(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6371205
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】電気接続箱の排水構造
(51)【国際特許分類】
H02G 3/16 20060101AFI20180730BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20180730BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20180730BHJP
H01R 13/52 20060101ALI20180730BHJP
【FI】
H02G3/16
B60R16/02 610B
H05K5/02 L
H01R13/52 D
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-244064(P2014-244064)
(22)【出願日】2014年12月2日
(65)【公開番号】特開2016-111733(P2016-111733A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2017年10月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(72)【発明者】
【氏名】尾賀 勇也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 晋也
(72)【発明者】
【氏名】乾 裕
(72)【発明者】
【氏名】中西 雷太
【審査官】
久保 正典
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−290941(JP,A)
【文献】
実開昭63−004116(JP,U)
【文献】
特開2004−186039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/16
B60R 16/02
H01R 13/52
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、該ケースの内部に収容された回路基板を備え、前記ケースの表面に設けられたコネクタ装着部には、前記回路基板に突設された複数の基板端子の先端部分が配設されている電気接続箱の排水構造であって、
前記コネクタ装着部の底面には、前記複数の基板端子の先端部分がまとめて挿通可能な開口窓が形成されている一方、
前記コネクタ装着部の底面と前記回路基板の対向面間には、前記開口窓を覆蓋する止水壁が配設されており、
前記止水壁には、各前記基板端子を個別に挿通する複数の端子挿通孔が貫設されていると共に、前記止水壁が、前記回路基板に載置されており且つ該回路基板に接続される電気部品が装着される部品装着部を備えた第1のホルダー部材に一体形成されており、前記止水壁と前記第1のホルダー部材に跨って、前記開口窓から浸入した水を前記ケース外に導く排水路が設けられている
ことを特徴とする電気接続箱の排水構造。
【請求項2】
前記電気接続箱が前記回路基板が直立する状態で車両に搭載されるものであり、前記第1のホルダー部材の上側に位置する周壁部に前記止水壁が突設されている一方、前記排水路が前記止水壁の下端部から前記第1のホルダー部材の側方に位置する前記周壁部の外面に沿って下方に延びるように設けられている請求項1に記載の電気接続箱の排水構造。
【請求項3】
前記回路基板の下方端部に、前記ケースの下方開口部を覆う第2のホルダー部材が設けられており、該第2のホルダー部材の凹所と前記ケースの内面の間の設けられた開口隙間に前記排水路が連接されている請求項2に記載の電気接続箱の排水構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケースの表面にコネクタ装着部が設けられた電気接続箱の排水構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車の電装系の適所には、各種の車載電気機器への電力の分配や制御を行う電気接続箱が設けられている。このような電気接続箱は、例えば特開2014−138518号公報(特許文献1)に記載されているように、ケースと、ケース内部に収容されて内部回路を構成する回路基板を含んで構成されている。そして、ケースの表面に突設されたコネクタ装着部に対して外部の電線端末に設けられたコネクタが装着されるようになっている。
【0003】
ところで、ケースの表面に設けられたコネクタ装着部には、回路基板に突設された基板端子の先端部分がコネクタ装着部の底面に設けられた端子挿通孔を挿通して配設されており、コネクタ装着部に装着されたコネクタに設けられたコネクタ端子に圧接されて接続されるようになっている。
【0004】
ここで、コネクタ装着部の底面には、コネクタに設けられた電線からコネクタの外面を伝って水が浸入するおそれがあり、かかる水が底面に設けられた端子挿通孔からケース内に浸入して回路基板が被水する可能性がある。それ故、コネクタ装着部の底面の止水性を確保するために、端子挿通孔を出来る限り小さくして、端子挿通孔と基板端子の間の隙間を極力小さくすることが求められている。
【0005】
しかしながら、コネクタ装着部の底面はケース表面の一部であることから、ケース成形時にケース全体のヒケ等の影響を受ける。それ故、端子挿通孔の寸法精度を高めるには限界があり、寸法公差によっては、端子挿通孔と基板端子の間に大きな隙間が形成され、ケース内部へ水が浸入して回路基板が被水することを阻止できない可能性もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−138518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、コネクタ装着部の底面から侵入した水を速やかにケース外に排水して回路基板の被水を防止することができる、新規な電気接続箱の排水構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様は、ケースと、該ケースの内部に収容された回路基板を備え、前記ケースの表面に設けられたコネクタ装着部には、前記回路基板に突設された複数の基板端子の先端部分が配設されている電気接続箱の排水構造であって、前記コネクタ装着部の底面には、前記複数の基板端子の先端部分がまとめて挿通可能な開口窓が形成されている一方、前記コネクタ装着部の底面と前記回路基板の対向面間には、前記開口窓を覆蓋する止水壁が配設されており、前記止水壁には、各前記基板端子を個別に挿通する複数の端子挿通孔が貫設されていると共に、前記止水壁が、前記回路基板に載置されており且つ該回路基板に接続される電気部品が装着される部品装着部を備えた第1のホルダー部材に一体形成されており、前記止水壁と前記第1のホルダー部材に跨って、前記開口窓から浸入した水を前記ケース外に導く排水路が設けられていることを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、ケース全体のヒケ等の影響を受けやすいコネクタ装着部の底面には、複数の基板端子の先端部分をまとめて挿通可能な大きな開口窓を設ける一方、基板端子を個別に挿通する端子挿通孔を、コネクタ装着部の底面ではなく、ケースと別体でケースよりも小さな部品、即ち、回路基板に載置されており且つ回路基板に接続される電気部品が装着される部品装着部を備えた第1のホルダー部材に一体形成された止水壁に設けられている。従って、ケース全体のヒケ等の影響を受けやすいコネクタ装着部の底面に端子挿通孔を設ける場合に比して、端子挿通孔の寸法精度を高めることができる。その結果、従来構造に比して、端子挿通孔と基板端子の間に大きな隙間が発生することを未然に防止することができる。
【0010】
しかも、コネクタ装着部の底面と回路基板の対向面間には、底面に設けた開口窓を覆蓋する止水壁が配設されていることから、かかる止水壁により開口窓から浸入した水が回路基板に至ることを阻止して、回路基板の被水を防止することができる。
【0011】
加えて、止水壁は回路基板上に搭載された第1のホルダー部材に一体形成されていることから、止水壁をケースと回路基板の間に配設保持する特別な部品を設ける必要がなく、止水壁で回路基板側への浸入を阻止した水をケース外に導く排水路も止水壁と第1のホルダー部材を用いて設けることができる。従って、部品点数の増加を招くことなく回路基板の被水を防止する排水構造をスペース効率よく設けることが可能となる。
【0012】
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載のものにおいて、前記電気接続箱が前記回路基板が直立する状態で車両に搭載されるものであり、前記第1のホルダー部材の上側に位置する周壁部に前記止水壁が突設されている一方、前記排水路が前記止水壁の下端部から前記第1のホルダー部材の側方に位置する前記周壁部の外面に沿って下方に延びるように設けられているものである。
【0013】
本態様によれば、直立状態で配設された回路基板に搭載された第1のホルダー部材の上側に位置する周壁部に止水壁が突設されていることから、開口窓から内部に浸入して止水壁に至った水が、止水壁を伝って速やかに下方に導かれる。さらに、止水壁の下端部から第1のホルダ部材の側方に位置する周壁部の外面に沿って下方に延びるように排水路が形成されていることから、第1のホルダー部材の周壁部に沿って、スペース効率よく排水路を設けることができる。
【0014】
本発明の第三の態様は、前記第二の態様に記載のものにおいて、前記回路基板の下方端部に、前記ケースの下方開口部を覆う第2のホルダー部材が設けられており、該第2のホルダー部材の凹所と前記ケースの内面の間の設けられた開口隙間に前記排水路が連接されているものである。
【0015】
本態様によれば、ケースの下方開口部を覆う第2のホルダー部材に凹所を設ける簡単な構造により、排水路をケースの下方から外部に接続することができ、何らの部品点数の増加を招くことなく、確実な排水構造を有利に設けることが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明においては、ケース全体のヒケ等の影響を受けやすいコネクタ装着部の底面には大きな開口窓を設ける一方、端子挿通孔をケースよりも小さな部品である第1のホルダー部材に一体形成された止水壁に設けた。これにより、ケース全体のヒケ等の影響を受けやすいコネクタ装着部の底面に端子挿通孔を設ける場合に比して、端子挿通孔の寸法精度を高めることができる。それ故、従来構造に比して、端子挿通孔と基板端子の間に大きな隙間が発生することを未然に防止できる。しかも、コネクタ装着部の底面に設けた開口窓を覆蓋する止水壁が配設されていることから、かかる止水壁により開口窓から浸入した水による回路基板の被水を防止できる。加えて、止水壁は回路基板上に搭載された第1のホルダー部材に一体形成されていることから、止水壁をケースと回路基板の間に配設保持する特別な部品を設ける必要がなく、止水壁に到った水をケース外に導く排水路も止水壁と第1のホルダー部材を用いて設けることができる。それ故、部品点数の増加を招くことなく回路基板の被水を防止する排水構造をスペース効率よく設けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態としての電気接続箱の排水構造を示す分解斜視図。
【
図2】
図1に示す電気接続箱の組付状態の斜視図(但し、ケースを除く)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0019】
図1〜6には、本発明の一実施形態に従う電気接続箱の排水構造が示されている。電気接続箱10は、例えば、サブボックスとして機能するものであり、リレーボックス等のメインボックスとしての他の電気接続箱内に収容されて、自動車等の車輌に搭載されて用いられており、ケース12と、ケース12内に収容される回路基板14と、を備えて構成されている。なお、以下の説明において、上方とは、
図1中の上方、下方とは、
図1中の下方、前方とは、
図1中の左方、後方とは、
図1中の右方を言うものとする。
【0020】
ケース12は、
図1及び
図4に示されているように、カバー16と、第1のホルダー部材としてのリレーホルダー18と、第2のホルダー部材としてのコネクタハウジング20とを備えて構成されている。カバー16は、略矩形状の前方開口部22と略長手矩形状の下方開口部24を有する箱体形状とされており、前方開口部22がリレーホルダー18によって覆蓋されるようになっている一方、下方開口部24がコネクタハウジング20によって覆蓋されるようになっている。ここで、カバー16とリレーホルダー18とコネクタハウジング20はいずれも、例えばポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)等の合成樹脂により射出成形等によって一体形成されている。
【0021】
カバー16の前面の右斜め上方には、
図1及び
図4に示されているように、略矩形筒体状のフード部26が前方に向かって突出形成されている。かかるフード部26の内面によって、前方に向かって開口するコネクタ装着部28が形成されている。コネクタ装着部28の底面には、カバー16の前面を板厚方向に貫通する正面視で略矩形状の開口窓30が形成されている(
図1、
図4参照)。かかる開口窓30は後述する止水壁42によって覆蓋されており、止水壁42の端子挿通孔44に挿通された4つの基板端子70の先端部分が配設されている。すなわち、開口窓30は4つの基板端子70の先端部分がまとめて挿通可能な大きさとされている。また、カバー16には、前面の下方両側の2箇所と後面の下側の3箇所に略矩形状の係合孔32が貫設されている。
【0022】
リレーホルダー18は、
図1〜4に示されているように、全体として略矩形ブロック形状を呈している一方、リレーホルダー18の前面には、前方に向かって開口形成された部品装着部たる2つのリレー装着部34が設けられている。かかるリレー装着部34には、回路基板14に接続される図示しない電気部品たるリレーが装着されている。そして、一方のリレー装着部34の底壁には、4つのタブ端子挿通孔36(
図4参照)が前後方向に貫設されている。なお、他方のリレー装着部34の底壁には、異なる車種や車のグレードに応じてタブ端子挿通孔36が設けられるようになっている。また、リレーホルダー18の前面の下端部の両側には、前方に向かって突出する係合突起38が設けられている。
【0023】
さらに、リレーホルダー18の上側に位置する周壁部40aの基端部の右側には、リレーホルダー18に一体形成されて、上方に向かって正面視で略矩形状で突出する止水壁42が設けられている。止水壁42には、後述する基板端子70を個別に挿通する4つの端子挿通孔44が貫設されている。また、リレーホルダー18には、止水壁42の下端部からリレーホルダー18の側方に位置する周壁部40bの外面に沿って下方に向かって延びる溝状の排水路46が設けられている。加えて、リレーホルダー18の周壁部40aの基端部の左側には、上方に向かって突出する係合突起48が設けられている。
【0024】
コネクタハウジング20は、
図1及び
図5に示されているように、全体として長手矩形ブロック形状を呈している。コネクタハウジング20の底面には、下方に向かって開口形成された3つのコネクタ装着部50が設けられている(
図5参照)。また、コネクタハウジング20の前面の両側には、前方に向かって突出する係合突起52が設けられている。さらに、コネクタハウジング20の上面の前方寄りの両側には、上方に向かって延出する略矩形状の係合枠54が設けられている一方、コネクタハウジング20の上面の後端の両端部には、上方に向かって突出し且つ上方並びに内方に向かって開口する略コの字状断面形状の係合部56が設けられている。加えて、コネクタハウジング20の手前側の側面の中央部には、側方及び上下方向に向かって開口する側面視で略矩形状の凹所58が設けられている。
【0025】
図1〜3に示されているように、回路基板14は略矩形の板形状とされており、複数のバスバー60の導電路を埋設状態で覆うバスバーモールド基板62を含んで構成されている。また、回路基板14は、バスバーモールド基板62の表面に載置される複数の表層バスバー64を備えて構成されている。さらに、バスバーモールド基板62の表面には、図示のようなリレー66のほか、集積回路等の半導体素子やその他の電気回路素子等が適宜実装されている。加えて、バスバーモールド基板62の中央部分には、前方に向かって突出する枠体状の係合枠68が設けられている。ここで、バスバー60と表層バスバー64はそれぞれ、導電性金属板がプレス打ち抜き及び屈曲加工されて形成されている。
【0026】
図1に示されているように、バスバー60の基板端子70がバスバーモールド基板62から突設されている一方、表層バスバー64の基板端子70は、バスバーモールド基板62の表面に対して突設されて構成されている。
【0027】
そして、
図1に示されているように、このような構成とされた回路基板14が、ケース12内に収容される。まず、回路基板14の前方からリレーホルダー18が、回路基板14の表面側の下側中央部分の所定位置に装着される。これにより、リレーホルダー18の上面に設けられた係合突起48が、回路基板14に設けられた係合枠68に係合して、リレーホルダー18の上側が回路基板14に対して固定される。これにより、リレー装着部34のタブ端子挿通孔36及び止水壁42の端子挿通孔44に対して、バスバー60と表層バスバー64の基板端子70の先端部分が挿通配置されるようになっている。
【0028】
次に、リレーホルダー18が装着された回路基板14の下方端部に、コネクタハウジング20が装着される。より詳細には、回路基板14の側面に対してコネクタハウジング20の係合部56の内面側が挿入されることで、コネクタハウジング20が回路基板14に対して固定される。加えて、コネクタハウジング20の上面の両側に設けられた係合枠54が、リレーホルダー18の係合突起38と係合することにより、リレーホルダー18が上側のみならず下側も回路基板14に対して固定されるようになっている。
【0029】
最後に、リレーホルダー18とコネクタハウジング20が装着された回路基板14の上方から、カバー16が装着される。これにより、カバー16の係合孔32に対して、コネクタハウジング20の前面に設けられた係合突起52や後面に設けられた図示しない係合突起が係合されることで、リレーホルダー18とコネクタハウジング20が装着された回路基板14がカバー16に対して覆蓋状態で収容固定されるようになっている。また、カバー16のコネクタ装着部28の底面と回路基板14の対向面間にリレーホルダー18の止水壁42が配設されることにより、止水壁42により開口窓30が覆蓋されるようになっている。以上の結果、ケース12内に回路基板14が収容された状態で、回路基板14に導通する基板端子70の先端部分が、ケース12に開口形成されたコネクタ装着部28,50及びリレー装着部34に配設されて、電気接続箱10が完成されるのである。
【0030】
電気接続箱10は、回路基板14が直立する状態で車両に搭載される。かかる状態において、コネクタ装着部28の開口窓30から浸入した水は、
図3及び
図6に示されているように、止水壁42とリレーホルダー18に跨って形成された排水路46を伝ってケース12外に導かれる。より詳細には、排水路46の下端部まで導かれた水は、排水路46の下端部に連接された開口隙間72を通してケース12外に導かれる。ここで、開口隙間72は、コネクタハウジング20の凹所58とカバー16の内面の間に上下方向に開口するように設けられている(
図6参照)。
【0031】
このような構造とされた本実施形態の電気接続箱10によれば、コネクタ装着部28において、基板端子70を個別に挿通する端子挿通孔44が、ケース12と別体でケース12よりも小さな部品であるリレーホルダー18に一体形成された止水壁42に設けられている。これにより、製造時のヒケ等の影響を受け難くすることができることから、端子挿通孔44の寸法精度を高めることができる。それ故、従来に比べて、端子挿通孔44と基板端子70の間に大きな隙間が発生することを未然に防止することができる。
【0032】
加えて、コネクタ装着部28の底面に設けられた開口窓30と回路基板14の間には、開口窓30を覆蓋する止水壁42が配設されていることから、開口窓30から浸入した水により回路基板14が被水することを防止できる。また、止水壁42がリレーホルダー18に一体形成されていることから、新たに部品を追加する必要がない。しかも、開口窓30を通して止水壁42に到達した水をケース12外に導く排水路46も止水壁42と第1のリレーホルダー18を用いて設けられていることから、部品点数の増加を招くことなく電気接続箱の排水構造をスペース効率よく設けることが可能となっている。
【0033】
加えて、回路基板14が直立する車両搭載時において、止水壁42が、回路基板14に装着されたリレーホルダー18の上側に位置する周壁部40aから上方に向かって突設されていることから、開口窓30から浸入して止水壁42に至った水は、止水壁42の下端部に導かれる。そして、止水壁42の下端部からリレーホルダー18の側方に位置する周壁部40bの外面に沿って下方に延びるように形成された排水路46を用いることにより、かかる水をケース12外に導くことができる。より詳細には、排水路46の下端部まで導かれた水は、排水路46の下端部に連接された開口隙間72を通してケース12外に導かれる。すなわち、コネクタハウジング20に凹所58を設けるだけで、排水路46の下端部をケース12外に接続することができることから、何らの部品点数の増加を招くことなく、確実な排水構造を有利に設けることが可能となるのである。
【0034】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、上記実施形態では、コネクタ装着部28の開口窓30から浸入した水は、止水壁42とリレーホルダー18に跨って形成された排水路46とコネクタハウジング20に設けられた開口隙間72を伝って、ケース12外に排水されていた。かかる排水径路(排水路46と開口隙間72)は、止水壁42とリレーホルダー18等の単一のホルダー部材によって形成されていてもよいし、3つ以上のホルダー部材によって形成されていてもよい。また、回路基板14は例示のバスバーモールド基板62に限らず、プリント基板や布線絶縁板等で構成してもよい。
【符号の説明】
【0035】
10:電気接続箱、12:ケース、14:回路基板、16:カバー(ケース)、18:リレーホルダー(第1のホルダー部材)(ケース)、20:コネクタハウジング(第2のホルダー部材)(ケース)、24:下方開口部、28:コネクタ装着部、30:開口窓、34:リレー装着部(部品装着部)、40a,b:周壁部、42:止水壁、44:端子挿通孔、46:排水路、58:凹所、70:基板端子、72:開口隙間