(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された汚物処理袋においても、なお、次のような改善すべき課題がある。具体的には、従来の汚物処理袋は、汚物等を収容したとき、水溶性フィルムと水分散性の紙との間に空気層を形成することで、短時間のうちに水分が外側の水溶性フィルムに滲み出すことがないようにしている。しかし、この空気層により、排水処理時に、汚物処理袋が便器内の洗浄水上に浮いてしまう。そのため、汚物処理袋は、便器内の洗浄水に触れる面が少なくなり、水分散性の紙や水溶性フィルムが溶けるまでに時間がかかってしまい、すぐに流せないといった課題があった。
【0006】
そこで、本願発明は、上記課題に鑑みて創作されたものであり、その目的は、排水処理時の時間を短縮することが可能な汚物処理袋を提供することにある。また、汚物処理を容易に行うことが可能な、当該汚物処理袋を用いた汚物処理具および当該汚物処理具を用いた汚物処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明の第1の側面によって提供される汚物処理袋は、表面側パネルと裏面側パネルとが、底部において折り返し状に連続し、かつ、側部において少なくとも一部が接合された、袋状の水溶性フィルムと、表面側パネルと裏面側パネルとが底部において折り返し状に連続し、前記水溶性フィルムの外側に配置された、水分散性の紙と、を備えており、前記水溶性フィルムと前記水分散性の紙とは、両者の底部折り返し部において互いに分離しているとともに、底部以外の部位において接合されており、前記水溶性フィルムは、底部とは反対側に開口したフィルム側上部開口部、および、前記フィルム側上部開口部以外の部位において開口したフィルム側補助開口部を有することを特徴とする。
【0008】
前記汚物処理袋の好ましい実施の形態において、前記水分散性の紙は、側部において少なくとも一部が接合され、外袋を形成しており、前記水溶性フィルムは、前記水分散性の紙の内側に配置された内袋を形成しており、前記水溶性フィルムと前記水分散性の紙とは、側部において接合されている。
【0009】
前記汚物処理袋の好ましい実施の形態において、前記水分散性の紙は、底部とは反対側に開口した紙側上部開口部、および、前記紙側上部開口部以外の部位において開口した紙側補助開口部を有する。
【0010】
前記汚物処理袋の好ましい実施の形態において、前記フィルム側補助開口部および紙側補助開口部はそれぞれ、前記水溶性フィルムおよび前記水分散性の紙において、前記底部側、かつ、前記側部側の端縁部分に配置されている。
【0011】
前記汚物処理袋の好ましい実施の形態において、前記水分散性の紙は、手の力で変形させることができ、かつ、変形後の形状を保持することが可能な材質からなる。
【0012】
本願発明の第2の側面によって提供される汚物処理具は、前記第1の側面によって提供される汚物処理袋と、長手方向に延び、前記長手方向の一方の端縁部に前記汚物処理袋を着脱可能な棒状部材と、を備えることを特徴とする。
【0013】
前記汚物処理具の好ましい実施の形態において、前記棒状部材は、前記汚物処理袋を支持する支持部と、前記支持部が前記長手方向の一方の端縁部に取り付けられ、前記長手方向に伸縮自在なロッド部と、前記ロッド部において、前記長手方向の、前記支持部とは反対側の端縁部に配置される把持部と、を有しており、前記支持部は、一方が前記汚物処理袋の内側を係止し、他方が前記汚物処理袋の外側を係止して、前記汚物処理袋を挟持する一対の挟持部を有する。
【0014】
本願発明の第3の側面によって提供される汚物処理方法は、前記第2の側面によって提供される汚物処理具を用いた汚物処理方法であって、前記水分散性の紙が内側となり、前記水溶性フィルムが外側となるように、前記汚物処理袋を反転する工程と、反転した状態の前記汚物処理袋において、前記フィルム側上部開口部を広げる工程と、前記フィルム側上部開口部を広げた後の前記汚物処理袋を、前記棒状部材に取り付ける工程と、前記汚物処理具を持って、動物の尻下に前記棒状部材に取り付けられた汚物処理袋を差し延べて汚物を収容する工程と、前記汚物処理袋を前記棒状部材から取り外す工程と、前記汚物処理袋を水洗トイレに流す工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本願発明によれば、排水処理時に、フィルム側補助開口部を介して汚物処理袋の内側に水が流入するため、汚物処理袋は外側からだけでなく内側からも溶解することができる。これにより、汚物処理袋の溶解を促進し、排水処理時の時間を短縮することができる。また、汚物処理具および汚物処理方法において、犬や猫などのペットの糞を直接汚物処理袋に収容可能である。これにより、手やスコップなどで汚物を取り、汚物処理袋に入れる必要がないため、容易に汚物処理が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本願発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0018】
図1は、本願発明に係る汚物処理袋10の一実施形態の全体外観図、
図2は、
図1のII−II線に沿う断面図、
図3は、
図1のIII−III線に沿う断面図である。この汚物処理袋10は、水溶性フィルム2からなる内袋20と、水分散性の紙3からなる外袋30とを有する。
【0019】
内袋20は、表面側パネル21と裏面側パネル22とが底部で折り返され、底部折り返し部23によって連続させられている。また、両パネル21,22が両側部の融着部40において融着させられることにより、上部に開口(上部開口部24)を有する袋状となっている。なお、上部開口部24が、本願発明の「フィルム側上部開口部」に相当する。
【0020】
外袋30もまた、表面側パネル31と裏面側パネル32とが底部で折り返され、底部折り返し部33によって連続させられている。また、両パネル31,32が両側部の融着部40において融着させられることにより、上部に開口(上部開口部34)を有する袋状となっている。なお、上部開口部34が、本願発明の「紙側上部開口部」に相当する。
【0021】
内袋20と外袋30とは、それらの各パネル21,22,31,32が両側部において重ね合わされて融着させられることにより、一体化させられている。ただし、内袋20と外袋30とにおいて、互いの底部折り返し部23,33は、実質的に分離させられている。
【0022】
本実施形態においては、
図1および
図2に示すように、内袋20の丈は外袋30の丈よりも長い。したがって、内袋20の上部開口部24は、外袋30の上部開口部34よりも上方に延出させられている。また、内袋20の底部折り返し部23は、外袋30の底部折り返し部33よりも上方に位置し、底部折り返し部23,33は互いに分離している。
【0023】
また、本実施形態においては、汚物処理袋10は、上部開口部24,34以外の箇所に、補助開口部41を有している。補助開口部41は、汚物処理袋10の外側から内側まで開口した部分である。本実施形態においては、水溶性フィルム2および水分散性の紙3の両者に補助開口部41が形成されている。また、本実施形態においては、
図1に示すように、補助開口部41は、内袋20および外袋30の各々において、底部側、かつ、側部側の端縁部分に配置されている。なお、水溶性フィルム2に形成された補助開口部41が、本願発明の「フィルム側補助開口部」に相当し、水分散性の紙3に形成された補助開口部41が、本願発明の「紙側補助開口部」に相当する。補助開口部41は、底部折り返し部23,33と融着部40とを繋ぐ角部が切り取られて形成されている。
【0024】
上記水溶性フィルム2は、たとえば、ポリビニルアルコール、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基などを有する水溶性ポリマーまたはその塩、プルランフィルム、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体などの水溶性物質を基材としたフィルムが好適に用いられる。
【0025】
上記水分散性の紙3は、適度な水への分散性を有することが必要であり、その尺度としては、JIS S4501の「ほぐれやすさ」が、好ましくは100秒以内のものを用いる。このような紙の代表的な例は、トイレットペーパーとして用いる紙がある。また、水分散性の紙3は、手の力で変形させることができ、かつ、変形後の形状を保持することが可能な材質である。なお、水分散性の紙3は、実際には水に溶けず、非常に細かく分散するだけであるが、本説明においては、水の中で分散する(分散した)ことを「溶解」や「溶ける」に含むものとする。
【0026】
次に、上記汚物処理袋10を用いた汚物処理方法について説明する。なお、この汚物処理方法を第1の汚物処理方法と表現する。
【0027】
図4に示すように、まず、当該汚物処理袋10の内側に手を挿入し、汚物処理袋10に覆われた手で汚物Mを掴む。そして、
図5に示すように、水溶性フィルム2が水分散性の紙3の外側になるように、汚物処理袋10を反転させて汚物Mを収容する。これにより、汚物Mを包み込んだ水分散性の紙3がさらに水溶性フィルム2からなる袋内に収容された格好となる。
【0028】
そして、
図6に示すように、汚物Mを収容した状態の汚物処理袋10の口(上部開口部24,34)を結んで封鎖する。このとき、一定量の空気を封じ込めるようにして汚物処理袋10の口を封鎖すれば、汚物Mを包む水分散性の紙3と外側の水溶性フィルム2との間の空気層をより確実に形成することができる。これにより、水分を多く含む汚物Mの長時間保持が可能となり、たとえば、犬の散歩中、途中で水分が滲み出て、汚物処理袋10が溶解して汚物Mが落下するといったことなく、持ち帰ることができる。
【0029】
そして、汚物Mが収容された汚物処理袋10は、
図7に示すように、そのまま水洗トイレ等で排水処理する。このとき、便器内の洗浄水が補助開口部41を介して汚物処理袋10の外側から内側に流入する。なお、汚物処理袋10を排水処理するときに、補助開口部41を下に向けて便器内に入れるとより効果的である。
【0030】
以上の結果、本実施形態に係る汚物処理袋10は、水洗トイレなどへの排水処理時に補助開口部41から便器内の洗浄水が流入するため、汚物処理袋10の外側からだけでなく、内側からも溶解させることができる。これにより、汚物処理袋10の溶解を促進させ、排水処理時の時間を短縮することが可能となる。さらに、水溶性フィルム2および水分散性の紙3の両者が同時に溶解することで、内部の空気の排出も促進され、汚物処理袋10が便器内の洗浄水上に浮いてしまうことを抑制し、もって、排水処理時の時間を短縮することに寄与している。また、排水処理前に汚物処理袋10を軽く押さえることで、汚物処理袋10の内側の空気を補助開口部41から排出させることも可能であり、これにより、汚物処理袋10が便器内の洗浄水で浮いてしまうことを抑制することもできる。
【0031】
なお、本実施形態に係る汚物処理袋10は、上記特許文献1に記載の製造方法によって生成される汚物処理袋から、補助開口部41を設けることによって製造される。たとえば、
図1に示す実施形態の汚物処理袋10の場合、上記特許文献1に記載の製造方法によって生成される汚物処理袋から、底部側かつ側部側の端縁部分を切り取ることで、本実施形態に係る、補助開口部41を有する汚物処理袋10が形成される。なお、熱融着部分を切断するときに、同時に底部側かつ側部側の端縁部分を切り取るようにしてもよい。
【0032】
上記実施形態に係る汚物処理袋10においては、補助開口部41を水溶性フィルム2と水分散性の紙3との両方に設けた場合を例に説明したが、これに限定されず、水溶性フィルム2だけに設けるようにしてもよい。すなわち、汚物処理袋10において、紙側補助開口部がなく、フィルム側補助開口部だけを有するものであってもよい。水溶性フィルム2は、汚物Mを収容した状態では、水分散性の紙3の外側に位置する。従来の汚物処理袋においては、水溶性フィルム2が溶解してから水分散性の紙3が溶解していたため、排水処理に時間がかかっていた。しかし、本変形例に係る汚物処理袋10においては、水溶性フィルム2に設けられた補助開口部41(フィルム側補助開口部)から水溶性フィルム2と水分散性の紙3との間に便器内の洗浄水が流入するため、水溶性フィルム2を溶解させながら、水分散性の紙3も同時に溶解させることができる。したがって、本変形例においても、従来の汚物処理袋に比べて、排水処理時の、時間を短縮することができる。
【0033】
上記実施形態に係る汚物処理袋10においては、補助開口部41を底部側かつ側部側の端縁部分に設けた場合を例に説明したが、補助開口部41の位置はこれに限定されず、上部開口部24,34以外の場所に補助開口部41が形成されていればよい。
図8(a)は、複数の小さな補助開口部41を表面側パネル21,31および裏面側パネル22,32に形成した場合を示している。なお、水溶性フィルム2(表面側パネル21および裏面側パネル22)だけに補助開口部41を形成していてもよい。また、表面側パネル21,31あるいは裏面側パネル22,32のいずれか一方だけに形成していてもよい。
図8(b)は、半円状の補助開口部41を両側の側部の一部分にそれぞれ形成した場合を示している。なお、水溶性フィルム2だけに形成していてもよく、また、片側の側部だけに形成していてもよい。さらに、補助開口部41の形状は、半円状に限らず矩形状や多角形状であってもよい。
【0034】
上記実施形態に係る汚物処理袋10においては、補助開口部41として汚物処理袋10の一部を切り取っている場合を例に説明したが、これに限定されず、汚物処理袋10の少なくとも水溶性フィルム2の外側から内側に通気および水の流入が可能な部分を設けていればよい。
図9(a)は、水溶性フィルム2および水分散性の紙3に切れ目42を入れた場合を示している。当該切れ目42によって、汚物処理袋10の外側から内側に通気および水の流入が可能となるので、当該切れ目42が補助開口部41に相当する。
図9(b)は、汚物処理袋10の両側部に融着させない部分(未融着部43)を設けた場合を示している。当該未融着部43によって、汚物処理袋10の外側から内側に通気および水の流入が可能となるので、当該未融着部43が補助開口部41に相当する。なお、
図9においては、水溶性フィルム2および水分散性の紙3の両方に切れ目42あるいは未融着部43を設けた場合を示しているが、水溶性フィルム2だけに設けていてもよい。また、
図9においては、切れ目42あるいは未融着部43を側部中央付近に配置しているが、この位置に限定されない。
【0035】
上記実施形態に係る汚物処理袋10においては、外側に配置される水分散性の紙3は、底部を除き、両側部の上下方向全長(補助開口部41を除く)にわたって水溶性フィルム2と一体化されて袋状となっている場合を例に説明したが、これに限らず、この水分散性の紙3は、必ずしも袋状となっている必要はない。具体的には、本願発明に係る汚物処理袋10は、水分散性の紙3が水溶性フィルム2からなる袋の外側に位置していて、表面側パネル31と裏面側パネル32とが袋の底部において折り返し状(底部折り返し部33)に連続しており、かつ、適当な部位において水溶性フィルム2の袋に一体化させられておればよい。たとえば、
図1において、水分散性の紙3の両側部における上部側のみを水溶性フィルム2と一体化するだけでもよいし、あるいは、
図1において水分散性の紙3の片側のみを水溶性フィルム2と一体化するだけもよい。ただし、これらの場合においても、水溶性フィルム2は、袋状とし、補助開口部41(フィルム側補助開口部)を設けておく必要がある。また、他の一例として、
図10に示すように、水溶性フィルム2からなる内袋20の外側に、表面側パネル31と裏面側パネル32とが底部折り返し部33において連続するようにして、水分散性の紙3を添着するようにしてもよい。この場合、水分散性の紙3は、たとえば接着剤によって、水溶性フィルム2からなる内袋20の表面に部分的に接合されて一体化されることになる。本変形例においては、
図10に示すように、複数の接合部44によって、水溶性フィルム2と水分散性の紙3とが一体化されている。
【0036】
上記実施形態に係る汚物処理袋10においては、外側の水分散性の紙3が一重構造である場合を例に説明したが、これに限定されず、二重構造(部分的に二重構造とすることも含む)であってもよい。外側の水分散性の紙3を二重構造にすることにより、水分を多く含む汚物Mの保持力を高めることができる。
【0037】
上記実施形態に係る汚物処理袋10においては、補助開口部41をすでに設けている場合を例に説明したが、これに限定されず、たとえば、製造工程において、補助開口部41を形成せず(補助開口部41の部分を切り取らず)、補助開口部41の部分にミシン目のみをいれておくようにしてもよい。この場合、汚物処理袋10を使用する前あるいは水洗トイレなどで排水処理する前に利用者が当該ミシン目に沿って切り取ることで、補助開口部41を形成するようにしてもよい。
【0038】
以上に示した各種変形例においても、上記実施形態と同様に、排水処理時に、補助開口部41(切れ目42や未融着部43を含む)から流入した便器内の洗浄水により、汚物処理袋10の内側からも溶解させることができるため、排水処理時の時間を短縮することができる。
【0039】
上記実施形態に係る汚物処理方法(第1の汚物処理方法)において、汚物処理袋10に手を挿入し、汚物処理袋10に覆われた手で汚物Mを掴む場合を例に説明したが、これに限定されない。以下に、他の汚物処理方法として、本願発明に係る汚物処理具100を用いた汚物処理方法について説明する。なお、この汚物処理方法を第2の汚物処理方法と表現する。
【0040】
まず、本願発明に係る汚物処理具100について、説明する。
図11は、本願発明に係る汚物処理具100の一実施形態の全体外観図を示している。汚物処理具100は、
図11に示すように、上記実施形態に係る汚物処理袋10と棒状部材50とを有する。なお、上記実施形態に係る汚物処理袋10の代わりに、上記各種変形例に係る汚物処理袋10を用いてもよい。本実施形態に係る汚物処理具100において、棒状部材50は、長手方向に長く延びており、長手方向の一方の端縁に汚物処理袋10が取り付けられている。なお、汚物処理具100において、汚物処理袋10は、水溶性フィルム2が水分散性の紙3の外側になるように反転させ、かつ、上部側が外側に折り返された状態で、棒状部材50に取り付けられている。よって、汚物処理袋10は、上部側において、外側から内側にかけて、水分散性の紙3、水溶性フィルム2、水溶性フィルム2、そして、水分散性の紙3の順になっている。
【0041】
棒状部材50は、
図11に示すように、ロッド部51、把持部52、および、支持部53を有する。
【0042】
ロッド部51は、長手方向に延びた棒状の部分である。本実施形態においては、ロッド部51は、細長い円筒状の棒である。ロッド部51は、長手方向の一方の端縁に支持部53が、他方の端縁に把持部52が取り付けられている。本実施形態においては、ロッド部51は、長手方向に伸縮自在である。なお、伸縮させるための構造については、周知の手法を用いればよく、指し棒、ロッドアンテナ、突っ張り棒、折畳み傘、釣り竿などの伸縮構造を応用すればよい。このようにすることで、使用しないときに、ロッド部51を短くすることができるため、散歩中や家での保管の際、コンパクトにすることができる。
【0043】
把持部52は、棒状部材50の持ち手部分である。把持部52は、たとえば、ロッド部51に比べて、滑りにくくしたり、柔らかくしたりすることで、利用者にとって持ちやすくされている。なお、把持部52は、必ずしも必要なものではない。
【0044】
支持部53は、汚物処理袋10を取り付ける部分であり、棒状部材50から汚物処理袋10を着脱可能にしている。支持部53は、汚物処理袋10が棒状部材50に取り付けられているとき、汚物処理袋10を支持している。
図12は、汚物処理具100のうち支持部53の部分を拡大した部分拡大図である。
図12(a)は支持部53の斜視図を示しており、
図12(b)は、支持部53の側面図を示している。なお、
図12(a)において、汚物処理袋10の図示を省略している。
【0045】
本実施形態においては、支持部53は、
図12に示すように、一対の挟持部531、一対のつまみ部532、および、支点部533を有している。支持部53において、一対の挟持部531は、通常時、図示しない弾性部材により、閉じた状態である。このとき、一対のつまみ部532を手でつまむと、つまみ部532をつまんでいる間、支点部533を支点に、一対の挟持部531が開いた状態となる。支持部53は、いわゆる目玉クリップや山型クリップなどと同様のクリップ状の構造である。
【0046】
本実施形態においては、
図12(b)に示すように、一対の挟持部531が汚物処理袋10の上部側の端縁を挟持することで、支持部53は汚物処理袋10を支持している。このとき、一方の挟持部531が汚物処理袋10を内側から係止し、他方の挟持部531が汚物処理袋10を外側から係止している。
【0047】
また、本実施形態においては、支持部53は、ロッド部51から着脱可能に構成されている。たとえば、
図12に示すように、支持部53に雄ねじ部534を設け、また、ロッド部51に支持部53を取り付ける側の端縁に雌ねじ部511を設けることで、支持部53をロッド部51から着脱可能としている。反対に支持部53に雌ねじをロッド部51に雄ねじを設けるようにしてもよい。なお、着脱が可能であれば、その構造は、上記したものに限定されない。また、着脱させず、一体化していてもよい。雄ねじ部534は、支持部53の一方のつまみ部532に繋がっており、本実施形態においては、ジョイント部535を介して繋がっている。ジョイント部535として、たとえば、
図12に示すように、ボールジョイントを用いることで、ロッド部51に対して、支持部53を好みの角度に傾けることができる。なお、ジョイント部535がなく、一方のつまみ部532と雄ねじ部534とが一体化していてもよい。
【0048】
なお、支持部53は、汚物処理袋10を支持可能なものであれば、上記した形状に限定されない。たとえば、他の各種クリップや洗濯バサミのような形状であってもよい。また、粘着テープによって、汚物処理袋10を貼り付けて支持する構造であってもよい。あるいは、フックや円環状の輪っかなどによって、汚物処理袋10を吊り下げて支持する構造であってもよい。ただし、汚物Mを汚物処理袋10に収容したときに、汚物Mの重みによって汚物処理袋10が棒状部材50から外れない程度の保持力を有する必要がある。
【0049】
次に、汚物処理具100を用いた、第2の汚物処理方法について説明する。なお、以下の説明において、第2の汚物処理方法として、犬の糞などの汚物Mを処理する場合を例に説明するが、犬に限らず、猫やその他の動物などでもよい。
【0050】
第2の汚物処理方法は、まず汚物処理袋10を棒状部材50に取り付けて、汚物処理具100を準備することから始まる。具体的には、利用者は、上記汚物処理袋10を、水溶性フィルム2が外側、水分散性の紙3が内側になるように、反転させる。その後、
図11および
図12(b)に示すように、汚物処理袋10の上部側を外側に折り返しておき、そして、手などで、反転させた状態の汚物処理袋10の上部開口部24,34を広げる。本実施形態においては、上部開口部24,34を円形状に広げている。さらに、本実施形態においては、汚物処理袋10をおわん状に変形させている(
図11参照)。このとき、水分散性の紙3は、上記変形させた形状を保持する力を有するため、汚物処理袋10は変形された形状で保持される。本実施形態においては、上記するように、汚物処理袋10の上部側を外側に折り返しており、これにより、変形させた汚物処理袋10の形状、特に、上部開口部24,34を広げた形状を保持する力を高くすることができる。なお、汚物処理袋10の上部側を外側に折り返さなくてもよい。
【0051】
次に、変形させた汚物処理袋10を棒状部材50に取り付ける。具体的には、利用者は、つまみ部532をつまんで、一対の挟持部531を開いた状態にする。そして、汚物処理袋10の上部側の端縁の一部を一対の挟持部531の間に配置させ、つまみ部532をつまむのを止める。これにより、一対の挟持部531が閉じた状態になり、
図11および
図12(b)に示すように、一方の挟持部531が汚物処理袋10の内側を係止し、他方の挟持部531が汚物処理袋10の外側を係止した状態となる。このようにして、支持部53が汚物処理袋10の上部側の端縁の一部を挟持し、棒状部材50に汚物処理袋10が取り付けられる。以上により、
図11に示す汚物処理具100が完成する。
【0052】
次に、把持部52を握って、汚物処理具100を持ち、犬が糞などの汚物Mを排出する前に、
図13に示すように、汚物処理袋10を犬などの尻下に差し延べておく。
図13に示す状態で、犬などが糞をすると、汚物Mが直接汚物処理袋10に収容される。
【0053】
続いて、汚物Mが収容された汚物処理袋10を、棒状部材50から取り外す。具体的には、支持部53のつまみ部532を手などでつまみ、汚物処理袋10を支持部53から外す。以降は、
図6,
図7と同様に、汚物処理袋10の口(上部開口部24,34)を結んで封鎖し、家に持ち帰った後に、水洗トイレなどで排水処理する。なお、汚物Mが収容された汚物処理袋10を、棒状部材50から取り外すことなく、家に持ち帰った後、汚物処理袋10を棒状部材50から取り外し、汚物処理袋10の口を結ぶことなく、そのまま水洗トイレなどで排水処理してもよい。
【0054】
上記第2の汚物処理方法によれば、汚物Mを直接汚物処理袋10に収容することができるため、汚物Mが地面などの地上に落ちることなく回収できる。これにより、地面などを汚すことがなくなる。また、汚物処理袋10を介するとはいえ、汚物Mを手で掴むという抵抗感もなくなる。特に、水分を多く含む汚物Mの場合、地面などの落ちた汚物Mを完全に回収することは困難であるが、汚物処理具100を用いることで、汚物Mの収容回収が容易なものとなる。さらに、汚物処理具100を用いた場合、利用者はかがむことなく、汚物Mの回収が可能となるため、利用者の負担を軽減させることができる。
【0055】
本願発明に係る汚物処理袋、汚物処理具、および、汚物処理方法は、上記した実施形態および変形例に限定されるものではない。本願発明の汚物処理袋および汚物処理具の各部の具体的な構成、および、汚物処理方法の各工程の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。