(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
回転体と、前記回転体に保持された磁石と、前記磁石に対向配置された磁気検知器とを備え、前記回転体と一体に前記磁石が回転し、前記磁石の磁界の変化を前記磁気検知器により検知することにより、前記回転体の回転角度を検出するように構成した回転角度検出装置であって、
前記回転体は、有底の凹部とその凹部の周りに配置された複数の取付ピンとを含むことと、
前記磁石が、前記凹部の上端から一部が突出するように前記凹部に挿入されることと、
前記凹部に挿入された前記磁石を、前記回転体に押さえ付けて保持するための非磁性材よりなる弾性変形可能な押さえ板と、
前記押さえ板は、中央部分と外寄り部分とを含み、前記外寄り部分に前記各取付ピンが挿入される複数の取付孔が形成されることと
を備え、前記凹部に挿入された前記磁石がその外縁にて弾性変形した前記押さえ板により前記回転体に押さえ付けられながら、前記各取付孔に挿入された前記各取付ピンが熱かしめされることにより、前記磁石が前記回転体に固定され、前記押さえ板の前記弾性変形は、前記磁石の前記外縁を基点に前記外寄り部分が前記中央部分よりも前記回転体に近づくように変位した状態であることを特徴とする回転角度検出装置。
前記押さえ板は、前記中央部分で前記磁石を押さえ、前記外寄り部分が前記各取付孔に対応して複数の翼部に分かれたことを特徴とする請求項1に記載の回転角度検出装置。
前記押さえ板は、前記回転体に前記磁石を押さえ付けた状態で前記磁石の側面を挟持するための弾性変形可能な複数の爪部を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の回転角度検出装置。
前記回転体には、前記押さえ板の前記外寄り部分の跳ね返りを規制するために、前記外寄り部分の外縁を係止する係止部が形成されたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の回転角度検出装置。
前記押さえ板は、前記中央部分で前記磁石を押さえ、前記中央部分に中心孔が形成され、その中心孔の内周縁部分が複数の舌片に分割されたことを特徴とする請求項1に記載の回転角度検出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載の装置では、連結部材77が、磁石72をその軸方向へ押圧する力しか持っていなかった。そのため、磁石72をその軸方向と直交する方向へ移動を規制するためには、磁石72を摺動ホルダ76に圧入する必要があり、摺動ホルダ76の構造が複雑化し、成形が難しかった。
【0005】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、磁石を保持する回転体に対し、簡便な構成により磁石を軸方向及び径方向にがたつきなく保持することを可能とした回転角度検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、回転体と、回転体に保持された磁石と、磁石に対向配置された磁気検知器とを備え、回転体と一体に磁石が回転し、磁石の磁界の変化を磁気検知器により検知することにより、回転体の回転角度を検出するように構成した回転角度検出装置であって、回転体は、有底の凹部とその凹部の周りに配置された複数の取付ピンとを含むことと、磁石が、凹部の上端から一部が突出するように凹部に挿入されることと、凹部に挿入された磁石を、回転体に押さえ付けて保持するための非磁性材よりなる弾性変形可能な押さえ板と、押さえ板は、中央部分と外寄り部分とを含み、外寄り部分に各取付ピンが挿入される複数の取付孔が形成されることとを備え、凹部に挿入された磁石がその外縁にて弾性変形した押さえ板により回転体に押さえ付けられながら、各取付孔に挿入された各取付ピンが熱かしめされることにより、磁石が回転体に固定され
、押さえ板の弾性変形は、磁石の外縁を基点に外寄り部分が中央部分よりも回転体に近づくように変位した状態であることを趣旨とする。
【0007】
上記発明の構成によれば、回転体の凹部に挿入された磁石がその外縁にて押さえ板の弾性力により回転体に対して押さえ付けられる。
【0008】
上記目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、押さえ板は、中央部分で磁石を押さえ、外寄り部分が各取付孔に対応して複数の翼部に分かれたことを趣旨とする。
【0009】
上記発明の構成によれば、請求項1に記載の発明の作用に加え、磁石を回転体に押さえ付ける力は、押さえ板の外寄り部分の複数の翼部により、磁石の周囲に作用する。
【0010】
上記目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、押さえ板は、回転体に磁石を押さえ付けた状態で磁石の側面を挟持するための弾性変形可能な複数の爪部を含むことを趣旨とする。
【0011】
上記発明の構成によれば、請求項1又は2に記載の発明の作用に加え、磁石の側面が複数の爪部により弾性力をもって挟持される。
【0012】
上記目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の発明において、押さえ板は、少なくとも中央部分の表面に滑り止めが施されたことを趣旨とする。
【0013】
上記発明の構成によれば、請求項1乃至3の何れかに記載の発明の作用に加え、押さえ板の中央部分にて磁石が回転体に押さえ付けられ、少なくともその中央部分と磁石の表面との間で滑り止めがなされるので、磁石がその軸方向及び径方向に動きにくくなる。
【0014】
上記目的を達成するために、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の発明において、回転体には、押さえ板の外寄り部分の跳ね返りを規制するために、外寄り部分の外縁を係止する係止部が形成されたことを趣旨とする。
を趣旨とする。
【0015】
上記発明の構成によれば、請求項1乃至4の何れかに記載の発明の作用に加え、熱かしめされた取付ピンが万が一破損しても、押さえ板の外寄り部分の外縁が係止部に係止されて外れない。
【0016】
上記目的を達成するために、請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、押さえ板は、中央部分で磁石を押さえ、中央部分に中心孔が形成され、その中心孔の内周縁部分が複数の舌片に分割されたことを趣旨とする。
【0017】
上記発明の構成によれば、請求項1に記載の発明の作用に加え、磁石を回転体に押さえ付ける力が、押さえ板の中央部分の複数の舌片により、磁石の中央に作用する。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、磁石を保持する回転体に対し、簡便な構成により磁石を軸方向及び径方向にがたつきなく保持することができる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、回転体における磁石の径方向への移動を特に規制できるので、定位置での磁石の保持力を高めることができる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、回転体における磁石の径方向への移動を更に規制できるので、定位置での磁石の保持力を更に高めることができる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の何れかに記載の発明の効果に加え、回転体における磁石の軸方向及び径方向への移動を更に規制できるので、定位置での磁石の保持力を更に高めることができる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4の何れかに記載の発明の効果に加え、熱かしめされた取付ピンが万が一破損しても、回転体に対して磁石を保持することができ、回転角度検出装置としての機能を確保することができる。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、回転体における磁石の径方向への移動を特に規制できるので、定位置での磁石の保持力を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】第1実施形態に係り、二重偏心弁を備えた電動式のEGR弁を示す斜視図。
【
図2】第1実施形態に係り、弁体が弁座に着座した全閉状態における弁部を一部破断して示す斜視図。
【
図3】第1実施形態に係り、弁体が弁座から最も離れた全開状態における弁部を一部破断して示す斜視図。
【
図4】第1実施形態に係り、EGR弁を示す平断面図。
【
図5】第1実施形態に係り、弁ハウジングからエンドフレームを取り外した状態を示す背面図。
【
図6】第1実施形態に係り、エンドフレームの内側を示す正面図。
【
図7】第1実施形態に係り、メインギヤに対する磁石の取付状態を示す正面図。
【
図8】第1実施形態に係り、メインギヤに対する磁石の取付状態を示す
図7のA−A線断面図。
【
図9】第1実施形態に係り、メインギヤに対する磁石の取付状態を示す斜視図。
【
図10】第1実施形態に係り、メインギヤに対する磁石の取り付け方を分解して示す斜視図。
【
図12】第1実施形態に係り、押さえ板を示す正面図。
【
図13】第1実施形態に係り、押さえ板の構成を分解して示す斜視図。
【
図14】第2実施形態に係り、メインギヤに対する磁石の取付状態を示す正面図。
【
図15】第2実施形態に係り、メインギヤに対する磁石の取付状態を示す
図14のB−B線断面図。
【
図16】第2実施形態に係り、
図15の鎖線円の中を示す拡大断面図。
【
図17】第3実施形態に係り、押さえ板を示す正面図。
【
図18】第3実施形態に係り、押さえ板を示す左側面図。
【
図19】第3実施形態に係り、押さえ板を正面側から示す斜視図。
【
図20】第3実施形態に係り、押さえ板を背面側から示す斜視図。
【
図21】第4実施形態に係り、押さえ板を示す正面図。
【
図22】第4実施形態に係り、押さえ板を示す左側面図。
【
図23】第4実施形態に係り、押さえ板を正面側から示す斜視図。
【
図24】第4実施形態に係り、押さえ板を背面側から示す斜視図。
【
図25】第5実施形態に係り、メインギヤに対する磁石の取付状態を示す正面図。
【
図26】第5実施形態に係り、メインギヤに対する磁石の取付状態を示す
図25のC−C線断面図。
【
図27】第5実施形態に係り、メインギヤに対する磁石の取付状態を示す斜視図。
【
図28】第5実施形態に係り、メインギヤに対する磁石の取り付け方を分解して示す斜視図。
【
図29】第5実施形態に係り、押さえ板を示す正面図。
【
図30】第6実施形態に係り、メインギヤに対する磁石の取付状態を示す正面図。
【
図31】第6実施形態に係り、メインギヤに対する磁石の取付状態を示す
図30のD−D線断面図。
【
図32】第6実施形態に係り、メインギヤに対する磁石の取付状態を示す斜視図。
【
図33】第6実施形態に係り、メインギヤに対する磁石の取り付け方を分解して示す斜視図。
【
図34】第6実施形態に係り、押さえ板を示す正面図。
【
図35】従来例に係り、移動検出装置を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<第1実施形態>
以下、本発明の回転角検出装置を二重偏心弁を備えた排気還流弁(EGR弁)に具体化した第1実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
図1に、二重偏心弁を備えた電動式のEGR弁1を斜視図により示す。このEGR弁1は、二重偏心弁より構成される弁部2と、モータ32(
図4参照)を内蔵したモータ部3と、複数のギヤ41〜43(
図4、
図5参照)を内蔵した減速機構部4とを備える。弁部2は、内部に流体としてのEGRガスが流れる流路11を有する管部12を含み、流路11の中には弁座13、弁体14及び回転軸15が配置される。回転軸15には、モータ32(
図4参照)の回転力が複数のギヤ41〜43(
図4、
図5参照)を介して伝えられるようになっている。
【0027】
図2に、弁体14が弁座13に着座した全閉状態における弁部2を一部破断して斜視図により示す。
図3に、弁体14が弁座13から最も離れた全開状態における弁部2を一部破断して斜視図により示す。
図2、
図3に示すように、流路11には段部10が形成され、その段部10に弁座13が組み込まれる。弁座13は、円環状をなし、中央に弁孔16を有する。弁孔16の縁部には、環状のシート面17が形成される。弁体14は、円板状をなし、その外周には、シート面17に対応する環状のシール面18が形成される。弁体14は回転軸15に固定され、回転軸15と一体的に回動するようになっている。
図2、
図3において、弁体14より上の流路11はEGRガスの流れの上流側を示し、弁座13より下の流路11がEGRガスの流れの下流側を示す。すなわち、流路11において弁体14は、弁座13よりもEGRガスの流れの上流側に配置される。
【0028】
図4に、EGR弁1を平断面図により示す。このEGR弁1は、主要な構成要素として、回転軸15と弁体14の他に、EGRボディ31、モータ32、減速機構33及びオープナ機構34を備える。
【0029】
この実施形態で、EGRボディ31は、流路11及び管部12を含むアルミ製の弁ハウジング35と、同ハウジング35の開口端を閉鎖する合成樹脂製のエンドフレーム36とを含む。回転軸15及び弁体14は、弁ハウジング35に設けられる。すなわち、回転軸15は、その先端から突出するピン15aを含む。回転軸15は、ピン15aがある先端側を自由端とし、その先端部が管部12の流路11に挿入されて配置される。また、回転軸15は、その基端側の回転軸15上にて互いに離れて配置された2つの軸受、すなわち第1の軸受37と第2の軸受38を介して弁ハウジング35に対し回転可能に片持ち支持される。第1の軸受37はボールベアリングにより構成され、第2の軸受38はニードルベアリングよりに構成される。弁体14は、回転軸15の先端部に形成されたピン15aに対して溶接により固定され、流路11内に配置される。
【0030】
図5に、弁ハウジング35からエンドフレーム36を取り外した状態を背面図により示す。
図6に、エンドフレーム36の内側を正面図により示す。エンドフレーム36は、弁ハウジング35に対し複数のリベット又はクリップ(図示略)により固定される。
図4、
図6に示すように、エンドフレーム36の内側には、回転軸15の基端に対応して配置され、弁体14の開度(EGR開度)を検出するためのEGR開度センサ39が設けられる。このセンサ39は、MR−ICやホールIC等により構成され、回転軸15の回転角度をEGR開度として検出するように構成される。
図4、
図5に示すように、回転軸15の基端部には、扇形ギヤよりなるメインギヤ41が固定される。メインギヤ41と弁ハウジング35との間には、弁体14を閉方向へ付勢するためのリターンスプリング40が設けられる。リターンスプリング40は、オープナ機構34を構成する一要素でもある。メインギヤ41の裏側には、有底の凹部41aが形成され、その凹部41aに略円板形状をなす磁石46が収容される。この磁石46は、その上から押さえ板47により押さえ付けられることで固定される。従って、メインギヤ41は、弁体14及び回転軸15と一体に回転することにより、磁石46が回転し、磁石46の磁界が変化する。そして、その磁石46の磁界の変化をEGR開度センサ39により検知することにより、メインギヤ41の回転角度を弁体14の回転角度、すなわちEGR開度として検出するようになっている。この実施形態では、メインギヤ41が発明の回転体の一例に相当し、EGR開度センサ39が本発明の磁気検知器の一例に相当する。そして、これらメインギヤ41、磁石46及びEGR開度センサ39により本発明の回転角度検出装置が構成される。
【0031】
この実施形態で、モータ32は、弁ハウジング35に形成された収容凹部35aに収容されて固定される。すなわち、モータ32は、収容凹部35aに収容された状態で、その両端に設けられた留め板48と板ばね49を介して弁ハウジング35に固定される。モータ32は、弁体14を開閉駆動するために減速機構33を介して回転軸15に駆動連結される。すなわち、モータ32の出力軸32a上には、モータギヤ43が固定される。このモータギヤ43は、中間ギヤ42を介してメインギヤ41に駆動連結される。中間ギヤ42は、大径ギヤ42aと小径ギヤ42bを含む二段ギヤであり、ピンシャフト44を介して弁ハウジング35に回転可能に支持される。大径ギヤ42aには、モータギヤ43が連結され、小径ギヤ42bには、メインギヤ41が連結される。この実施形態では、減速機構33を構成する各ギヤ41〜43として、軽量化のために樹脂材料よりなる樹脂ギヤが使用される。
【0032】
図4に示すように、弁ハウジング35とエンドフレーム36との接合部分には、ゴム製のガスケット50が設けられる。
図6に示すように、ガスケット50は、エンドフレーム36の開口端面の外周に形成された周溝36aに配置される。このように、弁ハウジング35とエンドフレーム36との間にガスケット50が介在することで、モータ部3と減速機構部4の内部が大気に対して密閉可能に設けられる。
【0033】
従って、
図2に示すように、弁体14の全閉状態から、モータ32が通電により作動して出力軸32aが正方向へ回転し、モータギヤ43が回転することにより、その回転が中間ギヤ42により減速されてメインギヤ41に伝達される。これにより、回転軸15及び弁体14が、リターンスプリング40の付勢力に抗して回動され、流路11が開かれる。すなわち、弁体14が開弁される。また、弁体14をある開度に保持するために、モータ32に通電により回転力を発生させることにより、その回転力がモータギヤ43、中間ギヤ42及びメインギヤ41を介し保持力として回転軸15及び弁体14に伝達される。この保持力がリターンスプリング40の付勢力に均衡することにより、弁体14がある開度に保持される。
【0034】
次に、この実施形態の回転角度検出装置について詳しく説明する。
図7に、メインギヤ41に対する磁石46の取付状態を正面図により示す。
図8に、メインギヤ41に対する磁石46の取付状態を、
図7のA−A線断面図により示す。
図9に、メインギヤ41に対する磁石46の取付状態を斜視図により示す。
図10に、メインギヤ41に対する磁石46の取り付け方を分解して斜視図により示す。
図7〜
図10に示すように、回転軸15と一体に回転可能に設けられたメインギヤ41は、その外周に複数の歯41bを有する。メインギヤ41は、回転軸15の基端が固定される側とは反対側の端面に、有底の凹部41aと、その凹部41aの周りに配置された4つの取付ピン41cとを含む。各取付ピン41cは、樹脂製のメインギヤ41と一体に成形され、メインギヤ41の軸線を中心に等角度(90°)間隔に配置される。
【0035】
図10に示すように、凹部41aは底部41aaを備え、その底部41aaの中心には、回転軸15を固定するための固定板51が一体的に設けられる。この固定板51には、回転軸15の基端が連結される変形孔51aが形成される。凹部41aの底部41aaには、半径方向へ延びる4組のリブ41d,41eが形成される。各リブ41d,41eの配置は、各取付ピン41cの配置に対応する。
図10において、縦方向に対向する2組のリブ41dは、左右平行に並ぶ2条のリブから構成される。
図10において、横方向に対向する2組のリブ41eは、1条のリブから構成される。底部41aaの半径方向における各リブ41d,41eの長さは、底部41aaの半径方向の長さより短くなっている。4組のリブ41d,41eのそれぞれに対応して、メインギヤ41の端面には、山形状の凹み41fが形成される。各取付ピン41cは、それら凹み41fの中に配置される。
【0036】
図11に、磁石46を正面図により示す。
図10、
図11に示すように、磁石46は、略円板形状をなし、その高さ(厚み)がメインギヤ41の凹部41aの底部41aaの深さより大きく設定される。磁石46は、その外周に二面幅部46aを含む。この二面幅部46aは、磁石46が凹部41aに挿入されたときに、縦方向に対向するリブ41dの端面と対向するように配置される。
【0037】
図12に、押さえ板47を正面図により示す。
図13に、押さえ板47の構成を分解して斜視図により示す。
図10において、押さえ板47は、凹部41aに挿入された磁石46を、メインギヤ41に押さえ付けて保持するためのものであり、非磁性材としてのステンレス鋼又はりん青銅等のばね用材料とゴム材により形成され、弾性変形可能に構成される。
図10、
図12に示すように、この押さえ板47は、全体が略十字形状をなし、磁石46に当接して磁石46を押さえる中央部分47aと、その中央部分47aの外側にて四方へ延びる外寄り部分47bとを含む。中央部分47aには、中心孔47cが形成される。外寄り部分47bには、各取付ピン41cが挿入される4つの取付孔47dが形成される。外寄り部分47bは、4つの翼部47eに分かれる。この実施形態では、
図13に示すように、押さえ板47は、磁石46に面する側の中央部分47aに、その部分と同一形状をなすゴム材53が貼り付けられる。このように中央部分47aにゴム材53が設けられることで、押さえ板47の中央部分47aの表面の摩擦係数が比較的高くなっている。これにより、押さえ板47の中央部分47aの表面に滑り止めが施されている。
【0038】
図10に示すように、磁石46は、メインギヤ41の凹部41aの上端から一部が突出するように凹部41aに挿入される。そして、
図7〜
図10に示すように、凹部41aに挿入された磁石46が、その外縁にて弾性変形した押さえ板47によりメインギヤ41に押さえ付けられながら、各取付孔47dに挿入された各取付ピン41cが熱かしめされることにより、磁石46がメインギヤ41に固定される。
【0039】
以上説明したこの実施形態の二重偏心弁よりなるEGR弁1によれば、弁体14を回転軸15の軸線を中心に回動させることにより、弁体14のシール面18が弁座13のシート面17に面接触する全閉位置とシート面17から最も離れる全開位置との間で移動する。そして、弁体14が全閉位置に配置された状態、すなわちEGR弁1の全閉状態では、弁座13の弁孔16が弁体14により塞がれるので、弁孔16にてEGRガスの流れが遮断される。また、弁体14と弁座13との間がシール面18とシート面17との面接触により封止されるので、弁座13を弁体14に押さえ付ける特別な弾性部材を設けることなく、EGRガスの漏れが防止される。すなわち、特別な弾性部材を特に設けることなく、弁座13のシート面17と弁体14のシール面18との構成のみにより、EGR弁1の全閉状態でのシール性を確保することができる。
【0040】
一方、EGR弁1の開弁状態では、弁座13の弁孔16が開き、弁孔16にてEGRガスの流れが許容される。また、全閉位置から弁体14が開弁方向へ回動し始めるとき、弁体14のシール面18が、弁座13のシート面17から離れ始めると共に、回転軸15の軸線を中心とする回動軌跡に沿って移動し始め、シール面18とシート面17との擦れが微小となる。このため、弁体14と弁座13との擦れが微少となる分だけ開弁時に弁体14が速やかに回動することができ、シール面18とシート面17との摩耗を低減させることができる。この結果、EGR弁1につき、特別な弾性部材を設けることなく簡易な構成により開弁応答性と耐久性を向上させることができる。
【0041】
この実施形態の回転角度検出装置によれば、メインギヤ41の凹部41aに挿入された磁石46がその外縁にて押さえ板47の弾性力によりメインギヤ41に対して押さえ付けられる。このため、磁石46を保持するメインギヤ41に対し、押さえ板47という簡便な構成により磁石46をその軸方向及び径方向にがたつきなく保持することができる。
【0042】
また、この実施形態では、押さえ板47が、その中央部分47aで磁石46を押さえ、外寄り部分47bが各取付孔47dに対応して複数の翼部47eに分かれる。従って、磁石46をメインギヤ41に押さえ付ける力が、押さえ板47の外寄りの複数の翼部47eにより、磁石46の周囲に作用する。このため、メインギヤ41における磁石46の径方向への移動を特に規制することができ、定位置での磁石46の保持力を高めることができる。
【0043】
また、この実施形態によれば、押さえ板47の中央部分47aにて磁石46がメインギヤ41に押さえ付けられ、その中央部分47aと磁石46の表面との間で滑り止めがなされるので、磁石46がその軸方向及び径方向に動きにくくなる。このため、メインギヤ41における磁石46の軸方向及び径方向への移動を更に規制することができ、定位置での磁石46の保持力を更に高めることができる。
【0044】
また、この実施形態では、押さえ板47を、接着ではなく、各取付ピン41cを熱かしめすることでメインギヤ41に固定している。このため、メインギヤ41に対する磁石46の組み付け時間を、接着の場合よりも短縮することができる。また、押さえ板47の一部を熱かしめすることで磁石46をメインギヤ41に固定するので、磁石46に熱負荷が直接伝わらず、固定時、固定後に磁石46が熱変化の影響を受けることがない。
【0045】
<第2実施形態>
次に、本発明の回転角検出装置を二重偏心弁を備えたEGR弁に具体化した第2実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0046】
なお、以下の説明において第1実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、異なった点を中心に説明する。
【0047】
この実施形態では、メインギヤ41の構成の点で第1実施形態と異なる。
図14に、メインギヤ41に対する磁石46の取付状態を正面図により示す。
図15に、メインギヤ41に対する磁石46の取付状態を、
図14のB−B線断面図により示す。
図16に、
図15の鎖線円S1の中を拡大断面図により示す。
図14に示すように、メインギヤ41の凹部41aの周囲に形成された4つの凹み41fには、その山形状の頂部にて、凹み41fの内側へ庇状に突出する係止部41gが形成される。これら係止部41gは、メインギヤ41と一体に成形される。
図14〜
図16に示すように、各係止部41gは、押さえ板47の各翼部47eの跳ね返りを規制するためのものであり、各翼部47eの先端外縁がその係止部41gの下側へ入り込んで係止部41gにより係止される。
【0048】
従って、この実施形態によれば、メインギヤ41にて熱かしめされた取付ピン41cが万が一破損しても、押さえ板47の外周寄り部分47b、すなわち各翼部47eの先端外縁が係止部41gに係止されて外れない。このため、熱かしめされた各取付ピン41cが万が一破損しても、メインギヤ41に対して磁石46を保持することができ、回転角度検出装置としての機能を確保することができる。
【0049】
<第3実施形態>
次に、本発明の回転角検出装置を二重偏心弁を備えたEGR弁に具体化した第3実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0050】
この実施形態では、押さえ板47の構成の点で前記各実施形態と異なる。
図17に、押さえ板47を正面図により示す。
図18に、押さえ板47を左側面図により示す。
図19に、押さえ板47を正面側から斜視図により示す。
図20に、押さえ板47を背面側から斜視図により示す。
図17〜
図20に示すように、押さえ板47には、メインギヤ41に磁石46を押さえ付けた状態で磁石46の側面を挟持するための弾性変形可能な複数の爪部47fが形成される。各爪部47fは、押さえ板47の中央部分47aの中止孔47cの内周縁部分を、各翼部47eの配置に対応して、その一部に切り込みを入れて背面側へ舌片状に折り曲げることで形成される。この実施形態では、押さえ板47は、非磁性金属により弾性変形可能に形成される。そのため、各爪部47fも弾性変形可能となっている。この実施形態では、各爪部47fが、中央部分47a及び翼部47eに対し直角をなすように折り曲げられる。従って、メインギヤ41の凹部41aに挿入された磁石46の上に押さえ板47を装着するとき、各爪部47fは磁石46の側面に接触しない。その後、押さえ板47により磁石46を押さえて各翼部47eを取付ピン41cにより熱かしめするときに、各翼部47eが取付ピン41cの側へ傾斜する。そのため、この傾斜により各爪部47fが内側へ傾いて磁石46の側面に接触し、磁石46を弾性力をもって挟持することになる。
【0051】
従って、この実施形態によれば、押さえ板47により磁石46がメインギヤ41に押さえ付けられた状態で、磁石46の側面が複数の爪部47fにより弾性力をもって挟持される。このため、メインギヤ41における磁石46の径方向への移動を更に規制できるので、定位置での磁石46の保持力を更に高めることができる。
【0052】
<第4実施形態>
次に、本発明の回転角検出装置を二重偏心弁を備えたEGR弁に具体化した第4実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0053】
この実施形態では、押さえ板47の爪部47fの構成の点で前記第3実施形態と異なる。
図21に、押さえ板47を正面図により示す。
図22に、押さえ板47をその左側面により示す。
図23に、押さえ板47を正面側から斜視図により示す。
図24に、押さえ板47を背面側から斜視図により示す。
図21〜
図24に示すように、この実施形態では、各爪部47fが押さえ板47の中心へ向けて「く」形状に折り曲げられる。従って、この押さえ板47により磁石46が押さえられるときに、各爪部47fの折曲部47faが磁石46の側面に接触するようになっている。
【0054】
従って、この実施形態によれば、各爪部47fが折り曲げられ、その折曲部47faが磁石46の側面に接触するので、磁石46の側面が各爪部47fの折曲部47faの弾性力をもって更に強く挟持される。このため、メインギヤ41における磁石46の径方向への移動を更に確実に規制できるので、定位置での磁石46の保持力をより一層高めることができる。また、各爪部47fが折曲部47faにて磁石46の側面に接触するので、各爪部47fが磁石46を傷付けることがない。
【0055】
<第5実施形態>
次に、本発明の回転角検出装置を二重偏心弁を備えたEGR弁に具体化した第5実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0056】
この実施形態では、押さえ板57の構成の点で前記各実施形態と異なる。
図25に、メインギヤ41に対する磁石46の取付状態を正面図により示す。
図26に、メインギヤ41に対する磁石46の取付状態を、
図25のC−C線断面図により示す。
図27に、メインギヤ41に対する磁石46の取付状態を斜視図により示す。
図28に、メインギヤ41に対する磁石46の取り付け方を分解して斜視図により示す。
図29に、押さえ板57を正面図により示す。
【0057】
図29に示すように、この実施形態の押さえ板57は、全体が略四角形状をなし、非磁性金属により弾性変形可能に形成される。押さえ板57の外寄り部分57bが四つに分かれて四つの弾性変形可能な翼部57eとなっている。各翼部57eは、略山形状をなし、その中に取付孔57dが形成される。また、押さえ板57は、磁石46を押さえる中央部分57aに中心孔57cが形成される。その中心孔57cの内周縁部分は、複数の舌片57fに分割され、各舌片57fが弾性変形可能に構成される。
【0058】
図28に示すように、メインギヤ41の側面には、押さえ板57の各取付孔57dに対応する複数の取付ピン41cが突設される。この実施形態では、各取付ピン41cの周りには、
図10等に示す凹み41fが形成されていない。
【0059】
図28に示すように、磁石46は、メインギヤ41の凹部41aの上端から一部が突出するように凹部41aに挿入される。そして、
図25〜
図28に示すように、凹部41aに挿入された磁石46は、押さえ板57の各舌片57fが弾性変形することでメインギヤ41に押さえ付けられ、各翼部57eの各取付孔57dには各取付ピン41cが挿入される。そして、各取付ピン41cが熱かしめされることにより、磁石46がメインギヤ41に固定される。
【0060】
この実施形態の回転角度検出装置によれば、メインギヤ41の凹部41aに挿入された磁石46が押さえ板57の弾性力によりメインギヤ41に対して押さえ付けられる。このため、磁石46を保持するメインギヤ41に対し、簡便な構成により磁石46をその軸方向及び径方向にがたつきなく保持することができる。
【0061】
また、この実施形態によれば、磁石46をメインギヤ41に押さえ付ける力が、押さえ板57の中央部分57aの複数の舌片57fにより、磁石46の中央に作用する。このため、メインギヤ41における磁石46の径方向への移動を特に規制することができ、定位置での磁石46の保持力を高めることができる。
【0062】
<第6実施形態>
次に、本発明の回転角検出装置を二重偏心弁を備えたEGR弁に具体化した第6実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0063】
この実施形態では、押さえ板67の構成の点で前記各実施形態と異なる。
図30に、メインギヤ41に対する磁石46の取付状態を正面図により示す。
図31に、メインギヤ41に対する磁石46の取付状態を、
図30のD−D線断面図により示す。
図32に、メインギヤ41に対する磁石46の取付状態を斜視図により示す。
図33に、メインギヤ41に対する磁石46の取り付け方を分解して斜視図により示す。
図34に、押さえ板67を正面図により示す。
【0064】
図34に示すように、この実施形態の押さえ板67は、全体が略四角形状をなし、非磁性金属により弾性変形可能に形成される。押さえ板67の外寄り部分67bが四つに分かれて四つの弾性変形可能な翼部67eとなっている。各翼部67eは、略舌形状をなし、その中に取付孔67dが形成される。また、押さえ板67は、磁石46を押さえる中央部分67aに中心孔67cが形成される。更に、押さえ板67は、隣り合う翼部67eと翼部67eとの間の外寄り部分67bに、磁石46の方向へ直角に曲げられ、先端部分が内側へ折り返されてなる四つの爪部67fを含む。
【0065】
図33に示すように、メインギヤ41の側面には、押さえ板67の各取付孔67dに対応する複数の取付ピン41cが突設される。この実施形態では、各取付ピン41cの周りには、
図10等に示す凹み41fが形成されていない。また、この実施形態では、押さえ板67の各爪部67fが、メインギヤ41の凹部41aに形成された各リブ41d,41eと干渉しないようにするために、各リブ41d,41eの高さが
図28に示すリブ41d,41eの高さよりも低く設定されている。
【0066】
図33に示すように、磁石46は、メインギヤ41の凹部41aの上端から一部が突出するように凹部41aに挿入される。そして、
図30〜
図33に示すように、凹部41aに挿入された磁石46は、押さえ板67の各翼部67eが弾性変形することでメインギヤ41に押さえ付けられ、各翼部67eの各取付孔67dには各取付ピン41cが挿入される。そして、各取付ピン41cが熱かしめされることにより、磁石46がメインギヤ41に固定される。また、この押さえ板67により磁石46が押さえられるときに、各爪部67fの折り返された先端部が磁石46の側面に圧接することになる。
【0067】
この実施形態の回転角度検出装置によれば、メインギヤ41の凹部41aに挿入された磁石46が押さえ板67の弾性力によりメインギヤ41に対して押さえ付けられる。このため、磁石46を保持するメインギヤ41に対し、簡便な構成により磁石46をその軸方向及び径方向にがたつきなく保持することができる。
【0068】
また、この実施形態によれば、各爪部67fの折り返された先端部が磁石46の側面に圧接するので、磁石46の側面が複数の爪部67fにより強く挟持される。このため、メインギヤ41における磁石46の径方向への移動を更に確実に規制できるので、定位置での磁石46の保持力をより一層高めることができる。
【0069】
なお、この発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で以下のように実施することができる。
【0070】
(1)前記第1実施形態では、押さえ板47をステンレス鋼又はりん青銅等のばね用材料により形成し、その中央部分47aにゴム板53を設けることで押さえ板47の中央部分47aの表面に滑り止めを施した。これに対し、押さえ板をゴム材により形成することでその表面に滑り止めを施したり、金属製の押さえ板の表面を鑢で加工することでその表面に滑り止めを施したりすることができる。
【0071】
(2)前記各実施形態では、押さえ板47,57の中央部分47a,57aの表面のみに滑り止めを施したが、押さえ板の表面全体に滑り止めを施すこともできる。
【0072】
(3)前記各実施形態では、本発明の回転角度検出装置をEGR弁に具体化したが、この回転角度検出装置をエンジンの吸気通路に設けられる電子スロットル装置に具体化することもできる。