(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上階側に配置される上階ユニットの一部が下階側に配置される下階ユニットよりも屋外側に張り出したオーバーハング部を有するユニット式建物において、前記オーバーハング部に外壁材を取り付けるための外壁材保持ブラケットであって、
屋外側に張り出した前記上階ユニットの床梁に固定される基部と、
外壁材の下端を前記下階ユニットの天井の高さ位置に揃えて固定するための外壁材固定部と、
を備えたことを特徴とする外壁材保持ブラケット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オーバーハング部を有するユニット式建物において、下階ユニットの天井材はそのユニットの天井梁に取り付けられ、オーバーハング部の軒天の天井材はそのユニットの床梁に取り付けられるため、下階ユニットの天井とオーバーハング部の天井とに段差が生じてしまい、見栄えが悪くなることがある。
【0005】
本発明の目的は、オーバーハング部に外壁材を取り付けて見栄えを改善することを可能にする外壁材保持ブラケットと、その外壁材保持ブラケットを用いて天井の段差を無くしたユニット式建物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、例えば
図1〜
図9に示すように、
上階側に配置される上階ユニット200(ハンガーユニット200a、バルコニーユニット200b)の一部が下階側に配置される下階ユニット100(建物ユニット30)よりも屋外側に張り出したオーバーハング部40を有するユニット式建物1において、前記オーバーハング部40に外壁材(幕板42)を取り付けるための外壁材保持ブラケット50,60であって、
屋外側に張り出した前記上階ユニット(ハンガーユニット200a、バルコニーユニット200b)の床梁210に固定される基部51,61と、
外壁材(幕板42,外壁パネル220)の下端を前記下階ユニット100(建物ユニット30)の天井120の高さ位置に揃えて固定するための外壁材固定部55,65と、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、外壁材保持ブラケット50,60を用いることで、オーバーハング部40の下面側に外壁材(幕板42,外壁パネル220)を取り付けることができ、その外壁材(幕板42,外壁パネル220)の下端を下階ユニット100(建物ユニット30)の天井120の高さ位置に揃えることで、下階ユニット100(建物ユニット30)の天井120とオーバーハング部40との段差が視認し難くなる。それによって、オーバーハング部40の見栄えを改善することができる。
また例えば、その外壁材保持ブラケット50,60の近傍まで、下階ユニット100(建物ユニット30)の天井120を構成する天井材を延在させて設置すれば、オーバーハング部40の軒天を下階ユニット100(建物ユニット30)の天井120に揃えることができる。こうして外壁材保持ブラケット50、60を用いてオーバーハング部40の下面側に外壁材(幕板42,外壁パネル220)を取り付け、その外壁材(幕板42,外壁パネル220)の近傍まで天井材を延在させれば、オーバーハング部40の軒天が下階ユニット100(建物ユニット30)の天井120と連続するようになり、すっきりとした見栄えのよい外観を呈するようになる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、例えば
図2〜
図4、
図9に示すように、
請求項1に記載の外壁材保持ブラケット50,60において、
前記外壁材固定部55,65は、
前記下階ユニット100(建物ユニット30)の天井梁110(補強梁38a)の梁成と略同じ長さを有するブラケット本体53,63と、
前記外壁材(幕板42,外壁パネル220)の下面を支持する下支部52,62と、
を備え、
前記基部51,61と前記下支部52,62は、前記ブラケット本体53,63と垂直な板面を有し、かつ互いに水平方向に平行な板面を有しており、
前記基部51,61は、前記床梁210の下面に固定されることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、外壁材保持ブラケット50,60を用いてオーバーハング部40に取り付ける外壁材(幕板42,外壁パネル220)の下端を、下階ユニット100(建物ユニット30)の天井の高さ位置に揃えやすくなる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、例えば
図2〜
図4、
図9に示すように、
請求項2に記載の外壁材保持ブラケット50,60において、
前記下支部52,62は前記ブラケット本体53,63の下端に設けられ、前記基部51,61は前記ブラケット本体53,63の上端に設けられており、
前記下支部52,62は前記ブラケット本体53,63の下端から前記床梁210よりも屋外側に突出しており、
前記下支部52,62の上面側が前記外壁材(幕板42,外壁パネル220)の取付用スペースとされていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、外壁材保持ブラケット50,60の下支部52,62の上面側に、上階ユニット(ハンガーユニット200a、バルコニーユニット200b)の外壁の表面と略面一とするように外壁材(幕板42,外壁パネル220)を取り付けやすくなり、その下支部52,62によって外壁材(幕板42,外壁パネル220)を支持することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、例えば
図2〜
図4、
図9に示すように、
請求項2又は3に記載の外壁材保持ブラケット50,60において、
前記基部51,61と前記ブラケット本体53,63のそれぞれに垂直に接する補強板部54,64を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、補強板部54,64によって外壁材保持ブラケット50,60の剛性を高めることができ、天井材41をより安定した状態で固定することが可能になる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、例えば
図1〜
図2、
図4に示すように、
請求項1〜4の何れか一項に記載の外壁材保持ブラケット50,60を用いて前記オーバーハング部40に外壁材(幕板42,外壁パネル220)を取り付けたユニット式建物1において、
前記下階ユニット100(建物ユニット30)天井材41を前記外壁材保持ブラケット50,60の近傍まで延在させ、前記上階ユニット(ハンガーユニット200a、バルコニーユニット200b)と前記天井材41の間に収納空間43を形成したことを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、下階ユニット100の天井材41を外壁材保持ブラケット50の近傍まで延在させたことによって形成できる収納空間43によって利便性の向上を図ることができる。
例えば、収納空間43は、下階ユニット100の窓開口部を塞ぐシャッターを収納するシャッターボックスを収める空間として利用することができる。また、収納空間43は、例えば、上階ユニット(ハンガーユニット200a)を居室とした際の床下収納部を収める空間として利用することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、オーバーハング部に外壁材を取り付けて見栄えを改善することを可能にする外壁材保持ブラケットと、その外壁材保持ブラケットを用いて天井の段差を無くしたユニット式建物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明に係る外壁材保持ブラケット及びユニット式建物の実施形態について詳細に説明する。
【0019】
(実施形態1)
図1は、上階側に配置される上階ユニット200の一部が下階側に配置される下階ユニット100よりも屋外側に張り出したオーバーハング部40を有するユニット式建物1を示す概略図である。
図1(a)は、上階ユニットとしてのハンガーユニット200aによってオーバーハング部40が形成されているユニット式建物1である。
図1(b)は、上階ユニットとしてのバルコニーユニット200bによってオーバーハング部40が形成されているユニット式建物1である。
【0020】
概略的に説明すると、ユニット式建物1は、例えば工場で生産された直方体フレーム状の複数の下階ユニットを建築現場の基礎上で水平方向に配置し、さらに下階ユニット上に同様の上階ユニットを配置して住宅本体を形成し、さらに上階ユニット上に屋根を配置することで建てられている。なお、下階ユニットは、図示はしないが、アンカーボルトを介して基礎に接合されている。
これらの建物ユニット(上階ユニット、下階ユニット)は、例えば、長方形の四隅に相当する位置に立設された四本の柱と、隣接する柱の下端部同士を連結する四本の床梁(下梁)と、隣接する柱の上端部同士を連結する四本の天井梁(上梁)とを骨組みしてなる箱型のフレームを有する。この箱型のフレームの下面側に床、フレームの上面側に天井、フレームの側面側に壁が工場において組み付けられて、略直方体状の建物ユニットが形成される。
特に、オーバーハング部40を形成する建物ユニットとしては、通常の建物ユニットよりもサイズが小さく設計され、かつ隣接する建物ユニット(上階ユニット)に連結されるハンガーユニット200aやバルコニーユニット200bが用いられている。なお、バルコニーユニット200bは天井梁のない構成の建物ユニットである。
【0021】
そして、
図1(a)(b)に示したユニット式建物1のオーバーハング部40の下面には、外壁材保持ブラケット50によって外壁材である幕板42が取り付けられており、この外壁材保持ブラケット50(幕板42)の近傍まで下階ユニット100の天井120を構成する天井材41を延在させて設置している。
例えば、
図2に示すように、ハンガーユニット200a(またはバルコニーユニット200b)の床梁210のうち、下階ユニット100から離間した側の床梁210に外壁材保持ブラケット50が固定されており、外壁材保持ブラケット50によってハンガーユニット200aの外壁の表面と略面一となる幕板42が取り付けられている。
この外壁材保持ブラケット50は、床梁210の長手方向に所定間隔をあけて複数取り付けられている。また、床梁210の長手方向に長尺な外壁材保持ブラケット50であってもよい。例えば、床梁210とほぼ同じ長さの外壁材保持ブラケット50であれば、床梁210に1つ取り付ければよい。
なお、下階ユニット100の天井梁110よりも外壁材保持ブラケット50側(幕板42側)に延在した天井材41は、ハンガーユニット200aの床根太の側面に配設された吊木の下端に取り付けられた野縁41aに固定されている。また天井材41の端部には、下端水切り材41bが取り付けられており、その下端水切り材41bと幕板42の間にはウレタンシーリング41cが充填されている。
【0022】
外壁材保持ブラケット50は、例えば
図3(a)(b)(c)に示すように、上階ユニットとしてのハンガーユニット200aの床梁210の下面に固定される基部51と、外壁材としての幕板42の下端を下階ユニット100の天井120の高さ位置に揃えて固定するための外壁材固定部55と、を備えている。
外壁材固定部55は、下階ユニット100の天井梁110の梁成と略同じ長さを有するブラケット本体53と、幕板42の下面を支持する下支部52と、を備えている。
基部51と下支部52は、ブラケット本体53と垂直な板面を有し、かつ互いに水平方向に平行な板面を有している。
この外壁材保持ブラケット50によって、幕板42がハンガーユニット200aの外壁の表面と略面一となるようにオーバーハング部40に固定されている。
【0023】
具体的に、ブラケット本体53の長手方向(上下方向)の寸法は、下階ユニット100の天井梁110の梁成と略同じ長さを有しており、下支部52はブラケット本体53の一方の面側の下端に設けられ、基部51はブラケット本体53の他方の面側の上端に設けられている。また、基部51とブラケット本体53のそれぞれに垂直に接する補強板部54が、ブラケット本体53の他方の面側に設けられている。
【0024】
基部51には、外壁材保持ブラケット50を床梁210に固定する際にボルトを挿通させるボルト穴51aが形成されている。ブラケット本体53には、外壁材保持ブラケット50に幕板42を固定する際にボルトを挿通させる長穴53aが形成されている。
【0025】
また、下支部52の上面側に幕板42が固定されている。この幕板42は、ハンガーユニット200aの外壁パネル220の下側に、外壁パネル220と略面一となるように取り付けられている。なお、外壁材保持ブラケット50が床梁210に取り付けられた状態で、下支部52はブラケット本体53の下端から床梁210よりも屋外側に突出しており、その床梁210よりも屋外側に突出した下支部52の上面側であって、かつハンガーユニット200aの屋外側面に設けられた外壁パネル220の下側が、その外壁パネル220と略面一となる幕板42の取付用スペースとされている。
【0026】
このように、外壁材保持ブラケット50を用いることで、オーバーハング部40の下面にハンガーユニット200aの外壁の表面と略面一となる幕板42を取り付けることができ、その幕板42の下端を下階ユニット100の天井120の高さ位置に揃えたことで、下階ユニット100の天井120とオーバーハング部40との段差が視認し難くなる。それによって、オーバーハング部40の見栄えを改善することができる。
特に、その外壁材保持ブラケット50(幕板42)の近傍まで、下階ユニット100の天井120を構成する天井材41を延在させて設置したことで、オーバーハング部40の軒天を下階ユニット100の天井120に揃えることができる。
こうして外壁材保持ブラケット50を用いてオーバーハング部40の下面に幕板42を取り付け、その幕板42の近傍まで天井材41を延在させて配設したユニット式建物1であれば、オーバーハング部40の軒天が下階ユニット100の天井120と連続するようになり、すっきりとした見栄えのよい外観を呈するようになる。
【0027】
また、外壁材保持ブラケット50(幕板42)の近傍まで、下階ユニット100の天井120を構成する天井材41を延在させて、オーバーハング部40の下面に天井材41を設置したことで、上階ユニットとしてのハンガーユニット200aと天井材41の間に収納空間43を形成することができる。
この収納空間43は、例えば、下階ユニット100の窓開口部を塞ぐシャッターを収納するシャッターボックスを収める空間として利用することができる。
また、この収納空間43は、例えば、ハンガーユニット200aを居室とした際の床下収納部を収める空間として利用することができる。
【0028】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、
図4に示すように、ハンガーユニット200aの外壁材である外壁パネル220の下端を下階ユニット100の天井120の高さ位置に揃えるように、外壁材保持ブラケット50で外壁パネル22を固定するとともに、その外壁パネル220の下端を下支部52で支えるようにすることもできる。
このようにしても、下階ユニット100の天井120とオーバーハング部40との段差が視認し難くなるので、オーバーハング部40の見栄えを改善することができる。
また、その外壁材保持ブラケット50の近傍まで、下階ユニット100の天井120を構成する天井材41を延在させて設置することで、オーバーハング部40の軒天を下階ユニット100の天井120に揃えることができる。
【0029】
(実施形態2)
次に、本発明に係る外壁材保持ブラケット及びユニット式建物の実施形態2について説明する。なお、実施形態1と同様の構成については、同符号を付して説明を割愛する。
【0030】
図5、
図6において符号1は、複数階建てのユニット式建物を示す。このユニット式建物1は、複数の建物ユニットを組み合わせてなる建物本体2と、当該建物本体2の上部に設けられる屋根とを備える。
建物本体2は、複数の建物ユニットを上下・左右・前後に組み合わせて形成されるものである。
また、下階に設けられる建物ユニットは、図示はしないが、アンカーボルトを介して基礎に接合される。
建物ユニットは、前述したように、長方形の四隅に相当する位置に立設された四本の柱と、隣接する柱の下端部同士を連結する四本の床梁(下梁)と、隣接する柱の上端部同士を連結する四本の天井梁(上梁)とを骨組みしてなる箱型のフレームを有しており、この箱型のフレームの下面側に床、フレームの上面側に天井、フレームの側面側に壁が工場において組み付けられ、その状態で現場に輸送される。
なお、
図5、
図6において外壁や内壁の内部に表れる四角形状の表示が建物ユニットの柱とされている。
【0031】
続いて、ユニット式建物1の間取りについて説明する。なお、
図5、
図6の紙面において上が北、下が南、左が西、右が東とされている。
図5は複数階建てのユニット式建物1の一階を示し、
図6は二階を示している。また、図示はしないが、ユニット式建物1は三階を有する。
【0032】
一階の中央南側には、後述する建物ユニット30の一の柱31をポーチ柱3a,3aとした玄関ポーチ3が配設されている。
玄関ポーチ3の西側には、ユニット式建物1の南西コーナー部に相当する部分の柱が取り除かれた状態のピロティ4が配設されている。なお、当該ピロティ4の床はウッドデッキとなっている。
玄関ポーチ3の東側には、ユニット式建物1の南東コーナー部に相当する部分の柱が取り除かれた状態のカーポート出入口5が配設されている。当該カーポート出入口5の北側にはカーポート6が配設されている。
なお、柱が取り除かれた状態の開放空間であるピロティ4およびカーポート出入口5は、後述する建物ユニット30によって構成されている。
【0033】
玄関ポーチ3およびピロティ4の北側であって、かつカーポート6の西側には、ユニット式建物1の屋内空間がある。当該屋内空間における玄関ポーチ3の北側には玄関土間および玄関ホールを含む玄関7が配設されている。また、当該玄関7には、一階と二階とを行き来するための階段7aが設けられている。
玄関7の北側から西側にかけて、平面視略L字状に形成された多目的広場としてのプラザ8が配設されている。プラザ8の周囲の外壁には窓が複数設けられており、当該窓を開放することによって、プラザ8を屋外に開けた開放的な空間として人に認識させることができる。
【0034】
階段7aを上がった先には、二階の中央に位置するホール9が配設されている。ホール9の南側には、浴室・洗面所・トイレを有するサニタリー10が配設されている。また、当該サニタリー10の南側には、バルコニー10aが配設されている。
ホール9の北側にはキッチン11が配設されている。また、当該キッチン11、ホール9、サニタリー10、バルコニー10aの西側には、リビングルームとダイニングルームの機能を一室に併存させた部屋12が配設されている。また、当該部屋12の西側にはバルコニー12aが配設されている。
ホール9、サニタリー10、バルコニー10a、キッチン11の東側には主寝室13が配設されている。また、当該主寝室13の東側にはバルコニー13aが配設されており、当該主寝室13の北側部分は畳スペース13bとされている。
【0035】
バルコニー12aの北側および南側には部屋12のための収納部12b,12bが設けられる。これらバルコニー12aおよび収納部12b,12bは建物本体2の一階の西側端部よりも外側に張り出しており、オーバーハングした状態となっている。
バルコニー13aの北側および南側には主寝室13のための収納部13c,13cが設けられる。これらバルコニー13aおよび収納部13c,13cは建物本体2の一階の東側端部よりも外側に張り出しており、オーバーハングした状態となっている。
これらオーバーハング部分を構成する建物ユニットとしては、通常の建物ユニットよりもサイズが小さく設計され、かつ隣接する上階ユニット200に連結されるハンガーユニット200aが用いられている(
図6、
図8参照)。
【0036】
建物ユニット30は、
図7に示すように、仮想的な直方体状の空間R内に収まるように形成された建物ユニットである。当該建物ユニット30は、その骨組みとして、四隅のうち三つの隅に設けられた三本の柱31と、短辺天井梁32および長辺天井梁33と、短辺床梁34および長辺床梁35とを備える。また、各柱31と各梁32〜35とは、各柱31の端部と各梁32〜35の端部が接合される柱梁接合部材36を介して連結されている。
さらに、当該建物ユニット30は、その骨組みを補強するための補強柱37および補強梁38a,38bを備える。
補強柱37は、開放空間用の建物ユニット30において柱31がない隅部に隣り合う柱31がある隅部側に配置され、かつ補強梁38a,38bとともに上階ユニットを支持するものである。
補強梁38a,38bは、開放空間用の建物ユニット30の上端部において柱31がある隅部と柱31がない隅部との間に配置され、かつ開放空間用の建物ユニット30の直上に位置する上階ユニットを下方から支持するものである。
補強柱37および補強梁38a,38bは所謂H形鋼によって構成されており、柱31や各梁32〜35に比して剛性が高い。
なお、
図7に示した建物ユニット30は、ユニット式建物1の南西コーナーのピロティ4に用いられるものである。ユニット式建物1の南東コーナーのカーポート出入り口5に用いられる建物ユニット30は、三本の柱31の位置が異なるものとなる。
【0037】
上述した実施形態2のユニット式建物1では、
図5〜
図8に示したように、下階ユニットとしての建物ユニット30が下方から支持する上階ユニット200にハンガーユニット200aが連結されており、
図9に示すように、ハンガーユニット200aによってオーバーハング部40が形成されている。
【0038】
図9に示した実施形態2のユニット式建物1のオーバーハング部40の下面には、外壁材保持ブラケット60によって外壁材である幕板42が取り付けられており、この外壁材保持ブラケット60(幕板42)の近傍まで建物ユニット30の天井120を構成する天井材41を延在させて設置している。
例えば、ハンガーユニット200aの床梁210のうち、建物ユニット30から離間した側の床梁210に外壁材保持ブラケット60が固定されており、外壁材保持ブラケット60によってハンガーユニット200aの外壁の表面と略面一となる幕板42が取り付けられている。
この外壁材保持ブラケット60は、床梁210の長手方向に所定間隔をあけて複数取り付けられている。また、床梁210の長手方向に長尺な外壁材保持ブラケット60であってもよい。例えば、床梁210とほぼ同じ長さの外壁材保持ブラケット60であれば、床梁210に1つ取り付ければよい。
なお、建物ユニット30の天井梁110よりも外壁材保持ブラケット60側(幕板42側)に延在した天井材41は、ハンガーユニット200aの床根太の側面に配設された吊木の下端に取り付けられた野縁41aに固定されている。また天井材41の端部には、下端水切り材41bが取り付けられており、その下端水切り材41bと幕板42の間にはウレタンシーリング41cが充填されている。
【0039】
外壁材保持ブラケット60は、床梁210の下面に固定される基部61と、外壁材としての幕板42の下端を建物ユニット30の天井120の高さ位置に揃えて固定するための外壁材固定部65と、を備えている。
外壁材固定部65は、建物ユニット30の補強梁38aの梁成と略同じ長さを有するブラケット本体63と、幕板42の下面を支持する下支部62と、を備えている。
【0040】
この外壁材保持ブラケット60は、基部61が設けられている第1ブラケット60aと、下支部62が設けられている第2ブラケット60bとで構成されており、互いの接合面部66,66同士が溶接などによって一体に繋がれて外壁材保持ブラケット60となっている。つまり、外壁材保持ブラケット60のブラケット本体63は、第1ブラケット60aと第2ブラケット60bに亘って設けられている。
なお、第1ブラケット60aの接合面部66は、基部61と平行な板面を有しており、第2ブラケット60bの接合面部66は、下支部62と平行な板面を有している。
この外壁材保持ブラケット60によって、幕板42がハンガーユニット200aの外壁の表面と略面一となるようにオーバーハング部40に固定されている。
【0041】
基部61と下支部62とは互いに水平方向に平行な板面を有しており、基部61と下支部62のそれぞれに垂直な板面を有しているブラケット本体63で基部61と下支部62が繋がれている。そのブラケット本体63の長手方向(上下方向)の寸法は、建物ユニット30の補強梁38aの梁成と略同じ長さを有している。
下支部62はブラケット本体63の一方の面側の下端に設けられ、基部61はブラケット本体63の他方の面側の上端に設けられている。また、基部61とブラケット本体63のそれぞれに垂直に接する補強板部64が、第1ブラケット60a側のブラケット本体63の他方の面側に設けられている。
【0042】
また、下支部62の上面側に幕板42が固定されている。この幕板42は、ハンガーユニット200aの外壁パネル220の下側に、外壁パネル220と略面一となるように取り付けられている。
なお、外壁材保持ブラケット60が床梁210に取り付けられた状態で、下支部62はブラケット本体63の下端から床梁210と床梁用ブラケット230よりも屋外側に突出しており、その床梁用ブラケット230よりも屋外側に突出した下支部62の上面側であって、かつハンガーユニット200aの屋外側面に設けられた外壁パネル220の下側が、その外壁パネル220と略面一となる幕板42の取付用スペースとされている。
【0043】
ここで、ハンガーユニット200aの外壁パネル220は、ハンガーユニット200aの床梁210に取り付けられた床梁用ブラケット230と、ハンガーユニット200aの天井梁240に取り付けられた天井梁用ブラケット250を介して取り付けられており、床梁210や天井梁240から離間した位置に外壁パネル220が固定されている。
そして、外壁材保持ブラケット60は、第1ブラケット60aと第2ブラケット60bを接合面部66,66で接合する構造をとることで、接合面部66,66の長さ分、基部61を固定する床梁210から外壁材固定部65(ブラケット本体63と下支部62)を水平方向に離間する配置にすることが可能になっているので、外壁材固定部65に取り付けた幕板42を床梁210から水平方向に離間した位置に固定することができる。特に、床梁用ブラケット230と天井梁用ブラケット250の厚みに応じて接合面部66の寸法を調整するなどして、床梁210に対する外壁材固定部65の水平方向の配置を調整することで、ハンガーユニット200aの外壁パネル220と略面一となるように幕板42を取り付けることが可能になる。
【0044】
このようにハンガーユニット200aの床梁210や天井梁240から離間した位置に外壁パネル220が固定されていても、外壁材保持ブラケット60であれば、ハンガーユニット200aの外壁パネル220の下側に、外壁パネル220と略面一となるように幕板42を取り付けることができる。
また、外壁材保持ブラケット60を用いることで、オーバーハング部40の下面にハンガーユニット200aの外壁の表面と略面一となる幕板42を取り付けることができ、その幕板42の下端を建物ユニット30の天井120の高さ位置に揃えたことで、建物ユニット30の天井120とオーバーハング部40との段差が視認し難くなる。それによって、オーバーハング部40の見栄えを改善することができる。
特に、その外壁材保持ブラケット60(幕板42)の近傍まで、建物ユニット30の天井120を構成する天井材41を延在させて設置したことで、オーバーハング部40の軒天を建物ユニット30の天井120に揃えることができる。
【0045】
以上のように、本実施形態の外壁材保持ブラケット50、60を用いて、オーバーハング部40の下面に幕板42を取り付け、その幕板42の近傍まで天井材41を延在させて配設することで、オーバーハング部40の軒天が下階ユニット100の天井120と連続するようになり、オーバーハング部40の軒天と天井120との段差を無くしたユニット式建物1を実現することができる。
【0046】
なお、本発明の適用は上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。