特許第6371168号(P6371168)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6371168
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】改質プロセスおよび改質物品
(51)【国際特許分類】
   F01D 25/00 20060101AFI20180730BHJP
   B23H 9/14 20060101ALI20180730BHJP
   B23H 9/10 20060101ALI20180730BHJP
   B23K 31/00 20060101ALI20180730BHJP
   B23K 1/00 20060101ALI20180730BHJP
   B23K 20/12 20060101ALI20180730BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20180730BHJP
【FI】
   F01D25/00 X
   B23H9/14
   B23H9/10
   B23K31/00 D
   B23K1/00 330P
   B23K20/12 G
   F02C7/00 D
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-179730(P2014-179730)
(22)【出願日】2014年9月4日
(65)【公開番号】特開2015-55248(P2015-55248A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2017年8月29日
(31)【優先権主張番号】14/023,568
(32)【優先日】2013年9月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・エドワード・トンプソン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・デイビッド・ウォード
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・ライアン・コナー
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ローレンス・ハント
(72)【発明者】
【氏名】ブレイク・アレン・フルトン
【審査官】 小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0222306(US,A1)
【文献】 特開2009−041449(JP,A)
【文献】 特開2001−113358(JP,A)
【文献】 特開2008−229841(JP,A)
【文献】 特開2006−177363(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23H 1/00−11/00
B23K 1/00− 3/08、20/00−20/26、
31/00−33/00、37/00−37/08
F01D 13/00−15/12、23/00−25/36
F02C 1/00− 9/58
F23R 3/00− 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
翼の吸引側前縁先端のシュラウド隅肉の下に、既存の隅肉の半径を有する領域を設置するステップと、
前記翼内に孔を形成するために、機械加工により前記領域を除去ステップと、
元の基礎材料と比べて改善された材料特性を有する改質材料を、前記孔内に挿入するステップと、
所定の位置に前記改質材料を固定するステップと、
前記隅肉の新しい輪郭を形成するために前記改質材料および前記翼を機械加工するステップであって、前記隅肉の新しい輪郭の形成は、前記翼の応力耐性を増大させるように、前記既存の隅肉の半径と比べて前記隅肉の半径を増大させることを含む、ステップと、
前記翼の少なくとも一部にわたってコーティングを塗布するステップと、
を含む、改質プロセス。
【請求項2】
前記領域は、増大した応力領域である、請求項1に記載の改質プロセス。
【請求項3】
前記改質材料は、栓である、請求項1に記載の改質プロセス。
【請求項4】
除去された材料の形状と合う形状を有するように、前記栓を機械加工するステップをさらに含む、請求項3に記載の改質プロセス。
【請求項5】
前記設置するステップの前に、既存のコーティングを除去するステップを含む、請求項1に記載の改質プロセス。
【請求項6】
前記改質材料を固定するステップが、ろう付けするステップ、溶接するステップ、摩擦溶接するステップ、レーザー蒸着するステップ、レーザー溶接するステップ、および、層ごとに前記改質材料を前記翼に蒸着するステップのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の改質プロセス。
【請求項7】
前記領域の周囲からの不良材料を機械加工するステップを含む、請求項1に記載の改質プロセス。
【請求項8】
成形管電解加工(STEM)装置で穿つことによってタービン部品に冷却孔を復元するステップを含む、請求項1に記載の改質プロセス。
【請求項9】
前記成形管電解加工装置は、放電加工するステップ(EDM)をさらに含む、請求項8に記載の改質プロセス。
【請求項10】
機械加工された複数の前記領域を形成するために、機械加工することにより複数の前記領域を除去するステップをさらに含む、請求項1に記載の改質プロセス。
【請求項11】
前記領域は、不良材料を含む、請求項1に記載の改質プロセス。
【請求項12】
吸引側前縁先端のシュラウド隅肉を有する翼を備えるタービン部品と、
増大した応力を受ける元の基礎材料によって従前に占められている前記吸引側前縁先端のシュラウド隅肉の位置で、前記タービン部品内に固定されている改質材料と、
前記吸引側前縁先端のシュラウド隅肉の改質された輪郭と、
を有する、改質物品であって、
前記隅肉の新しい輪郭は、改質前の物品の既存の隅肉の半径と比べて、増大した吸引側前縁先端のシュラウド隅肉の半径を有し、
前記増大した吸引側前縁先端のシュラウド隅肉の半径が、前記改質前の物品と比べて、前記改質された物品の応力耐性を増大させ、
前記改質材料が、前記元の基礎材料と比べて改善された材料特性を有し、
改善された前記材料特性は、前記タービン部品の応力耐性を増大させる、
改質物品。
【請求項13】
前記改質材料は、栓である、請求項12に記載の改質物品。
【請求項14】
前記元の基礎材料が、不良材料を含む、請求項12に記載の改質物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改質プロセスおよび改質物品に関する。より具体的には、本発明は、タービン部品における増大した応力領域のための改質プロセスおよび改質タービン部品に関する。
【背景技術】
【0002】
翼のようなタービン部品は、動作中に極度の応力を経験する。これらの応力の一部は、タービン部品の特定領域に集中され得る、増大した圧力および温度を含む。1つの特定領域は、翼の吸引側前縁先端のシュラウド隅肉(suction side leading edge tip shroud fillet)の下にあり、そこでは増大した応力がクリープ破断または亀裂を引き起こす可能性がある。
【0003】
この種の応力は、高価な翼の早期の除去、廃棄および交換を引き起こし得る。このことは、翼の期待稼働寿命を減少させ、システムのメンテナンスコストおよび運用コストを増大させる。
【0004】
1つの改質方法は、増大した応力領域にわたる溶接肉盛り(weld build ups)、続いて機械加工を含む。溶接肉盛りは、材料特性を低下させ、羽根の溶接界面でかつ溶接金属中における応力付加領域の危険を増大させる。さらに、現在の改質プロセスは、使用可能な改質物品を提供するほど十分には、翼の増大した応力領域の材料特性を増大させない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/0222306号明細書
【発明の概要】
【0006】
増大した応力領域および増大した材料特性を除去するための改質プロセス、ならびに1つ以上の上記欠点に悩まされない改質物品が、当分野で望まれているであろう。
【0007】
例示的な実施形態では、改質プロセスは、物品に領域を設置することと、機械加工領域を形成するために機械加工により前記領域を除去することと、前記機械加工領域内に改質材料を挿入することと、前記物品に前記改質材料を固定することと、前記物品の形状とぴったり重なるように前記改質材料を機械加工することと、前記物品の少なくとも一部にわたってコーティングを塗布することと、を含む。
【0008】
別の例示的実施形態では、改質プロセスは、翼の吸引側前縁先端のシュラウド隅肉の下に領域を設置することと、翼に孔を形成するために機械加工により前記領域を除去することと、元の基礎材料と比べて改善された材料特性を有する改質材料を前記孔内に挿入することと、所定の位置に前記改質材料を固定することと、前記隅肉の新しい輪郭を形成するために前記改質材料および前記翼を機械加工することと、前記翼の少なくとも一部にわたってコーティングを塗布することと、を含む。
【0009】
別の例示的な実施形態において、改質物品は、タービン部品と、増大した応力を受ける元の基礎材料によって占められる前の位置に前記タービン部品内で固定されている改質材料と、を備えている。前記改質材料は、前記元の基礎材料と比べて改善された材料特性を有し、前記改善された材料特性は、前記タービン部品の応力耐性を増大させる。
【0010】
本発明の他の特徴および利点は、例として本発明の原理を例示する添付の図面と併せて、以下の好ましい実施形態のより詳細な説明から、明らかにされるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の実施形態に係る改質プロセスのフローチャートである。
図2】本発明の実施形態に係るタービン羽根の増大した応力領域の斜視側面図である。
図3】本開示の実施形態に係るタービン羽根の機械加工領域の側面斜視図である。
図4】本開示の実施形態に係るタービン羽根の機械加工領域における改質材料の斜視図である。
図5】本開示の実施形態に係る改質タービン羽根の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
可能な限り、同じ参照番号は、同じ部品を表すように図面全体にわたって使用されるだろう。
【0013】
典型的な改質プロセスおよび改質物品が提供されている。本開示の実施形態は、本明細書に開示されている1つ以上の特徴を用いることのないプロセスおよび物品と比べて、タービン部品の稼働寿命を増大させ、タービン部品の修理の効率を増大させ、タービン部品の廃棄物を減少させ、改質中の応力を減少させ、改質物品の材料特性を改善させ、タービン部品の応力耐性を増大させ、クリープ破断応力またはそれらの組み合わせを減少させるかまたは取り除く。
【0014】
図1から図5を参照して、一実施形態では、改質プロセス100は、物品101の領域105を除去し、物品101の稼働寿命を増大させるように領域105を改質材料124に置き換える。物品101は、任意の適切な物品であり、例えばタービン部品であるが、これに限らない。改質プロセス100は、物品101からコーティング108を除去すること(ステップ110)、物品101に領域105を設置すること(ステップ120)、機械加工領域115を形成しながら、機械加工により領域105を除去すること(ステップ130)、機械加工領域115に改質材料124を挿入すること(ステップ140)、物品101内で改質材料124を固定すること(ステップ150)、物品101の現在の形状とぴったり重なるように改質材料124を機械加工すること(ステップ160)、改質部分を検査すること(ステップ170)、および改質部分にわたってコーティング108を再塗布すること(ステップ180)を含む。別の実施形態では、改質プロセス100は、内部冷却孔を穿つこと(ステップ190)を含む。
【0015】
物品101は、任意の適切な物品であってもよく、例えば、タービン部品、(ゼネラルエレクトリック社の7FAまたはS2Bとして識別されるタービン翼のような)翼、バケット102、シュラウド103、ノズル、高温ガス経路部品、またはそれらの組み合わせであるが、これらに限らない。領域105は、様々な増大した応力を受ける物品101の任意の部分であってもよく、様々な応力は、応力破断、増大した温度、交番応力、疲労、および/または圧力を含むが、これらに限らない。一実施形態では、領域105は、穴、亀裂、腐食、またはそれらの組み合わせのような不良材料の部分を含む。別の実施形態では、不良材料は、多数の供給源のいずれ1つから形成されてもよく、改質プロセス100は、任意の適切な検査の手段を介して、領域105の設置(ステップ120)の後の不良材料の除去(ステップ130)を対象としている。検査の適切な手段は、目視検査、(鉄合金の場合)磁粉探傷検査、渦電流、アコースティックエミッション、パルスレーザー、赤外線、超音波、X線撮影、蛍光浸透探傷検査(FPI)、またはそれらの組み合わせを含むが、これらに限らない。
【0016】
一実施形態では、コーティング108は、領域105を設置すること(ステップ120)の前に、物品101の基礎材料109から除去される(ステップ110)。しかし、利用される検査技術に応じて、領域105は、コーティング108の除去の前に設置されてもよく、そのため、これらのステップの順序は交換可能であってもよい。コーティング108は、基礎材料109を露出させることができる任意の適切な方法によって、除去される(ステップ110)。コーティング108を除去する(ステップ110)適切な方法は、水噴射プロセス、化学的剥離、機械的剥離、またはそれらの組み合わせを含むが、これらに限らない。一実施形態では、領域105は、コーティング108を除去すること(ステップ110)なしに、設置され(ステップ120)、その後に、機械加工によって領域105を除去すること(ステップ130)もまた、コーティング108を除去し、別個のステップの必要性を取り除いている。
【0017】
機械加工により領域105を除去すること(ステップ130)は、任意の適切な形状を有する機械加工領域115を形成し、機械加工領域115の大きさは、領域105の大きさに依存している。機械加工領域115の適切な形状は、物品101を通って部分的に伸びること、物品101を通って全体的に伸びること、穴、円柱、円錐、楕円、球の一部、溝、またはそれらの組み合わせを含むが、これらに限らない。一実施形態では、領域105を除去すること(ステップ130)は、従来の機械加工または従来にない機械加工を含んでおり、従来にない機械加工は、例えば、熱エネルギー機械加工、化学エネルギー機械加工、レーザー機械加工、電気エネルギー機械加工(すなわち、放電加工(EDM))、またはそれらの組み合わせであるが、これらに限らない。領域105を除去する(ステップ130)とき、機械加工方法は、好ましくは、領域105を取り囲むあらゆる不良材料を除去する。一実施形態では、複数の領域105は、機械加工により除去され(ステップ130)、複数の機械加工領域115を形成する。
【0018】
機械加工により領域105を除去する(ステップ130)際、改質材料124は、任意の適切な方法によって機械加工領域115内に挿入される(ステップ140)。この任意の適切な方法は、例えば、レーザー蒸着、層ごとの蒸着(layer by layer deposition)、機械加工領域115内での改質材料124の物理的な配置、またはそれらの組み合わせであるが、これらに限らない。改質材料124は、任意の適切な構造を有している。任意の適切な構造は、物品101の基礎材料109と同じ構造、基礎材料109と略同一構造、基礎材料109よりも優れた材料特性を有する構造、またはそれらの組み合わせであってもよいが、これらに限らない。本明細書で使用される優れた材料特性は、増大した材料強度、応力に耐えるための増大した能力、歪みに耐えるための増大した能力、不良材料の形成の発生の減少、またはそれらの組み合わせを、意味する。改質材料124のための適切な置換材料を選択するために、基礎材料109を備えている材料を特定する必要がある。
【0019】
例えば、一実施形態では、改質材料124は、単結晶粒構造組成であり、公称重量百分率で、約7.5%のコバルト、約7.5%のクロム、約6.5%のタンタル、約6.2%のアルミニウム、約5.0%のタングステン、約3.0%のレニウム、約1.5%のモリブデン、約0.15%のハフニウム、約0.05%の炭素、約0.004%のホウ素、約0.002%から約0.03%のイットリウム、および残りのニッケルによって特徴付けられている。
【0020】
別の例では、改質材料124は、等軸粒構造組成であり、公称重量百分率で、約8.0%から約8.7%のCr、約9%から約10%のCo、約5.25%から約5.75%のAl、約0.9%までの(例えば、約0.6%から約0.9%の)Ti、約9.3%から約9.7%のW、約0.6%までの(例えば、約0.4%から約0.6%の)Mo、約2.8%から約3.3%のTa、約1.3%から約1.7%の間のHf、約0.1%までの(例えば、約0.07%から約0.1%の間の)C、約0.02%までの(例えば、約0.005%から約0.02%の)Zr、約0.02%までの(例えば、約0.01%から約0.02%の)B、約0.2%までのFe、約0.12%までのSi、約0.1%までのMn、約0.1%までのCu、約0.01%までのP、約0.004%までのS、約0.1%までのNb、および残りのニッケルによって特徴付けられている。
【0021】
機械加工領域115への改質材料124の挿入(ステップ140)に続いて、改質材料124は、物品101内で固定される(ステップ150)。改質材料124の固定(ステップ150)は、ろう付け、溶接、摩擦溶接、レーザー溶接、またはそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。一実施形態では、ろう付けは、改質材料124と物品101との間の機械加工領域115に任意の適切な充填材料を配置することと、充填材料の融解温度より高いが基礎材料109の融点よりも低い温度に物品101および改質材料124を加熱することとを、含む。別の実施形態では、充填材料は、重量組成で、約14%のCr、約9%のCo、約4%のAl、約2.5%のB、および残りのニッケルを、有している。一実施形態において、充填材料は、重量組成で、約13%から約15%のCr、約9%から約11%のCo、約3.2%から約3.8%のAl、約2.2%から約2.8%のTa、約2.5%から約3.0%のB、約0.10までの(存在するかまたは存在しない)Y、付随的な不純物、および残りのNiを有している。別の実施形態では、ろう付けは、真空中で行われ、約15分から約30分の間、約2125°Fから約2175°Fの間で加熱することと、その後、約2時間から約4時間の間、約1975°Fから約2025°Fの間で発散させることとを、含む。これらの材料は、例示である。充填材料の選択が、基礎材料109に依存しており、基板材料/基礎材料に対するろう付けパラメータを順番に決定するであろうことが、理解されるだろう。
【0022】
一実施形態では、改質材料124は、機械加工領域115に対応した形状を有する栓125である。例えば、別の実施形態において、栓125は、機械加工領域115の円錐形状に対応した円錐形状を有している。円錐形の形状を有する機械加工領域115は、対応する形状を有する栓125の優れた機械的保持を提供する。一実施形態において、栓125は、機械加工領域115内で摩擦溶接される。摩擦溶接は、物品101内で栓125を固定する(ステップ150)熱を発生させるために、物品101に対して栓125を回転させることを含む。摩擦溶接中に、円錐形の形状を有する機械加工領域115は、円筒形の形状と比べて、入熱量を減少させる。
【0023】
改質材料124の固定(ステップ150)の後、改質材料124の機械加工(ステップ160)は、物品101の現在の形状とぴったり重なる表面を形成するか、改質材料124および物品101を再形成する。物品101の場合、これは、改質部品への空気力学を復元する。物品101は、その後検査され(ステップ170)、コーティング108は、その後基礎材料109にわたって再塗布される(ステップ180)。
【0024】
コーティング108は、任意の適切なコーティング方法を使用して、再塗布される(ステップ180)。この任意の適切なコーティング方法は、蒸着、スラリー析出、または任意の溶射プロセスを含むが、これらに限らない。任意の溶射プロセスは、高速酸素燃料溶射(HVOF)、高速空気溶射(HVAF)、真空プラズマ溶射(VPS)、大気プラズマ溶射(APS)、イオンプラズマ蒸着(IPD)、電子ビーム物理蒸着(EBPVD)、コールドスプレー、またはそれらの組み合わせを含む。コーティング108は、任意の適当な材料であり、例えば、MCrAlX、NiAl、PtAl、PtNiAl、またはそれらの組み合わせであるが、これらに限らない。MCrAlXは、鉄、ニッケル、コバルトの1つまたは組み合わせから選択される合金である。Crは、クロムであり、Alは、アルミニウムであり、Xは、固溶体強化剤、Y、Tc、Ta、Re、Mo、およびWからなるガンマプライム形成剤、B、C、Hf、Zr、およびそれらの組み合わせからなる粒界強化剤、の群から選択される1つの元素である。
【0025】
一実施形態では、機械加工により領域105を除去すること(ステップ130)は、物品101内で伸びる内部冷却孔を露出させる。別の実施形態では、挿入すること(ステップ140)、および機械加工領域115内で改質材料124を固定すること(ステップ150)は、内部冷却孔を覆うおよび/または閉じてもよい。さらなる実施形態では、内部冷却孔は、冷却空気が内部冷却孔を通って流れることを可能にする改質材料124を通って穿つこと(ステップ190)により、復元されている。内部冷却孔は、栓125の固定(ステップ150)によって覆われおよび/または閉じられており、物品101の改質部分への冷却空気の流れを復元する。穿つこと(ステップ190)は、成形管電解加工(STEM)、放電加工(EDM)、またはそれらの組み合わせを含むが、これらに限らない。穿つこと(ステップ190)は、コーティング108が再塗布される前または後のどちらかに行われる。一実施形態では、物品101は、内部冷却孔を備えておらず、穿つこと(ステップ190)は実行されない。
【0026】
一実施形態では、領域105は、物品101の増大した応力領域である。増大した応力領域は、応力にさらされており、この応力は、例えば、増大した温度、増大した圧力、有害な空中浮遊粒子、またはそれらの組み合わせであるが、これらに限らない。例えば、一実施形態では、領域105は、翼の吸引側108で、バケット102とシュラウド103との間の隅肉106に設置されている。隅肉106は、バケット102にシュラウド103を取付けており、溶接材料または熱影響部(HAZ)材料を備えている。溶接材料または熱影響部(HAZ)材料は、異なる特性を持っていてもよいため、翼と比べて、さらに増大した損傷を経験するかもしれない。別の実施形態では、領域105は、隅肉106内に設置されている場合、改質材料124の機械加工(ステップ160)は、隅肉106の機械加工を含んでもよく、隅肉106を再形成し、隅肉106と改質材料124との間に面一(flush surface)を形成する。さらなる実施形態では、隅肉106の再形成は、隅肉106の半径を増大させてもよい。隅肉106の増大した半径は、物品101の応力耐性を向上させることができる。本明細書で使用される応力耐性は、増大した応力領域を形成することなく、応力に耐えるための増大した能力を意味する。
【0027】
本発明が好ましい実施形態を参照して説明されているが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更がなされてもよく、均等物がこれらの要素と置換されてもよいことは、当業者によって理解されるであろう。加えて、多くの改変が、本発明の教示に対して、その本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を適用するようになされてもよい。したがって、本発明は、本発明を実施するための最良の形態として開示されている特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲内に入る全ての実施形態を含むであろうことが、意図されている。
【符号の説明】
【0028】
100 改質プロセス
101 物品
102 バケット
103 シュラウド
105 領域
106 隅肉
108 コーティング
109 基礎材料
110 コーティングを除去する
115 機械加工領域
120 領域を設置する
124 改質材料
125 栓
130 領域を除去する
140 栓を挿入する
150 栓を固定する
160 平らな輪郭を形成するように栓を機械加工する
170 改質部分を検査する
180 コーティングを再形成する
190 随意に冷却孔を機械加工する
図1
図2
図3
図4
図5