(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6371353
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】二重圧縮機チラー内の圧力差を制限するためのシステム
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20180730BHJP
F25B 41/04 20060101ALI20180730BHJP
F25B 49/02 20060101ALI20180730BHJP
【FI】
F25B1/00 397C
F25B41/04 H
F25B49/02 540
F25B1/00 397B
【請求項の数】20
【外国語出願】
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-193111(P2016-193111)
(22)【出願日】2016年9月30日
(62)【分割の表示】特願2013-143490(P2013-143490)の分割
【原出願日】2010年6月9日
(65)【公開番号】特開2017-36910(P2017-36910A)
(43)【公開日】2017年2月16日
【審査請求日】2016年10月31日
(31)【優先権主張番号】61/221,130
(32)【優先日】2009年6月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598147400
【氏名又は名称】ジョンソン コントロールズ テクノロジー カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Johnson Controls Technology Company
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100117411
【弁理士】
【氏名又は名称】串田 幸一
(72)【発明者】
【氏名】コーラー,ジェイ・エイ
(72)【発明者】
【氏名】アダムス,マーク・エイ
【審査官】
金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−132400(JP,A)
【文献】
国際公開第1999/005463(WO,A1)
【文献】
特開平07−174422(JP,A)
【文献】
特開2008−121913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25B 41/04
F25B 49/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却システムであって、
冷媒を凝縮させるように構成された凝縮器と、
プロセス流体から熱を抽出するために前記冷媒を蒸発させるように構成された蒸発器であって、蒸発器バッフルによって第1および第2の蒸発器室に分離され、前記蒸発器バッフルは、前記第1の蒸発器室の第1の圧力と前記第2の蒸発器室の第2の圧力との間の圧力差を維持するために、前記第1の蒸発器室と第2の蒸発器室との間をシールする蒸発器と、
前記第1の蒸発器室に結合された第1の圧縮機であって、前記凝縮器に引き渡すための気相冷媒を圧縮するための第1の圧縮機と、
前記第2の蒸発器室に結合された第2の圧縮機であって、前記凝縮器に引き渡すための気相冷媒を圧縮するための第2の圧縮機と、
前記圧力差が圧力差閾値を超えたならば、前記第1の圧力と第2の圧力との間の前記圧力差を小さくするための手段とを備え、
前記第1の圧力と第2の圧力との間の前記圧力差を小さくするための手段は、圧力調整配管を備え、前記圧力調整配管は、前記第1の圧力と第2の圧力との間の前記圧力差が圧力差閾値を超えたことに応答して、前記圧力調整配管を渡る流体連絡を自動的に可能にするように構成される冷却システム。
【請求項2】
前記圧力調整配管は、前記圧力調整配管を渡る流体連絡を可能にするために自動的に開くように構成される弁を備え、前記弁は、前記第1の圧力と第2の圧力との間の前記圧力差が圧力差閾値を超えたことに応答して、自動的に開く、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記圧力調整配管は、前記圧力調整配管によって前記第1の蒸発器室と前記第2の蒸発器室との間の流体連絡を可能にするために自動的に開くように構成される弁を備え、前記弁は、前記第1の圧力と第2の圧力との間の前記圧力差が前記圧力差閾値を超えたことに応答して、自動的に開く、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記凝縮器が凝縮器バッフルによって互いに分離された第1および第2の凝縮器室を含み、前記第1および第2の凝縮器室が、動作中、異なる圧力で動作し、前記第1の蒸発器室が前記第1の圧縮機を介して前記第1の凝縮器室と流体連絡し、また、前記第2の蒸発器室が前記第2の圧縮機を介して前記第2の凝縮器室と流体連絡している、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の凝縮器室と第2の凝縮器室の間の圧力の差を小さくするための手段を備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記凝縮器がツーパス熱交換器であり、前記ツーパス熱交換器が、前記第1の凝縮器室内に第1のプロセス流体経路を含み、かつ、前記第2の凝縮器室内に第2のプロセス流体経路を含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1および第2の凝縮器室の各々がそれぞれの凝縮セクションおよびサブクールセクションに細分され、
前記凝縮セクションおよびサブクールセクションが多重パス熱交換器を画定するように構成され、第2のプロセス流体が前記第1および第2の凝縮器室の前記サブクールセクションを通って平行に流れ、次に結合され、次に前記第1の室の前記凝縮セクションを通って流れ、次に前記第2の室の前記凝縮セクションを通って流れる、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記蒸発器がツーパス熱交換器であり、前記ツーパス熱交換器が前記第1の蒸発器室内に第1のプロセス流体経路を含み、かつ、前記第2の蒸発器室内に第2のプロセス流体経路を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記圧力調整配管は、前記第1の蒸発器室と前記第2の蒸発器室との間で流体連絡する内部圧力安全弁を備え、前記内部圧力安全弁は、前記第1の圧力と第2の圧力との間の前記圧力差が圧力差閾値を超えたことに応答して、自動的に開くように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記圧力調整配管は、前記蒸発器の上流側に共通冷媒コンジットを含み、前記共通冷媒コンジットは、前記凝縮器の第1の室、前記凝縮器の第2の室、前記第1の蒸発器室、および前記第2の蒸発器室と流体連絡する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
冷却システムであって、
第1の凝縮器室と第2の凝縮器室とを分離している凝縮器バッフルを有する凝縮器と、
第1の蒸発器室と第2の蒸発器室とを分離している蒸発器バッフルを有する蒸発器であって、前記第1の蒸発器室が前記第1の凝縮器室と流体連絡し、また、前記第2の蒸発器室が前記第2の凝縮器室と流体連絡している蒸発器と、
前記第1の凝縮器室および前記第1の蒸発器室と流体連絡している第1の圧縮機と、
前記第2の凝縮器室および前記第2の蒸発器室と流体連絡している第2の圧縮機と
を備え、前記第1の凝縮器室、前記第1の蒸発器室および前記第1の圧縮機が第1の冷媒回路を備え、また、前記第2の凝縮器室、前記第2の蒸発器室および前記第2の圧縮機が第2の冷媒回路を備え、前記第1の冷媒回路が第1の圧力および温度で動作するように構成され、また、前記第2の冷媒回路が前記第1の圧力および温度より高い第2の圧力および温度で動作するように構成されて、少なくとも前記第1の圧力と前記第2の圧力との間の圧力差を可能にし、
前記第1の冷媒回路と第2の冷媒回路の間を流体連絡し、かつ、前記圧力差が圧力差閾値を超えたならば、前記第1の圧力と第2の圧力との間の前記圧力差を小さくするように構成された冷媒相互接続をさらに備え、
前記冷媒相互接続は、前記圧力差が前記圧力差閾値を超えたことに応答して、前記冷媒相互接続を渡る流体連絡を自動的に可能にするように構成される冷却システム。
【請求項12】
前記第1の蒸発器室および前記第2の蒸発器室と流体連絡し、かつ、前記圧力差が前記圧力差閾値を超えると開くように構成された内部圧力安全弁を備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記圧力差が前記圧力差閾値を超えると冷媒を吐出するように構成された1つまたは複数の外部圧力安全弁を備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記冷媒相互接続が、前記第1の蒸発器室および前記第2の蒸発器室と流体連絡している圧力調整弁を備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記冷媒相互接続が、前記第1の蒸発器室、前記第2の蒸発器室、前記第1の凝縮器室および前記第2の凝縮器室と流体連絡している共通液体配管を備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記冷媒相互接続が、
前記第1の蒸発器室を前記第1の凝縮器室に接続している第1の液体配管と、
前記第2の蒸発器室を前記第2の凝縮器室に接続している第2の液体配管と、
前記第1の液体配管を前記第2の液体配管に接続している圧力調整配管と
を備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記蒸発器バッフル、前記凝縮器バッフルまたはそれらの組合せが湾曲しているか、あるいは千鳥形パターンを形成している、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記蒸発器バッフル、前記凝縮器バッフルまたはそれらの組合せが、少なくとも1つのバッフルサポートリブ、少なくとも1つのバッフル補強バーまたはそれらの組合せを備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
二重圧縮機チラーを動作させる方法であって、
第1の圧縮機内の冷媒を圧縮するステップであって、前記第1の圧縮機が凝縮器の第1の室と流体連絡しているステップと、
前記凝縮器の前記第1の室内で前記冷媒を凝縮させるステップであって、前記凝縮器の前記第1の室が蒸発器の第1の室と流体連絡しているステップと、
前記蒸発器の前記第1の室内で前記冷媒を蒸発させるステップであって、前記蒸発器の前記第1の室が前記第1の圧縮機と流体連絡しているステップと、
第2の圧縮機内の冷媒を圧縮するステップであって、前記第2の圧縮機が前記凝縮器の第2の室と流体連絡しているステップと、
前記凝縮器の前記第2の室内で前記冷媒を凝縮させるステップであって、前記凝縮器の前記第2の室が前記蒸発器の第2の室と流体連絡しているステップと、
前記蒸発器の前記第2の室内で前記冷媒を蒸発させるステップであって、前記蒸発器の前記第2の室が前記第2の圧縮機と流体連絡しているステップと、
前記蒸発器の前記第1の室内での前記冷媒の第1の圧力と、前記蒸発器の前記第2の室内での前記冷媒の第2の圧力との間の圧力差を維持するステップと、
前記圧力差が圧力差閾値を超えたときに、選択的に、前記蒸発器の前記第1の室と流体連絡する第1の液体配管からの前記冷媒と前記蒸発器の前記第2の室と流体連絡する第2の液体配管からの前記冷媒とを結合するステップと
を含み、
選択的に前記冷媒を結合するステップが、前記第1の液体配管と前記第2の液体配管との間を伸びる圧力調整配管を渡る前記冷媒の流れを自動的に可能にすることを含む方法。
【請求項20】
選択的に前記冷媒を結合するステップが、前記蒸発器の前記第1の室および前記蒸発器の前記第2の室と流体連絡している圧力調整弁を開くステップを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2009年6月29日に出願した、参照により本明細書に組み込まれている、「System for Limiting Pressure Differences in Dual Compressor Chillers」という名称の米国仮出願第61/221130号の優先権および利益を主張するものである。
【0002】
[0002]本発明は、一般に、二重圧縮機チラー内の圧力差を制限するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]特定の冷却システムおよび空気調和システムには、通常、典型的には水であるプロセス流体の温度を低くするためにチラーが利用されている。次に空気処理装置内のこの急冷されたプロセス流体の上を空気を通過させ、かつ、建物全体を介して循環させることができる。典型的なチラー内では、プロセス流体は、蒸発冷媒を介してプロセス流体から熱を吸収する蒸発器によって冷却される。次に冷媒を圧縮機内で圧縮し、かつ、凝縮器へ移送することができる。液体冷却凝縮器内では、冷媒は、通常、第2のプロセス流体によって冷却され、それにより冷媒が液体に凝縮する。次に液体冷媒を移送して蒸発器に戻し、他の冷却サイクルを開始することができる。
【0004】
[0004]冷却システムの効率は、複数のチラーをまとめて連続流構成で結合することによって改善することができる。例えば二重チラー連続流構造の場合、蒸発器プロセス流体が2つのチラーを介して連続的に循環する。この構成によれば、蒸発器プロセス流体を2つの離散増分で冷却することができる。より暖かいプロセス流体が第1のチラー、つまり「リード」チラーの蒸発器に入り、初期量だけ冷却される。次に、より冷たいプロセス流体が第2のチラー、つまり「ラグ」チラーの蒸発器に入り、そこでプロセス流体の温度がさらに低くなる。リード蒸発器に入るプロセス流体はより暖かいため、リード蒸発器は、ラグ蒸発器と比較するとより高い圧力で動作することになる。このより高い蒸発器圧力によって圧縮機圧力水頭が低下し、延いてはより高い効率が得られる。
【0005】
[0005]効率をさらに高くするために、冷却塔からのプロセス流体を2つの凝縮器を介して循環させることができる。この構成の場合、より冷たいプロセス流体が最初にラグチラーの凝縮器に入る。プロセス流体は、リードチラーの凝縮器へ流れる前にこの凝縮器の中で加熱される。この構造はチラーの向流構成として知られており、リードチラーは、より高い蒸発器プロセス流体温度と、より高い凝縮器プロセス流体温度の両方を有しているため、より高い効率が得られる。より高い温度により、リードチラーの蒸発器と凝縮器の両方でより高い圧力が得られ、したがって圧縮機圧力水頭が低下し、高い効率が得られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006]連続流チラーの欠点の1つは、設置しなければならない追加蒸発器、凝縮器およびコンジットのため、連続流チラーが一般的により高価であることである。さらに、複数のチラーが大量の空間を必要とし、設備の中にはそれらに適応することができない設備もある。これらの制約は、場合によっては連続流チラーの使用を阻み、効果が劣る単一チラーシステムの採用を設備に強制している。したがって単一チラーにとっては、連続流構成の効率利点を達成することが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]本発明は、冷媒を凝縮させる凝縮器を含んだ冷却システムに関している。また、冷却システムには、プロセス流体から熱を抽出するために冷媒を蒸発させる蒸発器が含まれている。蒸発器は、蒸発器バッフルによって第1および第2の蒸発器室に分離され、第1の蒸発器室は、動作中、第1の圧力で動作し、また、第2の蒸発器室は、動作中、第2の圧力で動作する。さらに、冷却システムには、第1の蒸発器室に結合された第1の圧縮機であって、凝縮器に引き渡すための気相冷媒を圧縮するための第1の圧縮機、および第2の蒸発器室に結合された第2の圧縮機であって、凝縮器に引き渡すための気相冷媒を圧縮するための第2の圧縮機が含まれている。また、冷却システムには、第1の圧力と第2の圧力の差を制限するための手段が含まれている。
【0008】
[0008]また、本発明は、二重圧縮機チラーを動作させる方法であって、第1の圧縮機内の冷媒を圧縮するステップを含み、第1の圧縮機が凝縮器の第1の室と流体連絡している方法に関している。また、この方法には、凝縮器の第1の室内で冷媒を凝縮させるステップであって、凝縮器の第1の室が蒸発器の第1の室と流体連絡しているステップと、蒸発器の第1の室内で冷媒を蒸発させるステップであって、蒸発器の第1の室が第1の圧縮機と流体連絡しているステップが含まれている。さらに、この方法には、第2の圧縮機内の冷媒を圧縮するステップであって、第2の圧縮機が凝縮器の第2の室と流体連絡しているステップと、凝縮器の第2の室内で冷媒を凝縮させるステップであって、凝縮器の第2の室が蒸発器の第2の室と流体連絡しているステップと、蒸発器の第2の室内で冷媒を蒸発させるステップであって、蒸発器の第2の室が第2の圧縮機と流体連絡しているステップが含まれている。また、この方法には、蒸発器の第1の室からの冷媒と蒸発器の第2の室からの冷媒とを結合するステップが含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】[0009]液体冷却チラーを使用した商用HVACシステムの一例示的実施形態を示す図である。
【
図2】[0010]圧力均圧弁を使用した一例示的液体冷却チラーのブロック図である。
【
図3】[0011]共通液体配管を使用した一例示的液体冷却チラーのブロック図である。
【
図4】[0012]均圧配管を使用した一例示的液体冷却チラーのブロック図である。
【
図5】[0013]
図2ないし4に示されているチラーに使用することができる一例示的蒸発器であって、バッフルがリブおよび補強バーによって支持されている一例示的蒸発器の横断面図である。
【
図6】[0014]湾曲バッフルを使用した、
図2ないし4に示されているチラーに使用することができる一例示的蒸発器の横断面図である。
【
図7】[0015]千鳥形バッフルを使用した、
図2ないし4に示されているチラーに使用することができる一例示的蒸発器の横断面図である。
【
図8】[0016]
図2ないし4に示されているチラーに使用することができる一例示的満液式蒸発器の横断面図である。
【
図9】[0017]
図2ないし4に示されているチラーに使用することができる一例示的流下薄膜型蒸発缶の横断面図である。
【
図10】[0018]
図2ないし4に示されているチラーに使用することができる一例示的向流蒸発器のブロック図である。
【
図11】[0019]
図2ないし4に示されているチラーに使用することができる一例示的凝縮器の正面横断面図である。
【
図12】[0020]
図2ないし4に示されているチラーに使用することができる一例示的凝縮器の背面横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0021]
図1は、建物環境管理のための加熱、換気および空気調和(HVAC)システムの一例示的アプリケーションを示したものである。この実施形態では、建物10は冷却システムによって冷却されている。冷却システムは、チラー12および冷却塔14を含むことができる。図に示されているように、チラー12は地下に配置されており、また、冷却塔14は屋上に配置されている。しかしながら、チラー12は他の設備室に配置することも可能であり、および/または冷却塔14は建物10の隣に配置することも可能である。チラー12は、独立型ユニットであっても、あるいは送風機および/または統合空気処理装置などの他の設備を含んだ単一パッケージユニットの一部であってもよい。チラー12からの冷たいプロセス流体は、コンジット16によって建物10を介して循環させることができる。コンジット16は、建物10の各階およびセクション内に配置された空気処理装置18まで経路化されている。
【0011】
[0022]空気処理装置18は、空気処理装置と空気処理装置の間に空気を分配するように適合された導管組織20に結合されており、外部の吸込み(図示せず)から空気を受け取ることができる。空気処理装置18には、冷却された空気を提供するためにチラー12からの冷たいプロセス流体を循環させる熱交換器が含まれている。空気処理装置18内のファンは、熱交換器を介して空気を引き出し、かつ、調和された空気を部屋、アパートまたは事務所などの建物10内の環境へ導き、これらの環境を選定された温度に維持する。当然、プロセス流体の流れを調整する制御弁、およびプロセス流体、空気、等々の温度および圧力を知覚する圧力変換器および/または温度変換器あるいはスイッチなどの他のデバイスをシステムに含めることも可能である。
【0012】
[0023]
図2は、圧力均圧弁を使用した一例示的チラーのブロック図である。
図2に示されているチラーは、蒸発器22、凝縮器24および圧縮機26を有している。蒸発器22の中には気相状態の冷媒が存在しており、吸込み配管28を介して圧縮機26へ流れる。冷媒は、次に、圧縮機26内で圧縮され、吐出配管30を介して凝縮器24へ移動する。冷媒は、凝縮器24内で、冷却塔によって供給されるプロセス流体によって冷却される。凝縮器24内では、冷媒からプロセス流体へ熱が伝達され、それによりプロセス流体の温度が高くなる。この暖かいプロセス流体は、次に、もう一度冷却塔へ移動して戻り、そこで外気によって冷却される。冷媒が冷たくなると、蒸気から液体に凝縮し、次に液体配管32を介して、サーモスタット膨張弁(TXV)またはオリフィスなどの膨張デバイス34へ流れる。これらの膨張デバイス34は、液体配管32を通って流れる冷媒を制限することによって凝縮器24内の圧力を制御する。液体冷媒は、次に蒸発器22内に流入し、そこで冷媒を蒸発させることによって第2のプロセス流体が冷却される。上で説明したように、典型的には水である急冷されたプロセス流体は、建物内の空気を冷却する空気処理装置へ流れる。
【0013】
[0024]
図2に示されている蒸発器は、蒸発器バッフル36によって2つの室に分割されている。同様に、凝縮器24も、凝縮器バッフル38によって2つの室に分割されている。個々のバッフル36および38は、一方の室からもう一方の室への冷媒の流れを防止することができる室と室の間のシールを形成している。このシールにより、蒸発器22および凝縮器24の個々の室を異なる圧力に維持することができる。
図2に示されているように、これらの室は、2つの独立した冷媒回路のコンポーネントである。第1の回路には、蒸発器室E1および凝縮器室C1が含まれている。第2の回路には、蒸発器室E2および凝縮器室C2が含まれている。さらに、個々の冷媒回路は、独立した吸込み配管28、圧縮機26、吐出配管30、液体配管32および膨張デバイス34を有している。
【0014】
[0025]これらの独立した冷媒回路により、複数の蒸発器および凝縮器の複雑性を増すことなく、事実上、この実施形態の冷却システムを連続流構成で動作させることができる。例えば、室E1およびC1を含んだ第1の冷媒回路は、室E2およびC2を含んだ第2の
冷媒回路より高い温度および圧力で動作させることができる。この構成によれば、連続流の利点は、プロセス流体が第2の室に入る前に一方の室内で急冷することによって得ることができる。
図2に示されているように、空気処理装置からの暖かいプロセス流体は、最初に蒸発器室E1に入ることができる。室E1内の冷媒が蒸発すると、プロセス流体が冷却される。プロセス流体は、次に室E2に入ることができ、そこでその温度がさらに低くなる。この構造によれば、室E1に入るプロセス流体は室E2に入るプロセス流体より暖かいため、蒸発器室E1は蒸発器室E2より高い温度で動作させることができる。室E1の動作温度が高いほど、より高い室圧力を得ることができる。
図2に示されているプロセス流体流動様式は、プロセス流体が蒸発器22を2回通って、個々の室をそれぞれ一度流れるため、ツーパス構成として知られている。
【0015】
[0026]同様に、プロセス流体は、ツーパス構成で凝縮器 24を通って流れることがで
きる。例えば凝縮器室C1は、凝縮器室C2より高い圧力で動作させることができる。
図2に示されているように、冷却塔からの冷たいプロセス流体は、室C1に入る前に室C2に入ることができる。冷たいプロセス流体が室C2を通って流れると、冷媒が凝縮する際に冷媒からプロセス流体に熱が伝達される。この熱伝達によってプロセス流体の温度が高くなる。より暖かいプロセス流体は、次に室C1に入り、室C1内の凝縮冷媒から熱を抽出することができる。室C1に入るプロセス流体の温度は室C2に入るプロセス流体の温度より高いため、室C1内の冷媒温度は、室C2の冷媒温度より高くすることができる。蒸発器室の場合と同様、冷媒の温度が高いほど、室C1内の動作圧力を高くすることができる。
【0016】
[0027]
図2に示されている構成によれば、連続流システムの利点は、単一の蒸発器および単一の凝縮器を使用して達成することができる。室E1およびC1の両方が高い圧力で動作するため、これらの室と室の間の圧力差が小さくなり、したがってこれらの室を結合している圧縮機26の容量が小さくなる。同様に、室E2およびC2を結合している圧縮機26に関しても、これらの両方の室がより低い圧力で動作するため、この圧縮機26の容量を小さくすることができる。個々の圧縮機26を小さい容量で動作させることができるため、冷却システムの効率を、単一の冷媒回路を使用している同様のシステムより高くすることができる。
【0017】
[0028]蒸発器バッフル36および凝縮器バッフル38は、いずれも、蒸発器22および凝縮器24の室と室の間の圧力差を維持しなければならない。言い換えると、室と室の間の圧力差がバッフルの構造的限界を超えると、バッフルが破損することになる。したがって、冷媒回路と冷媒回路の間の圧力差を制限する構成を使用することができる。
【0018】
[0029]
図2は、このような構成の1つを示したものである。この実施形態では、圧力均圧弁40を使用して蒸発器の室と室の間の圧力差を制限することができる。圧力均圧弁40は、蒸発器室E1およびE2と流体連絡することができる。図に示されているように、弁40は室E1およびE2に直接結合されている。代替実施形態では、弁40は、蒸発器22の上流側の吸込み配管28に結合することができる。公称動作の間、この弁は、上で説明した二重冷媒回路の利点を達成するために閉じた状態を維持することができる。しかしながら、この弁は、手動で開くか、あるいは自動システムが高くなった圧力差に応答して開くことも可能である。例えば、冷却システムが公称動作している間、個々の室内のプロセス流体の温度が同様の温度であるため、室E1とE2の間の圧力差を小さくすることができる。しかしながら、システムを保全している間、場合によっては一方の冷媒回路から充填物を除去しなければならないことがある。この手順の間、圧力均圧弁40が閉じた状態を維持していると、充填された室と充填されていない室との間の圧力差が好ましくない大きさになることがある。したがってこのような状況では圧力均圧弁40を開くことができ、それによりバッフルに影響を及ぼすことなくシステムの修理を容易にすることができる。
【0019】
[0030]同様に、
図2に示されている冷却システムは、一方の冷媒回路が生きていない状態にある間、もう一方の冷媒回路を動作させることができるように構成することができる。この構成で動作させることは、より小さい容量でシステムの動作を継続することができるため、一方の圧縮機が無効である状況では場合によっては有利である。さらに、より小さい容量のみが要求される場合、一方の圧縮機の運転を停止して冷却システムの電力消費を低減することも可能である。一方の圧縮機が動作していない場合、場合によっては、蒸発器22および凝縮器24の両方の室と室の間に実質的な圧力差が生成されることになる。この圧力差を補償するために、圧力均圧弁40を開いて一方の回路からもう一方の回路への冷媒の流れを許容することができる。さらに、無効回路の膨張デバイス34を閉じて冷媒の混合をさらに容易にすることも可能である。
【0020】
[0031]圧力均圧弁40が開いていない場合の大きい圧力差を回避するために、内部圧力安全弁42を駆動することができる。内部圧力安全弁42は、冷媒回路と冷媒回路の間の圧力差に応答して自動的に開くように構成することができる。例えば内部圧力安全弁42は、蒸発器室E1およびE2に結合することができる。室E1とE2の間の圧力差が所望のレベルを超えると、自動的に弁42を開いて室と室の間の圧力を均等にすることができる。この弁が開くと、場合によっては連続流動作の効率利点が失われる。しかしながら、所望の限界内であるレベルまで圧力が復帰すると、自動的に弁42を閉じてシステムを正規の動作に復帰させることができる。
【0021】
[0032]さらに、外部圧力安全弁44を使用することも可能である。例えば
図2には2つの圧力安全弁44が示されており、それぞれ蒸発器22の個々の室に取り付けられている。蒸発器22内の圧力が上昇すると、弁44を開いて冷媒を吐出することができる。この吐出によって蒸発器22内の圧力を低くすることができる。この構成によれば、個々の室にそれぞれ外部圧力安全弁44が使用されているため、個々の弁44が必要であるのは、場合によっては、蒸発器22を保護するために必要な流れ全体の半分を処理するためのみにすぎない。また、外部圧力安全弁44を開くために必要な圧力は、内部圧力安全弁42を開くために必要な圧力より高くすることも可能である。この構造によれば、より高い圧力閾値に達した場合にのみ、一方の室内の過剰冷媒圧力を最初にもう一方の室へ流し、次に外部へ吐出することができる。凝縮器24に対しても同様の内部および外部圧力安全システムを単独で使用することができ、あるいは蒸発器22の圧力安全システムと組み合わせて使用することができる。
【0022】
[0033]
図3は、一方の回路からもう一方の回路への冷媒の流れを容易にする他の構成を示したものである。この構成には、共通液体配管32および共通膨張デバイス34が含まれている。これらの共通コンポーネント内で冷媒を混合することができ、したがって冷媒回路と冷媒回路の間の圧力差を制限することができる。この構成によれば、冷媒が凝縮器室C1およびC2から出る際に、共通膨張デバイス34に入る前に共通液体配管32内で冷媒が混合される。混合された冷媒は、次に蒸発器室E1およびE2に入る。
【0023】
[0034]
図3に示されている流動構造の場合、凝縮器室および蒸発器室は、とりわけ冷媒回路と冷媒回路の間の圧力差を維持するように構成することができる。冷媒が高圧凝縮器室C1から低圧凝縮器室C2への共通液体配管32を介した流れを許容されると、場合によっては連続流動作の利点が失われることがある。同様に、高圧蒸発器室E1からの冷媒が低圧蒸発器室E2への流入を許容されると、場合によってはシステムの効率が低下することがある。したがって蒸発器22および凝縮器24は、いずれも、室と室の間の圧力差を維持するためのシステムを使用することができる。
【0024】
[0035]例えば高圧蒸発器室E1には、低圧蒸発器室E2よりもより制限的な液体分配器を使用することができる。蒸発器室の圧力は、本質的には個々の室に入るプロセス流体の温度で決まる。
図3に示されている構成によれば、より暖かいプロセス流体が室E1に入り、また、より冷たいプロセス流体が室E2に入る。したがって室E1内の圧力は、室E2内の圧力より高くすることができる。個々の室内の液体分配器が等しく制限的である場合、共通液体配管32からのより多くの冷媒が低圧室E2に入ることになる。この冷媒の流れは、システム内の冷媒が不平衡になる原因になり、そのために効率が低下することになる。高圧蒸発器室E1内の液体分配器よりもより制限的になるように低圧蒸発器室E2内の液体分配器を構成することにより、圧力差にかかわらず同じ体積の冷媒を個々の室に入れることができる。所与の液体分配器構成に対して、冷媒が両方の蒸発器室に等しく流入することを保証することができるのは1つの冷媒圧力のみである。しかしながら、公称動作圧力に対して等しい流れを提供するように液体分配器が調整されると、この状態から若干変動しても、冷却システムの効率に対する影響は極めて小さくなる。
【0025】
[0036]同様に、凝縮器室も、異なる圧力での動作にかかわらず同様の量の冷媒を共通液体配管32に吐出するように構成することができる。蒸発器22の場合と同様、凝縮器室内の圧力も室に入るプロセス流体の温度で決まる。例えば
図3に示されている構成は、冷却塔からのより冷たいプロセス流体が凝縮器室C2に入ることを示している。プロセス流体は室C2内で加熱され、室C1に入る前により暖かくなる。したがって室C1内の圧力は、室C2内の圧力より高くすることができる。凝縮器室の流れを全く制限することなく、高圧室C1によってより多くの冷媒を吐出することができる。したがって高圧室C1は、低圧室C2よりもより大きい流れ制限を有するように構成することができる。この構造は、個々の凝縮器室内のサブクーラを介した冷媒の流れを変化させることによって達成することができる。サブクーラは凝縮器24の一領域であり、凝縮した後の冷媒の温度がこの領域でさらに低くなる。サブクーラを介した液体冷媒の流れを制限することにより、高圧室C1によって吐出される冷媒の量を少なくすることができる。例えば高圧凝縮器室C1内のサブクーラは、低圧凝縮器室C2と同じ体積の冷媒を吐出するように構成することができる。この方法によれば、共通液体配管32に入る冷媒の体積を凝縮器24の両方の室と同じ体積にすることができる。しかしながら、蒸発器22の場合と同様、この構成も、完全に有効であるのは1つの凝縮器圧力に対してのみである。したがってサブクーラは、公称動作状態で同じ量の冷媒を吐出するように構成することができる。
【0026】
[0037]
図4は同様の実施形態を示したもので、2つの液体配管32および2つの膨張デバイス34が使用されているが、均圧配管46が膨張デバイス34の下流側の2つの液体配管32を接続している。この構成によれば、膨張デバイス34は、凝縮器室から流出する液体冷媒を制御するように調整することができるため、個々の凝縮器室のための異なるサブクーラ制限を不要にすることができる。例えば凝縮器室C1が凝縮器室C2より高い圧力で動作している場合、室C1から出ている液体配管32に結合された膨張デバイス34は、室C2から出ている液体配管32に結合された膨張デバイス34よりもより制限的にすることができる。上で説明した実施形態のサブクーラ制限と同様、この構成も、膨張デバイス34の下流側の液体配管32に入る冷媒の体積を容易に等しくすることができる。さらに、均圧配管46を介した液体配管32と液体配管32の間の冷媒の流れを許容することにより、システム内の圧力を制限することができる。この実施形態の利点の1つは、膨張デバイス34を通る流量を凝縮器室の圧力に基づいて変化させることができることである。したがって公称外動作状態に対して同じ量の冷媒を膨張デバイス34の下流側の液体配管32に入れることができる。
【0027】
[0038]
図2ないし4に示されている実施形態の各々では、蒸発器22および凝縮器24は、いずれも2つの室に分割されている。しかしながら、他の構成は、単一の蒸発器室または単一の凝縮器室、つまり室を分離しているバッフルのない室を使用することも可能で
ある。例えば、凝縮器24を通るプロセス流体の流量が多いことが望ましい場合、
図2ないし4に示されているツーパス構造よりもシングルパス構成の方が場合によっては好ましい。このような構成の場合、単一の凝縮器室を使用することができる。この単一の凝縮器室内で冷媒を混合することができるため、
図2に示されている圧力均圧弁40または
図4に示されている均圧配管46を不要にして、圧力差の制限を容易にすることができる。このような構成の場合、共通液体配管32または個別の液体配管32を使用することができる。しかしながら、上で説明したように、低圧蒸発器室E2内の液体分配器は、室と室の間の圧力差を維持するために、高圧蒸発器室E1内の液体分配器よりもより制限的にすることができる。
【0028】
[0039]同様に、特定の実施形態は単一の蒸発器室を使用することができる。これらの実施形態は、共通液体配管32または二重液体配管32を利用することができるが、場合によっては凝縮器室と凝縮器室の間の圧力差を制限するための圧力均圧弁40または均圧配管46は不要である。凝縮器室と凝縮器室の間の圧力差を維持するために、凝縮器24は、流れの制限が異なるサブクーラを使用することができる。
【0029】
[0040]2つの凝縮器室を備えた実施形態では、個々の凝縮器室に第2の圧力均圧弁(図示せず)を結合することができる。特定の実施形態では、システム全体からの冷媒のドレンを必要とすることなく圧縮機26を修理することができるよう、凝縮器24内に冷媒を隔離することができる。しかしながら、冷媒を凝縮器24内に隔離すると、上で説明した圧力均圧システムが場合によっては無効になることがある。したがって第2の圧力均圧弁を開いて凝縮器バッフル38に対する圧力を解放することができる。
【0030】
[0041]
図5ないし7は、様々なバッフル構成を示す蒸発器22の正面図を示したものである。図には蒸発器バッフル36が示されているが、凝縮器バッフル38のための設計を使用することも可能である。上で説明したように、バッフルは、個々の室を異なる圧力で動作させることができるよう、室と室の間の障壁としての役割を果たしている。したがってバッフルは、動作中、この圧力差に耐えるように構成することができる。
図5には、バッフルを支持することができる一実施形態が示されている。この構成によれば、バッフルサポートリブ48は、その剛性を増すためにバッフル36に結合することができる。例えば室E1内の圧力が室E2内の圧力より高い場合、バッフル36は、場合によっては室E2に向かって変形する傾向を示すことがある。リブ48は、追加構造サポートを提供することによってこの変形の防止を促進することができる。
図5には2つのリブ48しか示されていないが、蒸発器22の縦軸に沿って追加リブをバッフル36に結合することができる。リブの数、リブの間隔およびこれらのリブの取付けポイントは、特定のバッフル設計に基づいて変更することができる。同様に、バッフル補強バー50をバッフル36および蒸発器22の内壁に結合することができる。この補強バー50は、バッフル36をさらに支持し、変形を防止することができる。補強バー50の厚さは、バッフル設計に基づいて変更することができる。さらに、蒸発器22の縦軸に沿って複数の補強バーを使用することも可能である。
【0031】
[0042]
図6は、構造的剛性を増すことができる他のバッフル設計を示したものである。この構成におけるバッフル36は湾曲している。例えば室E1内の圧力が室E2内の圧力より高い場合、バッフル36は室E2の方向に湾曲することができる。当業者には理解されるように、湾曲した表面は平らな表面よりもより高い圧力に耐えることができる。バッフル36を低圧室E2の方向に湾曲させることにより、バッフル36は高圧室E1内のより高い圧力を支持することができる。同様に、
図7に示されているバッフル36は千鳥形パターンで構成されている。当業者には理解されるように、この構成は、平らなバッフルよりもより大きい構造的剛性を提供することができる。バッフルの強度が増しているため、これらの構成は、いずれも、室と室の間のより大きい圧力差を許容することができる。上で説明したように、この圧力差により、効率が高い冷却システムを得ることができる。
【0032】
[0043]
図8および9は、上記実施形態に使用することができる2つの蒸発器構成を示したものである。
図8には満液式蒸発器の正面図が示されている。この構成によれば、プロセス流体を運んでいる多数のコンジット52が蒸発器22内に配置されており、蒸発器22の縦軸に沿って通っている。個々の蒸発器室内の液体冷媒54が蒸発する際にプロセス流体の温度を低くすることができる。したがって個々の蒸発器室から出るプロセス流体の温度は、そのプロセス流体が対応する個々の室に入る際の温度より低くなる。蒸発器22内のコンジット52のサイズおよび数は、蒸発器要求事項に基づいて変更することができる。さらに、室E1内のコンジット52のサイズおよび数は、室E2のコンジット52のサイズおよび数とは異なっていてもよい。
【0033】
[0044]
図9は、流下薄膜型蒸発缶として知られている一代替蒸発器構成の正面図を示したものである。この構成によれば、ノズル56によって液体冷媒がプロセス流体コンジット上に噴霧される。満液式蒸発器と同様、冷媒が蒸発する際にコンジット52内のプロセス流体を冷却することができる。
【0034】
[0045]
図10は、上で説明した、蒸発器22の向流構成の線図である。この構成によれば、冷媒は、液体配管32を介して蒸発器室E1に入り、蒸発器室E1を通って吸込み配管28へ流れる。同様に、冷媒は、液体配管32を介して室E2に流入し、吸込み配管28へ向かって流れる。個々の室内では、プロセス流体は冷媒の方向とは逆方向に流れる。
図10に示されている実施形態では、室E1は、室E2より高い温度および圧力で動作している。暖かいプロセス流体が最初に室E1に入り、冷媒の方向とは逆の方向に流れて第1の量だけ冷却される。プロセス流体は、次にウォータボックス58の方向に向きを変え、室E2に入って第2の量だけ冷却される。より暖かい流体が室E1に入るため、室E1は、より高い温度および圧力で動作する。この構成によれば、プロセス流体の温度を2つのステージで低くすることができ、冷却システムの効率が高くなる。
【0035】
[0046]
図10に示されているプロセス流体流動様式はツーパスフロー構成を示している。本発明の他の実施形態では追加流動様式を実施することができる。例えば蒸発器はフォーパスフロー構成を使用することができる。
図10に示されている構造と同様、プロセス流体は、蒸発器22の第1の末端から室E1に入り、第2の末端まで流れることができる。しかしながら、ウォータボックス58を通って室E2へ流れる代わりに、もう一度プロセス流体が室E1へ導かれ、今度は逆の方向に流れる。そのポイントで、蒸発器22の第1の末端でウォータボックス58を介してプロセス流体を室E2へ導き、室E2を通って第2の末端まで流すことができる。最後に、室E2を介してプロセス流体を逆方向に導き、蒸発器22の第1の末端から排出させることができる。この方法によれば、プロセス流体は、個々の室を2回通って流れ、合計4回通過することになる。ツーパス構成およびフォーパス構成は、冷媒からプロセス流体への熱伝達を蒸発器22内で実施することができる単なる例示的流動様式にすぎない。冷却システムの特定の設計要求事項に基づいて、これらおよび他の構成を使用することができる。
【0036】
[0047]
図11および12は、上記実施形態に使用することができる凝縮器24の一例示的構成を示したものである。
図11には、第1の凝縮領域60、第2の凝縮領域62および2つのサブクール領域64を含んだ凝縮器24の正面図が示されている。
図12には、同じ例示的凝縮器24の背面図が示されている。これらの図に示されている構成によれば、冷却塔からの冷たいプロセス流体は、2つのサブクール領域64を通って凝縮器24に入ることができる。
図12に示されているように、プロセス流体は、これらのサブクール領域64から出て、第2の凝縮領域62に入る。流体のこの移動により、第2の凝縮領域62内では、流体が流れる方向が逆になる。プロセス流体は、次に、
図11に示されているように第2の凝縮領域62から出て、第1の凝縮領域60に入る。上で説明した流体移動と同様、この移動によってプロセス流体の方向がもう一度変化する。最後に、プロセス流体は、
図12に示されているように第1の凝縮領域60を通って凝縮器24から出て冷却塔へ戻る。
【0037】
[0048]プロセス流体は、プロセス流体がサブクーラ64に入る際に最も冷たいため、サブクーラ64は最も低い温度で動作する。サブクーラ64内では、サブクーラ64内の冷媒からプロセス流体に熱が伝達されるため、プロセス流体の温度が高くなる。したがってプロセス流体が第2の凝縮領域62に入ると、サブクーラ64に入る際の温度より暖かくなる。同様に、プロセス流体が第1の凝縮領域60に入ると、第2の凝縮領域62に入る際の温度より暖かくなる。この構成によれば、サブクーラ64の温度が低く、そのために凝縮器24の両方の室で最大冷媒温度リダクションが達成されるため、冷却システムの効率を高くすることができる。さらに、第1の凝縮領域60の温度がより高いため、より冷たい第2の凝縮領域62を含んでいる室C2より高い圧力で室C1を動作させることができる。上で説明したように、この圧力差によって圧縮機圧力水頭が低下し、効率が高くなる。
【0038】
[0049]
図11および12に示されているプロセス流体流動様式はスリーパス構成を示している。他のフロー構成を凝縮器24内で実施することも可能である。例えばフォーパス構成の場合、プロセス流体は、凝縮器24の第1の末端から室C2のサブクール領域に入ることができる。プロセス流体は、次に凝縮器24の第2の末端まで流れ、第2の凝縮領域62に向かって方向を変えることができる。そのポイントで、プロセス流体は、凝縮器24の第1の末端で室C1のサブクール領域に向かって方向を変えることができる。プロセス流体は第2の末端まで流れることができ、そこで第1の凝縮領域60に向かって方向を変える。最後に、プロセス流体は、第1の凝縮領域60を通って凝縮器24の第2の末端から出ることができる。この方法によれば、プロセス流体は個々の室を2回通って流れ、合計4回通過する。他のフォーパス構造を使用することも可能である。
【0039】
[0050]さらに、蒸発器22に関して
図10で説明したツーパス構造と同様のツーパス構造を凝縮器24に対して実施することも可能である。この構成によれば、プロセス流体は、凝縮器24の第1の末端で室C2に入り、第2の末端まで流れて、ウォータボックスを介して室C1に向かって方向を変えることができる。プロセス流体は、次に室C1を通って凝縮器24の第1の末端へ流れて戻り、かつ、凝縮器24から出ることができる。とりわけ上で説明した流動様式は、凝縮器の特定の設計要求事項に基づいて選択することができる。
【0040】
[0051]以上、本発明の特定の特徴および実施形態についてのみ図に示し、かつ、説明したが、当業者には、特許請求の範囲に記載されている主題の新規な教示および利点から実質的に逸脱することなく多くの修正および変更が可能である(例えば様々な構成要素のサイズ、寸法、構造、形状および比率の変形形態、パラメータ(例えば温度、圧力、等々)の値、取付け構造、材料、色、配向、等々の使用)。すべてのプロセスまたは方法ステップの順序すなわちシーケンスは、代替実施形態に応じて変更すなわち配列しなおすことができる。したがって、以下の特許請求の範囲には、本発明の真の精神の範囲内であるものとしてこのようなすべての修正および変更が包含されることが意図されていることを理解されたい。さらに、例示的実施形態についての簡明な説明を提供するための努力の一環として、必ずしも実際の実施態様のすべての特徴が説明されているわけではない(つまり、本発明を実施するために現在企図されている最良モードには無関係の特徴、あるいは特許請求される発明を可能にするためには無関係の特徴については説明されていない)。すべてのこのような実際の実施態様の開発において、すべてのエンジニアリングまたは設計プロジェクトの場合と同様、多くの実施態様特化決定を実施することができることを理解されたい。このような開発努力は、場合によっては複雑で、かつ、時間を要するが、それにもかかわらず、本開示の利益を有する当業者にとっては、過度の実験作業を必要とすることなく設計および製造を着手するためのルーチンになるであろう。
以上説明したように、本発明は以下の形態を有する。
[形態1]
冷却システムであって、
冷媒を凝縮させるように構成された凝縮器と、
プロセス流体から熱を抽出するために前記冷媒を蒸発させるように構成された蒸発器であって、蒸発器バッフルによって第1および第2の蒸発器室に分離され、動作中、前記第1の蒸発器室が第1の圧力で動作し、また、動作中、前記第2の蒸発器室が第2の圧力で動作する蒸発器と、
前記第1の蒸発器室に結合された第1の圧縮機であって、前記凝縮器に引き渡すための気相冷媒を圧縮するための第1の圧縮機と、
前記第2の蒸発器室に結合された第2の圧縮機であって、前記凝縮器に引き渡すための気相冷媒を圧縮するための第2の圧縮機と、
前記第1の圧力と第2の圧力の差を制限するための手段と
を備える冷却システム。
[形態2]
前記凝縮器が凝縮器バッフルによって互いに分離された第1および第2の凝縮器室を含み、前記第1および第2の凝縮器室が、動作中、異なる圧力で動作する、形態1に記載のシステム。
[形態3]
前記第1の蒸発器室が前記第1の圧縮機を介して前記第1の凝縮器室と流体連絡し、また、前記第2の蒸発器室が前記第2の圧縮機を介して前記第2の凝縮器室と流体連絡している、形態2に記載のシステム。
[形態4]
前記第1の凝縮器室と第2の凝縮器室の間の圧力の差を制限するための手段を備える、形態3に記載のシステム。
[形態5]
前記凝縮器がツーパス熱交換器であり、前記ツーパス熱交換器が、前記第1の凝縮器室内に第1のプロセス流体経路を含み、かつ、前記第2の凝縮器室内に第2のプロセス流体経路を含む、形態4に記載のシステム。
[形態6]
前記第1および第2の凝縮器室の各々がそれぞれの凝縮セクションおよびサブクールセクションに細分される、形態4に記載のシステム。
[形態7]
前記凝縮セクションおよびサブクールセクションが多重パス熱交換器を画定するように構成され、第2のプロセス流体が前記第1および第2の凝縮器室の前記サブクールセクションを通って平行に流れ、次に結合され、次に前記第1の室の前記凝縮セクションを通って流れ、次に前記第2の室の前記凝縮セクションを通って流れる、形態6に記載のシステム。
[形態8]
前記第1の圧力が前記第2の圧力より高い、形態1に記載のシステム。
[形態9]
前記蒸発器がツーパス熱交換器であり、前記ツーパス熱交換器が前記第1の蒸発器室内に第1のプロセス流体経路を含み、かつ、前記第2の蒸発器室内に第2のプロセス流体経路を含む、形態1に記載のシステム。
[形態10]
前記第1の圧力と第2の圧力の差を制限するための前記手段が、前記第1の蒸発器室と第2の蒸発器室の間で流体連絡している弁を含む、形態1に記載のシステム。
[形態11]
前記第1の圧力と第2の圧力の差を制限するための前記手段が、前記蒸発器の上流側に共通冷媒コンジットを含む、形態1に記載のシステム。
[形態12]
前記第1の圧力と第2の圧力の差を制限するための前記手段が、前記蒸発器の上流側の冷媒コンジットと冷媒コンジットの間を流体連絡している圧力均圧コンジットを含む、形態1に記載のシステム。
[形態13]
少なくとも前記第1または前記第2の蒸発器室と流体連絡している少なくとも1つの圧力安全弁を備える、形態1に記載のシステム。
[形態14]
冷却システムであって、
冷媒を凝縮させるように構成された凝縮器であって、凝縮器バッフルによって第1および第2の凝縮器室に分離され、動作中、前記第1の凝縮器室が第1の圧力で動作し、また、動作中、前記第2の凝縮器室が第2の圧力で動作する凝縮器と、
プロセス流体から熱を抽出するために前記冷媒を蒸発させるように構成された蒸発器と、
前記蒸発器に結合された第1の圧縮機であって、前記第1の凝縮器室に引き渡すための気相冷媒を圧縮するための第1の圧縮機と、
前記蒸発器に結合された第2の圧縮機であって、前記第2の凝縮器室に引き渡すための気相冷媒を圧縮するための第2の圧縮機と、
前記第1の圧力と第2の圧力の差を制限するための手段と
を備える冷却システム。
[形態15]
冷却システムであって、
第1の凝縮器室と第2の凝縮器室とを分離している凝縮器バッフルを有する凝縮器と、
第1の蒸発器室と第2の蒸発器室とを分離している蒸発器バッフルを有する蒸発器であって、前記第1の蒸発器室が前記第1の凝縮器室と流体連絡し、また、前記第2の蒸発器室が前記第2の凝縮器室と流体連絡している蒸発器と、
前記第1の凝縮器室および前記第1の蒸発器室と流体連絡している第1の圧縮機と、
前記第2の凝縮器室および前記第2の蒸発器室と流体連絡している第2の圧縮機と
を備え、前記第1の凝縮器室、前記第1の蒸発器室および前記第1の圧縮機が第1の冷媒回路を備え、また、前記第2の凝縮器室、前記第2の蒸発器室および前記第2の圧縮機が第2の冷媒回路を備え、前記第1の冷媒回路が第1の圧力および温度で動作するように構成され、また、前記第2の冷媒回路が前記第1の圧力および温度より高い第2の圧力および温度で動作するように構成され、
前記第1の冷媒回路と第2の冷媒回路の間を流体連絡し、かつ、前記第1の圧力と第2の圧力の圧力差を制限するように構成された冷媒相互接続をさらに備える冷却システム。
[形態16]
前記第1の蒸発器室および前記第2の蒸発器室と流体連絡し、かつ、前記第1の蒸発器室と前記第2の蒸発器室の間の圧力差が所定の値を超えると開くように構成された内部圧力安全弁を備える、形態15に記載のシステム。
[形態17]
冷媒圧力が所定の値を超えると冷媒を吐出するように構成された1つまたは複数の外部圧力安全弁を備える、形態15に記載のシステム。
[形態18]
前記冷媒相互接続が、前記第1の蒸発器室および前記第2の蒸発器室と流体連絡している圧力均圧弁を備える、形態15に記載のシステム。
[形態19]
前記冷媒相互接続が、前記第1の蒸発器室、前記第2の蒸発器室、前記第1の凝縮器室および前記第2の凝縮器室と流体連絡している共通液体配管を備える、形態15に記載のシステム。
[形態20]
前記冷媒相互接続が、
前記第1の蒸発器室を前記第1の凝縮器室に接続している第1の液体配管と、
前記第2の蒸発器室を前記第2の凝縮器室に接続している第2の液体配管と、
前記第1の液体配管を前記第2の液体配管に接続している均圧配管と
を備える、形態15に記載のシステム。
[形態21]
前記蒸発器バッフル、前記凝縮器バッフルまたはそれらの組合せが湾曲しているか、あるいは千鳥形パターンを形成している、形態15に記載のシステム。
[形態22]
前記蒸発器バッフル、前記凝縮器バッフルまたはそれらの組合せが、少なくとも1つのバッフルサポートリブ、少なくとも1つのバッフル補強バーまたはそれらの組合せを備える、形態15に記載のシステム。
[形態23]
二重圧縮機チラーを動作させる方法であって、
第1の圧縮機内の冷媒を圧縮するステップであって、前記第1の圧縮機が凝縮器の第1の室と流体連絡しているステップと、
前記凝縮器の前記第1の室内で前記冷媒を凝縮させるステップであって、前記凝縮器の前記第1の室が蒸発器の第1の室と流体連絡しているステップと、
前記蒸発器の前記第1の室内で前記冷媒を蒸発させるステップであって、前記蒸発器の前記第1の室が前記第1の圧縮機と流体連絡しているステップと、
第2の圧縮機内の冷媒を圧縮するステップであって、前記第2の圧縮機が前記凝縮器の第2の室と流体連絡しているステップと、
前記凝縮器の前記第2の室内で前記冷媒を凝縮させるステップであって、前記凝縮器の前記第2の室が前記蒸発器の第2の室と流体連絡しているステップと、
前記蒸発器の前記第2の室内で前記冷媒を蒸発させるステップであって、前記蒸発器の前記第2の室が前記第2の圧縮機と流体連絡しているステップと、
前記蒸発器の前記第1の室からの前記冷媒と前記蒸発器の前記第2の室からの前記冷媒とを結合するステップと
を含む方法。
[形態24]
前記冷媒を結合するステップが、前記蒸発器の前記第1の室および前記蒸発器の前記第2の室と流体連絡している圧力均圧弁を開くステップを含む、形態23に記載の方法。
[形態25]
前記冷媒を結合するステップが共通液体配管内の冷媒を混合するステップを含み、前記共通液体配管が、前記凝縮器の前記第1の室、前記凝縮器の前記第2の室、前記蒸発器の前記第1の室および前記蒸発器の前記第2の室と流体連絡している、形態23に記載の方法。
[形態26]
前記冷媒を結合するステップが均圧配管内の冷媒を混合するステップを含み、前記均圧配管が第1および第2の液体配管と流体連絡し、前記第1の液体配管が、前記凝縮器の前記第1の室および前記蒸発器の前記第1の室と流体連絡し、前記第2の液体配管が前記凝縮器の前記第2の室および前記蒸発器の前記第2の室と流体連絡している、形態23に記載の方法。