特許第6371141号(P6371141)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社シマノの特許一覧

<>
  • 特許6371141-両軸受リール 図000002
  • 特許6371141-両軸受リール 図000003
  • 特許6371141-両軸受リール 図000004
  • 特許6371141-両軸受リール 図000005
  • 特許6371141-両軸受リール 図000006
  • 特許6371141-両軸受リール 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6371141
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】両軸受リール
(51)【国際特許分類】
   A01K 89/015 20060101AFI20180730BHJP
【FI】
   A01K89/015 B
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-140539(P2014-140539)
(22)【出願日】2014年7月8日
(65)【公開番号】特開2016-15911(P2016-15911A)
(43)【公開日】2016年2月1日
【審査請求日】2017年6月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】原口 仁志
(72)【発明者】
【氏名】舟瀬 寿紀
(72)【発明者】
【氏名】細野 智弘
(72)【発明者】
【氏名】武智 邦生
【審査官】 田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−095245(JP,A)
【文献】 実開昭63−107172(JP,U)
【文献】 特開2007−159427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 89/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両軸受リールであって、
一対の側板を有するリール本体と、
一対の前記側板の間に回転自在に配置されるスプールと、
前記リール本体に対して回転自在に装着され、前記スプールを回転させるためのハンドルと、
前記ハンドル及び前記スプールの間で回転力の伝達操作及び遮断操作を行うために、前記リール本体に揺動自在に装着されるクラッチ操作部材と、
を備え、
前記クラッチ操作部材は、操作部、及び、前記操作部と前記側板との間への釣り糸の侵入を規制するために前記側板に隣接するように前記操作部に設けられる規制部を、有し、
前記側板は、前記スプールと前記規制部との間に設けられるカバー部と、前記カバー部に設けられ前記規制部が係合する係合部と、
を、有する、
両軸受リール。
【請求項2】
前記係合部は、前記クラッチ操作部材が揺動する方向に沿って、延びている、
請求項1に記載の両軸受リール。
【請求項3】
前記規制部は、前記操作部に一体に設けられる凸部であり、
前記係合部は、前記凸部に係合する凹部である、
請求項1又は2に記載の両軸受リール。
【請求項4】
前記凹部は、前記スプールに向けて凹状に形成されている、
請求項に記載の両軸受リール。
【請求項5】
前記リール本体は、前記側板及び前記クラッチ操作部材の間に設けられ前記クラッチ操作部材が摺動可能な摺動部を、さらに有し、
前記係合部は、前記側板と前記摺動部とによって形成される、
請求項1又は2に記載の両軸受リール。
【請求項6】
前記係合部は、前記摺動部に沿って延びている、
請求項に記載の両軸受リール。
【請求項7】
前記規制部は、前記操作部に一体に設けられる凸部であり、
前記係合部は、前記凸部に係合する凹部である、
請求項5又は6に記載の両軸受リール。
【請求項8】
前記凹部は、前記スプールの回転軸と実質的に平行な方向に向けて凹状に形成されている、
請求項に記載の両軸受リール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両軸受リールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の両軸受リールには、ハンドル及びスプールの間で回転力の伝達操作及び遮断操作を行うためのクラッチ操作部材が、設けられている(特許文献1を参照)。クラッチ操作部材は、リール本体に揺動自在に装着されている。詳細には、クラッチ操作部材は、リール本体の両側板間において、リール本体に揺動自在に装着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−172203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、クラッチ操作部材は、リール本体の両側板間において、リール本体に揺動自在に装着されているので、釣り糸の繰り出し時又は釣り糸の巻き取り時に、クラッチ操作部材と側板との間に、釣り糸が侵入してしまうおそれがある。すなわち、従来の両軸受リールでは、クラッチ操作部材とリール本体との間に、糸絡みが生じるおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、クラッチ操作部材とリール本体との間への糸絡みを、防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明1に係る両軸受リールは、リール本体と、スプールと、ハンドルと、クラッチ操作部材とを、備える。リール本体は、一対の側板を、有する。スプールは、一対の側板の間に回転自在に配置される。ハンドルは、スプールを回転させるためのものであり、リール本体に対して回転自在に装着される。クラッチ操作部材は、ハンドル及びスプールの間で、回転力の伝達操作及び遮断操作を行うためのものである。クラッチ操作部材は、リール本体に揺動自在に装着される。
【0007】
クラッチ操作部材は、操作部及び規制部を、有する。規制部は、操作部と側板との間への釣り糸の侵入を規制するために、側板に隣接するように、操作部に設けられる。側板は、規制部が係合する係合部を、有する。
【0008】
本クラッチ操作部材は、規制部が、リール本体の側板に隣接した状態で、リール本体における側板の係合部に対して、係合する。このように、規制部を、側板の係合部に係合することによって、クラッチ操作部材の操作部とリール本体の側板との間への釣り糸の侵入を、規制することができる。すなわち、クラッチ操作部材とリール本体との間への糸絡みを、防止できる。
【0009】
発明2に係る両軸受リールでは、発明1に記載の両軸受リールにおいて、係合部が、クラッチ操作部材が揺動する方向に沿って、延びている。
【0010】
この場合、係合部が、クラッチ操作部材が揺動する方向に沿って、延びている。これにより、規制部を係合部に沿って移動させると、クラッチ操作部材を揺動させることができる。すなわち、クラッチ操作部材の操作部とリール本体の側板との間への釣り糸の侵入を規制できるとともに、係合部を、クラッチ操作部材の揺動時のガイドとして、利用することができる。
【0011】
発明3に係る両軸受リールでは、発明1又は2に記載の両軸受リールにおいて、係合部が、側板に設けられる。
【0012】
この場合、係合部が側板に設けられるので、この係合部に規制部を係合させることによって、クラッチ操作部材の操作部とリール本体の側板との間への釣り糸の侵入を、規制することができる。
【0013】
発明4に係る両軸受リールでは、発明3に記載の両軸受リールにおいて、側板が、スプールとクラッチ操作部材との間に設けられるカバー部を、有する。係合部は、カバー部に設けられる。
【0014】
この場合、係合部がカバー部に設けられるので、このカバー部に規制部を係合させることによって、クラッチ操作部材の操作部とリール本体の側板との間への釣り糸の侵入を、確実に規制することができる。
【0015】
発明5に係る両軸受リールでは、発明3又は4に記載の両軸受リールにおいて、規制部が、操作部に一体に設けられる凸部である。係合部は、凸部に係合する凹部である。
【0016】
この場合、規制部(凸部)を係合部(凹部)に係合させることによって、クラッチ操作部材の操作部とリール本体の側板との間への釣り糸の侵入を、確実に規制することができる。
【0017】
発明6に係る両軸受リールでは、発明5に記載の両軸受リールにおいて、凹部は、スプールに向けて凹状に形成されている。
【0018】
この場合、係合部(凹部)を、スプールに向けて凹状に形成し、この係合部(凹部)に規制部(凸部)を係合させることによって、クラッチ操作部材の操作部とリール本体の側板との間への釣り糸の侵入を、確実に規制することができる。
【0019】
発明7に係る両軸受リールでは、発明1又は2に記載の両軸受リールにおいて、リール本体が、摺動部を、さらに有する。摺動部は、側板及びクラッチ操作部材の間に設けられる。摺動部には、クラッチ操作部材が摺動可能である。係合部は、側板と摺動部とによって形成される。
【0020】
この場合、係合部が、側板と摺動部とによって形成されているので、この係合部に規制部を係合させることによって、摺動部とリール本体の側板との間への釣り糸の侵入を、規制することができる。すなわち、クラッチ操作部材の操作部とリール本体の側板との間への釣り糸の侵入を、規制することができる。
【0021】
発明8に係る両軸受リールでは、発明7に記載の両軸受リールにおいて、係合部は、摺動部に沿って延びている。
【0022】
この場合、係合部が摺動部に沿って延びているので、係合部に沿って規制部を移動させると、クラッチ操作部材を揺動させることができる。すなわち、クラッチ操作部材の操作部とリール本体の側板との間への釣り糸の侵入を規制できるとともに、係合部を、クラッチ操作部材の揺動時のガイドとして、利用することができる
発明9に係る両軸受リールでは、発明7又は8に記載の両軸受リールにおいて、規制部が、操作部に一体に設けられる凸部である。係合部は、凸部に係合する凹部である。
【0023】
この場合、規制部(凸部)を係合部(凹部)に係合させることによって、摺動部とリール本体の側板との間への釣り糸の侵入を、確実に規制することができる。すなわち、クラッチ操作部材の操作部とリール本体の側板との間への釣り糸の侵入を、確実に規制することができる。
【0024】
発明10に係る両軸受リールでは、発明9に記載の両軸受リールにおいて、凹部が、スプールの回転軸と実質的に平行な方向に向けて、凹状に形成されている。
【0025】
この場合、係合部(凹部)を、スプールの回転軸と実質的に平行な方向に向けて、凹状に形成し、この係合部(凹部)に規制部(凸部)を係合させることによって、摺動部とリール本体の側板との間への釣り糸の侵入を、規制部(凸部)によって規制することができる。すなわち、摺動部とリール本体の側板との間への釣り糸の侵入を、規制することができる。これにより、クラッチ操作部材の操作部とリール本体の側板との間への釣り糸の侵入を、確実に規制することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、クラッチ操作部材とリール本体との間への糸絡みを、防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第1実施形態が採用された両軸受リールの斜視図。
図2】両軸受リールの中央部分の分解斜視図。
図3】クラッチ操作部材を上方から見た平面図。
図4】クラッチ操作部材を前方から見た斜視図(側カバーを除く)。
図5】本発明の第2実施形態が採用された両軸受リールのクラッチ操作部材を上方から見た平面図。
図6】クラッチ操作部材を上方から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<第1実施形態>
<両軸受リールの全体構成>
図1に示すように、本発明の第1実施形態を採用した両軸受リールは、釣り竿に装着可能なリール本体1と、ハンドル2と、スタードラグ3と、スプール4と、クラッチ操作部材17とを、備えている。
【0029】
ハンドル2は、スプール4を回転させるためのものである。ハンドル2は、リール本体1に対して回転自在に装着される。具体的には、ハンドル2は、リール本体1の側方に配置され、リール本体1に対して回転自在に装着される。
【0030】
スタードラグ3は、ドラグ力を調整するためのものであり、ハンドル2のリール本体1側に、配置される。
【0031】
スプール4は、リール本体1に回転自在に装着される。詳細には、スプール4は、後述する第1側板8aと第2側板8b間において、リール本体1に回転自在に装着される。図1及び図2に示すように、スプール4は、一対のフランジ部4aと、一対のフランジ部4aの間に設けられる糸巻胴部4bとを、有している。スプール4は、その中心を貫通するスプール軸15に、固定されている。
【0032】
クラッチ操作部材17は、ハンドル2及びスプール4の間で回転力の伝達操作及び遮断操作を行うためのものである。クラッチ操作部材17は、リール本体1に対して、揺動自在に装着される。ここでは、クラッチ操作部材17は、リール本体1の後部に、装着されている。
【0033】
<リール本体の構成>
図1及び図2に示すように、リール本体1は、フレーム5と、フレーム5の両側方を覆うように装着された第1側カバー6a及び第2側カバー6bと、フレーム5の前方に装着された前カバー7と、を有している。
【0034】
フレーム5は、第1側板8a及び第2側板8bと、第1側板8a及び第2側板8bを連結する複数の連結部8cと、摺動部18とを、有している。
【0035】
第1側板8a及び第2側板8bは、所定の間隔をあけて互いに対向するように配置される。第1側板8a及び第2側板8bの間には、スプール4が回転自在に配置される。第1側板8aは、スプール4の取り出し用の円形の開口8dが形成された概ね板状の部材である。
【0036】
図3及び図4に示すように、第2側板8bは、側板本体部18bと、スプール4とクラッチ操作部材17との間に設けられるフランジカバー部28b(カバー部の一例)とを、有している。フランジカバー部28bは、実質的に円筒状に形成されている。フランジカバー部28bは、第2側板8bから第1側板8aに向けて突出しており、スプール4のフランジ部4aを覆う。フランジカバー部28bには、クラッチ操作部材17が、係合する。
【0037】
具体的には、フランジカバー部28bは、筒部38bと、溝状の凹部48b(係合部の一例、凹部の一例)とを、有する。筒部38bは、第2側板8bから第1側板8aに向けて突出するように、第2側板8bに一体に形成されている。筒部38bの内周側には、スプール4の一対のフランジ部4aの一方が、配置される。一方のフランジ部4aは、第2側板8b側のフランジ部である。
【0038】
溝状の凹部48bは、筒部38bの外周面に形成されている。すなわち、溝状の凹部48bは、スプール4に向けて凹状に形成されており、筒部38bの外周面に沿って周方向に延びている。ここで、筒部38bの外周面に沿う周方向は、クラッチ操作部材17が揺動する方向に、対応している。すなわち、溝状の凹部48bが、クラッチ操作部材17が揺動する方向に沿って、延びている。この溝状の凹部48bには、後述するクラッチ操作部材17の規制部17b(凸部)が、係合する。
【0039】
なお、第2側板8bは、回転伝達機構(図示しない)を、支持している。回転伝達機構は、ハンドル2からの回転力を、スプール4及びレベルワインド機構(図示しない)に、伝達する。
【0040】
図2から図4に示すように、摺動部18は、クラッチ操作部材17が摺動可能な部分である。摺動部18は、第2側板8bとクラッチ操作部材17との間に、設けられる。具体的には、摺動部18は、第2側板8bに装着される。この状態で、摺動部18は、クラッチ操作部材17と摺動可能である。なお、ここでは、摺動部18がフレーム5とは別体である場合の例を示したが、摺動部18は、フレーム5と一体に形成されていてもよい。
【0041】
フレーム5の内部には、ハンドル2とスプール4と連結及び連結解除するためのクラッチ機構19とが、設けられている。
【0042】
フレーム5と第2側カバー6bとの間には、クラッチ操作部材17の操作に応じてクラッチ機構19を制御するためのクラッチ制御機構20が、設けられている。
【0043】
<クラッチ機構の構成>
図2に示すように、クラッチ機構19は、ピニオンギア32と、スプール軸15とから、構成される。ピニオンギア32は、軸受36を介して、第2側板8bに装着されている。ピニオンギア32は、スプール軸15の外周側に配置される。ピニオンギア32には、回転伝達機構(図示しない)を介して、ハンドル2の回転力が伝達される。ピニオンギア32は、係合溝32aを有している。
【0044】
スプール軸15は、スプール4に一体回転可能に装着されている。スプール軸15には、係合ピン15aが設けられている。係合ピン15aは、ピニオンギア32との係合又はピニオンギア32からの離脱が可能である。スプール軸15は、係合ピン15aを、有している。係合ピン15aが、ピニオンギア32の係合溝32aと係合又は離脱することによって、クラッチ機構19のオンオフが制御される。クラッチ機構19のオンオフ制御は、クラッチ制御機構20によって実現される。
【0045】
例えば、スプール軸15の係合ピン15aが、クラッチ制御機構20によって、ピニオンギア32の係合溝32aに係合した状態が、クラッチオン状態(連結状態)である。クラッチオン状態では、ハンドル2からの回転力が、スプール軸15に伝達される。一方で、スプール軸15の係合ピン15aが、クラッチ制御機構20によって、ピニオンギア32の係合溝32aから離脱した状態が、クラッチオフ状態(連結解除状態)である。クラッチオフ状態では、ハンドル2からの回転力が、スプール軸15に伝達されない。
【0046】
なお、クラッチ制御機構20は、ピニオンギア32に係合するカム機構を有している。クラッチ制御機構20の構成は、従来の構成と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0047】
<クラッチ操作部材の構成>
図2に示すように、クラッチ操作部材17は、クラッチ制御機構20に連結されている。詳細には、クラッチ操作部材17は、連結部材43を介して、クラッチ制御機構20に連結されている。これにより、クラッチ操作部材17は、連結部材43を介して、クラッチ制御機構20を制御可能である。
【0048】
ここでは、クラッチ操作部材17を揺動させることによって、クラッチ機構19は、クラッチオン状態又はクラッチオフ状態に設定される。クラッチ操作部材17は、第1位置と第2位置との間で、揺動可能である。クラッチ操作部材17が第1位置に配置される場合、クラッチ機構19は、上述したクラッチオン状態に、設定される。クラッチ操作部材17が第2位置に配置される場合、クラッチ機構19は、上述したクラッチオフ状態に、設定される。第2位置は、第1位置と釣り竿との間に設けられる。なお、クラッチ操作部材17は、サミングの際のサムレストとしても使用される。
【0049】
図3及び図4に示すように、クラッチ操作部材17は、フレーム5の後部で第1側板8a及び第2側板8bの間に配置されている。クラッチ操作部材17は、操作部17aと、規制部17bとを、有している。操作部17aは、クラッチ操作部材17の操作時にユーザの指が配置される部分である。操作部17aは、第2側板8b側において、摺動部18に摺動可能である。
【0050】
規制部17bは、操作部17aと第2側板8bとの間への釣り糸の侵入を規制する部分である。規制部17bは、操作部17aに設けられる。詳細には、規制部17bは、第2側板8bに隣接するように、操作部17aと一体に形成されている。
【0051】
規制部17bは、本体部27bと、凸部37bとを、有する。本体部27bは、操作部17aに設けられている。具体的には、本体部27bは、操作部17aから前方に延びるように、操作部17aに一体に形成されている。
【0052】
凸部37bは、本体部27bに設けられる。凸部37bは、スプール4の第2側板8b側のフランジ部4aに向けて突出するように、本体部27bに一体に形成されている。具体的には、凸部37bは、フランジカバー部28bの筒部38bに向かって突出するように、本体部27bに一体に形成されている。より具体的には、凸部37bは、フランジカバー部28bの筒部38bの溝状の凹部48bに向かって突出するように、本体部27bに一体に形成されている。
【0053】
凸部37bは、第2側板8bのフランジカバー部28bに係合する。詳細には、凸部37bは、フランジカバー部28bの溝状の凹部48bに係合する。凸部37bは、フランジカバー部28bの溝状の凹部48bに配置され、溝状の凹部48bに沿って移動可能である。例えば、クラッチ操作部材17が揺動すると、凸部37bは、フランジカバー部28bの溝状の凹部48bに沿って移動する。
【0054】
このように構成することによって、スプール4の糸巻胴部4bに巻き付けられた釣り糸が、操作部17aとフランジカバー部28bの筒部38bとの間に入り込んだとしても、この釣り糸は、規制部17bによって、第2側板8b側への移動が規制される。すなわち、クラッチ操作部材17とリール本体1(第2側板8b)との間への糸絡みを、防止することができる。
【0055】
<特徴>
上記実施形態は、下記のように表現可能である。
【0056】
(A1)本両軸受リールは、リール本体1と、スプール4と、ハンドル2と、クラッチ操作部材17とを、備える。リール本体1は、一対の第1側板8a及び第2側板8bを、有する。スプール4は、一対の第1側板8a及び第2側板8bの間に回転自在に配置される。ハンドル2は、スプール4を回転させるためのものであり、リール本体1に対して回転自在に装着される。クラッチ操作部材17は、ハンドル2及びスプール4の間で、回転力の伝達操作及び遮断操作を行うためのものである。クラッチ操作部材17は、リール本体1に揺動自在に装着される。
【0057】
クラッチ操作部材17は、操作部17a及び規制部17bを、有する。規制部17bは、操作部17aと第2側板8bとの間への釣り糸の侵入を規制するために、第2側板8bに隣接するように、操作部17aに設けられる。第2側板8bは、規制部17bが係合する溝状の凹部48bを、有する。
【0058】
本クラッチ操作部材17は、規制部17bが、リール本体1の第2側板8bに隣接した状態で、リール本体1における第2側板8bの溝状の凹部48bに対して、係合する。このように、規制部17bを、第2側板8bの溝状の凹部48bに係合することによって、クラッチ操作部材17の操作部17aとリール本体1の第2側板8bとの間への釣り糸の侵入を、規制することができる。すなわち、クラッチ操作部材17とリール本体1との間への糸絡みを防止できる。
【0059】
(B1)本両軸受リールでは、溝状の凹部48bが、クラッチ操作部材17が揺動する方向に沿って、延びている。これにより、規制部17bを溝状の凹部48bに沿って移動させると、クラッチ操作部材17を揺動させることができる。すなわち、クラッチ操作部材17の操作部17aとリール本体1の第2側板8bとの間への釣り糸の侵入を規制できるとともに、溝状の凹部48bを、クラッチ操作部材17の揺動時のガイドとして、利用することができる。
【0060】
(C1)本両軸受リールでは、溝状の凹部48bが、第2側板8bに設けられる。この場合、溝状の凹部48bが第2側板8bに設けられるので、この溝状の凹部48bに規制部17bを係合させることによって、クラッチ操作部材17の操作部17aとリール本体1の第2側板8bとの間への釣り糸の侵入を、規制することができる。
【0061】
(D1)本両軸受リールでは、第2側板8bが、スプール4とクラッチ操作部材17との間に設けられるフランジカバー部28bを、有する。溝状の凹部48bは、フランジカバー部28bに設けられる。この場合、溝状の凹部48bがフランジカバー部28bに設けられるので、このフランジカバー部28bに規制部17bを係合させることによって、クラッチ操作部材17の操作部17aとリール本体1の第2側板8bとの間への釣り糸の侵入を、確実に規制することができる。
【0062】
(E1)本両軸受リールでは、規制部17bが、操作部17aに一体に設けられる凸部37bである。溝状の凹部48bは、凸部37bに係合する凹部である。この場合、規制部17b(凸部37b)を溝状の凹部48bに係合させることによって、クラッチ操作部材17の操作部17aとリール本体1の第2側板8bとの間への釣り糸の侵入を、確実に規制することができる。
【0063】
(F1)本両軸受リールでは、溝状の凹部48bは、スプール4に向けて凹状に形成されている。この場合、溝状の凹部48bを、スプール4に向けて凹状に形成し、この溝状の凹部48b(凹部)に規制部17b(凸部37b)を係合させることによって、クラッチ操作部材17の操作部17aとリール本体1の第2側板8bとの間への釣り糸の侵入を、確実に規制することができる。
【0064】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態を採用した両軸受リールの全体構成は、第1実施形態に示した両軸受リールと、実質的に同じである。このため、第1実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0065】
以下では、第1実施形態とは異なる構成、すなわちリール本体1及びクラッチ操作部材117の構成を、説明する。また、リール本体1においても、第1実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、説明を省略する。なお、ここで省略された説明については、第1実施形態の説明に準ずる。
【0066】
図1に示すように、リール本体1は、フレーム5と、フレーム5の両側方を覆うように装着された第1側カバー6a及び第2側カバー6bと、フレーム5の前方に装着された前カバー7と、を有している。フレーム5は、第1側板8a及び第2側板8bと、複数の連結部8cと、摺動部18(図5及び図6を参照)とを、有している。
【0067】
図5及び図6に示すように、第2側板8bは、側板本体部118bと、スプール4とクラッチ操作部材117との間に設けられるフランジカバー部128b(カバー部の一例)とを、有している。
【0068】
フランジカバー部128bは、実質的に円筒状に形成されている。フランジカバー部128bは、側板本体部118bから第1側板8aに向けて突出しており、スプール4のフランジ部4aを覆う。フランジカバー部128bには、クラッチ操作部材117が、係合する。
【0069】
具体的には、フランジカバー部128bは、筒部138bと、切欠部148bとを、有する。筒部138bは、側板本体部118bから第1側板8aに向けて突出するように、側板本体部118bに一体に形成されている。筒部138bの内周側には、スプール4の一対のフランジ部4aの一方が、配置される。一方のフランジ部4aは、第2側板8b側のフランジ部である。
【0070】
切欠部148bは、筒部138bの外周面に形成されている。例えば、切欠部148bは、筒部138bの外周面に沿って周方向に延びている。ここで、筒部138bの外周面に沿う周方向は、クラッチ操作部材117が揺動する方向に、対応している。すなわち、切欠部148bは、クラッチ操作部材117が揺動する方向に沿って、延びている。また、切欠部148bは、スプール軸15から離れる方向に(半径方向)おいて、摺動部18と対向している。切欠部148bと摺動部18との間には、後述するクラッチ操作部材117の規制部117b(凸部137b)が、係合する。
【0071】
摺動部18は、クラッチ操作部材117が摺動可能な部分である。摺動部18は、第2側板8bとクラッチ操作部材117との間に、設けられる。具体的には、摺動部18は、第2側板8bの側板本体部118bに、装着される。この状態で、摺動部18は、第2側板8bの側板本体部118bとクラッチ操作部材117との間に配置され、クラッチ操作部材117と摺動可能である。また、摺動部18は、スプール軸15から離れる方向(半径方向)において、フランジカバー部128bすなわち切欠部148bに、対向している。摺動部18が切欠部148bに対向する部分は、クラッチ操作部材117が揺動する方向に沿って、延びている。
【0072】
摺動部18は、第2側板8bとで溝状の凹部58(係合部の一例、凹部の一例)を、構成する。具体的には、溝状の凹部58の断面は、スプール4の回転軸と実質的に平行な方向に向けて凹状に、形成されている。また、溝状の凹部58は、摺動部18と、第2側板の側板本体部118bと、第2側板のフランジカバー部128bとによって、構成される。より具体的には、溝状の凹部58は、スプール側の摺動部18と、第2側板の側板本体部118bと、第2側板のフランジカバー部128bの切欠部148bとによって、構成される。この溝状の凹部58には、後述するクラッチ操作部材117の凸部137bが、係合する。
【0073】
クラッチ操作部材117は、フレーム5の後部で第1側板8a及び第2側板8bの間に配置されている。クラッチ操作部材117は、操作部117aと、規制部117bとを、有している。操作部117aは、クラッチ操作部材117の操作時にユーザの指が配置される部分である。操作部117aは、第2側板8b側において、摺動部18に摺動可能である。
【0074】
規制部117bは、操作部117a及び側板の間への釣り糸の侵入を規制する部分である。規制部117bは、操作部117aに設けられる。詳細には、規制部117bは、第2側板8bに隣接するように、操作部117aと一体に形成されている。
【0075】
規制部117bは、本体部127bと、凸部137bとを、有する。本体部127bは、操作部117aに設けられている。具体的には、本体部127bは、操作部117aからスプール4側に延びるように、操作部117aに一体に形成されている。
【0076】
凸部137bは、本体部127bに設けられる。凸部137bは、第2側板8bの側板本体部118b側に向けて突出するように、本体部127bに一体に形成されている。具体的には、凸部137bは、摺動部18及び第2側板8bから構成される溝状の凹部58に向かって突出するように、本体部127bに一体に形成されている。
【0077】
凸部137bは、上述した溝状の凹部58に係合する。溝状の凹部58は、摺動部18及び第2側板8bから構成される。詳細には、溝状の凹部58は、スプール側の摺動部18と、第2側板の側板本体部118bと、第2側板のフランジカバー部128bの切欠部148bとによって、構成される。
【0078】
凸部137bは、溝状の凹部58に配置され、溝状の凹部58に沿って移動可能である。例えば、クラッチ操作部材117が揺動すると、凸部137bは、フランジカバー部128bの溝状の凹部58に沿って移動する。
【0079】
このように構成することによって、スプール4の糸巻胴部4bに巻き付けられた釣り糸が、操作部117aとフランジカバー部128bの筒部138bとの間に入り込もうとしても、この釣り糸は、規制部117bによって、第2側板8b側への移動が規制される。すなわち、クラッチ操作部材117とリール本体1(第2側板8b)との間への糸絡みを、防止することができる。
【0080】
<特徴>
上記実施形態は、下記のように表現可能である。
【0081】
(A2)本両軸受リールは、リール本体1と、スプール4と、ハンドル2と、クラッチ操作部材117とを、備える。リール本体1は、一対の第1側板8a及び第2側板8bを、有する。スプール4は、一対の第1側板8a及び第2側板8bの間に回転自在に配置される。ハンドル2は、スプール4を回転させるためのものであり、リール本体1に対して回転自在に装着される。クラッチ操作部材117は、ハンドル2及びスプール4の間で、回転力の伝達操作及び遮断操作を行うためのものである。クラッチ操作部材117は、リール本体1に揺動自在に装着される。
【0082】
クラッチ操作部材117は、操作部117a及び規制部117bを、有する。規制部117bは、操作部117aと第2側板8bとの間への釣り糸の侵入を規制するために、第2側板8bに隣接するように、操作部117aに設けられる。第2側板8bは、規制部117bが係合する溝状の凹部58を、有する。
【0083】
本クラッチ操作部材117は、規制部117bが、リール本体1の第2側板8bに隣接した状態で、リール本体1における第2側板8bの溝状の凹部58に対して、係合する。このように、規制部117bを、第2側板8bの溝状の凹部58に係合することによって、クラッチ操作部材117の操作部117aとリール本体1の第2側板8bとの間への釣り糸の侵入を、規制することができる。すなわち、クラッチ操作部材117とリール本体1との間への糸絡みを、防止できる。
【0084】
(B2)本両軸受リールでは、溝状の凹部58が、クラッチ操作部材117が揺動する方向に沿って、延びている。これにより、規制部117bを溝状の凹部58に沿って移動させると、クラッチ操作部材117を揺動させることができる。すなわち、クラッチ操作部材117の操作部117aとリール本体1の第2側板8bとの間への釣り糸の侵入を規制できるとともに、溝状の凹部58を、クラッチ操作部材117の揺動時のガイドとして、利用することができる。
【0085】
(C2)本両軸受リールでは、リール本体1が、摺動部18を、さらに有する。摺動部18は、第2側板8b及びクラッチ操作部材117の間に設けられる。摺動部18には、クラッチ操作部材117が摺動可能である。溝状の凹部58は、第2側板8bと摺動部18とによって形成される。
【0086】
この場合、溝状の凹部58が、第2側板8bと摺動部18とによって形成されているので、この溝状の凹部58に規制部117bを係合させることによって、摺動部18とリール本体1の第2側板8bとの間への釣り糸の侵入を、規制することができる。すなわち、クラッチ操作部材117の操作部117aとリール本体1の第2側板8bとの間への釣り糸の侵入を、規制することができる。
【0087】
(D2)本両軸受リールでは、溝状の凹部58は、摺動部18に沿って延びている。この場合、溝状の凹部58が摺動部18に沿って延びているので、溝状の凹部58に沿って規制部117bを移動させると、クラッチ操作部材117を揺動させることができる。すなわち、クラッチ操作部材117の操作部117aとリール本体1の第2側板8bとの間への糸絡みを防止できるとともに、溝状の凹部58を、クラッチ操作部材117の揺動時のガイドとして、利用することができる。
【0088】
(E2)本両軸受リールでは、規制部117bが、操作部117aに一体に設けられる凸部137bである。溝状の凹部58は、凸部137bに係合する凹部である。この場合、規制部117b(凸部137b)を溝状の凹部58に係合させることによって、摺動部18とリール本体1の第2側板8bとの間への釣り糸の侵入を、確実に規制することができる。すなわち、クラッチ操作部材117の操作部117aとリール本体1の第2側板8bとの間への釣り糸の侵入を、確実に規制することができる。
【0089】
(F2)本両軸受リールでは、溝状の凹部58が、スプール4の回転軸と実質的に平行な方向に向けて、凹状に形成されている。この場合、溝状の凹部58を、スプール4の回転軸と実質的に平行な方向に向けて、凹状に形成し、この溝状の凹部58に規制部117b(凸部137b)を係合させることによって、摺動部18とリール本体1の第2側板8bとの間への釣り糸の侵入を、規制することができる。これにより、クラッチ操作部材の操作部とリール本体の側板との間への釣り糸の侵入を、確実に規制することができる。
【0090】
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0091】
(a)前記第1及び第2実施形態では、溝状の凹部48b,58が、第2側板8bにのみ設けられる場合の例を示したが、溝状の凹部48b,58は、第1側板8a及び第2側板8bの少なくともいずれか一方であれば、どのように設けてもよい。
【符号の説明】
【0092】
1 リール本体
2 ハンドル
4 スプール
8a 第1側板
8b 第2側板
17,117 クラッチ操作部材
17a,117a 操作部
17b,117b 規制部
18 摺動部
28b,128b フランジカバー部
37b,137b 凸部
48b,58 溝状の凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6