(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
単一入力および単一出力のみを有し、太陽ギヤ(80)と、遊星ギヤボックス(46)および前記太陽ギヤ(80)を囲むリングギヤ(86)と、を含む遊星ギヤ構成のキャリアに接続するための前記遊星ギヤボックスであって、前記遊星ギヤボックス(46)は、
前記キャリアに固定されるように構成され、軸方向に延びる中心軸から径方向に等距離にある円筒状外面(101、114)を画定する支持ピン(96)と、
前記支持ピン(96)の前記円筒状外面(101、114)に回転不能に連結された円筒状内面(103、112)を画定する内側レース(102)であって、少なくとも1つのトラックを画定する外面を画定し、前記外面(101、114)に画定された各トラックは、それぞれの複数の円筒状ローラ(104)を受け入れて回転可能に案内するように構成される、内側レース(102)と、
内側レース(102)の各それぞれのトラック内に回転可能に配置されたそれぞれの複数の円筒状ローラ(104)と、
各ローラ(104)は、前記軸方向と平行な方向に延びる回転軸(106)を備えて配置される円筒状外面(101、114)を画定し、各ローラ(104)の前記円筒状外面(101、114)は、前記回転軸(106)に垂直な方向に沿って前記回転軸(106)を通って延びる直径によって画定され、各ローラ(104)の前記円筒状外面(101、114)は、前記ローラ(104)の前記回転軸(106)に平行な方向の長さを規定し、各ローラ(104)の直径に対する各ローラ(104)の長さの比は1より大きく、
それぞれのトラックごとに、前記内側レース(102)と前記リングギヤ(86)と噛み合う外側レースとの間に配置されたそれぞれのローラケージ(118)と、各ローラケージ(118)と前記内側レース(102)との間に小さな隙間があり、各それぞれのローラケージ(118)は、各それぞれのトラックにおいて、そのそれぞれのトラックの隣接する各一対のローラ(104)の各それぞれのローラ(104)の間のそれぞれの分離を維持するように構成され、各ローラケージ(118)は第1の複数のほぼ円筒状の開口部を画定し、各ほぼ円筒状の開口部は前記軸方向に長軸および周方向に短軸を規定し、各ウェブ(130)は前記軸方向に延在し、前記周方向にクロスウェブ厚さを規定し、前記開口部の各々は、等間隔に離間した複数のウェブ(130)によって前記それぞれのローラケージ(118)の周りに周方向に等間隔に前記クロスウェブ厚さだけ隣り合うローラ(104)を離間し、
各それぞれの複数の円筒状ローラ(104)に接触する円筒状内面(103、112)を画定する外側レース(84)であって、太陽ギヤ(80)およびリングギヤ(86)の両方に噛み合うように構成されたギヤ面(81、85、87)を画定する円筒状外面(101、114)を形成する外側レース(84)と、を含み、
各ローラケージ(118)の各ウェブ(130)は、前記ローラ(104)のうちの1つの直径の15%から25%である前記クロスウェブ厚さを有する、遊星ギヤボックス。
請求項1に記載の遊星ギヤボックスであって、各ローラケージ(118)の各ウェブ(130)は、前記ローラ(104)のうちの1つの直径の15%から20%であるクロスウェブ厚さを有し、前記ローラケージ(118)と各内側レース(102)との間の前記小さい隙間は、0.005から0.050インチ(両端値を含む)のオーダーであり、各トラックは一対のガイドレール(108)を画定し、前記一対のガイドレール(108)は、前記内側レース(102)の前記外面の周りに周方向に、かつ前記内側レース(102)の前記外面に画定された環状レースウェイ(107、109)から径方向外側に連続して延在し、各トラックは、前記レースウェイ(107、109)の2つの極縁部を共に画定し、かつ前記レースウェイ(107、109)と前記それぞれのガイドレール(108)との間に径方向に延在する一対の側壁を画定し、各ローラケージ(118)と前記内側レース(102)との間の小さな隙間は、前記内側レース(102)の前記それぞれのトラックの前記それぞれのローラケージ(118)と前記それぞれのガイドレール(108)との間に画定される、遊星ギヤボックス。
請求項7に記載のガスタービンエンジンであって、各ローラケージ(118)の各ウェブ(130)は、前記ローラ(104)のうちの1つの直径の15%から20%であるクロスウェブ厚さを有し、
前記ローラケージ(118)と各内側レース(102)との間の前記小さい隙間は、0.005から0.050インチ(両端値を含む)のオーダーであり、各トラックは一対のガイドレール(108)を画定し、前記一対のガイドレール(108)は、前記内側レース(102)の前記外面の周りに周方向に、かつ前記内側レース(102)の前記外面に画定された環状レースウェイ(107、109)から径方向外側に連続して延在し、前記トラックの各々は、前記レースウェイ(107、109)の2つの極縁部を共に画定し、かつ前記レースウェイ(107、109)と前記それぞれのガイドレール(108)との間に径方向に延在する一対の側壁を画定し、各ローラケージ(118)と前記内側レース(102)との間の小さな隙間は、前記ローラケージ(118)と前記内側レース(102)の前記ガイドレール(108)との間に画定される、ガスタービンエンジン。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンは、一般的に互いに流体連通して配置されたファンおよびコアを含み、コアはガスタービンを通る流れの方向においてファンの下流に配置される。ガスタービンエンジンのコアは、一般的に、流れの順に、圧縮機部、燃焼部、タービン部、および排気部を含む。多軸型ガスタービンエンジンでは、圧縮機部は、低圧圧縮機(LP圧縮機)の下流に配置された高圧圧縮機(HP圧縮機)を含むことができ、タービン部は、同様に高圧タービン(HPタービン)の下流に配置される低圧タービン(LPタービン)を含むことができる。このような構成では、HP圧縮機は、高圧シャフト(HPシャフト)を介してHPタービンに結合され、LP圧縮機は、低圧シャフト(LPシャフト)を介してLPタービンに結合される。
【0003】
動作時には、ファンの上の空気の少なくとも一部がコアの入口に提供される。空気のこのような部分は、LP圧縮機により、次いでHP圧縮機により段階的に圧縮され、圧縮された空気は燃焼部に到達する。燃料が圧縮空気と混合され、燃焼部内で燃焼して、燃焼ガスを提供する。燃焼ガスは、燃焼部からHPタービンを通り、次にLPタービンを通って導かれる。タービン部を通る燃焼ガスの流れは、HPタービンおよびLPタービンを駆動し、これらの各々が、HPシャフトおよびLPシャフトを介してHP圧縮機およびLP圧縮機のそれぞれを順番に駆動する。燃焼ガスは、次に排気部を通って、たとえば、大気中に導かれる。
【0004】
LPタービンはLPシャフトを駆動し、LPシャフトはLP圧縮機を駆動する。LP圧縮機を駆動することに加えて、LPシャフトは、遊星ギヤ構成のファンギヤボックスを介してファンを駆動することができ、それによって、効率をよりためにLPシャフトの回転速度よりも少ない単位時間当たりの回転数でファンを回転させることができる。ファンギヤボックスは、リングギヤの中心に配置される太陽ギヤおよび複数の遊星ギヤを回転可能に支持し、複数の遊星ギヤは、太陽ギヤの周りに配置され、太陽ギヤとリングギヤとを係合する。LPシャフトは、太陽ギヤに結合されることによって、遊星ギヤ構成への入力を提供し、ファンは、遊星ギヤのキャリアと一体に回転するように結合される。各遊星ギヤは、太陽ギヤおよびリングギヤと噛み合っており、リングギヤは固定されている。ファンのシャフトは、太陽ギヤボックス内に収容されたそれ自体の軸受上で回転可能であり、太陽ギヤボックスは、ファンギヤボックスとも呼ばれ、キャリアの回転中心領域に固定されている。各遊星ギヤは、遊星ギヤボックス内に収容されたそれ自体の軸受上で回転可能であり、遊星ギヤボックスはキャリアの周辺領域に固定されている。
【0005】
任意の所与のガスタービンエンジン用途では、遊星ギヤは、LPシャフトの回転速度とファンシャフトの回転速度との間の設定された減速比を提供するように設計される。各遊星ギヤを収容する各遊星ギヤボックスは、ガスタービンエンジンの流路内に配置されているので、解決すべき課題は、一方では、エンジンのすべての飛行条件を満たす信頼性が高くて堅牢な遊星ギヤボックスを設計し、他方では、遊星ギヤボックスを収容するために、そうしない場合よりもエンジン全体のサイズが大きくなり重くならないように、流路内に適合するのに十分に小型の遊星ギヤボックスを設計することである。
【0006】
セラミックのローリング要素は、重量が軽く、スチールローラよりも長い寿命を提供することが知られているが、セラミックのローリング要素は、ボールローラ軸受または球状ローラ軸受の形態で使用され、軸方向に対応せず、したがって、いくつかのらせんギヤ構成と互換性がない。
【0007】
したがって、ファンとLPシャフトとの間の遊星ギヤ装置に必要な外囲器を縮小するための1つまたは複数の部品を有するガスタービンエンジンが有用であろう。具体的には、遊星ギヤ装置の遊星ギヤを収容する遊星ギヤボックスに必要な外囲器を縮小するための1つまたは複数の部品を有するガスタービンエンジンが特に有益であろう。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態を示すために、ここで詳細に参照を行うが、それの1つまたは複数の実施例を添付の図面に示す。詳細な説明は、図面の特徴を参照するために、数字および文字の符号を用いる。図面および説明の同様のまたは類似の符号は、本発明の同様のまたは類似の部材を指すために用いている。本明細書において、用語は、「第1の」、「第2の」、および「第3の」という用語は、1つの構成要素と別の構成要素とを区別するために交換可能に用いることができ、個々の構成要素の位置または重要性を示すことを意図しない。「上流」および「下流」という用語は、流体経路における流体の流れについての相対的方向を示す。たとえば、「上流」は流体がそこから流れる方向を示し、「下流」は流体がそこへ流れる方向を示す。本明細書で使用されるように、流体は、空気などの気体または潤滑剤などの液体であってもよい。
【0017】
ここで図面を参照すると、図面全体を通して同一符号は同一要素を示しており、
図1は、本開示の例示的な実施形態によるガスタービンエンジンの概略的な断面図である。より具体的には、
図1の実施形態では、ガスタービンエンジンは、高バイパス・ターボファン・ジェットエンジン10であり、本明細書では「ターボファンエンジン10」と呼ぶ。
図1に示すように、ターボファンエンジン10は、軸方向A(参照のために設けられた長手方向中心線12に平行に延びる)、および軸方向Aに垂直な径方向Rを規定する。一般に、ターボファンエンジン10は、ファン部14、およびファン部14の下流に配置されたコア・タービン・エンジン16を含む。
【0018】
図示する例示的なコア・タービン・エンジン16は、一般的に環状入口20を画定する実質的に管状の外側ケーシング18を含む。
図1に概略的に示すように、外側ケーシング18は、直列の流れの関係で、ブースタもしくは低圧(LP)圧縮機22およびその下流に続く高圧(HP)圧縮機24を含む圧縮機部と、燃焼部26と、高圧(HP)タービン28およびその下流に続く低圧(LP)タービン30を含むタービン部と、ジェット排気ノズル部32と、を収容する。高圧(HP)シャフトすなわちスプール34は、HPタービン28をHP圧縮機24に一体に回転するように駆動的に連結する。低圧(LP)シャフトすなわちスプール36は、LPタービン30をLP圧縮機22に一体に回転するように駆動的に連結する。圧縮機部、燃焼部26、タービン部、およびノズル部32は、共にコア空気流路を画定する。
【0019】
図1に示す実施形態では、ファン部14は、間隔を置いてディスク42に結合された複数のファンブレード40を有する可変ピッチファン38を含む。
図1に示すように、ファンブレード40は、ほぼ径方向Rに沿ってディスク42から外向きに延在する。各ファンブレード40は、ファンブレード40のピッチを同時にまとめて変化させるように構成された適切な作動部材44に動作可能に結合されたファンブレード40により、ピッチ軸Pを中心としてディスク42に対して回転することができる。ファンブレード40、ディスク42、および作動部材44は共に、動力ギヤボックス46を横切るLPシャフト36によって駆動されるファンシャフト45を介して長手方向軸12を中心として回転することができる。動力ギヤボックス46は、LPシャフト36に対するファンシャフト45の、したがってファン38の回転速度をより効率的な回転ファン速度に調整するための複数のギヤを含む。
【0020】
さらに
図1の例示的な実施形態を参照すると、ディスク42は、複数のファンブレード40を通る空気流を促進するために空気力学的に輪郭づけされた回転可能なフロントハブ48で覆われている。さらに、例示的なファン部14は、ファン38および/またはコア・タービン・エンジン16の少なくとも一部を周方向に取り囲む環状ファンケーシングまたは外側ナセル50を含む。ナセル50は、周方向に間隔を置いて配置された複数の出口ガイドベーン52により、コア・タービン・エンジン16に対して支持されるように構成することができることを理解されたい。あるいは、ナセル50はまた、構造的ファンフレームの支柱によって支持されてもよい。さらに、ナセル50の下流部54は、コア・タービン・エンジン16の外側部分を覆うように延在してもよく、それらの間にバイパス空気流路56を画定することができる。
【0021】
ターボファンエンジン10の動作時には、ある量の空気58が、ナセル50および/またはファン部14の関連する入口60を通ってターボファンエンジン10に入る。ある量の空気58がファンブレード40を通過する際に、空気58の第1の部分は、矢印62で示すように、バイパス空気流路56内に導かれまたは送られ、空気58の第2の部分は、矢印64で示すように、コア空気流路の上流部分内に、より具体的には、LP圧縮機22の入口20内に導かれまたは送られる。空気の第1の部分62と空気の第2の部分64との比は、バイパス比として一般的に知られている。次に、空気の第2の部分64が高圧(HP)圧縮機24を通って燃焼部26内に送られる際にその圧力が増加し、高度に圧縮された空気が燃焼部26で燃料と混合され、燃焼して、燃焼ガス66を提供する。
【0022】
燃焼ガス66はHPタービン28に送られ、そこを通って膨張し、そこで燃焼ガス66からの熱および/または運動エネルギーの一部が、外側ケーシング18に結合されたHPタービン・ステータ・ベーン68と、HPシャフトすなわちスプール34に結合されたHPタービン・ロータ・ブレード70と、の連続段を通して抽出され、HPシャフトすなわちスプール34を回転させ、それによってHP圧縮機24の動作を支援する。次に燃焼ガス66はLPタービン30に送られ、そこを通って膨張し、そこで熱および運動エネルギーの第2の一部は、燃焼ガス66から、外側ケーシング18に結合されたLPタービン・ステータ・ベーン72と、LPシャフトすなわちスプール36に結合されたLPタービン・ロータ・ブレード74と、の連続段を通して抽出され、LPシャフトすなわちスプール36を回転させ、それによって動力ギヤボックス46を介してLP圧縮機22の動作およびファン38の回転を支援する。
【0023】
燃焼ガス66は、次に、コア・タービン・エンジン16のジェット排気ノズル部32を通って送られ、推進力を提供する。同時に、空気の第1の部分62がターボファンエンジン10のファンノズル排気部76から排出される前にバイパス空気流路56を通って送られる際に、空気の第1の部分62の圧力が実質的に増加し、また推進力を提供する。HPタービン28、LPタービン30、およびジェット排気ノズル部32は、コア・タービン・エンジン16を通って燃焼ガス66を送るための高温ガス経路78を少なくとも部分的に画定する。
【0024】
しかし、
図1に示す例示的なターボファンエンジン10は、例示するためだけのものであり、他の例示的な実施形態では、ターボファンエンジン10は、他の任意の適切な構成を有してもよいことを理解されたい。たとえば、他の例示的な実施形態では、ファン38は、他の任意の適切な方法(たとえば、固定ピッチファン等)で構成することができ、また任意の他の適切なファンフレーム構成を使ってさらに支持することができる。さらに、他の例示的な実施形態では、他の任意の適切なLP圧縮機22の構成を利用することができることも理解されたい。さらに他の例示的な実施形態では、本開示の態様は、他の任意の適切なガスタービンエンジン内に組み込むことができることも理解されたい。たとえば、他の例示的な実施形態では、本開示の態様は、たとえば、ターボシャフトエンジン、ターボプロップエンジン、ターボコアエンジン、ターボジェットエンジンなどに組み込むことができる。
【0025】
図2は、本開示の一態様により構成された動力ギヤボックス46の部分を示す。各遊星ギヤを回転可能に支持する遊星軸受の特徴を例示するために、
図2は、部分斜視図および部分断面図であって、動力ギヤボックス46の部品として機能することが望ましい動力ギヤボックス構成の例示的な一実施形態の4分の1の部分の遊星軸受部分に集中した図を示す。動力ギヤボックス46は、遊星型であり、
図1に示す長手方向軸12と一致する回転中心軸を有する。
【0026】
たとえば
図2に概略的に示すように、動力ギヤボックス46は、
図1に示す長手方向軸12の周りに回転可能である中央に配置された太陽ギヤ80を含む。太陽ギヤ80を回転可能に支持する軸受については図示を省略しているが、太陽ギヤ80の軸受は本開示の主眼ではないからである。太陽ギヤ80は、ギヤ歯81の二重らせんパターンを有することが望ましい。キャリアは太陽ギヤ80を囲み、太陽ギヤ80はキャリアに対して回転可能である。キャリアは、少なくとも1つの遊星ギヤ84を担持し、望ましくは遊星ギヤ84の環状アレイを担持する。図示する実施例では、4つの遊星ギヤ84があるが、異なる数の遊星ギヤ84を用いることができる。
図5および
図7に示すように、各遊星ギヤ84は、望ましくは、太陽ギヤ80のギヤ歯81と噛み合うように構成されたギヤ歯85の二重らせんパターンを有する。
【0027】
たとえば
図2および
図7に概略的に示すように、動力ギヤボックス46は、望ましくは、太陽ギヤ80および遊星ギヤ84の周りに周方向に配置された固定されたリングギヤ86を有する遊星ギヤ構成である。例示的な一実施形態では、太陽ギヤ80および遊星ギヤ84を囲むリングギヤ86は、図示していない方法で外側ケーシング18に結合されることによって固定されて描かれているが、この特定の構成はいくつかの従来の方法で実現することができ、それらのいずれであっても本開示の例示的な実施形態を例示するために適しているからである。たとえば、
図2に示すように、リングギヤ86は、複数の軸方向孔89が穿設されている中心外周フランジ88を介して外側ケーシング18に固定する(機械的にボルト止めまたは溶接によって)ことができる。遊星ギヤ構成の星形構成を用いる代替的な例示的な実施形態では、キャリアが外側ケーシング18に結合され、この結合の詳細も、本発明の所望される態様を説明するためには必要でない。しかし、両方の実施形態では、たとえば
図7に概略的に示すように、リングギヤ86は各遊星ギヤ84と回転可能に噛み合い、各遊星ギヤ84は太陽ギヤ80と回転可能に噛み合い、したがってリングギヤ86もまた、遊星ギヤ84の歯85と噛み合うように構成されたギヤ歯87の二重らせんパターンを有することが望ましい。
【0028】
太陽ギヤ80、遊星ギヤ84、およびリングギヤ86は、全体でギヤ列を構成する。たとえば
図7では、1つの完全な遊星ギヤ84、他の2つの遊星ギヤ84の一部、ならびに太陽ギヤ80およびリングギヤ86を概略的に表している。小さな曲率半径の破線は、リングギヤ86の歯87の頂点を模式的に表し、大きな曲率半径の破線は、リングギヤ86の歯87の谷を模式的に表す。同様に、大きな曲率半径の破線は、遊星ギヤ84の歯85の頂点を模式的に表し、小さな曲率半径の破線は、遊星ギヤ84の歯85の谷を模式的に表す。
図7では、大きな曲率半径の破線は、太陽ギヤ80の歯81の頂点を模式的に表し、小さな曲率半径の破線は、太陽ギヤ80の歯81の谷を模式的に表す。遊星ギヤ84の各々は、太陽ギヤ80およびリングギヤ86の両方と噛み合っている。
【0029】
太陽ギヤ80、遊星ギヤ84、およびリングギヤ86は、合金鋼から作製することができる。本明細書で望ましく想定される遊星ギヤ構成の一実施形態は、単一入力および単一出力のみを有する遊星構成であって、リングギヤ86が固定されている。動作時には、太陽ギヤ80がLPシャフトである入力により回転されるが、遊星ギヤボックスを担持するキャリアは、
図1に示すファンシャフト45である機械的負荷に結合されている。したがって、動力ギヤボックス46は、太陽ギヤ80の回転速度を、キャリアに結合された負荷、すなわち、ファンシャフト45の回転に適した回転速度に既知の方法で減速することができる。
【0030】
遊星ギヤ84の各々は、軸受によって回転可能に担持され、次に軸受は遊星ギヤボックスによって担持され、次に遊星ギヤボックスはキャリアによって担持される。1つの遊星ギヤ84の軸受の構成および装着については、遊星ギヤ84の各々が、キャリア上の異なる点ではあるが、同じように構成され装着されるということを理解して、説明する。
【0031】
たとえば
図2および
図4に概略的に示すように、キャリアは、前方壁90および前方壁90から軸方向に離間した後方壁92を含み、両者は共に各遊星ギヤボックスのキャリアの一部を形成する。前方壁90および後方壁92の各々は、それを通る各同軸孔91および93をそれぞれ画定する。キャリアは、望ましくは、キャリアの前方壁90および後方壁92の間に軸方向に延在し、両者を接続する複数の側壁94を含む。望ましくは、側壁94の対は、キャリアの前方壁90および後方壁92にそれぞれ画定された同軸孔91、93の反対側に配置される。
【0032】
遊星ギヤ構成の遊星構成を採用する例示的な一実施形態では、キャリアが同一速度で一体に回転するように従来の方法でファンシャフト45に回転不能に結合されるが、この結合の仕方は本発明の理解に重要ではないので、これ以上説明する必要はない。遊星ギヤ構成の星形構成を採用する代替的な一実施形態では、リングギヤ86が同一速度で一体に回転するように従来の方法でファンシャフト45に回転不能に結合されるが、この結合の仕方は本発明の理解に重要ではないので、これ以上説明する必要はない。
【0033】
たとえば
図2〜
図4および
図6に示すように、支持ピン96は、中空で、ほぼ円筒状であり、前端部および後端部を有する。支持ピン96は、遊星ギヤ84の軸受をキャリアに装着するために設けられ、したがってキャリアに固定されるように構成される。たとえば
図2に示すように、支持ピン96の対向する各端部はキャリアに画定された孔91、93の一方に挿入される。たとえば
図2および
図4に示すように、支持ピン96の前端部はネジ付き小径面97を含み、後端部は環状の径方向外向きに延在するフランジ98を含む。リテーナ99(この実施例ではネジ付きロックナット)は、前端部の小径面97と係合して、後方軸方向運動に抗して適切な位置に支持ピン96を固定する。
【0034】
たとえば
図3および
図4に示すように、支持ピン96は、円筒状外面101を画定する。
図2に示すように、支持ピン96の円筒状外面101は、支持ピン96を通り軸方向に延びる中心軸106から径方向に等距離に配置されている。この中心軸106はまた、遊星ギヤ84の回転軸を規定する。
【0035】
支持ピン96は、その内部に形成され、それを貫通して径方向に延在する複数の供給孔を含むことが望ましいが、これらの供給孔の数および配置は、本開示に関する限り従来のものであるので、いずれも本明細書の図面では示していない。動作時には、オイルが支持ピン96の後端部の開口部を通って中空の支持ピン96の内部に供給され、そこからオイルはそのような供給孔を通って内側レース102に流れ、冷却および潤滑の両方を提供する。
【0036】
たとえば
図3に示すように、遊星軸受は、支持ピン96の円筒状外面101に回転不能に連結された円筒状内面112を画定する内側レース102を含む。望ましくは、内側レース102の円筒状内面112は、支持ピン96の円筒状外面101に圧入される。
【0037】
望ましくは、遊星軸受は、内側レースで案内され、したがって内側レース102は、望ましくは、対向して配置された内面112、およびローラレースウェイを画定する少なくとも1つのローラトラックを画定する外面を有する単一の一体部品である。各それぞれのトラックは、一対のガイドレール108により画定され、ガイドレール108は、軸方向に互いに離間して配置され、内側レース102の周りに周方向に延在し、各それぞれのローラケージ118(詳しくは後述する)にそれぞれの案内面を提供する。本明細書で想定されるように、内側レース102は、単一のトラックまたは二重トラック内側レース102もしくは三重トラック内側レース102などの複数のトラックを含むことができる。しかし、本明細書の遊星ギヤボックスの構造および動作の説明は、二重トラック内側レース102の特定の実施例を使用し、したがって、追加のトラックをどのように収容するか、あるいは二重トラックのうちの1つを除去した後に単一トラックがどのように残るかについて説明する。
【0038】
したがって、二重トラックの実施形態では、内側レース102の外面は2対のガイドレール108を組み込み、2対のガイドレール108は、内側レース102の周りに周方向に連続して延在し、互いに軸方向に離間した一対の環状レースウェイ、すなわち前方レースウェイ107および後方レースウェイ109をそれぞれ画定する。たとえば
図6に概略的に示すように、一対のトラックの各々のガイドレール108は、互いに軸方向に離間した径方向に延在する一対の側壁110を画定する。ガイドレール108の各対のそれぞれの側壁110は、二重トラック内側レース102の外面に画定された一対のトラックの一方の一部を形成する一対のレースウェイ107、109の一方の2つの極縁部を画定する。互いに軸方向に離間した二重レースウェイ107、109を有する単一の内側レース102の使用は、ローラ104のセット間の良好な同心度を提供するが、2つの別々の内側レース102も同様に使用することができる。内側レース102の軸方向寸法は、内側レース102が、キャリアの対向する軸方向に離間した壁90、92に対して軸方向に移動することができないような寸法であることが望ましい。
【0039】
たとえば
図4に示すように、一対のトラックの各々は、内側レース102の外面の周りに周方向に延在する。一対のトラックの各々は、他の1対のトラックから軸方向に分離されている。一対のトラックの各々は、他の1対のトラックに対して周方向に平行に配置されている。一対のトラックの各々は、内側レース102の円筒状内面112に対して周方向にかつ同心状に延在するレースウェイ107または109の形態の表面を画定する。
【0040】
内側レース102の一対のトラックの各々は、それぞれの複数の円筒状ローラ104をその内部に受け入れて回転可能に案内するように構成され、複数の円筒状ローラ104は、遊星軸受の内側レース102および外側レースの両方に対して自由に回転する。このように、内側レース102のレースウェイ107、109は、2つのタンデムリングにローラ104を受け入れる。第1の複数の円筒状ローラ104は、内側レース102の一対のトラックの第1の方の前方レースウェイ107上に回転可能に配置される。同様に、第2の複数の円筒状ローラ104は、内側レース102の一対のトラックの第2の方の後方レースウェイ109上に回転可能に配置される。このように、内側レース102のレースウェイ107、109は、それぞれのトラック内に配置された円筒状ローラ104の円筒状外面114の各々の一部に接触する。
【0041】
対向する各端部の通常の丸い角およびクラウン半径を当面考慮しなければ、たとえば
図2、
図5、および
図6に概略的に示すように、プロファイル図では、ローラ104の各々は一様な円筒形状を有する。たとえば
図5に示すように、各円筒状ローラ104は、ローラ104の軸方向に延び、かつ、回転支持された遊星ギヤ84の回転軸106に平行な方向に延びる回転中心軸を有して配置される円筒状外面114を画定する。望ましくは、各円筒状ローラ104の円筒状外面114の少なくとも中央部分は、円筒状ローラ104の軸長の中央部分に沿ったローラの回転中心軸から均一に等距離に配置される。たとえば
図6に概略的に示すように、各ローラ104の対向する各端部は、通常の丸い角と従来通りに相応のクラウン半径を有し、これらの両方は、それらの端部位置でローラ104の円筒状外面114の直径を小さくするように働く特徴を有する。各ローラ104の円筒状外面114の中央部分が、対向する各端部において丸い角およびクラウン半径によって囲まれ、円筒状外面114のこの中央部分が、遊星軸受の動作時に内側レース102のそれぞれのレースウェイ107、109と接触するようになる面である。
【0042】
たとえば
図6に示すように、各円筒状ローラ104の円筒状外面114は、ローラ104の中間点で取られ、ローラ104の中心回転軸に垂直な方向に沿ってローラ104の中心回転軸を通って延びる直径Dによって画定される。たとえば
図6に示すように、各円筒状ローラ104の円筒状外面114は、円筒状ローラ104の回転軸に平行な方向の長さLを画定する。各円筒状ローラの直径Dに対する各円筒状ローラの長さLの比は1より大きい。望ましくは、各円筒状ローラの直径に対する各円筒状ローラの長さの比は1.3より大きい。たとえば、29mmの直径Dを有するローラは、43mmの長さLを有することが望ましい。望ましくは、各円筒状ローラ104は、1.3から1.8まで(両端値を含む)の範囲内に収まる長さ対直径比(L/D)を有する。たとえば、1.25インチの直径Dを有するローラは、1.6875インチの長さLを有することが望ましい。円筒状ローラ104は、公知の組成のセラミック材料、たとえば窒化ケイ素(Si
3Ni
4)を含むことができる。
【0043】
たとえば
図3および
図6に示すように、遊星軸受の外側レースは、遊星ギヤ84の円筒状内面103によって形成される。このように、遊星軸受の外側レース84は、太陽ギヤ80のギヤ歯81およびリングギヤ86のギヤ歯87の両方と噛み合うように構成されたギヤ面85を画定する円筒状外面を画定する。望ましくは、たとえば
図5に示すように、各円筒状外側レース84のギヤ面85は、外側レース84の2つの2重らせんギヤ面の各一方が外側レース84の2つの2重らせんギヤ面の他方と非平行に配置されるバイアスを有する2重らせんギヤ面でパターン化されている。
【0044】
ギヤの噛み合い(太陽ギヤ対遊星ギヤ、および遊星ギヤ対リングギヤ)の各々は、2重らせんギヤ歯形を有するので、太陽ギヤ80と遊星ギヤ84との間では軸Aに平行な方向に相対移動することができない。また、遊星ギヤ84とリングギヤ86との間でも、この方向に移動することができない。二重らせんパターンは、太陽ギヤ80およびリングギヤ86の両方に対して軸方向に遊星ギヤ84を拘束し、遊星ギヤ84はキャリアに対して軸自由度を提供するように装着されている。
【0045】
たとえば
図3に示すように、複数の円筒状ローラ104は、円筒状内面103と、遊星軸受の外側レースとして機能する遊星ギヤ84の内側レース102との間に配置される。たとえば
図4に示すように、遊星軸受の外側レース84の円筒状内面103は、第1の複数の円筒状ローラ104および第2の複数の円筒状ローラ104に回転可能に接触する。
【0046】
たとえば
図3〜
図5に示すように、遊星ギヤボックスは、望ましくは、内側レース102と外側レース84との間に配置され、かつ、両方に対して自由に回転するが、外側レース84の回転速度とは異なる速度で回転する一対のローラケージ118を含む。たとえば
図3および
図5に示す実施形態では、内側レース102が並列な二重トラックを有するので、別々のローラケージ118が二重トラックの各々の上に設けられる。たとえば
図5に示すように、第1のローラケージ118は、第1の周方向列を画定し、第2のローラケージ118は、第1の周方向列から軸方向に分離された第2の周方向列を画定する。各ローラケージ118の周方向列は、内側レース102の一対のトラックのそれぞれのトラックの上方に配置される。各ローラケージ118は、周方向に延在する肩要素119および軸方向に延在するウェブ要素120により構成され、内側レース102のそれぞれのレースウェイ107、109を有する各それぞれのトラックにおいて、そのそれぞれのトラックの周方向に隣接する円筒状ローラ104の各対の各それぞれの円筒状ローラ104の間の周方向のそれぞれの分離を維持する。
【0047】
各ローラケージ118の各周方向列は、ほぼ円筒状の開口部を画定する。ローラケージ118の各ほぼ円筒状の開口部は、軸方向の長軸および周方向の短軸により画定される、たとえば
図5に示すように、ローラケージ118の各ほぼ円筒状の開口部は、軸方向に細長く、対向し離間する一対のウェブ要素120によって、かつ、周方向に細長く、対向し離間する肩要素119によって囲まれている。各ほぼ円筒状の開口部の長軸は、個々のローラ104の長さLに適合するように構成され、各ほぼ円筒状の開口部の短軸は、個々のローラ104の直径Dに適合するように構成される。たとえば
図3および
図5に示すように、各列の開口部は、ローラケージ118の周りで周方向に等間隔に離間し、各列の開口部の数は、ローラケージ118のそれぞれの列の下に配置された1対のトラックのそれぞれの一方に配置された円筒状ローラ104の数に等しい。したがって、たとえば
図5に示すように、各それぞれの円筒状ローラ104は、ローラケージ118により画定されたそれぞれの開口部を通って延在する円筒状外面114を備えて配置される。
【0048】
望ましくは、各ローラケージ118は、周方向に分割されたケージの形態で設けられ、それは軸方向の切り込みに沿って半分に分割されたウェブ120の一方を有することによって達成される。たとえば
図5に概略的に示すように、分割されたウェブ130は、小さな切り込みによってその軸方向中心線に沿って軸方向に半分に分割されており、その小さな切り込みは、分割されたウェブ130を完全に貫通して軸方向に延在する切り込みの結果として分割されたウェブ130に形成される対向する縁部の間にごくわずかな隙間を残している。このように設けられた周方向に分割されたローラケージ118は、ケージ118内のフープ応力を低減するのに役立つ。
【0049】
たとえば
図4に示すように、各ローラケージ118の各それぞれの肩要素119は、肩要素119の2つのそれぞれの対向する面とガイドレール108との間に小さな隙間を有して、内側レース102のそれぞれのガイドレール108の上方に配置される。遊星軸受は、内側レースで案内されるので、ローラケージ118は、ケージ118の肩要素119により画定される円筒形状の内周面と、内側レース102のガイドレール108の円筒形状の外周面との間に小さな隙間を有するよう設計され、この小さな隙間は、望ましくは0.005〜0.050インチ(両端値を含む)のオーダーである。
【0050】
たとえば
図3および
図6の周方向断面、ならびに
図4の軸方向断面に示すように、各ローラケージ118のそれぞれのウェブ要素120は、ローラケージ118の対向する肩要素119の間に軸方向に延在するように配置される。これらのウェブ要素120の各々は、
図6の断面図に示すローラケージ118のウェブ120を画定しているが、図面では過度の複雑さを回避するために、ローラケージ118または円筒状ローラ104のウェブ120などの金属部品の断面図では通常見られるクロスハッチングをしていない。両方のローラケージ118のウェブ120のすべては、同一に構成され、寸法が設定されている。
【0051】
図6に示すように、各ウェブ120の横断面の輪郭は、ウェブ120の側面の輪郭を成す台形の非平行な側脚部を有する台形に似ている。各ウェブ120の各対向する側面は、台形の側脚部上の特定の点において隣接する円筒状ローラ104の円筒状外面114と接触し、ベアリングの中心線106(
図5)から円筒状ローラ104がウェブ120に接触するこの点までの距離の2倍は、ウェブ120の「ローラ接触直径」と呼ばれている。
【0052】
また
図6には、遊星軸受の「ピッチ円」として知られるものを表す破線を示してある。
図6の長い破線の曲線は、円筒状ローラ104の各々の回転中心軸を通って描かれ、ローラ104が
図7に概略的に示されているようにすべてのローラが
図6に示されたとすれば、完全な円を形成する仮想線である。軸受の「ピッチ円」の直径は、軸受の「ピッチ直径」である。本明細書で関心のあるウェブ120の厚さは、
図6に示す図のウェブ120の2つの非平行な側脚部の間にあるピッチ円の部分の長さである。本明細書で関心のあるこのウェブ厚さは、ウェブの2つの非平行な脚部の間にあるピッチ円の角度比を測定し、軸受のピッチ円の円周を乗算することによって算出することができる。
【0053】
ローラケージ118によって画成された開口部の各々は、複数の等間隔に離間したウェブ120によってケージの周りに周方向に等間隔に離間され、各ウェブ120は、軸方向に延在し、周方向にクロスウェブ厚さを画定する。各ウェブ120のそのクロスウェブ厚さは、実際は、上述したように測定されたウェブ120の「ウェブ厚さ」をローラ直径で割った比である。本発明の一態様によれば、それぞれのローラケージ118の各ウェブ120は、円筒状ローラ104のうちの1つの直径の15%〜25%であることが望ましいクロスウェブ厚さを有する。別の実施形態では、それぞれのローラケージ118の各ウェブ120は、円筒状ローラ104のうちの1つの直径の15%〜20%であることが望ましいクロスウェブ厚さを有する。
【0054】
ある意味では、各ウェブ120のクロスウェブ厚さの低減は、ローラケージ118の形状によって実現可能となる。次に、ローラケージ118のこの望ましい形状は、内側レース102の直径に対する外側レース84の直径の比較的高い比によって可能になる。内側レース102の直径(そのレースウェイ107、109を画定する表面で測定される)に対する外側レース84の直径(その内面103で測定される)の比較的高い比は、軸受のピッチ直径と比較してローラ104の大きな直径により得られる。ローラの直径と軸受のピッチ直径とのこの比較的高い比のために、ウェブ120の厚さがピッチ円を超えて著しく増加するのに十分な空間がピッチ円(
図6)の径方向外側のローラ104の間に存在しており、遊星軸受のピッチ円の径方向外側に束縛されたウェブ120のこの周方向の厚肉化によって、ウェブ120のピッチ線におけるローラ104の間の周方向間隔の低減を実現することができる。このように、クロスウェブ厚さが円筒状ローラ104のうちの1つの直径の15%〜25%である例示的な実施形態では、この比は、0.200〜0.600(両端値を含む)のオーダーである。
【0055】
本明細書に記載した遊星軸受装置を有する遊星ギヤボックスは、従来技術に勝るいくつかの利点を有する。簡単に言うと、本明細書に記載した遊星軸受装置は、所与の量の動力を転送するために必要な遊星ギヤボックスの直径を低減させる。ケージの厚さに関する利点は、軸受のピッチ円の外側にケージを有すること、また軸受のピッチ直径に対するローラ径の比が大きいこと(したがって、また内側レース直径に対する外側レース直径の高い比)に由来する。本明細書で関心のあるこのウェブの厚さをより小さくするほど、固定された外側レース直径を有するベアリングの内側に同一サイズのより多くのローラをはめ込むことができ、外側レース直径は、ベアリングの中心および遊星ギヤ84の円筒状内面103上で180度離れた2点を結ぶ直径である。固定された外側レース直径では、軸受にはめ込まれる同一サイズのローラが多いほど、軸受の耐荷重能力が大きくなる。同様に、同じ外側レース直径についてより大きい耐荷重能力を達成できることにより、軸受内のウェブ厚さを低減させる同じ方法によって、同等な軸受の耐荷重能力を有するより小さい軸受を実現することができる。遊星軸受の直径が小さいほど、その小さい直径の遊星ベアリングを用いた遊星ギヤ84の直径が小さくなる。遊星ギヤ84の直径が小さいほど、より多くの空間がエンジンの他の部品のために利用可能になる。さらに、遊星ギヤ84の直径が小さいほど、エンジン10全体のサイズおよび重量が大きく低減される。
【0056】
図示した実施形態では、遊星ローラ軸受は、任意の適切な材料で形成することができる。たとえば、少なくとも特定の例示的な実施形態では、ローラ軸受は、クロム鋼または高炭素クロム鋼などの適切な金属材料で形成することができる。あるいは、他の例示的な実施形態では、遊星ローラ軸受は、適切なセラミック材料で形成された1つまたは複数の部品を含むことができる。
【0057】
セラミックの円筒状ローラ104を使用することにより、遊星ギヤ84は、軸方向の自由度を有することができ、設計を簡素化することができる。セラミックのローラ104は、鋼のローラと比較して少なくとも2倍の寿命を提供すると予想され、ギヤボックス46が信頼性目標を満たすことが可能となる。セラミックのローラ104はまた、付加的な利点として、優れたオイルオフ性能、低いオイル流量要求、低い発熱、および軽量設計をもたらす。商業的には、設計が長寿命を有し、製品の寿命にわたって交換のコストを最小化する。
【0058】
この明細書は、本発明を開示するために実施例を用いており、最良の形態を含んでいる。また、いかなる当業者も本発明を実施することができるように実施例を用いており、任意のデバイスまたはシステムを製作し使用し、任意の組み込まれた方法を実行することを含んでいる。本発明の特許され得る範囲は、請求項によって定義され、当業者が想到する他の実施例を含むことができる。このような他の実施例が請求項の字義通りの文言と異ならない構造要素を含む場合、または、それらが請求項の字義通りの文言と実質的な差異がない等価な構造要素を含む場合には、このような他の実施例は特許請求の範囲内であることを意図している。
【0059】
本発明の特定の実施形態について説明したが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく様々な変更が可能であることは、当業者には明らかであろう。したがって、本発明の好適な実施形態の上記の説明および本発明を実施するための最良の形態は、単に例示のためにのみ提供しており、限定の目的で提供しているものではない。