(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記水系媒体の含有量が、前記セメントと前記石炭灰と前記スラグ粉末との合計体積に対して、51〜100体積%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の生コンクリートの製造方法。
前記セメントの含有量が、前記セメントと前記石炭灰と前記スラグ粉末との合計体積に対して、27〜55体積%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の生コンクリートの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1によれば、コンクリートの強度および流動性の面で、天然の砂、砕石を使用したコンクリートと同等でありながら、製鉄副産物のみで構成される安価なコンクリート組成物を提供することができる旨が開示されている。
【0008】
また、特許文献2によれば、水硬性組成物におけるセメントの含有量が全体の20重量%以下と、セメントの配合割合が非常に小さい、あるいはセメントが全く配合されないにもかかわらず、高強度コンクリートまたは超高強度コンクリートに相当する強度を有するコンクリートが製造可能である旨が開示されている。
【0009】
生コンクリートには、より高強度のコンクリート構造体が得られるものが求められている。一方で、コンクリート構造体は、ひび割れ等の劣化が生じやすいことが知られている。このため、生コンクリートには、圧縮強度等の強度が単に高いだけではなく、ひび割れ等の劣化による損傷が生じにくい安定性の高いコンクリート構造体が得られることが求められている。
【0010】
本発明は、かかる事情に鑑みて、強度が高く、かつ安定性の高いコンクリート構造体を得ることができる生コンクリートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様に係る生コンクリートは、セメントと、石炭灰と、スラグ粉末と、水系媒体とを含む。そして、この水系媒体は、コンクリート回収水を攪拌しながら、二酸化炭素を含む気体を注入することによって得られた、溶解されたカルシウムイオンの濃度が700〜1000ppmである水系媒体である。
【0012】
このような構成によれば、強度が高く、かつ安定性の高いコンクリート構造体を得ることができる生コンクリートを提供することができる。
【0013】
このことは、以下のことによると考えられる。
【0014】
まず、この生コンクリートは、セメントの水和反応で固化するものと考えられる。また、スラグ粉末や石炭灰は、セメントの水和反応で生成した水酸化カルシウムと反応し、安定な水和物とするとともに硬化体組織を緻密化すると考えられる。この水酸化カルシウムとの反応は、ポラゾン反応と呼ばれ、セメントの水和反応より緩やかな速度で、固化に寄与すると考えられる。そして、この生コンクリートから得られたコンクリート構造体が、その内部に微小な破断が発生しても、その破断面に現れた新たな活性点で、ポラゾン反応による固化が進行するものと考えられる。すなわち、スラグ粉末や石炭灰を添加することで、いわゆる自己修復機能を有するコンクリート構造体が得られると考えられる。
【0015】
また、前記水系媒体は、溶解されたカルシウムイオンの濃度が比較的高く、その状態での安定性が高いと考えられる。よって、前記水系媒体は、カルシウムイオンの溶解状態が、その濃度が高くても安定性が高いので、セメントの水和反応やポラゾン反応を好適に進行させることができると考えられる。
【0016】
これらのことから、強度が高いだけではなく、安定性の高いコンクリート構造体が得られる生コンクリートが得られると考えられる。
【0017】
また、前記生コンクリートにおいて、前記石炭灰が、フライアッシュであることが好ましい。
【0018】
このような構成によれば、安定性のより高い、高強度のコンクリート構造体が得られる。このことは、以下のことによると考えられる。前記石炭灰として、フライアッシュを用いることで、前記ポラゾン反応をより好適に進行させることができると考えられる。このことにより、自己修復機能をより好適に発揮させることができるコンクリート構造体が得られると考えられる。
【0019】
また、前記生コンクリートにおいて、前記スラグ粉末が、高炉スラグ粉末及び銅スラグ粉末の少なくとも一方であることが好ましい。
【0020】
このような構成によれば、安定性のより高い、高強度のコンクリート構造体が得られる。このことは、以下のことによると考えられる。前記スラグ粉末として、高炉スラグ粉末、銅スラグ粉末、又は高炉スラグ粉末と銅スラグ粉末との混合物を用いることで、前記ポラゾン反応をより好適に進行させることができると考えられる。このことにより、自己修復機能をより好適に発揮させることができるコンクリート構造体が得られると考えられる。
【0021】
また、前記生コンクリートにおいて、前記水系媒体の含有量が、前記セメントと前記石炭灰と前記スラグ粉末との合計体積に対して、51〜100体積%であることが好ましい。
【0022】
このような構成によれば、前記水系媒体の含有量が、前記セメントと前記石炭灰と前記スラグ粉末との混合物に対して、上記のように、通常より比較的多い。すなわち、前記セメント、前記石炭灰、及び前記スラグ粉末が比較的少ない。このことから、生コンクリートの流動性に優れ、生コンクリートの作業性が高まる。このようなセメント等が比較的少ない状況であっても、強度が高く、かつ安定性の高いコンクリート構造体を得ることができる生コンクリートが得られる。このことから、作業性の生コンクリートであって、強度が高く、かつ安定性の高いコンクリート構造体を得ることができる生コンクリートが得られる。
【0023】
また、前記生コンクリートにおいて、前記セメントの含有量が、前記セメントと前記石炭灰と前記スラグ粉末との合計体積に対して、27〜55体積%であることが好ましい。
【0024】
このような構成によれば、前記セメントの含有量が、前記セメントと前記石炭灰と前記スラグ粉末との混合物に対して、上記のような範囲内となるように、前記石炭灰と前記スラグ粉末を用いると、強度がより高く、かつ安定性のより高いコンクリート構造体を得ることができる生コンクリートが得られる。このことは、前記セメントの一部の代わりに、前記石炭灰及び前記スラグ粉末を、上記範囲内になるように用いることによって、セメントの水和反応やポラゾン反応をより好適に進行させることができることによると考えられる。
【0025】
また、前記生コンクリートにおいて、前記セメントが、ポルトランドセメントであることが好ましい。
【0026】
このような構成によれば、強度がより高く、かつ安定性のより高いコンクリート構造体を得ることができる生コンクリートが得られる。このことは、セメントの水和反応やポラゾン反応をより好適に進行させることができることによると考えられる。
【0027】
また、前記生コンクリートにおいて、細骨材及び粗骨材を含むことが好ましい。
【0028】
このような構成によれば、強度がより高く、かつ安定性のより高いコンクリート構造体を得ることができる生コンクリートが得られる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、強度が高く、かつ安定性の高いコンクリート構造体を得ることができる生コンクリートを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0032】
本発明の一実施形態に係る生コンクリートは、セメントと、石炭灰と、スラグ粉末と、水系媒体とを含む。そして、この水系媒体は、コンクリート回収水を攪拌しながら、二酸化炭素を含む気体を注入することによって得られた、溶解されたカルシウムイオンの濃度が700〜1000ppmである水系媒体(コンクリート製造用水)である。
【0033】
このような生コンクリートは、上述したように、強度が高く、かつ安定性の高いコンクリート構造体を得ることができる。このことは、以下のことによると考えられる。
【0034】
まず、生コンクリートが固化して、コンクリート構造体になる際、セメントの水和反応だけではなく、スラグ粉末や石炭灰が含有されていることにより起こるポラゾン反応が進行すると考えられる。すなわち、上記のような生コンクリートは、セメントの水和反応だけではなく、ポラゾン反応も起こることで、固化すると考えられる。また、このセメントの水和反応やポラゾン反応は、前記コンクリート製造用水を用いることで、より好適に進行すると考えられる。これらのことから、強度が高いだけではなく、自己修復機能等を有する、安定性の高いコンクリート構造体が得られる生コンクリートである。
【0035】
また、上記のようなコンクリート製造用水は、コンクリート回収水を原料としたコンクリート製造用水であっても、このコンクリート製造用水を用いて、コンクリートを製造すると、優れた生コンクリートを得ることができる。このことは、溶解されたカルシウムイオンの濃度が、コンクリート回収水より高く、その状態の安定性が高いことによると考えられる。すなわち、この安定的に溶解している、高濃度のカルシウムイオンが、セメントの水和反応やポラゾン反応を好適に進行させると考えられる。
【0036】
また、コンクリート回収水の上澄み液等をそのまま用いようとすると、カルシウムを含む析出物が発生しやすい状態であるので、優れた生コンクリートを得ることができない。また、コンクリート回収水のカルシウム成分を、炭酸カルシウム等にして沈降させて得られた上澄み液等を用いると、溶解されたカルシウムイオンの濃度が低いだけではなく、コンクリート回収水に元々含まれていた界面活性剤等の成分が、優れた生コンクリートの製造を妨げるものであった。これらに対して、本実施形態で用いるコンクリート製造用水であると、上述したように、優れた生コンクリートを得ることができる。
【0037】
また、本実施形態で用いるコンクリート製造用水が、溶解されたカルシウムイオンの濃度が高くても、カルシウムを含む析出物の発生を充分に抑制できる理由は、以下のことによると考えられる。
【0038】
まず、コンクリート回収水には、水酸化カルシウムが溶解していると考えられる。コンクリート回収水に、二酸化炭素を含む気体を加えると、コンクリート回収水が白濁した液体になる。これは、コンクリート回収水に溶解されている水酸化カルシウムが、二酸化炭素によって、難水溶性の炭酸カルシウムになることによると考えられる。この白濁した液体を静置した後に得られる上澄み液を、コンクリートの製造に利用すると、上述したように、得られたコンクリート構造体の強度等が不充分である等の不具合が発生する場合があった。また、白濁した状態の液体に、さらに二酸化炭素を含む気体を加えると、透明な液体になる。これは、炭酸カルシウムが、二酸化炭素により、水溶性の炭酸水素カルシウムになることによると考えられる。
【0039】
そして、二酸化炭素を含む気体を加える際、攪拌することによって、液体(コンクリート製造用水)中に、細かい、いわゆるミクロサイズの気泡が、その粒径の均一性が高い状態で維持されていると考えられる。このことは、コンクリート回収水に元々含まれていた空気連行剤(AE剤:Air Entraining Agent)等の界面活性剤の存在によると考えられる。そして、このミクロサイズの気泡と液体との界面に、AE剤だけではなく、炭酸カルシウムや炭酸水素カルシウムが存在し、比較的安定な状態を維持することができると考えられる。
【0040】
以上のことから、本実施形態で用いるコンクリート製造用水は、溶解されたカルシウムイオンの濃度が高くても、カルシウムを含む析出物の発生を充分に抑制できると考えられる。よって、このコンクリート製造用水は、セメントの水和反応やポラゾン反応を進行させるカルシウムイオンが高濃度で安定的に含有されているので、このコンクリート製造用水を用いると、優れた生コンクリートが得られる。また、この生コンクリートを用いることによって、優れたコンクリート構造体が得られる。すなわち、この生コンクリートを固化(凝固)させることによって、優れたコンクリート構造体が得られる。さらに言えば、作業性の良好な生コンクリートは、作業性を多少犠牲にしても、充分に使用できるものであり、コンクリートの使用状況等に応じて、生コンクリートの配合割合等の組成を調整しやすい。このことから、本実施形態に係る生コンクリートは、コンクリートの使用状況等に応じた、優れたコンクリートが得られるものである。
【0041】
なお、二酸化炭素を含む気体を加える際、攪拌せずに得られた液体は、透明であったとしても、すぐに白色固体が析出するものであった。このことは、液体中の気泡の粒径の均一性が低く、気泡が安定な状態でもないので、液体中に炭酸水素カルシウムが存在しても、不安定な状態であると考えられる。
【0042】
また、単なる炭酸水素カルシウム水溶液では、AE剤が含まれていないので、気泡の界面に炭酸水素カルシウムが存在するものでもないので、液体中に炭酸水素カルシウムが存在しても、不安定な状態であると考えられる。
【0043】
以上のことは、二酸化炭素を含む気体を加える際、攪拌せずに得られた液体や、単なる炭酸水素カルシウム水溶液では、液体と容器との界面全体に結晶の析出が生じるのに対して、本実施形態で用いるコンクリート製造用水では、液体と容器との界面全体ではなく、水面付近から析出が生じることからもわかる。このことは、本実施形態で用いるコンクリート製造用水中の気泡は安定であり、水面付近でのみ、崩壊することによると考えられる。
【0044】
また、前記コンクリート製造用水を用いて、生コンクリートを製造すると、優れたコンクリート構造体が得られるものとなる理由としては、カルシウムイオン濃度が高いだけではなく、コンクリート構造体の表面に水が押し出される現象であるブリージングの抑制効果も発揮できる。このことは、本実施形態で用いるコンクリート製造用水が、上記のようにAE剤を界面に存在させた気泡が安定に存在することによると考えられる。
【0045】
なお、コンクリート製造用水のカルシウムイオン濃度は、例えば、公知の濃度計や水質測定器等を用いて測定することができる。
【0046】
また、前記コンクリート製造用水は、そのpHが10〜11であることが好ましい。このようなpHであると、カルシウム成分の多くが、炭酸水素カルシウムになっており、その状態が安定していると考えられるので、より優れた生コンクリートを得ることができるコンクリート製造用水になりうる。
【0047】
また、前記セメントは、生コンクリートに用いるセメントであれば、特に限定されない。具体的には、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント及び白色ポルトランドセメント等の、ポルトランドセメント、高炉セメント、アルミナセメント、シリカセメント、シリカヒュームセメント等が挙げられる。セメントとしては、これらの中でも、ポルトランドセメントが好ましく、普通ポルトランドセメントがより好ましい。このようなセメントを用いれば、セメントの水和反応やポラゾン反応をより好適に進行させることができると考えられる。よって、このようなセメントを用いることで、強度がより高く、かつ安定性のより高いコンクリート構造体を得ることができる生コンクリートが得られる。また、普通ポルトランドセメントとしては、JIS R5210に記載のもの等が挙げられる。
【0048】
また、前記石炭灰は、石炭を燃焼させた際に発生する灰であれば、特に限定されない。前記石炭灰としては、例えば、フライアッシュやクリンカアッシュ等が挙げられ、フライアッシュが好ましく用いられる。このような石炭灰を用いれば、ポラゾン反応をより好適に進行させることができると考えられる。よって、このような石炭灰を用いることで、強度がより高く、かつ安定性のより高いコンクリート構造体を得ることができる生コンクリートが得られる。また、フライアッシュは、火力発電所で、粉塵として発生する産業副産物である。フライアッシュは、具体的には、石炭火力発電所において、微粉砕した石炭がボイラ内で燃焼された際に発生した、溶融状態の灰が、徐々に冷却されるに従い、球形の微細粒子として回収されたもの等が挙げられる。また、フライアッシュとしては、JIS A6201に記載のフライアッシュII種等が挙げられる。
【0049】
また、前記スラグ粉末は、特に限定されない。前記スラグ粉末としては、例えば、高炉スラグ粉末、及び銅スラグ粉末等が挙げられる。すなわち、前記スラグ粉末としては、高炉スラグ粉末、銅スラグ粉末、又は高炉スラグ粉末と銅スラグ粉末との混合物が好ましい。このようなスラグ粉末を用いれば、ポラゾン反応をより好適に進行させることができると考えられる。よって、このようなスラグ粉末を用いることで、強度がより高く、かつ安定性のより高いコンクリート構造体を得ることができる生コンクリートが得られる。
【0050】
また、前記高炉スラグ粉末は、特に限定されない。前記高炉スラグ粉末は、例えば、溶鉱炉で銑鉄と同時に生成する溶融状態の高炉スラグを、冷却後、乾燥及び粉砕したもの等が挙げられる。より具体的には、前記高炉スラグ粉末としては、例えば、高炉水砕スラグや高炉除冷スラグ等を粉砕したもの等が挙げられる。また、高炉スラグ粉末は、ポラゾン反応に寄与するとともに、自ら硬化する自硬性を有する。また、高炉スラグ粉末としては、JIS A5011−1に記載のもの等が挙げられる。
【0051】
また、前記銅スラグ粉末は、特に限定されない。前記銅スラグ粉末としては、例えば、銅精錬に伴って生成される、FeO、SiO
2、及びCaO等を主体とする溶融スラグを、水冷却により水砕破砕物としたもの等が挙げられる。また、銅スラグ粉末は、ポラゾン反応に寄与するとともに、自ら硬化する自硬性を有する。また、銅スラグ粉末としては、JIS A5011−1に記載のもの等が挙げられる。
【0052】
また、前記セメントの含有量は、前記セメントと前記石炭灰と前記スラグ粉末との合計体積に対して、27〜55体積%であることが好ましく、32〜50体積%であることがより好ましく、37〜45体積%であることがさらに好ましい。前記セメントが少なすぎると、得られたコンクリート構造体の強度が不充分になる傾向がある。また、前記セメントが多すぎると、得られたコンクリート構造体の安定性が不充分になる傾向がある。このことは、前記セメントが多すぎると、相対的に、前記石炭灰と前記スラグ粉末との量が少なくなり、ポラゾン反応が好適に進行しにくくなり、ポラゾン反応による安定性の向上効果が不充分になることによると考えられる。前記セメントの含有量が、前記セメントと前記石炭灰と前記スラグ粉末との混合物に対して、上記のような範囲内となるように、前記石炭灰と前記スラグ粉末を用いると、強度がより高く、かつ安定性のより高いコンクリート構造体を得ることができる生コンクリートが得られる。このことは、前記セメントの一部の代わりに、前記石炭灰及び前記スラグ粉末を、上記範囲内になるように用いることによって、セメントの水和反応やポラゾン反応をより好適に進行させることができることによると考えられる。
【0053】
また、前記石炭灰の含有量は、前記セメントと前記石炭灰と前記スラグ粉末との合計体積に対して、2〜13体積%であることが好ましく、5〜11体積%であることがより好ましく、7〜10体積%であることがさらに好ましい。
【0054】
また、前記スラグ粉末の含有量は、前記セメントと前記石炭灰と前記スラグ粉末との合計体積に対して、33〜75体積%であることが好ましく、38〜70体積%であることがより好ましく、43〜65体積%であることがさらに好ましい。
【0055】
また、前記水系媒体であるコンクリート製造用水の含有量は、前記セメントと前記石炭灰と前記スラグ粉末との合計体積に対して、51〜100体積%であることが好ましく、61〜79体積%であることがより好ましく、64〜76体積%であることがさらに好ましく、67〜73体積%であることが最も好ましい。前記コンクリート製造用水が少なすぎると、得られた生コンクリートの流動性等が低下し、生コンクリートの作業性が低下する傾向がある。また、前記コンクリート製造用水が多すぎると、得られたコンクリート構造体の強度が不充分になる傾向がある。このことは、前記コンクリート製造用水が多すぎると、相対的に、前記セメントと前記石炭灰と前記スラグ粉末との量が少なくなることによると考えられる。よって、前記コンクリート製造用水(水系媒体)の含有量が、前記セメントと前記石炭灰と前記スラグ粉末との混合物に対して、上記のように、通常より比較的多い。すなわち、前記セメント、前記石炭灰、及び前記スラグ粉末が比較的少ない。このことから、生コンクリートの流動性に優れ、生コンクリートの作業性が高まる。このようなセメント等が比較的少ない状況であっても、強度が高く、かつ安定性の高いコンクリート構造体を得ることができる生コンクリートが得られる。このことから、作業性の生コンクリートであって、強度が高く、かつ安定性の高いコンクリート構造体を得ることができる生コンクリートが得られる。
【0056】
また、前記生コンクリートは、前記セメント、前記石炭灰、前記スラグ粉末、及び前記水系媒体以外に、他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、例えば、細骨材、粗骨材、空気連行剤(AE剤:Air Entraining Agent)等の界面活性剤やAE減水剤等の混和剤等が挙げられる。
【0057】
前記細骨材としては、生コンクリートに含有させる細骨材であれば、特に限定されない。細骨材としては、例えば、珪砂等の天然の砂、及び砕石粉等が挙げられる。前記細骨材としては、JIS A5005に規定の砂等が挙げられる。
【0058】
前記粗骨材としては、生コンクリートに含有させる細骨材であれば、特に限定されない。粗骨材としては、例えば、砕石等が挙げられる。前記粗骨材としては、JIS A5005に規定の、粗骨材1505や粗骨材2010等が挙げられ、これらの混合物等が挙げられる。
【0059】
また、前記細骨材及び前記粗骨材の含有量は、特に限定されない。具体的には、前記細骨材及び前記粗骨材は、生コンクリートの硬化体の材齢28日圧縮強度が37N以上となるように、含ませることが好ましい。細骨材及び粗骨材を、圧縮強度が上記のように高くなるように含有させると、一般的に、品質のばらつき等により、作業性及び流動性に問題が生じ、その結果として、ひび割れが発生するという不具合が発生することがある。上記構成の生コンクリートであれば、このような不具合を発生させることなく、強度がより高く、かつ安定性のより高いコンクリート構造体を得ることができる生コンクリートが得られる。また、前記細骨材及び前記粗骨材の含有量は、前記セメントとして、普通ポルトランドセメントを用いた場合、生コンクリートの硬化体の材齢28日圧縮強度が、材齢7日圧縮強度の1.3倍以上となるように、含ませることが好ましい。
【0060】
前記混和剤としては、生コンクリートに含有させる混和剤であれば、特に限定されない。前記混和剤としては、例えば、上述したような、空気連行剤等の界面活性剤やAE減水剤等が挙げられ、具体的には、JIS A6204に規定の減水剤(高機能AE減水剤)等が挙げられる。
【0061】
また、本実施形態に係る生コンクリートの製造方法は、前記生コンクリートを製造することができれば、特に限定されない。生コンクリートの製造方法としては、例えば、前記セメント、前記石炭灰、前記スラグ粉末、及び前記水系媒体(コンクリート製造用水)を混合する方法等が挙げられる。
【0062】
また、本実施形態で用いるコンクリート製造用水の製造方法は、上記のコンクリート製造用水を製造することができれば、特に限定されない。コンクリート製造用水の製造方法としては、具体的には、コンクリート回収水を攪拌しながら、二酸化炭素を含む気体を注入する攪拌注入工程を備え、前記攪拌注入工程が、溶解されたカルシウムイオンの濃度が700〜1000ppmとなるように、前記攪拌及び前記気体の注入を行う製造方法が挙げられる。より具体的には、以下のような方法が挙げられる。
【0063】
なお、コンクリート製造用水のカルシウムイオン濃度は、例えば、公知のpH計やpH試験紙等を用いて測定することができる。
【0064】
図1は、本実施形態で用いるコンクリート製造用水を製造する方法を説明するための図である。コンクリート製造用水は、
図1に示すように、4つの槽11,21,31,41を用いて製造する。
【0065】
まず、
図1に示すように、排水貯留槽11に、排水供給装置15から排水を供給する。排水貯留槽11内に供給された排水を攪拌装置14で充分に攪拌する。その後、静置し、上澄み液12を、回収水槽21に供給し、沈殿物13を、沈殿物貯留槽41に供給する。
【0066】
ここで排水とは、生コンクリートの製造や生コンクリートの使用等によって、生じた排水であり、例えば、生コンクリート製造設備(レディーミクストコンクリート工場)の洗浄排水、アジテータ車の洗浄排水、及び使用しなかったコンクリート(残コン)の分離回収水等が挙げられる。また、排水貯留槽11での上澄み液は、排水から骨材等が除去されたコンクリート回収水である。すなわち、コンクリート回収水は、例えば、生コンクリート製造設備(レディーミクストコンクリート工場)の洗浄排水、アジテータ車の洗浄排水、及び使用しなかったコンクリート(残コン)の分離回収水等の、セメント分を含有する水から、骨材等を除去した水であるスラッジ水等が挙げられる。
【0067】
また、排水貯留槽11は、排水を貯留することができる水槽であれば、特に限定されない。排水供給装置15は、排水を排水貯留槽11に供給することができれば、特に限定されない。また、攪拌装置14は、排水貯留槽11に貯留された排水を攪拌することができるものであれば、特に限定されない。
【0068】
次に、
図1に示すように、回収水槽21に供給されたコンクリート回収水を、攪拌装置24で攪拌しながら、気体供給装置25でコンクリート回収水に、二酸化炭素を含む気体を注入する。その後、静置し、上澄み液22を、製造用水槽31に供給し、沈殿物23を、沈殿物貯留槽41に供給する。また、前記攪拌及び気体の注入は、製造用水槽31に供給する上澄み液22のカルシウムイオン濃度が、700〜1000ppmとなるように行う。なお、この工程が、攪拌注入工程に相当する。また、上澄み液22は、コンクリート製造用水である。つまり、この攪拌注入工程により、コンクリート製造用水を製造することができる。
【0069】
また、攪拌及び気体の注入は、上澄み液22のpHが10〜11となるように行うことが好ましい。
【0070】
また、この攪拌及び気体の注入は、所定時間毎に断続的に行うことが好ましい。具体的には、例えば、攪拌及び気体の注入を、1〜3時間行い、その後、20分間〜1時間静置するという工程を繰り返すことが好ましい。このように断続的に行うことによって、上澄み液22のカルシウムイオン濃度が上記範囲内となる状態に、攪拌及び気体の注入を連続的に行った場合より短時間で達成できる。すなわち、攪拌及び気体の注入を、所定時間毎に断続的に行うことによって、優れた生コンクリートを得ることができるコンクリート製造用水を効率的に製造することができる。
【0071】
また、回収水槽21は、コンクリート回収水を貯留することができる水槽であれば、特に限定されない。気体供給装置25は、二酸化炭素を含む気体を回収水槽21に供給して、回収水槽21に貯留されたコンクリート回収水に、前記気体を注入することができれば、特に限定されない。また、攪拌装置24は、回収水槽21に貯留されたコンクリート回収水を攪拌することができるものであれば、特に限定されない。
【0072】
また、気体供給装置25で供給する気体は、二酸化炭素を含んでいれば、特に限定されない。前記気体としては、例えば、空気、二酸化炭素のみからなる気体、及び排気ガス等が挙げられる。この中でも、空気が好ましい。二酸化炭素を含む気体として、排気ガス等と異なり、成分が安定した空気を用いるので、安定した性能を有するコンクリート製造用水となる。また、二酸化炭素を含む気体として、二酸化炭素のみを含む気体を用いるより、コストが抑えることができる。
【0073】
また、コンクリート回収水は、例えば、生コンクリート製造設備(レディーミクストコンクリート工場)の洗浄排水、アジテータ車の洗浄排水、及び使用しなかったコンクリート(残コン)の分離回収水等の、セメント分を含有する水から、上記のような方法により、骨材等を除去した水であるスラッジ水等が挙げられる。また、本実施形態に係る製造方法では、他の方法で得られたスラッジ水をコンクリート回収水として用いてもよい。
【0074】
また、回収水槽21に貯留されたコンクリート回収水に浮遊する固形物を除去することが好ましい。他の水槽に貯留された液体に浮遊する固形物を除去することが好ましい。このような固形物の除去を行うことによって、上澄み液22のカルシウムイオン濃度が上記範囲内となる状態に、除去を行わない場合より短時間で達成できる。すなわち、上記のような、固形物の除去を行うことによって、優れた生コンクリートを得ることができるコンクリート製造用水を効率的に製造することができる。このことは、浮遊する固形物には、遊離されたカルシウム等を含み、それを除去することで、炭酸水素カルシウムへの移行をより進行させることができるためと考えられる。また、固形物を除去することによって、微粒の砂等の大きい浮遊物の分離が促進され、上澄み液22と沈殿物23との分離が促進される。このことからも、優れた生コンクリートを得ることができるコンクリート製造用水を効率的に製造することができる。
【0075】
次に、
図1に示すように、製造用水槽31に供給されたコンクリート製造用水を、攪拌装置34で攪拌しながら、気体供給装置35でコンクリート製造用水に、二酸化炭素を含む気体を注入する。そして、製造用水槽31に貯留されたコンクリート製造用水を使用する際には、製造用水吸引装置36を用いて、製造用水槽31からコンクリート製造用水を取り出す。
【0076】
このように、製造用水槽31においても、回収水槽21と同様、攪拌を攪拌装置34で行い、気体の注入を気体供給装置35で行うことにより、コンクリート製造用水の品質を維持することができる。
【0077】
また、製造用水槽31は、コンクリート製造用水を貯留することができる水槽であれば、特に限定されない。気体供給装置35は、二酸化炭素を含む気体を製造用水槽31に供給して、製造用水槽31に貯留されたコンクリート製造用水に、前記気体を注入することができれば、特に限定されない。また、攪拌装置34は、製造用水槽31に貯留されたコンクリート製造用水を攪拌することができるものであれば、特に限定されない。
【0078】
また、前記攪拌注入工程で得られたコンクリート製造用水は、上記のようにして保管してもよいが、コンクリート製造用水を収容した容器を密閉することによって保管することもできる。このように、密閉容器で保管することにより、前記攪拌及び前記気体の注入を行わなくても、コンクリート製造用水の性能を好適に維持することができる。すなわち、前記コンクリート製造法水の製造方法において、前記攪拌注入工程後に、得られた液体を静置する静置工程をさらに備え、静置工程が、前記得られた液体を収容する容器を密閉して静置する工程であることが好ましい。そうすることによって、前記攪拌及び前記気体の注入をせずに、優れた生コンクリートを得ることができるコンクリート製造用水の性能を好適に維持することができる。
【0079】
最後に、
図1に示すように、沈殿物貯留槽41に供給された沈殿物42を、攪拌装置44で攪拌しながら保管する。この沈殿物は、公知の方法で処分してもよいし、再利用してもよい。
【0080】
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0081】
まず、コンクリート製造用水の製造方法について説明する。
【0082】
(コンクリート製造用水の製造)
まず、前記排水として、生コンクリート製造設備(レディーミクストコンクリート工場)の洗浄排水を用意した。この洗浄排水を、
図1に示すコンクリート製造用水を製造する方法で、コンクリート製造用水を製造した。具体的には、前記攪拌及び気体の注入を、上澄み液のカルシウムイオン濃度が、700〜1000ppmとなるように行った。その際、前記攪拌及び気体の注入を、2時間行い、その後、30分間静置するという、所定時間毎に断続的に行った。また、必要に応じて、コンクリート回収水に浮遊する固形物を除去した。また、上澄み液のカルシウムイオン濃度が、700〜1000ppmとなるまでの時間は、前記攪拌及び気体の注入と前記静置との時間を合わせて、24時間程度だった。
【0083】
そして、得られたコンクリート製造用水のカルシウムイオン濃度は、800ppmであり、pHは、10.5であった。なお、カルシウムイオン濃度は、水質測定器(株式会社共立理化学研究所製のパックテスト)を用いて測定した。また、pHは、pH試験紙(メルク株式会社製)を用いて測定した。
【0084】
次に、上記のコンクリート製造用水や水道水を用いて、コンクリートを製造した。
【0085】
[実施例1]
以下のような配合組成(質量%)となるように配合して、生コンクリートを製造した。
【0086】
セメント(普通ポルトランドセメント:JIS R5210)が8.2体積%、石炭灰(フライアッシュII種:JIS A6201)が2体積%、高炉スラグ粉末(JIS A5011−1)が11.9体積%、コンクリート製造用水15.5体積%、粗骨材(粗骨材1505:JIS A5005 45体積%、粗骨材2010:JIS A5005 55体積%)37.2体積%、細骨材(砂:JIS A5005)が8体積%、混和剤(高機能AE減水剤:JIS A6204:株式会社フローリック製のAE減水剤 フローリック SV−10)が1体積%となるように、混合した。そうすることによって、生コンクリートが得られた。
【0087】
[実施例2]
高炉スラグ粉末(JIS A5011−1)の代わりに、銅スラグ粉末(JIS A5011−1)を用いたこと以外、実施例1と同様である。
【0088】
[比較例1]
以下のような配合組成(質量%)となるように配合して、生コンクリートを製造した。
【0089】
セメント(普通ポルトランドセメント:JIS R5210)が10.2体積%、上水道水(大阪府)18.3体積%、粗骨材(粗骨材1505:JIS A5005 45体積%、粗骨材2010:JIS A5005 55体積%)37.2体積%、細骨材(砂:JIS A5005)が29.9体積%、混和剤(高機能AE減水剤:JIS A6204:株式会社フローリック製のAE減水剤 フローリック SV−10)が1体積%となるように、混合した。そうすることによって、生コンクリートが得られた。
【0090】
すなわち、水系媒体として、コンクリート製造水の代わりに、上水道水を用い、フライアッシュや高炉スラグ粉末を含有させないこと以外、実施例1と同様である。
【0091】
なお、用いた水道水のカルシウムイオン濃度は、10ppmであり、pHは、7であった。
【0092】
[比較例2]
以下のような配合組成(質量%)となるように配合して、生コンクリートを製造した。
【0093】
セメント(普通ポルトランドセメント:JIS R5210)が10.2体積%、コンクリート製造用水18.3体積%、粗骨材(粗骨材1505:JIS A5005 45体積%、粗骨材2010:JIS A5005 55体積%)37.2体積%、細骨材(砂:JIS A5005)が29.9体積%、混和剤(高機能AE減水剤:JIS A6204:株式会社フローリック製のAE減水剤 フローリック SV−10)が1体積%となるように、混合した。そうすることによって、生コンクリートが得られた。
【0094】
すなわち、フライアッシュや高炉スラグ粉末を含有させないこと以外、実施例1と同様である。
【0095】
[比較例3]
以下のような配合組成(質量%)となるように配合して、生コンクリートを製造した。
【0096】
セメント(普通ポルトランドセメント:JIS R5210)が8.2体積%、石炭灰(フライアッシュII種:JIS A6201)が2体積%、高炉スラグ粉末(JIS A5011−1)が11.9体積%、上水道水(大阪府)15.5体積%、粗骨材(粗骨材1505:JIS A5005 45体積%、粗骨材2010:JIS A5005 55体積%)37.2体積%、細骨材(砂:JIS A5005)が8体積%、混和剤(株式会社フローリック製のAE減水剤 フローリック AE−9B)が1体積%となるように、混合した。そうすることによって、生コンクリートが得られた。
【0097】
すなわち、水系媒体として、コンクリート製造水の代わりに、上水道水を用いること以外、実施例1と同様である。
【0098】
[比較例4]
高炉スラグ粉末(JIS A5011−1)の代わりに、銅スラグ粉末(JIS A5011−1)を用いたこと以外、比較例3と同様である。
【0099】
すなわち、水系媒体として、コンクリート製造水の代わりに、上水道水を用いること以外、実施例2と同様である。
【0100】
次に、生コンクリートを用いて、公知の方法で、呼び強度21N、目標スランプ15cmとなるように試験した。なお、上記の配合の生コンクリートは、上記試験における標準的な配合である。具体的には、以下のような評価を行った。その評価結果を、下記表1に示す。
【0101】
(強度)
得られた生コンクリートを凝固させて得られたコンクリートの強度(圧縮強度)は、JIS A 1108に準じた方法で測定した。そして、その強度を、JIS A 1108における基準に従って、「◎」「○(標準)」「×」と評価した。
【0102】
なお、強度については、下記にも同様の評価を行った。
【0103】
(流動性)
得られた生コンクリートの流動性を目視で確認した。生コンクリートの流動性は、現場での作業性を示す指標の1つであり、現場の作業員10人中9〜10人が良好な流動性であると判断すれば、「◎」と評価した。また、現場の作業員10人中6〜8人が良好な流動性であると判断すれば、「○(標準)」と評価した。また、現場の作業員10人中3〜5人が良好な流動性であると判断すれば、「△」と評価した。また、現場の作業員10人中0〜2人が良好な流動性であると判断すれば、「×」と評価した。
【0104】
(空気量)
生コンクリートの空気量は、JIS A 1101に準じた方法で測定した。そして、その空気量を、JIS A 1101における基準に従って、「○(標準)」「◎(多い)」「×(少ない)」と評価した。具体的には、生コンクリートの体積に対する、生コンクリートの混入される空気の体積の比率が、4〜5体積%であると、「標準」と評価し、5体積%を超えると、「多い」と評価され、4体積%未満であると、「少ない」と評価する。なお、比較例1では、空気量が6.5体積%であった。
【0105】
(スランプ)
生コンクリートのスランプ評価は、JIS A 1101に準じて行った。具体的には、上記のように、スランプを形成した直後の、スランプの高さを測定した。
【0106】
【表1】
また、各生コンクリートを用いて得られたコンクリート構造体の強度(圧縮強度)に関しては、材齢7日、材齢14日、材齢21日、材齢28日の強度について、JIS A 1108に準じた方法でそれぞれ測定した。その結果を、表2に示す。
【0107】
【表2】
また、上記測定とは別に、各生コンクリートを用いて得られたコンクリート構造体を、JIS A 1108に準じた方法で強度(圧縮強度)を測定した後、降伏点を確認後約3秒後に、加圧をやめる方法で、荷重を付加した。すなわち、材齢7日、材齢14日、材齢21日、材齢28日の強度の測定の後に、同様に降伏点を確認後、約3秒後までの加圧の保持による荷重を付加したコンクリート構造体の強度も測定した。その結果を、表3に示す。
【0108】
【表3】
表1〜3からわかるように、フライアッシュと、高炉スラグ粉末又は銅スラグ粉末と、コンクリート製造用水とを含む場合(実施例1及び実施例2)は、それ以外の場合(比較例1〜4)と比較して、良好な生コンクリートが得られることがわかった。
【0109】
また、表2からわかるように、実施例1及び実施例2に係る生コンクリートを用いた場合は、得られたコンクリート構造体の強度が、比較例1〜3に係る生コンクリートを用いた場合より高いことがわかった。さらに、表3からわかるように、実施例1及び実施例2に係る生コンクリートを用いた場合は、比較例1〜4に係る生コンクリートを用いた場合と異なり、コンクリート構造体を損傷させるような荷重を随時加えても、強度低下が発生しにくい。このことから、実施例1及び実施例2に係る生コンクリートは、自己修復機能を発揮するコンクリート構造体が得られることがわかる。特に、フライアッシュも高炉スラグ粉末も含まない、いわゆる一般的な生コンクリート(比較例1に係る生コンクリート)は、コンクリート構造体を損傷させるような荷重を随時加えると、材齢の経過とともに、強度が向上しなかった。このことから、一般的な生コンクリートは、フライアッシュも高炉スラグ粉末も含まないので、自己修復機能を全く発揮しないことがわかる。これに対して、実施例1及び実施例2に係る生コンクリートは、自己修復機能を好適に発揮することがわかる。