特許第6371119号(P6371119)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6371119
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】穿孔ナビゲーション装置
(51)【国際特許分類】
   E21B 7/02 20060101AFI20180730BHJP
   E21B 44/00 20060101ALI20180730BHJP
【FI】
   E21B7/02
   E21B44/00 Z
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-115138(P2014-115138)
(22)【出願日】2014年6月3日
(65)【公開番号】特開2015-229830(P2015-229830A)
(43)【公開日】2015年12月21日
【審査請求日】2017年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】390036515
【氏名又は名称】株式会社鴻池組
(73)【特許権者】
【識別番号】594149398
【氏名又は名称】古河ロックドリル株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】394017446
【氏名又は名称】マック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(72)【発明者】
【氏名】富澤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】森山 祐三
(72)【発明者】
【氏名】若林 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】福井 正規
(72)【発明者】
【氏名】宮越 征一
(72)【発明者】
【氏名】石川 和弥
(72)【発明者】
【氏名】鐘築 遥
(72)【発明者】
【氏名】宮原 宏史
(72)【発明者】
【氏名】載 昊
(72)【発明者】
【氏名】梅村 敏行
【審査官】 西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−096627(JP,A)
【文献】 特表2013−518202(JP,A)
【文献】 特開昭59−098996(JP,A)
【文献】 特表2013−544327(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0230270(US,A1)
【文献】 特表2014−519568(JP,A)
【文献】 特開平09−119282(JP,A)
【文献】 特開2014−084712(JP,A)
【文献】 特表2003−527514(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/042119(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 7/02
E21B 7/04
E21B 15/00
E21B 44/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穿孔機と、前記穿孔機の位置及び姿勢を変更可能なブームとを備えた穿孔装置を用いて行われる、切羽への装薬孔の穿孔作業を支援する穿孔ナビゲーション装置であって、
現在の位置及び姿勢から前記穿孔機で穿孔した場合に前記切羽に穿孔されると予測される装薬孔である予測装薬孔の位置を算出する装薬孔位置算出部と、
穿孔が完了している装薬孔である既設装薬孔の位置を検出する装薬孔位置検出部と、
前記装薬孔位置算出部で算出した前記予測装薬孔の位置、及び前記装薬孔位置検出部で検出した前記既設装薬孔の位置に基づき、前記予測装薬孔と前記既設装薬孔との水平投影図及び前記予測装薬孔と前記既設装薬孔との三次元図形を前記切羽の切羽面と直交する垂直面に投影した垂直投影図を表示する装薬孔表示部と、を備えることを特徴とする穿孔ナビゲーション装置。
【請求項2】
穿孔が計画されている装薬孔である計画孔の位置を算出する計画孔位置算出部を備え、
前記装薬孔表示部は、前記装薬孔位置算出部で算出した前記予測装薬孔の位置、前記装薬孔位置検出部で検出した前記既設装薬孔の位置、及び前記計画孔位置算出部が算出した前記計画孔の位置に基づき、前記予測装薬孔と前記既設装薬孔と前記計画孔との水平投影図及び前記予測装薬孔と前記既設装薬孔と前記計画孔との三次元図形を前記切羽の切羽面と直交する垂直面に投影した垂直投影図を表示することを特徴とする請求項1に記載の穿孔ナビゲーション装置。
【請求項3】
穿孔機と、前記穿孔機の位置及び姿勢を変更可能なブームとを備えた穿孔装置を用いて行われる、切羽への装薬孔の穿孔作業を支援する穿孔ナビゲーション装置であって、
現在の位置及び姿勢から前記穿孔機で穿孔した場合に前記切羽に穿孔されると予測される装薬孔である予測装薬孔の位置を算出する装薬孔位置算出部と、
穿孔が完了している装薬孔である既設装薬孔の位置を検出する装薬孔位置検出部と、
前記装薬孔位置算出部で算出した前記予測装薬孔の位置、及び前記装薬孔位置検出部で検出した前記既設装薬孔の位置に基づき、前記予測装薬孔と前記既設装薬孔との三次元図形を表示する装薬孔表示部と、を備え
前記装薬孔表示部は、前記既設装薬孔が複数ある場合には、複数の前記既設装薬孔のうち、前記予測装薬孔に最も近い前記既設装薬孔のみを前記三次元図形に表すことを特徴とする穿孔ナビゲーション装置。
【請求項4】
穿孔が計画されている装薬孔である計画孔の位置を算出する計画孔位置算出部を備え、
前記装薬孔表示部は、前記装薬孔位置算出部で算出した前記予測装薬孔の位置、前記装薬孔位置検出部で検出した前記既設装薬孔の位置、及び前記計画孔位置算出部が算出した前記計画孔の位置に基づき、前記予測装薬孔と前記既設装薬孔と前記計画孔との三次元図形を表示することを特徴とする請求項3に記載の穿孔ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記予測装薬孔の位置と前記計画孔の位置とのずれ量が予め定められた許容値以上であるか否かを判定するずれ量判定部と、
前記ずれ量判定部が前記ずれ量が前記許容値以上であると判定した場合には、警告の提示及び前記穿孔機の穿孔動作の禁止の少なくともいずれかを行う穿孔動作抑制部と、を備えることを特徴とする請求項2または請求項4に記載の穿孔ナビゲーション装置。
【請求項6】
前記既設装薬孔に関する情報を検出する装薬孔情報検出部と、
前記装薬孔情報検出部で検出した前記既設装薬孔に関する情報を記憶する装薬孔情報記憶部と、を備えることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の穿孔ナビゲーション装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穿孔機と、穿孔機の位置及び姿勢を変更可能なブームとを備えた穿孔装置を用いて行われる、切羽への装薬孔の穿孔作業を支援する穿孔ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の穿孔ナビゲーション装置としては、例えば、特許文献1に記載の技術がある。特許文献1に記載の技術では、予め計画された穿孔位置(以下、「計画穿孔位置」とも呼ぶ)と、ブームの関節部の作動量の検出データから予測される穿孔位置(以下、「予測穿孔位置」とも呼ぶ)とを画面上に重ねて表示する。それゆえ、オペレータは、計画穿孔位置と予測穿孔位置とを認識できる。これにより、特許文献1に記載の技術では、計画穿孔位置と同一の位置への装薬孔の穿孔作業を支援可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−96627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、特許文献1に記載の技術では、単に計画穿孔位置と予測穿孔位置とを画面上に重ねて表示するのみである。それゆえ、例えば、計画穿孔位置から装薬孔の実際の穿孔位置がずれ、穿孔位置がずれた装薬孔にあわせて、周辺の装薬孔を計画位置と異なる位置に穿孔する場合、オペレータが装薬孔を経験や勘で穿孔するしかなく、穿孔が完了した装薬孔と干渉する位置に装薬孔が穿孔されてしまう可能性があった。
【0005】
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、装薬孔をより適切な位置に穿孔可能な穿孔ナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、穿孔機と、穿孔機の位置及び姿勢を変更可能なブームとを備えた穿孔装置を用いて行われる、切羽への装薬孔の穿孔作業を支援する穿孔ナビゲーション装置であって、現在の位置及び姿勢から穿孔機で穿孔した場合に切羽に穿孔されると予測される装薬孔である予測装薬孔の位置を算出する装薬孔位置算出部と、穿孔が完了している装薬孔である既設装薬孔の位置を検出する装薬孔位置検出部と、装薬孔位置算出部で算出した予測装薬孔の位置、及び装薬孔位置検出部で検出した既設装薬孔の位置に基づき、予測装薬孔と既設装薬孔の水平投影図及び予測装薬孔と既設装薬孔との三次元図形を切羽の切羽面と直交する垂直面に投影した垂直投影図とを表示する装薬孔表示部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、穿孔が計画されている装薬孔である計画孔の位置を算出する計画孔位置算出部を備え、装薬孔表示部は、装薬孔位置算出部で算出した予測装薬孔の位置、装薬孔位置検出部で検出した既設装薬孔の位置、及び計画孔位置算出部が算出した計画孔の位置に基づき、予測装薬孔と既設装薬孔と計画孔との水平投影図及び予測装薬孔と既設装薬孔と計画孔との三次元図形を切羽の切羽面と直交する垂直面に投影した垂直投影図を表示するようにしてもよい。
【0008】
一方、本発明の他の態様は、穿孔機と、穿孔機の位置及び姿勢を変更可能なブームとを備えた穿孔装置を用いて行われる、切羽への装薬孔の穿孔作業を支援する穿孔ナビゲーション装置であって、現在の位置及び姿勢から穿孔機で穿孔した場合に切羽に穿孔されると予測される装薬孔である予測装薬孔の位置を算出する装薬孔位置算出部と、穿孔が完了している装薬孔である既設装薬孔の位置を検出する装薬孔位置検出部と、装薬孔位置算出部で算出した予測装薬孔の位置、及び装薬孔位置検出部で検出した既設装薬孔の位置に基づき、予測装薬孔と既設装薬孔との三次元図形を表示する装薬孔表示部と、を備え、装薬孔表示部は、既設装薬孔が複数ある場合には、複数の既設装薬孔のうち、予測装薬孔に最も近い既設装薬孔のみを三次元図形に表すことを特徴とする。
【0009】
また、穿孔が計画されている装薬孔である計画孔の位置を算出する計画孔位置算出部を備え、装薬孔表示部は、装薬孔位置算出部で算出した予測装薬孔の位置、装薬孔位置検出部で検出した既設装薬孔の位置、及び計画孔位置算出部が算出した計画孔の位置に基づき、予測装薬孔と既設装薬孔と計画孔との三次元図形を表示するようにしてもよい。
さらに、予測装薬孔の位置と計画孔の位置とのずれ量が予め定められた許容値以上であるか否かを判定するずれ量判定部と、ずれ量判定部がずれ量が許容値以上であると判定した場合には、警告の提示及び穿孔機の穿孔動作の禁止の少なくともいずれかを行う穿孔動作抑制部と、を備えるようにしてもよい。
【0010】
また、既設装薬孔に関する情報を検出する装薬孔情報検出部と、装薬孔情報検出部で検出した既設装薬孔に関する情報を記憶する装薬孔情報記憶部と、を備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、オペレータは、予測装薬孔の位置と既設装薬孔の位置とを認識できる。それゆえ、既設装薬孔との位置関係を考慮して装薬孔を穿孔できる。これにより、装薬孔をより適切な位置に穿孔することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る穿孔ナビゲーション装置1が搭載される穿孔装置4の概略構成を表す概念図である。
図2】コントローラ27が実行する穿孔支援処理を表すフローチャートである。
図3】水平投影図及び垂直投影図の画像データを表す図である。
図4】水平投影図及び垂直投影図の画像データを表す図である。
図5】変形例に係る穿孔支援処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る穿孔ナビゲーション装置1の実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態に係る穿孔ナビゲーション装置1は、芯抜き発破を行うための装薬孔3の穿孔作業を支援するための装置である。芯抜き発破としては、例えば、切羽に数本の装薬孔3を集中的に穿孔し、爆破により楔形の自由面を形成するVカットがある。
(構成)
図1に示すように、穿孔ナビゲーション装置1は、切羽2に対し、爆薬装填用の装薬孔3を穿孔するための作業用車両(以下、「穿孔装置4」とも呼ぶ)に搭載される。穿孔装置4としては、例えば、ドリルジャンボ(商標)を採用することができる。
【0014】
穿孔装置4は、移動台車5と、移動台車5上に取り付けられたブーム6と、ブーム6に取り付けられて穿孔機7を搭載するガイドセル8と、を備える。
ブーム6は、ブーム6を水平方向に揺動させるブームスイング9と、ブーム6を前後に進退動させるブームスライド10と、ガイドセル8を水平方向に揺動させるガイドスイング11と、ガイドセル8を垂直方向に揺動させるガイドチルト12と、ガイドセル8を前後に進退動させるガイドスライド13と、を備える。これにより、ブーム6は、穿孔装置4のオペレータの操作に応じて、穿孔機7の位置及び姿勢を変更可能となっている。
【0015】
穿孔機7は、先端部に穿孔用ビットが設けられた穿孔ロッド14と、穿孔ロッド14の後端部に打撃を付与するドリフタ15と、を備える。また、穿孔機7には、穿孔機7を前後(穿孔ロッド14の軸方向)に進退動させるフィーダ16が配置される。これにより、穿孔機7は、オペレータの操作に応じて、穿孔ロッド14の後端部にドリフタ15で打撃を付与し、且つ、前方向に移動することで、切羽2に装薬孔3を穿孔可能となっている。
【0016】
これにより、オペレータは、穿孔装置4を操作し、穿孔ロッド14の先端を切羽2に押し当てる動作と、穿孔ロッド14の後端部に打撃を付与すると共に穿孔機7を前方向に移動させる動作とを繰り返すことで、切羽2に複数の装薬孔3を穿孔可能となっている。
穿孔ナビゲーション装置1は、水平角検出部17、18と、垂直角検出部19と、進退量検出部20、21と、ナビ装置作動スイッチ22と、芯抜きモード切替スイッチ23と、穿孔状態検出部24と、装薬孔情報記憶部25と、モニター26と、コントローラ27と、を備える。
【0017】
水平角検出部17は、ブームスイング9に配置され、ブーム6の水平方向への揺動角を検出する。そして、水平角検出部17は、検出結果をコントローラ27に出力する。水平角検出部18は、ガイドスイング11に配置され、ガイドセル8の水平方向への揺動角を検出する。そして、水平角検出部18は、検出結果をコントローラ27に出力する。
垂直角検出部19は、ガイドチルト12に配置され、ガイドセル8の垂直方向への揺動角を検出する。そして、垂直角検出部19は、検出結果をコントローラ27に出力する。
【0018】
進退量検出部20は、ブームスライド10に配置され、ブーム6の前後方向への進退量を検出する。そして、進退量検出部20は、検出結果をコントローラ27に出力する。進退量検出部21は、フィーダ16に配置され、ガイドセル8の前後方向への進退量を検出する。そして、進退量検出部21は、検出結果をコントローラ27に出力する。
ナビ装置作動スイッチ22は、穿孔ナビゲーション装置1の作動開始時にオペレータに押圧させるスイッチである。そして、ナビ装置作動スイッチ22は、オペレータが押圧すると、穿孔ナビゲーション装置1の作動開始信号をコントローラ27に出力する。
【0019】
芯抜きモード切替スイッチ23は、芯抜き発破を行うための装薬孔3の穿孔作業の開始時にオペレータに押圧させるスイッチである。そして、芯抜きモード切替スイッチ23は、オペレータが押圧すると、芯抜きモード開始信号をコントローラ27に出力する。
穿孔状態検出部24は、穿孔機7(ドリフタ15)に配置され、穿孔機7(ドリフタ15)が動作しているか否か、つまり、切羽2に装薬孔3の穿孔が行われているか否かを検出する。そして、穿孔状態検出部24は、検出結果をコントローラ27に出力する。
【0020】
装薬孔情報記憶部25は、穿孔が完了している装薬孔3(後述する既設装薬孔3c)に関する情報(例えば、既設装薬孔3cの位置、穿孔開始位置、穿孔さし角、及び穿孔長)を記憶する。穿孔開始位置としては、例えば、切羽面における装薬孔3の位置がある。穿孔さし角としては、例えば、切羽面に対して装薬孔3の穿孔方向がなす角がある。
モニター26は、オペレータから視認可能な位置に配置され、コントローラ27が生成した画像データ(後述する水平投影図と垂直投影図との画像データ)を表示する。
【0021】
コントローラ27は、A/D(Analog to Digital)変換回路、D/A(Digital to Analog)変換回路、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等から構成した集積回路を備える。ROMは、各種処理を実現するプログラムを記憶している。CPUは、ROMが記憶しているプログラムに従って各種処理を実行する。CPUは、ナビ装置作動スイッチ22が穿孔ナビゲーション装置1の作動開始信号を出力すると、ROMが記憶しているプログラムに従って穿孔支援処理を実行する。穿孔支援処理では、CPUは、水平角検出部17、18と、垂直角検出部19と、進退量検出部20、21と、ナビ装置作動スイッチ22と、芯抜きモード切替スイッチ23と、穿孔状態検出部24とが出力した検出結果に基づき切羽2への装薬孔3の穿孔作業を支援するための画像をモニター26に表示する。また、CPUは、既設装薬孔3cに関する情報(既設装薬孔3cの位置、穿孔開始位置、穿孔さし角、及び穿孔長の少なくともいずれか)を検出し、検出した既設装薬孔3cに関する情報を装薬孔情報記憶部25に記憶する。
【0022】
(穿孔支援処理)
次に、コントローラ27が実行する穿孔支援処理について図面を参照して説明する。
図2に示すように、まずステップS101では、コントローラ27は、切羽2の穿孔パターンを設定する。穿孔パターンとしては、例えば、切羽2に穿孔する、予め計画された複数の装薬孔3(以下、「計画孔3a」とも呼ぶ)それぞれの穿孔開始位置、穿孔さし角、及び穿孔長を表すものがある。穿孔パターンの設定方法としては、例えば、予め定められた複数の候補のうちから、切羽2の硬さや性状等を基に選択する方法がある。
【0023】
続いてステップS102に移行して、コントローラ27は、芯抜きモード切替スイッチ23が押圧されるまで待機する。具体的には、コントローラ27は、芯抜きモード切替スイッチ23が芯抜きモード開始信号を出力するまで待機し、芯抜きモード切替スイッチ23が芯抜きモード開始信号が出力すると、ステップS103に移行する。
ステップS103では、コントローラ27は、水平角検出部17、18、垂直角検出部19、及び進退量検出部20、21が出力した検出結果を取得する。続いて、コントローラ27は、取得した検出結果に基づき、穿孔機7の位置及び姿勢を検出する。
【0024】
続いてステップS104に移行して、コントローラ27は、ステップS103で検出した穿孔機7の位置及び姿勢から穿孔機7で穿孔した場合に切羽2に穿孔されると予測される装薬孔3(以下、「予測装薬孔3b」とも呼ぶ)の位置を算出する。予測装薬孔3bの位置は、穿孔対象となる切羽2に対して、予め定められた三次元座標系(以下、「基準座標系」とも呼ぶ)の座標として表す。具体的には、コントローラ27は、穿孔機7の位置及び姿勢に基づき、穿孔ロッド14の位置及び姿勢を算出する。続いて、コントローラ27は、算出した穿孔ロッド14の位置及び姿勢に基づき、穿孔ロッド14の延長線を中心軸とし、切羽面の位置を開口部とし、予め定められた直径(例えば、45[mm])及び穿孔長(例えば、1〜3[m])を有する円柱孔の内部空間の位置を算出する。続いて、コントローラ27は、算出した位置を予測装薬孔3bの位置として設定する。
【0025】
なお、本実施形態では、予測装薬孔3bの内部空間の位置を予測装薬孔3bの位置として算出する例を示したが、他の構成を採用してもよい。例えば、予測装薬孔3bの中心線(中心軸)の位置を予測装薬孔3bの位置として算出する構成としてもよい。
続いてステップS105に移行して、コントローラ27は、ステップS101で設定した計画孔3aの穿孔開始位置、穿孔さし角、及び穿孔長に基づき、計画孔3aの位置を算出する。計画孔3aの位置は、基準座標系の座標として表す。具体的には、コントローラ27は、穿孔開始位置を通り穿孔さし角と平行に延びている直線を中心軸とし、穿孔開始位置を開口部とし、開口部から中心軸に沿って切羽2内に穿孔長だけ進んだ位置を底部とし、予め定められた直径(45[mm])を有する円柱孔の内部空間の位置を算出する。続いて、コントローラ27は、算出した位置を計画孔3aの位置として設定する。
【0026】
なお、本実施形態では、計画孔3aの内部空間の位置を計画孔3aの位置として算出する例を示したが、他の構成を採用してもよい。例えば、計画孔3aの中心線の位置(中心軸)を計画孔3aの位置として算出する構成としてもよい。
続いてステップS106に移行して、コントローラ27は、穿孔が完了している装薬孔3(以下、「既設装薬孔3c」とも呼ぶ)があるか否かを判定する。具体的には、コントローラ27は、装薬孔情報記憶部25に、現在穿孔対象となっている切羽2の既設装薬孔3cの位置が記憶されているか否かを判定する。そして、コントローラ27は、記憶されていないと判定した場合には(No)、既設装薬孔3cがないと判定し、ステップS107に移行する。一方、コントローラ27は、記憶されていると判定した場合には(Yes)、既設装薬孔3cがあると判定し、ステップS108に移行する。
【0027】
ステップS107では、コントローラ27は、ステップS104で算出した予測装薬孔3bの位置、及びステップS105で算出した計画孔3aの位置に基づき、図3に示すように、予測装薬孔3bと計画孔3aとの水平投影図及び垂直投影図の画像データを生成する。図3では、水平投影図が左側に配置され、垂直投影図が右側に配置されている。水平投影図としては、例えば、予測装薬孔3bと計画孔3aとを基準座標系上に描画して得られる三次元図形を上方から見た図がある。垂直投影図としては、例えば、予測装薬孔3bと計画孔3aとを基準座標系上に描画して得られる三次元図形を切羽2側方から見た図(切羽面と直交する垂直面に投影した図)がある。水平投影図と垂直投影図とには、複数の計画孔3aのうち、予測装薬孔3bと干渉する可能性の高い計画孔3aのみを表す。予測装薬孔3bと干渉する可能性の高い計画孔3aとしては、例えば、予測装薬孔3bに最も近い計画孔3aや、予測装薬孔3bから設定距離内にある計画孔3aを採用する。
【0028】
画像データには、水平投影図及び垂直投影図に加え、切羽面と、計画孔3aの位置と予測装薬孔3bの位置との水平方向及び垂直方向へのずれ量と、予測装薬孔3bの穿孔さし角とを表示する。また、画像データには、予測装薬孔3bと計画孔3aとを互いに異なる色で表示する。例えば、予測装薬孔3bを赤色、計画孔3aを青色とする。
続いて、コントローラ27は、生成した画像データをモニター26に表示させた後、ステップS109に移行する。これにより、モニター26は、図3に示すように、予測装薬孔3bと計画孔3aとの水平投影図及び垂直投影図を表示する。
【0029】
これにより、オペレータは、予測装薬孔3bの位置と計画孔3aの位置とを認識できる。それゆえ、計画孔3aの位置と同一の位置に装薬孔3を容易に穿孔できる。
一方、ステップS108では、コントローラ27は、ステップS104で算出した予測装薬孔3bの位置、装薬孔情報記憶部25が記憶している既設装薬孔3cの位置、及びステップS105で算出した計画孔3aの位置に基づき、図4に示すように、予測装薬孔3bと既設装薬孔3cと計画孔3aとの水平投影図及び垂直投影図の画像データを生成する。図4では、水平投影図が左側に配置され、垂直投影図が右側に配置されている。水平投影図と垂直投影図とには、複数の計画孔3aのうち、予測装薬孔3bと干渉する可能性の高い計画孔3aのみを表す。また、装薬孔情報記憶部25が記憶している既設装薬孔3cのうち、予測装薬孔3bと干渉する可能性の高い既設装薬孔3cのみを表す。予測装薬孔3bと干渉する可能性の高い既設装薬孔3cとしては、例えば、予測装薬孔3bに最も近い既設装薬孔3cや、予測装薬孔3bから設定距離内にある既設装薬孔3cを採用する。
【0030】
画像データには、予測装薬孔3bと既設装薬孔3cと計画孔3aとの水平投影図及び垂直投影図に加え、切羽面と、既設装薬孔3cの位置と予測装薬孔3bの位置との水平方向及び垂直方向へのずれ量と、予測装薬孔3bの穿孔さし角とを表示する。また、画像データには、計画孔3aと予測装薬孔3bと既設装薬孔3cとを互いに異なる色で表示する。例えば、計画孔3aを青色、予測装薬孔3bを赤色、既設装薬孔3cを緑色とする。
【0031】
続いて、コントローラ27は、生成した画像データをモニター26に表示させた後、ステップS109に移行する。これにより、モニター26は、図4に示すように、予測装薬孔3bと既設装薬孔3cと計画孔3aとの水平投影図及び垂直投影図を表示する。
これにより、オペレータは、予測装薬孔3bの位置と既設装薬孔3cの位置とを認識できる。それゆえ、既設装薬孔3cと干渉しない位置に装薬孔3を容易に穿孔できる。
【0032】
ステップS109では、コントローラ27は、計画孔3aの位置と予測装薬孔3bの位置とのずれ量が予め定められた許容値以上であるか否かを判定する。ずれ量としては、例えば、計画孔3aと予測装薬孔3bとの穿孔開始位置の差や、穿孔さし角の差がある。そして、コントローラ27は、ずれ量が許容値以上であると判定した場合には(Yes)、ステップS110に移行する。一方、コントローラ27は、ずれ量が許容値未満であると判定した場合には(No)、ステップS111に移行する。
【0033】
ステップS110では、コントローラ27は、穿孔機7の穿孔動作を禁止するインターロック機能を作動させる信号(以下、「インターロック作動信号」とも呼ぶ)を穿孔装置4に出力した後、ステップS103に戻る。穿孔装置4は、インターロック作動信号が出力されると、穿孔機7(ドリフタ15)の穿孔動作を禁止する。これにより、計画孔3aからずれた位置に装薬孔3が穿孔されることを抑制できる。
【0034】
なお、本実施形態では、計画孔3aの位置と予測装薬孔3bの位置とのずれ量が許容値以上であると判定した場合に、穿孔機7の穿孔動作を禁止する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、計画孔3aの位置と予測装薬孔3bの位置とのずれ量が許容値以上であると判定した場合に、警告の提示を行う構成としてもよい。警告としては、例えば、ずれ量が許容値以上であることを報知するものがある。
【0035】
ステップS111では、コントローラ27は、インターロック機能を解除させる信号(以下、「インターロック解除信号」とも呼ぶ)を穿孔装置4に出力する。穿孔装置4は、インターロック解除信号が出力されると、穿孔機7の穿孔動作を許可する。
ステップS112では、コントローラ27は、穿孔装置4が装薬孔3の穿孔を開始したか否かを判定する。具体的には、コントローラ27は、穿孔状態検出部24が出力した検出結果に基づき、穿孔機7が穿孔動作を行っているか否かを判定する。そして、コントローラ27は、穿孔機7が穿孔動作を行っていると判定した場合には(Yes)、穿孔装置4が装薬孔3の穿孔を開始したと判定し、ステップS113に移行する。一方、コントローラ27は、穿孔機7が穿孔動作を行っていないと判定した場合には(No)、穿孔装置4が装薬孔3の穿孔を開始していないと判定し、ステップS109に戻る。
【0036】
ステップS113では、コントローラ27は、水平角検出部17、18、垂直角検出部19、及び進退量検出部20、21が出力した検出結果に基づき、穿孔機7の位置及び姿勢を検出する。続いて、コントローラ27は、検出した穿孔機7の位置及び姿勢に基づき、穿孔を開始した装薬孔3の穿孔開始位置(穿孔用ビットの位置)及び穿孔さし角(穿孔ロッド14の角度)を算出する。続いて、コントローラ27は、算出した穿孔開始位置(穿孔用ビットの位置)及び穿孔さし角(穿孔ロッド14の角度)を装薬孔情報記憶部25に記憶する。これにより、装薬孔情報記憶部25には、装薬孔3の穿孔が開始されるたびに、実際に穿孔した装薬孔3の穿孔開始位置及び穿孔さし角が記憶される。
【0037】
続いてステップS114に移行して、コントローラ27は、進退量検出部21が出力する進退量、並びにステップS113で記憶した穿孔開始位置及び穿孔さし角に基づいて、穿孔中の装薬孔3の位置を算出する。続いて、コントローラ27は、算出した穿孔中の装薬孔3の位置、ステップS105で算出した計画孔3aの位置、及び装薬孔情報記憶部25が記憶している既設装薬孔3cの位置に基づき、穿孔中の装薬孔3と計画孔3aと既設装薬孔3cとの水平投影図及び垂直投影図の画像データを生成する。なお、コントローラ27は、現在穿孔対象となっている切羽2の既設装薬孔3cの位置を装薬孔情報記憶部25が記憶していない場合(未だ装薬孔3が穿孔されていない場合)には、水平投影図及び垂直投影図の画像データから既設装薬孔3cを省略する。続いて、コントローラ27は、生成した画像データをモニター26に表示させる。これにより、モニター26は、穿孔中の装薬孔3と計画孔3aと既設装薬孔3cとの水平投影図及び垂直投影図を表示する。
【0038】
これにより、オペレータは、穿孔中の装薬孔3の位置と既設装薬孔3cの位置とを認識できる。それゆえ、既設装薬孔3cと干渉しない位置に装薬孔3を容易に穿孔できる。
続いてステップS115に移行して、コントローラ27は、穿孔装置4が装薬孔3の穿孔を終了したか否かを判定する。具体的には、コントローラ27は、穿孔状態検出部24が出力した検出結果に基づき、穿孔機7が穿孔動作を行っていないか否かを判定する。そして、コントローラ27は、穿孔機7が穿孔動作を行っていないと判定した場合には(Yes)穿孔装置4が装薬孔3の穿孔を終了したと判定し、ステップS116に移行する。一方、コントローラ27は、穿孔機7が穿孔動作を行っていると判定した場合には(No)穿孔装置4が穿孔動作を終了していないと判定し、ステップS114に戻る。
【0039】
ステップS116では、コントローラ27は、水平角検出部17、18、垂直角検出部19、及び進退量検出部20、21が出力した検出結果に基づき、穿孔機7の位置及び姿勢を検出する。続いて、コントローラ27は、検出した穿孔機7の位置及び姿勢に基づき、穿孔を終了した装薬孔3(既設装薬孔3c)の穿孔終了位置(穿孔用ビットの位置)及び穿孔さし角(穿孔ロッド14の角度)を算出する。続いて、コントローラ27は、既設装薬孔3cの穿孔終了位置及び穿孔さし角に基づき、既設装薬孔3cの位置を算出する。既設装薬孔3cの位置は、基準座標系の座標として表す。
【0040】
具体的には、コントローラ27は、穿孔終了位置を通り穿孔さし角と平行に延びている直線を中心軸とし、穿孔終了位置を底部とし、切羽面の位置を開口部とし、予め定められた直径(45[mm])を有する円柱孔の内部空間の位置を算出する。続いて、コントローラ27は、算出した既設装薬孔3cの位置を装薬孔情報記憶部25に記憶する。
続いて、コントローラ27は、進退量検出部21が出力した進退量を、既設装薬孔3cの穿孔長として装薬孔情報記憶部25に記憶させた後、ステップS103に戻る。
【0041】
なお、本実施形態では、既設装薬孔3cの内部空間の位置を既設装薬孔3cの位置として算出する例を示したが、他の構成を採用してもよい。例えば、既設装薬孔3c中心線の位置(中心軸)を既設装薬孔3c位置として算出する構成としてもよい。
また、本実施形態では、穿孔終了時の穿孔機7の位置及び姿勢に基づき既設装薬孔3cの位置を算出する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、穿孔開始時から穿孔終了時までの間の穿孔用ビットの位置を逐次検出し、検出した穿孔用ビットの時系列データから既設装薬孔3cの位置を算出する構成としてもよい。
【0042】
(動作その他)
次に、穿孔ナビゲーション装置1の動作について図面を参照して説明する。
まず、オペレータが、穿孔ナビゲーション装置1の動作スイッチをオン状態にしたとする。すると、コントローラ27が、切羽2の穿孔パターンを設定する(図2のステップS101)。また、オペレータが、芯抜き発破のための装薬孔3の穿孔を行うために、芯抜きモード切替スイッチ23を押圧したとする。すると、コントローラ27が、芯抜きモード切替スイッチ23が押圧されたと判定する(図2のステップS102)。
【0043】
続いて、コントローラ27が、穿孔機7の位置及び姿勢に基づき、予測装薬孔3bの位置を算出する(図2のステップS103、S104)。続いて、コントローラ27が、穿孔パターンが表す計画孔3aの穿孔開始位置、穿孔さし角及び穿孔長に基づき、計画孔3aの位置を算出する(図2のステップS105)。続いて、コントローラ27が、既設装薬孔3cがないと判定し(図2のステップS106「No」)、算出した予測装薬孔3bの位置、及び設定した計画孔3aの位置に基づき、図3に示すように、予測装薬孔3bと計画孔3aとの水平投影図及び垂直投影図の画像データを生成する(図2のステップS107)。続いて、コントローラ27が、生成した画像データをモニター26に表示させる。
【0044】
このように、本実施形態では、予測装薬孔3bと計画孔3aとの水平投影図及び垂直投影図を表示させる。それゆえ、オペレータは、予測装薬孔3bの位置と計画孔3aの位置とを認識できる。それゆえ、計画孔3aの位置と同一の位置に装薬孔3を容易に穿孔できる。これにより、装薬孔3をより適切な位置に穿孔することができる。
ここで、オペレータが、穿孔装置4を操作し、穿孔機7の位置及び姿勢を変更したとする。すると、コントローラ27が、変更後の位置及び姿勢に基づき、予測装薬孔3bの位置を変更する(図2のステップS103、S104)。そして、コントローラ27が、変更後の予測装薬孔3bの位置及び計画孔3aの位置に基づき、変更後の予測装薬孔3bと計画孔3aとの水平投影図及び垂直投影図の画像データを生成する(図2のステップS107)。これにより、モニター26の表示内は、穿孔機7の位置及び姿勢が変更されるたび、変更後の予測装薬孔3bと計画孔3aとの水平投影図及び垂直投影図に変更される。
【0045】
また、計画孔3aの位置と予測装薬孔3bの位置とが一致したとする。すると、コントローラ27が、計画孔3aの位置と予測装薬孔3bの位置とのずれ量が予め定められた許容値未満であると判定する(図2のステップS109「No」)。続いて、コントローラ27が、インターロック解除信号を穿孔装置4に出力する(図2のステップS111)。これにより、穿孔装置4が、穿孔機7(ドリフタ15)の穿孔動作を許可する。
【0046】
ここで、オペレータが、穿孔装置4を操作し、穿孔機7(ドリフタ15)の穿孔動作を開始し、穿孔装置4から穿孔開始信号が出力されたとする。すると、コントローラ27が、穿孔装置4が装薬孔3の穿孔を開始したと判定する(図2のステップS112「Yes」)。続いて、コントローラ27が、穿孔を開始した装薬孔3の穿孔開始位置(穿孔用ビットの位置)及び穿孔さし角(穿孔ロッド14の角度)を算出し、算出した穿孔開始位置及び穿孔さし角を装薬孔情報記憶部25に記憶する(図2のステップS113)。
【0047】
このように、本実施形態では、装薬孔3の穿孔が開始されたと判定すると、穿孔が開始された装薬孔3の穿孔開始位置及び穿孔さし角を装薬孔情報記憶部25に記憶する。それゆえ、実際にオペレータが穿孔した装薬孔3の穿孔開始位置及び穿孔さし角のデータを蓄積できる。これにより、例えば、熟練オペレータのノウハウを蓄積することができる。また、既設装薬孔3cの検証を行うためのデータを蓄積することができる。
【0048】
ここで、オペレータが、穿孔装置4を操作し、穿孔機7(ドリフタ15)の穿孔動作を停止し、穿孔装置4から穿孔終了信号が出力されたとする。すると、コントローラ27が、穿孔装置4が装薬孔3の穿孔を終了したと判定する(図2のステップS115「Yes」)。続いて、コントローラ27が、穿孔を終了した装薬孔3(既設装薬孔3c)の穿孔終了位置(穿孔用ビットの位置)及び穿孔さし角(穿孔ロッド14の角度)を算出し、算出した穿孔終了位置及び穿孔さし角に基づき、既設装薬孔3cの位置を算出する(図2のステップS116)。続いて、コントローラ27は、既設装薬孔3cの位置及び穿孔長を装薬孔情報記憶部25に記憶させる(図2のステップS116)。
【0049】
このように、本実施形態では、装薬孔3の穿孔が終了されたと判定すると、穿孔が終了された装薬孔3の穿孔終了位置及び穿孔さし角を装薬孔情報記憶部25に記憶する。それゆえ、実際にオペレータが穿孔した装薬孔3の穿孔終了位置及び穿孔さし角のデータを蓄積できる。これにより、例えば、熟練オペレータのノウハウを蓄積することができる。また、既設装薬孔3cの検証を行うためのデータを蓄積することができる。
【0050】
これにより、切羽2には、芯抜き発破のための装薬孔3が1つ穿孔される。
続いて、オペレータが、切羽2に2つ目の装薬孔3を穿孔するために、穿孔装置4を操作し、穿孔機7の位置及び姿勢を変更したとする。すると、コントローラ27が、変更後の穿孔ロッド14の位置に基づき、予測装薬孔3bの位置を変更する(図2のステップS103、S104)。続いて、コントローラ27が、変更後の予測装薬孔3bの位置、装薬孔情報記憶部25に記憶されている既設装薬孔3cの位置、及び設定した計画孔3aの位置に基づき、変更後の予測装薬孔3bと既設装薬孔3c(1つ目の装薬孔3)と計画孔3aとの水平投影図及び垂直投影図の画像データを生成する(図2のステップS108)。続いて、コントローラ27が、生成した画像データをモニター26に表示させる。
【0051】
このように、本実施形態では、予測装薬孔3bと既設装薬孔3cとの水平投影図及び垂直投影図を表示させる。それゆえ、オペレータは、予測装薬孔3bの位置と既設装薬孔3cの位置とを認識できる。それゆえ、既設装薬孔3cとの位置関係を考慮して装薬孔3を穿孔できる。これにより、装薬孔3をより適切な位置に穿孔することができる。
本実施形態では、図1の穿孔機7が穿孔機を構成する。以下同様に、図1のブーム6がブームを構成する。また、図2のステップS104が装薬孔位置算出部を構成する。さらに、図2のステップS116が装薬孔位置検出部を構成する。また、図1のモニター26、図2のステップS107、S108が装薬孔表示部を構成する。さらに、図2のステップS105が計画位置算出部を構成する。また、図2のステップS109がずれ量判定部を構成する。さらに、図2のステップS110が穿孔動作抑制部を構成する。また、図2のステップS113、S116が装薬孔情報検出部を構成する。さらに、図1の装薬孔情報記憶部25が装薬孔情報記憶部を構成する。
【0052】
(本実施形態の効果)
本実施形態に係る穿孔ナビゲーション装置1は、次のような効果を奏する。
(1)本実施形態に係る穿孔ナビゲーション装置1によれば、コントローラ27は、現在の位置及び姿勢から穿孔機7で穿孔した場合に切羽2に穿孔されると予測される装薬孔3(予測装薬孔3b)と、穿孔が完了している装薬孔3(既設装薬孔3c)との水平投影図及び垂直投影図をモニター26に表示させる。
これにより、オペレータは、予測装薬孔3bの位置と既設装薬孔3cの位置とを認識できる。それゆえ、既設装薬孔3cとの位置関係を考慮して装薬孔3を穿孔できる。これにより、装薬孔3をより適切な位置に穿孔することができる。
【0053】
(2)本実施形態に係る穿孔ナビゲーション装置1によれば、コントローラ27は、予測装薬孔3bと、既設装薬孔3cと、穿孔が計画されている装薬孔3(計画孔3a)との水平投影図及び垂直投影図をモニター26に表示させる。
これにより、オペレータは、予測装薬孔3bの位置と計画孔3aの位置とを認識できる。それゆえ、計画孔3aの位置と同一の位置に装薬孔3を容易に穿孔できる。
【0054】
(3)本実施形態に係る穿孔ナビゲーション装置1によれば、コントローラ27は、予測装薬孔3bの位置と計画孔3aの位置とのずれ量が許容値以上であるか否かを判定する。そして、コントローラ27は、許容値以上であると判定した場合には、警告の提示及び穿孔機7の穿孔動作の禁止の少なくともいずれかを行う。
これにより、警告の提示や穿孔機7の穿孔動作の禁止を行うため、計画孔3aからずれた位置に装薬孔3が穿孔されることを抑制できる。
【0055】
(4)本実施形態に係る穿孔ナビゲーション装置1によれば、コントローラ27は、既設装薬孔3cに関する情報(既設装薬孔3cの位置、穿孔開始位置、穿孔さし角、及び穿孔長の少なくともいずれか)を検出する。続いて、コントローラ27は、検出した既設装薬孔3cに関する情報を装薬孔情報記憶部25に記憶させる。
これにより、実際にオペレータが穿孔した装薬孔3に関する情報を蓄積できる。そのため、熟練オペレータのノウハウを蓄積することができる。また、既設装薬孔3cの検証を行うためのデータを蓄積することができる。
【0056】
(変形例)
なお、本実施形態に係る穿孔ナビゲーション装置1は、水平透視図及び垂直透視図に代えて、三次元図形を表示する構成としてもよい。三次元図形としては、例えば、予測装薬孔3b等を基準座標系上(切羽2に対して、予め定められた三次元座標上)に描画して得られる図形がある。具体的には、図5に示すように、図2のステップS107、S108、S114に代えて、ステップS201、S202、S203を設けてもよい。
【0057】
ステップS201では、コントローラ27は、ステップS104で算出した予測装薬孔3bの位置、及びステップS105で算出した計画孔3aの位置に基づき、予測装薬孔3bと計画孔3aとの三次元図形の画像データを生成する。三次元図形には、複数の計画孔3aのうち、予測装薬孔3bと干渉する可能性の高い計画孔3a(例えば、最も近い計画孔3a)のみを表す。また、三次元図形は、オペレータの操作に応じて表示図形に対する視点(例えば、回転、移動)を変更可能とする。続いて、コントローラ27は、生成した画像データをモニター26に表示させた後、ステップS109に移行する。これにより、モニター26は、予測装薬孔3bと計画孔3aとの三次元図形を表示する。
【0058】
ステップS202では、コントローラ27は、ステップS104で算出した予測装薬孔3bの位置、装薬孔情報記憶部25が記憶している既設装薬孔3cの位置、及びステップS105で算出した計画孔3aの位置に基づき、予測装薬孔3bと既設装薬孔3cと計画孔3aとの三次元図形の画像データを生成する。三次元図形には、複数の計画孔3aのうち、予測装薬孔3bと干渉する可能性の高い計画孔3aのみを表す。また、既設装薬孔3cのうち、予測装薬孔3bと干渉する可能性の高い既設装薬孔3cのみを表す。続いて、コントローラ27は、生成した画像データをモニター26に表示させた後、ステップS109に移行する。これにより、モニター26は、予測装薬孔3bと既設装薬孔3cと計画孔3aとの三次元図形を表示する。
【0059】
ステップS203では、コントローラ27は、進退量検出部21が出力する進退量、並びにステップS113で記憶した穿孔開始位置及び穿孔さし角に基づいて、穿孔中の装薬孔3の位置を算出する。続いて、コントローラ27は、算出した穿孔中の装薬孔3の位置、ステップS105で算出した計画孔3aの位置、及び装薬孔情報記憶部25が記憶している既設装薬孔3cの位置に基づき、穿孔中の装薬孔3と計画孔3aと既設装薬孔3cとの三次元図形の画像データを生成する。三次元図形には、複数の計画孔3aのうち、予測装薬孔3bと干渉する可能性の高い計画孔3aのみを表す。また、既設装薬孔3cのうち、予測装薬孔3bと干渉する可能性の高い既設装薬孔3cのみを表す。続いて、コントローラ27は、生成した画像データをモニター26に表示させる。これにより、モニター26は、穿孔中の装薬孔3と計画孔3aと既設装薬孔3cとの三次元図形を表示する。
【0060】
なお、その他の構成は本実施形態と同様である。
本変形例では、図1の穿孔機7が穿孔機を構成する。以下同様に、図1のブーム6がブームを構成する。また、図5のステップS104が装薬孔位置算出部を構成する。さらに、図5のステップS116が装薬孔位置検出部を構成する。また、図1のモニター26、図5のステップS201、S202が装薬孔表示部を構成する。さらに、図5のステップS105が計画位置算出部を構成する。
【0061】
(本変形例の効果)
本変形例に係る穿孔ナビゲーション装置1は、本実施形態に係る穿孔ナビゲーション装置1の効果(3)、(4)に加え、次のような効果を奏する。
(1)本変形例に係る穿孔ナビゲーション装置1によれば、コントローラ27は、現在の位置及び姿勢から穿孔機7で穿孔した場合に切羽2に穿孔されると予測される装薬孔3(予測装薬孔3b)と、穿孔が完了している装薬孔3(既設装薬孔3c)との三次元図形をモニター26に表示させる。
これにより、オペレータは、予測装薬孔3bの位置と既設装薬孔3cの位置とを認識できる。それゆえ、既設装薬孔3cとの位置関係を考慮して装薬孔3を穿孔できる。これにより、装薬孔3をより適切な位置に穿孔することができる。
【0062】
(2)本変形例に係る穿孔ナビゲーション装置1によれば、コントローラ27は、予測装薬孔3bと、既設装薬孔3cと、穿孔が計画されている装薬孔3(計画孔3a)との三次元図形をモニター26に表示させる。
これにより、オペレータは、予測装薬孔3bの位置と計画孔3aの位置とを認識できる。それゆえ、計画孔3aの位置と同一の位置に装薬孔3を容易に穿孔できる。
【符号の説明】
【0063】
6 ブーム
7 穿孔機
25 装薬孔情報検出部
26 モニター
27 コントローラ
図1
図2
図3
図4
図5