【実施例】
【0043】
実施例1
図9は、回転式投光レチクル35の一実施例を示した図である。回転式投光レチクル35上には、中心軸37’を基準として同一な半径を有するレチクル回転線40に沿って様々なレチクル39A〜39Fが形成されている。例えば、動く車両とか、ヘリコプタ、戦闘機などを照準射撃するためには、対人射撃の場合とは異なり、物体の移動速度などを考慮して照準しなければならない。したがって、これを考慮してドット像を形成しなければならない。対物用ドット像は、一般的に近距離、遠距離、および対空用に大別され、また、人馬用、戦車用、ヘリコプタ用、戦闘機用などに互いに異なるドット像が用いられる。本発明に係る回転式投光レチクル35には、これを反映して人馬用遠距離レチクル39A、人馬用近距離レチクル39B、停止された車両および戦車用レチクル39C、移動車両および戦車用レチクル39D、対空用ヘリコプタレチクル39E、対空用戦闘機レチクル39Fなどがレチクル回転線40に沿って放射状に形成されている。
【0044】
回転式投光レチクル35の中心軸37’の部分は、レチクル回転軸37が通過する部分であって、回転式投光レチクル35は、レチクル回転軸37上に固定されており、レチクル回転軸37が回転することにより共に回転する。したがって、使用者は、レチクル選択部21を回転させて、目標物に適したドット像を形成するレチクルを迅速に選択することができるので、迅速かつ正確な照準射撃が可能である。
【0045】
実施例2
図10は、本発明に係る回転式投光レチクル35の他の実施例を示した図である。撃発された弾丸は、目標物に到達するまで重力の影響を受け続けるようになる。したがって、目標物までの距離が遠いほど、本来の照準された地点とは異なる地点に到達することになるため、命中率を高めようとすれば、目標物までの距離を考慮して、照準時にこれを補正しなければならない。
【0046】
重力を考慮すると、目標物までの距離が遠いほど、銃身が上を向かなければならない。したがって、
図10に示された本発明の回転式投光レチクル35には、これを反映して照準基準線41を基準として目標物までの距離が遠いほど、レチクル39’A〜39’Fが中心軸37’に近く形成されている。
【0047】
例えば、照準基準線41が100mの距離にある目標物に対する基準線であるとすれば、射撃者から100mの距離にある目標物に対するレチクル39’Aは照準基準線41上に形成され、射撃者から200mの距離にある目標物に対するレチクル39’Bは照準基準線41から予め調整された距離の分だけ中心軸37’の方に形成される。また、400mの距離にある目標物に対するレチクル39’C、800mの距離にある目標物に対するレチクル39’D、1200mの距離にある目標物に対するレチクル39’E、1600m前の目標物に対するレチクル39’Fなども予め調整された距離の分だけ中心軸37’の方に形成されている。
【0048】
回転式投光レチクル35の中心軸37’の部分は、レチクル回転軸37が通過する部分であって、回転式投光レチクル35は、レチクル回転軸37上に固定されており、レチクル回転軸37が回転することにより共に回転する。したがって、使用者は、レチクル選択部21を回転させて、目標物までの距離を考慮して適したドット像を形成するレチクルを迅速に選択することができるので、迅速かつ正確な照準射撃が可能である。
【0049】
上記実施例1および実施例2では、回転式投光レチクル35の回転中心軸37’が回転式投光レチクル35の中心にあるものと説明したが、上述した2つの実施例において、回転中心軸37’を回転式投光レチクル35の中心を外れた位置に形成してもよい。すなわち、目標物までの距離を考慮して、予め回転中心軸37’を遠くにある目標物に使用するレチクルに近い位置に置いてもよい。
【0050】
(第2の実施形態)
反射鏡の幅を使用者の両眼間の距離より大きくして、立体視、すなわち、距離感を維持させるためには、ドットの虚像も両眼注視距離に結像されて初めて目標物と目標物に照準されたドットとを安定疲労なしで正確に凝視できるようになる。
【0051】
両眼注視時、両眼注視点にドットを作るためには、すなわち、反射鏡によるレチクルの像が両眼注視点に位置されるようにするためには、照明部、具体的には、点光源の役割を果たすレチクルを前後方に移動させて位置変化を与えなければならない。
【0052】
例えば、100mレチクルと、200mレチクルと、400mレチクルとの3つの場合において、照明部の点光源を反射鏡方向から反射鏡の焦点方向への微細に位置移動させる手段が必要である。人間の目が立体感を感じることのできる立体視の距離は、ヘルムホルツ(Hermann von Helmholtz)によると240m程度であるため、800m、1200m、1600mレチクルは、400mレチクルと同様に、反射鏡から反射後のドット像(image)が目の前に無限に配置されるように、反射鏡の焦点の位置を合わせてもよい。
【0053】
反射鏡の焦点がfmmであるとき、zmレチクルの反射鏡の焦点から反射鏡の方への移動量sを計算する式は、下記の式(2)のとおりであり、計算例は表1のとおりである。
【0054】
【数2】
【0055】
【表1】
【0056】
上記の表1は、実際の焦点距離229mmである反射鏡で、レチクル種類別の反射鏡の焦点から反射鏡の方への移動量を計算したものである。
【0057】
これを反映してレチクルを移動させるために、
図11に示すようなレチクル回転軸37を考慮することができる。
【0058】
本実施形態に係るレチクル回転軸37は、レチクル回転軸の連結軸58と、連結軸58の周りに、照明部19内の前面から延長された照明部側回転軸65とレチクル選択部側回転軸67とを備える。レチクル選択部側回転軸67の後方には回転式投光レチクルが取り付けられている。照明部側回転軸65の一端には、図示しているように、円周に沿って凹凸61a〜61cが形成されている。この凹凸の大きさは、上記の表に記載されたレチクル別移動距離に対応する。照明部側回転軸65と連接するようになるレチクル選択部側回転軸67の一端には、凸部63が形成されている。
【0059】
使用者がレチクル選択部21を引張ると、照明部側回転軸65とレチクル 選択部側回転軸67が離隔し、レチクル選択部21を回転させることにより、レチクル選択部側回転軸67が回転するにしたがって凸部63が共に回転する。凸部63が所望のレチクル移動距離に該当する凹凸部と連接するようになる対応位置にきたとき、レチクル選択部21を解放すると、凸部63と凹凸部61とが連接するようになる。
【0060】
したがって、使用者は、迅速に距離に対応するドット像の立体視補正をすることができるので、迅速かつ正確に照準射撃することができる。
【0061】
(第3の実施形態)
図12および
図13は、本発明のさらに他の実施形態によって弾道を調整できるドットサイト照準装置を示した図である。
【0062】
本実施形態では、レチクル選択部の代わりに、弾道調整摘み43を回転させて弾道を調整する。本実施形態によって弾道を調整できるドットサイト照準装置について、図面を参照して説明する。
【0063】
図12および
図13の上板4の下部には、
図14に示された下板6が配置される。
【0064】
図14に示すように、弾道調整本体47の上部には、上下クリック調節ボルト17が収容される溝があり、側面中央には、上下板連結回転軸49が挿入される。弾道調整本体47の上面から収容された上下クリック調節ボルト17は、上下板連結回転軸49の中央部の溝に固定される。上下板連結回転軸49によって上下クリック調節ボルト17と連結された弾道調整本体47は、下板6に形成された弾道調整本体収容部55に収容され、側面を貫通する弾道調整本体と下板を連結する連結軸59とによって下板6と連結される。
【0065】
したがって、上下クリック調節ボルト17は、上下板連結回転軸49を中心として回転可能であり、弾道調整本体47は、連結軸59を中心として回転可能である。
【0066】
また、弾道調整本体47は、上板に固定された上下クリック調節ボルト17を介して上板4と連結され、連結軸59によって下板6と連結される。
【0067】
弾道調整軸51は、下板6を貫通し、弾道調整本体47の弾道調整軸接触部48の上を通って弾道調整摘み43に連結される。弾道調整軸51の弾道調整部53は、弾道調整本体47の弾道調整軸接触部48と面接触する。
【0068】
図14に示すように、下板6の上面には、連結軸59に沿って弾道調整本体収容部55の付近にバネ部57が形成されており、バネ部57内には、バネが収容されて上板4と下板6とに互いに押し出す力が作用されるようにする。
【0069】
図15および
図16を参照し、本実施形態によって弾道を調整するための構成を詳しく説明する。
【0070】
図15に示すように、弾道調整軸51の弾道調整部53は、弾道調整本体47の弾道調整軸接触部48の上に面接触し、横切って通る。
図15のA−B線に沿った断面図が
図16に示されている。弾道調整部53は、弾道調整軸51の回転中心60からの法線距離が相違した複数の接触面53a〜53eからなっている。
【0071】
バネ部57のバネが上板と下板とを互いに押し出しているので、上下クリック調節ボルト17によって上板4と連結された弾道調整本体47は、下板から押し出される上板4の方に引張られる力を受ける。すなわち、連結軸59を中心として上板4の方に回転する力を受け続ける。したがって、このとき、弾道調整部53で弾道調整軸接触部48と面接触していた接触面が変更されると、上板4と下板6との間の距離が変更される。
【0072】
例えば、弾道調整本体47の弾道調整軸接触部48が回転中心から法線距離が長い接触面53dと接触していたが、法線距離が短い接触面53aと接触すれば、上板4と下板6との間の距離が近くなり、その反対の場合は、上板4と下板6との間の距離が遠くなる。
【0073】
下板6の場合は、重機関銃用マウントに固定されているので、上述した上板4と下板6との間の距離変化は、固定された下板6を基準として上板4の微細な傾き変化で実現される。弾道調整部53の各接触面53a〜53eは、距離別補正角度を予め計算して、補正角に対応する法線距離に形成されている。したがって、弾道調整摘み43を回転させて、当該接触面を選択すると、上板4の傾きが目標物との距離に対応して変わるようになり、傾きが変わった上板4の反射鏡および保護窓を介して目標物を照準すると、第1の実施形態の実施例2と同一な距離別補正効果を得ることができる。
【0074】
(第4の実施形態)
本発明は、大口径の反射鏡を使用するドットサイト照準装置であるため、前述したような、収差が異なる視差の問題を解決する必要性がある。
【0075】
図17は、本発明のさらに他の実施形態を示し、本実施形態では、LEDと反射面との間の距離を200mmに、中心厚さを4.0mmに設定した。
【0076】
LEDドットは、R2面から反射されて出るが、入射するときにR1面を通り、R2面で反射してから、改めてR1面を通って観測者の目に入射される。すなわち、R1面を2回通り、R2面を1回通るため、設計における自由度がさらに与えられる。これにより、視差を最も最小化できるようになる。
【0077】
このとき、外部目標点が観測者の目に結像されるとき、倍率の発生を減らすために、アフォーカル(afocal)システムになるように構成した。これによる構成は、下記の式(1)を利用して第1の面および第3の面の曲率半径に適用する。
【0078】
ダブレット(doublet)の第1の面と第3の面との中心間の距離(中心厚さ)をd、第1の面の曲率半径をR1、第3の面の曲率半径をR3とし、材質の屈折率をnとするとき、次のような式(1)が成立されるようにした。
【0079】
【数3】
【0080】
このとき、D1は第1の面の屈折力、D2は第3の面の屈折力を意味する。本実施形態によって、視差は、百分率で80%以上の改善効果があった。
【0081】
また、
図18のように、第2の面がコーニック(conic)係数を含む非球面であったとき、視差は最も最小化され、このとき、視差は、上記
図17の実施形態より90%以上が改善されるという効果があった。
【0082】
下記の3つのグラフは、各々基準の単一反射面である場合と、ダブレット(doublet)反射面である場合(2つのレンズ間の反射面が球面)と、ダブレット(doublet)反射面でありながら、2つのレンズ間の反射面としてコーニック非球面を採択した場合との子午光線(Tangential ray)収差度を表わしている。それぞれレンズ傾き角が-2.0度である。
【0083】
[グラフ1]
【0084】
[グラフ2]
【0085】
[グラフ3]
【0086】
上記の各々のグラフのうち、1つ目のグラフは球面収差を表わすが、これがx軸と一致されると、視差のない状態となる。既存の単一反射面である場合の最大収差値は0.02mmであり、ダブレット(Doublet)の中間面を球面反射面として採択した場合の最大収差値は0.004mmであり、ダブレット(Doublet)の中間面をコーニック非球面反射面として採択した場合の最大収差値は0.0004mmである。したがって、全体領域の中心での50%空間を有効空間とすれば、既存の単一反射面である場合と、ダブレット(Doublet)の中間面を球面反射面として採択した場合との比較では、少なくとも80%以上の改善効果(球面収差量(y軸)のx軸(LED光線が反射する有効空間)に対する積分値の比較で)があり、ダブレット(Doublet)の中間面を球面反射面として採択した場合と、ダブレット(Doublet)の中間面をコーニック非球面反射面として採択した場合との比較では、少なくとも90%以上の改善効果があるものと計算される。
【0087】
本発明の請求の範囲に記載されている事項から決められる権利範囲は、上述した実施形態およびその実施例によって縮小されたり、制限されたりしない。