(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
断熱箱体からなる貯蔵庫本体に設けられた前面開口部には、左右一対の断熱扉が観音開き式の揺動開閉可能に設けられ、前記各断熱扉の相手側と対向した側縁には、マグネット付きの弾性材からなるセンタシールが配設されたものにおいて、
前記センタシールは、相手側と互いに平行をなして対向する第1面と、同第1面の庫内側端部から直角をなして前記断熱扉側に向けて延出しその延出端部が同断熱扉の裏面に重なる第2面と、同第2面の延出端部の手前位置から庫外側に向けて突出してその突出端が前記断熱扉の前記側縁に固定された第3面とを備え、前記第1面と前記第2面と前記第3面とで囲まれた空間を有して形成され、
前記第1面の裏面における庫内側の隅部には、前記マグネットが内蔵され、
左右一対の前記センタシールは、双方の前記マグネットが対向して互いに吸引し合うことにより、前記第2面が相手側に向けて進出するとともに、前記第3面が相手側に向けて傾動するように弾性変形可能に構成されていることを特徴とする冷却貯蔵庫の扉装置。
前記センタシールにおける前記第1面の庫外側の端部が庫外側に延出され、その延出端が前記断熱扉の前記側縁に固定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の冷却貯蔵庫の扉装置。
前記センタシールの前記第1面の表面層が、摩擦係数の低い素材により形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の冷却貯蔵庫の扉装置。
前記センタシールにおける前記第2面の基端部側が延出端部と比べて肉厚が大きく形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の冷却貯蔵庫の扉装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来構造のものは、センタシールを退避位置に保持するべく断熱扉の側面に磁性板を装着しているため、構造が複雑化する嫌いがある。また、センタシールを進出させる場合は、磁性板との間の磁気吸引力に抗してマグネット同士を吸着する必要があるため、それだけ磁力の大きいマグネットが必要であり、総じてコスト高となりがちであることから、さらなる改良が切望されていた。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、コスト低減を実現した扉装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の冷却貯蔵庫の扉装置は、断熱箱体からなる貯蔵庫本体に設けられた前面開口部には、左右一対の断熱扉が観音開き式の揺動開閉可能に設けられ、前記各断熱扉の相手側と対向した側縁には、マグネット付きの弾性材からなるセンタシールが配設されたものにおいて、前記センタシールは、相手側と互いに平行をなして対向する第1面と、同第1面の庫内側端部から直角をなして前記断熱扉側に向けて延出しその延出端部が同断熱扉の裏面に重なる第2面と、同第2面の延出端部の手前位置から庫外側に向けて突出してその突出端が前記断熱扉の前記側縁に固定された第3面とを有する中空状に形成され、前記第1面の裏面における庫内側の隅部には、前記マグネットが内蔵されているところに特徴を有する。
【0006】
両断熱扉が閉じられると、両マグネットが対向して互いに吸引し合うことにより、各センタシールは、第3面が相手側に向けて傾動変形するとともに、第2面が、延出端部を断熱扉の裏面に重ねた状態を維持しつつ相手側に向けて進出しながら、第1面同士が平行姿勢を保ったままで互いに接近し、密着する。これにより、各センタシールと同センタシールが装着された断熱扉との間のシールが担保された上で、両断熱扉の対向した側縁間がシールされる。
本発明のセンタシールは端的には、相手側に向けて進退変形しやすい構造となっている。そのため、マグネットの磁力を基準に採ると、正規に吸着させるためのセンタシール間の距離の許容範囲が増え、具体的にはセンタシール自体の寸法誤差や組付誤差の許容範囲を広げることが可能であって、すなわち比較的ラフに設定できることから、製造コストの低減に寄与し得る。また、使用に伴う経年変化(変形)についても長期に亘って対応でき、交換時期の長期化を図ることができて、いわゆるメンテナンスコストの低減に繋がる。
一方、センタシール間の距離を基準に採ると、マグネットの磁力を抑えることができ、これによってもコスト低減が図られる。なお、マグネットの磁力が抑えられれば、閉扉状態から片方の断熱扉のみを開けようとした場合に、他方の断熱扉まで連れて開いてしまう不具合を防止できる、といった付随した効果を得ることができる。
以上トータルして、コスト低減を図ることができる。
【0007】
また、以下のような構成としてもよい。
(1)前記センタシールの中空内には、前記断熱扉の前記側縁から庫内方向に向けて進入した形態で変形規制部が配されている。
センタシールが相手側に向けて過度に進退変形しやすい構造であると、両断熱扉が閉状態から開かれた場合に、互いのマグネットが離れる瞬間までセンタシールが弾性的に大きく変形し、離れた瞬間に復元弾力で元形に戻る際に、大きな振動や音が発生するおそれがあり、また、大きな変形が繰り返されることで、耐久性の面からも芳しくないという事情がある。
それに対して本構成では、センタシールが相手側に向けて弾性変形するに当たり、第3面が相手側に向けて傾動した場合に、変形規制部に当たることで傾動が規制され、センタシール全体の変形量が制限されるから、元形に復元する際の振動や音を小さいものに留めることができて、操作性に優れたものとなり、またセンタシールの耐久性の向上にも寄与し得る。
【0008】
(2)前記変形規制部は、前記断熱扉の前記側縁から前記マグネットの裏面に沿うように突出した形態で形成されており、前記変形規制部における前記マグネットと対向する側と反対側の面には、内部が拡幅された挿通溝が長さ方向に沿って形成される一方、前記センタシールの前記第3面の突出端には、前記挿通溝の前記拡幅部に挿通される掛止脚部が形成されている。
変形規制部を断熱扉の側縁から突設し、同変形規制部の挿通溝にセンタシールの第3面の突出端の掛止脚部を挿通する構造としたから、センタシールの成形形状において、掛止脚部とマグネットの収容部との間に十分な間隔が確保可能となり、適正に押出成形することができる。
【0009】
(3)前記センタシールにおける前記第1面の庫外側の端部が庫外側に延出され、その延出端が前記断熱扉の前記側縁に固定されている。
第1面から庫外側に延びた延出端が固定されることで、センタシールが庫内方向へ延出変形することが規制される。
【0010】
(4)前記断熱扉の前記側縁における相手の断熱扉の側縁と対向した面には、同面に開口しかつ内方が拡幅された取付溝が長さ方向に沿って形成される一方、前記第1面の延出端には、前記取付溝の前記拡幅部に前記開口を通して嵌合可能な嵌合脚部が形成されている。
センタシールの第1面の延出端に設けられた嵌合脚部が、取付溝に対し開口を通して幅方向に押し込まれて嵌合されることで挿通状態とされる。センタシールの装着作業の簡易化に寄与し得る。
【0011】
(5)前記センタシールの前記第1面の表面層が、摩擦係数の低い素材により形成されている。
閉扉時における両センタシール間の摩擦力を下げることができ、したがって比較的小さい操作力で一方の断熱扉を開いた場合にも、他の断熱扉が連れて開く事態を避けることができる。
【0012】
(6)前記センタシールにおける前記第2面の基端部側が延出端部と比べて肉厚が大きく形成されている。
第2面の基端部を厚肉したことにより大きな復元弾力が得られ、断熱扉が開かれているときには、センタシールを確実に元位置に退避しておくことが可能である。そのため、例えば片開きしていた断熱扉が閉じられる際に、センタシールが相手の断熱扉と干渉する量が少なくて済み、当該断熱扉が自動的に閉鎖位置に付勢されて移動すること、すなわち自閉性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、コスト低減を実現した扉装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を
図1ないし
図4に基づいて説明する。この実施形態では、ワイドスルー形式の横型冷蔵庫を例示している。
横型冷蔵庫の全体構造を
図1によって説明する。冷蔵庫本体10は、前面が開口された横長の断熱箱体によって形成され、底面に配された脚11で支持されている。冷蔵庫本体10の内部は貯蔵室12とされ、出入口となる前面開口部13には、左右一対の断熱扉15が観音開き式の開閉可能に装着されている。一対の断熱扉15は、それぞれ外側の縦縁の上下両端が、ヒンジ16を介して縦軸回りの回動可能に支持されており、正面の上縁部における互いに隣接した端部に寄った位置に、開閉操作用の把手17が設けられている。前面開口部13には、同前面開口部13を左右に仕切る縦向きの仕切枠が設けられておらず、センタピラーレスすなわちワイドスルー形式の扉装置が構成されている。
【0016】
冷蔵庫本体10の正面視左側面には機械室18が設けられ、同機械室18内には、貯蔵室12から張り出し形成された形態の蒸発器室(図示せず)が収容されて同蒸発器室に蒸発器と庫内ファンとが装備されているとともに、蒸発器と接続されて冷凍サイクルを構成する冷凍装置が収容されている。
冷凍サイクルが駆動されることで蒸発器付近で冷気が生成され、同冷気が庫内ファンにより貯蔵室12内に循環供給されることで、貯蔵室12内が冷却されるようになっている。
【0017】
扉装置は上記のようにワイドスルー形式であることから、閉扉時のシール構造は基本的には、前面開口部13の口縁については、各断熱扉15の裏面における揺動端側の縦縁を除いた他の3縁辺に装着されたパッキン30(
図2参照)が密着されることでシールされ、両断熱扉15の揺動端側の縦縁の間については、同縦縁に沿って装着されたセンタシール40同士が密着することでシールされるようになっている。両断熱扉15が揃って開けられると、前面開口部13が仕切りが無い状態で全開可能となる。
【0018】
さらに断熱扉15の構造、特にパッキン30とセンタシール40との配設部分の構造について詳細に説明する。
断熱扉15は左右対称形状に形成されており、
図2及び
図3に示すように、ステンレス鋼板等の金属製の外装板21と、中央に膨出部22Aを設けた合成樹脂製の内装板22とを組み付けることで外殻体20が形成され、この外殻体20内に、発泡樹脂等の断熱材(図示せず)が充填された構造となっている。断熱扉15の裏面における薄肉となった周縁部には、方形状をなすパッキン装着溝25が形成されている。
【0019】
パッキン30はマグネットパッキンであって、合成樹脂材の押出成形によって形成され、所定長さに切断されて使用される。パッキン30は、
図3に示すように、内部が複数の部屋に仕切られた筒状のパッキン本体31の背面側に取付脚33が突設されるとともに、表面側(同図の上側)における幅方向の略中央部に位置する第1マグネット室32に、扁平な角柱状の第1マグネット35が挿入されて形成されている。
【0020】
パッキン30は、上記した装着溝25の4縁辺に対応して4本が準備され、各パッキン30の両端は45度に切断されている。4本のパッキン30は、それぞれの取付脚33を装着溝25に嵌着しつつ、4縁辺の全周に亘って方形枠状の形態をなして装着されている(
図2参照)。各パッキン本体31における内側の面には複数枚のひれ部36が張り出し形成され、内装板22の膨出部22Aの側面に弾性的に密着されている。
【0021】
センタシール40は、
図2及び
図3に示すように、各断熱扉15の揺動端側で相手と対向した側面(以後、対向側面15A)における庫内側の角部付近において、保持部材60を介して上下方向に延びた形態で装着されている。センタシール40は合成樹脂製であって二色の押出成形により形成されており、断熱扉15の全高よりも少し短い長さに切断されて使用される。
【0022】
センタシール40は、概ね正方形の筒形をなすシール本体41を有している。シール本体41は軟質樹脂製であって、より詳細には、相手のシール本体41と対向する側の第1面43と、第1面43の庫内側端部から直角をなして断熱扉15側(
図3の右側)に向けて配された第2面44と、同第2面44の断熱扉15側の端部から庫外側に向けて直角をなして突出した第3面45と、同第3面45と上記の第1面43の庫外側端部同士を結ぶように配された第4面46とを備えている。
【0023】
上記の第4面46は波形に形成され、相手側へ接離する方向(
図3の左右方向)に伸縮変形可能となっている。この第4面46における第3面45に寄った端部側には、脚部47が庫外側に向けて突出形成されている。同脚部47は硬質樹脂製である。
第1面43の裏面側には、第2面44から第4面46の少し手前の位置に亘って、第2マグネット室48が形成され、同第2マグネット室48内には、扁平な角柱状の第2マグネット49が挿入されている。
【0024】
上記した第2面44における第3面45と交差した端部からは、別のひれ部50(本発明における第2面44の延出端部に相当)が延出形成され、同ひれ部50の延出端が、揺動端側の縦向きのパッキン30(上下両縁に配された横向きのパッキン30の端部を含む)における第1マグネット室32の庫内側の面と重なって密着されるようになっている。このひれ部50の延出端の密着幅は、後記するようにシール本体41が相手側に向けて所定量変形した場合に、ひれ部50の延出端と第1マグネット室32とがなお密着状態を維持できる寸法である。
【0025】
シール本体41の第2面44における第3面45と交差した端部からはまた、冷気遮断用のリップ部52が庫内側に突出形成されている。リップ部52は詳細には、庫内側に向けて突出したのち、先端部が相手側に向けて鋭角(例えば15°)に屈曲された形状となっている。閉扉時には、
図4に示すように、両リップ部52の先端部同士が重畳可能となっている。
【0026】
センタシール40が装着される保持部材60は、センタシール40と同じ長さ寸法を有しており、
図3に示すように、対向側面15Aにねじ62で固定されるベース61と、同ベース61の表面側に間隔を開けて被着されるスライド蓋65とから構成されている。スライド蓋65は、その裏面側の庫内外の2箇所に設けられた掛止溝66を、ベース61に設けられた掛止部63に嵌めて、上方若しくは下方からスライドさせて被着され、全体として庫内外方向に長い扁平な筒形に組み付けられるようになっている。
【0027】
保持部材60のベース61における庫内側の壁面には、上記のセンタシール40の脚部47が摺動可能に挿通される取付溝67が形成されている。また、保持部材60における庫内側の隅部には、ヒータ保持溝68が形成され、結露防止用のヒータ69が挿通されている。なお、ヒータ69の上下両端部に接続されたリード線が、保持部材60内で配線され、両リード線は、ベース61に開口された導出口61Aから断面扉15内に埋設された配線管路26を通って、所定の電源供給位置まで配線されるようになっている。
【0028】
センタシール40の装着手順の一例を改めて説明すると、断熱扉15の対向側面15Aに対して、保持部材60を構成するベース61が当てられてねじ62により固定され、ヒータ保持溝68にヒータ69が挿通されたのち、スライド蓋65が、両掛止溝66にベース61の両掛止部63を嵌めて、例えば上方から掛止部63に沿って摺動させることで、
図3に示すように、ベース61の表面側に所定間隔を開けて被着され、結果、庫外側の縁辺が傾斜縁とされた扁平な略角筒形をなす保持部材60が形成され、併せて同保持部材60の庫内側の隅部にヒータ69が埋設された状態となる。
【0029】
次に、センタシール40が保持部材60に対してスライド装着される、センタシールは、脚部47をベース61の取付溝67に嵌めて、例えば上方から取付溝67に沿って摺動させることで、
図2に示すように、概ね保持部材60の庫内側の面に沿うようにして全高に亘って装着さる。このとき、シール本体41の第3面45が隣接して配されたパッキン30の側面に密着され、またシール本体41の第2面44から延出形成されたひれ部50が、同パッキン30並びに上下の横向きのパッキン30の端部に位置する第1マグネット室32の庫内側の面に、所定幅重なって密着される。
【0030】
それとともに、センタシール40に設けられた第2マグネット室48に、第2マグネット49が例えば上方から挿通される。第2マグネット室48の上下両端部には、図示しない栓体が嵌められて抜け止めされる。続いて、保持部材60の上下の開口面に、
図2に示すように、キャップ70が装着される。
以上により、パッキン30並びにセンタシール40が装着された形態の断熱扉15が製造される。
【0031】
本実施形態の扉装置は以上のような構造であって、左右の断熱扉15が閉じられると、各断熱扉15の庫内側の面に装着されたパッキン30、より詳細には、揺動支点側の縦縁に配された縦向きのパッキン30と、上下の横縁に配された横向きのパッキン30とが、貯蔵室12の前面開口部13の口縁の全周に亘って密着する。
一方、左右の断熱扉15の揺動端側の間では、
図4に示すように、両第2マグネット49が対向して互いに吸引し合うことにより、各センタシール40は、第4面46が伸長変形し、かつ第3面45が相手側に向けて傾動変形するとともに、第2面44が、ひれ部50を第1マグネット室32に重ねた状態を維持したまま相手側に向けて進出しながら、第1面43同士が平行姿勢を保って互いに接近し、密着する。これにより、各センタシール40と同センタシール40が装着された断熱扉15との間のシールが担保された上で、両断熱扉15の対向した側縁間がシールされる。
また、
図2に示すように、センタシール40の第2面44におけるリップ部52の上下に突出した端部が、前面開口部13の上下の口縁に密着し、両断熱扉15の対向した側縁の間の隙間が、上下部分も含めてシールされる。
【0032】
また、両センタシール40に突出形成されたリップ部52の先端部同士が重なり合い、上記した両第2マグネット室48同士が密着した部分における庫内側が、両リップ部52によって覆われる。
冷蔵庫は通常、上記のような閉扉状態において貯蔵室12内に冷気が循環供給されて冷却される。一方、このような閉扉状態において、各センタシール40の特に伸長した第4面46は外気に触れる状態にあるから、センタシール40が庫内冷気で冷却されると、上記の面で結露する可能性がある。
この実施形態では、上記のように、両第2マグネット室48同士が密着した部分の庫内側が両リップ部52で覆われて、第4面46に冷熱が伝わり難くなっていることに加え、ヒータ69に通電されることで保持部材60を介して第4面46が加熱され、第4面46の表面で結露することが防止される。
開扉する場合は、左右の断熱扉15を揃って開いてもよいし、左右の断熱扉15を1枚ずつ開くことも可能である。
【0033】
本実施形態のセンタシール40(シール本体41)は端的には、相手側に向けて進退変形しやすい構造となっている。そのため、第2マグネット49の磁力を基準に採ると、正規に吸着させるための両センタシール40間の距離の許容範囲が増え、具体的にはセンタシール40自体の寸法誤差や組付誤差の許容範囲を広げることが可能であり、すなわち比較的ラフに設定できることから、製造コストの低減に寄与し得る。また、使用に伴う経年変化(変形)についても長期に亘って対応でき、交換時期の長期化を図ることができて、いわゆるメンテナンスコストの低減に繋がる。
【0034】
一方、センタシール40間の距離を基準に採ると、第2マグネット49の磁力を抑えることができて、これによってもコスト低減が図られる。なお、第2マグネット49の磁力が抑えられれば、
図4に示す閉扉状態から片方の断熱扉15のみを開けようとした場合に、他方の断熱扉15まで連れて開いてしまう不具合を防止できる、といった付随した効果を得ることができる。
以上によりトータルして、コスト低減を図ることができる。
【0035】
<実施形態2>
図5は、本発明の実施形態2を示す。
上記実施形態1のセンタシール40は、相手側に向けて進退変形しやすい構造となっているが、過度に変形すると、以下のような不具合を招くおそれがある。例えば、両断熱扉15が
図4に示す閉状態から開かれた場合に、互いの第2マグネット49が離れる瞬間までセンタシール40(シール本体41)が弾性的に大きく変形し、離れた瞬間に復元弾力で元形に戻る際に、大きな振動や音が発生するおそれがあり、また、大きな変形が繰り返されることで、耐久性の面からも芳しくない。
【0036】
上記の対策として実施形態2では、センタシール40Xを保持部材60Xに取り付ける部分の構造に変更が加えられ、ひいてはセンタシール40Xの内部構造に変更が加えられている。以下には、実施形態1との相違点を主に説明する。
センタシール40Xのシール本体41Xでは、第4面46における第3面45に寄った端部側に設けられた硬質樹脂製の脚部55が、外形厚肉の形態で第2マグネット室48の裏面に沿うようにして第2面44側に向けて突出形成されており、その内部には、断面鈎型をなす挿通溝56が庫外側に開口した形態で形成されている。
一方、保持部材60Xのベース61Xにおける庫外側の面からは、センタシール40Xの脚部55に形成された挿通溝56内に緊密にかつ摺動可能に嵌合する取付部67Xが突出形成されている。
このように、取付部67Xが挿通されて実質的に剛性の高められた脚部55が、本発明の「変形規制部」に相当し、結果、センタシール40Xの中空内においては、脚部55(変形規制部)が、保持部材60Xのベース61Xにおける庫外側の面から、第2マグネット室48と第3面45との間に、第2面44に向けて進入した構造となっている。
【0037】
本実施形態によれば、センタシール40Xが相手側に向けて弾性変形するに当たり、第3面45が相手側に向けて傾動した場合に、脚部55(変形規制部)に当たることで傾動が規制され、センタシール40Xの変形量が制限される。そのため、開扉時においてセンタシール40Xが元形に復元する際の振動や音を小さいものに留めることができて、操作性に優れたものとなり、またセンタシール40Xの耐久性の向上にも寄与することができる。また、上記の脚部55(変形規制部)は、第2マグネット室48が復動する場合にも、その復動変形量を制限し、さらなる耐久性の向上を図ることができる。
【0038】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を
図6及び
図7によって説明する。この実施形態3でも、センタシール40Yの構造と、保持部材60Yに対する取付構造に改良が加えられている。以下では、実施形態1,2との相違点を主に説明し、実施形態1または2と同一機能を有する部位、部材については、同一符号を付すことで重複した説明を省略または簡略化する。
【0039】
センタシール40Yは、第1面43、第2面44Y及び第3面45Yを備え、概ね庫外側(
図6の下側)に開口した門型断面をなすシール本体41Yを有している。ここで特に、第2面44Y(本発明における第2面の基端部側に相当)が、第1面43の3倍程度と厚肉に形成されている。第3面45Yも第1面43の2倍程度の厚肉とされ、庫外側の端部が第1面43側に屈曲されて、その屈曲端に、上記実施形態2と同様に、断面鈎型をなす挿通溝56が庫外側に開口した形態で形成された硬質樹脂製の第1脚部55Yが突出形成されている。
ここで、第2面44Yを厚肉としたことは、変形することを予定したシール本体41Yを形成するに当たり、一部に剛性の高い部分を設けることで、安定した形状に形成することができる。また、第3面45Yも第2面44Yと連続して厚肉としたことで、安定した形状に形成し、また復元力を得る上でより有効となる。
【0040】
第1面43の裏面側に第2マグネット室48が形成されて、第2マグネット49が挿入されていること、また、第2面44Yにおける第3面45Yと交差した端部からひれ部50が延出形成され、同ひれ部50の延出端が第1マグネット室32の庫内側の面と重なって密着されるようになっている点については同様である。
一方、第1面43における庫外側の端部からは、所定幅を持った脚片58が庫外側に向けて張り出した形態で形成されている。同脚片58の庫外側の端部は内側に屈曲され、その屈曲端に、硬質樹脂からなる長方形断面の第2脚部59が形成されている。なお、第2脚部59の剛性を高める手段として、軟質樹脂のままで肉厚を増すようにしてもよい。
【0041】
保持部材60Yは、対向側面15Aにねじ62で固定されるベース61Yと、同ベース61Yの表面側に間隔を開けて被着されるスライド蓋65Yとから構成され、同様に、内部にヒータ69を挿通した形態で全体として庫内外方向に長い扁平な筒形に組み付けられている。保持部材60Yのベース61Yにおける庫外側の面からは、センタシール40Yの第1脚部55Yに形成された挿通溝56内に緊密にかつ摺動可能に嵌合する取付部67Yが突出形成されている。スライド蓋65Yの裏面のほぼ中央幅位置には、長方形断面をなす取付筒部80が張り出し形成されており、取付筒部80内には、センタシール40Yに設けられた第2脚部59が、切割溝81を通って摺動可能に挿通されている。
【0042】
なお、シール本体41Yの第2面44Yにおける第3面45Yと交差した端部からは、同様に冷気遮断用のリップ部85が突出形成されている。このリップ部85は、庫内側に向けて突出したのち、先端部86が相手側に向けて鋭角(例えば75°)に屈曲された形状となっており、その先端側が薄肉に形成され、閉扉時には、
図7に示すように、先端部86同士が重畳可能となっている。
【0043】
本実施形態では、左右の断熱扉15が閉じられると、両断熱扉15の揺動端側の間では、
図7に示すように、左右のセンタシール40Yの第2マグネット室48同士が、シール本体41Yの第3面45Yと、第2脚部59を先端に設けた脚片58を相手側に向けて傾動変形させつつ、磁気吸引力により密着し、シールされる。また、両センタシール40Yに突出形成されたリップ部85の先端部86同士が重なり合い、上記した両第2マグネット室48同士が密着した部分における庫内側が、両リップ部85によって覆われる。
【0044】
本実施形態では端的には、各センタシール40Yのシール本体41Yが、第1面43同士が互いに平行な姿勢を維持したままに、言わばスイングするようにして相手側に向けて進退変形しやすい構造となっている。そのため、上記実施形態1と同様に、第2マグネット49の磁力を基準に採ると、正規に吸着させるための両センタシール40Y間の距離の許容範囲が増え、具体的にはセンタシール40Y自体の寸法誤差や組付誤差の許容範囲を広げることが可能であり、また、使用に伴う経年変化(変形)についても長期に亘って対応することができる。
一方、第1脚部55Yと第2脚部59の2箇所の掛止部位を設けたことにより、センタシール40Y(シール本体41Y)の庫内方向への変形がより規制されることになり、開扉時においてセンタシール40Yが元形に復元する際の振動や音をより小さいものに留めることができる。
【0045】
さらに、シール本体41Yの第2面44Yを厚肉としたことにより大きな復元弾力が得られ、断熱扉15が開かれているときには、センタシール40Yを確実に元位置に退避しておくことが可能となる。そのため、例えば片開きしていた断熱扉15が閉じられる際に、センタシール40Yが相手の断熱扉15と干渉する量が少なくて済み、当該断熱扉15が自動的に閉鎖位置に付勢されて移動すること、すなわち自閉性を向上させることができる。
なお、実施形態3においても、センタシール40Yの中空内においては、第1脚部55Y(本発明の「変形規制部」に相当)が、保持部材60Yのベース61Yにおける庫外側の面から、第2マグネット室48と第3面45Yとの間に、第2面44Yに向けて進入した構造となっている。
そのため、センタシール40Yが相手側に向けて弾性変形するに当たり、第3面45Yが相手側に向けて傾動した場合に、第1脚部55Y(変形規制部)に当たることで傾動が規制され、センタシール40Yの変形量を制限できるとともに、同脚部55Y(変形規制部)は、第2マグネット室48が復動する場合にも、その復動変形量を制限することができる。
【0046】
なお、実施形態3のセンタシール40Yは、装着状態では、
図6並びに
図8の鎖線に示すように、変形規制部となる第1脚部55Yと、第2マグネット室48との間の間隔sが小さくなる(0.5mm程度)ため、センタシール40Yを装着時の形状において押出成形することが難しい場合がある。
そこで、センタシール40Yについて、
図8の実線に示すように、第1面43を開いた形状で形成しておき、装着時に第1面43を弾性変形させて閉じるようにしてもよい。成形形状では、第1脚部55Yと第2マグネット室48との間に十分な間隔Sが確保できるから、適正に押出成形することができる。
【0047】
<実施形態4>
実施形態4を
図9及び
図10によって説明する。実施形態4は、上記実施形態3にさらに改良を加えたものであって、主にセンタシール40Zの押出成形を適正に行うことができるように、「変形規制部」の配設構造に変更が加えられている。以下では、実施形態3との相違点を主に説明し、実施形態3と同一機能を有する部材、部位については同一符号を付すことで説明を省略し、または簡略化する。
【0048】
本実施形態では、実施形態3とは逆に、変形規制部90が保持部材60Zのベース61Z側に設けられて、同変形規制部90に、センタシール40Zのシール本体41Zにおける第3面45Zの突出端が結合されている。
詳細には、保持部材60Zのベース61Zにおける庫内側の面には、厚肉のリブ状をなす変形規制部90が突出形成され、同変形規制部90は、センタシール40Zが装着された場合において、第2マグネット室48の裏面における庫外側の領域に沿うように進入可能となっている。変形規制部90の内部には、断面T字形をなす挿通溝91が、同変形規制部90における第2マグネット室48と対向する側とは反対側の面に開口した形態で全長に亘って形成されている。
一方、センタシール40Zの第3面45Zの突出端が第1面側40Zに向けて直角曲げされ、その屈曲端には、上記した挿通溝91の拡幅部92に略緊密に挿通される帯状をなす掛止脚部55Zが形成されている。同掛止脚部55Zは、硬質樹脂製である。
【0049】
この実施形態では、センタシール40Zの成形形状において、
図9に示すように、掛止脚部55Zと第2マグネット室48との間に十分な間隔Z(例えば3mm程度)が確保できるから、適正に押出成形することができる。また、センタシール40Zは、成形形状のまま弾性変形を伴うことなく保持部材60Zに対して装着できるから、不要な戻り変形等を招くことなく、安定した装着形状を確保できる。
【0050】
<実施形態5>
図11及び
図12は、実施形態5を示す。上記の実施形態4において、
図10に示される閉扉状態から一方の断熱扉15を開けた場合に、図らずも他方の断熱扉15が開いてしまう場合がある。この現象は、「両センタシール40Z間の摩擦力>一方の断熱扉15を開けるのに要する力」のときに発生するため、これを避けるには、両センタシール40Z間の摩擦力を下げればよい。
ここで、「両センタシール40Z間の摩擦力=第2マグネット49の磁力×センタシール40Zの接触面(第1面43)の摩擦係数」であるから、一対策としては、第2マグネット49の磁力を小さくすることが考えられるが、その場合は、シール可能な断熱扉15間の間隔が狭くなり、それを実現するべく各部材の寸法公差を厳しくする必要があって、コスト高に繋がるため芳しくない。
【0051】
そこで本実施形態5では、両センタシール40Z間の摩擦力に係る他のパラメータである「センタシール40Zの接触面(第1面43)の摩擦係数」を下げる手段を採用している。具体的には、
図11及び
図12に示すように、センタシール40Zにおける第1面43(脚片58も含む)の表面層95を、基部96と比べて摩擦係数が小さい素材で形成している。
【0052】
より詳細には、センタシール40Zの基部96は、柔軟性には富むが摩擦係数が高い素材で形成されており、例としては、(1)オレフィン系エラストマ(PP(ポリプロピレン)にEPDM(ゴム)を混ぜたもの)、(2)軟質塩化ビニル、(3)軟質ゴム、等が挙げられる。なお、掛止脚部55Zは剛性の高いことが求められるため、硬質樹脂により形成されている。
一方、第1面43(脚片58も含む)の表面層95は、柔軟性には乏しいが摩擦係数が低い素材で形成されており、例としては、(1)オレフィン系エラストマにPE(ポリエチレン)を混ぜたもの、(2)PE(ポリエチレン)、(3)テフロン(登録商標)、等が挙げられる。
上記構造としたことにより、閉扉時における両センタシール40Z間の摩擦力を下げることができ、比較的小さい操作力で一方の断熱扉15を開いた場合にも、他の断熱扉15が連れて開く事態を避けることができる。
【0053】
<実施形態6>
実施形態6を
図13ないし
図16によって説明する。この実施形態6は、実施形態4にさらに改良を加えたものである。より具体的には、センタシール40Uの第1面43の庫外側の端部から張り出し形成された脚片58の屈曲端の嵌合脚部59Uを、スライド蓋65Uに設けられた取付筒部80U(本発明の取付溝に相当)に挿通する構造に変更が加えられている。同様に以下では、実施形態4との相違点を主に説明し、実施形態4と同一機能を有する部材、部位については同一符号を付すことで説明を省略し、または簡略化する。
【0054】
図13に示すように、第1面43の脚片58の屈曲端に形成された嵌合脚部59Uは、実施形態4の第2脚部59と同様に帯状に形成されているが、同第2脚部59の厚さの2/3程度の薄肉に形成されている。一方、取付筒部80Uの外面に形成された切割溝81Uは、実施形態4の取付筒部80の切割溝81と比べて幅広に形成されている。切割溝81Uの庫内側の溝面の角部には丸みRが付けられている。
【0055】
続いて、センタシール40Uの装着手順を説明する。センタシール40Uはまず、掛止脚部55Zのみをベース61Uの変形規制部90の挿通溝91に嵌めてそれに沿って摺動させつつ、保持部材60Uに対してスライド装着される。そののち、
図14に示すように、第2マグネット49が第2マグネット室48に挿通されるとともに、保持部材60Uの上下両面に、ヒータカバー100が被せられて固定される。
次に、
図15に示すように、脚片58の屈曲端に形成された薄肉とされた嵌合脚部59Uが、斜め姿勢に弾性的に曲げられつつ、広くされた切割溝81Uを通して取付筒部80U内に幅方向に挿通され、さらに押し込まれると、
図16に示すように、嵌合脚部59Uは元姿勢に弾性復元して取付筒部80U内に嵌合され、結果、嵌合脚部59Uが取付筒部80Uの全長に挿通された状態となる。
【0056】
センタシールを保持部材に装着するに当たり、
図10に参照して示すように、掛止脚部55Zと、脚片58の屈曲端の脚部59の両方をそれぞれ挿通溝91,取付筒部80に嵌めて摺動させつつスライド装着すると、相応の熟練が必要となる。
それに対して本実施形態では、
図14ないし
図16で説明したように、先に掛止脚部55Zのみを挿通溝91に摺動させつつスライド装着し、もう一方の嵌合脚部59Uについては、幅方向に嵌合することで取付筒部80U内に挿通するようにしている。そのため然したる熟練を要することなく、センタシール40Uの装着作業を行うことができる。
【0057】
なお、センタシール40Uの別の装着手順として、掛止脚部55Zを挿通溝91に嵌めて所定寸法スライドさせたのち、嵌合脚部59Uを取付筒部80U内に幅方向に嵌合し、そののちセンタシール40Uを全長に亘ってスライド装着するようにしてもよい。実施形態4のように、初めから掛止脚部55Zと第2脚部59とを挿通溝91と取付筒部80内に嵌めてスライド装着することに比べれば、作業がしやすいと言える。
本実施形態6のように、脚片58の屈曲端の嵌合脚部59Uを取付筒部80Uに対して幅方向に嵌合できる構造を採った場合、脚片58を庫内側に向けて大きな力で引っ張った場合には、嵌合脚部59Uが弾性変形しつつ切割溝81Uを通って抜け出るおそれがあるが、センタシール40Uが保持部材60Uに装着された状態では、脚片58に対して同方向に大きな引っ張り力が掛かる可能性は少ないから、実用上は支障がないことが確認されている。
【0058】
<実施形態7>
実施形態7を
図17ないし
図20によって説明する。この実施形態7では、実施形態3について、センタシール40Yの装着部分の構造に変更が加えられている。
断熱扉15におけるセンタシール40Yが装着される端縁側の構造を、
図6及び
図17を参照して改めて説明すると、ベース61Yとスライド蓋65Yとからなる保持部材60Yに対してセンタシール40Yがスライド装着されるとともにヒータカバー100が装着され、最後に保持部材60Yの上下両端面に当たるようにしてストッパとなるキャップ70(
図20参照)が被せられる。
ここで、センタシール40Yは、断熱扉15の開閉に伴い左右方向に変形して移動するため、センタシール40Yの長さは、上下のキャップ70の間隔より短くする必要がある。一方、上記のように、センタシール40Yは保持部材60Yに対して上下方向のスライド自由に装着されているため、初めは保持部材60Yと上端面同士を揃えて装着したとしても、断熱扉15の開閉動作が繰り返される等でセンタシール40Yが次第に下方に下がり、キャップ70とセンタシール40Yの上端との間に隙間ができ、見栄えが悪いと言う問題がある。
【0059】
この実施形態7は、その改善策として完成されたものであり、
図17及び
図18に示すように、保持部材60Yのベース61Yの上端部が所定寸法切除されている。このような保持部材60Yに対して、センタシール40Yがスライド蓋65Yと上端面同士を揃えて装着されると、取付部67Yが切除されている分、第1脚部55Yの挿通溝56が空になるから、同空間102に
図18に示すように、コーキング材Cが充填されて固化される。これにより、
図19(B)に示すように、コーキング材Cの下面C1が取付部67Yの切除された上面に接着により固定され、同図(A)に示すように、この取付部67Yに固定されたコーキング材Cの周面C2に、第1脚部55Yの挿通溝56の内面が接着により固定される。結果、センタシール40Yは、スライド蓋65Yと上縁を揃えた形態でコーキング材Cを介して吊り下げ固定された形態となる。
そのため、センタシール40Yが下方に下がる事態が避けられ、
図20に示すように、キャップ70との間に隙間ができることが防止され、見栄えが良くなる。
センタシール40Yを交換する場合は、キャップ70を外したのちセンタシール40Yを上方に引き抜くのであるが、そのときは、比較的小面積である取付部67Yの上面からコーキング材Cを剥がしつつ引き抜けばよいから、センタシール40Yを簡単に引き抜くことができ、ひいてはセンタシール40Yの交換作業を短時間で行うことができる。
【0060】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)断熱扉の揺動端側に設けられた縦向きのパッキンについては、これを割愛してもよい。この場合は、センタシールのシール本体における第2面の延出端部(ひれ部50)が重なるのは、断熱扉の裏面における揺動端側の側縁部となる。ここで、裏面における揺動端側の側縁部は、上下のパッキンの第1マグネット室の表面と面一に配設される必要があり、第2面の延出端部(ひれ部50)は、同側縁部のうち、リップ部52の上下に突出した部分(前面開口部13の口縁部に密着する部分)を除いて庫内に露出した高さ領域に重なるようにする必要がある。
(2)実施形態3において、センタシールのシール本体における第3面の突出端側の固定手段は、実施形態1と同様に、庫外側に向けて突出形成された硬質樹脂製の脚部を、保持部材のベースにおける庫内側の壁面に形成された取付溝に挿通した構造としてもよい。
(3)センタシールに設けられた脚部は基本的には、外力が作用した場合に相手の嵌合部から外れない程度の剛性を備えていればよいから、肉厚を大きく採る等の対応を伴って軟質樹脂で形成してもよい。
【0061】
(4)実施形態5に例示したセンタシールの第1面の表面層が摩擦係数の低い素材により形成されている構成は、他の実施形態に係るセンタシールについても同様に適用可能である。
(5)また、実施形態5のセンタシールに加え、実施形態3,4に例示したセンタシールにおける脚片の屈曲端に設けられた第2脚部について、摩擦係数の低い素材で形成してもよい。同第2脚部を取付筒部に挿通する作業がしやすくなる。
(6)実施形態6におけるセンタシールの装着手順において、センタシールに予め第2マグネットを挿通し、同センタシールをヒータカバーが被せられた状態の保持部材に装着するようにしてもよい。
(7)また、同じく実施形態6において、第2マグネットを第2マグネット室に挿通する作業は、センタシールを保持部材に対して装着し終わったのちに行うようにしてもよい。
(8)本発明は、上記実施形態に例示した2ドア式の横型冷蔵庫に限らず、例えば4ドア式の縦型冷蔵庫等のドア数の異なる冷蔵庫や、その他に冷凍庫や冷凍冷蔵庫等、要は、ワイドスルー式の扉装置を備えた冷却貯蔵庫全般に広く適用することができる。