(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6371470
(24)【登録日】2018年7月20日
(45)【発行日】2018年8月8日
(54)【発明の名称】コンテナ固定装置
(51)【国際特許分類】
B65D 88/12 20060101AFI20180730BHJP
B60P 7/13 20060101ALI20180730BHJP
【FI】
B65D88/12 U
B60P7/13
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-511425(P2017-511425)
(86)(22)【出願日】2015年4月9日
(86)【国際出願番号】JP2015061148
(87)【国際公開番号】WO2016163011
(87)【国際公開日】20161013
【審査請求日】2017年4月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】591172799
【氏名又は名称】港製器工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087538
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 和久
(72)【発明者】
【氏名】高口 博行
【審査官】
二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭60−97696(JP,U)
【文献】
特開2007−168875(JP,A)
【文献】
特開昭52−39276(JP,A)
【文献】
特表2013−537141(JP,A)
【文献】
国際公開第2016/157300(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 88/12
B60P 7/13
B63B 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷台に固定されるソケット部と、上記ソケット部に装着されてコンテナを固定する本体部とを備えており、上記本体部の下部には、水平方向に突出する突出部が形成されており、上記ソケット部には、上記突出部が収容される収容空間部と、当該収容空間部の周囲側に存在して上記突出部の水平面内の回転を許容し且つ水平面内の全ての方向の移動を制限する第1制限部と、上記収容空間部に連通し、上記突出部を挿通させることができる開口部と、当該開口部の周囲側に存在して上記突出部の上方向移動を制限する第2制限部とが設けられており、
上記本体部には、弾性部材の弾性力によって突出するとともに上記弾性部材の弾性力に抗して没入するピンが設けられており、上記ソケット部には、上記本体部の回転による上記ピンの円弧移動に対して徐々に当該ピンを没入させるガイド部と、上記ガイド部を通過して突出状態となった上記ピンに係合して上記本体部の回転を止める制止部と、が形成されていることを特徴とするコンテナ固定装置。
【請求項2】
請求項1に記載のコンテナ固定装置において、上記ソケット部には、上記突出部が上記開口部に誤った向きで挿通されようとした場合に、上記突出状態のピンが当たる接触部が形成されていることを特徴とするコンテナ固定装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のコンテナ固定装置において、上記ソケット部には、上記突出部が上記収容空間部内で一定範囲を越えて回転するのを制限するオーバーターン防止部が設けられていることを特徴とするコンテナ固定装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のコンテナ固定装置において、上記本体部は、上記コンテナのコーナ金具の溝穴に嵌まる嵌合部と、この嵌合部に設けられており、水平軸回りに回動して横方向に突出する可動凸部と、上記可動凸部の回動を制限するストッパとを備えることを特徴とするコンテナ固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道貨車、コンテナトレーラー等の輸送車両にコンテナを固定するためのコンテナ固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コーンを水平面内で回転可能に且つ上下方向に移動可能に設けたコンテナ固定装置が開示されている。上記コーンを支持する回転台の平面形状は、上記コーンをコンテナ受入位置からコンテナ固定位置まで変位させる間、常に回転受によって回転台が支持されたコーンを上端位置に維持可能にすると共に、上記コーンをコンテナ受入位置からコーン下降位置まで変位させるとき、回転受による回転台の支持が解除されたコーンを下降可能にするよう形成されている。
【0003】
また、特許文献2には、上記特許文献1のコンテナ固定装置を改良し、作業者の負担を軽減させるコンテナ固定装置が開示されている。
【0004】
このようなコンテナ固定装置は、例えば、20フィートのコンテナと、40フィートのコンテナを選択的に積載できる輸送車両の荷台に設置される。そして、上記荷台に上記40フィートのコンテナを載せるときには、上記20フィートのコンテナ用に設置されているコンテナ固定装置は邪魔になるので、このような邪魔になるコンテナ固定装置を一定の操作によって上記荷台上面より下方に格納することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−211845号公報
【特許文献2】特開2000−191083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような格納が可能な従来のコンテナ固定装置は、格納機構を備える必要があるために構造が複雑化し、製造コストも上昇するという欠点がある。一方、コンテナ固定装置を荷台にボルト装着するのでは、コンテナ固定装置の着脱のために一々ボルトを着脱しなければならない。
【0007】
ここで、
図14に示すように、コンテナ固定装置100を、コンテナを固定するための本体部101と、コンテナトレーラー等の荷台に固定されるソケット部102とにより構成し、上記ソケット部102に本体部101をスライドによって着脱自在に取り付けることが考えられる。上記ソケット部102には、上記本体部101の下部の凸状部101aが嵌合する係合溝部102aが形成されている。そして、各本体部101は、上記係合溝部102aの開口部が、例えば、荷台の内側を向くように固定される。このようなソケット部102であれば、トレーラーの荷台に40フィートのコンテナを載せるために20フィートのコンテナ用に設置されているコンテナ固定装置100が邪魔になる場合に、このような邪魔になるコンテナ固定装置100の本体部101を間単に取り外すことができる。
【0008】
しかしながら、上記ソケット部102には、上記係合溝部102aへの横からの入口となる開口部が存在するため、上記開口部の方向に上記本体部101が移動するのを阻止することができず、当該移動の方向と異なる方向に上記開口部を有する別のソケット部102が上記移動の阻止力を負担しなければならない。すなわち、上記ソケット部102においては、上記本体部101の移動を水平面内の全ての方向で阻止することはできないため、個々のソケット部102の剛性を高める等の対策が必要となる。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑み、コンテナ固定装置の本体部を、ボルトを用いずに荷台上で着脱可能に支持しつつ、上記本体部の移動を水平面内の全ての方向において制限することができるコンテナ固定装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のコンテナ固定装置は、上記の課題を解決するために、荷台に固定されるソケット部と、上記ソケット部に装着されてコンテナを固定する本体部とを備えており、上記本体部の下部には、水平方向に突出する突出部が形成されており、上記ソケット部には、上記突出部が収容される収容空間部と、当該収容空間部の周囲側に存在して上記突出部の水平面内の回転を許容し且つ水平面内の全ての方向の移動を制限する第1制限部と、上記収容空間部に連通し、上記突出部を挿通させることができる開口部と、当該開口部の周囲側に存在して上記突出部の上方向移動を制限する第2制限部とが設けられていることを特徴とする。
【0011】
上記の構成であれば、上記突出部が上記開口部を通って上記収容空間部内に位置し水平面内で回されることにより、上記第2制限部によって上記突出部の上方向移動が制限される状態を形成することができる。また、上記本体部を上記回転の前の元の位置に戻し、上記突出部が上記開口部を通れるようにすることで、上記突出部を上記収容空間部から離脱させることができる。すなわち、コンテナ固定装置の本体部を、ボルトを用いずに荷台上で着脱可能に支持することができる。そして、上記収容空間部の周囲側に存在する上記第1制限部によって、上記突出部の水平面内の全ての方向の移動が制限されるので、荷重の受け止めに方向性が生じるのを回避し、個々のコンテナ固定装置の荷重の受け止めの負担を軽減することができる。
【0012】
上記本体部には、バネの弾性力によって突出するとともに上記バネの弾性力に抗して没入するピンが設けられており、上記ソケット部には、上記本体部の回転による上記ピンの円弧移動に対して徐々に当該ピンを没入させるガイド部と、上記ガイド部を通過して突出状態となった上記ピンに係合して上記本体部の回転を止める制止部と、が形成されていてもよい。これによれば、上記突起部を上記ソケット部に入れて上記本体部を回すだけて、当該本体部を上記ソケット部に正しい状態にセットすることが可能になり、また、このセット位置がしっかりと保持されることになる。
【0013】
上記ソケット部には、上記突出部が上記開口部に誤った向きで挿通されようとした場合に、上記突出状態のピンが当たる接触部が形成されていてもよい。これによれば、上記突出部が上記開口部に誤った向きで挿通さるのを防止することができる。
【0014】
上記ソケット部には、上記突出部が上記収容空間部内で一定範囲を越えて回転するのを制限するオーバーターン防止部が設けられていてもよい。これによれば、上記本体部の上記ソケット部への装着完了となる回転終了のタイミングで上記本体部の回転を停止させることができる。
【0015】
上記本体部は、上記コンテナのコーナ金具の溝穴に嵌まる嵌合部と、この嵌合部に設けられており、水平軸回りに回動して横方向に突出する可動凸部と、上記可動凸部の回動を制限するストッパとを備えてもよい。これによれば、上記可動凸部の回動を制限するロック状態を形成することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明であれば、コンテナ固定装置の本体部を、ボルトを用いずに荷台上で着脱可能に支持しつつ、当該本体部の移動を水平面内の全ての方向において制限することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係るコンテナ固定装置を示した概略の平面図である。
【
図4】
図1のコンテナ固定装置のソケット部の正面図である。
【
図5】
図1のコンテナ固定装置のソケット部の平面図である。
【
図6】
図1のコンテナ固定装置のソケット部の左側面図である。
【
図7】
図1のコンテナ固定装置の本体部をソケット部に装着するときの方向を示した説明図である。
【
図8】
図1のコンテナ固定装置の本体部を誤った方向でソケット部に装着するときの状況を示した説明図である。
【
図9】
図1のコンテナ固定装置の本体部を示した背面図である。
【
図10】
図1のコンテナ固定装置の本体部において可動凸部のロック状態を示した説明図である。
【
図11】
図1のコンテナ固定装置の本体部において可動凸部のアンロック状態を示した説明図である。
【
図12】
図1のコンテナ固定装置の本体部において可動凸部のアンロック状態を示した説明図である。
【
図13】同図(A)は荷台の概略の平面図であり、同図(B)は荷台の概略の側面図である。
【
図14】
図1のコンテナ固定装置との比較のために示したコンテナ固定装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1、
図2および
図3に示しているように、この実施形態のコンテナ固定装置1は、本体部2とソケット部3とを備えている。上記ソケット部3は、鉄道貨車、コンテナトレーラー等の輸送車両の荷台に固定される。例えば、
図13(A)および
図13(B)に示すように、40フィートコンテナ用の荷台5の角部4箇所に上記ソケット部3が固定されるとともに、20フィートコンテナ用として、上記荷台5の中程の4箇所にも上記ソケット部3が固定される。上記本体部2が荷台5の角部の4箇所のソケット部3にセットされるときには、この4箇所の本体部2によって40フィートコンテナを上記荷台5に固定することができる。一方、上記荷台5上の8箇所の全てのソケット部3に上記本体部2がセットされるときには、この8個の本体部2によって2台の20フィートコンテナを上記荷台5に固定することができる。
【0019】
上記本体部2には円柱状のフランジ部21が形成されており、このフランジ部21の下面には当該フランジ部21と同心で脚部22が設けられている。上記脚部22は、上記フランジ部21の直径よりも小さい直径を有する扁平円柱状の支柱部22aと、この支柱部22aの下面側に形成され、当該支柱部22aの外周側に水平方向に突出する突出部22bとからなる。上記突出部22bは非円形状を有する。例えば、上記突出部22bは、上記支柱部22aの円中心を中心に180°の間隔で2箇所に形成されており、各々の突出部22bの外周側の端面は、上記支柱部22aの円中心を中心とした円弧形状になっている。なお、このように180°間隔で2箇所に突出部を形成することに限るものではなく、例えば、120°間隔で3箇所、或いは90°間隔で4箇所形成することも可能である。また、上記突出部22bは、周囲側ほど厚みが薄くされた傾斜形状を有しているが、このような傾斜形状に限るものではない。
【0020】
図4、
図5および
図6にも示すように、上記ソケット部3は、円板形状を有しており、その内部には上記突出部22bが収容される円形の収容空間部31が形成されている。この収容空間部31は、上記突出部22bの外周側の端面の円弧を含めた円よりも幾分大きい円形の空洞となっている。
【0021】
そして、上記収容空間部31の周囲には、上記突出部22bの水平面内の回転を許容し且つ水平面内の全ての方向の移動を制限する円形の第1制限部32が存在している。
【0022】
また、上記ソケット部3の上部の中央側には、上向きに開口する開口部33が形成されている。この開口部33は、上記収容空間部31に連通しており、上記突出部22bを挿通させることができる形状を有している。
【0023】
また、上記開口部33の周囲には第2制限部34が存在しており、この第2制限部34によって、上記突出部22bの上方向移動が制限される。すなわち、上記突出部22bが上記開口部33から上記収容空間部31に入れられて、上記本体部2が水平面内で90°回転されることにより、上記突出部22bの上方側に上記第2制限部34が位置し、上記突出部22bの上方向移動が制限される。上記90°回転されたときの上記本体部2は、荷台上で上記コンテナのコーナ金具に係合できる状態となる。
【0024】
上記本体部2の上記フランジ部21には、ピン21aが設けられている。このピン21aは、バネ21bの弾性力によって上記フランジ部21の外周面から遠心方向に突出するとともに上記バネ21bの弾性力に抗して上記フランジ部21の中心方向に移動することができる。また、上記フランジ部21の上面には当該フランジ部21の直径方向に長い長孔21cが形成されている。上記ピン21aの上面部には、突起21dが設けられており、この突起21dが上記長孔21c内に位置している。これにより、上記ピン21aは上記長孔21cの範囲内で上記フランジ部21の直径方向に移動することができる。
【0025】
一方、上記ソケット部3の上面の外周側の位置には、第1立上げ壁部35が設けられている。この第1立上げ壁部35には、上記本体部2の水平面内の回転による上記ピン21aの円弧移動に対して徐々に当該ピン21aを上記フランジ部21の中心方向となる水平方向に押す傾斜形状を有したガイド部35aと、上記ガイド部35aを通過して突出状態となった上記ピン21aを収容して上記本体部2の回転を止める凹形状の制止部35bと、が形成されている。上記突出部22bが上記開口部33から上記収容空間部31に入れられた後、上記本体部2が水平面内で90°回転されると、上記第1立上げ壁部35の上記制止部35bに上記ピン21aが係合することになる。
【0026】
上記ソケット部3には、
図5に示しているように、オーバーターン防止部36が上記制止部35bの中央位置を基準に上記本体部2の装着のための回転方向に45°離れた位置に形成されている。また、このオーバーターン防止部36は、上記ソケット部3の上面側から下向きに上記収容空間部31内に突出形成されており、このオーバーターン防止部36に上記突出部22bが接触することにより、この突出部22bが一定範囲(この実施形態では90°)を越えて回転するのが制限される。
【0027】
上記ソケット部3の上面の外周側であって、上記制止部35bの中央位置を基準に上記本体部2の装着のための回転方向に90°離れた位置には、第2立上げ壁部(接触部)37が設けられている。したがって、
図7に示すように、上記ピン21aが、上記第2立上げ壁部37から180°離れた正規の位置に在ると、上記突出部22bを上記開口部33に入れることができる。一方、このような位置関係が形成されていない場合には、上記突出部22bを上記開口部33から上記収容空間部31内に入れることができない。すなわち、
図8に示すように、上記突出部22bが上記開口部33に誤った向きで挿通されようとした場合には、上記突出状態のピン21aが上記第2立上げ壁部37の上面に接触部するため、上記突出部22bを上記開口部33から上記収容空間部31内に入れることができない。
【0028】
上記ソケット部3は上記荷台5に例えば溶接によって固定される。この溶接は上記ソケット部3の外周部において行われるが、当該ソケット部3の外周が円形を成していると、上記溶接が容易に行え、溶接量も少なくできる。
【0029】
なお、上記本体部2は、上記コンテナの下面に設けられているコーナ金具の溝穴に係合する嵌合部としてコーンを備えるが、このコーンの構造については特に限定されない。この実施形態では、上記本体部2は、
図9に示すように、上記フランジ部21の上側に設けられた支柱部にコーン23を備える。上記支柱部には、上記コーナ金具の溝穴に通じる長穴の長辺部に平行となる縦面部が背向で2箇所形成されている。また、上記縦面部の面は、上記脚部22における2個の突出部22bの突出方向に直交している。
【0030】
上記コーン23は、上記ピン21aが位置する側の縦面部から突出する固定凸部23aと、上記ピン21aが位置する側と反対側の縦面部から突出する可動凸部(ラッチ)23bとを備える。上記固定凸部23aの最も突出する箇所と上記可動凸部23bの最も突出する箇所は上下にずれている。上記可動凸部23bには、荷揚時の引き抜き動作により溝穴の縁部に摺接する傾斜面が形成されている。また、上記可動凸部23bにも、上記溝穴の縁部に摺接する傾斜面が形成されている。
【0031】
上記可動凸部23bは、上記支柱部に設けられた水平軸23cによって回動可能に設けられており、バネ23dによって当該可動凸部23bが突出する方向に付勢されている。上記フランジ部21には、上記可動凸部23bの突出状態を保持するストッパ23eが設けられている。このストッパ23eは、
図10にも示すように、上記可動凸部23bの下部側に当たることで、当該可動凸部23bの回動を制限する。上記ストッパ23eは、上記可動凸部23bの突出方向と直交する方向にスライド可能に設けられており、また、コイルバネ23fによってアンロック方向に移動されるように付勢されている。上記ストッパ23eには、ワイヤ等によってグリップハンドル23gが連結されており、このグリップハンドル23gを上記コイルバネ23fの弾性力に抗して引き操作することで、上記可動凸部23bの回動を制限できる位置に上記ストッパ23eを移動させることができる。上記フランジ部21には、水平方向に突出する凸状部が形成されており、この凸状部の端面の上側に傾斜面からなる引っ掛け部21eが形成されている。上記グリップハンドル23gを上記のように引き操作した後、このグリップハンドル23gを上記引っ掛け部21eに引っ掛けておくことで、上記可動凸部23bの回動制限状態が保持される。
【0032】
上記グリップハンドル23gの上記引っ掛けを解除すると、上記ストッパ23eは、上記コイルバネ23fの弾性力によって、アンロック方向にスライドされる。上記可動凸部23bの下部には、上記アンロック方向にスライドした上記ストッパ23eを通す切欠き231が形成されている。したがって、上記可動凸部23bは、アンロック状態においては、上記ストッパ23eの干渉を受けずに回動することができ、
図11および
図12にも示すように、上記支柱部側に入り込むことができる。荷台上にコンテナが降下されてくるときには、その下面に設けられているコーナ金具の溝穴に上記コーン23が入り込むが、このとき、上記可動凸部23bが上記溝穴の導入口の縁に押されて上記支柱部側に入り込み、上記導入口の縁が上記可動凸部23b上を通り過ぎると、当該可動凸部23bが支柱部から突出する。この突出状態の上記可動凸部23bと上記固定凸部23aとによって、上記コンテナが固定されることになる。コンテナがリフトされて上記コーン23から外されるときも上記可動凸部23bは同様に動作する。
【0033】
以上説明したように、上記コンテナ固定装置1は、荷台に固定されるソケット部3と、上記ソケット部3に装着されてコンテナを固定する本体部2とを備えており、上記本体部2の下部には、水平方向に突出する突出部22bが形成されており、上記ソケット部3には、上記突出部22bが収容される収容空間部31と、当該収容空間部31の周囲側に存在して上記突出部22bの水平面内の回転を許容し且つ水平面内の全ての方向の移動を制限する第1制限部32と、上記収容空間部31に連通し、上記突出部22bを挿通させることができる開口部33と、当該開口部33の周囲側に存在して上記突出部22bの上方向移動を制限する第2制限部34とを備える。
【0034】
上記の構成であれば、上記突出部22bが上記開口33部を通って上記収容空間部31内に位置し水平面内で回されることにより、上記第2制限部34によって上記突出部22bの上方向移動が制限される状態が形成される。また、上記本体部2を上記回転の前の元の位置に戻し、上記突出部22bが上記開口部33を通れるようにすることで、上記突出部22bを上記収容空間部31から離脱させることができる。すなわち、コンテナ固定装置の本体部を、ボルトを用いずに荷台上で着脱可能に支持することができる。そして、上記収容空間部31の周囲側に存在する上記第1制限部32によって、上記突出部22bの水平面内の全ての方向の移動が制限されるので、荷重受け止めに方向性が生じるのを回避し、コンテナ固定装置1の荷重受け止めの負担を軽減することができる。
【0035】
また、上記本体部2には、バネ21bの弾性力によって突出するとともに上記バネ21bの弾性力に抗して没入するピン21aが設けられており、上記ソケット部3の第1立上げ壁部35には、上記本体部2の回転による上記ピン21aの円弧移動に対して徐々に当該ピン21aを没入させるガイド部35aと、上記ガイド部35aを通過して突出状態となった上記ピン21aに係合して上記本体部2の回転を止める制止部35bと、が形成されている。これにより、上記突出部22bを上記ソケット部3に入れて上記本体部2を回すだけて、当該本体部2を上記ソケット部3に正しくセットすることができ、また、このセット位置がしっかりと保持されることになる。
【0036】
上記ソケット部3には、上記突出部22bが上記開口部33に誤った向きで挿通されようとした場合に、上記突出状態のピン21aが当たる第2立上げ壁部(接触部)37が形成されている。これにより、上記突出部22bが上記開口部33に誤った向きで挿通さるのを防止することができる。特に、上記2個の突出部22bが対称形に形成されている場合には、上記本体部2を上記ソケット部3に装着する上で、方向の誤りが生じやすくなるが、上記第2立上げ壁部37が形成されていれば、誤った装着を防止できることになる。
【0037】
上記ソケット部3には、上記突出部22bが上記収容空間部31内で上記一定範囲を越えて回転するのを制限するオーバーターン防止部36が設けられている。これによれば、上記本体部2の上記ソケット部3への装着完了となる回転終了のタイミングで上記本体部2の回転を停止させることができる。
【0038】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 コンテナ固定装置
2 本体部
21 フランジ部
21a ピン
21b バネ(弾性部材)
22 脚部
22b 突出部
23 コーン(嵌合部)
23b 可動凸部
3 ソケット部
31 収容空間部
32 第1制限部
33 開口部
34 第2制限部
35 第1立上げ壁部
35a ガイド部
35b 制止部
36 オーバーターン防止部
37 第2立上げ壁部(接触部)