特許第6371381号(P6371381)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6371381
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】装丁要素
(51)【国際特許分類】
   B42D 3/00 20060101AFI20180730BHJP
【FI】
   B42D3/00 B
【請求項の数】8
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-516253(P2016-516253)
(86)(22)【出願日】2014年5月2日
(65)【公表番号】特表2016-522766(P2016-522766A)
(43)【公表日】2016年8月4日
(86)【国際出願番号】IB2014000648
(87)【国際公開番号】WO2014191800
(87)【国際公開日】20141204
【審査請求日】2017年1月27日
(31)【優先権主張番号】2013/0371
(32)【優先日】2013年5月28日
(33)【優先権主張国】BE
(31)【優先権主張番号】2013/0650
(32)【優先日】2013年9月30日
(33)【優先権主張国】BE
(73)【特許権者】
【識別番号】508101373
【氏名又は名称】ユニバインド リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100064388
【弁理士】
【氏名又は名称】浜野 孝雄
(74)【代理人】
【識別番号】100194113
【弁理士】
【氏名又は名称】八木田 智
(72)【発明者】
【氏名】ペレマン,ギド
【審査官】 吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/050843(WO,A1)
【文献】 特開昭51−017815(JP,A)
【文献】 実開平07−002077(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 3/00
B42C 9/02
B42C 11/00
B42D 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉の束(9)の縁部を包囲する背部材(2)と、
背部材(2)とは別体のプラスチックカバーシート(3,4)とを備えた紙葉束(9)用の装丁要素(1)において、
背部材が、基部(5)及び二つのアーム(6)を備えたU字型背部材(2)であり、
背部材(2)の内側に、熱溶融接着剤(8)の層を設け、該熱溶融接着剤により紙葉の束(9)を熱溶着するように構成され、
プラスチックカバーシート(3,4)の下端が、各々前記熱溶融接着剤から離間した位置で、背部材の二つのアームの先端に固定され、
組立時に、紙葉の束(9)の下端を前記熱溶融接着剤に接触させ、背部材の二つのアームの先端で、紙葉の束(9)と共にカバーシート(3,4)を挟むように構成され、
第一のカバーシート(3)が透明であり、第二のカバーシート(4)が透明ではなく半透明であり、
前記背部材にコーティング(7)を設け、該コーティング(7)を介してカバーシート(3,4)がアーム(6)で固定され、
前記コーディングが、そのコーティングがない場合に比べて背部材からカバーシートへの熱伝達が低減される程度の低い熱伝導率を有し、かつ、熱溶融接着剤が溶ける温度より低いか、又は等しい温度では、熱感応性がないこと
を特徴とする紙葉束用装丁要素。
【請求項2】
第一カバーシート(3)がグロス表面を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の装丁要素。
【請求項3】
第二カバーシート(4)がマット表面を備えている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の装丁要素。
【請求項4】
背部材(2)が、二つのアーム(6)の中心で、基部(5)に対して垂直に伸びる平面に関して左右対称である
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の装丁要素。
【請求項5】
アーム(6)の長さ(L)が9mm又はそれ以上である
ことを特徴とする請求項4に記載の装丁要素。
【請求項6】
アーム(6)の長さ(L)が9.5〜11.5mmである
ことを特徴とする請求項5に記載の装丁要素。
【請求項7】
背部材(2)が本質的に金属で形成され、背部材が、基部(5)から離れた位置にあるアーム(6)の端部間の距離を調整可能にするために塑性的に変形可能である
ことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の装丁要素。
【請求項8】
背部材(2)が、工具を使用せずにアーム(6)をお互いに向けて手動で押すことで前記距離の調整を可能にするよう塑性的に変形可能である
ことを特徴とする請求項7に記載の装丁要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装丁要素に関する。
特に、本発明は、紙葉束の縁部の挿入のための背部材を備え、前記背部材に、書類の束を保護するためにカバーシートを設けた装丁要素に関する。
【背景技術】
【0002】
このような装丁要素は、外観の良い装丁紙葉束、言い換えれば、ブックレットを容易にかつ、柔軟に製造することができるようにする。
このような装丁要素は公知である。公知の装丁要素は、概して、本質的に、熱溶融接着剤を備え、そのアーム部が7〜8mmの長さであり、前記アーム部に二つのカバーシートが取り付けられている金属製U字型背部材と、紙葉束の表紙用の一つのカバーシートと、紙葉束の背表紙用の一つのカバーシートとから成る。
前記アーム部は、比較的正確に紙葉束にフィットし、さらに、紙葉束をクランプするように、お互いに向けてテーパー状に形成され得る。このアーム部は、紙葉束の紙葉、特に、一番外側の紙葉が、背部材の熱溶融接着剤に良好に接触するようになることを助け得る。
しかし、この公知の装丁要素は、カバーシートがマット表面を備えた半透明であるか、それとも、グロス表面を備えた透明であるかの何れかであるという欠点を有する。透明グロスカバーシートは、概して、見た目の感じが良いが、半透明マットカバーシートは、より良い引っかき抵抗性を有する。また、使用者の好みも、この選択に影響を及ぼす。
これは、勿論、費用がかかる二重ストックを持つ必要があることを意味している。
さらに、異なる厚みの紙葉束を装丁することを可能にするためには、比較的多くの種類の幅のストックを保持する必要があるという欠点もある。
また、二つのアーム間の距離を調整する装置も必要であり、もちろん、全てに利用可能ではなく、費用がかかる。
さらに別の問題は、熱溶融接着剤を溶かし、それによって、装丁要素に紙葉束を固定するために必要とされる背部材の加熱の時に、背部材で固定される位置でカバーシートに熱損傷、特に、変形が生じる得ることにある。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、紙葉束の縁部を包むための背部材と、前記背部材に留められた二枚のプラスチックカバーシートとを備え、第一のカバーシートが透明であり、第二のカバーシートが半透明であるが透明でない紙葉束用装丁要素を提供することによって、前述の問題点及びその他の問題点に対する解決方法を提供することにある。
ここで、「透明」は、カバーシートが完全にシースルーであり、カバーシートを通して、クリアな乱反射しないイメージを見ることができることを意味する。また、「半透明」は、カバーシートを通して見られるイメージ上に乱反射の影響を及ぼし、その結果、カバーシートから視認される対象物までの距離に応じた程度までイメージがかすむことを意味する。
これにより、紙葉束に関して要求される位置付けにおいて装丁要素を簡単に使用することで、一つの装丁要素のストックのみで、選択に従って、透明なフロントカバー又は半透明なフロントカバーを備えた装丁紙葉束が形成されることが可能になる。
【0004】
好ましい実施例では、第一カバーシートはグロス表面を有し、及び/又は第二カバーシートはマット表面を有する。
別の好ましい実施例では、背部材には、その内側に熱溶融接着剤の層が設けられる。
さらに別の好ましい実施例では、背部材は、基部及び二つのアーム部を備えたU字型背部材で構成され、背部材は、二つのアーム間の中心でのび、かつ、基部に対して垂直な面に対して対称である。
これにより、紙葉束に対する装丁要素の位置付けに応じて、勿論、カバーシートの種類を除いて、常に同じ視覚効果が得られるという利点が得られる。
別の好ましい実施例では、少なくとも一枚のカバーシートが熱感応性であり、アームが少なくとも9mm、好ましくは、9.5mm〜11.5mmの長さを有する。アームが、これより長い長さを有することは排除されない。結果として、従来の装丁要素のおかげで、装丁要素が使用され得る紙葉束の厚みが、アームの折り曲げによって、より広い間隔まで調整できることになるので、より小さな幅で足りることになり得る。
熱感応性は、熱の影響下でカバーシートの材料に変化が生じることを意味し、それは、装丁の間に負の結果をもたらすか、若しくは追加措置を必要とし及び/又は不可逆性であり、それによって、カバーシートの特性に影響を及ぼす。
【0005】
好ましい実施例では、背部材には、コーティングが設けられ、そこで、一つの熱感応性カバーシート又は両方の熱感応性カバーシートが、コーティングを介してアームに取り付けられる。
コーティングにより、コーティングがない場合に比べて、背部材からカバーシートへの熱伝達が低減され、それにより、カバーシートが晒される温度が、さらに下がる。
好ましくは、コーティングは、低い熱伝導率を有し、かつ、熱溶融接着剤が溶ける温度より低いか又はそれに等しい温度で熱感応性ではない。
好ましくは、コーティングは、紙、織物又はプラスチックで作られる。
カバーシートは、また、接着剤が溶融している間、熱による影響を受けにくい。なぜなら、カバーシートは基部から遠く、従って、接着剤の溶融に用いられる加熱要素から離れている。また、長いアームが周囲に放熱し、その結果、カバーシートが低い温度に晒されることになる。
【0006】
本発明は、選択的に、紙葉束用装丁要素に関し、該装丁要素は、紙葉束及び二枚のカバーシートの縁部を包囲する、基部及び二つのアーム部を有するU字型背部材を備え、前記カバーシートは、それぞれが異なるアームに固定され、カバーシートの少なくとも一方が熱感応性であり、アームが9mm又はそれ以上、好ましくは、9.5mm〜11.5mmの長さを有するので、この効果は、上述した長さのアーム及びコーティングの結果として、カバーシートの種類とは関係なく、得ることができる。
好ましい実施例では、背部材は主として金属で形成され、該背部材は工具を使うことなく、手で押すことよって、アームと共に塑性的に変形可能であり、基部から離れた位置にあるアームの端部間の距離を調整することができるようにされている。
これにより、アーム間の距離を、潜在的に高価な機械を使用することなく手動で調整することが可能であるという効果が得られる。この効果は、長いレバーを生じさせることになる公知の装丁要素に比べて長いアームによって、部分的に、又は完全に達成され得るが、背部材の種類や厚みも、ここでは、役割を果たし得る。
【0007】
本発明は、選択的に、紙葉束用装丁要素に関し、該装丁要素は、基部及び二つのアーム部を有するU字型背部材を備え、前記基部及びアーム部は、背部材に固定される束及び二つのプラスチックカバーシートの端部を包囲し、背部材は、主として、金属で形成され、背部材は、工具を用いずにアームを一緒に押すことによって塑性的に変形可能であり、基部から離れた位置にあるアームの端部間の距離を調整することができるようにされているので、前記効果は、カバーシートの種類に関係なく得ることができる。
アーム部は、好ましくは、前述した好ましい長さを有し、背部材には、熱溶融接着剤の層が設けられ得る。
本発明の特徴をより良く示すために、本発明による装丁要素の好ましい実施の形態が、添付図面を参照して、特徴を限定することのない、実施例を用いて以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明による装丁要素の概略斜視図である。
図2】II−II線に沿った装丁要素の横断面図である。
図3図2に示した装丁要素の使用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面に示された装丁要素1は、変形可能な鋼鉄から成るU字型背部材2と、二枚のプラスチックカバーシート3及び4を備えている。
第一カバーシート3は、無色プラスチックで形成され、完全に透明であり、グロス表面を有する。第二カバーシート4は、無色プラスチックで形成され、表面はマット加工されており、この第二カバーシートは、半透明であるが透明ではない。
U字型背部材2は、基部5及び二つのアーム6を備え、装飾層7によって囲まれている。アーム6は、11mmの長さLを有する。基部5の幅Bも11mmである。熱溶融接着剤層8は、基部5の内側に貼られている。
カバーシート3及び4は、それぞれ、アーム6に固定されており、より詳細には、アーム6における基部5から離れた位置にある端部の近くで、アーム6の内側に固定されている。
【0010】
装丁要素の使用方法は、簡単であり、図3に示した以下の通りである。
紙葉の束9をアーム6の間に置く。その後、アーム6をお互いに向けて曲げる。比較的長いアーム6と、背部材2を形成しているスチールの特徴とのおかげで、この作業は、装丁要素1の全長にわたる幾つかの場所で、親指と人差し指の間にアーム6を置いて、お互いに向けてしっかり押すことで、手で行うことができる。この動作によって、装丁要素1の中にある紙葉束9はクランプされる。
また、アーム6は、それらの間に紙葉束9を持ってくる前に、お互いに向けて幾らか曲げられ得る。
【0011】
次いで、背部材2の基部5が、加熱要素に対して保持される。これにより、熱溶融接着剤8は溶融し、紙葉束9の縁部が、溶融した熱溶融接着剤8に接触させられる。
冷却により、熱溶融接着剤8は再び固まり、紙葉束9は、装丁要素1に堅く保持され、図3に示すように装丁紙葉束9が形成される。
もちろん、アーム6間での束9のクランプ及び熱溶融接着剤8の溶融は、従来の装丁要素に使用するために既に公知の、このための適当な機械で行うこともできる。
本発明は、添付図面に示され、実施例として説明された実施の形態に限定されるものではなく、本発明による装丁要素は、発明の範囲から外れることなく、様々な形態及び寸法で実現され得る。
図1
図2
図3