特許第6371177号(P6371177)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立ソリューションズの特許一覧

特許6371177ゲートウェイ装置、データ処理システム及びデータ処理方法
<>
  • 特許6371177-ゲートウェイ装置、データ処理システム及びデータ処理方法 図000002
  • 特許6371177-ゲートウェイ装置、データ処理システム及びデータ処理方法 図000003
  • 特許6371177-ゲートウェイ装置、データ処理システム及びデータ処理方法 図000004
  • 特許6371177-ゲートウェイ装置、データ処理システム及びデータ処理方法 図000005
  • 特許6371177-ゲートウェイ装置、データ処理システム及びデータ処理方法 図000006
  • 特許6371177-ゲートウェイ装置、データ処理システム及びデータ処理方法 図000007
  • 特許6371177-ゲートウェイ装置、データ処理システム及びデータ処理方法 図000008
  • 特許6371177-ゲートウェイ装置、データ処理システム及びデータ処理方法 図000009
  • 特許6371177-ゲートウェイ装置、データ処理システム及びデータ処理方法 図000010
  • 特許6371177-ゲートウェイ装置、データ処理システム及びデータ処理方法 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6371177
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】ゲートウェイ装置、データ処理システム及びデータ処理方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/70 20130101AFI20180730BHJP
   H04L 12/66 20060101ALI20180730BHJP
【FI】
   H04L12/70 100Z
   H04L12/66 A
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-189095(P2014-189095)
(22)【出願日】2014年9月17日
(65)【公開番号】特開2016-63356(P2016-63356A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2017年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233055
【氏名又は名称】株式会社日立ソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100102576
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 敏章
(74)【代理人】
【識別番号】100108394
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 健一
(72)【発明者】
【氏名】入江 正憲
(72)【発明者】
【氏名】入佐 信太朗
(72)【発明者】
【氏名】山崎 典之
【審査官】 衣鳩 文彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−216104(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/136956(WO,A1)
【文献】 特開2006−033249(JP,A)
【文献】 特表2009−510601(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/70
H04L 12/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサで生成されるセンサデータを事前に設定されたルールに従って変換・加工する処理部を有し、任意のタイミングでデータ収集サーバへの送信が可能なゲートウェイ装置と、前記ゲートウェイ装置から前記センサデータを収集するデータ収集サーバと、からなるデータ処理システムであって、
前記ゲートウェイ装置は、
変換した前記センサデータの加工処理時に異常値が検出された場合に参照する、加工処理後の加工結果データと異常値が検出された旨を報知する報知緊急度とを関連付ける第1の関連付け手段と、
前記報知緊急度と、前記報知緊急度に対応した前記加工結果データの送信先とを関連付ける第2の関連付け手段と、
前記報知緊急度に基づく異常が影響する処理、部品を、前記報知緊急度毎に関連付ける第3の関連付け手段と、
前記第2の関連付け手段と前記第3の関連付け手段とを参照し、前記報知緊急度に影響される第1の処理、部品と、前記報知緊急度に影響されない第2の処理、部品と、を抽出する抽出部と、を有することを特徴とするデータ処理システム。
【請求項2】
前記報知緊急度が高くなる順番に、
前記加工結果データに基づく情報の前記送信先として、前記データ収集サーバに、他のゲートウェイ装置、携帯端末を加えていくことを特徴とする請求項に記載のデータ処理システム。
【請求項3】
センサで生成されるセンサデータを事前に設定されたルールに従って変換・加工する処理部を有し、任意のタイミングでデータ収集サーバへの送信が可能なゲートウェイ装置であって、
変換した前記センサデータの加工処理時に異常値が検出された場合に参照する、加工処理後の加工結果データと異常値が検出された旨を知らせる際の報知緊急度とを関連付ける第1の関連付け手段と、
前記報知緊急度と、前記報知緊急度に対応した前記加工結果データの送信先とを関連付ける第2の関連付け手段と、
前記報知緊急度に基づく異常が影響する処理、部品を、前記報知緊急度毎に関連付ける第3の関連付け手段と、
前記第2の関連付け手段と前記第3の関連付け手段とを参照し、前記報知緊急度に影響される第1の処理、部品と、前記報知緊急度に影響されない第2の処理、部品と、を抽出する抽出部と、を有することを特徴とするゲートウェイ装置。
【請求項4】
センサで生成されるセンサデータを事前に設定されたルールに従って変換・加工する処理部を有し、任意のタイミングでデータ収集サーバへの送信が可能なゲートウェイ装置におけるデータ処理方法であって、
変換した前記センサデータの加工処理時に異常値の有無を検査するステップと、
異常値が検出された場合に、加工処理後の加工結果データと異常値が検出された旨を知らせる際の報知緊急度とを関連付ける第1の関連付け手段を参照するステップと、
参照結果に応じて、報知緊急度を送信するステップと、
前記報知緊急度と、前記報知緊急度に対応した前記加工結果データの送信先とを関連付ける第2の関連付け手段と、前記報知緊急度に基づく異常が影響する処理、部品を、前記報知緊急度毎に関連付ける第3の関連付け手段とを参照し、前記報知緊急度に影響される第1の処理、部品と、前記報知緊急度に影響されない第2の処理、部品と、を抽出する抽出ステップと、を有することを特徴とするデータ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサデータの収集技術に関連するデータ処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信モジュールの低価格化が進み、機器のセンサデータをネットワーク経由でM2Mサーバに収集し、収集されたデータは機器の稼動状況や故障予兆などを分析するために利用されている。
【0003】
様々な産業分野において、機器の自動制御・故障予兆検知を実現するため、機器やインフラに取り付けられたセンサからデータを収集・分析したいとするニーズが増大している。
【0004】
例えば、車両エンジンに取り付けられた温度センサや荷重センサからデータを収集し、車両内の部品負荷を分析することで部品の交換時期を予測するといったニーズが存在する。
【0005】
センサデータを分析し、故障予兆検知のようなデータ活用の方法を確立するためには、大量のセンサからデータを収集するサーバの負荷とデータ通信料を軽減するために、センサとサーバの中間に位置し、データのフィルタリングや加工、圧縮を行うゲートウェイ装置が必要となる。
【0006】
また、データ分析の精度向上のために、収集するデータとその活用方法について仮説を立て、データを収集し、統計分析と検証を行い、検証結果に基づいて、仮説を組み直して再度データを収集するといった仮説検証のサイクルが必要であり、ゲートウェイ装置上のデータのフィルタリングや加工方法については、動的に更新できるようにする必要がある。
【0007】
下記の特許文献1には、多種多様な形式で送信されるセンサデータを、サーバから配信された変換ルールに基づき、ゲートウェイ上で統一されたフォーマットに変換することにより、センサデータを活用するアプリケーションの新規追加や拡張コストを抑制する方式が開示されている。
【0008】
また、下記の特許文献2には、車両内のセンサから収集した交通情報を、車車間通信によって、複数車両間で集計し、サーバに送信することにより、サーバ負荷と通信量の軽減する方式が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2012−164369号公報
【特許文献2】特開2007−310733号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、センサデータの効率的な収集を実現するためには、ゲートウェイの機能は、特許文献1記載のような収集したセンサデータの変換・加工だけでは不十分であり、異常値を検出した場合に即時にサーバにアラートを送信する異常検知機能、複数センサデータを圧縮することによる通信量削減機能、定時や位置等の送信時機を定義する機能が必要である。
【0011】
異常検知機能が無ければ、緊急性の高いセンサデータをリアルタイムに収集することはできない。
【0012】
また、データを圧縮する機能が無ければ、通信量の削減効果は弱く、さらに、送信時機を定義できなければ、大量にあるゲートウェイからサーバへの通信負荷を分散できない。よって、ゲートウェイはセンサデータの変換・加工・異常値検知・圧縮・送信時機を併せて設定可能でなければならない。
【0013】
さらに、ゲートウェイは省リソースなデバイスである場合もあり、設定するルールが多くなれば、設定情報がメモリやストレージ容量を超過してしまうことも考えられる。
【0014】
また、特許文献2に記載の方式では、各車両が共通のプロトコルで車間通信が可能な車載通信デバイスを搭載している必要があり、利用シーンの限定される方式になっている。
【0015】
そこで、データ収集サーバの負荷と通信量の軽減と、通信量を削減しながらも緊急性の高いデータに関してはリアルタイムにデータを収集可能とし、さらに緊急性の高いデータの収集のリアルタイム性確保のためにセンサデータの変換・加工・閾値判定・圧縮・送信時機の方法を記載するルール定義については、データ収集サーバから動的に更新可能とし、各ルール定義は、ゲートウェイデバイスが省リソースなデバイスであっても実行可能とするセンサデータ収集システムを提供することが求められている。
【0016】
例えば、自動車の車載システムにおいて、温度センサ、油圧センサ、摩耗センサなどの多くのセンサからの情報を処理する場合に、処理負担の軽減が望まれている。
【0017】
さらに、センサからの情報により得られた異常度をどのように活用するかに関する技術が求められている。
【0018】
本発明は、収集したセンサ情報を活用するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記第一の目的を達成するために、ルールに従ってセンサデータの加工を行ない、加工結果を送信するゲートウェイ装置を備えたセンサデータ収集システムにおいて、加工結果に対応する緊急度を関連付けるテーブルをゲートウェイ装置に設けることを特徴とする。
【0020】
また、第二の目的を達成するために、加工結果を送信する際、緊急度に応じたデータの送信先を関連付けるテーブルをゲートウェイ装置に設け、緊急度が付加された情報を受け取ったゲートウェイ装置では、緊急度に応じて、異常が影響する処理、部品を関連付けるテーブルを設けることを特徴とする。
【0021】
本発明の一観点によれば、センサで生成されるセンサデータを事前に設定されたルールに従って変換・加工する処理部を有し、任意のタイミングでデータ収集サーバへの送信が可能なゲートウェイ装置と、前記ゲートウェイ装置から前記センサデータを収集するデータ収集サーバと、からなるデータ処理システムであって、前記ゲートウェイ装置は、変換した前記センサデータの加工処理時に異常値が検出された場合に参照する、加工処理後の加工結果データと異常値が検出された旨を報知する報知緊急度とを関連付ける第1の関連付け手段(図4)を有することを特徴とするデータ処理システムが提供される。
【0022】
さらに、前記報知緊急度と、前記報知緊急度に対応した前記加工結果データの送信先とを関連付ける第2の関連付け手段(図5)を有することを特徴とする。
【0023】
ルールに従ってセンサデータの加工を行なうシステムにおいて、異常値を検出した場合に加工結果に基づいて、報知緊急度を設定する手段を提供することができる。
【0024】
また、異常を検知した場合に前記ルールに従って、加工結果に緊急度を付与する手段と報知緊急度に応じて結果の送信先を変えることができる。
【0025】
さらに、前記報知緊急度に基づく異常が影響する処理、部品を関連付ける第3の関連付け手段(図7)を有することを特徴とする。
【0026】
前記報知緊急度に基づく異常が影響する処理、部品により、ユーザ等にアドバイスを行うことができる。例えば、エンジンの冷却水の温度センサが異常となった場合、自動車を減速する、エンジンの回転数を低減する、などの方法を自動制御又は表示による運転者等への報知を行わせるようにする。
【0027】
前記第2の関連付け手段と前記第3の関連付け手段とを参照し、前記報知緊急度に影響される処理、部品と、前記報知緊急度に影響されない処理、部品と、を抽出する抽出部を有することを特徴とする。
【0028】
報知緊急度に応じて異常の通知先を変えることで、その時点で発生している報知緊急度に影響されない処理、部品を抽出し、処理の停止などの影響範囲を特定する手段と保守員への自動連絡などを行なうための手段を提供する。
【0029】
前記報知緊急度が高くなる順番に、前記加工結果データに基づく情報の前記送信先として、前記データ収集サーバに、他のゲートウェイ装置、携帯端末を加えていくことを特徴とする。
【0030】
また、本発明は、センサで生成されるセンサデータを事前に設定されたルールに従って変換・加工する処理部を有し、任意のタイミングでデータ収集サーバへの送信が可能なゲートウェイ装置であって、変換した前記センサデータの加工処理時に異常値が検出された場合に参照する、加工処理後の結果データと異常値が検出された旨を知らせる際の報知緊急度とを関連付ける第1の関連付け手段(第1のテーブル)を有することを特徴とするゲートウェイ装置である。
【0031】
また、本発明は、センサで生成されるセンサデータを事前に設定されたルールに従って変換・加工する処理部を有し、任意のタイミングでデータ収集サーバへの送信が可能なゲートウェイ装置におけるデータ処理方法であって、変換した前記センサデータの加工処理時に異常値の有無を検査するステップと、異常値が検出された場合に、加工処理後の加工結果データと異常値が検出された旨を知らせる際の報知緊急度とを関連付ける第1の関連付け手段(第1のテーブル)を参照するステップと、参照結果に応じて、報知緊急度を送信するステップと、を有することを特徴とするデータ処理方法である。
【0032】
さらに、前記報知緊急度と、前記緊急度に対応した前記加工結果データの送信先とを関連付ける第2の関連付け手段(第2のテーブル)を参照するステップと、参照結果に応じて、前記加工結果データの送信先を振り分けるステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、センサから収集したデータに対し、ルールに従って変換・加工・閾値判定を行なうゲートウェイ装置において、データ加工時に異常値を検知した場合、加工結果に応じて緊急度を設定できるようになる。また、緊急度に応じて、異常の通知先の変更や、緊急度に基づく異常が影響されない処理、部品を抽出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1A】本発明の一実施の形態によるセンサデータ収集システムの一構成例を示す機能ブロック図である。
図1B】本発明の一実施の形態による警告表示の一例として携帯電話機に警告表示をさせた様子を示す図である。
図2】ゲートウェイ装置の一構成例を示す機能ブロック図である。
図3】装置Aのゲートウェイ装置上の変換ルール定義の一例を示す図である。
図4】装置Aのゲートウェイ装置上の加工ルール定義の一例を示す図である。
図5】装置Aのゲートウェイ装置上の送信ルール定義の一例を示す図である。
図6】装置B、装置Cのゲートウェイ装置上の変換ルール定義の一例を示す図である。
図7】装置B、装置Cのゲートウェイ装置上の加工ルール定義の一例を示す図である。
図8】装置B、装置Cのゲートウェイ装置上の送信ルール定義の一例を示す図である。
図9】装置Aで異常を検知した場合の一連の処理の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明を適用したセンサデータ収集システムの一実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0036】
図1Aは、本発明の一実施形態におけるセンサデータ収集システムの構成図である。本センサデータ収集システムでは、例えば自動車などの、装置A110、装置B120、装置C130とM2Mサーバ(データ収集サーバ)150と携帯電話機160−1〜nからなり、これらの装置が例えばインターネット140により接続されている。装置A110には、センサ群111が設置されており、センサ群111とゲートウェイ装置112とは、例えばWi―Fi(Wi―Fi Allianceの登録商標)のようなローカルネットワークで接続されている。装置B120、装置C130も、装置A110と同様の構成であり、装置B120には、センサ群121が設置されており、センサ群121とゲートウェイ装置122は、ローカルネットワークで接続され、装置C130には、センサ群131が設置されており、センサ群131とゲートウェイ装置132は、ローカルネットワークで接続される。携帯電話機はカーナビなどの他の端末装置であってもよい。
【0037】
センサ群111で取得されたデータは、ゲートウェイ装置112で集約される。M2Mサーバ150は、ゲートウェイ装置112に設定されているデータ変換用の変換ルール・データ加工用の加工のルールを編集・配信する機能を持つと共に、ゲートウェイ装置から送信されたデータを蓄積する機能を備えている。データの加工とは、例えば、データ演算のことである。
【0038】
ゲートウェイ装置112の構成例は、図2で後述する。ゲートウェイ装置112は、集約されたデータを設定された変換・加工ルールに従って変換・加工し、インターネット140を通して変換・加工後のデータをM2Mサーバ150に送信する。M2Mサーバ150に蓄積されたデータは、機器の稼動状況や故障予兆の分析などに利用される。ゲートウェイ装置112がデータ変換・加工実行時に異常値を検知した場合、アラート情報は、M2Mサーバ150に送信される。また、加工結果に基づいた、知らせる必要がある報知緊急度に応じて、インターネット140を通して、装置B120、装置C130、携帯電話機160−1〜nにも送信されるようになっている。
【0039】
図2はゲートウェイ装置112の一構成例を示す機能ブロック図である。
図2に示すように、ゲートウェイ装置112には、Linux(登録商標)などのオペレーティングシステムが搭載されており、その上に図2のようなソフトウェアにより処理される処理部が存在している。データ受信部201は、センサ群221からローカルネットワークを通して受信したデータ、またはインターネット231を通して受信したデータを、データ変換部212に受け渡す。
【0040】
データ変換部212は、データ受信部201から受け取ったセンサデータをルール取得部211に設定された変換ルールに従ってデータ変換する機能である。データ加工部213は、データ変換部212によって変換されたセンサデータをルール取得部211に設定された加工ルールに従って加工する機能である。第1データ送信部214は、データ加工部213によって加工されたデータを、ルール取得部211に設定された送信ルールに従って送信する機能である。第2データ送信部202は、第1データ送信部214から受け取ったデータを、インターネット231を通してデータ送信先へ送信する。ルール取得部211には、データ変換部212、データ加工部213、第1データ送信部214で使われるルールが格納されている。データを格納するメモリ231、表示部112aも設けられている。
【0041】
ゲートウェイ装置122、ゲートウェイ装置132は、ゲートウェイ装置112と同様のソフトウェア構成をしていてもよいが、ゲートウェイ装置112とゲートウェイ装置122、ゲートウェイ装置132では、ルール取得機能211に格納されているルールが異なる。もちろん、ルールが同じでもよい。
【0042】
例えば、ゲートウェイ装置112のルールの詳細例を図3から図5までを参照しながら、ゲートウェイ装置122、ゲートウェイ装置132のルールの詳細例を図6から図8までを参照しながら説明する。
【0043】
図3は、装置Aに設けられているゲートウェイ装置112上のデータ変換部212において用いられるデータ変換ルールの一例を示したテーブルである。符号301〜313で示される項目は、変換ルールを表している。符号301は、収集したセンサデータを特定するためのIDを示す。符号302は、対応するデータ種別、符号303は取得するデータの開始位置、符号304はデータ長、符号305は変換するデータ型、符号306は変換後のデータを一意に特定するためのIDを表す。
【0044】
例えば、符号311で示す行のデータは、ローカルネットワークに流れるデータの収集データIDが「AAA」(301)である場合に、0バイト目(303)から2バイト目(304)のデータをデータ種別(302)「エンジン冷却水温度」として識別し、データをint16型に変換する(305)、というルールである。符号312で示す行のデータの例では、ローカルネットワークに流れるデータの収集データIDが「AAA」(301)である場合に、2バイト目(303)から4バイト目(304)のデータを「エンジン回転数」(302)として識別し、データをuint16型に変換する(305)、というルールである。変換後の変換データID306をメモリ231に記憶する。後述するステップS913で用いられる。
【0045】
図4(a)、(b)は、ゲートウェイ装置112上のデータ加工部213で用いられる加工ルールの例を示した図である。符号401〜436で示される表は加工ルールの一例を表している。符号401は、加工処理を一意に特定するためのIDを表している。符号402は加工回数、符号403は1つ目の加工方法、符号404は1つ目の加工方法で参照するデータ、符号405は1つ目の加工結果を一意に特定するためのID、符号406は2つ目の加工方法、符号407は2つ目の加工方法で参照するデータ、符号408は2つ目の加工結果を一意に特定するためのIDを表す。
【0046】
一方、図4(b)の符号411は、加工方法で参照する閾値判定を一意に特定するためのIDを、符号412はデータの判定方法、符号413は判定結果による緊急度の設定方法を表す。
【0047】
例えば、符号421の行では、1つ目の加工で変換ルールにより「C001」と識別・変換されたデータの「1分」の間のエンジン冷却水温度(311−302)の「平均値」を計算し、その計算結果を加工データID「D001」で識別する。
【0048】
図4は、変換した前記センサデータの加工処理時に異常値が検出された場合に参照する、加工処理後の加工結果データと異常値が検出された旨を報知する報知緊急度とを関連付ける第1の関連付け手段として機能する。
【0049】
2つ目の加工では、加工データID「D001」の結果を、閾値判定ID「閾値判定01」(411)で定義されたルールに従って、符号412の閾値を基準とした異常値を検出することができ、緊急度は、符号413の緊急度の設定方法に基づき設定され、符号408の加工データID「D011」として返却される。
【0050】
図5(a)、(b)は、ゲートウェイ装置112上の第1データ送信部214で用いられる送信ルールの例を示した図である。符号501〜534で示される表は送信ルールを表している。符号501は、送信処理を一意に特定するためのIDを表している。符号502は送信時機を表し、符号503は送信データ数、符号504は送信するデータの内容、符号505は送信先を一意に特定するためのIDを表す。符号505の送信先は、符号511〜513に定義されたルールに従って関連付けられている。
【0051】
図5(b)の符号511は、送信先を一意に特定するためのIDを、符号512はデータ送信時に参照する緊急度を表し、符号513が緊急度に応じた送信先を表す。例えば、符号521の行では、加工ルールにより「D001、D002、D003」と識別・加工されたデータを「3600秒毎」に、送信先定義ID「T001」で定義された送信先に送信する。この例では、符号531の行で定義されている送信先定義ID「T001」は、「緊急度にかかわらず、「M2Mサーバ」にデータを送信する」、という意味である。符号522の例では、加工処理「P001」で「異常検知」した場合に、加工ルールにより「D001、D011」と識別・加工されたデータと「データ種別」を送信先定義ID「T002」で定義された送信先に送信する。この例では、符号532〜534で定義されている送信先定義ID「T002」は、緊急度によって送信先を変えられており、緊急度1以上4未満のように緊急性が高い場合は、「M2Mサーバ、装置B、装置C、携帯電話機」にデータを送信し、緊急度が10以上など緊急性が低い場合には、「M2Mサーバ」のみにデータを送信する、という定義である。
【0052】
送信は、電子メールで行うようにしてもよい。M2Mサーバ、装置B、装置C、携帯電話機に送られると、それぞれの表示部(図1B参照)に緊急度等が表示されて、保守者に警告として知らせるようにできるようにしてもよい。送信先の装置等の仕様により、送信方法を変更するようにしてもよいし、時間帯により送信方法を変えるようにしてもよい。単に、ログとして記憶されるようにしてもよい。また、表示に代えて又は表示とともに音声などにより知らせてもよい(通知、報知)。すなわち、自動車への異常の通知では、自動車のパネルの警告ランプが点くようにしてもよい。
【0053】
図5は、報知緊急度と、報知緊急度に対応した前記加工結果データの送信先とを関連付ける第2の関連付け手段として機能する。
【0054】
図6は、装置Bのゲートウェイ装置122、装置Cのゲートウェイ装置132のデータ変換部212で用いられるルールの例を示した図である。符号601〜616で示される表は変換ルールを表している。符号601は、収集したデータを特定するためのIDを表している。ここで、AAA’は、図3のAAAとは異なってもよく(ルールが異なる場合)、同じでもよい(ルールが同じ場合)。以下のIDに関しても同様である。
【0055】
符号602は対応するデータ種別、符号603は取得するデータの開始位置、符号604はデータ長、符号605は変換するデータ型、符号606は変換後のデータを一意に特定するためのIDを表す。これらは、メモリに保存される。例えば、符号614〜616は、ローカルネットワークに流れるデータの収集データIDが「EEE’」である場合のデータの変換ルールを表しており、0バイト目から1バイト目のデータを「異常データ種別」として識別し、データをuint8型に変換、1バイト目から5バイト目のデータを「異常データ値」として識別し、データをint32型に変換、5バイト目から6バイト目のデータを「異常データ緊急度」として識別し、データをuint8型に変換する、というルールである。
【0056】
図7(a)、(b)は、装置Bのゲートウェイ装置122、装置Cのゲートウェイ装置132上のデータ加工部213で用いられる加工ルールの例を示したものである。符号701〜736で示される表は加工ルールを表している。符号701は、加工処理を一意に特定するためのIDを表している。符号702は加工回数、符号703は1つ目の加工方法、符号704は1つ目の加工方法で参照するデータ、符号705は1つ目の加工結果を一意に特定するためのID、符号706は2つ目の加工方法、707は2つ目の加工方法で参照するデータ、符号708は2つ目の加工結果を一意に特定するためのIDを表す。
【0057】
例えば、符号724の行では、1つ目の加工で、変換ルールにより「C101’」と識別・変換されたデータである「異常データ種別」と「C103’」と識別・変換されたデータである「異常データ緊急度」から閾値判定ID「閾値判定03」で定義されたルールに従って、装置Aから送信された異常結果から影響のある処理や部品を抽出し、加工データID「D104’」として返却する。
【0058】
図7(b)は、図5(b)に対応し、項目714において、変更させる項目を記載しておく。例えば、緊急度713に基づく異常が影響する処理、部品(714)を設定している。例えば、エンジンの冷却水の温度センサが異常となると、自動車を減速する、エンジンの回転数を低減する、などの方法を自動制御又は表示による運転者等への報知を行わせるようにする。
【0059】
図7は、報知緊急度に基づく異常が影響する処理、部品を関連付ける第3の関連付け手段として機能する。
【0060】
図8(a)、(b)は、装置Bのゲートウェイ装置122、装置Cのゲートウェイ装置132上のデータ送信部214で用いられる送信ルールの例を示したものである。符号801〜833で示される表は送信ルールを表している。符号801は、送信処理を一意に特定するためのIDを表している。符号802は送信時機を表し、符号803は送信データ数、符号804は送信するデータの内容、符号805は送信先を一意に特定するIDを表す。符号805の送信先は、符号811〜813に定義されたルールに従って関連付けられている。例えば、符号821では、加工ルールにより「D001’、D002’、D003’」と識別・加工されたデータを「3600秒毎」に、送信先定義ID「T001’」で定義された送信先に送信する。この例では、符号831で定義されている送信先定義ID「T001’」は、緊急度にかかわらず、「M2Mサーバ」にデータを送信する、という意味である。
【0061】
符号824の例では、加工処理「P004」で「異常検知」した場合に、「D104’」と識別・加工されたデータを送信先定義ID「T002’」で定義された送信先に送信する。図8(b)に示す例では、符号832〜833で定義されている送信先定義ID「T002’」は、緊急度によって送信先を変えており、緊急度1以上4未満のように緊急度が高い場合は、「M2Mサーバ、携帯電話機」にデータを送信し、緊急度が4以上の場合には、「M2Mサーバ」のみにデータを送信する、という意味である。緊急度1以上4未満のように緊急度が高い場合に、「M2Mサーバ、装置B、装置C」にデータを送信するようにしても良い。
【0062】
図9は、装置Aがセンサ群からデータをゲートウェイ装置で変換・加工し、異常を検知してから、結果を送信するまでの一連の処理の流れを説明した図である。
【0063】
(ステップ911)
装置A110のゲートウェイ装置112は、データ受信部201を使って、センサ群111からローカルネットワークを通してデータ(AAA等)を取得する。
【0064】
(ステップ912)
ステップ911で取得したデータは、データ変換部212の変換ルールに従ってデータの変換処理を行なう。例えば、収集データID「AAA」というデータを受信した場合、図3の符号311・312のルールに従った処理を行う。つまり、受信データの0から2バイトをint16型に変換し、「エンジン冷却水温度」を示す識別子「C001」とともにメモリに格納、さらに受信データの2から4バイトをuint16型に変換し、「エンジン回転数」を示す識別子「C002」とともにメモリに格納する。
【0065】
(ステップ913)
ステップ912で格納されたメモリ上のデータに対して、データ加工部213の加工ルールに従って加工処理を行う。例えば「C001」で識別されるデータについては、符号421に示した処理が行われる。つまり、1分間の平均値を、「D001」という識別子とともにメモリ上に格納する。平均値を取得した後、符号431〜434のルールに従って閾値を判定し、判定結果に応じた緊急度を「D011」という識別子とともにメモリ上に格納する。例では、計算により求めた平均値が0以上80未満の場合、正常と判定し、それ以外の場合は符号413の「緊急度の設定方法」に応じた結果を緊急度として設定する。
【0066】
(ステップ914)
ステップ913で格納されたメモリ上のデータに対して、第1データ送信部214の送信ルールに従って送信処理を行なう。例えば「P001」で識別される加工処理については、閾値判定で異常を検知した場合、図5の符号522に示した処理が行なわれる。符号522の処理では、「D001、D011」で識別される加工データととともにデータ種別が送信される。送信先は、図5の符号532〜534のルールに従って、「D011」に設定されている緊急度に応じて決定される。緊急度が10以上のように緊急度が低い場合には、M2Mサーバにだけデータを送信する。緊急度4〜9のように比較的高い場合は、M2Mサーバ、装置B、装置Cにデータを送信し、緊急度1〜3のようにかなり高い場合には、さらに携帯電話機に送信する。
【0067】
異常を検知したデータを装置B、装置Cに送信する場合、収集データID「EEE」として送信する。
【0068】
(ステップ921)
ステップ914にて送信された収集データID「EEE’」のデータを装置B、装置Cで受信する処理である。収集データID「EEE’」のデータは、異常データ種別・異常データ値・異常データ緊急度の組でステップ914から送信される。
【0069】
(ステップ922)
装置B、装置Cが収集データID「EEE’」のデータを受信した場合、図6の符号614〜616のルールに従った処理を行う。つまり、受信データの0から1バイトをuint8型に変換し、「異常データ種別」を示す識別子「C101’」とともにメモリに格納、受信データの1から5バイトをint32型に変換し、「異常データ値」を示す識別子「C102’」とともにメモリに格納し、受信データの5から6バイトをuint8型に変換し、「異常データ緊急度」を示す識別子「C103’」とともにメモリに格納する。
【0070】
(ステップ923)
ステップ922で格納されたメモリ上のデータに対して、図7の符号724に示した処理が行われる。つまり、「C101’」で識別される「異常データ種別」と「C103’」で識別される「異常データ緊急度」から、図7の符号731〜736のルールに従って、抽出部(図示せず)が、影響する処理や部品を抽出し、「D104’」という識別子とともにメモリ上に格納する。例では、データ種別がエンジン冷却水温度で、緊急度が4以上10未満の場合、影響する処理や部品として、処理A、処理B、部品Cが「D104’」に設定される。
【0071】
(ステップ924)
ステップ923で格納されたメモリ上のデータに対して、図8の符号824の送信ルールに示した処理が行なわれる。つまり、図8の符号824の処理では、「D104’」で識別される加工データが送信される。送信先は、図8の符号832・833のルールに従って、緊急度に応じて決定される。緊急度が4以上のように緊急度が比較的低い場合には、M2Mサーバにだけデータを送信する。緊急度1〜3のようにかなり高い場合には、M2Mサーバと携帯電話機に送信する。
【0072】
(ステップ931)
M2Mサーバ150は、ステップ914、ステップ924にて送信されたデータを、インターネット140を通して装置A、装置B、装置Cから取得する。送信されたデータから機器の稼動状況や故障予兆などを分析する。また、異常検知した情報が送られた場合は、送られた情報を元に対応を行なう。
【0073】
(ステップ941)
携帯電話機160-1〜nは、ステップ914、ステップ924にて送信されたデータを、インターネットを通して装置A、装置B、装置Cから取得する。図1Bは携帯電話160-1に送られたデータに基づく表示部163への警告表示例を示す図である。図1Bに示すように、携帯電話160−1には、例えば運転中の自動車の状態を示す表示領域165と、データ種別(ここでは、冷却水温度が示されている。)と、警告に関するアドバイス表示169とがなされている。警告に関するアドバイス表示169は、例えば、図7を参照して前述したように、エンジン冷却水温度712に緊急度713に基づいて、影響する処理や部品欄714より、エンジンの冷却水の温度センサが異常となると、自動車を減速する、エンジンの回転数を低減する、などの方法を自動制御又は表示による運転者等への報知を行わせるようにする。
尚、装置A、B,C、M2Mサーバでの表示も同様で良い。携帯電話機へのデータ送信は、緊急度が高い異常を検知した場合に、保守員への自動連絡などで使用される。
【0074】
以上のように、本実施の形態によれば、センサから収集したデータに対し、ルールに従って変換・加工・閾値判定を行なうゲートウェイ装置において、データ加工時に異常値を検知した場合、加工結果に応じて緊急度を設定できるようになる。また、緊急度に応じて、異常の通知先の変更や、緊急度に影響されない処理、部品を抽出することができる。
【0075】
処理および制御は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)によるソフトウェア処理、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)によるハードウェア処理によって実現することができる。
【0076】
また、上記の実施の形態において、添付図面に図示されている構成等については、これらに限定されるものではなく、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0077】
また、本発明の各構成要素は、任意に取捨選択することができ、取捨選択した構成を具備する発明も本発明に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、センタデータの収システムとして利用可能である。
【符号の説明】
【0079】
110…装置A
111…センサ群
112…ゲートウェイ装置
112a…表示部
120…装置B
130…装置C
140…インターネット(ネットワーク)
150…M2Mサーバ(データ収集サーバ)
160-1〜n…携帯電話機(携帯端末)
201…受信部
202…第2データ送信部
211…ルール取得部
212…データ変換部
213…データ加工部
214…第1データ送信部
231…メモリ
221-1〜n…センサ
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9