特許第6371435号(P6371435)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テーザ・ソシエタス・ヨーロピアの特許一覧

<>
  • 特許6371435-感圧接着剤 図000010
  • 特許6371435-感圧接着剤 図000011
  • 特許6371435-感圧接着剤 図000012
  • 特許6371435-感圧接着剤 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6371435
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】感圧接着剤
(51)【国際特許分類】
   C09J 133/04 20060101AFI20180730BHJP
   C09J 133/02 20060101ALI20180730BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20180730BHJP
   C09J 7/24 20180101ALI20180730BHJP
【FI】
   C09J133/04
   C09J133/02
   C09J7/38
   C09J7/24
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2017-75874(P2017-75874)
(22)【出願日】2017年4月6日
(65)【公開番号】特開2017-197724(P2017-197724A)
(43)【公開日】2017年11月2日
【審査請求日】2017年5月8日
(31)【優先権主張番号】10 2016 205 808.8
(32)【優先日】2016年4月7日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】509120403
【氏名又は名称】テーザ・ソシエタス・ヨーロピア
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】ザーラー・アレート
(72)【発明者】
【氏名】ユリア・ベーフス
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・プレンツェル
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・シューベルト
【審査官】 田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 独国実用新案第202010001353(DE,U1)
【文献】 特表2014−531500(JP,A)
【文献】 特開2011−080061(JP,A)
【文献】 特開2013−147655(JP,A)
【文献】 特開2015−218318(JP,A)
【文献】 特開2010−215907(JP,A)
【文献】 特表2016−503451(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0270577(US,A1)
【文献】 特開2014−070122(JP,A)
【文献】 特開2005−307034(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感圧接着剤であって、感圧接着剤の総重量を基準にして少なくとも50重量%の割合で少なくとも一種のポリマーAを含み、このポリマーAが、以下のモノマー組成物に由来しかつ少なくとも500,000g/モルの重量平均分子量Mを有する前記感圧接着剤:
a1)ホモポリマーのガラス転移温度が最大−60℃であり、アルコール成分が、1のイソインデックスを有する分岐状の第一級アルコールをベースとする、少なくとも一種の(メタ)アクリル酸エステル55〜75重量%;
a2)アルコール成分が線状C〜C18アルコールをベースとする、少なくとも一種の(メタ)アクリル酸エステル20〜40重量%;
a3)アクリル酸5〜15重量%。
【請求項2】
感圧接着剤が、少なくとも一種のエポキシシクロヘキシル誘導体によって熱的に架橋されることを特徴とする、請求項1に記載の感圧接着剤。
【請求項3】
感圧接着剤が、接着力を高める樹脂を含まないことを特徴とする、請求項1または2に記載の感圧接着剤。
【請求項4】
ポリマーAが、最大1,700,000g/モルの重量平均分子量Mを有することを特徴とする、請求項1〜の何れか一つに記載の感圧接着剤。
【請求項5】
発泡したキャリア、及び感圧接着剤であって、感圧接着剤の総重量を基準にして少なくとも50重量%の割合で少なくとも一種のポリマーAを含み、このポリマーAが、以下のモノマー組成物に由来する前記感圧接着剤を含む、接着テープ
a1)ホモポリマーのガラス転移温度が最大−60℃であり、アルコール成分が、1のイソインデックスを有する分岐状の第一級アルコールをベースとする、少なくとも一種の(メタ)アクリル酸エステル55〜75重量%;
a2)アルコール成分が線状C〜C18アルコールをベースとする、少なくとも一種の(メタ)アクリル酸エステル20〜40重量%;
a3)アクリル酸5〜15重量%。
【請求項6】
感圧接着剤が、少なくとも一種のエポキシシクロヘキシル誘導体によって熱的に架橋されることを特徴とする、請求項5に記載の接着テープ。
【請求項7】
感圧接着剤が、接着力を高める樹脂を含まないことを特徴とする、請求項5または6に記載の接着テープ。
【請求項8】
ポリマーAが、少なくとも500,000g/モルの重量平均分子量Mを有することを特徴とする、請求項5〜7の何れか一つに記載の接着テープ。
【請求項9】
ポリマーAが、最大1,700,000g/モルの重量平均分子量Mを有することを特徴とする、請求項5〜8の何れか一つに記載の接着テープ。
【請求項10】
発泡したキャリアがシンタクチックポリマーフォームを含むことを特徴とする、請求項5〜9の何れか一つに記載の接着テープ。
【請求項11】
シンタクチックポリマーフォームが、フォームの総重量を基準にして少なくとも50重量%の割合で一種以上のポリ(メタ)アクリレートを含むことを特徴とする、請求項10に記載の接着テープ。
【請求項12】
感圧接着剤が、発泡したキャリアの少なくとも一つの面に積層されている、請求項5〜11の何れか一つに記載の接着テープ。
【請求項13】
発泡したキャリアが、フォームの総重量を基準にして少なくとも50重量%の割合で少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートBを含み、このポリ(メタ)アクリレートBが、以下のモノマー組成物に由来ることを特徴とする、請求項5〜12の何れか一つに記載の接着テープ:
b1)65〜97重量%のエチルヘキシルアクリレート及び/またはブチルアクリレート、
b2)0〜30重量%のメチルアクリレート、
b3)3〜15重量%のアクリル酸。
【請求項14】
発泡したキャリアが熱的に架橋されていることを特徴とする、請求項5〜13の何れか一つに記載の接着テープ。
【請求項15】
発泡したキャリアの両面上に、上記感圧接着剤が配置されていることを特徴とする、請求項5〜14の何れか一つに記載の接着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、片面及び両面接着性接着テープに使用されるような感圧接着剤の技術分野に関する。より具体的には、本発明は、特定のモノマー組成物に基づくポリ(メタ)アクリレートをベースとする感圧接着剤に関する。
【0002】
本発明は、中でも、接着技術上重要なパラメータである「湿潤」を目的とする。これは、以下では、感圧接着剤と、被着基材との間の境界面の形成のことと解される。それ故、「湿潤」という用語は、凹凸を均し及び感圧接着剤と基材との間の空気を排除する感圧接着剤の能力を表すものである。湿潤が強いほど、感圧接着剤と基材との間の相互作用がより良好に生じ得かつ粘着及び接着がより強力になる。特に、粗い表面上で、または製造に起因して凹凸や湾曲を有するかまたは波打った表面上で、機械的負荷によって、一度達成された湿潤が再び弱まる、すなわち脱湿潤が起こることがしばしば観察される。
【背景技術】
【0003】
湿潤は、経時的な接着力の発達とは区別されるべきである。良好な初期湿潤の時も、接着力は時間と共になおも上昇する。なぜならば、表面と相互作用できる、接着物質中に含まれるより多くの官能基が、表面の方向に配向するようになるからである。
【0004】
例えば建築分野もしくは工業製品の工業的製造におけるまたは組み立て目的のための様々な使用分野のためには、益々厚いが、強接着性の接着テープ(いわゆる「構造用接着テープ(Montageklebebaender)」が必要である。接着はしばしば屋外で行われるかまたは接着された製品は屋外の気候の影響に曝されるため、このような接着テープの特性についての期待は多くの場合に高い。それ故、接着は強力で、持続性でかつ耐候性であるべきであり;高い耐湿性、耐熱性及び耐温湿性が多くの場合に必要とされる。更に、接着テープは即座に湿潤するべきであり、そしてこの際、接着の継ぎ目中のまたは被着下地上の凹凸を均しそして最初から高い接着力(所期接着力)を示すべきである。発泡していない接着テープの使用の場合は、良好な湿潤によって、(例えばガラスや透明なプラスチックなどの透明材料の接着において)厚手の接着テープにもますます望まれるようになっている、光学的な欠陥の無い透明な材料の接着が可能となるという利点を追加的に生じる。
【0005】
このような目的に使用される接着テープには、通常は接着剤が付与され、この場合、接着技術的な特性は非常に良好に互いに適合されている必要がある。それ故、凝集力、付着性(「タック」とも称される)、流動性及び他の特性を非常に正確に調整する必要がある。これらの特性に影響を及ぼす感圧接着剤の技術的形態は、個々の特性に対して反対の作用をしばしば有するために、一般的に適合は困難であり、または成果について妥協を甘受しなければならない。
【0006】
加えて、特に非常に厚手の接着テープについては、非常に均質な接着テープを実現することがしばしば困難であり;加工に起因して、非常に厚手の接着テープは層が均質ではないことが多い。これは大概望ましくない。なぜならば、それらの層厚及び製造法に依存しないで明確に定義された特性を示す接着テープがしばしば必要であるからである。
【0007】
感圧接着用途に適した粘弾性の特性を持つ物質は、これらが、機械的変形下に粘性流動するだけでなく、弾性回復力を発達させるという点を特色とする。両方のプロセスは、それぞれの割合に関して、検討される物質の正確な組成、構造、及び架橋度にも、変形の速度及び時間にも、並びに温度にも応じて、互いに特定の比率にある。
【0008】
割合に応じた粘性流動は、接着の達成のために必要である。比較的大きな可動性を持つ高分子によって引き起こされる粘性部分だけが、被着基材上での良好な湿潤及び良好な流動を可能にする。粘性流動の高い割合は、強い自着性(感圧接着性またはタックとも称される)をもたらし、それ故、多くの場合に高い接着力も与える。強く架橋した系、結晶性またはガラス様に硬化したポリマーは、流動可能な成分が欠けているので、一般的に自着性ではない。
【0009】
割合に応じた弾性復元力は、凝集性を達成するために必要である。この復元力は、例えば非常に長鎖で強く絡んだ高分子及び物理的または化学的に架橋された高分子によってもたらされ、接着結合に作用する力の伝達を可能にする。復元力により、接着結合が、例えば持続的なせん断負荷の形で接着結合に作用する持続的負荷に十分に、比較的長時間にわたって持ちこたえ得るようになる。
【0010】
発泡した多層接着テープでは、持続的な負荷下では、均質ではない応力分布が生じ得、これは、その力が表面に対する感圧接着層の付着力よりも大きい場合には、感圧接着層の部分的な剥離となって現れる。それ故、湿潤した面の割合は比較的小さくなる。
【0011】
基材からの感圧接着剤の流出(ランニング・ダウン)を防ぎ及び接着複合体における接着剤の十分な安定性を保証するためには、すなわち感圧接着剤の十分な凝集が必要である。しかし、他方では、良好な接着特性のためには、感圧接着剤は、基材上を流動し、境界層において表面と十分な相互作用を形成し、かつ基材表面の良好で持続的な湿潤を保証できる必要がある。(感圧接着層内部の)接着の接合継ぎ目内部での破壊を防ぐためには、加えて、感圧接着剤の一定の弾性が必要である。
【0012】
感圧接着剤の十分な凝集を達成するためには、これらは一般的に架橋される、すなわち個々の分子を、ブリッジの形成によって互いに結合する。この架橋は様々な方法で行うことができ、例えば物理的及び化学的(熱的)架橋法がある。
【0013】
均質な接着テープの製造のためには、ポリマーを熱的に架橋することが有利である。厚手の層に均一に熱エネルギーを供することも難なく可能である。これに対し、化学線(例えば紫外線、電子ビーム)によって架橋された材料層は、架橋された層中に架橋プロフィルを示す。この架橋プロフィルは、放射線が層中に限られた侵入深さしか持たず、この際、放射線の強度は、加えて、吸収プロセスの故に侵入深さと共に減少するということから生じる。それ故、放射線化学的に架橋された材料層の外側領域は、それより内側にある領域よりも強く架橋され、この際、架橋強度は全体として内側にいくにつれ弱まる。特に厚手の層では、この効果は非常に重大である。
【0014】
例えばEP2305389A2(特許文献1)及びEP2617789A1(特許文献2)は、良好な接着及び凝集特性を持った、熱架橋された発泡されたもしくは発泡されていな構造用接着テープを開示している。しかし、この接着テープは、比較的弱い湿潤挙動を示し、加えて、非極性の下地、特に自動車塗料に対する接着に関しても弱さも示す。
【0015】
WO2013/048985A2(特許文献3)及びWO2013/048945A1(特許文献4)は、特に非極性表面、中でも自動車塗料上に接着するのに適した多層構造用接着テープを記載している。WO2013/048985A2(特許文献3)の接着テープは、外側の感圧接着層が、12〜32個の炭素原子を有する2−アルキルアルカノール残基、任意に及びC1〜12アルカノール残基を持つ(メタ)アクリル酸エステルを含むことを特徴とする。WO2013/048945A1(特許文献4)では、外側の感圧接着剤層は、特に、14〜25個の炭素原子及び少なくとも2で最大4のイソインデックスを有する第一級アルコール残基を持つアクリル酸エステルを含む。そこに開示される生成物はUV放射線で架橋されるという欠点の他に、最初は良好な湿潤が負荷下に弱まる、すなわち脱湿潤が起こることが判明した。
【0016】
WO2014/081623A2(特許文献5)も同様に、自動車塗料上に非常に良好な接着強度を示すUV架橋された多層型構造用接着テープを開示している。これは、外側感圧接着剤層中にコモノマーとして2−プロピルヘプチルアクリレート(PHA)を使用することによって達成され、この際、好ましいコモノマー組成物として、PHAと、エチレン性不飽和基を持つ更に別のコモノマーとの混合物が挙げられている。後者は、特に、分岐状、環状もしくは芳香族アルコール成分との(メタ)アクリレート、例えばイソボルニルアクリレート(IBOA)、すなわち高いガラス転移温度及び二環式残基を持つアクリル酸エステルである。
【0017】
US2011/0244230A1(特許文献6)は、特に柔軟でありかつ平らでない基材上に接着するのに良好に適したアクリレートベースの発泡接着テープを記載している。しかし、上記の接着テープはUV放射線を用いて架橋されるため、生じる架橋勾配は、劣った湿潤挙動をまねく。
【0018】
EP2226372A1(特許文献7)は、アクリル酸濃度が8〜15重量%であるポリアクリレートを含みかつ線状アクリル酸エステルと分岐状アクリル酸エステルとの比率が1:6〜10:1質量部の範囲であることを特徴とする、熱架橋型感圧接着剤を記載している。しかし、この接着剤は、湿潤がゆっくりすぎ、また基材上で各々の最大接着力まで接着力が高まるのが遅すぎる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】EP2305389A2
【特許文献2】EP2617789A1
【特許文献3】WO2013/048985A2
【特許文献4】WO2013/048945A1
【特許文献5】WO2014/081623A2
【特許文献6】US2011/0244230A1
【特許文献7】EP2226372A1
【特許文献8】EP05792143A1
【特許文献9】DE102009015233A1
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】F.R.Schwarzl,Polymermechanik:Struktur und mechanisches Verhalten von Polymeren,Springer Verlag,Berlin,1990
【非特許文献2】Polymer 8/1967、381頁以降
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の課題は、特に強接着性の両面感圧接着テープのための、高性能感圧接着剤を提供することである。該感圧接着剤は、様々な表面エネルギーを持つ表面、例えば金属、プラスチック表面、例えばPP、PE、ポリカーボネート、並びに自動車塗料を素早く湿潤するべきであり、この際、高い接着を構成するべきである。更に、該感圧接着剤またはそれを用いて形成された接着は、高められた温度下でも良好なせん断強度を有し、高い耐温湿性、並びに動的負荷下で高い接着強度、特に低温下において高い接着強度を有するべきである。最後に、該接着の持続的な機械的負荷は、表面からの接着テープの脱湿潤をまねくべきではない。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記課題の解決策は、感圧接着剤の主成分として、単分岐状及び非分岐状のアルコール成分を有するモノマーの混合物を本質的にベースとするポリ(メタ)アクリレートを使用するという思想に基づく。
【0023】
本発明の第一のかつ一般的な対象は、感圧接着剤の総重量を基準にして少なくとも50重量%の割合で少なくとも一種のポリマーAを含む感圧接着剤であって、このポリマーAが、以下のモノマー組成物に由来し得る感圧接着剤である:
a1)ホモポリマーのガラス転移温度が最大−60℃であり、アルコール成分が、1のイソインデックスを有する分岐状の第一級アルコールをベースとする、少なくとも一種の(メタ)アクリル酸エステル55〜75重量%;
a2)アルコール成分が線状C〜C18アルコールをベースとする、少なくとも一種の(メタ)アクリル酸エステル20〜40重量%;
a3)アクリル酸5〜15重量%。
【0024】
本発明による感圧接着剤は、特に、低エネルギー表面の迅速な湿潤、及び接着に持続的な機械的負荷がかけられている場合でも高い脱湿潤抵抗、並びにその他の良好な接着技術的特性を特徴とする。
【0025】
本発明では、感圧接着剤とは、一般の用法の通り、(特に室温で)持続的にタック性並びに接着性である物質のことである。圧力によって基材上に施すことができ、そしてそこに付着し続けることが感圧接着物質の特徴であり、この際、適用される圧力及びこの圧力の作用時間は詳しくは定義されない。幾つか場合において、感圧接着物質の正確な種類、温度及び空気湿度並びに基材に依存して、一瞬の軽い接触を超えない短時間の最小の圧力の作用が付着効果を達成するのに十分であり、他の場合には、高い圧力の比較的長期の作用時間が必要なこともある。
【0026】
感圧接着物質は、特に、持続的なタック及び接着性をもたらす特徴的な粘弾性特性を有する。感圧接着物質に特徴的なのは、機械的に変形されると、粘性流動プロセスも、弾性復元力の発生も起こることである。両方のプロセスは、それぞれの割合に関して、感圧接着物質の正確な組成、構造、及び架橋度にも、変形の速度及び時間にも、並びに温度にも応じて、互いに特定の比率にある。
【0027】
割合に応じた粘性流動は、接着の達成のために必要である。比較的大きな可動性を持つ高分子によって引き起こされる粘性部分のみが、接着すべき基材上での良好な湿潤及び良好な流動を可能にする。粘性流動の高い割合は、強い感圧接着性(タックまたは表面接着性とも称される)をもたらし、それ故、多くの場合に高い接着力も与える。強く架橋した系、結晶性またはガラス様に硬化したポリマーは、流動可能な成分が欠けているので、一般的に感圧接着性ではないか、または少なくとも僅かにしか感圧接着性でない。
【0028】
割合に応じた弾性復元力は、凝集性を達成するために必要である。この復元力は、例えば非常に長鎖で強く絡んだ高分子及び物理的または化学的に架橋された高分子によってもたらされ、そして接着結合に作用する力の伝達を可能にする。復元力により、接着結合が、例えば持続的なせん断負荷の形で接着結合に作用する持続的負荷に対して十分に、比較的長時間にわたって持ちこたえ得るようになる。
【0029】
弾性部分及び粘性部分の尺度並びにこれらの部分の互いの比率をより正確に表現しかつ定量化するためには、動的機械分析(DMA)によって確定可能な値である貯蔵弾性率(G’)及び損失弾性率(G”)を引用することができる。G’は、物質の弾性部分のための尺度であり、G”は物質の粘性部分のための尺度である。両方の値は変形周波数及び温度に左右される。
【0030】
これらの値は、レオメータによって確定することができる。その際、調べるべき材料は、例えばプレート・プレート構成において、正弦波状に振動するせん断負荷に曝される。ずり応力制御された機器の場合、時間の関数としての変形及びずり応力の導入に対するこの変形の時間的ずれが測定される。この時間的ずれは位相角δと呼ばれる。
【0031】
貯蔵弾性率G’は次のように定義されている。すなわちG’=(τ/γ)・cos(δ)(τ=ずり応力、γ=変形、δ=位相角=ずり応力ベクトルと変形ベクトルとの間の位相ずれ)。損失弾性率G’’は次のように定義される:G’’=(τ/γ)・sin(δ)(τ=ずり応力、γ=変形、δ=位相角=ずり応力ベクトルと変形ベクトルとの間の位相ずれ)。
【0032】
材料が一般的に感圧接着性とみなされ、また本明細書の意味において感圧接着性と定義されるのは、室温において、ここでは定義に基づき23℃で、変形周波数が10〜10rad/secの範囲の際に、G’が少なくとも部分的に10〜10Paの範囲内にある場合で、かつG”も同様に少なくとも部分的にこの範囲内にある場合である。「部分的」とは、10rad/sec以上10rad/sec以下の変形周波数範囲(横座標)並びに10Pa以上10Pa以下のG’値(縦座標)の範囲に広がるウィンドウ内に、G’曲線の少なくとも一区間があることである。G”についても同様である。
【0033】
「(メタ)アクリル酸エステル」という用語は、一般的な解釈に一致して、アクリル酸エステルだけでなく、メタアクリル酸エステルも包含するものと解される。「(メタ)アクリレート」という用語についても同様である。
【0034】
イソインデックスは、(メタ)アクリレートコモノマーのアルコール残基の分岐度の目安またはアイソマー混合物の場合には平均値であり、そして第一級アルコールのメチル基(−CH)から1を引いた数と定義される(WO2013/048945A1(特許文献4))。イソインデックスの確定のためには、(メタ)アクリル酸エステルの遊離のアルコールをトリクロロアセチルイソシアナートと反応させてカルバメートとし、そして以下の等式1に従って計算を行う。
【0035】
【数1】
【0036】
分岐度は、アルコールまたはアルコール混合物のH−NMR分光分析によって求めることができる。等式1中のI(CH)は、積分によって決定したメチルプロトンの絶対ピーク面積(0.70ppmと0.95ppmの間の範囲のδ)を意味し、そしてI(CH−OR)は、誘導体化したアルコールのカルバメートに対してα位置におけるメチレンプロトンの絶対ピーク面積(3.9ppmと4.5ppmとの間のδ)を意味する。1のイソインデックスは、アルコール残基が正確に一つの分岐点を有することを意味する。
【0037】
ホモポリマーのガラス転移温度が最大−60℃であり、アルコール成分が、イソインデックスが1の分岐状第一級アルコールをベースとする好ましい(メタ)アクリル酸エステルは、例えば2−プロピルヘプチルアクリレート(PHA)及びイソデシルアクリレートである。
【0038】
好ましくは、本発明による感圧接着剤は、少なくとも一種のエポキシシクロヘキシル誘導体の使用下に、プロトンアクセプター、電子対ドナー及び電子対アクセプターの不在下に熱的に架橋される。熱架橋は、材料層全体を通して有利に均質な架橋を引き起こし、他方で、例えば、放射線架橋された材料では、材料の内部に向かって減少する架橋密度を持つ架橋プロフィルが観察される。均質な架橋された感圧接着剤層は、接着が負荷にさらされた時に起こり得るような、応力の均一な分布を可能にする。接着性及び凝集性の特性は、層全体について非常に正確に均衡されるために、正確に予測可能な特性プロフィルを持つ負荷可能な接着を得ることができる。特に好ましくは、本発明による感圧接着剤は、少なくとも一種のエポキシシクロヘキシル誘導体の使用下に、架橋促進剤の不在下に熱的に架橋される。
【0039】
本発明による感圧接着剤は、好ましくは接着力を高める樹脂を含まない。感圧接着剤の接着力を高めるために通常使用される樹脂には、例えば脂肪族炭化水素樹脂、芳香族炭化水素樹脂、アルキル芳香族炭化水素樹脂;テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂;ロジン樹脂、特に水素化、非水素化及び不均化ロジン樹脂;官能化炭化水素樹脂及び天然樹脂などが含まれる。接着力を高める樹脂の不在は、本発明による感圧接着剤の凝集特性に有利に作用し、この際、本発明による感圧接着剤は、それら自体は、非常に軟質かつ柔軟でありそして高いタックを示す。
【0040】
好ましくは、ポリマーAは、少なくとも500,000g/モル、特に好ましくは少なくとも700,000g/モルの重量平均分子量Mを有する。同様に好ましくは、ポリマーAは、最大1,700,000g/モルの重量平均分子量Mを有する。重量平均分子量Mと数平均分子量Mとの商として求められる多分散度PD、すなわちモル質量分布の幅は、ポリマーAの場合は、好ましくは10≦PD≦100、特に好ましくは20≦PD≦80である。
【0041】
実施形態の一つでは、本発明による感圧接着剤は、一種以上のポリマーAと一種以上の合成ゴムとのブレンドを含む。一種以上の合成ゴムは、好ましくは、スチレン−ブタジエン−スチレンゴム;スチレン−イソプレン−スチレンゴム、及び上記のゴムの水素化誘導体からなる群から選択される。
【0042】
本発明の更に別の対象は、発泡したキャリアと、本発明による感圧接着剤とを含む接着テープである。好ましくは、発泡したキャリアは、シンタクチックポリマーフォームを含む。「シンタクチックフォーム」という用語は、独立気泡型フォームの特殊な形態を表すものであり、それの空隙が、ガラス中空球体、セラミック中空球体及び/またはポリマー中空球体によって形成されているものである。
【0043】
シンタクチックポリマーフォーム層の裏側には、安定化またはカバーのために、例えばライナーまたは慣用のフィルム材料を備えることができ、そうして本発明による少なくとも二層の接着テープを含む少なくとも一つの三層の系が存在するようにできる。
【0044】
十分に厚いポリマーフォーム層の場合には、該感圧接着剤層とは反対側の、該ポリマーフォーム層の二層系における自由な面は、これを、短い侵入深さの架橋プロセスによって強く架橋して、フォームキャリア層の一部だけが強く架橋されるようにし、他方、感圧接着剤層側の他方のキャリア面上では元々存在するむしろ粘弾性の特性が保持されるようにして安定化することもできる。
【0045】
特に好ましくは、発泡したキャリアの両面上に感圧接着剤が配置され、この際、これらの感圧接着剤の一方は、本発明による感圧接着剤である。特に、発泡したキャリアの両面に、本発明による感圧接着剤が配置される。この場合、接着テープの両面が、本発明による感圧接着剤の有利な接着技術上の特性を持つことになるため有利である。
【0046】
特殊な実施形態の一つでは、発泡したキャリアの両面に感圧接着剤が配置され、そしてこれらの両側の感圧接着剤は、同じ濃度で同一の添加剤、特に機能性添加剤及び/または充填材を含む。同様に、両感圧接着剤は、機能性添加剤及び/または充填材を含まないこともできる。特定の実施形態の一つでは、発泡したキャリアの両面上に、感圧接着剤、特に本発明による感圧接着剤が配置され、そしてこれらの感圧接着剤は、化学的に、物理的に及び/またはそれらのサイズが同一である。特に、両感圧接着剤は完全に同一であり、この際、常在濃度範囲での不純物、生産起因の不精確さ、及び類似の他の原因から生じ得るような、本質的ではない不一致は考慮されない。
【0047】
発泡したキャリアは、好ましくは、フォームの総重量を基準にして少なくとも50重量%の割合で、ゴム、特に天然ゴム、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリレート及びスチレンブロックコポリマー並びに上記のポリマーのブレンドからなる群から選択される少なくとも一種のポリマーを含む。特に好ましくは、発泡したキャリアは、フォームの総重量を基準にして少なくとも50重量%の割合で一種以上のポリ(メタ)アクリレートを含む。
【0048】
特に、発泡したキャリアは、フォームの総重量を基準にして少なくとも50重量%の割合で、以下のモノマー組成物に由来し得る少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートBを含む:
b1)65〜97重量%のエチルヘキシルアクリレート及び/またはブチルアクリレート、
b2)0〜30重量%のメチルアクリレート、
b3)3〜15重量%のアクリル酸。
【0049】
好ましくは、発泡したキャリア中に含まれる一種以上のポリマー、特に好ましくはポリマーBは、少なくとも500,000g/モル、特に好ましくは少なくとも700,000g/モルの重量平均分子量Mを有する。同様に好ましくは、発泡したキャリア中に含まれるポリマーは、最大で1,700,000g/モルの重量平均分子量Mを有する。重量平均分子量Mと数平均分子量Mとの商として求められる多分散度PD、すなわちモル質量分布の幅は、発泡したキャリア中に含まれるポリマーでは、好ましくは10≦PD≦100、特に好ましくは20≦PD≦80である。
【0050】
本発明による感圧接着剤中だけでなく、発泡したキャリア中にも含まれるポリマーは、好ましくは、従来技術に従いフリーラジカル重合によって、特に溶液状態で製造することができる。場合により後続する溶融物からの加工の場合には、溶剤を重合の後に除去する。
【0051】
発泡したキャリアは、好ましくは溶融物から層を形成する。この際好ましくは、発泡した層の熱架橋が行われる。本発明による感圧接着剤も溶融物から層を形成することができる。しかし、これらの層は、通常、層厚をわずか100μmとして生成されるために、これらは、格別に、溶液からコーティングし、次いで乾燥することもよい。
【0052】
方法技術に依存して、発泡したキャリア層などの非常に厚手のポリマー層は、ポリマー溶液からよりも溶融物から形成することが遙かに良好である(いわゆるホットメルト)。溶融物の定義には、非晶質のポリマー(例えばポリアクリレート)の溶融物は、本発明では、F.R.Schwarzl,Polymermechanik:Struktur und mechanisches Verhalten von Polymeren,Springer Verlag,Berlin,1990(非特許文献1)に記載の規準が使用され、それによれば、その粘度は最大η≒10Pa・sのオーダーの粘度であり、そして内部減衰は、≧1のtanδ値に達する。
【0053】
本発明による感圧接着剤のポリマー層及び本発明の接着テープの発泡したキャリアのポリマー層を溶融物からのコーティングによって形成する場合には、好ましい熱架橋の結果起こる問題が発生する。一方では、熱架橋剤は、後続の熱架橋の開始のためにコーティングの前に添加する必要があるが、他方で、架橋剤は次いでポリマー溶融物の生成及び維持のために高温に曝される。これは、制御された架橋が起こる前に既に、不制御のポリマー架橋(いわゆるゲル化)を招く恐れがある。このゲル化を大幅に抑制するために、ホットメルト法では通常のは非常に反応不活発な架橋剤を、詳しくはコーティングの少し前になって始めて使用する。しかし、コーティングの後に満足できる架橋の成果を達成するためには、その他に多くの場合にいわゆる促進剤が混合される。
【0054】
溶液からコーティングされた熱架橋するべきポリマー系のためにも、促進剤の使用は有意義であり得、そして多くの場合に実行される。熱的に開始される架橋過程は、通常は、塗布された層からの溶剤の熱による除去(すなわち、材料層の乾燥)と組み合わされる。この際、溶剤のあまりに急速な除去は、粗悪に形成されたムラのある不均質な層を招く、というのも、あまりに過激な乾燥は例えば気泡の形成を招くからである。この理由から、乾燥は好ましくは温和な温度で行われる。しかし、良好でかつ十分に急速に進行する架橋を保証するためには、通常は促進剤が溶剤系にも加えられる。
【0055】
この時、生じる層の厚さがあまり厚くなく、そのため施与されるポリマー溶液の高められた粘度が(ほぼ溶剤を含まない溶融物と比べて)大きな問題を伴わない場合には、溶液からのコーティングが多くの場合に好ましい。
【0056】
発泡されたキャリア層を促進剤の関与下に架橋させることが本発明において好ましい。促進剤または促進作用する物質としては、特に、プロトンアクセプター、電子対ドナー(ルイス塩基)及び/または電子対アクセプター(ルイス酸)が使用される。促進剤とは、本発明において十分な反応速度を保証するという点で架橋反応を援助する化合物または化学品である。これは、特に、触媒作用により(架橋反応の活性化により)及び/または架橋剤物質もしくは架橋すべき高分子の官能基を、高分子の互いの結合反応(ブリッジ形成、ネットワーク形成)の意味で反応し得るかまたは架橋剤物質を介して更なる官能基と反応し得る官能基に転換することによって行われる。
【0057】
促進剤自体は、このような結合反応には関与しないが(すなわちそれ自体は架橋しない)、反応生成物またはフラグメントの形でネットワークに組み入れられ得るかまたはこれらに結合し得る。すなわち、促進剤は、架橋反応の反応速度の本質的な改善を保証する。
【0058】
これに対して架橋剤は、それら自体の官能基によって、ネットワークの形成をもたらすブリッジ形成を導く反応、特に付加反応もしくは置換反応に関与することができる物質である。更に、(例えば促進剤の上記の影響または他の過程によって)架橋反応の枠内で、引き続いて架橋すべきポリマーの高分子間のブリッジ形成をもたらす官能基に変換される官能基も含まれ得る。
【0059】
促進剤の不在下での架橋反応は、選択された反応パラメータ(本発明では特に、発泡したキャリア層のポリマーの加工温度未満の温度)では、進行しないかまたは不十分な速度でしか進行しないであろう。例えば、ポリアクリレートのための架橋剤として使用される多くのエポキシドは、むしろ反応不活発な性質を有し、そのため、これらは、促進剤が無い場合には、満足な架橋の成果をもたらさない。
【0060】
プロトンドナー、特にカルボン酸またはカルボン酸基またはそれの脱プロトン化誘導体は、本発明の意味においては促進剤には数えられない。
【0061】
本発明による感圧接着剤中での促進剤の存在は全く不利でもある。例えば、特に窒素含有促進剤、例えばアミンは、時間と共に酸化プロセスによって黄変する傾向があり、そのため、このような促進剤系は、特に透明な感圧接着剤または多層感圧接着テープ、特に光学的目的に使用するべきこれらの接着剤または接着テープでは、適性が低いかまたは不適である。
【0062】
塩様のまたは塩を形成する促進剤(特に塩基性促進剤)、例えば上記のアミンまたは塩化亜鉛は、製品の高められた湿分吸収能力をもたらす、というのも、塩は一般的に吸湿特性を持つからである。特に意図された使用分野の故に非常に高い耐温湿性を有するべき感圧接着剤の場合には、このような促進剤は適していない。
【0063】
それ故、本発明によれば、本発明による感圧接着剤の熱架橋を、特に空気と接触する接着剤の場合については、促進剤を混合せずに、エポキシシクロヘキシル誘導体を用いて達成することが目的とされる。この際、促進剤の不在とは、特に、外部添加された(すなわち重合導入されていないまたはポリマー骨格に組み込まれていない)促進剤に関することであり;しかし、特に好ましくは、本発明による感圧接着剤は、外部添加された促進剤も重合導入された促進剤も含まず、特には促進剤を全く含まない。
【0064】
ポリマー層、ここでは特に本発明による感圧接着剤の性質、及びそれらの物理的特性(例えば粘弾性、凝集、弾性成分)は、それらの架橋のタイプ及び程度によって影響され得る。
【0065】
それ故、本発明による感圧接着剤は、好ましくは、少なくとも一種のエポキシシクロヘキシル誘導体によって、特に好ましくは少なくとも一種のエポキシシクロヘキシルカルボキシレート、特に少なくとも(3,4−エポキシシクロヘキサン)メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート(CAS 2386−87−0)によって架橋される。
【0066】
エポキシシクロヘキシル誘導体は、架橋すべき感圧接着剤中に、それぞれ架橋すべきポリマーの総量を基準にして0.4重量%まで、非常に好ましくは0.3重量%までの総量で存在することが好ましい。ポリマー100重量部に対し0.3重量部を超える架橋剤量では、接着力の損失が益々見込まれるようになり、そして湿潤が劇的に悪化する。特に好ましい架橋剤の量は、例えば、それぞれ架橋すべきポリマーの総量を基準にして、0.12〜0.30重量%の範囲、特に0.15〜0.25重量%の範囲である。
【0067】
発泡されたキャリアも好ましくは熱架橋され、これは、層の非常に均質な形成をもたらす。特に好ましくは、発泡されたキャリアは、少なくとも一種のグリシジルエーテル、特に少なくとも一種のポリグリシジルエーテル、非常に好ましくは少なくともペンタエリトリトールテトラグリシドエーテル(CAS3126−63−4)によって熱的に架橋される。発泡されたキャリアの架橋は、好ましくは、促進剤としてのアミンと組み合わせて、特に好ましくはイソホロンジアミン(CAS2855−13−2)と組み合わせて行われる。架橋すべき発泡したキャリア層中での架橋剤の総割合は、架橋すべきポリマーの総量をそれぞれ基準にして、好ましくは1.0重量%まで、より好ましくは0.8重量%までである。好ましい架橋剤量は、例えば、架橋すべきポリマーの総量をそれぞれ基準にして0.05〜0.6重量%、特に0.10〜0.5重量%の範囲である。
【0068】
促進剤は、好ましくは、架橋すべきポリマーの総量をそれぞれ基準にして0.1〜1.5重量%、より好ましくは0.15〜1.2重量%の量で存在する。
【0069】
発泡したキャリア中のアミン系促進剤の存在は、特に、三層または多層構成では重要ではない、というのも、これらの場合ではキャリア層は、外側の接着剤層もしくは感圧接着剤層によって、空気酸素などの酸化性物質の影響から大幅に遮られるからである。
【0070】
発泡したキャリア及び一方もしくは両方の感圧接着層の熱架橋は、例えば感圧接着剤層がまだ架橋されていない発泡したキャリア上にコーティングされるかまたはこれらの層が特殊なプロセスにおいて一緒に形成される時に、同時に実施できる。
【0071】
しかし、個々の層は、例えば感圧接着剤を既に熱架橋したキャリア層にコーティングし、次いで熱架橋する場合にまたは感圧接着剤を他の箇所で形成及び熱架橋し(例えばリリース材料などの一次的なキャリア上で行う場合)、次いで既に架橋した発泡キャリア上に積層する場合には、別々のプロセスでも熱架橋することもできる。このためには特に、発泡したキャリア及び/または一つ以上の感圧接着剤を、例えばコロナ処理及び/もしくはプラズマ処理及び/または反応性コロナ処理及び/もしくは反応性プラズマ処理(例えば窒素、酸素、フッ素及び/または他のガスなどのガスの使用して)及び/または火炎処理(Flame Treatment)によって、化学的に及び/または物理的に前処理することが有利であり得る。
【0072】
本発明による特に三層の両面接着テープの製造は、EP05792143A1(特許文献8)における三層または多層系についての製法に応じて行うこともできる。そこに記載の製造及びコーティング方法は、本明細書の接着テープのためにも類似して使用でき; それ故、EP05792143A1(特許文献8)の開示内容は、本明細書に明示的に掲載されたものとする。EP05792143A1(特許文献8)に記載の製品構成の製法についても同様である。特に、発泡されたキャリアの製造のためのマイクロバルーンを用いた発泡は、有利には、EP2414143A1(特許文献8)及びDE102009015233A1(特許文献9)に記載の方法に従い行われる。
【0073】
発泡されたキャリアは、好ましくは、圧力負荷下に流動挙動(「クリープ」とも称される)を示す非常に高粘性の液体と見なされる。この意味での粘弾性材料は、好ましくは既に重力によって、すなわちそれ自体の重量による負荷下で、程度の差はあれゆっくりと流動しそして特に下地上を流れるかまたは下地を湿潤する能力を有する。しかし、少なくとも、この効果は外部圧力作用下に起こる。例えば接着テープを下地上に押圧することによる圧力の上昇は、この挙動を明らかに促進できる。
【0074】
更に、ここに記載の好ましい発泡キャリアの意味での粘弾性材料は、ゆっくりとした力の作用下に、それに作用する力を緩和する能力を有する。すなわち、これらは、力を振動及び/または変形(これは(少なくとも部分的に)可逆的であることもできる)に分散することができ、それ故、作用する力を「緩衝」でき、そして作用する力による機械的な破壊を好ましく防ぐか、しかし少なくとも低減でき、または破壊が始まる時点を遅らせることができる。非常に迅速に作用する力の場合には、粘弾性材料は通常な粘弾性の挙動、すなわち完全に可逆性の変形の挙動を示し、この際、材料の弾性力を超えている力は破断を招く恐れがある。
【0075】
これと反対のものが、ゆっくりとした力の作用下でも上記の弾性挙動を示す弾性材料である。弾性挙動は、基本的に湿潤に対して不利に作用する。それ故、本発明による感圧接着剤も、急速な力の負荷下での際だった弾性挙動にもかわらず、全体としてはむしろ粘弾性挙動を示し、特に長期の時間スケールでむしろ液体のように粘性挙動し、それ故、最適でかつ特に迅速な湿潤を引き起こすことが有利である。
【0076】
発泡したキャリアは、好ましくは、ポリマー中空球体、ポリマー中実球体、ガラス中空球体、ガラス中実球体、セラミック中空球体、セラミック中実球体及び炭素中実球体(「カーボンマイクロバルーン」)からなる群から選択される少なくとも一種の発泡剤を含む。特に好ましくは、発泡したキャリアは、少なくとも部分的に膨張したポリマー性マイクロ中空体を含み;特にそれらの基本状態から熱及び/または他のエネルギー供給下に膨張し得、そしてそれの外皮が、ポリメチルメタクリレート、PVDCまたはポリスチレンなどの熱可塑性材料からなるポリマー性マイクロ中空体、例えばガス充填及び/または液体充填ポリマー球を含む。本発明による感圧接着剤もこのような発泡剤を含むことができる。
【0077】
発泡したキャリアは、好ましくは、シリカ、特に好ましくはジメチルジクロロシランで表面処理した沈降シリカを含む。それによって、キャリア層の熱せん断強度が調節され、特に高められるので有利である。更に、シリカは、透明なキャリアに優れて使用できる。好ましくは、発泡したキャリア中に含まれるポリマーの全体を基準として15重量%までのシリカが発泡したキャリア中に含まれる。本発明による感圧接着剤もシリカを含むことができる。
【0078】
発泡したキャリア及び/または本発明による感圧接着剤、特に本発明による感圧接着剤は、好ましくは少なくとも一種の可塑剤を含む。可塑剤は、好ましくは、(メタ)アクリレートオリゴマー、フタレート、シクロヘキサンジカルボン酸エステル(例えばHexamoll(登録商標)DINCH、BASF社、CAS166412−78−8)、水溶性可塑剤、軟質樹脂、ホスフェート(例えばLevagard(登録商標)DMPP、Lanxess社、CAS18755−43−6)及びポリホスフェートからなる群から選択される。
【0079】
本発明に従う特に両面の接着テープは、一般的に及び上述の実施形態において、一連の利点を有する:
好ましい熱架橋によって、接着テープは一方ではそれらの層を通して架橋プロフィルを持たない。化学線(紫外線、電子線)によって架橋された粘弾性層または感圧接着剤層は、各々の架橋された層を通して架橋プロフィルを示す。熱架橋された材料層はこの挙動を示さない。なぜならば、熱が均一に層中に侵入できるからである。
【0080】
エポキシシクロヘキシル誘導体を用いて熱架橋された本発明による感圧接着剤は、他の架橋剤を用いて架橋された系よりも高い接着力を示す。この知見は、本発明による接着テープに大きな意味を有する。ポリアクリレートベースの発泡したキャリアを使用し、そしてこれの少なくとも一方の面に、本発明に従う熱的に、特にエポキシシクロヘキシル誘導体を用いて架橋された感圧接着剤を備えると、接着力ばかりでなく、この接着テープ面上の湿潤挙動も、
−対応する感圧接着剤を弾性ポリマーキャリア上に有する系、または
−同一の、好ましくは粘弾性のキャリアを有するが、他の感圧接着剤(たとえそれ自体は接着性が明らかにより高い場合も)を有する系、
よりも良好である。
【0081】
本発明による接着テープの接着力のためには、外側の感圧接着剤だけでなく、発泡したキャリアも同様に役割を果たすために、優れた接着性のためには、系全体が重要である。すなわち、本発明による接着テープが基づく思想は、好ましくは粘弾性で比較的軟質のフォーム層と、それ自体(すなわち例えばキャリアとして弾性フィルム下地を用いた)感圧接着性がそれほど強くない感圧接着層との組みあわせを内包する。それによって、両層の協力によって、感圧接着剤層の側上での接着挙動が改善され、それによって、それ自体でまたは弾性キャリア上で感圧接着性がそれ自体より強い感圧接着剤層の場合よりも明らかに良好な接着力並びに湿潤挙動が達成されるという結果となる。
【0082】
本発明によって、それ自体は接着性が比較的弱い凝集性接着剤が、この凝集性ポリマー層に隣接してフォーム層を設けることによって、接着力が非常に強い及び迅速に湿潤する接着テープ用の接着テープとして首尾良く適格化される。
【0083】
接着力そのものは外側の接着剤によって決定される接着テープでは、しばしば接着と凝集との間で妥協しなければならない(本明細書の冒頭部を参照されたい)。本発明によれば、個別に最適化できる二つの異なる層の特性を制御することによって、優れた総合特性を首尾良く達成できる。特に、鋼鉄または非極性自動車塗料に対する本発明による接着テープの接着力は、本発明による感圧接着剤の側で、好ましくは12時間後、より好ましくは8時間後に、少なくとも40N/cm以上である。特に好ましくは、この接着力は実際は測定可能ではない。というのも、50N/cm超の値は、シンタクチックポリマーフォームの望ましい凝集破壊をもたらすからである。加えて、本発明による接着テープは、高温(例えば約70℃)で長いせん断耐久時間を有する。
【0084】
本発明による接着テープの改善された取り扱いまたは貯蔵のためには、これは、片面または両面にリリース材料を備えることができ、ここで、このリリース材料は、例えば、シリコーン、フィルム、シリコーン化されたフィルムまたは紙、表面処理されたフィルムまたは紙あるいは類似物、すなわちいわゆるライナーである。
【0085】
本発明による接着テープは、上記の層の他に更なる層を含むことができ、すなわち3超の層順列を持つ多層系が可能である。この際、発泡したキャリア層に、好ましくは直接的にまたは少なくとも間接的に本発明による感圧接着層が備えられる場合に特に有利である。というのも、この場合、既に記載した接着技術上の利点が実現されるからである。
【0086】
本発明による接着テープは、追加的に非常に高い接着力を有する非常に厚手の製品として製造できることを特徴とする。このような製品は、例えば建築部門、自動車工業、または凹凸もしくは空洞を均す必要のある接着に使用される。
【0087】
発泡したキャリア層の良好な緩和挙動に基づいて、本発明による接着テープは、機械的な負荷、衝撃及び類似の力などの力の作用を捕らえそしてそのエネルギーを拡散するのに適している。それ故、本発明による接着テープは、例えば壊れやすい物体の接着のために、エレクトロニクス分野においてまたは類似の分野において、衝撃及び/または振動減衰作用が望ましい時にはどのような場合でも非常に好適である。異なる熱膨張係数を持つ材料を互いに接着すべき場合に、本発明による接着テープを使用することが格別有利である。というのも、本発明による接着テープは、互いに接着された物体または表面の異なる膨張挙動によって生じる応力をその緩和力によって拡散できるからである。それとは異なり、慣用の接着テープは、接着された物体が大きく異なる膨張挙動を示す場合には、多くの場合破壊を招く傾向がある、すなわち接着部分の弱化またはそれどころか破断を招く。
【0088】
本発明による接着テープは、数マイクロメータから数百マイクロメータの通常の接着テープの厚さで、しかし特に有利には300μm超、例えば500μm以上、1000μm以上、1500μm以上、2000μm以上、または更には3000μm以上の厚さで製造することができる。更に厚手の製品も実現可能である。
【0089】
好ましくは、本発明による接着テープでは、発泡したキャリアは、300〜2500μm、より好ましくは400〜2400μmの層厚を有し、そして少なくとも一つの感圧接着剤は40〜150μm、より好ましくは50〜100μmの層厚を有する。
【0090】
本発明による接着テープは、非極性自動車塗料上に飾り縁、エンブレム及びバンパーを接着及び固定するのにも格別良好に適している。必要な場合には、接着強度を更に高めるために、接着の前に表面を更にプライマーで処理することができる。
【0091】
本発明の接着テープが卓越して適している更に別の使用分野は、例えば、建物の建設または解体、建物の装備及び建築分野(各々内装及び/または外装)、DIY分野、模型製作、家具製造、船舶及び航空機の建造、電子及び電気工業(例えば、家庭用エレクトロニクス、白物、褐色物、良好な耐熱性に基づいて赤物にも)並びに道路交通(道路標識など)である。
【実施例】
【0092】
測定方法:
固形分含有率(測定法A1):
固形分含有率は、ポリマー溶液中の気化できない構成分の割合の目安である。これは、2時間120℃で乾燥庫中で、気化可能な成分を蒸発させ、そして残留物を再び計量することによって重量分析により決定される。
【0093】
K値(フィケンチャー法に基づく)(測定法A2):
K値は、高重合体物質の平均分子サイズに関する尺度である。測定のため、トルエンに溶かした1パーセント(1g/100ml)のポリマー溶液を調製し、VOGEL−OSSAG粘度計によりこの溶液の動粘性を決定した。トルエンの粘度に基づく規格化により相対的な粘度が得られ、この粘度からフィケンチャー法に基づいてK値を算定することができる(Polymer 8/1967、381頁以降(非特許文献2))。
【0094】
ゲル浸透クロマトグラフィGPC(測定法A3):
本明細書における重量平均分子量M及び多分散度PDのデータは、ゲル浸透クロマトグラフィによる決定に関する。この決定は、清澄ろ過した試料100μl(試料濃度4g/l)に対して行われる。溶離液としては、トリフルオロ酢酸を0.1体積%含むテトラヒドロフランを用いる。測定は25℃で行う。プレカラムとして、タイプPSS−SDV、5μm、10Å、ID8.0mm×50mmのカラムを使用する。分離には、PSS−SDVタイプ、5μm、10Å並びに10Å及び10Å、それぞれID8.0mm×300mmのカラムを用いる(Polymer Standards Service社のカラム;示差屈折計Shodex RI71によって検出)。貫流量は1分当たり1.0mlである。キャリブレーションは、PMMA標準に対して行う(ポリメチルメタクリレートキャリブレーション)。
【0095】
塗布量及び層厚を介した密度の決定(測定法A4)
コーティングされた自着剤の空間重量または密度ρは、各々の層厚に対する坪量の比率を介して決定する。
【0096】
【数2】
この方法では、嵩密度が得られる。
【0097】
この密度決定は、完成した製品(三層の製品でも可)の全層厚の決定に特に適している。
【0098】
180°接着力試験(測定法H1):
ポリエステル上に層として施与した感圧接着剤の20mm幅のストリップを、予めアセトンで二度、イソプロパノールで一度洗浄した鋼鉄製プレート上に施与した。感圧接着ストリップは、2kgの重さに相当する押し圧力で二回基材上に押しつけた。次いで直ぐに、この接着テープを300mm/分の速度及び180°の角度で基材から引き剥がした。全ての測定は室温で行った。
【0099】
測定結果はN/cmで表示し、そして三回の測定から平均する。
【0100】
せん断耐久時間(Scherstandzeit)(測定法H2):
接着テープの13mm幅で20mmより長い(例えば30mm)ストリップを、平滑な鋼鉄表面上に施与した。この鋼鉄表面は、アセトンで三回、イソプロパノールで一回清浄したものであった。接着面は20mm×13mm(長さ×幅)であった。この際、接着テープは試験プレートの縁から張り出ている(例えば、上記指定の30mmの長さでは約10mm)。次いで、接着テープを、2kgの重さに相当する押し圧力で鋼鉄製キャリア上に四回押しつけた。この試料を垂直に吊して、接着テープの張り出した端が下を向くようにした。
【0101】
室温において、例えば1kgの重り(10N)を、接着テープの張り出した端に固定した;各々の荷重は例に記載する。測定は、標準状態(23℃、55%空気湿度)及び70℃で加熱庫中で行った。
【0102】
測定されたせん断耐久時間(接着テープが下地から完全に剥がれるまでの時間;10,000分経過時に測定を中止)は分の単位で表示し、三回の測定からの平均値に相当する。
【0103】
マイクロせん断試験(測定法H3)
この試験は、温度負荷下での接着テープのせん断強度の短時間試験に役立つ。
【0104】
マイクロせん断試験のための測定試料調製:
各々の試料サンプルから切り出した接着テープ(長さ 約50mm、幅 10mm)を、アセトンで清浄した鋼鉄製試験プレート上に貼り付けて、この鋼鉄性プレートが、接着テープの左右から張り出しかつ接着テープが試験プレートの上方の縁から2mm張り出すようにした。試料の接着面は高さ×幅=13mm×10mmであった。次いで、接着箇所を、2kgの鋼鉄製ロールを用いて及び10m/分の速度で6回ロール掛けした。この接着テープを、距離測定センサのための支持部として役立つ安定な接着ストリップで面一に補強した。試料を、試験プレートによって垂直につり下げた。
【0105】
マイクロせん断試験:
測定すべき試料サンプルの下端に1000gの重りを負荷した。試験温度は40℃であり、試験期間は30分間(15分間の負荷及び15分間の脱負荷)であった。一定の温度下での所定の試験期間後のせん断距離をμmの単位で結果として表示し、詳しくは最大値として[“最大”:15分間の負荷による最大せん断距離];最小値として[“最小”:脱負荷15分間後のせん断距離(“残留たわみ;脱負荷時に緩和によって後退運動が起きた]表示した。また同様に、弾性成分も百分率で表示する[“elast”;弾性成分=(最大−最小)100/最大]。
【0106】
90°接着力 鋼鉄−開放及び被覆側(測定法M1):
鋼鉄への接着力の決定は、23℃±1℃の温度及び50%±5%の相対空気湿度の試験雰囲気で行った。サンプルを、20mmの幅に切断し、そして鋼鉄製プレート上に貼付した。この鋼鉄製プレートは、測定前に清浄しそして状態調節した。このためには、先ずプレートをアセトンで拭き取り、その後、溶剤が蒸発し得るように5分間空気中に曝した。
【0107】
三層複合体:
三層複合体の、試験下地とは反対側を次いで50μmのアルミニウムホイルで覆い、それによってサンプルが測定時に伸張することを防いだ。その後、試験サンプルを鋼鉄製下地上にロールで押圧した。このためには、テープを2kgのロールで、10m/分のロール掛け速度で往復で5回ロール掛けした。上記のロール掛けの直後に、鋼鉄製プレートを、サンプルを90°の角度で垂直に上方に剥ぎ取ることを可能にする特殊な保持具中に差し込んだ。接着力の測定は、Zwick社の引張試験機を用いて行った。鋼鉄製プレート上に被覆された面を施用する時は、三層複合体の開放面を先ず50μmのアルミニウムホイルに対して積層し、リリース材料を除去し、そして鋼鉄製プレート上に貼り付け、同様にロール掛け及び測定した。
【0108】
開放面及び被覆面の両面の測定結果はN/cmで表示し、そして三回の測定から平均する。
【0109】
23μmPETフィルム上のサンプル:
片面試験サンプルを、鋼鉄製下地上に施与し、次いで2kgのロールを用いて、10m/分のロール掛け速度で5回押圧した。上記のロール掛けの直後に、鋼鉄製プレートを、サンプルを90°の角度で垂直に上方に剥ぎ取ることを可能にする特殊な保持具中に差し込んだ。接着力の測定は、Zwick社の引張試験機を用いて行った。測定結果はN/cmで表示し、そして三回の測定から平均する。
【0110】
せん断耐久時間−開放及び被覆面(測定法M2):
サンプル調製は、23℃±1℃の温度及び50%±5%の相対空気湿度の試験雰囲気で行った。試験サンプルを、13mmに切断し、そして鋼鉄製プレート上に貼付した。接着面は20mm×13mm(長さ×幅)であった。測定の前に、鋼鉄製プレートを清浄及び状態調節した。このためには、先ずプレートをアセトンで拭き取り、その後、溶剤が蒸発し得るように5分間空気中に曝した。接着後、開放面を50μmのアルミニウムホイルで強化し、そして2kgのロールを用いて往復で二回ロール掛けした。次いで、ベルトループを、三層複合体の張り出した端に取り付けた。次いで、全体を適当な装置に掛けて懸垂させ、そして例えば1kgの重り(10N)を負荷した;荷重はそれぞれ例に記載する。懸垂装置は、試料が179°+/−1°の角度で荷重されるような状態とした。それによって、三層複合体がプレートの下縁から剥がれ得ないことを確実にした。サンプルを懸垂してからそれが落下するまでの時間である測定されたせん断耐久時間は分の単位で表示し、そしてこれは三回の測定からの平均値に相当する。被覆された面の測定のためには、先ず開放面を50μmのアルミニウムホイルで強化し、リリース材料を除去し、そして上記に類似して試験プレート上に貼り付けた。測定は標準状態(23℃、55%空気湿度)で行った。
【0111】
曲げに強い基材を用いたステップ湿潤試験/リジッド・リジッド(Rigid Rigid)ウェットアウト試験(測定法M3、図1、2a(上面図)及び2b(下面図)):
サンプル調製は、23℃±1℃の温度及び50%±5%の相対空気湿度の試験雰囲気で行った。測定の前に、ポリカーボネートプレート(1,図1)を清浄しそして状態調節した。このためには、先ずプレートをイソプロパノールで拭き取り、その後、溶剤が蒸発し得るように5分間空気中に曝した。試験サンプル(2、図1及び2a)を、20mmの幅に切断し、ポリカーボネートプレートの中央に貼り付け、そしてロールを用いて往復で5回ロール掛けした。ロールの重さは、試験サンプルが2kg/cmで押圧されるように試験サンプルの幅に合わせて適合させた;すなわち、20mmの幅の場合には、4kgのロールを使用した。その際、試験サンプルがプレートを良好に湿潤するように注意した。次いで、接着したサンプルを、更に加工する前に接着テープの緩和を保証するために、23℃+/−1℃の温度及び50%+/−5%相対空気湿度の試験雰囲気下に24時間貯蔵した。
【0112】
追加的なポリカーボネート(3、図1及び2a)に、20mmの規定の間隔(5、図2a)で規定の高さを有するステップ(4、図1)を接着し、次いで上述の方法に従い清浄及び状態調節した。20μm及び100μmの高さのステップを使用し、ステップを備えていないサンプルを対照として測定した。ステップを貼り付けたこれらの基材(3、下層)を、ステップが上方を向くようにして固形の下地上に置き、そして試験サンプルを備えた基材(1)をゆっくりとかつ一定に、できるだけ圧力をかけることなく上記のステップ上に置いて(リジッド−リジッド適用)、接着テープが、ステップ間の空所(6、図1及び2b)に対しては作用が生じないように押圧した。次いで、組み合わせたプレートを、規定の重さのロールを用いて一度均一にロール掛けした。ロールの押圧速度は、約2.4m/分で一定とした。
【0113】
初期湿潤を求めるためには、ステップは使用せず(ステップ高さ0cm)、1kgのロールを使用した。ステップ試験のためには、100μmのステップ高さ及び4kgのロールを使用した。両方の場合において、それぞれ三回の決定を行った。異なる接着テープを比較する時は、これらが同じ厚さを有する点を注意した。
【0114】
両方の試験のために、それぞれの場合において、ロール掛けの後に、ステップ(4)間の全ての平面の写真を、高解像度及び規定の照明でフォトボックス中で撮影して、次いで画像加工ソフトウェアを用いてグレースケール分析により湿潤面積を定量化した。
【0115】
これは、画像分析、より詳しくはOtsu分析を利用する自動閾値法により行った。湿潤した面積の割合を、時間の関数として[%]として表示する。差異から、脱湿潤も同様に[%]で計算する。
【0116】
【表1】
【0117】
I.感圧接着剤PA1〜PA7の調製
以下に、出発ポリマーの調製を記載する。試験したポリマーは、慣用の方法に従い溶液状態でフリーラジカル重合により製造する。
【0118】
ポリアクリレート感圧接着剤1(PA1):
ラジカル重合のために慣用の300L反応器に、アクリル酸11.0kg、ブチルアクリレート(BA)27.0kg、2−プロピルヘプチルアクリレート(EHA)62.0kg、並びにアセトン/イソプロパノール(94:6)72.4kgを充填した。攪拌しながら窒素ガスを45分間導通した後、反応器を58℃に加熱し、そして50gのVazo(登録商標)67を加えた。次いで、外部の加熱浴を75℃に加温し、そして反応をこの外部温度で一定に行った。1時間の反応時間後、再び50gのVazo(登録商標)67を加えた。3時間後、20kgのアセトン/イソプロパノール(94:6)で、6時間後に10.0kgのアセトン/イソプロパノール(94:6)で希釈した。残留開始剤を少なくするため、5.5時間後及び7時間後にそれぞれ0.15kgのPerkadox(登録商標)16を加えた。反応を24時間の反応時間の後に停止し、そして室温に冷却した。続いてポリアクリレートを架橋剤Uvacure(登録商標)1500と混合し、アセトンで固形分含有率30%に希釈し、その後に、シリコーン被覆されたリリースフィルム(50μmポリエステル)または23μm厚のエッチングされたPETフィルム上に溶液からコーティングした。(コーティング速度2.5m/分、乾燥路15m、温度ゾーン1:40℃、ゾーン2:70℃、ゾーン3:95℃、ゾーン4:105℃)接着剤塗布量は50g/mであった。GPCを用いたモル質量(測定法A3):M=25,000g/モル;M=1,010,000g/モル。K値:50.3。
【0119】
ポリアクリレート感圧接着剤1(PA2):
ラジカル重合のために慣用の300L反応器に、アクリル酸11.0kg、BA27.0kg、イソデシルアクリレート(IDA)62.0kg、並びにアセトン/イソプロパノール(94:6)72.4kgを充填した。攪拌しながら窒素ガスを45分間導通した後、反応器を58℃に加熱し、そして50gのVazo(登録商標)67を加えた。次いで、外部の加熱浴を75℃に加温し、そして反応をこの外部温度で一定に行った。1時間の反応時間後、再び50gのVazo(登録商標)67を加えた。3時間後、20kgのアセトン/イソプロパノール(94:6)で、6時間後に10.0kgのアセトン/イソプロパノール(94:6)で希釈した。残留開始剤を少なくするため、5.5時間後及び7時間後にそれぞれ0.15kgのPerkadox(登録商標)16を加えた。反応を24時間の反応時間の後に停止し、そして室温に冷却した。次いで、ポリアクリレートを架橋剤Uvacure(登録商標)1500と混合し、アセトンで30%の固形分含有率に希釈し、次いでPA1に類似してコーティング及び乾燥した。接着剤塗布量は50g/mであった。GPCを用いたモル質量(測定法A3):M=31,400g/モル; M=961,000g/モル。K値:49.4。
【0120】
ポリアクリレート感圧接着剤3(PA3):
ラジカル重合のために慣用の100Lガラス反応器に、アクリル酸4.0kg、BA12.0kg、PHA24.0kg、及びアセトン/ベンジン60/95(1:1)26.7kgを充填した。撹拌しながら窒素ガスを45分間導通させた後に、反応器を58℃に加熱し、AIBN30gを添加した。次いで、外部の加熱浴を75℃に加温し、そして反応をこの外部温度で一定に行った。1時間の反応時間の後、30gのトルエンを再び加えた。4時間後及び8時間後に、それぞれアセトン/ベンジン60/95(1:1)混合物10.0kgで希釈した。残留開始剤を少なくするため、8時間後及び10時間後にそれぞれ90gのPerkadox(登録商標)16を加えた。反応を24時間の反応時間の後に停止し、そして室温に冷却した。次いで、ポリアクリレートを架橋剤Uvacure(登録商標)1500と混合し、アセトンで30%の固形分含有率に希釈し、次いでPA1に類似してコーティング及び乾燥した。接着剤塗布量は50g/mであった。GPCを用いたモル質量(測定法A3):M=24,500g/モル;M=871,000g/モル。K値:48.2。
【0121】
ポリアクリレート感圧接着剤4(PA4):
ラジカル重合のために慣用の100Lガラス反応器に、アクリル酸3.2kg、BA8.0kg、IDA28.8kg、及びアセトン/イソプロパノール(94:6)26.7kgを充填した。攪拌しながら窒素ガスを45分間導通した後、反応器を58℃に加熱し、そして30gのVazo(登録商標)67を加えた。次いで、外部の加熱浴を75℃に加温し、そして反応をこの外部温度で一定に行った。1時間の反応時間後、再び30gのVazo(登録商標)67を加えた。4時間後及び8時間後に、それぞれアセトン/イソプロパノール(94:6)混合物10.0kgで希釈した。残留開始剤を少なくするため、8時間後及び10時間後にそれぞれ90gのPerkadox(登録商標)16を加えた。反応を24時間の反応時間の後に停止し、そして室温に冷却した。次いで、ポリアクリレートを架橋剤Uvacure(登録商標)1500と混合し、アセトンで30%の固形分含有率に希釈し、次いでPA1に類似してコーティング及び乾燥した。接着剤塗布量は50g/mであった。GPCを用いたモル質量(測定法A3):M=35,000g/モル;M=1,020,000g/モル。K値:52.9。
【0122】
比較例 ポリアクリレート感圧接着剤5(PA5、イソインデックス1及びTg>−60℃のモノマーEHA):
ラジカル重合のために慣用の100Lガラス反応器に、アクリル酸4.0kg、BA12.0kg、EHA24.0kg、及びアセトン/ベンジン60/95(1:1)26.7kgを充填した。撹拌しながら窒素ガスを45分間導通させた後に、反応器を58℃に加熱し、AIBN30gを添加した。次いで、外部の加熱浴を75℃に加温し、そして反応をこの外部温度で一定に行った。1時間の反応時間の後、30gのAIBNを加えた。4時間後及び8時間後に、それぞれアセトン/ベンジン60/95(1:1)混合物10.0kgで希釈した。残留開始剤を少なくするため、8時間後及び10時間後にそれぞれ90gのPerkadox(登録商標)16を加えた。反応を24時間の反応時間の後に停止し、そして室温に冷却した。次いで、ポリアクリレートを架橋剤Uvacure(登録商標)1500と混合し、アセトンで30%の固形分含有率に希釈し、次いでPA1に類似してコーティング及び乾燥した。接着剤塗布量は50g/mであった。GPCを用いたモル質量(測定法A3):M=26,800g/モル;M=809,000g/モル。K値:46.3。
【0123】
比較例 ポリアクリレート感圧接着剤6(PA6、モノマーPHA及びIBOA(環状モノマー)):
ラジカル重合のために慣用の100Lガラス反応器に、アクリル酸2.4kg、イソボルニルアクリレート(IBOA)12.0kg、PHA25.6kg、及びアセトン/ベンジン60/95(1:1)26.7kgを充填した。撹拌しながら窒素ガスを45分間導通させた後に、反応器を58℃に加熱し、AIBN30gを添加した。次いで、外部の加熱浴を75℃に加温し、そして反応をこの外部温度で一定に行った。1時間の反応時間の後、30gのAIBNを再び加えた。4時間後及び8時間後に、それぞれアセトン/ベンジン60/95(1:1)混合物10.0kgで希釈した。残留開始剤を少なくするため、8時間後及び10時間後にそれぞれビス−(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート90gを加えた。反応を24時間の反応時間の後に停止し、そして室温に冷却した。次いで、ポリアクリレートを架橋剤Uvacure(登録商標)1500と混合し、アセトンで30%の固形分含有率に希釈し、次いでPA1に類似してコーティング及び乾燥した。接着剤塗布量は50g/mであった。GPCを用いたモル質量(測定法A3):M=24,800g/モル;M=980,000g/モル。K値:50.1。
【0124】
比較例 ポリアクリレート感圧接着剤7(PA7、イソインデックス3.1及びTg<−60℃のモノマーiC17A):
ラジカル重合のために慣用の100Lガラス反応器に、アクリル酸11.0kg、BA27.0kg、ヘプタデカニルアクリレート(iC17A)62.0kg、並びにアセトン/イソプロパノール(94:6)72.4kgを充填した。攪拌しながら窒素ガスを45分間導通した後、反応器を58℃に加熱し、そして50gのVazo(登録商標)67を加えた。次いで、外部の加熱浴を75℃に加温し、そして反応をこの外部温度で一定に行った。1時間の反応時間後、再び50gのVazo(登録商標)67を加えた。3時間後、20kgのアセトン/イソプロパノール(94:6)で、6時間後に10.0kgのアセトン/イソプロパノール(94:6)で希釈した。残留開始剤を少なくするため、5.5時間後及び7時間後にそれぞれ0.15kgのPerkadox(登録商標)16を加えた。反応を24時間の反応時間の後に停止し、そして室温に冷却した。次いで、ポリアクリレートを架橋剤Uvacure(登録商標)1500と混合し、アセトンで30%の固形分含有率に希釈し、次いでPA1に類似してコーティング及び乾燥した。接着剤塗布量は50g/mであった。(コーティング速度2.5m/分、乾燥路15m、温度ゾーン1:40℃、ゾーン2:70℃、ゾーン3:95℃、ゾーン4:105℃)接着剤塗布量は50g/mであった。GPCを用いたモル質量(測定法A3):M=27,000g/モル;M=990,000g/モル。K値:50.1。
【0125】
感圧接着剤の接着技術的特性の測定のために、先ず、上記例に記載した接着剤PA1〜PA7を、ポリアクリレートフォームキャリアは使用せずに、架橋剤のUvacure(登録商標)1500、並びに比較例ではグリシジル官能化架橋剤(Erisys GA−240)を用いて試験した。表1の結果に基づいて、本発明による感圧接着剤PA1〜PA4の例B1〜B5だけでなく、比較感圧接着剤PA5〜PA7の比較例VB6〜VB9も、鉄鋼に対して中程度の接着力を示す非常に凝集性の高い接着剤であることが分かる。グリシジルアミンを用いた感圧接着剤PA1(例5)の架橋も同様に良好な結果を示す。
【0126】
【表2】
【0127】
II ポリアクリレートフォームVT用の出発ポリマーの製造並びに感圧接着テープ例MT1〜MT10
以下では、慣用の方法に従いフリーラジカル重合による溶液状態で製造した出発ポリマーの調製法を記載する。
【0128】
ベースポリマーP
ラジカル重合のために慣用の反応器に、EHA30kg、BA67kg、アクリル酸3kg、及びアセトン/イソプロパノール(96:4)66kgを充填した。攪拌しながら窒素ガスを45分間導通した後、反応器を58℃に加熱し、そして50gのVazo(登録商標)67を加えた。次いで、外部の加熱浴を75℃に加温し、そして反応をこの外部温度で一定に行った。1時間後に新たに50gのVazo(登録商標)67を加え、そして4時間後に20kgのアセトン/イソプロパノール混合物(96:4)で希釈した。5時間後及び7時間後にそれぞれ、150gのPerkadox(登録商標)16を用いて後開始し、そして23kgのアセトン/イソプロパノール混合物(96:4)で希釈した。22時間の反応時間の後に、重合を中断し、室温まで冷却した。ポリアクリレートは75.1のK値を有し、50.2%の固形分含有率、並びにM=91,900g/モル及びM=1,480,000g/モルの平均分子量を有していた。
【0129】
方法1:溶融感圧接着剤の濃縮/製造:
ベースポリマーPから、一軸スクリュー押出機(濃縮押出機、Berstorff GmbH、ドイツ)を用いて溶剤を大幅に除去する(残留溶剤含有率≦0.3重量%)。ベースポリマーの濃縮パラメータは次の通りであった:スクリュー回転数は150回転/分、モーター電流は15Aであり、及び58.0kg/h液体の処理量を実現した。濃縮ためには、三つの異なるドームに真空をひいた。負圧はそれぞれ20mbarと300mbarの間であった。濃縮されたホットメルトPの流出温度は約115℃であった。固形分含有率は濃縮ステップ後に99.8%であった。
【0130】
方法2:本発明による接着テープの製造、熱架橋のための架橋剤−促進剤系との混合、及びコーティング
図3の図解に相当する試験装置中で発泡を行った。ベースポリマーPを方法1に従いフィード押出機1中で溶融し、そしてポリマー溶融物として、加熱可能なホース11を介して、ENTEX社(Bochum)の遊星ローラ押出機2(PWE)中に搬送した(具体的には、互いに独立して加熱可能な四つのモジュールT1、T2、T3、T4を備えたPWEを使用した)。計量添加開口22を介して、追加的な添加物または充填材、例えばカラーペーストを供給することができた。箇所23で、架橋剤を添加した。全ての成分が均質なポリマー溶融物へと混合された。
【0131】
メルトポンプ24a及び加熱可能なホース24bを用いて、ポリマー溶融物を二軸スクリュー押出機3(Berstorff社)内に移送した(投与位置33)。箇所34で、促進剤成分を添加した。続いてこのポリマー混合物全体から、圧力175mbarの真空ドームV内で、全てのガス含有物を除去した。真空ドームの後は、後続のセグメントS中での圧力の上昇を可能にするビルスターBがスクリュー上に存在した。押出機回転数及びメルトポンプ37aの適切な制御によって、ブリスターBとメルトポンプ37aとの間のセグメントSにおいて8bar超の圧力を発生させた。計量添加箇所35において、マイクロバルーン混合物(試験列での細目に従いマイクロバーンが分散助剤中に埋蔵されている)を添加し、そして混合エレメントを用いて予混合物中に均一に配合した。生じた溶融物混合物をノズル5に移送した。
【0132】
ノズル5を出た後、つまり圧力が低下した後、配合されたマイクロバルーンが膨張し、この際、前記の圧力低下によって、ポリマー接着剤がせん断なく冷却された。発泡したキャリア材料が生じた。次いでこれの両面に、以下に記載の感圧接着剤をコーティングし、これをそれぞれ、除去後に再使用できるリリース材料(プロセスライナー)上に供給した。こうして得られた三層複合体をロールカレンダー4を用いてウェブへと成形した。
【0133】
成形されたポリアクリレートフォーム上への例B1〜10からの感圧接着剤の固定を向上するために、感圧接着剤ばかりでなく、フォームもコロナで前処理した(デンマーク在のVITAPHONE社のコロナ装置、70W分/m)。この処理は、三層複合体の製造の後に、ポリアクリレートフォーム層への向上した化学的結合をもたらした。
【0134】
コーティング装置中を通過する時のウェブ速度は30m/分であった。
【0135】
ロール間隙を出た後、リリース材料を剥がし、そして他方のリリース材料が残っている完成した三層製品を巻き取った。
【0136】
【表3】
【0137】
以下では、本発明による感圧接着剤を50g/mの両面の接着剤塗布量で施与したポリアクリレートフォームキャリアVTを含む本発明による接着テープの具体例B1〜B6、並びに本発明によらない感圧接着剤を同様に50g/mの両面の接着剤塗布量で施与したポリアクリレートフォームキャリアVTを含む比較例VB7〜VB10を記載する。
【0138】
【表4】
【0139】
表3中の接着力測定に基づいて、本発明による感圧接着テープMT1〜MT6は、明らかにより速く鋼鉄上に付着しそしてそれの最大接着力に達し、またはそれらの場合、ポリアクリレートフォームキャリアがより速い時間に破壊されることが分かる。例えば、本発明に従い使用されるモノマーPHAの他に、線状モノマーの代わりに高いTgを有する環状アクリレートを使用した例MT9における感圧接着剤VB9が目立っている。この場合、ポリマーは、基材上に付着するのにより長い時間が必要であることが示される。更に、鋼鉄に対する接着力が、ポリアクリレートフォームキャリアと組み合わせた場合に三日後でさえもかなり低い感圧接着剤VB10が顕著である。最後の例を除くと、全ての感圧接着テープはPEに対して同等の接着力を示す。更に、架橋剤の影響が例MT5に明らかである。エポキシシクロヘキシル官能化架橋剤の代わりにグリシジル官能化架橋剤の使用は、よりゆっくりとした付着挙動を導く。
【0140】
表4には、三日間の付着時間の後の様々な低エネルギー自動車塗料であるUreGloss、CeramiClear5(CC5)及びVW2Kに対する接着力を記載する。
【0141】
【表5】
【0142】
これからも、本発明による感圧接着剤を含む感圧接着テープが比較してより良好な結果をもたらすことが分かる。
【0143】
【表6】
【0144】
本発明による感圧接着テープと比較例との間の差異は、リジッド・リジッドウェットアウト試験において最も明らかとなる。ステップを用いない接着では、湿潤は全ての例において非常に良好である一方で、100μmのステップ高さを使用した場合には、本発明による感圧接着剤MT1〜MT6を使用した時にのみ即座湿潤が良好であることが示される。この場合も、例MT9におけるモノマー、特に環状アクリレートの影響並びに架橋剤(MT5)の影響も良好に認めることができる。更に、この場合、三日後の湿潤と直後の湿潤との間の差異として表示される脱湿潤(この差異が小さい程、脱湿潤は小さくなる)は、本発明による例の場合では同様に最小であることが示される。
本願は特許請求の範囲に記載の発明に係るものであるが、本願の開示は以下も包含する:
1.
感圧接着剤であって、感圧接着剤の総重量を基準にして少なくとも50重量%の割合で少なくとも一種のポリマーAを含み、このポリマーAが、以下のモノマー組成物に由来し得る前記感圧接着剤:
a1)ホモポリマーのガラス転移温度が最大−60℃であり、アルコール成分が、1のイソインデックスを有する分岐状の第一級アルコールをベースとする、少なくとも一種の(メタ)アクリル酸エステル55〜75重量%;
a2)アルコール成分が線状C〜C18アルコールをベースとする、少なくとも一種の(メタ)アクリル酸エステル20〜40重量%;
a3)アクリル酸5〜15重量%。
2.
感圧接着剤が、少なくとも一種のエポキシシクロヘキシル誘導体によって熱的に架橋されることを特徴とする、上記1に記載の感圧接着剤。
3.
感圧接着剤が、接着力を高める樹脂を含まないことを特徴とする、上記1または2に記載の感圧接着剤。
4.
ポリマーAが、少なくとも500,000g/モルの重量平均分子量Mを有することを特徴とする、上記1〜3の何れか一つに記載の感圧接着剤。
5.
ポリマーAが、最大1,700,000g/モルの重量平均分子量Mを有することを特徴とする、上記1〜4の何れか一つに記載の感圧接着剤。
6.
発泡したキャリア、及び上記1〜5の何れか一つに記載の感圧接着剤を含む、接着テープ。
7.
発泡したキャリアがシンタクチックポリマーフォームを含むことを特徴とする、上記6に記載の接着テープ。
8.
シンタクチックポリマーフォームが、フォームの総重量を基準にして少なくとも50重量%の割合で一種以上のポリ(メタ)アクリレートを含むことを特徴とする、上記7に記載の接着テープ。
9.
感圧接着剤が、発泡したキャリアの少なくとも一つの面に積層されている、上記6〜8の何れか一つに記載の接着テープ。
10.
発泡したキャリアが、フォームの総重量を基準にして少なくとも50重量%の割合で少なくとも一種のポリ(メタ)アクリレートBを含み、このポリ(メタ)アクリレートBが、以下のモノマー組成物に由来し得ることを特徴とする、上記6〜9の何れか一つに記載の接着テープ:
b1)65〜97重量%のエチルヘキシルアクリレート及び/またはブチルアクリレート、
b2)0〜30重量%のメチルアクリレート、
b3)3〜15重量%のアクリル酸。
11.
発泡したキャリアが熱的に架橋されていることを特徴とする、上記6〜10の何れか一つに記載の接着テープ。
12.
発泡したキャリアの両面上に、上記1〜5の何れか一つに記載の感圧接着剤が配置されていることを特徴とする、上記6〜11の何れか一つに記載の接着テープ。
【図面の簡単な説明】
【0145】
図1】ステップ湿潤試験用サンプルの準備
図2a図1の上面図
図2b図1の下面図
図3】三層複合体の製造装置
図1
図2a
図2b
図3