特許第6371138号(P6371138)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝ライフスタイル株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6371138-洗濯機及び衣類乾燥機 図000002
  • 特許6371138-洗濯機及び衣類乾燥機 図000003
  • 特許6371138-洗濯機及び衣類乾燥機 図000004
  • 特許6371138-洗濯機及び衣類乾燥機 図000005
  • 特許6371138-洗濯機及び衣類乾燥機 図000006
  • 特許6371138-洗濯機及び衣類乾燥機 図000007
  • 特許6371138-洗濯機及び衣類乾燥機 図000008
  • 特許6371138-洗濯機及び衣類乾燥機 図000009
  • 特許6371138-洗濯機及び衣類乾燥機 図000010
  • 特許6371138-洗濯機及び衣類乾燥機 図000011
  • 特許6371138-洗濯機及び衣類乾燥機 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6371138
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】洗濯機及び衣類乾燥機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/14 20060101AFI20180730BHJP
   D06F 25/00 20060101ALI20180730BHJP
【FI】
   D06F39/14 Z
   D06F25/00 A
【請求項の数】18
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-134253(P2014-134253)
(22)【出願日】2014年6月30日
(65)【公開番号】特開2016-10601(P2016-10601A)
(43)【公開日】2016年1月21日
【審査請求日】2017年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀田 浩平
(72)【発明者】
【氏名】河野 哲之
(72)【発明者】
【氏名】西村 博司
【審査官】 柿沼 善一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−535617(JP,A)
【文献】 特開2007−068810(JP,A)
【文献】 特開2003−299533(JP,A)
【文献】 実開平02−124404(JP,U)
【文献】 特開2010−063522(JP,A)
【文献】 特開2012−011092(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0302141(US,A1)
【文献】 特開2012−217533(JP,A)
【文献】 特開2001−269498(JP,A)
【文献】 特開2013−241219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/14
D06F 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱と、
前記外箱内に配設され、内部に衣類の収容が可能な槽体と、
前記外箱に設けられ、前記槽体内部の視認可能な開口及び当該開口を塞ぐ扉体と、
前記扉体を覆う着脱可能な着脱カバーと、
を備え
前記扉体は、その外周に被係合部を有し、
前記着脱カバーは、前記扉体に装着される周壁部を有するキャップ状をなすとともに、前記周壁部の内周に、前記被係合部と係脱可能に係合する係合部を有し、前記扉体の外周に当該着脱カバーを被せて、前記係合部と前記被係合部とを係合させることにより、当該着脱カバーを当該扉体に装着する構成としたことを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記扉体は、少なくともその一部が透明性を有する材料で形成されていることを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項3】
前記着脱カバーは、前記扉体の前記材料よりも透過率が低い材料で形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の洗濯機。
【請求項4】
前記扉体は、ガラス窓を有して前記開口を封止するように塞ぐ扉として構成し、
前記着脱カバーは、前記ガラス窓を保護するようにカバーする構成としたことを特徴とする請求項1から3の何れか一項記載の洗濯機。
【請求項5】
前記洗濯機は、前記槽体としてドラムを含むドラム式のものであり、
前記扉体は、衣類の投入口として前記外箱の前面に形成された前記開口を、開閉自在に塞ぐ扉として構成されていることを特徴とする請求項1から4の何れか一項記載の洗濯機。
【請求項6】
前記扉体は、前記開口を閉塞したときに前面側となる前面部位及び後面側となる後面部位を有し、
前記着脱カバーは、前記扉体の前面部位を覆うように装着されることを特徴とする請求項5記載の洗濯機。
【請求項7】
前記扉体は、少なくとも前記前面部位の一部が透明性を有する材料で形成され、
前記着脱カバーは、前記前面部位の透明性を有する材料よりも透過率が低い材料で形成されていることを特徴とする請求項項記載の洗濯機。
【請求項8】
前記着脱カバーは、前記扉体の前面部位を覆う寸法形状に設定され、
前記扉体の外周部と前記着脱カバーの外周部との何れか一方に前記着脱カバーの周方向の回り止めをするための凸部が形成されるとともに他方に凹部が形成され、
前記着脱カバーが前記扉体に装着される際に、前記凹部に前記凸部が嵌り込むことで前記着脱カバーを回り止めする構成としたことを特徴とする請求項6または7記載の洗濯機。
【請求項9】
前記着脱カバーの周縁部には、その一部を把持可能な把持部が突設されていることを特徴とする請求項1から8の何れか一項記載の洗濯機。
【請求項10】
前記開口は、前記外箱に設けられ且つ前記槽体への衣類の投入が可能な投入口枠で構成され、
前記投入口枠に、前記着脱カバーの前記把持部に対応するように窪ませた第1窪み部を設けたことを特徴とする請求項9項記載の洗濯機。
【請求項11】
前記着脱カバーは、少なくとも一対の前記係合部を含め、全体形状を点対称形状としたことを特徴とする請求項1から10の何れか一項記載の洗濯機。
【請求項12】
前記被係合部と前記係合部との何れか一方が凸形状で他方が凹形状であることを特徴とする請求項1から11の何れか一項記載の洗濯機。
【請求項13】
前記着脱カバーは、可撓性を有する材料で形成されていることを特徴とする請求項1から12の何れか一項記載の洗濯機。
【請求項14】
前記着脱カバーの裏面に、前記扉体に当接可能な緩衝部材を設けたことを特徴とする請求項1から13の何れか一項記載の洗濯機。
【請求項15】
前記着脱カバーは、その周縁部の一部を把持可能な把持部が突設され、
前記扉体は、ヒンジ手段により開閉可能に支持されており、前記着脱カバーは、前記把持部が前記ヒンジ手段側に位置し或いは当該ヒンジ手段側とは反対側に位置するように前記扉体に装着する構成としたことを特徴とする請求項5から8の何れか一項記載の洗濯機。
【請求項16】
前記開口は、前記外箱に設けられ且つ前記槽体への衣類の投入が可能な投入口枠で構成されるとともに、前記投入口枠は、前記扉体の開閉時に当該扉体に手を掛けるために前記投入口枠の一部を窪ませた第2窪み部を備えて構成され、
前記着脱カバーは、その周縁部の一部を把持可能な把持部が、前記扉体への装着状態で前記第2窪み部とずれた位置になるように突設されていることを特徴とする請求項5から8の何れか一項記載の洗濯機。
【請求項17】
前記扉体は、当該扉体を開くときに操作される操作部材を備え、
前記着脱カバーは、その周縁部の一部を把持可能な把持部が、前記扉体への装着状態で前記操作部材とずれた位置になるように突設されていることを特徴とする請求項5から8の何れか一項記載の洗濯機。
【請求項18】
外箱と、
前記外箱内に配設され、内部に衣類の収容が可能な槽体と、
前記外箱に設けられ、前記槽体内部の視認可能な開口及び当該開口を塞ぐ扉体と、
前記扉体を覆う着脱可能な着脱カバーと、
を備え、
前記扉体は、その外周に前記被係合部を有し、
前記着脱カバーは、前記扉体に装着される周壁部を有するキャップ状をなすとともに、前記周壁部の内周に、前記被係合部と係脱可能に係合する係合部を有し、前記扉体の外周に当該着脱カバーを被せて、前記係合部と前記被係合部とを係合させることにより、当該着脱カバーを当該扉体に装着する構成としたことを特徴とする衣類乾燥機
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、洗濯機及び衣類乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、洗濯機(例えばドラム式洗濯機)の外箱には、前面側の衣類投入口を開閉する扉が設けられている。この扉は、外箱においてヒンジ手段により開閉可能に支持されている。また、扉はガラス材料を用いた扉体として構成されており、衣類投入口を閉じても洗濯運転中における衣類の状態を、当該扉体を透かして視認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−244625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、洗濯機の外観は、設計時つまり市場に製品として投入される前に定まる。つまり、洗濯機は、扉体を含め、ユーザの好みに応じて任意の外観に変更できるものではない。
そこで、外箱の扉体についてユーザの好みに応じて外観意匠を変更することができる洗濯機及び衣類乾燥機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態の洗濯機は、外箱と、前記外箱内に配設され、内部に衣類の収容が可能な槽体と、前記外箱に設けられ、前記槽体内部の視認可能な開口及び当該開口を塞ぐ扉体と、前記扉体を覆う着脱可能な着脱カバーと、を備え、前記扉体は、その外周に被係合部を有し、前記着脱カバーは、前記扉体に装着される周壁部を有するキャップ状をなすとともに、前記周壁部の内周に、前記被係合部と係脱可能に係合する係合部を有し、前記扉体の外周に当該着脱カバーを被せて、前記係合部と前記被係合部とを係合させることにより、当該着脱カバーを当該扉体に装着する構成とした
また、本実施形態の衣類乾燥機は、外箱と、前記外箱内に配設され、内部に衣類の収容が可能な槽体と、前記外箱に設けられ、前記槽体内部の視認可能な開口及び当該開口を塞ぐ扉体と、前記扉体を覆う着脱可能な着脱カバーと、を備え、前記扉体は、その外周に前記被係合部を有し、前記着脱カバーは、前記扉体に装着される周壁部を有するキャップ状をなすとともに、前記周壁部の内周に、前記被係合部と係脱可能に係合する係合部を有し、前記扉体の外周に当該着脱カバーを被せて、前記係合部と前記被係合部とを係合させることにより、当該着脱カバーを当該扉体に装着する構成とした
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態を示すものであり、(a)及び(b)は、洗濯機全体の外観斜視図及び扉体周辺の拡大図
図2】扉体を開放した状態で示す図1(a)相当図
図3】扉体周辺の投入口枠とともに示す外箱上部の拡大縦断側面図
図4】(a)は、図1(a)のA−A線に沿う扉体の断面図、(b)は、図4(a)における下端部分の拡大図
図5】(a)は、扉体の縦断正面図、(b)は、図5(b)における左端部分の拡大図
図6】(a)及び(b)は、前面窓部材の表側から見た斜視図及び被係合部近傍の拡大図
図7】(a)及び(b)は、着脱カバーの裏側から見た斜視図及び係合部近傍の拡大図
図8】扉体とともに示す着脱カバーの着脱時の様子を示す斜視図
図9】第2実施形態を示す図6相当図
図10図7相当図
図11】第3実施形態を示す図1(b)相当図
【発明を実施するための形態】
【0007】
<第1実施形態>
以下、ドラム式の洗濯乾燥機(以下、洗濯機と称す)に適用した第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1に示すように、洗濯機の外郭をなす外箱1は、全体として略矩形箱状をなしており、外箱1の前面板1aは、若干斜め上方を指向した傾斜面状をなしている。図2に示すように、外箱1には、前面板1aにおいて円形状に窪んで開口する後述の投入口枠2により、衣類投入口としての開口3が形成されている。また、外箱1には、前面板1aの上縁側に各種の洗濯コースなどを設定する操作部4が設けられている。
【0008】
外箱1には、前記開口3を塞ぐ扉体(窓体7)が、図2に示す2個のヒンジ体5(ヒンジ手段)により開閉自在に設けられている。後に詳述する窓体7は、その一端側でヒンジ体5により回動可能に支持され、他端側には開口3を塞いだ状態(閉塞状態)で係止されるラッチ部6が設けられている。
【0009】
外箱1の内部には、円筒状をなす水槽8(図3参照)が前上がりに傾斜した状態で、図示しない弾性支持機構を介して支持されている。水槽8内には、衣類(洗濯物)の収容が可能な円筒状のドラム9が回転可能に支持されている。ドラム9は、水槽8と同様に前上がりに傾斜した槽体(回転槽)として構成されている。図2に示すように、ドラム9の周壁には通水及び通気用の多数の孔9aが形成されており、周壁の内面には、衣類撹拌用の複数のバッフル9bが等間隔で設けられている。また、図示は省略するが、水槽8の後部には、例えばブラシレスモータからなる駆動モータが配置されている。駆動モータは、その回転軸の先端が水槽8の背面を貫通してドラム9の後部中心に連結固定されており、ドラム9を回転駆動させる。
【0010】
図示は省略するが、外箱1内には、天井部に位置させて給水源たる水道からの水を水槽8内に給水するための給水装置が設けられるとともに、水槽8の下部には、水槽8内の水を外部の排水場所に排水するための排水弁を含む排水管路が設けられている。また、図示は省略するが、外箱1内には、ドラム9内の衣類を乾燥させるための乾燥手段として、例えば周知のヒートポンプが設けられている。そして、洗濯機に設けられた制御装置(図示略)は、前記操作部4にてユーザにより設定される運転コースに応じ、予め記憶された制御プログラムに基づき、洗濯機の各機構を制御し、周知の洗い、すすぎ、脱水、更にその後の乾燥の運転を含む洗濯運転を自動で実行するようになっている。
【0011】
続いて、外箱1の投入口枠2及び窓体7周辺の構成について詳述する。
投入口枠2は、図3に示すように前面板1aと面一(略面一でもよい)になる外周部2aと、その内側が窓体7の外周形状に合わせて後方へ段落ちした段落ち部2bとを一体に有し、全体として段付き円環状をなしている。投入口枠2は、前面板1a裏側のベースプレート1bに対して、その開口3周縁をなすように被着されている。この投入口枠2と水槽8との間には、水漏れを防ぐ柔軟性を有するベローズ13が配設されている。ベローズ13は、その一端13aが投入口枠2の段落ち部2bにベースプレート1bごとネジ14で接続固定され、他端13bが水槽8の前面に接続固定されている。また、ベローズ13は、リップ13cが閉塞状態の窓体7の裏面側(後面部位)に弾接し、水密構成(つまり窓体7で封止される構成)をなすとともに、柔軟性により水槽8側の振動が投入口枠2或いは前面板1aに極力伝達されないようになっている。こうして、外箱1には、投入口枠2及びベローズ13により、水槽8及びドラム9の各前面開口に連なる、衣類の投入可能な開口3が形成されている。
【0012】
図1に示すように、投入口枠2は、その外周部2aが閉塞状態の窓体7の周りを囲う飾り部材となっている。また、投入口枠2は、外箱1の色(例えば白)とは異なる色で彩色されている。また、投入口枠2は、その外周部2aにおける前記開口3の右肩方向の位置に押釦15が設けられるとともに、段落ち部2bにおける、窓体7のラッチ部6と対応した位置にラッチ穴部(図示略)が設けられている。図示は省略するが、前記ベースプレート1bには、押釦15と前記ラッチ穴部との間に位置して、窓体7の閉塞状態をロックする扉ロック機構が設けられている。扉ロック機構は、開口3が窓体7により閉塞されることに伴い、ラッチ穴部でラッチ部6を係脱可能に係止することで窓体7を開放できないようロック状態にする。一方、ユーザにより押釦15が押圧操作されると、扉ロック機構によるロック状態が解除される。
【0013】
図1(a)(b)に示すように、投入口枠2における外周部2aの左右両側には、正面視にて三日月状をなす一対の第1窪み部17R,17Lが設けられている。第1窪み部17R,17Lは、何れも外周部2aの内側角部を切欠くようにして段落ち部2b側へ傾斜することにより、外周部2aを窪ませている。ここで、窓体7の基端側(図1(a)で左側)に位置する投入口枠2の第1窪み部17Lと、窓体7の先端側に位置する投入口枠2の第1窪み部17Rは、相互に対称的(左右対称)で、且つ後述する着脱カバー31の把持部に対応して形成されている。
【0014】
一方、窓体7は、図4図5に示すように環状ベース部材20に対して、前面部位(外側部位)となる前面窓部材21と後面部位(内側部位)となる後面窓部材22とを組付けてなる。窓体7の環状ベース部材20は、例えば合成樹脂材料からなり、投入口枠2の段落ち部2bに収まる円環状をなしている。環状ベース部材20の前端部には、前面窓部材21及び当該窓部材21に装着する着脱カバー31の厚さ寸法を見越して、溝状に形成された前縁溝部20aが設けられている(図4(b)参照)。図示は省略するが、前縁溝部20aには、前面窓部材21を取付け固定すべく、径方向外側に突出する複数の嵌合爪が周方向に略等間隔で形成されている。
【0015】
前面窓部材21は、例えば透明性を有する合成樹脂材料からなり、円板部21aと周壁部21bとを一体に有するガラス窓である。図4(a)の縦断側面図で示すように、前面窓部材21の円板部21aは、主面となる前面が略平坦で、厳密には僅かに前側へ凸となる緩やかな曲面状をなしている。図6に示すように、前面窓部材21の周壁部21bは、円板部21aの外周端から後方へ延設されており、その中間に径方向外側へ突出する環状の外周リブ21cが一体形成されている。また、前面窓部材21の周壁部21bには、外周リブ21cの前側に位置して被係合部21dが複数設けられるとともに、外周リブ21cの後側に位置して嵌合孔部21eが複数設けられている。
【0016】
前面窓部材21の嵌合孔部21eは、環状ベース部材20における複数の前記嵌合爪に対応するように、周方向に略等間隔で形成されている。前面窓部材21は、周壁部21bを環状ベース部材20の前縁溝部20aに合わせて押し込むことにより、嵌合孔部21eに前記嵌合爪が嵌り込むことで、環状ベース部材20に固定されている。この固定によって、前面窓部材21は、その外周リブ21cと環状ベース部材20外周とが面一になり、且つ両者21c,20が隙間なく当接する(図4(b)参照)。
【0017】
図6(a)(b)に示すように、前面窓部材21において、例えば10個の被係合部21dは、何れも径方向外側に突出する凸形状であって周方向に延びる凸条状をなしている。被係合部21dの両端部210d,210dは、夫々の端部側が窄む、つまり先端に向かうに従い小さくなっている。これら被係合部21dは、円板部21aの中心Oを対称点として、点対称となるように相互に間隔を隔てて形成されている。また、被係合部21dには、後述する着脱カバー31の係合部31dが係脱可能に係合するようになっている。
【0018】
また、図5(a)(b)に示すように、前面窓部材21の周壁部21bには、左右一対の凸部21fが一体形成されている。これら凸部21fは、何れも周壁部21bの外側へ突出する小半球状をなしており、相互に対称的に形成されている。こうして、前面窓部材21は、被係合部21dや凸部21fを含め、全体形状を点対称形状としている。なお、前面窓部材21の凸部21fには、後述する着脱カバー31の凹部31fが嵌り込むようになっている。
【0019】
他方、後面窓部材22は、例えば透明性を有するガラス材料からなり、後方へ膨出した浅底な円筒容器状をなすガラス窓である(図2図4(a)参照)。また、図4(b)にも示すように、後面窓部材22の前縁部には、径方向外側に張出す鍔部22aが形成されている。後面窓部材22は、鍔部22aが環状ベース部材20裏面と取付板23との間に挟まれた状態で、当該取付板23を貫通するネジ24が、環状ベース部材20のボス部20bに螺挿されることにより取付け固定されている。後面窓部材22は、後方へ膨出した部分がドラム9の前面開口に臨み、衣類の押込み部材として機能する。
【0020】
上記の窓体7は、前面窓部材21と後面窓部材22との2重構造をなし、両窓部材21,22を透かしてドラム9内を視認できる。そして、本実施形態の窓体7には、着脱カバー31が着脱可能に装着される。ここで、図7(a)と(b)は、着脱カバー31の裏面側からの斜視図と拡大図を示している。
【0021】
着脱カバー31は、前面窓部材21の前面側の全領域を覆う、円板部31aと周壁部31bとを一体に有して薄型キャップ状をなし、例えば合成樹脂材料からなる。着脱カバー31の材料は、例えば、窓体7を構成する窓部材21,22の材料よりも透過率が低く、外箱1(前面板1a)の色と同じ白で彩色された不透明材料としてのABSが用いられている。また、本実施形態の着脱カバー31で用いられるABS(PVC、エラストマー、ゴム等でもよい)は、可撓性と耐薬品性を有する。なお、透過率とは、可視光線の所定の波長における透過率であり、透明度を表わす。
【0022】
着脱カバー31の円板部31aは、前面窓部材21と同様、僅かに前側へ凸となっており、略円板状をなしている。図4(a)(b)に示すように、着脱カバー31の外形(外径)寸法L1は、その周壁部31bが前面窓部材21の周壁部21bに外側から重なるように設定されている。この場合、着脱カバー31の外周(周壁部31b)は、窓体7の外周(前面窓部材21の外周リブ21c及び環状ベース部材20の外周)と面一にしている。また、着脱カバー31の周壁部31bの幅寸法L2は、当該周壁部31bが前面窓部材21の外周リブ21cに当接した状態で、着脱カバー31の円板部31aと前面窓部材21の円板部21aとの間に若干の隙間S(図4(b)参照)を有するように設定されている。この両者31a,21aの隙間Sにある部材32は、着脱カバー31の円板部31aの裏面側に、接着(粘着でもよい)により固定された複数の緩衝部材32の1つを示している。緩衝部材32は、着脱カバー31の窓体7への装着状態で、前面窓部材21との当接が可能な、例えばスポンジからなるクッションである。また、複数の緩衝部材32は、何れも着脱カバー31の外周寄りの位置に相互に対称的な配置となるよう、周方向に等間隔で配置されている。
【0023】
なお、着脱カバー31は、その中心O´(図8参照)と前面窓部材21(窓体7)の中心Oとが合致するように装着されることから、説明の便宜上、本実施形態で用いる「対称」の語は、当該中心O´、Oに対する対称性(点対称)を指すものとして、単に「対称」或いは「対称的」を用いるものとする。
【0024】
図7(a)に示すように、着脱カバー31における周壁部31bの内面には、前面窓部材21の10個の被係合部21dに対応する、10個の係合部31dが設けられている。これら係合部31dは、何れも径方向外側へ凹となる凹形状(溝状)であって周方向に延びる凹条状をなしている。図7(b)に示すように、係合部31dは、被係合部21dに合わせて両端310d,310dが窄む形状をなしており、両者31d,21dが相互に周方向にずれた状態で係合しても、同方向へのずれを直す位置合せをスムーズに行うことができる。また、係合部31dは、被係合部21dと同様に、周壁部31bにおいて相互に間隔を隔てて対称的に形成されている。また、着脱カバー31における周壁部31bの内面には、図5に示すように前面窓部材21における左側の凸部21fに対応する、凹部31fが設けられている。凹部31fは、凸部21fの小半球状に合わせて凹んでおり、両者31f,21fが嵌り合うことで、着脱カバー31の窓体7からのずれ(特に周方向のずれ)を防止する。
【0025】
そして、着脱カバー31の周壁部31bには、その一部を把持可能な把持部31cが突設されている。把持部31cは、正面視にて三日月状をなすように径方向外側(図1(b)及び図5(a)で右側)へ張出し、ユーザの手指で摘むことができる大きさに形成されている。この場合、図5(a)に示すように、着脱カバー31の周壁部31bにおいて、右側に位置する把持部31cと、左側に位置する内面側の凹部31fとが180度隔てた配置となっている。
【0026】
また、前述した前面窓部材21の2個の凸部21fのうち左側の凸部21fを符号「21fL」、右側の凸部21fを符号「21fR」で表わすものとする。ここで、着脱カバー31を、左側の凸部21fLに凹部31fが嵌り込む向きで窓体7に装着したとき、把持部31cは、投入口枠2における右側の第1窪み部17Rに位置する(図1参照)。このため、第1窪み部17Rにおいて把持部31cの裏側にユーザの手指を掛けて、或いは把持部31cを前後から挟むように把持することができる。
【0027】
なお、着脱カバー31を、右側の凸部21fRに凹部31fが嵌り込むように180度、周方向へ半転させた向きで窓体7に装着したとき、把持部31cは、投入口枠2における左側の第1窪み部17Lに位置する。このため、上記のように、第1窪み部17Lにおいて把持部31cを把持することができ、着脱カバー31の着脱や位置合わせをし易い構成となっている。なお、位置合せの目印(指標)としては、図8に示す窓体7表面(おもてめん)のラベルLの向きに合わせて、着脱カバー31の表面にラベルL´が貼付されている。
【0028】
次に、上記構成の作用について、図8を参照しながら説明する。図8では説明の便宜上、洗濯機における外箱1等の図示を省略し、窓体7と、これに着脱される着脱カバー31だけ示すものとする。また、着脱カバー31は、例えば洗濯機の付属品として予め用意されているものとする。
同図に示すように、窓体7から着脱カバー31を外した非装着状態では、窓体7の窓部材21,22が何れも透明であることから、投入口枠2にて窓体7により開口3を閉塞しても、当該窓部材21,22を透かして、ドラム9内部を視認することができる。また、着脱カバー21の非装着状態では、洗濯運転時にも、衣類の挙動を外部から視認することができる。
【0029】
一方、窓体7に着脱カバー31を装着すれば、窓体7を例えば外箱1と同じ白色の当該カバー31で覆うことができる。この装着に際し、ユーザは、予め窓体7で開口3を閉塞して、当該窓体7を前記扉ロック機構によりロック状態にしておく。そして、着脱カバー31を、例えば把持部31cを右側にして窓体7に組付ける。この組み付けは、単に着脱カバー31を窓体7に押し当てて装着し、周方向への微調整(位置調整)をすれば足りる。即ち、ユーザは、窓体7のラベルLの向きと着脱カバー31のラベルL´の向きを合わせて、窓体7に対し着脱カバー31を前側から押圧する。この押圧に伴い、着脱カバー31は、周壁部31bが窓体7の各被係合部21d等で若干拡がるように一旦撓んで、その被係合部21dに係合部31dが係合する。この係合により、着脱カバー31は、窓体7に対して装着されるとともに、周壁部31bが窓体7の外周と面一になる(図4(b)参照)。このとき、上記した凸部21fLと凹部31fがずれていたとしても、装着した着脱カバー31を周方向(図1(a)の矢印D参照)に小刻みに動かし、節度感が得られる位置で、凸部21fLが凹部31fに嵌り込むため(図5(b)参照)、正確な位置調整を行うことができる。この位置調整は、把持部31cが第1窪み部17Lに位置することから、把持部31cを持って行うようにしてもよい。
【0030】
これにより、窓体7は、前面窓部材21の前面及び前縁部が着脱カバー31で全て覆われるため、ドラム9内の衣類を隠す目隠しとなり、又、インテリア性を考慮した配色とすることができる。また、前記洗濯運転で洗濯機に振動が生じたとしても、着脱カバー31は、凸部21fLと凹部31fの嵌合により回り止めがなされるため、窓体7に対するずれが極力抑制される。また、着脱カバー31の緩衝部材32によって、前面窓部材21に対するガタつきが防止される。
【0031】
なお、着脱カバー31を、窓体7から取り外す場合、上記のように把持部31cを把持し(或いは把持部31cに手を掛けて)、そのまま手前側に引けばよい。この場合、窓体7は前記のロック状態とし、着脱カバー31は、その可撓性により変形させつつ比較的容易に窓体7から取り外すことができる。
【0032】
以上説明したように、本実施形態の洗濯機は、外箱1と、この外箱1内に配設され、内部に衣類の収容が可能な槽体と、外箱1に設けられ槽体内部の視認可能な開口3及び当該開口3を塞ぐ扉体(窓体7)と、扉体を覆う着脱可能な着脱カバー31とを備える。これによれば、着脱カバー31の装着により扉体を覆うことで、外観意匠性を向上させることが可能となる。また、着脱カバー31は、ユーザの好みに合わせて任意に着脱できるため、多様なニーズに対応することができる。
【0033】
扉体は、少なくともその一部が透明性を有する材料で形成されているため、着脱カバー31の非装着状態では、扉体を透かして槽体内の衣類等を視認することができる。
着脱カバー31は、扉体の前記材料よりも透過率が低い材料で形成されているため、着脱カバー31の装着状態では、非装着状態に比して衣類等が見えにくくなる目隠しとなり、或いは扉体を着脱カバー31といった簡単な構成で外観を変更することができる。なお、扉体は、少なくとも前面部位の一部が透明性を有する材料で形成されていればよく、この場合でも、上記と同様の効果を奏する。
【0034】
扉体は、前記ガラス窓を有して開口3を封止するように塞ぐ扉として構成し、着脱カバー31は、前記ガラス窓を保護するようにカバーする構成とした。これによれば、着脱カバー31の装着により、扉体のガラス窓を保護することができる。
前記洗濯機は、槽体としてドラム9を含むドラム式のものであり、扉体は、衣類の投入口として外箱1の前面に形成された開口3を、開閉自在に塞ぐ扉として構成されている。ドラム式の洗濯機は、特に扉としての扉体が正面(前面)にあり、他の縦型洗濯機等に比して比較的扉が目立つレイアウトであるため、インテリア性或いは外観意匠性を一層高めうる。
【0035】
扉体は、開口3を閉塞したときに前面側となる前面部位及び後面側となる後面部位を有し、着脱カバー31は、扉体の前面部位を覆うように装着される。これによれば、扉体の前面部位を覆う比較的安価な構成で、扉体の外観を簡単に変更することができる。また例えば、扉体を前面部位と後面部位との2重構造(或いは中空構造)とすれば、前記乾燥運転を行う洗濯機であっても、着脱カバー31や扉体の前面部位に乾燥運転時の熱が伝わり難く、安全である。
【0036】
着脱カバー31は、扉体の前面部位を覆う寸法形状に設定され、扉体の外周部と着脱カバーの外周部との何れか一方に着脱カバー31の周方向の回り止めをするための凸部21fが形成されるとともに他方に凹部31fが形成され、着脱カバ31ーが扉体に装着される際に、凹部31fに凸部21fが嵌り込むことで着脱カバー31を回り止めする構成とした。これによれば、特にドラム式の洗濯機の扉体の如く円形をなす場合、振動等に起因する、その周方向へのずれを確実に防止することができる。
【0037】
着脱カバー31の周縁部には、その一部を把持可能な把持部31cが突設されている。これによれば、把持部31cを利用して着脱カバー31の着脱を容易に行うことができる。
開口3は、外箱1に設けられ且つ槽体への衣類の投入が可能な投入口枠2で構成され、投入口枠2に、着脱カバー31の把持部31cに対応するように窪ませた第1窪み部17R,17Lを設けた。これによれば、把持部31cに手を掛けやすくなり、着脱カバー31の着脱が一層容易になる。
【0038】
扉体に被係合部21dを設けるとともに、着脱カバー31に、被係合部21dに対して係脱可能に係合する係合部31dを設け、係合部31dと被係合部21dとの係合により、着脱カバー31を扉体に装着する構成とした。これによれば、係合部31dと被係合部21dとの係合による簡単な構成で、着脱カバー31を着脱することができる。
【0039】
着脱カバー31は、少なくとも一対の係合部31dを含め、全体形状を点対称形状とした。これによれば、例えば着脱カバー31を対称点の回りに180度回転させても、着脱カバー31の着脱が可能となる。なお、「全体形状」とは、着脱カバー31全体としての形状であり、本実施形態の如く把持部31cを含める場合には、少なくとも上下対称(或いは左右対称)形状にすればよい。また、着脱カバー31において、把持部31cと対をなすように、当該把持部31cの反対側にもう一つの把持部31cを設けるようにしてもよい。
【0040】
因みに、1つの把持部31cを有する着脱カバー31は、扉体への装着状態で、当該把持部31cが右側の第1窪み部17Rに位置する。このため、着脱カバー31を、把持部31cに手を掛けて取り外す場合、左側の第1窪み部17Lが無くても、当該左側で投入口枠2と着脱カバー31を干渉させることなくスムーズに取り外すことができる。
尚、上記した左右一対の把持部31c、31cを設けた着脱カバーは、扉体への装着状態で、当該把持部31c、31cが左右の第1窪み部17R,17Lに位置するため、この場合でも当該着脱カバーをスムーズに取り外すことができる。
【0041】
着脱カバー31は、扉体に装着される周壁部31bを有するキャップ状をなし、被係合部21dと係合部31dとの何れか一方を凸形状、他方を凹形状とし、扉体は、その外周に被係合部21dを有し、着脱カバー31は、周壁部31bの内周に係合部31dを有し、扉体の外周に当該着脱カバー31を被せて係合部31dと被係合部21dとを係合させる構成とした。これによれば、扉体を着脱カバー31で確実に覆うことができ、着脱カバー31を見映えよく装着することができる。
【0042】
着脱カバー31は、可撓性を有する材料で形成されているため、その可撓性を利用して例えば扉体における凹凸形状部分に嵌合させることができる等、ユーザによる組付けに好適なものとすることができる。
【0043】
着脱カバー31の裏面に、扉体に当接可能な緩衝部材32を設けた。これによれば、緩衝部材32の扉体に対する当接により、着脱カバー31のガタつきを防止することができる。
【0044】
本実施形態とは異なり、着脱カバー31の装着状態で把持部31cが窓体7の上端側或いは下端側にある場合、その把持部31cを掴んで着脱カバー31を取り外すと、ヒンジ手段たるヒンジ体5に対し、本来予定された方向(ヒンジ手段による窓体7の回動方向)とは90度ずれた方向から力が作用する。この場合、ヒンジ手段部分の既存の構成では、剛性が足りず、変形や水漏れの可能性が生じる。
【0045】
これに対し本実施形態の着脱カバー31は、把持部31cがヒンジ手段側に位置し或いは当該ヒンジ手段側とは反対側に位置するように扉体に装着する構成とした。これによれば、着脱カバー31の着脱する場合でも、ヒンジ手段に対し本体予定された方向の力が作用するため、ヒンジ手段部分の変形や水漏れの虞を無くすことができる。
【0046】
洗濯機は、上記した衣類の洗濯機能と乾燥機能を有するドラム式の洗濯乾燥機(衣類乾燥機)に限らず、洗濯機能の無い衣類乾燥機に適用することができる。後者の衣類乾燥機にあっても、外箱内の乾燥槽としてのドラム(槽体)と、外箱前面の衣類投入口としての開口(何れも図示略)とを備えており、当該開口の扉に着脱カバー31を着脱可能に設けることで、上記した実施形態と同様の効果を奏する。
【0047】
<その他の実施形態>
図9図11は、第2実施形態と第3実施形態を示すものであり、以下では、第1実施形態と異なる点につき説明する。
【0048】
図9に示す第2実施形態の前面窓部材41は、第1実施形態の前面窓部材21と以下の点で相違する。即ち、前面窓部材41には、第1実施形態の被係合部21dに代えて、外周リブ21cの手前側(図9で左側)にて「L」字状をなす被係合部41dが一体に設けられている。詳細には、被係合部41dは、周壁部21bの径方向外側へ突出する凸形状であって、外周リブ21cと直交する向きの当接部411dと、外周リブ21cに沿う向きに延びる平行部412dとで「L」字状をなす。また、被係合部41dは、例えば、周壁部21bに対して第1実施形態の被係合部21dと同じ数(10個)だけ、同じ配置となるように形成されている。
【0049】
一方、図10に示す第2実施形態の着脱カバー51は、第1実施形態の着脱カバー31と以下の点で相違する。即ち、着脱カバー51には、第1実施形態の係合部31dに代えて、周壁部31bの後部にて逆「L」字状をなす係合部51dが設けられている。詳細には、係合部51dは、径方向外側へ凹となる(板厚方向に窪む)凹形状であって、周壁部31bの後端に臨む挿入部511dと、周方向に延びる平行部512dとで逆「L」字状をなす。
【0050】
例えば、着脱カバー51の周壁部31bには、その外壁側に位置して前記位置合せの目印となる指標M1,M2(図10(b)の破線参照)が設けられている。指標M1,M2は、例えば貼付可能な粘着面を有するシールに印刷されており、指標M1は三角形状、指標M2は取付時の係止方向を示す矢印である。他方、前面窓部材41の周壁部21bには、指標M1と対応する外壁側の位置に、指標M0が設けられている。指標M0は、指標M1と同じ三角形状をなし、両者M0,M1を合わせると、以下のように係合部51dと被係合部41dの位置合せを行うことができる。
【0051】
即ち、第2実施形態の着脱カバー51は、窓体7の前面窓部材41に対し、次のようにして組み付けられる。先ず、ユーザは、窓体7のラベルLの向きと着脱カバー31のラベルL´の向きを合わせて、窓体7に対し着脱カバー31を前側から被せるようにして押し当てる。このとき、ラベルL,L´の向きだけでなく、指標M0と指標M1と合せるようにして簡単且つ正確な位置合せを行うことができることから、着脱カバー31は、周壁部31bの係合部51dの挿入部511dに被係合部41dの平行部412dが挿入される。また、この場合、着脱カバー51は、周壁部31bの後端を、窓体7の外周リブ21cに突き当てた状態となる。この状態で、着脱カバー51を若干、時計周り方向(つまり指標M2の指す矢印方向)へ回動させることに伴い、係合部51dに対し被係合部41dの当接部411dが当接する位置まで移動して当該被係合部41dが係合されるとともに、前記凸部21fLが凹部31fに嵌合する。このような、係合部51dと被係合部41dの係合と、凸部21fLと凹部31fの嵌合により、着脱カバー51は、窓体7に対し、前後方向と周方向への外れが防止される係止状態となる。
【0052】
従って、指標M2に代えて、着脱カバー51が係止状態となる係止位置を表わす三角形状の指標を、指標M1から係止位置までずらした位置に設けるようにしてもよく、この場合でも簡単な位置合せの指標となる。また、第2実施形態の着脱カバー51は、把持部31cに代えて、図10(a)に示すような差込み部52を設け、前面窓部材41に差込み部52に対応する外周リブ21cの切欠部53(図9(a)参照)を設けるようにしてもよい。このように把持部31cを省略しても、着脱カバー51を外す時は、装着時の回動方向とは逆向き(反時計回り方向)に若干回動させることで、上記した係合部51dと被係合部41dの係合と、凸部21fLと凹部31の嵌合が外れるため、そのまま着脱カバー51を手前側へ引いて簡単に取り外すことができる。
【0053】
以上説明したように第2実施形態の構成によれば、係合部51dと被係合部41dの係合による簡単な構成で、着脱カバー51を着脱することができる等、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0054】
図11に示す第3実施形態の窓体57は、第1実施形態の窓体7と以下の点で相違する。即ち、窓体57の先端側には、外箱1の押釦15に代えて、窓体57の開放操作を行うための操作部材として取手部58が設けられている。詳しい図示は省略するが、取手部58は、クランク状をなして、その先端側58aが窓体57の径方向外側へ張出し、基端側58bに揺動中心部を有する。取手部58は、ユーザにより先端側58aを引くようにして操作されることで、扉ロック機構のロック状態を解除するとともに、窓体57をヒンジ体5の回りに回動させて、開口3を開放するように構成されている。
【0055】
第3実施形態の投入口枠2には、右側の第1窪み部17Rに代えて、取手部58に手を掛けるために、その先端側58aに対応する部分を窪ませた第2窪み部59が設けられている。このため、取手部58を外箱1の前面板1aから突出させることなく、第2窪み部59において、取手部58の裏側からユーザの手指を掛けるようにして窓体57を開く操作を行うことができる。
【0056】
一方、第3実施形態の着脱カバー31は、窓体57への装着状態で、把持部31cが第2窪み部59からずれた位置(例えば第1窪み部17Lのある左側の位置)となるよう、ラベルLの向きを変えてある。従って、把持部31cは、第2窪み部59とは反対側にあり、図11では図示されていない。
【0057】
以上のように、第3実施形態の投入口枠2は、窓体57の開閉時に当該窓体57に手を掛けるために投入口枠2の一部を窪ませた第2窪み部59を備えて構成され、着脱カバー31は、その周縁部の一部を把持可能な把持部31cが、窓体57への装着状態で第2窪み部59とずれた位置になるように突設される。これによれば、窓体57の第2窪み部59側に手を掛けて開閉する際、誤って把持部31cに触れて着脱カバー31を外してしまうことを防止することができる。
【0058】
また、窓体57は、当該窓体57を開くときに操作される操作部材を備え、着脱カバー31は、その周縁部の一部を把持可能な把持部31cが、窓体57への装着状態で操作部材とずれた位置になるように突設される。これによれば、窓体57を操作部材で開閉する際、誤って把持部31cに触れて着脱カバー31を外してしまうことを防止することができる。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0060】
例えば、所謂縦型式の洗濯機における上面の窓体に対して、着脱カバーを設けるようにしてもよい。また、乾燥機能を備えていない洗濯機等の窓体に対して、着脱カバーを適用することもできる。洗濯機の窓体は扉に限らず、槽体内部の視認可能な開口を塞ぐように固定される窓体でもよい。
【0061】
上記した係合部31d,51dや被係合部21,41dのような係合手段の個数は10個に限らず、適宜増減してもよく、その係合手段の形状や配置も適宜変更してもよい。また、これら係合手段に代えて、着脱カバーと窓体との何れか一方に、マグネットや吸盤等の吸着手段を設け、その磁力や吸着力を利用して、着脱カバーを窓体に装着する構成としてもよい。更に、本発明は、各実施形態において、窓体やカバー部材における個々の構成の一部(例えば把持部31cやラベルL,L´等)を省いたり追加する等、上記した各変形例を各実施形態と組合わせ、要旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実施し得る。
【符号の説明】
【0062】
図面中、1は外箱、2は投入口枠、3は開口、5はヒンジ手段、7,57は窓体、9は槽体、17R,17Lは第1窪み部、21,41は前面部位、21d,41dは被係合部、31d,51dは係合部、21fは凸部、22は後面部位、31,51は着脱カバー、31cは把持部、31fは凹部、32は緩衝部材、58は操作部材、59は第2窪み部を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11