(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0027】
発明の詳細な説明
本発明は、DLL4アンタゴニストによる疾患の処置に関する。より具体的には、本発明は、DLL4アンタゴニストを単独でまたは他の抗癌剤と組み合わせて投与する工程を含む癌を処置するための方法、ならびにDLL4アンタゴニストに関連するものを含む、心血管系副作用および/または毒性をモニタリングするための方法を提供する。
【0028】
抗DLL4抗体OMP-21M18を、第1相単剤用量漸増試験において対象に投与した。この初期試験からのデータおよび動物研究からの結果は、DLL4アンタゴニスト、例えば抗DLL4抗体の投与が特定の患者において心血管系副作用および/または毒性を生じ得ることを示唆した。さらに、この研究は、上昇したBNPレベルが、DLL4アンタゴニストにより処置されている患者で心毒性が発生するリスクがあるという早期指標であり得、そのため心保護薬による介入が考慮されることを示した。
【0029】
これらの結果から、単剤としてまたは追加の抗癌剤と組み合わせてDLL4アンタゴニスト(例えば、抗DLL4抗体)による処置を受けている対象のために、本明細書に記載されるような心血管系副作用および/または毒性に対するリスクの軽減およびモニタリングの戦略を開発することが望まれるようになった。
【0030】
I. 定義
本発明の理解を促すために、多くの用語および語句を以下で定義する。
【0031】
「アンタゴニスト」および「アンタゴニスト性」という用語は、本明細書で使用される場合、標的の生物学的活性および/またはシグナル伝達経路(例えば、Notchシグナル伝達)を部分的または完全に遮断する、阻害する、減少させるまたは中和する任意の分子を表す。「アンタゴニスト」という用語は、本明細書で、タンパク質(例えば、DLL4)の活性を部分的または完全に遮断する、阻害する、減少させるまたは中和する任意の分子を含むよう使用される。本明細書で使用される場合、「DLL4アンタゴニスト」という用語は、DLL4タンパク質の生物学的活性を部分的または完全に遮断する、阻害する、中和するまたは妨害する分子を表す。これは、DLL4/Notchの相互作用、DLL4により誘導されるNotch経路のシグナル伝達および/またはDLL4シグナル伝達の遮断、阻害、減少または妨害を含むがこれらに限定されない。適当なアンタゴニスト分子は、特に、アンタゴニストDLL4抗体または抗体フラグメントを含むがこれらに限定されない。
【0032】
「調整」および「調整する」という用語は、本明細書で使用される場合、生物学的活性の変化または変更を表す。調整は、活性の刺激または阻害を含むがこれらに限定されない。調整は、活性の増加もしくは減少(例えば、Notchシグナル伝達の減少)、結合性の変化、または関心対象のタンパク質、経路もしくはその他の生物学的ポイントの活性に関連する生物学的、機能的もしくは免疫学的特性の任意のその他の変化であり得る。
【0033】
「抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、標的、例えばタンパク質、ポリペプチド、ペプチド、糖質、ポリヌクレオチド、脂質または上記の組み合わせを、その免疫グロブリン分子の可変領域内の少なくとも1つの抗原認識部位を通じて認識してそれに特異的に結合する免疫グロブリン分子を表す。本明細書で使用される場合、この用語は、インタクトなポリクローナル抗体、インタクトなモノクローナル抗体、抗体フラグメント(例えば、Fab、Fab'、F(ab')2およびFvフラグメント)、一本鎖Fv(scFv)抗体、多特異性抗体、例えば少なくとも2つのインタクトな抗体から作製される二重特異性抗体、単一特異性抗体、1価抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、抗体の抗原決定部分を含む融合タンパク質、およびそれが所望の生物学的活性を示す限り、抗原認識部位を含む任意のその他の改変された免疫グロブリン分子、を包含する。抗体は、それぞれアルファ、デルタ、イプシロン、ガンマおよびミューと称されるそれらの重鎖定常ドメインの特質に基づく、免疫グロブリンの5大クラス:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMまたはそれらのサブクラス(アイソタイプ)(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)のいずれかであり得る。免疫グロブリンの異なるクラスは、異なる周知のサブユニット構造および3次元構成を有する。抗体は、裸の状態であり得るかまたは毒素および放射性同位元素を含むがこれらに限定されない他の分子にコンジュゲートされ得る。
【0034】
「抗体フラグメント」という用語は、インタクトな抗体の一部分を表し、インタクトな抗体の抗原決定可変領域を表す。抗体フラグメントの例は、Fab、Fab'、F(ab')2およびFvフラグメント、鎖状抗体、一本鎖抗体ならびに抗体フラグメントから形成される多特異性抗体を含むがこれらに限定されない。「抗体フラグメント」は、本明細書で使用される場合、抗原結合部位またはエピトープ結合部位を含む。
【0035】
抗体の「可変領域」という用語は、単独のまたは組み合わせた、抗体軽鎖の可変領域または抗体重鎖の可変領域を表す。重鎖および軽鎖の可変領域は各々、「超可変領域」としても公知の3つの相補性決定領域(CDR)によって接続された4つのフレームワーク領域(FR)からなる。各鎖のCDRは、フレームワーク領域によって互いに近接して保持されており、他の鎖のCDRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。CDRを決定する技術は少なくとも2つ存在する:(1)種間の配列多様性に基づくアプローチ(すなわち、Kabat et al., 1991, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Edition, National Institutes of Health, Bethesda MD.)および(2)抗原・抗体複合体の結晶学的研究に基づくアプローチ(Al-Lazikani et al., 1997, J. Mol. Biol., 273:927-948)。加えて、これら2つのアプローチの組み合わせが時折、CDRを決定するために当技術分野で使用される。
【0036】
「モノクローナル抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、単一の抗原決定基またはエピトープに対する高度に特異的な認識および結合に関わる均質な抗体集団を表す。これは、異なる抗原決定基に対する異なる抗体の混合物を通常含むポリクローナル抗体と対照的である。「モノクローナル抗体」という用語は、インタクトおよび全長の両方のモノクローナル抗体、ならびに抗体フラグメント(例えば、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv)、一本鎖(scFv)抗体、抗体部分を含む融合タンパク質、および抗原認識部位(抗原結合部位)を含む任意のその他の改変された免疫グロブリン分子を包含する。さらに、「モノクローナル抗体」は、ハイブリドーマ産生、ファージ選択、組み換え発現およびトランスジェニック動物を含むがこれらに限定されない任意の多くの技術によって作製された抗体を表す。
【0037】
「ヒト化抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、最小の非ヒト配列を含む特定の免疫グロブリン鎖、キメラ免疫グロブリン、またはそれらのフラグメントである抗体の形態を表す。典型的に、ヒト化抗体は、CDRの残基が、所望の特異性、親和性および/または結合能を有する非ヒト種(例えば、マウス、ラット、ウサギまたはハムスター)のCDR由来の残基によって置換されているヒト免疫グロブリンである(Jones et al., 1986, Nature, 321:522-525; Riechmann et al., 1988, Nature, 332:323-327; Verhoeyen et al., 1988, Science, 239:1534-1536)。いくつかの例において、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域残基が、所望の特異性、親和性および/または結合能を有する非ヒト種由来の抗体における対応する残基で置換される。ヒト化抗体は、抗体の特異性、親和性および/または結合能を洗練および最適化するために、Fvフレームワーク領域においておよび/または置換された非ヒト残基内で、追加の残基の置換によってさらに改変され得る。いくつかの態様において、ヒト化抗体は、非ヒト免疫グロブリンに対応するCDRのすべてまたは実質的にすべてを含む少なくとも1つ、典型的には2つまたは3つの可変ドメインの実質的にすべてを含む一方、フレームワーク領域のすべてまたは実質的にすべてがヒト免疫グロブリンのコンセンサス配列のものである。ヒト化抗体はまた、典型的にはヒト免疫グロブリンのものである、免疫グロブリン定常領域またはドメイン(Fc)の少なくとも一部分を含み得る。ヒト化抗体の作製に使用される方法の例は、例えば、米国特許第5,225,539号に記載されている。
【0038】
「ヒト抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、ヒトによって産生される抗体または当技術分野で公知の任意の技術を用いて作製されたヒトによって産生される抗体に対応するアミノ酸配列を有する抗体を表す。このヒト抗体の定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を明確に排除する。
【0039】
「キメラ抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、免疫グロブリン分子のアミノ酸配列が2以上の種に由来する抗体を表す。典型的に、軽鎖および重鎖の両方の可変領域は、所望の特異性、親和性および/または結合能を有する1つの哺乳動物種(例えば、マウス、ラット、ウサギ等)に由来する抗体の可変領域に対応し、一方、その定常領域は別の種(例えば、ヒト)由来の抗体の配列に相同である。
【0040】
「親和性成熟抗体」という語句は、本明細書で使用される場合、その1つまたは複数のCDRに1つまたは複数の変更が加えられ、それによってその変更を有さない親抗体と比較して抗原に対する抗体の親和性が改善されている抗体を表す。好ましい親和性成熟抗体は、標的抗原に対してナノモルまたはピコモルの親和性を有するであろう。親和性成熟抗体は、当技術分野で公知の手順によって製造される。例えば、Marks et al., 1992, Bio/Technology 10:779-783は、VHおよびVLドメインのシャッフリングによる親和性成熟について記載している。CDRおよび/またはフレームワーク残基の無作為変異誘発は、Barbas et al., 1994, PNAS, 91:3809-3813; Schier et al., 1995, Gene, 169:147-155; Yelton et al., 1995, J. Immunol. 155:1994-2004; Jackson et al., 1995, J. Immunol., 154:3310-9; およびHawkins et al., 1992, J. Mol. Biol., 226:889-896に記載されている。
【0041】
「エピトープ」および「抗原決定基」という用語は、本明細書で互換的に使用され、特定の抗体によって認識され特異的に結合されることができる抗原の部分を表す。抗原がポリペプチドである場合、エピトープは、連続するアミノ酸と、タンパク質の3次元折りたたみによって隣接する非連続のアミノ酸の両方から形成され得る。連続するアミノ酸から形成されるエピトープ(直鎖状エピトープとも称される)は典型的にタンパク質変性後も保持されるが、3次元折りたたみによって形成されるエピトープ(立体構造エピトープとも称される)は典型的にタンパク質変性によって失われる。エピトープは典型的に、特有の空間的立体構造において少なくとも3個、通常は少なくとも5または8〜10個のアミノ酸を含む。
【0042】
「選択的に結合」または「特異的に結合」という用語は、結合物質または抗体が、関連しないまたは関連するタンパク質を含む代替物質よりも高頻度で、迅速に、長い期間、高い親和性でまたは上記のいくつかの組み合わせで、エピトープ、タンパク質または標的分子と反応または会合することを意味する。特定の態様において、「特異的に結合」は、例えば、抗体が約0.1mMまたはそれ未満であるが通常約1μM未満であるK
Dでタンパク質に結合することを意味する。特定の態様において、「特異的に結合」は、抗体が、あるときは少なくとも約0.1μMまたはそれ未満または別の時には少なくとも約0.01μMまたはそれ未満、別の時には少なくとも約1nMまたはそれ未満のK
Dで標的に結合することを意味する。異なる種における相同タンパク質間の配列同一性に起因して、特異的結合は、2以上の種におけるタンパク質(例えば、ヒトDLL4およびマウスDLL4)を認識する抗体を含み得る。同様に、異なるタンパク質のポリペプチド配列の特定領域における相同性に起因して、特異的結合は、2つ以上のタンパク質を認識する抗体(または他のポリペプチドもしくは結合物質)を含み得る。特定の態様において、第1の標的に特異的に結合する抗体または結合部分が、第2の標的に特異的に結合することもあるし、しないこともあることが理解される。したがって、「特異的結合」は、必ずしも排他的結合、すなわち単一の標的に対する結合を必要とするものではない(しかしそれを含み得る)。したがって、抗体は、特定の態様において、2つ以上の標的に特異的に結合し得る。特定の態様において、複数の標的が、抗体の同一の抗原結合部位によって結合され得る。例えば、抗体は、特定の例において、2つの同一の抗原結合部位を含み得、その各々が2つ以上のタンパク質上の同一エピトープに特異的に結合する。いくつかの態様において、抗体は、二重特異性または多特異性であり得、特異性が異なる少なくとも2つの抗原結合部位を含み得る。例えば、二重特異性抗体は、1つのタンパク質上のエピトープを認識する1つの抗原結合部位を含み得、さらに第2のタンパク質上の異なるエピトープを認識する第2の異なる抗原結合部位を含み得る。概ね、しかし必ずしもそうとは限らないが、結合への言及は特異的結合を意味する。
【0043】
「ポリペプチド」および「ペプチド」および「タンパク質」という用語は、本明細書で互換的に使用され、任意の長さのアミノ酸のポリマーを表す。ポリマーは、直鎖または分枝鎖であり得、修飾されたアミノ酸を含み得、非アミノ酸が介在していることがある。この用語はまた、天然にまたは介入によって改変されたアミノ酸ポリマー;例えばジスルフィド結合の形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または任意の他の操作もしくは修飾、例えば標識成分とのコンジュゲートによって改変されたアミノ酸ポリマーを包含する。例えば、1つまたは複数のアミノ酸アナログ(例えば、非天然アミノ酸を含む)および当技術分野で公知の他の修飾を含むポリペプチドもこの定義に含まれる。本発明のポリペプチドは抗体に基づくものであり得るので、特定の態様において、ポリペプチドは、一本鎖または会合した鎖(例えば、2量体)として存在し得ることが理解される。
【0044】
「ポリヌクレオチド」および「核酸」という用語は、本明細書で互換的に使用され、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを表し、DNAおよびRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、改変されたヌクレオチドもしくは塩基、および/またはそれらのアナログ、またはDNAもしくはRNAポリメラーゼによってポリマーに組み込むことができる任意の基質であり得る。
【0045】
2つまたはそれ以上の核酸またはポリペプチドの文脈における「同一」またはパーセント「同一性」という用語は、2つまたはそれ以上の配列または部分配列が、配列同一性の一部として任意の保存的アミノ酸置換を考慮しないで、一致が最大となるように(必要に応じてギャップを導入して)比較およびアライメントさせたときに、同一であること、または同一であるヌクレオチドもしくはアミノ酸残基を特定の比率で有することを表す。パーセント同一性は、配列比較ソフトウェアもしくはアルゴリズムを用いてまたは目視検査によって測定され得る。アミノ酸またはヌクレオチド配列のアラインメントを得るために使用され得る様々なアルゴリズムおよびソフトウェアが、当技術分野で周知である。これらは、BLAST、ALIGN、Megalign、BestFit、GCG Wisconsin Packageおよびそれらの派生品を含むがこれらに限定されない。いくつかの態様において、本発明の2つの核酸またはポリペプチドが実質的に同一であることは、それらが、配列比較アルゴリズムを用いてまたは目視検査によって測定される場合に、一致が最大となるように比較およびアライメントさせたときに、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、およびいくつかの態様において少なくとも95%、96%、97%、98%、99%のヌクレオチドまたはアミノ酸残基同一性を有することを意味する。いくつかの態様において、同一性は、少なくとも約10、少なくとも約20、少なくとも約40〜60残基、少なくとも約60〜80残基長またはその間の任意の整数値である配列の領域にわたって存在する。いくつかの態様において、同一性は、60〜80残基より長い領域、例えば少なくとも約80〜100残基にわたって存在し、いくつかの態様において、配列は、比較される配列の全長、例えばヌクレオチド配列のコード領域にわたって実質的に同一である。
【0046】
「保存的アミノ酸置換」は、1つのアミノ酸残基が類似の側鎖を有する別のアミノ酸残基で置き換えられるものである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野で定義されており、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、無荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分枝側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む。例えば、チロシンによるフェニルアラニンの置換は、保存的置換である。好ましくは、本発明のポリペプチドおよび抗体の配列における保存的置換は、抗原、すなわち該ポリペプチドまたは抗体が結合する1つまたは複数のRSPOタンパク質に対する、そのアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは抗体の結合性を無効にしない。抗原結合性を消失させないヌクレオチドおよびアミノ酸の保存的置換を同定する方法は、当技術分野で周知である。
【0047】
「ベクター」という用語は、本明細書で使用される場合、宿主細胞において1つまたは複数の関心対象の遺伝子または配列を送達することができ、通常発現させることができるコンストラクトを意味する。ベクターの例は、ウイルスベクター、裸のDNAまたはRNA発現ベクター、プラスミド、コスミドまたはファージベクター、カチオン性縮合剤を含むDNAまたはRNA発現ベクター、およびリポソームに被包されたDNAまたはRNA発現ベクターを含むがこれらに限定されない。
【0048】
「単離」されているポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞または組成物は、自然界で見出されない形態の、ポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞または組成物である。単離されたポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞または組成物は、それらがもはや自然界で見出される形態でない程度まで精製されたものを含む。いくつかの態様において、単離されているポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞または組成物は、実質的に純粋である。
【0049】
「実質的に純粋」という用語は、本明細書で使用される場合、少なくとも50%純粋(すなわち、混入物質を含まない)、少なくとも90%純粋、少なくとも95%純粋、少なくとも98%純粋または少なくとも99%純粋である物質を表す。
【0050】
「癌」および「癌性」という用語は、本明細書で使用される場合、制御されない細胞成長によって細胞集団が特徴づけられる、哺乳動物における生理学的状態を表すかまたは説明する。癌の例は、癌腫、芽細胞腫、肉腫および血液癌、例えばリンパ腫および白血病を含むがこれらに限定されない。
【0051】
「腫瘍」および「新生物」という用語は、本明細書で使用される場合、前癌性病巣を含む、良性(非癌性)または悪性(癌性)のいずれかの、過剰な細胞成長または増殖に起因する任意の組織塊を表す。
【0052】
「転移」という用語は、本明細書で使用される場合、癌が当初の部位から身体の他の領域に拡散または移動しその新しい場所で同様の癌性病巣を発生させるプロセスを表す。「転移性」または「転移」細胞は、隣接細胞との付着性の接触を失っており疾患の原発部位から(例えば、血流またはリンパを通じて)移動し隣接する身体構造に浸潤するものである。
【0053】
「癌幹細胞」および「CSC」および「腫瘍幹細胞」および「腫瘍初期細胞」という用語は、本明細書で互換的に使用され、(1)高い増殖能を有し;2)増殖または発生能の低い1つまたは複数のタイプの分化した細胞子孫を生じる非対称細胞分裂を行うことができ;かつ(3)自己再生または自己維持のための対称細胞分裂を行うことができる、癌または腫瘍由来の細胞を表す。これらの特性は、癌幹細胞に、腫瘍を形成しない大部分の腫瘍細胞と比較して、免疫無防備状態の宿主(例えば、マウス)に連続移植したときに腫瘍または癌を形成または樹立する能力を付与する。癌幹細胞は、無秩序な様式で自己再生または分化を行い、変異が起こるごとに経時的に変化し得る異常な細胞型の腫瘍を形成する。
【0054】
「癌細胞」および「腫瘍細胞」という用語は、大部分の癌細胞集団を含む非腫瘍形成性細胞および腫瘍形成性幹細胞(癌幹細胞)の両方を含む、癌または腫瘍または前癌病巣由来の細胞の集団全体を表す。本明細書で使用される場合、「癌細胞」または「腫瘍細胞」という用語は、再生および分化能力を欠く細胞のみを指す場合は、それらの腫瘍細胞を癌幹細胞と区別するために、「非腫瘍形成性」という用語によって修飾されるであろう。
【0055】
「腫瘍形成性」という用語は、本明細書で使用される場合、(さらなる腫瘍形成性癌幹細胞を生じる)自己再生性および(分化した、したがって非腫瘍形成性腫瘍細胞を生じる)すべての他の腫瘍細胞を発生させる増殖性の特性を含む、癌幹細胞の機能的特徴を表す。
【0056】
「腫瘍形成能」という用語は、本明細書で使用される場合、免疫無防備状態の宿主(例えば、マウス)への連続移植によって触診可能な腫瘍を形成する、腫瘍由来の細胞の無作為サンプルの能力を表す。
【0057】
「対象」という用語は、特定の処置のレシピエントであるヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、げっ歯類等を含むがこれらに限定されない任意の動物(例えば、哺乳動物)を表す。典型的に、「対象」および「患者」という用語は、ヒト対象に関して本明細書で互換的に使用される。
【0058】
「薬学的に許容される」という用語は、連邦政府もしくは州政府の当局に承認されていることもしくは当局によって承認され得ることまたは米国薬局方もしくはヒトを含む動物における使用に関する他の広く認識されている薬局方に掲載されていることを表す。
【0059】
「薬学的に許容される賦形剤、担体またはアジュバント」または「許容される薬学的担体」という用語は、本開示の少なくとも1つの結合剤(例えば、抗体)と共に対象に投与することができ、その薬理学的活性を破壊せず、かつ治療効果を送達するのに十分な用量で投与されたときに非毒性である賦形剤、担体またはアジュバントを表す。
【0060】
「有効量」または「治療有効量」または「治療効果」という用語は、対象において疾患または障害を「処置」するのに有効な、結合剤、抗体、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、有機低分子またはその他の薬物の量を表す。癌の場合、治療有効量の薬物(例えば、抗体)は、治療効果を有し、それによって癌細胞の数を減少させることができ;腫瘍形成能、腫瘍形成率もしくは腫瘍形成能力を減少させることができ;癌幹細胞の数もしくは発生率を減少させることができ;腫瘍サイズを減少させることができ;癌細胞集団を減少させることができ;例えば軟組織および骨への癌の拡散を含む、末梢器官への癌細胞の浸潤を阻害もしくは停止させることができ;腫瘍もしくは癌細胞の転移を阻害および停止させることがき;腫瘍もしくは癌細胞の成長を阻害および停止させることができ;癌に関連する症状の1つもしくは複数をある程度和らげることができ;罹患率および死亡率を減少させることができ;生活の質を改善することができ;またはそのような効果の組み合わせであり得る。薬剤、例えば抗体が既存の癌細胞の成長を妨げるおよび/または殺傷する限り、それは細胞増殖抑制性および/または細胞傷害性と称され得る。
【0061】
「処置する(treating)」もしくは「処置」もしくは「処置する(to treat)」または「緩和する(alleviating)」もしくは「緩和する(to alleviate)」という用語は、1)診断された病理学的状態または障害の症状を治癒する、減速させる、減少させるおよび/またはその進行を停止させる治療的手段、ならびに2)標的とされた病理学的状態または障害の発生を予防するまたは遅延させる予防的または防止的手段の両方を表す。したがって処置を必要とする者は、すでに障害を有する者;障害を生じやすい者;および障害が予防されるべき者を含む。いくつかの態様において、対象は、患者が以下の1つまたは複数を示す場合に、本発明の方法による「処置」に成功している:癌細胞の数の減少もしくは完全な非存在;腫瘍サイズの減少;軟組織および骨への癌細胞の拡散を含む、末梢器官への癌細胞の浸潤の阻害もしくはその非存在;腫瘍もしくは癌細胞の転移の阻害もしくはその非存在;癌の成長の阻害もしくは非存在;特定の癌に関連する1つもしくは複数の症状の緩和;罹患率および死亡率の減少;生活の質の改善;腫瘍形成能の減少;癌幹細胞の数もしくは発生率の減少;またはいくつかの効果の組み合わせ。
【0062】
本開示および特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が他のことを明確に示していない限り、複数の形態を包含する。
【0063】
ある態様が本明細書において「含む」という語を用いて記載されている場合は常に、「からなる」および/または「から本質的になる」という観点で記載される、他の類似の態様も提供されていることが理解される。ある態様が本明細書において「から本質的になる」という語を用いて記載されている場合は常に、「からなる」という観点で記載されている、他の類似の態様も提供されることも理解される。
【0064】
本明細書で使用される場合、「約」または「およそ」付きの値またはパラメータへの言及は、その値またはパラメータに関する態様を含む(および記載している)。例えば、「約X」の記載は、「X」の記載を含む。
【0065】
「および(ならびに)/または(もしくは)」という用語は、本明細書で「Aおよび(ならびに)/または(もしくは)B」等の語句において使用される場合、AおよびBの両方;AまたはB;A(単独);ならびにB(単独)を含むことが意図される。同様に、「および(ならびに)/または(もしくは)」という用語は、「A、Bおよび(ならびに)/または(もしくは)C」等の語句において使用される場合、以下の態様の各々を包含することが意図される:A、BおよびC;A、BまたはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);ならびにC(単独)。
【0066】
II. DLL4アンタゴニスト
特定の態様において、DLL4アンタゴニストは、ヒトDLL4の細胞外ドメインに特異的に結合する。いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストは、抗体である。いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストまたは抗体は、ヒトDLL4の細胞外ドメインのアミノ酸27〜217(SEQ ID NO:17)内のエピトープに特異的に結合する。いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストまたは抗体は、ヒトDLL4のN末端領域(SEQ ID NO:14)およびヒトDLL4のDSL領域(SEQ ID NO:15)の組み合わせによって形成されるエピトープに特異的に結合する。いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストまたは抗体は、ヒトDLL4のN末端領域(SEQ ID NO:14)内で特異的に結合する。いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストまたは抗体は、ヒトDLL4のアミノ酸66〜73(QAVVSPGP;SEQ ID NO:18)を含むエピトープに結合する。いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストまたは抗体は、ヒトDLL4のアミノ酸139〜146(LISKIAIQ;SEQ ID NO:19)を含むエピトープに結合する。いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストまたは抗体は、ヒトDLL4のアミノ酸66〜73(QAVVSPGP;SEQ ID NO:18)およびアミノ酸139〜146(LISKIAIQ;SEQ ID NO:19)を含むエピトープに特異的に結合する。
【0067】
特定の態様において、DLL4アンタゴニスト(例えば、抗体)は、約1μMもしくはそれ未満、約100nMもしくはそれ未満、約40nMもしくはそれ未満、約20nMもしくはそれ未満、約10nMもしくはそれ未満または約1nMもしくはそれ未満の解離定数(K
D)でヒトDLL4に結合する。特定の態様において、DLL4アンタゴニストまたは抗体は、約40nMもしくはそれ未満、約20nMもしくはそれ未満、約10nMもしくはそれ未満または約1nMもしくはそれ未満のK
DでヒトDLL4に結合する。特定の態様において、DLL4アンタゴニストは、約1nMのK
DでヒトDLL4に結合する。特定の態様において、DLL4アンタゴニストは、約0.8nMのK
DでヒトDLL4に結合する。特定の態様において、DLL4アンタゴニストは、約0.6nMのK
DでヒトDLL4に結合する。特定の態様において、DLL4アンタゴニストは、約0.5nMのK
DでヒトDLL4に結合する。特定の態様において、DLL4アンタゴニストは、約0.4nMのK
DでヒトDLL4に結合する。いくつかの態様において、K
Dは、表面プラズモン共鳴によって測定される。いくつかの態様において、DLL4に対するアンタゴニストまたは抗体の解離定数は、Biacoreチップ上に固定されたDLL4細胞外ドメインを含むDLL4融合タンパク質(例えば、DLL4 ECD-Fc融合タンパク質)を用いて決定される解離定数である。
【0068】
特定の態様において、DLL4アンタゴニスト(例えば、抗体)は、約1μMもしくはそれ未満、約100nMもしくはそれ未満、約40nMもしくはそれ未満、約20nMもしくはそれ未満、約10nMもしくはそれ未満または約1nMもしくはそれ未満の最大半量効果濃度(EC
50)でDLL4に結合する。特定の態様において、DLL4アンタゴニストまたは抗体は、約40nMもしくはそれ未満、約20nMもしくはそれ未満、約10nMもしくはそれ未満または約1nMもしくはそれ未満のEC
50でDLL4に結合する。
【0069】
特定の態様において、DLL4アンタゴニストは、ポリペプチドである。特定の態様において、DLL4アンタゴニストまたはポリペプチドは、抗体である。特定の態様において、抗体は、IgG抗体である。いくつかの態様において、抗体は、IgG1抗体である。いくつかの態様において、抗体は、IgG2抗体である。特定の態様において、抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの態様において、抗体は、二重特異性抗体である。特定の態様において、抗体は、ヒト化抗体である。特定の態様において、抗体は、ヒト抗体である。特定の態様において、抗体は、抗原結合部位を含む抗体フラグメントである。
【0070】
本発明のDLL4アンタゴニスト(例えば、抗体)は、当技術分野で公知の任意の方法によって特異的結合についてアッセイされ得る。使用することができる免疫アッセイは、Biacore分析、FACS分析、免疫蛍光、免疫細胞化学、ウェスタンブロット分析、放射免疫アッセイ、ELISA、「サンドイッチ」免疫アッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降反応、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、免疫放射線アッセイ、蛍光免疫アッセイおよびプロテインA免疫アッセイ等の技術を用いる競合および非競合アッセイシステムを含むがこれらに限定されない。そのようなアッセイは、常用されており、当技術分野で周知である(例えば、Ausubel et al., Editors, 1994-present, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc., New York, NYを参照のこと)。
【0071】
いくつかの態様において、ヒトDLL4に対するDLL4アンタゴニスト(例えば、抗体)の特異的結合は、ELISAを用いて決定され得る。ELISAアッセイは、DLL4抗原を調製すること、96ウェルマイクロタイタープレートのウェルを抗原でコーティングすること、検出可能な化合物、例えば酵素基質(例えば、セイヨウワサビペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼ)にコンジュゲートされたDLL4アンタゴニストまたは抗体をウェルに添加すること、一定期間インキュベートすること、および結合物質または抗体の存在を検出すること、を含む。いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストまたは抗体は、検出可能な化合物にコンジュゲートされず、代わりにDLL4アンタゴニストまたは抗体を認識する第2のコンジュゲートされた抗体がウェルに添加される。いくつかの態様において、ウェルをDLL4抗原でコーティングする代わりに、DLL4アンタゴニストまたは抗体がウェル上にコーティングされ得、コーティングされたウェルに抗原が添加され、次いで検出可能な化合物にコンジュゲートされた第2の抗体が添加される。当業者は、検出されるシグナルが増大するよう改変および/または最適化され得るパラメータならびに使用され得る他のELISAバージョン(例えば、Ausubel et al., Editors, 1994-present, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc., New York, NYを参照のこと)を熟知しているであろう。
【0072】
いくつかの態様において、ヒトDLL4に対するDLL4アンタゴニスト(例えば、抗体)の特異的結合は、FACSを用いて決定され得る。FACSスクリーニングアッセイは、抗原を融合タンパク質として発現するcDNAコンストラクトを作製すること、このコンストラクトを細胞にトランスフェクトすること、細胞の表面上で抗原を発現させること、DLL4アンタゴニストとトランスフェクト細胞を混合すること、および一定期間インキュベートすることを含み得る。DLL4アンタゴニストによって結合される細胞は、検出可能な化合物にコンジュゲートされた2次抗体(例えば、PEコンジュゲート抗Fc抗体)およびフローサイトメーターを用いることによって同定され得る。当業者は、検出されるシグナルを最適化するよう改変され得るパラメータならびにスクリーニングを向上させ得る他のFACSバージョン(例えば、遮断抗体のスクリーニング)を熟知しているであろう。
【0073】
DLL4に対するアンタゴニストまたは抗体の結合親和性および抗体・抗原相互作用のオン・オフ率は、競合結合アッセイによって決定され得る。いくつかの態様において、競合結合アッセイは、漸増量の非標識抗原の存在下での関心対象の抗体と標識抗原(例えば
3Hもしくは
125I)またはそのフラグメントもしくは変種とのインキュベート、その後の標識抗原に結合した抗体の検出を含む放射免疫アッセイである。抗原に対する抗体の親和性およびオン・オフ率は、Scatchardプロット分析によってデータから決定され得る。いくつかの態様において、DLL4に結合するアンタゴニストまたは抗体の結合親和性およびオン・オフ率を決定するためにBiacoreキネティクス分析が使用される。Biacoreキネティクス分析は、Biacoreチップの表面上に固定された抗原(例えば、DLL4タンパク質)に対する抗体の結合および解離の分析を含む。いくつかの態様において、Biacoreキネティクス分析は、定性エピトープ競合結合アッセイにおいて異なる抗体の結合を研究するために使用され得る。
【0074】
いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストは、ポリクローナル抗体である。ポリクローナル抗体は、任意の公知の方法によって調製され得る。ポリクローナル抗体は、関連抗原(例えば、精製されたペプチドフラグメント、全長組み換えタンパク質、融合タンパク質等)の複数回の皮下または腹腔内注射により動物(例えば、ウサギ、ラット、マウス、ヤギ、ロバ)を免疫することによって調製される。抗原は、任意で、担体タンパク質、例えばキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)または血清アルブミンにコンジュゲートされ得る。(担体タンパク質を含むまたは含まない)抗原は、滅菌生理食塩水で希釈され、そして安定なエマルジョンを形成するために通常アジュバント(例えば、完全または不完全フロイントアジュバント)と組み合わされる。十分な期間の後、ポリクローナル抗体が、免疫された動物の血液、腹水等から回収される。ポリクローナル抗体は、親和性クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル電気泳動および透析を含むがこれらに限定されない当技術分野の標準的方法にしたがい血清または腹水から精製され得る。
【0075】
いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストは、モノクローナル抗体である。モノクローナル抗体は、当業者に公知のハイブリドーマ法を用いて調製され得る(例えば、Kohler and Milstein, 1975, Nature 256:495を参照のこと)。ハイブリドーマ法を用いて、マウス、ハムスターまたはその他の適切な宿主動物が上記のようにして免疫され、免疫抗原に特異的に結合するであろう抗体を産生するリンパ球が誘発される。いくつかの態様において、リンパ球は、インビトロで免疫される。いくつかの態様において、免疫抗原(例えば、DLL4)は、ヒトタンパク質またはその一部分である。いくつかの態様において、免疫抗原(例えば、DLL4)は、マウスタンパク質またはその一部分である。いくつかの態様において、免疫抗原は、ヒトDLL4の細胞外ドメインである。いくつかの態様において、免疫抗原は、マウスDLL4の細胞外ドメインである。いくつかの態様において、マウスは、ヒト抗原を用いて免疫される。いくつかの態様において、マウスは、マウス抗原を用いて免疫される。
【0076】
免疫の後、リンパ球が単離され、そして例えばポリエチレングリコールを用いて適切な骨髄腫細胞株と融合される。ハイブリドーマ細胞は、当技術分野で公知の専用培地を用いて選択され、そして非融合リンパ球および骨髄腫細胞はこの選択プロセスを生き抜けない。標的抗原に対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、免疫沈降、免疫ブロットおよびインビトロ結合アッセイ(例えば、フローサイトメトリー、酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)または放射免疫アッセイ(RIA))を含むがこれらに限定されない様々な技術によって同定され得る。ハイブリドーマは、標準的方法(J.W. Goding, 1996, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, 3rd Edition, Academic Press, San Diego, CA)を用いてインビトロ培養物中でまたは宿主動物の腹水としてインビボでのいずれかで増殖され得る。モノクローナル抗体は、親和性クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル電気泳動および透析を含むがこれらに限定されない当技術分野の標準的方法にしたがい培養培地または腹水液から精製され得る。
【0077】
いくつかの態様において、モノクローナル抗体は、当業者に公知の組み換えDNA技術を用いて作製され得る(例えば、米国特許第4,816,567号を参照のこと)。例えば、モノクローナル抗体をコードするポリヌクレオチドは、例えば、抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子を特異的に増幅するオリゴヌクレオチドプライマーを用いるRT-PCRによって成熟B細胞またはハイブリドーマ細胞から単離され、そしてそれらの配列が従来的技術を用いて決定される。重鎖および軽鎖をコードする単離されたポリヌクレオチドは、宿主細胞、例えばそうでなければ免疫グロブリンタンパク質を産生しない大腸菌(E.coli)、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞または骨髄腫細胞にトランスフェクトされたときにモノクローナル抗体を産生する適切な発現ベクターにクローニングされる。特定の態様において、組み換えモノクローナル抗体またはそのフラグメントは、所望の種の可変ドメイン領域またはCDRを発現するファージディスプレイライブラリから単離され得る(例えば、McCafferty et al., 1990, Nature, 348:552-554; Clackson et al., 1991, Nature, 352:624-628;およびMarks et al., 1991, J. Mol. Biol., 222:581-597を参照のこと)。
【0078】
モノクローナル抗体をコードするポリヌクレオチドは、例えば、代替の抗体を生成するよう組み換えDNA技術を用いて改変され得る。いくつかの態様において、例えばマウスモノクローナル抗体の軽鎖および重鎖の定常ドメインにより、キメラ抗体を生成するよう例えばヒト抗体のそれらの領域が置換され得、または融合抗体を生成するよう非免疫グロブリンポリペプチドが置換され得る。いくつかの態様において、定常領域は、モノクローナル抗体の所望の抗体フラグメントが生成するよう切断または除去される。いくつかの態様において、可変領域の部位特異的または高密度変異誘発が、モノクローナル抗体の特異性、親和性および/または生物学的特徴を最適化するために使用され得る。いくつかの態様において、CDRの部位特異的変異誘発が、モノクローナル抗体の特異性、親和性および/または他の生物学的特徴を最適化するために使用され得る。
【0079】
いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストは、ヒト化抗体である。典型的に、ヒト化抗体は、相補性決定領域(CDR)の残基が当業者に公知の方法によって所望の特異性、親和性および/または能力を有する非ヒト種(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター)のCDRの残基で置換されたヒト免疫グロブリンである。いくつかの態様において、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域の残基が、所望の特異性、親和性および/または能力を有する非ヒト免疫グロブリンの対応するフレームワーク領域の残基で置換される。いくつかの態様において、ヒト化抗体は、抗体の特異性、親和性および/または能力を洗練および最適化するために、Fvフレームワーク領域中および/または置換された非ヒト残基内のいずれかにおいて追加の残基の置換によってさらに改変される。一般に、ヒト化抗体は、非ヒト免疫グロブリンに対応するCDRのすべてまたは実質的にすべてを含む少なくとも1つおよび典型的には2つまたは3つの可変ドメインの実質的にすべてを含み、フレームワーク領域のすべてまたは実質的にすべてはヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のそれらである。いくつかの態様において、ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域またはドメイン(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンのそれ、の少なくとも一部分を含み得る。特定の態様において、そのようなヒト化抗体は、ヒト対象に投与したときに低抗原性のはずでありかつHAMA(ヒト抗マウス抗体)応答を減少させ得るため、治療的に使用される。当業者は、公知の技術(例えば米国特許第5,225,539号;同第5,585,089号;同第5,693,761号;および同第5,693,762号を参照のこと)にしたがい免疫原性が低下した機能的ヒト化抗体を得ることができるであろう。
【0080】
いくつかの態様において、本発明は、抗体21M18、21M18 H9L2および/または21M18 H7L2のCDRの1つ、2つ、3つ、4つ、5つおよび/または6つを含む、ヒトDLL4の細胞外ドメインに特異的に結合する抗体を提供する。これらの抗体は、2007年9月28日に出願された米国特許第7,750,124号に記載されている。抗体21M18 H7L2および21M18 H9L2は、マウス21M18抗体のヒト化版である。抗体21M18 H7L2は、OMP-21M18およびデムシズマブ(demcizumab)とも称される。
【0081】
特定の態様において、本発明は、TAYYIH(SEQ ID NO:1)を含む重鎖CDR1、
を含む重鎖CDR2、および
を含む重鎖CDR3を含む、ヒトDLL4の細胞外ドメインのアミノ酸27〜217内のエピトープに特異的に結合するDLL4抗体である、DLL4アンタゴニストを提供する。いくつかの態様において、抗体はさらに、
を含む軽鎖CDR1、AASNQGS(SEQ ID NO:7)を含む軽鎖CDR2、および
を含む軽鎖CDR3を含む。いくつかの態様において、抗体は、
を含む軽鎖CDR1、AASNQGS(SEQ ID NO:7)を含む軽鎖CDR2、および
を含む軽鎖CDR3を含む。いくつかの態様において、DLL4抗体は、TAYYIH(SEQ ID NO:1)を含む重鎖CDR1、
を含む重鎖CDR2、および
を含む重鎖CDR3;ならびに
を含む軽鎖CDR1、AASNQGS(SEQ ID NO:7)を含む軽鎖CDR2、および
を含む軽鎖CDR3を含む。
【0082】
特定の態様において、本発明は、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10もしくはSEQ ID NO:11に対して少なくとも約80%の配列同一性を有する重鎖可変領域、および/またはSEQ ID NO:12に対して少なくとも80%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む、ヒトDLL4の細胞外ドメインのアミノ酸27〜217内のエピトープに特異的に結合する抗体を提供する。特定の態様において、抗体は、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10またはSEQ ID NO:11に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%または少なくとも約99%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む。特定の態様において、抗体は、SEQ ID NO:12に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%または少なくとも約99%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。特定の態様において、抗体は、SEQ ID NO:9に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域、および/またはSEQ ID NO:12に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。特定の態様において、抗体は、SEQ ID NO:9を含む重鎖可変領域、および/またはSEQ ID NO:12を含む軽鎖可変領域を含む。特定の態様において、抗体は、SEQ ID NO:9を含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:12を含む軽鎖可変領域を含む。特定の態様において、抗体は、SEQ ID NO:10に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域、および/またはSEQ ID NO:12に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。特定の態様において、抗体は、SEQ ID NO:10を含む重鎖可変領域、および/またはSEQ ID NO:12を含む軽鎖可変領域を含む。特定の態様において、抗体は、SEQ ID NO:10を含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:12を含む軽鎖可変領域を含む。特定の態様において、抗体は、SEQ ID NO:11に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する重鎖可変領域、および/またはSEQ ID NO:12に対して少なくとも約95%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。特定の態様において、抗体は、SEQ ID NO:11を含む重鎖可変領域、および/またはSEQ ID NO:12を含む軽鎖可変領域を含む。特定の態様において、抗体は、SEQ ID NO:11を含む重鎖可変領域、およびSEQ ID NO:12を含む軽鎖可変領域を含む。
【0083】
特定の態様において、抗DLL4抗体は、マウス21M18としても公知の、2007年9月28日にATCCに寄託され、ATCC寄託番号PTA-8670を有するハイブリドーマによって産生される抗体である。マウス21M18抗体は、2007年9月28日に出願された米国特許第7,750,124号で詳述されている。
【0084】
特定の態様において、抗DLL4抗体は、21M18 H7L2およびOMP-21M18としても公知の、2007年5月10日にATCCに寄託され、ATCC寄託番号PTA-8425を有するプラスミドによってコードされる抗体である。OMP-21M18抗体は、2007年9月28日に出願された米国特許第7,750,124号で詳述されている。抗DLL4抗体OMP-21M18は、CDR1(SEQ ID NO:1);CDR2(SEQ ID NO:3);およびCDR3(SEQ ID NO:5)のCDRアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;ならびにCDR1(SEQ ID NO:6);CDR2(SEQ ID NO:7);およびCDR3(SEQ ID NO:8)のCDRアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。1つの態様において、OMP-21M18抗体は、SEQ ID NO:10の重鎖可変領域配列およびSEQ ID NO:12の軽鎖可変領域配列を含む。
【0085】
特定の態様において、抗DLL4抗体は、21M18 H9L2としても公知の、2007年5月10日にATCCに寄託され、ATCC寄託番号PTA-8427を有するプラスミドによってコードされる抗体である。21M18 H9L2抗体は、2007年9月28日に出願された米国特許第7,750,124号で詳述されている。
【0086】
特定の態様において、DLL4アンタゴニスト(例えば、抗体)は、SEQ ID NO:10を含む重鎖可変領域および/またはSEQ ID NO:12を含む軽鎖可変領域を含む抗体が結合するのと同じエピトープに結合する。特定の態様において、DLL4アンタゴニスト(例えば、抗体)は、SEQ ID NO:9を含む重鎖可変領域および/またはSEQ ID NO:12を含む軽鎖可変領域を含む抗体が結合するのと同じエピトープに結合する。特定の態様において、DLL4アンタゴニスト(例えば、抗体)は、SEQ ID NO:11を含む重鎖可変領域および/またはSEQ ID NO:12を含む軽鎖可変領域を含む抗体が結合するのと同じエピトープに結合する。いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストまたは抗体は、マウス抗体21M18と同じエピトープに結合する。いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストまたは抗体は、ヒト化抗体21M18 H7L2(OMP-21M18)と同じエピトープに結合する。いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストまたは抗体は、ヒト化抗体21M18 H9L2と同じエピトープに結合する。
【0087】
特定の態様において、DLL4アンタゴニスト(例えば、抗体)は、ヒトDLL4の細胞外ドメインへの特異的結合に関して、SEQ ID NO:10を含む重鎖可変領域および/またはSEQ ID NO:12を含む軽鎖可変領域を含む抗体と競合する。特定の態様において、DLL4アンタゴニスト(例えば、抗体)は、ヒトDLL4の細胞外ドメインへの特異的結合に関して、SEQ ID NO:9を含む重鎖可変領域および/またはSEQ ID NO:12を含む軽鎖可変領域を含む抗体と競合する。特定の態様において、DLL4アンタゴニスト(例えば、抗体)は、ヒトDLL4の細胞外ドメインへの特異的結合に関して、SEQ ID NO:11を含む重鎖可変領域および/またはSEQ ID NO:12を含む軽鎖可変領域を含む抗体と競合する。いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストは、ヒトDLL4の細胞外ドメインへの特異的結合に関して、寄託番号PTA-8425を有するATCCに寄託されたプラスミドによってコードされる抗体と競合する。いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストまたは抗体は、ヒトDLL4の細胞外ドメインへの特異的結合に関して、寄託番号PTA-8427を有するATCCに寄託されたプラスミドによってコードされる抗体と競合する。いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストまたは抗体は、ヒトDLL4の細胞外ドメインへの特異的結合に関して、寄託番号PTA-8670を有するATCCに寄託されたハイブリドーマによって産生される抗体と競合する。いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストまたは抗体は、競合結合アッセイにおいて、ヒトDLL4の細胞外ドメインのアミノ酸27〜217内のエピトープへの特異的結合に関して競合する。他の抗DLL4抗体は、当技術分野で公知であり、本明細書に記載される方法において使用され得る。
【0088】
特定の態様において、DLL4アンタゴニストは、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当技術分野で公知の様々な技術を用いて直接的に調製され得る。いくつかの態様において、ヒト抗体は、インビトロで免疫された不死化ヒトBリンパ球からまたは免疫された個体から単離されたリンパ球から生成され得る。いずれの場合においても、標的抗原に対する抗体を産生する細胞が、生成および単離され得る(例えば、Cole et al., 1985, Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, p.77; Boemer et al., 1991, J.Immunol., 147:86-95;ならびに米国特許第5,750,373号;同第5,567,610号;および同第5,229,275号を参照のこと)。
【0089】
いくつかの態様において、ヒト抗体は、ヒト抗体を発現するファージライブラリから選択され得る(Vaughan et al., 1996, Nature Biotechnology, 14:309-314; Sheets et al., 1998, PNAS, 95:6157-6162; Hoogenboom and Winter, 1991, J. Mol. Biol., 227:381; Marks et al., 1991, J. Mol. Biol., 222:581)。あるいは、ファージディスプレイ技術は、インビトロで非免疫ドナー由来の免疫グロブリン可変ドメイン遺伝子レパートリーからヒト抗体および抗体フラグメントを作製するために使用され得る。抗体ファージライブラリの作製および使用のための技術は、米国特許第5,969,108号;同第6,172,197号;同第5,885,793号;同第6,521,404号;同第6,544,731号;同第6,555,313号;同第6,582,915号;同第6,593,081号;同第6,300,064号;同第6,653,068号;同第6,706,484号;および同第7,264,963号;ならびにRothe et al., 2008, J. Mol. Bio., 376:1182-1200に記載されている。
【0090】
抗体が同定された後、高親和性のヒト抗体を生成するために、チェーンシャッフリング(Marks et al., 1992, Bio/Technology. 10:779-783)および部位特異的変異誘発を含むがこれらに限定されない当技術分野で公知の親和性成熟ストラテジーが使用され得る。
【0091】
いくつかの態様において、ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を含むトランスジェニックマウスにおいて作製され得る。免疫を行うことで、これらのマウスは、内因性の免疫グロブリンを産生せずにヒト抗体の完全なレパートリーを産生することができる。このアプローチは、米国特許第5,545,807号;同第5,545,806号;同第5,569,825号;同第5,625,126号;同第5,633,425号;および同第5,661,016号に記載されている。
【0092】
特定の態様において、DLL4アンタゴニストは、二重特異性抗体である。二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なるエピトープを特異的に認識してこれらに結合することができる。異なるエピトープは、同じ分子内にあるものまたは異なる分子上にあるもののいずれかであり得る。いくつかの態様において、抗体は、第1の抗原標的(例えば、DLL4)および第2の抗原標的、例えば白血球上のエフェクター分子(例えば、CD2、CD3、CD28もしくはB7)またはFc受容体(例えば、CD64、CD32もしくはCD16)を特異的に認識してこれらに結合し、それによって第1の抗原標的を発現する細胞に細胞防御機構を向けることができる。いくつかの態様において、抗体は、特定の標的抗原、例えばDLL4を発現する細胞に細胞傷害剤を誘導するために使用され得る。これらの抗体は、抗原結合アームおよび細胞傷害剤または放射性核種キレーター、例えばEOTUBE、DPTA、DOTAまたはTETAに結合するアームを有する。特定の態様において、抗体は、血管新生をもたらすために使用され得る。特定の態様において、二重特異性抗体は、DLL4および第2のNotchリガンド(例えば、Jagged1もしくはJagged2)またはNotch1、Notch2、Notch3およびNotch4からなる群より選択される少なくとも1つのNotch受容体に特異的に結合する。特定の態様において、二重特異性抗体は、DLL4およびVEGFに特異的に結合する。いくつかの態様において、二重特異性抗体は、2012年9月24日に出願された米国特許出願第13/625,417号に開示されている二重特異性抗体である。いくつかの態様において、抗VEGF/DLL4二重特異性抗体は、2012年9月24日に出願された米国特許出願第13/625,417号に開示されている219R45-MB-21M18、219R45-MB-21R79、219R45-MB-21R75または219R45-MB-21R83である。
【0093】
二重特異性抗体を作製する技術は、当業者に公知であり、例えばMillstein et al., 1983, Nature, 305:537-539; Brennan et al., 1985, Science, 229:81; Suresh et al, 1986, Methods in Enzymol., 121:120; Traunecker et al., 1991, EMBO J., 10:3655-3659; Shalaby et al., 1992, J. Exp. Med., 175:217-225; Kostelny et al., 1992, J. Immunol., 148: 1547-1553; Gruber et al., 1994, J. Immunol., 152:5368; 米国特許第5,731,168号; および米国特許出願公開第2011/0123532号を参照されたい。二重特異性抗体は、インタクトな抗体または抗体フラグメントであり得る。2を超える結合価を有する抗体も想定されている。例えば、3特異性抗体が、調製され得る(Tutt et al., 1991, J. Immunol., 147:60)。したがって、特定の態様において、DLL4に対する抗体は、多特異性である。
【0094】
特定の態様において、本明細書に記載されるDLL4アンタゴニスト(例えば、抗体または他のポリペプチド)は、単一特異性であり得る。例えば、特定の態様において、抗体が含んでいる1つまたは複数の抗原結合部位の各々が、DLL4上の類似のエピトープに結合することができる(結合する)。
【0095】
特定の態様において、DLL4アンタゴニストは、抗体フラグメントである。抗体フラグメントは、インタクトな抗体と異なる機能または能力を有し得る:例えば、抗体フラグメントは、高い腫瘍浸潤性を有し得る。抗体フラグメントの作製に関しては、インタクトな抗体のタンパク質分解消化を含むがこれらに限定されない様々な技術が公知である。いくつかの態様において、抗体フラグメントは、抗体分子のペプシン消化によって生成されるF(ab')2フラグメントを含む。いくつかの態様において、抗体フラグメントは、F(ab')2フラグメントのジスルフィド架橋を還元することによって生成されるFabフラグメントを含む。他の態様において、抗体フラグメントは、パパインおよび還元剤を用いた抗体分子の処理によって生成されるFabフラグメントを含む。特定の態様において、抗体フラグメントは、組み換えにより作製される。いくつかの態様において、抗体フラグメントは、Fvまたは一本鎖Fv(scFv)フラグメントを含む。Fab、FvおよびscFv抗体フラグメントは、大腸菌または他の宿主細胞中で発現されそしてそれらから分泌され得、それによってこれらのフラグメントの多量生産が行われる。いくつかの態様において、抗体フラグメントは、本明細書で議論されるように抗体ファージライブラリから単離される。例えば、Fab発現ライブラリの構築(Huse et al., 1989, Science, 246:1275-1281)のために、DLL4に対する所望の特異性を有するモノクローナルFabフラグメントまたはその誘導体、フラグメント、アナログもしくはホモログの高速かつ効率的な同定を実現する方法が使用され得る。いくつかの態様において、抗体フラグメントは、鎖状抗体フラグメントである。特定の態様において、抗体フラグメントは、単一特異性または二重特異性である。特定の態様において、DLL4アンタゴニストは、scFvである。DLL4に特異的な一本鎖抗体の作製のために様々な技術が使用され得る(例えば、米国特許第4,946,778号を参照のこと)。
【0096】
特に抗体フラグメントの例において、その血清半減期を延ばすよう抗体を改変することがさらに望ましいことがあり得る。これは、例えば、抗体フラグメント内の適切な領域の変異による抗体フラグメントへのサルベージ受容体結合エピトープの導入によってまたは(例えば、DNAもしくはペプチド合成によって)抗体フラグメントの末端もしくは中間のいずれかに融合されるペプチドタグへのエピトープの組み込みによって達成され得る。
【0097】
本発明の目的上、改変された抗体またはそのフラグメントは抗体とDLL4の会合を提供する任意のタイプの可変領域を含み得ることを理解されたい。この点、可変領域は、液性応答を誘起し、所望の抗原(例えば、DLL4)に対する免疫グロブリンを生成するよう誘導され得る任意のタイプの哺乳動物由来であり得る。したがって、改変された抗体の可変領域は、例えば、ヒト、マウス、非ヒト霊長類(例えば、カニクイザル、マカク等)またはレピン(lepine)起源のものであり得る。いくつかの態様において、改変された免疫グロブリンの可変および定常の両領域が、ヒトである。他の態様において、(通常は非ヒト源由来の)適合する抗体の可変領域が、その分子の結合特性を改善するまたは免疫原性を減少させるよう操作または特別仕立てされ得る。この点、本発明において有用な可変領域は、ヒト化され得るか、または移入されるアミノ酸配列の導入を通じて他の方法で変更され得る。
【0098】
特定の態様において、重鎖および軽鎖の両方の可変ドメインは、1つまたは複数のCDRの少なくとも部分的な置換によってならびに、必要に応じて、部分的なフレームワーク領域の置換および配列改変によって変更され得る。CDRはフレームワーク領域の由来となった抗体と同じクラスまたはサブクラスでさえある抗体由来であり得るが、CDRが異なるクラスの抗体および好ましくは異なる種由来の抗体由来であることも想定されている。1つの可変ドメインの抗原結合能を別のものに移すために、CDRのすべてをドナー可変領域由来のCDRのすべてと置換する必要はない場合がある。そうではなく、抗原結合部位の活性を維持するために必要な残基を移すことが必要とされるのみであり得る。
【0099】
可変領域が変更されたとしても、当業者は、本発明の改変された抗体が、所望の生化学的特徴、例えばネイティブのまたは変更されていない定常領域を含むほぼ同じ免疫原性の抗体と比較して高い腫瘍局在性、高い腫瘍浸潤性、短い血清半減期または長い血清半減期を提供するよう1つのまたは複数の定常領域ドメインの少なくとも一部が欠失またはそれ以外の方法で変更された抗体(例えば、全長抗体またはその抗原結合フラグメント)を含むことを理解するであろう。いくつかの態様において、改変された抗体の定常領域は、ヒト定常領域を含む。定常領域に対する改変は、1つまたは複数のドメインにおける1つまたは複数のアミノ酸の付加、欠失または置換を含む。本明細書に開示される改変された抗体は、3つの重鎖定常ドメイン(CH1、CH2もしくはCH3)の1つもしくは複数に対するおよび/または軽鎖定常ドメイン(CL)に対する変更または改変を含み得る。いくつかの態様において、1つまたは複数のドメインが、改変された抗体の定常領域から部分的にまたは完全に欠失される。いくつかの態様において、CH2ドメイン全体が除去される(ΔCH2コンストラクト)。いくつかの態様において、除去される定常領域ドメインは、典型的に除かれた定常領域によって付与されていた分子的柔軟性を一定程度提供する短いアミノ酸スペーサー(例えば、10aa残基)によって置換される。
【0100】
特定の態様において、改変された抗体は、CH3ドメインを抗体のヒンジ領域に直接融合するよう操作されている。他の態様において、ペプチドスペーサーが、ヒンジ領域と改変されたCH2および/またはCH3ドメインの間に挿入される。例えば、CH2ドメインが欠失され、残った(改変されたまたは未改変の)CH3ドメインが5〜20アミノ酸スペーサーを用いてヒンジ領域に接続されているコンストラクトが発現され得る。そのようなスペーサーは、定常ドメインの調節エレメントが自由でありかつアクセス可能性を維持していることまたはヒンジ領域が柔軟性を維持していることを保証するよう付加され得る。しかし、アミノ酸スペーサーは、いくつかの例において、免疫原性でありそのコンストラクトに対する望まれない免疫応答を誘発することが判明し得ることに留意されるべきである。したがって、特定の態様において、コンストラクトに付加される任意のスペーサーは、改変された抗体の所望の生物学的性質を維持するよう、相対的に非免疫原性のものであろう。
【0101】
いくつかの態様において、改変された抗体は、定常ドメインの部分的欠失または数個のもしくは単一でさえあるアミノ酸の置換しか有さないものであり得る。例えば、CH2ドメインの選択された領域における単一のアミノ酸の変異は、Fc結合を実質的に減少させ、それによって腫瘍局在化および/または腫瘍浸潤を増大させるのに十分であり得る。同様に、調整したい特定のエフェクター機能(例えば、補体C1q結合)を制御する1つまたは複数の定常領域ドメインの一部を単独で欠失させることが望ましい場合がある。そのような定常領域の部分欠失は、対象の定常領域ドメインに関連する他の所望の機能をインタクトな状態で維持しつつ、抗体の選択された特徴(血清半減期)を改善し得る。さらに、ここまでに暗示されているように、開示される抗体の定常領域は、得られるコンストラクトのプロフィールを強化する1つまたは複数のアミノ酸の変異または置換を通じて改変され得る。これに関して、改変された抗体の構成および免疫原性のプロフィールを実質的に維持しつつ、保存された結合部位により提供される活性(例えば、Fc結合)を破壊することが可能であり得る。特定の態様において、改変された抗体は、所望の特徴、例えば低下したもしくは向上したエフェクター機能、を強化するためまたはより多くの細胞毒もしくは炭水化物付着部位を提供するための、定常領域への1つまたは複数のアミノ酸の付加を含む。
【0102】
定常領域が様々なエフェクター機能を媒介することは、当技術分野で公知である。例えば、(抗原に結合した)IgGまたはIgM抗体のFc領域への補体のC1成分の結合は、補体系を活性化する。補体の活性化は、細胞病原体のオプソニン化および溶解に重要である。補体の活性化はまた、炎症応答を刺激し、自己免疫過敏にも関与し得る。加えて、抗体のFc領域は、Fc受容体(FcR)を発現する細胞に結合し得る。多くのFc受容体が、IgG(ガンマ受容体)、IgE(イプシロン受容体)、IgA(アルファ受容体)およびIgM(ミュー受容体)を含む異なるクラスの抗体に特異的である。細胞表面上のFc受容体への抗体の結合は、抗体で被覆された粒子の貪食および破壊、免疫複合体の除去、キラー細胞による抗体で被覆された標的細胞の溶解、炎症メディエーターの放出、胎盤通過ならびに免疫グロブリン産生の制御を含む、多くの重要かつ多様な生物学的応答を誘発する。
【0103】
特定の態様において、DLL4抗体は、投与された抗体の生物学的プロフィールに影響する変更されたエフェクター機能を提供する。例えば、いくつかの態様において、定常領域ドメインの(点変異または他の手段を通じた)欠失または不活性化は、循環中の改変された抗体(例えば、DLL4抗体)のFc受容体結合を減少させ、それによって腫瘍局在化および/または浸潤を向上させ得る。他の態様において、定常領域の改変は、抗体の血清半減期を増加または減少させる。いくつかの態様において、定常領域は、ジスルフィド結合またはオリゴ糖部分を排除するよう改変され、それによって強化された腫瘍局在化および/または浸潤を実現する。
【0104】
特定の態様において、DLL4抗体は、1つまたは複数のエフェクター機能を有さない。いくつかの態様において、抗体は、抗体依存細胞傷害(ADCC)活性および/または補体依存細胞傷害(CDC)活性を有さない。特定の態様において、抗体は、Fc受容体および/または補体因子に結合しない。特定の態様において、抗体は、エフェクター機能を有さない。
【0105】
本発明はさらに、本明細書に示されるキメラ抗体、ヒト化抗体およびヒト抗体またはそれらの抗体フラグメントに実質的に相同な変種および等価物を包含する。これらは、例えば、保存的置換変異、すなわち同等アミノ酸による1つまたは複数のアミノ酸の置換を含み得る。
【0106】
したがって、本発明は、ヒトDLL4の細胞外ドメインに結合する抗体を生成するための方法を提供する。いくつかの態様において、DLL4に結合する抗体を生成するための方法は、ハイブリドーマ技術の使用を含む。いくつかの態様において、この方法は、免疫抗原としてのマウスDLL4またはヒトDLL4の細胞外ドメインの使用を含む。いくつかの態様において、DLL4に結合する抗体を生成する方法は、ヒトファージライブラリのスクリーニングを含む。本発明はさらに、DLL4に結合する抗体を同定する方法を提供する。いくつかの態様において、抗体は、フローサイトメトリー(FACS)を用いてDLL4への結合に関してスクリーニングすることによって同定される。いくつかの態様において、抗体は、ヒトDLL4への結合に関してスクリーニングされる。いくつかの態様において、抗体は、マウスDLL4への結合に関してスクリーニングされる。いくつかの態様において、抗体は、DLL4により誘導されるNotchの活性化の阻害または遮断に関してスクリーニングすることによって同定される。いくつかの態様において、DLL4は、ヒトDLL4である。いくつかの態様において、Notchは、ヒトNotch1、Notch2、Notch3またはNotch4である。
【0107】
特定の態様において、本明細書に記載される抗体は、単離される。特定の態様において、本明細書に記載される抗体は、実質的に純粋である。
【0108】
特定の抗DLL4抗体は、例えば、米国特許第7,750,124号に記載されている。さらなる抗DLL4抗体は、例えば、国際特許公開第WO 2008/091222号および同第WO 2008/0793326号ならびに米国特許出願公開第2008/0014196号、同第2008/0175847号、同第2008/0181899号、同第2008/0107648号および同第2010/0196385号に記載されている。
【0109】
本発明のいくつかの態様において、DLL4アンタゴニストは、ポリペプチドである。ポリペプチドは、ヒトDLL4の細胞外ドメイン内のアミノ酸を含むエピトープに結合する組み換えポリペプチド、天然ポリペプチドまたは合成ポリペプチドであり得る。いくつかの態様において、ポリペプチドは、ヒトDLL4の細胞外ドメイン内のエピトープに結合する抗体またはそのフラグメントを含む。ポリペプチドの一部のアミノ酸配列はそのタンパク質の構造または機能に対して有意な影響を与えずに変更され得ることが当業者によって理解されるであろう。したがって、ポリペプチドはさらに、ヒトDLL4タンパク質のエピトープに対して実質的な結合活性を示すポリペプチドのバリエーションを含む。いくつかの態様において、ポリペプチドのアミノ酸配列のバリエーションは、欠失、挿入、逆位、反復および/またはタイプ置換(type substitution)を含む。
【0110】
ポリペプチドおよびその変種は、通常そのポリペプチドの一部ではない追加の化学部分を含むようさらに改変され得る。誘導体化部分は、そのポリペプチドの溶解性、生物学的半減期または吸収性を改善し得る。その部分はまた、そのポリペプチドおよび変種の任意の望ましくない副作用を減少または除去し得る。そのような化学部分に関する概説は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Edition, 2005, University of the Sciences in Philadelphia, PAにおいて見出され得る。
【0111】
本明細書に記載される単離されたポリペプチドは、当技術分野で公知の任意の適切な方法によって作製され得る。そのような方法は、直接タンパク質合成法から単離されたポリペプチド配列をコードするDNA配列の構築および適切な宿主におけるそれらの配列の発現まで多岐にわたる。いくつかの態様において、DNA配列は、組み換え技術を用いて、関心対象の野生型タンパク質をコードするDNA配列を単離または合成することによって構築される。任意で、配列は、その機能的変種を提供するよう部位特異的変異誘発によって変異誘発され得る。
【0112】
いくつかの態様において、関心対象のポリペプチドをコードするDNA配列は、オリゴヌクレオチド合成装置を用いて化学合成によって構築され得る。オリゴヌクレオチドは、所望のポリペプチドのアミノ酸配列に基づき、そして関心対象の組み換えポリペプチドを産生する宿主細胞に好ましいコドンを選択することによって設計され得る。関心対象のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を合成するために、標準的な方法が適用され得る。例えば、完全アミノ酸配列が、逆翻訳された遺伝子を構築するために使用され得る。さらに、特定のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むDNAオリゴマーが、合成され得る。例えば、所望のポリペプチドの一部分をコードするいくつかの小さなオリゴヌクレオチドが合成され、次いでそれらが連結され得る。個々のオリゴヌクレオチドは、典型的に、相補性による組み立てのために5'および/または3'オーバーハングを含む。
【0113】
(合成、部位特異的変異誘発または別の方法による)構築の後、関心対象の特定のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列は、発現ベクターに挿入され、そして所望の宿主におけるポリペプチドの発現に適した発現制御配列に機能的に連結され得る。適切な構築は、ヌクレオチド配列決定、制限マッピングおよび/または適切な宿主における生物学的に活性なポリペプチドの発現によって確認され得る。当技術分野で周知のように、宿主におけるトランスフェクト遺伝子の高発現レベルを達成するために、遺伝子は、選択された発現宿主において機能的な転写および翻訳発現制御配列に機能的に連結されなければならない。
【0114】
特定の態様において、DLL4アンタゴニスト、例えばポリペプチドもしくは抗体またはそれらのフラグメントをコードするDNAを増幅および発現させるために、組み換え発現ベクターが使用され得る。例えば、組み換え発現ベクターは、哺乳動物、微生物、ウイルスまたは昆虫遺伝子由来の適切な転写または翻訳調節エレメントに機能的に連結された、抗DLL4抗体のポリペプチド鎖またはそのフラグメントをコードする合成性またはcDNA由来DNAフラグメントを有する複製可能なDNAコンストラクトであり得る。転写ユニットは、一般に、(1)遺伝子発現において役割を果たす調節エレメントまたはエレメント群、例えば転写プロモーターおよび/またはエンハンサー、(2)mRNAに転写されタンパク質に翻訳される構造またはコード配列ならびに(3)適切な転写および翻訳開始および終結配列、の集合体を含む。調節エレメントは、転写を制御するオペレーター配列を含み得る。通常複製起点によって付与される、宿主において複製する能力、および形質転換体の認識を容易にする選択遺伝子もまた組み込まれ得る。DNA領域は、それらが相互に機能的に関連付けられる場合、「機能的に連結」されている。例えば、シグナルペプチド(分泌リーダー)のDNAは、それがあるポリペプチドの分泌に関与する前駆体として発現される場合、そのポリペプチドのDNAに機能的に連結されており;プロモーターは、それがあるコード配列の転写を制御する場合、その配列に機能的に連結されており;またはリボソーム結合部位は、それが翻訳を可能にするよう配置される場合、コード配列に機能的に連結されている。酵母発現システムにおける使用が意図されている構造エレメントは、宿主細胞による翻訳されたタンパク質の細胞外分泌を可能にするリーダー配列を含む。あるいは、組み換えタンパク質がリーダーまたは輸送配列なしで発現される場合、それは、N末端メチオニン残基を含み得る。この残基は、任意で、その後に、最終産物を提供するよう発現された組み換えタンパク質から切断され得る。
【0115】
発現ベクターおよび制御エレメントの選択は、宿主の選択に依存する。幅広い様々な発現宿主/ベクターの組み合わせが利用され得る。真核生物宿主に有用な発現ベクターは、例えば、SV40、ウシパピローマウイルス、アデノウイルスおよびサイトメガロウイルス由来の発現制御配列を含むベクターを含む。細菌宿主に有用な発現ベクターは、公知の細菌プラスミド、例えばpCR1、pBR322、pMB9およびそれらの誘導体を含む大腸菌由来のプラスミドならびに多宿主用プラスミド、例えばM13およびその他の線状1本鎖DNAファージを含む。
【0116】
DLL4アンタゴニストポリペプチドもしくは抗体(または抗原として使用するDLL4タンパク質)の発現に適した宿主細胞は、適切なプロモーターの制御下の原核生物、酵母、昆虫または高等真核生物細胞を含む。原核生物は、グラム陰性またはグラム陽性生物、例えば大腸菌またはバシラス菌を含む。高等真核生物細胞は、以下に記載されるような哺乳動物起源の樹立された細胞株を含む。無細胞翻訳システムも利用され得る。
【0117】
様々な哺乳動物または昆虫細胞培養システムが、組み換えタンパク質を発現させるために使用される。哺乳動物細胞における組み換えタンパク質の発現は、そのようなタンパク質が通常正確に折り畳まれ、適切に修飾されそして生物学的に機能的であるという理由で好ましい場合がある。適切な哺乳動物宿主細胞株の例は、COS-7(サル腎臓由来)、L-929(マウス線維芽細胞由来)、C127(マウス乳腺腫瘍由来)、3T3(マウス線維芽細胞由来)、CHO(チャイニーズハムスター卵巣由来)、HeLa(ヒト子宮頸癌由来)、BHK(ハムスター腎臓線維芽細胞由来)細胞株およびHEK-293(ヒト胚腎臓由来)細胞株ならびにそれらの変種を含む。哺乳動物発現ベクターは、非転写エレメント、例えば発現される遺伝子に連結された複製起点、適切なプロモーターおよびエンハンサーならびにその他の5'または3'隣接非転写配列および5'または3'非翻訳配列、例えば必要なリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライスドナーおよびアクセプター部位ならびに転写終結配列を含み得る。昆虫細胞における異種タンパク質の産生のためのバキュロウイルスシステムが当業者に周知である(例えば、Luckow and Summers, 1988, Bio/Technology, 6:47を参照のこと)。
【0118】
形質転換宿主によって産生されるタンパク質は、任意の適切な方法にしたがい精製され得る。そのような方法は、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性およびサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度差または任意のその他の標準的なタンパク質精製技術を含む。適当な親和性カラムを通すことにより簡単に精製を行えるよう、親和性タグ、例えばヘキサヒスチジン、マルトース結合ドメイン、インフルエンザコート配列およびグルタチオン-S-トランスフェラーゼがタンパク質に付加され得る。単離されたタンパク質は、タンパク質分解、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)、核磁気共鳴(NMR)およびx線結晶解析等の技術を用いて物理的に特徴づけられ得る。
【0119】
例えば、組み換えタンパク質を培養培地に分泌する発現システムの上清が、市販のタンパク質濃縮フィルター、例えばAmiconまたはMillipore Pellicon限外ろ過ユニットを用いて最初に濃縮され得る。濃縮工程の後、濃縮物が適切な精製マトリックスに適用され得る。いくつかの態様において、アニオン交換樹脂、例えばペンダントジエチルアミノエチル(DEAE)基を有するマトリックスまたは基材が利用される。マトリックスは、アクリルアミド、アガロース、デキストラン、セルロースまたはタンパク質精製において一般に利用されるその他のタイプであり得る。いくつかの態様において、カチオン交換工程が利用される。適切なカチオン交換体は、スルホプロピルまたはカルボキシメチル基を含む様々な不溶性マトリックスを含む。いくつかの態様において、セラミックヒドロキシアパタイト(CHT)を含むがこれらに限定されないヒドロキシアパタイト媒体が利用される。いくつかの態様において、疎水性RP-HPLC媒体(例えば、ペンダントメチルまたは他の脂肪族基を有するシリカゲル)を利用する1つまたは複数の逆相HPLC工程が、タンパク質のさらなる精製のために利用される。様々な態様において、均質な組み換えタンパク質を提供するため、上記の精製工程のいくつかまたはすべてが利用され得る。
【0120】
いくつかの態様において、細菌培養物中で産生される組み換えタンパク質は、例えば、細胞ペレットからの初期抽出、その後の1回または複数回の濃縮、塩析、水性イオン交換またはサイズ排除クロマトグラフィー工程によって単離される。特定の態様において、HPLCが、最終精製工程で利用される。組み換えタンパク質の発現に利用された微生物細胞は、凍結乾燥サイクル、超音波処理、機械的破砕または細胞溶解剤の使用を含む任意の都合の良い方法によって破砕され得る。
【0121】
抗体およびその他のタンパク質の精製に関して当技術分野で公知の方法はまた、例えば、米国特許出願公開第2008/0312425号、同第2009/0187005号および米国特許第7,691,980号に記載されるものを含む。
【0122】
特定の態様において、DLL4アンタゴニストは、抗体ではないポリペプチドである。タンパク質標的に高い親和性で結合する非抗体ポリペプチドを同定および作製するための様々な方法が、当技術分野で公知である。例えば、Skerra, 2007, Curr. Opin. Biotechnol., 18:295-304; Hosse et al., 2006, Protein Science, 15:14-27; Gill et al., 2006, Curr. Opin. Biotechnol., 17:653-658; Nygren, 2008, FEBS J., 275:2668-76; およびSkerra, 2008, FEBS J., 275:2677-83を参照のこと。特定の態様において、ファージディスプレイ技術が、DLL4アンタゴニストポリペプチドを作製および/または同定するために使用され得る。特定の態様において、DLL4アンタゴニストポリペプチドは、プロテインA、プロテインG、リポカリン、フィブロネクチンドメイン、アンキリンコンセンサス反復ドメインおよびチオレドキシンからなる群より選択されるタイプのタンパク質スキャホールドを含む。
【0123】
特定の態様において、DLL4アンタゴニストまたは抗体は、多くのコンジュゲート(例えば、免疫コンジュゲートもしくは放射コンジュゲート)形態または非コンジュゲート形態の任意の一つで使用され得る。特定の態様において、抗体は、悪性または癌性細胞を排除するCDCおよび/またはADCCを含む対象の自然防御機構を利用するために非コンジュゲート形態で使用される。
【0124】
特定の態様において、DLL4アンタゴニスト(例えば、抗体またはポリペプチド)は、細胞傷害剤にコンジュゲートされる。いくつかの態様において、細胞傷害剤は、メトトレキサート、アドリアマイシン、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシンまたはその他のインターカレート剤を含むがこれらに限定されない化学療法剤である。いくつかの態様において、細胞傷害剤は、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性フラグメント、外毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ-サルシン、アレウリテス・フォーディ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチンタンパク質、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPIIおよびPAP-S)、ツルレイシ(Momordica charantia)阻害物質、クルシン、クロチン、サパオナリア・オフィシナリス(Sapaonaria officinalis)阻害物質、ゲロニン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシンおよびトリコテセンを含むがこれらに限定されない細菌、真菌、植物もしくは動物起源の酵素活性毒素またはそれらのフラグメントである。特定の態様において、細胞傷害剤は、放射コンジュゲートまたは放射コンジュゲート抗体を作製するために、放射性同位体である。
90Y、
125I、
131I、
123I、
111In、
131In、
105Rh、
153Sm、
67Cu、
67Ga、
166Ho、
177Lu、
186Re、
188Reおよび
212Biを含むがこれらに限定されない様々な放射性核種が、放射コンジュゲート抗体の作製に利用可能である。抗体と1つまたは複数の低分子毒素、例えばカリケアミシン、メイタンシン、メイタンシノイド、トリコテン(trichothene)およびCC1065ならびに毒素活性を有するこれらの毒素との誘導体のコンジュゲートも使用され得る。抗体および細胞傷害剤のコンジュゲートは、様々な2官能性タンパク質カップリング剤、例えばN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオール(pyridyidithiol))プロピオネート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステル(例えば、ジメチルアジプイミデートHCL)、活性エステル(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド)、ビス-アジド化合物(例えば、ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トルエン(tolyene)2,6-ジイソシアネート)およびビス活性フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)の2官能性誘導体を用いて作製される。
【0125】
ヘテロコンジュゲート抗体もまた、本発明の範囲内である。ヘテロコンジュゲート抗体は、2つの共有結合により接続された抗体から構成される。そのような抗体は、例えば、免疫細胞を望ましくない細胞に標的化するために提案されている(米国特許第4,676,980号)。この抗体が、架橋剤を用いるものを含む合成タンパク質化学において公知の方法を用いてインビトロで調製され得ることも想定されている。
【0126】
いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストは、非タンパク質分子である。特定の態様において、DLL4アンタゴニストは、低分子である。
【0127】
作用物質がDLL4アンタゴニストであるかどうかを決定するためのインビボおよびインビトロアッセイは、当技術分野で公知である。いくつかの態様において、ホタルルシフェラーゼレポーター遺伝子の上流にTCF結合ドメインを多コピー含むTCF/Lucレポーターベクターを用いる細胞ベースのルシフェラーゼレポーターアッセイが、インビトロでDLL4により誘導されるNotchシグナルのレベルを測定するために使用され得る。他の態様において、ホタルルシフェラーゼレポーター遺伝子の上流にCBF結合ドメインを多コピー含むCBF/Lucレポーターベクターを用いる細胞ベースのルシフェラーゼレポーターアッセイが、使用され得る。DLL4アンタゴニストの存在下でDLL4によって誘導されるNotch活性化のレベルは、DLL4アンタゴニストの非存在下でDLL4によって誘導されるNotch活性化のレベルと比較される。いくつかの態様において、DLL4/Notchシグナルに対するDLL4アンタゴニストの効果は、1つまたは複数のNotch経路の標的遺伝子の発現レベルに対する作用物質の効果を測定することによって評価され得る。
【0128】
III. 使用方法および薬学的組成物
本発明は、DLL4アンタゴニストに関連する心血管系副作用および/または毒性を含むがこれらに限定されない副作用および/または毒性をスクリーニング、モニタリング、予防および/または制御しつつ、DLL4アンタゴニストにより癌などの疾患を処置する方法を提供する。癌処置に関連する副作用および/または毒性は、倦怠感、嘔吐、吐き気、下痢、痛み、抜け毛、好中球減少、貧血、血小板減少、心血管系合併症およびそれらの任意の組み合わせを含み得るがこれらに限定されない。心血管系合併症(例えば、心血管系副作用および/または毒性)は、3つの大カテゴリーに分類され得る:1)血管の状態、2)心臓の構造的問題ならびに3)心臓の機能障害および心不全。本明細書で使用される場合、「血管の状態」は、アテローム性動脈硬化症、高血圧、動脈血栓症、脈管炎および深部静脈血栓症/肺塞栓症を含むがこれらに限定されない。本明細書で使用される場合、「心臓の構造的問題」および「心臓の機能障害および心不全」は、心臓弁膜症、心膜液貯留、心膜収縮、狭心症、冠動脈疾患、心筋症、心筋虚血、心筋梗塞(MI)、不整脈、心筋炎、左室機能障害、心不全、うっ血性心不全(CHF)およびそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない。心臓の構造的問題、心臓の機能障害および心不全は直接的に心臓に影響するのに対して、一般に、血管の状態(例えば、高血圧)はより全身的な合併症である。本明細書で使用される場合、「心毒性」は、心臓の構造的問題、心臓の機能障害および心不全を表す。したがって、本明細書に記載される方法のいくつかの局面および/または態様において、心血管系副作用および/または毒性のスクリーニング、モニタリング、予防および/または制御は、心毒性のスクリーニング、モニタリング、予防および/または制御である。しばしば心毒性は無症候性であるおよび/または心毒性の初期兆候が、例えばドップラー心エコー検査および/または左室駆出率(LVEF)のモニタリングでは明らかにならない。
【0129】
ナトリウム利尿ペプチドは、心臓および脈管によって産生され、4つの同定されているタイプを含む。A型ナトリウム利尿ペプチド(ANP)は主に心房心筋によって分泌され、B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)は主として心室筋によって産生され、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)は血管に沿って並んでいる内皮細胞によって産生され、D型ナトリウム利尿ペプチドは血漿および心房心筋において単離されている。各ナトリウム利尿ペプチドの前駆プロホルモンは、別々の遺伝子によってコードされる。proBNPは、108アミノ酸ペプチドであり、タンパク質分解酵素であるフーリンによって32アミノ酸C末端ペプチド(BNP)および76アミノ酸N末端ペプチド(NT-proBNP)に切断される。proANPは、126アミノ酸ペプチドであり、セリンプロテアーゼ酵素であるコリン(corin)によって28アミノ酸C末端ペプチド(ANP)および98アミノ酸N末端ペプチド(NT-proANP)に切断される。ナトリウム利尿ペプチドレベルの増加は、心不全の診断において使用されている。したがって、いくつかの態様において、本発明は、DLL4アンタゴニストにより処置されている対象において心毒性をモニタリングするためにナトリウム利尿ペプチドレベルを使用する方法を提供する。いくつかの態様において、この方法は、急性の心毒性をモニタリングおよび/または検出するためにナトリウム利尿ペプチドレベルを使用する。いくつかの態様において、ナトリウム利尿ペプチドレベルのモニタリングは、心毒性および/またはうっ血性心不全(CHF)の初期指標を提供する。いくつかの態様において、この方法は、ドップラー心エコー検査によっておよび/またはLVEFモニタリングを用いて評価される心臓の機能障害の任意の証拠の前に心毒性を検出する。
【0130】
特定の態様において、検出される、同定される、モニタリングされる、減らされる、予防される、軽減されるおよび/またはスクリーニングされる心血管系副作用および/または毒性は、DLL4アンタゴニストの投与またはDLL4アンタゴニストによる処置によって引き起こされる、それらに付随するおよび/またはそれらに関連する心血管系副作用および/または毒性である。特定の態様において、心血管系副作用および/または毒性は、DLL4アンタゴニストに関連する。
【0131】
特定の態様において、本明細書に記載される方法において検出される、同定される、モニタリングされる、減らされる、予防される、軽減されるおよび/またはスクリーニングされる心血管系副作用および/または毒性(例えば、DLL4アンタゴニストによる処置に関連する副作用および/または毒性)は、高血圧を含まない。いくつかの態様において、心血管系副作用および/または毒性は、血管の状態を含まない。特定の態様において、本明細書に記載される方法において検出される、同定される、モニタリングされる、減らされる、予防される、軽減されるおよび/またはスクリーニングされる心血管系副作用および/または毒性は、心毒性、例えば心臓の構造的問題、心臓の機能障害または心不全である。特定の態様において、心毒性は、左室機能障害である。特定の態様において、心毒性は、うっ血性心不全である。いくつかの態様において、心毒性は、初期または可逆性の病期にある。
【0132】
本発明は、DLL4アンタゴニストによる処置に関して対象を選択するための方法であって、サンプルにおけるバイオマーカーのレベルを決定する工程、およびバイオマーカーのレベルが所定のレベルを下回る場合にDLL4アンタゴニストによる処置に関して対象を選択する工程を含む方法を提供する。いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストによる処置に関して対象を選択するための方法は、対象から生物学的サンプルを得る工程、サンプルにおけるバイオマーカーのレベルを決定する工程、およびバイオマーカーのレベルが所定のレベルを下回る場合にDLL4アンタゴニストによる処置に関して対象を選択する工程を含む。いくつかの態様において、バイオマーカーは、ナトリウム利尿ペプチドである。いくつかの態様において、ナトリウム利尿ペプチドは、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)型ペプチド、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)型ペプチドまたはそれらの変種である。ANP型ペプチドは、pre-proANP、proANP、NT-proANPおよびANPを含む。BNP型ペプチドは、pre-proBNP、proBNP、NT-proBNPおよびBNPを含む。いくつかの態様において、ナトリウム利尿ペプチドは、BNPである。いくつかの態様において、ナトリウム利尿ペプチドは、NT-proBNPである。いくつかの態様において、ナトリウム利尿ペプチドは、ANPである。
【0133】
いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストによる処置に関して対象を選択する方法は、対象から生物学的サンプルを得る工程、サンプルにおけるナトリウム利尿ペプチドのレベルを決定する工程、およびナトリウム利尿ペプチドのレベルが所定のレベルを下回る場合にDLL4アンタゴニストによる処置に関して対象を選択する工程を含む。いくつかの態様において、生物学的サンプルは、血液、血清または血漿である。いくつかの態様において、ナトリウム利尿ペプチドは、B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)である。したがって、いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストによる処置に関して対象を選択する方法は、対象から生物学的サンプルを得る工程、サンプルにおけるBNPのレベルを決定する工程、およびBNPのレベルが所定のレベルを下回る場合にDLL4アンタゴニストによる処置に関して対象を選択する工程を含む。
【0134】
本発明はまた、対象をDLL4アンタゴニストによる処置に好適であると同定するための方法であって、サンプルにおけるバイオマーカーのレベルを決定する工程、およびバイオマーカーのレベルが所定のレベルを下回る場合に、対象をDLL4アンタゴニストによる処置に好適であると同定する工程を含む方法を提供する。いくつかの態様において、対象をDLL4アンタゴニストによる処置に好適であると同定するための方法は、対象から生物学的サンプルを得る工程、サンプルにおけるバイオマーカーのレベルを決定する工程、およびバイオマーカーのレベルが所定のレベルを下回る場合に、対象をDLL4アンタゴニストによる処置に好適であると同定する工程を含む。いくつかの態様において、バイオマーカーは、ナトリウム利尿ペプチドである。いくつかの態様において、ナトリウム利尿ペプチドは、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)型ペプチド、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)型ペプチドまたはそれらの変種である。ANP型ペプチドは、pre-proANP、proANP、NT-proANPおよびANPを含む。BNP型ペプチドは、pre-proBNP、proBNP、NT-proBNPおよびBNPを含む。いくつかの態様において、ナトリウム利尿ペプチドは、BNPである。いくつかの態様において、ナトリウム利尿ペプチドは、NT-proBNPである。いくつかの態様において、対象をDLL4アンタゴニストによる処置に好適であると同定する方法は、対象から生物学的サンプルを得る工程、サンプルにおけるBNPのレベルを決定する工程、およびBNPのレベルが所定のレベルを下回る場合に、対象をDLL4アンタゴニストによる処置に好適であると同定する工程を含む。
【0135】
本発明はまた、心血管系副作用および/または毒性の発生に関して、DLL4アンタゴニストによる処置を受けている対象をモニタリングする方法であって、該方法は、サンプルにおけるバイオマーカーのレベルを決定する工程、およびサンプルにおけるバイオマーカーのレベルをバイオマーカーの所定のレベルと比較する工程を含み、バイオマーカーのレベルの増加により心血管系副作用および/または毒性の発生が示される、方法を提供する。いくつかの態様において、心血管系副作用および/または毒性の発生に関して、DLL4アンタゴニストによる処置を受けている対象をモニタリングする方法は、処置を受けている対象から生物学的サンプルを得る工程、サンプルにおけるバイオマーカーのレベルを決定する工程、およびサンプルにおけるバイオマーカーのレベルをバイオマーカーの所定のレベルと比較する工程を含み、バイオマーカーのレベルの増加により心血管系副作用および/または毒性の発生が示される。いくつかの態様において、心血管系副作用および/または毒性は、心毒性である。いくつかの態様において、バイオマーカーは、ナトリウム利尿ペプチドである。いくつかの態様において、ナトリウム利尿ペプチドは、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)型ペプチド、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)型ペプチドまたはそれらの変種である。ANP型ペプチドは、pre-proANP、proANP、NT-proANPおよびANPを含む。BNP型ペプチドは、pre-proBNP、proBNP、NT-proBNPおよびBNPを含む。いくつかの態様において、ナトリウム利尿ペプチドは、BNPである。いくつかの態様において、ナトリウム利尿ペプチドは、NT-proBNPである。いくつかの態様において、ナトリウム利尿ペプチドは、ANPである。いくつかの態様において、心毒性の発生に関して、DLL4アンタゴニストによる処置を受けている対象をモニタリングする方法は、処置を受けている対象から生物学的サンプルを得る工程、サンプルにおけるBNPのレベルを決定する工程、およびサンプルにおけるBNPのレベルをBNPの所定のレベルと比較する工程を含み、BNPのレベルの増加により心毒性の発生が示される。
【0136】
本発明はまた、DLL4アンタゴニストによる処置を受けている対象において心血管系副作用および/または毒性の発生を検出する方法であって、該方法は、サンプルにおけるバイオマーカーのレベルを決定する工程、およびサンプルにおけるバイオマーカーのレベルをバイオマーカーの所定のレベルと比較する工程を含み、バイオマーカーのレベルの増加により心血管系副作用および/または毒性の発生が示される、方法を提供する。いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストによる処置を受けている対象において心血管系副作用および/または毒性の発生を検出する方法は、処置を受けている対象から生物学的サンプルを得る工程、サンプルにおけるバイオマーカーのレベルを決定する工程、およびサンプルにおけるバイオマーカーのレベルをバイオマーカーの所定のレベルと比較する工程を含み、バイオマーカーのレベルの増加により心血管系副作用および/または毒性の発生が示される。いくつかの態様において、心血管系副作用および/または毒性は、心毒性である。いくつかの態様において、バイオマーカーは、ナトリウム利尿ペプチドである。いくつかの態様において、ナトリウム利尿ペプチドは、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)型ペプチド、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)型ペプチドまたはそれらの変種である。ANP型ペプチドは、pre-proANP、proANP、NT-proANPおよびANPを含む。BNP型ペプチドは、pre-proBNP、proBNP、NT-proBNPおよびBNPを含む。いくつかの態様において、ナトリウム利尿ペプチドは、BNPである。いくつかの態様において、ナトリウム利尿ペプチドは、NT-proBNPである。いくつかの態様において、ナトリウム利尿ペプチドは、ANPである。いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストによる処置を受けている対象において心毒性の発生を検出する方法は、処置を受けている対象から生物学的サンプルを得る工程、サンプルにおけるBNPのレベルを決定する工程、およびサンプルにおけるBNPのレベルをBNPの所定のレベルと比較する工程を含み、BNPのレベルの増加により心毒性の発生が示される。
【0137】
本発明はまた、DLL4アンタゴニストによる処置を受けている対象において心血管系副作用および/または毒性を同定するための方法であって、該方法は、サンプルにおけるバイオマーカーのレベルを決定する工程、およびサンプルにおけるバイオマーカーのレベルをバイオマーカーの所定のレベルと比較する工程を含み、サンプルにおけるバイオマーカーのレベルがバイオマーカーの所定のレベルよりも高い場合に、心血管系副作用および/または毒性が示される、方法を提供する。いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストによる処置を受けている対象において心血管系副作用および/または毒性を同定する方法は、処置を受けている対象から生物学的サンプルを得る工程、サンプルにおけるバイオマーカーのレベルを決定する工程、およびサンプルにおけるバイオマーカーのレベルをバイオマーカーの所定のレベルと比較する工程を含み、サンプルにおけるバイオマーカーのレベルがバイオマーカーの所定のレベルよりも高い場合に、心血管系副作用および/または毒性が示される。いくつかの態様において、心血管系副作用および/または毒性は、心毒性である。いくつかの態様において、バイオマーカーは、ナトリウム利尿ペプチドである。いくつかの態様において、ナトリウム利尿ペプチドは、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)型ペプチド、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)型ペプチドまたはそれらの変種である。ANP型ペプチドは、pre-proANP、proANP、NT-proANPおよびANPを含む。BNP型ペプチドは、pre-proBNP、proBNP、NT-proBNPおよびBNPを含む。いくつかの態様において、ナトリウム利尿ペプチドは、BNPである。いくつかの態様において、ナトリウム利尿ペプチドは、NT-proBNPである。いくつかの態様において、ナトリウム利尿ペプチドは、ANPである。いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストによる処置を受けている対象において心毒性を同定するための方法は、処置を受けている対象から生物学的サンプルを得る工程、サンプルにおけるBNPのレベルを決定する工程、およびサンプルにおけるBNPのレベルをBNPの所定のレベルと比較する工程を含み、サンプルにおけるBNPのレベルがBNPの所定のレベルよりも高い場合に、心毒性が示される。
【0138】
本発明はまた、DLL4アンタゴニストによる処置を受けている対象において心血管系副作用および/または毒性をモニタリングするための方法であって、該方法は、サンプルにおけるバイオマーカーのレベルを決定する工程、およびサンプルにおけるバイオマーカーのレベルをバイオマーカーの所定のレベルと比較する工程を含み、サンプルにおけるバイオマーカーのレベルがバイオマーカーの所定のレベルよりも高い場合に、心血管系副作用および/または毒性が示される、方法を提供する。いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストによる処置を受けている対象において心血管系副作用および/または毒性をモニタリングする方法は、処置を受けている対象から生物学的サンプルを得る工程、サンプルにおけるバイオマーカーのレベルを決定する工程、およびサンプルにおけるバイオマーカーのレベルをバイオマーカーの所定のレベルと比較する工程を含み、サンプルにおけるバイオマーカーのレベルがバイオマーカーの所定のレベルよりも高い場合に、心血管系副作用および/または毒性が示される。いくつかの態様において、心血管系副作用および/または毒性は、心毒性である。いくつかの態様において、バイオマーカーは、ナトリウム利尿ペプチドである。いくつかの態様において、ナトリウム利尿ペプチドは、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)型ペプチド、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)型ペプチドまたはそれらの変種である。ANP型ペプチドは、pre-proANP、proANP、NT-proANPおよびANPを含む。BNP型ペプチドは、pre-proBNP、proBNP、NT-proBNPおよびBNPを含む。いくつかの態様において、ナトリウム利尿ペプチドは、BNPである。いくつかの態様において、ナトリウム利尿ペプチドは、NT-proBNPである。いくつかの態様において、ナトリウム利尿ペプチドは、ANPである。いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストによる処置を受けている対象において心毒性をモニタリングするための方法は、処置を受けている対象から生物学的サンプルを得る工程、サンプルにおけるBNPのレベルを決定する工程、およびサンプルにおけるBNPのレベルをBNPの所定のレベルと比較する工程を含み、サンプルにおけるBNPのレベルがBNPの所定のレベルよりも高い場合に、心毒性が示される。
【0139】
本発明はまた、DLL4アンタゴニストによる処置を受けている対象において心血管系副作用および/または毒性を減らす方法であって、対象由来のサンプルにおけるバイオマーカーのレベルを決定する工程、サンプルにおけるバイオマーカーのレベルをバイオマーカーの所定のレベルと比較する工程、ならびにサンプルにおけるバイオマーカーのレベルがバイオマーカーの所定のレベルよりも高い場合に、対象に治療有効量の心保護薬、例えばACE阻害剤および/またはβ遮断薬を投与する工程を含む方法を提供する。いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストによる処置を受けている対象において心血管系副作用および/または毒性を減らす方法は、処置を受けている対象から生物学的サンプルを得る工程、サンプルにおけるバイオマーカーのレベルを決定する工程、サンプルにおけるバイオマーカーのレベルをバイオマーカーの所定のレベルと比較する工程、ならびにサンプルにおけるバイオマーカーのレベルがバイオマーカーの所定のレベルよりも高い場合に、対象に治療有効量の心保護薬、例えばACE阻害剤および/またはβ遮断薬を投与する工程を含む。いくつかの態様において、心血管系副作用および/または毒性は、心毒性である。いくつかの態様において、バイオマーカーは、ナトリウム利尿ペプチドである。いくつかの態様において、ナトリウム利尿ペプチドは、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)型ペプチド、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)型ペプチドまたはそれらの変種である。ANP型ペプチドは、pre-proANP、proANP、NT-proANPおよびANPを含む。BNP型ペプチドは、pre-proBNP、proBNP、NT-proBNPおよびBNPを含む。いくつかの態様において、ナトリウム利尿ペプチドは、BNPである。いくつかの態様において、ナトリウム利尿ペプチドは、NT-proBNPである。いくつかの態様において、ナトリウム利尿ペプチドは、ANPである。いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストによる処置を受けている対象において心毒性を減らすための方法は、処置を受けている対象から生物学的サンプルを得る工程、サンプルにおけるBNPのレベルを決定する工程、サンプルにおけるBNPのレベルをBNPの所定のレベルと比較する工程、ならびにサンプルにおけるBNPのレベルがBNPの所定のレベルよりも高い場合に、対象に治療有効量の心保護薬、例えばACE阻害剤および/またはβ遮断薬を投与する工程を含む。
【0140】
本発明はまた、DLL4アンタゴニストによる処置を受けている対象において心血管系副作用および/または毒性の発生を予防するまたは軽減する方法であって、対象由来のサンプルにおけるバイオマーカーのレベルを決定する工程、サンプルにおけるバイオマーカーのレベルをバイオマーカーの所定のレベルと比較する工程、対象に治療有効量の心保護薬、例えばACE阻害剤および/またはβ遮断薬を投与する工程、ならびに対象にDLL4アンタゴニストを投与する工程を含む方法を提供する。いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストによる処置を受けている対象において心血管系副作用および/または毒性の発生を予防するまたは軽減する方法は、DLL4アンタゴニストによる処置の前に対象から生物学的サンプルを得る工程、サンプルにおけるバイオマーカーのレベルを決定する工程、サンプルにおけるバイオマーカーのレベルをバイオマーカーの所定のレベルと比較する工程;対象に治療有効量の心保護薬、例えばACE阻害剤および/またはβ遮断薬を投与する工程、ならびに対象にDLL4アンタゴニストを投与する工程を含む。いくつかの態様において、心血管系副作用および/または毒性は、心毒性である。いくつかの態様において、バイオマーカーは、ナトリウム利尿ペプチドである。いくつかの態様において、ナトリウム利尿ペプチドは、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)型ペプチド、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)型ペプチドまたはそれらの変種である。ANP型ペプチドは、pre-proANP、proANP、NT-proANPおよびANPを含む。BNP型ペプチドは、pre-proBNP、proBNP、NT-proBNPおよびBNPを含む。いくつかの態様において、ナトリウム利尿ペプチドは、BNPである。いくつかの態様において、ナトリウム利尿ペプチドは、NT-proBNPである。いくつかの態様において、ナトリウム利尿ペプチドは、ANPである。いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストによる処置を受けている対象において心毒性の発生を予防するまたは軽減する方法は、DLL4アンタゴニストによる処置の前に対象から生物学的サンプルを得る工程、サンプルにおけるBNPのレベルを決定する工程、サンプルにおけるBNPのレベルをBNPの所定のレベルと比較する工程;サンプルにおけるBNPのレベルがBNPの所定のレベルよりも高い場合に、対象に治療有効量の心保護薬、例えばACE阻害剤および/またはβ遮断薬を投与する工程;ならびに対象にDLL4アンタゴニストを投与する工程を含む。
【0141】
本明細書に記載される方法のいくつかの態様において、所定のレベルは、血液、血清または血漿サンプルにおいて約300pg/mlまたはそれ未満である。いくつかの態様において、所定のレベルは、血液、血清または血漿サンプルにおいて約200pg/mlまたはそれ未満である。いくつかの態様において、所定のレベルは、血液、血清または血漿サンプルにおいて約250pg/mlまたはそれ未満である。いくつかの態様において、所定のレベルは、血液、血清または血漿サンプルにおいて約200pg/mlまたはそれ未満である。いくつかの態様において、所定のレベルは、血液、血清または血漿サンプルにおいて約150pg/mlまたはそれ未満である。いくつかの態様において、所定のレベルは、血液、血清または血漿サンプルにおいて約100pg/mlまたはそれ未満である。BNPの所定のレベルの文脈において、「約」という用語は、参照量プラスマイナス参照量の10%、を意味する。
【0142】
いくつかの態様において、バイオマーカー(例えば、ナトリウム利尿ペプチドまたはBNP)の所定のレベルは、より前の日付に得られたサンプルにおけるバイオマーカーの量である。いくつかの態様において、バイオマーカー(例えば、ナトリウム利尿ペプチドまたはBNP)の所定のレベルは、処置前に得られたサンプルにおけるバイオマーカーの量である。いくつかの態様において、バイオマーカー(例えば、ナトリウム利尿ペプチドまたはBNP)の所定のレベルは、正常参照レベルである。いくつかの態様において、BNPについての所定のレベルは、血液、血清または血漿において約100pg/mlまたはそれ未満である。いくつかの態様において、BNPについての正常参照レベルは、血液、血清または血漿において約100pg/mlまたはそれ未満である。
【0143】
本明細書に記載される任意の方法において、生物学的サンプルは、およそ毎週、2週ごと、3週ごと、または4週ごとに得られる。
【0144】
いくつかの態様において、サンプルにおけるBNPレベルが2つの連続するサンプルについて所定のレベルを上回る場合に、対象に治療有効量の心保護薬、例えばACE阻害剤および/またはβ遮断薬が投与される。いくつかの態様において、生物学的サンプルにおけるBNPレベルが2つの連続するサンプルについて100pg/mlを上回る場合に、対象に治療有効量の心保護薬、例えばACE阻害剤および/またはβ遮断薬が投与される。本明細書に記載される方法のいくつかの態様において、生物学的サンプルにおけるBNPレベルが任意の1つのサンプルについて所定のレベルを上回る場合に、対象に治療有効量の心保護薬、例えばACE阻害剤および/またはβ遮断薬が投与される。本明細書に記載される方法のいくつかの態様において、生物学的サンプルにおけるBNPレベルが任意の1つのサンプルについて200pg/mlを上回る場合に、対象に治療有効量の心保護薬、例えばACE阻害剤および/またはβ遮断薬が投与される。本明細書に記載される方法のいくつかの態様において、生物学的サンプルにおけるBNPレベルが任意の1つのサンプルについて所定のレベルを上回る場合に、対象に治療有効量の心保護薬、例えばACE阻害剤および/またはβ遮断薬が投与され、DLL4アンタゴニストが保留される。本明細書に記載される方法のいくつかの態様において、生物学的サンプルにおけるBNPレベルが任意の1つのサンプルについて300pg/mlを上回る場合に、対象に治療有効量の心保護薬、例えばACE阻害剤および/またはβ遮断薬が投与され、DLL4アンタゴニストが保留される。いくつかの態様において、ACE阻害剤および/またはβ遮断薬の投与後にBNPレベルが200pg/mlを下回るまで低下する場合に、DLL4アンタゴニストの投与が再開される。
【0145】
本明細書に記載される任意の方法のいくつかの態様において、対象は、LVEFモニタリングによって評価される。LVEFは、各心拍動または心臓周期で心臓の左心室から駆出される血液の容積率を表す。一般にLVEFの正常範囲は55〜70%であり、有意に減少した駆出率は、典型的に、心臓の機能障害および/または心不全を示す。いくつかの態様において、心血管系機能障害および/または心毒性は、LVEFが約60%未満の場合に示される。いくつかの態様において、心血管系機能障害および/または心毒性は、LVEFが約55%未満の場合に示される。いくつかの態様において、心血管系機能障害および/または心毒性は、LVEFが約50%未満の場合に示される。いくつかの態様において、心血管系機能障害および/または心毒性は、LVEFにおいて10%またはそれを超える下降がある場合に示される。いくつかの態様において、心血管系機能障害および/または心毒性は、LVEFにおいて20%またはそれを超える下降がある場合に示される。いくつかの態様において、心血管系機能障害および/または心毒性は、LVEFにおいて50%より高い値への20%またはそれを超える下降がある場合に示される。いくつかの態様において、心血管系機能障害および/または心毒性は、LVEFにおいて50%未満の値への10%またはそれを超える下降がある場合に示される。
【0146】
本明細書に記載される任意の方法のいくつかの態様において、対象は、ドップラー心エコー検査を用いて評価される。ドップラー心エコー検査は、心臓内で移動する血液の方向および速度を検出するための方法であり、肺高血圧を検出するために使用され得る。肺高血圧は、肺の動脈において起こる高血圧である。それは全身血圧および一般に「高血圧(high blood pressure)」または「高血圧(hypertension)」と呼ばれるものとは全く異なる尺度である。いくつかの態様において、心血管系機能障害および/または心毒性は、対象がドップラー心エコー検査において3.4m/sより速いピーク三尖弁速度(peak tricuspid velocity; PTV)を有する場合に示される。いくつかの態様において、心血管系機能障害および/または心毒性は、対象がドップラー心エコー検査において4週間より長く継続する3.4m/sより速いピーク三尖弁速度(PTV)を有する場合に示される。いくつかの態様において、心血管系機能障害および/または心毒性は、対象がドップラー心エコー検査において8週間より長く継続する3.4m/sより速いピーク三尖弁速度(PTV)を有する場合に示される。
【0147】
本発明はまた、DLL4アンタゴニストを投与された対象において心毒性を改善する方法であって、対象に治療有効量の心保護薬、例えばACE阻害剤および/またはβ遮断薬を投与する工程を含む方法を提供する。本明細書に記載されるように、心毒性は、全身性高血圧(すなわち、高血圧)ではない。
【0148】
本発明はまた、DLL4アンタゴニストによる処置の心血管系副作用および/または毒性のリスクに関して対象をスクリーニングする方法であって、該方法は、対象由来のサンプルにおいてバイオマーカーのレベルを決定する工程、およびサンプルにおけるバイオマーカーのレベルをバイオマーカーの所定のレベルと比較する工程を含み、サンプルにおけるバイオマーカーのレベルがバイオマーカーの所定のレベルよりも高い場合に、対象は心血管系副作用および/または毒性のリスクがある、方法を提供する。いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストによる処置の心血管系副作用および/または毒性のリスクに関して対象をスクリーニングする方法は、DLL4アンタゴニストによる処置の前に対象から生物学的サンプルを得る工程、サンプルにおいてバイオマーカーのレベルを決定する工程、およびサンプルにおけるバイオマーカーのレベルをバイオマーカーの所定のレベルと比較する工程を含み、サンプルにおけるバイオマーカーのレベルがバイオマーカーの所定のレベルよりも高い場合に、対象は心血管系副作用および/または毒性のリスクがある。いくつかの態様において、心血管系副作用および/または毒性は、心毒性である。いくつかの態様において、バイオマーカーは、ナトリウム利尿ペプチドである。いくつかの態様において、ナトリウム利尿ペプチドは、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)型ペプチド、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)型ペプチドまたはそれらの変種である。ANP型ペプチドは、pre-proANP、proANP、NT-proANPおよびANPを含む。BNP型ペプチドは、pre-proBNP、proBNP、NT-proBNPおよびBNPを含む。いくつかの態様において、ナトリウム利尿ペプチドは、BNPである。いくつかの態様において、ナトリウム利尿ペプチドは、NT-proBNPである。いくつかの態様において、ナトリウム利尿ペプチドは、ANPである。いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストによる処置の心毒性のリスクに関して対象をスクリーニングする方法は、DLL4アンタゴニストによる処置の前に対象から生物学的サンプルを得る工程、サンプルにおいてBNPのレベルを決定する工程、およびサンプルにおけるBNPのレベルをBNPの所定のレベルと比較する工程を含み、サンプルにおけるBNPのレベルがBNPの所定のレベルよりも高い場合に、対象は心毒性のリスクがある。いくつかの態様において、BNPの所定のレベルは、約100pg/mlである。いくつかの態様において、対象が心毒性のリスクがある場合に、DLL4アンタゴニストによる処置の前に、対象に治療有効量の心保護薬、例えばACE阻害剤および/またはβ遮断薬が投与される。
【0149】
本明細書に記載される方法のいくつかの態様において、ACE阻害剤は、カプトプリル、ゾフェノプリル、エナラプリル、ラミプリル、キナプリル、ペリンドプリル、リシノプリル、ベナゼプリル、ホシノプリル、セロナプリル、カゾキニン、ラクトキニン、テプロチド、アラセプリル、シラザプリル、デラプリル、イミダプリル、モエキシプリル、レンチアプリル、スピラプリル、テモカプリル、モベルチプリルおよびトランドラプリルからなる群より選択される。
【0150】
本明細書に記載される方法のいくつかの態様において、β遮断薬は、カルベジロール、アテノロール、メトプロロール、ナドロール、オクスプレノロール、ピンドロール、プロプラノロール、チモロール、アセブトロール、ビソプロロール、エスモロール、ラベタロール、ブシンドロール、ネビボロール、アルプレノロール;アモスラロール、アロチノロール、ベフノロール、ベタキソロール、ベバントロット(bevantolot)、ボピンドロール、ブクモロール、ブフェトロール、ブフラロール、ブニトロロール、ブプラノロール、塩酸ブチドリン、ブトフィロロール、カラゾロール、カルテオロール、セリプロロール、セタモロール、クロラノロールジレバロール、エパノロール、インデノロール、レボブノロール、メピンドロール、メチプラノロール、モプロロール、ナドキソロール、ニプラジロール、ペンブトロール、プラクトロール、プロネタロール、ソタロール、スルフィナロール、タリノロール、テルタトロール、チリソロール、トリプロロールおよびキシベノロールからなる群より選択される。いくつかの態様において、β遮断薬は、カルベジロールである。
【0151】
本明細書に記載される任意の方法において、DLL4アンタゴニストは、ヒトDLL4に特異的に結合する。いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストは、ヒトDLL4の細胞外ドメインに特異的に結合する抗体である。いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストは、ヒトDLL4の細胞外ドメインのアミノ酸27〜217(SEQ ID NO:17)内のエピトープに特異的に結合する。いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストは、ヒトDLL4のアミノ酸66〜73(QAVVSPGP、SEQ ID NO:18)を含むエピトープに結合する。いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストは、ヒトDLL4のアミノ酸139〜146(LISKIAIQ、SEQ ID NO:19)を含むエピトープに結合する。いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストは、ヒトDLL4のアミノ酸66〜73(QAVVSPGP、SEQ ID NO:18)およびアミノ酸139〜146(LISKIAIQ、SEQ ID NO:19)を含むエピトープに結合する。いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストは、約10nM〜約0.1nMの解離定数(K
D)でヒトDLL4に結合する。
【0152】
特定の態様において、DLL4アンタゴニストは、抗DLL4抗体である。特定の態様において、DLL4アンタゴニストは、TAYYIH(SEQ ID NO:1)を含む重鎖CDR1、
を含む重鎖CDR2、および
を含む重鎖CDR3、ならびに
を含む軽鎖CDR1、AASNQGS(SEQ ID NO:7)を含む軽鎖CDR2、および

を含む軽鎖CDR3を含む抗体である。特定の態様において、DLL4アンタゴニストは、SEQ ID NO:10のアミノ酸を含む重鎖可変領域を含む抗体である。特定の態様において、DLL4アンタゴニストは、SEQ ID NO:12のアミノ酸を含む軽鎖可変領域をさらに含む抗体である。特定の態様において、DLL4アンタゴニストは、寄託番号PTA-8425またはPTA-8427を有するATCCに寄託されたプラスミドによってコードされる抗体と同じ重鎖および軽鎖アミノ酸配列を含む。特定の態様において、DLL4アンタゴニストは、寄託番号PTA-8670を有するATCCに寄託されたハイブリドーマによって産生される21M18抗体に含まれる重鎖CDRアミノ酸配列および軽鎖CDRアミノ酸配列を含む。特定の態様において、DLL4アンタゴニストは、2007年5月10日にブダペスト条約の条件の下で10801 University Boulevard, Manassas, VA, 20110のAmerican Type Culture Collection(ATCC)に寄託されたATCC寄託番号PTA-8425を有するプラスミドによってコードされる。特定の態様において、DLL4アンタゴニストは、2007年5月10日にブダペスト条約の条件の下で10801 University Boulevard, Manassas, VA, 20110のAmerican Type Culture Collection(ATCC)に寄託されたATCC寄託番号PTA-8427を有するプラスミドによってコードされる。いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストは、2007年9月28日にブダペスト条約の条件の下でATCCに寄託されたATCC寄託番号PTA-8670を有するハイブリドーマによって産生される抗体である。いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストは、ATCC寄託番号PTA-8670を有するハイブリドーマによって産生される抗体のヒト化版である。特定の態様において、DLL4アンタゴニストは、寄託番号PTA-8425またはPTA-8427を有するATCCに寄託されたプラスミドによってコードされる抗体と、ヒトDLL4に対する特異的結合に関して競合する。
【0153】
いくつかの態様において、対象は、癌を有する。いくつかの態様において、癌は、肺癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、黒色腫、膵癌、胃腸癌、腎癌(renal cancer)、卵巣癌、肝癌、子宮内膜癌、腎癌(kidney cancer)、前立腺癌、甲状腺癌、神経内分泌癌、神経芽細胞腫、神経膠腫、多形性膠芽腫、子宮頸癌、胃癌、膀胱癌、ヘパトーマおよび頭頸部癌からなる群より選択される。特定の態様において、癌は、血液癌、例えばリンパ腫または白血病である。特定の態様において、癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)である。特定の態様において、癌は、卵巣癌である。特定の態様において、癌は、膵癌である。
【0154】
いくつかの態様において、生物学的サンプルは、体液である。いくつかの態様において、生物学的サンプルは、血液、血漿、血清または尿である。いくつかの態様において、生物学的サンプルは、静脈全血試料である。いくつかの態様において、生物学的サンプルは、抗凝固剤としてEDTAを用いる静脈全血試料である。いくつかの態様において、生物学的サンプルは、血漿試料である。いくつかの態様において、生物学的サンプルは、抗凝固剤としてEDTAを用いる血漿試料である。体液のサンプルは、当技術分野で公知の任意の方法によって得てもよい。いくつかの態様において、生物学的サンプルは、凍結組織サンプルまたは新鮮な組織サンプルである。
【0155】
サンプルにおいてナトリウム利尿ペプチド(例えば、NT-proBNPまたはBNP)のレベルを測定または決定するためのアッセイは、当業者に公知である。例えば、いくつかの態様において、全血または血漿試料においてBNPレベルを定量的に測定する蛍光免疫アッセイが使用される。いくつかの態様において、サンプルは、抗凝固剤としてEDTAを含む。いくつかの態様において、試験は、臨床で行われる。いくつかの態様において、サンプルは試験デバイスに入れられ、サンプルは毛細管現象によってBNPに対するマウス蛍光抗体を含む反応チャンバに移動する。その後、反応混合物は、溶出カラムを通過する。分析物および蛍光抗体-BNPコンジュゲートは、カラムの別の区画で捕捉される。結合した蛍光物質は、血清BNP濃度を表す。約15分後、試験デバイスが免疫蛍光リーダーに設置され、そしてBNP濃度が決定される。100pg/ml以下のBNPレベルは、当業者によって、うっ血性心不全(CHF)を有さない患者の正常値を表すとみなされる。100pg/mlを上回り300ug/mlまでのBNPレベルは、心不全を示唆するものであり、300pg/mlを上回るBNPレベルは軽度の心不全を示し、600pg/mlを上回るBNPレベルは中等度の心不全を示し、そして900pg/mlを上回るBNPレベルは重度の心不全を示す。
【0156】
いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストは、約2.5mg/kgの初期用量として投与される。例えば、抗体OMP-21M18は、5%デキストロース水(USP)を用いて総量250mLに希釈される。OMP-21M18は、静脈内注入により、30分間かけて0.22ミクロンフィルターを通して送達される。いくつかの態様において、後続の用量が同様の様式で投与される。
【0157】
本発明の別の局面において、本明細書に記載される方法はさらに、1種または複数種の追加の治療剤を投与する工程を含み得る。追加の治療剤は、DLL4アンタゴニストの投与の前、投与と同時および/または投与の後に投与され得る。DLL4アンタゴニストおよび追加の治療剤を含む薬学的組成物もまた提供される。いくつかの態様において、1種または複数種の追加の治療剤は、1種、2種、3種またはそれ以上の追加の治療剤を含む。
【0158】
少なくとも2つの治療剤を用いる併用療法は、しばしば、必須ではないが、異なる作用機構によって作用する薬剤を使用する。異なる作用機構を有する薬剤を使用する併用療法は、相加的または相乗的効果を生じ得る。併用療法は、各薬剤の用量を単剤療法において使用されるよりも少なくし、それによって副作用および/または毒性を減少させ得る。併用療法は、一方または両方の治療剤の治療指数を向上させ得る。併用療法は、耐性を有する癌細胞が発生する可能性を減少させ得る。いくつかの態様において、併用療法は、主として非腫瘍形成性細胞に影響する(例えば、阻害または殺傷する)治療剤および主として腫瘍形成性CSCに影響する(例えば阻害または殺傷する)治療剤を含む。
【0159】
DLL4アンタゴニストと追加の治療剤の組み合わせは任意の順でまたは同時に投与され得ることが理解されるであろう。いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストは、以前に第2の治療剤による処置を受けている対象に投与される。特定の他の態様において、DLL4アンタゴニストおよび第2の治療剤は、実質的に同時(simultaneously)または同時(concurrently)に投与される。例えば、対象は、第2の治療剤(例えば、化学療法)による処置を受けつつ、DLL4アンタゴニスト(例えば、抗体)を与えられ得る。特定の態様において、DLL4アンタゴニストは、第2の治療剤による処置から1年以内に投与される。特定の代替の態様において、DLL4アンタゴニストは、第2の治療剤による任意の処置から10、8、6、4または2ヶ月以内に投与される。特定の他の態様において、DLL4アンタゴニストは、第2の治療剤による任意の処置から4、3、2または1週間以内に投与される。いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストは、第2の治療剤による任意の処置から5、4、3、2または1日以内に投与される。2つ(またはそれ以上)の薬剤または処置が数時間以内または数分以内に(すなわち、実質的に同時に)対象に投与され得ることが理解されるであろう。
【0160】
当業者に公知のように、任意の治療剤の投与は、副作用および/または毒性をもたらし得る。いくつかの例において、副作用および/または毒性は、治療有効用量での特定の薬剤の投与を不可能にするほど重篤である。いくつかの例において、薬物療法が中止されなければならず、他の薬剤が試され得る。しかし、同じ治療クラスの多くの薬剤は、しばしば、類似の副作用および/または毒性を示し得、このことは対象が治療を停止しなければならないか、または可能であればその治療剤に関連する不快な副作用に苦しまなければならないことを意味する。
【0161】
治療剤による副作用は、じんましん、皮膚の発疹、かゆみ、吐き気、嘔吐、食欲低下、下痢、寒気、発熱、倦怠感、筋肉痛および疼痛、頭痛、低血圧、高血圧、低カリウム血症、低血球数、出血ならびに心臓の問題を含み得るがこれらに限定されない。
【0162】
したがって、いくつかの態様において、本明細書に記載される方法は、DLL4アンタゴニストの投与に関連する副作用および/または毒性を減少させ得る間欠投薬レジメンの使用を含む。本明細書で使用される場合、「間欠投薬」は、1週間に1回より長い投薬間隔、例えば2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回等の投薬を用いる投薬レジメンを表す。いくつかの態様において、対象を処置するための方法は、間欠投薬レジメンにしたがい対象に有効用量のDLL4アンタゴニスト(例えば、抗DLL4抗体)を投与する工程を含む。いくつかの態様において、この方法は、間欠投薬レジメンにしたがい対象に有効用量のDLL4アンタゴニスト(例えば、抗DLL4抗体)を投与する工程、およびDLL4アンタゴニストの治療指数を高める工程を含む。いくつかの態様において、間欠投薬レジメンは、対象に初期用量のDLL4アンタゴニストを投与する工程、および2週間に約1回、後続の用量のDLL4アンタゴニストを投与する工程を含む。いくつかの態様において、間欠投薬レジメンは、対象への初期用量のDLL4アンタゴニストの投与、および3週間に約1回の後続の用量のDLL4アンタゴニストの投与を含む。いくつかの態様において、間欠投薬レジメンは、対象への初期用量のDLL4アンタゴニストの投与、および4週間に約1回の後続の用量のDLL4アンタゴニストの投与を含む。
【0163】
いくつかの態様において、間欠投薬レジメンにおける後続の用量は、初期用量とほぼ同量または初期用量未満である。他の態様において、後続の用量は、初期用量よりも多量である。当業者に公知のように、使用される用量は、達成されるべき臨床目標に依存して変化するであろう。いくつかの態様において、初期用量は、約0.25mg/kg〜約20mg/kgである。いくつかの態様において、初期用量は、約0.25、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20mg/kgである。特定の態様において、初期用量は、約0.5mg/kgである。特定の態様において、初期用量は、約1mg/kgである。特定の態様において、初期用量は、約2.5mg/kgである。特定の態様において、初期用量は、約5mg/kgである。特定の態様において、初期用量は、約7.5mg/kgである。特定の態様において、初期用量は、約10mg/kgである。特定の態様において、初期用量は、約12.5mg/kgである。特定の態様において、初期用量は、約15mg/kgである。特定の態様において、初期用量は、約20mg/kgである。いくつかの態様において、後続の用量は、約0.25mg/kg〜約15mg/kgである。特定の態様において、後続の用量は、約0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15mg/kgである。特定の態様において、後続の用量は、約0.5mg/kgである。特定の態様において、後続の用量は、約1mg/kgである。特定の態様において、後続の用量は、約2.5mg/kgである。特定の態様において、後続の用量は、約5mg/kgである。いくつかの態様において、後続の用量は、約7.5mg/kgである。いくつかの態様において、後続の用量は、約10mg/kgである。いくつかの態様において、後続の用量は、約12.5mg/kgである。
【0164】
いくつかの態様において、間欠投薬レジメンは、(a)対象に約2.5mg/kgのDLL4アンタゴニストの初期用量を投与する工程、および(b)2週間に1回、約2.5mg/kgの後続の用量を投与する工程を含む。いくつかの態様において、間欠投薬レジメンは、(a)対象に約5mg/kgのDLL4アンタゴニストの初期用量を投与する工程、および(b)2週間に1回、約5mg/kgの後続の用量を投与する工程を含む。いくつかの態様において、間欠投薬レジメンは、(a)対象に約2.5mg/kgのDLL4アンタゴニストの初期用量を投与する工程、および(b)3週間に1回、約2.5mg/kgの後続の用量を投与する工程を含む。いくつかの態様において、間欠投薬レジメンは、(a)対象に約5mg/kgのDLL4アンタゴニストの初期用量を投与する工程、および(b)3週間に1回、約5mg/kgの後続の用量を投与する工程を含む。いくつかの態様において、間欠投薬レジメンは、(a)対象に約2.5mg/kgのDLL4アンタゴニストの初期用量を投与する工程、および(b)4週間に1回、約2.5mg/kgの後続の用量を投与する工程を含む。いくつかの態様において、間欠投薬レジメンは、(a)対象に約5mg/kgのDLL4アンタゴニストの初期用量を投与する工程、および(b)4週に1回、約5mg/kgの後続の用量を投与する工程を含む。特定の態様において、初期用量および維持用量は異なる、例えば初期用量は約5mg/kgであり、後続の用量は約2.5mg/kgである。特定の態様において、間欠投薬レジメンは、負荷用量を含み得る、例えば、初期用量は約20mg/kgであり、後続の用量は2週間に1回、3週間に1回または4週間に1回投与される約2.5mg/kgまたは約5mg/kgである。
【0165】
いくつかの態様において、投薬レジメンは、特定回数の投与または「サイクル」に制限され得る。いくつかの態様において、OMP-21M18は、3、4、5、6、7、8またはそれ以上のサイクルで投与される。例えば、OMP-21M18は、2週ごとの6サイクルで投与され得、OMP-21M18は、4週ごとの6サイクルで投与され得、OMP-21M18は、2週ごとの4サイクルで投与され得、OMP-21M18は、4週ごとの4サイクルで投与され得る等である。投薬スケジュールは、当業者によって決定され得、その後当業者によって改変され得る。
【0166】
本発明の別の局面は、ヒト対象においてDLL4アンタゴニストの毒性を減少させるための方法であって、間欠投薬レジメンを用いて対象にDLL4アンタゴニストを投与する工程を含む方法に関する。本発明の別の局面は、ヒト対象においてDLL4アンタゴニストの副作用を減少させるための方法であって、間欠投薬レジメンを用いて対象にDLL4アンタゴニストを投与する工程を含む方法に関する。本発明の別の局面は、ヒト対象においてDLL4アンタゴニストの治療指数を向上させるための方法であって、間欠投薬レジメンを用いて対象にDLL4アンタゴニストを投与する工程を含む方法に関する。
【0167】
初期および後続の用量の送達方法の選択は、身体へのDLL4アンタゴニストの投入に耐える対象の能力にしたがって行われる。したがって、本明細書に記載される任意の局面および/または態様において、DLL4アンタゴニストの投与は、静脈内注射によるかまたは静脈内であり得る。いくつかの態様において、投与は、静脈内注入による。本明細書に記載される任意の局面および/または態様において、DLL4アンタゴニストの投与は、非静脈内経路により得る。
【0168】
DLL4アンタゴニストと組み合わせて投与され得る治療剤は、化学療法剤を含む。したがって、いくつかの態様において、この方法または処置は、化学療法剤または複数の異なる化学療法剤のカクテルと組み合わせた本発明のDLL4アンタゴニストの投与を含む。DLL4アンタゴニスト(例えば、抗体)による処置は、化学療法の投与の前、投与と同時または投与の後に行われ得る。併用投与は、単一の薬学的製剤によるもしくは別個の製剤を用いる同時投与、またはいずれかの順であるが一般的にはすべての活性剤が同時にそれらの生物学的活性を発揮し得る期間内に行われる連続投与を含み得る。そのような化学療法剤の調製および投薬スケジュールは、製造元の指示書にしたがってまたは当業者により経験的に決定されるようにして使用され得る。そのような化学療法剤の調製および投薬スケジュールは、The Chemotherapy Source Book, 4th Edition, 2008, M.C.Perry, Editor, Lippincott, Williams & Wilkins, Philadelphia, PAにも記載されている。
【0169】
本発明において有用な化学療法剤は、アルキル化剤、例えばチオテパおよびシクロホスファミド(CYTOXAN);アルキルスルホネート、例えばブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファン;アジリジン、例えばベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパおよびウレドーパ;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミドおよびトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミンおよびメチルメラミン;ナイトロジェンマスタード、例えばクロラムブシル、クロルナファジン、クロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミンオキシド、メルファラン、ノブエンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソ尿素、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、例えばアクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリチアマイシン、カラビシン、カミノマイシン(caminomycin)、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗剤、例えばメトトレキセートおよび5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸アナログ、例えばデノプテリン、メトトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキセート;プリンアナログ、例えばフルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジンアナログ、例えばアンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シトシンアラビノシド、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、5-FU;アンドロゲン、例えばカルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎剤、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充剤、例えば、フォリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート;デホファミン;デメコルチン;ジアジクオン;エルホルミチン(elformithine);酢酸エリプチニウム(elliptinium acetate);エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK;ラゾキサン;シゾフラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2',2''-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(Ara-C);タキソイド、例えばパクリタキセル(TAXOL)およびドセタキセル(TAXOTERE);クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;白金アナログ、例えばシスプラチンおよびカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;イバンドロネート;CPT11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸;エスペラマイシン;カペシタビン(XELODA);ならびに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体を含むがこれらに限定されない。化学療法剤はまた、腫瘍に対するホルモンの作用を調節または阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば、例えばタモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害性4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、およびトレミフェン(FARESTON)を含む、抗エストロゲン;ならびに抗アンドロゲン、例えばフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリドおよびゴセレリン;ならびに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体を含む。特定の態様において、追加の治療剤は、シスプラチンである。特定の態様において、追加の治療剤は、カルボプラチンである。特定の態様において、追加の治療剤は、パクリタキセルである。特定の態様において、DLL4アンタゴニストと組み合わせて投与される化学療法剤がカルボプラチンである場合、処置される癌または腫瘍は、肺癌または肺腫瘍である。
【0170】
特定の態様において、化学療法剤は、トポイソメラーゼ阻害剤である。トポイソメラーゼ阻害剤は、トポイソメラーゼ酵素(例えば、トポイソメラーゼIまたはII)の作用を妨げる化学療法剤である。トポイソメラーゼ阻害剤は、ドキソルビシンHCl、クエン酸ダウノルビシン、ミトキサントロンHCl、アクチノマイシンD、エトポシド、トポテカンHCl、テニポシド(VM-26)およびイリノテカン、ならびにこれらのいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体を含むがこれらに限定されない。特定の態様において、追加の治療剤は、イリノテカンである。
【0171】
特定の態様において、化学療法剤は、代謝拮抗剤である。代謝拮抗剤は、正常な生化学的反応に必要とされる代謝産物に似ているが、一つまたは複数の正常な細胞機能、例えば細胞分裂を妨げるのに十分異なる構造を有する化学物質である。代謝拮抗剤はゲムシタビン、フルオロウラシル、カペシタビン、メトトレキセートナトリウム、ラリトレキセド(ralitrexed)、ペメトレキセド、テガフール、シトシンアラビノシド、チオグアニン、5-アザシチジン、6-メルカプトプリン、アザチオプリン、6-チオグアニン、ペントスタチン、リン酸フルダラビンおよびクラドリビン、ならびにこれらのいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体を含むがこれらに限定されない。特定の態様において、追加の治療剤は、ゲムシタビンである。いくつかの態様において、追加の治療剤は、ペメトレキセドである。特定の態様において、DLL4アンタゴニストと組み合わせて投与される化学療法剤がゲムシタビンである場合、処置される癌または腫瘍は、膵癌または膵臓腫瘍である。特定の態様において、DLL4アンタゴニストと組み合わせて投与される化学療法剤がペメトレキセドである場合、処置される癌または腫瘍は肺癌または肺腫瘍である。いくつかの態様において、DLL4アンタゴニストは、ペメトレキセドおよびカルボプラチンと組み合わせて投与される。
【0172】
特定の態様において、化学療法剤は、チューブリンに結合する薬剤を含むがこれらに限定されない抗有糸分裂剤である。いくつかの態様において、薬剤は、タキサンである。特定の態様において、薬剤は、パクリタキセルもしくはドセタキセルまたはパクリタキセルもしくはドセタキセルの薬学的に許容される塩、酸もしくは誘導体である。特定の態様において、薬剤は、パクリタキセル(TAXOL)、ドセタキセル(TAXOTERE)、アルブミン結合パクリタキセル(ABRAXANE)、DHA-パクリタキセルまたはPG-パクリタキセルである。特定の代替の態様において、抗有糸分裂剤は、ビンカアルカロイド、例えばビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビンもしくはビンデシン、またはそれらの薬学的に許容される塩、酸もしくは誘導体を含む。いくつかの態様において、抗有糸分裂剤は、キネシンEg5の阻害剤または有糸分裂キナーゼ、例えばAurora AもしくはPlk1の阻害剤である。特定の態様において、DLL4アンタゴニストと組み合わせて投与される化学療法剤が抗有糸分裂剤である場合、処置される癌または腫瘍は、乳癌または乳房腫瘍である。
【0173】
いくつかの態様において、追加の治療剤は、低分子等の薬剤を含む。例えば、処置は、本発明のDLL4アンタゴニスト(例えば、抗体)ならびにEGFR、ErbB2、HER2および/またはVEGFを含むがこれらに限定されない追加の腫瘍関連タンパク質に対する阻害剤として作用する低分子の併用投与を含み得る。特定の態様において、追加の治療剤は、癌幹細胞経路を阻害する低分子である。いくつかの態様において、追加の治療剤は、Notch経路の低分子阻害剤である。いくつかの態様において、追加の治療剤は、Wnt経路の低分子阻害剤である。いくつかの態様において、追加の治療剤は、BMP経路の低分子阻害剤である。いくつかの態様において、追加の治療剤は、β-カテニンシグナルを阻害する低分子である。
【0174】
いくつかの態様において、追加の治療剤は、生物学的分子、例えば抗体を含む。例えば、処置は、本発明のDLL4アンタゴニスト(例えば、抗体)ならびにEGFR、ErbB2、HER2および/またはVEGFに結合する抗体を含むがこれらに限定されない追加の腫瘍関連タンパク質に対する他の抗体の併用投与を含み得る。特定の態様において、追加の治療剤は、抗癌幹細胞マーカー抗体である抗体である。いくつかの態様において、追加の治療剤は、Notch経路の成分に結合する抗体である。いくつかの態様において、追加の治療剤は、Wnt経路の成分に結合する抗体である。特定の態様において、追加の治療剤は、癌幹細胞経路を阻害する抗体である。いくつかの態様において、追加の治療剤は、Notch経路の抗体阻害剤である。いくつかの態様において、追加の治療剤は、Wnt経路の抗体阻害剤である。いくつかの態様において、追加の治療剤は、BMP経路の抗体阻害剤である。いくつかの態様において、追加の治療剤は、β-カテニンシグナルを阻害する抗体である。特定の態様において、追加の治療剤は、血管新生阻害剤またはモジュレーター(例えば、抗VEGFまたはVEGF受容体抗体)である抗体である。特定の態様において、追加の治療剤は、ベバシズマブ(AVASTIN)、トラスツズマブ(HERCEPTIN)、パニツムマブ(VECTIBIX)またはセツキシマブ(ERBITUX)である。併用投与は、単一の薬学的製剤によるもしくは別個の製剤を用いる同時投与、またはいずれかの順であるが一般的にはすべての活性剤が同時にそれらの生物学的活性を発揮し得る期間内に行われる連続投与を含み得る。
【0175】
さらに、本明細書に記載されるDLL4アンタゴニストによる処置は、他の生物学的分子、例えば1種または複数種のサイトカイン(例えば、リンホカイン、インターロイキン、腫瘍壊死因子および/もしくは成長因子)との併用処置を含み得、または腫瘍、癌細胞の外科的除去もしくは処置する医師が必要とみなす任意の他の治療を伴い得る。
【0176】
特定の態様において、処置は、放射線療法と組み合わせた本発明のDLL4アンタゴニスト(例えば、抗体)の投与を含む。DLL4アンタゴニストによる処置は、放射線療法の実施の前、実施と同時または実施の後に行われ得る。そのような放射線療法の投薬スケジュールは、担当医師によって決定され得る。
【0177】
本開示の態様は、癌の処置におけるDLL4アンタゴニストの使用について記載する以下の非限定的な実施例を参照してさらに定義され得る。本開示の範囲から逸脱することなく、材料および方法の両方に対して多くの改変がなされ得ることが当業者に明らかであろう。
【実施例】
【0178】
実施例1
以前に固形腫瘍を処置された対象におけるOMP-21M18の第1相試験
この研究は、進行性固形腫瘍を有する対象におけるOMP-21M18の非盲検第1相用量漸増研究であった。この研究の第1の目的は、OMP-21M18の最大耐量を決定することであった。その第2の目的は、OMP-21M18の安全性、免疫原性率、予備的有効性および薬物動態を決定することであった。
【0179】
この試験の初期部分において、対象を、9回の投薬については週に1回、およびその後は隔週の、0.5(n=3)、1.0(n=3)、2.5(n=6)および5.0mg/kg(n=3)の用量レベルで;隔週1回の、2.5(n=6)、5(n=6)および10mg/kg(n=12)の用量レベルで;ならびに負荷用量として第0、7および14日に、およびその後は隔週1回の、10mg/kgの用量レベルで、処置した。この研究の拡大部分において、15名の追加の対象を、隔週1回の10mg/kgにより処置した。3名の対象のコホートを、第28日まで処置し用量制限毒性(DLT)に関して評価した。3名中0名の対象がDLTを有した場合、次の用量コホートへの増量を行った。3名中1名の対象がDLTを有した場合、3名の追加の対象を処置し、6名中2名未満の対象がDLTを有した場合に次のコホートへの増量を行った。腫瘍応答の評価を行った第56日まで、対象の処置を継続した。
【0180】
隔週10mg/kgの用量では最大耐量に達しなかったが、100日より長く隔週10mg/kgで処置された数名の対象は、許容可能な慢性的毒性のレベルを超える心毒性の兆候を示し、この研究への参加を早期に中止させた。
【0181】
第1相研究の実施中に、継続中のサル研究において潜在的毒性として心毒性が確認された。この初期第1相研究の結果およびサル研究の結果に基づき、第1相研究プロトコルを変更し、BNP測定および心エコー検査による心臓の機能障害および/または心毒性のモニタリングを含めた。本明細書で議論されるように、血液/血清サンプルにおけるBNP(またはNT-proBNP)レベルは、心臓の機能障害および/または心不全を検出するために使用され得る。OMP-21M18処置に関連する可能性があるとみなされる400pg/mlを超えるBNPレベルの増加または800pg/mlを超えるNT-proBNPレベルの増加が、隔週1回の10mg/kgを受けた6名の患者において観察された。隔週1回の10mg/kgを受けた患者のうち5名は、心エコー検査によって評価されるLVEFの低下を示し、これらの患者のうち4名は、うっ血性心不全を発症した。OMP-21M18処置は、4名すべての患者で中断され、彼らに心不全薬が投与された。心不全の症状は、その後、すべての対象において消失した。低用量コホートにおいて、BNPレベルの有意な増加または心毒性の他の兆候の例は、隔週1回の2.5mg/kgを受け肺高血圧を発症した1名の患者を除いて、観察されなかった。
【0182】
実施例2
NSCLCを有する対象における、カルボプラチンおよびペメトレキセドと組み合わせたOMP-21M18の第1b相研究
この研究は、切除不可能、局所進行性、再発性または転移性の非扁平上皮非小細胞肺癌(NSCLC)を有する対象におけるOMP-21M18+カルボプラチンおよびペメトレキセド(カルボ/PEM)の第1b相用量漸増研究である。対象は、この癌に対する事前の化学療法を受けていなかった。この研究の第1の目的は、NSCLCを有する対象においてOMP-21M18+カルボ/PEMの最大耐量を決定することであった。その第2の目的は、NSCLCを有する対象における一次処置としてのカルボ/PEMと組み合わせたOMP-21M18の安全性、免疫原性率、予備的有効性および薬物動態を決定することであった。
【0183】
カルボプラチン(6mg/ml x 分 x [クレアチニンクリアランス(ml/分) + 25])およびペメトレキセド(500mg/m
2)を、21日に1回、計6サイクル(または毒性により用量を減らすこともしくは維持することまたは処置を終わらせることを必要とする場合は、全6サイクル未満)投与した。6サイクルの最後に安定疾患または応答を示した患者に、維持療法として3週に1回のOMP-21M18を与え続けた。OMP-21M18は、10mg/mlの濃度で、バイアルあたり計200mgを送達するために20mlまで満たされた25mlの1回使用ガラスバイアルにより供給した。OMP-21M18は、疾患の進行まで、21日に1回(計画されたカルボ/PEMの投与と同日に)、30分間かけて静脈内(IV)注入により投与した。
【0184】
患者のデモグラフィックが表1(2012年10月時点)および表2(2013年6月20日時点)にまとめられている。
【0185】
【表1】
1. リスク軽減前
【0186】
【表2】
1. リスク軽減前
【0187】
6名の患者の第1コホートには、3週に1回、5mg/kgの用量でOMP-21M18を投与した。このコホートにおける処置は、他の継続中の研究でOMP-21M18の投与後に心毒性の証拠が見られたために停止された(実施例1を参照のこと)。この第1b相プロトコルを、OMP-21M18の治療指数を向上させ耐容性を管理するためのリスク軽減プランを含むよう変更した。6名の患者の第2コホートには、3週に1回、2.5mg/kgの用量でOMP-21M18を投与し、8名の患者の第3コホートには、3週に1回、5mg/kgの用量でOMP-21M18を投与した。第4コホートは、3週に1回、5mg/kgの用量でOMP-21M18が投与された6名の患者の拡大コホートであった。6名の患者の第5コホートには、3週に1回、7.5mg/kgの用量で、4サイクル、OMP-21M18を投与した。2013年10月時点で、第4および第5コホートが継続中であった。安全性評価およびリスク軽減の一部として、対象を、Alere Triage BNP試験およびデバイスを用いて14日ごとに血液/血清サンプル中のB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)レベルについてモニタリングした。患者のBNPレベルが2つの連続するサンプルで100pg/ml以上となるかまたは1つのサンプルで200pg/ml以上となった場合、彼らに、OMP-21M18をなおも与えつつ、心保護ACE阻害剤および/またはカルベジロールを投与した。患者のBNPレベルが任意の1つのサンプルで300pg/ml以上となった場合、彼らにACE阻害剤またはカルベジロールを投与し、OMP-21M18による処置を保留した。BNPレベルが300pg/mlより低下した場合、OMP-21M18による処置を再開した。対象のBNPレベルが任意の1つのサンプルで400pg/mlを超えた場合、OMP-21M18による処置を中止した。加えて、対象は、心臓機能を評価し左室駆出率(LVEF)およびピーク三尖弁速度(PTV)をモニタリングするために、28日ごとにドップラー心エコー検査を受けた。ベースラインBNPおよび心エコー図の読み取りは、第1用量の投薬直前に行った。
【0188】
研究中、対象を、参加時からOMP-21M18の最終投薬後の30日間まで、有害事象について評価した。有害事象は、National Cancer Institute (NCI) Common Terminology Criteria for Adverse Events (CTCAE)、バージョン4.02を用いて評価した。
【0189】
第1コホート(3週に1回5mg/kgのOMP-21M18)において、2名の患者が部分応答を示し、2名の患者が安定疾患を示し、そして2名の患者が評価可能でなかった。2名の患者は、20月を超える間、進行性疾患を有さなかった。6名の患者のうちの1名でBNPが増加したが、心エコー図において心臓の不調は観察されず、うっ血性心不全の証拠も見られなかった。上記のように、このコホートの初期処置は、第2および第3コホートにおけるリスク軽減ストラテジーの導入前のものであった。
【0190】
第2コホート(3週に1回2.5mg/kgのOMP-21M18)において、4名の患者が部分応答を示し、2名の患者が安定疾患を示し、応答は112〜225日間持続した。6名の患者のうちの3名でBNPレベルが上昇し、これらの患者のうちの2名が心保護ACE阻害剤および/またはカルベジロールの投与基準を満たした。第3の患者では、1つのサンプルでBNPレベルが100pg/mlを超えたのみであり、ACE阻害剤および/またはカルベジロールで処置されなかった。これらの患者では心エコー図において心臓の不調が観察されず、うっ血性心不全の証拠も見られなかった。
【0191】
第3コホート(3週に1回5mg/kgのOMP-21M18)において、2名の患者が部分応答を示し、4名の患者が安定疾患を示した。1名の患者が新規の病巣に起因する進行性疾患を示し、そして1名の患者が評価可能でなかった(このコホートは2012年10月時点で継続中であった)。8名の患者のうちの4名でBNPレベルが上昇し、3名の患者が心保護ACE阻害剤および/またはカルベジロールで処置された。第4の患者では、1つのサンプルでBNPレベルが100pg/ml以上になったのみであり、ACE阻害剤および/またはカルベジロールで処置されなかった。これらの患者では心エコー図において心臓の不調が観察されず、うっ血性心不全の証拠も見られなかった。
【0192】
拡大第4コホート(3週に1回5mg/kgのOMP-21M18)において、1名の患者が部分応答を示し、2名の患者が安定疾患を示し、2名の患者が進行性疾患を示し、そして1名の患者が評価可能でなかった(このコホートは2013年10月現在継続中であった)。6名の患者のうちの3名でBNPレベルが上昇し、2名の患者が心保護ACE阻害剤および/またはカルベジロールで処置された。これらの患者では、心エコー図において心臓の不調は観察されず、うっ血性心不全の証拠も見られなかった。
【0193】
第5コホート(3週に1回7.5mg/kgのOMP-21M18を4サイクル)において、2名の患者が部分応答を示し、2名の患者が安定疾患を示し、1名の患者が進行性疾患を示し、そして1名の患者が評価可能でなかった(このコホートは2013年10月現在継続中であった)。6名の患者のうちの3名でBNPレベルが上昇し、2名の患者が心保護ACE阻害剤および/またはカルベジロールで処置された。これらの患者では、心エコー図において心臓の不調は観察されず、うっ血性心不全の証拠も見られなかった。1名の患者は、第112日に3.3m/sのPTVを示したが、OMP-21M18による処置が継続された。
【0194】
これらの結果が
図1Aおよび1Bにまとめられている。
【0195】
第1、第2および第3コホートを含む標的腫瘍病巣のパーセント変化によって測定される有効性に関して、評価可能な患者の応答は、8/17(47%)名の患者が部分応答を示し、8/17(47%)名の患者が安定疾患を示し、そして1/17(6%)名の患者が進行性疾患を示した、というものであった(
図2)。
【0196】
第1、第2、第3、第4および第5コホートを含む標的腫瘍病巣(2013年10月25日時点)のパーセント変化によって測定される有効性に関して、評価可能な患者の応答は、24/27(89%)名の患者が部分応答または安定疾患を示し、3/27(11%)名の患者が進行性疾患を示した、というものであった(
図3)。
【0197】
リスク軽減を行った第2および第3コホートにおける安全性に関して、5名の患者で、心保護ACE阻害剤および/またはカルベジロールが開始された。これらの患者のうちの3名でOMP-21M18による処置が継続され、それらのBNPレベルが制御され、1名の患者が400pg/mlを上回るBNPレベルの上昇のためにOMP-21M18処置から外された。いずれの患者もLVEFの下降またはうっ血性心不全の証拠を示さなかった。安全性プロフィールの他の局面は、標準的なカルボプラチン/ペメトレキセド化学療法処置で観察されたのと同様であった。加えて、患者サンプル(n=10)の予備的分析において、ペメトレキセドおよびカルボプラチンは、OMP-21M18の薬物動態に影響を及ぼさないようであった。
【0198】
リスク軽減を行った第2、第3、第4および第5コホートにおける安全性に関して、9名の患者で、心保護ACE阻害剤および/またはカルベジロールが開始された。これらの患者のうちの7名でOMP-21M18による処置が継続され、それらのBNPレベルが制御され、1名の患者が400pg/mlを上回るBNPレベルの上昇のためにOMP-21M18処置から外された。いずれの患者もLVEFの下降またはうっ血性心不全の証拠を示さなかった。安全性プロフィールの他の局面は、標準的なカルボプラチン/ペメトレキセド化学療法処置で観察されたのと同様であった。
【0199】
OMP-21M18の薬物動態に対するペメトレキセドおよびカルボプラチンの影響を評価するため、研究第21日および第63日の注入前および注入後に血漿サンプルを収集し、抗体濃度について分析した。OMP-21M18は、患者の中でゆっくりと消失しその半減期の集団中央値が16日であることが示された。ペメトレキセドおよびカルボプラチンは、患者におけるOMP-21M18の薬物動態に有意には影響しなかった。
【0200】
実施例3
膵癌を有する対象における、ゲムシタビンと組み合わせたOMP-21M18の第1b相研究
この研究は、局所進行性または転移性の膵癌を有する対象におけるOMP-21M18+ゲムシタビンの第1b相用量漸増研究である。対象は、癌に対する事前の化学療法を受けていなかった。この研究の第1の目的は、膵癌を有する対象におけるOMP-21M18+ゲムシタビンの最大耐量を決定することであった。その第2の目的は、膵癌を有する対象における一次処置としてのゲムシタビンと組み合わせたOMP-21M18の安全性、免疫原性率、予備的有効性および薬物動態を決定することであった。
【0201】
ゲムシタビン(1000mg/m
2)を、最大7週間(または毒性により用量の減少または維持を必要とするまで)、週1回投与し、その後に処置からの休息を1週間とった。その後のサイクルは、4週ごとに連続する3週における週1回の注入からなるものであった。OMP-21M18は、10mg/mlの濃度で、バイアルあたり計200mgを送達するために20mlまで満たされた25mlの1回使用ガラスバイアルにより供給した。OMP-21M18は、疾患の進行まで、14日に1回または4週に1回、30分間かけて静脈内(IV)注入により投与した。
【0202】
患者のデモグラフィックが表3(2013年6月20時点)にまとめられている。
【0203】
【表3】
1. リスク軽減前
【0204】
8名の患者の第1コホートに、2週に1回、2.5mg/kgの用量でOMP-21M18を投与した。このコホートにおける処置は、他の継続中の研究でOMP-21M18の投与後に心毒性の証拠が得られたために停止された(実施例1を参照のこと)。このプロトコルを、OMP-21M18の治療指数を向上させ耐容性を管理するためのリスク軽減プランを含むよう変更した。8名の患者の第2コホートに、4週に1回、2.5mg/kgの用量でOMP-21M18を投与し、8名の患者の第3コホートに、4週に1回、5mg/kgの用量でOMP-21M18を投与した。2013年10月18日時点で、6名の患者の第4コホートに、2週ごとに2.5mg/kgの用量のOMP-21M18を6サイクル投与した。加えて、第4コホートに、毎週125mg/m
2の用量でnab結合パクリタキセル(ABRAXANE)を投与した。第5コホートには、ゲムシタビンおよびABRAXANEと組み合わせて、2週ごとに5mg/kgの用量のOMP-21M18を、6サイクル投与するであろう。安全性評価およびリスク軽減の一部として、対象を、14日ごとに血液サンプル中のB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)レベルについてモニタリングした。患者のBNPレベルが2つの連続するサンプルで100pg/ml以上となるかまたは1つのサンプルで200pg/ml以上となった場合、彼らに、OMP-21M18をなおも与えつつ、心保護ACE阻害剤および/またはカルベジロールを投与した。患者のBNPレベルが任意の1つのサンプルで300pg/ml以上となった場合、彼らにACE阻害剤またはカルベジロールを投与し、OMP-21M18による処置を保留した。BNPレベルが300pg/mlより低下した場合、OMP-21M18による処置を再開した。対象のBNPレベルが任意の1つのサンプルで400pg/mlを超えた場合、OMP-21M18による処置を中止した。加えて、対象は、心臓機能を評価し左室駆出率(LVEF)およびピーク三尖弁速度(PTV)をモニタリングするために、28日ごとにドップラー心エコー検査を受けた。ベースラインBNPおよび心エコー図の読み取りは、第1用量の投薬直前に行った。
【0205】
研究中、対象を、参加時からOMP-21M18の最終投薬後の30日間まで、有害事象について評価した。有害事象は、National Cancer Institute (NCI) Common Terminology Criteria for Adverse Events (CTCAE)、バージョン4.02を用いて評価した。
【0206】
第1コホート(2週に1回、2.5mg/kgのOMP-21M18)において、1名の患者が部分応答を示し、4名の患者が安定疾患を示し、そして3名の患者が評価可能でなかった。8名の患者のうちの6名は、研究が停止されるまでの22〜147日間、進行性疾患を示さなかった。8名の患者のうちの6名でBNPが増加したが、心エコー図において心臓の不調は観察されず、うっ血性心不全の証拠も見られなかった。上記のように、このコホートの初期処置は、第2および第3コホートにおけるリスク軽減ストラテジーの導入前のものであった。
【0207】
第2コホート(4週に1回、2.5mg/kgのOMP-21M18)において、1名の患者が部分応答を示し、2名の患者が安定疾患を示し、3名の患者が進行性疾患を示し、そして2名の患者が評価可能でなかった。8名の患者のうちの4名でBNPレベルが上昇し、これらの患者のうちの1名はACE阻害剤および/またはカルベジロールの投与基準を満たした。これらの患者では心エコー図において心臓の不調が観察されず、うっ血性心不全の証拠も見られなかった。
【0208】
第3コホート(4週に1回、5mg/kgのOMP-21M18)において、2名の患者が部分応答を示し、1名の患者が安定疾患を示し、2名の患者が進行性疾患を示し、そして3名の患者が評価可能でなかった(2013年9月20日時点)。8名の患者のうちの4名でBNPレベルが上昇し、これらの患者のうちの3名にACE阻害剤および/またはカルベジロールが投与された。これらの患者では心エコー図において心臓の不調が観察されず、うっ血性心不全の証拠も見られなかった。
【0209】
第4コホート(ゲムシタビンおよびABRAXANEと共に2週に1回、2.5mg/kgのOMP-21M18)において、3名の患者が部分応答を示し、2名の患者が安定疾患を示した。1名の患者が進行性疾患を示した(2013年10月25日時点;このコホートは継続中である)。6名の患者のうちの2名でBNPレベルが上昇し、ACE阻害剤および/またはカルベジロールが投与された。これらの患者では心エコー図において心臓の不調が観察されず、うっ血性心不全の証拠も見られなかった。
【0210】
第1および第2コホートを含む標的腫瘍病巣のパーセント変化によって測定される有効性に関して、評価可能な患者の応答は、2/11(18%)名の患者が部分応答を示し、6/11(54%)名の患者が安定疾患を示し、そして3/11(27%)名の患者が進行性疾患を示した、というものであった(
図4;2012年10月時点)。リスク軽減を行った第2コホートにおける安全性に関して、1名の患者で、OMP-21M18による処置を継続しつつ、心保護ACE阻害剤および/またはカルベジロールが開始され、彼らのBNPレベルが制御された。すべての患者において、LVEFで見られる下降またはうっ血性心不全の証拠がなかった。安全性プロフィールの他の局面は、標準的なゲムシタビン化学療法処置で観察されたのと同様であった。
【0211】
第1、第2、第3および第4コホートを含む標的腫瘍病巣のパーセント変化によって測定される有効性に関して、評価可能な患者の応答は、18/22(82%)名の患者が部分応答を示すかまたは安定疾患を示し、そして4/22(18%)名の患者が進行性疾患を示した、というものであった(
図5;2013年10月時点)。リスク軽減を行った第2、第3および第4コホートにおける安全性に関して、7名の患者で、OMP-21M18による処置を継続しつつ、心保護ACE阻害剤および/またはカルベジロールが開始され、処置した患者のうちの6名でBNPレベルが制御された。すべての患者において、LVEFで見られる下降またはうっ血性心不全の証拠がなかった。安全性プロフィールの他の局面は、標準的なゲムシタビン化学療法処置で観察されたのと同様であった。
【0212】
本明細書に記載される実施例および態様は例示を目的とするものにすぎないこと、およびそれらに照らして様々な改変または変更が当業者に示唆され、それらは本願の精神および範囲に含まれるべきであることを理解されたい。
【0213】
本明細書で引用されているすべての刊行物、特許および特許出願は、すべての目的のために、各々個々の刊行物、特許または特許出願が具体的かつ個別に参照により組み入れられることが示されているものとして、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0214】
配列
21M18重鎖CDR1(SEQ ID NO:1)
TAYYIH
21M18 - H2重鎖CDR2(SEQ ID NO:2)
21M18 - H7重鎖CDR2(SEQ ID NO:3)
21M18 - H9重鎖CDR2(SEQ ID NO:4)
21M18 重鎖CDR3(SEQ ID NO:5)
21M18 軽鎖CDR1(SEQ ID NO:6)
21M18 軽鎖CDR2(SEQ ID NO:7)
AASNQGS
21M18 軽鎖CDR3(SEQ ID NO:8)
21M18 - H2重鎖可変領域(SEQ ID NO:9)
21M18 - H7重鎖可変領域(SEQ ID NO:10)
21M18 - H9重鎖可変領域(SEQ ID NO:11)
21M18 軽鎖可変領域(SEQ ID NO:12)
下線部の推定シグナル配列を有するヒトDLL4細胞外ドメイン(SEQ ID NO:13)
下線部の推定シグナル配列を有するヒトDLL4 N末端領域(SEQ ID NO:14)
ヒトDLL4 DSL領域(SEQ ID NO:15)
下線部の推定シグナル配列を有するヒトDLL4アミノ酸1〜217(SEQ ID NO:16)
ヒトDLL4アミノ酸27〜217(SEQ ID NO:17)
ヒトDLL4アミノ酸66〜73(SEQ ID NO:18)
QAVVSPGP
ヒトDLL4アミノ酸139〜146(SEQ ID NO:19)
LISKIAIQ