(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0009】
[第1実施形態]
第1実施形態に係る音検出装置は、車両に設けられ、車室外の音を検出する装置である。
図1は、第1実施形態に係る音検出装置1を備える車両Vの機能ブロックを説明する図である。
図1に示すように、エンジンを有する乗用車などの車両Vは、集音ユニット2及び集音ユニット2に電気的に接続されたECU(Electronic Control Unit)3を備えている。ECU3は、電子制御する自動車デバイスのコンピュータであり、プロセッサ(CPU(Central Processing Unit))、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリ、及び入出力インターフェースなどを備えて構成される。後述のとおり、集音ユニット2及びECU3の一部機能が音検出装置1に対応する。
【0010】
図2は、第1実施形態に係る音検出装置1を備える車両V、及び、当該音検出装置1の集音ユニット2を説明する図である。
図2の(A)に示すように、集音ユニット2は、例えば、車両Vのバンパ6又はドアミラー7上に、車両Vの前方へ向けて設けられている。
図2の(B)は、集音ユニット2の側面図、
図2の(C)は、(B)のA−A断面図である。
図2の(B),(C)に示すように、集音ユニット2は、音を集音するマイクロホン4(集音装置)及びカバー部材5を備えている。カバー部材5は、マイクロホン4に設けられている。カバー部材5は、マイクロホン4と車室外とを音響的に繋ぐ構造(音響経路)を有する。例えば、カバー部材5には、車室外からマイクロホン4への音響経路が形成されている。例えば、カバー部材5の側面は、複数の板状部材で構成されたルーバーが形成され、この板状部材間に形成された隙間5aが音響経路となる。音響経路を複数の板状部材で形成することで、外部からの衝撃や圧力に対して有利となる。
【0011】
図1に戻り、ECU3は、周波数解析部10、環境騒音記憶部11、閉塞検出部12(判定部)、閉塞原因推定部13(判定部)、異物除去部14及び異物除去判定部15を備えている。
【0012】
周波数解析部10は、マイクロホン4により集音された音の周波数特性を取得する。周波数特性は、例えば音圧レベルの周波数依存性を示すグラフである。周波数解析部10は、例えば、エンジン音(エンジン始動音又はアイドリング音)の周波数特性を取得する。また、周波数解析部10は、エンジン音よりも前にマイクロホン4により取得された環境騒音の周波数特性を取得する。環境騒音は、例えば、ドアのアンロックと同時にマイクロホン4が起動されることで、取得される。あるいは、環境騒音は、例えば、車両Vの所有者が車両Vに近接したとき又は車両Vの振動などを契機としてマイクロホン4が起動されて取得されてもよい。
【0013】
環境騒音記憶部11は、周波数解析部10により取得された環境騒音の周波数特性を記憶する。
【0014】
閉塞検出部12は、周波数解析部10により取得された周波数特性に基づいて、カバー部材5に形成された音響経路の閉塞(詰まり)の有無を検出する。周波数解析部10により取得された周波数特性は、例えば、エンジン音の周波数特性である。なお、エンジン音の周波数特性の他に、環境騒音の周波数特性を用いてもよい。この場合、閉塞検出部12は、環境騒音記憶部11を参照して、環境騒音の周波数特性を取得し、閉塞の有無を検出する。周波数特性から閉塞の有無を検出する処理の詳細は、後述する。
【0015】
閉塞原因推定部13は、周波数解析部10により取得された周波数特性に基づいて、カバー部材5に形成された音響経路の閉塞の原因となる異物の種類を判定する。例えば、閉塞原因推定部13は、閉塞検出部12により閉塞が有ると判定された場合に、上記判定を行う。異物の種類としては、例えば、水、氷、泥などが挙げられる。閉塞の原因である異物の種類に応じて周波数特性が変化する事象を利用して、異物の種類が判定される。周波数特性から異物の種類を判定する処理の詳細は、後述する。
【0016】
異物除去部14は、閉塞原因推定部13によって判定された異物の種類に応じた手段で異物を除去する。異物除去部14は、例えば、異物の種類に応じた除去方法(除去手段を動作させる方法)を予めECU3のメモリなどに記憶しておき、閉塞原因推定部13の判定結果に基づいて、異物の除去方法を特定し、除去手段を動作させて異物を除去する。異物除去処理の詳細は後述する。
【0017】
異物除去判定部15は、異物除去部14による異物除去処理が終了した後に、異物が除去されたか否かを判定する。異物除去判定部15は、例えば、異物除去処理後のエンジン音の周波数特性を用いて、異物が除去されたか否かを判定してもよいし、異物除去処理時に発生する音をマイクロホン4で集音し、周波数解析部10により作業時の音の周波数特性を取得して、異物が除去されたか否かを判定してもよい。除去判定処理の詳細は後述する。
【0018】
なお、異物除去部14は、異物除去判定部15により、異物が除去されていないと判定された場合には、異物除去処理をさらに実行してもよい。このように、異物除去処理と除去判定処理が繰り返し実行されることで、異物の除去が完了するまで処理を行うことができるので、異常をより確実に解消することができる。
【0019】
上述した集音ユニット2、周波数解析部10、閉塞検出部12、閉塞原因推定部13、及び異物除去部14を備えて、音検出装置1が構成されている。
【0020】
次に、音検出装置1による処理フローを説明する。
図3は、音検出装置1の環境騒音記憶処理、異常判定処理及び異常解消処理を説明するフローチャートである。
図3の(A)は、環境騒音記憶処理を説明するフローチャート、
図3の(B)は、異常判定処理及び異常解消処理を説明するフローチャートである。
図3の(A)に示す環境騒音記憶処理は、例えば、エンジン始動前に実行され、
図3の(B)に示す異常解消処理は、例えば、エンジン始動後に実行される。
【0021】
最初に、環境騒音記憶処理について説明する。
図3の(A)に示すように、マイクロホン4は、S10に示す集音処理として、環境騒音を集音する。次に、周波数解析部10は、S12に示す周波数解析処理として、環境騒音の周波数特性を取得する。次に、環境騒音記憶部11は、S14に示す環境騒音記憶処理として、環境騒音の周波数特性を記憶する。このように、エンジン始動前において、環境騒音が取得されて記憶される。なお、異常判定処理及び異常解消処理において、環境騒音を利用しない場合には、環境騒音記憶処理は省略することができる。
【0022】
次に、異常判定処理及び異常解消処理について説明する。
図3の(B)に示すように、マイクロホン4は、S20に示す集音処理として、エンジン音(又は環境騒音)を集音する。次に、周波数解析部10は、S22に示す周波数解析処理として、エンジン音の周波数特性(又は環境騒音の周波数特性)を取得する。
【0023】
次に、閉塞検出部12は、S24に示す閉塞検出処理として、周波数特性を用いて閉塞の有無を判定する。
図4は、周波数特性を示すグラフであり、閉塞の有無を判定する処理を説明するためのグラフである。グラフの横軸は周波数、縦軸は音圧レベルである。
図4の(A)は、音響経路の閉塞が無い場合の周波数特性(エンジン音の周波数特性FA、環境騒音の周波数特性FB)を示すグラフである。
図4の(B)は、音響経路の閉塞が有る場合(異物が水の場合)の周波数特性(エンジン音の周波数特性FA、環境騒音の周波数特性FB)を示すグラフである。
図4の(C)は、音響経路の閉塞が有る場合(異物が氷の場合)の周波数特性(エンジン音の周波数特性FA、環境騒音の周波数特性FB)を示すグラフである。
図4の(D)は、音響経路の閉塞が有る場合(異物が泥の場合)の周波数特性(エンジン音の周波数特性FA、環境騒音の周波数特性FB)を示すグラフである。
【0024】
図4の(A)〜(D)を比較すると分かるとおり、周波数A以上のエンジン音の周波数特性FA(又は環境騒音の周波数特性FB)の音圧レベルが大きい場合には閉塞無し、周波数A以上のエンジン音の周波数特性FA(又は環境騒音の周波数特性FB)の音圧レベルが小さい場合には閉塞有り、と判定することができる。あるいは、周波数A以上のS/N(環境騒音に対するエンジン音)が大きい場合には閉塞無し、周波数A以上のS/Nが小さい場合には閉塞有り、と判定することができる。つまり、周波数A以上の音圧レベル又はS/Nと、所定の閾値とを比較することで、閉塞の有無を判定することができる。一般的に高周波の音ほど回折しにくく、障害物による減衰量が大きいため、周波数A以上の高周波において判定すれば、閉塞の有無を判定することができる。
【0025】
図3の(B)に戻り、S24の閉塞検出処理において、閉塞が無いと判定された場合には、
図3の(B)に示す処理を終了する。一方、S24の閉塞検出処理において、閉塞が有ると判定された場合には、閉塞原因推定処理へ移行する。
【0026】
閉塞原因推定部13は、S26の閉塞原因推定処理として、周波数特性を用いて閉塞の原因となる異物の種類を判定する。
図5は、周波数特性を示すグラフであり、異物の種類を判定する処理を説明するためのグラフである。
図5の(A)〜(D)は、
図4の(A)〜(D)と同一である。
【0027】
図5の(B)〜(D)を比較すると分かるとおり、周波数C〜Bにおいて、異物が氷と泥の場合には、音圧レベル及びS/Nが大きいが、異物が水の場合には、音圧レベル及びS/Nが小さい。この理由は、泥に含まれる粒子又は氷では、複数の板による固体伝搬による音あるいは振動の伝達が妨げられないためである。一方、水は板の間に挟まって板の振動を妨げるため、音圧レベル及びS/Nが小さくなる。さらに、周波数B〜Aにおいて、異物が泥の場合には、音圧レベル及びS/Nが大きいが、異物が水、氷の場合には、音圧レベル及びS/Nが小さい。これは、泥に含まれる粒子が振動によって音を発生させているためである。このように、周波数C〜Bの特徴と、周波数B〜Aの特徴を所定の閾値を用いて判定し(例えば、所定の閾値以上であれば大きい、所定の閾値であれば小さいと判定)、判定結果を組み合わせることで、異物が水、氷、泥の何れであるかを判定することができる。なお、S20〜S24までの処理が、異常判定処理である。
【0028】
図3の(B)に戻り、S26の閉塞原因推定処理が終了した場合には、異物除去処理へ移行する。異物除去部14は、S28に示す異物除去処理として、閉塞原因推定処理によって判定された異物の種類に応じた手段で異物を除去する。例えば、異物が氷の場合には、氷除去手段を用いた氷除去方法が採用される。氷除去方法は、氷除去手段としてヒータを用いる方法であり、ヒータを動作させてカバー部材5近傍を加熱することによって氷を除去する。また、例えば、異物が泥の場合には、泥除去手段を用いた泥除去方法が採用される。泥除去方法は、泥除去手段としてウォッシャー液や水を放射する手段を用いる方法であり、該手段を動作させてカバー部材5に液体を放射して泥を除去する。また、例えば、異物が水の場合には、水除去手段を用いた水除去方法が採用される。水除去方法は、水除去手段として集音ユニット2内部からエアーを放射する手段を用いる方法であり、該手段を動作させてカバー部材5に気体を放射して水を除去する。なお、泥除去方法を行った場合、水により音響経路が閉塞することもあるが、この場合は、水除去方法をさらに行えばよい。
【0029】
マイクロホン4は、S30に示す集音処理として、異物除去処理時の音を取得する。そして、周波数解析部10は、音の周波数特性を取得する。周波数特性の取得処理が終了すると、除去判定処理へ移行する。そして、異物除去判定部15は、S32に示す除去判定処理として、周波数特性を用いて異物の除去を判定する。
【0030】
図6は、周波数特性を示すグラフであり、異物の除去を判定する処理を説明するためのグラフである。グラフの横軸は周波数、縦軸は音圧レベルである。
図6は、氷が溶けている間に取得された音の周波数特性FCと、水になった後に取得された音の周波数特性FDを示すグラフである。
【0031】
周波数特性FCと周波数特性FDとを比較すると分かるとおり、氷が溶けている間、周波数F以下の音圧レベルが増加するが、水になった後は減少する。これは、氷から水へ状態変化する際に体積が膨張するためであり、閉塞によってマイクロホン4が密閉空間におかれているため、膨張した体積が密閉空間の内圧を上昇させて、低周波の信号が出力するためである。そして、氷から水への状態変化が完了すると、体積変化も終了するため、音圧レベルが減少する。上記の事象を利用し、例えば周波数F以下の音圧レベルを判定する所定閾値を用いて、氷の除去を判定する。なお、水から気体への状態変化においても同様に体積変化による音が発生し、エアーによって水を除去した場合においても、水が残存している場合に比べて水が除去された後は風切音による高周波成分が増加するため、これらの音を用いて、異物の除去を判定してもよい。
【0032】
あるいは、マイクロホン4は、S30に示す集音処理として、異物除去処理後における周期的または定常的なエンジン音(及び環境騒音)を取得してもよい。そして、周波数解析部10は、エンジン音(及び環境騒音)の周波数特性を取得する。周波数特性の取得処理が終了すると、除去判定処理へ移行する。そして、異物除去判定部15は、S32に示す除去判定処理として、当該エンジン音(及び環境騒音)の周波数特性を用いて異物の除去を判定する。
図7は、当該エンジン音(及び環境騒音)の周波数特性を示すグラフであり、異物の除去を判定する処理を説明するためのグラフである。グラフの横軸は周波数、縦軸は音圧レベルである。
図7の(A)は、音響経路の閉塞が無い場合の周波数特性(エンジンのアイドリング音の周波数特性FE、環境騒音の周波数特性FF)を示すグラフである。
図7の(B)は、音響経路の閉塞が有る場合(異物が水の場合)の周波数特性(エンジンのアイドリング音の周波数特性FE、環境騒音の周波数特性FF)を示すグラフである。
図7の(C)は、音響経路の閉塞が有る場合(異物が氷の場合)の周波数特性(エンジンのアイドリング音の周波数特性FE、環境騒音の周波数特性FF)を示すグラフである。
図7の(D)は、音響経路の閉塞が有る場合(異物が泥の場合)の周波数特性(エンジンのアイドリング音の周波数特性FE、環境騒音の周波数特性FF)を示すグラフである。
【0033】
アイドリング音は、エンジン始動音に比べて音圧レベルが小さいが、閉塞によって高周波の音圧レベルが小さくなるという傾向は同一である。このため、
図7の(A)〜(D)を比較すると分かるとおり、周波数H〜Gの音圧レベル(又はS/N)を比較することによって、閉塞の除去を判定することができる。なお、閉塞の除去だけでなく、異物の種類を特定し直すこともできる。例えば、異物が氷の場合、異物除去手段によって水による閉塞状態に変化する可能性があるが、周波数H未満の音圧レベル(又はS/N)を比較することによって氷から水への状態変化を判定することができる。また、異物が泥の場合、異物除去手段によって水による閉塞状態に変化する可能性があるが、水による閉塞状態の場合には、周波数H〜Gの音圧レベル(又はS/N)が泥による閉塞状態の場合の音圧レベル(又はS/N)よりも小さく、さらに周波数H〜Gの音圧レベル(又はS/N)の変動も小さいため、状態変化を検出することができる。なお、S/Nの算出時において、精度確保のため、走行開始前に取得した環境騒音は、走行開始後のS/Nの算出に用いなくてもよい。
【0034】
S32の除去判定処理において、異物が除去されていないと判定された場合、S28の異物除去処理へ再度移行する。この時、S32の除去判定処理にて判定された異物の種類に応じて、異物除去手段を変更することができる。S32の除去判定処理において、異物が除去されたと判定されるまで、S28の異物除去処理及びS30の集音処理が繰り返し実行される。そして、S32の除去判定処理において、異物が除去されたと判定された場合、
図3の(B)に示す処理を終了する。
【0035】
以上、第1実施形態に係る音検出装置1によれば、周波数特性に基づいて、カバー部材5に形成された音響経路の閉塞の有無及び閉塞の原因となる異物の種類を判定し、異物の種類に応じた手段で異物を除去することができるので、音検出装置1の異常を解消することができる。
【0036】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る音検出装置は、第1実施形態に係る音検出装置1と比べて、集音ユニット2のカバー部材5のみが相違し、その他は同一である。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0037】
図8は、第2実施形態に係る音検出装置の集音ユニット2Aを説明する図である。
図8の(A)は、集音ユニット2Aの側面図、
図8の(B)は、集音ユニット2Aの正面図、
図8の(C)は、(B)のA−A断面図である。
図8に示すように、集音ユニット2Aは、音を集音するマイクロホン4(集音装置)及びカバー部材5Aを備えている。カバー部材5には、複数の孔5bが形成され、孔5bが音響経路となる。このような孔による音響経路の形成は、比較的容易であり、製造工程を簡略化することができる。
【0038】
以下、上述したカバー部材5Aを用いて検出された音の周波数特性を示す。
図9は、周波数特性を示すグラフであり、閉塞の有無を判定する処理を説明するためのグラフである。
図9は、第1実施形態で説明した
図4に対応するグラフであり、周波数A以上の高周波における音圧レベル又はS/Nを用いて、閉塞の有無を判定することができることを示している。
【0039】
図10は、周波数特性を示すグラフであり、異物の種類を判定する処理を説明するためのグラフである。
図10は、第1実施形態で説明した
図5に対応するグラフである。
図10に示すように、周波数E〜D、D〜Aにおける音圧レベル又はS/Nを用いて、異物の種類を判定することができる。ここで、第1実施形態に関する音響経路との比較を考察する。第2実施形態に関する音響経路では、水による閉塞の場合、第1実施形態に関する音響経路とは異なり、音圧レベルが大きくなる。この理由は、カバー部材5Aでは、カバー部材5に比べて、閉塞する水の厚さが薄くなるため、音がより伝達し易くなっていること、エンジン始動時などの振動によって一時的に水による膜が破れることが挙げられる。氷による閉塞の場合も、カバー部材5Aでは、カバー部材5に比べて、周波数E〜Dにおいて音圧レベルが小さくなる。この理由は、孔5bによる音響経路では振動の伝搬経路がマイクロホン4へ向かわないこと、伝搬経路がカバー部材5のように複数存在しないことから固体伝搬になりにくいことが挙げられる。
【0040】
なお、泥による閉塞の場合、カバー部材5Aでは、周波数D〜Aにおいては音圧レベルが小さく、周波数E〜Dにおいて音圧レベルが氷に比べて大きくなる。このような特徴は、水による閉塞と氷による閉塞の中間的な特徴である。また、水による閉塞と同様に、閉塞する厚みがカバー部材5に比べて薄くなるため音を伝達するものの、水による閉塞の場合と異なり、振動により膜が破れるということはないため、周波数D〜Aにおいては音圧レベルが小さくなる。
【0041】
図11は、周波数特性を示すグラフであり、異物の除去を判定する処理を説明するためのグラフである。
図11は、第1実施形態で説明した
図7に対応するグラフである。
図11に示すように、周波数J〜Iの範囲、又は、周波数I以上における音圧レベル又はS/Nを用いて、異物の除去を判定することができる。ここで、第1実施形態に関する音響経路との比較を考察する。第2実施形態に関する音響経路では、水による閉塞の場合、第1実施形態に関する音響経路とは異なり、比較的高い周波数の音に関しても音圧レベルが大きくなる。このため、周波数Gよりも大きい周波数I以上の音圧レベル又はS/Nを用いて、異物の除去を判定する。また、氷及び泥による閉塞の場合、周波数J以下になるまで音圧レベルが上昇しないため、周波数J〜Iの範囲における音圧レベル又はS/Nを用いて異物の除去を判定することができる。
【0042】
以上、第2実施形態に係る音検出装置によれば、第1実施形態に係る音検出装置1と同様に、音検出装置1の異常を解消することができる。
【0043】
以上、前述した実施形態は、本発明に係る音検出装置の一実施形態であり、本発明に係る音検出装置は上記実施形態に記載された内容に限定されない。