(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
《構成》
以下、本発明に係る紙葉類処理装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。ここで、
図1乃至
図5は本発明の実施の形態を説明するための図である。また、本実施の形態の紙葉類処理装置100で処理される紙葉類としては、紙幣、商品券、バーコードチケット、小切手、手形等の様々なものを挙げることができるが、代表的なものは紙幣である。
【0019】
本実施の形態の紙葉類処理装置100は、
図2に示すように、筐体10と、紙葉類を一枚ずつ筐体10内に取り込む取込部20と、取込部20で取り込まれた紙葉類をほぼ水平方向の一方向(
図2では左方向)に沿って搬送する第一搬送部30と、第一搬送部30で搬送される紙葉類を識別する識別部60と、を備えている。取込部20は、複数の紙葉類が積層状態で載置される載置部29を有し、当該載置部29に載置された紙葉類を一枚ずつ筐体10内に取り込む。本実施の形態では、紙葉類は短手方向に沿って搬送されるようになっており、載置部29には、短手方向が
図2の左右方向に延び、長手方向が
図2の紙面の法線方向に延びるように、紙葉類が載置される。なお、一例として、筐体10の上端までの高さは約325mmであり、載置部29の上端までの高さは約290mmである。
【0020】
また、一例として、本実施の形態の紙葉類処理装置100は一分間に約1000枚の紙葉類の処理(紙葉類の分類やシリアル番号の読み取り等)を行うことができる。
【0021】
また、紙葉類処理装置100は、第一搬送部30の下方に位置し、識別部60で識別された紙葉類を一方向と逆方向の他方向(
図2では右方向)に沿って搬送する第二搬送部50と、第一搬送部30と第二搬送部50との間に位置し、これら第一搬送部30と第二搬送部50とを連結する中間搬送部40と、第二搬送部50の下方に位置し、第二搬送部50で搬送された紙葉類を集積するとともに前面側で開口(
図1参照)した複数(本実施の形態では2つ)の集積部80,90も備えている。各集積部80,90には、集積部80,90の各々に対応して、第二搬送部50で搬送された紙葉類を集積部80,90内に集積させるための羽根車81,91が設けられている。なお、本実施の形態では、集積部80,90が2つ設けられ、各集積部80,90に対応して2つの羽根車81,91が設けられた態様となっているが、これに限られることはなく、3つ以上の集積部が設けられ、各集積部に対応して3つ以上の羽根車が設けられた態様も採用することができる。
【0022】
また、集積部80,90には、集積部80,90に集積された紙葉類を前面側に押し出すための押出部85,95(
図5参照)が設けられている。この押出部85,95は、予め定まった枚数の紙葉類が集積部80,90に集積された後で、当該集積部80,90に集積された紙葉類を当該集積部80,90の前面側の開口から筐体10の外部に押し出すようになっている。このため、本実施の形態によれば、オペレータは、確実に予め定まった枚数だけ紙葉類を集積部80,90に集積させ、その後で、当該紙葉類を集積部80,90から容易に取り出すことができる。なお、押出部85,95は、載置部29に載置された紙葉類の全てが集積部80,90及び/又は後述するリジェクト部110に振り分けられた後で、集積部80,90に集積された紙葉類を各集積部80,90の前面側の開口から筐体10の外部に押し出すようになってもよい。
【0023】
本実施の形態では、第一搬送部30、中間搬送部40及び第二搬送部50は略U字形状となっている。そして、取込部20によって筐体10の内部に取り込まれた紙葉類は、第一搬送部30、中間搬送部40、第二搬送部50の順に1枚ずつ搬送されることとなる。第一搬送部30、中間搬送部40及び第二搬送部50はそれぞれ、搬送機構が組み合わされたものからなっている。この搬送機構は、一対または3以上の搬送ローラと、各搬送ローラに張架された例えばゴムベルト等の搬送ベルトとから構成されている。なお、この搬送機構は、紙葉類に接する複数の搬送ローラと、各搬送ローラを駆動するゴムベルト等の駆動ベルトとから構成されていてもよい。
【0024】
図2に示すように、取込部20は、紙葉類の筐体10内への繰り出しを行うフィードローラ21と、フィードローラ21に対向するよう設けられ当該フィードローラ21との間にゲート部を形成する逆転ローラ22と、載置部29に収容された紙葉類をフィードローラ21に蹴り出すキッカローラ23と、キッカローラ23により蹴りだされた紙葉類を確実にゲート部に取り込むための補助ローラ24と、摩擦係数がフィードローラ21よりも高くなっており、フィードローラ21と逆転ローラ22との間を通過した紙葉類を確実に第一搬送部30内に取り込むためのピンチローラ25とを有している。
【0025】
上述した識別部60は、第一搬送部30で搬送される紙幣を含む紙葉類の正損、真偽、金種、方向、表裏等を識別するようになっている。識別部60では、紙葉類が斜行していないか、紙葉類が重送していないか、前後の紙葉類が連鎖していないか等の搬送状態も識別される。識別部60による識別結果は後述する制御部150(
図5参照)に送られることとなる。
【0026】
図1及び
図2に示すように、本実施の形態では、前面側から見た場合に2つの集積部80,90が左右方向で並列に配設されている。そして、各集積部80,90は、筐体10内に取り込まれた紙葉類のうち識別部60により所定の条件を満たす紙葉類を後述するように立位状態で積層して収容するようになっている。
【0027】
本実施の形態では、集積部80,90の開口した側を「前面側」と定義付けて説明する。なお、筐体10の側面側にも集積部89,90の開口を設けてもよいが、このような態様であっても、集積部89,90に集積された紙葉類は、主に前面側方向に取り出される。また、本実施の形態における第二搬送部50が特許請求の範囲に記載された「水平搬送部」に対応する。なお、本実施の形態で紙葉類を「水平方向に沿って」搬送するというのは、「水平方向」の成分を含んだ方向に紙葉類を搬送する態様のことを意味し、例えば上下方向でジグザグになった態様で紙葉類を水平方向に搬送する態様も含まれる。
【0028】
図2に示すように、第二搬送部50と集積部80,90との間には、これら第二搬送部50と集積部80,90とを連結する分岐搬送部71,72が設けられている。また、各集積部80,90に対応して、第二搬送部50によって搬送される紙葉類を各分岐搬送部71,72に分岐する例えば爪形状からなる分岐部76,77が設けられている。本実施の形態では、分岐搬送部71,72は、識別部60で識別可能な紙葉類のうち搬送方向長さが最も短い紙葉類よりも短くなっている。一例を示すならば、中国で現段階において一般に流通している紙幣で最も搬送方向長さが短くなる紙幣は1角であるが、その短手方向の長さは52mmとなっている。したがって、識別部60が中国で流通している紙幣を処理することを念頭におかれて設定され、1角を識別することができる場合には、分岐搬送部71,72の長さは52mm未満となっている。別の例を示すならば、ユーロ圏で現段階において一般に流通している紙幣で最も搬送方向長さが短くなる紙幣は5ユーロであるが、その短手方向の長さは62mmとなっている。したがって、識別部60がユーロ圏で流通している紙幣を処理することを念頭におかれて設定され、5ユーロを識別することができる場合には、分岐搬送部71,72の長さは62mm未満となっている。なお、仮に予め定まった大きさで紙葉類処理装置100を製造するならば、一例として、分岐搬送部71,72の長さは50mm未満となっている。
【0029】
本実施の形態において、3つ以上の集積部が設けられ、各集積部に対応して3つ以上の羽根車が設けられた態様も採用した場合には、複数の集積部80,90のうち、いずれかの隣接する2つの集積部80,90の水平方向の間に、2つの集積部80,90の一方に対応する羽根車81と他方に対応する羽根車91が配置されることとなる。そして、複数の集積部80,90のうち、いずれかの隣接する2つの集積部80,90に関して、当該2つの集積部80,90の一方に対応する羽根車81と他方に対応する羽根車91の回転方向は互いに逆方向になる。
【0030】
この点、
図1乃至
図4で示した態様では、2つの集積部80,90しか設けられていないことから、2つの集積部80,90の水平方向の間に各集積部80,90に対応した羽根車81,91が設けられ、前面側から見て左側に位置する羽根車81と前面側から見て右側に位置する羽根車91の回転方向は互いに逆方向になっている。より具体的には、前面側から見て左側に位置する集積部80の右側下方に、前面側から見て反時計回りに回転する羽根車81が設けられ、前面側から見て右側に位置する集積部90の左側下方に、前面側から見て時計回りに回転する羽根車91が設けられている。なお、これらの羽根車81,91は、各分岐搬送部71,72から各集積部80,90内に向かって放出される紙葉類を、隣り合う羽根部分の間のスペースに受け入れ、紙葉類の向きや位置が整えられた状態で当該紙葉類を各集積部80,90に収容させる。
図2に示すように、第二搬送部50の終端には、集積部80,90に集積されない紙葉類を集積するためのリジェクト部110が設けられている。本実施の形態では、このリジェクト部110の少なくとも一部は、紙葉類の搬送方向において最も下流側に位置する集積部90の上方に設けられている。
図2に示す態様では、前面側から見たときに、下流側に位置する集積部90の真上にリジェクト部110の左側の一部が位置し、リジェクト部110の右側の残部が下流側に位置する集積部90の右上に位置しているが、リジェクト部110全体が集積部90の真上に位置するようにしてもよい。
【0031】
第二搬送部50の終端には、紙葉類を筐体10内からリジェクト部110へ繰り出す放出ローラ111と、この放出ローラ111に対向するよう設けられた対向ローラ112と、放出ローラ111と同軸に設けられた回転式の札叩きゴム113とを有する放出部114が設けられている。そして、第二搬送部50の終端に送られた紙葉類は、放出ローラ111と対向ローラ112の間からリジェクト部110に放出されるようになっている。そして、このように放出させられた紙葉類は、札叩きゴム113でその後端縁が叩かれてリジェクト部110内に集積されるようになっている。
また、リジェクト部110の端部(
図2の右側端部)には、放出ローラ111と対向ローラ112の間から放出された紙葉類がリジェクト部110からはみ出して外部へ放出されるのが防止するためのストッパ115が設けられている。このストッパ115は時計回りに手動で回転させることができるようになっており、オペレータが手動でこのストッパ115を時計回りに回転させることにより、リジェクト部110に収容された紙葉類を自在に取り出すことができるようになっている。
【0032】
また、
図2に示すように、リジェクト部110の上方に取込部20の少なくとも一部が位置している。
図2に示す態様では、前面側から見たときに、リジェクト部110の真上に取込部20の右側の一部が位置し、取込部20の左側の残部がリジェクト部110の左上に位置しているが、取込部20全体がリジェクト部110の真上に位置するようにしてもよい。なお、本実施の形態では、前面側から見たときに、最も下流側に位置する集積部90の真上の領域内に取込部20が位置する態様となっている。
【0033】
また、本実施の形態の第二搬送部50は、紙葉類の搬送方向における下流側において、リジェクト部110に向かって上方に傾斜する傾斜部51を有している。
【0034】
本実施の形態では、集積部80,90は、水平方向に対して45度以上の角度で傾斜した状態で紙葉類を集積するようになっている。本実施の形態において、3つ以上の集積部が設けられ、各集積部に対応して3つ以上の羽根車が設けられた態様も採用した場合には、いずれかの隣接する2つの集積部80,90の一方が、水平方向の一方向に対して45度以上の角度で傾斜した状態で紙葉類を集積し、当該隣接する2つの集積部80,90の他方が、水平方向の一方向の逆方向に対して45度以上の角度で傾斜した状態で紙葉類を集積するようになっている。
【0035】
この点、
図1乃至
図4で示した態様では、2つの集積部80,90しか設けられておらず、前方側から見て左側の集積部80が、水平方向の一方向(
図2の左方向。第二搬送部50における紙葉類の搬送方向と逆方向。)に対して45度以上の角度で傾斜した状態で紙葉類を集積し、前方側から見て右側の集積部90は、水平方向の一方向の逆方向(
図2の右方向。第二搬送部50における紙葉類の搬送方向と同じ方向。)に対して45度以上の角度で傾斜した状態で紙葉類を集積するようになっている。なお、集積部80,90は水平方向に対して45度以上の角度で傾斜した状態で紙葉類を集積するようになっていることが好ましいが、集積部80,90は水平方向に対して60度〜70度の角度で傾斜した状態で紙葉類を集積し、紙葉類を立位状態で集積するようになっていることがより好ましい。
【0036】
また、本実施の形態において、3つ以上の集積部が設けられ、各集積部に対応して3つ以上の羽根車が設けられた態様も採用した場合には、いずれかの隣接する2つの集積部80,90の一方の集積部80に、第二搬送部50による紙葉類の搬送方向と逆方向の成分を含む方向で紙葉類が順次繰り出され、当該隣接する2つの集積部80,90の他方には、第二搬送部50による紙葉類の搬送方向の成分を含む方向で紙葉類が順次繰り出される。
【0037】
この点、
図1乃至
図4で示した態様では、2つの集積部80,90しか設けられておらず、前方側から見て左側の集積部80には、第二搬送部50による紙葉類の搬送方向と逆方向(
図2の略左側の方向)の成分を含む方向で紙葉類が順次繰り出され、前方側から見て右側の集積部90には、第二搬送部50による紙葉類の搬送方向(
図2の略右側の方向)の成分を含む方向で紙葉類が順次繰り出されるようになっている。
【0038】
また、本実施の形態において、3つ以上の集積部が設けられ、各集積部に対応して3つ以上の羽根車が設けられた態様も採用した場合には、いずれかの隣接する2つの集積部80,90の一方に対応する羽根車81の上部は、第二搬送部50による紙葉類の搬送方向と逆方向の成分を含む方向で回転され、当該隣接する2つの集積部80,90の他方に対応する羽根車91の上部は、水平搬送部による紙葉類の搬送方向の成分を含む方向で回転される。
【0039】
この点、
図1乃至
図4で示した態様では、2つの集積部80,90しか設けられておらず、上述したように、前面側から見て左側に位置する羽根車81は反時計回りに回転し、前面側から見て右側に位置する羽根車91は時計回りに回転することから、羽根車81の上部が第二搬送部50による紙葉類の搬送方向と逆方向の成分を含む方向で回転され、羽根車91の上部が第二搬送部50による紙葉類の搬送方向の成分を含む方向で回転されることとなる。
【0040】
図2に示すように、取込部20には、載置部29に紙葉類が載置されているか否かを検知するセンサ121が設けられている。また、第一搬送部30の入口部分にはセンサ122が設けられており、このセンサ122は、紙葉類が筐体10内に確実に取り込まれたことを検知するようになっている。
【0041】
センサ124は中間搬送部40に設けられ、センサ125は上流側の分岐部76の下流側に設けられ、センサ126は下流側の分岐部77の下流側に設けられている。より具体的には、センサ124は中間搬送部40に設けられており、第二搬送部50において搬送される全ての紙葉類を検知するようになっている。センサ125は上流側の分岐部76の下流側に設けられており、第二搬送部50において搬送される紙葉類のうち分岐部76により分岐搬送部71に分岐されなかった紙葉類のみを検知するようになっている。また、センサ126は下流側の分岐部77の下流側に設けられており、第二搬送部50において搬送される紙葉類のうち二つの分岐部76,77によって分岐搬送部71,72に分岐されなかった紙葉類を検知するようになっている。
各集積部80,90にはそれぞれセンサ89,99が設けられている。そして、これらのセンサ89,99は、各集積部80,90に紙葉類が収容されているか否かを検知するようになっている。また、リジェクト部110にもセンサ119が設けられており、このセンサ119は、リジェクト部110に紙葉類が収容されているか否かを検知するようになっている。
取込部20、第一搬送部30及び識別部60の少なくとも一部は上方側に位置する第一ユニット160内に設けられている(
図4参照)。他方、第二搬送部50及び集積部80,90の少なくとも一部は、第一ユニット160の下方に設けられた第二ユニット170内に設けられている。なお、本実施の形態では、以下、
図4に示すように、取込部20、第一搬送部30及び識別部60の全てが上方側に位置する第一ユニット160内に設けられ、集積部80,90の全てが第一ユニット160の下方に設けられた第二ユニット170内に設けられ、第二搬送部50の一部が第一ユニット160内に設けられ、第二搬送部50の残部が第二ユニット170内に設けられている態様を用いて説明するが、これに限られることはない。
【0042】
上述した第一ユニット160は、前後方向(
図4の紙面の法線方向)に延びる第一水平軸165を中心として、第二ユニット170に対して回動するようになっている。第二搬送部50の少なくとも一部は、第一ユニット160の底面と、(第一ユニット160が第二ユニット170に対して閉状態にあるときに)この第一ユニット160の底面に対向する第二ユニット170の上面とにより形成される。そして、第一ユニット160を第二ユニット170に対して回動させて開状態にすることで、第二搬送部50の少なくとも一部(
図4に示した態様では第二搬送部50の全部)が露出する状態となり、外部からアクセス可能となる。つまり、
図4に示すように、第一ユニット160を第二ユニット170に対して回動させて開状態にすることで、第一ユニット160に設けられた第二搬送部50の一部と第二ユニット170に設けられた第二搬送部50の一部の両方にオペレータがアクセス可能となる。
【0043】
また、
図3に示すように、第一ユニット160は、第三ユニット180と、第三ユニット180の上方に位置し、前後方向に延びる第二水平軸195を中心として第三ユニット180に対して回動する第四ユニット190とを有している。第一搬送部30の少なくとも一部は、第四ユニット190の底面と、(第四ユニット190が第三ユニット180に対して閉状態にあるときに)この第四ユニット190の底面に対向する第三ユニット180の上面とにより形成される。そして、第四ユニット190を第三ユニット180に対して回動させて開状態にすることで、第一搬送部30の少なくとも一部が露出する状態となり、外部からアクセス可能となる。つまり、
図3に示すように、第四ユニット190を第三ユニット180に対して回動させて開状態にすることで、第四ユニット190に設けられた第一搬送部30の一部と第三ユニット180に設けられた第一搬送部30の一部の両方にオペレータがアクセス可能となる。
【0044】
なお、識別部60に関しては、第四ユニット190を第三ユニット180に対して回動させて開状態にすることで、識別部60の上方部分61が第四ユニット190とともに回動し、識別部60の下方部分62は第三ユニット180内に留まることとなる。このため、本実施の形態では、識別部60内にもアクセスできるようになっている。
【0045】
また、本実施の形態では、上述したように第一ユニット160を第二ユニット170に対して回動させて開状態にすることで(
図4参照)、中間搬送部40の少なくとも一部(
図4に示した態様では中間搬送部40の全部)にアクセス可能となっている。つまり、
図4に示すように、中間搬送部40の少なくとも一部は、第二ユニット170の側面と、(第一ユニット160が第二ユニット170に対して閉状態にあるときに)この第二ユニット170の側面に対向する第一ユニット160の側面とにより形成される。これにより、第一ユニット160を第二ユニット170に対して回動させて開状態にすることで、中間搬送部40の少なくとも一部が露出し、第一ユニット160に設けられた中間搬送部40の一部と第二ユニット170に設けられた中間搬送部40の一部の両方にオペレータがアクセス可能となる。
【0046】
なお、このような態様に限られることはなく、例えば、第四ユニット190を第三ユニット180に対して回動させて開状態にすることで、中間搬送部40と第一搬送部30にアクセス可能となっている態様を採用してもよい(
図6(b)参照)。なお、この態様では、第一ユニット160を第二ユニット170に対して回動させて開状態にすることで第二搬送部50にアクセス可能となる(
図6(c)参照)。また、第一ユニット160を第二ユニット170に対して回動させて開状態にすることで中間搬送部40の一部と第二搬送部50にアクセス可能となり(
図7(c)参照)、かつ、第四ユニット190を第三ユニット180に対して回動させて開状態にすることで中間搬送部40の残部と第一搬送部30にアクセス可能となる態様(
図7(b)参照)を採用してもよい。
【0047】
第一ユニット160を第二ユニット170に対して回動するために用いられる第一水平軸165と、第四ユニット190を第三ユニット180に対して回動するために用いられる第二水平軸195とは同じ水平軸となってもよいし、第一水平軸165と第二水平軸195とは近接して配置されてもよい。本実施の形態では、第一水平軸165と第二水平軸195とが近接した位置に配置されている態様を用いている。より具体的には、前方側から見たときに、第一水平軸165は左上端部領域に位置し、第二水平軸195は第一水平軸165よりも内側に入った領域(
図2の右下側の領域)に位置している。
【0048】
なお、本実施の形態において、第一ユニット160を第二ユニット170に対して回動させて開状態にし(
図4参照)、かつ、第四ユニット190を第三ユニット180に対して回動させて開状態にした(
図3参照)ときに、第一搬送部30、第二搬送部50及び中間搬送部40のうちアクセスすることができない箇所の長さの最大値は、識別部60で識別可能な紙葉類のうち搬送方向長さが最も短い紙葉類よりも短くなっている。上述した例を用いると、識別部60が中国で流通している紙幣を処理することを念頭におかれて設定され、1角を識別することができる場合には、第一ユニット160を第二ユニット170に対して回動させて開状態にし、かつ、第四ユニット190を第三ユニット180に対して回動させて開状態にしたときに、第一搬送部30、第二搬送部50及び中間搬送部40のうちアクセスすることができない箇所の長さの最大値は52mm未満となっている。また、識別部60がユーロ圏で流通している紙幣を処理することを念頭におかれて設定され、5ユーロを識別することができる場合には、第一ユニット160を第二ユニット170に対して回動させて開状態にし、かつ、第四ユニット190を第三ユニット180に対して回動させて開状態にしたときに、第一搬送部30、第二搬送部50及び中間搬送部40のうちアクセスすることができない箇所の長さの最大値は62mm未満となっている。なお、仮に予め定まった大きさで紙葉類処理装置100を製造するならば、一例として、第一搬送部30、第二搬送部50及び中間搬送部40のうちアクセスすることができない箇所の長さは50mm未満となっている。
【0049】
図1に示すように、本実施の形態の紙葉類処理装置100は、筐体10の正面側に、オペレータからの入力を受け付けるとともに、様々な情報を表示し、例えばタッチパネル等からなる操作表示部5も有している。この操作表示部5は、紙葉類が詰まった場合には紙葉類の詰まった位置を示す位置情報を表示してもよいし、詰まった紙葉類を除去するためにどのユニットを開ければよいのか、より具体的には第一ユニット160を第二ユニット170に対して開ければよいのか、及び/又は、第四ユニット190を第三ユニット180に対して開ければよいかという除去方法を示す解除情報を表示してもよい。なお、本実施の形態では、操作表示部5が、オペレータからの入力を受け付ける操作部としての役割と、様々な情報を表示する表示部としての役割の両方を兼ねているが、このような態様に限られることはなく、操作部と表示部とが別々に設けられていてもよい。但し、本実施の形態ではこのように操作表示部5が操作部と表示部の両方の役割を兼ねることで、操作部と表示部の両方を設ける必要がなくなり、紙葉類処理装置100の大きさをより小さくできるようになっている。なお一例として、操作表示部5は7インチ程度の大きさからなる表示画面5aを有している。
【0050】
図5に示すように、紙葉類処理装置100は、紙葉類処理装置100を制御する制御部150も備えている。この制御部150には、
図5に示すように、取込部20、第一搬送部30、中間搬送部40、第二搬送部50、識別部60、放出部114、分岐部76,77、リジェクト部110、羽根車81,91、各種センサ121−126,89,99,119、操作表示部5及び押出部85,95が接続されている。そして、制御部150は、これら取込部20、第一搬送部30、中間搬送部40、第二搬送部50、識別部60、放出部114、分岐部76,77、リジェクト部110、羽根車81,91、各種センサ121−126,89,99,119、操作表示部5及び押出部85,95から情報を取得したり指令を与えたりするようになっている。
【0051】
《方法》
[搬送態様]
本実施の形態の紙葉類処理装置100において、紙葉類を搬送する態様について説明する。
【0052】
まず、オペレータが、複数の紙葉類を長手方向が前後方向(
図2の紙面の法線方向)に向くようにして積層状態で取込部20の載置部29に載置する。載置部29に載置された紙葉類は取込部20のキッカローラ23、補助ローラ24、フィードローラ21、逆転ローラ22及びピンチローラ25によって1枚ずつ筐体10の内部に取り込まれる。筐体10の内部に取り込まれた紙葉類は搬送部30,40,50により搬送される。具体的には、筐体10の内部に取り込まれた紙葉類は、第一搬送部30、中間搬送部40、第二搬送部50の順に搬送される。
紙葉類が第一搬送部30により搬送される際に、各紙葉類は識別部60により正損、真偽、金種、方向、表裏、搬送状態等が検知される。ここで、識別部60において識別を行うことができなかった紙葉類(識別不能券や、斜行、重送、連鎖等の搬送異常券)や、識別が行われたが正常でない紙葉類(偽券やサスペクト券)や、予め設定された所定の条件を満たさない紙葉類は、リジェクト部110に送るべき対象とされる。一方、識別部60において、予め設定された所定の条件を満たすと判定された紙葉類は集積部80,90に集積すべき対象とされる。
【0053】
第一搬送部30によって搬送された紙葉類は、第一搬送部30から中間搬送部40を経て第二搬送部50に送られる。そして、第二搬送部50により搬送される紙葉類のうち、前方側から見て左側の集積部80に集積される紙葉類は上流側の分岐部76で分岐搬送部71に分岐され、前方側から見て右側の集積部90に集積される紙葉類は下流側の分岐部77で分岐搬送部72に分岐される。
【0054】
前方側から見て左側の分岐搬送部71によって搬送された紙葉類は、反時計回りに回転する羽根車91の隣り合う羽根部分の間のスペースに受け入れられて、第二搬送部50による紙葉類の搬送方向と逆方向(
図2の略左側の方向)の成分を含む方向で順次、前方側から見て左側の集積部80に集積される。この際、紙葉類は、前方側から見て左側の集積部80に、水平方向の左方向(一方向)に対して45度以上の角度、好ましくは60度〜70度の角度で傾斜した状態(すなわち立位状態)で集積される。
【0055】
前方側から見て右側の分岐搬送部72によって搬送された紙葉類は、時計回りに回転する羽根車91の隣り合う羽根部分の間のスペースに受け入れられて、第二搬送部50による紙葉類の搬送方向(
図2の略右側の方向)の成分を含む方向で順次、前方側から見て右側の集積部90に集積される。この際、紙葉類は、前方側から見て右側の集積部90に、水平方向の右方向(一方向の逆方向)に対して45度以上の角度、好ましくは60度〜70度の角度で傾斜した状態(すなわち立位状態)で集積される。
【0056】
また、第二搬送部50により搬送される紙葉類のうち、リジェクト部110に送るべき対象とされた紙葉類はこれらの分岐部76,77で分岐搬送部71,72に分岐されずに、第二搬送部50の上方に傾斜する傾斜部51を通過して、第二搬送部50の終端まで搬送されることとなる。第二搬送部50の終端に送られた紙葉類は、放出ローラ111と対向ローラ112の間から放出されるが、この際、放出ローラ111の近傍に設けられた回転式の札叩きゴム113によって、その後端縁が叩かれてリジェクト部110に集積されることとなる。
【0057】
[解除態様]
次に、紙葉類が詰まった場合のように、筐体10を開ける際の態様について説明する。
【0058】
例えば第一搬送部30で紙葉類が詰まってしまった場合には、操作表示部5(
図1参照)によって第一搬送部30で紙葉類が詰まってしまったことを伝える情報(位置情報)が表示される。この結果を受けたオペレータは、
図3に示すように、第四ユニット190を第三ユニット180に対して第二水平軸195を中心として回動させて開状態にし、そのことで、第一搬送部30で詰まってしまった紙葉類にオペレータがアクセスできるようにする。そして、オペレータは、第一搬送部30で詰まった紙葉類を第一搬送部30から取り除く。なお、操作表示部5は、上述したように第一搬送部30で紙葉類が詰まってしまったことを伝える情報(位置情報)に加えて又は当該情報(位置情報)の代わりに、第四ユニット190を第三ユニット180に対して開状態にすればよい旨の情報(解除情報)を表示してもよい。
【0059】
例えば第二搬送部50で紙葉類が詰まってしまった場合には、操作表示部5(
図1参照)によって第二搬送部50で紙葉類が詰まってしまったことを伝える情報(位置情報)が表示される。この結果を受けたオペレータは、
図4に示すように、第一ユニット160を第二ユニット170に対して第一水平軸165を中心に回動させて開状態にし、そのことで、第二搬送部50で詰まってしまった紙葉類にオペレータがアクセスできるようにする。そして、オペレータは、第二搬送部50で詰まった紙葉類を第二搬送部50から取り除く。なお、操作表示部5は、上述したように第二搬送部50で紙葉類が詰まってしまったことを伝える情報(位置情報)に加えて又は当該情報(位置情報)を伝える代わりに、第一ユニット160を第二ユニット170に対して開状態にすればよい旨の情報(解除情報)を表示してもよい。
【0060】
例えば中間搬送部40で紙葉類が詰まってしまった場合には、操作表示部5(
図1参照)によって中間搬送部40で紙葉類が詰まってしまったことを伝える情報(位置情報)が表示される。この結果を受けたオペレータは、
図4に示すように、第一ユニット160を第二ユニット170に対して第一水平軸165を中心に回動させて開状態にし、そのことで、中間搬送部40で詰まってしまった紙葉類にアクセスできるようにする。そして、オペレータは、中間搬送部40で詰まった紙葉類を中間搬送部40から取り除く。なお、操作表示部5は、上述したように中間搬送部40で紙葉類が詰まってしまったことを伝える情報(位置情報)に加えて又は当該情報(位置情報)を伝える代わりに、第一ユニット160を第二ユニット170に対して開状態にすればよい旨の情報(解除情報)を表示してもよい。
【0061】
例えば第一搬送部30と、第二搬送部50及び/又は中間搬送部40で紙葉類が詰まってしまった場合には、操作表示部5(
図1参照)によって第一搬送部30で紙葉類が詰まってしまったことを伝える情報(位置情報)と、第二搬送部50及び/又は中間搬送部40で紙葉類が詰まってしまったことを伝える情報(位置情報)とが表示される。この結果を受けたオペレータが、
図3に示すように、第四ユニット190を第三ユニット180に対して第二水平軸195を中心として回動させて開状態にすることで、第一搬送部30で詰まってしまった紙葉類にアクセスできるようにする。そして、オペレータは、第一搬送部30で詰まった紙葉類を第一搬送部30から取り除く。また、オペレータが、
図4に示すように、第一ユニット160を第二ユニット170に対して第一水平軸165を中心に回動させて開状態にすることで、第二搬送部50及び/又は中間搬送部40で詰まってしまった紙葉類にアクセスできるようにする。そして、オペレータは、第二搬送部50及び/又は中間搬送部40で詰まった紙葉類を中間搬送部40から取り除く。なお、操作表示部5は、上述したように第一搬送部30と、第二搬送部50及び/又は中間搬送部40で紙葉類が詰まってしまったことを伝える情報(位置情報)に加えて又は当該情報(位置情報)を伝える代わりに、第一ユニット160を第二ユニット170に対して開状態にすればよい旨の情報(解除情報)を表示したり、第四ユニット190を第三ユニット180に対して開状態にすればよい旨の情報(解除情報)を表示したりするようにしてもよい。
【0062】
なお、第一搬送部30と、第二搬送部50及び/又は中間搬送部40で紙葉類が詰まってしまった場合においては、操作表示部5によって第一搬送部30で紙葉類が詰まってしまったことを伝える情報(位置情報)と、第二搬送部50及び/又は中間搬送部40で紙葉類が詰まってしまったことを伝える情報(位置情報)とが必ずしも同時に表示される必要はない。例えば、第一搬送部30で紙葉類が詰まってしまったことを伝える情報(位置情報)がまず表示され、第一搬送部30から紙葉類が取り除かれた後で、第二搬送部50及び/又は中間搬送部40で紙葉類が詰まってしまったことを伝える情報(位置情報)が表示されてもよい。逆に、第二搬送部50及び/又は中間搬送部40で紙葉類が詰まってしまったことを伝える情報(位置情報)がまず表示され、第二搬送部50及び/又は中間搬送部40から紙葉類が取り除かれた後で、第一搬送部30で紙葉類が詰まってしまったことを伝える情報(位置情報)が表示されてもよい。
【0063】
また、第一搬送部30と、第二搬送部50及び/又は中間搬送部40で紙葉類が詰まってしまった場合において、操作表示部5は、第一ユニット160を第二ユニット170に対して開状態にすればよい旨の情報(解除情報)と、第四ユニット190を第三ユニット180に対して開状態にすればよい旨の情報(解除情報)を同時に表示してもよいが、このような態様に限られることはない。例えば、第四ユニット190を第三ユニット180に対して開状態にすればよい旨の情報(解除情報)がまず表示され、第一搬送部30から紙葉類が取り除かれた後で、第一ユニット160を第二ユニット170に対して開状態にすればよい旨の情報(解除情報)が表示されてもよい。逆に、第一ユニット160を第二ユニット170に対して開状態にすればよい旨の情報(解除情報)がまず表示され、第二搬送部50及び/又は中間搬送部40から紙葉類が取り除かれた後で、第四ユニット190を第三ユニット180に対して開状態にすればよい旨の情報(解除情報)が表示されてもよい。
【0064】
なお、分岐搬送部71,72で紙葉類が詰まってしまった場合には、前面側が開口した集積部80,90(
図1参照)からオペレータが手を入れて当該紙葉類を取り除いてもよいし、
図4に示すように、第一ユニット160を第二ユニット170に対して開状態にすることで分岐搬送部71,72の上方側からオペレータがアクセスして当該紙葉類を取り除いてもよい。
【0065】
なお、操作表示部5は、第一搬送部30、第二搬送部50、中間搬送部40及び分岐搬送部71,72の全てから詰まった紙葉類が除去されるまで、位置情報や解除情報等を表示し続けてもよい。そして、この場合には、第一搬送部30、第二搬送部50、中間搬送部40及び分岐搬送部71,72の全てから詰まった紙葉類が除去されることで、当該表示が消え、再び、紙葉類処理装置100が利用可能となる。なお、第一搬送部30、第二搬送部50、中間搬送部40及び分岐搬送部71,72のいずれかで紙葉類が詰まってしまった場合には、操作表示部5による表示の代わりに又は当該表示に加えて、紙葉類処理装置はその旨を音声で報知するようにしてもよい。
【0066】
《作用・効果》
次に、本実施の形態による紙葉類処理装置100によって達成される効果であって、まだ述べていない効果、又は、とりわけ重要な効果について説明する。
【0067】
本実施の形態によれば、複数の集積部80,90のうち、いずれかの隣接する2つの集積部80,90に関して、当該2つの集積部80,90の一方に対応する羽根車81と他方に対応する羽根車91の回転方向が互いに逆方向になっている。このような態様にすることで、集積部80に集積する前で第二搬送部50の長さを長くしたり、集積部90の上方を一度通過させた後で紙葉類を当該集積部90に集積させたりする必要がなくなり、第二搬送部50の長さを短くすることができる。この点について説明する。仮に羽根車の回転方向が同じ方向である場合には、前面側から見たときに、全ての羽根車が集積部の左側に位置するか右側に位置することとなる。前面側から見たときに仮に羽根車が集積部の左側に位置する場合には最も上流側に位置する集積部に集積する前で第二搬送部50の長さを長くする必要がある。これは、制御部150が、識別部60からの紙葉類の識別結果を受信し、その紙葉類の搬送先を決定し、該当する分岐部76、77を制御するために要する時間を確保する必要があるためである。他方、前面側から見たときに仮に羽根車が集積部の右側に位置する場合には、最も下流側に位置する集積部の上方を一度通過させた後で紙葉類を当該集積部に集積する必要があるが、その分、第二搬送部50の長さが長くなってしまう。この点、本実施の形態によれば、前面側から見たときに、最も上流側に位置する集積部80の下流側(右側)に羽根車81が位置するとともに当該羽根車81の上部が第二搬送部(水平搬送部)50による紙葉類の搬送方向と逆方向の成分を含む方向に回転(本実施の形態では反時計回りに回転)し、かつ、前面側から見たときに、最も下流側に位置する集積部90の上流側(左側)に羽根車91が位置するとともに当該羽根車91の上部が第二搬送部(水平搬送部)50による紙葉類の搬送方向の成分を含む方向で回転(本実施の形態では時計回りに回転)することから、集積部80に集積する前で第二搬送部50の長さを長くしたり、紙葉類を集積部90の上方を一度通過させた後で当該集積部90に集積させたりする必要がなくなり、第二搬送部50の長さを短くすることができる。
【0068】
この結果、本実施の形態によれば、2つ以上の集積部80,90を有する紙葉類処理装置100を、より小型化することができる。まとめると、複数の集積部のうち、最も上流側に位置する集積部80の下流側(右側)に羽根車81が位置することにより、識別部60から最初の分岐部76までの搬送路が最も上流側に位置する集積部80の上方に位置する搬送路分を含むことができるので、識別部60から集積部80までの搬送路の長さを短くすることができる。また、複数の集積部のうち、最も下流側に位置する集積部90の上流側(左側)に羽根車91が位置することにより、最も下流側に位置する集積部90の水平方向における長さ分だけ、搬送路の長さを短くすることができる。
【0069】
また、本実施の形態によれば、リジェクト部110が紙葉類の搬送方向において最も下流側に位置する集積部90の上方に設けられ、リジェクト部110の一部が筐体10の内方に位置づけられている。このようにリジェクト部110の一部を筐体10の内方に位置づけることで、紙葉類処理装置100の水平方向の大きさを小さくすることができ、紙葉類処理装置100をより小型化することができる。なお、このようにリジェクト部110を筐体10の内方に位置づけて、紙葉類処理装置100の水平方向の大きさを小さくすることは、集積部90に関して、集積部90の上流側(左側)に羽根車91が位置することで可能となった構成である。より具体的には、前面側から見たときに、下流側に位置する集積部90の上流側(左側)に羽根車91が位置するとともに当該羽根車91の上部が第二搬送部50による紙葉類の搬送方向の成分を含む方向で回転(本実施の形態では時計回りに回転)することで、集積部90の上方側で当該集積部90に集積するための紙葉類を搬送する必要がなくなる。このため、集積部90の上方側に形成されたスペースにリジェクト部110を位置づけることができることとなる。まとめると、複数の集積部のうち、最も下流側に位置する集積部90の上流側(左側)に羽根車91が位置することにより、集積部90の上方にリジェクト部110を配置でき、装置を小型化することができる。
【0070】
また、リジェクト部110は、状態の悪い紙葉類(例えば損券)であっても、より確実にリジェクト部110に収納できるように、リジェクト部110の上方から紙葉類を落とすようにすることが好ましい。本実施の形態によれば、第二搬送部50が、紙葉類の搬送方向における下流側において、リジェクト部110に向かって上方に傾斜する傾斜部51を有している。このため、本実施の形態のように、リジェクト部110を紙葉類の搬送方向において最も下流側に位置する集積部90の上方に設ける態様を採用した場合であっても、リジェクト部110に紙葉類を搬送する際に上方から紙葉類を落とすことができる。
【0071】
この結果、リジェクト部110を紙葉類の搬送方向において最も下流側に位置する集積部90の上方に設けることができ、紙葉類処理装置100の水平方向の大きさを小さくすることができる。
【0072】
また、本実施の形態では、リジェクト部110の上方に取込部20が位置している。これはリジェクト部110の一部を筐体10の内方に位置づけた結果であるが、このような態様を採用することで、紙葉類処理装置100の水平方向の大きさを小さくすることができ、紙葉類処理装置100をより小型化することができる。
【0073】
また、本実施の形態では、水平方向に対して45度以上の角度で傾斜した状態で紙葉類を集積するようになっている。より具体的には、前方側から見て左側の集積部80に、水平方向の左方向(一方向)に対して45度以上の角度、好ましくは60度〜70度の角度で傾斜した立位状態で紙葉類を集積することができる。また、前方側から見て右側の集積部90に、水平方向の右方向(一方向の逆方向)に対して45度以上の角度、好ましくは60度〜70度の角度で傾斜した立位状態で紙葉類を集積することができる。この結果、紙葉類処理装置100の上下方向の大きさを小さくすることができ、紙葉類処理装置100をより小型化することができる。この点について説明する。WO2009/028071号公報に示されるように紙葉類を集積部内で上下方向に集積した場合には、羽根車の下端から集積される紙葉類の最も上方に位置する紙葉類までの距離を一定程度設ける必要がある。この結果、紙葉類処理装置100の上下方向の大きさをある程度大きくする必要がある。これに対して、本実施の形態によれば、集積部80では左方向に向かって傾斜した立位状態で紙葉類を集積し、集積部90では右方向に向かって傾斜した立位状態で紙葉類を集積することができるので、紙葉類を集積部内で上下方向に集積した場合のように羽根車の下端から集積される紙葉類の最も上方に位置する紙葉類までの距離を一定程度設ける必要がなく、紙葉類処理装置100の上下方向の大きさを小さくすることができる。このため、紙葉類処理装置100をより小型化することができる。なお、このように上下方向の大きさを小さくすることで、座って作業を行うオペレータが紙葉類処理装置100を取り扱い易くなり、その作業効率を高めることができる。
【0074】
また、本実施の形態では、前方側から見て左側の集積部80(隣接する2つの集積部80,90の一方)には、第二搬送部50による紙葉類の搬送方向と逆方向(
図2の略左側の方向)の成分を含む方向で紙葉類が順次繰り出される。他方、前方側から見て右側の集積部90(隣接する2つの集積部80,90の他方)には、第二搬送部50による紙葉類の搬送方向(
図2の略右側の方向)の成分を含む方向で紙葉類が順次繰り出される。このため、前方側から見て左側の集積部80内において左方向で詰めるようにして紙葉類を集積させることができ、また、前方側から見て右側の集積部90内において右方向で詰めるようにして紙葉類を集積させることができる。このため、各集積部80,90内から集積された紙葉類を容易に取り出すことができる。
【0075】
なお、本実施の形態では、前面側から見て左側に位置する羽根車81が反時計回りに回転し、隣り合う羽根部分の間のスペースに紙葉類を受け入れて、前面側から見て当該紙葉類を左側に放出するので、より確実に、前方側から見て左側の集積部80内において左方向で詰めるようにして紙葉類を集積させることができる。また、前面側から見て右側に位置する羽根車91が時計回りに回転し、隣り合う羽根部分の間のスペースに紙葉類を受け入れて、前面側から見て当該紙葉類を右側に放出するので、より確実に、前方側から見て右側の集積部90内において右方向で詰めるようにして紙葉類を集積させることができる。
【0076】
また、本実施の形態では、
図4に示すように、取込部20、第一搬送部30及び識別部60を含む第一ユニット160が、「前後方向」に延びる第一水平軸165を中心として、第二搬送部50及び集積部80,90を含む第二ユニット170に対して回動する。このため、後面側で余分なスペースを必要としない紙葉類処理装置100を提供することができる。この点について説明する。従来では、特許第4896997号の
図4及び
図5に示されるように、左右方向に延在した水平軸を中心として前面側から後面側に向かって、上部ユニットを下部ユニットに対して回動させる態様となっていた。このため、紙葉類が搬送部で詰まってしまった場合等に上部ユニットを下部ユニットに対して回動させることを考慮して紙葉類処理装置の後面を例えば壁等につけて配置することができなかった。このため、従来では、紙葉類処理装置の後面と壁等との間に空間を設けることが必要となり、紙葉類処理装置の後面側で余分なスペースが必要となっていた。これに対して、本実施の形態によれば、取込部20、第一搬送部30及び識別部60を含む第一ユニット160が、前後方向に延びる第一水平軸165を中心として、第二搬送部50及び集積部80,90を含む第二ユニット170に対して回動する。このため、紙葉類が第二搬送部50及び/又は中間搬送部40で詰まってしまった場合に第一ユニット160を第二ユニット170に対して第一水平軸165を中心として回動させること(
図4参照)を考慮しても、従来のように紙葉類処理装置の後面側にスペースを設ける必要がなくなり、後面側で余分なスペースを必要としない紙葉類処理装置100を提供することができる。なお、紙葉類処理装置100の後面を壁につけることで、紙葉類処理装置100を載置したデスク等の上でより広い作業スペースを確保することができ、オペレータの作業効率を高めることができる。
【0077】
また、本実施の形態によれば、第四ユニット190が、やはり「前後方向」に延びる第二水平軸195を中心として、第三ユニット180に対して回動する。このため、やはり、後面側で余分なスペースを必要としない紙葉類処理装置100を提供することができる。この結果、紙葉類処理装置100を載置したデスク等の上でより広い作業スペースを確保することができ、オペレータの作業効率を高めることができる。
【0078】
また、本実施の形態によれば、第一ユニット160を第二ユニット170に対して回動させて開状態にすることで、第二搬送部50の少なくとも一部(
図4に示した態様では第二搬送部50の全部)にアクセス可能となる。このため、このように第一ユニット160を第二ユニット170に対して回動させることで、第二搬送部50の搬送ベルトや搬送ローラにアクセスすることができ、例えば第二搬送部50内における紙葉類の詰まりを容易に解除することができる。
【0079】
また、本実施の形態によれば、第四ユニット190を第三ユニット180に対して回動させて開状態にすることで、第一搬送部30の少なくとも一部にアクセス可能となる。このため、このように第四ユニット190を第三ユニット180に対して回動させることで、第一搬送部30の搬送ベルトや搬送ローラにアクセスすることができ、例えば第一搬送部30内における紙葉類の詰まりを容易に解除することができる。
【0080】
また、本実施の形態によれば、第一ユニット160を第二ユニット170に対して回動させて開状態にすることで中間搬送部40の少なくとも一部(
図4に示した態様では中間搬送部40の全部)にアクセス可能となっている。このため、このように第一ユニット160を第二ユニット170に対して回動させることで、中間搬送部40の搬送ベルトや搬送ローラにアクセスすることができ、例えば中間搬送部40内における紙葉類の詰まりを容易に解除することができる。なお、仮に第四ユニット190を第三ユニット180に対して回動させて開状態にすることで、中間搬送部40にアクセス可能となっている態様を採用した場合であっても同様の効果を得ることができる。つまり、このような態様を採用した場合でも、第四ユニット190を第三ユニット180に対して回動させることで、中間搬送部40の搬送ベルトや搬送ローラにアクセスすることができ、例えば中間搬送部40内における紙葉類の詰まりを容易に解除することができる。また、同様に、第一ユニット160を第二ユニット170に対して回動させて開状態にすることで中間搬送部40の一部にアクセス可能となり、かつ、第四ユニット190を第三ユニット180に対して回動させて開状態にすることで中間搬送部40の残部にアクセス可能となる態様を採用した場合であっても同様の効果を得ることができる。
【0081】
また、本実施の形態では、第二搬送部50と集積部80,90との間に設けられた分岐搬送部71,72の長さが識別部60で識別可能な紙葉類のうち搬送方向長さが最も短い紙葉類よりも短くなっている。このため、仮に分岐搬送部71,72で紙葉類の詰まりが発生したとしても、オペレータは、前面側が開口した集積部80,90(
図1参照)から手を入れたり、
図4に示すように第一ユニット160を第二ユニット170に対して開状態にしたりすることで当該紙葉類にアクセスすることができ、当該紙葉類を容易に分岐搬送部71,72から除去することができる。
【0082】
また、本実施の形態では、第一ユニット160を第二ユニット170に対して回動させて開状態にし、かつ、第四ユニット190を第三ユニット180に対して回動させて開状態にしたときに、第一搬送部30、第二搬送部50及び中間搬送部40のうちアクセスすることができない箇所の長さの最大値が識別部60で識別可能な紙葉類のうち搬送方向長さが最も短い紙葉類よりも短くなっている。このため、仮に第一搬送部30、第二搬送部50及び中間搬送部40のいずれかで紙葉類の詰まりが発生したとしても、オペレータは、第一ユニット160を第二ユニット170に対して回動させて開状態にするか(
図4参照)、第四ユニット190を第三ユニット180に対して回動させて開状態にすること(
図3参照)で、当該紙葉類にアクセスすることができ、当該紙葉類を容易に第一搬送部30、第二搬送部50及び/又は中間搬送部40から除去することができる。
【0083】
また、本実施の形態では、第一ユニット160を第二ユニット170に対して回動するために用いられる第一水平軸165と、第四ユニット190を第三ユニット180に対して回動するために用いられる第二水平軸195とが近接して配置されている。より具体的には、前面側から見たときに第一水平軸165が左上端部領域に位置し、第二水平軸195が第一水平軸165よりも内側に入った領域(
図2の右下側の領域)に位置している。
【0084】
このため、第一ユニット160が第二ユニット170に対して回動する方向と第四ユニット190が第三ユニット180に対して回動する方向とを合わせることができ、同様の動作で、第一ユニット160を第二ユニット170に対して開状態にし(
図4参照)、また、第四ユニット190を第三ユニット180に対して開状態にすること(
図3参照)ができ、ひいては、操作性を高めることができる。
【0085】
なお、第一ユニット160を第二ユニット170に対して回動するために用いられる第一水平軸165と、第四ユニット190を第三ユニット180に対して回動するために用いられる第二水平軸195とが同じ水平軸となっている場合には、上述のように操作性を高めることができるだけではなく、水平軸として必要な部材を一つにすることができ、製造コストを低くしたり製造の容易性を高めたりすることができる。
【0086】
また、本実施の形態では、
図4に示すように、第一ユニット160を第二ユニット170に対して回動させて開状態にしても、第一ユニット160が筐体10の外方、より具体的には
図4において筐体10の左側にその一部が位置するだけである。また、本実施の形態では、
図3に示すように、第四ユニット190を第三ユニット180に対して回動させて開状態にしても、第四ユニット190が筐体10の外方、より具体的には
図3において筐体10の左側に位置することがない。このため、本実施の形態によれば、前面側から見たときの紙葉類処理装置100の左側方においてわずかにスペースを設けるだけで足り、前面側から見たときの紙葉類処理装置100の右側方ではスペース設ける必要がなく、紙葉類処理装置100の両側方で余分なスペースを必要としないようにすることができる。
【0087】
このため、本実施の形態の紙葉類は、前面側から見たときに筐体10の左側面を壁等から非常に近い位置に位置付けたりすることができ、かつ、前面側から見たときに筐体10の右側面を壁等に付けたり、壁等から非常に近い位置に位置付けたりすることができる。
【0088】
また、本実施の形態によれば、
図4に示すように第一ユニット160を第二ユニット170に対して回動させて開状態にした場合に、前面側から第二搬送部50及び中間搬送部40を確認することができる。また、
図3に示すように第四ユニット190を第三ユニット180に対して回動させて開状態にした場合に、前面側から第一搬送部30を確認することができる。このため、オペレータは座ったままで、第一搬送部30、中間搬送部40及び第二搬送部50の全てを確認することができ、詰まった紙葉類を処理する際の作業効率を高めることができる。
【0089】
最後になったが、上述した実施の形態の記載及び図面の開示は、特許請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって特許請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。