特許第6371170号(P6371170)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6371170
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】ツール挿入具及びその前端リング
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/954 20060101AFI20180730BHJP
【FI】
   G01N21/954 A
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-182920(P2014-182920)
(22)【出願日】2014年9月9日
(65)【公開番号】特開2016-57140(P2016-57140A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2017年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134903
【氏名又は名称】株式会社ニシヤマ
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077780
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 泰甫
(74)【代理人】
【識別番号】100106024
【弁理士】
【氏名又は名称】稗苗 秀三
(74)【代理人】
【識別番号】100167841
【弁理士】
【氏名又は名称】小羽根 孝康
(74)【代理人】
【識別番号】100168376
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 清隆
(72)【発明者】
【氏名】錦織 貴光
(72)【発明者】
【氏名】栩木 勇佑
(72)【発明者】
【氏名】綱崎 勝
【審査官】 吉田 将志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−186329(JP,A)
【文献】 特開2008−058681(JP,A)
【文献】 特開2004−305765(JP,A)
【文献】 特開2013−134154(JP,A)
【文献】 米国特許第6820653(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ツールを管内に挿入するためのツール挿入具の前端に設けられる前端リングであって、前記ツール挿入具が内側にツールを収容可能なよう線材を螺旋状に構成してなるコイル状とされ、前記ツール挿入具とは別体に形成されると共に、コイル状のツール挿入具の前端に装着可能なリング状とされ、前端面の全周が始点と終点との間に周方向の段差を有する螺旋面とされたことを特徴とする前端リング。
【請求項2】
外周面に、前記ツール挿入具を構成する螺旋状の線材を係止する螺旋溝が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の前端リング。
【請求項3】
内周面に、前記ツールを取付可能な雌ねじが形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の前端リング。
【請求項4】
ツール本体と該ツール本体から後方に延設された線状体とを有するツールを管内に挿入するためのツール挿入具であって、
線材を螺旋状に構成してなるコイル状とされ、前記螺旋状の線材の巻き径を大径に設定されて前記ツール本体を収容する本体収容部が構成されると共に、該本体収容部から後方に延設された延設部分で前記螺旋状の線材の巻き径を小径に設定されて前記線状体を収容する線状体収容部が構成され、
前記本体収容部の前端に、請求項1、2又は3に記載の前端リングを装着されたことを特徴とするツール挿入具。
【請求項5】
請求項に記載のツール挿入具を用いて管内に前記ツールを挿入する方法であって、前記ツール挿入具にツールを収容し、前記ツール挿入具を中心軸周りに回転させながら、ツール挿入具と共にツールを管内に挿入することを特徴とするツール挿入方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管検査用カメラなどのツールを管内に挿入するためのツール挿入具及びその前端リングに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、配管の内部を検査するためのカメラや、配管の配置角度や位置を計測するためのジャイロスコープ、配管の肉厚を測定するための超音波探触子、ガス管の配管工事をする際にガス管を閉止するためのガスバッグなどのツールは、そのツール本体から後方に、各種配線や挿抜操作用のピアノ線などの線状体を延設した構造とされ、そのツール本体を配管の端部開口から配管内に挿入して使用される。
【0003】
ただ、配管の内部の突起や、特にエルボ管付近の段差を通過させてツールを挿入する場合、そのツール本体が突起や段差に引っ掛かることによって、ツールを挿入しにくくなることがある。
【0004】
これに対して、特許文献1は、線材101を螺旋状に構成してなるコイル状で、その前側部分を本体収容部102として、本体収容部102よりも後方の延設部分を線状体収容部103としたツール挿入具を開示している(図9参照)。
【0005】
特許文献1のツール挿入具は、本体収容部102にツール本体を収容すると共に、線状体収容部103に線状体を収容し、線状体収容部103を持って押し込むようにして、配管に本体収容部102を挿入することができる。さらに、本体収容部102は、その線材101を中心軸方向に隙間をあけて螺旋状に構成しており、エルボ管の内面に沿わせて湾曲させつつ挿入する際、線材101の間の隙間に曲げ変形を吸収させて、本体収容部102を容易に湾曲させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−134154号公報(段落番号0020、0022、0023、0025〜0027、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1のツール挿入具は、線材を螺旋状に構成したものであり、配管内面が滑り難い状態の場合には、線材の先端が小さな接触面積で配管の内面に食い込むように強く擦れて、管内へのツール挿入具の挿入を阻害するおそれがある。さらに、配管内面が滑り難い状態の場合に、ツール挿入具を中心軸周りに回転させながら押し込もうとすると、線材の先端部分がその螺旋形状をほぐすように変形して管内で広がることにより、ツール挿入具の挿入をより困難にするおそれがある。
【0008】
本発明は、配管内面が滑りにくい状態であってもツールを容易に挿入することのできるツール挿入具及びその前端リングの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る前端リングは、ツールを管内に挿入するためのツール挿入具の前端に設けられるものであり、ツール挿入具が内側にツールを収容可能なよう線材を螺旋状に構成してなるコイル状とされ、ツール挿入具とは別体に形成すると共に、コイル状のツール挿入具の前端に装着可能なリング状とし、前端面の全周が始点と終点との間に周方向の段差を有する螺旋面としたものである。
【0010】
上記構成によれば、前端リングをツール挿入具とは別体に形成するので、前端リング及びツール挿入具のそれぞれを好適な素材で形成することができる。これにより、例えば、ツール挿入具を構成する線材について、その強度や弾力性に着目して素材を選択しつつ、前端リングについては、配管内面との摩擦係数が小さい素材や、剛性が高く変形しにくい素材を選択することができる。
【0011】
しかも、前端リングをリング状にするので、螺旋状の線材のように径方向に広がることがなく、ツール挿入具の前端に装着することにより、線材の螺旋形状をほぐれさせることなく、コイル状のツール挿入具を配管内面に沿って先導することができ、ツール挿入具の挿通性を向上させることができる。
【0012】
また、外周面に、ツール挿入具を構成する螺旋状の線材を係止する螺旋溝を形成するようにしてもよい。この構成によれば、前端リングの外周面に螺旋溝を形成するので、前端リングを回転させながら、その螺旋溝に螺旋状の線材を挿入して係止するだけで、ツール挿入具の前端に前端リングを装着することができる。この場合、前端リングがツール挿入具の内側に突出するよう位置するので、前端リングにツールを取り付けることにより、ツール挿入具の内面とツール外面との間に隙間を設けることができ、ツールがツール挿入具の湾曲を阻害するのを防止することができる。
【0013】
また、内周面に、ツールを取付可能な雌ねじを形成するようにしてもよい。この構成によれば、前端リングの内周面に雌ねじを形成するので、この雌ねじを利用して前端リングにツールを取り付けることができる。この場合、前端リングのうちの最も内側の部位にツールを取り付けるので、前端リングを装着したツール挿入具の内面とツール外面との間に隙間を設けることができ、ツールがツール挿入具の湾曲を阻害するのを防止することができる。
【0014】
また、前端面の全周を始点と終点との間に周方向の段差を有する螺旋面とするので、前端リングの前端面が管内の突起などに引っ掛かった場合、ツール挿入具を中心軸周りに回転させることにより、引っ掛かった突起などに段差部分を噛み合わせることができる。この噛み合い状態で、ツール挿入具をさらに回転させることにより、前端リングを中心軸と直交する方向に移動させることができ、前端面の引っ掛かりを外して、前端リングに突起などを乗り越えさせることができる。
【0015】
ここで、周方向の段差とは、その段差部分を前端リングの周方向に対して交差するように設定したものをいい、段差部分が前端リングの径方向と平行なものに限らず、段差部分が径方向に対して傾斜するものをも含む概念である。
【0016】
また、本発明は、ツール本体とこのツール本体から後方に延設された線状体とを有するツールを管内に挿入するためのツール挿入具を提供する。具体的には、線材を螺旋状に構成してなるコイル状とし、螺旋状の線材の巻き径を大径に設定してツール本体を収容する本体収容部を構成すると共に、この本体収容部から後方に延設した延設部分で螺旋状の線材の巻き径を小径に設定して線状体を収容する線状体収容部を構成し、さらに、本体収容部の前端に上記の前端リングを装着する。
【0017】
上記構成によれば、ツール挿入具をコイル状とし、前側部分と後方の延設部分の巻き径を異なる径に設定して、本体収容部と線状体収容部とを形成するので、管内に挿入するツールをツール挿入具の内側に収容して保護することができる。このツール挿入具は、配管の端部開口の外側から線状体収容部を押し引き操作して、本体収容部に収容したツール本体を管内で移動させることができ、しかも、ツール挿入具がコイル状であるので、これをエルボ管などの湾曲形状に沿わせて湾曲させて、ツールを挿入することができる。しかも、本体収容部の前端に前端リングを装着するので、上記の前端リングの構成を採用することによる効果と同じ効果を奏することができる。
【0018】
また、本発明は、上記のツール挿入具を用いて管内にツールを挿入する方法を提供する。具体的には、ツール挿入具にツールを収容し、ツール挿入具を中心軸周りに回転させながら、ツール挿入具と共にツールを管内に挿入する。
【0019】
この構成によれば、上記の前端リング及びツール挿入具の構成を採用することによる効果と同じ効果を得ることができる。さらに、管内に突起がある場合、コイル状のツール挿入具を中心軸周りに回転させることにより、本体収容部を構成する線材がねじの原理によって管内の突起を避けるように乗り越えることができる。しかも、コイル状の本体収容部が管内の突起に噛み合って、ねじの原理による推進力を得ることができるので、本体収容部を湾曲させてエルボ管を通過させるような場合にも、ツールの挿入を容易にすることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のとおり、本発明によると、ツール挿入具の前端に前端リングを装着するので、線材の螺旋形状をほぐれさせることなく、コイル状のツール挿入具を管内に挿入することができる。しかも、ツール挿入具を構成する線材については、強度や弾力性などに着目しつつ、前端リングについては、配管内面との摩擦係数や剛性などに着目して素材を選択することができ、配管内面が滑りにくい状態であっても、ツール挿入具の挿通性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】ツール挿入具の側面図
図2】本発明に係る前端リングの段差側から見た斜視図
図3】前端リングの段差と反対側から見た斜視図
図4】前端リングの縦断面図
図5】ツールを取り付けたツール挿入具の要部断面図
図6】ツール挿入具を挿入する配管の斜視図
図7】ツール挿入具を挿入した配管の鉛直断面図
図8】ツール挿入具を挿入した配管の水平断面図
図9】従来のツール挿入具を示す図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係るツール挿入具及びその前端リングを実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【0023】
図1に示すように、ツール挿入具1は、ツール本体2aと、ツール本体2aから後方に延設された線状体2bと、を有する例えば検査用カメラや各種センサーなどのツール2を、内側に収容してガス管などの配管3に挿入するためのものであり、ばね用鋼線などの例えば断面扁平状の線材4を螺旋状に構成すると共に、その表面に必要に応じて潤滑メッキを施してなるコイル状とされる。
【0024】
このツール挿入具1は、前端部分に、螺旋状の線材4の巻き径を大径に設定されてツール本体を収容する本体収容部5が構成されると共に、本体収容部5から後方に延設された延設部分に、螺旋状の線材4の巻き径を小径に設定されて線状体を収容する線状体収容部6が構成され、本体収容部5の前端に前端リング7が装着される。
【0025】
本体収容部5は、その前側部分8が線材3を中心軸方向に隙間(P)をあけつつ螺旋状に構成したコイル状とされると共に、後側部分9が線材4を中心軸方向に隙間なく螺旋状に構成したコイル状とされている。なお、本体収容部5の前側部分8における線材4の隙間(P)は、本体収容部5に求められる湾曲性能に応じて、適宜設定することができる。
【0026】
線状体収容部6は、本体収容部5よりも小径で、線材4を中心軸方向に隙間なく螺旋状に構成したコイル状とされ、本体収容部5から後方にテーパー部10を介して連続して形成されている。
【0027】
図1図5に示すように、前端リング7は、ツール挿入具1の本体収容部5とほぼ同じ外径で、ツール挿入具1を構成する線材4よりも径方向厚さが厚い例えば合成樹脂製のリング状とされ、ツール挿入具1とは別体に形成される。
【0028】
前端リング7の外周面には、その前端付近から後端まで螺旋状に連続する螺旋溝11が形成されている。螺旋溝11は、螺旋状の線材4が嵌る溝幅、溝深さ及び螺旋ピッチに設定され、この螺旋溝11に線材4の先端部を嵌め込んで係止することにより、本体収容部5の前端に前端リング7が装着される。
【0029】
前端リング7の内周面のうちの後側部分には、ツール本体2aの前端部分を螺合する雌ねじ12が形成され、前端リング7を介して、本体収容部5の内側にツール本体2aを取り付けるようになっている。
【0030】
前端リング7の径方向厚さを線材4よりも厚く設定し、前端リング7の外周面にツール挿入具1を固定すると共に、前端リング7の内周面にツール本体2aを固定することにより、本体収容部5の内面とツール本体2aの外面との間に隙間13が設けられる。隙間13は、前端リング7の径方向厚さを適切に設定することによって、本体収容部5が湾曲した際に内側のツール本体2aに接触するのを防止可能な大きさに設定され、ツール本体2aによって本体収容部5の湾曲が阻害されるのを防止する。
【0031】
前端リング7の前端面は、螺旋溝11の先端から例えば中心角で90°程度離れた位置を始点及び終点として、螺旋溝11の溝中心を延長した螺旋に沿って全周に形成された径方向と平行な面とされ、その始点と終点との間に、周方向の段差14が形成されている。段差14の大きさは、螺旋溝11の溝幅及び溝間隔の合計と同程度に設定され、この段差部分は、前端リング7の径方向と平行に形成されている。
【0032】
本体収容部5の長さ(L0)は、ツール挿入具1が挿入される配管3の湾曲部15の中心軸方向長さよりも長く設定され、その前側の1/2の長さ(L0/2)の範囲が前側部分8とされ、後側の1/2の長さ(L0/2)の範囲が後側部分9とされる。
【0033】
線状体収容部6の長さ(L1)は、本体収容部5を配管3の開口から奥まで挿入できるよう、本体収容部5の長さ(L0)よりも十分に長く設定されている。また、テーパー部10の長さ(L2)は、小径の線状体収容部6から大径の本体収容部5にスムーズに力を伝えるのに十分な長さに設定される。
【0034】
次に、上記のツール挿入具1を用いて図6に示す配管3の管内にツール2を挿入するツール挿入方法を説明する。
【0035】
まず、ツール挿入具1の本体収容部5にツール本体2aを収容して、線状体収容部6に線状体2bを収容し、さらに、前端リング7の雌ねじ12にツール本体2aを螺合すると共に、螺旋溝11に線材4の先端部を係止することにより、前端リング7を介して、本体収容部5の内側にツール本体2aを取り付ける。
【0036】
図6に示す配管3に、その上方の端部開口からツール挿入具1の本体収容部5を挿入し、線状体収容部6の後端部を持って押し込むことにより、本体収容部5の前端を第1エルボ管16に侵入させる。
【0037】
ツール挿入具1をさらに押し込むことにより、本体収容部5の前側部分8を第1エルボ管16の内面に沿って湾曲させつつ挿入する。その際、前側部分8の線材4を中心軸方向に隙間(P)をあけて螺旋状に構成しているので、その隙間(P)に曲げ変形を吸収させることができ、しかも、前端リング7を介在させて隙間13を設けているので、ツール本体2aが本体収容部5の湾曲を阻害することがない。
【0038】
このとき、第1エルボ管16の内面には、線材4の先端ではなく、合成樹脂などからなる前端リング7が接触するので、第1エルボ管16の内面が滑りにくい状態であっても、前側部分8を湾曲させる強い反力を受けつつ、摩擦抵抗を小さくすることができる。
【0039】
前側部分8を第1エルボ管16に挿入する際、ツール挿入具1を中心軸周りに回転させながら押し込んで、コイル状の前側部分8を第1エルボ管16の始端側の段差17に噛み合わせることにより、ねじの原理によって推進力を得ることができ、前側部分8を湾曲させながら第1エルボ管16に容易に挿入することができる。
【0040】
この場合、前側部分8の前端が周方向に擦れることになるが、前側部分8の前端に前端リング7を装着しているので、第1エルボ管16の内面が滑りにくい状態であっても、螺旋状の線材4の先端が第1エルボ管16の内面に引っ掛かって広がるのを阻止することができる。なお、線材4が断面扁平状であるので、段差17に噛み合いやすく、線材4を断面円形に設定した場合のような噛み合いの外れが生じにくい。
【0041】
前側部分8をさらに第1エルボ管16に押し込むことにより、前側部分8の前端に装着した前端リング7が第1エルボ管16の終端側の段差18に引っ掛かる(図7参照)。この状態で、ツール挿入具1を中心軸周りに回転させながら押し込むことにより、前端リング7の段差14が配管3の段差18と噛み合って、前側部分8の前端が中心軸と直交する方向に移動し、前側部分8が段差18に乗り上げてスムーズに通過する。
【0042】
本体収容部5の前側部分8の前端が第1エルボ管16を通過して、前側部分8の後端が第1エルボ管16に侵入した後、前側部分8に引き続いて後側部分9が第1エルボ管16に侵入する。後側部分9は、第1エルボ管16に侵入した後、前側部分8に追随して湾曲しながら第1エルボ管16を通過する。
【0043】
ツール挿入具1をさらに押し込むことにより、本体収容部5が、第1エルボ管16と同様、第2エルボ管19を通過する。その際、ツール挿入具1を中心軸周りに回転させることにより、第2エルボ管19の始端側の段差20に噛み合わせて推進力を得ると共に、第2エルボ管19の終端側の段差21をスムーズに通過させる(図8参照)。
【0044】
ここで、本体収容部5の長さ(L0)は、配管3の湾曲部である第1エルボ管16から第2エルボ管19までの中心軸方向長さよりも長く設定されており、前側部分8の前端が第2エルボ管19を通過するまで、線状体収容部6が第1エルボ管16に侵入することはない。これにより、線状体収容部6が第1エルボ管16の湾曲形状の外側に変位して押込み力が本体収容部5の中心軸からずれるのを阻止される。
【0045】
このようにして、ツール2がツール挿入具1の内部で保護されつつ、ツール挿入具1と共に配管3の管内に挿入される。管内に挿入したツール2としての例えば検査用カメラにより、配管3の内部を観察することができ、配管3の内部の検査を容易にすることができる。
【0046】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、適宜変更を加えることができる。例えば、本体収容部5を構成する螺旋状の線材4は、中心軸方向に隣接する部位同士の間隔を適宜設定することができ、本体収容部5の全長に渡って線材3の間に隙間を設けてもよく、本体収容部5の全長に渡って線材3の間に隙間を設けなくてもよく、さらに、本体収容部5の前端から後端に向かって徐々に隙間を狭くするようにしてもよい。
【0047】
また、ツール2は、配管3の内部を検査するための検査用カメラに限らず、例えば、配管3の配置角度や位置を計測するためのジャイロスコープや、配管の肉厚を測定するための超音波探触子などの各種センサー、ガス管の配管工事をする際にガス管を閉止するためのガスバッグであってもよい。
【0048】
また、前端リング7は、ツール挿入具1の前端部に装着されるリング状のものであればよく、必ずしもその前端面に周方向の段差14が形成されている必要はない。さらに、前端リング7は、螺旋溝11とは別の手段によってツール挿入具1に装着するものであってもよく、雌ねじ12とは別の手段によってツール本体2aを取り付けるものであってもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 ツール挿入具
2 ツール
2a ツール本体
2b 線状体
3 配管
4 線材
5 本体収容部
6 線状体収容部
7 前端リング
8 前側部分
9 後側部分
10 テーパー部
11 螺旋溝
12 雌ねじ
13 隙間
14 段差
15 湾曲部
16 第1エルボ管
17、18 段差
19 第2エルボ管
20、21 段差
P 隙間
L0 本体収容部の長さ
L1 線状体収容部の長さ
L2 テーパー部の長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9