特許第6371305号(P6371305)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6371305天然ガスを再液化するための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6371305
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】天然ガスを再液化するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/00 20060101AFI20180730BHJP
   B63B 25/16 20060101ALI20180730BHJP
【FI】
   F17C13/00 302A
   B63B25/16 D
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-548449(P2015-548449)
(86)(22)【出願日】2013年12月17日
(65)【公表番号】特表2016-505784(P2016-505784A)
(43)【公表日】2016年2月25日
(86)【国際出願番号】EP2013076920
(87)【国際公開番号】WO2014095877
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2016年11月15日
(31)【優先権主張番号】12352005.8
(32)【優先日】2012年12月20日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599067318
【氏名又は名称】クライオスター・ソシエテ・パール・アクシオンス・サンプリフィエ
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100147511
【弁理士】
【氏名又は名称】北来 亘
(72)【発明者】
【氏名】フック,ヴァンサン
(72)【発明者】
【氏名】ラゴ,マティアス
【審査官】 宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−142980(JP,A)
【文献】 特表2009−538405(JP,A)
【文献】 特表2009−533642(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/051622(WO,A1)
【文献】 特開昭51−103104(JP,A)
【文献】 特開平02−240499(JP,A)
【文献】 特開2011−033051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/00
B63B 25/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化天然ガス(LNG)を保持する少なくとも1つの貯蔵容器(4−12)から発生するボイルオフガスを回収する方法であって、
第1の圧縮段(26)でボイルオフガスの流れを冷間圧縮することと、
前記冷間圧縮されたボイルオフガスの流れを熱交換(22)によって温めることと、
前記冷間圧縮されたボイルオフガスの前記温められた流れをさらに圧縮することと、
前記ボイルオフガスの前記さらに圧縮された流れの少なくとも一部を用いて、前記熱交換(22)において前記冷間圧縮されたボイルオフガスの流れを温め、それによって前記さらに圧縮されたボイルオフガスの前記一部の温度を減少させることと、
前記温度の減少を受けた前記ボイルオフガスの前記さらに圧縮された流れの前記一部の少なくとも一部を再液化(47)することと、
前記貯蔵容器(4−12)から取り出されたLNGを圧縮して送るようポンピング(304)することと、
前記熱交換(22)を行った後の液化対象となる圧縮された天然ガスを、予備冷却通路(302)又は前記ポンピングにより圧縮されたLNGとの追加的熱交換(400)により予備冷却することと、を含む、前記方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記再液化のための冷却がブレイトンサイクル(50)によって提供される、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、前記ブレイトンサイクル(50)が、再液化の対象となる前記ボイルオフガスの前記さらに圧縮された流れを予備冷却することも含む、方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法において、前記再液化のための追加の冷却(400)が、LNG貯蔵タンク(2)から得られる天然ガスの高圧ストリームによって提供される、方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法において、実行される時が船の船上である、方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法において、前記第1の圧縮段(26)の出口温度が−5℃未満である、方法。
【請求項7】
液化天然ガスを保持する少なくとも1つの貯蔵容器(4−12)からのボイルオフガスを回収する装置であって、
前記貯蔵容器(4−12)と連通する第1の冷間圧縮段(26)と、
前記冷間圧縮段(26)の下流側の前記ボイルオフガスをさらに圧縮する直列の複数のさらなる圧縮段(28−32)と、
前記さらなる圧縮段(28−32)の下流側で前記ボイルオフガスを再液化する液化装置(47)と、
熱交換器(22)であって、前記第1の冷間圧縮段(26)の出口と連通する入口および前記さらなる圧縮段(28−32)と連通する出口を有する少なくとも1つの熱交換通路と、前記第1の熱交換通路と熱交換関係にある少なくとも1つの第2の熱交換通路(42)であって、前記さらなる圧縮段の出口に連通する入口および前記液化装置(47)と連通する出口を有する第2の熱交換通路(42)とを有する前記熱交換器(22)と、
前記貯蔵容器(4−12)から取り出されるLNGを圧縮して1つまたは複数の予備冷却通路(302)へ送り出す少なくとも1つのポンプ(304)と、
前記熱交換器(22)からの液化の対象となる圧縮された天然ガスを、前記予備冷却通路(302)のLNGと追加的熱交換して予備冷却するための追加の熱交換器(400)と、を含む、装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置であって、前記液化装置(47)がブレイトンサイクル(50)で動作するように構成される、装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の装置であって、前記装置が、船または他の海上航行船舶の船上にある、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然ガスを再液化するための方法および装置に関する。
【0002】
具体的には、一般に船または他の海上航行船舶の船上の液化天然ガス(LNG)貯蔵タンクからボイルオフする天然ガスを再液化するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
米国特許出願第2007/0256450A号、同第2009/0158773A号、および同第2009/0158774号は、全て、冷却を圧縮の上流側のボイルオフガスから回収して、貯蔵タンクからボイルオフする天然ガス(「ボイルオフ」ガス)を液化する方法を開示する。圧縮されたボイルオフガスは、圧縮の下流側で再液化される。圧縮されたボイルオフは、圧縮の上流側で同じガスが通る熱交換器で予備冷却されて、圧縮されたボイルオフガスの温度を周囲温度よりはるかに低い温度まで減少させ、したがって天然ガスを液化するために液化装置に提供する必要がある冷却の量を減少させることができる。
【0004】
しかしながら、上述の配設は重大な欠点を有する。ボイルオフガスが発生する液化天然ガス貯蔵タンクは、大気圧より僅かに高いアレージ空間圧力で動作するように設計される。ボイルオフガスの圧縮機の上流側に熱交換器を設けることは、圧力が大気圧より下に低下する原因となって、空気が装置内に引き込まれるという重大な危険性をもたらすことになる。そのような空気の存在は、特に全てのボイルオフガスが再液化されて貯蔵タンクに戻される場合に、爆発の危険性の原因となり得る。たとえ熱交換器を大型化しても、システム全体に十分な圧力を維持する動作が困難となる重大な圧力降下が依然として存在することになる。
【発明の概要】
【0005】
本発明によれば、液化天然ガス(LNG)を保持する少なくとも1つの貯蔵容器から発生するボイルオフガスを回収する方法が提供され、この方法は、第1の圧縮段でボイルオフガスの流れを冷間圧縮することと、冷間圧縮されたボイルオフガスの流れを熱交換によって温めることと、冷間圧縮されたボイルオフガスの温められた流れをさらに圧縮することと、ボイルオフガスのさらに圧縮された流れの少なくとも一部を用いて冷間圧縮されたボイルオフガスの流れを熱交換器内で温め、それにより、さらに圧縮されたボイルオフガスのその一部の温度を減少させることと、温度の減少を受けたボイルオフガスのさらに圧縮された流れのその一部の少なくとも一部を再液化することと、を含む。
【0006】
本発明はまた、液化天然ガスを保持する少なくとも1つの貯蔵容器からのボイルオフガスを回収するための装置を提供し、この装置は、貯蔵容器に連通する第1の冷間圧縮段と、冷間圧縮段の下流側でボイルオフガスをさらに圧縮するための直列の複数のさらなる圧縮段と、さらなる圧縮段の下流側でボイルオフガスを再液化する液化装置と、を備え、第1の冷間圧縮段の出口に連通する入口およびさらなる圧縮段に連通する出口を有する少なくとも1つの熱交換通路と、第1の熱交換通路と熱交換関係にある少なくとも1つの第2の熱交換通路と、を有し、第2の熱交換通路がさらなる圧縮段に連通する入口および液化装置に連通する出口を有する、熱交換器が存在する。
【0007】
熱交換器の位置は、圧縮段の上流側の圧力降下を回避する。第1の圧縮段の冷間圧縮段としての動作は、液化されるさらに圧縮されたボイルオフガスの全部または一部をその液化の上流側で0℃未満に予備冷却することを可能にする。したがって、ボイルオフした天然ガスを温めるために望ましくない圧力降下の原因となる一切の熱交換器(または他の手段)を第1の圧縮段の上流側に設ける必要がない。
【0008】
概して、本発明による方法および装置は、天然ガスの供給の複数の様々な要求および広範の様々な供給圧力を満たすように構成することができる。
【0009】
本発明による方法および装置は、特に、しかし非排他的に、船または他の海上航行船舶の船上で使用することを意図する。海上航行船舶が生産現場から使用現場へのLNGの輸送体である場合、本質的に全てのボイルオフガスを再液化することができる。いくつかの例では、しかしながら、天然ガスの一部は、海上航行船舶の船上で使用されて、例えば海上航行船舶自体の推進に使用される動力を生成する。この例では、さらに圧縮されたボイルオフガスの一部のみを再液化する必要があり、その残りは動力生成の目的のために供給される。
【0010】
さらに別の実施例では、動力生成に使用される天然ガスは、貯蔵容器から取り出され、適切な圧力にポンピングされる。このような実施例では、全てのボイルオフガスが再液化され、その一部が、貯蔵容器に戻される代わりに、動力生成のために採取することができる。さらに、これらの実施例では、冷却は、ポンピングされた天然ガスから回収され、液化の対象となるさらに圧縮されたボイルオフガスの流れの温度をさらに減少させるために用いることができる。
【0011】
温度の減少を受けた天然ガスのさらに圧縮された流れの一部(またはこの部分の選択された部分)の再液化は、好ましくはブレイトンサイクルによって達成される。ブレイトンサイクルの作動流体は、好ましくは窒素である。
【0012】
本発明による方法および装置を、添付の図面を参照して実施例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】単に全般的に示される液化装置の冷却サイクルを使用する本発明による様々な天然ガス供給プラントの一般化された概略的フロー図である。
図2】単に全般的に示される液化装置の冷却サイクルを使用する本発明による様々な天然ガス供給プラントの一般化された概略的フロー図である。
図3】単に全般的に示される液化装置の冷却サイクルを使用する本発明による様々な天然ガス供給プラントの一般化された概略的フロー図である。
図4】単に全般的に示される液化装置の冷却サイクルを使用する本発明による様々な天然ガス供給プラントの一般化された概略的フロー図である。
図5】冷却サイクルがより詳細に示されたそのようなプラントの概略的フロー図である。
図6】冷却サイクルがより詳細に示されたそのようなプラントの概略的フロー図である。
【0014】
図中の同様の部品は、同じ符号によって示される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1を参照すると、LNG貯蔵タンクまたは容器の集合体2が示されている。貯蔵タンクは、海上航行LNG運送船の船上に位置する。5つの本質的に同一の貯蔵タンク4、6、8、10、および12が図1に示されている。5つの貯蔵タンクが示されているが、集合体2は任意の数のそのようなタンクを含むことができる。LNG貯蔵タンク4、6、8、10、および12のそれぞれは、断熱され、その中身のLNGが周囲の環境から熱を吸収する割合を低くする。貯蔵タンク4、6、8、10、および12のそれぞれは、量14のLNGを含むものとして図1に示される。内部の液体のレベルより上のこれらのタンクのそれぞれの中には、普通、アレージ空間16が存在する。天然ガスは、−100℃よりずっと低い温度で沸騰するので、それぞれの量14からその上のアレージ空間16にLNGが連続して蒸発する。本発明によれば、蒸発したLNGは、タンク4、6、8、10、および12から取り出され、通常動作で少なくとも部分的に液化される。したがって、タンク4、6、8、10、および12のそれぞれは、ボイルオフした蒸気のための出口18を有する。出口18は、全てボイルオフした蒸気のためのパイプライン20に連通する。
【0016】
パイプライン20は、多段圧縮機24と連通する。図1に示すように、圧縮機24は、天然ガスを漸進的に増々高い圧力にしていく4つの圧縮段26、28、30、および32を有する。ちょうど4つのそのような圧縮段を使用することは本質的ではない。圧縮段の最適な数は、圧縮機24が天然ガスを供給するために必要となる圧力と、動作中に圧縮機24が受ける入口温度の変動と、に依存する。一般に、必要な供給圧力が高くなるほど、より多くの圧縮段が必要となる場合がある。同様に、最大入口温度が高くなるほど、より多くの圧縮段が必要となる場合がある。
【0017】
貯蔵タンク4、6、8、10、および12の集合体2からのボイルオフした天然ガスの割合は周囲温度および海上航行条件の変動とともに変動するので、そのような変動を補償するための手段が図1に示される装置内に設けられる。補償手段は、各圧縮段または一部の圧縮段に入口ガイドベーン(図示せず)または可変ディフューザベーン(図示せず)を提供することを含む。さらに、最終の圧縮段32の下流側のリサイクルライン36と、このリサイクルライン36内に位置する流量制御弁38が存在する。リサイクルライン36は、必要に応じて、弁38の開度を使用して圧縮機24のアンチサージ制御を提供する。あるいは、各段または各段対は、別々のアンチサージシステムを有してもよい。
【0018】
本発明によれば、第1の圧縮段26は、入口温度が周囲温度よりもはるかに低い冷間圧縮段として動作する。一方、残りの圧縮段28、30、および32の圧縮の熱は、内部の温度を周囲よりもはるかに高く上昇させるのに十分である。したがって、圧縮段28、30、および32の下流側には、それぞれクーラー25、27、および29が設けられる。クーラー25、27、29のそれぞれは、一般に水流を用いて冷却を達成し、任意の従来の種類の熱交換器の形態をとることができる。クーラー25および27は、共に段間クーラーであり、すなわち、クーラー25は圧縮段28と圧縮段30との中間に位置し、クーラー27は圧縮段30と圧縮段32との中間に位置する。クーラー29は、アフタクーラーであり、圧縮段32からの出口と、圧縮機24が圧縮された天然ガスを供給するメイン天然ガス供給パイプライン40にリサイクルライン36が結合する箇所と、の中間の位置である最終の圧縮段32の下流側に位置する。圧縮機24は、必要に応じて、段間クーラーを備えた追加の段を含むことができる。
【0019】
図1に示されるように、天然ガスの一部は、一般に仕事をするエンジンまたは他の機械(図示せず)に供給するためにパイプライン40の端部に流れ、天然ガスの残りは、アフタクーラー29と、メイン供給パイプライン40にリサイクルライン36が結合する箇所と、の中間に入口が位置するパイプライン42に流れる。
【0020】
パイプライン42に供給される圧縮された天然ガスの少なくとも一部は、液化装置47に送られる。本発明によれば、パイプライン42を介して流れる天然ガスは、その液化の上流側で予備冷却される。予備冷却は、圧縮機24の第1の(冷間圧縮)段26からその第2の圧縮段28に流れる天然ガスとの向流の熱交換によって熱交換器22内で達成される。パイプライン42に沿って熱交換器22から流出する熱交換後の天然ガスのストリームは、液化装置47に送られて液化される。導管64は、パイプライン42から分岐し、メインガス供給パイプライン40で終端する。流量制御弁44は、導管64との結合箇所の上流側のパイプライン40内に配置される。同様の流量制御弁62は、導管64内に位置する。
【0021】
通常動作時、天然ガスを海上航行船舶の推進システム(図示せず)(デュアルフューエルエンジンを備えてもよい)に一定に近い割合で供給することが望ましい。この割合は、デュアルフューエルエンジン(図示せず)の前のガス弁ユニット(図示せず)の動作によって設定または調整することができる。パイプライン40内の弁44および導管64内の弁62は、熱交換器22を通過する加圧された天然ガスの比率を変えることによってボイルオフした蒸気の温度を調整してそこを流れるストリームの温度を調整するために使用される。液化装置47は、好ましくはブレイトンサイクルである冷却サイクル50を流れる作動流体との直接の熱交換によって、それが凝縮される第2の熱交換器(または熱交換48のアレイ)を含むことができる。得られた凝縮液は、一般に、液化の対象となるボイルオフしたガスの割合を調整する流量制御弁54が位置するパイプライン52を介して貯蔵タンク4、6、8、10、および12に戻される。
【0022】
流量制御弁44および62の設定に依存するので、メイン供給パイプライン40内の圧縮された天然ガスの流れは、サブゼロ温度を有することができ、ヒーター60は、好ましくはパイプライン40内に設けられる。ヒーター60は、スチームまたは他の加熱媒体との熱交換によって天然ガスを温めることができる。
【0023】
本発明は、限定されないが、機械的なスチームまたは電力生成のために使用される2ストロークまたは4ストロークのデュアルまたはトリフューエルエンジン、ガスタービン、またはボイラーを含む他の消費装置に供給することも想定される。一般的な圧力範囲は、スチームプラントでは0〜3バール、デュアルフューエル4ストロークエンジンでは0〜7バール、デュアルフューエル2ストロークエンジンでは130〜320バール、ガスタービンプラントでは20〜50バール、であり得る。
【0024】
図1に示されるプラントには多数の代替のオプションがあるが、すべてにおいて、第1の圧縮段26におけるボイルオフした天然ガスの冷間圧縮を利用して液化の対象となる圧縮された天然ガスを冷却し、冷却は熱交換器22で行われる。
【0025】
図2は、船または他の海上航行船舶の動力生成または推進のための天然ガスの需要がないときの使用に適するプラントを示す。そのような例では、船のエンジンは、燃料油(例えば、HFO、MDO、MGO)を燃料として排他的に使用することができる。したがって、図1と比較すると、メインガス供給ライン40が存在せず、ライン36のアンチサージ流れから分離しないので、圧縮機24からの全ての天然ガスは、熱交換器22を介して送られ、液化装置47で液化される。
【0026】
図3に示されるプラントでは、天然ガスは、船の推進の目的のために取り出されるが、この場合は、タンク4、6、8、10、および12から液体状態で取り出される。したがって、タンクの少なくとも2つは、サーブマージド低圧ポンプ300を備える。ポンプ300のそれぞれは、高圧LNGポンプ304が位置するメインLNGパイプライン302に接続される。高い燃料ガス検査圧が動力生成手段(すなわち、船のエンジン)によって必要とされる場合、ポンプ304は、取付け可能なポンピング段を含むことができ、圧力を一般に20〜50バールまたは200〜300バールの範囲内の値まで上昇させることができる。船の推進の目的のための天然ガスは集合体2から取り出されるので、パイプライン40の必要がなく、図2で示される配設と同様であり、本質的に圧縮機24で圧縮される全ての天然ガスは、熱交換器22を介して戻され、液化装置47で液化される。必要に応じて、この液体の一部または全部は、タンク4、6、8、10、および12に戻されず、代わりに流量制御弁306を介して高圧ポンプ304の上流側のパイプライン302に送られる。
【0027】
図4は、図3に示されるプラントへの改造を示し、船舶の動力生成に使用されるLNGの冷却の一部を利用して、液化装置47の液化の上流側で圧縮された天然ガスをさらに冷却することを可能にする。したがって、熱交換器22からの天然ガスは、液化装置47の上流側のパイプライン42に位置する1つまたは複数のさらなる予備冷却交換器400に送られる。パイプライン302は、高圧ポンプ304の下流側で、熱交換器400を通って延在する。予備冷却熱交換器400は、冷却サイクル50(または追加の冷却サイクルによって)およびポンプ304からの高圧LNGの両方によって冷却される。その結果、ポンプ304からの高圧LNGは、熱交換器22からの天然ガスをさらに予備冷却する。
【0028】
ヒーター500は、熱交換器400の下流側のパイプライン302内に設けられる。さらに、導管510が設けられ、ポンプ304からの高圧天然ガスの一部が、導管510および302内に位置する流量制御値512の位置に従って熱交換器400をバイパスすることを可能にする。ヒーター500からの高圧の天然ガスは、船の船内のエンジン(図示せず)またはガスタービン(図示せず)に供給するために使用することができる。
【0029】
図1〜4に示されたプラントの熱交換アレイ48を冷却するために使用される冷却サイクルについて、複数の様々な選択が可能である。これらの選択のうちの1つは、図5に示され、ボイルオフガスを補うために加圧されたLNGが貯蔵容器から取り出されないプラントに基づく。したがって、このプラントは、図1に示されたものと複数の類似点を有する。
【0030】
図5を参照すると、熱交換器48を冷却するために、ブレイトンサイクルが使用される。サイクル内の最低圧の、好ましくは窒素である作動流体は、3つの直列の圧縮段72、74、および76と、圧縮段76の下流側の単一のターボエキスパンダ78と、を有する圧縮/膨張機械70(時には「コンパンダ」と呼ばれる)の第1の圧縮段72への入口で受け取られる。圧縮段72、74、および76は、全て同じ駆動機構(図示せず)に連係可能に関連付けられる。動作時、窒素の作動流体は、圧縮−膨張機械70の圧縮段72、74、および76を通って順番に流れる。段72と段74との中間で、作動流体は第1の段間クーラー74でほぼ周囲温度まで冷却され、段74と段76との中間で、圧縮された窒素は第2の段間クーラー86で冷却される。最終の圧縮段76を出る圧縮された窒素は、アフタクーラー88で冷却される。クーラー84、86、および88のための水は、海上航行船舶自体の上水回路(図示せず)から提供することができる。
【0031】
アフタクーラー88の下流側では、圧縮された窒素は、熱交換器90を通って流れ、その中で戻りの窒素ストリームとの直接の熱交換によってさらに冷却される。圧縮され、冷却されて得られた窒素ストリームは、ターボエキスパンダ78に流れ、外部に仕事を行って膨張する。外部への仕事は、圧縮段72、74、および76内の窒素を圧縮するために必要とされる有用なエネルギーの一部を提供することができる。窒素の作動流体の膨張は、その温度をさらに減少させる効果を有する。その結果、間接の向流の熱交換による凝縮熱交換器における天然ガスの凝縮に適する温度になる。凝縮する天然ガス蒸気との熱交換によって加熱された窒素の作動流体は、予備冷却熱交換器92(熱交換器22に追加される)を通って流れ、その中で凝縮熱交換器48内への流入に対して上流側の天然ガスを予備冷却する。この結果、窒素の作動流体は、さらに温められる。この窒素ストリームは、戻り窒素ストリームを形成し、熱交換器90で圧縮された窒素をさらに冷却する。得られた窒素ストリームは、最終的に圧縮‐膨張機械70の第1の圧縮段72で受け取られて、回路を完成する。
【0032】
ここで図6を参照すると、ボイルオフガスがLNG貯蔵容器から引き出される加圧されたLNGで補われる図4に示されたプラントのための冷却回路が示される。図6に示されるプラントの実施例では、ポンプ304で生成される高圧のLNGは、冷却サイクルの窒素から分離して保持される。もし高圧のLNGを熱交換器400内の窒素と熱交換されることがある場合は、2つの燃料ストリーム間の通常の圧力差(15バール未満の最大圧にある窒素、20バール以上から300バールまでの圧力にあるLNG)によって、天然ガスが窒素内に入る危険性が存在することになる。圧縮された天然ガスを使用して高圧のLNGの冷却を独立して回収することにより、両方の流体の組成が主にメタンであるので、関連する安全性または環境汚染のリスクが存在しない。
【0033】
図1〜5に示されるプラントの通常動作時、ボイルオフした天然ガスの圧縮機24は、一般に6〜8バールの範囲内の出口圧力を有する。例えば、天然ガスの抽出の現場からLNGの配給の現場への往航で、例えばLNGが貯蔵タンク4、6、8、10、および12の集合体2に積まれると、圧縮されたボイルオフした天然ガスは、低圧エンジンの場合、パイプライン40に沿って海上航行船舶の推進システムに供給される。しかしながら、ボイルオフの割合は、一般に、圧縮された天然ガスの要求の割合を超える。過剰の天然ガスは、したがって熱交換器50で液化され、貯蔵タンク4、6、8、10、および12の集合体2に戻される。このように、過剰の天然ガスをガス燃焼ユニット(GCU)で無駄に燃焼する一切の必要性が回避される。必要に応じて、帰航時、冷却サイクルを動作させなくてよく、ボイルオフした天然ガスの一切が再液化されない。さらに、帰航時、パイプライン20内の天然ガスの温度は、LNGがタンク4、6、8、10、および12に完全に積まれたときよりもかなり高くなる傾向にある。入口温度は、一般にこれらの状況で共通しており、−50℃以上である。流量制御弁44および62を適切に設定することにより、圧縮機24に入る天然ガスの温度は、積荷航行時と同じ事前選択された値に設定することができる。
【0034】
通常の積荷動作時、熱交換器22内の圧縮された天然ガスの冷却は、天然ガスを液化する際に冷却サイクル50によって行う必要がある仕事量を減少させる。本発明による方法および装置は、したがって図面に示される圧縮−液化システムの動力消費全体を抑えることを可能にする。以下は、出願当初の本発明の各種形態である。
(形態1) 液化天然ガス(LNG)を保持する少なくとも1つの貯蔵容器から発生するボイルオフガスを回収する方法であって、第1の圧縮段でボイルオフガスの流れを冷間圧縮することと、前記冷間圧縮されたボイルオフガスの流れを熱交換によって温めることと、前記冷間圧縮されたボイルオフガスの前記温められた流れをさらに圧縮することと、前記ボイルオフガスの前記さらに圧縮された流れの少なくとも一部を用いて、前記熱交換において前記冷間圧縮されたボイルオフガスの流れを温め、それによって前記さらに圧縮されたボイルオフガスの前記一部の温度を減少させることと、前記温度の減少を受けた前記ボイルオフガスの前記さらに圧縮された流れの前記一部の少なくとも一部を再液化することと、を含む、前記方法。
(形態2) 前記再液化のための冷却がブレイトンサイクルによって提供される、形態1に記載の方法。
(形態3) 前記ブレイトンサイクルが、再液化の対象となる前記ボイルオフガスの前記さらに圧縮された流れを予備冷却することも含む、形態2に記載の方法。
(形態4) 前記再液化のための追加の冷却が、LNG貯蔵タンクから得られる天然ガスの高圧ストリームによって提供される、形態2に記載の方法。
(形態5) 実行される時が船の船上である、形態1〜4のいずれか1項に記載の方法。
(形態6) 前記第1の圧縮段の出口温度が−5℃未満である、形態1〜5のいずれか1項に記載の方法。
(形態7) 液化天然ガスを保持する少なくとも1つの貯蔵容器からのボイルオフガスを回収する装置であって、前記貯蔵容器と連通する第1の冷間圧縮段と、前記冷間圧縮段の下流側の前記ボイルオフガスをさらに圧縮する直列の複数のさらなる圧縮段と、前記さらなる圧縮段の下流側で前記ボイルオフガスを再液化する液化装置と、を含み、前記第1の冷間圧縮段の出口と連通する入口および前記さらなる圧縮段と連通する出口を有する少なくとも1つの熱交換通路と、前記第1の熱交換通路と熱交換関係にある少なくとも1つの第2の熱交換通路であって、前記さらなる圧縮段に連通する入口および前記液化装置と連通する出口を有する第2の熱交換通路と、を有する熱交換器が存在する、前記装置。
(形態8) 前記液化装置がブレイトンサイクルで動作するように構成される、形態7に記載の装置。
(形態9) 前記装置が、船または他の海上航行船舶の船上にある、形態7または形態8に記載の装置。
(形態10) 前記貯蔵容器から取り出されるLNGを圧縮するための少なくとも1つのポンプと、液化の対象となる圧縮された天然ガスを予備冷却するための追加の熱交換器と、をさらに含み、前記追加の熱交換器が前記ポンプと連通する1つまたは複数の予備冷却通路を有する、形態7〜9のいずれか1項に記載の装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6