特許第6371462号(P6371462)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6371462高縦横比を有する凹部の上に絶縁膜を蒸着する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6371462
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】高縦横比を有する凹部の上に絶縁膜を蒸着する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/316 20060101AFI20180730BHJP
   H01L 21/318 20060101ALI20180730BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20180730BHJP
   C23C 16/42 20060101ALI20180730BHJP
【FI】
   H01L21/316 X
   H01L21/318 B
   H01L21/31 C
   C23C16/42
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-500342(P2017-500342)
(86)(22)【出願日】2015年6月16日
(65)【公表番号】特表2017-521865(P2017-521865A)
(43)【公表日】2017年8月3日
(86)【国際出願番号】KR2015006055
(87)【国際公開番号】WO2016010267
(87)【国際公開日】20160121
【審査請求日】2017年1月5日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0089285
(32)【優先日】2014年7月15日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】509123895
【氏名又は名称】ユ−ジーン テクノロジー カンパニー.リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002398
【氏名又は名称】特許業務法人小倉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヘ−ウォン
(72)【発明者】
【氏名】シン,チャン−フン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソク−ユン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,チュン−シク
【審査官】 正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−542581(JP,A)
【文献】 特表2011−526966(JP,A)
【文献】 特表2013−522913(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0223765(US,A1)
【文献】 国際公開第92/012535(WO,A1)
【文献】 特開2014−022653(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0024200(US,A1)
【文献】 特開昭48−025480(JP,A)
【文献】 特開平07−029897(JP,A)
【文献】 米国特許第05521126(US,A)
【文献】 特公昭55−006291(JP,B1)
【文献】 特表2017−531920(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/316
C23C 16/42
H01L 21/31
H01L 21/318
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
5:1以上の縦横比を有する凹部が形成された基板に対して前記凹部の上に絶縁膜を蒸着する方法において,
前記基板がローディングされたチェンバーの内部に,シリコン前駆体を注入して前記基板の上にシリコンを吸着する吸着ステップと,前記チェンバーの内部で未反応シリコン前駆体及び反応副産物を除去する第1パージステップと,前記チェンバーの内部に第1反応ソースを供給して吸着された前記シリコンを,シリコンが含まれる絶縁膜として形成する反応ステップと,前記チェンバーの内部で未反応の第1反応ソースと反応副産物を除去する第2パージステップと,を行う絶縁膜蒸着ステップと,
RF電源を印加して前記チェンバーの内部にプラズマ雰囲気を形成し,前記プラズマ雰囲気を利用して前記シリコンが含まれる絶縁膜を緻密にする緻密化ステップと,を含み,
前記緻密化ステップにおける前記RF電源の周波数は2MHzである絶縁膜の蒸着方法。
【請求項2】
前記絶縁膜の厚さが50Å(オングストローム)である場合,前記緻密化ステップは10秒間行われる請求項1記載の絶縁膜の蒸着方法。
【請求項3】
前記RF電源の出力は100W乃至3kWであり,
前記RF電源の出力は前記RF電源の周波数の大きさに応じて調節される請求項1記載の絶縁膜の蒸着方法。
【請求項4】
前記プラズマ雰囲気はCCP方式によって形成される請求項1記載の絶縁膜の蒸着方法。
【請求項5】
前記第1反応ソースは,O,O,N,NHを含む群から選択される一つ以上のガスである請求項1記載の絶縁膜の蒸着方法。
【請求項6】
前記緻密化ステップは,
Ar,He,Kr及びXeを含む群から選択される一つ以上の点火ガス(ignition gas)を注入して前記プラズマ雰囲気を形成する請求項1記載の絶縁膜の蒸着方法。
【請求項7】
前記緻密化ステップは,前記点火ガスと共にH,O,O,N及びNHを含む群から選択される一つ以上の第2反応ソースを更に注入する請求項6記載の絶縁膜の蒸着方法。
【請求項8】
前記反応ステップは,
雰囲気でプラズマを利用して形成されたO-(酸素陰イオン)又はO(酸素ラジカル)を第1反応ソースとして使用する請求項1記載の絶縁膜の蒸着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は絶縁膜の蒸着方法に関するものであり,より詳しくは,高縦横比を有する凹部の上に絶縁膜を蒸着する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近,半導体産業の発展と使用者のニーズ(needs)に応じて電子機器は更に高集積化及び高性能化されており,それによって電子機器の核心部品である半導体素子にも高集積化及び高性能化が要求されている。しかし,半導体素子の高集積化のための微細構造を実現するには困難を伴う。
【0003】
例えば,微細構造を実現するためにはより薄い絶縁膜が要求されるが,絶縁膜を薄く形成すると絶縁特性などの膜質が低下する問題が発生する。また,薄膜を薄く形成しながら,高縦横比を有する凹部の全体に均一な良質の絶縁膜を得ることが難しくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は,優れた膜質とステップカバレッジを有する絶縁膜を蒸着する方法を提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的は,基板の表面に高縦横比を有する凹部が形成された場合に,凹部の深さ方向にわたって良質の絶縁膜を蒸着する方法を提供することにある。
【0006】
本発明の更に他の目的は,以下の詳細な説明と添付した図面からより明確になる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によると,5:1以上の縦横比を有する凹部が形成された基板において,前記凹部の上に絶縁膜を蒸着する方法は,前記基板がローディングされたチェンバーの内部にシリコン前駆体を注入して前記基板の上にシリコンを吸着する吸着ステップと,前記チェンバーの内部で未反応シリコン前駆体及び反応副産物を除去する第1パージステップと,前記チェンバーの内部に,第1反応ソースを供給して吸着された前記シリコンを,シリコンが含まれる絶縁膜として形成する反応ステップと,前記チェンバー内部で,未反応の第1反応ソースと前記反応副産物を除去する第2パージステップと,を行う絶縁膜蒸着ステップと,RF電源を印加して前記チェンバーの内部にプラズマ雰囲気を形成し,前記プラズマ雰囲気を利用して前記シリコンが含まれる絶縁膜を緻密にする緻密化ステップと,を含み,前記RF電源の周波数は400kHz乃至2MHzである。
【0008】
前記絶縁膜の厚さが50Å(オングストローム)である場合,前記緻密化ステップは10秒間行うことができる。
【0009】
前記RF電源の出力は100W乃至3kWであり,前記RF電源の出力は前記RF電源の周波数の大きさに応じて調節することができる。
【0010】
前記プラズマ雰囲気はCCP方式によって形成することができる。
【0011】
前記第1反応ソースは,O2,O3,N2,NH3を含む群から選択される一つ以上のガスとすることができる。
【0012】
前記緻密化ステップは,Ar,He,Kr及びXeを含む分から選択される一つ以上の点火ガス(ignition gas)を注入して前記プラズマ雰囲気を形成することができる。
【0013】
前記緻密化ステップは,前記点火ガスと共にH,O,O,N及びNHを含む群から選択される一つ以上の第2反応ソースを更に注入することができる。
【0014】
前記反応ステップは,O雰囲気においてプラズマを利用して形成されたO-(酸素陰イオン)又はO(酸素ラジカル)を第1反応ソースとして使用することができる。
【0015】
前記絶縁膜蒸着ステップは,前記チェンバーの内部圧力は0.05乃至10Torrであり,内部温度は50乃至700℃とすることができる。
【0016】
前記緻密化ステップは,前記チェンバーの内部圧力は0.05乃至10Torrであり,内部温度は50乃至700℃とすることができる。
【0017】
前記緻密化ステップの前に,前記吸着ステップ,前記第1パージステップ,前記反応ステップ及び前記第2パージステップを3回乃至50回繰り返すことができる。
【0018】
前記絶縁膜蒸着ステップ及び前記プラズマ処理ステップを繰り返すことができる。
【0019】
前記緻密化ステップを介して,前記絶縁膜は300:1BOEに対する150秒を基準に湿式エッチング率が熱CVDによる絶縁膜に比べ4倍以下とすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一実施形態によると,優れた膜質とステップカバレッジを有する絶縁膜を形成することができる。特に,基板の表面に高縦横比を有する凹部が形成された場合でも,凹部の深さ方向にわたって良質の絶縁膜を蒸着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態による絶縁膜の蒸着方法を示すフローチャートである。
図2】本発明の一実施形態による絶縁膜の蒸着方法を行う過程を示すダイヤグラムである。
図3a】本発明の一実施形態によるシリコン層を形成するステップを示す断面図である。
図3b】本発明の一実施形態によるシリコン層を形成するステップを示す断面図である。
図3c】本発明の一実施形態によるシリコン層を形成するステップを示す断面図である。
図4a】本発明の一実施形態による絶縁膜を形成するステップを示す断面図である。
図4b】本発明の一実施形態による絶縁膜を形成するステップを示す断面図である。
図4c】本発明の一実施形態による絶縁膜を形成するステップを示す断面図である。
図5】本発明の一実施形態による複数の絶縁膜を形成した状態を示す断面図である。
図6a】本発明の一実施形態による絶縁膜を緻密化するステップを示す断面図である。
図6b】本発明の一実施形態による絶縁膜を緻密化するステップを示す断面図である。
図7a】本発明の一実施形態による絶縁膜を基板の表面に形成された凹部の上に蒸着する状態を示す断面図である。
図7b】本発明の一実施形態による絶縁膜を基板の表面に形成された凹部の上に蒸着する状態を示す断面図である。
図7c】本発明の一実施形態による絶縁膜を基板の表面に形成された凹部の上に蒸着する状態を示す断面図である。
図7d】本発明の一実施形態による絶縁膜を基板の表面に形成された凹部の上に蒸着する状態を示す断面図である。
図8】本発明の一実施形態によって凹部の上に蒸着された酸化膜の湿式エッチング率を周波数の大きさに応じて比較したグラフである。
図9】本発明の一実施形態によって凹部の上に蒸着された酸化膜の湿式エッチング率を周波数の大きさに応じて比較したグラフである。
図10】本発明の一実施形態によって凹部の上に蒸着された酸化膜の湿式エッチング率を周波数の大きさに応じて比較したグラフである。
図11】基板の上でプラズマが移動する状態を示す断面図である。
図12】プラズマを生成する際に印加されるRF電源の周波数によるイオンエネルギーを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下,本発明の好ましい実施形態を添付した図1乃至図12を参照して,より詳細に説明する。本発明の実施形態は様々な形で変形されてもよく,本発明の範囲が後述する実施形態に限定されると解釈してはならない。本実施形態は,当該発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に本発明を,より詳細に説明するために提供されるものである。よって,図面に示す各要素の形状はより明確な説明を強調するために誇張されている可能性がある。
【0023】
図1は,本発明の一実施形態による絶縁膜の蒸着方法を示すフローチャートである。図1に示すように,半導体製造装置のチャンバーの内部に基板をローディングする(S100)。前記チャンバーの内部にローディングされた基板に絶縁膜が蒸着され(S200),絶縁膜を蒸着するためにシリコン層を形成するステップS210,第1パージステップS220,反応ステップS230及び第2パージステップS240が一緒に行われる。
【0024】
シリコン層を形成するために前記チャンバーの内部にシリコン前駆体を注入し,前記基板の上にシリコンが吸着されるようにする(S210)。基板の上にシリコン層を蒸着した後,未反応シリコン前駆体及び反応副産物を除去する第1パージステップを行う(S220)。
【0025】
次に,前記基板の上に形成されたシリコンを反応ガスと反応させ,シリコンが含まれる絶縁膜として形成する反応ステップを行う(S230)。シリコン層をシリコンが含まれる絶縁膜として形成するために,チェンバー内部に第1反応ソースを注入する。第1反応ソースとしては,例えば,O,O,N及びNHを含む郡から選択される一つ以上のガスであってもよい。
【0026】
シリコンが含まれる絶縁膜がシリコン酸化膜である場合,前記第1反応ソースはO又はOのような酸素原子を含むガス,又はO雰囲気下でプラズマを利用して形成されたO-(酸素陰イオン)又はO(酸素ラジカル)である。シリコンが含まれる絶縁膜がシリコン窒化膜である場合,前記第1反応ソースはN又はNHのような窒素原子を含むガスである。
【0027】
次に,チャンバーの内部で反応副産物と反応ソース又は点火ガスを除去する第2パージステップを行う(S240)。
【0028】
シリコン層を形成するステップS210,第1パージステップS220,反応ステップS230及び第2パージステップS240は,繰り返し行われる(S250)。シリコン層を形成するステップS210,第1パージステップS220,反応ステップS230及び第2パージステップS240は,例えば,3乃至50回繰り返し行われる。
【0029】
シリコン層を形成するステップS210,第1パージステップS220,反応ステップS230及び第2パージステップS240を含む絶縁膜の蒸着ステップS200の間,基板の温度及びチャンバー内部の圧力を一定に維持する。各シリコン層を形成するステップS210では少なくとも一つのシリコン原子層が前記基板の上に形成される。例えば,シリコンが含まれる絶縁膜は数乃至数十Åの厚さを有するように形成されてもよい。シリコンが含まれる絶縁膜が形成された後,緻密化ステップS300を行う。
【0030】
シリコンが含まれる絶縁膜を緻密化するために,前記チャンバーの内部にプラズマ雰囲気を形成する。また,プラズマ雰囲気と共に追加に第2反応ソースを注入する。第2反応ソースは,例えば,H,O,O,N及びNHを含む郡から選択される一つ以上のガスであってもよい。望みの厚さのシリコンが含まれる絶縁膜を得るために,必要に応じて絶縁膜蒸着ステップS200及び緻密化ステップS300は繰り返し行われてもよい(S400)。望みの厚さのシリコンが含まれる絶縁2膜が形成された場合,基板はチャンバーからアンロードされる(S900)。
【0031】
図2は,本発明の一実施形態による絶縁膜の蒸着方法を行う過程を示すダイヤグラムである。図2に示すように,シリコン(Si)前駆体の注入及びパージ(purge)と第1反応ソースの注入及びパージが繰り返し行われる。シリコン前駆体を注入した後,パージと第1反応ソースを注入し,パージが繰り返し行われた後,プラズマ雰囲気が形成される。プラズマ雰囲気が形成された状態では,必要に応じて第2反応ソースが注入されてもよい。
【0032】
このように,シリコン前駆体の注入及びパージと第1反応ソースの注入及びパージが繰り返し行われた後,プラズマ雰囲気が形成されるステップまでが1サイクルとして動作する。つまり,シリコン前駆体の注入及びパージと,反応ソースの注入及びパージが繰り返し行われてシリコンが含まれる絶縁膜を形成した後,プラズマ雰囲気を形成してシリコンが含まれる絶縁膜をプラズマ処理する。また,上述した過程を全て繰り返し,所望の厚さのシリコンが含まれる絶縁膜が得られる。よって,絶縁膜の蒸着方法は,シリコン前駆体の注入及びパージと,第1反応ソースの注入及びパージが繰り返し行われることはもちろん,シリコンが含まれる絶縁膜の形成とプラズマ処理も同じく繰り返し行われる。
【0033】
図3a乃至図6bにより,上述した内容に基づいて本発明の実施形態による絶縁膜の蒸着方法をステップ別に詳細に説明する。図3a乃至図6bに関する説明において,必要に応じて図1乃至図2における参照符号を使用する。
【0034】
図3a乃至図3cは,本発明の一実施形態によるシリコン層を形成するステップを示す断面図である。図3aは,本発明の一実施形態によるシリコン前駆体を注入するステップを示す断面図である。
【0035】
図3aを参照すると,基板100がローディングされたチャンバー内にシリコン前駆体50が注入される。基板100は,例えば,シリコン又は化合物半導体ウェハのような半導体基板を含んでもよい。又は,基板100は,半導体とは異なるガラス,金属,セラミック,石英のような基板物質などを含んでもよい。シリコン前駆体50は,例えば,BEAMS(bisethylmethylaminosilane),BDMAS(bisdimethylaminosilane),BDEAS,TEMAS(tetrakisethylmethylaminosilane),TDMAS(tetrakisidimethylaminosilane),TDEASのようなアミノ系シラン,又はHCD(hexachlorinedisilane)のような塩化系シランであってもよい。基板100がシリコン前駆体50と反応するように,基板100は50乃至700℃の温度を維持する。また,基板100がローディングされたチャンバー内部の圧力は0.05乃至10Torrを維持する。
【0036】
図3bは,本発明の一実施形態による基板の上にシリコン層を形成した断面図である。図3bを参照すると,シリコン前駆体50のうち基板100と反応することによって,基板100上にはシリコンが吸着されてシリコン層112が形成される。シリコン層112は少なくとも1つのシリコン原子層で形成される。シリコン前駆体50は基板100と反応した後,反応副産物52を形成する。また,シリコン前駆体50のうち一部は基板100と反応せず,未反応状態で残っていることがある。
【0037】
図3cは,本発明の一実施形態による第1パージステップを行った状態の断面図である。図3cを参照すると,基板100上にシリコン層112を形成した後,残留した未反応状態のシリコン前駆体50及び反応副産物52をチャンバー内部から除去するパージを行う。未反応シリコン前駆体50及び反応副産物52をチャンバー内部から除去するパージステップを第1パージステップと称する。前記第1パージステップの間,基板100は50乃至700℃の温度を維持する。また,基板100がローディングされたチャンバー内部の圧力は,0.05乃至10Torrを維持する。つまり,シリコン層112を形成するステップと前記第1パージステップの間に,基板100の温度及びチャンバー内部の圧力を一定に維持する。
【0038】
図4a乃至図4cは,本発明の一実施形態によるシリコンが含まれる絶縁膜を形成するステップを示す断面図である。図4aは,本発明の一実施形態による反応ソースを注入するステップを示す断面図である。図4aを参照すると,基板100がローディングされたチャンバー内に第1反応ソース60が注入される。第1反応ソース60は,例えば,O,O,N及びNHを含む群から選択される一つ以上のガスであってもよい。又は,第1反応ソース60は,例えば,O雰囲気でプラズマを利用して形成されたO-(酸素陰イオン)又はO(酸素ラジカル)であってもよい。基板100が第1反応ソース60と反応するように,基板100は50乃至700℃の温度を維持する。また,基板100がローディングされたチャンバー内部の圧力は0.05乃至10Torrを維持する。
【0039】
図4bは,本発明の一実施形態による基板の上にシリコンが含まれる絶縁膜を蒸着した様子を示す断面図である。図4bを参照すると,第1反応ソース60のうちシリコン層112と反応したものによって,基板100の上にはシリコンが含まれる絶縁膜122aが形成される。第1反応ソース60は,シリコン層112と反応した後,反応副産物62を形成する。また,第1反応ソース60のうち一部はシリコン層112と反応せず,未反応状態で残っていることがある。
【0040】
第1反応ソース60として,例えばO,Oのような酸素原子を含むガス又はO雰囲気でプラズマを利用して形成されたO-(酸素陰イオン)又はO(酸素ラジカル)を使用する場合,シリコン層112は第1反応ソース60に含まれた酸素原子と反応してシリコン酸化膜として形成される。又は,第1反応ソース60として,例えば,N及びNHのような窒素原子を含むガスを使用する場合,シリコン層112は第1反応ソース60に含まれた窒素原子と反応してシリコン窒化膜として形成される。
【0041】
図4cは,本発明の実施形態による第2パージステップを行った様子を示す断面図である。図4cを参照すると,基板100の上にシリコンが含まれる絶縁膜122aを形成した後,残留した未反応状態の第1反応ソース60及び反応副産物62をチャンバー内部から除去するパージを行う。未反応状態の第1反応ソース60及び反応副産物62をチャンバー内部から除去するパージステップを第2パージステップと称する。前記第2パージステップの間,基板100は50乃至700℃の温度を維持する。また,基板100がローディングされたチャンバー内部の圧力は,0.05乃至10Torrを維持する。
【0042】
図5は,本発明の一実施形態による複数のシリコンが含まれる絶縁膜を形成した状態を示す断面図である。図5を参照すると,図3a乃至図4cで示すステップを繰り返し,複数のシリコンが含まれる絶縁膜122a,112b,112cからなる絶縁膜層112を形成する。絶縁膜層122は数乃至数十Åの厚さを有する。絶縁膜層122が3乃至10個のシリコンが含まれる絶縁膜122a,122b,122cを含むように,各シリコンが含まれる絶縁膜122a,122b又は122cを蒸着する過程を3乃至50回繰り返し行われる。このように絶縁膜層122を複数のシリコンが含まれる絶縁膜122a,122b,122cで形成すると,絶縁膜層122は優秀な膜質とステップカバレッジ(step coverage)を有することができる。
【0043】
図6a及び図6bは,本発明の一実施形態による絶縁膜を緻密化するステップを示す断面図である。図6aは,本発明の一実施形態による絶縁膜層にプラズマ雰囲気を供給する様子を示す断面図である。図6aを参照すると,絶縁膜層122が形成された基板100上にプラズマを加える。つまり,基板100がローディングされたチャンバーの内部をプラズマ雰囲気に形成する。プラズマ雰囲気を形成するために,CCP(Capacitively Coupled Plasma,容量結合型プラズマ)方式が使用され,CCP電極(例えば,円形又は四角形)は整合器(matcher)を介してRF電源に接続される。RF電源は周波数が400kHz乃至2MHzであり,出力電力が100W乃至3kWである。出力電力はRF電源の周波数の大きさに応じて調節される。
【0044】
プラズマ雰囲気を形成するために,例えば,Ar,He,Kr及びXeを含む群から選択される一つ以上の点火ガスが注入される。この際,点火ガスは50乃至3000sccmの流量で注入されてもよい。プラズマ雰囲気で絶縁膜層122をより緻密にするために,第2反応ソース64が追加注入される。第2反応ソース64は,例えば,O,O,N及びNHを含む群から選択される一つ以上のガス又はO雰囲気でプラズマを利用して形成されたO-(酸素陰イオン)又はO(酸素ラジカル)であってもよい。
【0045】
絶縁膜層122がシリコン酸化膜である場合,第2反応ソース64としては,例えばO,Oのような酸素原子を含むガス,O雰囲気でプラズマを利用して形成されたO(酸素陽イオン)又はO(酸素ラジカル),又はHを使用してもよい。絶縁膜層122がシリコン窒化膜である場合,第2反応ソース64としては,例えばN及びNHのような窒素原子を含むガスを使用してもよい。
【0046】
図6bは,本発明の一実施形態による絶縁膜層122Dを形成した様子を示す断面図である。図6a及び図6bを一緒に参照すると,プラズマ雰囲気下で絶縁膜層112は緻密化(densification)が行われ,緻密化された絶縁膜層122Dが形成される。緻密化された絶縁膜層122Dを形成するために,基板100がローディングされたチャンバーの圧力を0.05乃至10Torrに維持する。また,絶縁膜層122をプラズマ雰囲気で処理して得られた緻密化された絶縁膜層122Dは絶縁特性などの膜質が優秀である。特に,緻密化された絶縁膜層112Dが薄い厚さを有するように形成しても,優れた膜質を有することができる。
【0047】
例えば,300℃程度又は650℃程度の低温でALD法を使用して酸化膜を蒸着した場合,薄膜は熱酸化膜(シリコン基板を加熱しながら酸化処理して得られた酸化膜)に比べエッチング率が高い。よって,ALD法によって蒸着したシリコン酸化膜は熱酸化膜より膜の密度が低いといえる。このような薄膜の膜の密度は,上述した緻密化処理を介して向上することができる。
【0048】
図7a乃至図7dは本発明の一実施形態による絶縁膜を基板の表面に形成された凹部の上に蒸着する様子を示す断面図であり,上述した絶縁膜の蒸着方法が適用される。
【0049】
つまり,基板Wの表面に溝や孔などからなる凹部10が形成されており,凹部10は縦横比(aspect ratio,AR=凹部10の高さ(h):凹部の幅(w))を有する(図7a)。例えば,凹部10は深さが300nm〜10μmであって,幅が10〜200nmであってもよい。
【0050】
基板Wの表面にシリコン前駆体の成分が吸着してシリコン吸着層300が形成され(図7ba),次に第1反応ソース60を介して吸着層300が酸化又は窒化され,薄膜成分であるシリコン酸化膜又はシリコン窒化膜の分子層が1層或いは複数層形成されて反応生成物である絶縁膜301が形成される(図7c)。絶縁膜301には,例えばシリコン前駆体に含まれる残留基によって,水分(OH基)や有機物などの不純物が残ることがある。
【0051】
次に,RF電源を介して高周波電力を供給して電解及び磁界を生成し,点火ガス又は第2反応ソース64は磁界によって活性化されるが,例えば,イオンやラジカルなどのプラズマが生成される。プラズマが基板Wの表面に衝突することで,絶縁膜301から水分や有機物などの不純物が放出されるか,絶縁膜301内の元素が再配列されて絶縁膜301の緻密化(高密度化)が可能になる。
【0052】
しかし,基板の表面に大きい縦横比(例えば,5:1以上)を有する孔や溝(trench)などの凹部10が形成されている場合,凹部10の深さ方向において緻密化の程度が異なる。つまり,縦横比が大きい凹部10が形成された場合,プラズマ(又はイオン)が凹部内に進入することが難しい。よって,凹部10内では底面に向かう方向に緻密化の程度が小さくなる。言い換えると,絶縁膜301の表面と凹部10の底面では良好に緻密化処理が行われて緻密な薄膜が形成される一方,凹部10の底面に向かう方向に密度が低い(粗い)薄膜になる。よって,凹部10の深さ方向に応じて緻密な薄膜を形成する必要がある。
【0053】
図8乃至図10は,上述した本発明の一実施形態によって凹部の上に蒸着された酸化膜の湿式エッチング率を周波数の大きさに応じて比較したグラフであり,上述した熱酸化膜の湿式エッチング率に対する割合で示している。
【0054】
図8は,凹部10の縦横比が10:1である場合,RF電源の周波数による酸化膜の湿式エッチング率を凹部10の深さに応じて示している。まず,図8に示すように,酸化膜の表面(深さが0である地点)と凹部10の底面(深さが最大である地点),そして縦横比が2:1である地点(凹部の深さを10とすると,表面からの深さが2である地点の内壁)では周波数の大きさ(13.56MHzと2MHz)による湿式エッチング率の差が微々であるため,各地点で緻密化処理が行われて絶縁膜が緻密化されていることがわかる。しかし,縦横比が5:1及び10:1である地点では,周波数の大きさによる湿式エッチング率の差が明らかに示され,周波数の大きさが13.56MHzである場合には緻密化処理が行われず絶縁膜の密度が低いことが分かる。つまり,縦横比が5:1及び10:1である地点において,RF電源の周波数が一般的に広く使用される13.56MHzである場合,湿式エッチング率が熱酸化膜に比べ約4.8倍程度高い(悪い)一方,RF電源の周波数が2MHzである場合,湿式エッチング率が熱酸化膜に比べ約2.4〜2.5倍程度高い(悪い)ことが分かる。
【0055】
図9は,凹部10の縦横比が30:1である場合,RF電源の周波数による酸化膜の湿式エッチング率を凹部10の深さに応じて示している。まず,図9に示すように,酸化膜の表面(深さが0である地点)と凹部10の底面(深さが最大である地点),そして縦横比が2:1である地点(凹部の深さを30とすると,表面からの深さが2である地点の内壁)では,周波数の大きさ(13.56MHzと2MHz)による湿式エッチング率の差が微少であるため,各地点で緻密化処理が行われて絶縁膜が緻密化されていることがわかる。しかし,縦横比が5:1乃至30:1である地点では,周波数の大きさによる湿式エッチング率の差が明らかに示され,周波数の大きさが13.56MHzである場合には,緻密化処理が行われず絶縁膜の密度が低いことが分かる。つまり,縦横比が5:1乃至30:1である地点において,RF電源の周波数が一般的に広く使用される13.56MHzである場合,湿式エッチング率が熱酸化膜に比べ約4.2〜4.9倍程度高い(悪い)一方,RF電源の周波数が2MHzである場合,湿式エッチング率が熱酸化膜に比べ約2.4〜3.1倍程度高い(悪い)ことが分かる。
【0056】
図10は,凹部10の縦横比が30:1である場合,RF電源の周波数が380kHzである場合の酸化膜の湿式エッチング率を凹部10の深さに応じて示している。図10に示すように,RF電源の周波数が380kHzで2MHz未満である場合凹部10の底面では周波数の大きさ(380kHzと2MHz)による湿式エッチング率の差が微々であるため,緻密化処理が行われて絶縁膜が緻密化されていることがわかる。しかし,凹部10の底面を除いて周波数の大きさによる湿式エッチング率の差が明らかに示されることが分かり,上述した図9に関する説明とは異なり,酸化膜の表面(深さが0である地点)と縦横比が2:1である地点(凹部の深さを30とすると,表面からの深さが2である地点の内壁)でさえ緻密化処理が行われず,絶縁膜の密度が低いことが分かる。
【0057】
図11は,基板の上でプラズマが移動する状態を示す断面図であり,図12は,プラズマを生成する際に印加されるRF電源の周波数によるイオンエネルギーを示すグラフである。図8乃至図10に基づいて説明した緻密化処理の可否を以下で説明する。
【0058】
上述したように,プラズマが基板Wの表面に衝突することで酸化膜から水分や有機物などの不純物が放出されるか,絶縁膜301内の元素が再配列されて酸化膜の緻密化(高密度化)が可能になる。しかし,基板の表面に大きい縦横比(例えば,5:1以上)を有する孔や溝などの凹部10が形成されている場合,凹部10の深さ方向において緻密化の程度が異なるようになる。つまり,縦横比が大きい凹部10が形成された場合,プラズマ(又はイオン)が凹部内に進入することが難しい。よって,凹部10内では底面に向かう方向に緻密化の程度が小さくなる。言い換えると,絶縁膜301の表面と凹部10の底面では良好に緻密化処理が行われて緻密な薄膜が形成される一方,凹部10の底面に向かう方向に密度が低い(粗い)薄膜になる。よって,凹部10の深さ方向によって緻密な薄膜を形成する必要がある。
【0059】
上述した現象は,プラズマの直進性によって発生すると思われる。つまり,プラズマの移動方向と凹部10の内壁が並んでいるため,プラズマと凹部10の内壁が互いに衝突する可能性が低い。また,凹部10の底面はプラズマの移動方向と垂直な関係にあるため,凹部10の底面はプラズマと十分に衝突して相当な衝突エネルギーを得る一方,凹部10の内壁はプラズマの移動方向と略平行であるため,プラズマが凹部の内壁と衝突しても凹部の内壁はプラズマと十分に衝突せず,相当な衝突エネルギーを得ることができないためである(図11aを参照)。
【0060】
よって,プラズマ内に含まれたイオンが中性原子と1回以上衝突してイオンの方向が相当変わらなければ,イオンが凹部10の内壁と十分に衝突して凹部10の内壁が衝突エネルギーを得ることはできない(図11bを参照)。但し,イオンと中性原子が衝突する際,イオンは自らが有するエネルギーを相当失うため,上述したようにイオンの方向が変わって凹部10の内壁と衝突しても緻密化を誘導することができるエネルギーを有することができない恐れがある。よって,最初に生成されたプラズマのイオンは,一定レベル以上のエネルギーを有しなければ凹部10内壁の緻密化を誘導することができない。
【0061】
図12に示すように,RF電源の周波数の大きさが小さくなるほどイオンエネルギーの分布は大きくなり,高いエネルギーを有するイオンが分布される。このように,相対的に高いエネルギーを有するイオンが凹部10の内壁と衝突して緻密化を誘導する。しかし,周波数が低すぎると高いエネルギーを有するイオンが生成されてもその数が減少するため,酸化膜の緻密化を誘導することができない。よって,RF電源は周波数が400kHz乃至2MHzであるべきであって,図8乃至図10に示すように,凹部10の内壁を緻密化して酸化膜の膜の密度を改善することができる。
【0062】
一方,RF電源の出力電力は100W乃至3kWであり,出力電力はRF電源の周波数の大きさに応じて調節される。周波数が低くなるほど高いエネルギーを有するイオンが分布するため,RF電源の出力電力が増加する場合,凹部10の入口側の角部分にスパッタリング効果が大きく発生して凹部10の形状が毀損するか歪曲される恐れがある。よって,RF電源の出力電力を周波数の大きさに応じて調節する必要がある。
【0063】
一方,本実施形態では容量結合型プラズマ(CCP)を使用したが,これとは異なって誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively coupled plasma)が使用されてもよい。
【0064】
本発明を好ましい実施形態を介して詳細に説明したが,それらとは異なる実施形態ないし実施例も可能である。よって,後述する特許請求の範囲の技術的思想と範囲は好ましい実施形態に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は,多様な形の半導体製造設備及び製造方法に応用される。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図4c
図5
図6a
図6b
図7a
図7b
図7c
図7d
図8
図9
図10
図11(a)】
図11(b)】
図12