特許第6371383号(P6371383)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6371383
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】操舵可能なホイールサスペンション
(51)【国際特許分類】
   B60G 3/20 20060101AFI20180730BHJP
【FI】
   B60G3/20
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-520332(P2016-520332)
(86)(22)【出願日】2014年5月19日
(65)【公表番号】特表2016-525035(P2016-525035A)
(43)【公表日】2016年8月22日
(86)【国際出願番号】EP2014060181
(87)【国際公開番号】WO2014202300
(87)【国際公開日】20141224
【審査請求日】2017年2月9日
(31)【優先権主張番号】102013211535.0
(32)【優先日】2013年6月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500045121
【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルグレン・クラウス
【審査官】 三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04903981(US,A)
【文献】 特開平04−372408(JP,A)
【文献】 特開昭63−284008(JP,A)
【文献】 特開平08−080718(JP,A)
【文献】 特開2000−025434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 1/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホイール(3)を収容するためのホイールキャリヤ(2)と、ホイールキャリヤ(2)をそのために設けられた構造部と関節式に結合するためのホイールガイドリンク(4)と、ホイール(3)を操舵するための操舵手段(23)とを有し、ホイールキャリヤ(2)及びホイールガイドリンク(4)は、ホイール(3)の操舵のために、ホイールキャリヤ(2)がホイールガイドリンク(4)に対して操舵軸を中心として旋回可能であるように関節式に互いに結合されている、自動車用のホイールサスペンションにおいて、
ホイールキャリヤ(2)が、第1の結合領域(20)でインテグラルリンク(5)を介して間接的にホイールガイドリンク(4)と結合されていること、
ホイールキャリヤ(2)が、第2の結合領域(21)で、直接的にホイールガイドリンク(4)と結合されていること、
ホイールガイドリンク(4)が、実質的に車両横方向に延在しかつ車両長手方向でホイール中心の後に位置するラテラルリンク領域(14)及び実質的に車両長手方向に延在するトレーリングリンク領域(15)を備えること、
第1の結合領域(20)が、ラテラルリンク領域(14)のホイールキャリヤ側の端部の領域に形成され、第2の結合領域(21)が、トレーリングリンク領域(15)の領域に形成されていること、
第1の結合領域(20)と第2の結合領域(21)が、ホイール(3)内に配置されていること、
を特徴とするホイールサスペンション。
【請求項2】
ホイールキャリヤ(2)が、第2の結合領域(21)で、ボールジョイントを介してホイールガイドリンク(4)と結合されていること、を特徴とする請求項1に記載のホイールサスペンション。
【請求項3】
両結合領域(20;21)が、互いに車両長手方向に間隔を置いていること、を特徴とする請求項1又は2に記載のホイールサスペンション。
【請求項4】
両結合領域(20;21)の一方もしくは第1の結合領域(20)が、ホイール中心の後に形成され、他方が、ホイール中心の前に形成されていること、を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のホイールサスペンション。
【請求項5】
インテグラルリンク(5)が、ホイール(3)の不操舵状態で実質的に車両高さ方向に整向されていること、を特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のホイールサスペンション。
【請求項6】
インテグラルリンク(5)が、その両端の一方の端部の領域でホイールキャリヤ(2)と、またその他方の端部の領域でホイールガイドリンク(4)と、それぞれピボットジョイントを介して結合され両ピボットジョイントの回転軸が、互いに平行に及び/又は実質的に車両長手方向に整向されていること、を特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のホイールサスペンション。
【請求項7】
ホイールサスペンション(1)が、ラテラルリンク(24)又は、2点支承部(12,13)を有する横方向板バネ(6)を備え、横方向板バネが、その端部の領域で、対応付けられたホイールキャリヤ(2)と関節式に結合されていること、を特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のホイールサスペンション。
【請求項8】
車両高さ方向で下のリンク面内に、ホイールガイドリンク(4)が配置され、これに対して上のリンク面内に、ラテラルリンク(24)又は横方向板バネ(6)が配置されていること、を特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のホイールサスペンション。
【請求項9】
ラテラルリンク(24)又は横方向板バネ(6)及びホイールガイドリンク(4)のラテラルリンク領域(14)が、ホイール中心の後に及び/又は実質的に車両高さ方向に重なり合うように配置されていること、を特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のホイールサスペンション。
【請求項10】
操舵手段(23)が、ホイールストロークを介する受動的操舵のためにトーリンクとして形成されているか、サーボモータを介する能動的操舵のためにタイロッドとして形成されていること、を特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のホイールサスペンション。
【請求項11】
操舵手段(23)が、直接的にホイールキャリヤ(2)と関節式に結合されている及び/又はホイール中心の後に配置されていること、を特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のホイールサスペンション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念において詳細に定義した形式による自動車用のホイールサスペンションに関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許出願公開第0 278 095号明細書から、ホイールを軸受けするホイールキャリヤを有する、自動車の操舵可能なホイール用のホイールサスペンションが公知である。ホイールサスペンションのホイールガイドリンクによって、そのうちの1つは、サーボモータを介して車両のほぼ横方向に移動可能であり、更に支持バネを支持する。その内端により、リンクは、中間レバーに枢着されている。この中間レバーは、ほぼ車両長手方向に延在する旋回軸を中心として旋回可能に車両ボディに支承され、その下端において横のタイロッドを介してサーボモータと結合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0 278 095号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、ホイールサスペンションのために全体として僅かな設置スペースしか必要としないように、ホイールサスペンションを形成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の根底にある課題は、請求項1の特徴によって解決される。別の有利な形成は、従属請求項及び図面からわかる。
【0006】
ホイールを収容するためのホイールキャリヤと、ホイールキャリヤをそのために設けられた構造部と関節式に結合するためのホイールガイドリンクと、ホイールを操舵するための操舵手段とを有する、自動車用のホイールサスペンション、特に後輪用サスペンションを提案する。ホイールガイドリンクは、直接的に構造部と関節式に結合することができる。しかしながら選択的に、ホイールガイドリンクは、補助フレームに関節式に取り付けることもでき、この補助フレームが、更にまた構造部と結合されている。操舵手段とは、ホイールを、バウンド又はリバウンド時のホイールストロークによるトーリンクの形式により受動的に回転させる、又は、サーボモータを介して所定の操舵角だけ能動的に回転させるために適した装置であると理解すべきである。操舵された状態で、ホイールは、車両長手方向に対して、ほぼ車両高さ方向に延在するホイール側の操舵軸を中心とする正又は負の傾斜位置を備える。
【0007】
ホイールサスペンションを操舵可能に形成するために、ホイールキャリヤ及びホイールガイドリンクは、ホイールキャリヤがホイールガイドリンク、特にトーガイドリンクに対して操舵軸を中心として旋回可能であるように関節式に互いに結合されている。操舵軸は、好ましくは実質的に車両高さ方向に整向されている。ホイールキャリヤは、特に第1の結合領域でインテグラルリンクを介して間接的にホイールガイドリンクと結合されている。これにより、有利には非常にコンパクトな操舵可能なホイールサスペンションを得ることができる。従って、これにより得られる設置スペースは、ホイールサスペンションを付加的に駆動可能に形成するために利用することができる。このため、ホイールキャリヤに回転可能に収容されたホイールは、駆動ユニット、特にホイールハブモータと連結することができる。しかしながら選択的に、駆動すべきホイールは、駆動軸を介して間接的に駆動ユニットと結合することもできる。駆動ユニットは、内燃機関又は電気モータとすることができる。インテグラルリンクを介したホイールガイドリンクとホイールキャリヤの間接的な連結により、ホイールサスペンションは、更に非常に安価に形成することができる。
【0008】
ホイールキャリヤが、第2の結合領域で、直接的に特にボールジョイントを介してホイールガイドリンクと結合されている場合が有利である。従って、第2の結合領域でホイールキャリヤは、付加的なリンク支持なしで実質的に自由に旋回もしくは回転できるように、ホイールガイドリンクと結合されている。しかしながら、第2の結合領域から間隔を置いて第1の結合領域に配置されたインテグラルリンクは、ホイール軸を介するホイールキャリヤの回転を防止する。インテグラルリンクを介して形成される第1の結合領域内の間接的な関節式結合部と、ボールジョイントを介して形成される第1の結合領域から間隔を置いた第2の結合領域内の直接的な関節式結合部により、ホイールキャリヤは、ホイールガイドリンク、特にトーインガイドリンクと、このリンクが、一方でそのために設けられた構造部及び/又は補助フレームに対して関節式にバウンド及びリバウンドでき、他方で操舵運動を実施するためにホイールガイドリンクもしくは構造部に対して操舵軸を中心として回転できるように、関節式に結合されている。
【0009】
ホイール軸を中心とするホイールキャリヤの回転を回避するため、両結合領域が、互いに特に車両長手方向に間隔を置いている場合が、更に有利である。これにより、第1の結合領域に配置されたインテグラルリンクが支持要素として作用するので、ホイール軸を中心とするホイールキャリヤの回転が回避される。
【0010】
更に、両結合領域の一方、特に第1の結合領域が、ホイール中心の後に形成され、他方が、ホイール中心の前に形成されている場合が有利である。これにより、第1の結合領域と第2の結合領域の間に十分大きい間隔を実現することができるので、インテグラルリンクに作用する支持力を低減することができる。
【0011】
ホイールサスペンションは、インテグラルリンクが、ホイールの不操舵状態で実質的に車両高さ方向に又は少なくとも車両高さ方向軸に対してほぼ平行に整向されている場合に、非常にコンパクトに形成することができる。更にこれにより、正もしくは負の最大操舵角をほぼ等しい大きさに形成することができる。
【0012】
本発明の有利な発展形では、インテグラルリンクが、特にその両端の一方の端部の領域でホイールキャリヤと、また特にその他方の端部の領域でホイールガイドリンクと、それぞれピボットジョイントを介して結合されている。好ましくは、両ピボットジョイントの回転軸が、互いに平行に及び/又は実質的に車両長手方向に整向されている。これにより、ホイールサスペンションは、非常にコンパクトで省設置スペースに形成することができる。更に、操舵手段は、インテグラルリンクの操作のために車両横方向にしか移動可能に形成する必要がないので、構造的に簡単に形成することができる。これにより、ホイールサスペンションの製造コストを低減することができる。
【0013】
有利には、ホイールガイドリンクは、少なくとも部分的にラテラルリンク及び/又はトレーリングリンクとして形成されている。従って、ホイールガイドリンクは、好ましくは、実質的に車両横方向に延在する、及び/又は、車両長手方向でホイール中心の後、ホイール中心、又はホイール中心の前に位置するラテラルリンク領域を備える。ラテラルリンク領域が、好ましくは車両長手方向でホイール中心の後に配置されている場合、ホイール中心の領域に、特に全輪駆動車両の場合には、駆動手段、特にモータ及び/又はギヤユニットのために十分に自由な設置スペースを得ることができる。ホイール中心及び/又はホイール中心の近くに、特に走行方向に配置されたラテラルリンク領域は、例えばボディもしくは構造部に対するトレーリングリンクの結合部における横力及びモーメントのような、ホイール横力によって惹起される負の影響を回避できる。ラテラルリンク領域により、特にラテラルリンク領域がホイール中心の近くに配置されている場合には、十分に高いキャンバー剛性を保証することができる。付加的又は選択的に、ホイールガイドリンクは、実質的に車両長手方向に延在するトレーリングリンク領域を備える。好ましくは、ラテラルリンク領域は、車両長手方向にラテラルリンク領域から始まりホイール中心の前まで延在する。従って、トレーリングリンク領域の自由端、即ち構造部に関節式に固定するために設けられた端部は、車両長手方向で見てホイール中心の前に位置する。トレーリングリンク領域により、有利には、生じる制動モーメント及び加速モーメントを支持することができる。
【0014】
ホイールガイドリンクが実質的にL字型に形成されている場合に、良好な力の分配を保証することができる。何故なら、これにより、特にトレーリングリンク領域により、ホイール縦力を良好に支持できるからである。好ましくはこの場合、ラテラルリンク領域がL字型の短い脚を構成し、トレーリングリンク領域がL字型の長い脚を構成する。好ましくは、L字型のホイールガイドリンクは、そのトレーリングリンク領域がラテラルリンク領域から、特にその端部から始まり実質的に走行方向を示すように、ホイールキャリヤに対して配置されている。
【0015】
有利には、第1の結合領域が、ラテラルリンク領域のホイールキャリヤ側の端部の領域に形成されている。付加的又は選択的に、第2の結合領域が、トレーリングリンク領域の領域に形成されている。これにより、車両の所望のトーイン特性に関する操舵軸の位置及び向きに影響を与えることができる。従って更に、ホイールサスペンションは、非常に省スペースに形成することができる。何故なら、インテグラルリンクも、操舵手段も、ホイール中心の後に配置することができる。これにより、特に駆動されるホイールサスペンションバリエーションの場合には、駆動装置構成要素用の設置スペースを十分に得ることができる。従って更に、特にステアリングロッドによって能動的に枢着される実施形態の場合には、ステアリングロッドを移動させるアクチュエータ、好ましくはサーボモータを、問題なく補助フレーム又は構造部に取り付けることができる。
【0016】
ホイールガイドのため、ホイールサスペンションが、好ましくは横力を受け止めるために形成されたホイールガイドラテラルリンクを備える場合が有利である。
【0017】
しかしながら選択的に、ホイールサスペンションは、2点支承部を有するホイールガイド横方向板バネを備えることもでき、ホイールガイド横方向板バネが、その端部の領域で、それぞれ対応付けられたホイールキャリヤと関節式に結合されている。ホイールキャリヤもしくはそのために設けられたホイールのバウンド及びリバウンドのために、横方向板バネは、その両端の間の領域で、これら両端から間隔を置いて支承されている。好ましくは、横方向板バネは、この領域で直接的に構造部と関節式に結合可能であるか、これに対して選択的に補助フレームに支承され、この補助フレームが、構造部に取付け可能である。更に、横方向板バネは、その両端の領域でそれぞれ対応付けられたホイール距離やと結合されている。この場合、横方向板バネは、直接的又はしかしながらまたこれに対して選択的に間接的にホイールキャリヤと連結することができる。間接的な結合の場合、横方向板バネは、例えばホイールガイドリンクと結合することができ、このホイールガイドリンクが、更にまたそれぞれのホイールキャリヤに関節式に固定されている。
【0018】
車両高さ方向で下のリンク面内に、ホイールガイドリンクが配置され、その上に位置する上のリンク面内に、横方向板バネもしくはこれに対して選択的にラテラルリンクが配置されている場合が有利である。これにより、ホイールサスペンションは、非常にコンパクトに形成することができる。更に、特に横方向板バネのバリエーションにおいて、横方向板バネは、このような配置の場合に非常に良好に機械的及び熱的な影響から保護されている。従って、例えば、普通は下のリンク面の領域に配置される排気装置は、排気装置から間隔を置いて配置された横方向板バネへの影響を有しない。その結果、横方向板バネのために、温度に敏感な材料、特に繊維強化されたプラスチックを使用することもでき、この繊維強化されたプラスチックによって、ホイールサスペンションの重量を著しく低減することができる。
【0019】
更に、上に位置する横方向板バネにより、ストローク及び/又はロールの範囲を著しく拡大することができる。横方向板バネの拡大されたバネ行程に基づいて、ホイールサスペンションのはるかに良好なチューニングの可能性が開ける。また、ホイールサスペンションは、このように上に位置する横方向板バネによって非常に省スペースに、簡単に及び軽量に形成することができる。特にこの非常に省スペースの形成に基づいて、有利には、問題なく、駆動される軸を実現することもできる。
【0020】
横方向板バネがホイールガイドをするように形成されている場合が、有利である。従って、横方向板バネは、ホイールキャリヤによって特に車両横方向及び/又は車両長手方向に生じる力を吸収もしくは支持できるように、それぞれのホイールキャリヤと結合することができる。横方向板バネは、その配置並びに上の位置によって実質的に上のラテラルリンクとして形成されているか、もしくは実質的にその機能を引き受ける。従って有利には、付加的なリンクを削減することができるので、これにより、ホイールサスペンションは、簡単かつ安価に実現することができる。
【0021】
本発明の有利な発展形では、ホイールサスペンションが、ダブルウィッシュボーンホイールサスペンションであり、好ましくは、上のラテラルリンク(アッパーアーム)が横方向板バネによって形成されている。これにより、非常に軽量の、有利に製造及び取付け可能なサスペンションを実現することができる。
【0022】
付加的なリンクを削減できるように、横方向板バネが、その両端の領域で関節式に及び/又は直接的にそれぞれのホイールキャリヤと結合されている場合が有利である。これにより、横方向板バネは、ホイールサスペンションのバネ作用だけでなく、付加的に少なくとも部分的にホイールガイドも引き受ける。その結果、ホイールサスペンションの構築労力が低減される。これに関して、関節式の結合が、ピボットジョイントによって行なわれ、このピボットジョイントの回転軸が、好ましくは実質的に車両長手方向に整向されている場合も有利である。これにより、特に車両高さ方向の横方向板バネによるホイールガイドを実現することができる。
【0023】
横方向板バネのガイド特性については、特に捩り剛性を有するこの板バネが、車両長手方向に撓まず、車両高さ方向に撓むように形成されている場合が有利である。従って、横方向板バネによって、車両高さ方向に、バネ作用も両ホイールキャリヤのガイドも行なうことができる。その結果、付加的な部品、特にリンクは、この課題に対して必要ない。
【0024】
板バネが直接的に構造部と結合されているか、第1の支承部及び第2の支承部を介して間接的に補助フレームと結合されている場合も有利である。これにより、ストロークバネ装置もロールバネ装置も実現することができる。従って有利には、横方向板バネによって、付加的なスタビライザを省略することができ、これにより、ホイールサスペンションのコスト及び構築労力を低減することができる。このようなストロークバネ装置並びにロールバネ装置を保証できるように、第1の支承部及び第2の支承部が、特に、車両投げて方向に対して平行なそれぞれ1つの回転軸を備える場合が有利である。更に、両支承部が、好ましくは、エラストマー支承部、特にゴム支承部として形成されている、互いに間隔を置いている、及び/又は、車両長手方向に対して対称に配置されている場合が有利である。
【0025】
ラテラルリンク又は横方向板バネ及び/又はホイールガイドリンクのラテラルリンク領域が、ホイール中心の後に及び/又は実質的に車両高さ方向に重なり合うように配置されている場合が有利である。従ってこの場合も、ホイールサスペンションは、非常に省設置スペースに形成することができ、これにより、ホイール用の駆動装置は、予め構築された駆動ユニットの形態に問題なく統合することができる。
【0026】
操舵軸を中心とするホイールキャリヤの操舵のために、操舵手段が、ホイールストロークを介する受動的操舵のためにトーリンクとして形成されている場合が有利である。これにより、ホイールサスペンションは、非常に安価に形成することができる。しかしながら選択的に、操舵手段は、サーボモータもしくはアクチュエータを介する能動的操舵のためにタイロッドとして形成することもできる。この場合には、タイロッドは、その長さを変更可能なタイロッドとして形成されている。タイロッドは、ボディに支持されてホイールキャリヤに操舵運動を導入するために、例えば、運転動特性を検出もしくはコントロールする制御機器を介して、所望される運転体験に応じて変更すること、もしくは、走行状況に適合されるように変更する(短縮又は延長)ことができる。
【0027】
操舵手段が、特に直接的にホイールキャリヤと結合されている場合は、ホイールサスペンションは、非常にコンパクトに形成することができる。従って、ホイールキャリヤへの操舵手段の直接的な作用によって、ホイールキャリヤもしくはこれと回転可能に結合されたホイールの操舵軸を中心とする非常に正確な操舵を行なうことができる。
【0028】
ホイールを駆動するために十分な取付け容積を提供できるように、操舵手段が、ホイール中心の後に配置されている場合が有利である。
【0029】
ホイールサスペンションが、横方向板バネ又は横方向サポートを支承するための第1の保持部、特にそのラテラルリンク領域のホイールガイドリンクを関節式に収容するための第2の保持部、及び/又は、操舵手段を収容するための第3の保持部を有する、特に2部材で形成された取付けサポートを備える場合が有利である。取付けサポートの2部材の形成により、非常に迅速かつ簡単な横方向板バネの取付けを行なうことができる。有利には、横方向板バネは、取付けサポートの両部分の間で第1の支承部と第2の支承部の領域に挟持されている。更に、ホイールサスペンションの取付け労力は、このような取付けサポートによって低減することができる。何故なら、取付けサポートは、自動車の構造部又は補助フレームに非常に迅速かつ簡単にモジュール式に取り付けることができるからである。
【0030】
有利には、ホイールキャリヤは、駆動ユニットと結合可能である、特にホイールハブモータ、電気モータ及び/又は内燃機関によって駆動可能に形成されている、及び/又は、このような駆動ユニットと結合可能である。横方向板バネにより、付加的なリンクを削減することができるので、このような駆動可能な解決策のために十分な設置スペースを得ることができる。更に設置スペースは、ホイール中心の後に配置された操舵手段及び同様にそこに配置されたインテグラルリンクによって拡大することができる。付加的に、駆動ユニットの部分、さもなければ駆動ユニットを、完全に取付けサポートに固定することもできる。これにより、モジュールとして形成されたホイールサスペンションの駆動ユニットと一緒の取付け労力は、著しく低減することができる。
【0031】
以下で、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】ホイールガイドリック及び横方向板バネを有するホイールサスペンションの第1の実施例
図2】ホイールガイドリック及び横方向板バネを有するホイールサスペンションの第1の実施例
図3】ホイールガイドリック及び横方向板バネを有するホイールサスペンションの第1の実施例
図4】横方向板バネを置き換えるラテラルリンクを有するホイールサスペンションの第2の実施例
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1〜3及び4は、著しく簡素化して、種々の斜視図で、ホイールサスペンション1の2つの選択的な実施形態を示す。図示は、特に部品の結合領域を良好に理解できるように、重要な部品に削減されている。更に図のいくつかは、アクスル領域の半分の図示だけを示し、図示したホイールと反対側のホイールのホイールサスペンションは、同一に形成されている。
【0034】
図1〜3に図示したホイールサスペンション1の第1の実施例は、車両横方向に向かい合うように配置された2つのホイールキャリヤ2を備え、これら両ホイールキャリヤ2の一方だけが図示されている。ホイールキャリヤ2は、ホイール3を回転可能に支承しつつ収容する。ホイール3もしくはホイールキャリヤ2は、ホイール3が構造部に対してバウンド及びリバウンドでき、操舵軸を中心として能動的又は受動的に操舵できるように、ここに図示してない構造部に対して関節式に支承されている。このため、ホイールサスペンション1は、ホイールガイドリンク4、インテグラルリンク5及び横方向板バネ6を備える。更に、振動を減衰させるために、第1の実施例によればアブソーバ7が、ホイールガイドリンク4に作用する。
【0035】
ホイールガイドリンク4は、特に図1において明らかであるように、下のリンク面内に配置されている。横方向板バネ6は、その上に位置するリンク面内に位置決めされている。従って横方向板バネ6は、下のリンク面の領域に配置された排気装置8に対して間隔を備える。従って有利には、横方向板バネ6は、温度に敏感な材料、特に繊維強化されたプラスチックから形成することもできる。これにより、ホイールサスペンション1の重量は、著しく低減することができる。従って、横方向板バネ6は、好ましくは、熱硬化性及び/又は熱可塑性のマトリックス内に埋設された炭素繊維、ガラス繊維及び/又はアラミド繊維から成る。横方向板バネ6は、この実施例ではホイールガイドをするように形成されている。このため、横方向板バネ6は、捩り剛性を有するように形成されている。更に、横方向板バネは、車両長手方向の車両縦力を受け止めるために撓まないように形成されている。ホイールサスペンション1のバネ作用のために、横方向板バネ6は、車両高さ方向に撓むように形成されている。従って横方向板バネは、従来の螺旋バネもしくは板バネ及び従来の上のラテラルリンクの技術的作用を1つの部品に集約する。
【0036】
横方向板バネ6のホイールガイドは、横方向板バネ6の端部9の領域のそれぞれのホイールキャリヤ2との関節式の結合によって行なわれ、横方向板バネ6は、ほぼ中心のところを支承部12,13(図2参照)を介してボディに支持されている。横方向板バネ6とホイールキャリヤ2の間の関節式の結合部は、この実施例ではピボットジョイント10によって形成されている。ピボットジョイント10の回転軸は、実質的に車両長手方向に整向されている。その結果、ホイールガイド横方向板バネ6は、縦力及び/又は横力を受け止めることができる。
【0037】
横方向板バネ6は、その両端6−半分の図示では、これら両端6の一方だけが図示されている−の間の領域で、これら両端から間隔を置いて2点支承部の形態の取付けサポート11と結合されている。板バネ6の2点支承部は、第1の支承部12と第2の支承部13を有し、それぞれの端部6は、ホイールサスペンションのバネ作用のためにバネを中心として旋回することができる。従って、両ホイールキャリヤ2の均等なバウンド時に、横方向板バネ6は、ほぼU字型の形態を取る。この場合、横方向板バネ6は、車両の構造部を、両支承部12,13を介して静止位置に押し戻す。従って横方向板バネ6は、ストロークバネ装置の課題を引き受ける。両ホイールキャリヤ2もしくはホイール3の一方が、より強くバウンドさせられるカーブ走行の場合、横方向板バネ6は、走行方向で見てほぼS字型の形態を取る。この場合も、横方向板バネ6は、車両の構造部を、両支承部12,13を介して静止位置に押し戻す。従って、横方向板バネ6は、ロールバネ装置として作用し、従って、スタビライザの課題を引き受け、スタビライザは、このホイールサスペンションでは省略することができる。これにより、ホイールサスペンション1は、非常に軽量に形成することができる。
【0038】
横方向板バネ6以外にホイールガイドリンク4も、ホイールガイドの課題を引き受ける。ホイールガイドリンク4は、実質的にラテラルリンク成分とトレーリングリンク成分を有する台形リンクである。従って、ホイールガイドリンク4は、実質的にL字型の形態を備える。この形態は、ラテラルリンク領域14とトレーリングリンク領域15から構成される。トレーリングリンク領域15は、ラテラルリンク領域から始まり実質的に車両長手方向に延在する。ラテラルリンク領域は、これに比して車両横方向に延在する。トレーリングリンク領域15は、ラテラルリンク領域14、特にその端部から始まり実質的に走行方向に延在する。ホイールガイドリンク4のラテラルリンク領域14は、車両長手方向でホイール中心の後に形成されている。同じことが、横方向板バネ6に当て嵌まり、横方向板バネ6とラテラルリンク領域14は、更に車両高さ方向に好ましくは実質的に重なり合うように配置されている。
【0039】
構造部側で、ホイールガイドリンク4は、第1の及び第2のジョイント16,17において構造部及び/又は補助フレームと関節式に結合されている。第1の構造部側ジョイント16は、ラテラルリンク領域14のトレーリングリンク領域とは反対側の端部の領域に形成されている。このジョイントは、ホイールガイドリンク4をそのラテラルリンク領域14において取付けサポート11と連結する。第2の構造部側ジョイント17は、これとは違い、トレーリングリンク領域15のラテラルリンク領域14とは反対側の端部の領域でホイールガイドリンク4に形成されている。第2のジョイント17により、ホイールガイドリンク4は、ここでは図示してない構造部と連結されている。
【0040】
ホイール3のバウンド及びリバウンドのために、ホイールガイドリンク4は、更に第1及び第2のホイール側ジョイント18,19においてホイールキャリヤ2と連結されている。従って、ホイールキャリヤ2は、ホイールガイドリンク4によって第1及び第2の結合領域20,21を備える。構造部に対するホイールキャリヤ2のバウンド及びリバウンドを保証できるようにするだけでなく、ホイールキャリヤ2もしくはこれと結合されたホイール3を付加的に操舵できるように、ホイールキャリヤ2は、第2の結合領域21で、は直接的に、また第1の結合領域20では間接的にホイールガイドリンク4と連結されている。ホイール3の操舵時に、ホイールキャリヤ2は、ホイールガイドリンク4に対して操舵軸を中心として旋回される。この場合、ピボットジョイント10と第2のホイール側ジョイント19の間の結合ラインは、ホイールキャリヤ2の仮想の操舵軸である。
【0041】
ホイールキャリヤ2とホイールガイドリンク4の間接的な連結は、第1の結合領域20でインテグラルリンク5によって行なわれる。インテグラルリンクは、ホイール3の非ジョイント状態で実質的に垂直に整向されている。ホイールガイドリンク4側のその下の端部により、インテグラルリンク5は、第1のホイール側ジョイント18によって関節式にホイールガイドリンク4と結合されている。ホイールキャリヤ2側のその上の端部により、インテグラルリンク5は更に、ホイールキャリヤジョイント22を介してホイールキャリヤ2と連結されている。ホイールキャリヤジョイント22と第1のホイール側ジョイント18は、それぞれピボットジョイントして形成されている。両ピボットジョイントの回転軸は、互いに平行にかつ実質的に車両長手方向に整向されている。従って、インテグラルリック5は、構造部もしくは取付けサポートに対してホイール側ジョイント18を中心として車両横方向に旋回可能である。この場合、ホイールキャリヤ2は、ホイールキャリヤジョイント22の領域で、構造部に向かって又は構造部から離間するように移動される。従って、第2の結合領域21と協働して、ホイールサスペンション1の操舵軸を中心とするホイールキャリヤ2の操舵運動が行なわれる。
【0042】
このため、第2の結合領域21は、ホイール中心の後に配置された第1の結合領域20とは違い、この第1の結合領域から間隔を置いてホイール中心の前に形成されている。更に、ホイールキャリヤ2は、第2の結合領域21でホイールガイドリンク4と、特にそのトレーリングリンク領域で直接的に第2のホイール側ジョイント19によって結合されている。第2のホイール側ジョイント19は、この実施例ではボールジョイントとして形成されている。従ってインテグラルリンク5なしで、ホイールキャリヤ2は、ホイール軸を中心として回転することができる。しかしながらこのトルクは、インテグラルリック5によって捕らえられる。
【0043】
インテグラルリンク5及び第2のホイール側ジョイント19もしくはボールジョイントによって形成される第1及び第2の結合領域20,21の間接的もしくは直接的な連結は、ホイール3のバウンド及びリバウンド時のホイールガイドリンク4に対するホイールキャリヤ2の旋回運動を可能にする。更に、ホイール3は、この連結によって操舵可能に形成されている。従って、ホイールキャリヤ2は、第1のホイール側ジョイント18を中心とするインテグラルリンク5の旋回によってホイールガイドリンク4に対して実質的に車両高さ方向に整向されたホイールサスペンション1の操舵軸を中心として回転もしくは旋回することができる。この操舵運動を制御するため、ホイールサスペンション1は、操舵手段23を備え、この操舵手段は、この実施例によればホイールキャリヤ2に関節式に作用する。しかしながら選択的に、操舵手段23は、ここに図示してない実施例において直接的にインテグラルリンク5に、特にこのインテグラルリンクの下の端部から間隔を置いて作用する。
【0044】
この実施例では、操舵手段23が、トーリンクとして形成されている。トーリンクは、構造部側を取付けサポート11と、ホイール側をホイールキャリヤ2と、車両高さ方向にホイールガイドリンク4から間隔を置いて関節式に結合されている。ホイール中心の後に位置する第1のホイール側ジョイント18は、好ましくは撓むように、特にゴム支承部として形成されている。ホイール中心前に位置する第2のホイール側ジョイント19は、これとは違い好ましくは撓まないように形成されている。これにより、付加的に弾性運動学の利用を介して、ホイールストロークに関して所望のトーインを生じさせることができる。この固有操舵特性の調整は、操舵手段23もしくはトーリンク17を介して行なうことができる。選択的に、しかしながら操舵手段23は、ここに図示してない実施例ではタイロッドとして形成することができ、このタイロッドは、アクチュエータ、特にサーボモータを介して車両横方向に転向され、従ってホイールガイドリンク4に対してホイールキャリヤ2の操舵運動を導入する。アクチュエータは、このようなバリエーションの場合には好ましくは取付けサポート11に取り付けられる。
【0045】
図4は、ホイールサスペンション1の選択的な実施例を示す。ここでは、第1の実施例と同じ特徴に対して同じ符号が使用される。これら特徴がもう一度詳細に検討されない限り、その形成及び作用方式は、前で既に説明した特徴と一致する。
【0046】
第1の実施例とは違い、図4に図示した実施例は、上のリンク面に配置されたラテラルリンク24を備える。このラテラルリンクは、第1の実施例の横方向板バネ6を置換する。更に、図4によるホイールサスペンション1は、ホイールガイドリンク4、特にそのラテラルリンク領域14に作用するバネ25を備える。更に、アブソーバ7は、バネ25から間隔を置いて取付けサポート11内に配置されている。アブソーバ7は、偏向装置26を介してホイールガイドリンク4と連結されている。
【0047】
本発明は、図示及び説明した実施例に限定されていない。特徴が異なった実施例で図示及び説明されている場合でも、これら特徴の組合せのような特許請求の範囲の範囲内での変容も可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 ホイールサスペンション
2 ホイールキャリヤ
3 ホイール
4 ホイールガイドリンク
5 インテグラルリンク
6 横方向板バネ
7 アブソーバ
8 排気装置
9 端部
10 ピボットジョイント
11 取付けサポート
12 第1の支承部
13 第2の支承部
14 ラテラルリンク領域
15 トレーリングリンク領域
16 第1の構造部側ジョイント
17 第2の構造部側ジョイント
18 第1のホイール側ジョイント
19 第2のホイール側ジョイント
20 第1の結合領域
21 第2の結合領域
22 ホイールキャリヤジョイント
23 操舵手段
24 ラテラルリンク
25 バネ
26 偏向装置
図1
図2
図3
図4