め物42と隙間40との間をさらに密閉することができ、シール性をより一層向上できる。
【0052】
ここで、
図6Aを参照して、幾つかの実施形態に係る風力発電装置の組立方法について説明する。
風力発電装置の組立方法は、少なくとも2枚のユニットパネル20a〜20cのシール部25a〜25c同士が重ならないように、少なくとも2枚のユニットパネル20a〜20cのフランジ部22a〜22c同士を突き合わせる第1ステップと、少なくとも2枚のユニットパネル20a〜20cのフランジ部22a〜22c同士を突き合わせた状態で、締結用ボルト30をボルト穴23a〜23c(
図8参照)に挿通して少なくとも2枚のユニットパネル20a〜20c同士を連結する第2ステップと、を備える。なお、ユニットパネル20a〜20cのシール部25a〜25cは、該ユニットパネル20a〜20cの製造現場でフランジ部22a〜22cに取り付けた後に出荷してもよいし、出荷した後に、風力発電装置1の施工現場又は他の場所でフランジ部22a〜22cに取り付けてもよい。
【0053】
第1ステップでは、上述したように、第3ユニットパネル20cのフランジ部22cの同一外周面(例えば平面)に、少なくとも2枚のユニットパネル20a,20bのフランジ部22a,22bが突き合わされ、これらのフランジ部22a,22bのシール部25a,25bの高さ位置が異なる場合、第3ユニットパネル20cでは、これらのシール部25a,25bの高さ位置を避けるように、シール部25cの高さ位置を変化させる。これにより、例えば3枚のユニットパネル20a〜20cおいて、シール部25a〜25cの高さ位置は2通りであればよく、それぞれのユニットパネル20a〜20cの高さ位置を全て異ならせて3通りにする場合に比べて、シール部25a〜25cを配置するための高さ方向範囲を小さくできる。また、
図7A及び
図7Bに示すように、4枚のユニットパネル20d〜20gがそれぞれのコーナー24d〜24gを突き合わせた状態で互いに連結される場合、フランジ部22の高さ方向hにおいて、斜め向かいの2枚のユニットパネル20d〜20gのシール部25d〜25gの高さが同一であり、隣接する2枚のユニットパネル20d〜20gのシール部25d〜25gの高さが異なるようにシール部25を配置しておく。これにより、上記3枚のユニットパネルの連結の場合と同様に、シール部25d〜25gを配置するための高さ方向範囲を小さくできる。
【0054】
上記風力発電装置の組立方法によれば、ナセル2が、締結用ボルト30により互いに締結される複数のユニットパネル20を含んでいるため、輸送性、製造性又はメンテナンス性の観点から優れた分割パネル構造を有するナセル2を提供できる。また、ユニットパネル20のパネル部21は、外周面上に全周にわたってシール部25が配置された構成となっており、フランジ部22同士を突き合わせた後、フランジ部22同士をボルト締結することによって、フランジ部22間でシール部24が潰されて、シール部24がフランジ部22間に隙間なく延在する。また、隣接する2枚のユニットパネル20のシール部25同士が重ならないようにフランジ部22同士が突き合わされているため、フランジ部22の高さ方向に二重にシール部24を配置することができる。これにより、ナセル2の高いシール性を実現できる。さらに、ユニットパネル20に予めシール部24を取り付けておけば、組立て時には、フランジ部22間をボルト締結するのみでシール性も確保できることから、ナセル2の組立性を向上できる。
【0055】
以上説明したように、上述の実施形態によれば、ナセル2が、締結用ボルト30により互いに締結される複数のユニットパネル20を含んでいるため、輸送性、製造性又はメンテナンス性の観点から優れた分割パネル構造を有するナセル2を提供できる。また、ユニットパネル20のパネル部21は、外周面上に全周にわたってシール部25が配置された構成となっている。これにより、隣接する2枚のユニットパネル20のフランジ部22同士をボルト締結する圧力によって、2つのフランジ部22間でシール部25が潰されて、シール部25がフランジ部22間に隙間なく延在するので、ナセル2の高いシール性を実現できる。この際、ユニットパネル20に予めシール部25を取り付けておけば、組立て時には、フランジ部22間をボルト締結するのみでシール性も確保できることから、ナセルの組立性を向上できる。
【0056】
なお、上述の実施形態を説明する際に用いた「沿って」との用語は、基準となる方向又は物に対して幾何学的な意味で厳密に平行である状態のみを指すものではなく、基準となる方向又は物に対してある程度の角度(例えば30度以内の角度)をなす状態をも包含する。
【0057】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはいうまでもない。